図1と図2に示すように、コンバインは、機体フレーム1の下側に土壌面を走行する左右一対のクローラからなる走行装置2が設けられ、機体フレーム1の前側に圃場の穀稈を刈取る刈取装置3が設けられ、刈取装置3の後方左側に刈取られた穀稈を脱穀・選別処理する脱穀装置4が設けられ、刈取装置3の後方右側に操縦者が搭乗する操縦部5が設けられている。
操縦部5の下側にはエンジンEを搭載するエンジンルーム6が設けられ、操縦部5の後側には脱穀・選別処理された穀粒を貯留するグレンタンク7が設けられ、グレンタンク7の後側に穀粒を外部に排出する上下方向に延在する揚穀部8Aと前後方向に延在する横排出部8Bからなる排出オーガ8が設けられている。
操縦部5の操縦席5Aの前側には、フロントパネル10が設けられ、左側にはサイドパネル20が設けられている。
フロントパネル10の中央部には、走行装置2の走行速度等を表示するモニタ11が設けられ、モニタ11の後側には、刈取装置3を土壌面から上方に所定の高さ上昇させて待避姿勢に移動させる待避スイッチ12が設けられている。
サイドパネル20の前部には、エンジンEよりも下流側に設けられた走行用の油圧式無段変速機51を介して走行装置2の状態を前進状態、停止状態、又は後進状態に切換えると共にエンジンEの出力回転速度の増減速を行う主変速レバー(請求項における「変速レバー」)21が設けられている。
主変速レバー21を中立姿勢にすると走行装置2は停止し、主変速レバー21を中立姿勢から前方に傾斜させて前進姿勢にすると走行装置2は前進し、主変速レバー21を中立姿勢から後方に傾斜させた後進姿勢にすると走行装置2は後進する。
また、主変速レバー21を中立姿勢にするとエンジンEの出力回転速度の増減速は行われず、主変速レバー21を中立姿勢から前方に傾斜させて前進姿勢にするとエンジンEの出力回転速度は増速する。なお、本実施形態においては、主変速レバー21を中立姿勢から後方に傾斜させて後進姿勢にしてもエンジンEの出力回転速度の増減速は行われない。
前進姿勢において主変速レバー21をより前方に傾斜させると油圧式無段変速機51によって走行装置2の前進速度は増速し、中立姿勢方向、すなわち後方に傾斜させると油圧式無段変速機51によって走行装置2の前進速度は減速する。また、走行装置2の走行速度の増減速に合わせて刈取装置3の引起速度も増減速する。これにより、主変速レバー21を操作して、油圧式無段変速機51を介して走行装置2の走行速度と刈取装置3の引起速度の増速を行って刈取処理を効率良く行うことができる。
また、前進姿勢において主変速レバー21をより前方に傾斜させるとエンジンEの出力回転速度は増速し、中立姿勢方向、すなわち後方に傾斜させるとエンジンEの出力回転速度は減速する。これにより、主変速レバー21を操作して、エンジンEの出力回転速度の増速を行い、油圧式無段変速機51を介して走行装置2の走行速度と刈取装置3の引起速度の増速を速やかに行うことができる。なお、本実施形態においては、エンジンEの出力回転速度の増減速は、主変速レバー21を操作して、本機コントローラ30とエンジンコントローラ40を介しエンジンEに燃焼空気を供給するスロットルバルブの開度を変更して行っている。
後進姿勢において主変速レバー21を後方により傾斜させると油圧式無段変速機51によって走行装置2の後進速度は増速し、中立姿勢方向、すなわち前方に傾斜させると油圧式無段変速機51によって走行装置2の後進速度は減速する。また、走行装置2の走行速度の増減速に合わせて刈取装置3の引起速度も増減速する。これにより、主変速レバー21を操作して、油圧式無段変速機51を介して走行装置2の走行速度と刈取装置3の引起速度の減速を行い刈取処理を効率良く行うことができる。
主変速レバー21の後方右側には、油圧式無段変速機51の下流側に設けられた走行用のトランスミッション52を介して走行装置2の走行速度の増減速を行う副変速レバー22が設けられている。
副変速レバー22を前方に傾斜させるとトランスミッション52内のギヤの変速比が小さくなり走行装置2の走行速度は増速し、副変速レバー22を後方に傾斜させると変速比が大きくなり走行装置2の走行速度は減速する。これにより、圃場の穀稈の倒伏状態に応じて走行装置2の走行速度の増減速を行うことができる。すなわち、多くの穀稈が倒伏している場合には、副変速レバー22を後方に傾斜させて刈取装置3の引起速度を維持して走行装置2の走行速度を減速して倒伏した穀稈の刈取りロスを抑制することができる。
主変速レバー21の後方左側には、図3に示すように、第1経路AにおけるエンジンEと脱穀装置4の間に設けられた脱穀クラッチ50と、第2経路Bにおける油圧式無段変速機51と刈取装置3の間に設けられた刈取クラッチ53の接続と接続解除を行う刈脱レバー23が設けられている。
刈脱レバー23を前方に傾斜させて前方姿勢にすると刈取クラッチ53と脱穀クラッチ50が接続されて刈取装置3と脱穀装置4は駆動する。刈脱レバー23を前方姿勢から後方に傾斜させて中立姿勢にすると刈取クラッチ53の接続が解除されて刈取装置3は停止して脱穀装置4は駆動し、さらに、刈脱レバー23を中立姿勢から後方に傾斜させて後方姿勢にすると脱穀クラッチ50の接続が解除されて刈取装置3と脱穀装置4は停止する。これにより、脱穀装置4に多量の穀稈が移送されて扱胴の回転に大きな負荷が加わりエンジンEの負荷が大きい場合には、例えば、刈脱レバー23を中立姿勢にして刈取装置3の駆動を停止してエンジンEに加わっている負荷を低減することができる。
主変速レバーの21の右側には、本機コントローラ30を介さずエンジンコントローラ40を介してエンジンEの出力回転速度を増減速するアクセルレバー24が設けられている。
アクセルレバー24を前方に傾斜させて前方姿勢にするとエンジンEの出力回転速度は増速し、アクセルレバー24を後方に傾斜させて後方姿勢にするとエンジンEの出力回転速度は減速する。これにより、アクセルレバー24を操作して、エンジンEの出力回転速度を増減速させて脱穀装置4の扱胴等の回転速度の増減速を行って脱穀選別処理を効率良く行うことができる。
<エンジンの出力回転速度の伝動図>
次に、エンジンEの出力回転速度の伝動について説明する。図3に示すように、エンジンEの出力回転速度は、第1経路A上に設けられた脱穀クラッチ50を介して脱穀装置4に伝動され、脱穀装置4の扱胴、揺動選別棚等を駆動する。なお、刈脱レバー23を操作して脱穀クラッチ50の接続と接続解除の切換えは行われる。
これにより、脱穀装置4の扱胴の回転速度を走行装置2の走行速度や刈取装置3の引起速度とは独立して設定することができ、穀粒に含有された水分量に応じて扱胴の回転速度を調整して脱穀選別処理を効率良く行うことができる。
エンジンEの出力回転速度は、第2経路B上に設けられた油圧式無段変速機51に伝動される。油圧式無段変速機51の入力軸に伝動されたエンジンEの出力回転速度は、油圧式無段変速機51内で増減速と回転方向の変更が行われて第1出力軸と第2出力軸から出力される。なお、主変速レバー21を操作して油圧式無段変速機51内での増減速と回転方向の変更は行われる。
油圧式無段変速機51の第1出力軸の出力回転速度は、トランスミッション52に伝動される。トランスミッション52の入力軸に伝動された第1出力軸の出力回転速度は、トランスミッション52内のギヤチェンジで増減速され出力軸から出力される。
トランスミッション52の出力軸の出力回転速度は、走行装置2に伝動され、走行装置2のクローラを回動する。
油圧式無段変速機51の第2出力軸の出力回転速度は、刈取クラッチ53を介して刈取装置3に伝動され、刈取装置3の引起装置、切断装置等を駆動する。なお、刈脱レバー23を操作して刈取クラッチ53の接続と接続解除の切換えは行われる。
これにより、圃場の穀稈の倒伏状態に応じて、主変速レバー21を操作して油圧式無段変速機51を介して走行装置2の走行速度と刈取装置3の引起速度を増減速させて刈取処理を効率良く行うことができる。また、主変速レバー21を操作してエンジンEの出力回転速度の増減速も容易に行うことができる。
<本機コントローラとエンジンコントローラ>
次に、本機コントローラ30とエンジンコントローラ40について説明する。図4に示すように、本機コントローラ30とエンジンコントローラ40は無線回線31によって接続されている。また、本機コントローラ30には、主変速レバー21の傾斜角度を計測する角度センサ32の入力値に応じてエンジンEの制御を行う演算部30Aと、演算データ等を保存するメモリ部30Bと、処理時間等を計測するタイマ部30Cが設けられている。
本機コントローラ30の一側には、主変速レバー21の傾斜角度を計測する角度センサ32と、脱穀装置4の選別棚上に落下してくる穀粒の層厚を計測する層厚センサ33と、刈取装置3が土壌面から上方の待避姿勢にあることを検出する待避センサ34と、走行装置2の転輪の回転速度を計測する速度センサ35が所定のインターフェース回路を介して接続されている。
また、本機コントローラ30の他側には、刈脱レバー23が前方姿勢にあることを検出する刈取センサ36と、副変速レバー22の傾斜角度を計測する角度センサ38と、走行装置2の走行速度等を表示するモニタ11が所定のインターフェース回路を介して接続されている。
エンジンコントローラ40の一側には、アクセルレバー24の傾斜角度を計測する角度センサ41と、エンジンコントローラ40の他側にはエンジンEの出力軸の出力回転速度を計測する回転速度センサ42と、エンジンEのシリンダ内に燃焼空気を供給するスロットルバルブ43と、エンジンEのシリンダ内の温度を計測してエンジンEに加わっている負荷を計測する負荷センサ44が所定のインターフェース回路を介して接続されている。
<エンジンの出力回転速度の増減速方法>
次に、エンジンEの出力回転数を増減速する方法について説明する。図5に示すように、ステップS1において、本機コントローラ30は、刈脱レバー23の前方姿勢を検出する刈取センサ36からの入力信号を判断し、刈脱レバー23が前方姿勢に位置して刈取センサ36の入力信号がONの場合には、ステップS2に進み、刈脱レバー23の前方姿勢に位置せず刈取センサ36の入力信号がOFFの場合には、ステップS1を繰り返す。なお、刈脱レバー23が前方姿勢に位置する場合には、脱穀クラッチ50と刈取クラッチ53が接続されて刈取装置3と脱穀装置4が駆動して刈取脱穀処理を行うことができる。
ステップS2において、本機コントローラ30は、操縦者による主変速レバー21の操作速度を判断して、主変速レバー21の操作速度が、あらかじめ設定した設定操作速度よりも遅いと判断した場合には、ステップS3に進み、主変速レバー21の操作速度が、あらかじめ設定した設定操作速度よりも速いと判断した場合には、ステップS4に進む。
主変速レバー21の操作速度は、単位時間あたりに角度センサ41で計測された主変速レバー21の傾斜角度を単位時間で除算して算出される。また、設定操作速度は、本機コントローラ30のメモリ部30Bに保存されている。
ステップS3で、本機コントローラ30は、操縦者による主変速レバー21の操作位置を判断して、主変速レバー21の操作位置が所定の領域、例えば、図6に示すように、主変速レバー21の操作位置が、エンジンEの出力回転速度が作業状態時においてエンジン負荷や脱穀負荷に応じた範囲のものとなる領域(以下、グリーン領域)に位置すると判断した場合には、ステップS4に進む。主変速レバー21の操作位置が、グリーン領域に位置していないと判断した場合には、ステップS2に戻る。なお、グリーン領域については、あらかじめ設定しておくものとする。
これにより、主変速レバー21が中立姿勢からグリーン領域の下限領域の間に位置する場合には、エンジンEの出力回転速度が増減速を中止して走行装置2の走行速度等の急加速と急減速を防止することができる。一方、主変速レバー21がグリーン領域に位置する場合には、エンジンEの出力回転速度の増減速を行い走行装置2の走行速度等を速やかに増減速することができる。
主変速レバー21の操作位置は、角度センサ41で計測される。また、グリーン領域は、本機コントローラ30のメモリ部30Bに保存され、本実施形態では、主変速レバー21を中立姿勢から最前進姿勢に傾斜させた傾斜角度を100とした場合に、主変速レバー21を中立姿勢から最前進姿勢に向けて25~100%傾斜させた領域をいう。
エンジンEの出力トルクが最大となる定格出力回転速度を仮に100とした場合に、主変速レバー21を中立姿勢にした場合には、エンジンEの出力回転速度は50になる。また、主変速レバー21をグリーン領域から中立姿勢に傾斜させた場合には、後述する本機コントローラ30は、所定の設定時間を経過した後に、エンジンEの出力回転速度を50にする。設定時間は、本機コントローラ30のメモリ部30Bに保存され、経過時間はタイマ部30Cで計測される。なお、本実施形態では、設定時間は10秒に設定されている。これにより、エンジンEの出力回転速度を減速して、脱穀装置4の唐箕からの選別風を弱くして、穀粒が排藁に混在して外部に排出されるのを防止することができる。なお、実施形態では、手扱ぎ作業時にもエンジンEの出力回転速度は50に設定されている。
また、主変速レバー21を25%傾斜させた場合には、エンジンEの出力回転速度は70となり、主変速レバー21を75%傾斜させた場合には、エンジンEの出力回転速度は100となって出力トルクが最大となり、主変速レバー21を100%傾斜させて最前進姿勢にした場合には、エンジンEの出力回転速度は110となって出力トルクは小さくなる。
ステップS4で、本機コントローラ30は、操縦者による主変速レバー21の操作方向を判断して、主変速レバー21の操作方向が前進姿勢から中立姿勢に向かって操作されていると判断した場合にはステップS5に進み、主変速レバー21の操作方向が中立姿勢から前進姿勢に向かって操作されていると判断した場合にはステップS11に進む。
これにより、主変速レバー21を操作してエンジンEの出力回転速度を増減速して、走行装置2の走行速度等を速やかに増減速することができると共に、脱穀装置4の扱胴等の回転速度の増減速を行って脱穀選別処理を効率良く行うことができる。
主変速レバー21の操作方向は、単位時間あたりに角度センサ41で計測された主変速レバー21の傾斜角度を単位時間で除算して算出される。なお、主変速レバー21を前進姿勢から中立姿勢に向かって操作した場合には、角度センサ41で計測された主変速レバー21の傾斜角度はマイナスとなり、主変速レバー21を中立姿勢から前進姿勢に向かって操作した場合には、角度センサ41で計測された主変速レバー21の傾斜角度はプラスになる。
ステップS5で、本機コントローラ30は、脱穀装置4の選別棚に落下してくる穀粒の層厚を計測する層厚センサ33からの入力信号を判断し、層厚センサ33で計測された層厚が、あらかじめ設定した設定層厚よりも薄いと判断し場合には、ステップS6に進み、層厚センサ33で計測された層厚が、あらかじめ設定した設定層厚よりも厚いと判断し場合には、ステップS5を繰り返す。なお、設定層厚は、本機コントローラ30のメモリ部30Bに保存されている。
これにより、脱穀装置4の唐箕からの選別風の強さを維持して選別処理を効率良く行うことができ、穀粒が外部に排出されるのを防止することができる。
ステップS6で、本機コントローラ30は、脱穀装置4の駆動等からエンジンEに加わっている負荷を計測する負荷センサ44からの入力信号を判断し、負荷センサ44で計測されたエンジンEの負荷が、あらかじめ設定した設定負荷よりも小さい判断し場合には、ステップS7に進み、負荷センサ44で計測されたエンジンEの負荷が、あらかじめ設定した設定負荷よりも大きいと判断し場合には、ステップS6を繰り返す。なお、設定負荷は、本機コントローラ30のメモリ部30Bに保存されている。
これにより、脱穀装置4の唐箕の回転速度の変動を防止し、選別風の強さを維持して選別処理をより効率良く行うことができ、穀粒が外部に排出されるのをより防止することができる。
ステップS7で、本機コントローラ30は、走行装置2の転輪の回転速度を計測する速度センサ35からの入力信号を判断し、速度センサ35で計測された走行装置の回転軸の回転速度が、エンジンEの出力回転速度を計測する回転速度センサ42で計測されたエンジンEの出力回転速度と同等と判断した場合には、ステップS8に進み、速度センサ3で計測された走行装置の回転軸の回転速度が、エンジンEの出力回転速度を計測する回転速度センサ42で計測されたエンジンEの出力回転速度よりも遅いと判断した場合には、ステップS11に進む。
これにより、走行装置2の走行速度の湿田走行時等の減速を防止して、走行装置2の走行速度と刈取装置3の引起速度を同期させて穀稈の刈取処理を効率良く行うことができる。
ステップS8で、本機コントローラ30は、刈取装置3の待避姿勢を検出する待避センサ34からの入力信号を判断し、刈取装置3が待避姿勢に位置せず待避センサ34の入力信号がOFFの場合には、ステップS9に進み、刈取装置3が待避姿勢に位置して待避センサ34の入力信号がONの場合には、ステップS10に進む。
これにより、コンバインの反転時等で刈取装置3の待避姿勢にある場合には、エンジンEの出力回転速度を一定速度減速して、脱穀装置4の唐箕からの選別風を弱くして、穀粒が排藁に混在して外部に排出されるのを防止することができる。
ステップS9で、本機コントローラ30は、無線回線31を介して主変速レバー21の前進姿勢から中立姿勢に向かう操作量をエンジンコントローラ40に送信し、エンジンコントローラ40は、入力された操作量に応じてスロットルバルブ43の開度を狭くして、スロットルバルブ43からエンジンEのシリンダに供給される燃焼空気量を減少させてエンジンEの出力回転速度を減速して、ステップS1に戻る。
また、本機コントローラ30は、所定の第1設定時間を経過した後に、操作量をエンジンコントローラ40に送信するのが好ましい。これにより、エンジンEの出力回転速度の減速を安定して行うことができる。第1設定時間は、本機コントローラ30のメモリ部30Bに保存され、経過時間はタイマ部30Cで計測される。なお、本実施形態では、第1設定時間は2秒に設定されている。
ステップS10で、本機コントローラ30は、無線回線31を介して、あらかじめ設定していた設定操作量をエンジンコントローラ40に送信し、エンジンコントローラ40は、入力された設定操作量に応じてスロットルバルブ43の開度を狭くして、スロットルバルブ43からエンジンEのシリンダに供給される燃焼空気量を減少させてエンジンEの出力回転速度を一定速度減速して、ステップS1に戻る。なお、設定操作量は、本機コントローラ30のメモリ部30Bに保存されている。
また、本機コントローラ30は、所定の第2設定時間を経過した後に、設定操作量をエンジンコントローラ40に送信するのが好ましい。これにより、エンジンEの出力回転速度の減速を安定して行うことができる。第2設定時間は、本機コントローラ30のメモリ部30Bに保存され、経過時間はタイマ部30Cで計測される。なお、本実施形態では、第2設定時間は3秒に設定されている。
ステップS11で、本機コントローラ30は、無線回線31を介して主変速レバー21の中立姿勢から前進姿勢に向かう操作量をエンジンコントローラ40に送信し、エンジンコントローラ40は、入力された操作量に応じてスロットルバルブ43の開度を広くして、スロットルバルブ43からエンジンEのシリンダに供給される燃焼空気量を増加させてエンジンEの出力回転速度を増速して、ステップS1に戻る。
また、本機コントローラ30は、所定の第3設定時間を経過した後に、操作量をエンジンコントローラ40に送信するのが好ましい。これにより、エンジンEの出力回転速度の増速を安定して行うことができる。第3設定時間は、本機コントローラ30のメモリ部30Bに保存され、経過時間はタイマ部30Cで計測される。なお、第3設定時間は、第1設定時間よりも短時間に設定するのが好ましく、本実施形態では、第3設定時間は1秒に設定されている。
本発明の制御において、以下の実施例が考えられる。図7のフローチャートに沿って説明する。
機体の車速とエンジンEの出力回転速度を連動させる構成であり、特定の条件下では主変速レバー21を操作しても機体の車速とエンジンEの出力回転速度を連動させない制御を行う構成において、この制御を実行するかしないかを切り替えることができる制御切替スイッチ100(図示しない)を備える。制御切替スイッチ100がオンの状態であれば、図7のフローチャートの制御を行い、オフの状態であれば制御を行わない。オンであれば、STARTに進み制御を開始し、オフであれば制御を行わない。また、制御中であってもオフにすれば制御を中断する。なお、制御切替スイッチ100を備えない構成であっても良く、その場合、STARTから制御を開始し、ステップT1に進む。
制御の開始から、ステップT1に進む。ステップT1で本機コントローラ30は、操縦者による主変速レバー21の操作による移動量を判断する。角度センサ32を用いて、主変速レバー21が増速方向に移動したか、減速方向に移動したか、移動しなかったかを検出し、ステップT1以降の制御に分岐する。
主変速レバー21が増速方向に倒された場合、ステップT11に進み、エンジンEの出力回転速度を増加させる。その後、ステップT3に進む。また、主変速レバー21が操作されなかった場合は、エンジンEの出力回転速度を特に変化させず、そのままステップT3に進む。
主変速レバー21が減速方向に倒された場合、ステップT2に進む。ステップT2では、脱穀装置4に加わっている負荷を計測する層厚センサ33やエンジンEに加わっている負荷を計測する負荷センサ44からの入力信号を判断する。各センサから計測されたエンジンEの負荷が、あらかじめ設定した負荷の値よりも小さいと判断した場合にはステップT21に進み、エンジンEの出力回転速度を減少させ、ステップT3に進む。そうでない場合にはエンジンEの出力回転速度を減少させず、ステップT3に進む。
なお、脱穀装置4の脱穀負荷を検出する手段はエンジンEの負荷を検出する方法でも良く、層厚を検出する方法でも良く、その他の手段でも良い。また、複数の手段を組み合わせても良く、複数の検出手段によって負荷を検出し、どれか1つの検出手段が負荷を検出した場合にエンジンEの出力回転速度を減少させない構成としても良い。
また、脱穀装置4以外の負荷を検出し、エンジンEの出力回転速度を減少させない構成としても良い。刈取装置3や搬送装置の負荷を検出する構成が考えられる。その他の負荷を検出し、エンジンEの出力回転速度を制御する構成であっても良い。
ステップT3では、角度センサ38によって検出された主変速レバー21のレバー角度と、速度センサ35によって検出された機体の現在車速から、レバー角度と現在車速の関係があらかじめ定められている基準車速になっているかどうかを判断する。基準車速に対し現在車速が遅い場合は、ステップT31に進み、主変速レバー21のレバー角度に応じたエンジンEの出力回転速度とは別の制御として、基準速度を目指して100RPMを追加で上げる。そうでない場合は、レバー角度に応じたエンジンEの出力回転速度にする。
ステップT3またはステップT31の後は、RETURNに進む。RETURNに進んだ後、再びSTARTに戻り、図7の制御を繰り返す。
図示しないが、ステップT1以前に、主変速レバー21の現在の位置を角度センサ32によって判断し、主変速レバー21が中立位置であればエンジンEの出力回転速度をグリーン領域未満に変化させる構成としても良い。この制御において、エンジンEの出力回転速度がグリーン領域未満になった場合、主変速レバー21が操作され中立以外の位置になるまでエンジンEの出力回転速度を変更しない。主変速レバー21が中立位置にない場合には、ステップT1に進む。
なお、主変速レバー21が中立位置であればエンジンEの出力回転速度をグリーン領域未満に変化させる構成の代わりに、主変速レバー21が中立位置であればエンジンEの出力回転速度を手扱ぎ作業に適した速度に変化させる構成としても良い。この構成においても、エンジンEの出力回転速度が手扱ぎ作業に適した速度になった場合、主変速レバー21が操作され中立以外の位置になるまでエンジンEの出力回転速度を変更しない。
エンジンEの出力回転速度を制御する構成において、エンジンEの出力回転速度を変化させる前にディレイを設ける構成としても良い。なお、ディレイを設けてからエンジンEの出力回転速度を変化させる構成において、ディレイを複数段階行う構成としても良い。
ディレイの時間を、操縦者が任意に調整し設定できる構成であっても良い。ディレイを複数段階行う構成においては、各ディレイごとに異なる時間に設定できる構成であっても良い。
主変速レバー21のレバー操作量に応じてエンジンEの出力回転速度を変化させる構成において、変更後のエンジンEの出力回転速度をグリーン領域の上限から下限以内とする構成としても良い。
図示しないが、刈取装置3の上昇時に刈取装置3とフィードチェンの駆動が自動で停止する機能60(図示しない)を備える構成において、以下の構成としても良い。
機能60は、刈取装置3の上昇時に刈取装置3とフィードチェンの駆動が自動で停止する制御を実行するかどうかを切り替えられる構成であり、スイッチ等でオンオフを切り替えられる構成であることが望ましい。
機能60がオンにされている場合にはエンジンEの出力回転速度を、主変速レバー21のレバー角度に応じたエンジンEの出力回転速度とは別に、あらかじめ設定された規定量減少させる。オフになっている場合は、主変速レバー21に基づいたエンジンEの出力回転速度とする。また、エンジンEの出力回転速度を減少させる構成において、段階的に減少させる構成としても良く、減少させる前にディレイを設ける構成としても良い。ディレイについても、複数の段階に分けてディレイを行う構成としても良い。
なお、1段階だけエンジンEの出力回転速度を減少させる制御と、複数段階にわけてエンジンEの出力回転速度を減少させる制御とを切り替えられる構成としても良い。
エンジンEの出力回転速度を主変速レバー21のレバー角度とは別に増減させる制御において、あらかじめ設定する値を操縦者が任意で設定できる構成としても良い。また、このエンジンEの出力回転速度を主変速レバー21のレバー角度とは別に増減させる制御をオンオフできる構成としても良い。
図示しないが、ディレイを設ける構成において、速度センサ35によって現在車速を検出して、現在車速があらかじめ設定された値の範囲内であるか判断し、機体の現在車速があらかじめ設定した基準車速とは異なる状態であると判断した場合にはディレイを設けた後、エンジンEの出力回転速度を変更させる。そうでない場合にはエンジンEの出力回転速度を変更する際に、通常設けるディレイを設けずにすぐにエンジンEの出力回転速度を変更する制御を行う構成としても良い。この制御におけるエンジンEの出力回転速度の変更は、主変速レバー21のレバー角度に応じたエンジンEの出力回転速度とは別に、基準速度を目指して100RPMを追加で増減させるものが考えられる。
主変速レバー21の移動量とエンジンEの出力回転速度を連動させる構成において一定条件下で連動させない制御を実行するかどうかを切り替える構成について、制御切替スイッチ100を備える代わりに以下の構成としても良い。
以下は複数のスイッチを使用してエンジンEの出力回転速度の制御を切り替える構成である。本発明の構成とは別の機能を備えるスイッチを以下のように使用することで、エンジンEの出力回転速度の制御も可能とするのが望ましい。
スイッチ101(図示しない)を備え、スイッチ102(図示しない)を備える構成において、スイッチ101とスイッチ102を同時にオンにすることでエンジンEの出力回転速度の制御をオンにする構成としても良い。
スイッチ101をオンにするとスイッチ102もオンになり、制御が開始される構成とし、スイッチ101をオフにすると、エンジンEの出力回転速度の制御動作が無効になる構成。さらに、スイッチ102がオンの場合、スイッチ101をオフにしてエンジンEの出力回転速度の制御を作動させることができないように制御する構成を加えても良い。
また、主変速レバー21の移動量とエンジンEの出力回転速度を連動させる構成において、一定条件下では主変速レバー21の移動量とエンジンEの出力回転速度を連動させない制御を実行するかどうかを切り替える構成について、制御切替スイッチ100を備える代わりに以下の構成であっても良い。以下は1つのスイッチを複数回押すことや一定時間押すことでエンジンEの出力回転速度の制御の切り替えをする構成である。
スイッチ101を複数回押すことでエンジンEに対する制御内容を切り替えられる構成。1回目にスイッチを押した場合は従来の自動制御を行い、2回目にスイッチを押した場合は本発明の制御を行い、3回目にスイッチを押すと制御をオフにするといった構成が考えられる。
また、下記の構成でも良い。
スイッチ101を一定時間以上長押しすることでエンジンEに対する制御内容を切り替えられる構成で、。スイッチを一瞬だけ押すと従来の自動制御を行い、一定時間以上押すと主変速レバー21の移動量とエンジンEの出力回転速度を連動させる構成において一定条件下で連動させない制御制御を行うものとしても良い。
各制御が行われている最中は、制御中であることを操縦者に報知するために、操縦部5のモニタに制御中であることを表示する構成や、警告音を鳴らす構成や、警告灯や各スイッチを点灯する構成であっても良い。操縦部5のモニタとは別の端末に表示する構成や、別の端末から警告音を発生する構成等であっても良い。
≪脱穀装置の構成について≫
以下、図示しないが脱穀装置4の扱胴に備えられる扱胴カバーの実施例を記載する。
扱胴カバーを開閉するための扱胴カバーオープンレバーを備え、扱胴カバーの開閉動作を補助するモータを備える。モータは、操作されることによって扱胴オープンカバーレバーの荷重が大きくなった際に作動し、扱胴カバーが開いていく動作を補助する。
扱胴カバーオープンレバーの荷重が大きくなっているかどうかの判断は、センサに接触することで検出する接触センサや扱胴カバーオープンレバーの位置で検出するポジションセンサ等の検出装置を備え検出することで行う。接触センサを扱胴カバーオープンレバーの上側や下側に備える構成としても、ポジションセンサを扱胴カバーオープンレバーの支点に備える構成としても、別のセンサを利用する構成としても良い。
扱胴カバーを開く動作をモータによって補助する構成で、扱胴オープンカバーレバーの荷重が大きくなった場合から、モータが動き出すまでにディレイを設ける構成としても良い。
扱胴カバーを開く動作を、電動式等のモータによって補助する構成で、タイマーを備える。タイマーでは扱胴オープンカバーレバーの荷重が大きくなった時点から一定時間を計測する。タイマーで計測された一定時間までに扱胴カバーがオープンされていたら、モータを動作させない制御を行う構成とする。扱胴カバーが全開したかどうかは、接触センサ等で検出する。接触センサは、扱胴カバーオープンレバーのレバー全開位置や、扱胴カバーのカバー全開位置に備えることが考えられる。
扱胴カバーを開く動作をモータによって補助する構成で、扱胴オープンカバーレバーの荷重が大きくなった場合から、モータが動き出すまでにディレイを設ける構成で、扱胴カバーの開度を2段階とする。扱胴カバーが半開した際にもディレイを設け、一定時間経過後、全開に向けてモータが動き出す。なお、2段階以上の開度にできる構成であっても良い。
2段階にする構成においても、扱胴オープンカバーレバーの荷重が大きくなった時点や、カバー半開の時点からタイマーを起動し、一定時間以内に次の段階までオープンできた場合はモータを作動させない構成としても良い。
ブザーを備え、モータが動作する際はブザーを鳴らして報知する構成としても良い。また、ブザー以外の手段で報知する構成としても良い。モニタ11に、モータが動作中である旨を表示する等が考えられる。また、半開までの動作中に鳴らすブザー音と、全開までの動作中に鳴らすブザー音は別の音色としても良い。
機体のキーオン時とキーオフ時の動作について、以下のような構成でも良い。キーオンした後に扱胴カバーを開こうとし、扱胴カバーオープンレバーを操作した際は、モータを作動する条件が整っても、モータが作動しない構成としても良い。エンジンEが動いている最中にモータの動作を禁止する制御は、キーオフで解除される構成としても良い。