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JP7384827B2 - 小径の低減衰光ファイバ - Google Patents

小径の低減衰光ファイバ Download PDF

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JP7384827B2 JP2020560832A JP2020560832A JP7384827B2 JP 7384827 B2 JP7384827 B2 JP 7384827B2 JP 2020560832 A JP2020560832 A JP 2020560832A JP 2020560832 A JP2020560832 A JP 2020560832A JP 7384827 B2 JP7384827 B2 JP 7384827B2
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Description

関連出願の相互参照
本出願は、その内容が依拠され、その全体がここに参照することによって本願に援用される、2018年4月30日出願の米国仮特許出願第62/664,359号の優先権の利益を主張する、2018年9月4日出願の米国仮特許出願第62/726,664号の優先権の利益を主張するものである。
本開示は、概して、光ファイバに関する。より詳細には、本開示は、屈折率が低下したクラッド領域を有する屈折率分布、低弾性率の一次コーティング、及び高弾性率の二次コーティングを有する小径の低減衰光ファイバに関する。最も詳細には、本開示は、コーティングされたファイバが低い減衰、大きいモードフィールド径、低いカットオフ波長、及び低い曲げ損失を示すように、その上に一次コーティング及び二次コーティングを備えた、小ガラス直径の光ファイバに関する。
クラッドとコーティングの直径が小さい光ファイバは、ケーブルのサイズを縮小し、ケーブルのコストを削減し、光インターコネクトの帯域幅密度を高めるためには魅力的である。クラッド径が縮小されたファイバの一次及び/又は二次コーティングとして、より薄い層を使用することもまた望ましいことである。しかしながら、クラッド径が小さいほどマイクロベンド感度が高くなり、一次及び二次コーティングの直径が薄いほど、マイクロベンド性能及びコーティングの保護機能がさらに損なわれる。結果として、市販のクラッド径が縮小されたファイバは、1530nmを超える長波長での曲げ感度を低下させるために、小さいモードフィールド径、高い開口数、及び/又は高いカットオフ波長を有する傾向がある。
コーティング径が縮小された光ファイバの設計が提案されているが、このようなファイバのクラッド径は、従来の125μmの値に維持されている。クラッド径を90μm以下に低下させると、125μmのクラッド径を有するファイバと比較して、マイクロベンド感度が1桁増加してしまい、これらの参考文献で提案されているコーティングの解決策は、低い減衰及び低い曲げ損失を実現するには十分ではない。
したがって、縮小されたクラッド径及びコーティング径、低い減衰、低い曲げ損失、G.657に準拠したモードフィールド径、及び低いカットオフ波長を有するシングルモード光ファイバを設計することが望ましい。
本開示は、曲げによって誘導される有意な信号劣化を経験することなく、大きいモードフィールド直径を有する、90μm以下(例えば、又は85μm以下、又は70μm以下)の外側クラッド径を有する例示的なコーティングされた光ファイバの実施形態を開示する。コーティングされたファイバは、一次コーティング及び二次コーティングによって取り囲まれた、45μm以下(例えば、42μm以下、又は35μm以下、又は34μm以下、又は32.5μm以下)の外径を有する内部ガラス領域(ガラスクラッド)を含みうる。代表的なファイバは、同心円状の順序で、ガラスコア、ガラスクラッド、該ガラスクラッドを取り囲む一次コーティング、及び該一次コーティングを取り囲む二次コーティングを備えることができる。ガラスクラッドは、第1の内側クラッド領域と第2の内側クラッド領域とを備えることができる。第1の内側クラッド領域は、16μm以下、又は14μm以下、又は12μm以下、又は10μm以下、又は8μm以下の外径を有しうる。ファイバコアは、第1の内側クラッド領域の最大屈折率より高い屈折率を有する。ファイバコアはまた、外側クラッド領域の最大屈折率より高い屈折率を有する。第2の内側クラッド領域は、第1の内側クラッド領域より低い屈折率を有しうる。第2の内側クラッド領域は、外側クラッド領域より低い屈折率を有しうる。一次コーティングは低弾性率の材料から形成することができ、二次コーティングは高弾性率の材料から形成することができる。
幾つかの実施形態によれば、光ファイバは、
(a)外径rを有するコア;
(b)前記コアを取り囲むクラッドであって、45μm以下の外径rを有する、クラッド;
(c)クラッドを取り囲む一次コーティングであって、外径r及び厚さt≧8μm、その場弾性率E(Eは0.35MPa以下である)、並びにばね定数χ<1.6MPa(χ=2E/tである)を有する、一次コーティング;並びに
(d)一次コーティングを取り囲む二次コーティングであって、外径r及び厚さt=r-r、並びに1500MPa以上のその場弾性率Eを有する、二次コーティング
を備えており、ここで、
≧10μmであり、外径rは85μm以下であり、ファイバは、1310nmの波長におけるモードフィールド径MFD≧8.2μm、1310nm未満のファイバカットオフ波長、及び直径10mmのマンドレルに巻き付けたときに1550nmの波長において1dB/ターン未満の曲げ損失を有する。幾つかの実施形態によれば、t≧8.5μmである。幾つかの実施形態によれば、t≧9μm、又はt≧9.5μm、又はt≧10μmである。
幾つかの実施形態によれば、r=38~42μmであり、r=60μm~65μmであり、r=77.5~82.5μmである。幾つかの実施形態によれば、r=40.25μmであり、r=62.5μmであり、r=77.5~82.5μmである。
幾つかの実施形態によれば、r=38~42μmであり、r=45~55μm(例えば、48~52μm)であり、r=60~65μmである。幾つかの実施形態によれば、r=40.25μmであり、r=50μmであり、r=62.5μmである。
幾つかの実施形態によれば、ファイバは、1310nmの波長におけるモードフィールド径MFD≦9.5μm、例えば、MFD≦9.2μm、又はMFD≦9.0μmを有する。幾つかの実施形態によれば、ファイバは、1310nmの波長におけるモードフィールド径MFD≧8.4μm、例えば、MFD≦9.2μm、又はMFD≦9.0μmを有する。
幾つかの実施形態によれば、クラッドは、外径rを有する第1の内側クラッド領域と、該第1の内側クラッド領域を取り囲み、外径rを有する第2の内側クラッド領域とを備えており、前記第2の内側クラッド領域は、最小値Δ3MINを有する相対屈折率Δを有し、ここで、Δ3MIN<-0.2%である。
幾つかの実施形態によれば、t>8μmである。他の実施形態によれば、t>10μmである。幾つかの実施形態によれば、rは45μm未満である。幾つかの実施形態によれば、rは42μm以下、又は40μm以下、又は35μm以下、又は32.5μm以下、又は30μm以下である。幾つかの実施形態によれば、25μm≦r≦45μm、又は30μm≦r≦42μm、又は35μm≦r≦42μm、又は38μm≦r≦42μm、又は25μm≦r≦35μmである。幾つかの実施形態によれば、r≦80μmである。幾つかの実施形態によれば、75μm≦r≦85μmである。幾つかの実施形態によれば、39μm≦r≦41μmであり、75μm≦r≦85μmである。幾つかの実施形態によれば、30μm≦r≦35μmであり、60μm≦r≦70μmである。
幾つかの実施形態によれば、0.5≦t/t≦1.5である。
幾つかの実施形態によれば、χ<1.3MPa、又はχ≦1MPa、又はχ≦0.9MPa、又はχ≦0.8MPaである。幾つかの実施形態によれば、0.5MPa≦χ≦1.3MPaである。幾つかの実施形態によれば、0.5MPa≦χ≦1.1MPaである。幾つかの実施形態によれば、0.5MPa≦χ≦1MPaである。幾つかの実施形態によれば、0.5MPa≦χ≦0.9MPaである。
幾つかの実施形態によれば、クラッドは、内径r、外径rを有する第1の内側クラッド領域と、該第1の内側クラッド領域を取り囲み、外径rを有する外側クラッド領域とを備えており、内側クラッド領域は、最小値Δ2MIN及び最大値Δ2MAXを有する相対屈折率Δを有しており、ここで、Δ2MAX<0.1%であり、Δ2MIN>-0.1%である。幾つかの実施形態によれば、Δ2MAX<0.05%であり、Δ2MIN>-0.05%である。幾つかの実施形態によれば、屈折率Δは、内径rと外径rとの間で実質的に一定である。幾つかの実施形態によれば、r>8μmである。他の実施形態によれば、r>9μm、又はr>10μmである。幾つかの実施形態によれば、r<12μmである。他の実施形態によれば、r<11μm、又はr<10μm、又は8μm<r<12μm、又は9μm<r<11μmである。
幾つかの実施形態によれば、クラッドは、第1の内側クラッド領域を取り囲み、外径rを有する第2の内側クラッド領域を含み、該第2の内側クラッド領域は、最小値Δ3MIN及び最大値Δ3MAXを有する相対屈折率Δを有しており、ここで、Δ3MAX<-0.2%であり、Δ3MIN>-0.7%である。幾つかの実施形態によれば、Δ3MAX<-0.25%であり、Δ3MIN>-0.6%である。他の実施形態によれば、Δ3MAX<-0.3%であり、Δ3MIN>-0.5%である。幾つかの実施形態によれば、第2の内側クラッド領域は、第1の内側クラッド領域に直接隣接しており、内径rを有する。幾つかの実施形態によれば、r<20μmである。他の実施形態によれば、r<18μm、又はr<16μm又はr<15μmである。
幾つかの実施形態によれば、ファイバは、1550nmの波長において、直径10mmのマンドレルを中心に回転したときに、1.0dB/ターン未満の曲げ損失を示す。他の実施形態によれば、ファイバは、1550nmの波長において、直径10mmのマンドレルを中心に回転したときに、0.5dB/ターン未満、又は0.3dB/ターン未満、又はさらには0.2dB/ターン未満の曲げ損失を示す。
幾つかの実施形態によれば、ファイバは、1310nmの波長において8.2μm超のモードフィールド径を示す。他の実施形態によれば、ファイバは、1310nmの波長において8.4μm超、又は8.6μm超のモードフィールド径を示す。幾つかの実施形態によれば、ファイバは、1310nmの波長において9.5μm未満のモードフィールド径を示す。他の実施形態によれば、ファイバは、1310nmの波長において9.2μm未満、又は9.0μm未満のモードフィールド径を示す。
幾つかの実施形態によれば、ファイバは、1310nm未満のファイバカットオフ波長を示す。他の実施形態によれば、ファイバは、1300nm未満、又は1280nm未満のファイバカットオフ波長を示す。幾つかの実施形態によれば、ファイバは、1150nm超のファイバカットオフ波長を示す。他の実施形態によれば、ファイバは、1200nm超、又は1220nm超のファイバカットオフ波長を示す。
幾つかの実施形態によれば、ファイバは、1550nmで1.0dB/km未満の減衰を示す。他の実施形態によれば、ファイバは、1550nmで0.7dB/km未満、又は0.5dB/km未満、又は0.4dB/km未満、又は0.3dB/km未満、又はさらには0.25dB/km未満の減衰を示す。幾つかの実施形態によれば、ファイバは、1600nmで1.0dB/km未満の減衰を示す。他の実施形態によれば、ファイバは、1600nmで0.7dB/km未満、又は0.5dB/km未満、又は0.4dB/km未満、又は0.3dB/km未満、又はさらには0.25dB/km未満の減衰を示す。
幾つかの実施形態によれば、一次コーティングは、0.3MPa以下のその場弾性率Eを有する。幾つかの実施形態によれば、二次コーティングは、1800MPa以上のその場弾性率Eを有する。
コアは、シリカガラス又はシリカ系ガラスを含みうる。シリカ系ガラスは、アルカリ金属(例えば、Na、K)、アルカリ土類金属(例えば、Mg、Ca)、第3カラムに属する元素(例えば、B)、又は第5カラムに属する元素(例えば、P);若しくはドーパントで改質されたシリカガラスでありうる。コアを横切る屈折率は一定でも可変でもよい。コアの屈折率は、コアの中心又はその近くで最大であってよく、コアの外側の境界の方向へと連続的に低下する。コアは、アップドーパント、例えばゲルマニア(GeO)を含みうる。コアの屈折率分布は、ガウス分布であるか、又はガウス分布に近似しているか、α分布であるか、ステップ屈折率分布であるか、あるいは丸みを帯びたステップ屈折率分布でありうる。
クラッドは、シリカガラス又はシリカ系ガラスを含みうる。シリカ系ガラスは、アルカリ金属(例えば、Na、K)、アルカリ土類金属(例えば、Mg、Ca)、ハロゲン(例えば、F、Cl)、又は他のドーパント(例えば、B、P、Al、Ti)で改質されたシリカガラスでありうる。
幾つかの実施形態によれば、クラッドは、内側クラッド領域と外側クラッド領域とを備えることができ、内側クラッド領域は、外側クラッド領域より低い屈折率を有しうる。内側クラッド領域は、一定又は連続的に変化する屈折率を有することができる。クラッドは、コーティングされたファイバの屈折率分布内に、屈折率が低下したトレンチを形成する領域を含むことができる。外側クラッド領域は、実質的に一定の屈折率を有することができる。
クラッドは、コアに隣接した第1の内側クラッド領域と、該第1の内側クラッド領域と外側クラッド領域との間に配置された第2のクラッド領域とを備えることができる。第2の内側クラッド領域の屈折率は、第1の内側クラッド領域の屈折率より低くなりうる。第2の内側クラッド領域の屈折率は、外側クラッド領域の屈折率より低くなりうる。第2の内側クラッド領域の屈折率は、第1の内側クラッド領域及び外側クラッド領域の屈折率より低くなりうる。第2の内側クラッド領域の屈折率は、コーティングされたファイバの屈折率分布にトレンチを形成しうる。トレンチは、外側クラッド領域と比較して屈折率が低下した領域である。
コア及びクラッドの屈折率分布は、シリカ又はシリカ系ガラス中のアップドーパント及び/又はダウンドーパントの空間分布を制御することによって達成することができる。コアは、実質的にGeOでアップドープすることができ、次式:デルタGe%=0.0601*GeOの質量%によって与えられる、純粋なシリカに対する屈折率デルタ(Geによる)をもたらす。第2の内側クラッド領域は、実質的にフッ素(F)でダウンドープすることができ、次式:デルタ%=-0.3053*Fの質量%によって与えられる、純粋なシリカに対する屈折率デルタ(Fによる)をもたらす。
一次コーティングは、オリゴマー及びモノマーを含む硬化性組成物から形成することができる。オリゴマーは、ウレタンアクリレート又はアクリレート置換を有するウレタンアクリレートでありうる。アクリレート置換を有するウレタンアクリレートは、ウレタンメタクリレートでありうる。オリゴマーはウレタン基を含みうる。オリゴマーは、1つ以上のウレタン基を含むウレタンアクリレートでありうる。オリゴマーは、1つ以上のウレタン基を含むアクリレート置換を有するウレタンアクリレートでありうる。ウレタン基は、イソシアネート基とアルコール基との反応生成物として形成することができる。
一次コーティングは、0.35MPa以下、又は0.3MPa以下、又は0.25MPa以下、又は0.20MPa以下、又は0.19MPa以下、又は0.18MPa以下、又は0.17MPa以下、又は0.16MPa以下、又は0.15MPa以下のその場弾性率E(本明細書では弾性率とも呼ばれる)を有しうる。一次コーティングのガラス転移温度は、-15℃以下、又は-25℃以下、又は-30℃以下、又は-40℃以下でありうる。一次コーティングのガラス転移温度は、-60℃超、又は-50℃超、又は-40℃超でありうる。一次コーティングのガラス転移温度は、-60℃~-15℃、又は-60℃~-30℃、又は-60℃~-40℃、又は-50℃~-15℃、又は-50℃~-30℃、又は-50℃~-40℃でありうる。
二次コーティングは、1つ以上のモノマーを含む硬化性二次組成物から形成することができる。1つ以上のモノマーは、ビスフェノール-Aジアクリレート、又は置換ビスフェノール-Aジアクリレート、又はアルコキシル化ビスフェノール-Aジアクリレートを含みうる。アルコキシル化ビスフェノール-Aジアクリレートは、エトキシル化ビスフェノール-Aジアクリレートでありうる。硬化性二次組成物は、オリゴマーをさらに含むことができる。オリゴマーは、ウレタンアクリレート又はアクリレート置換を有するウレタンアクリレートでありうる。二次組成物は、ウレタン基、ウレタンアクリレート化合物、ウレタンオリゴマー、又はウレタンアクリレートオリゴマーを含まない場合がある。
二次コーティングは、一次コーティングよりも高い弾性率及び高いガラス転移温度を有する材料でありうる。二次コーティングのその場弾性率Eは、1200MPa以上、好ましくは1300MPa以上、又は1500MPa以上、又は1800MPa以上、又は2100MPa以上、又は2400MPa以上、又は2700MPa以上でありうる。二次コーティングは、約1500MPa~10,000MPa、又は1500MPa~5000MPaのその場弾性率Eを有しうる。二次コーティングのその場ガラス転移温度は、少なくとも50℃、又は少なくとも55℃、又は少なくとも60℃又は55℃~65℃でありうる。
コーティングされたファイバの半径は、二次コーティングの半径と一致しうる。コーティングされたファイバの半径は、85μm以下、又は80μm以下、又は75μm以下でありうる。幾つかの実施形態では、コーティングされたファイバの半径は75~85μmでありうる。幾つかの実施形態では、コーティングされたファイバの半径は55~75μmでありうる。他の実施形態では、コーティングされたファイバの半径は60~70μmでありうる。
コーティングされたファイバの半径は、UV硬化性インクを含みうる三次コーティングの半径と一致しうる。コーティングされたファイバの半径は、85μm以下、又は80μm以下、又は75μm以下でありうる。幾つかの実施形態では、コーティングされたファイバの半径は75~85μmでありうる。他の実施形態では、コーティングされたファイバの半径は60~75μmでありうる。他の実施形態では、コーティングされたファイバの半径は60~65μmでありうる。
コーティングされたファイバ内では、ガラス半径(クラッドの外径と一致する)は、45μm未満、又は42μm未満、又は40μm未満、又は38μm以下でありうる。幾つかの実施形態では、ファイバのガラス半径(又は外側クラッドの外径)は、少なくとも24μmであってよく、幾つかの実施形態では、少なくとも30μmでありうる。幾つかの実施形態では、ファイバのガラス半径(又は外側クラッドの外径)は、24μm~35μm、又は27μm~35μm、又は30μm~35μm、又は24~26μmでありうる。ガラスは一次コーティングによって取り囲まれうる。幾つかの実施形態によれば、一次コーティングは、8μm超、例えば、8μm<t≦20μm、8μm<t≦16μm、又は8μm<t≦12μmの厚さtを有する。幾つかの実施形態によれば、一次コーティングは、12μm超、又は15μm超、又は20μm超、例えば、15μm≦t≦35μm、15μm≦t≦30μm、又は20μm≦t≦30μm、20μm≦t≦35μm、又は25μm≦t≦35μmの厚さtを有する。コーティングされたファイバの直径のバランスは、二次コーティングによって、又は二次コーティングと(任意選択的な)三次コーティングとの組合せによってもたらされうる。幾つかの例示的な実施形態によれば、二次コーティングは、10μm超、又は12μm超、又は15μm超、例えば、10μm~15μm、10μm~20μm、12μm~20μm、又は15μm~25μmの厚さtを有する。幾つかの実施形態では、任意選択的な三次コーティングが二次コーティングの上に配置され、このような実施形態では、コーティングされたファイバの外径は三次コーティングの外径である。幾つかの実施形態では、三次コーティングは、5μm以下(例えば、2~5μm、又は3~4μm)の厚さtを有する。少なくとも幾つかの実施形態によれば、t/(t+t)の比は、好ましくは0.5<t/(t+t)<1.5である。
本開示によるコーティングされたファイバは、標準のシングルモードファイバへのスプライシング及び接続に関連する損失を最小限に抑えるモードフィールド径を提供しつつ、低い減衰及び低い曲げ損失を示す、小径のファイバでありうる。1310nmにおけるモードフィールド径(MFD)は、8.2μm超、8.4μm超、又は8.6μm超でありうる。例えば、幾つかの実施形態では、1310nmにおいて、8.2μm≦MFD≦9.5μm、又は8.2μm≦MFD≦9.2μm、又は8.2μm≦MFD≦9.0μmである。
コーティングされたファイバは、直径10mmのマンドレルに巻き付けたときに1.0dB/ターン未満、又は直径10mmのマンドレルに巻き付けたときに0.5dB/ターン未満の1550nmにおけるマクロベンド損失を示しうる。幾つかの実施形態では、コーティングされたファイバは、直径15mmのマンドレルに巻き付けたときに0.25dB/ターン未満の1550nmにおけるマクロベンド損失を示しうる。幾つかの実施形態では、コーティングされたファイバは、直径20mmのマンドレルに巻き付けたときに0.15dB/ターン未満の1550nmにおけるマクロベンド損失を示しうる。
本開示のファイバの光学的及び機械的特性は、G.657規格に準拠しうる。コーティングされたファイバは、1260nm以下のケーブルカットオフ波長を有しうる。ファイバは、1300nm≦λ≦1324nmの範囲のゼロ分散波長λを有しうる。
追加の特徴及び利点は、以下の詳細な説明に記載され、一部には、その説明から当業者に容易に明らかとなるか、あるいは、明細書、及びその特許請求の範囲、並びに添付の図面に記載される実施形態を実施することによって認識されよう。
前述の概要及び後述する詳細な説明はいずれも、単なる例示であり、特許請求の範囲の性質及び特徴を理解するための概観又は枠組みを提供することが意図されていることが理解されるべきである。
添付の図面は、さらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれて、その一部を構成する。図面は、1つ以上の実施形態を例証しており、その説明とともに、さまざまな実施形態の原理及び動作を説明する役割を担う。
コア、内側クラッド領域、外側クラッド領域、一次コーティング、及び二次コーティングを有するファイバの断面の概略図 コア、2つの内側クラッド領域、外側クラッド領域、一次コーティング、及び二次コーティングを有するファイバの断面の概略図 図2のファイバに対応する例示的な実施形態による例示的なコア-クラッド屈折率分布の概略図 図2に対応する断面を有する光ファイバの1つの例示的な実施形態による例示的なモデル化された屈折率のコア-クラッド屈折率分布 光ファイバの例示的な実施形態の測定されたコア-クラッド屈折率分布のプロット 光ファイバの別の例示的な実施形態の測定されたコア-クラッド屈折率分布のプロット 図5に対応する光ファイバ及び比較ファイバの波長に対する測定された減衰を示す図 図6に対応する光ファイバ及び同じ比較ファイバの波長に対する測定された減衰を示す図 図6に対応する光ファイバを直径10mmのマンドレルに巻いたときに測定されたマクロベンド誘導性損失のプロット
本開示は、クラッド及びコーティングの小径、大きいモードフィールド径、低いファイバカットオフ波長、低い減衰、及び低いマクロベンド損失を組み合わせることができる、コーティングされた光ファイバに関する。本明細書で用いられる選択された用語の簡単な説明を次に提示する:
「屈折率分布」とは、屈折率又は相対屈折率とファイバ半径との関係である。
「相対屈折率デルタ」は、次のように定義される:
Figure 0007384827000001
式中、n(r)は、特に指定しない限り、ファイバの中心線からの半径距離rにおけるファイバ屈折率であり、n=1.444は、1550nmの波長における純粋なシリカの屈折率である。本明細書で用いられる場合、相対屈折率パーセント(本明細書では相対屈折率とも呼ばれる)は、Δ(又は「デルタ」)、Δ%(又は「デルタ%」)、又は%で表され、これらはすべて本明細書で交換可能に使用される。その値は、特に指定しない限り、パーセント又は%の単位で与えられる。相対屈折率はΔ(r)又はΔ(r)%として表すこともできる。
導波路ファイバの「波長分散」(「分散」とも呼ばれる)は、波長λにおける材料分散、導波路分散、及び多モード分散の合計である。シングルモード導波路ファイバの場合、多モード分散はゼロである。2モードレジームの分散値は、多モード分散がゼロであると仮定している。ゼロ分散波長(λ)とは、分散がゼロ値を有する波長である。分散勾配は、波長に対する分散の変化率である。
「α-分布」という用語は、以下の関数形式を有する相対屈折率分布Δ(r)のことを指す:
Figure 0007384827000002
式中、rはΔ(r)が最大になる点であり、rはΔ(r)がゼロになる点であり、rはr≦r≦rの範囲であり、ここで、rはα-分布の初期点であり、rはα-分布の最終点であり、αは実数である。幾つかの実施形態では、r=0かつr=rである。
モードフィールド径(MFD)は、Petermann IIの方法を用いて測定され、次式から決定される:
Figure 0007384827000003
式中、f(r)はLP01モードの横電場分布であり、rはファイバにおける半径方向位置である。
導波路ファイバのマイクロベンド抵抗は、規定の試験条件下で誘導減衰によって測定することができる。マイクロベンド損失の評価には、横荷重マイクロベンド試験、ワイヤメッシュ被覆ドラムマイクロベンド試験、及びマンドレル巻き試験を含めたさまざまな試験が用いられる。
横荷重試験では、規定の長さの導波路ファイバを2つの平坦なプレートの間に配置する。プレートの1つに#70のワイヤメッシュが取り付けられる。既知の長さの導波路ファイバがプレートの間に挟まれ、プレートが30ニュートンの力で押し付けられている間に、選択された波長(典型的には、1200~1700nmの範囲、例えば、1310nm又は1550nm又は1625nm)での基準減衰が測定される。次に、70ニュートンの力がプレートに印加され、選択された波長での減衰の増加がdB/m単位で測定される。測定された減衰の増加は、導波路の横荷重ワイヤメッシュ(LLWM)減衰である。
ワイヤメッシュ被覆ドラム試験では、直径400mmのアルミニウムのドラムをワイヤメッシュで巻く。メッシュは伸びることなく、しっかりと巻かれる。ワイヤメッシュは、穴、凹み、又は損傷がなく、無傷である必要がある。本明細書での測定に用いられるワイヤメッシュ材料は、耐食性の304型ステンレス鋼織布から作られ、次の特性を有していた:線形インチあたりのメッシュ:165×165、線径:0.0019インチ(約48.26μm)、幅開口部:0.0041インチ(約104.14μm)、及び開口%:44.0。規定の長さ(750m)の導波路ファイバを、80(±1)グラムの張力を印加しつつ、0.050cmの巻き取りピッチでワイヤメッシュドラムに1m/秒で巻き付けた。規定の長さのファイバの端部は張力を維持するためにテープで固定されており、ファイバは交差しない。光ファイバの減衰は、選択された波長(通常は、1200~1700nmの範囲内、例えば、1310nm又は1550nm又は1625nm)で測定される。滑らかなドラム(すなわち、ワイヤメッシュのないドラム)に巻かれた光ファイバの基準減衰が測定される。滑らかなドラムで行われた測定と比較して、ワイヤメッシュを有するドラムで行われた測定におけるファイバ減衰(dB/km単位)の増加は、選択された波長でのファイバのワイヤメッシュ被覆ドラムの減衰として報告される。
ファイバのマクロベンド性能は、マンドレル巻き試験における誘導減衰の増加を測定することによって評価することができる。マンドレル巻き試験では、ファイバを特定の直径を有する円筒形マンドレルに1回以上巻き付け、曲げに起因する特定の波長における減衰の増加を決定する。マンドレル巻き試験における減衰は、dB/ターンの単位で表され、ここで、1ターンは、マンドレルの周りのファイバの1回転を指す。
ファイバ及びケーブルファイバカットオフ波長は、FOTP-80 IEC-60793-1-44 Optical Fibres ‐ Part 1-44: Measurement Methods and Test Procedures ‐ Cut-Off Wavelengthに規定された手順に従って測定することができる。すべての方法は基準測定を必要とし、これは、曲げに影響されないシングルモードファイバの場合には、曲げ基準技法ではなくマルチモード基準技法でなければならない。
本開示は、優れたマイクロベンド及びマクロベンド性能と、最小の損失でG.657シングルモードファイバ(例えば、Corning(登録商標)SMF-28e+(登録商標)及びCorning(登録商標)SMF-28(登録商標)Ultra)へのスプライシング及び接続を可能にしうるモードフィールド径とを有する、直径が縮小されているコーティングされたファイバを提供する。本開示のコーティングされたファイバは、縮小されたクラッド径を有する光ファイバを製造するための先行技術における努力を伴って、モードフィールド径(MFD)、減衰、及び/又は曲げ損失のトレードオフを克服することができる。本発明にかかるコーティングされたファイバを用いると、モードフィールド径又は曲げ性能を犠牲にすることなく、小さいクラッド及びコーティング直径を達成することができる。したがって、本開示は、内部設置のために高密度構成でアセンブリすることができ、それでも外部シングルモードファイバと統合されたときに良好な整合及び低損失を提供することができる、コンパクトなコーティングされたファイバを提供することができる。記載されるさまざまな分布設計は、コーティング層の厚さが薄い場合でも、良好なファイバのマイクロベンド及びマクロベンド性能をもたらす。低いマイクロベンド及びマクロベンド損失、並びに良好な穿刺抵抗性を生じうる、厚さが縮小された一次及び二次コーティング層の機械的特性、組成物、及び幾何学形状が開示される。特に指定しない限り、すべての波長依存性の結果は1550nmの波長に基づいている。
コーティングされたファイバの実施形態は、2つの領域と、これらの2つの領域で異なる屈折率分布とを有するクラッドを含みうる。クラッドの屈折率分布の設計は、コーティングされたファイバの曲げに対する感度を低下させた屈折率トレンチを含むことができ、これは、市販のファイバと比較して厚さが低減された一次コーティング及び/又は二次コーティングの使用を可能にしうる。本明細書に記載される光ファイバの実施形態のより薄いコーティング厚さは、高密度に充填することができ、及び/又は既存のファイバインフラストラクチャに容易に設置することができる、コンパクトなコーティングされたファイバを有利に提供する。一次コーティングの機械的特性は、一次コーティングの厚さが低減された場合でも、コーティングされたファイバの良好なマイクロベンド性能が達成されるように選択される。二次コーティングの機械的特性は、二次コーティングの厚さが低減された場合でも、コーティングされたファイバの良好な穿刺抵抗性が達成されるように選択される。
本開示のコーティングされたファイバは、コア、クラッド、一次コーティング、及び二次コーティングを備えることができ、ここで、クラッドは、異なる屈折率分布を有する2以上の領域を含みうる。本開示によるコーティングされたファイバの第1の実施形態の概略的な断面図が図1に示されている。ファイバ10は、コア20、クラッド30、一次コーティング40、及び二次コーティング50を備えている。クラッド30は、内側クラッド領域33と外側クラッド領域37とを備えている。コーティングされたファイバの第2の実施形態の概略的な断面が図2に示されている。図2に示されるファイバ60は、コア70、クラッド80、一次コーティング90、及び二次コーティング100を備えている。クラッド80は、第1の内側クラッド領域81、第2の内側クラッド領域83、及び外側クラッド領域85を備えている。
コア及びクラッドは、シリカ又はシリカ系ガラスであってよく、アップドーパント又はダウンドーパントを任意選択的に含むことができる。シリカ系ガラスは、アルカリ又はアルカリ土類元素、1つ以上のハロゲン、若しくは他のドーパントによって改質されたシリカガラスでありうる。コアの半径は、3.6~5.4μm、例えば、4~5μm、又は4.2~4.8μmの範囲でありうる。コアを横切る屈折率は一定でも可変でもよい。コア屈折率は、コアの中心又はその近くで最大であってよく、コアの外側の境界の方向へと連続的に低下する。コア屈折率分布は、ガウス分布、α-分布、ステップ分布、又は6~12の範囲のアルファ値を有する丸みを帯びたステップ屈折率分布でありうるか、又は近似しうる。コアの最大又はピーク屈折率デルタΔ1MAXは、0.32%~0.42%、又は0.34%~0.40%、又は0.35%~0.39%の範囲でありうる。
コア領域は、以下に等しい、%-μmの単位のコア分布体積Vによって特徴付けることができる:
Figure 0007384827000004
コア体積の大きさ|V|は、少なくとも5.8%-μm、又は少なくとも6.0%-μm、又は少なくとも6.2%-μmでありうる。コア体積の大きさ|V|はまた、6.8%-μm未満、又は6.6%-μm未満、又は5.8%-μm~6.8%-μm、又は6.0%-μm~6.6%-μmであってもよい。
ガラスクラッドは、屈折率分布が異なる2以上の領域を含むことができ、45μm以下、又は42μm以下、又は40μm以下、又は35μm以下、又は32.5μm以下、又は30μm以下の外径まで延びることができる。幾つかの実施形態によれば、ガラスクラッドの外径は、25μm~45μm、又は30μm~42μm、又は35μm~42μm、又は38μm~42μm、又は25μm~35μmである。幾つかの実施形態によれば、ガラスクラッド30、80の少なくとも1つの領域は、(例えば、F又はBによって)シリカに対してダウンドープされる。
クラッド30、80は、外側クラッド領域に取り囲まれた少なくとも1つの内側クラッド領域を備えていてよく、ここで、内側クラッド領域は、外側クラッド領域より低い屈折率を有しうる。内側クラッド領域の屈折率は、一定であっても連続的に可変であってもよい。内側クラッド領域の屈折率は、コーティングされたファイバの屈折率分布にトレンチを形成しうる。トレンチとは、屈折率が低下した領域であり、略長方形又は三角形でありうる。外側クラッド領域は、一定又は連続的に変化する屈折率を有しうる。内部コア領域の最小屈折率は、外側クラッド領域の最大屈折率より低くなりうる。
クラッドは、コアに隣接した第1の内側クラッド領域と、該第1の内側クラッド領域と外側クラッド領域との間に配置された第2の内側クラッド領域とを含みうる。第2の内側クラッド領域の屈折率は、第1の内側クラッド領域の屈折率より低くなりうる。(例えば、図3及び4を参照)。第2の内側クラッド領域の最小屈折率は、第1の内側クラッド領域の最大屈折率より低くなりうる。第2の内側クラッド領域の屈折率は、外側クラッド領域の屈折率より低くなりうる。第2の内側クラッド領域の最小屈折率は、外側クラッド領域の最大屈折率より低くなりうる。第2の内側クラッド領域の屈折率は、第1の内側クラッド領域及び外側クラッド領域の屈折率より低くなりうる。第2の内側クラッド領域の最小屈折率は、第1の内側クラッド領域及び外側クラッド領域の最大屈折率より低くなりうる。
第2の内側クラッド領域の屈折率は、一定又は可変でありうる(例えば、絶えず変化する)。第2の内側クラッド領域の屈折率は、コーティングされたファイバの屈折率分布にトレンチを形成しうる。トレンチとは、屈折率が低下した領域であり、長方形又は三角形でありうる。トレンチの相対屈折率デルタΔは、-0.2%未満、-0.25%未満、-0.3%未満又は-0.35%未満でありうる。トレンチの相対屈折率デルタΔは、-0.6%超、-0.55%超、-0.5%超、-0.45%超、又は-0.2%~-0.6%、又は-0.25%~-0.55%、又は-0.3%~-0.5%でありうる。トレンチの内側半径rは、9.0μm超、又は9.4μm超、又は9.8μm超でありうる。トレンチの内側半径rは、11.2μm未満、又は10.8μm未満、又は10.4μm未満、又は9.0~11.2μm、又は9.4~10.8μmでありうる。トレンチの外側半径rは、14.0μm超、又は14.5μm超、又は15.0μm超でありうる。トレンチの外側半径rは、18.0μm未満、又は17.5μm未満、又は17.0μm未満、又は14.0~18.0μm、又は15.0~17.0μmでありうる。
屈折率が低下した領域は、以下に等しい、%-μm単位のコア分布体積Vによって特徴付けることができる:
Figure 0007384827000005
トレンチ体積の大きさ|V|は、少なくとも40%-μm、又は少なくとも45%-μm、又は少なくとも50%-μmでありうる。トレンチ体積の大きさ|V|はまた、75%-μm未満、又は70%-μm未満、又は40%-μm~70%-μmであってもよい。
光ファイバ10、60の一次コーティング40、90は、光ファイバのガラス部分(すなわち、クラッド30、80)を二次コーティング50、100に結合するばね(図1及び2にばねSとして図式的に示されている)として作用するように構成されている。
小さい外側クラッド径及び小さいコーティングファイバ径を有する市販の光ファイバは、モードフィールド径を縮小するか、又はカットオフ波長を増加させないかぎり、マイクロベンド損失を生じる。一次及び二次コーティングの合計の厚さが標準の通信ファイバの58.5~62.5μmの値よりも小さい値を有する場合、このようなファイバのマイクロベンド損失を改善することは困難であった。一次コーティングの弾性率を下げると、ファイバのマイクロベンド感度を下げるのに役立つが、一次コーティングの厚さは、2つのコーティング層の合計の厚さに対する制約を考慮すれば、二次コーティングの厚さの減少が付随する場合にのみ、増加させることができる。二次コーティングの厚さの減少は、コーティングされたファイバの穿刺抵抗性を低下させることから、望ましくない。しかしながら、出願人は、小さいコーティング外径(≦170μm)及び小さい外側クラッド径(≦90μm)を有する光ファイバは、一次コーティング及び二次コーティングの厚さがそれぞれ少なくとも約10μmである場合に、驚くほど良好なマイクロベンド及び良好な穿刺抵抗性を有しうることを発見した。幾つかの実施形態では、相対的なコーティング厚さt/tは、0.5≦t/t≦1.5の範囲である。
より具体的には、光ファイバの実施形態は、0.35MPa以下のその場弾性率E及び少なくとも8μmの最小厚さt、又は幾つかの実施形態では、少なくとも9μmの最小厚さt(例えば、10μm、12.5μm、15μm、17.5μm、又は20μmの厚さ)を有する一次コーティング40、90を有しており、これらの実施形態では、一次コーティング30、90は、硬いガラス部分(例えば、クラッド30、80)を、1200MPa超、又は1400MPa超、又は1500MPa超、又はさらには1800MPa超のその場弾性率Eを有する比較的硬い二次コーティング50、100に結合する「ばね」として作用する。一次コーティング40、90のばね定数は、χ=EP*/tとして定義され、ここで、dは、ファイバのガラス部分の直径(すなわち、それは、ガラスクラッドの外径又は2r)であり、t及びEは、それぞれ、一次コーティング40、90の厚さ及び弾性率である。記載されるファイバの実施形態では、一次コーティングのばね定数は、値χ≦1.6MPa(好ましくはχ≦1.2MPa、より好ましくはχ≦1.0MPa、及びさらに好ましくはχ≦0.8MPa)を有し、これは、ばね定数が小さいとファイバのガラス部分と二次コーティングとの間の結合度が低くなることから、マイクロベンド抵抗の改善(マイクロベンド損失の低減)にとって望ましい。
したがって、本明細書で論じられる実施形態によれば、光ファイバがコーティングの外径≦170μm及びガラスクラッドの外径≦90μmを有する場合、二次コーティング50、100は、1200MPa超(好ましくは>1500MPa)のその場弾性率及び10μm以上の厚さtを有し、一次コーティング40、90は、その場弾性率EP≦0.35MPa、ばね定数χ≦1.6MPa、及び少なくとも8μmの厚さ、又は幾つかの実施形態では、少なくとも10μmの厚さ(例えば、10μm≦tp≦15μm)を有する。χ<1.5MPa、又はχ≦1.4MPa、又はχ≦1.3MPa、又はχ≦1.2MPaであることがさらに好ましい。本明細書に開示される少なくとも幾つかの実施形態では、一次コーティングは、ばね定数χ≦1.1MPa、χ≦1.0MPa、χ≦0.9MPa、χ≦0.8MPa、χ≦0.7MPa、又はχ≦0.6MPaを有する。例えば、幾つかの実施形態では、0.5MPa≦χ≦1.5MPa;0.5MPa≦χ≦1.2MPa;0.6MPa≦χ≦1.0MPaである。あるいは、光ファイバが、二次コーティング(例えば、インク又はインクを含むコーティング)の上に配置された、厚さtを有する追加のコーティング(三次コーティング)を備えている場合には、二次及び三次コーティングの厚さ(t+t)の合計は、好ましくは≧10μm、より好ましくは≦12μm、例えば12μm≦(t+t)≦30μmである。本明細書に開示されるファイバの実施形態の二次コーティング層と任意選択的な三次コーティング層との合計断面積は、好ましくは20000平方μm以上、より好ましくは25000平方μm以上、さらに好ましくは30000平方μm以上であり、これは、ファイバが十分な穿刺抵抗性を有することを有利に保証する。
幾つかの実施形態では、三次コーティングの厚さtは0~6μmであり、例えば、t=3μm、4μm、又は5μmである。
下記表1Aは、約80μmの外側クラッド径(すなわち、r=40μm)、170μm未満のコーティングの外径、低い減衰、及び優れた曲げ性能を有する光ファイバの幾つかの例示的な実施形態を提供する。これらのファイバは、次を有している:一次コーティングのその場弾性率EP≦0.35MPa、8μm≦t≦30μm(例えば、10μm≦t≦30μm)になるような一次コーティングの厚さt;一次コーティングのばね定数χ≦1.6MPa(例えば、χ≦1.2<MPa≦1.0MPa、さらには≦0.8MPa)、約155~165μmの範囲の二次コーティング径、二次コーティングのその場弾性率≧1200MPa、及び10μm≦t≦30μmになるような二次コーティングの厚さt。これらの実施形態での三次コーティングの厚さtは0~6μmの範囲である(すなわち、幾つかの実施形態では、三次コーティングは存在せず、したがって三次コーティングの厚さt=0である)。他のファイバの実施形態は、2~6μmの厚さtを有する三次コーティングを含む。これらの例示的な実施形態では、t+tの合計は、10~30μm、すなわち、12μm≦(t+t)≦30μmである。幾つかの実施形態では、光ファイバの穿刺抵抗負荷は20グラムより大きい。幾つかの実施形態では、ファイバの穿刺抵抗負荷は25グラムより大きい。幾つかの実施形態では、ファイバの穿刺抵抗負荷は30グラムより大きい。表1Aに開示されたファイバの実施形態における二次コーティング層と任意選択的な三次コーティング層との合計断面積はまた、20000平方μmを超え、これは、穿刺抵抗性をさらに改善させる。
Figure 0007384827000006
このようなファイバのコア-クラッドの例示的な屈折率分布が図3に概略的に示されている。図3に対応する幾つかの例示的な実施形態の屈折率分布パラメータ及びモデル化された属性が表1B及び1Cに示されている。これらの例示的なファイバの実施形態の光学特性は次の通りである:モードフィールド径1310nmにおけるMFDは8.2~9.4μmであり;モードフィールド径1550nmにおけるMFDは9.2~10.4μmであり、ゼロ分散波長は1302~1320nmであり;ファイバカットオフ波長は1180~1300nmであり;1550nmにおけるマクロベンド損失は、直径10mmのマンドレルに巻き付けたときに0.5dB/ターン未満である。表1B及び1Cのファイバの実施形態(ファイバ1~ファイバ10)は、例えば、表1Aに記載されているように約80~81μmの外側クラッド径2Rで、表1Aの一次及び二次コーティングを利用して、構築することができる。ファイバ1~ファイバ10の幾つかの例示的な実施形態では、Δ(%)=0であり、外側クラッドは純粋なシリカでできている。ファイバ1~ファイバ10の他の例示的な実施形態では、2Rは約80~81μmの値を有し、外側クラッドは、純粋なシリカに対してアップドープ又はダウンドープすることができるが、Δ>Δ3MINである。
Figure 0007384827000007
Figure 0007384827000008
下記表1Dは、60~65μmの外側クラッド径(すなわち、30<r<32.5μm)、85~110μmの一次コーティング径(2r)、135μm以下のコーティングの外径(2r)、低い減衰、及び優れた曲げ性能を有する光ファイバの幾つかの例示的な実施形態を提供する。表1Dのファイバは、次を有している:≦0.35MPaの一次コーティングのその場弾性率、9μm≦t≦25μm(例えば、10μm≦t≦25μm)になるような一次コーティングの厚さt;一次コーティングのばね定数χ≦1.6MPa(例えば、χ≦1.2MPa、χ≦1.0MPa、又はさらにはχ≦0.8MPa)、約110~135μmの範囲の二次コーティング径、二次コーティングのその場弾性率E≧1200MPa、及び10μm≦t≦20μmになるような二次コーティングの厚さt。これらの実施形態における三次コーティングの厚さは、0~6μmである(すなわち、幾つかの実施形態では、三次コーティングは存在せず、したがって、三次コーティングの厚さt=0である)。他のファイバの実施形態は、2~6μmの厚さtを有する三次コーティングを含む。表1Dのファイバの例示的な実施形態では、合計(t+t)は、10μm~30μm、すなわち、10μm≦(t+t)≦30μmである。これらの実施形態の幾つかでは、光ファイバの穿刺抵抗負荷は20グラムより大きい。幾つかの実施形態では、ファイバの穿刺抵抗負荷は25グラムより大きい。幾つかの実施形態では、ファイバの穿刺抵抗負荷は30グラムより大きい。表1Dに開示されたファイバの実施形態での二次コーティング層と任意選択的な三次コーティング層との合計断面積は17000平方μm超であり、これは、穿刺抵抗性をさらに改善させる。このようなファイバのコア-クラッドの例示的な屈折率分布が図3に概略的に示されている。図3に対応する幾つかの例示的な実施形態の例示的な屈折率分布のパラメータ及びモデル化された属性が表1B及び1Cに示されている。表1B及び1Cのファイバの実施形態(ファイバ1~ファイバ10)は、例えば、表1Dの一次及び二次コーティングと共に利用される場合、表Dに記載されるように、約62~63μmの外側クラッド径2Rで構築されうる。ファイバ1~ファイバ10の幾つかの例示的な実施形態では、Δ(%)=0であり、2Rは約60~65μmであり、外側クラッドは純粋なシリカでできている。ファイバ1~ファイバ10の他の例示的な実施形態では、2Rは約60~65μmの値を有し、外側クラッドは純粋なシリカに対してアップドープ又はダウンドープすることができるが、Δ>Δ3MINである。
Figure 0007384827000009
下記表1Eは、約45μm~55μm、例えば48μm~52μmの外側クラッド径(すなわち、22.5μm≦r4≦27.5μm、又は24μm≦r4≦26μm)、130μm以下のコーティングの外径(2r)、低い減衰、及び優れた曲げ性能を有する、光ファイバの5つの例示的な実施形態を提供している。表1Eのファイバは、次を有している:≦0.35MPaの一次コーティングのその場弾性率、8μm≦t≦25μm(例えば、9μm≦t≦25μm、又は10μm≦t≦25μm)になるような一次コーティングの厚さt;一次コーティングのばね定数χ≦1.6MPa(例えば、χ≦1.2MPa、χ≦1.0MPa、さらにはχ≦0.8MPa)、約100~125μmの二次コーティング径、二次コーティングのその場弾性率E≧1200MPa、及び10μm≦t≦20μmになるような二次コーティングの厚さt。これらの実施形態における三次コーティングの厚さtは、0~6μmである(すなわち、幾つかの実施形態では、三次コーティングは存在せず、したがって三次コーティングの厚さt=0である)。他のファイバの実施形態は、2~6μmの厚さtを有する三次コーティングを含む。例示的な実施形態では、表1Eのファイバは、(t+t)の合計が10μm~20μm、すなわち、10μm≦(t+t)≦20μmである。これらの実施形態の幾つかでは、光ファイバの穿刺抵抗負荷は20グラムより大きい。幾つかの実施形態では、ファイバの穿刺抵抗負荷は25グラムより大きい。幾つかの実施形態では、ファイバの穿刺抵抗負荷は30グラムより大きい。表1Eに開示されたファイバの実施形態での二次コーティング層と任意選択的な三次コーティング層との合計断面積は17000平方μm超であり、これは、穿刺抵抗性をさらに改善させる。
Figure 0007384827000010
下記表1Fは、約78μm~82μmの外側クラッド径、130μm以下のコーティングの外径(2r)、低い減衰、及び優れた曲げ性能を有する、光ファイバの5つの例示的な実施形態を提供している。表1Fのファイバは、次を有している:≦0.35MPaの一次コーティングのその場弾性率、8μm≦t≦25μmになるような一次コーティングの厚さt;一次コーティングのばね定数χ≦1.6MPa(例えば、χ≦1.2MPa、χ≦1.0Mpa、さらにはχ≦0.8MPa)、約110~130μm(例えば、120μm≦2r≦130μm)の二次コーティング径、二次コーティングのその場弾性率≧1200MPa、及び10μm≦t≦20μmになるような二次コーティングの厚さt。幾つかの実施形態では、二次コーティングは、他の色と区別することができる着色を提供するのに十分な顔料を含む。これらの実施形態における三次コーティングの厚さtは、0~6μmである(すなわち、幾つかの実施形態では、三次コーティングは存在せず、したがって三次コーティングの厚さt=0である)。他のファイバの実施形態は、2~6μmの厚さtを有する三次コーティングを含む。例示的な実施形態では、表1Fのファイバは、(t+t)の合計が10μm~20μm、すなわち、10μm≦(t+t)≦20μmである。これらの実施形態の幾つかでは、光ファイバの穿刺抵抗負荷は20グラムより大きい。幾つかの実施形態では、ファイバの穿刺抵抗負荷は25グラムより大きい。幾つかの実施形態では、ファイバの穿刺抵抗負荷は30グラムより大きい。表1Fに開示されたファイバの実施形態での二次コーティング層と任意選択的な三次コーティング層との合計断面積は17000平方μm超であり、これは、穿刺抵抗性をさらに改善させる。
Figure 0007384827000011
表1A、1D、1E、及び1Fのファイバの実施形態の一次コーティングは、0.35MPa未満、例えば、0.2MPa未満、さらに好ましくは0.15MPa未満のその場弾性率を有し、ガラス転移温度は-25℃~-35℃である。光ファイバは曲げに影響されない。すなわち、低弾性率の一次コーティングと組み合わせて用いられる場合、本明細書に開示されているファイバ分布は、優れたマクロベンド特性及びマイクロベンド特性をもたらす。これにより、二次コーティングが、1200MPa超、好ましくは1500MPa超、より好ましくは1700MPa超、さらに好ましくは1800MPa超のその場弾性率を有する場合に、これらの用途で許容される穿刺抵抗性の実現に十分な厚さの二次コーティングと組み合わせた、より薄い一次コーティング層の使用が容易になる。ファイバは、1550nmにおける、1.0dB/km未満、又は幾つかの実施形態では0.5dB/km未満のワイヤメッシュドラムでのマイクロベンド減衰を示し、コーティングされたファイバは、30グラム超の穿刺抵抗負荷を有利に示す。
表1B及び1Cのファイバの実施形態(ファイバ1~ファイバ10)は、例えば、約45~55μmの外側クラッド径2Rで、あるいは、表1Eの一次及び二次コーティングと共に利用される場合には、上述のように又は表1Eに示されるように、構築されうる。ファイバ1~ファイバ10のこれらの例示的な実施形態の幾つかでは、Δ(%)=0であり、外側クラッドは純粋なシリカでできている。ファイバ1~ファイバ10の他の例示的な実施形態では、外側クラッドは、純粋なシリカに対してアップドープ又はダウンドープすることができるが、Δ>Δ3MINである。
上述のように、コア及びクラッドの屈折率分布の2つの例示的な実施形態が図3及び図4に提示されている。
より具体的には、図3は、光ファイバの屈折率分布の一実施形態の概略図である。より具体的には、図3は、外径r及び相対屈折率Δを有するコア70と、半径方向位置rから半径方向位置rへと延び、かつ相対屈折率Δを有する第1の内側クラッド領域81、半径方向位置rから半径方向位置rへと延び、かつ相対屈折率Δを有する第2の内側クラッド領域83、並びに半径方向位置rから半径方向位置rへと延び、かつ相対屈折率Δを有する外側クラッド領域85を有するクラッド80とを有するファイバ60についての、純粋なシリカガラスに対するΔ%で表される、屈折率分布を示している。図3の分布では、第2の内側クラッド領域83は、長方形トレンチと呼ぶことができ、第1の内側クラッド領域81及び外側クラッド領域85の屈折率より小さい一定の屈折率を有しうる。図3に示されるトレンチは、例えば、フッ素をダウンドーパントとして組み込み、相対屈折率Δ3MINを提供することによって確立することができる。コア70は、分布における最高屈折率を有することができる。コア70は、中心線又はその近くの低屈折率領域(「中心線ディップ」として当技術分野で知られている)を含みうる。コアの屈折率分布は、ガウス分布であるか、又はガウス分布に近似しているか、α分布であるか、ステップ屈折率分布であるか、あるいは丸みを帯びたステップ屈折率分布でありうる。図3のコーティングされたファイバ60は、一次コーティング40及び二次コーティング50を備えている(図3には示されていない)。
図4は、外径r及び相対屈折率Δを有するコア70と、半径方向位置rから半径方向位置rへと延び、かつ相対屈折率Δを有する第1の内側クラッド領域81、半径方向位置rから半径方向位置rへと延び、かつ相対屈折率Δを有する第2の内側クラッド領域83、並びに半径方向位置rから半径方向位置rへと延び、かつ相対屈折率Δを有する外側クラッド領域85を有するクラッド80とを有するファイバ60についての、純粋なシリカガラスに対するΔ%で表される、モデル化された屈折率分布を示している。図4の分布では、第2の内側クラッド領域83は、長方形トレンチと呼ぶことができ、第1の内側クラッド領域81及び外側クラッド領域85の屈折率より小さい一定の屈折率を有しうる。図4に示されるトレンチは、例えば、フッ素をダウンドーパントとして組み込み、相対屈折率Δ3MINを提供することによって確立することができる。この実施形態では、コア70は、コア-クラッド分布における最も高い屈折率を有する。コア70は、中心線又はその近くの低屈折率領域(「中心線ディップ」として当技術分野で知られている)を含みうる。図4のコーティングされたファイバ60は、一次コーティング40及び二次コーティング50を備えている(図4には示されていない)。
コア及びクラッドの屈折率分布は、シリカ又はシリカ系ガラス中のドーパント又は改質剤の空間分布の制御を通じて達成することができる。アップドーパント(例えば、GeO、Al、P、TiO、Cl、Br)は屈折率が増加した領域を生成するために使用することができ、ダウンドーパント(例えば、F、B、非周期的ボイド)は、屈折率が低下した領域を生成するために使用することができる。屈折率が一定の領域は、ドーピングしないことによって、又は均一な濃度でドーピングすることによって形成することができる。屈折率が可変の領域は、ドーパントの不均一な空間分布によって形成することができる。コア70は、実質的にGeOでアップドープすることができ、その結果、デルタGe%=0.0601*質量%GeOによって与えられる、純粋なシリカに対する、屈折率デルタ(GeOによる)が生じる。第2の内側クラッド領域83は、実質的にフッ素でダウンドープすることができ、デルタ%=-0.3053*質量%Fによって与えられる、純粋なシリカに対する、屈折率デルタ(Fによる)が生じる。
コーティングされたファイバは、コア70と第1の内側クラッド領域81との間、又は第1の内側クラッド領域81と第2の内側クラッド領域83との間、又は第2の内側クラッド領域83と外側クラッド領域85との間、又は外側クラッド領域85と一次コーティング90との間、又は一次コーティング90と二次コーティング100との間に挿入された領域を含みうる。ファイバは、外径rと、最大値Δ1MAX及び最小値Δ1MINを有する相対屈折率Δとを有するコア20、70、並びにクラッド30、60を有しうる。クラッドは、外径rと、最大値Δ2MAX及び最小値Δ2MINを有する相対屈折率Δとを有する第1の内側クラッド領域、外径rと、最大値Δ3MAX及び最小値Δ3MINを有する相対屈折率Δとを有する第2の内側クラッド領域、並びに、外径rと、最大値Δ4MAX及び最小値Δ4MINを有する相対屈折率Δとを有する外側クラッド領域を含みうる。ファイバは、外径rを有する一次コーティングと、外径rを有する二次コーティングとを備えており、ここで、r>r>r>r>r>rである。
本発明にかかるコーティングされたファイバのコア及びクラッドは、当技術分野でよく知られている方法によって、シングルステップ操作又はマルチステップ操作で製造することができる。適切な方法としては、二重るつぼ法、ロッドインチューブ手順、及び一般に化学蒸着(「CVD」)又は気相酸化とも呼ばれるドープシリカ堆積プロセスが挙げられる。さまざまなCVDプロセスが知られており、本発明のコーティングされた光ファイバに用いられるコア及びクラッド層の製造に適している。それらには、外部CVDプロセス、軸方向蒸着プロセス、修正CVD(MCVD)、内部蒸着、及びプラズマ強化CVD(PECVD)が含まれる。
コーティングされたファイバのガラス部分は、ガラスを柔らかくするのに十分な温度、例えば、シリカガラスでは約2000℃の温度に局所的かつ対称的に加熱された、特別に調製された円筒形プリフォームから線引きすることができる。プリフォームを加熱炉に供給するなどによってプリフォームを加熱する際に、溶融材料からガラスファイバが線引きされる。ファイバ製造プロセスに関する詳細については、例えば、その開示がここに参照することによって本明細書に組み込まれる、米国特許第7,565,820号;同第5,410,567号;同第7,832,675号;及び同第6,027,062号の各明細書を参照されたい。
一次コーティングは、二次コーティングより低い弾性率を有しうる。一次コーティングは、硬化性オリゴマーを含む一次組成物から形成することができる。硬化性一次組成物は、モノマー、重合開始剤、及び1つ以上の添加剤も含みうる。本明細書で特に指定又は暗示されない限り、硬化性一次組成物中の特定の成分の質量パーセント(質量%)は、無添加ベースでの硬化性一次組成物中に存在する成分の量を指す。概して、(一又は複数の)モノマー、(一又は複数の)オリゴマー、及び(一又は複数の)開始剤の質量パーセントの合計は100%になる。存在する場合には、添加剤の量は、本明細書では、(一又は複数の)モノマー、(一又は複数の)オリゴマー、及び(一又は複数の)開始剤の合計量に対する百分率(pph)の単位で報告される。例えば、1pphレベルで存在する添加剤は、(一又は複数の)モノマー、(一又は複数の)オリゴマー、及び(一又は複数の)開始剤の合計100gごとに1gの量で存在する。
硬化性一次組成物のオリゴマーは、ウレタンアクリレートオリゴマー、又は1つ以上のウレタン基を含むウレタンアクリレートオリゴマー、又は1つ以上の脂肪族ウレタン基を含むウレタンアクリレートオリゴマー、又は単一のウレタン基を含むウレタンアクリレートオリゴマー、又は単一の脂肪族ウレタン基を含むウレタンアクリレートオリゴマーでありうる。ウレタン基は、イソシアネート基とアルコール基との反応から形成することができる。
オリゴマーはアクリレート末端オリゴマーでありうる。一次硬化性組成物における使用にとって好ましいアクリレート末端オリゴマーとしては、Dymax Oligomers&Coatings社のBR3731、BR3741、BR582、及びKWS4131;ポリエーテルウレタンアクリレートオリゴマー(例えば、Sartomer Companyから入手可能なCN986);ポリエステルウレタンアクリレートオリゴマー(例えば、Sartomer Companyから入手可能なCN966及びCN973、及びDymax Oligomers&Coatings社から入手可能なBR7432);ポリエーテルアクリレートオリゴマー(例えば、Rahn AGから入手可能なGENOMER3456);及びポリエステルアクリレートオリゴマー(例えば、Cytec Industries Inc.から入手可能なEBECRYL80、584及び657)が挙げられる。他のオリゴマーは、その開示の全体がここに参照することによって本明細書に組み込まれる、米国特許第4,609,718号;同第4,629,287号;及び同第4,798,852号の各明細書に記載されている。
一次硬化性組成物のオリゴマーは、約4000g/モル以上の数平均分子量(M)を有するソフトブロックを含みうる。このようなオリゴマーの例は、その開示の全体が、参照することによって本明細書に組み込まれる、米国特許出願第09/916,536号明細書に記載されている。オリゴマーは、柔軟な骨格、低い多分散性を有していてよく、及び/又は低い架橋密度の硬化したコーティングを提供することができる。
オリゴマーは、コーティング特性を制御するために、単独で、又は組み合わせて使用することができる。一次硬化性組成物のオリゴマー含有量の合計は、約5質量%~約95質量%、又は約25質量%~約65質量%、又は約35質量%~約55質量%でありうる。
一次硬化性組成物のモノマー成分は、オリゴマーと相容性になるように、低粘度配合物を提供するように、及び/又は一次コーティングの屈折率を増加させるように選択されうる。モノマーはまた、ゲル化時間が短縮され、かつ低い弾性率を有する硬化性組成物を提供するように選択されうる。一次硬化性組成物は、単一のモノマー又はモノマーの組合せを含みうる。モノマーは、エチレン性不飽和化合物、エトキシル化アクリレート、エトキシル化アルキルフェノールモノアクリレート、プロピレンオキシドアクリレート、n-プロピレンオキシドアクリレート、イソプロピレンオキシドアクリレート、単官能性アクリレート、単官能性脂肪族エポキシアクリレート、多官能性アクリレート、多官能性脂肪族エポキシアクリレート、及びそれらの組合せを含みうる。モノマー成分は、一般式R-R-O-(CHCHCH-O)-COCH=CH(式中、R及びRは、脂肪族、芳香族、又は両方の混合物であり、かつn=1~10)、又はR-O-(CHCHCH-O)-COCH=CH(式中、Rは、脂肪族又は芳香族であり、かつn=1~10)を有する化合物を含むことができる。代表的な例としては、アクリル酸ラウリル(例えば、Sartomer Company,Inc.から入手可能なSR335、BASFから入手可能なAGEFLEX FA12、及びIGM Resinsから入手可能なPHOTOMER4812)、エトキシル化ノニルフェノールアクリレート(例えば、Sartomer Company,Inc.から入手可能なSR504及びIGM Resinsから入手可能なPHOTOMER4066)、カプロラクトンアクリレート(例えば、Sartomer Company,Inc.から入手可能なSR495、及びDow Chemicalから入手可能なTONE M-100)、フェノキシエチルアクリレート(例えば、Sartomer Company,Inc.から入手可能なSR339、BASFから入手可能なAGEFLEX PEA、及びIGM Resinsから入手可能なPHOTOMER4035)、アクリル酸イソオクチル(例えば、Sartomer Company,Inc.から入手可能なSR440及びBASFから入手可能なAGEFLEX FA8)、アクリル酸トリデシル(例えば、Sartomer Company,Inc.から入手可能なSR489)、アクリル酸イソボルニル(例えば、Sartomer Company,Inc.から入手可能なSR506及びCPS Chemical Co.から入手可能なAGEFLEX IBOA)、アクリル酸テトラヒドロフルフリル(例えば、Sartomer Company,Inc.から入手可能なSR285)、アクリル酸ステアリル(例えば、Sartomer Company,Inc.から入手可能なSR257)、アクリル酸イソデシル(例えば、Sartomer Company,Inc.から入手可能なSR395、及びBASFから入手可能なAGEFLEX FA10)、2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート(例えば、Sartomer Company,Inc.から入手可能なSR256)、エポキシアクリレート(例えば、Sartomer Companyから入手可能なCN120、並びに、Cytec Industries Inc.から入手可能なEBECRYL3201及び3604)、ラウリルオキシグリシジルアクリレート(例えば、Sartomer Companyから入手可能なCN130)、及びフェノキシグリジジルアクリレート(例えば、Sartomer Companyから入手可能なCN131)、並びにそれらの組合せなどのエチレン性不飽和モノマーが挙げられる。
一次硬化性組成物のモノマー成分は、多官能(メタ)アクリレートも含みうる。本明細書で用いられる場合、「(メタ)アクリレート」という用語は、アクリレート又はメタクリレートを意味する。多官能(メタ)アクリレートとは、1分子あたり2以上の重合性(メタ)アクリレート部分を有する(メタ)アクリレートである。多官能(メタ)アクリレートは、1分子あたり3つ以上の重合性(メタ)アクリレート部分を有しうる。多官能(メタ)アクリレートの例としては、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート(例えば、IGM Resins社から入手可能なPHOTOMER4399);アルコキシル化の有無によるメチロールプロパンポリアクリレート、例えばトリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(例えば、IGM Resins社のPHOTOMER4355);アルコキシル化グリセリルトリアクリレート、例えば3以上のプロポキシル化を有するプロポキシル化グリセリルトリアクリレート(例えば、PHOTOMER4096、IGM Resins);及び、アルコキシル化の有無によるエリスリトールポリアクリレート、例えばペンタエリスリトールテトラアクリレート(例えば、Sartomer Company,Inc.(米国ペンシルベニア州ウェストチェスター所在)から入手可能なSR295)、エトキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(例えば、Sartomer Company、Inc.のSR494)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(例えば、IGM Resins社のPHOTOMER4399、及びSartomer Company、Inc.のSR399)、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシル化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。多官能(メタ)アクリレートは、0.05質量%~15質量%、又は0.1質量%~10質量%の濃度で一次硬化性組成物中に存在しうる。
一次硬化性組成物のモノマー成分は、N-ビニルラクタム、又はN-ビニルピロリジノン、又はN-ビニルカプロラクタムなどのN-ビニルアミドを含みうる。N-ビニルアミドモノマーは、0.1~40質量%、又は2~10質量%の濃度で一次硬化性組成物中に存在しうる。
硬化性一次コーティング組成物は、1つ以上の単官能(メタ)アクリレートモノマーを5~95質量%、又は30~75質量%、又は40~65質量%の量で含みうる。硬化性一次コーティング組成物は、1つ以上の単官能脂肪族エポキシアクリレートモノマーを5~40質量%、又は10~30質量%の量で含みうる。
一次硬化性組成物のモノマー成分は、ヒドロキシ官能性モノマーを含みうる。ヒドロキシ官能性モノマーは、(メタ)アクリレートなどの他の反応性官能基に加えて、ペンダントヒドロキシ部分を有するモノマーである。ペンダントヒドロキシル基を含むヒドロキシ官能性モノマーの例としては、カプロラクトンアクリレート(Dow Chemical社からTONE M-100として入手可能);ポリ(アルキレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、例えば、ポリ(エチレングリコール)モノアクリレート、ポリ(プロピレングリコール)モノアクリレート、及びポリ(テトラメチレングリコール)モノアクリレート(それぞれ、Monomer,Polymer & Dajac Labsから入手可能);2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、及び4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート(それぞれ、Aldrich社から入手可能)が挙げられる。
ヒドロキシ官能性モノマーは、光ファイバへの一次コーティングの接着を改善するのに十分な量で存在しうる。ヒドロキシ官能性モノマーは、約0.1質量%~約25質量%の量、又は約5質量%~約8質量%の量で一次硬化性組成物中に存在しうる。ヒドロキシ官能性モノマーを使用することにより、一次コーティングの光ファイバへの適切な接着に必要な接着促進剤の量を減少させることができる。ヒドロキシ官能性モノマーの使用は、一次コーティングの親水性を増加させる傾向もありうる。ヒドロキシ官能性モノマーは、その開示全体がここに参照することによって本明細書に取り込まれる、米国特許第6,563,996号明細書により詳細に説明されている。
一次硬化性組成物の合計モノマー含有量は、約5質量%~約95質量%、又は約30質量%~約75質量%、又は約40質量%~約65質量%でありうる。
一次硬化性組成物宙に存在するモノマーは、0.1~40質量%又は2~10質量%の濃度のN-ビニルアミドモノマーを、5~95質量%の量、又は25~65質量%又は35~55質量%の1つ以上の二官能ウレタンアクリレートオリゴマーと組み合わせて含みうる。
一次コーティング組成物は、約5~95質量%の量の1つ以上の単官能(メタ)アクリレートモノマー;約0.1~40質量%の量のN-ビニルアミドモノマー;及び、イソシアネートと反応してウレタンを形成するポリオールを含む、1つ以上の二官能ウレタンアクリレートオリゴマーであって、約5~95質量%の量で存在するオリゴマーを含みうる。ポリオールはポリプロピレングリコールであってよく、イソシアネートは脂肪族ジイソシアネートでありうる。
一次コーティング組成物は、約40~65質量%の量の1つ以上の単官能(メタ)アクリレートモノマー;約2~10質量%の量のN-ビニルアミドモノマー;及び約35~60質量%の量の1つ以上のポリプロピレングリコール系の二官能ウレタンアクリレートオリゴマーを含みうる。
一次コーティングのガラス転移温度は、低温でのファイバのマイクロベンド性能に影響を与えうる。一次コーティングは、コーティングされた光ファイバの最低予測使用温度よりも低いガラス転移温度を有することが望ましい場合がある。一次コーティングのガラス転移温度は、-15℃以下、又は-25℃以下、又は-30℃以下、又は-40℃以下でありうる。一次コーティングのガラス転移温度は、-60℃超、又は-50℃超、又は-40℃超でありうる。一次コーティングのガラス転移温度は、-60℃~-15℃、又は-60℃~-30℃、又は-60℃~-40℃、又は-50℃~-15℃、又は-50℃~-30℃、又は-50℃~-40℃でありうる。
一次コーティングは、二次コーティングより低い弾性率を有しうる。低弾性率は、ファイバの外部が曲がるとき又は外力を受けるときに発生する内部応力を効率的に放散することにより、一次コーティングによるコア及びクラッドの保護を可能にしうる。本明細書で用いられる場合、一次コーティングのその場弾性率は、以下に記載される技術によって測定された弾性率である。
一次その場弾性率
一次コーティングのその場弾性率の測定には、6インチ(約15.24cm)のファイバ試料が用いられる。6インチ(約15.24cm)の試料の中心から1インチ(約2.54cm)のセクションをウィンドウ剥離し(window stripped)、イソプロピルアルコールで拭く。試料は、該試料が接着される10mm×5mmのアルミニウムタブを備えた試料ホルダ/位置合わせステージ上に取り付けられる。2つのタブは、長さ10mmが水平に配置され、2つのタブの間に5mmのギャップを有するように設定される。ファイバは、タブを横切って試料ホルダに水平に配置される。ファイバのコーティングされた端部は一方のタブに配置され、タブ間の5mmのスペースの半分まで延び、剥離されたガラスは5mmのギャップの残りの半分ともう一方のタブに配置される。試料を並べ、次に、5mmのギャップに最も近い各タブの半分に接着剤の小さな点を塗布できるように、邪魔にならないように移動させる。次に、ファイバをタブの上に戻し、中央に配置する。次に、接着剤がファイバにちょうど触れるまで、位置合わせステージを上昇させる。次に、タブ間の5mmのギャップにある試料の大部分が剥離されたガラスになるように、コーティングされた端部を、接着剤を介して引っ張る。コーティングされた端部の先端は、タブの接着剤を越えて延びたままになっており、したがって測定される領域は露出したまま残される。試料は乾燥したままにしておく。タブに固定されているファイバの長さは5mmにトリミングされる。接着剤に埋め込まれたコーティングされた長さ、埋め込まれていない長さ(タブ間)、及び端面の一次直径が測定される。
測定は、Rheometrics DMTA IVなどの機器で、9e-6Hzの一定の歪みで、室温(約21℃)で45分間実行されうる。ゲージ長は15mmである。力と長さの変化とが記録され、一次弾性率の計算に用いられる。試料は、15mmのクランプ長と干渉するであろうエポキシをタブから除去し、ファイバとの接触がないこと、及び試料がクランプに直角に固定されていることを確実にすることによって準備される。計器の力がゼロになったら、コーティングされていない端部を下部クランプ(測定プローブ)に取り付ける。ファイバのコーティングされた端部を備えたタブを上部(固定された)クランプに取り付ける。次に、試験を実行し、分析の完了後に試料を取り外す。
一次コーティングのその場弾性率は、0.30MPa以下、又は0.25MPa以下、又は0.20MPa以下、又は0.19MPa以下、又は0.18MPa以下、又は0.17MPa以下、又は0.16MPa以下、又は0.15MPa以下、又は0.01MPa~0.35MPa、又は0.01MPa~0.30MPa、又は0.01MPa~0.20MPaでありうる。
一次硬化性組成物は、重合開始剤、酸化防止剤、及び当業者に馴染みのある他の添加剤も含みうる。
重合開始剤は、一次コーティングを形成するための一次組成物の硬化に関連する重合プロセスの開始を容易にしうる。重合開始剤としては、熱開始剤、化学開始剤、電子線開始剤、及び光開始剤を挙げることができる。多くの(メタ)アクリレート系コーティング配合物では、ケトン性光開始添加剤及び/又はホスフィンオキシド添加剤などの光開始剤を使用することができる。本開示の一次コーティングの光形成に用いられる場合、光開始剤は、迅速な紫外線硬化を提供するのに十分な量で存在しうる。
適切な光開始剤としては、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(例えば、BASF社から入手可能なIRGACURE184));ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド(例えば、BASF社から入手可能な市販ブレンドIRGACURE1800、1850、及び1700);2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(例えば、BASF社から入手可能なIRGACURE651);ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド(IRGACURE819);(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ジフェニルホスフィンオキシド(BASF社(ドイツ国ミュンヘン所在)から入手可能なLucirin TPO);エトキシ(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド(BASF社のLucirin TPO-L);及びそれらの組合せが挙げられる。
一次硬化性組成物の光開始剤成分は、単一の光開始剤又は2以上の光開始剤の組合せで構成されうる。一次硬化性組成物の光開始剤の合計含有量は、最大で約10質量%、又は約0.5質量%~約6質量%でありうる。
(一又は複数の)モノマー、(一又は複数の)オリゴマー、及び (一又は複数の)重合開始剤に加えて、一次硬化性組成物は、接着促進剤、強度添加剤、反応性希釈剤、酸化防止剤、触媒、安定剤、蛍光増白剤、特性向上添加剤、アミン相乗剤、ワックス、滑剤、及び/又はスリップ剤などの他の添加剤を含みうる。幾つかの添加剤は、重合プロセスを制御するように作用し、それによって一次硬化性組成物から形成される重合生成物の物理的性質(例えば、弾性率、ガラス転移温度)に影響を与えうる。他の添加剤は、一次硬化性組成物の重合生成物の完全性に影響を及ぼしうる(例えば、解重合又は酸化分解から保護する)。例えば、一次硬化性組成物は、その開示がここに参照することによって本明細書に組み込まれる、米国特許第6,326,416号及び同第6,539,152号の各明細書に記載されるように、担体を含みうる。
一次硬化性組成物に接着促進剤を含めることが望ましい場合がある。接着促進剤とは、クラッドに対する一次コーティング及び/又は一次組成物の接着を促進する化合物である。適切な接着促進剤としては、アルコキシシラン、有機チタネート、及びジルコネートが挙げられる。代表的な接着促進剤としては、3-メルカプトプロピル-トリアルコキシシラン(例えば、Gelest社(米国ペンシルベニア州タリータウン所在)から入手可能な3-MPTMS);ビス(トリアルコキシシリル-エチル)ベンゼン;アクリルオキシプロピルトリアルコキシシラン(例えば、Gelest社から入手可能な(3-アクリルオキシプロピル)-トリメトキシシラン)、メタクリルオキシプロピルトリアルコキシシラン、ビニルトリアルコキシシラン、ビス(トリアルコキシシリルエチル)ヘキサン、アリルトリアルコキシシラン、スチリルエチルトリアルコキシシラン、及びビス(トリメトキシシリルエチル)ベンゼン(United Chemical Technologies社(米国ペンシルベニア州ブリストル所在)から入手可能)が挙げられる;その開示の全体がここに参照することによって本明細書に組み込まれる、米国特許第6,316,516号明細書を参照されたい。
接着促進剤は、約0.02pph~約10pph、又は約0.05pph及び4pph、又は約0.1pph~約2pph、又は約0.1pph~約1pphの量で一次組成物中に存在しうる。
一次コーティング組成物は、その開示の全体がここに参照することによって本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2003/0077059号明細書に記載される強度添加剤も含みうる。代表的な強度添加剤としては、N-(tert-ブトキシカルボニル)-L-システインメチルエステル、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、(3-メルカプトプロピル)-トリメトキシシラン;(3-メルカプトプロピル)トリメトキシシラン、及びドデシルメルカプタンなどのメルカプト官能性化合物が挙げられる。強度添加剤は、約1pph未満の量、又は約0.5pph未満の量、又は約0.01pph~約0.1pphの量で一次硬化性組成物中に存在しうる。
代表的な酸化防止剤は、チオジエチレン・ビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル)-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート](例えば、BASFから入手可能なIRGANOX1035)である。
一次硬化性組成物に蛍光増白剤を含めることが望ましい場合がある。代表的な蛍光増白剤としては、TINOPAL OB(BASFから入手可能);Blankophor KLA(Bayerから入手可能);ビスベンゾオキサゾール化合物;フェニルクマリン化合物;及びビス(スチリル)ビフェニル化合物が挙げられる。蛍光増白剤は、一次硬化性組成物中に0.005pph~0.3pphの濃度で存在しうる。
一次硬化性組成物にアミン相乗剤を含めることが望ましい場合がある。代表的なアミン相乗剤としては、トリエタノールアミン;1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、トリエチルアミン、及びメチルジエタノールアミンが含まれる。アミン相乗剤は、0.02pph~0.5pphの濃度で存在しうる。
二次コーティングは、機械的損傷及び外部環境からファイバを保護することができる。二次コーティングは、1つ以上のモノマーを含む硬化性二次組成物から形成することができる。モノマーは、エチレン性不飽和化合物を含みうる。硬化性二次組成物は、本明細書にさらに十分に説明されるように、1つ以上のオリゴマー、1つ以上の重合開始剤、及び1つ以上の添加剤も含みうる。
本明細書で特に指定又は暗示されない限り、硬化性二次組成物中の特定の成分の質量パーセント(質量%)は、無添加ベースでの硬化性二次組成物中に存在する成分の量を指す。概して、(一又は複数の)モノマー、(一又は複数の)オリゴマー、及び(一又は複数の)開始剤の質量パーセントの合計は100%になる。存在する場合には、添加剤の量は、本明細書では、(一又は複数の)モノマー、(一又は複数の)オリゴマー、及び(一又は複数の)開始剤の合計量に対する百分率(pph)の単位で報告される。例えば、1pphレベルで存在する添加剤は、(一又は複数の)モノマー、(一又は複数の)オリゴマー、及び(一又は複数の)開始剤の合計100gごとに1gの量で存在する。
コストを削減するために、二次組成物のオリゴマー含有量、ウレタンオリゴマー含有量、又はウレタンアクリレートオリゴマー含有量を最小限に抑えることができる。当技術分野で知られている一般的な二次組成物と比較して、本発明にかかる二次組成物のオリゴマー含有量、ウレタンオリゴマー含有量、又はウレタンアクリレートオリゴマー含有量は、特に低い。オリゴマー、ウレタンオリゴマー、又はウレタンアクリレートオリゴマーは、少数成分として存在するか、又は本開示の二次組成物に完全に存在していなくてもよい。オリゴマー、ウレタンオリゴマー、又はウレタンアクリレートオリゴマーは、二次組成物中に約3質量%以下の量、又は約2質量%以下の量、又は約1質量%以下の量で存在しうる。二次組成物は、オリゴマー、ウレタンオリゴマー、又はウレタンアクリレートオリゴマーを欠いていてもよい。
硬化性二次組成物のモノマー成分は、1つ以上のモノマーを含みうる。1つ以上のモノマーは、二次組成物中に50質量%以上の量、又は約75質量%~約99質量%の量、又は約80質量%~約99質量%の量、又は約85質量%~約98質量%の量で存在しうる。
硬化性二次組成物のモノマー成分は、エチレン性不飽和化合物を含みうる。エチレン性不飽和モノマーは、単官能性又は多官能性でありうる。官能基は、重合性基、及び/又は、架橋を促進する又は可能にする基でありうる。2以上のモノマーの組合せでは、構成モノマーは、単官能性、多官能性、又は単官能性化合物と多官能性化合物との組合せでありうる。エチレン性不飽和モノマーに適した官能基としては、限定はしないが、(メタ)アクリレート、アクリルアミド、N-ビニルアミド、スチレン、ビニルエーテル、ビニルエステル、酸エステル、及びそれらの組合せが挙げられる。
例示的な単官能性エチレン性不飽和モノマーとしては、限定はしないが、2-ヒドロキシエチル-アクリレート、2-ヒドロキシプロピル-アクリレート、及び2-ヒドロキシブチル-アクリレートなどのヒドロキシアルキルアクリレート;メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、アミルアクリレート、イソブチルアクリレート、t-ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、イソアミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリレート、イソデシルアクリレート、ウンデシルアクリレート、ドデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、オクタデシルアクリレート、及びステアリルアクリレートなどの長鎖及び短鎖アルキルアクリレート;ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、及び7-アミノ-3,7-ジメチルオクチルアクリレートなどのアミノアルキルアクリレート;ブトキシエチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート(例えば、Sartomer Company,Inc.のSR339)、及びエトキシエトキシエチルアクリレートなどのアルコキシアルキルアクリレート;シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジシクロペンタジエンアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、ボミルアクリレート、イソボルニルアクリレート(例えば、Sartomer Company,Inc.のSR423)、テトラヒドロフルフリルアクリレート(例えば、Sartomer Company,Inc.のSR285)、カプロラクトンアクリレート(例えば、Sartomer Company,Inc.のSR495)、及びアクリロイルモルホリンなどの単環式及び多環式の環状芳香族又は非芳香族アクリレート;ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、メトキシエチレングリコールアクリレート、メトキシポリプロピレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、並びに、エトキシル化(4)ノニルフェノールアクリレート(例えば、IGM Resins社のPhotomer4066)などのさまざまなアルコキシル化アルキルフェノールアクリレートなどのアルコール系アクリレート;ジアセトンアクリルアミド、イソブトキシメチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、及びt-オクチルアクリルアミドなどのアクリルアミド;N-ビニルピロリドン及びN-ビニルカプロラクタムなどのビニル化合物;並びに、マレイン酸エステル及びフマル酸エステルなどの酸エステルが挙げられる。上記列挙された長鎖及び短鎖アルキルアクリレートに関して、短鎖アルキルアクリレートは6個以下の炭素を有するアルキル基であり、長鎖アルキルアクリレートは7個以上の炭素を有するアルキル基である。
多くの適切なモノマーは、市販されているか、又は当技術分野で知られている反応スキームを使用して容易に合成される。例えば、上記の単官能性モノマーのほとんどは、適切なアルコール又はアミドをアクリル酸又は塩化アクリロイルと反応させることによって合成することができる。
代表的な多官能性エチレン性不飽和モノマーとしては、限定はしないが、アルコキシル化度が2以上のエトキシル化ビスフェノールAジアクリレートなどのアルコキシル化ビスフェノールAジアクリレートが挙げられる。二次組成物のモノマー成分としては、エトキシル化度が2~約30の範囲のエトキシル化ビスフェノールAジアクリレート(例えば、米国ペンシルベニア州ウェストチェスター所在のSartomer Company,Inc.から入手可能なSR349及びSR601、並びに、IGM Resins社から入手可能なPhotomer4025及びPhotomer4028)、又はプロポキシル化度が2以上、例えば2~約30の範囲のプロポキシル化ビスフェノールAジアクリレート;エトキシル化度が3以上、例えば3~約30の範囲のエトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート(例えば、IGM Resins社のPhotomer4149、及びSartomer Company,Inc.のSR499)などのアルコキシル化を伴った及び伴っていないメチロールプロパンポリアクリレート;プロポキシル化度が3以上、例えば3~30の範囲のプロポキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート(例えば、IGM Resins社のPhotomer4072、及びSartomer社のSR492);ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(例えば、IGM Resins社のPhotomer4355);プロポキシル化度が3以上のプロポキシル化グリセリルトリアクリレート(例えば、IGM Resins社のPhotomer4096、及びSartomer社のSR9020)などのアルコキシル化グリセリルトリアクリレート;ペンタエリスリトールテトラアクリレート(例えば、Sartomer Company,Inc.(米国ペンシルバニア州ウェストチェスター所在)から入手可能なSR295)、エトキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(例えば、Sartomer Company,Inc.のSR494)、及びジペンタエリスリトールペンタアクリレート(例えば、IGM Resins社のPhotomer4399、及びSartomer Company,Inc.のSR399)などのアルコキシル化を伴った及び伴っていないエリスリトールポリアクリレート;トリス-(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート(例えば、Sartomer Company,Inc.のSR368)及びトリス-(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジアクリレートなど、適切な官能性イソシアヌレートをアクリル酸又は塩化アクリロイルと反応させることによって形成されるイソシアヌレートポリアクリレート;トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(例えば、Sartomer Company,Inc.のCD406)などのアルコキシル化を伴った及び伴っていないアルコールポリアクリレート、及びエトキシル化度が2以上、例えば約2~30の範囲のエトキシル化ポリエチレングリコールジアクリレート;ビスフェノールAジグリシジルエーテル(例えば、IGM Resins社のPhotomer3016)などにアクリレートを添加することによって形成されるエポキシアクリレート;並びに、ジシクロペンタジエンジアクリレート及びジシクロペンタンジアクリレートなどの単環式及び多環式の環状芳香族又は非芳香族ポリアクリレートを挙げることができる。
重合可能な部分としての機能に加えて、単官能モノマーはまた、他の目的で硬化性二次組成物中に含まれうる。単官能モノマー成分は、例えば、硬化生成物が水を吸収する程度、他のコーティング材料に付着する程度、又は応力下で挙動する程度に影響を及ぼしうる。
二次組成物は、オリゴマー成分を含んでも含まなくてもよい。上記のように、存在する場合、オリゴマーは、微量成分として二次組成物中に存在しうる。1つ以上のオリゴマーが二次組成物中に存在しうる。二次組成物に含まれうるオリゴマーの1つのクラスは、エチレン性不飽和オリゴマーである。用いられる場合には、適切なオリゴマーは、単官能性オリゴマー、多官能性オリゴマー、又は単官能性オリゴマーと多官能性オリゴマーとの組合せでありうる。存在する場合、二次組成物のオリゴマー成分は、脂肪族及び芳香族ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、尿素(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル及びポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマー、アクリル化アクリルオリゴマー、ポリブタジエン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリカーボネート(メタ)アクリレートオリゴマー、及びメラミン(メタ)アクリレートオリゴマー、又はそれらの組合せを含みうる。二次組成物は、ウレタン基、ウレタンアクリレート化合物、ウレタンオリゴマー、又はウレタンアクリレートオリゴマーを含まない場合がある。
二次組成物のオリゴマー成分は、二官能性オリゴマーを含みうる。二官能性オリゴマーは、下記式(I)に従う構造を有しうる:
-R-[ウレタン-R-ウレタン]-R-F (I)
式中、Fは、独立して、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、N-ビニルアミド、スチレン、ビニルエーテル、ビニルエステル、又は当技術分野で知られている他の官能基などの反応性官能基であってよく;Rは、独立して、-C2-12O-、-(C2-4-O)-、-C2-12O-(C2-4-O)-、-C2-12O-(CO-C2-5O)-、又は-C2-12O-(CO-C2-5NH)-を含んでよく、ここで、nは、例えば、1~10を含む、1~30の整数であり;Rは、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ尿素、又はそれらの組合せであってよく;mは、例えば、1~5を含む、1~10の整数である。式(I)の構造において、ウレタン部分は、ジイソシアネートとR及び/又はRとの反応から形成される残基でありうる。本明細書では、「独立して」という用語は、各Fが別のFとは異なっている場合があることを示すために用いられており、同じことが各Rについても当てはまる。
硬化性二次組成物のオリゴマー成分は、多官能性オリゴマーを含みうる。多官能性オリゴマーは、以下に記載される式(II)、式(III)、又は式(IV)に従う構造を有しうる:
マルチウレタン-(F-R-F (II)
ポリオール-[(ウレタン-R-ウレタン)-R-F (III)
マルチウレタン-(R-F (IV)
式中、Fは、独立して、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、N-ビニルアミド、スチレン、ビニルエーテル、ビニルエステル、又は当技術分野で知られている他の官能基などの1~3の官能基を表してよく;Rは、-C2-12O-、-(C2-4-O)-、-C2-12O-(C2-4-O)-、-C2-12O-(CO-C2-5O)-、又は-C2-12O-(CO-C2-5NH)-を含んでよく、ここで、nは、例えば、1~5を含む、1~10の整数であり;Rは、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ尿素、又はそれらの組合せであってよく;xは、例えば、2~5を含む、1~10の整数であり;mは、例えば、1~5を含む、1~10の整数である。式(II)の構造では、マルチウレタン基は、マルチイソシアネートとRとの反応から形成される残基でありうる。同様に、式(III)の構造中のウレタン基は、ジイソシアネートがR及び/又はRに結合した後に形成される反応生成物でありうる。
ウレタンオリゴマーは、脂肪族又は芳香族ジイソシアネートを二価ポリエーテル又はポリエステル、最も典型的にはポリエチレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコールと反応させることによって調製されうる。耐湿性オリゴマーは、極性ポリエーテル又はポリエステルグリコールを避けて、主に飽和した、主に非極性の脂肪族ジオールを有線することを除き、類似の方法で合成することができる。これらのジオールには、エーテル基又はエステル基を実質的に含まなくてよい、約2~250個の炭素原子のアルカン又はアルキレンジオールが含まれうる。
ポリ尿素成分は、例えば、合成の過程でジオール又はポリオールをジアミン又はポリアミンに置き換える等の方法によって、調製されたオリゴマーに組み込まれうる。二次コーティング組成物中の少量のポリ尿素の存在は、合成に使用されるジアミン又はポリアミンがその系の耐湿性を損なうことを回避するのに十分に無極性かつ飽和していることを条件として、コーティング性能に有害であるとは見なされない。
二次コーティング組成物はまた、ガラスファイバ又は一次又は他の層で前もってコーティングされたガラスファイバへの塗布後の二次組成物の重合(硬化)を容易にするために、重合開始剤も含みうる。本発明の組成物における使用に適した重合開始剤としては、熱開始剤、化学開始剤、電子ビーム開始剤、マイクロ波開始剤、化学線開始剤、及び光開始剤が挙げられうる。多くのアクリレート系コーティング配合物について、既知のケトン性光開始剤及び/又はホスフィンオキシド添加剤などの光開始剤を使用することができる。本発明の組成物に使用する場合、光開始剤は、迅速な紫外線硬化を提供するのに十分な量で存在しうる。光開始剤は、約0.5質量%~約10質量%、又は約1.5質量%~約7.5質量%の範囲の量、又は約3質量%の量で存在しうる。
光開始剤の量を調整することにより、放射線硬化を促進し、コーティング組成物の早すぎるゲル化を生じさせることなく妥当な硬化速度を提供することができる。望ましい硬化速度は、約90%超、又は95%超のコーティング組成物の硬化を生じさせるのに十分な速度でありうる。用量に対する弾性率曲線で測定して、約75μm未満のコーティング厚さの硬化速度は、例えば、1.0J/cm未満、又は0.5J/cm未満などでありうる。
適切な光開始剤としては、限定はしないが、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(例えば、Lucirin TPO);1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(例えば、BASF社から入手可能なIrgacure184);(2,6-ジエトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド(例えば、BASF社の市販のブレンドIrgacure1800、1850、及び1700);2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン(例えば、BASF社のIrgacure651);ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(例えば、BASF社のIrgacure);(2,4,6-トリエチルベンゾイル)ジフェニルホスフィンオキシド(例えば、BASF社の市販のブレンドDarocur4265);2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン(例えば、BASF社の市販のブレンドDarocur4265)、及びそれらの組合せが挙げられる。
上述の成分に加えて、本発明の二次コーティング組成物は、任意選択的に、添加剤又は添加剤の組合せを含みうる。代表的な添加剤としては、限定はしないが、酸化防止剤、触媒、潤滑剤、低分子量の非架橋樹脂、接着促進剤、及び安定剤が挙げられる。添加剤は、重合プロセスを制御するように作用し、それによって、組成物から形成される重合生成物の物理的特性(例えば、弾性率、ガラス転移温度)に影響を及ぼしうる。添加剤は、組成物の重合生成物の完全性に影響を及ぼしうる(例えば、解重合又は酸化分解から保護する)。
二次組成物は、酸化防止剤としてチオジエチレン・ビス(3,5-ジ-tert-ブチル)-4-ヒドロキシヒドロシンナメート(例えば、BASFから入手可能なIrganox1035)を含みうる。二次組成物は、アクリル化酸接着促進剤(例えば、Ebecryl170(UCB Radcure(米国ジョージア州スマーナ所在)から入手可能)を含みうる。二次コーティング材料で使用するための他の適切な材料、並びにこれらの材料の選択に関連する考慮事項は、当技術分野でよく知られており、その開示がここに参照することにより本明細書に組み込まれる、米国特許第4,962,992号及び同第5,104,433号の各明細書に記載されている。
オリゴマー含有量が低い場合でも、本発明にかかる二次組成物は、高い引張強度及び高い弾性率(ヤング率)を有する二次コーティング材料をもたらしうる。二次コーティングは、一次コーティングより高い弾性率及び高いガラス転移温度を有しうる。本明細書で用いられる場合、二次コーティングのその場弾性率は、以下に記載される技術によって測定された弾性率である。
二次その場弾性率
二次その場弾性率は、ファイバチューブオフ試料を使用して測定する。ファイバチューブオフ試料を得るため、最初に0.0055インチ(約139.7μm)のミラーストリッパーをコーティングされたファイバの端部から約1インチ下ったところに固定する。ストリッパーから延びるファイバの1インチ(約2.54cm)の領域を液体窒素の流れに投入し、3秒間保持する。次に、ファイバを液体窒素の流れから取り出し、迅速に剥離する。コーティングが除去されていることを確認するために、ファイバの剥離した端部を検査する。コーティングがガラス上に残っている場合は、試料を再度準備する。その結果、一次コーティング及び二次コーティングの中空チューブが得られる。ガラス、一次コーティング、及び二次コーティングの直径は、剥離されていないファイバの端面から測定される。
二次その場弾性率を測定するために、ファイバチューブオフ試料は、Rheometrics DMTA IV機器などの機器を使用してサンプルゲージ長11mmで実行することができる。試料の幅、厚さ、及び長さが決定され、機器のオペレーティングソフトウェアへの入力として提供される。試料が取り付けられ、次のパラメータを使用して、周囲温度(21℃)で時間掃引プログラムを使用して実行される:
頻度:1ラジアン/秒
歪み:0.3%
合計時間=120秒
1測定あたりの時間=1秒
初期静的力=15.0[g]
静的力>動的力の差=10.0[%]。
完了後に、最後の5つのE’(ストレージ弾性率)データ点を平均化する。各試料は、合計15のデータ点について3回実施される(実施ごとに新しい試料で)。3回の実施の平均値は、二次その場弾性率として報告される。
本開示の二次組成物の重合生成物の引張強度は、硬化したロッドの形態で調製した場合に、少なくとも50MPaでありうる。室温(約21℃)で硬化したコーティングロッド上で測定した場合、二次組成物の硬化生成物の弾性率は、約1400MPa~約2200MPaの範囲、又は約1700MPa~約2100MPaの範囲、又は約1600MPa~約3000MPaの範囲でありうる。二次コーティングのその場弾性率は、1200MPa以上、又は1500MPa以上、又は1800MPa以上、又は2100MPa以上、又は2400MPa以上、又は2700MPa以上でありうる。
ヤング率、引張強度、及び破断伸び%
コーティング組成物は、引張試験用のロッド試料の形態で調製される。ロッドは、硬化性組成物を内径約0.025インチ(約635μm)のテフロン(登録商標)チューブに注入することによって調製される。ロッド試料は、約2.4J/cmの線量でFusion D電球を使用して硬化される(International Light社のLight BugモデルIL39で225~424nmの波長範囲にわたって測定する)。硬化後、テフロン(登録商標)チューブを剥離してコーティング組成物のロッド試料を提供する。硬化させたロッドを、23℃及び50%相対湿度で一晩、コンディショニングする。ヤング率、引張強度、及び破断伸び%などの特性は、ゲージ長51mm、試験速度250mm/分の欠陥のないロッド試料に、引張試験装置(例えば、Sintech MTS引張試験機、又はInstron Universal材料試験システム)を使用して測定する。特性は、少なくとも5つの試料の平均として決定され、欠陥のある試料は平均から除外される。
高弾性率の二次コーティングは、機械的損傷に対するファイバのより良好な保護及びより良好なマイクロベンド性能をもたらすことができる。しかしながら、線引き塔における高弾性率の二次コーティングの高速処理は、最終的にファイバ性能を損なうフラットスポット及び風誘発性の点欠陥(WIPD)などの欠陥を二次コーティングに生成する傾向が線引きプロセスで高まることから、課題となりうる。
オリゴマーを含まないコーティング、ウレタン-オリゴマーを含まないコーティング、及びウレタンアクリレート-オリゴマーを含まないコーティングの開発中に、他の成分を変更せずに配合物からオリゴマーを除去すると、2000MPaを超える弾性率を有する二次コーティングが得られる可能性があることが見出された。このような二次コーティングは、線引き塔で高速処理するのが困難でありうる。したがって、官能基間に長い柔軟な(例えばエトキシル化された)鎖を有するモノマーを含むように二次組成物を配合することによって、オリゴマーを除去する影響を補償することが望ましい場合がある。長い柔軟な鎖は、架橋間の距離を増加させ、架橋密度を減少させ、最終的には、硬化した二次コーティングの弾性率を低下させる可能性がある。このようなモノマーの潜在的な欠点は、ガラス転移温度(Tg)が低く、硬化した二次コーティングのTgを低下させる傾向があることである。Tgが低いと、塗布時に柔らかすぎる材料を生じる可能性があり、高速での処理中に欠陥が生じうることから、Tgが低い二次コーティングは望ましくない場合がある。Tgがより高い二次コーティングは、室温でより硬くなり、光ファイバにより良好な機械的保護を提供することができる。しかしながら、Tgが高すぎると、コーティングが、処理中にファイバに欠陥が生じやすくなるのに十分に硬くなりうる。
本開示の二次コーティングは、適度なTgを有する二次コーティングを達成するように設計することができ、これは、光ファイバに適切な機械的保護及び曲げ不感性を付与しつつ、高速の線引き塔においてファイバを欠陥なく処理することを可能にする。Tgは、次に説明する手法を使用して測定することができる。
ガラス転移温度は、コーティング組成物から形成された硬化フィルム(一次コーティング)又はロッド(二次コーティング)の形態の試料を使用して測定される。ガラス転移温度は、張力における、Rheometrics DMTA IVなどの機器から得られたtanδ曲線のピークを決定することによって、測定される。試料の幅、厚さ、及び長さは、プログラムの「試料形状(Sample Geometry)」のセクションに入力される。試料を取り付けた後、約-85℃に冷却する。安定後、次のパラメータを使用して温度ランプが実行される:
周波数:1Hz
歪み:0.3%
加熱速度:2℃/分
最終温度:150℃
初期静的力=20.0[g]
静的力>動的力の差=10.0[%]。
Tgは、tanδピークの最大値として定義され、tanδピークは次のように定義される:
tanδ=E’’/E’
式中、E’’は、変形サイクルでの熱としてのエネルギーの損失に比例する損失弾性率であり、E’は、変形サイクルで保存されるエネルギーに比例する貯蔵弾性率又は弾性率である。
二次コーティング組成物の硬化生成物から調製された硬化したロッドのTgは、少なくとも約50℃でありうる。二次コーティングのガラス転移温度は、少なくとも50℃、又は少なくとも55℃、又は少なくとも60℃、又は55℃~65℃でありうる。
二次組成物は、オリゴマー成分、ウレタンオリゴマー成分、又はウレタンアクリレートオリゴマー成分を欠いていてもよく、モノマー成分は、エトキシル化(4)ビスフェノールAジアクリレートモノマー、エトキシル化(30)ビスフェノールAジアクリレートモノマー、及びエポキシジアクリレートモノマーを含みうる。エトキシル化(4)ビスフェノールAジアクリレートモノマーは、約50質量%~約90質量%、又は約60質量%~約80質量%、又は約70質量%~約75質量%の範囲の量で存在しうる。エトキシル化(30)ビスフェノールAジアクリレートモノマーは、約5質量%~約20質量%、又は約7質量%~約15質量%、又は約8質量%~約12質量%の範囲の量で存在しうる。エポキシジアクリレートモノマーは、約5質量%~約25質量%、又は約10質量%~約20質量%、又は約12質量%~約18質量%の範囲の量で存在しうる。
二次組成物は、オリゴマー成分、ウレタンオリゴマー成分、又はウレタンアクリレートオリゴマー成分を欠いていてもよく、モノマー成分は、エトキシル化(4)ビスフェノールAジアクリレートモノマー、エトキシル化(10)ビスフェノールAジアクリレートモノマー、及びエポキシジアクリレートモノマーを含みうる。エトキシル化(4)ビスフェノールAジアクリレートモノマーは、約30質量%~約80質量%、又は約40質量%~約70質量%、又は約50質量%~約60質量%の範囲の量で存在しうる。エトキシル化(10)ビスフェノールAジアクリレートモノマーは、約10質量%~約50質量%、又は約20質量%~約40質量%、又は約25質量%~約35質量%の範囲の量で存在しうる。エポキシジアクリレートモノマーは、約5質量%~約25質量%、又は約10質量%~約20質量%、又は約12質量%~約18質量%の範囲の量で存在しうる。
二次組成物は、オリゴマー成分、ウレタンオリゴマー成分、又はウレタンアクリレートオリゴマー成分を欠いていてもよく、モノマー成分は、エトキシル化(4)ビスフェノールAジアクリレートモノマー、エトキシル化(10)ビスフェノールAジアクリレートモノマー、エトキシル化(30)ビスフェノールAジアクリレートモノマー、及びエポキシジアクリレートモノマーを含みうる。エトキシル化(4)ビスフェノールAジアクリレートモノマーは、約40質量%~約80質量%、又は約60質量%~約70質量%の範囲の量で存在しうる。エトキシル化(10)ビスフェノールAジアクリレートモノマーは、約1質量%~約30質量%、又は約5質量%~約10質量%の範囲の量で存在しうる。エトキシル化(30)ビスフェノールAジアクリレートモノマーは、約5質量%~約20質量%の範囲の量、又は約10質量%の量で存在しうる。エポキシジアクリレートモノマーは、約5質量%~約25質量%の範囲の量、又は約15質量%の量で存在しうる。
二次組成物は、オリゴマー成分、ウレタンオリゴマー成分、又はウレタンアクリレートオリゴマー成分を欠いていてもよく、モノマー成分は、エトキシル化(10)ビスフェノールAジアクリレートモノマー、トリプロピレングリコールジアクリレートモノマー、エトキシル化(4)ビスフェノールAジアクリレートモノマー、及びエポキシジアクリレートモノマーを含みうる。エトキシル化(10)ビスフェノールAジアクリレートモノマーは、約10質量%~約50質量%の範囲の量で存在しうる。トリプロピレングリコールジアクリレートモノマーは、約5質量%~約40質量%の量で存在しうる。エトキシル化(4)ビスフェノールAジアクリレートモノマーは、約10質量%~約55質量%の量で存在しうる。エポキシジアクリレートモノマーは、最大で約15質量%の量で存在しうる。
二次組成物は、約40質量%~80質量%のエトキシル化(4)ビスフェノールAモノマー、約0質量%~約30%のエトキシル化(10)ビスフェノールAモノマー、約0質量%~約25%質量%のエトキシル化(30)ビスフェノールAモノマー、約5質量%~18質量%のエポキシアクリレート、約0質量%~10質量%のトリシクロデカンジメタノールジアクリレートモノマー、約0.1質量%~40%の1つ以上の光開始剤、約0質量pph~5質量pphのスリップ添加剤;及び0質量pph~約5質量の酸化防止剤を含みうる。二次組成物は、3%以下のオリゴマー、又は1%以下のオリゴマーをさらに含んでよく、あるいは、オリゴマーを欠いていてもよい。エポキシアクリレートはエポキシアクリレートモノマーでありうる。エポキシアクリレートはビスフェノールAエポキシジアクリレートでありうる。エポキシアクリレートは、修飾されていないエポキシアクリレート、例えば、脂肪酸、アミン、酸、又は芳香族官能基で修飾されていないエポキシアクリレートでありうる。このような組成物は、45℃で少なくとも約3ポアズの粘度を有してよく、硬化すると、約1400MPa~約2100MPaのヤング率を示しうる。組成物は、少なくとも約55℃のガラス転移温度を示しうる。モノマー成分は、少なくとも10のアルコキシ基を有するアルコキシル化ビスフェノールAジアクリレートモノマーを含みうる。
幾つかの実施形態では、二次コーティングは、他の色と区別することができる着色を提供するのに十分な顔料を含む。
一次及び二次硬化性組成物は、コーティングされたファイバのガラス部分がプリフォームから線引きされた後に、それに塗布されうる。一次及び二次組成物は、冷却直後に塗布することができる。次に、硬化性組成物を硬化させて、コーティングされた光ファイバを生成することができる。硬化の方法は、用いられる(一又は複数の)コーティング組成物及び重合開始剤の性質に応じて、ガラスファイバ上に塗布された硬化性組成物を紫外線、化学線、マイクロ波放射、又は電子ビームに曝露することなどによる、熱的、化学的、又は放射線誘発性でありうる。線引きプロセスに続いて、一次硬化性組成物と二次硬化性組成物の両方を順番に塗布することが有利でありうる。硬化性組成物の二重層を移動するガラスファイバに塗布する方法は、その開示がここに参照することによって本明細書に組み込まれる、米国特許第4,474,830号及び同第4,585,165号の各明細書に開示されている。あるいは、一次硬化性組成物を塗布及び硬化して一次コーティング材料を形成した後に、二次硬化性組成物を塗布及び硬化して二次コーティングを形成してもよい。
本明細書に開示される1つ以上の有利な特徴を説明するために、本開示によるさまざまな例示的なコーティングされたファイバを説明し、モデル化する。
これらの実施例でモデル化されるコーティングされたファイバは、直径125μmのガラスファイバを含んでいたが、この結果は直径90μm以下のガラスファイバにも同様に適用することができる。ガラスファイバのコアは、3.6~5.4μmの範囲の半径を有しており、シリカをGeOで改質してクラッドに対するコアの屈折率を増加させることによって作ることができる。クラッドは、コアを取り囲み、半径62.5μmまで延び、内側クラッド領域及び外側クラッド領域を備えており、ここで、内側クラッド領域は外側クラッドより低い屈折率を有していた。外側クラッドと比較して低い屈折率の内側クラッド領域は、内側クラッドにダウンドーパントであるフッ素をドープすることによって達成することができる。あるいは、内側クラッド領域と比較して高い屈折率の外側クラッド領域は、外側クラッドに塩素、ゲルマニア、アルミナ、チタニア、酸窒化ケイ素、リンなどのアップドーパントをドープすることによって達成することができる。例示的な屈折率分布は、以下にさらに十分に論じられる。
一次コーティングの代表的な硬化性組成物A~Hが、下記表IIに示されている。
Figure 0007384827000012
Photomer4066はIGM Resinsから入手可能なエトキシル化ノニルフェノールアクリレートである。Photomer4960はIGM Resinsから入手可能なプロポキシル化ノニルフェノールアクリレートである。BR3741はDymax Oligomers and Coatingsから入手可能な脂肪族ポリエーテルウレタンアクリレートオリゴマーである。N-ビニルカプロラクタムはISP Technologies、Inc.から入手可能である。TPO((2,4,6-トリメチルベンゾイル)ジフェニルホスフィンオキシド)はBASFから入手可能な光開始剤である。(3-アクリルオキシプロピル)トリメトキシシランはGelest社から入手可能な接着促進剤である。IRGANOX1035((チオジエチレン・ビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル)-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート])は、BASF社から入手可能な酸化防止剤である。ペンタエリスリトールメルカプトプロピオネートは、Aldrich社から入手可能な接着促進剤安定化剤である。UVITEX OB(C2626S、CAS No.7128-64-5)は、BASFから入手可能な蛍光増白剤である。
一次組成物を調製するため、オリゴマー及び(一又は複数の)モノマーを60℃で少なくとも10分間ブレンドする。次に、(一又は複数の)光開始剤及び添加剤を添加してよく、ブレンドを1時間継続することができる。最後に、接着促進剤を、添加してよく、ブレンドは30分間継続することができる。次に、得られた溶液をファイバのガラス部分に塗布し、UV硬化させて、一次コーティングを形成することができる。
二次コーティングの代表的な硬化性組成物J~Lが下記表IIに示されている。
Figure 0007384827000013
SR601/Photomer4028は、Sartomer又はIGM Resins社から入手可能なエトキシル化(4)ビスフェノールAジアクリレートモノマーである。CD9038は、Sartomer社から入手可能なエトキシル化(30)ビスフェノールAジアクリレートモノマーである。Photomer3016は、IGM Resins社から入手可能なエポキシジアクリレートモノマーである。SR602は、Sartomer社から入手可能なエトキシル化(10)ビスフェノールAジアクリレートモノマーである。IRGACURE184(1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン)は、BASFから入手可能な光開始剤である。TPO((2,4,6-トリメチルベンゾイル)-ジフェニルホスフィンオキシド)は、BASFから入手可能な光開始剤である。DC190はDow Corning社から入手可能な流体スリップ添加剤である。IRGANOX1035(チオジエチレン・ビス(3,5-ジ-tert-ブチル)-4-ヒドロキシヒドロシンナメート)はBASFから入手可能な酸化防止剤である。
二次組成物は、市販のブレンド装置を使用して、列挙された成分を用いて調製することができる。モノマー成分を計量し、加熱されたケトルに導入し、約50℃~65℃の範囲内の温度で一緒にブレンドすることができる。次に、均質な混合物が得られるまで、ブレンドを継続することができる。次に、光開始剤を計量し、ブレンドしながら均質溶液に導入することができる。最後に、残りの成分を計量し、ブレンドしながら溶液に導入することができる。ブレンドは、均質溶液が再度得られるまで継続することができる。次に、均質溶液をファイバの一次コーティング又は一次組成物に塗布し、UV放射によって硬化させて二次コーティングを形成することができる。
表II及びIIIに列挙された一次及び二次組成物を硬化することによって達成可能なコーティングと一致した特性を有する、2つのコーティングされたファイバの実施形態60(実施例A及び実施例Bのファイバ)を製造し、次いで評価した。これらのコーティングされたファイバの概略的な断面が図2に示されている。製造した(実施例A及びBの)ファイバは、コア70、クラッド80、一次コーティング90、及び二次コーティング100を備えている。クラッド80は、第1の内側クラッド領域81、第2の内側クラッド領域83、及び外側クラッド領域85を備えている。実施例Aのファイバ60は、コア半径r=4.7μmを有するコア70、約72μmの外径2rを有するガラスクラッド80、約125μmの外径2rを有する一次コーティング90、及び155μmの外径2rを有する二次コーティング100を備えている。コアにはゲルマニアがアップドープされ、第1の内側クラッドは実質的に純粋なシリカで構成され、第2の内側クラッドにはフッ素がダウンドープされ、外側クラッドは実質的に純粋なシリカで構成されていた。実施例1のファイバの他のパラメータは次の通りである:
Δ1MAX=0.38%
=9.25μm
=14.62μm
Δ3MIN=-0.42%
,=-52.4%-平方μm
実施例Aのファイバのコア及びクラッドについての測定された相対屈折率分布のプロット(純粋なシリカに対するΔ%として表される)が図5に示されている。
実施例2Cのファイバは、コア半径r=5.2μmを有するコア70、外径2r=80μmを有するガラスクラッド80、外径2r=125μmを有する一次コーティング90、及び外径2r=155μmを有する二次コーティング100を備えている。コアにはゲルマニアがアップドープされ、第1の内側クラッドは実質的に純粋なシリカで構成され、第2の内側クラッドにはフッ素がダウンドープされ、外側クラッドは実質的に純粋なシリカで構成されていた。
実施例Bのファイバ60の測定された屈折率分布が図6に示されている。実施例2Cのファイバの他のパラメータは次の通りである:
Δ1MAX=0.38%
=10.36μm
16.47μm
Δ3MIN=-0.42%
,=-66.9%-平方μm
実施例Bのファイバ60のコア及びクラッドについての相対屈折率分布のプロット(純粋なシリカに対するΔ%で表される)が図6に示されている。
表IVは、実施例A及びBによる、製造されたファイバの実施形態の測定したパラメータ/属性を示している。
Figure 0007384827000014
図7は、実施例Aのファイバの実施形態及び比較ファイバの波長に対する減衰を示している。比較ファイバは、次のパラメータを有していた:ステップ屈折率分布、Δ1MAX=0.35%、及びコア半径4.7μmを有するコア、80.0μmのクラッド径、110μmの一次コーティング径、及び165μmの二次コーティング径。このファイバは、1310nmの波長におけるMFD9μm、及びファイバカットオフ波長1200nmを有する。減衰は、出荷用スプールに配備されたファイバを用いて測定した。図7は、実施例Aのファイバが1325~1650nmの間のすべての波長について実質的に良好な性能(より低い減衰)をもたらし、1550~1650nmの波長でははるかに良好な性能をもたらすことを示している。
図8は、実施例Bのファイバの実施形態及び上述の比較ファイバについての波長に対する減衰を示している。図8は、実施例Bのファイバが1325~1650nmの間のすべての波長について実質的に良好な性能(より低い減衰)をもたらし、1450~1650nmの波長でははるかに良好な性能をもたらすことを示している。
図9は、上述の実施例Bのファイバについてのマクロベンド誘発性の損失を示している。実施例Bのファイバを直径10mmのマンドレルに2回巻き付けたときのマクロベンド誘発性の損失を測定した。測定されたマクロベンド誘導性減衰は、1550nmの波長で0.1dB/ターン、及び1625nmの波長で0.19dB/ターンである。
特に明記しない限り、本明細書に記載の任意の方法は、その工程が特定の順序で実行されることを必要とすると解釈されることは、決して意図していない。したがって、方法クレームがその工程が従うべき順序を実際に列挙していないか、又は工程が特定の順序に限定されるべきであることが特許請求の範囲又は明細書に具体的に述べられていない場合には、いかなる特定の順序も、推測されることは、決して意図していない。
本発明の精神又は範囲から逸脱することなく、さまざまな修正及び変更を加えることができることは、当業者にとって明らかであろう。本発明の精神及び本質を組み込んだ開示された実施形態の修正の組合せ、部分組合せ、及び変形は、当業者に想起されうることから、本発明は、添付の特許請求の範囲及びそれらの等価物の範囲内のあらゆるものを含むと解釈されるべきである。
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
実施形態1
光ファイバにおいて、
外径rを有するコア;
前記コアを取り囲むクラッドであって、45μm未満の外径rを有するクラッド;
前記クラッドを取り囲む一次コーティングであって、外径r及び厚さt>8μm、その場弾性率E(Eは0.35MPa以下である)、並びにばね定数χ<1.6MPa(χ=2E/tである)を有する一次コーティング;及び
前記一次コーティングを取り囲む二次コーティングであって、外径r及び厚さt=r6-、並びに1200MPa以上のその場弾性率Eを有する二次コーティング
を備えており、ここで、
は10μm超であり、前記外径rは85μm以下であり、前記ファイバは、1310nmで8.2μm超のモードフィールド径MFD、1310nm未満のファイバカットオフ波長を有しており、かつ
前記ファイバが、直径10mmのマンドレルに巻き付けたときに、1550nmの波長において1.0dB/ターン未満の曲げ損失を示す、
ファイバ。
実施形態2
>12μmである、実施形態1に記載のファイバ。
実施形態3
24μm≦r≦45μmである、実施形態1に記載のファイバ。
実施形態4
38μm≦r≦42μmである、実施形態1に記載のファイバ。
実施形態5
30μm≦r≦35μmである、実施形態1に記載のファイバ。
実施形態6
≦75μmである、実施形態3に記載のファイバ。
実施形態7
75μm≦r6≦85μmである、実施形態4に記載のファイバ。
実施形態8
60μm≦r≦65μmである、実施形態5に記載のファイバ。
実施形態9
39μm≦r≦41μm及び75μm≦r≦85μmである、実施形態2に記載のファイバ。
実施形態10
30μm≦r≦32.5μm及び60μm≦r≦75μmである、実施形態5に記載のファイバ。
実施形態11
χ≦1.3MPaである、実施形態1から10のいずれかに記載のファイバ。
実施形態12
χ≦1.0MPaである、実施形態1から7のいずれかに記載のファイバ。
実施形態13
0.5≦t/t≦1.5である、実施形態1から12のいずれかに記載のファイバ。
実施形態14
MFDが1310nmで8.6μm超である、実施形態1から3のいずれかに記載のファイバ。
実施形態15
前記クラッドが、外径r及び相対屈折率Δを有する第1の内側クラッド領域と、前記第1の内側クラッド領域を取り囲み、外径rを有する第2の内側クラッド領域とを備えており、前記第2の内側クラッド領域が、最小値Δ3MINを有する相対屈折率Δを有し、Δ3MIN<-0.2%である、実施形態1から14のいずれかに記載のファイバ。
実施形態16
前記第1の内側クラッド領域が前記コアに直接隣接しており、前記相対屈折率Δが、前記コアの外径rと前記外径rとの間で実質的に一定である、実施形態15に記載のファイバ。
実施形態17
-0.05≦Δ≦0.5である、実施形態15に記載のファイバ。
実施形態18
前記ファイバが、直径10mmのマンドレルを中心に回転したときに、1550nmの波長において0.5dB/ターン未満の曲げ損失を示す、請求項1から17のいずれか一項に記載のファイバ。
実施形態19
前記一次コーティングが0.3MPa以下のその場弾性率を有する、実施形態1から18のいずれかに記載のファイバ。
実施形態20
前記二次コーティングが1800MPa以上のその場弾性率を有する、実施形態1に記載のファイバ。
実施形態21
が38~42μmであり、rが60μm~65μmであり、rが77.5μm~82.5μmである、実施形態1に記載のファイバ。
実施形態22
が38μm~42μmであり、rが45μm~55μmであり、rが60μm~65μmである、実施形態1に記載のファイバ。
10 ファイバ
20,70 コア
30,80 クラッド
33 内側クラッド領域
37 外側クラッド領域
40,90 一次コーティング
50,100 二次コーティング
60 ファイバ
81 第1の内側クラッド領域
83 第2の内側クラッド領域
85 外側クラッド領域

Claims (13)

  1. 光ファイバにおいて、
    径rを有するコア;
    前記コアを取り囲むクラッドであって、45μm未満の外径rを有するクラッド;
    前記クラッドを取り囲む一次コーティングであって、外径r及び厚さt>8μm、その場弾性率E(Eは0.35MPa以下である)、並びにばね定数χ<1.6MPa(χ=2E/tである)を有する、一次コーティング;及び
    前記一次コーティングを取り囲む二次コーティングであって、外径r及び厚さt=r-r、並びに1200MPa以上のその場弾性率Eを有する二次コーティング
    を備えており、ここで、
    は10μm超であり、前記外径rは85μm以下であり、前記ファイバは、1310nmで8.2μm超のモードフィールド径MFD、1310nm未満のファイバカットオフ波長を有し、
    前記ファイバが、直径10mmのマンドレルに巻き付けたときに、1550nmの波長において1.0dB/ターン未満の曲げ損失を示し、かつ
    前記ファイバが、30グラムより大きい穿刺抵抗負荷を示す、
    ファイバ。
  2. >12μmである、請求項1に記載のファイバ。
  3. 24μm≦r≦45μmである、請求項1に記載のファイバ。
  4. ≦75μmである、請求項3に記載のファイバ。
  5. 39μm≦r≦41μmであり、75μm≦r≦85μmである、請求項2に記載のファイバ。
  6. χ≦1.3MPaである、請求項1から5のいずれか一項に記載のファイバ。
  7. 0.5≦t/t≦1.5である、請求項1から6のいずれか一項に記載のファイバ。
  8. 前記クラッドが、外径r及び相対屈折率Δを有する第1の内側クラッド領域と、前記第1の内側クラッド領域を取り囲み、外径rを有する第2の内側クラッド領域とを備えており、前記第2の内側クラッド領域が、最小値Δ3MINを有する相対屈折率Δを有しており、ここで、Δ3MIN<-0.2%であり、前記第1の内側クラッド領域が前記コアに直接隣接しており、前記相対屈折率Δが、前記コアの外径rと前記外径rとの間で実質的に一定である、請求項1から7のいずれか一項に記載のファイバ。
  9. -0.05≦Δ≦0.5である、請求項8に記載のファイバ。
  10. 前記ファイバが、直径10mmのマンドレルを中心に回転したときに、1550nmの波長において0.5dB/ターン未満の曲げ損失を示す、請求項1から9のいずれか一項に記載のファイバ。
  11. 前記一次コーティングが0.3MPa以下のその場弾性率を有する、請求項1から10のいずれか一項に記載のファイバ。
  12. 前記二次コーティングが1800MPa以上のその場弾性率を有する、請求項1に記載のファイバ。
  13. が38~42μmであり、rが60μm~65μmであり、rが77.5μm~82.5μmである、請求項1に記載のファイバ。
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