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JP7381431B2 - スクラップカッター - Google Patents

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JP7381431B2
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Description

本発明はスクラップカッターに係り、特にプレス機械から送出されるスクラップ材を高効率で高速に切断することが可能なスクラップカッターに関する。
この種のスクラップカッターとしては、移動刃(カッター刃)をクランク機構等により上下方向に往復運動させて固定刃との間でスクラップ材を切断するものや、クランク軸に連結されたコンロッドの下端に直接カッター刃を取り付け、カッター部近傍に垂直方向にピンガイドされた構造のスクラップカッターがある。
また、カッター刃には、シャー角が0度のものや、一定のシャー角を有するものがある。ここで、シャー角とは、移動刃と固定刃とのなす角度である。
シャー角が0度又は小さい程、切断時に大きな加圧能力が必要となり、カッター装置自体の機械剛性を大きくする必要があり、また、駆動部のイナーシャも大きくなり高速化に向かない構造である。これに対し、シャー角を大きくすると、切断開始から終了までの移動刃のストロークが大きくなり、装置が大型化し高速化には向かない。
一方、特許文献1には、リンク機構によりカッター刃を駆動する切断機が提案されている。
特許文献1に記載の切断機は、固定刃に相対して移動刃を交叉させて薄物のワークを切断する切断機であり、移動刃(刃物ホルダー)を2本のスイングアームにより軸支して機台に吊持し、4節リンク機構として構成されている。2本のスイングアームのうちの1本のスイングアームはクランク機構により揺動し、これにより移動刃は、スイングしながら下降し、移動刃を斜めから固定刃に交叉させるとともに、移動刃の切り込み角度(シャー角)を徐々に小さくさせてワークを一端から他端へ順次に引き切りする。
特開2009-107096号公報
特許文献1に記載の切断機は、4節リンク機構により移動刃をスイングさせながら下降させることで、移動刃を斜めから固定刃に交叉させるとともに、移動刃の切り込み角度を徐々に小さくさせてワークを一端から他端へ順次に引き切りするが、移動刃を備えた刃物ホルダーがスイングするため、左右振動が発生し高速化には向かない。
また、特許文献1に記載の切断機は、ワークの切断時に移動刃をスイングさせることで移動刃の切り込み角度(シャー角)が徐々に小さくなり、その結果、切断終盤でのワークの切り口の破断を抑えて切断面を一様にキレイにすることができるが、切断時の加圧能力を考慮してシャー角を徐々に小さくしているものではない。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、プレス機械から送出されるスクラップ材を高効率で高速に切断することが可能なスクラップカッターを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために第1態様に係る発明は、プレス機械の後段に設けられ、前記プレス機械から送出されるスクラップ材を切断するスクラップカッターにおいて、クランク機構により上下方向に往復駆動されるスライドと、前記スライドに取り付けられた上刃と、固定部に取り付けられ、前記上刃との協動により前記スクラップ材を切断する下刃と、を備え、前記上刃と前記下刃とのなすシャー角は、前記スクラップ材の切断開始から切断終了に向かって徐々に小さくなり、切断許容限度のスクラップ材を切断する場合に、切断開始から切断終了にわたって前記クランク機構のクランク軸の駆動トルクを一定にすることができる角度を有することを特徴とする。
本発明の第1態様によれば、シャー角は、スクラップ材の切断開始から切断終了に向かって徐々に小さくなり、特に切断許容限度のスクラップ材を切断する場合に、上刃が取り付けられたスライドを上下方向に往復駆動するクランク機構のクランク軸の駆動トルクを一定にすることができる角度を有している。これにより、切断許容限度のスクラップ材を切断する場合のクランク軸の駆動トルクを最小限にすることができ、イナーシャ、ストローク及び振動の最小化、装置の小型化が可能であり、スクラップ材を高効率で高速に切断することができる。
本発明の第2態様に係るスクラップカッターにおいて、前記切断許容限度のスクラップ材は、材料の厚さと剪断抵抗とにより決定される。
前記シャー角は、切断許容限度のスクラップ材を基準にその刃形状が決定されているため、本発明に係るスクラップカッターは、切断許容限度以内のスクラップ材に対しても当然に高効率で高速に切断することができる。
本発明の第3態様に係るスクラップカッターにおいて、前記クランク機構のクランク軸に加えられる駆動トルクをT、前記クランク軸のクランク半径をrとすると、前記クランク軸の接線方向の接線力Fは、次式、
F=T/r
で表され、前記クランク軸の上死点からの回転角度をθとすると、前記上刃による押し力Pは、次式、
P=F/(sinθ*n*s)=T/(r*sinθ*n*s)
但し、n:非対称傾き刃は1、対称傾き刃は2、s:安全係数
で表され、前記切断許容限度のスクラップ材の厚さをt、剪断抵抗をKfc、及び前記シャー角をαとすると、前記シャー角αは、次式、
α=-tan-1(Kfc*t/2P)=-tan-1(Kfc*t*n*s*r*sinθ/2T)
で表される。尚、上記の式中の記号*は、掛け算を意味する。
本発明の第4態様に係るスクラップカッターにおいて、前記上刃及び前記下刃の少なくとも一方のカッター刃の長手方向をx軸、前記x軸と直交する方向をy軸とするxy座標系における前記カッター刃の刃先上の座標(x、y)は、次式、
x=(r/A)*(π-θ)
y=-r(1+cosθ)
但し、A=Kfc*t*n*s*r/2T
で表される。
上記カッター刃の刃形状は、xy座標系における前記カッター刃の刃先上の座標(x、y)により表されるが、他方の刃形状を水平にすることで、上刃と下刃とは、上記シャー角αを有することになる。
本発明の第5態様に係るスクラップカッターにおいて、前記クランク機構は、スコッチヨーク機構であることが好ましい。
本発明の第6態様に係るスクラップカッターにおいて、前記上刃及び前記下刃の少なくとも一方のカッター刃は、カッター刃のセンタに対して非対称な非対称傾き刃、又はカッター刃のセンタに対して対称な対称傾き刃を有する。
カッター刃は、非対称傾き刃(片刃)でもよいし、対称傾き刃(両刃)でもよい。片刃と両刃とでは傾き角が異なるが、刃の高さは同一となる。
本発明によれば、上刃と下刃とのなすシャー角の最適化を図ることで、プレス機械から送出されるスクラップ材を高効率で高速に切断することができる。
図1は、本発明に係るスクラップカッターを含むプレスラインの配置図である。 図2は、スクラップカッターの正面図である。 図3は、クランク軸の駆動トルクによりカッター刃に加わる押し力を説明するために用いた図である。 図4は、カッター刃の刃形状の種類を示す図である。 図5は、両刃のカッター刃(上刃)の位置とクランク軸の回転角度との関係を示す図である。 図6は、傾き角を有するカッター刃に加わる押し力と、その押し力により剪断可能なスクラップ材の剪断面積との関係を説明するために用いた図である。 図7は、カッター刃の刃形状の一例を示すグラフである。 図8は、カッター刃の刃先上のxy座標等の計算結果の一部を示す図表である。 図9は、カッター刃の刃先上のxy座標等の計算結果の他の部分を示す図表である。 図10は、カッター刃の刃先上の0~50点のxy座標をプロットしたカッター刃の刃形状を示すグラフである。
以下添付図面に従って本発明に係るスクラップカッターの好ましい実施形態について詳説する。
図1は、本発明に係るスクラップカッターを含むプレスラインの配置図である。
図1に示すプレスラインは、アンコイラー10、レベラー20、フィーダー30、プレス機械40、スクラップカッター50、及び廃材コンベア60が順次配置されて構成されている。
アンコイラー10は、ドラムにコイル状に巻き付けられた材料(コイル材)を巻き戻し、巻き戻したコイル材の撓みを制御しながらコイル材を供給する材料供給装置である。
レベラー20は、アンコイラー10とフィーダー30との間に配置され、交互に配置された複数のロールの間にコイル材を挟み、コイル材を上下方向に交互に変形させることで、巻き癖のついたコイル材のひずみを取る。
フィーダー30は、コイル材を一定の間隔でプレス機械40の金型内に送り込む材料送り装置である。
プレス機械40は、コイル材から製品の外形カット等を行う。
スクラップカッター50は、プレス機械40の後段に設けられ、プレス機械40から送出されるスクラップ材(コイル材の抜きカス)を取り扱いやすい大きさに切断し、切断したスクラップ材を廃材コンベア60に排出する。尚、本例のスクラップカッター50は、プレス機械40と同期運転される。
図2は、スクラップカッターの正面図である。
図2に示すスクラップカッター50は、コラム51により固定された固定部として機能するフレーム52と、フレーム52内でガイド53により上下方向に移動自在に案内されたスライド54と、スライド54に取り付けられた上刃(移動刃)55と、フレーム52に取り付けられた下刃(固定刃)56と、スライド54を上下方向に往復駆動させるクランク機構の一種であるスコッチヨーク機構57とから構成されている。
本例のスコッチヨーク機構57は、スライド54に形成された矩形の開口部54A内でスライド54の移動方向である上下方向と直交する方向(左右方向)に移動自在に設けられたスライダ58と、図示しないサーボモータにより回転駆動力が伝達されるクランク軸59とを備え、クランク軸59の偏芯部59Aがスライダ58に軸受けを介して回転自在に挿通されている。
スコッチヨーク機構57によれば、クランク軸59を1回転させると、偏芯部59Aの偏芯量(クランク半径)に応じてスライダ58が上下方向及び左右方向に1往復する。スライダ58の左右方向の動作は、スライド54に形成された開口部54Aによりスライド54には伝達されず、スライダ58の上下方向の動作のみがスライド54に伝達され、その結果、スライド54が上下方向に往復駆動される。
クランク機構としてスコッチヨーク機構57を採用することで、移動刃である上刃55のモーションがサインモーションとなり、また、上刃55が取り付けられたスライド54は上下方向にのみ駆動力が伝達されるため、左右振動を抑制することができる。
プレス機械40から送出されるスクラップ材は、上刃55と下刃56との隙間が空いている期間(例えば、スライド54が上死点に位置する場合のクランク軸59の回転角度を0度とすると、±90度の範囲の期間)にスクラップカッター50の上刃55と下刃56との間にセットされ、その後、上刃55の下降により上刃55と下刃56との協動により切断される。
次に、上刃55及び下刃56の少なくとも一方のカッター刃の刃形状について説明する。尚、以下に説明するカッター刃の刃形状は、上刃55の刃形状である。
スクラップカッター50は、スクラップ材の材料、板厚等の異なる種々のスクラップ材を切断するが、本例では切断可能な許容限度のスクラップ材(切断許容限度のスクラップ材)を高効率で切断できるように、以下に示すように上刃55と下刃56とのなすシャー角が設計されている。
スクラップカッター50に適用される上刃55と下刃56とのなすシャー角は、スクラップ材の切断開始から切断終了に向かって徐々に小さくなり、切断許容限度のスクラップ材を切断する場合に、切断開始から切断終了にわたってクランク機構のクランク軸の駆動トルクを一定にすることができる角度を有している。
図3は、クランク軸の駆動トルクによりカッター刃に加わる押し力を説明するために用いた図である。
図3に示すように、クランク軸に加えられる駆動トルクをT、クランク半径をrとすると、クランク軸の接線方向の接線力Fは、次式、
F=T/r
で表される。
また、クランク軸の上死点からの回転角度をθとすると、カッター刃による押し力Pは、次式、
[数1]
P=F/(sinθ*n*s)=T/(r*sinθ*n*s)
但し、n:非対称傾き刃は1、対称傾き刃は2、s:安全係数
で表される。
図4は、カッター刃の刃形状の種類を示す図である。
図4(A)に示すカッター刃は、カッター刃のセンタに対して左右非対称となる非対称傾き刃であり、スクラップ材の切断時にスクラップ材の一端から他端に向かって切断する片刃である。
図4(B)に示すカッター刃は、カッター刃のセンタに対して左右対称となる対称傾き刃であり、スクラップ材の切断時にスクラップ材の両端からスクラップ材のセンタに向かって切断する両刃である。
図5は、両刃のカッター刃(上刃)の位置とクランク軸の回転角度との関係を示す図であり、図5(A)~(E)は、それぞれスクラップ材の切断開始から終了までの上刃の位置を示している。
図5(A)は、クランク軸の回転角度が角度θaのときの上刃55の位置を示している。図5(A)に示す上刃55の位置は、クランク軸の回転に伴って上刃55が下降し、スクラップ材70に最初に接したときの位置である。この上刃55の位置からスクラップ材70の切断が開始される。
図5(C)は、クランク軸の回転角度が角度θcのときの上刃55の位置を示している。
図5(C)に示す上刃55の位置は、上刃55が更に下降し、上刃55の最上位点(上刃55のセンタ)がスクラップ材70の上面に達したときの位置を示している。
図5(B)は、クランク軸の回転角度が角度θa~角度θcの間の上刃55の位置を示しており、上刃55の一部は、スクラップ材70の下面に達している。尚、図5(B)上で、符号70A及び70Bは、この位置の上刃55に加わる押し力により剪断可能な剪断面を示している。
上刃55が、図5(A)に示す位置から図5(C)に示す位置に至る間は、上刃55と下刃56とのなすシャー角は、上刃55のストロークに伴い徐々に小さくなり、切断許容限度のスクラップ材を切断する場合に、クランク機構のクランク軸の駆動トルクを一定にすることができる角度を有する。
また、図5(A)に示す位置から図5(C)に示す位置(クランク軸の角度θa~角度θc)に至るまでの上刃55のストローク長さk(クランク軸の角度θa~角度θc)は、上刃55が、図5(A)に示す位置にあるときの、上刃55の最上位点とスクラップ材70の上面との上刃55のシャー角によって生じる隙間kになる。
図5(E)は、クランク軸の回転角度が角度θe(スライド54が下死点)に達したときの上刃55の位置を示している。上刃55が、図5(E)に示す位置に達すると、スクラップ材70の切断が終了する。
上刃が55、図5(C)に示す位置から図5(E)に示す位置(クランク軸の角度θc~角度θe)に至るまでのストローク長さは、スクラップ材70の板厚tと一致する。
図5(D)は、クランク軸の回転角度が、角度θc~角度θeの間の上刃55の位置を示している。
上刃55が、図5(C)に示す位置から図5(E)に示す位置へ下降するに伴い、図5(C)に示すようにスクラップ材70の切り残り部は、その高さ、幅共に徐々に減少する。従って、図5(C)に示す位置から図5(E)に示す位置の間のスクラップ材70の切断に必要な上刃55の押し力も、上刃55のストロークに伴い徐々に減少するのでクランク軸トルクが不足することはない。
図6は、カッター刃に加わる押し力と、その押し力により剪断可能なスクラップ材の剪断面積との関係を説明するために用いた図である。尚、本例では、移動刃である上刃55を非対称傾き刃又は対称傾き刃とし、固定刃である下刃56を傾きのない水平な刃であり、更に上刃55が上下方向に移動するため、カッター刃(上刃55)の傾き角は、シャー角に対応する。
図6において、カッター刃の傾き角に相当するシャー角を(-α)とし、スクラップ材70の板厚をt〔mm〕とすると、カッター刃に加わる押し力P〔N〕により剪断可能なスクラップ材70の剪断面積S〔mm2〕は、次式、
[数2]
S=P/Kfc=t/(2tanα)
で表される。尚、Kfcは、剪断抵抗〔N/mm2〕である。
[数2]式中のPに[数1]式を代入し、シャー角αについて整理すると、シャー角αは、次式により表すことができる。
[数3]
α=-tan-1(Kfc*t/2P)=-tan-1(Kfc*t*n*s*r*sinθ/2T)
[数3]式に示すシャー角αは、スクラップ材の切断開始から切断終了に向かって(クランク軸の回転角度θを変数として)徐々に小さくなる角度である。また、このシャー角αは、板厚t、剪断抵抗Kfcにより決定される切断許容限度のスクラップ材を切断する場合に、そのスクラップ材を切断開始から切断終了にわたってクランク軸の駆動トルクTを一定にして(最大トルクの出力状態で)切断することができる角度である。
上記構成のスクラップカッター50によれば、切断許容限度のスクラップ材を切断する場合に要求されるクランク軸の駆動トルクT(クランク軸を駆動するサーボモータの定格トルク)を小さくすることができ、また、スライド54、上刃55を含む上下方向に往復運動する部分のイナーシャを小さくすることができ、プレス機械から送出されるスクラップ材を高効率で高速に切断することができる。
次に、[数3]式に示したシャー角αに対応する傾きを有するカッター刃の刃形状を、2次元座標で規定する場合について説明する。尚、カッター刃の長手方向をx軸方向、カッター刃の移動方向をy軸方向とするxy座標系において、カッター刃の刃形状を規定する。
[数3]式中のKfc*t*n*s*r*/2TをAとすると、[数3]式は、[数4]式に書き換えることができる。
[数4]
α=-tan-1(A*sinθ)
∴tanα=-A*sinθ
xy座標系でのカッター刃の刃先の傾きをdy/dxとすると、刃先の傾きdy/dxは、[数4]式に基づいて次式により表すことができる。
[数5]
dy/dx=tanα=-A*sinθ
一方、カッター刃の刃先上のy座標は、クランク軸の回転角度θとクランク半径rにより、次式、
[数6]
y=-r(1+cosθ)
で表される。
[数6]式をθで微分すると、次式により表すことができる。
[数7]
dy/dθ=r*sinθ
[数5]式と[数7]式とから、次式が成立する。
[数8]
dx/dθ=(dy/dθ)/(dy/dx)=(r*sinθ)/(-A*sinθ)=-r/A
[数8]式をθで積分すると、カッター刃の刃先上のx座標は、次式により表すことができる。
[数9]
x=-(r/A)*θ+C=-(r/A)*θ+(r/A)*π=(r/A)*(π-θ)
但し、C:積分定数、A=Kfc*t*n*s*r*/2T
よって、カッター刃の刃先上の座標(x,y)は、[数6]式及び[数9]から、次式、
[数10]
x=(r/A)(π-θ)
y=-r(1+cosθ)
但し、A=Kfc*t*n*s*r* /2T、θ:0~π
で表すことができる。
また、y=-r(1+cosθ)=h(h0≦h≦h1:h0は切断終了高さ、h1は切断開始高さ)とおくと、
cosθ=-h/r-1
∴θ=cos-1(-h/r-1)
となり、[数10]式は、次式に書き換えることができる。
[数11]
x=(r/A){π-cos-1(-h/r-1)}
y=h
但し、A=Kfc*t*n*s*r*/2T
図7は、カッター刃の刃形状の一例を示すグラフである。
カッター刃の刃形状は、例えば、[数11]式における定数及び変数hを適宜与えることで算出することができる。尚、この詳細については後述する。
図7(A)はカッター刃が片刃の場合の刃形状を示し、図7(B)はカッター刃が片刃の場合の刃形状を示す。
図7(A)及び(B)に示すように、片刃、両刃共にカッター刃の高さは同一になるが、シャー角αに対応する傾き角は、両刃の方が片刃よりも大きくなる。
次に、[数11]式に、以下に示す定数を入力し、更にカッター刃による切断開始高さh1と切断終了高さh0との差(h1-h0=6〔mm〕)を50等分したときの、カッター刃の刃先上の各y座標に対応するx座標を算出した。
<定数>
クランク軸の駆動トルク T:70〔Nm〕
クランク半径 r:12.5〔mm〕
スクラップ材の剪断抵抗 Kfc:637〔N/mm2
スクラップ材の板厚 t:0.3〔mm〕
刃形状(切り数) n:2(片刃 1、両刃 2)
切断終了高さ h0:0〔mm〕
切断開始高さ h1:6〔mm〕
安全係数 s:2
図8及び図9は、それぞれカッター刃のxy座標等の計算結果を示す図表である。
図8は、カッター刃の高さ(切断開始高さと切断終了高さとの差)を50等分したときに与えられるカッター刃の刃先上のy座標と、そのy座標に対応するx座標との51点のうちの0~25点のxy座標等の計算結果を示し、図9は、残りの26~50点のxy座標等の計算結果を示している。
また、図8及び図9には、0~50点のxy座標の他に、0~50点にそれぞれ対応するクランク軸の回転角度θ〔rad〕,〔deg〕、及びシャー角α〔rad〕,〔deg〕が示されている。尚、図8及び図9中のx-offsetは、切断終了高さh0(y=0)に対応するx座標をx=0にした場合(オフセットした場合)のx座標を表している。
図10は、図9及び図10に示したカッター刃の刃先上の0~50点のxy座標をプロットしたカッター刃の刃形状を示すグラフである。
図10に示すグラフは、カッター刃が両刃の場合で、カッター刃のセンタから片側のみを示している。また、カッター刃が片刃の場合は、x=0がカッター刃の左端となる。
[その他]
本実施形態では、下刃(固定刃)には傾きを設けずに、上刃(移動刃)に連続的に変化する傾きを設けることで、スクラップ材の切断開始から切断終了にわたって固定刃と移動刃とのなすシャー角αを連続的に変化させるようにしたが、これとは逆に、移動刃には傾きを設けずに、固定刃に連続的に変化する傾きを設けることで、スクラップ材の切断開始から切断終了にわたって固定刃と移動刃とのなすシャー角αを連続的に変化させるようにしてもよい。
また、本実施形態では、上刃(移動刃)を上下方向に往復駆動させるクランク機構として、スコッチヨーク機構を採用したが、これに限らず、例えば、クランク軸の偏芯部とスライドとを連接棒で連結したスライド・クランク機構を適用してもよい。スライド・クランク機構の連桿比(連接棒長/クランク半径)がある程度大きい場合、スライドは略サインモーションで移動するため、スコッチヨーク機構で使用した計算式をそのまま使用可能である。尚、連桿比が大きいと、高速化に適している。
また、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の精神を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であることは言うまでもない。
10 アンコイラー
20 レベラー
30 フィーダー
40 プレス機械
50 スクラップカッター
51 コラム
52 フレーム
53 ガイド
54 スライド
54A 開口部
55 上刃
56 下刃
57 スコッチヨーク機構
58 スライダ
59 クランク軸
59A 偏芯部
60 廃材コンベア
70 スクラップ材

Claims (5)

  1. プレス機械の後段に設けられ、前記プレス機械から送出されるスクラップ材を切断するスクラップカッターにおいて、
    クランク機構により上下方向に往復駆動されるスライドと、
    前記スライドに取り付けられた上刃と、
    固定部に取り付けられ、前記上刃との協動により前記スクラップ材を切断する下刃と、を備え、
    前記上刃と前記下刃とのなすシャー角は、
    前記スクラップ材の切断開始から切断終了に向かって徐々に小さくなる角度であって、
    前記クランク機構のクランク軸の駆動トルクを一定にして、材料の厚さと剪断抵抗により決定される切断許容限度のスクラップ材を切断することを想定した場合に、前記クランク軸の回転角度に応じて前記切断許容限度のスクラップ材の切断開始から切断終了にわたって前記上刃の押し力が徐々に増加すると、前記切断許容限度のスクラップ材の剪断位置におけるシャー角が徐々に小さくなり、前記上刃の押し力と前記剪断位置におけるシャー角による前記切断許容限度のスクラップ材の剪断面積との関係を一定に保持する角度を有することを特徴とする、
    スクラップカッター。
  2. 前記クランク機構のクランク軸に加えられる駆動トルクをT、前記クランク軸のクランク半径をrとすると、前記クランク軸の接線方向の接線力Fは、次式、
    F=T/r
    で表され、前記クランク軸の上死点からの回転角度をθとすると、前記上刃による押し力Pは、次式、
    P=F/(sinθ*n*s)=T/(r*sinθ*n*s)
    但し、n:非対称傾き刃は1、対称傾き刃は2、s:安全係数
    で表され、前記切断許容限度のスクラップ材の厚さをt、剪断抵抗をKfc、及び前記シャー角をαとすると、前記シャー角αは、次式、
    α=-tan-1(Kfc*t/2P)=-tan-1(Kfc*t*n*s*r*sinθ/2T)
    で表される、
    請求項に記載のスクラップカッター。
  3. 前記上刃及び前記下刃の少なくとも一方のカッター刃の長手方向をx軸、前記x軸と直交し、かつ前記カッター刃が移動する方向をy軸とするxy座標系における前記カッター刃の刃先上の座標(x、y)は、次式、
    x=(r/A)*(π-θ)
    y=-r(1+cosθ)
    但し、A=Kfc*t*n*s*r/2T
    で表される、
    請求項に記載のスクラップカッター。
  4. 前記クランク機構は、スコッチヨーク機構である、
    請求項1からのいずれか1項に記載のスクラップカッター。
  5. 前記上刃及び前記下刃の少なくとも一方のカッター刃は、カッター刃のセンタに対して非対称な非対称傾き刃、又はカッター刃のセンタに対して対称な対称傾き刃を有する、
    請求項1からのいずれか1項に記載のスクラップカッター。
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