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JP7380083B2 - 印刷物の製造方法及び印刷物の製造装置 - Google Patents

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JP7380083B2 JP2019197396A JP2019197396A JP7380083B2 JP 7380083 B2 JP7380083 B2 JP 7380083B2 JP 2019197396 A JP2019197396 A JP 2019197396A JP 2019197396 A JP2019197396 A JP 2019197396A JP 7380083 B2 JP7380083 B2 JP 7380083B2
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Description

本発明は、印刷物の製造方法及び印刷物の製造装置に関する。
建築物の床、内壁、天井等には、所望の画像を印刷し、エンボス加工等により意匠性を付与した床材や壁紙などの部材が使用されている。また、床材や壁紙に対して、紫外線(UV)硬化材料によるコーティング、電子線硬化材料によるコーティング等を行うことにより、耐久性を向上させる試みがなされている。
さらに、近年、エンボス加工が施された床材や壁紙などに対して、インクジェット方式により所望の画像を印刷する技術の開発が進められている。このような技術としては、例えば、発泡層、画像形成層、及び表面保護層を有し、発泡層は熱可塑性樹脂及び発泡剤を含有し、画像形成層及び表面保護層が電子線照射により架橋又は硬化可能な発泡壁紙の製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、表面強度を向上させるために、紙質基材上に発泡樹脂層を有する壁装用化粧シートにおいて、発泡樹脂層に特定の樹脂組成物を用いる壁装用化粧シートが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
本発明は、長期間に亘って優れた凹凸形状による意匠性及び画像品質を維持する耐久性に優れる印刷物を得ることができる印刷物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の印刷物の製造方法は、基材上に中間層形成液を付与して中間層を形成する中間層形成工程と、前記中間層に体積膨張剤と重合性化合物aとを含有する体積膨張剤含有液を付与して体積膨張剤含有液層を形成する体積膨張剤含有液層形成工程と、前記体積膨張剤含有液層上に、重合性化合物bを含有するインク受容液層形成液を付与してインク受容液層を形成するインク受容液層形成工程と、前記インク受容液層に、色材及び重合性化合物cを含有するインクを付与して硬化前画像を形成する硬化前画像形成工程と、を含む。
本発明によると、長期間に亘って優れた凹凸形状による意匠性及び画像品質を維持する耐久性に優れる印刷物を得ることができる印刷物の製造方法を提供することができる。
図1は、本発明のインクジェット印刷装置の一例を示す概念図である。
(印刷物の製造方法及び印刷物の製造装置)
本発明の印刷物の製造方法は、基材上に中間層形成液を付与して中間層を形成する中間層形成工程と、前記中間層に体積膨張剤と重合性化合物aとを含有する体積膨張剤含有液を付与して体積膨張剤含有液層を形成する体積膨張剤含有液層形成工程と、前記体積膨張剤含有液層上に、重合性化合物bを含有するインク受容液層形成液を付与してインク受容液層を形成するインク受容液層形成工程と、前記インク受容液層に、色材及び重合性化合物cを含有するインクを付与して硬化前画像を形成する硬化前画像形成工程と、を含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
本発明の印刷物の製造装置は、基材上に中間層形成液を付与して中間層を形成する中間層形成手段と、前記中間層に体積膨張剤と重合性化合物aとを含有する体積膨張剤含有液を付与して体積膨張剤含有液層を形成する体積膨張剤含有液層形成手段と、前記体積膨張剤含有液層上に、重合性化合物bを含有するインク受容液層形成液を付与してインク受容液層を形成するインク受容液層形成手段と、前記インク受容液層に、色材及び重合性化合物cを含有するインクを付与して硬化前画像を形成する硬化前画像形成手段と、を有し、更に必要に応じて、その他の手段を有する。
本発明の印刷物の製造方法は、本発明の印刷物の製造装置を用いて好適に実施することができ、前記中間層形成工程は前記中間層形成手段により好適に実施することができ、前記体積膨張剤含有液層形成工程は体積膨張剤含有液層形成手段により好適に実施することができ、前記インク受容液層形成工程は前記インク受容液層形成手段により好適に実施することができ、前記硬化前画像形成工程は前記硬化前画像形成手段により好適に実施することができ、前記その他の工程は前記その他の手段により好適に実施することができる。
なお、本発明においては、「体積膨張」の一態様として「発泡」と称することがある。
本発明者らは、長期間に亘って優れた凹凸形状による意匠性及び画像品質を維持する耐久性に優れる印刷物を得ることができる印刷物の製造方法について検討したところ、以下の知見を得た。
従来の技術では、凹凸形状を有する印刷物を得るために基材上に発泡層を直接形成しているが、発泡層自身の凹凸形状により基材表面との接触面積が低下し、密着性の低下、即ち、耐久性の低下を引き起こしてしまう場合があるという問題がある。
また、従来の技術では、硬化した非発泡樹脂層上に色材を含有する層を形成するため、形成した画像の耐擦過性を向上させるために表面保護層を形成する必要があり、印刷物を得るために必要な工程及び機器が増えるという問題がある。
そこで、本発明者らは、基材の表面に中間層を設け、前記中間層の上に、体積膨張剤含有液層、重合性化合物を含有するインク受容液層、及び重合性化合物を含有する硬化前画像をこの順で形成することにより、長期間に亘って優れた凹凸形状による意匠性及び画像品質を維持する耐久性に優れる印刷物を得ることができることを見出した。
<中間層形成工程及び中間層形成手段>
前記中間層形成工程は、基材上に中間層形成液を付与して中間層を形成する工程である。
前記中間層形成手段は、基材上に中間層形成液を付与して中間層を形成する手段である。
前記中間層形成工程は、前記中間層形成手段により好適に実施することができる。
-基材-
前記基材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、樹脂フィルム、樹脂含浸紙、合成繊維からなる合成紙、天然紙、不織布等のシート、布、レザー、木材、金属シート、ガラス板、セラミック板などが挙げられる。
前記樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステルフィルム;ポリプロピレンフィルム;ポリエチレンフィルム;ナイロン、ビニロン、アクリル等のプラスチックフィルム、又は前記フィルムの貼り合わせたものなどが挙げられる。
前記樹脂フィルムとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、強度の点から、一軸若しくは二軸延伸されているものが好ましい。
前記不織布としては、例えば、ポリエチレン繊維をシート状に散布し、熱圧着させてシート状に形成したものなどが挙げられる。
前記木材としては、例えば、MDF、HDF、パーティクルボード、ベニヤなどの合板、表面にシートを貼り合わせた化粧板などが挙げられる。これらの平均厚みとしては、2mm以上30mm以下が好ましい。
前記ガラス板としては、例えば、フロートガラス、色ガラス、強化ガラス、網入りガラス、すりガラス、フロストガラス、ミラーガラスなどが挙げられる。これらの平均厚みとしては、0.3mm以上20mm以下が好ましい。
-中間層-
前記中間層としては、後述する体積膨張剤含有液層を体積膨張させて体積膨張層を形成しても前記基材との密着性を維持することができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記中間層形成液は、重合性化合物、分散型樹脂、溶解型樹脂、固体微粒子を含有し、更に必要に応じてその他の材料を含有する。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記重合性化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、後述する体積膨張剤含有液に含有している重合性化合物aと同様のものを用いることができる。重合性化合物としては、例えば、ガラス転移点が低い重合体が得られる重合性化合物、分子末端に水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、スルホ基、ホスホ基などの官能基を有する重合性化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ガラス転移点が低い重合体が得られる重合性化合物としては、例えば、エチレンオキサイド骨格を含む化合物としてポリエチレングリコール(600)ジアクリレート(Tg:-42℃)、アルキル直鎖を含む化合物としてトリデシルアクリレート(Tg:-55℃)、イソデシルアクリレート(Tg:-60℃)などが挙げられる。前記重合性化合物が、前記ガラス転移点が低い重合体が得られるものであると、得られる中間層の柔軟性を向上させることができ、前記体積膨張剤含有液層を体積膨張させた体積膨張層と前記基材との密着性を向上させるため、得られる印刷物の耐久性を向上させることができる。
前記分子末端に水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、スルホ基、ホスホ基などの官能基を有する重合性化合物としては、例えば、1,4-シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート、2-アクリロイルオキシエチルサクシネート、4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-ヒドロキシエチルメタクリレートアシッドホスフェートなどが挙げられる。
前記中間層形成液全量に対する前記重合性化合物の含有量としては、1質量%以上99質量%以下が好ましく、10質量%以上95質量%以下がより好ましい。
前記分散型樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン-ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル-スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン系樹脂、エポキシ系樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記分散型樹脂中の樹脂成分の粒子径としては、エマルジョンを形成する限り特に限定されないが、150nm以下が好ましく、5nm以上100nm以下がより好ましい。前記分散型樹脂としては、市販品を使用することができ、前記市販品としては例えば、ボンコートW-26(DIC株式会社製)、ボンコートW-386(DIC株式会社製)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記中間層形成液全量に対する前記分散型樹脂の固形分の含有量としては、1質量%以上99質量%以下が好ましく、10質量%以上95質量%以下がより好ましい。
前記溶解型樹脂としては、溶剤に溶解した状態の樹脂であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂といった樹脂をメチルエチルケトン、ジオキサン、ヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの溶剤に溶解させたものが挙げられる。前記溶解型樹脂としては、市販品を用いることができ、前記市販品としては、例えば、ファインタックCT-3088、ファインタックCT-3850、ファインタックCT-5020、ファインタックCT-5030、ファインタックCT-6030、クイックマスターSPS-900-LV、クイックマスターSPS-945NT、クイックマスターSPS-1040NT-25(全てDIC株式会社製)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記中間層形成液全量に対する前記溶解型樹脂の含有量としては、1質量%以上99質量%以下が好ましく、10質量%以上95質量%以下がより好ましい。
前記固体微粒子としては、前記分散型樹脂とは異なる粒子であり、基材の濡れ性を向上させたり、中間層の変形を抑制することができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記固体微粒子としては、例えば、その表面に水酸基を有する固体微粒子が挙げられる。前記固体微粒子がその表面に水酸基を有するものであると、基材表面の濡れ性を向上させることができ、前記中間層の変形を抑制することができ、それにより前記基材と前記体積膨張剤含有液層を体積膨張させた体積膨張層との密着性を向上させることができる。
前記固体微粒子としては市販品を用いることができ、前記市販品としては、例えば、オルガノシリカゾルMA-ST-M、IPA-ST、MEK-ST-UP(日産化学株式会社製)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記中間層形成液全量に対する前記固体微粒子の固形分の含有量としては、1質量%以上50質量%以下が好ましく、5質量%以上30質量%以下がより好ましい。
前記中間層の平均厚み(付与量)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、5μm以上が好ましい。前記中間層の平均厚み(付与量)が5μm以上であると、前記基材と前記体積膨張層との密着性を向上させることができる。なお、平均厚みとは、硬化後・乾燥後の厚みである。前記中間層の平均厚み(付与量)の平均値の求め方としては、異なる場所5点の中間層を削り取り、その部分の基材から中間層表面までの高さを例えばキーエンス製レーザー顕微鏡VK-X100で計測し、平均値を算出することで得ることができる。
前記基材上に、前記中間層を形成する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ナイフコート法、ノズルコート法、ダイコート法、リップコート法、コンマコート法、グラビアコート法、ロータリースクリーンコート法、リバースロールコート法、ロールコート法、スピンコート法、ニーダーコート法、バーコート法、ブレードコート法、キャスト法、ディップ法、カーテンコート法等の塗工方法、インクジェット方式などが挙げられる。
また、前記中間層を形成する前に、前記基材にコロナ処理などの表面処理を施して中間層の塗膜均一性や密着性を高めることが好ましい。
<体積膨張剤含有液層形成工程及び体積膨張剤含有液層形成手段>
前記体積膨張剤含有液層形成工程は、前記中間層に体積膨張剤と重合性化合物aとを含有する体積膨張剤含有液を付与して体積膨張剤含有液層を形成する工程である。
体積膨張剤含有液層形成手段は、前記中間層に体積膨張剤と重合性化合物aとを含有する体積膨張剤含有液を付与して体積膨張剤含有液層を形成する手段である。
前記体積膨張剤含有液は、体積膨張剤及び重合性化合物aを含み、必要に応じて重合開始剤、重合促進剤、界面活性剤を含むことが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含む。
前記体積膨張剤含有液としては、熱硬化型組成物、活性エネルギー線硬化型組成物などが挙げられるが、凹凸形状の耐久性の点から、活性エネルギー線硬化型組成物がより好適である。
--体積膨張剤--
前記体積膨張剤としては、加熱されることにより体積が膨張する材料であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、熱膨張性マイクロカプセル、熱分解性発泡剤などが挙げられる。これらの中でも、高体積膨張倍率を有し、均一で小さい独立気泡を形成できる点から、熱膨張性マイクロカプセルが好ましい。なお、以下では、体積膨張剤を発泡剤と称することもある。
前記熱膨張性マイクロカプセルは、前記体積膨張剤を熱可塑性樹脂で包み込んだコアシェル構造の粒子であり、加熱により外殻の前記熱可塑性樹脂が軟化を始めるとともに、内包された発泡化合物の蒸気圧が上昇して粒子を変形させるのに十分な圧力となり、外殻の前記熱可塑性樹脂が引き伸ばされて膨張する。前記発泡化合物としては、例えば、低沸点の脂肪族炭化水素などが挙げられる。
前記熱膨張性マイクロカプセルとしては、市販品を用いることができ、前記市販品としては、例えば、積水化学工業株式会社製のアドバンセルEMシリーズ、AkzoNovel社製のExpancellDU、WU、MB、SL、FGシリーズ(日本国内では日本フィライト株式会社が販売)、松本油脂製薬株式会社製のマツモトマイクロスフェアーF、FNシリーズ、株式会社クレハ製のクレハマイクロスフェアーH750、H850、H1100などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記熱分解性発泡剤としては、例えば、有機系発泡剤、無機系発泡剤などが挙げられる。
前記有機系発泡剤としては、例えば、アゾジカルボン酸アミド(ADCA)、アゾビスイソブチルニトリル(AIBN)、p,p’-オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH)、ジニトロソペンタメチレンテトラミン(DPT)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記無機系発泡剤としては、例えば、炭酸水素ナトリウム等の炭酸水素塩、炭酸塩、炭酸水素塩と有機酸塩の組合せなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記体積膨張剤含有液全量に対する前記体積膨張剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記体積膨張剤含有液の全量に対して、1質量%以上20質量%以下が好ましく、3質量%以上15質量%以下がより好ましい。
<<重合性化合物a>>
前記重合性化合物aとしては、エネルギーが付与されることなどにより重合可能な化合物であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、単官能モノマー、多官能モノマー、単官能モノマーと多官能モノマーとの組み合わせなどが挙げられる。
-単官能モノマー-
前記単官能モノマーは、例えば、ビニル基、アクリロイル基、又はメタクリロイル基を分子構造中に1つ有する。
前記単官能モノマーとしては、例えば、γ-ブチロラクトン(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ホルマール化トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリル酸安息香酸エステル、(メタ)アクリロイルモルフォリン、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニルピロリドン、N-ビニルホルムアミド、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ジシクロペンタジエンビニルエーテル、トリシクロデカンビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、エチルオキセタンメチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、エトキシ(4)ノニルフェノール(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ガラス転移温度(Tg)が高く、堅牢性が良好な点から、イソボルニル(メタ)アクリレートが好ましい。
前記単官能モノマーの含有量は、前記体積膨張剤含有液の全量に対して、80質量%以上99.5質量%以下が好ましく、90質量%以上95質量%以下がより好ましい。
-多官能モノマー-
前記多官能モノマーは、例えば、ビニル基、アクリロイル基、又はメタクリロイル基を分子構造中に2つ以上有する化合物である。
前記多官能モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート〔CH=CH-CO-(OC)n-OCOCH=CH(n≒9)、同(n≒14)、同(n≒23)〕、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクレート〔CH=C(CH)-CO-(OC-OCOC(CH)=CH(n≒7)〕、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性グリセリルトリ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ポリエステルトリ(メタ)アクリレート、ポリエステルテトラ(メタ)アクリレート、ポリエステルペンタ(メタ)アクリレート、ポリエステルポリ(メタ)アクリレート、ポリウレタンジ(メタ)アクリレート、ポリウレタントリ(メタ)アクリレート、ポリウレタンテトラ(メタ)アクリレート、ポリウレタンペンタ(メタ)アクリレート、ポリウレタンポリ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、エトキシ化(4)ビスフェノールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記多官能モノマーにおける[分子量/官能数量]としては、250以上が好ましい。前記多官能モノマーにおける[分子量/官能数量]が、250以上であると、得られる印刷物の意匠性(体積膨張性)と堅牢性を両立できる。
前記体積膨張剤含有液中の前記多官能モノマーの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記重合性化合物aの全量に対して、0.5質量%以上20質量%以下であることが好ましく、5質量%以上10質量%以下であることがより好ましい。前記多官能モノマーの含有量が、前記重合性化合物aの全量に対して、10質量%以下であると、意匠性(体積膨張性)と堅牢性を両立できる。
前記体積膨張剤含有液中の前記重合性化合物aの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記体積膨張剤含有液全量に対して、60質量%以上90質量%以下が好ましく、70質量%以上85質量%以下がより好ましい。70質量%以上であると、体積膨張層中の体積膨張剤の接着性を高め、体積膨張させた後(後述する体積膨張層)においても中間層及び基材から体積膨張層が剥がれることを抑制することができ、製造される印刷物の耐久性を向上させることができる。
--重合開始剤--
前記重合開始剤としては、例えば、熱重合開始剤、光重合開始剤などが挙げられる。これらの中でも、凹凸形状による意匠性及び画像品質の耐久性の点から、光重合開始剤がより好ましい。
前記光重合開始剤としては、活性エネルギー線のエネルギーによって、ラジカルやカチオンなどの活性種を生成し、重合性化合物の重合を開始させることが可能なものであればよい。前記重合開始剤としては、公知のラジカル重合開始剤やカチオン重合開始剤、塩基発生剤等を、1種単独もしくは2種以上を組み合わせて用いることができ、これらの中でも、ラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。
前記重合開始剤の含有量は、十分な硬化速度を得るために、前記体積膨張剤含有液の全量に対して、1質量%以上20質量%以下が好ましく、5質量%以上15質量%以下がより好ましい。
前記ラジカル重合開始剤としては、例えば、芳香族ケトン類、アシルフォスフィンオキサイド化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物(例えば、チオキサントン化合物、チオフェニル基含有化合物等)、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、アルキルアミン化合物などが挙げられる。
前記重合促進剤(増感剤)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p-ジエチルアミノアセトフェノン、p-ジメチルアミノ安息香酸エチル、p-ジメチルアミノ安息香酸-2-エチルヘキシル、N,N-ジメチルベンジルアミン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のアミン化合物などが挙げられる。
前記重合促進剤の含有量は、特に制限はなく、使用する重合開始剤やその量に応じて適宜設定すればよい。
前記界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル、モノステアリン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、モノステアリン酸ジグリセリル、モノイソステアリン酸ジグリセリル等のグリセリン脂肪酸エステル、モノステアリン酸プロピレングリコールなどのグリコール脂肪酸エステル、モノステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタンなどのソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル、POE(4.2)ラウリルエーテル、POE(40)硬化ヒマシ油、POE(10)セチルエーテル、POE(9)ラウリルエーテル、POE(10)オレイルエーテル、モノオレイン酸POE(20)ソルビタン、モノラウリン酸POE(6)ソルビット、POE(15)セチルエーテル、モノパルミチン酸POE(20)ソルビタン、POE(15)オレイルエーテル、POE(100)硬化ヒマシ油、POE(20)POP(4)セチルエーテル、POE(20)セチルエーテル、POE(20)オレイルエーテル、POE(20)ステアリルエーテル、POE(50)オレイルエーテル、POE(25)セチルエーテル、POE(25)ラウリルエーテル、POE(30)セチルエーテル、POE(40)セチルエーテル等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記界面活性剤の含有量としては、前記体積膨張剤含有液の全量に対して、0.1質量%以上2質量%以下が好ましい。
--その他の成分--
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、充填剤、体積膨張促進剤、増粘剤、防腐剤、安定剤、脱臭剤、蛍光剤、紫外線遮断剤などが挙げられる。
前記充填剤としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化第一鉄、塩基性炭酸亜鉛、塩基性炭酸鉛、珪砂、クレー、タルク、シリカ類、二酸化チタン、珪酸マグネシウムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムが好ましい。
前記体積膨張促進剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ナフテン酸亜鉛、酢酸亜鉛、プロピオン酸亜鉛、2-エチルペンタン酸亜鉛、2-エチル-4-メチルペンタン酸亜鉛、2-メチルヘキサン酸亜鉛、2-エチルヘキサン酸亜鉛、イソオクチル酸亜鉛、n-オクチル酸亜鉛、ネオデカン酸亜鉛、イソデカン酸亜鉛、n-デカン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、イソステアリン酸亜鉛、12-ヒドロキシステアリン酸亜鉛、ベヘン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、リノ一ル酸亜鉛、リノレイン酸亜鉛、リシノール酸亜鉛、安息香酸亜鉛、o、m又はp-トルイル酸亜鉛、p-t-ブチル安息香酸亜鉛、サリチル酸亜鉛、フタル酸亜鉛、フタル酸モノアルキル(C4~18)エステルの亜鉛塩、デヒドロ酢酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、アミノクロトン酸亜鉛、2-メルカプトベンゾチアゾールの亜鉛塩、ジンクピリチオン、尿素又はジフェニル尿素の亜鉛錯体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記増粘剤としては、例えば、ポリシアノアクリレート、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリアクリル酸アルキルエステル、ポリメタクリル酸アルキルエステルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記防腐剤としては、従来から使用されモノマーの重合を開始させないもの、例えば、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、クロロクレゾールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記安定剤としては、例えば、貯蔵中のモノマーの重合を抑制する目的を果たし、アニオン性安定剤、フリーラジカル安定剤などが挙げられる。
アニオン性安定剤としては、例えば、メタリン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、アルキルスルホン酸、五酸化リン、塩化鉄(III)、酸化アンチモン、2,4,6-トリニトロフェノール、チオール、アルキルスルホニル、アルキルスルホン、アルキルスルホキシド、亜硫酸アルキル、スルトン、二酸化硫黄、三酸化硫黄などが挙げられる。
フリーラジカル安定剤としては、例えば、ヒドロキノン、カテコール、又はこれらの誘導体などが挙げられる。
前記体積膨張剤含有液は、上述した各種成分を用いて作製することができ、その調製手段や条件は特に限定されないが、例えば、体積膨張剤と重合性化合物等をボールミル、キティーミル、ディスクミル、ピンミル、ダイノーミルなどの分散機に投入し、分散させて、重合開始剤、界面活性剤などを混合させることにより調製することができる。
前記体積膨張剤含有液の静的表面張力は、例えば協和界面科学製自動表面張力計DY-300により、プレート法やリング法で測定することができる。その静的表面張力は、用途や適用手段に応じて適宜調整すればよいが、25℃において15mN/m以上50mN/m以下が好ましい。
また、前記体積膨張剤含有液の粘度は、例えばアントンパール製レオメーターMCR301により、コーンプレートCP25-1を使用して、シアレート10/s、20℃~65℃の範囲で適宜設定して測定することができる。その粘度は、用途や適用手段に応じて適宜調整すればよいが、25℃において10mPa・s以上20,000mPa・s以下が好ましい。
前記中間層上に、前記体積膨張剤含有液を付与して前記体積膨張剤含有液層を形成する手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ナイフコート法、ノズルコート法、ダイコート法、リップコート法、コンマコート法、グラビアコート法、ロータリースクリーンコート法、リバースロールコート法、ロールコート法、スピンコート法、ニーダーコート法、バーコート法、ブレードコート法、キャスト法、ディップ法、カーテンコート法等の塗工方法、インクジェット方式などが挙げられる。
前記体積膨張剤含有液の付与量(体積膨張剤含有液層の平均厚み)は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、高い意匠性を得るためには50μm以上が好ましい。ここで言う平均厚みとは、硬化後及び体積膨張前の平均厚みである。平均厚みの平均値の求め方としては、異なる場所5点の(中間層を含んだ)体積膨張層を削り取り、その部分の基材から体積膨張剤含有液層表面までの高さを、例えば、キーエンス製レーザー顕微鏡VK-X100で計測し、中間層の平均厚みを除した平均値を算出することで得られる。
また、前記体積膨張剤含有液層を形成する前に、前記中間層の表面にコロナ処理などの表面処理を施して体積膨張層の塗膜均一性や密着性を高めることが好ましい。
<インク受容液層形成工程及びインク受容液層形成手段>
前記インク受容液層形成工程は、前記体積膨張剤含有液層上に、重合性化合物bを含有するインク受容液層形成液を付与してインク受容液層を形成する工程である。
前記インク受容液層形成手段は、前記体積膨張剤含有液層上に、重合性化合物bを含有するインク受容液層形成液を付与してインク受容液層を形成する手段である。
前記インク受容液層形成工程は前記インク受容液層形成手段により好適に実施することができる。
-インク受容液層形成液-
前記インク受容液層形成液は、後述するインクを受容するためのインク受容液層を形成するための液であり、重合性化合物bを含有し、重合開始剤、重合促進剤、界面活性剤、顔料を含有することが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
前記重合性化合物bとしては、前記重合性化合物aと同様のものを用いることができる。
前記重合開始剤、前記重合促進剤、前記界面活性剤、及びその他の成分についても、前記体積膨張剤含有液に用いたものと同様のものを用いることができる。
前記インク受容液層形成液が、重合性化合物bを含有することにより、即座に硬化させることができるためビーディングやブリーディングなどの画像乱れを抑え画質に優れる印刷物を得ることができる。
また、前記インク受容液層形成液は、前記インク受容液層形成液の静的表面張力は、用途や適用手段に応じて適宜調整すればよいが、25℃において15mN/m以上50mN/m以下が好ましい。
また、前記インク受容液層形成液の粘度は、用途や適用手段に応じて適宜調整すればよいが、25℃において10mPa・s以上20,000mPa・s以下が好ましい。
前記インク受容液層形成液の調製方法としては、上述した各種成分を混合して調製することができ、その調製手段や条件は特に限定されないが、例えば、重合性モノマー、顔料、分散剤等をボールミル、キティーミル、ディスクミル、ピンミル、ダイノーミルなどの分散機に投入し、分散させて顔料分散液を調製し、当該顔料分散液に更に重合性モノマー、開始剤、重合禁止剤、界面活性剤などを混合させることにより調製することができる。
前記体積膨張剤含有液層上に、前記インク受容液層形成液を塗布する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ナイフコート法、ノズルコート法、ダイコート法、リップコート法、コンマコート法、グラビアコート法、ロータリースクリーンコート法、リバースロールコート法、ロールコート法、スピンコート法、ニーダーコート法、バーコート法、ブレードコート法、キャスト法、ディップ法、カーテンコート法等の塗工方法、インクジェット方式などが挙げられる。
硬化後及び体積膨張前の前記インク受容液層の平均厚みとしては、基材によらず安定した高い画像品質と堅牢性のある印刷物を得ることができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1μm以上が好ましく、1μm以上100μm以下がより好ましく、30μm以上50μm以下がさらに好ましい。
硬化後及び体積膨張前の前記インク受容液層の平均厚みの求め方としては、異なる場所5点の硬化後及び体積膨張前の層を削り取り、前記体積膨張剤含有液層とインク受容液層からなる層の断面を、例えば、キーエンス製レーザー顕微鏡VK-X100で観察し、硬化後の前記インク受容液層の平均厚みを計測し、平均値を算出することで得られる。
<硬化前画像形成工程及び硬化前画像形成手段>
前記硬化前画像形成工程は、前記インク受容液層に色材及び重合性化合物cを含有するインクを付与して硬化前画像を形成する工程である。
前記硬化前画像形成手段は、前記インク受容液層に色材及び重合性化合物cを含有するインクを付与して硬化前画像を形成する手段である。
前記硬化前画像形成工程は、前記硬化前画像形成手段により好適に実施することができる。
なお、本発明における「硬化前画像」には、前記インクを用いて印刷したもの(文字、図形、記号、写真、ベタ画像など)全てが含まれる。
前記硬化前画像形成工程では、前記インクを前記インク受容液層の表面に付与する。
-インク-
前記インクは、重合性化合物cを含有し、重合開始剤、色材を含有することが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
--重合性化合物c--
前記重合性化合物cとしては、前記重合性化合物aと同様のものを用いることができる。
前記インクにおける前記重合性化合物cが単官能モノマー及び多官能モノマーを含むことが好ましい。
前記重合性化合物cの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記インクの全量に対して、70質量%以上95質量%以下が好ましい。
前記インクが重合性化合物cを含有することにより、堅牢性に優れる画像を有する印刷物を得ることができる。
--重合開始剤--
前記重合開始剤としては、前記インク受容液層形成液におけるものと同様のものを用いることができる。
--色材--
前記色材としては、本発明における前記インクの目的や要求特性に応じて、ブラック、マゼンタ、シアン、イエロー、グリーン、オレンジ、パープル、ホワイト、金や銀等の光沢色、などを付与する種々の顔料を用いることができる。
前記色材の含有量は、所望の色濃度やインク中における分散性等を考慮して適宜決定すればよく、特に限定されないが、インクの全量に対して、0.1質量%以上20質量%以下が好ましい。
前記色材としては、無機顔料、有機顔料を使用することができる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記無機顔料としては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄、酸化チタンを使用することができる。
前記有機顔料としては、例えば、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、染色レーキ(例えば、塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ等)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどが挙げられる。
また、前記顔料の分散性をより良好なものとするため、分散剤を更に含んでもよい。
前記分散剤としては、特に限定されないが、例えば、高分子分散剤などの顔料分散物を調製するのに慣用されている分散剤が挙げられる。
--その他の成分--
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機溶媒、界面活性剤、重合禁止剤、レベリング剤、消泡剤、蛍光増白剤、浸透促進剤、湿潤剤(保湿剤)、定着剤、粘度安定化剤、防錆剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などが挙げられる。
前記有機溶媒は可能であれば含まないほうが好ましい。前記有機溶媒、特に、揮発性の有機溶媒を含まない(VOC(Volatile Organic Compounds)フリー)組成物であれば、当該組成物を扱う場所の安全性がより高まり、環境汚染防止を図ることも可能となる。なお、「有機溶媒」とは、例えば、エーテル、ケトン、キシレン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、トルエンなどの一般的な非反応性の有機溶媒を意味するものであり、反応性モノマーとは区別すべきものである。また、有機溶媒を「含まない」とは、実質的に含まないことを意味し、0.1質量%未満であることが好ましい。
前記インクの調製方法としては、上述した各種成分を用いて調整することができ、その調製手法や条件は特に限定されないが、例えば、重合性モノマー、顔料、分散剤等をボールミル、キティーミル、ディスクミル、ピンミル、ダイノーミルなどの分散機に投入し、分散させて顔料分散液を調製し、当該顔料分散液に更に重合性モノマー、開始剤、重合禁止剤、界面活性剤などを混合させることにより調製することができる。
前記インクの静的表面張力としては、用途や適用手段に応じて適宜調整すればよいが、25℃において20mN/m以上55mN/m以下が好ましい。
また、前記インクの粘度は、用途や適用手段に応じて適宜調整すればよいが、25℃において1mPa・s以上100mPa・s以下が好ましい。
前記インクを前記インク受容液層上に付与して画像を形成する手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクジェット方式が、優れた画像品質で様々な画像パターンに対してフレキシブルに対応できる点から好ましい。
前記インクジェット法としては、例えば、吐出ヘッドの駆動方式としては、PZT等を用いた圧電素子アクチュエータ、熱エネルギーを作用させる方式、静電気力を利用したアクチュエータなどを利用したオンデマンド型のヘッドを用いることもできるし、連続噴射型の荷電制御タイプのヘッドなどを用いることもできる。
前記インクは、含有する色材(顔料)によって三種類又は四種類、若しくはそれ以上の種類のインクであり、それぞれを個別のインクジェットヘッドによって付与する。また、1つのヘッドが複数のノズル列を有し、各ノズル列から、異なる種類のインクを吐出するヘッドを用いてもよい。求める画像解像度や走査回数によって、各色で必要なヘッドノズル密度は変わる。前記ヘッドノズル密度としては、例えば、240npi(nozzle per inch)、300npi、600npi、1,200npiなどがある。
前記インクの前記インク受容液層上への付与量としては、前記インク受容液層への付与量の総量は3μL/cm以下が好ましい。前記インクの前記インク受容液層上への付与量の総量が、3μL/cm以下であると、合一や混色及び色域低下を抑制することができる。
前記インクの液滴の吐出速度としては、5m/s以上15m/s以下が好ましい。前記インクの液滴の吐出速度が、5m/s以上15m/s以下であると、吐出を安定に行うことができる。
吐出される液滴のドット密度(画像解像度)は240dpi×240dpi(dot per inch)以上が好ましい。
硬化後の前記インクにより形成された画像の平均厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、1μm以上20μm以下が好ましく、1μm以上10μm以下がより好ましい。
また本発明では、前記インク受容液層形成液により形成されたインク受容液層の平均厚みよりも、前記インクにより形成された画像の平均厚みのほうが薄くなるようにすることが好ましい。前記インク受容液層形成液により形成されたインク受容液層の平均厚みよりも、前記インクにより形成された画像の平均厚みのほうを薄くすることにより、前記インク受容液層形成液に前記インクを埋め込むことができ、結果として堅牢性の高い印刷物を得ることができる。前記インク受容液層形成液により形成されたインク受容液層の平均厚みと、前記インクにより形成された画像の平均厚みとの差は、100μm以下であることが好ましい。
さらに本発明では、前記インク受容液層形成液により形成されたインク受容液層の平均厚みと、前記インクにより形成された画像の平均厚みの和が、1μm以上100μm以下であることが好ましい。前記インク受容液層形成液により形成されたインク受容液層の平均厚みと、前記インクにより形成された画像の平均厚みの和が、1μm以上100μm以下であると、基材によらず安定した高い画像品質と堅牢性のある印刷物を得ることができる。
前記平均厚みの求め方としては、例えば、異なる場所5点の硬化後のインク層(画像)とインク受容液層を削り取り、その部分の基材から画像(インク層)表面までの高さを例えばキーエンス製レーザー顕微鏡VK-X100で計測し、平均値を算出することで得ることができる。
<その他の工程及びその他の手段>
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、体積膨張抑制液付与工程、透明層形成工程、硬化工程、体積膨張層形成工程、エンボス加工工程、曲げ加工工程などが挙げられる。
前記その他の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、体積膨張抑制液付与手段、透明層形成手段、硬化手段、体積膨張層形成手段、エンボス加工手段、曲げ加工手段などが挙げられる。
前記その他の工程は、前記その他の手段により好適に実施することができる。
<<体積膨張抑制液付与工程及び体積膨張抑制液付与手段>>
前記体積膨張抑制液付与工程は、前記体積膨張剤含有液層における所定の領域に体積膨張抑制液を付与する工程である。
前記体積膨張抑制液付与手段は、前記体積膨張剤含有液層における所定の領域に体積膨張抑制液を付与する手段である。
前記体積膨張抑制液付与工程を行う場合には、前記体積膨張剤含有液層の形成後、前記インク受容液層の形成前に行うことが好ましい。
-体積膨張抑制液-
前記体積膨張抑制液は、重合性化合物を含有し、更に必要に応じて重合開始剤、界面活性剤などその他の成分を含有する。
前記重合性化合物としては、例えば、多官能モノマー、多官能オリゴマーなどが挙げられる。前記重合性化合物としては、前記体積膨張剤含有液に用いられるものと同様のものを用いることができ、例えば、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレ-ト、1,3-ブチレングリコールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、ジエチレンクリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレートなどが挙げられる。また、異なる多官能モノマーの混合物、多官能モノマーと単官能モノマーを混合物や、多官能を有するオリゴマーと単官能モノマーの混合物、単官能モノマー、多官能モノマー、多官能を有するオリゴマーとの混合物を用いることができる。
前記体積膨張抑制液が、多官能の重合性化合物を含有することにより、エネルギー付与により3次元架橋するので、体積膨張剤含有液層の任意の領域に体積膨張抑制液を付与しエネルギーを付与することで、体積膨張のオンオフ(その領域を体積膨張させるか否か)を正確に制御でき、印刷物に優れた凹凸形状による意匠性を付与することができる。
前記体積膨張抑制液を付与する、前記体積膨張剤含有液層における所定の領域としては、例えば、製造する印刷物の凹凸形状のデータに基づいて特定することができる。前記体積膨張抑制液付与工程においては、例えば、製造する印刷物における凹凸形状のデータで、凹部(体積膨張剤含有液層を体積膨張させない領域)となっている部分に、前記体積膨張抑制液を付与して接触させ、後述する体積膨張層形成工程における体積膨張剤含有層(硬化後の体積膨張剤含有液層)の体積膨張を抑制して、任意の凹凸形状を形成することができる。
前記重合開始剤、前記界面活性剤、及び前記その他の成分としては、前記体積膨張剤含有液に用いられるものと同様のものを用いることができる。
前記体積膨張抑制液の静的表面張力は、用途や適用手段に応じて適宜調整すればよいが、25℃において20mN/m以上55mN/m以下が好ましい。
また、前記体積膨張抑制液の粘度は、用途や適用手段に応じて適宜調整すればよいが、25℃において1mPa・s以上100mPa・s以下が好ましい。
前記体積膨張抑制液を付与する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクジェット方式が、様々な体積膨張パターン(体積膨張抑制パターン)に対してフレキシブルに対応できる点から好ましい。
前記インクジェット方式としては、例えば、吐出ヘッドの駆動方式としては、PZT等を用いた圧電素子アクチュエータ、熱エネルギーを作用させる方式、静電気力を利用したアクチュエータなどを利用したオンデマンド型のヘッドを用いることもできるし、連続噴射型の荷電制御タイプのヘッドなどを用いることもできる。
前記体積膨張抑制液の付与量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、凹凸の段差を表現するために体積膨張剤含有液層の表面積に対する付与量を変えることで様々なパターンが得られる。前記体積膨張抑制液の付与量としては、例えば、前記体積膨張剤含有液層の表面に対して、3μL/cm以下が好ましい。
前記体積膨張抑制液の液滴の吐出速度としては、5m/s以上15m/s以下が好ましい。前記体積膨張抑制液の液滴の吐出速度が、5m/s以上15m/s以下であると、吐出を安定に行うことができる。
吐出される液滴のドット密度(画像解像度)は240dpi×240dpi(dot per inch)以上が好ましい。
<<透明層形成工程及び透明層形成手段>>
前記透明層形成工程は、重合性化合物を含有し、色材を含有しない透明層形成液を前記硬化前画像上に付与して透明層を形成する工程である。
前記透明層形成手段は、重合性化合物を含有し、色材を含有しない透明層形成液を前記硬化前画像上に付与して透明層を形成する手段である。
前記透明層形成工程は、前記硬化前画像形成工程後に行う。
前記重合性化合物としては、前記体積膨張剤含有液に用いられているものと同様のものを用いることができる。
前記透明層形成液を前記硬化前画像上に付与する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記体積膨張剤含有液層の形成に用いた方法と同様の方法を用いることができる。
前記透明層を前記硬化前画像上形成することによって、形成した前記硬化前画像、及び硬化後画像の保存性を向上させることができる。
<<硬化工程及び硬化手段>>
前記硬化工程は、外部刺激により、前記体積膨張剤含有液層、前記インク受容液層、及び前記硬化前画像(インク層)を硬化する工程である。
前記硬化手段は、外部刺激により、前記体積膨張剤含有液層、前記インク受容液層、及び前記硬化前画像(インク層)を硬化する手段である。
前記体積膨張剤含有液層、前記インク受容液層、及び前記硬化前画像(インク層)を硬化することによって、一体化した硬化物を得ることができる。なお、前記体積膨張剤含有液層、前記インク受容液層、及び前記硬化前画像(インク層)を硬化した層を、それぞれ、前記体積膨張剤含有層、前記インク受容層、及び前記硬化後画像と称することがある。
前記外部刺激としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、活性エネルギー線、熱などが挙げられる。
前記活性エネルギー線としては、紫外線の他、電子線、α線、β線、γ線、X線等の、組成物中の重合性成分の重合反応を進める上で必要なエネルギーを付与できるものであればよく、特に限定されない。特に高エネルギーな光源を使用する場合には、重合開始剤を使用しなくても重合反応を進めることができる。また、紫外線照射の場合、環境保護の観点から水銀フリー化が強く望まれており、GaN系半導体紫外発光デバイスへの置き換えは産業的、環境的にも非常に有用である。更に、紫外線発光ダイオード(UV-LED)及び紫外線レーザダイオード(UV-LD)は小型、高寿命、高効率、低コストであり、紫外線光源として好ましい。
硬化条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、紫外線の場合には、照射距離2mmにおいて6W/cm以上の強度で照射できる照射装置を用いることが好ましい。
電子線の場合には、硬化させたい電子線照射装置から最も遠い箇所に15kGy以上の線量となる加速電圧であることが好ましい。
<<体積膨張層形成工程及び体積膨張層形成手段>>
前記体積膨張層形成工程は、前記体積膨張剤含有層を加熱して体積膨張層を形成する工程である。
前記体積膨張層形成工程は、前記体積膨張剤含有層を加熱して体積膨張層を形成する手段である。
前記体積膨張層形成手段としては、加熱により前記体積膨張剤含有層の体積膨張剤を体積膨張させることができる手段であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、赤外線ヒーター、温風ヒーター、加熱ローラー、高周波誘電加熱ヒーターなどが挙げられる。
前記体積膨張層形成工程における加熱温度としては、前記体積膨張剤の体積膨張温度以上であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、100℃以上250℃以下が好ましい。
前記体積膨張層形成工程を行うタイミングとしては、前記体積膨張剤含有液層形成工程の実施以降であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。より具体的には、例えば、上述したように、前記体積膨張剤含有液層形成工程において、前記体積膨張剤含有液にエネルギーを付与して硬化させる際に、体積膨張層形成工程を一括して行ってもよいし、各層(例えば、前記中間層、前記体積膨張剤含有層、前記硬化後画像)の形成が終了した後に行ってもよい。
<<エンボス加工工程及びエンボス加工手段>>
エンボス加工工程は、印刷物に凹凸模様を形成する工程である。
エンボス加工手段は、印刷物に凹凸模様を形成する手段である。
エンボス加工工程においては、通常、壁紙、化粧材等に凹凸を付与する目的で使用されるエンボス加工、ケミカルエンボス加工、ロータリースクリーン加工、又は盛り上げ印刷等の方法を、適宜選択して使用することができる。
エンボス加工手段としては、例えば、加熱後冷却ローラーでエンボス加工する手段、及び熱ローラエンボスを用いて一度にエンボス加工する手段などが挙げられる。
エンボス加工によるエンボスの深さとしては、0.08mm以上0.50mm以下が好ましい。エンボスの深さが、0.08mm以上であると、立体感を向上させることができ、0.50mm以下であると、表面の摩耗強さを向上させることができる。
エンボス加工により形成される凹凸模様の形状としては、例えば、木目版導管溝、石板表面凹凸、布表面テクスチュア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝などが挙げられる。
本発明の印刷物の製造方法及び本発明の印刷物の製造装置により製造される印刷物は、長期間に亘って優れた凹凸形状による意匠性及び画像品質を維持する耐久性に優れるので、例えば、床材、壁紙、内装材、壁材、巾木材、天井材、柱等の建築用材料などの用途に好適である。
ここで、本発明の印刷物の製造装置について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の印刷物の製造装置の一例を示す概略図である。この図1の印刷物の製造装置100は、基材11上に中間層形成液を付与するローラーコーター12と、前記中間層上に体積膨張剤含有液を付与するカーテンコーター21と、体積膨張剤抑制液をインクジェット法で付与するためのヘッド30と、活性エネルギー線照射装置31、インク受容液層形成液を付与するローラーコーター32、複数のインクをインクジェット法で付与するためのヘッドとして、ブラック用ヘッド33a、マゼンタ用ヘッド33b、シアン用ヘッド33c、イエロー用ヘッド33d、透明層形成液用ヘッド(不図示)からなる吐出ヘッドユニット、二つ目の活性エネルギー線照射装置34、加熱装置20を有している。なお、図1中、36は搬送ベルト、37は搬送ローラーである。基材11は搬送ベルト36と搬送ローラー37によって、図1中矢印方向に搬送される。
まず、基材表面に、中間層をローラーコーターで塗布し、次いで第1の活性エネルギー線硬化型組成物をカーテンコーター21により塗布し、所定の厚みの液膜(体積膨張剤含有液層)を形成する。次に、中間層及び体積膨張剤含有液層が形成された基材を所定の速度で走査させ、凹凸パターンに応じた体積膨張抑制液をヘッド30から体積膨張剤含有液層に吐出する。次に、活性エネルギー線照射装置31を用い、所定の領域に吐出した体積膨張抑制液を活性エネルギー線により、硬化する。
このように、凹凸パターンに応じて体積膨張剤含有液層を硬化させ、体積膨張抑制液を付与し硬化させた体積膨張剤含有液層と、体積膨張抑制液を付与せず半硬化させた体積膨張剤含有液層上とに、ローラーコーター32により、インク受容液層形成液を所定の厚みの液膜を形成する。次に、画像パターンに応じたインクをヘッド33a~33dからインク受容液層に吐出して硬化前画像を形成する。次に、活性エネルギー線照射装置34を用い、所定の照射条件で活性エネルギー線を照射し、前記インク受容液層及び前記硬化前画像を硬化する。
最後に、基材11上に中間層から硬化後画像を形成した印刷物を加熱装置20によって前記体積膨張剤含有液層内の体積膨張剤を加熱体積膨張させることにより、凹凸形状を形成させる。
前記印刷物の製造装置100は、印刷する基材の幅よりインクジェットヘッドで印刷できる幅のほうが大きく、走査回数が1回のシングルパス印刷装置の構成となっているが、基材の幅よりヘッドの幅が小さく、走査回数が複数できるような駆動機構(ヘッドユニット、または基材搬送)を設けたマルチパス印刷装置の構成となっていても構わない。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
<中間層形成液1の調製>
重合性化合物として1,4-シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート(三菱ケミカル株式会社製)10質量部、2-アクリロイルオキシエチルフタレート(新中村化学株式会社製)85質量部、重合開始剤としてOmnirad TPO(IGM Resins社製)5質量部を撹拌することにより、中間層形成液1を調製した。
上記中間層形成液1の25℃における静的表面張力は40mN/m、25℃における粘度は7,000mPa・sであった。
なお、25℃における静的表面張力は、協和界面科学製自動表面張力計DY-300により、プレート法で測定した。25℃における粘度は、アントンパール製レオメーターMCR301により、コーンプレートCP25-1を使用して、シアレート10/s、25℃に設定して測定した。以下、同様の方法で静的表面張力、及び粘度を測定した。
<体積膨張剤含有液A1の調製>
体積膨張剤としてクレハマイクロスフェアー(株式会社クレハ製、H750)15質量部、重合性化合物aとしてイソボルニルアクリレート(巴工業株式会社製)40質量部、2-アクリロイルオキシエチルフタレート(新中村化学株式会社製)40質量部、重合開始剤としてOmnirad TPO(IGM Resins社製)5質量部を撹拌することにより、体積膨張剤含有液A1を調製した。
上記体積膨張剤含有液A1の25℃における静的表面張力は33mN/m、25℃における粘度は130mPa・sであった。
<インク受容液層形成液A2の調製>
重合性化合物bとして2-アクリロイルオキシエチルサクシネート(新中村化学株式会社製)94質量部、重合開始剤としてOmnirad TPO(IGM Resins社製)5質量部、界面活性剤としてBYK-UV-3510(BYK社製)1質量部を撹拌することにより、インク受容液層形成液A2を調製した。
上記インク受容液層形成液A2の25℃における静的表面張力は20mN/m、25℃における粘度は190mPa・sであった。
<ブラックインクA-Bkの調製>
重合性化合物cとしてフェノキシエチルアクリレート(東京化成工業株式会社製)25質量部、アクリロイルモルフォリン(東京化成工業株式会社製)26質量部、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート(ダイセル・オルネクス株式会社製)35質量部、重合開始剤としてOmnirad TPO(IGM Resins社製)5質量部、界面活性剤/分散剤としてSolsperse32000(Lubrizol社製)2質量部、色材としてのSPECIAL BLACK 350(ブラック顔料、BASFジャパン社製)7質量部を撹拌することにより、ブラックインクA-Bkを調製した。
上記ブラックインクA-Bkの25℃における静的表面張力は24mN/m、25℃における粘度は25mPa・sであった。
<マゼンタインクA-Mの調製>
重合性化合物cとしてフェノキシエチルアクリレート(東京化成工業株式会社製)25質量部、アクリロイルモルフォリン(東京化成工業株式会社製)26質量部、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート(ダイセル・オルネクス株式会社製)35質量部、重合開始剤としてOmnirad TPO(IGM Resins社製)5質量部、界面活性剤/分散剤としてSolsperse32000(Lubrizol社製)2質量部、色材としてのCINQUASIA MAGENTA RT-355-D(マゼンタ顔料、BASFジャパン社製)7質量部を撹拌することにより、マゼンタインクA-Mを調製した。
上記マゼンタインクA-Mの25℃における静的表面張力は24mN/m、25℃における粘度は25mPa・sであった。
<シアンインクA-Cの調製>
重合性化合物cとしてフェノキシエチルアクリレート(東京化成工業株式会社製)25質量部、アクリロイルモルフォリン(東京化成工業株式会社製)26質量部、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート(ダイセル・オルネクス株式会社製)35質量部、重合開始剤としてOmnirad TPO(IGM Resins社製)5質量部、界面活性剤/分散剤としてSolsperse32000(Lubrizol社製)2質量部、色材としてのIRGALITE BLUE GLVO(シアン顔料、BASFジャパン社製)40質量部を撹拌することにより、シアンインクA-Cを調製した。
上記シアンインクA-Cの25℃における静的表面張力は24mN/m、25℃における粘度は25mPa・sであった。
<イエローインクA-Yの調製>
重合性化合物cとしてフェノキシエチルアクリレート(東京化成工業株式会社製)25質量部、アクリロイルモルフォリン(東京化成工業株式会社製)26質量部、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート(ダイセル・オルネクス株式会社製)35質量部、重合開始剤としてOmnirad TPO(IGM Resins社製)5質量部、界面活性剤/分散剤としてSolsperse32000(Lubrizol社製)2質量部、色材としてのNOVOPERM YELLOW H2G(イエロー顔料、クラリアント社製)40質量部を撹拌することにより、イエローインクA-Yを調製した。
上記イエローインクA-Yの25℃における静的表面張力は24mN/m、25℃における粘度は25mPa・sであった。
次に、図1に示す印刷物の製造装置100と、調製した中間層形成液1、体積膨張剤含有液A1、インク受容液層形成液A2、ブラックインクA-Bk、マゼンタインクA-M、シアンインクA-C、及びイエローインクA-Yとを用いて、以下の通りにして印刷物1を得た。
厚み9mmのMDF(中密度繊維板、住友林業株式会社製N.P.ウッド)基材11の上に、ローラーコーター12(松尾産業株式会社製、イージープルーフ)を用いて、中間層形成液を5μmの厚みで塗布した。オーブン(不図示)で乾燥させた後、カーテンコーター21(チェフラ社製、ラボ用フローコーター)を用いて、中間層上に体積膨張剤含有層形成液を100μmの厚みで塗布した。その後、活性エネルギー線照射装置31(浜松ホトニクス製、リニア照射型UV-LED光源GJ-75)を用い、基材表面から10mm離れた位置からUV照射を行い、体積膨張剤含有液層を硬化させた。
次いで、硬化させた体積膨張剤含有液層上に、ローラーコーター32(松尾産業株式会社製、イージープルーフ)を用いて、インク受容液層形成液を6μmの厚みで塗布した。
次に、この基材を15m/minの速度で走査させ、インク用の吐出ヘッド14~17としてリコーインダストリー株式会社製のGEN5ヘッド(MH5420、150npi×4列)を用いて、ブラックインク用ヘッド33a、マゼンタインク用ヘッド33b、シアンインク用ヘッド33c、イエローインク用ヘッド33dを40℃に加温して、ブラックインクA-Bk、マゼンタインクA-M、シアンインクA-C、イエローインクA-Y、それぞれ7pLの液滴量、7m/sの液滴速度で吐出し、各色600dpi×600dpiの25%のドット密度でベタ画像を作成した。
次に、体積膨張剤含有液層の硬化で用いた活性エネルギー線照射装置34で同様に硬化前画像を硬化させた。イエローインク吐出から硬化までの時間を6秒とした。
最後に、加熱装置35で加熱発泡させた。加熱装置としては、日立産機システム株式会社製のルテックスブロアGシリーズ、関西電熱株式会社製の高温熱風発生用電気式ヒーターXS-2、関西電熱株式会社ハイブローノズル50ALを組み合わせて作製した加熱装置をノズル先端からの風速30m/sec、ノズル先端の温度200℃となるように調整したものを用いた。以上により、印刷物1を得た。
(実施例2)
実施例1において、中間層形成液1を下記の中間層形成液2に変更した以外は、実施例1と同様にして、印刷物2を得た。
<中間層形成液2の調整>
重合性化合物として、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(東京化成工業株式会社製)10質量部、2-アクリロイルオキシエチルフタレート(新中村化学株式会社製)85質量部、重合開始剤としてOmnirad TPO(IGM Resins社製)5質量部を撹拌することにより、中間層形成液2を調製した。
上記中間層形成液2の25℃における静的表面張力は40mN/m、25℃における粘度は6,000mPa・sであった。
(実施例3)
実施例1において、中間層形成液1を分散型樹脂としてボンコートW-26(DIC株式会社製)の中間層形成液3に変更し、中間層形成液3を塗布後、100℃のオーブンで1分間乾燥した以外は、実施例1と同様して、印刷物3得た。
(実施例4)
実施例1において、中間層形成液1を溶解型樹脂としてファインタックCT-5020(DIC株式会社製)の中間層形成液4に変更し、中間層形成液4を塗布後、100℃のオーブンで1分間乾燥した以外は、実施例1と同様して、印刷物4得た。
(実施例5)
実施例1において、中間層形成液1を下記の中間層形成液5に変更した以外は、実施例1と同様にして、印刷物5を得た。
<中間層形成液5の調整>
分散型樹脂としてボンコートW-26(DIC株式会社製)90質量部、固体微粒子としてオルガノシリカゾルIPA-ST-UP(日産化学株式会社製)10質量部を撹拌することにより、中間層形成液5を調製した。
(実施例6)
実施例1において、中間層形成液1を下記の中間層形成液6に変更した以外は、実施例1と同様にして、印刷物6を得た。
<中間層形成液6の調整>
溶解型樹脂としてファインタックCT-5020(DIC株式会社製)90質量部、固体微粒子としてオルガノシリカゾルMEK-ST-UP(日産化学株式会社製)10質量部を撹拌することにより、中間層形成液6を調製した。
(比較例1)
実施例1において、中間層を形成せずに基材に直接体積膨張剤含有液を塗布した以外は、実施例1と同様にして、印刷物7を得た。
Figure 0007380083000001
次に、得られた実施例1~6及び比較例1の各印刷物1~7について、以下のようにして、「耐久性」を評価した。評価結果を表2に示す。
<耐久性>
印刷物の密着性(耐久性)をクロスカット法で評価した。1mm幅で5×5のマス目ができるように印刷物にカッターで切り込みを入れ、JIS K5600に基づき、10±1N/25mm幅の粘着力を持つ粘着テープ(コーテック社製、商品名:CCI-1付属テープ)を印刷物の全面に貼り付け、できるだけ60°に近い角度で0.5秒間~1秒間の時間で印刷物からテープを剥がす。残存している印刷物の体積膨張層及び印刷層の残存率の割合を計測し、下記評価基準に基づき評価した。
[評価基準]
◎:体積膨張層及び印刷層の残存率が90%以上
○:体積膨張層及び印刷層の残存率が50%以上90%未満
×:体積膨張層及び印刷層の残存率が50%未満
Figure 0007380083000002
表2の結果から、実施例1~6の印刷物は、比較例1の印刷物に比べて、印刷物の耐久性が良好であることが分かった。
本発明の態様は、例えば、以下の通りである。
<1> 基材上に中間層形成液を付与して中間層を形成する中間層形成工程と、
前記中間層に体積膨張剤と重合性化合物aとを含有する体積膨張剤含有液を付与して体積膨張剤含有液層を形成する体積膨張剤含有液層形成工程と、
前記体積膨張剤含有液層上に、重合性化合物bを含有するインク受容液層形成液を付与してインク受容液層を形成するインク受容液層形成工程と、
前記インク受容液層に、色材及び重合性化合物cを含有するインクを付与して硬化前画像を形成する硬化前画像形成工程と、を含むことを特徴とする印刷物の製造方法である。
<2> 前記中間層形成液が、重合性化合物、分散型樹脂、溶解型樹脂、及び固体微粒子の少なくともいずれかを含有する、前記<1>に記載の印刷物の製造方法である。
<3> 前記重合性化合物が、ガラス転移点が低い重合体が得られる重合性化合物、並びに、分子末端に、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、スルホ基、及びホスホ基を少なくとも有する重合性化合物の少なくともいずれかである、前記<2>に記載の印刷物の製造方法である。
<4> 前記分子末端に、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、スルホ基、及びホスホ基を少なくとも有する重合性化合物が、1,4-シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート、2-アクリロイルオキシエチルサクシネート、4-ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸である、前記<2>から<3>のいずれかに記載の印刷物の製造方法である。
<5> 前記分散型樹脂が、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン-ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル-スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン系樹脂、エポキシ系樹脂である、前記<2>から<4>のいずれかに記載の印刷物の製造方法である。
<6> 前記溶解型樹脂が、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂といった樹脂をメチルエチルケトン、ジオキサン、ヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの溶剤に溶解させたものである、前記<2>から<5>のいずれかに記載の印刷物の製造方法である。
<7> 前記固体微粒子が、その表面に水酸基を有する、前記<2>から<6>のいずれかに記載の印刷物の製造方法である。
<8> 更に、前記体積膨張剤含有液層、前記インク受容液層、及び前記硬化前画像の少なくともいずれかに対して活性エネルギー線を照射して硬化させる硬化工程を含む、前記<1>から<7>のいずれかに記載の印刷物の製造方法である。
<9> 前記活性エネルギー線が、紫外線及び電子線の少なくともいずれかである、前記<8>に記載の印刷物の製造方法である。
<10> 更に、前記体積膨張剤含有液層を硬化した前記体積膨張剤含有層を加熱して体積膨張層を形成する体積膨張層形成工程を含む、前記<1>から<9>のいずれかに記載の印刷物の製造方法である。
<11> 基材上に中間層形成液を付与して中間層を形成する中間層形成手段と、
前記中間層に体積膨張剤と重合性化合物aとを含有する体積膨張剤含有液を付与して体積膨張剤含有液層を形成する体積膨張剤含有液層形成手段と、
前記体積膨張剤含有液層上に、重合性化合物bを含有するインク受容液層形成液を付与してインク受容液層を形成するインク受容液層形成手段と、
前記インク受容液層に、色材及び重合性化合物cを含有するインクを付与して硬化前画像を形成する硬化前画像形成手段と、を有することを特徴とする印刷物の製造装置である。
前記<1>から<10>に記載の印刷物の製造方法、及び前記<11>に記載の印刷物の製造装置によれば、従来における諸問題を解決し、本発明の目的を達成することができる。
11 基材
12、32 塗布ローラー
21 カーテンコーター
30 体積膨張抑制液用ヘッド
31、34 活性エネルギー線照射装置
33a ブラック用ヘッド
33b マゼンタ用ヘッド
33c シアン用ヘッド
33d イエロー用ヘッド
35 加熱装置
36 搬送ベルト
37 搬送ローラー
特許第5195999号公報 特開2007-291596号公報

Claims (5)

  1. 基材上に中間層形成液を付与して中間層を形成する中間層形成工程と、
    前記中間層に体積膨張剤と重合性化合物aとを含有する体積膨張剤含有液を付与して体積膨張剤含有液層を形成する体積膨張剤含有液層形成工程と、
    前記体積膨張剤含有液層上に、重合性化合物bを含有するインク受容液層形成液を付与してインク受容液層を形成するインク受容液層形成工程と、
    前記インク受容液層に、色材及び重合性化合物cを含有するインクを付与して硬化前画像を形成する硬化前画像形成工程と、を含むことを特徴とする印刷物の製造方法。
  2. 前記中間層形成液が、重合性化合物、分散型樹脂、溶解型樹脂、及び固体微粒子の少なくともいずれかを含有する、請求項1に記載の印刷物の製造方法。
  3. 更に、前記体積膨張剤含有液層、前記インク受容液層、及び前記硬化前画像の少なくともいずれかに対して活性エネルギー線を照射して硬化させる硬化工程を含む、請求項1から2のいずれかに記載の印刷物の製造方法。
  4. 更に、前記体積膨張剤含有液層を硬化した体積膨張剤含有層を加熱して体積膨張層を形成する体積膨張層形成工程を含む、請求項1から3のいずれかに記載の印刷物の製造方法。
  5. 基材上に中間層形成液を付与して中間層を形成する中間層形成手段と、
    前記中間層に体積膨張剤と重合性化合物aとを含有する体積膨張剤含有液を付与して体積膨張剤含有液層を形成する体積膨張剤含有液層形成手段と、
    前記体積膨張剤含有液層上に、重合性化合物bを含有するインク受容液層形成液を付与してインク受容液層を形成するインク受容液層形成手段と、
    前記インク受容液層に、色材及び重合性化合物cを含有するインクを付与して硬化前画像を形成する硬化前画像形成手段と、を有することを特徴とする印刷物の製造装置。
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