JP7364872B2 - 重荷重用空気入りタイヤ - Google Patents
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Description
ビード部はビードコアとその外周上の断面三角形状のゴム組成物からなるビードフィラーとを備えてなる。
このように重荷重用空気入りタイヤのウェットトラクション性、操縦安定性および転がり抵抗性をそれぞれ実用上十分なレベルに維持するのは困難な事項である。
すなわち本発明は以下の通りである。
前記アンダートレッドゴムは、天然ゴムを含むジエン系ゴムを含有し、
前記ジエン系ゴム100質量部中、ブタジエンゴムの占める割合が15質量部以下であり、
前記アンダートレッドゴムは、前記ジエン系ゴム100質量部に対し、窒素吸着比表面積(N2SA)が70~130m2/gのカーボンブラックを30質量部以上含み、
前記アンダートレッドゴムは、60℃におけるtanδ(tanδ@60℃(UT))が0.03~0.10であり、かつ20℃における貯蔵弾性率(E’@20℃(UT))が3.0~5.5であり、
前記ビードフィラーは、タイヤ径方向外側に位置する上ビードフィラーと、前記上ビードフィラーに対しタイヤ径方向内側に位置する下ビードフィラーとを備え、
前記上ビードフィラーの60℃におけるtanδ(tanδ@60℃(UBF))と前記(tanδ@60℃(UT))が下記関係式(1)を満たし、
前記下ビードフィラーの20℃における貯蔵弾性率(E’@20℃(LBF))と前記(E’@20℃(UT))が下記関係式(2)を満たし、かつ
前記キャップトレッドゴムと前記アンダートレッドゴムの合計質量(WT)に対する前記アンダートレッドゴムの質量(WU)が下記関係式(3)を満たす
ことを特徴とする重荷重用空気入りタイヤ。
0.3≦(tanδ@60℃(UBF))/(tanδ@60℃(UT))≦1.3 (1)
3.3≦(E’@20℃(LBF))/(E’@20℃(UT))≦6.0 (2)
0.05≦(WU)/(WT)≦0.45 (3)
2.前記カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)が、90~120m2/gであることを特徴とする前記1に記載の重荷重用空気入りタイヤ。
3.前記カーボンブラックの配合量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対し、35~50質量部であることを特徴とする前記1または2に記載の重荷重用空気入りタイヤ。
0.3≦(tanδ@60℃(UBF))/(tanδ@60℃(UT))≦1.3 (1)
3.3≦(E’@20℃(LBF))/(E’@20℃(UT))≦6.0 (2)
0.05≦(WU)/(WT)≦0.45 (3)
図1において、空気入りタイヤは左右一対のビード部1およびサイドウォール2と、両サイドウォール2に連なるトレッド3からなり、ビード部1、1間にタイヤ骨格をなすカーカス層4が装架され、カーカス層4の端部がビードコア5およびビードフィラー6の廻りにタイヤ内側から外側に折り返されて巻き上げられている。
トレッド3は、タイヤ接地面を構成するキャップトレッドゴム30と、キャップトレッドゴム30のタイヤ径方向内側に設けられたアンダートレッドゴム31とを備える。
ビードフィラー6は2つの部材から構成され、タイヤ径方向外側に位置する上ビードフィラー62と、前記上ビードフィラー62に対しタイヤ径方向内側に位置する下ビードフィラー64とを有する。
またカーカス層4の外側には、ベルト層7がタイヤ1周に亘って配置されている。ベルト層7の両端部には、ベルトクッション8が配置されている。空気入りタイヤの内面には、タイヤ内部に充填された空気がタイヤ外部に漏れるのを防止するために、インナーライナー9が設けられ、インナーライナー9を接着するためのタイゴム10が、カーカス層4とインナーライナー9との間に積層されている。
タイヤ径方向とは、タイヤ回転軸に直交する方向であり、タイヤ径方向内側とはタイヤ回転軸に近づく方向を指し、タイヤ径方向外側とはタイヤ回転軸から離れる方向を指す。
(1)前記アンダートレッドゴムにおいて、ジエン系ゴム100質量部中、NRの割合は80~100質量部が好ましい。
(2)前記アンダートレッドゴムにおいて、前記カーボンブラックの配合量は、ジエン系ゴム100質量部に対し、35~50質量部が好ましい。
(3)前記アンダートレッドゴムにおいて、前記カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)は85~125m2/gが好ましい。なおカーボンブラックは2種類以上をブレンドして用いてもよい。
なお本発明でいうNRは、合成イソプレンゴム(IR)を含むものとする。また窒素吸着比表面積(N2SA)は、JIS K 6217-2:2001「第2部:比表面積の求め方-窒素吸着法-単点法」にしたがって測定した値である。
(tanδ@60℃(UT))は、0.03~0.08がさらに好ましい。
(E’@20℃(UT))は、3.5~5.0がさらに好ましい。
なお、本明細書における60℃におけるtanδは、(株)東洋精機製作所製、粘弾性スペクトロメーターを用い、初期歪10%、振幅±2%、周波数20Hz、温度60℃の条件で測定される。
また、本明細書における20℃における貯蔵弾性率は、JIS K6394に準拠し、粘弾性スペクトロメーターを用いて、初期歪み10%、振幅±2%、周波数20Hz、20℃の条件で測定した値(MPa)とする。
本発明において、上ビードフィラーおよび下ビードフィラーの組成は、下記で説明する(tanδ@60℃(UBF))/(tanδ@60℃(UT))および(E’@20℃(LBF))/(E’@20℃(UT))の関係を満たすことができれば、とくに制限されず、適宜選択することができる。
例えば、ジエン系ゴム、シリカやカーボンブラック等の各種充填剤、カップリング剤、各種オイル、老化防止剤、可塑剤、酸化亜鉛などのビードフィラーに一般的に配合されている各種成分を配合することができる。また加硫の際は、公知の加硫又は架橋剤、加硫又は架橋促進剤を制限なく使用できる。これらの添加剤の配合量も、本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
なお硬度は、JIS K6253に準拠して20℃にて測定される。
例えば、ジエン系ゴム、シリカやカーボンブラック等の各種充填剤、カップリング剤、各種オイル、老化防止剤、可塑剤、酸化亜鉛などのキャップトレッドゴムに一般的に配合されている各種成分を配合することができる。また加硫の際は、公知の加硫又は架橋剤、加硫又は架橋促進剤を制限なく使用できる。これらの添加剤の配合量も、本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
例えばその他の部材のゴム組成物として、ジエン系ゴム、各種充填剤、各種オイル、老化防止剤、可塑剤、酸化亜鉛等の一般的に配合されている各種成分を配合することができる。また加硫の際は、公知の加硫又は架橋剤、加硫又は架橋促進剤を制限なく使用できる。これらの添加剤の配合量も、本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
0.3≦(tanδ@60℃(UBF))/(tanδ@60℃(UT))≦1.3 (1)
3.3≦(E’@20℃(LBF))/(E’@20℃(UT))≦6.0 (2)
前記(2)式における(E’@20℃(LBF))/(E’@20℃(UT))は、4.0~5.5がさらに好ましい。
また、(tanδ@60℃(UBF))は、0.03~0.10が好ましく、0.03~0.08がさらに好ましい。
(E’@20℃(LBF))は、15~30(MPa)が好ましく、20~30(MPa)がさらに好ましい。
0.05≦(WU)/(WT)≦0.45 (3)
(WU)/(WT)が0.05~0.45の範囲外である場合は、ウェットトラクション性、操縦安定性および転がり抵抗性をそれぞれ実用上十分なレベルに維持する空気入りタイヤを提供するという本発明の効果を奏することができない。
表1に示す配合(質量部)において、加硫促進剤と硫黄を除く成分を16リットルの密閉式バンバリーミキサーで5分間混練し、ゴムをミキサー外に放出して室温冷却した。次いで、該ゴムを同ミキサーに再度入れ、加硫促進剤および硫黄を加えてさらに混練し、各種アンダードレッドゴム組成物を得た。
5:「3」点に対し、操縦安定性に顕著な向上が見られる。
4:「3」点に対し、操縦安定性に向上が見られる。
3:基準
2:「3」点に対し、操縦安定性に劣っていた。
1:「3」点に対し、操縦安定性に顕著に劣っていた。
*2:BR(日本ゼオン(株)製Nipol BR1220)
*3:カーボンブラックISAF(キャボットジャパン社製ショウブラックN234、N2SA=123m2/g)
*4:カーボンブラックHAF(キャボットジャパン社製ショウブラックN339、N2SA=88m2/g)
*5:老化防止剤(精工化学(株)製オゾノン6C)
*6:ワックス(大内新興化学工業株式会社製パラフィンワックス)
*7:ステアリン酸(千葉脂肪酸(株)製工業用ステアリン酸N)
*8:酸化亜鉛(正同化学工業(株)製酸化亜鉛3種)
*9:硫黄(鶴見化学工業(株)製金華印油入微粉硫黄)
*10:加硫促進剤(大内新興化学工業(株)製ノクセラーNS-P)
これに対し、比較例1は、アンダートレッドゴムの60℃におけるtanδ(tanδ@60℃(UT))が本発明で規定する上限を超えているので、転がり抵抗性が悪化した。
比較例2は、(E’@20℃(UT))が本発明で規定する下限未満であるので、操縦安定性が悪化した。
比較例3は、(tanδ@60℃(UBF))/(tanδ@60℃(UT))および(E’@20℃(LBF))/(E’@20℃(UT))が本発明で規定する範囲外であるので、転がり抵抗性および操縦安定性が悪化した。
比較例4は、(WU)/(WT)が本発明で規定する上限を超えているので、ウェットトラクション性および操縦安定性が悪化した。
2 サイドウォール
3 トレッド
30 キャップトレッドゴム
31 アンダートレッドゴム
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
62 上ビードフィラー
64 下ビードフィラー
7 ベルト層
8 ベルトクッション
9 インナーライナー
Claims (3)
- タイヤビード部に設けられたビードフィラーと、タイヤ接地面を構成するキャップトレッドゴムと、前記キャップトレッドゴムのタイヤ径方向内側に設けられたアンダートレッドゴムとを備える重荷重用空気入りタイヤにおいて、
前記アンダートレッドゴムは、天然ゴムを含むジエン系ゴムを含有し、
前記ジエン系ゴム100質量部中、ブタジエンゴムの占める割合が15質量部以下であり、
前記アンダートレッドゴムは、前記ジエン系ゴム100質量部に対し、窒素吸着比表面積(N2SA)が70~130m2/gのカーボンブラックを30質量部以上含み、
前記アンダートレッドゴムは、60℃におけるtanδ(tanδ@60℃(UT))が0.03~0.10であり、かつ20℃における貯蔵弾性率(E’@20℃(UT))が3.0~5.5であり、
前記ビードフィラーは、タイヤ径方向外側に位置する上ビードフィラーと、前記上ビードフィラーに対しタイヤ径方向内側に位置する下ビードフィラーとを備え、
前記上ビードフィラーの60℃におけるtanδ(tanδ@60℃(UBF))と前記(tanδ@60℃(UT))が下記関係式(1)を満たし、
前記下ビードフィラーの20℃における貯蔵弾性率(E’@20℃(LBF))と前記(E’@20℃(UT))が下記関係式(2)を満たし、
前記キャップトレッドゴムと前記アンダートレッドゴムの合計質量(WT)に対する前記アンダートレッドゴムの質量(WU)が下記関係式(3)を満たし、
前記キャップトレッドゴムの60℃におけるtanδが0.03~0.25であり、かつ前記キャップトレッドゴムの20℃における硬度が50~80である
ことを特徴とする重荷重用空気入りタイヤ。
0.3≦(tanδ@60℃(UBF))/(tanδ@60℃(UT))≦1.3 (1)
3.3≦(E’@20℃(LBF))/(E’@20℃(UT))≦6.0 (2)
0.05≦(WU)/(WT)≦0.45 (3)
(ただし、前記20℃における貯蔵弾性率の単位はMPaである。) - 前記カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)が、90~120m2/gであることを特徴とする請求項1に記載の重荷重用空気入りタイヤ。
- 前記カーボンブラックの配合量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対し、35~50質量部であることを特徴とする請求項1または2に記載の重荷重用空気入りタイヤ。
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