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JP7358089B2 - 軽量盛土構造、および軽量盛土の製造方法 - Google Patents

軽量盛土構造、および軽量盛土の製造方法 Download PDF

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JP7358089B2 JP2019122169A JP2019122169A JP7358089B2 JP 7358089 B2 JP7358089 B2 JP 7358089B2 JP 2019122169 A JP2019122169 A JP 2019122169A JP 2019122169 A JP2019122169 A JP 2019122169A JP 7358089 B2 JP7358089 B2 JP 7358089B2
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Description

本発明は、軽量盛土構造、および軽量盛土の製造方法に関する。
発泡樹脂ブロックを用いた軽量盛土工法において、地震動による影響を実物大モデルによる振動台実証実験が実施されている。その結果、発泡スチロール(発泡ポリスチレン)製のブロック(以下、EPSブロックとも称される)上の道路面が一時的に浮き上がる現象が確認されたが、盛土の安定性の確保には問題ないことが実証できた。
しかし、非特許文献1には、地震動により弾性体であるEPSブロックが拡幅盛土等の切盛境や構造物取付部での段差などが発生し、道路走行機能を損なう場合に備え、対策を想定しておく必要性について記載がある。実際の地震によって、切盛境の変状から路面に亀裂・段差が発生した事例もあり、切盛境の変状を抑制する必要性がある。
ところで、従来の軽量盛土構造として、例えば特許文献1には、アンカーが支持地盤に埋設固定されたアンカーがコンクリート床版に固定されている構造が記載されている。なお、特許文献1に記載されている構造では、アンカーは、岩盤等の比較的硬い地盤に埋設固定されている。
また、特許文献2には、道路、鉄道、土地造成等の土木工事の際に、傾斜地に構築される擁壁構造が開示されている。特許文献2に記載されている構造は、発泡合成樹脂ブロックと傾斜地の傾斜面との間に、裏込め材として合成樹脂造粒物が充填されている。また、コンクリート床版は、アンカーにより水平方向に固定されている。このような構成とすることにより、擁壁構造の崩壊を防止している。
特開2003-74060号公報 特開平11-100846号公報
「最新EDO―EPS工法」発泡スチロール土木工法開発機構(編)、発行所:理工図書、2016年12月16日発行 p.103-104
ところで、EPSブロックを用いた軽量盛土はEPSブロック部分が土砂の1/100の重量であり、非常に軽量である。そして、EPSブロック上の舗装部分においては、路盤やアスファルト等が敷設される。このため、結果的に、軽量盛土は、上部の重量が比較的大きいトップヘビー構造となる。それゆえ、レベル2の地震動等の大規模な地震が発生した場合、天端(路面部)では揺れ(上下)が大きくなる現象が想定される。この現象は、ロッキングモードと称され、実物大振動実験により確認されている。
特許文献1に記載の軽量盛土構造のアンカーは、比較的硬い地盤(例えば岩盤)に対して固定するためのものであり、例えば、土砂で構成された砂質土等といった比較的柔らかい地盤(例えば盛土で構築した道路)に対して固定できない。それゆえ、特許文献1に記載の技術では、岩盤等がない場合、施工しても効果が十分に得られない等、使用が困難な場合があり、設置コストも高いものとなる。
また、特許文献2に記載の擁壁構造では、傾斜面に沿ったすべりによる擁壁構造の崩壊を防止できる。しかし、例えば、アンカーによる擁壁構造の固定等について、ロッキングモードを抑制するという点で改善の余地が残されている。
本発明の一態様は、ロッキングモードによる道路面の段差や亀裂などの変状を抑制し得る軽量盛土構造、および軽量盛土の製造方法を実現することを目的とする。
上記課題を解決するために発明者らが鋭意検討した結果、ロッキングモードには、EPSブロックの鉛直方向の振動が影響していることを見出し、ロッキングモードを抑制するには、EPSブロックの鉛直方向の振動を抑制することが効果的であると考え、本発明を完成するに至った。
すなわち、上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る軽量盛土構造は、地盤の傾斜面に構築される軽量盛土構造であって、発泡樹脂材と、前記発泡樹脂材上に配置されるコンクリート床版と、前記コンクリート床版を地盤に固定する杭と、を備え、前記杭は、その外周面に、先端部へ向かって螺旋状に形成された螺旋状凸部を有する構成である。
本発明の一態様に係る軽量盛土構造は、前記杭と前記コンクリート床版との間に配された緩衝材を備えたことが好ましい。
また、本発明の一態様に係る軽量盛土構造は、前記緩衝材は、コンクリート床版に前記杭を設置するために予め設けられる貫通孔を形成するための型枠として機能することが好ましい。
また、本発明の一態様に係る軽量盛土構造は、前記杭の設置する角度が前記コンクリート床版に対して90°±10°になるように、前記杭が前記地盤に固定されていることが好ましい。
また、上記の課題を解決するために、本発明の他の態様に係る軽量盛土の構築方法は、端部へ向かって螺旋状に形成された螺旋状凸部を外周面に有する杭を貫通可能な緩衝材を地盤または発泡樹脂材上に配置した後、前記発泡樹脂材および前記地盤上にコンクリートを打設してコンクリート床版を形成する床版形成工程と、前記コンクリートの硬化後に、前記杭を前記緩衝材に挿入して前記地盤に埋設する杭埋設工程と、を含む。
本発明の一態様によれば、ロッキングモードによる道路面の段差や亀裂などの変状を抑制できる。
(a)は、本発明の実施形態に係る軽量盛土構造の概略構成を示す断面図であり、(b)は、(a)におけるA部を拡大した断面図である。 図1の(a)および(b)に示す軽量盛土構造に備えられたスクリュー杭の概略構成を示し、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。 図1の(a)および(b)に示す軽量盛土構造に備えられた第2緩衝部材の概略構成を示し、(a)は平面図であり、(b)は(a)のA-A線断面図である。 図1の(a)および(b)に示す軽量盛土構造を道路地盤の拡幅に使用したときの効果を説明するための断面図であり、(a)は、スクリュー杭を備えていない場合における地震動に対する道路地盤の影響を示す断面図であり、(b)は、スクリュー杭を備えた場合における地震動に対する道路地盤の影響を示す断面図であり、(c)は、スクリュー杭を備えていない場合における発泡樹脂材の道路地盤に対する反力度を示す断面図であり、(d)は、スクリュー杭を備えた場合における発泡樹脂材の道路地盤に対する反力度を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る軽量盛土構造における地盤の傾斜面の傾斜角度を説明するための断面図である。 図1の(a)および(b)に示す軽量盛土構造の構築方法を説明するための断面図であり、(a)は床版形成工程後の状態を示し、(b)は、杭埋設工程の状態を示す。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。但し、本発明はこれに限定されるものではなく、記述した範囲内で種々の変更が可能であり、異なる実施の形態および実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施の形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。尚、本明細書においては特記しない限り、数値範囲を表わす「A~B」は、「A以上(Aを含みかつAより大きい)、B以下(Bを含みかつBより小さい)」を意味する。
図1の(a)は、本実施形態に係る軽量盛土構造10の概略構成を示す断面図であり、図1の(b)は、図1の(a)におけるA部を拡大した断面図である。図2は、図1の(a)および(b)に示す軽量盛土構造10に備えられたスクリュー杭3の概略構成を示し、図2の(a)は平面図であり、図2の(b)は側面図である。図3は、図1の(a)および(b)に示す軽量盛土構造10に備えられた第2緩衝部材5の概略構成を示し、図3の(a)は平面図であり、図3の(b)は図3の(a)のA-A線断面図である。
図1の(a)に示されるように、本実施形態に係る軽量盛土構造10は、地盤20の傾斜面21に構築される。軽量盛土構造10が構築される地盤20は、土砂で構成された砂質土等といった軟弱地盤であり、例えば、道路用地盤、鉄道用地盤、土地造成用地盤等が挙げられる。例えば、地盤20が道路用地盤である場合、軽量盛土構造10は、道路面の拡幅のために構築される。
軽量盛土構造10は、コンクリート床版1と、発泡樹脂で構成される発泡樹脂材2と、スクリュー杭3と、第1緩衝部材4と、第2緩衝部材5と、を備えている。発泡樹脂材2は、地面から上に向かって複数積層されている。発泡樹脂材2の積層体は、地盤20側の端部は、傾斜面21に沿った構成となっている。コンクリート床版1は、発泡樹脂材2の積層体上に配置されており、地盤20の切盛境22を超えて地盤20の上にも配置されている。スクリュー杭3は、コンクリート床版1を地盤20に固定する杭であり、コンクリート床版1を貫通して地盤20に埋設固定されている。スクリュー杭3は、地盤20の切盛境22近傍部分に固定されている。
コンクリート床版1は、不陸調整、荷重分散、発泡樹脂ブロックの固定、および浮力対策のために、最上部の発泡樹脂材2の上に設けられる。コンクリート床版1の厚さ(鉛直方向)は、100~300mmであることが好ましい。また、コンクリート床版1は、強度を向上させるために、好ましくはその内部に基盤材として格子状の鉄筋が埋設されている。鉄筋の被り厚さは、鉄筋の酸化による劣化防止の観点から、20mm以上であることが好ましい。なお、軽量盛土構造10は、最上部の発泡樹脂材2の上にコンクリート床版1が設けられた構成に限定されず、発泡樹脂材2の高さ毎に、中間のコンクリート床版が設けられた構成であってもよい。このような構成では、中間のコンクリート床版の上に設置した最上部の発泡樹脂材2に最上部のコンクリート床版が設けられている。そして、スクリュー杭3は、この最上部のコンクリート床版1に設けられている。
発泡樹脂材2は、軽量盛土構造10の上載荷重や交通荷重等に耐え得る、軽量性、強度および柔軟性を有する材質で形成されていれば特に限定されないが、例えば、発泡ポリスチレン(EPS)であることが好ましい。発泡樹脂材2は、複数の発泡樹脂ブロックを積み上げてなる積層体であることが好ましい。これにより、発泡樹脂材2を簡易に施工することができる。
スクリュー杭3は、金属材料から構成されている。また、図1の(a)並びに図2の(a)および(b)に示されるように、スクリュー杭3は、杭本体31と拡径平板部32とを有する。杭本体31は、先端部分へ向かうに従い直径が小さくなった先細棒形状である。また、拡径平板部32は、杭本体31よりも直径が大きく、かつ平板状であり、杭本体31における先端と反対側に配されている。スクリュー杭3は、杭本体31がコンクリート床版1および地盤20に埋設される一方、拡径平板部32は外部に露出した構成となっている。また、杭本体31は、螺旋状凸部31aを有している。この螺旋状凸部31aは、杭本体31の外周面に対して突出した凸条であり、先端部分へ向かって螺旋状に形成されている。
また、第1緩衝部材4は、ドーナツ円盤形状であり、このドーナツ円盤形状の開口に杭本体31が挿入される。また、第1緩衝部材4は、コンクリート床版1とスクリュー杭3の拡径平板部32との間に設けられている。それゆえ、スクリュー杭3の拡径平板部32が第1緩衝部材4を介してコンクリート床版1に接しているので、地震動によるコンクリート床版1の損傷を防止することができる。第1緩衝部材4は、緩衝性および柔軟性を有する材質で形成されていれば特に限定されないが、例えば、ゴム製樹脂であることが好ましい。
また、第2緩衝部材5は、図1の(a)および(b)、並びに図3の(a)および(b)に示されるように、円筒形状であり、コンクリート床版1に埋設されている。第2緩衝部材5の内径は、杭本体31の直径よりも大きくなっている。スクリュー杭3の杭本体31は、第2緩衝部材5に挿入されるように構成されている。また、第2緩衝部材5は、コンクリート床版1と杭本体31との間に配されている。それゆえ、スクリュー杭3の杭本体31が第2緩衝部材5を介してコンクリート床版1に接しているので、地震動によるコンクリート床版1の損傷を防止することができる。第2緩衝部材5は、軽量性、緩衝性および柔軟性を有する材質で形成されていれば特に限定されないが、例えば、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の発泡樹脂、またはこれらの共重合体の発泡樹脂であることが好ましい。
なお、図1に示される構成では、第1緩衝部材4と第2緩衝部材5とが別体であった。しかし、本実施形態に係る軽量盛土構造10は、この構成に限定されず、第1緩衝部材4および第2緩衝部材5が一体成型された構成であってもよい。また、第2緩衝部材5のみが設けられ、スクリュー杭3と第2緩衝部材5との間に第1緩衝部材4の厚さ分だけの隙間が形成された構成であってもよい。
ここで、本実施形態に係る軽量盛土構造10は、コンクリート床版1を地盤に固定するスクリュー杭3を備え、スクリュー杭3は、その外周面に、先端部へ向かって螺旋状に形成された螺旋状凸部31aを有している。この螺旋状凸部31aにより、地盤20が岩盤などに比べて柔らかい地盤であっても、スクリュー杭3は、地盤20に強固に固定される。それゆえ、スクリュー杭3の地盤20に対する引き抜き抵抗およびせん断抵抗が増大する。このため、コンクリート床版1は、スクリュー杭3により鉛直方向に強固に固定される。その結果、地震動による発泡樹脂材2の積層体の鉛直方向の振動が抑制されるので、ロッキングモードによる道路面の段差や亀裂などの変状を抑制することができる。
図4は、軽量盛土構造10を道路地盤の拡幅に使用したときの効果を説明するための断面図であり、図4の(a)は、スクリュー杭3を備えていない場合における地震動に対する道路地盤の影響を示す断面図であり、図4の(b)は、スクリュー杭3を備えた場合における地震動に対する道路地盤の影響を示す断面図である。さらに、図4の(c)は、スクリュー杭3を備えていない場合における発泡樹脂材2の道路地盤に対する反力度を示す断面図であり、図4の(d)は、スクリュー杭3を備えた場合における発泡樹脂材2の道路地盤に対する反力度を示す断面図である。
図4の(a)~(d)に示されるように、道路の拡幅等のために軽量盛土構造を構築する場合、コンクリート床版1の上面にさらに舗装部23(路盤材およびアスファルト舗装)を施工する。さらに、舗装部23には、ガードレール24等の道路構造物が設けられていてもよい。
図4の(a)に示されるように、地盤にスクリュー杭3が埋設固定されていない場合、地震の発生により、舗装部23では揺れ(地震の応答特性にもよるが、特に上下の揺れ)が大きくなる現象、すなわち、ロッキングモードが生じる。その結果、道路地盤の切盛境22付近で段差やひび割れが発生する。
一方、図4の(b)に示されるように、地盤にスクリュー杭3が埋設固定されている場合、スクリュー杭3が地盤に強固に固定されるので、地震が発生してもロッキングモードが抑制される。その結果、道路地盤の切盛境22付近で段差やひび割れが発生せず、道路交通機能を確保することができる。
また、地盤の傾斜面に軽量盛土構造を構築する場合、発泡樹脂材2の積層体の地盤に対する反力度は、傾斜面から遠ざかるに従って大きくなり、発泡樹脂材2の積層体における傾斜面と反対側の部分での反力度が最も大きくなる(図4の(c)および(d)参照)。図4の(c)および(d)の比較からわかるように、地盤にスクリュー杭3が埋設固定されている場合、スクリュー杭3の地盤20に対する引き抜き抵抗が大きくなっているので、地盤に対する発泡樹脂材2の反力度を軽減させることができる。
また、地震発生後の道路地盤等の変状により、軽量盛土構造の発泡樹脂材2に長期の圧縮変形が発生するおそれがある。本実施形態に係る軽量盛土構造10によれば、このような発泡樹脂材2の長期の圧縮変形に起因する道路地盤の段差やひび割れも抑制し得る。
また、例えば特許文献1に記載の軽量盛土構造に使用される従来のアンカーは、グラウンドアンカーの場合、長さが7m以上であり、4m以下おきに地盤に埋設固定される。そして、このような大寸法のアンカーを地盤に固定するために、仮設工事や重機の使用が必要となり、さらにはコンクリートの打設といった大掛かりな工事を要する。このため、コストが増大するという問題がある。一方、本実施形態に係る軽量盛土構造では、スクリュー杭3の長さが比較的短くても、スクリュー杭3は、地盤に埋設固定できる。それゆえ、比較的簡素な施工により、スクリュー杭3を地盤に固定することが可能となる。スクリュー杭3の寸法はφ=50~150mm、長さ1000~3000mmであることが好ましく、例えば、φ=76mm、長さ=1600mmである。また、スクリュー杭3は、例えば、1~2mおきに地盤に埋設固定される。設置される間隔は、発生する引張力とスクリュー杭3の引き抜き抵抗力との関係により決まるものとする。
スクリュー杭3のコンクリート床版1に対する角度は、上述したロッキングモードを抑制し得る角度であれば特に限定されない。好ましくは、スクリュー杭3は、コンクリート床版1に対する角度が90°±10°(垂直)になるように、地盤20に固定されている。スクリュー杭3のコンクリート床版1に対する角度が上記範囲内であれば、より確実にロッキングモードによる道路面の段差や亀裂などの変状を抑制することができる。
また、スクリュー杭3の設置位置は、少なくとも螺旋状凸部31aが地盤20に埋設することが可能な位置であれば、地盤20の上であっても、発泡樹脂材2の上であってもよい。ただし、図1の(a)に示されるように、コンクリート床版1直下の材質は、切盛境22を境として、地盤20側が土砂である一方、軽量盛土構造10側が発泡樹脂材2となっている。このように切盛境22を境界として構成する部材の材質が異なるため、切盛境22は、地震動により変状が発生しやすい部分となる。それゆえ、好ましくは、スクリュー杭3は、螺旋状凸部31aが切盛境22の土壌に埋設されるように設置される。
図5は、本発明の実施形態に係る軽量盛土構造における地盤20の傾斜面21の傾斜角度を説明するための断面図である。図5に示される地盤20の背面勾配Uは、1:1.0である。
また、図5に示されるように、本発明の実施形態に係る軽量盛土構造10は、軽量盛土構造10の高さをHとし、軽量盛土構造10の横断方向の幅をBとしたとき、H/Bが0.8以下(H/B≦0.8)となるように構築される。H/Bが0.8を超えると、軽量盛土構造10にグラウンドアンカー等を装着する必要が生じる。H/B≦0.8となるような構造であればグラウンドアンカー等の装着は必要なく、ロッキングモードによる道路面の段差や亀裂などの変状をスクリュー杭3により抑制し得る。
軽量盛土構造10は、一般に、EPS盛土工法によって構築(施工)されている。軽量盛土構造10は、例えば、「EDO-EPS工法設計・施工基準書(案)発行:2014年11月 発泡スチロール土木工法開発機構」に定められている工法により施工される。具体的には、軽量盛土構造10は、例えば次の方法によって施工(製造)される。先ず、地盤20上に発泡樹脂材2を積層し、最上部の発泡樹脂材2の上部に、コンクリート床版1を形成する。コンクリート床版1は、鉄筋を格子状に設置した後、コンクリートを打設することによって形成する。
本実施形態に係る軽量盛土構造10の構築方法(軽量盛土構造10の製造方法とも称される。)は、スクリュー杭3を地盤20に埋設するのに適した方法となっている。より具体的には、軽量盛土構造10の構築方法は、コンクリート床版1を形成する床版形成工程と、地盤20にスクリュー杭3を埋設する杭埋設工程と、を含む。図6は、軽量盛土構造10の構築方法を説明するための断面図であり、図6の(a)は床版形成工程後の状態を示し、図6の(b)は、杭埋設工程の状態を示す。
前記コンクリート床版の形成工程では、スクリュー杭3を設置可能な円筒形状の第2緩衝部材5を地盤20または発泡樹脂材2の積層体上に設置する。そして、第2緩衝部材5を設置した後、発泡樹脂材2の積層体および地盤20上にコンクリートを打設してコンクリート床版1を形成する。図6の(a)に示されるように、コンクリート床版形成工程後の状態では、円筒形状の第2緩衝部材5は、コンクリート床版1に埋設されている。スクリュー杭3をコンクリート床版1に貫通させて地盤20に埋設するに際し、コンクリート床版1にスクリュー杭3を設置するためにコンクリート床版1に予め貫通孔を形成する。第2緩衝部材5は、この貫通孔をコンクリート床版1に形成するための型枠として機能する。さらには、コンクリート床版1に対するスクリュー杭3の位置を決める位置決め部材としても機能する。
前記杭埋設工程では、コンクリートの硬化後に、コンクリート床版1の上下運動が抑制されるように、スクリュー杭3を円筒形状の第2緩衝部材5に挿入して地盤20に埋設する。より具体的には、図6の(b)に示されるように、杭埋設工程では、スクリュー杭打設機械Bを使用する。スクリュー杭打設機械Bは、スクリュー杭3を回転させつつ、コンクリート床版1に対して直交する角度で上下動させる。
杭埋設工程では、まず、第2緩衝部材5を予め型枠として設置しておき、コンクリート床版1を打設する。そして硬化後、その状態でスクリュー杭3にドーナツ円盤状の第1緩衝部材4を装着し、スクリュー杭3をスクリュー杭打設機械Bに取り付ける。スクリュー杭3は、コンクリート床版1に埋設された第2緩衝部材5を貫通し、螺旋状凸部の回転により地盤20の土砂を押し退けつつ鉛直方向に侵入させ、地盤20内部へ進む。そして、第1緩衝部材4がコンクリート床版1に接触したときに、スクリュー杭打設機械Bによるスクリュー杭3の打設を停止することにより、軽量盛土構造10が構築される。
一般的に、コンクリート床版1等のコンクリート部材に孔を開ける工事では、ボイド管と呼ばれる紙製の型枠が使用される。一般的な方法では、ボイド管を設置した後、コンクリートを打設する。そして、コンクリートの硬化後、ボイド管を除去することにより孔の開いたコンクリート部材を製造することができる。
ここで、スクリュー杭3の型枠として使用した第2緩衝部材5は、コンクリート床版1とスクリュー杭3との間を緩衝する機能を有するので、軽量盛土構造10から取り除く必要はない。すなわち、本実施形態に係る軽量盛土構造10の構築方法では、コンクリート床版1の形成の際に、軽量盛土構造10の構成部材である第2緩衝部材5を型枠兼用で使用している。それゆえ、一般的な方法と比較して、型枠を除去する必要がなく、施工性が向上する。
このように本実施形態に係る軽量盛土構造10では、地震発生時の軽量盛土構造10の浮き上がり、切盛境22での段差や亀裂を抑制するために、地盤20に固定する杭としてスクリュー杭3が備えられている。これにより、地盤20が軟弱地盤であっても、スクリュー杭3の引き抜き抵抗およびせん断抵抗が増大する。その結果、地震が発生してもロッキングモードによる道路面の段差や亀裂などの変状が抑制される。
さらに、地震動によるコンクリート床版1の損傷を回避するために、コンクリート床版1とスクリュー杭3との間に第1緩衝部材4および第2緩衝部材5が設けられている。さらに、第1緩衝部材4および第2緩衝部材5のうち第2緩衝部材5をコンクリート床版1の打設の際の型枠兼用とすることにより、コンクリート床版1の損傷防止と施工性向上との両方を実現している。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明の一態様に係る軽量盛土構造は、例えば、道路、鉄道、土地造成等の土木工事等に利用される。
1 コンクリート床版
2 発泡樹脂材
3 スクリュー杭
4 第1緩衝部材
5 第2緩衝部材(型枠としての緩衝材)
10 軽量盛土構造
20 地盤
21 傾斜面
31a 螺旋状凸部

Claims (5)

  1. 地盤の傾斜面に構築される軽量盛土構造であって、
    発泡樹脂材が地面から上に向かって積層され、前記地盤側の端部が前記傾斜面に沿った積層体と、
    前記積層体における最上部の発泡樹脂材上に配置され、最上部の発泡樹脂材の前記傾斜面側の端部を超え、少なくとも前記地盤の切盛境を超えて水平に延びたコンクリート床版と、
    前記コンクリート床版における前記切盛境を超えた地盤であり、かつ真下に発泡樹脂材が配置されていない箇所に固定され、前記コンクリート床版を地盤に鉛直方向に固定する杭と、を備え、
    前記杭は、前記コンクリート床版および前記地盤に埋設される杭本体と、外部に露出し前記コンクリート床版の上面に係止される拡径平板部と、を有し、
    前記杭本体は、その外周面に、先端部へ向かって螺旋状に形成された螺旋状凸部を有する、軽量盛土構造。
  2. 前記コンクリート床版と前記拡径平板部との間に配された第1緩衝部材を備えた、請求項1に記載の軽量盛土構造。
  3. 前記コンクリート床版に埋設され、前記杭本体が挿入される円筒形状の第2緩衝部材を備え、
    前記第2緩衝材は、前記コンクリート床版および前記地盤に前記杭を埋設するに際し、前記コンクリート床版および前記地盤に前記杭本体を貫通させるために予め前記コンクリート床版に設けられる貫通孔を形成するための型枠として機能する、請求項1または2に記載の軽量盛土構造。
  4. 前記杭の設置する角度が前記コンクリート床版の平面に対して90°±10°になるように、前記杭が前記地盤に固定されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の軽量盛土構造。
  5. 地盤の傾斜面に構築される軽量盛土構造の製造方法であって、
    発泡樹脂材が地面から上に向かって積層され、前記地盤側の端部が前記傾斜面に沿った積層体における最上部の発泡樹脂材上、さらに最上部の発泡樹脂材の前記傾斜面側の端部を超えて、少なくとも前記地盤の切盛境を超えて水平に延びたコンクリート床版を形成する床版形成工程であって、前記コンクリート床版および前記地盤に埋設される杭本体と、前記コンクリート床版の上面に係止される拡径平板部と、を有し、前記杭本体が先端部へ向かって螺旋状に形成された螺旋状凸部を外周面に有する杭の杭本体を貫通可能な円筒形状の第2緩衝材を、前記切盛境を超えた地盤であり、かつ真下に発泡樹脂材が配置されていない箇所に配置した後、前記発泡樹脂材および前記地盤上にコンクリートを打設してコンクリート床版を形成する床版形成工程と、
    前記コンクリートの硬化後に、前記杭の杭本体を前記第2緩衝材に挿入して前記地盤に埋設し、前記コンクリート床版を地盤に鉛直方向に固定する杭埋設工程と、を含む、軽量盛土構造の製造方法。
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