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JP7352619B2 - タッチパネルおよびタッチパネルの製造方法 - Google Patents

タッチパネルおよびタッチパネルの製造方法 Download PDF

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JP7352619B2 JP2021508902A JP2021508902A JP7352619B2 JP 7352619 B2 JP7352619 B2 JP 7352619B2 JP 2021508902 A JP2021508902 A JP 2021508902A JP 2021508902 A JP2021508902 A JP 2021508902A JP 7352619 B2 JP7352619 B2 JP 7352619B2
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Description

本発明は、画像表示モジュールを備え、かつタッチセンサーとして機能する導電性フィルムが折り曲げられたタッチパネル、およびタッチパネルの製造方法に関し、特に、額縁が狭く、かつタッチパネルの入力領域であるアクティブエリアの経時による抵抗変化を抑制するタッチパネル、およびタッチパネルの製造方法に関する。
現在、タブレット型コンピューターおよびスマートフォン等の携帯情報機器を始めとした各種の電子機器において、液晶表示装置等の表示装置と組み合わせて用いられ、画面に接触することにより電子機器への入力操作を行うタッチパネルがある。タッチパネルは、タッチを検出する検出電極と、検出電極に電気的に接続される取出し配線とを備えるタッチセンサーを有する。
取出し配線は検出電極からの電気信号を取り出し、検出電極の周囲を取り回しFPC(フレキシブルプリント基板)と接続する位置まで配置される。FPCとの接続部分でFPCと取出し配線とが電気的に接続され、FPCを通じてタッチセンサーをコントロールするIC(integrated circuit)に接続される。これにより、タッチセンサーが駆動可能となる。
また、近年、タッチパネルの狭額縁化が進んでいる。タッチパネルを狭額縁とすることによりタッチパネルの画面表示が占める面積が広くなり、実用的な画面サイズが増加し、また意匠性が高いデザインとなる。
従来の構成においてはタッチセンサーとFPCの接続部は、1つの基板の同一平面内に配置され、タッチセンサーに接続したFPCが湾曲しタッチセンサーの背面側で制御機構と接続している。従来の構成では、FPCの接続部とFPCの湾曲部分の占める面積が広く、狭額縁化としては不十分な状態である。
現在、表示装置の狭額縁化に対する要求に対して、画面の外周における配線の引き回し、およびフレキシブルプリント配線板の配置等に様々な工夫がなされている。
例えば、狭額縁化のために、例えば、特許文献1では、可撓性を有する基板を用いて配線を折り曲げている。
特許文献1には、複数の領域を有し、少なくとも平面領域と、この平面領域に連続し、かつ平面領域に対して折曲された側面領域とを備える1つの基板と、基板の平面領域に設けられたタッチセンサー部と、基板の平面領域とは異なる他の領域に設けられたアンテナとを有するタッチセンサーが記載されている。基板は可撓性を有する透明基板で構成され、タッチセンサー部は検出部と周辺配線部を備え、少なくとも検出部が金属細線で構成されている。特許文献1では、感知電極または配線部が折り曲げられている。
特許文献2には、透光性および可撓性を有する基材と、透光性を有し、基材の上の検出領域において第1方向に並ぶ複数の第1電極部と、透光性を有し、基材の上の検出領域において第1方向と交差する第2方向に並ぶ複数の第2電極部と、複数の第1電極部および複数の第2電極部のそれぞれと導通し、基材の上の検出領域から検出領域の外側の周辺領域まで延在する複数の引き出し配線とを備え、基材の周辺領域には屈曲部が設けられ、引き出し配線は、屈曲部の上に設けられた可撓性積層体を有し、屈曲部の上に設けられた可撓性積層体の少なくとも一部を覆うように設けられた被覆材を備える入力装置が記載されている。
特許文献3には、センサ電極を有するセンサフィルムと、このセンサフィルムを覆う操作パネルとを備えるパネル一体型タッチセンサーが記載されている。センサフィルムは、基材となる樹脂フィルム上にセンサ電極を設けたものであり、センサ電極はレジスト層で被覆している。また、センサ電極からは配線が延び、この配線は樹脂フィルムの端部に設けた電極端子につながっている。そしてこの電極端子を外部に設けたICチップなどのある解析回路部に接続し、センサ電極から得た検知信号を解析する。レジスト層は、センサ電極間の導通防止と、センサ電極を紫外線および引っ掻き等から保護するために設けられる絶縁性の被膜である。このように特許文献3には、センサ電極を紫外線および引っ掻き等から保護するため、絶縁性の被膜を形成することが例示されている。
国際公開第2016/158085号 国際公開第2017/195451号 特開2015-114793号公報
上述の特許文献1のように、感知電極または配線部を折り曲げてタッチセンサーを作製すると、タッチパネルの入力領域であるアクティブエリアでは経時による抵抗変化が生じうる。
また、上述のように特許文献2では、引き出し配線は屈曲部の上に設けられた可撓性積層体を有しており、屈曲部の上に設けられた可撓性積層体の少なくとも一部を覆うように被覆材が設けられている。特許文献3では、センサ電極に絶縁性の被膜を形成することが例示されている。特許文献2のように可撓性積層体を被覆材で覆う構成とし、特許文献3のようにセンサ電極に絶縁性の被膜を形成する構成としても、特許文献1と同様に、タッチパネルのアクティブエリアでは経時による抵抗変化が生じる。
これらのアクティブエリアでの経時による抵抗変化は、タッチパネルの感度性能に影響を与えることがある。特に、タッチパネルの額縁部の幅を狭くするほど、アクティブエリアでの経時による抵抗変化は大きくなり、改善の余地があることが見出された。
本発明者は、鋭意実験研究したところ、上述のタッチパネルの入力領域であるアクティブエリアにおける経時による抵抗変化は、折り曲げ部からの硫化が原因であることを見出し、本発明に至った。
本発明の目的は、前述の従来技術に基づく問題点を解消し、タッチパネルの入力領域であるアクティブエリアにおける経時による抵抗変化を抑制するタッチパネルおよびタッチパネルの製造方法を提供することにある。
上述の目的を達成するために、本発明者は鋭意実験研究の結果、以下の構成により上述の目的を達成できることを見出した。
本発明は、画像表示モジュールと、第1の透明絶縁層と、導電性フィルムと、第2の透明絶縁層と、カバー部とが、この順で積層され、画像表示モジュールの表示面側に導電性フィルムが配置されたタッチパネルであって、導電性フィルムは、透明な可撓性基材の少なくとも一方の表面に、導電層により構成された検出部と、一端が検出部に電気的に接続され、他端が外部接続端子に接続された取出し配線部とを有し、導電性フィルムは、定められた折曲位置で折り曲げられて、外部接続端子が、画像表示モジュールの表示面側とは反対側に配置される、折曲部を有しており、積層方向と直交する第2の透明絶縁層の側面と、導電性フィルムの折曲部とが封止層で覆われている、タッチパネルを提供するものである。
封止層は、末端がカバー部と、画像表示モジュールの表示面側とは反対側の面とに接触していることが好ましい。
封止層は、電気的な絶縁性を有する粘着層で構成されることが好ましい。
封止層は、ガスクロマトグラフィー法を用いた硫黄ガスのガス透過性が10-2g/m/day以下であることが好ましい。
可撓性基材は、帯状の突出し部を有し、突出し部に取出し配線部が設けられていることが好ましい。
第1の透明絶縁層および第2の透明絶縁層の少なくとも一方が、金属安定化剤を含むことが好ましい。金属安定化剤が、メルカプトチアゾール骨格もしくはメルカプトチアジアゾール骨格を有する化合物またはこれらの塩から選ばれる化合物を含むことが好ましい。
また、本発明は、画像表示モジュールと、第1の透明絶縁層と、導電層と、第2の透明絶縁層とが、この順で積層され、画像表示モジュールの表示面側に導電層が配置されたタッチパネルであって、第1の透明絶縁層および第2の透明絶縁層のうち、少なくとも一方が金属安定化剤を含む、タッチパネルを提供するものである。
金属安定化剤が、メルカプトチアゾール骨格もしくはメルカプトチアジアゾール骨格を有する化合物またはこれらの塩から選ばれる化合物を含むことが好ましい。
本発明は、画像表示モジュールと、第1の透明絶縁層と、導電性フィルムと、第2の透明絶縁層と、カバー部とが、この順で積層され、画像表示モジュールの表示面側に導電性フィルムが配置されたタッチパネルの製造方法であって、導電性フィルムは、透明な可撓性基材の少なくとも一方の表面に、導電層により構成された検出部と、一端が検出部に電気的に接続され、他端が外部接続端子に接続された取出し配線部とを有し、導電性フィルムを、定められた折曲位置で折り曲げて外部接続端子を、画像表示モジュールの表示面側とは反対側に配置する工程と、積層方向と直交する方向における第2の透明絶縁層の側面と、導電性フィルムが定められた折曲位置で折り曲げられて外部接続端子が画像表示モジュールの表示面側とは反対側に配置される折曲部とを覆う封止層を形成する工程とを有する、タッチパネルの製造方法を提供するものである。
封止層を、貼り付け法、スパッタ法、蒸着法、スプレー塗布法、およびディスペンサー法のうち、いずれか1つの方法で形成することが好ましい。
本発明のタッチパネルは、タッチパネルの入力領域、すなわち、アクティブエリアの経時による抵抗変化を抑制することができる。また、タッチパネルの製造方法によれば、タッチパネルの入力領域、すなわち、アクティブエリアの経時による抵抗変化を抑制するタッチパネルを得ることができる。
本発明の実施形態のタッチパネルの一例を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態のタッチパネルの導電性フィルムの第1の例を示す模式図である。 本発明の実施形態の第1の例の導電性フィルムの検出部の構成を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態のタッチパネルの導電性フィルムの第2の例を示す模式図である。 本発明の実施形態のタッチパネルの導電性フィルムの第3の例を示す模式図である。 本発明の実施形態のタッチパネルの導電性フィルムの第4の例を示す模式図である。 本発明の実施形態のタッチパネルの導電性フィルムの第5の例を示す模式図である。 本発明の実施形態のタッチパネルの導電性フィルムの検出部の電極構成を示す模式図である。 本発明の実施形態のタッチパネルの導電性フィルムの検出部のメッシュパターンの形状の一例を示す模式図である。 本発明の実施形態のタッチパネルの導電性フィルムの検出部の構成の一例を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態の検出部の導電線の一例を拡大して示す模式図である。 本発明の実施形態のタッチパネルの製造方法の一工程を示す模式的断面図である。 本発明の実施形態のタッチパネルの製造方法の一工程を示す模式的断面図である。 導電性フィルムを有するタッチパネルの参考例を示す模式的断面図である。 導電性フィルムの参考例を示す模式図である。
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明のタッチパネルおよびタッチパネルの製造方法を詳細に説明する。
なお、以下に説明する図は、本発明を説明するための例示的なものであり、以下に示す図に本発明が限定されるものではない。
なお、以下において数値範囲を示す「~」とは両側に記載された数値を含む。例えば、εが数値α~数値βとは、εの範囲は数値αと数値βを含む範囲であり、数学記号で示せばα≦ε≦βである。
「平行」および「直交」等の角度は、特に記載がなければ、該当する技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含む。
また、「同一」とは、該当する技術分野で一般的に許容される誤差範囲を含む。
また、光とは、活性光線または放射線を意味する。本明細書中における「露光」とは、特に断らない限り、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、X線、EUV光等による露光のみならず、電子線、イオンビーム等の粒子線による描画も露光に含める。
また、「(メタ)アクリレート」はアクリレートおよびメタクリレートの双方、または、いずれかを表し、「(メタ)アクリル」はアクリルおよびメタクリルの双方、または、いずれかを表す。また、「(メタ)アクリロイル」はアクリロイルおよびメタクリロイルの双方、または、いずれかを表す。
なお、透明とは、特に断りがなければ、光透過率が、波長380~780nmの可視光波長域において、40%以上のことであり、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上のことである。
光透過率は、JIS(日本工業規格) K 7375:2008に規定される「プラスチック-全光線透過率および全光線反射率の求め方」を用いて測定されるものである。
(タッチパネル)
図1は本発明の実施形態のタッチパネルの一例を示す模式的断面図であり、図2は本発明の実施形態のタッチパネルの導電性フィルムの第1の例を示す模式図である。図3は本発明の実施形態の第1の例の導電性フィルムの検出部の構成を示す模式的断面図である。
図1に示す第1例のタッチパネル10は、導電性フィルム12と、画像表示モジュール14と、カバー部16と、第1の透明絶縁層15と、第2の透明絶縁層17とを有する。タッチパネル10は、画像表示モジュール14と、第1の透明絶縁層15と、導電性フィルム12と、第2の透明絶縁層17と、カバー部16とが、この順で積層方向Dtに積層され、画像表示モジュール14の表示面14a側に導電性フィルム12が配置されている。
タッチパネル10では、導電性フィルム12と画像表示モジュール14とは第1の透明絶縁層15を介して積層されている。導電性フィルム12とカバー部16とは第2の透明絶縁層17を介して積層されている。
第1の透明絶縁層15は、画像表示モジュール14の表示面14a全域に設けられている。例えば、第1の透明絶縁層15と第2の透明絶縁層17とは、設けられる面積が同じである。この場合、カバー部16の表面16a側から見た際、第1の透明絶縁層15と第2の透明絶縁層17とは同じ大きさである。
タッチパネル10では、画像表示モジュール14の表示面14aに表示された表示物(図示せず)が視認できるように画像表示モジュール14の表示面14a側に配置される第1の透明絶縁層15、導電性フィルム12、第2の透明絶縁層17およびカバー部16はいずれも透明であることが好ましい。
タッチパネル10は、画像表示モジュール14と導電性フィルム12とを囲む筐体40を有する。筐体40の内部40aに画像表示モジュール14と導電性フィルム12とが収納される。筐体40は、カバー部16と相似形の底板41と、底板41の外縁を囲む側板42とを有する。また、筐体40の内部40aには、例えば、底板41と側板42との角部と、側板42とカバー部16との角部とに、緩衝材44が設けられている。カバー部16の裏面16bに、筐体40の側板42が貼合されている。
緩衝材44は、画像表示モジュール14と導電性フィルム12とを外部からの衝撃等から保護するものである。緩衝材44は、エチレン-プロピレンスポンジ、クロロプレンスポンジ、スチレン-ブタジエンスポンジ、およびニトリルゴムスポンジ等を用いて構成することができる。
タッチパネル10では、カバー部16の表面16aが、タッチパネル10のタッチ面であり、操作面となる。タッチパネル10は、カバー部16の表面16aを操作面として入力操作される。なお、タッチ面とは、指またはスタイラスペン等の接触を検出する面のことである。カバー部16の表面16aが、画像表示モジュール14の表示面14aに表示された表示物(図示せず)の視認面となる。
画像表示モジュール14の裏面14bにコントローラー13が設けられている。導電性フィルム12が、画像表示モジュール14の側面14cを囲むように折り曲げられている。導電性フィルム12とコントローラー13とが、例えば、フレキシブル回路基板19等の可撓性を有する配線部材で電気的に接続されている。
カバー部16の裏面16bに、遮光機能を有する加飾層18が設けられている。加飾層18は、例えば、カバー部16の表面16a側から見た場合における、カバー部16の外縁に沿って設けられる。加飾層18が設けられている領域が額縁部Dfである。額縁部Dfは加飾層18により、その下側にある構成物を視認させないものである。額縁部Dfの幅が狭いことを狭額縁という。額縁部Dfの幅を狭くすることを狭額縁化という。
タッチパネル10では、後に詳細に説明するが、導電性フィルム12は、第1の透明絶縁層15および第2の透明絶縁層17から突出した折曲部27を有し、積層方向Dtと直交する方向Dwにおける第2の透明絶縁層17の側面17cと、導電性フィルム12の折曲部27とが封止層36で覆われている。封止層36は、端部36aがカバー部16の加飾層18の表面に達してもよい。
また、封止層36は、端部36aがカバー部16に接触し、末端36cが画像表示モジュール14の表示面14aとは反対側の面、すなわち裏面14bに接触していることが好ましい。封止層36がこのような構成を有することにより、封止層36による導電層の硫化をより一層抑制することができる。ここで、図2に示すようにフレキシブル回路基板19は可撓性基材25よりも幅が狭い。封止層36はフレキシブル回路基板19を覆い、かつ画像表示モジュール14の裏面14bと接触して設けられる。
封止層36は、導電性フィルム12の導電層の硫化を抑制し、タッチパネル10の検出部20の入力領域Eであるアクティブエリアの経時による抵抗変化を抑制するものである。封止層36は電気的な絶縁性を有するもので構成される。例えば、筐体40および緩衝材44からの脱ガスにより硫黄ガス(硫化水素ガスまたは揮発性硫黄(S)等)が発生しても、封止層36により、硫黄ガスが導電性フィルム12と第2の透明絶縁層17との界面に浸入することが抑制される。導電層が硫化されると、導電層の電気抵抗が変化するが、上述のように硫黄ガスの浸入が抑制されるため、導電性フィルム12の導電層の硫化が抑制される。これにより、導電層の電気抵抗の変化が抑制され、アクティブエリアの経時による抵抗変化が抑制される。さらには、導電層の硫化が抑制されるため、導電層の外観の悪化が生じることがなく、導電層の視認が抑制される。
なお、硫化の発生原因となる硫黄ガス(硫化水素ガスまたは揮発性硫黄(S)等)は、筐体40および緩衝材44から脱ガスにより発生することに限定されるものではない。
また、封止層36を導電性フィルム12の全面を被覆する構成とする必要がないため、光透過率の低下も抑制することができ、光透過率を維持することができる。
タッチパネル10では、上述のように検出部20の入力領域E、すなわち、アクティブエリアの経時による抵抗変化を抑制することができる。さらには、狭額縁化と光透過率の維持との両立を図ることもできる。
コントローラー13はタッチセンサーの検出に利用される公知のものにより構成される。タッチパネル10が静電容量方式の場合、タッチ面であるカバー部16の表面16aの指等の接触により、静電容量が変化した位置がコントローラー13で検出される。静電容量方式のタッチパネルには、相互容量方式のタッチパネルおよび自己容量方式のタッチパネルがあるが、特に限定されるものではない。
カバー部16は、導電性フィルム12を保護するものである。カバー部16は、その構成は、特に限定されるものではない。カバー部16は、画像表示モジュール14の表示面14aに表示された表示物(図示せず)が視認できるように透明であることが好ましい。カバー部16は、例えば、プラスチックフィルム、プラスチック板、およびガラス板等が用いられる。カバー部16の厚みはそれぞれの用途に応じて適宜選択することが好ましい。
上述のプラスチックフィルムおよびプラスチック板の原料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル類;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン、EVA(酢酸ビニル共重合ポリエチレン)等のポリオレフィン類;ビニル系樹脂;その他、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド、ポリイミド、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)、シクロオレフィン系樹脂(COP)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアリレート(PAR)、ポリエーテルサルホン(PES)、高分子アクリル樹脂、フルオレン誘導体、および、結晶性COP等を用いることができる。
また、カバー部16としては、偏光板、円偏光板等を用いてもよい。
カバー部16の表面16aは、上述のようにタッチ面となるため、必要に応じて表面16aにハードコート層を設けてもよい。なお、カバー部16の厚みとしては、例えば、0.1~1.3mmであり、特に0.1~0.7mmが好ましい。
第1の透明絶縁層15は、透明であり、かつ電気絶縁性を有するものであり、かつ安定して導電性フィルム12と画像表示モジュール14とを固定することができれば、その構成は、特に限定されるものではない。第1の透明絶縁層15としては、例えば、光学的に透明な粘着剤(OCA、Optical Clear Adhesive)およびUV(Ultra Violet)硬化樹脂等の光学的に透明な樹脂(OCR、Optical Clear Resin)を用いることができる。また、第1の透明絶縁層15は部分的に中空でもよい。
また、第2の透明絶縁層17は、透明であり、かつ電気絶縁性を有するものであり、かつ安定して導電性フィルム12とカバー部16とを固定することができれば、その構成は、特に限定されるものではない。第2の透明絶縁層17は第1の透明絶縁層15と同じものを用いることができる。
画像表示モジュール14は、画像等の表示物を表示する表示面14aを備えるものであり、例えば、液晶表示デバイスを有する。画像表示モジュール14は、液晶表示デバイスに限定されるものではなく、有機EL(Organic electro luminescence)表示装置でもよい。画像表示モジュール14は、上述のもの以外に、陰極線管(CRT)表示装置、真空蛍光ディスプレイ(VFD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、表面電界ディスプレイ(SED)、電界放出ディスプレイ(FED)、および電子ペーパー等を利用することができる。
画像表示モジュール14は、その用途に応じたものが適宜利用されるが、タッチパネル10の厚みを薄く構成するために、液晶表示パネル、および有機ELパネル等のパネルの形態とすることが好ましい。
加飾層18は、上述のように遮光機能を有するものであり、加飾層18の下にある導電性フィルム12の検出部20および取出し配線部22等の構成物を覆うことにより、検出部20および取出し配線部22等の構成物が不可視とされる。
加飾層18としては、検出部20および取出し配線部22等の構成物を不可視とすることができれば、その構成は特に限定されるものではなく、公知の加飾層を用いることができる。加飾層の形成には、スクリーン印刷法、グラビア印刷法およびオフセット印刷法等の各種の印刷法、転写法、ならびに蒸着法を用いることができる。加飾層18は、カバー部16の裏面16bに形成されるが、これに限定されるものではなく、検出部20および取出し配線部22等の構成物上に直接形成してもよい。
なお、不可視とは、加飾層18の下にある構成物を視認できないことをいい、10人の観察者が見た場合、1人も視認できないことを不可視という。
(導電性フィルム)
導電性フィルム12について説明する。
導電性フィルム12は、タッチパネル10においてタッチセンサーとして機能するものである。導電性フィルム12の構成は、タッチセンサーとして機能するものであれば、その構成は、特に限定されるものではない。
例えば、導電性フィルム12は、透明な可撓性基材25の少なくとも一方の表面に、導電層により構成された検出部20と、一端が検出部20に電気的に接続され、他端に外部接続端子26が接続された取出し配線部22とを有する。導電性フィルム12では、可撓性基材25の表面25aおよび裏面25bに、それぞれ検出部20および取出し配線部22が設けられている。
可撓性基材25を有する導電性フィルム12は可撓性を有し、折り曲げることができる。導電性フィルム12が多角形の場合、少なくとも導電性フィルム12の一辺が折り曲げられる。
検出部20は、使用者によって入力操作が可能な入力領域Eである。入力領域Eの外側に位置する外側領域Eに取出し配線部22が配置される。検出部20の入力領域Eのことを、アクティブエリアという。封止層36により、検出部20の入力領域Eにおける硫化、すなわち、アクティブエリアにおける硫化が抑制され、アクティブエリアの経時による抵抗変化が抑制される。
タッチパネル10では、導電性フィルム12は、設計仕様等により定められた折曲位置Bfで折り曲げられて、取出し配線部22の外部接続端子26が、画像表示モジュール14の表示面14a側とは反対面側、すなわち、裏面14b側に配置される。外部接続端子26に、例えば、フレキシブル回路基板19等の可撓性を有する配線部材が電気的に接続されている。
なお、導電性フィルム12単体の場合、すなわち、導電性フィルム12がタッチパネル10に組み込まれる前の状態であれば、上述の導電性フィルム12の折曲位置Bfは、可撓性基材25の折曲予定位置である。可撓性基材25は折曲予定位置で折り曲げられる。上述の導電性フィルム12の折曲位置Bfと、上述の可撓性基材25の折曲予定位置とは、導電性フィルム12がタッチパネル10に組み込まれているか、導電性フィルム12が単体であるかの違いであり、同じ位置である。
導電性フィルム12において、上述の折曲部27は、折曲位置Bfから可撓性基材25の外縁25c迄の範囲Dcである。すなわち、折曲部27は、折曲位置Bfから、可撓性基材25において検出部20が設けられていない側のY方向の端迄の範囲である。折曲部27に外部接続端子26が設けられている。上述のように折曲部27、すなわち、範囲Dcに封止層36が形成される。
図2に示す導電性フィルム12では、折曲位置Bfに、検出部20および取出し配線部22のうち、取出し配線部22だけがあり、検出部20がない構成である。また、折曲位置Bfから検出部20の端部20c迄の領域が額縁部Dfに相当する額縁領域Dsである。
検出部20は、例えば、複数の第1検出電極30と複数の第2検出電極32とを有する。複数の第1検出電極30は、互いに平行にX方向に延びる帯状の電極であり、互いにX方向と直交するY方向に間隔31をあけて、互いにY方向において電気的に絶縁された状態で可撓性基材25の表面25a(図2参照)上に設けられている。複数の第2検出電極32は、互いに平行にY方向に延びる帯状の電極であり、互いにX方向に間隔31をあけて、互いにX方向において電気的に絶縁された状態で可撓性基材25の裏面25b(図2参照)上に設けられている。複数の第1検出電極30と複数の第2検出電極32とは、直交して設けられているが、可撓性基材25により互いに電気的に絶縁されている。
なお、第1検出電極30および第2検出電極32における間隔31は、第1検出電極30または第2検出電極32と分断されており、電気的に接続されていない領域である。このため、上述のように、複数の第1検出電極30は互いにY方向において電気的に絶縁された状態であり、複数の第2検出電極32は互いにX方向において電気的に絶縁された状態である。
図2に示すように検出部20では、第1検出電極30が6つ、第2検出電極32が5つ設けられているが、その数は特に限定されるものではなく複数あればよい。
第1検出電極30と第2検出電極32とは、例えば、金属細線33(図3参照)により構成される。金属細線33は、例えば、メッシュパターン状に配置される。金属細線33のパターンについては後に詳細に説明する。第1検出電極30および第2検出電極32がいずれも導電層に該当する。
取出し配線部22は、第1検出電極30および第2検出電極32に電圧を印加するための役割を担う部材である。取出し配線部22は、一端が第1検出電極30または第2検出電極32に電気的に接続されている。他端である終端部22bに外部接続端子26が設けられている。なお、導電層により取出し配線部22を構成してもよい。
取出し配線部22は、複数の引出し配線23により構成されている。引出し配線23は、それぞれ、一端が上述の第1検出電極30または第2検出電極32と電気的に接続されている。引出し配線23の他端は、まとめて1つの外部接続端子26に電気的に接続されている。複数の引出し配線23の他端は取出し配線部22の終端部22bである。
なお、取出し配線部22の引出し配線23の数は、電気的に接続される検出電極の数と同じである。
図2に示すタッチパネル10では、第1検出電極30にはX方向の端に取出し配線部22が電気的に接続され、第2検出電極32にはY方向の一方の端に取出し配線部22が電気的に接続されており、第1検出電極30および第2検出電極32に対して3方向から取出し配線部22が引き回されている。
なお、検出部20と取出し配線部22とは一体構成であることが好ましい。この場合、検出部20と取出し配線部22とは、例えば、リソグラフィ法等により形成される。
ここで、図14は導電性フィルムを有するタッチパネルの参考例を示す模式的断面図であり、図15は導電性フィルムの参考例を示す模式図である。
なお、図14および図15において、図1に示すタッチパネル10および図2に示す導電性フィルム12と同一構成物には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
図14に示すタッチパネル100では、図15に示す導電性フィルム102のように、基板104の表面104aおよび裏面104bに、それぞれ検出部20および取出し配線部22が設けられている。基板104の外縁104cは、基板104において検出部20が設けられていない側のY方向の端である。
図15に示す導電性フィルム102では、外部接続端子26と検出部20とが基板104の表面104a同一または裏面104bの同一面内に設けられている。
取出し配線部22の終端部22bに設けられた外部接続端子26にフレキシブル回路基板19が電気的に接続されている。
図15に示す導電性フィルム102では、導電性フィルム102を折り曲げることなく、フレキシブル回路基板19を折り曲げる構成である。フレキシブル回路基板19に折曲位置Bfがあり、フレキシブル回路基板19が折曲位置Bfで折り曲げられて、図14に示すようにコントローラー13に電気的に接続されている。
導電性フィルム102では、検出部20の端部20cから基板104の外縁104cまでの領域105に封止層36(図14参照)が形成される。しかしながら、導電性フィルム102の構成では、例えば、筐体40および緩衝材44からの脱ガスにより硫黄ガスが発生した場合、封止層36により、硫黄ガスが導電性フィルム12と第2の透明絶縁層17との界面に浸入することが抑制することができない。このため、導電性フィルム102の導電層の硫化を抑制することができず、硫黄ガスの浸入により導電層が硫化する。導電層は硫化により電気抵抗が高くなり、アクティブエリアに経時による抵抗変化が生じる。さらには硫化により導電層に色が付く等して、導電層の外観が悪化し、導電層が視認されるおそれがある。
なお、フレキシブル回路基板19を折り曲げる場合、折り曲げ部分の曲率が、導電性フィルム12(図2参照)を折り曲げる場合に比して曲率が大きくなる。このことからも狭額縁化を実現できない。
さらには、上述のように図2に示す導電性フィルム12は可撓性を有し、導電性フィルム12自体を折り曲げることができる。このため、図15に示す導電性フィルム102のようにフレキシブル回路基板19を折り曲げた場合に比して、図2に示す導電性フィルム12は折り曲げの曲率を小さくでき、これにより、タッチパネル10(図1参照)の狭額縁化が可能となる。
(導電性フィルムの他の例)
次に、導電性フィルム12の第2の例について説明する。
図4は本発明の実施形態のタッチパネルの導電性フィルムの第2の例を示す模式図である。
なお、図4において、図1に示すタッチパネル10および図2に示す導電性フィルム12と同一構成物には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
図4に示す第2の例の導電性フィルム12は、図2に示す導電性フィルム12に比して、導電性フィルム12の折曲位置Bfの位置が異なる点、および取出し配線部22と可撓性基材25の外縁25cとの間のスペース25dが狭い点以外の構成は、図2に示す導電性フィルム12と同じであるため、その詳細な説明は省略する。
図4に示す導電性フィルム12の折曲位置Bfには、検出部20および取出し配線部22があり、検出部20および取出し配線部22が折り曲げられる。導電性フィルム12において、検出部20がある折曲位置Bfで折り曲げることにより、額縁領域Dsを実質的にゼロにすることができ、より狭額縁化を実現できる。これにより、図4に示す導電性フィルム12を用いたタッチパネル(図示せず)では、加飾層18(図1参照)の幅を小さくすることができ、より狭額縁化されたものとなる。
図4に示す導電性フィルム12を用いたタッチパネルは、図1に示すタッチパネル10に比して、加飾層18の幅が狭く、額縁部Dfがより狭額縁化された構成とすることができる。
なお、導電性フィルム12の構成としては、上述のものに限定されるものではない。例えば、図5~図7に示す構成でもよい。
図5は本発明の実施形態のタッチパネルの導電性フィルムの第3の例を示す模式図であり、図6は本発明の実施形態のタッチパネルの導電性フィルムの第4の例を示す模式図であり、図7は本発明の実施形態のタッチパネルの導電性フィルムの第5の例を示す模式図である。
図5に示す導電性フィルム12において、図2に示す導電性フィルム12と同一構成物には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。図6に示す導電性フィルム12において、図5に示す導電性フィルム12と同一構成物には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
図5に示す導電性フィルム12は、図2に示す導電性フィルム12に比して、可撓性基材25が帯状の突出し部29を有する点以外の構成は、図2に示す導電性フィルム12と同じであるため、その詳細な説明は省略する。
突出し部29に取出し配線部22が設けられており、突出し部29に取出し配線部22の終端部22bがある。終端部22bに設けられた外部接続端子26にフレキシブル回路基板19が電気的に接続されている。
図5に示す導電性フィルム12では、折曲位置Bfは突出し部29にある。折曲位置Bfには検出部20および取出し配線部22のうち、取出し配線部22だけがある。なお、突出し部29は、可撓性基材25を打ち抜くこと、または部分的に切断することにより形成することができる。図5に示す導電性フィルム12では、折曲位置Bfから可撓性基材25の外縁25c迄の範囲Dc、すなわち、突出し部29で構成される折曲部27に封止層36(図1参照)が形成される。
また、突出し部29の位置は、図5に示す導電性フィルム12では、X方向における中央としたが、これに限定されるものではない。突出し部29の位置は、検出部20および取出し配線部22のレイアウト等に応じて適宜決定されるものである。
また、検出部20の大きさにより、フレキシブル回路基板19に接続する部分を複数設けることがある。この場合、突出し部29の数は、フレキシブル回路基板19に接続する箇所の数と同じになる。このため、突出し部29は1つに限定されるものではなく、複数あってもよい。複数の突出し部29を、それぞれ折り曲げる構成とすることができる。
図6に示す導電性フィルム12は、図5に示す導電性フィルム12に比して、折曲位置Bfが異なる点以外の構成は、図5に示す導電性フィルム12と同じであるため、その詳細な説明は省略する。図6に示す導電性フィルム12は、上述の図4に示す導電性フィルム12と同じく、折曲位置Bfには、検出部20および取出し配線部22があり、検出部20および取出し配線部22が折り曲げられる。図6に示すように導電性フィルム12において、検出部20がある折曲位置Bfで折り曲げることにより、額縁領域Dsを実質的にゼロにすることができ、より狭額縁化を実現できる。これにより、タッチパネルを構成する場合、加飾層18(図1参照)の幅を小さくすることができ、より狭額縁化されたタッチパネルを得ることができる。
また、図6に示す導電性フィルム12では、折曲位置Bfから可撓性基材25の外縁25c迄の範囲Dc、すなわち、可撓性基材25の一部と、突出し部29とで構成される折曲部27に封止層36(図1参照)が形成される。
図7に示す導電性フィルム12は、図2に示す導電性フィルム12に比して、第1検出電極30の数および第2検出電極32の数、および取出し配線部22が2方向に引き出されている点が異なり、それ以外の構成は、図2に示す導電性フィルム12と同じであるため、その詳細な説明は省略する。
図7に示す導電性フィルム12は、可撓性基材25の第1検出電極30が延在するY方向の両側の外縁25cに、それぞれ取出し配線部22が引き出されており、取出し配線部22の終端部22bに外部接続端子26が設けられている。外部接続端子26にフレキシブル回路基板19が電気的に接続されている。
なお、取出し配線部22の引き出し方向は、図7に示すものに限定されるものではない。
例えば、折曲位置Bfは、2箇所設けられており、2箇所で折り曲げることができる。
折曲位置Bfは、検出部20および取出し配線部22のうち、取出し配線部22だけがあり、検出部20がない構成であるが、これに限定されるものではなく、検出部20および取出し配線部22があってもよい。
導電性フィルム12では、2箇所で折り曲げる構成としたが、これに限定されるものではなく、1箇所で折り曲げる構成でもよい。さらには可撓性基材25のX方向の外側領域Eの取出し配線部22で折り曲げる構成としてもよい。図7に示す導電性フィルム12は、最大4箇所で折り曲げる構成とすることができる。
(導電性フィルムの構成)
以下、導電性フィルムを構成する各部材について説明する。
<電極構成等>
図8は本発明の実施形態のタッチパネルの導電性フィルムの検出部の電極構成を示す模式図であり、図9は本発明の実施形態のタッチパネルの導電性フィルムの検出部のメッシュパターンの形状の一例を示す模式図である。
検出部20の第1検出電極30および第2検出電極32は、上述のように金属細線33により構成される。第1検出電極30および第2検出電極32は、例えば、図8に示すように、複数の金属細線33が交差してなるメッシュパターンを有する。
なお、引出し配線23についても、第1検出電極30および第2検出電極32と同じ構成とすることができる。引出し配線23は、複数の金属細線33が交差してなるメッシュパターンを有するものであってもよい。
第1検出電極30、第2検出電極32および引出し配線23を、メッシュパターンを有する構成とする場合、メッシュパターンのパターンは特に制限されず、正三角形、二等辺三角形、直角三角形等の三角形、正方形、長方形、菱形、平行四辺形、台形等の四角形、(正)六角形、(正)八角形等の(正)n角形、円、楕円、星形等を組み合わせた幾何学図形であることが好ましい。
メッシュパターンのメッシュとは、図9に示すように、交差する金属細線33により構成される複数の開口部35を含んでいる形状を意図する。
開口部35は、金属細線33で囲まれる開口領域である。開口部35の一辺の長さWは、上限は800μm以下が好ましく、600μm以下がより好ましく、400μm以下がさらに好ましく、下限は5μm以上が好ましく、30μm以上がより好ましく、80μm以上がさらに好ましい。開口部35の一辺の長さWが上述の範囲である場合には、さらに透明性も良好に保つことが可能であり、導電性フィルム12(図1参照)を画像表示モジュール14(図1参照)の表示面14a(図1参照)上に取り付けた際に、違和感なく表示を視認することができる。
可視光透過率の点から、メッシュパターンの開口率は85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、95%以上であることがさらに好ましい。開口率とは、導電層を設けられた領域において金属細線を除いた透過性部分、すなわち、開口部が導電層を設けられた領域全体に占める割合に相当する。
検出部20の構成は、図3に示すように、可撓性基材25の表面25aに第1検出電極30が設けられ、裏面25bに第2検出電極32が設けられる構成に限定されるものではない。例えば、第1検出電極30と第2検出電極32とを、それぞれ別々の可撓性基材に設けて積層した構成でもよい。具体的には、第1検出電極30が設けられた可撓性基材25と、第2検出電極32が設けられた可撓性基材25とを、透明、かつ電気的に絶縁な絶縁体層を介して積層した構成でもよい。
可撓性基材25の表面25aおよび裏面25bに、それぞれ検出部20を設ける構成に限定されるものではない。図10に示すように、可撓性基材25の一方の面にだけ、例えば、表面25aにだけ検出電極34を有する構成でもよい。図10に示す検出電極34が検出部20として機能する。検出電極34は、第1検出電極30(図8参照)と同様に複数の金属細線33により構成されており、金属細線33が表面25aに設けられている。
なお、図10は本発明の実施形態のタッチパネルの導電性フィルムの検出部の構成の一例を示す模式的断面図である。
金属細線以外の構成として、検出部20の第1検出電極30および第2検出電極32は、銀ナノワイヤー、カーボンナノチューブ(CNT)、カーボンナノバッド(CNB)等の導電性繊維で形成されていてもよく、これらの組み合わせであってもよい。
<可撓性基材>
可撓性基材とは、折り曲げることができることを意味し、具体的には、曲率半径1mmで折り曲げても割れを生じないことを指す。
可撓性基材は、検出部、および取出し配線部を支持するものであり、かつ可撓性を有する支持体である。可撓性基材としては、検出部、および取出し配線部を支持でき、かつ可撓性を有するものであれば、その種類は限定されるものではなく、透明支持体であることが好ましく、特にプラスチックシートが好ましい。
可撓性基材を構成する材料の具体例としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)(258℃)、ポリシクロオレフィン(134℃)、ポリカーボネート(250℃)、(メタ)アクリル樹脂(128℃)、PEN(ポリエチレンナフタレート)(269℃)、PE(ポリエチレン)(135℃)、PP(ポリプロピレン)(163℃)、ポリスチレン(230℃)、ポリ塩化ビニル(180℃)、ポリ塩化ビニリデン(212℃)、ポリPVDF(フッ化ビニリデン)(177℃)、PAR(ポリアリレート)(250℃)、PES(ポリエーテルサルホン)(225℃)、高分子アクリル樹脂、フルオレン誘導体(140℃)、結晶性COP(165℃)、または、TAC(トリアセチルセルロース)(290℃)等の融点が約290℃以下であるプラスチックフィルムが好ましく、(メタ)アクリル樹脂、PET、ポリシクロオレフィン、または、ポリカーボネートがより好ましい。( )内の数値は融点、または、ガラス転移温度である。
可撓性基材の全光線透過率は、85~100%であることが好ましい。
可撓性基材の厚みは特に制限されないが、タッチパネルへの応用の点からは、通常、25~500μmの範囲で任意に選択することができる。なお、可撓性基材の機能の他にタッチ面の機能をも兼ねる場合は、500μmを超えた厚みで設計することも可能である。
可撓性基材の好適態様の1つとしては、大気圧プラズマ処理、コロナ放電処理、および紫外線照射処理からなる群から選択される少なくとも1つの処理が施された処理済支持体が挙げられる。上述の処理が施されることにより、処理済支持体表面にはOH基等の親水性基が導入され、導電線の密着性がより向上する。
また、可撓性基材の他の好適態様としては、その表面上に高分子を含む下塗り層を有する構成でもよい。この下塗り層上に検出部および取出し配線部が形成されることにより、検出部および取出し配線部の密着性がより向上する。
下塗り層の形成方法は特に制限されないが、例えば、高分子を含む下塗り層形成用組成物を可撓性基材上に塗布して、必要に応じて加熱処理を施す方法が挙げられる。下塗り層形成用組成物には、必要に応じて、溶剤が含まれていてもよい。溶剤の種類は特に制限されず、公知の溶剤が例示される。また、高分子を含む下塗り層形成用組成物として、高分子の微粒子を含むラテックスを使用してもよい。
下塗り層の厚みは特に制限されないが、検出部および取出し配線部の密着性がより優れる点で、0.02~0.3μmが好ましく、0.03~0.2μmがより好ましい。
<検出部、取出し配線部>
検出部、取出し配線部を構成する金属細線の線幅は特に制限されないが、上限は30μm以下が好ましく、15μm以下がより好ましく、10μm以下がさらに好ましく、9μm以下が特に好ましく、7μm以下が最も好ましく、下限は0.5μm以上が好ましく、1.0μm以上がより好ましい。上述の範囲であれば、低抵抗の電極を比較的容易に形成できる。
金属細線が取出し配線部の引出し配線として適用される場合には、金属細線の線幅は500μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましく、30μm以下がさらに好ましい。上述の範囲であれば、低抵抗のタッチパネル電極を比較的容易に形成できる。
金属細線の厚みは特に制限されないが、0.01~200μmが好ましく、30μm以下であることがより好ましく、20μm以下であることがさらに好ましく、0.01~9μmであることが特に好ましく、0.05~5μmであることが最も好ましい。上述の範囲であれば、低抵抗の電極で、耐久性に優れた電極を比較的容易に形成できる。
金属細線の材料としては、例えば、金(Au)、銀(Ag)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)およびタングステン(W)等の金属または合金等が挙げられる。なかでも、金属細線の導電性が優れる理由から、銀であることが好ましい。
金属細線の中には、金属細線と可撓性基材との密着性の観点から、バインダーが含まれていることが好ましい。
バインダーとしては、金属細線と可撓性基材との密着性がより優れる理由から、樹脂が好ましく、より具体的には、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリジエン系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、セルロース系重合体およびキトサン系重合体からなる群から選ばれる少なくともいずれかの樹脂、または、これらの樹脂を構成する単量体からなる共重合体等が挙げられる。
なお、バインダーが含まれる金属細線については、後に詳細に説明する。
金属細線の製造方法は特に制限されず、公知の方法を採用できる。例えば、可撓性基材表面上に形成された金属箔上のフォトレジスト膜を露光、現像処理してレジストパターンを形成し、レジストパターンから露出する金属箔をエッチングする方法が挙げられる。また、可撓性基材の両主面上に金属微粒子または金属ナノワイヤーを含むペーストを印刷し、ペーストに金属めっきを行う方法が挙げられる。また、可撓性基材表面にパターンニングした溝構造をあらかじめ形成し、その溝に金属微粒子または金属ナノワイヤーを含むペーストをスクリーン印刷で埋め込む方法が挙げられる。また、金属微粒子または金属ナノワイヤーを含むインクをインクジェット方式で可撓性基材表面状にパターン印刷を行い、金属細線を形成する方法が挙げられる。
さらに、上述の方法以外にハロゲン化銀を使用した方法が挙げられる。より具体的には、特開2014-209332号公報の段落0056~0114に記載の方法が挙げられる。ハロゲン化銀を使用した方法については、後に詳細に説明する。
検出部の好適な形態としては、銀細線からなるメッシュパターンを含む態様が挙げられ、上述の可撓性基材の表面に第1検出電極、裏面に第2検出電極が配置されていることが好ましい。
〔金属細線の他の例〕
検出部20の第1検出電極30および第2検出電極32、ならびに取出し配線部22の引出し配線23は、金属細線で構成することに限定されるものではなく、バインダー、および、バインダー中に分散した金属部を含有する導電線により構成することもできる。
導電線において、上述のバインダーは第1高分子と、第1高分子よりもガラス転移温度が低い第2高分子を含有する。なお、本明細書において、ポリマーのガラス転移温度は、示差走査熱量分析(DSC)法によって測定したガラス転移温度を意味する。ガラス転移温度は、JIS K7121(2012)に規定される「プラスチックの転移温度測定方法」を用いて測定されるものである。
第1高分子および第2高分子としては、例えば、疎水性ポリマー(疎水性樹脂)等が挙げられ、より具体的には、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリジエン系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、セルロース系重合体およびキトサン系重合体、からなる群から選ばれる少なくともいずれかの樹脂、または、これらの樹脂を構成する単量体からなる共重合体等が挙げられる。
また、ポリマーには、後述する架橋剤と反応する反応性基が含まれることが好ましい。
ポリマーとしては、以下の式A、B、C、および、Dからなる群より選択される少なくとも1種の単位を有することが好ましい。
中でも、第1高分子としては、よりガラス転移温度を低く制御しやすい観点から、式A、B、C、および、Dからなる群より選択される1種の単位からなる重合体が好ましく、B、C、および、Dからなる群より選択される少なくとも1種の単位からなる重合体がより好ましく、式Dで表される単位からなる重合体が更に好ましい。
1は、メチル基またはハロゲン原子を表し、好ましくはメチル基、塩素原子、臭素原子を表す。pは0~2の整数を表し、0または1が好ましく、0がより好ましい。
2は、メチル基またはエチル基を表し、メチル基が好ましい。
3は、水素原子またはメチル基を表し、水素原子が好ましい。Lは、2価の連結基を表し、下記一般式(2)で表される基が好ましい。
一般式(2):-(CO-X1)r-X2- 式中X1は、酸素原子または-NR30-を表す。ここでR30は、水素原子、アルキル基、アリール基、またはアシル基を表し、それぞれ置換基(例えば、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシル基等)を有してもよい。R30は、好ましくは水素原子、炭素数1~10のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n-ブチル基、n-オクチル基等)、アシル基(例えば、アセチル基、ベンゾイル基等)である。X1として特に好ましいのは、酸素原子またはNH-である。
2は、アルキレン基、アリーレン基、アルキレンアリーレン基、アリーレンアルキレン基、または、アルキレンアリーレンアルキレン基を表し、これらの基には-O-、-S-、-OCO-、-CO-、-COO-、-NH-、-SO2-、-N(R31)-、-N(R31)SO2-等が途中に挿入されてもよい。ここでR31は炭素数1~6の直鎖または分岐のアルキル基を表し、メチル基、エチル基、および、イソプロピル基等がある。X2の好ましい例として、ジメチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、o-フェニレン基、m-フェニレン基、p-フェニレン基、-CH2CH2OCOCH2CH2-、および、-CH2CH2OCO(C64)-等が挙げられる。
rは0または1を表す。
qは0または1を表し、0が好ましい。
4は、炭素数1~80のアルキル基、アルケニル基、または、アルキニル基を表し、第1高分子としては、炭素数1~5のアルキル基が好ましく、第2高分子としては、炭素数5~50のアルキル基が好ましく、炭素数5~30のアルキル基がより好ましく、炭素数5~20のアルキル基が更に好ましい。
5は、水素原子、メチル基、エチル基、ハロゲン原子、または、-CH2COOR6を表し、水素原子、メチル基、ハロゲン原子、または、-CH2COOR6が好ましく、水素原子、メチル基、または、-CH2COOR6が更に好ましく、水素原子が特に好ましい。
6は、水素原子または炭素数1~80のアルキル基を表し、R4と同じでも異なってもよく、R6の炭素数は1~70が好ましく、1~60がより好ましい。
第1高分子および2の他の好適形態としては、水分の浸入をより防止できる点より、以下の一般式(1)で表されるポリマー(共重合体)が挙げられる。
一般式(1): -(A)x-(B)y-(C)z-(D)w- なお、一般式(1)中、A、B、C、およびDはそれぞれ、すでに説明した上述の繰り返し単位を表す。
一般式(1)中、x、y、z、およびwは各繰り返し単位のモル比率を表す。
xとしては、3~60モル%、好ましくは3~50モル%、より好ましくは3~40モル%である。
yとしては、30~96モル%、好ましくは35~95モル%、より好ましくは40~90モル%である。
zとしては0.5~25モル%、好ましくは0.5~20モル%、より好ましくは1~20モル%である。
wとしては、0.5~40モル%、好ましくは0.5~30モル%である。
一般式(1)において、xは3~40モル%、yは40~90モル%、zは0.5~20モル%、wは0.5~10モル%の場合が特に好ましい。
一般式(1)で表されるポリマーとしては、下記一般式(2)および一般式(3)で表されるポリマーが好ましい。
一般式(2)中、x、y、zおよびwは、上述の定義の通りである。
上述の式中、a1、b1、c1、d1、およびe1は各モノマー単位のモル比率を表し、a1は3~60(モル%)、b1は30~95(モル%)、c1は0.5~25(モル%)、d1は0.5~40(モル%)、e1は1~10(モル%)を表す。
a1の好ましい範囲は上述のxの好ましい範囲と同じであり、b1の好ましい範囲は上述のyの好ましい範囲と同じであり、c1の好ましい範囲は上述のzの好ましい範囲と同じであり、d1の好ましい範囲は上述のwの好ましい範囲と同じである。
e1は1~10モル%であり、好ましくは2~9モル%であり、より好ましくは2~8モル%である。
一般式(1)で表されるポリマーの重量平均分子量は、1000~100万が好ましく、2000~75万がより好ましく、3000~50万が更に好ましい。
一般式(1)で表されるポリマーは、例えば、特許第3305459号および特許第3754745号公報等を参照して合成することができる。
なお、第1高分子および第2高分子のガラス転移温度としては特に限定されるものではないが、第1高分子のガラス転移温度としては、0℃以上が好ましく、25℃以上がより好ましく、40℃を超えることが更に好ましい。上限としては特に限定されるものではないが、一般に120℃以下が好ましい。
また、第2高分子のガラス転移温度としては特に限定されるものではないが、40℃以下が好ましく、25℃以下がより好ましく、25℃未満が更に好ましく、0℃以下が特に好ましく、0℃未満が最も好ましい。下限としては特に限定されるものではないが、一般に-50℃以上が好ましい。
第1高分子のガラス転移温度と、第2高分子のガラス転移温度の差(絶対値)としては特に限定されるものではないが、一般に20~100℃が好ましい。
導電線における金属部は、導電線の導電特性を担保する部分であり、金属部は金属により構成される。金属部を構成する金属としては、導電特性がより優れる点で、金(金属金)、銀(金属銀)、銅(金属銅)、ニッケル(金属ニッケル)、およびパラジウム(金属パラジウム)からなる群より選択される少なくとも1種の金属が好ましい。
なお、図11は導電線50の拡大図である。図11には、金属部54が粒子状になって導電線50に分散した形態を示しているが、金属部54の形態としては粒子状に限定されるものではなく、金属部54が層状(図示せず)となって導電線50に分散した形態であってもよい。
図11に示す導電線50は、第1高分子、および第2高分子を含有するバインダー52と、バインダー52中に分散した複数の金属部54とを含む。金属部54は上述のように粒子状である。
導電線には上述の以外の材料が含有されていてもよい。上述の以外の材料としては、例えば、非金属の微粒子が挙げられる。非金属の微粒子としては、例えば、樹脂粒子、および、金属酸化物粒子等が挙げられ、金属酸化物粒子が好ましい。
金属酸化物粒子としては、例えば、酸化ケイ素粒子、および、酸化チタン粒子等が挙げられる。
非金属の微粒子の平均粒子径としては特に限定されるものではないが、球相当径で1~1000nmが好ましく、10~500nmがより好ましく、20~200nmが更に好ましい。上述の範囲内であれば、検出部はより優れた透明性を有しやすく、かつ、より優れた導電性を有しやすい。
非金属の微粒子の球相当径は、透過型電子顕微鏡を用いて、任意の50個分の球相当径を算出し、それらを算術平均したものである。
<金属安定化剤>
また、導電線は金属部の安定化を目的として、金属安定化剤を金属部表面または内部、あるいはバインダー内に有することが好ましい。金属安定化剤としては以下のような素材を単独または併用して用いることができる。
特表2009-505358号公報、段落0075~0086記載の腐食防止剤類。
特開2009-188360号公報、段落0077~0092記載の金属イオントラップ剤類。
特開2012-146548号公報、段落0044~0047記載のメルカプト基を有する含窒素複素環化合物類。
特開2013-224397号公報、段落0018~0049記載の銀イオン拡散抑制層形成用組成物類。
特開2014-075115号公報、段落0030~0066銀イオン拡散抑制層形成用の化合物類。
特開2018-024784号公報、段落0050~0057記載の防錆剤類。
特開2019-016488号公報、段落0050~0057記載のメルカプトベンゾチアゾール類。
また、金属安定化剤として、後述の特定化合物を好ましく使用できる。
金属安定化剤としては以下の化合物またはその塩が好ましい。
2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプトベンゾイミダゾール、5-メルカプ-1-フェニル-1Hテトラゾール、1-(4-カルボキシフェニル)-5-メルカプト-1H-テトラゾール、3-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、1-(m-スルホフェニル)-5-メルカプト-1H-テトラゾールナトリウム、2-メルカプトベンゾオキサゾール、1,2,3-ベンゾトリアゾール、1-(3-アセトアミドフェニル)-5-メルカプトテトラゾール、5-アミノ-2-メルカプトベンゾイミダゾール、6-アミノ-2-メルカプトベンゾチアゾール、チオシアヌル酸、6-(ジブチルアミノ)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジチオール、2-メルカプトチアゾリン、ジエチルジチオカルバミン酸ジエチルアンモニウム、(2-ベンゾチアゾリルチオ)酢酸、3-(2-ベンゾチアゾリルチオ)プロピオン酸、6-(ジブチルアミノ)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジチオール、2-アミノ-5-メルカプト-1,3,4-チアジアゾール、2-メルカプト-5-メチルチオ-1,3,4-チアジアゾール、2-メルカプト-5-エチルチオ-1,3,4-チアジアゾール、2-5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾール、2-チオ酢酸-5メルカプト-1,3,4-チアジアゾール、2-アミノピリミジン、5,6-ジメチルベンゾイミダゾール、2-メルカプトピリミジン。
中でも、金属安定化剤として、メルカプトチアゾール骨格もしくはメルカプトチアジアゾール骨格を有する化合物、またはこれらの塩から選ばれる化合物は、硫化耐性向上に特に有効であり、最も好ましい。最も好ましい化合物の具体例としては、2-メルカプトベンゾチアゾール、5-メチル-2-メルカプトベンゾチアゾール、2-アミノ-5-メルカプト-1,3,4-チアジアゾール、2-メルカプト-5-メチルチオ-1,3,4-チアジアゾール、2-メルカプト-5-エチルチオ-1,3,4-チアジアゾール、2-5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾールおよびこれらの誘導体または塩が挙げられる。
金属安定化剤の導入は、折り曲げ部および非折り曲げ部において金属材料の耐久性向上に有用であり、特に金属部に銀を用いる場合、マイグレーションおよび硫化の抑制に有効であり好ましい。金属安定化剤の導入方法としては、導電線の形成途中または形成後に、金属安定化剤類を含む溶液に導電性フィルムを塗布または浸漬により接触させる方法、またはこれら金属安定化剤類を薫蒸等により気相反応により導電性フィルムに堆積させる方法等を好ましく用いることができる。また、金属安定化剤は、前述の透明絶縁層内に含有させることも好ましい。特に、予め金属安定化剤を透明絶縁層に含有させることにより、金属安定化剤を溶解するために必要な溶媒と導電線との接触の必要がなくなり、溶媒による導電線またはバインダーのダメージを回避でき好ましい。このため、第1の透明絶縁層および第2の透明絶縁層のうち、少なくとも一方が金属安定化剤を含むことが好ましい。
また、タッチパネル10の検出部20の入力領域Eであるアクティブエリアにおける経時による抵抗変化は、折曲部がない構成のタッチパネルにおいても発生する可能性がある。しかしながら、第1の透明絶縁層および第2の透明絶縁層のうち、少なくとも一方が金属安定化剤を含むことにより、上述の折曲部がない構成のタッチパネルにおいても抵抗変化を抑制することができる。
これら金属安定化剤の使用量に制限はないが、透明絶縁層および導電性フィルムのうち、少なくとも一方に、導電層1層あたり、1mg/m~10g/mの範囲で含有させることが好ましく、10mg/m~1g/mの範囲で含有させることがさらに好ましい。
導電線においても、形状は特に限定されるものではないが、タッチパネルに適用した際により優れたタッチ位置の検出性能が得られるように、線状(直線、曲線、および、これらの組み合わせ等)であるのが好ましい。この際、導電線の線幅は特に限定されるものではないが、導電線の導電特性および視認しづらさのバランスの点から、30μm以下が好ましく、15μm以下がより好ましく、10μm以下が更に好ましく、5μm以下が特に好ましく、4μm以下が最も好ましく、0.5μm以上が好ましく、1.0μm以上がより好ましい。
導電線の厚みは特に限定されるものではないが、薄型化と導電特性のバランスの点で、200μm以下が好ましく、30μm以下がより好ましく、10μm以下が更に好ましく、0.3~5μmであることが特に好ましく、0.5~5μmであることが最も好ましい。
<検出部の製造方法>
検出部の製造方法について、導電線の金属部が銀(金属銀)を含有する場合を例にして説明する。より優れた生産性が得られる点で以下工程を有する方法が好ましい。
・工程A:
可撓性基材上に、少なくともハロゲン化銀と第1高分子とを含有するハロゲン化銀含有塗布液と、少なくとも第2高分子を含有する組成調整塗布液とを、同時重層塗布して、ハロゲン化銀感光性層を形成する工程。
・工程B:
ハロゲン化銀感光性層を露光した後、現像処理して金属銀を含有する導電線を形成する工程。
以下では、各工程について詳述する。
<工程A>
工程Aは、可撓性基材上に、少なくともハロゲン化銀と第1高分子とを含有するハロゲン化銀含有塗布液と、少なくとも第2高分子を含有する組成調整塗布液とを、同時重層塗布して、ハロゲン化銀感光性層を形成する工程である。
なお、同時重層塗布する場合の各塗布液の積層順序としては特に限定されるものではない。可撓性基材側から、ハロゲン化銀含有塗布液、および、組成調整塗布液をこの順に積層してもよい。逆に、可撓性基材側から、組成調整塗布液、および、ハロゲン化銀含有塗布液をこの順に積層してもよい。更に、組成調整塗布液、ハロゲン化銀含有塗布液、および、組成調整塗布液をこの順に積層してもよい。
なお、「可撓性基材上に塗布」とは、可撓性基材表面上に直接塗布する場合、および、可撓性基材上に別途層が配置され、その層上に塗布する場合も含める。
本工程では、ハロゲン化銀を含むハロゲン化銀含有塗布液と、ハロゲン化銀を含まない組成調整塗布液とを同時重層塗布しているため、両者の塗布液より形成される2層の塗膜の界面にて成分の拡散が進行する。より具体的には、可撓性基材上に配置されるハロゲン化銀含有塗布液から形成される塗膜(以後、塗膜Aともいう)中から、組成調整塗布液から形成される塗膜(以後、塗膜Bともいう)中に一部のハロゲン化銀、および、第1高分子の拡散が進行する。その結果、塗膜B中の塗膜A側の領域にはハロゲン化銀、および、第1高分子が含まれ、その含有量は、塗膜A中のハロゲン化銀、および、第1高分子の含有量よりも少ない。
塗膜B中の塗膜A側の領域(以下「領域w」ともいう。)には、塗膜Aから移動したハロゲン化銀が含有されるため、後述する工程Bを経た後、この領域wは、導電線における上部領域を形成することとなる。このとき、導電線のうち、領域wにおいては第1高分子の含有量および第2高分子の含有量の合計量に対する第2高分子の含有量の含有質量比が、中間領域よりも大きくなりやすい。
なお、ハロゲン化銀含有塗布液は、少なくともハロゲン化銀と第1高分子とを含有すればよく、第2高分子を更に含有してもよい。この場合、ハロゲン化銀含有塗布液中における第1高分子の含有量および第2高分子の含有量に対する第2高分子の含有質量比は、組成調整塗布液中における第1高分子の含有量および第2高分子の含有量に対する第2高分子の含有質量比よりも小さいことが好ましい。
また、組成調整塗布液は、少なくとも第2高分子を含有すればよく、ハロゲン化銀、および/または、第1高分子を更に含有してもよい。組成調整塗布液が更にハロゲン化銀を含有する場合、その含有量としては特に限定されるものではないが、ハロゲン化銀含有塗布液中におけるハロゲン化銀の含有量より、組成調整塗布液中におけるハロゲン化銀の含有量の方が少ないことが好ましい。そのようにすることで、より外光反射の少ない検出部が得られやすい。
組成調整塗布液が更に第1高分子を含有する場合、組成調整塗布液中における第1高分子の含有量および第2高分子の含有量に対する第1高分子の含有質量比は、ハロゲン化銀含有塗布液における第1高分子の含有量および第2高分子の含有量に対する第1高分子の含有質量比よりも小さいことが好ましい。
ハロゲン化銀含有塗布液に含有されるハロゲン化銀としては特に限定されるものではなく、公知のハロゲン化銀が使用できる。ハロゲン化銀に含有されるハロゲン元素は、塩素、臭素、ヨウ素およびフッ素のいずれであってもよく、これらを組み合わせでもよい。例えば、塩化銀、臭化銀、または、ヨウ化銀を主体としたハロゲン化銀が好ましく用いられ、更に臭化銀または塩化銀を主体としたハロゲン化銀が好ましく用いられる。塩臭化銀、沃塩臭化銀、または、沃臭化銀もまた好ましく用いられる。より好ましくは、塩臭化銀、臭化銀、沃塩臭化銀、または、沃臭化銀であり、最も好ましくは、塩化銀50モル%以上を含有する塩臭化銀、または、沃塩臭化銀が用いられる。
なお、ここで、「臭化銀を主体としたハロゲン化銀」とは、ハロゲン化銀組成中に占める臭化物イオンのモル分率が50%以上のハロゲン化銀をいう。この臭化銀を主体としたハロゲン化銀粒子は、臭化物イオンのほかに沃化物イオン、塩化物イオンを含有していてもよい。
ハロゲン化銀は固体粒子状であり、ハロゲン化銀の平均粒子サイズは、球相当径で0.1~1000nm(1μm)であることが好ましく、0.1~300nmであることがより好ましく、1~200nmであることが更に好ましい。
なお、ハロゲン化銀粒子の球相当径とは、粒子形状が球形の同じ体積を有する粒子の直径である。
ハロゲン化銀粒子の形状は特に限定されず、例えば、球状、立方体状、平板状(6角平板状、三角形平板状、4角形平板状等)、八面体状、および、14面体状等様々な形状であることができる。
また、ハロゲン化銀の安定化または高感化のために用いられるロジウム化合物、イリジウム化合物等のVIII族、VIIB族に属する金属化合物、パラジウム化合物の利用については、特開2009-188360号公報の段落0039~段落0042の記載を参照することができる。更に化学増感については、特開2009-188360号公報の段落0043の技術記載を参照することができる。
ハロゲン化銀含有塗布液に含有され、組成調整塗布液に含有されることがある第1高分子、および、組成調整塗布液に含有され、ハロゲン化銀含有塗布液に含有されることがある第2高分子の形態としては既に説明したとおりであるため、説明は省略する。
ハロゲン化銀含有塗布液、および、組成調整塗布液は、ハロゲン化銀、第1高分子、および、第2高分子以外の成分を含有していてもよく、それらの成分はハロゲン化銀含有塗布液、および、組成調整塗布液において共通であり、以下に説明するとおりである。
ハロゲン化銀含有塗布液、および、組成調整塗布液は、更にゼラチンを含有してもよい。
ゼラチンの種類は特に限定されるものではなく、例えば、石灰処理ゼラチンの他、酸処理ゼラチンを用いてもよく、ゼラチンの加水分解物、ゼラチン酵素分解物、および、アミノ基またはカルボキシル基を修飾したゼラチン(フタル化ゼラチン、アセチル化ゼラチン)を使用することもできる。
ハロゲン化銀含有塗布液、および、組成調整塗布液は、更に溶媒を含有してもよい。使用される溶媒としては、例えば、水、有機溶媒(例えば、メタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、ホルムアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、酢酸エチル等のエステル類、エーテル類等)、イオン性液体、および、これらの混合溶媒を挙げることができる。
ハロゲン化銀含有塗布液、および、組成調整塗布液には、必要に応じて、上述した材料以外の他の材料が含まれていてもよい。例えば、上述の第1高分子および第2高分子を架橋するために使用される架橋剤が含まれることが好ましい。架橋剤が含まれることによりポリマー間での架橋が進行し、後述する工程においてゼラチンが分解除去された際にも金属銀同士の連結が保たれ、結果として導電特性がより優れる。
ハロゲン化銀含有塗布液と組成調整塗布液とを同時重層塗布する方法は特に限定されるものではなく、公知の方法を採用することができ、例えば、ダイ塗布方式を用いることが好ましい。ダイ塗布方式にはスライド塗布方式、エクストルージョン塗布方式、カーテン塗布方式があるが、スライド塗布方式またはエクストルージョン塗布が好ましく、薄層塗布適性が高いエクストルージョン塗布が最も好ましい。
なお、上述の同時重層塗布する際には、上述したタッチパネル用導電性フィルムの第1実施態様の形態が得られやすい点から、所定の基板上に塗布した際に形成される膜(表面膜)の乾燥厚みが300nm以上となるような組成の第2高分子を含有する組成調整塗布液を使用することが好ましい。
また、同時重層塗布を実施した後、得られた塗膜に対して、必要に応じて、乾燥処理を施してもよい。乾燥処理を実施することにより、ハロゲン化銀含有塗布液より得られる塗膜および組成調整塗布液より得られる塗膜に含まれる溶媒を容易に除去することができる。
上述の処理により、ハロゲン化銀を含有する感光性層を可撓性基材上に形成することができる。なお、本明細書では、上述の「ハロゲン化銀を含有する感光性層」を「ハロゲン化銀感光性層」、または、単に「感光性層」ということがある。
<工程B>
工程Bは、ハロゲン化銀感光性層を露光した後、現像処理して金属銀を含有する導電線を形成する工程である。
本工程により、ハロゲン化銀が還元され、金属銀を含む導電線が形成される。なお、通常、露光処理はパターン状に実施され、露光部では金属銀を含む導電線が形成される。一方、非露光部では、後述する現像処理によってハロゲン化銀が溶出される。上述のゼラチンおよび上述の高分子を含む非導電線が形成される。非導電線には実質的に金属銀が含まれておらず、非導電線とは導電性を示さない領域を意図する。
以下では、本工程で実施される露光処理と現像処理とについて詳述する。
露光処理は、感光性層に露光を行う処理である。感光性層に対してパターン状の露光を施すことにより、露光領域における感光性層中のハロゲン化銀が潜像を形成する。この潜像が形成された領域は、後述する現像処理によって導電線を形成する。一方、露光がなされなかった未露光領域では、後述する現像処理の際にハロゲン化銀が溶解して感光性層から流出し、透明な膜(非導電線)が得られる。
露光の際に使用される光源は特に限定されるものではなく、可視光線、紫外線等の光、または、X線等の放射線等が挙げられる。
パターン露光を行う方法は特に限定されるものではなく、例えば、フォトマスクを利用した面露光で行ってもよいし、レーザービームによる走査露光で行ってもよい。なお、パターンの形状は特に限定されるものではなく、形成したい導電線のパターンに合わせて適宜調整される。
現像処理の方法は特に限定されるものではないが、例えば、銀塩写真フイルム、印画紙、印刷製版用フイルム、および、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる通常の現像処理の技術を用いることができる。
現像処理の際に使用される現像液の種類は特に限定されるものではないが、例えば、PQ(phenidone hydroquinone)現像液、MQ(Metol hydroquinone)現像液、および、MAA(メトール・アスコルビン酸)現像液等を用いることもできる。
現像処理は、未露光部分の銀塩を除去して安定化させる目的で行われる定着処理を含むことができる。定着処理は、銀塩写真フイルム、印画紙、印刷製版用フイルム、および、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる定着処理の技術を用いることができる。
定着工程における定着温度は、約20℃~約50℃が好ましく、25~45℃がより好ましい。また、定着時間は5秒~1分が好ましく、7秒~50秒がより好ましい。
現像、定着処理を施した感光性層は、水洗処理および安定化処理を施されるのが好ましい。
上述の工程Aおよび工程B以外のその他の工程を有していてもよい。
その他の工程としては、例えば、
工程Bの後に、導電線の金属銀同士を互いに融着させる工程F;
工程Aの後であって、工程Bの前に、ハロゲン化銀感光性層と、金属吸着性置換基または金属吸着性構造を有する化合物(以下、「特定化合物」ともいう。)と、を接触させる工程C1;
工程Bの後であって、工程Fの前に、導電線と特定化合物とを接触させる工程C2;
工程Bの後であって、工程Fの前に、更に、導電線を圧密化する工程D;
ハロゲン化銀含有塗布液、および、組成調整塗布液からなる群より選択される少なくとも1種が、ゼラチンを含有する場合に、工程Bの後であって、工程Dの前に、導電線中のゼラチンを除去する工程E;等が挙げられる。また、その他の工程としては、後述する易接着層形成工程等も挙げられる。以下では、その他の工程について説明する。
(工程F)
工程Fは、工程Bの後に、導電線の(導電線に含有される)金属銀同士を互いに融着させる工程である。本工程により、金属銀同士が融着する結果、より優れた導電性を有する導電線を備えた検出部が得られる。
加熱の方法としては特に限定されるものではないが、導電線を有する可撓性基材を過熱蒸気に接触させる処理が挙げられる。
過熱蒸気としては特に限定されるものではなく、過熱水蒸気でよいし、過熱水蒸気に他のガスを混合させたものでもよい。
過熱蒸気は、供給時間10~300秒の範囲で導電線に接触させることが好ましい。供給時間が10秒以上であると、導電率の向上が大きい。また、300秒以下だと、十分に導電率が向上するため、経済性の点からより好ましい。
また、過熱蒸気は、供給量が500~600g/m3の範囲で導電線に接触させることが好ましく、過熱蒸気の温度は、1気圧で100~160℃に制御されることが好ましい。
加熱処理の他の方法としては、80~150℃での加熱処理が挙げられる。
加熱時間は特に限定されるものではないが、上述の効果がより優れる点で、0.1~5.0時間が好ましく、0.5~1.0時間がより好ましい。
(工程C1)
工程C1は、工程Aの後であって、工程Bの前に実施され、ハロゲン化銀感光性層と、特定化合物とを接触させる工程である。本工程によって、後段の工程Bにおいて生じた金属銀同士がより融着しにくくなる。本工程においては、ハロゲン化銀感光性層に特定化合物を接触させるため、ハロゲン化銀感光性層のより表面に近い領域(界面領域)において、金属銀同士が融着しにくくなるという効果を有する。従って、特に後段の工程によって得られる導電線において、界面領域において金属銀同士の融着がより阻害されやすい。また、この場合であっても、導電線の中間領域においては、十分に金属銀同士が融着するものと考えられ、優れた導電性を有する検出部が得られる。
検出部の製造方法は、工程C1または後述する工程C2を有することが好ましく、工程C1および工程C2を有していてもよい。
特定化合物とハロゲン化銀感光性層を接触させる方法としては特に限定されるものではないが、典型的には特定化合物が溶解、および/または、分散された溶液と、ハロゲン化銀感光性層とを接触させる方法が挙げられる。また、特定化合物を含有する気体と、ハロゲン化銀感光性層とを接触させる方法であってもよい。
特定化合物を含有する溶液とハロゲン化銀感光性層とを接触させる方法としては特に限定されるものではないが、溶液にハロゲン化銀感光性層を浸漬させる方法、および、ハロゲン化銀感光性層に溶液を塗布する方法等が挙げられ、溶液にハロゲン化銀感光性層を浸漬させる方法がより好ましい。溶液にハロゲン化銀感光性層を浸漬させる方法は、より簡便な装置で、より安定的に実施でき、また、浸漬後に洗浄すれば、余剰の溶液をより容易に除去できるため、好ましい。
また、ハロゲン化銀感光性層と、金属吸着性部位を有する化合物を含有する気体、および/または、溶液とを接触させる方法は、ハロゲン化銀感光性層の表面において、金属銀が上述の化合物に吸着されやすいという特徴も有する。これにより、導電線の表面において金属銀が互いに融着するのがより阻害されやすい。
特定化合物は、金属吸着性置換基または金属吸着性構造(以下、これらをあわせて「金属吸着性部位」ともいう。)を有する化合物である。
金属吸着性置換基としては、特に限定されるものではないが、金属吸着性置換基としては、カルボキシル基またはその塩、酸アミド基、アミノ基、イミダゾール基、ピラゾール基、チオール基、チオエーテル基、および、ジスルフィド基からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
金属吸着性構造としては特に限定されるものではないが、含窒素ヘテロ環が好ましく、5または6員環アゾール類が好ましく、5員環アゾール類がより好ましい。
含窒素ヘテロ環としては、例えば、テトラゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、チアジアゾール環、オキサジアゾール環、セレナジアゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ベンズオキサゾール環、ベンズチアゾール環、ベンズイミダゾール環、ピリミジン環、トリアザインデン環、テトラアザインデン環、ベンゾインダゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ピリジン環、キノリン環、ピペリジン環、ピペラジン環、キノキサリン環、モルホリン環、および、ペンタアザインデン環等が挙げられる。
これらの環は、置換基を有してもよく、置換基としては、ニトロ基、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、および、臭素原子)、シアノ基、置換もしくは無置換のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、t-ブチル基、および、シアノエチル基の各基)、アリール基(例えば、フェニル基、4-メタンスルホンアミドフェニル基、4-メチルフェニル基、3,4-ジクロルフェニル基、および、ナフチル基の各基)、アルケニル基(例えば、アリル基)、アラルキル基(例えば、ベンジル基、4-メチルベンジル基、および、フェネチル基の各基)、スルホニル基(例えば、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、および、p-トルエンスルホニル基の各基)、カルバモイル基(例えば、無置換カルバモイル基、メチルカルバモイル基、および、フェニルカルバモイル基の各基)、スルファモイル基(例えば、無置換スルファモイル基、メチルスルファモイル基、および、フェニルスルファモイル基の各基)、カルボンアミド基(例えば、アセトアミド基、および、ベンズアミド基の各基)、スルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド基、ベンゼンスルホンアミド基、および、p-トルエンスルホンアミド基の各基)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、および、ベンゾイルオキシ基の各基)、スルホニルオキシ基(例えば、メタンスルホニルオキシ基)、ウレイド基(例えば、無置換ウレイド基、メチルウレイド基、エチルウレイド基、および、フェニルウレイド基の各基)、アシル基(例えば、アセチル基、および、ベンゾイル基の各基)、オキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、および、フェノキシカルボニル基の各基)、および、ヒドロキシル基等が挙げられる。置換基は、1つの環に複数置換してもよい。
上述の化合物としては含窒素6員環を有する化合物(含窒素6員環化合物)が好ましく、含窒素6員環化合物としては、トリアジン環、ピリミジン環、ピリジン環、ピロリン環、ピペリジン環、ピリダジン環、または、ピラジン環を有する化合物が好ましく、トリアジン環またはピリミジン環を有する化合物がより好ましい。これらの含窒素6員環化合物は置換基を有していてもよく、置換基としては、炭素数1~6(好ましくは1~3)のアルキル基、炭素数1~6(好ましくは1~3)のアルコキシ基、水酸基、カルボキシル基、メルカプト基、炭素数1~6(好ましくは1~3)のアルコキシアルキル基、および、炭素数1~6(好ましくは1~3)のヒドロキシアルキル基が挙げられる。
含窒素6員環化合物の具体例としては、トリアジン、メチルトリアジン、ジメチルトリアジン、ヒドロキシエチルトリアジン、ピリミジン、4-メチルピリミジン、ピリジン、および、ピロリンが挙げられる。
上述の化合物は、金属吸着性部位の1種を単独で有しても、2種以上を有してもよいが、上述の化合物は、2種以上の金属吸着性部位を有していることが好ましい。
(工程C2)
工程C2は、工程Bの後であって、工程Fの前に実施され、導電線と、特定化合物とを接触させる工程である。本工程によって、導電線の(導電線に含まれる)金属銀同士がより融着しにくくなる。本工程においては、導電線に特定化合物を接触させるため、導電線のより表面に近い領域(界面領域)において、金属銀同士が融着しにくくなるという効果を有する。従って、導電線の界面領域において金属銀同士の融着がより阻害されやすい。また、この場合であっても、導電線の中間領域においては、十分に金属銀同士が融着するものと考えられ、優れた導電性を有する検出部が得られる。
なお、本工程において、導電線と特定化合物とを接触させる方法、および、特定化合物の形態等については、既に説明した工程C1における各形態と同様であるため、説明を省略する。
(工程D)
工程Dは、工程Bの後であって上述の工程Fの前に、導電線を圧密化する工程である。本工程によって、導電線の導電性がより向上するとともに、導電線の可撓性基材への密着性がより向上しやすい。
導電線を圧密化する方法としては特に限定されるものではないが、例えば、導電線を有する可撓性基材を、少なくとも一対のロール間を加圧下で通過させるカレンダ処理工程が好ましい。以下、カレンダーロールを用いた圧密化処理をカレンダ処理と記す。
カレンダ処理に用いられるロールとしては、プラスチックロールおよび金属ロールが挙げられる。シワ防止の点からプラスチックロールが好ましい。ロール間の圧力としては特に限定されるものではない。ロール間の圧力は、富士フイルム株式会社製プレスケール(高圧用)を用いて測定できる。
カレンダ処理に用いられるロールの表面粗さRaは、得られる導電線がより視認されにくい点で、0~2.0μmが好ましく、0.3~1.0μmがより好ましい。
圧密化処理の温度は特に限定されるものではないが、10℃(温調なし)~100℃が好ましく、導電線のパターンの画線密度、形状、および、バインダー種によって異なるが、10℃(温調なし)~50℃がより好ましい。
(工程E)
ハロゲン化銀含有塗布液、および、組成調整塗布液からなる群より選択される少なくとも1種が、ゼラチンを含有する場合に、工程Eは、工程Bの後であって、工程Dの前に、導電線(導電線に含有される)のゼラチンを除去する工程である。ゼラチンを除去することにより、結果として導電線の金属銀の含有量が相対的に高まるため、より優れた導電性を有する導電線が得られる。
工程Eはゼラチンの全部を除去する工程であってもよいし、ゼラチンの一部を除去する工程であってもよい。また、工程Eにおいては、導電線に加えて、可撓性基材上の導電線以外の部分(例えば、非導電線)からゼラチンを除去してもよい。
ゼラチンを除去する方法としては特に限定されるものではないが、例えば、タンパク質分解酵素を用いて分解除去する方法、および、所定の酸化剤を用いて分解除去する方法が挙げられる。
なお、タンパク質分解酵素を用いてゼラチンを分解除去する方法としては、例えば、特開2014-209332号公報の段落0084~0077に記載の方法を採用できる。
また、酸化剤を用いてゼラチンを分解除去する方法としては、例えば、特開2014-112512号公報の段落0064~0066に記載の方法を採用できる。
(易接着層形成工程)
易接着層形成工程は、工程Aの前に、可撓性基材上に易接着層(以下、「下塗り層」ともいう。)を形成し、易接着層(下塗り層)付き可撓性基材を得る工程である。可撓性基材上に下塗り層を形成する方法としては特に限定されるものではないが、可撓性基材上に下塗り層形成用組成物を塗布する方法が挙げられる。下塗り層形成工程では、形成される下塗り層が、隣接する他の層(可撓性基材、および、非導電線等)との間で、屈折率の差の絶対値がより小さくなるよう、調整されることが好ましい。下塗り層と隣接する他の層との間の屈折率の差を調整する方法としては特に限定されるものではないが、各層の形成に用いられる組成物中に含有される各成分の種類を調整する方法が挙げられる。
易接着層を形成する方法としては特に限定されるものではないが、易接着層形成用組成物を可撓性基材上に塗布して、必要に応じて加熱処理を施す方法が挙げられる。易接着層形成用組成物は、溶媒を含有してもよい。溶媒の種類は特に限定されるものではなく、ハロゲン化銀含有塗布液等が含有することがある溶媒として既に説明したとおりである。
易接着層の厚みは特に限定されるものではないが、可撓性基材と、ハロゲン化銀感光性層および導電線との密着性がより向上する点で、0.02~0.3μmが好ましい。
易接着層としては特に限定されるものではなく、例えば、特開2008-208310号公報に記載の第1接着層の好適な適用例を、好適に用いることができる。
<検出部の他の製造方法>
検出部、取出し配線部を構成する金属細線の製造方法は、上述の方法に、特に限定されるものではなく、例えば、めっき法、蒸着法および印刷法等が適宜利用可能である。
めっき法よる金属細線の形成方法について説明する。例えば、金属細線は、無電解めっき下地層に無電解めっきすることにより下地層上に形成される金属めっき膜で構成することができる。この場合、少なくとも金属微粒子を含有する触媒インクを基材上にパターン状に形成した後に、基材を無電解めっき浴に浸漬し、金属めっき膜を形成することで形成される。より具体的には、特開2014-159620号公報に記載の金属被膜基材の製造方法を利用することができる。また、少なくとも金属触媒前駆体と相互作用しうる官能基を有する樹脂組成物を基材上にパターン状に形成した後、触媒または触媒前駆体を付与し、基材を無電解めっき浴に浸漬し、金属めっき膜を形成することで形成される。より具体的には、特開2012-144761号公報に記載の金属被膜基材の製造方法を応用することができる。
また、蒸着法よる金属細線の形成方法について説明する。まず、蒸着により、銅箔層を形成し、フォトリソグラフィー法により銅箔層から銅配線を形成することにより、金属細線を形成することができる。銅箔層は、蒸着銅箔以外にも、電解銅箔が利用可能である。より具体的には、特開2014-29614号公報に記載の銅配線を形成する工程を利用することができる。
また、印刷法よる金属細線の形成方法について説明する。まず、導電性粉末を含有する導電性ペーストを金属細線と同じパターンで基板に塗布し、その後、加熱処理を施すことにより金属細線を形成することができる。導電性ペーストを用いたパターン形成は、例えば、インクジェット法またはスクリーン印刷法でなされる。導電性ペーストとしては、より具体的には、特開2011-28985号公報に記載の導電性ペーストを利用することができる。
<封止層>
封止層は、導電性フィルムの導電層の硫化を抑制するためのものである。封止層は、電気を絶縁する材料であれば、特に限定されるものではない。例えば、封止層は、電気的な絶縁性を有する粘着層で構成される。粘着層としては、例えば、粘着テープを用いることができる。
また、封止層は、ガスクロマトグラフィー法を用いた硫黄ガス(硫化水素ガス)のガス透過性が10-2g/m/day以下である材料により構成することが好ましい。ガス透過性の下限値は、0g/m/dayである。本発明では、ガスクロマトグラフィー法にGC-FPD(Gas Chromatograph-Flame Photometric Detector)法を用いる。
封止層は、ポリイミドテープ、またはシリコーン、Al、SiONもしくはウレタン樹脂で構成されることが好ましい。
また、封止層の厚みは30nm以上200μm以下であることが好ましい。封止層の厚みが30nm以下では、上述の硫化の抑制の効果が得られにくい。一方、封止層の厚みが200μmを超えると封止層が厚くなりすぎ、封止層の形成に多くの時間がかかったり、貼り付ける場合には折曲部への追従性が悪かったり、封止層が脆い材質の場合には割れが生じるおそれがある。
封止層の形成方法は、折曲部全面に封止層を形成することができる方法であれば、特に限定されるものではなく、貼り付け法、スパッタ法、蒸着法、スプレー塗布法、塗布法、およびディスペンサー法等を利用することができる。貼り付け法は、ポリイミドテープ等の電気絶縁性を有するテープを貼り付けることにより、封止層を形成する方法である。
<第1の透明絶縁層および第2の透明絶縁層>
第1の透明絶縁層および第2の透明絶縁層は、上述の光学的に透明な粘着剤(OCA、Optical Clear Adhesive)およびUV(Ultra Violet)硬化樹脂等の光学的に透明な樹脂(OCR、Optical Clear Resin)に限定されるものではない。
第1の透明絶縁層および第2の透明絶縁層は、可撓性基材の表面および裏面において、検出部および取出し配線部がない領域、および検出部上および取出し配線部上にこれらを覆うように配置してもよい。この場合、第1の透明絶縁層および第2の透明絶縁層は、透明であり、かつ電気絶縁性を有するものであり、さらに検出部および取出し配線部を保護する機能を有する。第1の透明絶縁層および第2の透明絶縁層は、導通性が十分に低い。第1の透明絶縁層および第2の透明絶縁層により検出部および取出し配線部は、金属細線間の導電性、および他の部材と導電性が十分に低い状態とされ、金属細線同士の導通、および他の部材との導通が抑制され短絡等が防止される。
第1の透明絶縁層および第2の透明絶縁層を、検出部および取出し配線部の一部が露出するように、すなわち、検出部および取出し配線部の一部を覆わないように配置してもよい。第1の透明絶縁層および第2の透明絶縁層は、上述のように光学的に透明な粘着剤および光学的に透明な樹脂を用いることができるが、これに限定されるものではなく、以下に示すものを用いることができる。以下、第1の透明絶縁層および第2の透明絶縁層をまとめて、単に透明絶縁層という。
なお、1回の塗布工程によって透明絶縁層を形成できる点から、入力領域Eおよび外側領域Eの両方の同一の透明絶縁層が配置されることが好ましい。
透明絶縁層としては、架橋構造が導入され、かつ透明絶縁層の押し込み硬度が所定の範囲に調整されたものを用いることができる。
金属細線のひび割れおよび断線は、保存環境条件を含めた導電性フィルムの折り曲げ形態に伴う応力により発生していると推測される。このため、金属細線の表面に、その応力を緩和すること、および、金属細線の強度を補強する機能を有した透明絶縁層を敷設することにより、金属細線のひび割れ、および断線が防止できる。具体的には、強度を補強する機能を透明絶縁層に付与するために、透明絶縁層に架橋構造が導入され、透明絶縁層の優位な剛性が維持される。また、折り曲げに伴い透明絶縁層にクラックが生じて金属細線が断線することに繋がらないように、透明絶縁層の押し込み硬度が所定の範囲内に調整されている。
透明絶縁層の押し込み硬度は、200MPa以下であり、150MPa以下が好ましく、130MPa以下がより好ましい。下限は特に制限されないが、10MPa以上が好ましい。押し込み硬度が200MPa以下の場合、所望の効果を得やすい。
透明絶縁層の押し込み硬度は、微小硬度試験機(ピコデンタ―)により測定することができる。
なお、透明絶縁層が上述の押し込み硬度を示すために、透明絶縁層を構成する樹脂の主鎖構造が柔らかい構造であること、または、架橋点間の距離が長い構造であることが好ましい。
透明絶縁層は、50~90℃における弾性率が1×10Pa以上であることが好ましく、1×10~1×1010MPaであることがより好ましい。可撓性基材が熱膨張すると、可撓性基材上に形成された可撓性基材よりも膨張率の低い金属細線も同様に延び、これにより金属細線の断線が生じることがある。それに対して、透明絶縁層の50~90℃における弾性率が上述の範囲内であれば、高温高湿環境下にて導電性フィルムを折り曲げた状態で使用しても、透明絶縁層が硬く延びにくいため、金属細線のひび割れおよび断線が生じにくい。
また、透明絶縁層の温度85℃および相対湿度85%での弾性率は、1×10Pa以上であることが好ましく、1×10Pa以上であることがより好ましく、1.5×10Pa以上であることがさらに好ましい。上限は特に制限されないが、1×1010MPa以下の場合が多い。弾性率が上述の範囲内であれば、高温高湿環境下にて導電性フィルムを折り曲げた状態で使用しても、金属細線のひび割れおよび断線がより生じにくい。
なお、透明絶縁層の上述の弾性率は、所定の測定環境、例えば、温度85℃および相対湿度85%にて、微小硬度試験機(ピコデンター)により測定することができる。
透明絶縁層の線膨張率は特に制限されないが、1~500ppm/℃が好ましく、5~200ppm/℃がより好ましく、5~150ppm/℃がさらに好ましい。透明絶縁層の線膨張率が上述の範囲内であれば、高温高湿環境下にて導電性フィルムを折り曲げた状態で使用しても金属細線のひび割れおよび断線がより生じにくい。
なお、透明絶縁層の線膨張率は、透明絶縁層からなる測定試料に熱を加えた際のカール値(カールの曲率半径)を測定し、以下の2つの式より算出することができる。
式1:(透明絶縁層の線膨張率-可撓性基材の線膨張率)×温度差=測定試料の歪み
式2:測定試料の歪み={(可撓性基材の弾性率×(可撓性基材の厚み)}/{3×(1-可撓性基材のポアソン比)×透明絶縁層の弾性率×カールの曲率半径}
なお、金属細線の断線をより抑制できる点で、透明絶縁層の線膨張率は、可撓性基材の線膨張率との差が小さいことが好ましく、上限は、差分が300ppm/℃以下であることが好ましく、150ppm/℃以下であることがより好ましい。下限は特に制限されないが、0ppm/℃が挙げられる。
透明絶縁層の厚みは特に制限されないが、厚みが大きいと折り曲げた際に透明絶縁層にクラックが生じやすくなる。クラックを抑制しつつ、検出部および取出し配線部の密着性がより優れ、膜強度がより優れる観点から、1~20μmが好ましく、5~15μmがより好ましい。
透明絶縁層は、上述のように光を透過させる性質を有する。
なお、透明絶縁層を含む導電性フィルムの全光線透過率は、可視光領域(波長400~700nm)に対し、85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。
なお、上述の全光線透過率は、分光測色計CM-3600A(コニカミノルタ株式会社製)によって測定される。
なお、透明絶縁層自体の全光線透過率は、導電性フィルムが上述の全光線透過率を示すように調整されることが好ましく、少なくとも85%以上であることが好ましい。
透明絶縁層は、検出部および取出し配線部との密着性に優れることが好ましく、具体的には、3M社製「610」よるテープ密着力評価試験で剥離がないことがより好ましい。
また、透明絶縁層は、検出部および取出し配線部だけでなく、可撓性基材(または、下塗り層もしくはバインダー層)の検出部および取出し配線部の形成されていない領域とも接するため、可撓性基材(または、下塗り層もしくはバインダー層)との密着性に優れていることが好ましい。なお、バインダー層とは、可撓性基材上であって金属細線間に配置されるバインダーからなる層であり、ハロゲン化銀法により金属細線を製造する際に形成される場合が多い。
上述のように透明絶縁層と可撓性基材および検出部および取出し配線部との密着性が高い場合、金属細線のひび割れおよび断線をより抑制することができる。
導電性フィルムの表面反射を抑制する観点から、透明絶縁層の屈折率と、可撓性基材の屈折率との屈折率差が小さいほど好ましい。
また、検出部および取出し配線部の金属細線にバインダー成分が含まれている場合には、透明絶縁層の屈折率と、上述のバインダー成分の屈折率との屈折率差が小さいほど好ましく、透明絶縁層を形成する樹脂成分と、上述のバインダー成分とが同じ材料であることがより好ましい。
なお、透明絶縁層を形成する樹脂成分と、上述のバインダー成分とが同じ材料であるとは、バインダー成分および透明絶縁層を形成する樹脂成分のいずれもが(メタ)アクリル系樹脂である場合が一例として挙げられる。
さらに、上述のとおり導電性フィルムを用いてタッチパネルに構成する場合、導電性フィルムの透明絶縁層に、さらに光学的に透明な粘着シートまたは粘着層を貼り合せることがある。透明絶縁層と、光学的に透明な粘着シートまたは粘着層との界面での光散乱を抑制するため、透明絶縁層の屈折率と、光学的に透明な粘着シートの屈折率または粘着層の屈折率との屈折率差は小さいほど好ましい。
透明絶縁層は、架橋構造を含む。架橋構造が含まれることにより、高温高湿環境下にて導電性フィルムを折り曲げた状態で使用しても金属細線の断線が生じにくい。
架橋構造を形成するためには、後述するように、多官能化合物を用いて透明絶縁層を形成することが好ましい。
透明絶縁層を構成する材料は、上述した特性を示す層が得られれば特に制限されない。
なかでも、透明絶縁層の特性の制御が容易である点から、重合性基を有する重合性化合物を含む透明絶縁層形成用組成物を用いて形成される層であることが好ましい。
以下では、透明絶縁層形成用組成物を用いた態様について詳述する。
(透明絶縁層の形成方法)
透明絶縁層形成用組成物を用いて透明絶縁層を形成する方法は特に制限されない。例えば、可撓性基材および検出部および取出し配線部上に透明絶縁層形成用組成物を塗布して、必要に応じて塗膜に硬化処理を施し、透明絶縁層を形成する方法(塗布法)、または、仮基板上に透明絶縁層を形成して、検出部および取出し配線部表面に転写する方法(転写法)等が挙げられる。なかでも、厚みの制御がしやすい観点からは、塗布法が好ましい。
塗布法の場合に、透明絶縁層形成用組成物を可撓性基材および検出部および取出し配線部上に塗布する方法は特に制限されず、公知の方法(例えば、グラビアコーター、コンマコーター、バーコーター、ナイフコーター、ダイコーターもしくはロールコーター等の塗布法式、インクジェット方式、または、スクリーン印刷方式等)を使用できる。
取り扱い性および製造効率の観点からは、透明絶縁層形成用組成物を可撓性基材および検出部および取出し配線部上に塗布し、必要に応じて乾燥処理を行って残存する溶剤を除去して、塗膜を形成する態様が好ましい。
なお、乾燥処理の条件は特に制限されないが、生産性がより優れる点で、室温~220℃(好ましくは50~120℃)で、1~30分間(好ましく1~10分間)実施することが好ましい。
生産性の観点からは、さらに、透明絶縁層形成用組成物は溶剤成分を含まず、乾燥工程がない状況が好ましい。
なお、塗布法の場合、硬化処理としては、光硬化処理および熱硬化処理のいずれであってもよい。なかでも、可撓性基材へのダメージを軽減し、タクトタイムを短くする観点で、光硬化処理が好ましい。
露光する方法は特に制限されないが、例えば、活性光線または放射線を照射する方法が挙げられる。活性光線による照射としては、UV(紫外線)ランプ、および、可視光線等による光照射等が用いられる。光源としては、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、および、カーボンアーク灯等が挙げられる。また、放射線としては、電子線、X線、イオンビーム、および、遠赤外線等が挙げられる。
塗膜を露光することにより、塗膜中の化合物に含まれる重合性基が活性化され、化合物間の架橋が生じ、層の硬化が進行する。露光エネルギーは10~8000mJ/cm程度であればよく、好ましくは50~3000mJ/cmの範囲である。
透明絶縁層形成用組成物には、重合性基を有する重合性化合物が含まれる。重合性化合物中に含まれる重合性基の数は特に制限されず、1つであっても、複数であってもよい。なかでも、透明絶縁層中に架橋構造を形成し得る点で、2以上の重合性基を有する重合性化合物を用いることが好ましい。
重合性基の種類は特に制限されず、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のラジカル重合性基、および、エポキシ基、オキセタン基等のカチオン重合性基等が挙げられる。なかでも、反応性の点で、ラジカル重合性基が好ましく、(メタ)アクリロイル基がより好ましい。
重合性化合物は、モノマー、オリゴマーおよびポリマーから選ばれるいずれの形態であってもよい。つまり、重合性化合物は、重合性基を有するオリゴマーであっても、重合性基を有するポリマーであってもよい。
なお、モノマーとしては分子量が1,000未満である化合物が好ましい。
また、オリゴマーおよびポリマーは、有限個(一般的には5~100個)のモノマーが結合した重合体である。オリゴマーとは重量平均分子量が3000以下である化合物であり、ポリマーとは重量平均分子量が3000超である化合物である。
重合性化合物は、1種であっても、複数種を併用してもよい。
透明絶縁層形成用組成物の好適態様としては、2以上の重合性基を有する重合性化合物(多官能化合物)、並びに、ウレタン(メタ)アクリレート化合物およびエポキシ(メタ)アクリレート化合物の少なくとも一方を含む態様が挙げられる。
なお、2以上の重合性基を有するウレタン(メタ)アクリレート化合物は、上述のウレタン(メタ)アクリレート化合物に該当し、多官能化合物には含まれない。また、2以上の重合性基を有するエポキシ(メタ)アクリレート化合物は、上述のエポキシ(メタ)アクリレート化合物に該当し、多官能化合物には含まれない。
多官能化合物としては、2以上の重合性基を有していればよく、2以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物が好ましい。
具体的には、2官能の(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3-メチル-1,5ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2-ブチル-2-エチル-1,3プロパンジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレートジ(メタ)アクリレート、1,3ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジアクリレート、ヘキサメチレングリコールジアクリレート、ヘキサエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2’-ビス(4-アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、および、ビスフェノールAテトラエチレングリコールジアクリレート等が挙げられる。
3官能の(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性グリセロールトリアクリレート、プロピレンオキシド変性グリセロールトリアクリレート、εカプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、および、ペンタエリスリトールトリアクリレート等が挙げられる。
4官能の(メタ)アクリレートとしては、例えば、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、および、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートが挙げられる。
5官能以上の(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、および、ポリペンタエリスリトールポリアクリレート等が挙げられる。
透明絶縁層形成用組成物中における多官能化合物の含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、透明絶縁層形成用組成物中の全固形分に対して、0~50質量%が好ましく、20~45質量%がより好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレート化合物は、詳しくは、アクリロイルオキシ基、アクリロイル基、メタクリロイルオキシ基、および、メタクリロイル基からなる群から選ばれる光重合性基を1分子中に2つ以上含み、かつ、ウレタン結合を1分子中に1つ以上含む化合物であることが好ましい。このような化合物は、例えば、イソシアネートとヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート化合物とのウレタン化反応によって製造することができる。なお、ウレタン(メタ)アクリレート化合物としては、いわゆるオリゴマーであっても、ポリマーであってもよい。
上述の光重合性基は、ラジカル重合可能な重合性基である。光重合性基を1分子中に2つ以上含む多官能のウレタン(メタ)アクリレート化合物は、高硬度な透明絶縁層を形成するうえで有用である。
ウレタン(メタ)アクリレート化合物1分子中に含まれる光重合性基の数は、少なくとも2つであることが好ましく、例えば、2~10つがより好ましく、2~6つがさらに好ましい。なお、ウレタン(メタ)アクリレート化合物に含まれる2つ以上の光重合性基は同一のものであっても、異なるものであってもよい。
光重合性基としては、アクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基が好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレート化合物1分子中に含まれるウレタン結合の数は、1つ以上であればよく、形成される透明絶縁層の硬度がより高くなる点で、2つ以上が好ましく、例えば、2~5つがより好ましい。
なお、1分子中にウレタン結合を2つ含むウレタン(メタ)アクリレート化合物において、光重合性基は一方のウレタン結合のみに直接または連結基を介して結合していてもよく、2つのウレタン結合にそれぞれ直接または連結基を介して結合していてもよい。
一態様では、連結基を介して結合している2つのウレタン結合に、それぞれ1つ以上の光重合性基が結合していることが、好ましい。
上述のように、ウレタン(メタ)アクリレート化合物中において、ウレタン結合と光重合性基は直接結合していてもよく、ウレタン結合と光重合性基との間に連結基が存在していてもよい。連結基は特に限定されるものではなく、直鎖または分岐の飽和または不飽和の炭化水素基、環状基、およびこれらの2つ以上の組み合わせからなる基、等を挙げることができる。上述の炭化水素基の炭素数は、例えば、2~20程度であるが、特に限定されるものではない。また、環状基に含まれる環状構造としては、一例として、脂肪族環(シクロヘキサン環等)、芳香族環(ベンゼン環、ナフタレン環等)等が挙げられる。上述の基は、無置換であっても置換基を有していてもよい。
なお、本明細書において、特記しない限り、記載されている基は置換基を有してもよく無置換であってもよい。ある基が置換基を有する場合、置換基としては、アルキル基(例えば、炭素数1~6のアルキル基)、ヒドロキシ基、アルコキシル基(例えば、炭素数1~6のアルコキシル基)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、アシル基、および、カルボキシル基等を挙げることができる。
上述のウレタン(メタ)アクリレート化合物は、公知の方法で合成することができる。また、市販品として入手することも可能である。
合成方法の一例としては、例えば、アルコール、ポリオール、および/またはヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基含有化合物とイソシアネートとを反応させる方法が挙げられる。また、必要に応じて、上述の反応によって得られたウレタン化合物を(メタ)アクリル酸でエステル化する方法を挙げることができる。なお、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸とメタクリル酸を包含する意味で用いるものとする。
上述のイソシアネートとしては、例えば、芳香族系、脂肪族系、および、脂環式系等のポリイソシアネートが挙げられ、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添化ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリフェニルメタンポリイソシアネート、変性ジフェニルメタンジイソシアネート、水添化キシリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、フェニレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジントリイソシアネート、および、ナフタレンジイソシアネート等が挙げられる。これらは1種でもよく2種以上を併用してもよい。
上述のヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシブチルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート、2-アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシプロピルフタレート、グリセリンジアクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクリロイロキシプロピルアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、カプロラクトン変性2-ヒドロキシエチルアクリレート、および、シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート等が挙げられる。これらは1種でもよく2種以上を併用してもよい。
ウレタン(メタ)アクリレート化合物の市販品としては、下記のものに限定されるものではないが、例えば、共栄社化学社製UA-306H、UA-306I、UA-306T、UA-510H、UF-8001G、UA-101I、UA-101T、AT-600、AH-600、AI-600、新中村化学社製U-4HA、U-6HA、U-6LPA、UA-32P、U-15HA、UA-1100H、日本合成化学工業社製紫光UV-1400B、同UV-1700B、同UV-6300B、同UV-7550B、同UV-7600B、同UV-7605B、同UV-7610B、同UV-7620EA、同UV-7630B、同UV-7640B、同UV-6630B、同UV-7000B、同UV-7510B、同UV-7461TE、同UV-3000B、同UV-3200B、同UV-3210EA、同UV-3310EA、同UV-3310B、同UV-3500BA、同UV-3520TL、同UV-3700B、同UV-6100B、同UV-6640B、同UV-2000B、同UV-2010B、同UV-2250EAを挙げることができる。また、日本合成化学工業社製紫光UV-2750B、共栄社化学社製UL-503LN、大日本インキ化学工業社製ユニディック17-806、同17-813、同V-4030、同V-4000BA、ダイセルUCB社製EB-1290K、トクシキ製ハイコープAU-2010、同AU-2020等も挙げられる。
6官能以上のウレタン(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、根上工業(株)製のアートレジンUN-3320HA、アートレジンUN-3320HC、アートレジンUN-3320HS、アートレジンUN-904、日本合成化学(株)製の紫光UV-1700B、紫光UV-7605B、紫光UV-7610B、紫光UV-7630B、紫光UV-7640B、新中村化学工業(株)製のNKオリゴU-6PA、NKオリゴU-10HA、NKオリゴU-10PA、NKオリゴU-1100H、NKオリゴU-15HA、NKオリゴU-53H、NKオリゴU-33H、ダイセル・サイテック(株)製のKRM8452、EBECRYL1290、KRM8200、EBECRYL5129、KRM8904、日本化薬(株)製のUX-5000等を挙げることができる。
また、2~3官能のウレタン(メタ)アクリレート化合物としては、Nagase(株)製のナトコUV自己治癒、DIC株式会社製のEXP DX‐40等も挙げることができる。
上述のウレタン(メタ)アクリレート化合物の分子量(重量平均分子量Mw)は、300~10,000の範囲が好ましい。分子量がこの範囲であれば、柔軟性に優れ、且つ、表面硬度に優れた透明絶縁層を得ることができる。
また、エポキシ(メタ)アクリレート化合物としては、ポリグリシジルエーテルと(メタ)アクリル酸との付加反応により得られるものをいい、分子内に(メタ)アクリロイル基を少なくとも2個有している場合が多い。
透明絶縁層形成用組成物中におけるウレタン(メタ)アクリレート化合物およびエポキシ(メタ)アクリレート化合物の合計含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、透明絶縁層形成用組成物中の全固形分に対して、10~70質量%が好ましく、30~65質量%がより好ましい。
透明絶縁層形成用組成物には、さらに、単官能モノマーが含まれていてもよく、単官能(メタ)アクリレートが含まれていることが好ましい。単官能モノマーは、透明絶縁層中での架橋密度を制御するための希釈モノマーとして機能する。
単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート等の長鎖アルキル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチルテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラフルフリル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート等の環状構造を有する(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルアシッドホスフェート、および、ジエチエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、および、(メタ)アクリル酸と多価アルコールとのエステル等が挙げられる。
透明絶縁層形成用組成物中における単官能モノマーの含有量は特に制限されないが、本発明の効果がより優れる点で、透明絶縁層形成用組成物中の全固形分に対して、0~40質量%が好ましく、0~20質量%がより好ましい。
透明絶縁層形成用組成物には、さらに、重合開始剤が含まれていてもよい。重合開始剤は、光重合開始剤および熱重合開始剤のいずれでもよいが、光重合開始剤であることが好ましい。
光重合開始剤の種類は特に制限されず、公知の光重合開始剤(ラジカル光重合開始剤、カチオン光重合開始剤)を使用できる。例えば、アセトフェノン、2、2-ジエトキシアセトフェノン、p-ジメチルアセトフェノン、p-ジメチルアミノプロピオフェノン、ベンゾフェノン、2-クロロベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-シクロヘキシルフェニルケトン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、オリゴ(2-ヒドロキシ-2-メチル-1-(4-(1-メチルビニル)フェニル)プロパノン)、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]-フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルホスフィンオキサイド、エチル-(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィネート、1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)]、メチルベンゾイルホルメート、4-メチルベンゾフェノン、4-フェニルベンソフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルスルフィド、1-[4-(4-ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル]-2-メチル-2-(4-メチルフェニルスルホニル)プロパン-1-オン等のカルボニル化合物、および、チオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-メチルチオキサントン、テトラメチルチウラムジスルフィド等の硫黄化合物等が挙げられる。重合開始剤は、1種を単独で、または、2種以上を組み合わせて使用できる。
透明絶縁層形成用組成物中、重合開始剤の含有量は特に制限されないが、硬化性の点から、透明絶縁層形成用組成物中の全固形分に対して、0.1~10質量%であることが好ましく、2~5質量%であることがより好ましい。なお、重合開始剤が2種以上使用される場合は、重合開始剤の総含有量が上述の範囲にあることが好ましい。
透明絶縁層形成用組成物には、上述以外にも、前述の金属安定化剤、レベリング剤、表面潤滑剤、酸化防止剤、腐食防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、シランカップリング剤、無機もしくは有機の充填剤、金属粉、顔料等の粉体、粒子状、または、箔状物等の従来公知の各種の添加剤を使用する用途に応じて適宜添加することができる。それらの詳細については、例えば、特開2012-229412号公報の段落0032~0034を参照できる。ただしこれらに限らず、光重合性組成物に一般に使用され得る各種添加剤を用いることができる。また、透明絶縁層形成用組成物への添加剤の添加量は適宜調整すればよく、特に限定されるものではない。
レベリング剤としては、透明絶縁層形成用組成物の塗布対象への濡れ性付与作用、表面張力の低下作用を有するものであれば、公知のレベリング剤を用いることができる。例えば、シリコーン変性樹脂、フッ素変性樹脂、および、アルキル変性樹脂等が挙げられる。
なお、透明絶縁層形成用組成物は、取扱い性の点から溶剤を含んでいてもよいが、VOC(揮発性有機化合物)抑制の観点およびタクトタイムの低減の観点から、無溶剤系とすることが好ましい。
なお、透明絶縁層形成用組成物が溶剤を含有する場合、使用できる溶剤は特に限定されず、例えば、水および有機溶剤が挙げられる。
なお、導電性フィルムは、取り扱い時、および搬送時においては、導電性フィルムと、粘着シートと、剥離シートとをこの順で有する積層体の形態で用いられてもよい。剥離シートは、タッチパネル積層体を搬送時に、導電性フィルムに傷等がつくことを防止するための保護シートとして機能する。このような態様であれば、導電性フィルムの使用時において剥離シートを剥がして、導電性フィルムを所定の位置に貼り付けて用いることができる。
また、導電性フィルムは、例えば、導電性フィルム、粘着シート、および保護層をこの順で有する複合体の形態で取り扱われてもよい。このような態様でも、導電性フィルムに傷等がつくことを防止することができる。
(タッチパネルの製造方法)
図12は本発明の実施形態のタッチパネルの製造方法の一工程を示す模式的断面図であり、図13は本発明の実施形態のタッチパネルの製造方法の一工程を示す模式的断面図である。
なお、図12および図13において、図1に示すタッチパネル10と同一構成物には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
図1に示すタッチパネル10の製造方法では、例えば、図12に示すように画像表示モジュール14と、第1の透明絶縁層15と、導電性フィルム12と、第2の透明絶縁層17と、カバー部16とを、この順で積層方向Dtに積層する。このとき、導電性フィルム12は、第1の透明絶縁層15および第2の透明絶縁層17から折曲部27が突出した状態である。
次に、導電性フィルム12を折曲位置Bfで折り曲げて、折曲部27を画像表示モジュール14の裏面14b側に配置し、取出し配線部22の外部接続端子26とフレキシブル回路基板19とを電気的に接続する。
なお、第1の透明絶縁層15と、導電性フィルム12と、第2の透明絶縁層17と、カバー部16とが積層された状態のものをタッチパネル用積層体60という。
次に、図12に示すタッチパネル用積層体60に対して、図13に示すように、導電性フィルム12の折曲部27、および第2の透明絶縁層17の側面17cに封止層36を形成する。封止層36は、上述のように端部36aがカバー部16の加飾層18の表面に達してもよい。封止層36は、上述のように末端36cが画像表示モジュール14の裏面14bに接触していることが好ましい。
そして、フレキシブル回路基板19とコントローラー13(図1参照)とを電気的に接続し、コントローラー13を画像表示モジュール14の裏面14bに配置する。
なお、コントローラー13は、封止層36を形成する前に画像表示モジュール14の裏面14bに配置してもよい。
次に、図1に示す、内部40aに緩衝材44が配置された筐体40を用意する、
次に、図13に示す、封止層36が形成されたタッチパネル用積層体60のカバー部16の裏面16bに、筐体40の側板42を貼合する。これにより、図1に示すタッチパネル10を得ることができる。貼合方法は、特に限定されるものではなく、例えば、接着剤を用いて貼合することができる。
なお、封止層36は、タッチパネル用積層体60に対して、上述のように、例えば、電気的な絶縁性を有する粘着テープを、折曲部27および第2の透明絶縁層17の側面17cに貼り付ける貼り付け法により形成する。
また、タッチパネル用積層体60に対して、例えば、スプレー塗布法またはディスペンサー法を用いて、折曲部27および第2の透明絶縁層17の側面17cに、電気的な絶縁性を有する物質を塗布し、塗膜を形成して封止層36を形成することもできる。
また、タッチパネル用積層体60に対して、例えば、スパッタ法または蒸着法を用いて、折曲部27および第2の透明絶縁層17の側面17cに、電気的な絶縁性を有する物質を堆積させて、封止層36を形成することもできる。
上述のように封止層を形成することにより、封止層の寸法精度を高くでき、タッチパネル10の額縁部Dfの幅を狭くすることができる。さらに、封止層の形成時における不良率を減少させることができる。すなわち、タッチパネルの製造の歩留まりを向上させることができる。
タッチパネル10の額縁部Dfの幅は、タッチパネル用積層体に用いる基材および各層の厚みにもよるが、1.5mm以下の幅とすることができる。タッチパネル10の額縁部Dfの幅は、好ましくは、0.5mm以上1.5mm以下である。
本発明は、基本的に以上のように構成されるものである。以上、本発明のタッチパネルおよびタッチパネルの製造方法について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良または変更をしてもよいのはもちろんであり、タッチパネルは折曲部がない構成でもよい。
以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、および、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
第1の実施例では、実施例1~9および比較例1のタッチパネルを作製した。各タッチパネルについて、以下に示す封止層の透過性を測定し、アクティブエリアの抵抗変化を評価した。その結果を下記表1に示す。
〔評価〕
(アクティブエリアの抵抗変化)
アクティブエリアの抵抗変化については、導電性フィルムと筺体とを貼合したタッチパネルを温度80℃の環境下に10日間おいた。タッチパネルにおいて、10日の経時前後のアクティブエリアの抵抗測定を実施し、以下に示す評価基準にて評価した。評価結果を下記表1に示す。
抵抗測定は、Fluke(登録商標) デジタルマルチメータ(ハンドヘルドタイプ)を用いて、タッチパネルの両端から出ているFPCのピアノ線部にテスター端子を当て、FPC間の抵抗値を測定した。10日の経時前後の抵抗値を測定し、抵抗変化(%)[{(経時後の抵抗値-経時前の抵抗値)/経時前の抵抗値}×100]を調べた。
(評価基準)
A:アクティブエリアの経時後の抵抗変化が±10%未満
B:アクティブエリアの経時後の抵抗変化が±10%以上、かつ、経時後の抵抗値が経時前の抵抗値の2倍以内
C:アクティブエリアの経時後の抵抗値が、経時前の抵抗値の2倍より大きい
(封止層の透過性)
封止層の透過性については、Gas Chromatograph-Flame Photometric Detector(GC-FPD)法を用い、被覆に用いた封止層の試料を2つのセルで挟み込み片方に供給ガスを通気させ、反対側のセルに超高純度ガス(硫化水素)を通気させ、透過したガスの濃度を測定し、単位時間、単位面積当たりのガスの透過量を透過度として評価した。
なお、カプトン(登録商標)テープ以外は、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムに封止層を被膜し、被膜していないPETフィルムの値の差分から、透過度を求めた。なお、試験条件を以下に示す。
<試験条件>
試料形状:直径110mm、供給ガス:硫化水素(HS)、供給ガス濃度:50ppm、ガス流量:10~50ml/min、試料温度:25℃
以下、実施例1~9および比較例1について説明する。
〔実施例1〕
<タッチパネル用積層体の作製>
(ハロゲン化銀乳剤の調製)
38℃、pH4.5に保たれた下記1液に、下記の2液および3液の各々90%に相当する量を攪拌しながら同時に20分間にわたって加え、0.16μmの核粒子を形成した。続いて下記4液および5液を8分間にわたって加え、更に、下記の2液および3液の残りの10%の量を2分間にわたって加え、0.21μmまで成長させた。更に、ヨウ化カリウム0.15gを加え、5分間熟成し粒子形成を終了した。
1液:
水 750ml
ゼラチン 8.6g
塩化ナトリウム 3g
1,3-ジメチルイミダゾリジン-2-チオン 20mg
ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム 10mg
クエン酸 0.7g
2液:
水 300ml
硝酸銀 150g
3液:
水 300ml
塩化ナトリウム 38g
臭化カリウム 32g
ヘキサクロロイリジウム(III)酸カリウム
(0.005%KCl 20%水溶液) 5ml
ヘキサクロロロジウム酸アンモニウム
(0.001%NaCl 20%水溶液) 7ml
4液:
水 100ml
硝酸銀 50g
5液:
水 100ml
塩化ナトリウム 13g
臭化カリウム 11g
黄血塩 5mg
その後、常法にしたがってフロキュレーション法によって水洗した。具体的には、温度を35℃に下げ、硫酸を用いてハロゲン化銀が沈降するまでpHを下げた(pH3.6±0.2の範囲であった)。次に、上澄み液を約3リットル除去した(第一水洗)。更に3リットルの蒸留水を加えてから、ハロゲン化銀が沈降するまで硫酸を加えた。再度、上澄み液を3リットル除去した(第二水洗)。第二水洗と同じ操作を更に1回繰り返して(第三水洗)、水洗・脱塩工程を終了した。水洗・脱塩後の乳剤をpH6.4、pAg7.5に調整し、ゼラチン2.5g、ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム10mg、ベンゼンチオスルフィン酸ナトリウム3mg、チオ硫酸ナトリウム15mgと塩化金酸10mgを加え55℃にて最適感度を得るように化学増感を施し、安定剤として1,3,3a,7-テトラアザインデン100mg、防腐剤としてプロキセル(商品名、ICI Co.,Ltd.製)100mgを加えた。最終的に得られた乳剤は、沃化銀を0.08モル%含み、塩臭化銀の比率を塩化銀70モル%、臭化銀30モル%とする、平均粒子径0.22μm、変動係数9%のヨウ塩臭化銀立方体粒子乳剤であった。
(感光性層形成用組成物の調製)
上述の乳剤に1,3,3a,7-テトラアザインデン1.2×10-4モル/モルAg、ハイドロキノン1.2×10-2モル/モルAg、クエン酸3.0×10-4モル/モルAg、2,4-ジクロロ-6-ヒドロキシ-1,3,5-トリアジンナトリウム塩0.90g/モルAg、微量の硬膜剤を添加し、クエン酸を用いて塗布液pHを5.6に調整した。
上述の塗布液に、含有するゼラチンに対して、下記式(P-1)で表されるポリマーとジアルキルフェニルPEO硫酸エステルからなる分散剤を含有するポリマーラテックス(分散剤/ポリマーの質量比が2.0/100=0.02)とをポリマー/ゼラチン(質量比)=0.5/1になるように添加した。
さらに、架橋剤としてEPOXY RESIN DY 022(商品名:ナガセケムテックス社製)を添加した。なお、架橋剤の添加量は、後述するハロゲン化銀含有感光性層中における架橋剤の量が0.09g/m2となるように調整した。
以上のようにして感光性層形成用組成物を調製した。
なお、下記式(P-1)で表されるポリマーは、特許第3305459号および特許第3754745号を参照して合成した。
(感光性層形成工程)
厚み40μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの両面に上述のポリマーラテックスを塗布して、厚み0.05μmの下塗り層を設けた。
次に、下塗り層上に、上述のポリマーラテックスとゼラチンとを混合したハロゲン化銀不含有層形成用組成物を塗布して、厚み1.0μmのハロゲン化銀不含有層を設けた。なお、ポリマーとゼラチンとの混合質量比(ポリマー/ゼラチン)は2/1であり、ポリマーの含有量は0.65g/m2であった。
次に、ハロゲン化銀不含有層上に、上述の感光性層形成用組成物を塗布し、厚み2.5μmのハロゲン化銀含有感光性層を設けた。なお、ハロゲン化銀含有感光性層中のポリマーとゼラチンとの混合質量比(ポリマー/ゼラチン)は0.5/1であり、ポリマーの含有量は0.22g/m2であった。
次に、ハロゲン化銀含有感光性層上に、上述のポリマーラテックスとゼラチンとを混合した保護層形成用組成物を塗布して、厚み0.15μmの保護層を設けた。なお、ポリマーとゼラチンとの混合質量比(ポリマー/ゼラチン)は0.1/1であり、ポリマーの含有量は0.015g/m2であった。
(露光処理および現像処理)
作製した感光性層に、図7に示す検出部(第1検出電極、第2検出電極)と取出し配線部を配したフォトマスクを介して高圧水銀ランプを光源とした平行光を用いて露光した。
露光後、下記の現像液で現像し、さらに定着液(商品名:CN16X用N3X-R:富士フイルム社製)を用いて現像処理を行った後、純水でリンスし、その後乾燥した。
現像液の組成:
現像液1リットル(L)中に、以下の化合物が含まれる。
ハイドロキノン 0.037mol/L
N-メチルアミノフェノール 0.016mol/L
メタホウ酸ナトリウム 0.140mol/L
水酸化ナトリウム 0.360mol/L
臭化ナトリウム 0.031mol/L
メタ重亜硫酸カリウム 0.187mol/L
(加熱処理)
さらに、120℃の過熱蒸気槽に130秒間静置して、加熱処理を行った。
(ゼラチン分解処理)
さらに、下記のとおり調製したゼラチン分解液(40℃)に120秒浸漬し、その後、温水(液温:50℃)に120秒間浸漬して洗浄した。
ゼラチン分解液の調製:
タンパク質分解酵素(ナガセケムテックス社製ビオプラーゼ30L)の水溶液(タンパク質分解酵素の濃度:0.5質量%)に、トリエタノールアミン、硫酸を加えてpHを8.5に調製した。
(高分子架橋処理)
さらに、カルボジライトV-02-L2(商品名:日清紡社製)1%水溶液に30秒浸漬し、水溶液から取り出し、純水(室温)に60秒間浸漬し、洗浄した。
このようにして、PETフィルムの両面に検出電極および周辺配線を形成したフィルムAを得た。
(第1剥離フィルムおよび粘着層の貼り合わせ)
OCA(3M社製8146-4(品番))フィルム(両面に剥離フィルムを有する粘着層)の一方の剥離フィルムを剥離することで他方の剥離フィルム(第1剥離フィルム)(厚み:50μm)および粘着層(75μm)からなるフィルムBを得た。得られたフィルムBの粘着層の面を、上述のフィルムAの第1の面(第1検出電極がある面)側に貼り合わせた。
(突出部形成工程)
UV(Ultra Violet)硬化性樹脂である、株式会社アサヒ化学研究所製UVF30T(製品名)を用いて、検出部を覆い、かつ複数の検出部の周囲を囲む絶縁膜を形成することによって、取出し配線部と絶縁膜とからなる突出部(厚み:9~10μm)を形成した。突出部は、導電性フィルムの周に沿って導電性フィルムの端に形成されている。なお、突出部は、上述のUVF30Tをスクリーン印刷により塗布した後に、UV露光(メタルハライドランプ、1000mJ/cm)により露光することによって形成した。このようにして、第1剥離フィルムと、粘着層と、導電性フィルムとをこの順に備えるフィルムを得た。ここで、導電性フィルムは、可撓性基材と検出部(第1検出電極、第2検出電極)と取出し配線部と突出部とを有する。続いて、得た導電性フィルムを、画像表示モジュールである液晶表示モジュール、第1の透明絶縁層(3M社製 8146-3(品番))、導電性フィルム、第2の透明絶縁層(3M社製 8146-3(品番))、カバー層の順に積層しタッチパネル用積層体を得た。タッチパネル用積層体の光透過率は、95%であった。タッチパネル用積層体において、導電性フィルムの第1の取出し配線領域B(図7参照)の1辺を液晶表示モジュールの裏面側に折り曲げ、FPC(フレキシブルプリント基板)と電気的に接続した。タッチパネル用積層体において、折り曲げられた1辺に対応する第2の透明絶縁層の側面と、折曲部とを、厚み100μmの電気的に絶縁性を有するポリイミドテープで覆い、封止層を形成した。その後、内部に緩衝材が配置された筺体(図1参照)と、タッチパネル用積層体とを貼合して、タッチパネルを得た。タッチパネルの額縁部Dfの幅は、1.5mmであった。なお、ポリイミドテープにはカプトン(登録商標)テープを用いた。緩衝材にはエチレン-プロピレンスポンジを用いた。
〔実施例2〕
実施例2は、実施例1に比して、以下に示す点が異なり、それ以外の構成は実施例1と同じとした。実施例2は、導電性フィルムの第1の取出し配線領域B(図7参照)および第2の周辺配線領域B(図7参照)の2辺を液晶表示モジュールの裏面側に折り曲げ、FPC(フレキシブルプリント基板)と電気的に接続した。導電性フィルムの折り曲げられた2辺において、それぞれ折り曲げられた各辺に対応する第2の透明絶縁層の側面と折曲部とを厚み100μmのポリイミドテープで覆い、封止層を形成した。その後、内部に緩衝材が配置された筺体(図1参照)と、タッチパネル用積層体とを貼合して、タッチパネルを得た。なお、ポリイミドテープにはカプトン(登録商標)テープを用いた。
〔実施例3〕
実施例3は、実施例1に比して、以下に示す点が異なり、それ以外の構成は実施例1と同じとした。実施例3は、導電性フィルムの第1の取出し配線領域B(図7参照)、第2の周辺配線領域B(図7参照)、および第3の周辺配線領域B(図7参照)の3辺を液晶表示モジュールの裏面側に折り曲げ、FPCと電気的に接続した。導電性フィルムの折り曲げられた3辺において、それぞれ折り曲げられた各辺に対応する第2の透明絶縁層の側面と折曲部とを厚み100μmのポリイミドテープで覆い、封止層を形成した。その後、内部に緩衝材が配置された筺体(図1参照)と、タッチパネル用積層体とを貼合して、タッチパネルを得た。なお、ポリイミドテープにはカプトン(登録商標)テープを用いた。
〔実施例4〕
実施例4は、実施例1に比して、以下に示す点が異なり、それ以外の構成は実施例1と同じとした。実施例4は、導電性フィルムの第1の取出し配線領域B(図7参照)、第2の周辺配線領域B(図7参照)、第3の周辺配線領域B(図7参照)および第4の周辺配線領域B(図7参照)の4辺を液晶表示モジュールの裏面側に折り曲げ、FPC(フレキシブルプリント基板)と電気的に接続した。導電性フィルムの折り曲げられた4辺において、それぞれ折り曲げられた各辺に対応する第2の透明絶縁層の側面と折曲部とを厚み100μmのポリイミドテープで覆い、封止層を形成した。その後、内部に緩衝材が配置された筺体(図1参照)と、タッチパネル用積層体とを貼合して、タッチパネルを得た。なお、ポリイミドテープにはカプトン(登録商標)テープを用いた。
〔実施例5〕
実施例5は、実施例1に比して、以下に示す点が異なり、それ以外の構成は実施例1と同じとした。実施例5は、導電性フィルムの折り曲げられた1辺に対応する第2の透明絶縁層の側面と折曲部とに、スプレー塗布法にて厚み20μmのエアーウレタンクリヤ(商品名)で覆って封止層を形成した後、筺体(図1参照)と貼合した。
〔実施例6〕
実施例6は、実施例1に比して、以下に示す点が異なり、それ以外の構成は実施例1と同じとした。実施例6は、導電性フィルムの第1の取出し配線領域B(図7参照)の折曲部と、折り曲げられた1辺に対応する第2の透明絶縁層の側面とに、RF(Radio Frequency)マグネトロンスパッタ法を用いて厚み30nmのAl層を形成し、封止層を形成した。その後、内部に緩衝材が配置された筺体(図1参照)と、タッチパネル用積層体とを貼合して、タッチパネルを得た。RFマグネトロンスパッタ法は、真空度10-4Pa以下の雰囲気で成膜速度0.5nm(5Å)/secの条件でAl層の封止層を形成した。
〔実施例7〕
実施例7は、実施例1に比して、以下に示す点が異なり、それ以外の構成は実施例1と同じとした。実施例7は、導電性フィルムの第1の取出し配線領域B(図7参照)の折曲部と、折り曲げられた1辺に対応する第2の透明絶縁層の側面とに、RF(Radio Frequency)マグネトロンスパッタ法を用いて厚み30nmのSiON層を形成し、封止層を形成した。その後、内部に緩衝材が配置された筺体(図1参照)と、タッチパネル用積層体とを貼合して、タッチパネルを得た。RFマグネトロンスパッタ法は、真空度10-4Pa以下の雰囲気で成膜速度0.5nm(5Å)/secの条件でSiON層の封止層を形成した。
〔実施例8〕
実施例8は、実施例1に比して、以下に示す点が異なり、それ以外の構成は実施例1と同じとした。実施例8は、導電性フィルムの第1の取出し配線領域B(図7参照)の折曲部と、折り曲げられた1辺に対応する第2の透明絶縁層の側面とに、蒸着法を用いて厚み30nmのAl層を形成し、封止層を形成した。その後、内部に緩衝材が配置された筺体(図1参照)と、タッチパネル用積層体とを貼合して、タッチパネルを得た。蒸着法は、真空度10-4Pa以下の雰囲気で成膜速度0.5nm(5Å)/secの条件でAl層の封止層を形成した。
〔実施例9〕
実施例9は、実施例1に比して、以下に示す点が異なり、それ以外の構成は実施例1と同じとした。実施例9は、導電性フィルムの第1の取出し配線領域B(図7参照)の折曲部と、折り曲げられた1辺に対応する第2の透明絶縁層の側面とに、蒸着法を用いて厚み30nmのSiOx層を形成し、封止層を形成した。その後、内部に緩衝材が配置された筺体(図1参照)と、タッチパネル用積層体とを貼合して、タッチパネルを得た。蒸着法は、真空度10-4Pa以下の雰囲気で成膜速度0.5nm(5Å)/secの条件でSiOx層の封止層を形成した。
〔比較例1〕
比較例1は、実施例1に比して、以下に示す点が異なり、それ以外の構成は実施例1と同じとした。比較例1では、実施例1の突出部形成工程を両面の取出し配線部に施し、導電性フィルムを得た。続いて、得た導電性フィルムを液晶表示モジュール、第1の透明絶縁層、導電性フィルム、第2の透明絶縁層、およびカバー層材の順に積層し、導電性フィルムの取出し配線領域の1辺を液晶表示モジュールの裏面側に折り曲げ、FPCと電気的に接続した。比較例1では封止層を形成していない。
比較例1は、株式会社アサヒ化学研究所製UVF30T(製品名)を用いた絶縁膜を有する構成ではあるが、折曲部に封止層がない構成である。このため、封止層の透過性の評価は実施せず、表1の「封止層の透過性」の欄には「-」と記した。
表1に示すように、実施例1~9は、比較例1に比して、アクティブエリアの抵抗変化について良好な結果を得ることができた。
実施例1~9から透過性が優れた、すなわち、ガスを透過させにくい封止層を用いた方がアクティブエリアの抵抗変化について良好な結果が得られた。
なお。アクティブエリアの抵抗変化の評価において、実施例1~9では緩衝材にエチレン-プロピレンスポンジを用いたが、クロロプレンスポンジ、スチレン-ブタジエンスポンジ、およびニトリルゴムスポンジを使用しても同様の結果を得た。
第2の実施例では、実施例10~17および比較例2のタッチパネルを作製し、各タッチパネルについて、アクティブエリアの抵抗変化を評価した。さらに、第1の実施例の実施例1、実施例5~9および比較例1の各タッチパネルについても、アクティブエリアの抵抗変化を評価した。その結果を下記表2に示す。
以下、実施例10~17および比較例2について説明する。
〔実施例10〕
実施例10は、実施例1に対し、第1の透明絶縁層および第2の透明絶縁層を、上述の3M社製 8146-3(品番)に代えて、以下の製造方法により得られた粘着剤Bを用いて作製したことだけが異なり、それ以外は実施例1と同じ方法でタッチパネルを作製した。
<粘着剤Bの製造方法>
ポリイソプレン重合物の無水マレイン酸付加物と2-ヒドロキシエチルメタクリレートとのエステル化物(商品名UC203、(株)クラレ製、分子量36000)21.8質量部、ポリブタジエン(商品名Polyvest110、エボニックデグサ社製)11.4質量部、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート(商品名 FA512M、日立化成工業(株)製)5質量部、2-エチルヘキシメタクリレート(和光純薬社製)20質量部、テルペン系水素添加樹脂(商品名 クリアロンP-135、ヤスハラケミカル(株)製)38.8質量部および金属安定化剤として2-メルカプトベンゾチアゾール0.05質量部を130℃の恒温槽中で混練機にて混練した。続いて、恒温槽の温度を80℃に調整し、光重合開始剤(商品名 Lucirin TPO、BASF社製)0.6質量部、および、光重合開始剤(商品名 IRGACURE184、BASF社製)2.4質量部を投入し、混練機にて混練した後、所定の75μm厚剥離フィルム(重剥離フィルム)の表面処理面上に、形成される粘着層の厚みが50μm厚となるよう塗布した。得られた塗膜上に、所定の50μm厚剥離フィルム(軽剥離フィルム)の表面処理面を貼り合せた。平行露光機(オーク製作所社製、型番:EXM-1172B-00)を用いて、剥離フィルムで挟まれた塗膜に照射エネルギーが3J/cm2になるようにUV光を照射し、両面粘着シートを得た。
〔実施例11〕
実施例11は、実施例5に対し、第1の透明絶縁層および第2の透明絶縁層を、上述の粘着剤Bを用いて作製したことだけが異なり、それ以外は実施例5と同じ方法でタッチパネルを作製した。
〔実施例12〕
実施例12は、実施例6に対し、第1の透明絶縁層および第2の透明絶縁層を、上述の粘着剤Bを用いて作製したことだけが異なり、それ以外は実施例6と同じ方法でタッチパネルを作製した。
〔実施例13〕
実施例13は、実施例7に対し、第1の透明絶縁層および第2の透明絶縁層を、上述の粘着剤Bを用いて作製したことだけが異なり、それ以外は実施例7と同じ方法でタッチパネルを作製した。
〔実施例14〕
実施例14は、実施例8に対し、第1の透明絶縁層および第2の透明絶縁層を、上述の粘着剤Bを用いて作製したことだけが異なり、それ以外は実施例8と同じ方法でタッチパネルを作製した。
〔実施例15〕
実施例15は、実施例9に対し、第1の透明絶縁層および第2の透明絶縁層を、上述の粘着剤Bを用いて作製したことだけが異なり、それ以外は実施例9と同じ方法でタッチパネルを作製した。
<粘着剤Cの製造方法>
粘着剤Cは、粘着剤Bの製造方法に対し、金属安定化剤として2-メルカプトベンゾチアゾールの代わりに、2-アミノ-5-メルカプト-1,3,4-チアジアゾールを用いて粘着剤を作製したことだけが異なり、それ以外は粘着剤Bと同じ製造方法で製造した。
〔実施例16〕
実施例16は、実施例13に対し、第1の透明絶縁層および第2の透明絶縁層を、上述の粘着剤Cを用いて作製したことだけが異なり、それ以外は実施例13と同じ方法でタッチパネルを作製した。
<粘着剤Dの製造方法>
粘着剤Dは、粘着剤Bの製造方法に対し、2-メルカプトベンゾチアゾールを用いないことだけが異なり、それ以外は粘着剤Bと同じ製造方法で製造した。粘着剤Dは金属安定化剤を含有しない。
〔実施例17〕
実施例17は、実施例13に対し、第1の透明絶縁層および第2の透明絶縁層を、上述の粘着剤Dを用いて作製したことだけが異なり、それ以外は実施例13と同じ方法でタッチパネルを作製した。実施例17の第1の透明絶縁層および第2の透明絶縁層は金属安定化剤を含有しない。
〔比較例2〕
比較例2は、比較例1に対し、第1の透明絶縁層および第2の透明絶縁層を、上述の粘着剤Bを用いて作製したことだけが異なり、それは比較例1と同じ方法でタッチパネルを作製した。
第2の実施例では、得られた各タッチパネルに対して、以下の条件にて熱衝撃試験を実施し、熱衝撃試験前後のアクティブエリアの抵抗変化を前述の第1の実施例に示す方法で評価した。
ここで、熱衝撃試験は温度-45℃と、温度85℃とに交互に温度を変化させ、各温度の維持時間を45分間とし、温度変更の所要時間を約2分間として、100サイクルにわたり温度変化を繰り返した。その結果を、下記表2に示す。
また、第2の実施例では、第1の実施例の実施例1、実施例5~9および比較例1に対しても、上述の熱衝撃試験を実施し、熱衝撃試験前後のアクティブエリアの抵抗変化を前述の第1の実施例に示す方法で評価した。その結果を表2に示す。なお。実施例1、実施例5~17および比較例1、2において金属安定化剤を含有しないものについては、下記表2の金属安定化剤の欄に「-」と記した。
表2に示すように、実施例1、および実施例5~17は、比較例1、2に比して、アクティブエリアの抵抗変化について良好な結果を得ることができた。
実施例1、および実施例5~17に示すように、本発明の封止層を用いた場合でも、封止層材料の種類によっては熱衝撃試験前後で抵抗変化が見られるのに対し、透明絶縁層に金属安定化剤を用いることにより、熱衝撃試験前後での抵抗変化が改善することがわかった。
10 タッチパネル
12 導電性フィルム
13 コントローラー
14 画像表示モジュール
14a 表示面
14b 裏面
14c 側面
15 第1の透明絶縁層
16 カバー部
16a 表面
16b 裏面
17 第2の透明絶縁層
18 加飾層
19 フレキシブル回路基板
20 検出部
20c 端部
22 取出し配線部
22b 終端部
23 引出し配線
25 可撓性基材
25a 表面
25b 裏面
25c 外縁
25d スペース
26 外部接続端子
27 折曲部
29 突出し部
30 第1検出電極
31 間隔
32 第2検出電極
33 金属細線
34 検出電極
35 開口部
36 封止層
36a 端部
36c 末端
50 導電線
52 バインダー
54 金属部
60 タッチパネル用積層体
100 タッチパネル
102、103 導電性フィルム
104 基板
104c 外縁
105 領域
第1の取出し配線領域
第2の周辺配線領域
第3の周辺配線領域
第4の周辺配線領域
Bf 折曲位置
Dc 範囲
Df 額縁部
Ds 額縁領域
Dt 積層方向
Dw 積層方向と直交する方向
入力領域
外側領域

Claims (8)

  1. 画像表示モジュールと、第1の透明絶縁層と、導電性フィルムと、第2の透明絶縁層と、カバー部とが、この順で積層され、前記画像表示モジュールの表示面側に前記導電性フィルムが配置されたタッチパネルであって、
    前記導電性フィルムは、透明な可撓性基材の少なくとも一方の表面に、導電層により構成された検出部と、一端が前記検出部に電気的に接続され、他端が外部接続端子に接続された取出し配線部とを有し、
    前記導電性フィルムは、定められた折曲位置で折り曲げられて、前記外部接続端子が、前記画像表示モジュールの前記表示面側とは反対側に配置される、折曲部を有しており、
    積層方向と直交する前記第2の透明絶縁層の側面と、前記導電性フィルムの前記折曲部とが封止層で覆われており、
    前記封止層は、ガスクロマトグラフィー法を用いた硫黄ガスのガス透過性が10 -2 g/m /day以下である、タッチパネル。
  2. 前記封止層は、末端が前記カバー部と、前記画像表示モジュールの前記表示面側とは反対側の面とに接触している、請求項1に記載のタッチパネル。
  3. 前記封止層は、電気的な絶縁性を有する粘着層で構成される、請求項1または2に記載のタッチパネル。
  4. 前記可撓性基材は、帯状の突出し部を有し、前記突出し部に前記取出し配線部が設けられている、請求項1~のいずれか1項に記載のタッチパネル。
  5. 前記第1の透明絶縁層および前記第2の透明絶縁層の少なくとも一方が、金属安定化剤を含む、請求項1~のいずれか1項に記載のタッチパネル。
  6. 前記金属安定化剤が、メルカプトチアゾール骨格もしくはメルカプトチアジアゾール骨格を有する化合物またはこれらの塩から選ばれる化合物を含む、請求項に記載のタッチパネル。
  7. 画像表示モジュールと、第1の透明絶縁層と、導電性フィルムと、第2の透明絶縁層と、カバー部とが、この順で積層され、前記画像表示モジュールの表示面側に前記導電性フィルムが配置されたタッチパネルの製造方法であって、
    前記導電性フィルムは、透明な可撓性基材の少なくとも一方の表面に、導電層により構成された検出部と、一端が前記検出部に電気的に接続され、他端が外部接続端子に接続された取出し配線部とを有し、
    前記導電性フィルムを、定められた折曲位置で折り曲げて前記外部接続端子を、前記画像表示モジュールの前記表示面側とは反対側に配置する工程と、
    積層方向と直交する方向における前記第2の透明絶縁層の側面と、前記導電性フィルムが定められた折曲位置で折り曲げられて前記外部接続端子が前記画像表示モジュールの前記表示面側とは反対側に配置される折曲部とを覆う封止層を形成する工程とを有する、タッチパネルの製造方法。
  8. 前記封止層を、貼り付け法、スパッタ法、蒸着法、スプレー塗布法、およびディスペンサー法のうち、いずれか1つの方法で形成する、請求項に記載のタッチパネルの製造方法。
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