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JP7348941B2 - ディップ成形用ラテックス組成物由来の層を含むディップ成形品 - Google Patents

ディップ成形用ラテックス組成物由来の層を含むディップ成形品 Download PDF

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JP7348941B2 JP2021190387A JP2021190387A JP7348941B2 JP 7348941 B2 JP7348941 B2 JP 7348941B2 JP 2021190387 A JP2021190387 A JP 2021190387A JP 2021190387 A JP2021190387 A JP 2021190387A JP 7348941 B2 JP7348941 B2 JP 7348941B2
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Description

本発明は、ディップ成形用ラテックス組成物由来の層を含むディップ成形品に関する。
天然ゴム(NR)手袋は、応力保持率が高く、伸びもよく、柔らかく、いわゆるゴム弾性にすぐれている。そのためサージカルや一般手袋に広く使われている。しかし、含有するタンパクがI型アレルギーをおこすので、特にサージカルにおいては、極力これを除去したうえで使われている。
サージカル手袋としては、合成ゴムであるイソプレンゴム(IR)やクロロプレンゴム(CR)も天然ゴムの物性に近く使われているがI型アレルギーはないものの製造が複雑で高価であった。
一方、合成ゴムであるカルボキシル化アクリロニトリルブタジエンゴム(XNBR)は、一般用手袋として安価で広く使われているが、天然ゴムがもつ物性とは大きく異なるものであった。天然ゴムの粒子は、巨大であるのに対し、XNBRの粒子は、小さく界面活性剤で覆われており、最終的には、各粒子が積層されたような痕跡が残っており、応力保持率は極めて低い。またアクリロニトリルで物性を維持していることでも伸びや柔らかさの点で天然ゴムに劣っている。
従来XNBR手袋は、粒子内外を硫黄が加硫促進剤とともにブタジエンと架橋し、カルボン酸と酸化亜鉛で粒子間をイオン架橋させ、さらに強度をもたせていたが、加硫促進剤によるIV型アレルギーの問題や酸化亜鉛による応力保持の低下や伸びにくく、硬くなるという問題を持っていた。さらに薄手でかつ強度をもつ手袋が要請されたこともあって、ラテックス自体も直鎖系でからみあいの少ないものが好まれ、さらにゴム本来の弾性を失い、塑性化したプラスチックのようなゴムになっていた。
また、近年XNBR手袋では加硫促進剤によるIV型アレルギーをなくすため、硫黄架橋に代わるものとして自己架橋、有機架橋剤によるアクセラレーターフリー手袋が提案されている。このうち、特許文献1のエポキシ架橋手袋は、硫黄架橋に代わるものとして、XNBRの粒子内架橋を充実させることがわかっている。
一方、粒子間架橋は強度を持たせたり安定的に製造するために酸化亜鉛により架橋するのが通例であった。
この亜鉛架橋はXNBRの応力保持や伸び、柔らかさを悪くする原因のひとつとなっていた。
このため、XNBR手袋においてはサージカル手袋が要求するNR手袋に近似し、応力保持率が高く、伸びもよく、柔らかい手袋はできなかった。
XNBR手袋において、サージカル手袋を作る提案としては、特許文献2がある。これは特殊なXNBRにアルミニウム架橋したものであるが、サージカル手袋を製造する際に必須のγ線で滅菌したときに部分的に硬く伸びにくくなるので、実用性に問題がある。
またアルミニウム架橋については、硫黄と酸化亜鉛による架橋に代わるものとして提案されている。当初はアルミニウムの強固な結合力による硬くなりすぎる問題や、ディップ液中における不安定性の問題があったが、近年、改良がすすめられている。
特許文献3では、アルミニウム塩を出発物質として1個のアルミニウム原子に2個の水酸基を有するジヒドロキシ有機アルミニウム金属化合物の架橋剤を提案している。
特許文献4では、アルミン酸塩にキレート剤もしくはポリオールを配合することを提案している。
これらはいずれも上述したアルミニウム架橋剤の不安定性を解消しようとしたものであるが、アルミニウム架橋剤の本質的架橋機能は十分に理解されていない。
国際公開第2019/194056号 国際公開第2017/146238号 特開2010-209163 特開2018-9272
サージカル手袋の規格ASTM D3577-19では、500%MD(500%伸長時の応力)7MPa以下、伸び率650%以上、TS(引張強さ)17MPa以上を要求している。XNBR手袋においてはこの基準をクリアした実製品はない。
また、ゴム本来のゴム弾性を意味するSR(100%伸長時における5分後の応力保持率)は、従来のXNBR手袋では天然ゴム手袋が75~85%であるのに対し、35~45%程度にすぎなかった。
本発明においては、応力保持率が良く、かつ伸びやすいカルボン酸変性ニトリル系共重合体を含むカルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックスを含むディップ成形用ラテックス組成物から作られたディップ成形品の提供、例えばXNBR手袋において、応力保持率がよく、かつ伸びやすく、柔らかい手袋を提供することを課題とした。
また、最善形としてはサージカル手袋の規格を満たし、かつSRが55%以上のXNBR手袋を作ることを課題とし、手袋の粘性と弾性因子に影響を与えるラテックス自体の改良と架橋剤検討、組み合わせによる効果の発現を検討した。
本発明は、
(1)ディップ成形用ラテックス組成物由来の層を含むディップ成形品であって、
前記ディップ成形用ラテックス組成物が、カルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックスを含み、
前記カルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックスが、カルボン酸変性ニトリル系共重合体を含み、
前記ディップ成形品が、650%より大きい伸び率を有し、かつ、下記数式1及び数式2
Figure 0007348941000001
(上記式中、k’は、平衡係数(equilibrium coefficient)kを試験片の厚さで割って得られた値であり、かつ、k’及びk’は、夫々、粘性係数(viscous coefficient)k及びkを試験片の厚さで割って得られた値である。)
を具備する、ディップ成形品、
(2) 前記カルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックスが、下記数式3および数式4を満たし、
上記カルボン酸変性ニトリル系共重合体が、前記カルボン酸変性ニトリル系共重合体の乾燥重量に対して、エチレン性不飽和ニトリル系単量体由来の単位18~28重量%、共役ジエン系単量体由来の単位67.5~79.5重量%及びエチレン性不飽和酸単量体由来の単位2.5~4.5重量%を含む
Figure 0007348941000002
(上記式中、CVは、スウェリングした状態のカルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックスの毛細管粘度を示し、CVは、デスウェリングした状態のカルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックスの毛細管粘度を示す。)
上記(1)記載のディップ成形品、
(3)エチレン性不飽和ニトリル系単量体由来の単位がアクリロニトリルであり、 共役ジエン系単量体由来の単位 が1,3‐ブタジエンであり、かつ、エチレン性不飽和酸単量体由来の単位が(メタ)アクリル酸である、上記(2)記載のディップ成形品、
(4)前記ディップ成形用ラテックス組成物が、更にエポキシ架橋剤及びアルミニウム架橋剤、並びに、水及びpH調整剤を含む、上記(1)~(3)のいずれか一つに記載のディップ成形品、
(5)前記エポキシ架橋剤の添加量が、前記カルボン酸変性ニトリル系共重合体100重量部に対して、0.1~1.6重量部であり、かつ、前記アルミニウム架橋剤の添加量が、前記カルボン酸変性ニトリル系共重合体100重量部に対して、酸化アルミニウム換算で0.1~0.8重量部であり、前記エポキシ架橋剤および前記アルミニウム架橋剤の両方が添加されるとき、前記エポキシ架橋剤および前記アルミニウム架橋剤の合計添加量が、前記カルボン酸変性ニトリル系共重合体100重量部に対して、0.2~1.6重量部である、上記(4)記載のディップ成形品、
(6)前記エポキシ架橋剤の添加量が、前記カルボン酸変性ニトリル系共重合体100重量部に対して、0.2~1.0重量部であり、かつ、前記アルミニウム架橋剤の添加量が、前記カルボン酸変性ニトリル系共重合体100重量部に対して、酸化アルミニウム換算で0.2~0.7重量部であり、前記エポキシ架橋剤および前記アルミニウム架橋剤の両方が添加されるとき、前記エポキシ架橋剤および前記アルミニウム架橋剤の合計添加量が、前記カルボン酸変性ニトリル系共重合体100重量部に対して、0.4~1.4重量部である、上記(4)記載のディップ成形品、
(7)前記エポキシ架橋剤が、1分子中に3個以上のグリシジル基と脂環族、脂肪族または芳香族の母骨格を有し、平均エポキシ基数が2.25を超え、MIBK/水分配率が50%以上であり、かつ、前記アルミニウム架橋剤が、ヒドロキシ酸アルミニウムである、上記(4)~(6)のいずれか一つに記載のディップ成形品、
(8)上記(1)~(7)のいずれか一つに記載のディップ成形品にγ線を照射して滅菌したサージカル用ディップ成形品、
(9)カルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックスと、エポキシ架橋剤と、アルミニウム架橋剤とを少なくとも含有するディップ成形用ラテックス組成物であって、
前記カルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックスが、カルボン酸変性ニトリル系共重合体を含み、
前記カルボン酸変性ニトリル系共重合体は、前記カルボン酸変性ニトリル系共重合体の全含有量に対して共役ジエン系単量体由来の単位67.5~79.5重量%、エチレン性不飽和ニトリル系単量体由来の単位18~28重量%及びエチレン性不飽和酸単量体由来の単位2.5~4.5重量%を含み、
前記カルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックスが、下記数式3及び数式4を満たし、
Figure 0007348941000003
(前記数式3および数式4中、前記CVはスウェリングした状態のカルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックスの毛細管粘度を示し、前記CVはデスウェリングした状態のカルボン酸変性共重合体の毛細管粘度を示す)
前記エポキシ架橋剤は1分子中に3個以上のグリシジル基と脂環族、脂肪族または芳香族の母骨格を有し、平均エポキシ基数が2.25を超え、MIBK/水分配率が50%以上であって、
前記エポキシ架橋剤の量は、前記カルボン酸変性ニトリル系共重合体100重量部に対して0.1~1.6重量部であり、
前記アルミニウム架橋剤はヒドロキシ酸アルミニウムであり、前記アルミニウム架橋剤の量は、前記カルボン酸変性ニトリル系共重合体100重量部に対して0.1~0.8重量部であり、
前記エポキシ架橋剤と前記アルミニウム架橋剤の投入量の和が、前記カルボン酸変性ニトリル系共重合体100重量部に対して0.2~1.6重量部であり、
pH調整剤でpH9.0~10.5に調整された
ディップ成形用ラテックス組成物、
(10)
(i)上記(9)のディップ成形用ラテックス組成物を調製し、攪拌するマチュレーション工程
(ii)成形型をディップ成形用ラテックス組成物に浸漬するディッピング工程
(iii)成形型上に形成された膜をゲル化するゲリング工程
(iv)成形型上に形成された膜から不純物を除去するリーチング工程
(v)端部に巻きを作るビーディング工程
(vi)高温で加熱及び乾燥し、最終的に架橋を完成させ、成形品としての硬化フィルムにするキュアリング工程を含む、
ディップ成形品の製造方法、
(11)
上記(2)に記載のカルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックスと、
エポキシ架橋剤と、
アルミニウム架橋剤とを少なくとも含有するディップ成形用ラテックス組成物
である。
本願発明は、従来のXNBRで作れなかった、応力保持率が良く、かつ伸びやすいカルボン酸変性ニトリル系共重合体から作られたディップ成形品を提供する。具体的には、本発明は、伸びが良く、柔らかく、応力保持率の高い手袋を提供する。最良の実施形態においては、サージカル手袋の規格をクリアする手袋を提供する。これは、本願解決手段によって最適なアクリロニトリル、カルボン酸含有量を持ち、特別に調節された重合条件で作られた、伸びの良く、柔らかいXNBRを用い、これに硫黄に代わり、粒子内架橋を充実するエポキシ架橋剤と亜鉛に代えて粒子間をアルミニウム架橋することによって達成されたものである。さらに、本願発明の手袋はサージカル手袋に必要な、γ線による滅菌処理によっても物性が変わらず、安定している点も特徴である。
図1は、マクスウェル-バイヘルト(Maxwell-Weichert)モデルに基づく時間別荷重グラフである。 図2は、マクスウェル-バイヘルト(Maxwell-Weichert)モデルの概略図である。
以下、本発明の好ましい実施形態について説明するが、本発明がこれらの実施形態に限定されることはなく、様々な修正や変更を加えてもよいことは言うまでもない。なお、本明細書において「重量」と「質量」は同じ意味で用いられるので、以下、「重量」に統一して記載する。
なお、本明細書において、特に断らない限り、「%」は「重量%」であり、「部」は「重量部」である。
また、特に断らない限り、「重量部」は、原則としてエラストマー100重量部に対しての重量部数を示す。
また、本明細書において、「~」を用いてその前後に数値又は物性値を挟んで表現する場合、その前後の値を含むものとして用いることとする。
1.本発明の技術特徴
本発明の実施形態による成形品は、XNBRにおいては、今まで実施不可能と思われる天然ゴムに似たゴム弾性を持っている。すなわち、際立った応力保持率、柔らかさ、伸びを持っている。また同時に手袋が必要とする引張強度や疲労耐久性も備えている。
本発明は、更に従来の硫黄加硫亜鉛架橋に代わるものとして、エポキシ架橋剤とアルミニウム架橋剤を組み合わせた架橋モデルを提案している。
また、XNBRについても上記架橋剤の組合せを最大限に生かす、従来にない性状を持つラテックスを使用した。
このことによって、XNBRから作られた成形品において、従来両立し難かった弾性(elasticity)と軟性(softness)を高いレベルで両立させた手袋を可能にした。
本発明におけるラテックス、エポキシ架橋剤、アルミニウム架橋剤およびそれらの組合せによる作用効果につき説明する。
(1)ラテックス
本発明におけるカルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックス内のカルボン酸変性ニトリル系共重合体は、共役ジエン系単量体由来の単位、エチレン性不飽和ニトリル系単量体由来の単位およびエチレン性不飽和酸単量体由来の単位を含むことができる。
本発明における前記カルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックスは、カルボン酸変性ニトリル系共重合体を含み、
前記カルボン酸変性ニトリル系共重合体は、共重合体の乾燥重量に対して、エチレン性不飽和ニトリル系単量体由来の単位18~28重量%、共役ジエン系単量体由来の単位67.5~79.5重量%及びエチレン性不飽和酸単量体由来の単位2.5~4.5重量%を含み、かつ、
前記カルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックスは、下記数式3及び数式4
Figure 0007348941000004
(上記式中、CVは、スウェリングした状態のカルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックスの毛細管粘度を示し、CVは、デスウェリングした状態のカルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックスの毛細管粘度を示す。)
を具備する、カルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックスである。
(i)共役ジエン系単量体
本発明の一実施形態によると、前記共役ジエン系単量体由来の単位を形成する共役ジエン系単量体は、1,3‐ブタジエン、2,3‐ジメチル‐1,3‐ブタジエン、2‐エチル‐1,3‐ブタジエン、1,3‐ペンタジエンおよびイソプレンからなる群から選択される1種以上であってもよい。具体的な例として、前記共役ジエン系単量体は、1,3‐ブタジエンまたはイソプレンであってもよい。
前記共役ジエン系単量体由来の単位の含有量は、カルボン酸変性ニトリル系共重合体の全含有量に対して、67.5重量%~79.5重量%であってもよい。この範囲内で前記カルボン酸変性ニトリル系共重合体を含むディップ成形用ラテックス組成物から形成された成形品は、前記共役ジエン系単量体の含有量が多いほど柔らかく、良く伸び、ゴム弾性が向上する。
(ii)エチレン性不飽和ニトリル系単量体
本発明の一実施形態によると、前記エチレン性不飽和ニトリル系単量体由来の単位を形成するエチレン性不飽和ニトリル系単量体は、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、フマロニトリル、α‐クロロニトリルおよびα‐シアノエチルアクリロニトリルからなる群から選択される1種以上であってもよい。具体的な例として、前記エチレン性不飽和ニトリル系単量体は、アクリロニトリルまたはメタクリロニトリルであってもよく、より具体的な例として、アクリロニトリルであってもよい。
前記エチレン性不飽和ニトリル系単量体の含有量は、カルボン酸変性ニトリル系共重合体の全含有量に対して、18重量%~28重量%であってもよい。この範囲内で前記カルボン酸変性ニトリル系共重合体を含むディップ成形用ラテックス組成物から形成された成形品は、前記エチレン性不飽和ニトリル単量体の含有量が少ないほど柔らかく、良く伸び、ゴム弾性が向上する。
(iii)エチレン性不飽和酸単量体
また、本発明の一実施形態によると、前記エチレン性不飽和酸単量体由来の単位を形成するエチレン性不飽和酸単量体は、カルボキシル基、スルホン酸基、酸無水物基のような酸性基を含有するエチレン性不飽和単量体であってもよい。具体的な例として、前記エチレン性不飽和酸単量体は、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸およびフマル酸などのエチレン性不飽和酸単量体;無水マレイン酸および無水シトラコン酸などのポリカルボン酸無水物;スチレンスルホン酸のようなエチレン性不飽和スルホン酸単量体;フマル酸モノブチル、マレイン酸モノブチルおよびマレイン酸モノ‐2‐ヒドロキシプロピルなどのエチレン性不飽和ポリカルボン酸部分エステル(partial ester)単量体からなる群から選択される1種以上であってもよい。より具体的な例として、前記エチレン性不飽和酸単量体は、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸およびフマル酸からなる群から選択される1種以上であってもよく、より具体的な例として、メタクリル酸であってもよい。
前記エチレン性不飽和酸単量体由来の単位の含有量は、カルボン酸変性ニトリル系共重合体の全含有量に対して、2.5重量%~4.5重量%であってもよい。この範囲内で前記カルボン酸変性ニトリル系共重合体を含む、ディップ成形用ラテックス組成物から形成された成形品は、前記エチレン性不飽和酸単量体由来の単位の含有量が、少ないほど柔らかく、良く伸び、ゴム弾性が向上する。
(iv)エチレン性不飽和単量体
前記カルボン酸変性ニトリル系共重合体は、エチレン性不飽和単量体を任意に更に含んでもよい。
前記エチレン性不飽和単量体は、炭素数1~4のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート単量体、ビニル芳香族単量体、フルオロアルキルビニルエーテル単量体、エチレン性不飽和アミド単量体、非共役ジエン単量体、エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体からなる群から選択される1種以上を含むことができる。
前記エチレン性不飽和単量体由来の単位の含有量は、カルボン酸変性ニトリル系共重合体の全含有量に対して、0.5重量%~5重量%であってもよい。この範囲内で、前記カルボン酸変性ニトリル系共重合体を含むディップ成形用ラテックス組成物から形成された成形品の触感および着用感等の若干の特性を付加することができる。
以上に述べた本発明のカルボン酸変性ニトリル系共重合体の単量体組成の特徴は、エチレン性不飽和ニトリル系単量体およびエチレン性不飽和酸単量体の含量を最適にすることにより、カルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックスから作られた成形品の柔らかさ、伸びを良くすることを特徴としている。
(v)カルボン酸変性ニトリル系共重合体の製造方法
本発明においては、前記カルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックスは共重合体の単量体の組成だけでなく、以下で例示する製造方法の工程的な要素を制御することによって、今までにないラテックスの特徴を付与することができる。
具体的には、まず、前記カルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックスの製造方法は共役ジエン系単量体、エチレン性不飽和ニトリル系単量体およびエチレン性不飽和酸単量体を重合反応器に投入し、重合する重合工程を含む。
重合工程は、カルボン酸変性ニトリル系共重合体の主鎖を形成するためのものであり、重合は乳化重合により実施される。このときの各単量体は上記で言及した単量体の種類および含有量で重合反応器に先に投入され、各単量体を分割投入、一括投入、または連続投入するなどの方法で実施できる。
分割投入としては、1次でエチレン性不飽和ニトリル系単量体、または、共役ジエン系単量体、または、エチレン性不飽和ニトリル系単量体とエチレン性不飽和酸単量体を投入して、2次でその他の単量体を投入してもよい。
また、各単量体を、それぞれ1次、2次および3次に分割投入してもよく、その場合、各単量体の反応速度の差による、単量体の分布を均一化することができ、これによりカルボン酸変性ニトリル系共重合体を用いて製造された成形品の物性間のバランスを向上させるという効果がある。
また、重合工程は前記単量体を投入して撹拌を開始し、その後、乳化剤、重合開始剤、活性化剤および連鎖移動剤などを投入して行うことができる。
前記乳化剤としては、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤および両性界面活性剤からなる群から選択される1種以上を用いることができ、具体的な例として、アルキルベンゼンスルホン酸塩(陰イオン性界面活性剤)をあげることができ、さらに具体的にはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを用いることができる。また、前記乳化剤は、重合で投入される全単量体含有量100重量部に対して、2重量部~4重量部で投入されてもよい。一般的には、乳化剤の量が多いとカルボン酸変性ニトリル系共重合体粒子の粒子径が小さくなり、安定性が増す。
前記重合開始剤としては、ラジカル開始剤を用いることができ、無機過酸化物、有機過酸化物および窒素化合物からなる群から選択される1種以上を用いることができる。具体的な例として、前記重合開始剤は、無機過酸化物であってもよく、より具体的な例として、過硫酸塩、例えば過硫酸カリウムであってもよい。また、前記重合開始剤は、重合工程で投入される全単量体含有量100重量部に対して、0.1重量部~0.5重量部で投入され、この範囲内で、重合速度を適正水準に維持することができる。
ここで、重合開始剤として前記有機過酸化物または前記無機過酸化物を使用する場合、還元剤と組み合わせて使用することができる。前記還元剤としては、還元状態にある金属イオンを含有する化合物、スルホン酸化合物、またはアミン化合物を単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。
重合工程で活性化剤を使用する場合は、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートなどを使用することができる。
前記活性化剤の投入量は重合工程で投入される全単量体含有量100重量部に対して、0重量部~1重量部であり、この範囲内で、重合速度を適正水準に維持することができる。
連鎖移動剤は、メルカプタン類、ハロゲン化炭化水素および硫黄含有化合物からなる群から選択される1種以上を使用することができ、具体的な例としては、メルカプタン類であり、より具体的な例として、t‐ドデシルメルカプタンであってもよい。
前記連鎖移動剤の投入量は、重合工程で投入される全単量体含有量100重量部に対して、例えば0.2重量部~0.9重量部である。この範囲内であれば、カルボン酸変性ニトリル系共重合体を用いて製造された成形品の物性間のバランスをより向上させる効果がある。
媒質としては、水、具体的な例として、脱イオン水を使用することができる。また、重合の際、重合容易性の確保のために、必要に応じて、キレート剤、分散剤、pH調節剤、脱酸素剤、粒径調節剤、老化防止剤および酸素捕捉剤などの添加剤を加えても良い。
重合工程において、乳化剤、重合開始剤、連鎖移動剤および媒質などの添加剤は、前記重合反応器に単量体投入後に、一緒に、または分割投入されてもよい。前記添加剤の投入前に、単量体を先に投入して撹拌を進めた場合、重合反応初期の水相に溶けている単量体の組成と量が影響を受け、その影響により重合されるカルボン酸変性ニトリル系共重合体の分子量やラテックス粒子内のカルボキシル基分布が変化することになる。また、前記単量体が分割投入される場合は、添加剤もこれに合わせて分割投入することができる。この場合は、各単量体別の反応速度の差による単量体の分布の制御が容易で、カルボン酸変性ニトリル系共重合体を用いて製造された成形品の物性間のバランスをより向上させるという効果がある。
前記カルボン酸変性ニトリル系共重合体の重合は、5℃~60℃の温度で行われてもよい。前記温度範囲内であれば、ラテックスの安定性については問題がない。
また、前記カルボン酸変性ニトリル系共重合体の重合は、重合転化率による初期反応圧力に対する反応圧力の変化が、特定範囲にあるように調節して重合を進めることができる。
具体的に、重合開始時の反応圧力の範囲は2.0~2.8kgf/cmであり、重合転化率1~45%の間で、反応圧力は重合開始反応圧力に比べて圧力上昇分15%以下の範囲で制御され、特に、重合転化率が40%のときの反応圧力が重合開始時の反応圧力に比べて圧力上昇分5~10%の範囲である。
重合転化率46~75%の間で反応圧力は、重合開始反応圧力に比べて圧力上昇分5~70%の範囲で制御され、特に、重合転化率が60%の時の反応圧力が重合開始時の反応圧力に比べて圧力上昇分30%~65%の範囲である。
重合転化率が76%~重合完了の間で反応圧力は、重合開始反応圧力に比べて圧力上昇分0~5%、又は重合開始反応圧力に比べて圧力減少分0~100%の範囲で制御され、特に90%の反応圧力が重合開始時の反応圧力に比べて、圧力減少分10%以上に範囲にあるように反応圧力を調節する。
重合反応の重合転化率は、当該分野において、通常知られた方法により測定することができる。例えば、一定時間ごとに反応組成物から一定量の試料を取り出し、固形分含量を測定した後、下記の数式5で重合転化率を計算する。
Figure 0007348941000005
(前記数式5において,重量部は投入する全単量体含量100重量部を基準とする。区間重合転化率の場合、当該区間までに投入された単量体重量部及び添加剤重量部を反映して計算することができる。)
重合転化率による初期反応圧力に対する反応圧力の変化が上記範囲にあるように調節すると、反応圧力によって重合反応進行中に水相に溶けている単量体の組成と量が影響を受けるようになり、このような影響によって重合するカルボン酸変性ニトリル系共重合体の絡み合い(entanglement)程度やほどけにくさ、枝分かれ構造が影響を受けることになる。
前記カルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックスの製造方法は、重合反応を終了し、カルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックスを取得する工程をさらに含む。重合反応の終了は、重合転化率が85%以上の時点で重合系を冷却するか、重合停止剤、pH調節剤および酸化防止剤の添加によって実施される。
また、前記カルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックスの製造方法は、前記反応終了の後、脱臭工程による未反応の単量体の除去工程をさらに含んでもよい。
本発明において、ラテックスをディップ成形工程により、後で述べる架橋剤で架橋したゴム手袋などの成形品の物性を柔らかく、かつ、伸びが良く、ゴム弾性に優れるために、ラテックス内の単量体の組成においては、エチレン性不飽和ニトリル系単量体とエチレン性不飽和酸単量体の量を最適化した。また、重合工程を制御し、カルボン酸変性ニトリル系共重合体の絡み合い程度やほどけにくさ、枝分かれ構造、分子量、ラテックス粒子内カルボキシル基分布などを調節してラテックス粒子の構造を最適化した。こうして作られたラテックスの成形品の弾性及び粘性物性に影響を与えた。
本発明のカルボン酸変性ニトリル系共重合体には、後に架橋剤で架橋すると、飛躍的にゴム弾性、いわゆる応力保持率が高くなるための絡み合い(entanglement)および絡み合いのほどけにくさを持つラテックスの構造を有するのが好ましい。また、柔らかさや伸びを持ち、γ線照射後も物性の変動が少なくするためには、共重合体の分子量が適切であり、ラテックス粒子内に分布するカルボキシル基が最適化されるのが好ましい。このようなカルボン酸変性ニトリル系共重合体は、上述した共重合体の組成および重合方法によって作ることができる。本発明においては、次に示す種々のパラメーターを使いながら、カルボン酸変性ニトリル系共重合体の物性を調節するとともに、本発明者らが求める物性を満足するパラメーターの数値範囲を確定した。
前記カルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックスは、下記数式3及び数式4を同時に満たすのが好ましい。
Figure 0007348941000006
前記数式3中、CVは、スウェリングした状態のカルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックスの毛細管粘度(capillary viscosity)を示す。
前記数式4中、CVは、上記のとおりであり、前記CVは、デスウェリング(Deswelling)した状態のカルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックスの毛細管粘度を示す。
このように、カルボン酸変性ニトリル系共重合体の組成および重合方法の様々な因子を制御して、毛細管粘度を1.0~3.0mm/sの範囲に調節し、P値を0.8~1の範囲に調節することで、前記カルボン酸変性ニトリル系共重合体を含むディップ成形用ラテックス組成物から成形された成形品の粘性と弾性物性を最適化することができる。これにより前記ディップ成形用ラテックス組成物から作った成形品は柔軟で、触感および着用感に優れ、且つ弾力性に優れる。
前記数式3の毛細管粘度CVは、カルボン酸変性ニトリル系共重合体がスウェリング(Swelling、膨潤)した状態で測定される毛細管粘度である。一般的に毛細管粘度は非架橋したポリマーの分子量を測定する手段として使用する。しかし、本発明においてCVは、このような一般的な毛細管粘度とは異なり、ラテックス内の共重合体粒子がメチルエチルケトン溶媒に膨潤した状態、つまりスウェリング状態で測定した毛細管粘度を意味する。
従って、このようなCVにより、カルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックス内の共重合体の分子量と、メチルエチルケトン溶媒によるスウェリングに影響を与える要素に関する情報を得ることができ、これらの情報の中で特にラテックス粒子内共重合体のカルボキシル基分布に関する情報を効果的に得ることができる。すなわち、前記CVの範囲を満足するカルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックスは、適切な水準の共重合体分子量及びラテックス粒子内共重合体のカルボキシル基分布を有しており、これをディップ成形用ラテックス組成物として利用する場合、成形品の粘性及び弾性特性の最適化に影響を与える可能性があり、これを通じて成形品の物性、特に高い伸びと柔らかさに優れた成形品を実現することができる。また、前記ディップ成形用ラテックス組成物を製造する時、ラテックス粒子内に分布するカルボキシル基と結合するエポキシ架橋剤を投入すると、γ線による滅菌処理を行っても物性が変わらない。
またCVは、キャノンフェンスケ型(Cannon‐Fenske routine type, SI Analytics GmbH Type No. 520 13)の毛細管粘度計で、メチルエチルケトン(methyl ethyl ketone、MEK)溶媒を用いて、pH8.2~9.2の条件で測定したものであってもよい。
前記数式4につき以下に述べる。
前記数式4に関して、CVは数式3において述べた通りである。また、CVはデスウェリングした状態のカルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックスの毛細管粘度を示す。
デスウェリング(Deswelling、脱膨潤)した状態とは、ラテックス内の共重合体粒子のメチルエチルケトン溶媒に膨潤した部分を除去した状態を意味し、例えば、スウェリングした状態のラテックス内の共重合体粒子に所定のエネルギーを加えてメチルエチルケトン溶媒に溶解する部分を除去した状態の場合、デスウェリングした状態と言える。
前記CVは、pH8.2~9.2の条件で、前記カルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックスをメチルエチルケトン溶媒に溶解した後、ウルトラソニケータ(Bransonic(登録商標) M Mechanical Bath 5800)を使用して40分間55kcal~65kcalのエネルギーを加えてカルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックスをデスウェリングしてから測定した毛細管粘度であってもよい。この際、前記毛細管粘度は、キャノンフェンスケ型の毛細管粘度計を用いて、CVの測定と同じ方法で測定することができる。
また、前記Pは、具体的にはカルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックスのスウェリングした状態の毛細管粘度に対するデスウェリングした状態の毛細管粘度の比率である。前記Pは0.8~1である。 このようなPでは、カルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックス内の共重合体の絡み合い(entanglement)やほどけにくさ, 枝分かれなどのラテックス粒子構造についての情報を得ることができる。 前記Pの範囲を満たすカルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックスは、適切な水準の共重合体の絡み合いやほどけにくさを持つラテックス粒子構造を有し、これをディップ成形用ラテックス組成物として利用する場合に成形品の粘性と弾性物性の最適化に影響を与え、成形品の弾性、すなわち応力保持率を飛躍的に向上させることができる。
このようにして、CVとPの数値範囲をみながらラテックスを調製することにより、本願発明のラテックスはできあがった。 このようなラテックスの特性は、エポキシ架橋剤とアルミニウム架橋剤を利用して ディップ成形用ラテックス組成物を製造する場合に最適なアルミニウムイオン結合及びエポキシ架橋程度を実現することができる。 そしてこれはディップ成形用ラテックス組成物で製造される成形品の粘性と弾性物性を最適化し、成形品が柔らかく肌触り、着用感、弾力性に優れている。
(2)エポキシ架橋剤
本発明におけるエポキシ架橋剤は、例えば、1分子中に3個以上のグリシジル基と脂環族、脂肪族または芳香族の母骨格を有し、平均エポキシ基数が2.25を超え、MIBK/水分配率が50%以上のものである。
エポキシ化合物は、通常、単官能、2官能、多官能に分けられるが、架橋反応が起こるのは2官能以上であり、そのうち1分子中に3個以上のグリシジル基と上記母骨格を有するものは、多官能エポキシ架橋剤といわれる。
多官能エポキシ架橋剤は通常、製造時に副生成物として、2官能、単官能も同時に生成されるので、純粋な試薬を除いては、これらの混合物である。そのため、本発明においては、平均エポキシ基数が2.25を超える多官能エポキシ架橋剤を使用してもよい。
ちなみに、2官能エポキシ架橋剤の平均エポキシ基数は1.5~1.8程度である。
平均エポキシ基数は、エポキシ架橋剤に含まれる種々のエポキシ化合物をGPCにより特定し、それぞれのエポキシ化合物の1分子中のエポキシ基の数に、該エポキシ化合物のモル数を乗じて得たエポキシ基数を各エポキシ化合物について求め、それらの合計値をエポキシ架橋剤に含まれる全てのエポキシ化合物の合計モル数で割って得られる。
多官能エポキシ架橋剤の副生成物を除いた1分子中に3個以上のグリシジル基と脂環族、脂肪族または芳香族の母骨格を有する多官能、いわゆる1分子中に3個以上のグリシジル基を持つポリグリシジルエーテルとしては、グリセロールトリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、ソルビトールトリグリシジルエーテル、ソルビトールテトラグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールトリグリシジルエーテルなどが挙げられる。
また、本発明におけるエポキシ架橋剤は、例えば平均エポキシ基数が2.25を超える多官能エポキシ架橋剤であり、かつ、MIBK/水分配率が50%以上のものである。
MIBK/水分配率は、カルボン酸変性ニトリル系共重合体(以下、XNBRという)と同程度の疎水性をもつメチルイソブチルケトン(MIBK)と水の混合液にエポキシ架橋剤を混合したときに、MIBKに分配される割合である。
MIBK/水分配率は、本発明においては80%以上が更に好ましい。
本発明において、ディップ成形用ラテックス組成物、いわゆるディップ液は、XNBR粒子のアルカリ性の水分散体であり、XNBR粒子内は疎水性環境であるのに対し、粒子間は親水性環境である。この環境は、MIBKと水の混合液とほぼ同環境である。MIBK/水分配率が大きいことは、エポキシ架橋剤がより多くXNBR粒子内の疎水性領域に入り安定していることを意味している。一方、ディップ液の親水性領域にいるエポキシ架橋剤は、pH10程度のアルカリ性下においてエポキシ架橋剤の加水分解が速く進み、比較的短時間のうちに失活してしまう。
従来、エポキシ架橋剤は水性塗料や溶剤系塗料に使用されてきたが、いずれも蒸発により比較的短時間で架橋反応を行っており、上記のような問題は起きなかった。
ディップ成形により、例えば手袋を製造するときには、マチュレーション時間やディップ液をディップ槽に注ぎ足しながらエポキシ架橋剤を使用するときは、少なくとも3日程度はエポキシ架橋剤が失活しないようにしておく必要があった。そのため、2官能エポキシ架橋剤や多官能エポキシ架橋剤であっても、MIBK/水分配率が27%以上であれば、ディップ成形において好ましい。
多官能エポキシ架橋剤でMIBK/水分配率が50%以上、更に多いほどエポキシ架橋剤はXNBR粒子内で失活を免れ、エポキシ架橋の利点を発揮できる。
エポキシ架橋剤は、上記の選定によってはじめてディップ成形で使用できる架橋剤となった。エポキシ架橋の特徴は、高い疲労耐久性にある。一方、引張強度に対する寄与は少なく、酸化亜鉛などのイオン架橋で強度をもたせる必要があった。
本発明においては、MIBK/水分配率が高い多官能エポキシ架橋剤の多くが、疎水性領域であるラテックス粒子内に含まれることに着目した。
このことは、エポキシ架橋剤はラテックス粒子内の埋没カルボン酸と共有結合することによって粒子内の架橋密度を高め、できたフィルムの応力保持率を高める可能性を持っている。このためには、本発明のラテックス粒子のように、適度に絡み合いが多くほどけにくい構造を持ち、粒子内でエポキシ架橋剤と結合する埋没カルボン酸があることが前提となる。
ラテックス粒子のカルボキシル基は、その多くが粒子界面に存在し、pHを上げるほど外側に配向し、カルボキシラート基の形をとる。これらは、キュアリング時に金属架橋剤や一部のエポキシ架橋剤と粒子間架橋する。
一方、粒子内にあるカルボキシル基を埋没カルボン酸というが、本発明のラテックス粒子の構造によりエポキシ架橋剤と粒子内架橋する埋没カルボン酸が確保される。このように、本発明のラテックスをエポキシ架橋することによって、応力保持率を持たせられることができる。
エポキシ架橋剤は、ブタジエンを硫黄で共有結合する硫黄加硫に代わるものとして捉えることができる。
また、上述のカルボン酸変性ニトリル系共重合体のように、特別に柔らかく伸びのよいXNBRに対し、エポキシ架橋剤は架橋しても他の架橋剤と比較して、柔らかさ、伸びを損なう度合いが低いことがわかった。
さらに、エポキシ架橋は、主に粒子内架橋を充実させるので、サージカル手袋など滅菌を必要とする製品で、γ線照射を行っても、引張強度、伸び率、応力保持率など基本物性の変動が小さいことが判明した。これは粒子内のエポキシ架橋による粒子内の架橋の充実によって、γ線照射による粒子内のブタジエン部分での架橋形成による物性の変動が少ないことに起因すると考えられる。
エポキシ架橋剤の添加量は、金属架橋剤との組み合わせを前提として、エラストマー100重量部に対して0.1重量部以上、1.6重量部以下であることが好ましく、0.2重量部以上、1.0重量部以下であることがより好ましい。エポキシ架橋剤は粒子内架橋が主で、粒子内の埋没カルボン酸があることが前提である。
なお、添加量の好ましい範囲の検討については、エポキシ当量も重要な要素である。エポキシ基1個あたりのエポキシ化合物の分子量をエポキシ当量といい、分子量を平均エポキシ基数で除して得られ(単位:g/eq.)、本発明で用いるエポキシ架橋剤の当量は100~230g/eq.の幅がある。このため、単位重量あたりのエポキシ基数はエポキシ架橋剤の種類によって異なるから、本来、エポキシ架橋剤の添加量はモルベースで考えるべきであるが、本明細書では便宜上、重量ベースとしている。
本発明の実施形態にかかるエポキシ架橋剤を購入して入手する場合は、市販の溶剤系エポキシ架橋剤として、ナガセケムテックス社製デナコールEx-314、Ex-321、Ex-411、Ex-622等の製品を挙げることができる。
また、MIBK/水分配率の高い多官能エポキシ架橋剤は、従来、主として油性塗料などに用いられてきたものが多く、水に溶けにくい。そのため、水/ラテックス分散体であるディップ成形用ラテックス組成物中に投入する前に予め分散剤に溶解させたうえで、ディップ成形用ラテックス組成物の他の構成成分と混合することが好ましい。これはラテックス粒子全体に素早くエポキシ架橋剤を入れるためである。
前記エポキシ架橋剤の分散剤としては、一価の低級アルコール、グリコール、グリコールエーテル、エステルなどが挙げられるが、具体的にはメタノール、エタノール、ジエチレングリコールを用いることが好ましく、揮発性・引火性の観点からジエチレングリコールを用いることが特に好ましい。
ディップ成形用ラテックス組成物におけるエポキシ架橋剤と分散剤の重量比は、1:4~1:1であることが好ましい。
(3)アルミニウム架橋剤
本発明で用いるアルミニウム架橋剤はヒドロキシ酸アルミニウムが好ましい。ヒドロキシ酸アルミニウムとしてはグリコール酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、クエン酸アルミニウム、酒石酸アルミニウム、リンゴ酸アルミニウム、グルコン酸アルミニウムが挙げられる。中でも分子量が小さく、リーチング工程で水に溶出し、手袋に残り難いことから乳酸アルミニウムが好ましい。
カルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックスは、一般的にpHが8.5程度なのでpH2~4の酸性であるヒドロキシ酸アルミニウムをディップ成形用ラテックス組成物中に投入するときは、ラテックスの酸ショックによるゴム成分の凝固を防ぐため、あらかじめ水酸化カリウムなどの水酸化金属化合物、アンモニア水溶液などのpH調整剤でpHを7.0以上に調整しておくのが好ましい。
前記ヒドロキシ酸アルミニウムはヒドロキシ酸イオンとアルミニウムイオンとを少なくとも含み、任意でその他の化合物を含んでもよい。
前記ヒドロキシ酸アルミニウムは、アルミニウム塩、アルミン酸塩またはそれらの複塩にヒドロキシ酸またはその塩を加えて製造することができる。
アルミニウム塩としては、塩化アルミニウム六水和物、硫酸アルミニウム十六水和物、硝酸アルミニウム九水和物、アルミン酸塩としては、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム、それらの複塩としては、硫酸カリウムアルミニウム十二水和物、硫酸アンモニウムアルミニウム十二水和物が挙げられる。
アルミン酸塩の場合は、pHが強塩基であるので酸ショックは起きない。
上記の反応をさせるヒドロキシ酸としては、1分子中にアルコール性水酸基と、カルボキシル基とを少なくとも有する化合物であり、任意にそれ以外の置換基を有してもよい。前記ヒドロキシ酸としては、グリコール酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、グルコン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシイソ酪酸、ヒドロキシプロピオン酸等が挙げられる。
本発明におけるヒドロキシ酸アルミニウムを用いることの利点を以下で記述する。
1点目として、前記ヒドロキシ酸アルミニウムを用いることは、本発明におけるアルミニウム架橋剤に弱アルカリ域でのゲル化を防ぎ安定性をもたらし、アルミニウム架橋剤の長期保存や、それを用いたディップ成形物の製造を可能とする。
一般的に水中におけるアルミニウムは弱アルカリ域(pH 7.0~11.0)ではゲル化(ポリマー化)が起きやすく、アルミニウム架橋剤は長期保管やディップ成形物の製造工程上において安定性問題が存在する。しかし、ヒドロキシ酸アルミニウムはアルミニウムイオンとヒドロキシ酸のカルボキシルイオン(カルボキシラート)とが強固に結合しており、ヒドロキシ酸がアルミニウムを立体的に保護することから、ゲル化反応を防ぐことができる。また、ヒドロキシ酸がアルコール性水酸基を有することは、前記ヒドロキシ酸アルミニウムの水との親和性を向上させ、水に良く溶解・分散するようにする効果がある。
2点目として、前記ヒドロキシ酸アルミニウムは効率よくカルボン酸変性ニトリル系共重合体に含まれるカルボキシル基と反応するので、添加量が少なく済み、製造時におけるリーチング溶液への溶出を抑制することができる。
また、ヒドロキシ酸アルミニウムは成形物のゴム弾性を低下させるカルシウムの成形物への取り込みを減らすことができ、成形物のゴム弾性が向上する。これらは、下記で示す、前記ヒドロキシ酸とカルボキシラートとの2種類の反応によるものである。前記ヒドロキシ酸アルミニウムは、ヒドロキシ酸とXNBRのカルボキシラートとの交換反応をディップ成形用ラテックス組成物中、室温で行い、架橋構造が形成されるため、リーチング工程時にヒドロキシ酸アルミニウムの溶出が少なくなり、また、ディップ成形用ラテックス組成物への浸漬時、すでにXNBRのカルボキシラートがアルミニウムと結合してしまうことから、凝固剤由来のカルシウムと、XNBRのカルボキシラートとの反応が抑制されるためである。前記ヒドロキシ酸アルミニウムは、XNBRのカルボン酸またはカルボン酸塩とキュアリング工程時にも架橋構造を形成する。ヒドロキシ酸アルミニウムが水酸化物イオンを含有する場合、脱水反応により架橋を形成する。ヒドロキシ酸アルミニウムが未反応のヒドロキシ酸を含有する場合、カルボン酸塩と反応し、架橋構造を形成する。
ここでのカルボン酸塩は、カルシウム塩でもよく、成形物にカルシウムが含まれるのを抑制することができる。
アルミニウムイオンに対して含有するヒドロキシ酸イオンのモル比に基づき、2種類の反応のうちどちらの反応による架橋形成反応が多く進行するかが決定してもよい。アルミニウムイオンを1としたときのヒドロキシ酸イオンのモル比は特に限定されないが、0.5以上で3.0より少なければ好ましい。
以下で2種類の架橋反応の詳細を記述する。
(i)ディップ成形用ラテックス組成物中の架橋反応
前記ヒドロキシ酸アルミニウムのアルミニウムイオンとヒドロキシ酸イオンとのモル比が前述の範囲であれば、アルミニウムに結合したヒドロキシ酸が存在しうる。また、カルボン酸変性ニトリル系共重合体の一部のカルボキシル基は、カルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックス粒子表面においては、カルボキシラート基として存在しており、これとヒドロキシ酸アルミニウムのヒドロキシ酸イオンが交換反応し、ゴム分子鎖に結合したアルミニウム架橋剤を形成させることができる。(下記化学式1参照)
Figure 0007348941000007
上記式中、RCOOはヒドロキシ酸イオンを示す。
化学式1に示したように、アルミニウム化合物に結合したヒドロキシ酸は、ヒドロキシ酸イオンとして脱離すると共に、アルミニウムはXNBRのカルボキシレートに結合する交換反応を想定している。この反応により、アルミニウム化合物は、XNBRに結合を形成する。この反応は、XNBRラテックスにアルミニウム架橋剤を配合直後からディップ成形用ラテックス組成物中で始まり室温で完結する。
(ii)キュアリング工程時の架橋反応
ヒドロキシ酸アルミニウムのアルミニウムイオンとヒドロキシ酸イオンとのモル比が前述の範囲であれば、前記アルミニウム架橋剤には水酸化物イオンが含まれる。そのため、以下で説明する反応機構でも架橋構造を形成することができる。アルミニウム架橋剤を添加したディップ成形用ラテックス組成物は、ディップ成形法により成膜される。この成形物はリーチング工程で水洗することにより、フィルム中の水溶性の不純物が溶出させると同時に、水酸化金属化合物またはアンモニア化合物も溶出しXNBRのカルボキシラート基をカルボキシル基に変化させる。その後のキュアリング工程で、成形物は架橋炉内で加熱、乾燥される。このキュアリング工程時にXNBRのカルボキシル基が、アルミニウム架橋剤の水酸化物イオンと脱水反応を起こし、XNBRのカルボキシル基とアルミニウムが結合するため、架橋構造が形成される。この反応を化学式2に示す。
Figure 0007348941000008
なお、ヒドロキシ酸アルミニウムはキュアリング時に存在しているカルボン酸のカルシウム塩と反応し、含有するカルシウムを減らすことができる。これにより、成形物のゴム弾性が向上する。この反応を化学式3に示す。
Figure 0007348941000009
アルミニウム架橋剤は、上記ヒドロキシ酸アルミニウムを使用することによってはじめて安定してディップ成形に使用できる架橋剤となった。従来、ディップ成形において、金属架橋剤としては、主として酸化亜鉛が使用されてきた。酸化亜鉛は、主として成形体に強度を保持するために使われてきた。これに対し、近年アルミニウム架橋剤のディップ成形用ラテックス組成物中での安定化等がなされ、酸化亜鉛に代わるものとして使用できるものとなった。本発明における、上記ヒドロキシ酸アルミニウムもその1つである。本発明においては、従来の酸化亜鉛に代えて、上記ヒドロキシ酸アルミニウムとエポキシ架橋剤とを架橋剤として併用する。上記ヒドロキシ酸アルミニウムを酸化亜鉛に代えて使用する理由を亜鉛架橋とアルミニウム架橋の特性を比較しながら説明する。
亜鉛架橋もアルミニウム架橋も粒子間をイオン結合し、成形体の強度を保持することができる。しかし、亜鉛架橋は結合強度がアルミニウムと比べて弱いため、外力によって容易に開裂および別のカルボキシル基との再架橋をするため、カルボン酸変性ニトリル系共重合体の立体構造が保持されず、ゴム弾性が低下してしまう。これに対し、アルミニウム架橋は粒子間をより強く結合させるので、応力保持率を飛躍的に高めることができる。
また、ヒドロキシ酸アルミニウムは前述のようにカルシウムの含有量を減らす効果があり、これによりさらに応力保持率を高めることができる。これが、本発明においてアルミニウム架橋剤を使用する理由である。
エポキシ架橋も応力保持率を高める点では同一であるが、粒子内架橋で粒子内の架橋密度を高めて応力保持率を高める点でアルミニウム架橋とはその作用が異なる。
一方、アルミニウム架橋も亜鉛架橋も、成形体の柔らかさや、伸びを悪くさせる点では同じである。そのため、柔らかく、伸びの良い成形体を得るためには、本発明の柔らかく、伸びの良いカルボン酸変性ニトリル系共重合体を使用する必要がある。
本発明の成形体は、アルミニウム架橋剤を用いることにより、有害性重金属であり、自然環境や人体への負荷の大きい酸化亜鉛を代替することができた。酸化亜鉛は優秀な架橋剤であるが、製造時におけるリーチング水の廃液処理問題、使用時における食品や精密機器への溶出・転写問題、廃棄時における灰の処理問題など様々な問題を有している。一方で、アルミニウムは軽金属であり、毒性も低く、また、人体・環境中にありふれた元素のため、酸化亜鉛のような問題は発生しないという利点がある。
更に、アルミニウム架橋剤は、酸化亜鉛とは異なり、疲労耐久性を向上させることができる。これは、アルミニウムイオンとカルボキシル基とのイオン結合の結合力が、酸化亜鉛とカルボキシル基の結合力に比べ高いことに由来する。
アルミニウムは亜鉛に比べ、価数が大きく、イオン半径も短いことから、クーロンの法則により架橋構造を形成するイオン結合強度が亜鉛より強いと考えられるからである。このため、アルミニウム架橋をした手袋は、カルシウムや酸化亜鉛で架橋したものに対して、人工汗液中での溶出が最も少ない。このことは、アルミニウム架橋手袋が、装着したとき汗に最も強いことを意味している。
本発明でのアルミニウム架橋剤のディップ成形用ラテックス組成物への添加量は下記数式6で示す酸化アルミニウム(Al)換算での添加量で表記する。これは、アルミニウム架橋剤はどれだけのアルミニウム原子を添加したかが重要であると考えているからであり、ヒドロキシ酸イオンなどの含有量に関わらず、アルミニウム架橋剤の効果を評価する為である。
Figure 0007348941000010
上記式中、アルミニウムの含有量はICP-AESで測定した。
本発明のディップ成形用ラテックス組成物中におけるアルミニウム架橋剤の含有割合は、エラストマー100重量部に対し、酸化アルミニウム換算で好ましくは0.1重量部以上0.7重量部以下であり、より好ましくは0.2重量部以上0.7重量部以下である。アルミニウム架橋剤の含有割合が0.1重量部よりも少ないと、十分な粒子間架橋が得られず、成形物の引張強度が劣るものとなってしまい、また、含有割合が0.7重量部よりも多いとディップ成形用ラテックス組成物への増粘効果が大きくなりすぎると共に、得られた成形物は、本発明の目的に反して、硬く伸びにくいものになる。
本発明の実施形態にかかるアルミニウム架橋剤を購入して入手する場合は、市販のアルミニウム架橋剤として、多木化学社製タキセラムM-160L、AS800等の製品を挙げることができる。
(4)組合せによる作用効果
これまで、本発明におけるラテックス、エポキシ架橋剤、アルミニウム架橋剤それぞれについて説明した。
ここでは、SRのモデリングにより成形品の粘性と弾性物性に影響を与える因子を分析し、それぞれの要素を組み合わせることにより、相互に補完し合い相乗的に効果を出すことによって、どのように柔らかさ(softness)とゴム弾性を備えた成形品を作ることができるかについて説明する。
SR Modelingは、次のような方式で進めることができる。 SRはASTM D-412方法によりダンベル形状の試験片を製作し、測定機器U.T.M(Instron社、3345 Model)を利用して試験片をcross head speedを300mm/minにより伸率100%になるまで引いた後、5分間の応力減少を測定して求めることができる。そして、このとき、倍率100%まで引いた後、0、4、9、19、29、49、89、169、289秒におけるロード(load)値を測定し、それに対する結果として時間別荷重グラフを求め、このように求めたグラフを下記数式7のマクスウェル-バイヘルト(Maxwell-Weichert)モデルを用いてfittingすればk1、k2、k3の値を求めることができる。
Figure 0007348941000011
F(t):時間別荷重(N)、t:時間(sec)
このようにして求めたk、k、k値を下記数式8のようにそれぞれ試験片の厚さで割って、最終k’、k’、k’値を求めることができる。
Figure 0007348941000012
前記数学式7のマクスウェル-バイヘルト(Maxwell-Weichert)モデルは一つの弾性体と二つの粘弾性体を並列に連結したモデルである。したがって、応力保持実験により得られた結果を前記マクスウェル-バイヘルト(Maxwell-Weichert)モデルを用いてdata fitting して得られたk、k、k値をそれぞれ試験片の厚さで割って得られたk’、k’、k’の値の中でk’は弾性物性に関連する指標であり、k’、k’は粘性物性に関連する指標である。
したがって、下記数式1及び数式2を同時に満足させるカルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックスを含むディップ成形用ラテックス組成物で作った成形品は弾性及び粘性物性が最適化され、成形品が柔らかく肌触り、着用感、弾力性に優れている。
Figure 0007348941000013
前記のように、本発明において、ラテックスは、カルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックスの組成及び重合方法の複数の因子を制御し、共重合体の分子量とラテックス粒子内のカルボキシル基分布が最適化されたラテックスの範囲内において、最大限絡み合い(entanglement)やほどけにくさ, 枝分かれ程度を高める構造を有するラテックスを作り、後にアルミニウム架橋剤及びエポキシ架橋剤を使ってディップ成形用ラテックス組成物を製造する場合に最適なアルミニウムイオン結合及びエポキシ架橋程度を実現するようにしたことが特徴である。
エポキシ架橋剤は、前記ラテックスの構造のもとで、主にラテックス粒子内の埋没カルボン酸と共有結合し、粒子内の架橋密度を上げる。アルミニウム架橋剤は、前記ラテックスの構造のもとで粒子間を固く結合することによってずれないようにする。
そして、このような架橋剤の結合方式の違いは、これらを利用して製造した成形品の弾性及び粘性物性に影響を与える程度が異なり、そのため成形品の物性もそれぞれの架橋剤によって異なってくる。すなわち,ラテックス自体の軟性と伸びの良さを失わないためにはエポキシ架橋が必要で,また引張強度と弾力性を保持するためにアルミニウム架橋が必要である。エポキシ架橋剤だけでは引張強度と弾力性が不安で、アルミニウム架橋剤だけでは硬く、伸びが短くなるからである。したがって、エポキシ架橋制とアルミニウム架橋制を同時に使用する最適な架橋剤の組み合わせが必要であり、これらの最適な架橋剤の組合せは、エポキシ架橋剤とアルミニウム架橋剤とを併せて使用時に、二つの架橋剤添加量の和が例えば0.2重量部以上、1.6重量部以下、好ましくは0.4重量部以上1.4重量部以下であるときに可能である。
そして、このような架橋剤の組合せと最適な架橋程度を実現することができる。前記のラテックスにより成形品を作ったとき、成形品は前記数式1及び数式2を同時に満足させる最適の粘性と弾性物性とを持つようになり、手術用手袋の規格を満たす弾性の良い手袋を作ることができた。
エポキシ架橋剤またはアルミニウム架橋剤だけでも、従来のXNBR手袋程度の性能は出せる。
しかし、エポキシ架橋剤単独では粒子間が弱く、アルミニウム架橋剤だけでは粒子内が弱くなる。そのため、従来の硫黄加硫+酸化亜鉛架橋手袋モデルに代わりえるものとしては、エポキシ架橋+アルミニウム架橋モデルが最適であると発明者らは考えている。さらに、この架橋モデルと上記ラテックスで成形体を作ったときは、その最良の実施形態においてはサージカル手袋の規格をクリアし、かつゴム弾性のよい手袋が作られる。
サージカル手袋は通常γ線を照射し滅菌するが、この手袋はγ線照射後も物性の変動が少ない。
これは、アルミニウム単独架橋手袋の場合、γ線照射後に大きく物性が変わる点と対照的である。この理由は本手袋がエポキシ架橋で粒子内架橋しているためと考えられる。なお、エポキシ架橋+アルミニウム架橋モデルは、従来の硫黄加硫の加硫促進剤によるIV型アレルギーがないこと、重金属である亜鉛を使っていない点も利点である。
2.ディップ成形用ラテックス組成物
本発明のディップ成形用ラテックス組成物は、上述のカルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックス、エポキシ架橋剤、アルミニウム架橋剤と、水と、pH調整剤とを少なくとも含む水分散体である。このディップ成形用ラテックス組成物は、ディップ成形してなる手袋などの成形品を作るための原料となる。
ディップ成形用ラテックス組成物は、通常、6割以上(好ましくは65~92重量%)を水が占めている水系エマルションである。
このディップ成形用ラテックス組成物は、pH調整剤で例えばpH9.0~10.5程度に調整され、各固形分は攪拌され、ほぼ均一に分散されているのが好ましい。
以下、pH調整剤およびディップ成形用ラテックス組成物に、通常含まれてよいその他の成分につき説明する。
pH調整剤としては、アンモニウム化合物、アルカリ金属の水酸化物が使用できる。これらの中でも、pH調整が容易であるため、水酸化カリウム(以下、KOHともいう)が最も広く使用されている。
pH調整剤の添加量は、ディップ成形用ラテックス組成物中のカルボン酸変性ニトリル系共重合体100重量部に対して0.1~4.0重量部程度を挙げることができるが、通常0.1~1.5重量部程度を使用する。
ディップ成形用ラテックス組成物は、pHを例えば9.0~11.0、好ましくは9.0~10.5に調整する。pH9.0以上であれば粒子表面へのカルボキシラート基の配向が十分となり、架橋による結合が多く、引張強度が上昇する。逆にpHを11.0未満にすると、粒子表面へのカルボキシラート基の配向が適切となり、架橋による結合が適切で、柔らかさと伸びが適当になる。
また、例えばpHを8.0程度にすれば、応力保持率は上がる。このように、pHは成形体の物性を左右する重要な要素である。
ディップ成形用ラテックス組成物は、さらに、分散剤を含んでいてもよい。分散剤としては、アニオン界面活性剤が好ましく挙げられ、更に好ましくはスルホン酸塩が使用される。
分散剤には市販品を使用することができる。例えば、BASF社製「Tamol NN9104」などを用いることができる。その使用量は、ディップ成形用ラテックス組成物中のエラストマー100重量部に対し0.2~2.0重量部程度であることが好ましい。
ディップ成形用ラテックス組成物は、さらにその他の各種の添加剤を含むことができる。該添加剤としては、酸化防止剤、顔料、キレート剤等が挙げられる。酸化防止剤として、ヒンダードフェノールタイプの酸化防止剤、例えば、WingstayLを用いることができる。また、顔料としては、例えば二酸化チタンが使用される。キレート化剤としては、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム等を使用することができる。
なお、本発明の実施形態にかかるディップ成形用ラテックス組成物は、手袋の成形用以外にも、例えば、哺乳瓶用乳首、スポイト、導管、水枕等の医療用品、風船、人形、ボール等の玩具や運動具、加圧成形用バッグ、ガス貯蔵用バッグ等の工業用品、手術用、家庭用、農業用、漁業用及び工業用の手袋、指サック、コンドーム等のディップ成形品の成形に用いることができる。
3.製造方法
本発明の成形品は、(i)本発明のディップ成形用ラテックス組成物を調製し、攪拌するマチュレーション工程
(ii)成形型をディップ成形用ラテックス組成物に浸漬するディッピング工程
(iii)成形型上に形成された膜をゲル化するゲリング工程
(iv)成形型上に形成された膜から不純物を除去するリーチング工程
(v)端部に巻きを作るビーディング工程
(vi)高温で加熱及び乾燥し、最終的に架橋を完成させ、成形品としての硬化フィルムにするキュアリング工程を含む、以下の製造方法により好ましく製造することができる。
以下、成形品として手袋を例に、工程ごとに詳細を説明する。
(i’)凝固剤付着工程
手袋成形型に凝固剤を付着させる工程である。
モールド又はフォーマ(手袋成形型)を、凝固剤及びゲル化剤としてCa2+イオンを例えば5~40重量%、好ましくは8~35重量%含む凝固剤溶液中に浸す。ここで、モールド又はフォーマの表面に凝固剤等を付着させる時間は適宜定められ、通常、10~20秒間程度である。凝固剤としては、カルシウムの硝酸塩又は塩化物が用いてもよい。エラストマーを析出させる効果を有する他の無機塩を用いてもよい。中でも、硝酸カルシウムを用いることが好ましい。この凝固剤は、通常、5~40重量%含む水溶液として使用される。
また、凝固剤を含む溶液は離型剤としてステアリン酸カリウム、ステアリン酸カルシウム、鉱油、又はエステル系油等を例えば0.5~2重量%程度、1重量%程度含むことが好ましい。
次に、凝固剤溶液が付着したモールド又はフォーマを炉内温度110℃~140℃程度のオーブンに1~3分入れ、乾燥させ手袋成形型の表面全体又は一部に凝固剤を付着させる。この時注意すべきは、乾燥後の手型の表面温度は60℃程度になっており、これが以降の反応に影響する。
また、カルシウムは、手袋成形型の表面に膜を形成するための凝固剤機能としてばかりでなく、最終的に完成した手袋の相当部分で架橋する。
本発明においては、手袋の物性を良くするためには、過剰のカルシウムが架橋しないように考えており、アルミニウム架橋剤はカルシウム架橋に代わることができる点で利点を持つ。
(i)マチュレーション工程
本発明のディップ成形用ラテックス組成物を調製し、攪拌する工程である。
本発明のように、エポキシ架橋剤とアルミニウム架橋剤を用いるときは、従来の硫黄加硫のときのように、熟成のための前架橋工程の意味はない。
本発明においては、この工程によりディップ成形用ラテックス組成物の各成分が分散・均一化することを目的としている。
また、ディップ成型組成物を例えばpH9.0~pH10.5に調整しておくことも目的の1つである。
実際の手袋製造工程においては、このマチュレーションを1~2日程度行うのが通常であり、コンパウンドタンクからディップ成形用ラテックス組成物をディップ槽に注ぎ足しながら手袋を製造していく。
このため、pHを維持しながら最低でも3日、好ましくは5日程度エポキシ架橋剤を失活させず、アルミニウム架橋剤を安定させておくことが重要である。
(ii)ディッピング工程
手袋成形型をディップ成形用ラテックス組成物に浸漬する工程である。
前記マチュレーション工程で、攪拌した本発明の実施形態にかかるディップ成形用ラテックス組成物(ディップ液)をディップ槽に流し入れ、このディップ槽中に上記凝固剤付着工程で凝固剤を付着、乾燥した後のモールド又はフォーマを通常、10~40秒間、25~35℃の温度条件下で浸漬する工程である。
この工程で凝固剤に含まれるカルシウムイオンにより、ディップ成形用ラテックス組成物に含まれるエラストマーをモールド又はフォーマの表面に凝集させて膜を形成させる。
(iii)ゲリング工程
手袋成形型上に形成された膜をゲル化する工程である。
これは、リーチング工程の時に、膜が変形しないように、膜を一定程度ゲル化させておくための工程で、通常、製造工程では40℃~120℃で1分30秒~4分程度の条件で行われる。長いほうはダブルディッピングの場合である。ゲリングオーブンで加熱している場合もある。
(iv)リーチング工程
手袋成形型上に形成された膜から不純物を除去する工程である。
膜の表面に析出したカルシウム等の後のキュアリングに支障となる余剰な薬剤や不純物を水洗除去する工程である。通常は、フォーマを30~70℃の温水に1~4分程度くぐらせている。
リーチング工程においては、水洗によって膜はアルカリ性から中性に近づく。そのため、粒子内のカルボキシル基と粒子界面で配向したカルボキシラート基はカルボキシル基に戻る。そして、粒子内と粒子間のカルボキシル基の割合はここで確定する。
一方、カルボキシラート基と結合したヒドロキシ酸アルミニウムは水洗しても流出しない。また、出来た手袋の物性を弱める原因となる界面活性剤や、凝固剤由来のカルシウムや、pH調整剤由来のカリウムは水洗するほど流出する。
(v)ビーディング工程
手袋の袖口部分に巻きを作る工程である。
リーチング工程が終了した架橋前の手袋の袖口端部を巻き上げて適当な太さのリングを作り、補強する工程である。リーチング工程後の湿潤状態で行うと、ロール部分の接着性が良い。
(vi)キュアリング工程
キュアリング工程は、高温で加熱及び乾燥し、最終的に架橋を完成させ、手袋としての硬化フィルムにする工程である。
キュアリングは複数の乾燥炉で行いその一段目の乾燥炉の温度を若干低くする場合があるが、これは、水分が急激に蒸発し、手袋に水膨れのような凸部ができて、品質を損なわないようにするためのものである。これを、独立してプリキュアリング工程と言うこともある。この場合は、例えば60~90℃で30秒間~5分間程度加熱および乾燥を行う。
次に、キュアリング工程としては、通常、100~150℃で15~30分程、加熱及び乾燥させる。
このキュアリング工程において、XNBRの粒子間をカルボキシル基のOHとヒドロキシ酸アルミニウムが架橋し、XNBRの粒子内のカルボキシル基のカルボニル基とエポキシ基が開環して架橋する。なお、手袋内には凝固剤由来のカルシウムとpH調整剤由来のカリウムとカルボキシル基の架橋も存在している。
(vi’)ダブルディッピング
手袋の製造方法について、上記ではいわゆるシングルディッピングの説明を行った。これに対し、ディッピング工程とゲリング工程を2回以上行うことがあり、これを通常ダブルディッピングという。
ダブルディッピングは、厚手手袋(膜厚200超~300μm程度)を製造するときや、薄手手袋の製造方法においても、ピンホールの生成防止等の目的で行われる。
ダブルディッピングの注意点としては、2回目のディッピング工程において、XNBRを凝集させるために、1回目のゲリング工程において、カルシウムを十分膜表面にまで析出させておくためのゲリング工程の十分な時間を必要とすることが挙げられる。
4.手袋
本発明のXNBR手袋は、架橋剤で架橋した後でも、従来のXNBR手袋にない柔らかさと伸び(Softness)と高い応力保持率(Elasticity)を高いレベルで両立させた手袋である。
まず、カルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックスの組成及び重合方法の様々な因子を制御して共重合体の分子量とラテックス粒子内のカルボキシル基分布が最適化されたラテックスの範囲内で最大限絡み合い(entanglement)やほどけにくさを高めた構造を持つ共重合体を作った。このような共重合体と粒子内架橋をするエポキシ架橋剤と粒子間架橋をするアルミニウム架橋剤で、同時に架橋することにより最適なアルミニウムイオン結合とエポキシ架橋を実現するようにし、これにより成形品が最適な粘性と弾性物性を持つようにした。
この結果、出来た手袋の最良の形態においては、サージカル手袋の規格を満たし、且つ、今までのXNBR手袋にない高い応力保持率を持つ手袋が得られた。
サージカル手袋は、通常、滅菌が必要である。
手袋は、種々の用途により様々な規格(JIS、ASTM等)がある。また、医療用もその用途に応じ、管理医療機器として区分されている。その内、手術用については、滅菌が必須とされており、製薬用・歯科用等でも滅菌が必要とされるものがある。滅菌は、無菌性保証水準がSAL10-6(100万個の製品の中に発育可能な菌が付着している製品が1個以下)を満足することが薬機法で規定されている。滅菌は、通常γ線照射により行うことが一般的である。照射は、吸収線量が25kGyで3時間程度である。
驚くべきことに、エポキシとアルミニウム架橋した本発明の手袋は、上記γ線照射をした結果も、ほぼ物性に変化がなかった。通常、物質はγ線照射すると、崩壊型と架橋型に分けられる。XNBRを見ると、ブタジエンは二重結合を持っており、照射すると二重結合部分に架橋が形成されやすく、硬くなる等物性に変化を生じやすいと考えられる。
例えば、アルミニウム単独架橋のように粒子内が架橋されていない場合、大きく物性が変化するのに対し、粒子内架橋するエポキシ架橋剤を併用すると粒子内を既に架橋しているので、物性の変化が少ないのがこの原因と考えられる。γ線照射によって、物性が変化しない本手袋の特徴は、製品の安定性の観点からも好ましい点である。
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明する。しかし、下記の実施例は、本発明を例示するためのものであって、本発明の範疇および技術思想の範囲内で様々な変更および修正が可能であることは、通常の技術者にとって明白であり、これにのみ本発明の範囲が限定されるものではない。
実施例
実施例1
<カルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックスの製造>
以下、重量%は、カルボン酸変性ニトリル系共重合体の主鎖を形成するために投入される全単量体含有量に対して記載したものであり、重量部は、投入される全単量体100重量部に対して記載したものである。
攪拌機が取り付けられた重合反応器にアクリロニトリル23重量%およびメタクリル酸3.5重量%を投入した後、撹拌を始めて混合し、t-ドデシルメルカプタン0.6重量部、ナトリウムドデシルベンゼンスルホネート4.0重量部、水120重量部を投入した後、1,3‐ブタジエン73.5重量%を投入し、2.5kgf/cmの圧力、40℃の温度で重合開始剤である過硫酸カリウム0.3重量部を投入して乳化重合を開始した。
重合転化率が40%の時の反応圧力が2.68kgf/cmで、重合転化率が60%の時の反応圧力が3.55kgf/cm、重合転化率が90%の時の反応圧力を1.25kgf/cmに調節した。
重合転化率が94%に至ると、重合を停止させた。その後、脱臭工程により未反応物を除去し、アンモニア水、酸化防止剤、消泡剤を添加して、カルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックスを取得した。
<ディップ成形用ラテックス組成物の製造>
前記取得したカルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックス100重量部(固形分基準)に、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル(エポキシ架橋剤、ナガセケムテックス社製デナコールEx-321、 エポキシ当量140g/当量、平均エポキシ基数2.7、MIBK/水分配率87%)0.5重量部をジエチレングリコール0.5重量部と予め混合し添加した。更に、塩基性乳酸アルミニウム(アルミニウム架橋剤、多木化学社製M-160L、組成式としてAl(OH)11(CH3CH(OH)COO)4で表される塩基性乳酸アルミニウムをベースとした有機酸アルミニウム塩およびその変性物)のpHを8.5に調整した後に、酸化アルミニウム換算で0.3重量部を添加した。そこに、酸化チタン1重量部と水酸化カリウム溶液および二次蒸留水を加え、固形分濃度22重量%及びpH9.8-10のディップ成形用ラテックス組成物を取得した。
<成形品の製造>
20重量%のカルシウムナイトレート、79.5重量%の水、0.5重量%の湿潤剤(Huntsman Corporation、Teric 320)を混合して20%凝固剤溶液を製造し、この溶液に手形状のセラミックモールドを10秒間浸漬し、取り出してから100℃で3分間乾燥して凝固剤を手形状のモールドに塗布した。
次いで、凝固剤が塗布された陶板を前記取得したディップ成形用ラテックス組成物に10秒間浸漬し、取り出してから50℃で2分間乾燥した後、50℃の温水に2分間浸漬した。次に、前記陶板を70℃で5分間予備加熱し、続いて、130℃で30分間加熱してラテックスを架橋した。架橋したディップ成形層を陶板から取り出してフィルム状の成形品を得た。
実施例2
攪拌機が取り付けられた重合反応器にアクリロニトリル27重量%およびメタクリル酸3.5重量%を投入した後、撹拌を始めて混合し、t-ドデシルメルカプタン0.5重量部、ナトリウムドデシルベンゼンスルホネート3.0重量部、水120重量部を投入した後、1,3‐ブタジエン69.5重量%を投入し、2.5kgf/cmの圧力、37℃の温度で重合開始剤である過硫酸カリウム0.24重量部を投入して乳化重合を開始した。
重合転化率が40%の時の反応圧力が2.70kgf/cmで、重合転化率が60%の時の反応圧力が3.58kgf/cm、重合転化率が90%の時の反応圧力を1.27kgf/cmに調節した。
重合転化率が94%に至ると、重合を停止させた。その後、脱臭工程により未反応物を除去し、アンモニア水、酸化防止剤、消泡剤を添加して、カルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックスを取得した。
こうして得たラテックスを用いて、実施例1のような方法でディップ成形品を製造した。
実施例3
攪拌機が取り付けられた重合反応器にアクリロニトリル18重量%およびメタクリル酸4.5重量%を投入した後、撹拌を始めて混合しt-ドデシルメルカプタン0.3重量部、ナトリウムドデシルベンゼンスルホネート3.0重量部、水130重量部を投入した後、1,3‐ブタジエン77.5重量%を投入し、2.7kgf/cmの圧力、40℃の温度で重合開始剤である過硫酸カリウム0.25重量部を投入して乳化重合を開始した。
重合転化率が40%の時の反応圧力が2.92kgf/cmで、重合転化率が60%の 時の反応圧力が4.27kgf/cm、重合転化率が90%の時の反応圧力を1.76kgf/cmに調節した。
重合転化率が96%に至ると、重合を停止させた。その後、脱臭工程により未反応物を除去し、アンモニア水、酸化防止剤、消泡剤を添加して、カルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックスを取得した。
こうして得たラテックスを用いて、実施例1のような方法でディップ成形品を製造した。
実施例4
攪拌機が取り付けられた重合反応器にアクリロニトリル28重量%およびメタクリル酸2.5重量%を投入した後、撹拌を始めて混合しt-ドデシルメルカプタン0.8重量部、ナトリウムドデシルベンゼンスルホネート3.0重量部、水110重量部を投入した後、1,3‐ブタジエン69.5重量%を投入し、2.2kgf/cmの圧力、37℃の温度で重合開始剤である過硫酸カリウム0.35重量部を投入して乳化重合を開始した。
重合転化率が40%の時の反応圧力が2.38kgf/cmで、重合転化率が60%の時の反応圧力が3.17kgf/cm、重合転化率が90%の時の反応圧力を1.76kgf/cmに調節した。
重合転化率が94%に至ると、重合を停止させた。その後、脱臭工程により未反応物を除去し、アンモニア水、酸化防止剤、消泡剤を添加して、カルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックスを取得した。
こうして得たラテックスを用いて、実施例1のような方法でディップ成形品を製造した。
実施例5
攪拌機が取り付けられた重合反応器にアクリロニトリル25重量%およびメタクリル酸4.1重量%を投入した後、撹拌を始めて混合しt-ドデシルメルカプタン0.3重量部 、ナトリウムドデシルベンゼンスルホネート2.5重量部、水140重量部を投入した後、1,3‐ブタジエン70.9重量%を投入し、2.4kgf/cmの圧力、40℃の温度で重合開始剤である過硫酸カリウム0.2重量部を投入して乳化重合を開始した。
重合転化率が40%の時の反応圧力が2.52kgf/cmで、重合転化率が60%の時の反応圧力が3.12kgf/cm、重合転化率が90%の時の反応圧力を0.24kgf/cmに調節した。
重合転化率が96%に至ると、重合を停止させた。その後、脱臭工程により未反応物を除去し、アンモニア水、酸化防止剤、消泡剤を添加して、カルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックスを取得した。
こうして得たラテックスを用いて、実施例1のような方法でディップ成形品を製造した。
実施例6
攪拌機が取り付けられた重合反応器にアクリロニトリル21重量%およびメタクリル酸2.9重量%を投入した後、撹拌を始めて混合しt-ドデシルメルカプタン0.6重量部 、ナトリウムドデシルベンゼンスルホネート3.5重量部、水110重量部を投入した後、1,3‐ブタジエン76.1重量%を投入し、2.6kgf/cmの圧力、39℃の温度で重合開始剤である過硫酸カリウム0.3重量部を投入して乳化重合を開始した。
重合転化率が40%の時の反応圧力が2.86kgf/cmで、重合転化率が60%の時の反応圧力が4.29kgf/cm、重合転化率が90%の時の反応圧力を2.34kgf/cmに調節した。
重合転化率が95%に至ると、重合を停止させた。その後、脱臭工程により未反応物を除去し、アンモニア水、酸化防止剤、消泡剤を添加して、カルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックスを取得した。
こうして得たラテックスを用いて、実施例1のような方法でディップ成形品を製造した。
実施例7
攪拌機が取り付けられた重合反応器にアクリロニトリル28重量%およびメタクリル酸4.5重量%を投入した後、撹拌を始めて混合しt-ドデシルメルカプタン0.25重量部、ナトリウムドデシルベンゼンスルホネート3.0重量部、水110重量部を投入した後、1,3‐ブタジエン67.5重量%を投入し、2.0kgf/cmの圧力、36℃の温度で重合開始剤である過硫酸カリウム0.45重量部を投入して乳化重合を開始した。
重合転化率が40%の時の反応圧力が2.2kgf/cmで、重合転化率が60%の時の反応圧力が2.6kgf/cm、重合転化率が90%の時の反応圧力を1.8kgf/cmに調節した。
重合転化率が97%に至ると、重合を停止させた。その後、脱臭工程により未反応物を除去し、アンモニア水、酸化防止剤、消泡剤を添加して、カルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックスを取得した。
こうして得たラテックスを用いて、実施例1のような方法でディップ成形品を製造した。
実施例8
攪拌機が取り付けられた重合反応器にアクリロニトリル18重量%およびメタクリル酸2.5重量%を投入した後、撹拌を始めて混合しt-ドデシルメルカプタン0.5重量部、ナトリウムドデシルベンゼンスルホネート3.5重量部、水120重量部を投入した後、1,3‐ブタジエン79.5重量%を投入し、2.8kgf/cmの圧力、41℃の温度で重合開始剤である過硫酸カリウム0.15重量部を投入して乳化重合を開始した。
重合転化率が40%の時の反応圧力が2.94kgf/cmで、重合転化率が60%の時の反応圧力が4.62kgf/cm、重合転化率が90%の時の反応圧力を0.14kgf/cmに調節した。
重合転化率が94%に至ると、重合を停止させた。その後、脱臭工程により未反応物を除去し、アンモニア水、酸化防止剤、消泡剤を添加して、カルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックスを取得した。
こうして得たラテックスを用いて、実施例1のような方法でディップ成形品を製造した。
実施例9
攪拌機が取り付けられた重合反応器にアクリロニトリル26重量%およびメタクリル酸4.0重量%を投入した後、撹拌を始めて混合しt‐ドデシルメルカプタン0.6重量部、ナトリウムドデシルベンゼンスルホネート3.5重量部、水120重量部を投入した後、イソプレン70重量%を投入し、2.4kgf/cmの圧力、41℃の温度で重合開始剤である過硫酸カリウム0.3重量部を投入して乳化重合を開始した。
重合転化率が40%の時の反応圧力が2.57kgf/cmで、重合転化率が60%の時の反応圧力が3.43kgf/cm、重合転化率が90%の時の反応圧力を1.32kgf/cmに調節した。
重合転化率が94%に至ると、重合を停止させた。その後、脱臭工程により未反応物を除去し、アンモニア水、酸化防止剤、消泡剤を添加して、カルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックスを取得した。
こうして得たラテックスを用いて、実施例1のような方法でディップ成形品を製造した。
比較例
比較例1
攪拌機が取り付けられた重合反応器に、ナトリウムドデシルベンゼンスルホネート4.0重量部、水120重量部を投入した後、撹拌を始めて混合し、アクリロニトリル29重量%およびメタクリル酸5.0重量%、t‐ドデシルメルカプタン0.6重量部を投入した後、1,3‐ブタジエン66.0重量%を投入し、2.5kgf/cmの圧力、40℃の温度で重合開始剤である過硫酸カリウム0.3重量部を投入して乳化重合を開始した。
重合転化率が40%の時の反応圧力が2.68kgf/cmで、重合転化率が60%の時の反応圧力が3.55kgf/cm、重合転化率が90%の時の反応圧力を1.25kgf/cmに調節した。
重合転化率が94%に至ると、重合を停止させた。その後、脱臭工程により未反応物を除去し、アンモニア水、酸化防止剤、消泡剤を添加して、カルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックスを取得した。
こうして得たラテックスを用いて、実施例1のような方法でディップ成形品を製造した。
比較例2
攪拌機が取り付けられた重合反応器にアクリロニトリル25重量%およびメタクリル酸4.1重量%を投入した後、撹拌を始めて混合しt‐ドデシルメルカプタン0.3重量部、ナトリウムドデシルベンゼンスルホネート2.5重量部、水140重量部を投入した後、1,3‐ブタジエン70.9重量%を投入し、3.5kgf/cmの圧力、40℃の温度で重合開始剤である過硫酸カリウム0.2重量部を投入して乳化重合を開始した。
重合転化率が40%の時の反応圧力が4.06kgf/cmで、重合転化率が60%の時の反応圧力が4.13kgf/cm、重合転化率が90%の時の反応圧力を3.71kgf/cmに調節した。
重合転化率が96%に至ると、重合を停止させた。その後、脱臭工程により未反応物を除去し、アンモニア水、酸化防止剤、消泡剤を添加して、カルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックスを取得した。
こうして得たラテックスを用いて、実施例1のような方法でディップ成形品を製造した。
比較例3
攪拌機が取り付けられた 重合反応器に、ナトリウムドデシルベンゼンスルホネート4.0重量部、水110重量部を投入した後、撹拌を始めて混合し、アクリロニトリル17重量%およびメタクリル酸2.0重量%、t‐ドデシルメルカプタン0.25重量部を投入した後、1,3‐ブタジエン81.0重量%を投入し、3.3kgf/cmの圧力、41℃の温度で重合開始剤である過硫酸カリウム0.45重量部を投入して乳化重合を開始した。
重合転化率が40%の時の反応圧力が3.89kgf/cmで、重合転化率が60%の時の反応圧力が5.68kgf/cm、重合転化率が90%の時の反応圧力を3.03kgf/cmに調節した。
重合転化率が97%に至ると、重合を停止させた。その後、脱臭工程により未反応物を除去し、アンモニア水、酸化防止剤、消泡剤を添加して、カルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックスを取得した。
こうして得たラテックスを用いて、実施例1のような方法でディップ成形品を製造した。
比較例4
攪拌機が取り付けられた重合反応器に、ナトリウムドデシルベンゼンスルホネート4.0重量部、水120重量部を投入した後、撹拌を始めて混合し、アクリロニトリル29重量%およびメタクリル酸2.0重量%、t‐ドデシルメルカプタン0.6重量部を投入した後、1,3‐ブタジエン69.0重量%を投入し、1.8kgf/cmの圧力、41℃の温度で重合開始剤である過硫酸カリウム0.3重量部を投入して乳化重合を開始した。
重合転化率が40%の時の反応圧力が2.02kgf/cmで、重合転化率が60%の時の反応圧力が3.02kgf/cm、重合転化率が90%の時の反応圧力を1.69kgf/cmに調節した。
重合転化率が94%に至ると、重合を停止させた。その後、脱臭工程により未反応物を除去し、アンモニア水、酸化防止剤、消泡剤を添加して、カルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックスを取得した。
こうして得たラテックスを用いて、実施例1のような方法でディップ成形品を製造した。
比較例5
攪拌機が取り付けられた重合反応器に、ナトリウムドデシルベンゼンスルホネート4.0重量部、水140重量部を投入した後、撹拌を始めて混合し、アクリロニトリル17重量%およびメタクリル酸5.0重量%、t‐ドデシルメルカプタン0.25重量部を投入した後、1,3‐ブタジエン78.0重量%を投入し、1.7kgf/cmの圧力、36℃の温度で重合開始剤である過硫酸カリウム0.45重量部を投入して乳化重合を開始した。
重合転化率が40%の時の反応圧力が1.96kgf/cmで、重合転化率が60%の時の反応圧力が2.16kgf/cm、重合転化率が90%の時の反応圧力を1.65kgf/cmに調節した。
重合転化率が97%に至ると、重合を停止させた。その後、脱臭工程により未反応物を除去し、アンモニア水、酸化防止剤、消泡剤を添加して、カルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックスを取得した。
こうして得たラテックスを用いて、実施例1のような方法でディップ成形品を製造した。
実験例
<実験例1>
前記実施例および比較例で製造されたカルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックスの物性を下記のような方法で測定し、下記表1に示した。
(1)毛細管粘度(mm/s、CV):固形分44%~46%の各カルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックスを、10%アンモニア水を用いてpHを8.8~9.1に調節した後、2.55重量%の濃度でメチルエチルケトン(MEK)に溶解し、均一に分散させた。次に、キャノンフェンスケ型(Cannon‐Fenske routine type, SI Analytics GmbH Type No. 520 13)の毛細管粘度計に10mlを注入し、25℃で毛細管を通過するのにかかる時間を測定し、下記数式9を用いて粘度を計算した。
Figure 0007348941000014
前記数式9中、kは、毛細管の定数であり(mm/s)、tは、毛細管を通過するのにかかった時間である(s)。
(2)CV(mm/s)、P:固形分44%~46%の各カルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックスを、10%アンモニア水を用いてpHを8.8~9.1に調節した後、2.55重量%の濃度でメチルエチルケトン(MEK)に溶解し、均一に分散させた。次に、ウルトラソニケータ(Bransonic(登録商標)M Mechanical Bath 5800)を使用して40分間55kcal~65kcalのエネルギーを加えてデスウェリングした後、キャノンフェンスケ型(Cannon‐Fenske routine type, SI Analytics GmbH Type No. 520 13)の毛細管粘度計に10mlを注入し、25℃で毛細管を通過するのにかかる時間を測定し、前記数学式1を用いて粘度を計算した。また、前記CV/CVを計算してPを測定した。
前記実施例および比較例で製造された成形品の物性を下記のような方法で測定し、下記表1に示した。
(3)引張強度(MPa):ASTM D‐412方法に準じて、測定機器U.T.M(Instron社製、3345モデル)を用いて、クロスヘッドスピードを500mm/minとして引っ張った後、試験片が切断する点を測定し、下記数式10によって計算した。
Figure 0007348941000015
(4)伸び率(%):ASTM D‐412方法に準じて、測定機器U.T.M(Instron社製、3345モデル)を用いて、クロスヘッドスピードを500mm/minとして引っ張った後、試験片が切断する点を測定し、下記数式11によって計算した。
Figure 0007348941000016
(5)500%モジュラス(MPa):ASTM D‐412方法に準じて、測定機器U.T.M(Instron社製、3345モデル)を用いて、クロスヘッドスピードを500mm/minとして引っ張った後、伸び率が500%である時の応力を測定した。
(6)応力保持率(%):ASTM D‐412方法に準じて、ダンベル状の試験片を作製し、測定機器U.T.M(Instron社製、3345モデル)を用いて、クロスヘッドスピードを300mm/minとして伸び率100%の時まで試験片を引っ張った後、5分間の応力の減少を測定し、下記数12にしたがって計算した。
Figure 0007348941000017
(7) k’、k’、k’(N/mm)
ASTM D‐412方法に準じて、ダンベル状の試験片を作製し、測定機器U.T.M(Instron社製、3345モデル)を用いて、クロスヘッドスピードを300mm/minとして伸び率100%の時まで試験片を引っ張った後、0、4、9、19、29、49、89、169、289秒におけるロード(load)値を測定し、それに対する結果として時間別荷重グラフを求めた。このように求めたグラフを下記数式7のマクスウェル-バイヘルト(Maxwell-Weichert)モデル(図1、図2)を用いてfittingすればk、k、kの値を求めることができる。図1中、各四角の点は、夫々、0、4、9、19、29、49、89、169、289秒におけるロード(load)値を示し、各四角の点を結ぶ曲線は、マクスウェル-バイヘルト(Maxwell-Weichert)モデルを用いてfittingした線である。
Figure 0007348941000018
F(t):時間別荷重(N)、t:時間(sec)
このようにして求めたk、k、k値を下記数式8のようにそれぞれ試験片の厚さで割って、最終k’、k’、k’値を求めることができる。
Figure 0007348941000019
Figure 0007348941000020
表中、以下の略語を使用した。
BD:1,3-ブタジエン
isoprene:イソプレン
AN:アクリロニトリル
MAA:メタクリル酸
前記表1を参照すると、本発明に係るカルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックスを使用した実験No.1~9は、CVを1.0mm/s以上、3.0mm/s以下に制御しており、Pが0.8以上、1以下に示されることを確認した。
これと比較して、実験No.10~14の比較例の場合、CVおよびPいずれかがこの範囲外にあることを確認した。
また、前記表1を参照すると、本発明のCV1.0mm/s以上、3.0mm/s以下、Pが0.8以上、1以下のカルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックスとアルミニウム架橋剤、エポキシ架橋剤を含有するディップ成形用ラテックス組成物を作ってディップ成形した成形品は、k’+k’+k’が9.3N/mm以下、k’/(k’+k’+k’)が0.55以上の範囲に示されることを確認した。
前記表1を参照すると、本発明に係るk’+k’+k’が9.3N/mm以下、k’/(k’+k’+k’)が0.55以上のディップ成形品は、応力保持率が高くて弾力性に優れ、且つ500%モジュラスが低くて柔軟で、着用感に優れることを確認することができた。
<実験例2>
本実験例2においては、本発明の実施例5、6、7、8で製造したカルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックス(XNBRラテックス)およびエポキシ架橋剤とアルミニウム架橋剤の使用量を変更した以外は、実施例1と同様にして製造したディップ成形物の物性を評価した。
架橋剤については、エポキシ架橋剤単独、アルミニウム架橋剤単独、または本発明のエポキシ架橋剤とアルミニウム架橋剤とを併用し、それぞれの量を変化させながらディップ成形物を製造した。カルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックスの種類、架橋剤の種類とその使用量、および製造されたディップ成形品の物性を下記表2に示した。
Figure 0007348941000021
前記表2を参照すると、本発明の適量のエポキシ架橋剤とアルミニウム架橋剤の両方を含むディップ成形用ラテックス組成物を用いてディップ成形した成形品(実験No.15~18)は、k’+k’+k’が9.3N/mm以下、k’/(k’+k’+k’)が0.55以上の範囲を満たして、応力保持率が高くて弾力性に優れ、且つ500%モジュラスが低くて柔軟で、着用感に優れることを確認することができた。
実験例3
本実験例3は、本発明の実施例2においてエポキシ架橋剤とアルミニウム架橋剤の使用量のみを変更して製造したディップ成形物の物性を評価したものである。さらにディップ成形物をγ線照射した物性も測定した。架橋剤の使用量および製造されたディップ成形品の物性を下記表3に示した。
Figure 0007348941000022
実験No.24は架橋剤なしの例であるが、実際これはカルシウム架橋したものの物性を示している。これは、ラテックス自体の物性に最も近いものと考えている。
これを見ると、このラテックスは出発点として非常に伸びが良く、柔らかいものであることがわかる。応力保持率についは、一般のラテックスよりは良いものの、ラテックス自体が特に高い応力保持率を持つものではないことがわかる。また、引張強度は非常に弱い。
これにγ線を照射すると、引張強度および応力保持率は上がり、伸び率は下がり、500%モジュラスは大きくなっている。更に、疲労耐久性は格段に上がっている。このことからは、γ線照射はフィルムの物性を大きく変化させる点が理解できる。
次に、実験No.25でエポキシ架橋のみ、実験No.26でアルミニウム架橋のみを架橋したフィルムの物性を確認した。これを見ると、引張強度についてはアルミニウム架橋の方が良く、エポキシ架橋が劣っているのがわかる。また、エポキシ架橋はラテックス自体の柔らかさや伸びをあまり損なわないのに対し、アルミニウム架橋はエポキシ架橋よりもよりフィルムを伸びなくし、且つ、硬くしていることがわかる。応力保持率はどちらの架橋剤もラテックス自体の応力保持率を大きく高めていることがわかる。また、これにγ線照射をすると、特にアルミニウム架橋においては、エポキシに比べ更に硬くなっている。これは、アルミニウム架橋においてはγ線照射によって物性が悪くなっていることを示す。
以上の傾向を掴んだ上で、実験No.27~28までエポキシ架橋剤とアルミニウム架橋剤の量を変化させてフィルムの物性を確認した。
この結果、いずれも従来のXNBR手袋にない柔らかく伸びやすい成形体であり、且つ高い応力保持率を持つ成形体ができることを確認した。
中でも、物性間のバランスを考えると、最適な実施形態としてはエポキシ架橋剤0.5重量部、アルミニウム架橋剤0.3重量部の併用(実験No.28)が好ましい。更に、この最適な実施形態はγ線照射後も顕著な影響を受けないことがわかった。
本発明の成形体は、本発明のXNBRラテックスの本来の柔らかさや伸びを生かし、更に本発明のXNBRラテックスの適度な絡み合いの構造により大きく応力保持率を高め、γ線照射後も物性が安定しているという、今までにない成形体を作ることができた。この中で、最良の形態においては、サージカル手袋の規格を満たすXNBR手袋を製造できることが分かった。
実験例4
固形分濃度 22重量%及びpH9.8-10のディップ成形用ラテックス組成物の代わりに固形分濃度30重量%及びpH8-11のディップ成形用ラテックス組成物を用い、20%凝固剤溶液の代わりに30%凝固剤溶液を用いた以外は実施例1のような方法でディップ成形品を製造した。なお30%凝固剤溶液は、30重量%のカルシウムナイトレート、69.5重量%の水、0.5重量%の湿潤剤(Huntsman Corporation、Teric 320)を混合して製造した。pHの変更は、必要に応じて水酸化カリウムまたは塩酸を用いて行った。架橋剤としてはエポキシ架橋剤とアルミニウム架橋剤を0.5重量部ずつ入れ一定とした。また、成形品フィルムの膜厚は表4に示したが、pHが下がるほど膜厚が厚くなる現象が生じた。ディップ成形用ラテックス組成物のpHと得られたディップ成形品の物性を下記表4に示した。
Figure 0007348941000023
表4から、ディップ成形品の物性は、ディップ成形用ラテックス組成物のpHが高いほど引張強度は高くなることが確認できた。また、ディップ成形用ラテックス組成物のpHが低いほどディップ成形品の伸びは良くなり、500%モジュラスは下がり柔らかくなった。ディップ成形品の応力保持率はpH8.5~9.5において最も良くなった。ディップ成形品の諸物性は、ディップ成形用ラテックス組成物のpH9.0~9.5において最もバランスの良い物性を示した。
実験例5
本実験例5は、固形分濃度 22重量%及びpH9.8-10のディップ成形用ラテックス組成物の代わりに固形分濃度30重量%及びpH9.5のディップ成形用ラテックス組成物を用い、20%凝固剤溶液の代わりに30%凝固剤溶液を用い、エポキシ架橋剤0.5重量部とアルミニウム架橋剤0.7重量部で架橋した以外は実施例1と同様にして製造したディップ成形品(実験No.36~40)およびエポキシ架橋剤0.8重量部とアルミニウム架橋剤0.4重量部で架橋した以外は実験No.36~40と同様にして製造したディップ成形品(実験No.41~45)のそれぞれにγ線を照射し、その物性の変化を確認したものである。
これらの成形品はアルミニウム架橋剤とエポキシ架橋剤を併用したものであるが、実験No.36~40はアルミニウム架橋剤の量が多く、実験No.41~45はエポキシ架橋剤の量を多くしたものである。
本発明の成形市販は製薬用手袋、サージカル用手袋として利用可能な物性を備えているが、これを利用するにはγ線滅菌が必要となる。γ線滅菌ではγ線照射によって手袋が変化しないことが重要である。そのため、0~100kGyの照射範囲で成形品の物性の変化を確認した。ちなみに、ディップ液のpHは9.5とした。γ線による成形品の物性変化を下記表5に示す。
Figure 0007348941000024
どの成形品でもγ線照射線量にしたがって伸び率が低下し、500%モジュラスが上昇して硬くなる傾向は同じであった。また、引張強度および応力保持率はほぼ変わらなかった。ただし、伸び率と500%モジュラスはエポキシ架橋剤の量の多い実験No.41~45の成形品の方が変化の割合が小さいことがわかった。
通常のγ線滅菌の照射線量25kGyの場合は、どちらの成形品も照射後も良好な物性を示している。25kGyの場合の二つの成形品の物性は、エポキシ架橋剤を使用した実験No.41~45の成形品の方がより柔らかいことがわかった。その他物性はいずれの成形品についても、ほぼ同一であった。

Claims (6)

  1. ディップ成形用ラテックス組成物由来の層を含むディップ成形品であって、
    前記ディップ成形用ラテックス組成物が、カルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックスを含み、
    前記カルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックスが、カルボン酸変性ニトリル系共重合体を含み、
    前記ディップ成形品が、650%より大きい伸び率を有し、かつ、下記数式1及び数式2を具備し、
    前記カルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックスが、下記数式3および数式4を満たし、
    前記カルボン酸変性ニトリル系共重合体が、前記カルボン酸変性ニトリル系共重合体の乾燥重量に対して、エチレン性不飽和ニトリル系単量体由来の単位18~28重量%、共役ジエン系単量体由来の単位67.5~79.5重量%及びエチレン性不飽和酸単量体由来の単位2.5~4.5重量%を含む、
    ディップ成形品。
    Figure 0007348941000025
    (前記式中、k1’は、平衡係数(equilibrium coefficient)k1を試験片の厚さで割って得られた値であり、かつ、k2’及びk3’は、夫々、粘性係数(viscous coefficient)k2及びk3を試験片の厚さで割って得られた値である。)
    Figure 0007348941000026
    (前記式中、CV 0 は、スウェリングした状態のカルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックスの毛細管粘度を示し、CV D は、デスウェリングした状態のカルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックスの毛細管粘度を示す。)
  2. 前記ディップ成形用ラテックス組成物が、更にエポキシ架橋剤及びアルミニウム架橋剤、並びに、水及びpH調整剤を含む、請求項1記載のディップ成形品。
  3. 前記エポキシ架橋剤の添加量が、前記カルボン酸変性ニトリル系共重合体100重量部に対して、0.1~1.6重量部であり、かつ、
    前記アルミニウム架橋剤の添加量が、前記カルボン酸変性ニトリル系共重合体100重量部に対して、酸化アルミニウム換算で0.1~0.8重量部であり、
    前記エポキシ架橋剤および前記アルミニウム架橋剤の両方が添加されるとき、前記エポキシ架橋剤および前記アルミニウム架橋剤の合計添加量が、前記カルボン酸変性ニトリル系共重合体100重量部に対して、0.2~1.6重量部である、請求項2記載のディップ成形品。
  4. 前記エポキシ架橋剤の添加量が、前記カルボン酸変性ニトリル系共重合体100重量部に対して、0.2~1.0重量部であり、かつ、
    前記アルミニウム架橋剤の添加量が、前記カルボン酸変性ニトリル系共重合体100重量部に対して、酸化アルミニウム換算で0.2~0.7重量部であり、
    前記エポキシ架橋剤および前記アルミニウム架橋剤の両方が添加されるとき、前記エポキシ架橋剤および前記アルミニウム架橋剤の合計添加量が、前記カルボン酸変性ニトリル系共重合体100重量部に対して、0.4~1.4重量部である、請求項2記載のディップ成形品。
  5. 前記エポキシ架橋剤が、1分子中に3個以上のグリシジル基と脂環族、脂肪族または芳香族の母骨格を有し、平均エポキシ基数が2.25を超え、MIBK/水分配率が50%以上であり、かつ、
    前記アルミニウム架橋剤が、ヒドロキシ酸アルミニウムである、
    請求項2~4のいずれか一つに記載のディップ成形品。
  6. 請求項1に記載のカルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックスと、
    エポキシ架橋剤と、
    アルミニウム架橋剤とを少なくとも含有するディップ成形用ラテックス組成物。
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