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JP7348753B2 - 真空ポンプ、および連結型ネジ溝スペーサ - Google Patents

真空ポンプ、および連結型ネジ溝スペーサ Download PDF

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Description

本発明は、真空ポンプ、および連結型ネジ溝スペーサに関する。より詳しくは、ネジ溝ポンプ部(円筒ネジ部)とシグバーンポンプ部とを有する真空ポンプにおいて、連結型ネジ溝スペーサを締結するに際し、固定ボルトによる排気性能の低下を抑制する真空ポンプ、および連結型ネジ溝スペーサに関する。
従来より使用されているシグバーン型の構成を有するシグバーン型分子ポンプは、回転円板(回転円盤)と、当該回転円板と軸方向に隙間(クリアランス)をもって設置された固定円板と、を備え、当該回転円板もしくは固定円板の少なくともいずれか一方の隙間対向表面にスパイラル状溝(らせん溝または渦巻状溝ともいう)流路が刻設されている。そして、スパイラル状溝流路内に拡散して入ってきた気体分子に、回転円板によって回転円板接線方向(すなわち、回転円板の回転方向の接線方向)の運動量を与えることで、スパイラル状溝により吸気口から排気口に向けて優位な方向性を与えて排気を行う真空ポンプである。
このようなシグバーン型分子ポンプ、あるいはシグバーン型分子ポンプ部を有する真空ポンプを工業的に利用するためには、回転円板と固定円板の段が単段では圧縮比が不足するので多段化がなされている。求められる圧縮性能を満たすために段数を増やすと、それだけポンプ自体の大きさが大きくなってしまう。
また、多段化する場合には、回転円板を半割れ形状にする必要が生じる。すると、ポンプの外筒(ケーシング)をシグバーン部(シグバーンポンプ部)を覆う長さにまで長くする必要があり、この場合もポンプ自体の大きさが大きくなってしまう。
また、ネジ溝式ポンプ型の構成を有するネジ溝型分子ポンプは、特に高温化仕様の真空ポンプにおいては、ネジ部(ネジ溝部)での圧縮性能を良くするために、ネジ溝部の長さ(ネジ長)を長くしたり、2つ以上の複数の流路が設けられたパラレルパスタイプで構成するなどして製造していた。
しかしながら、ネジ長を長くすることで排気構造の周囲構造(ケーシングなど)の部分が大きくなったり、あるいは、パラレルパスにすることで複雑な部品が増えるなどして、製造コストが大きくなってしまっていた。
図8は、従来の1Passネジタイプの真空ポンプを説明するための図である。
例えば、流路が1つである1Passネジ溝スペーサ2001が備わる従来の真空ポンプ1001では、圧縮性能を良くしたい場合、ネジ溝部の軸方向の長さを長くする必要があった。このようにネジ溝部の軸方向の長さを長くすると、その分だけベース3を大きくする必要が生じるため、製造コストが大きくなってしまっていた。
特開2017-106365号公報
特許文献1には、ネジ溝ポンプ部の排気性能を維持しつつ小型化を実現する連結型ネジ溝スペーサ、および、当該連結型ネジ溝スペーサが配設された真空ポンプが開示されている。すなわち、記載されている連結型ネジ溝スペーサは、シグバーンポンプ部とネジ溝ポンプ部とを連結させる構造を備え、排気要素部であるネジ溝ポンプ部の構造を、円筒状ネジの上にシグバーン型の構造が取り付けられた構造にし、当該取り付け部分において各部品が連結する構成にする。つまり、シグバーン部と円筒状ネジ(ネジ溝ポンプ部)の流路の境目を、真空ポンプの軸線方向から見て略直角になるように繋ぎ、シグバーン部とネジ溝ポンプ部の流路を繋いでいる。この構成により、ネジ溝ポンプ部の圧縮流路長を、連結されたシグバーン部によって径方向に伸ばしている。
しかしながら、上記特許文献1には、連結型ネジ溝スペーサをどのように例えばベースに固定するかについては、記載されていない。すなわち、連結型ネジ溝スペーサの締結方法については、明確にされていなかった。
ところで、真空ポンプを組み立てる際、下側(排気口側)から徐々に積み上げて組み立てる方が組み立て作業が容易である。すなわち、連結型ネジ溝スペーサを例えばベースに締結する際、連結型ネジ溝スペーサの排気流路部で固定ボルトで締結できると、真空ポンプの上側から作業を行えるので、作業中に真空ポンプを反転させたりする必要がなく、作業効率が向上する。
一方で、連結型ネジ溝スペーサの排気流路部に固定ボルトを設けると、当該固定ボルトの頭部が、排気ガスに対する抵抗となり、真空ポンプの性能に影響を及ぼす虞があった。
そこで、本発明は、連結型ネジ溝スペーサの排気流路部にザグリ穴を設けて固定ボルトで締結することにより、排気性能を低下させない真空ポンプおよび、当該連結型ネジ溝スペーサを提供することを目的とする。
請求項1記載の本願発明では、吸気口または排気口が形成された外装体と、前記外装体に内包される固定部品と、配設される固定円板または配設される回転円板の少なくともいずれか一方に、山部と谷部を有するスパイラル状溝が刻設されるシグバーンポンプ部と、ネジ溝ポンプ部とを有する真空ポンプにおいて、前記シグバーンポンプ部と、前記ネジ溝ポンプ部とを連結させる構造を有する連結型ネジ溝スペーサを備え、前記連結型ネジ溝スペーサにおける前記シグバーンポンプ部の前記谷部の排気流路面にザグリ穴を設け、該ザグリ穴に配置された固定ボルトにより、前記連結型ネジ溝スペーサと前記外装体または前記固定部品を締結したことを特徴とする真空ポンプを提供する。
請求項2記載の本願発明では、前記ザグリ穴は、前記シグバーンポンプ部の前記谷部の半径方向外側に位置する前記排気流路面に設けられていることを特徴とする請求項1記載の真空ポンプを提供する。
請求項3記載の本願発明では、前記ザグリ穴に配置された前記固定ボルトは、上部をキャップで覆われていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の真空ポンプを提供する。
請求項4記載の本願発明では、吸気口または排気口が形成された外装体と、前記外装体に内包される固定部品と、配設される固定円板または配設される回転円板の少なくともいずれか一方に、山部と谷部を有するスパイラル状溝が刻設されるシグバーンポンプ部と、ネジ溝ポンプ部とを有する真空ポンプに用いられる連結型ネジ溝スペーサであって、前記連結型ネジ溝スペーサは、前記シグバーンポンプ部と、前記ネジ溝ポンプ部とを連結させる構造を有し、前記連結型ネジ溝スペーサにおける前記シグバーンポンプ部の前記谷部の排気流路面に固定ボルトのためのザグリ穴が設けられており、前記固定ボルトにより、前記外装体または前記固定部品と締結されることを特徴とする連結型ネジ溝スペーサを提供する。
本発明によれば、固定ボルトで連結型ネジ溝スペーサを締結しても、真空ポンプの排気性能が低下することを防止できる。
本発明の実施形態に係る真空ポンプの概略構成例を示した図である。 本発明の実施形態に係る連結型ネジ溝スペーサを説明するための図である。 本発明の実施形態に係る連結型ネジ溝スペーサを説明するための図である。 本実施形態に係る固定ボルトを連結型ネジ溝スペーサの排気流路部に配置したところを示した図である。 本実施形態に係る固定ボルトを連結型ネジ溝スペーサの排気流路部に配置したところを示した斜視図である。 本発明の実施形態に係る固定ボルトを連結型ネジ溝スペーサの排気流路部に配置したところを示した図である。 本発明の実施形態の変形例1に係るキャップを設置した連結型ネジ溝スペーサを説明するための図である。 従来技術(1Passネジタイプ)を説明するための図である。
(i)実施形態の概要
本発明の実施形態に係る連結型ネジ溝スペーサは、シグバーンポンプ部とネジ溝ポンプ部とを連結させる構造を備えている。この連結型ネジ溝スペーサの排気流路部(排気流路面)に予めザグリ穴を設けて固定ボルトで、例えばベースと締結することにより、固定ボルトの頭部が突出して抵抗となり、真空ポンプの排気性能が低下することを抑制できる。
また、連結型ネジ溝スペーサの排気流路部にザグリ穴を設けて固定ボルトで締結するので、真空ポンプの組み立て作業時に、真空ポンプの上方(吸気口側)から徐々に積み上げて取り付け作業を行うことができるので、作業効率を向上させることができる。
(ii)実施形態の詳細
本発明の実施形態の真空ポンプは、配設される固定円板または配設される回転円板の少なくともいずれか一方に、山部と谷部を有するスパイラル状溝が刻設(配設)されるシグバーンポンプ部と、さらに、回転円筒との対向面にスパイラル状溝が形成され、所定のクリアランスを隔てて回転円筒の外周面に対向するネジ溝スペーサが備えられ、回転円筒が高速回転することでガスが回転円筒の回転に伴ってネジ溝(らせん溝)にガイドされながら排気口側へ送り出される気体移送機構であるネジ溝ポンプ部を有する。
そして、シグバーンポンプ部とネジ溝ポンプ部とは、連結型ネジ溝スペーサで連結されている。この連結型ネジ溝スペーサを例えばベースに締結する際、予めザグリ穴を設けておき、固定ボルトで締結した後、固定ボルトの頭部が排気流路に突出し、排気の障害となることを防止できる。
以下、本発明の好適な実施の形態について、図1から図7を参照して詳細に説明する。
(ii-1)真空ポンプの構成
図1は、本発明の第1実施形態に係る真空ポンプ1の概略構成例を示した図であり、真空ポンプ1の軸線方向の断面図を示している。
なお、本発明の実施形態では、便宜上、回転翼の直径方向を「径(直径・半径)方向」、回転翼の直径方向と垂直な方向を「軸線方向(または軸方向)」として説明する。
真空ポンプ1の外装体を形成するケーシング(外筒)2は、略円筒状の形状をしており、ケーシング2の下部(排気口6側)に設けられたベース3と共に真空ポンプ1の筐体を構成している。そして、この筐体の内部には、真空ポンプ1に排気機能を発揮させる構造物である気体移送機構が収納されている。
本実施形態では、この気体移送機構は、大きく分けて、回転自在に支持された回転部(ロータ部/シグバーン部)と筐体に対して固定された固定部(ネジ溝ポンプ部)から構成されている。
また、図示しないが、真空ポンプ1の外装体の外部には、真空ポンプ1の動作を制御する制御装置が専用線を介して接続されている。
ケーシング2の端部には、当該真空ポンプ1へ気体を導入するための吸気口4が形成されている。また、ケーシング2の吸気口4側の端面には、外周側へ張り出したフランジ部5が形成されている。
また、ベース3には、当該真空ポンプ1から気体を排気するための排気口6が形成されている。
回転部は、回転軸であるシャフト7、このシャフト7に配設されたロータ8、ロータ8に設けられた複数枚の回転翼9、排気口6側(ネジ溝ポンプ部)に設けられたロータ円筒部10を備える。なお、シャフト7およびロータ8によりロータ部が構成される。
各回転翼9は、シャフト7の軸線に対して垂直に放射状に伸びた円板形状の円板部材により構成される。なお、本実施形態では、回転翼9の最下段(排気口6側)は円盤にし、シグバーン部の圧縮を行う構成にする。
また、ロータ円筒部10は、ロータ8の回転軸線と同心の円筒形状をした円筒部材により構成される。
シャフト7の軸線方向中程には、シャフト7を高速回転させるためのモータ部が設けられ、ステータコラム80に内包されている。
さらに、ステータコラム80内には、シャフト7のモータ部に対して吸気口4側と排気口6側に、シャフト7をラジアル方向(径方向)に非接触で支持するための径方向磁気軸受装置が設けられている。また、シャフト7の下端には、シャフト7を軸線方向(アキシャル方向)に非接触で支持するための軸方向磁気軸受装置が設けられている。
筐体(ケーシング2)の内周側には、固定部(固定部品)が形成されている。この固定部は、固定翼50などから構成され、シャフト7の軸線に対し垂直な平面から所定の角度だけ傾斜してケーシング2の内周面からシャフト7に向かって伸びたブレードから構成されている。そして、固定翼50は円筒形状をしたスペーサ(固定部品)により互いに隔てられて固定されている。
なお、回転翼9と固定翼50は互い違いに配置され、軸線方向に複数段形成されるが、真空ポンプに要求される排出性能を満たすために、必要に応じて任意の数のロータ部品およびステータ部品を設けることができる。
さらに、本実施形態では、上述したシグバーンポンプ部よりも排気口6側に、連結型ネジ溝スペーサ20を有するネジ溝ポンプ部が配設される。
連結型ネジ溝スペーサ20には、従来のネジ溝スペーサと同様に、ロータ円筒部10との対向面にはネジ溝(らせん溝)が形成されている。
連結型ネジ溝スペーサ20におけるロータ円筒部10との対向面側(すなわち、真空ポンプ1の軸線に平行な内周面)は、所定のクリアランスを隔ててロータ円筒部10の外周面に対面しており、ロータ円筒部10が高速回転すると、真空ポンプ1で圧縮されたガスがロータ円筒部10の回転に伴ってネジ溝にガイドされながら排気口6側へ送出されるようになっている。すなわち、ネジ溝は、ガスを輸送する流路となっている。
このように、連結型ネジ溝スペーサ20におけるロータ円筒部10との対向面と、ロータ円筒部10とが、所定のクリアランスを隔てて対向することにより、連結型ネジ溝スペーサ20の軸線方向側内周面に形成されたネジ溝でガスを移送する気体移送機構を構成している。
なお、ガスが吸気口4側へ逆流する力を低減させるために、このクリアランスは小さければ小さいほど好ましい。
また、連結型ネジ溝スペーサ20に形成されたらせん溝の方向は、らせん溝内をロータ8の回転方向にガスが輸送された場合、排気口6に向かう方向である。
また、らせん溝の深さは、排気口6に近づくにつれて浅くなるようになっており、らせん溝を輸送されるガスは排気口6に近づくにつれて圧縮されるようになっている。
上述した構成により、真空ポンプ1では、吸気口4から吸引されたガスは、シグバーン部で圧縮された後、ネジ溝式ポンプ部でさらに圧縮されて排気口6から排出されるので、真空ポンプ1は、当該真空ポンプ1に配設される真空室(図示しない)内の真空排気処理を行うことができる。
この連結型ネジ溝スペーサ20は、ガスの排気流路に固定ボルト700のためのザグリ穴800を予め設けてあり、固定ボルト700により、ベース3に締結されている。予めザグリ穴800を設けているのは、固定ボルト700の頭部710が、突出して排気流路においてガスの排気抵抗となることを防止するためである。
なお、連結型ネジ溝スペーサ20を固定するのは、ベース3以外に、ケーシング2またはベース3の内部に配設された他の部品であってもよい。
ベース3には、内部を加熱するカートリッジ型ヒータ900が、ボルト910により固定され、配設されている。真空ポンプ1の内部を加熱して、排気ガスが真空ポンプ1内で析出することを防止している。このカートリッジ型ヒータ900は、単数でもよいが、複数個を所定の位相で配置してもよい。また、このカートリッジ型ヒータ900に代えて、帯状のバンドヒータを用いてもよい。
(ii-2)連結型ネジ溝スペーサの構成
上述した連結型ネジ溝スペーサ20について、詳細を説明する。
図2は、本発明の実施形態に係る連結型ネジ溝スペーサ20を説明するための図である。
図2に示したように、本実施形態に係る連結型ネジ溝スペーサ20は、ネジ溝スペーサ軸垂直部201とネジ溝スペーサ軸平行部202とを有する。
ネジ溝スペーサ軸垂直部201は、真空ポンプ1の軸線方向に対して略垂直(水平)に構成される。そして、当該ネジ溝スペーサ軸垂直部201の吸気口4側の面は、シグバーン部の回転翼9と所定のクリアランスを隔てて対向(対面)し、かつ、山部と谷部を有するスパイラル状溝が刻設されている。一方、当該ネジ溝スペーサ軸垂直部201の吸気口4側とは反対側の面は、ベース3側に配設される。
ネジ溝スペーサ軸平行部202は、真空ポンプ1の軸線方向に対して略平行に構成される。そして、当該ネジ溝スペーサ軸平行部202には、所定のクリアランスを隔ててロータ円筒部10と対向する面である内周面に、ネジ溝が形成されている。
(ii-3)連結部の基本構造
図3は、本実施形態に係る連結型ネジ溝スペーサ20を説明するための図である。
上述したように、ネジ溝スペーサ軸垂直部201には、垂直部山部300と垂直部谷部400を有するスパイラル状溝が刻設され、一方、ネジ溝スペーサ軸平行部202には、平行部山部500と平行部谷部600を有するネジ溝が形成されている。
ここで、本実施形態の連結型ネジ溝スペーサ20は、図3に示したように、例えば鋳造で製造することにより、ネジ溝スペーサ軸垂直部201とネジ溝スペーサ軸平行部202が一体型で形成された連結型ネジ溝スペーサ20とした。
このように、ネジ溝スペーサ軸垂直部201とネジ溝スペーサ軸平行部202を一体型の構成にすることで、別部品にして締結させる構成にするよりも、締結に要する手間や製造コストを低減させることができる。
上述したように、本実施形態に係る真空ポンプ1では、連結型ネジ溝スペーサ20を配設することで、ネジ溝スペーサ軸垂直部201と回転翼9(シグバーン部)により軸方向に対して垂直な流路でガスを圧縮する。続けて、ネジ溝スペーサ軸平行部202とロータ円筒部10(ネジ溝ポンプ部)により軸方向と平行な流路でさらにガスを圧縮する。
このように、本実施形態に係る真空ポンプ1では、連結型ネジ溝スペーサ20が、ガスの流路を、軸方向に対して垂直方向から平行方向へと繋ぐ役割を担っているので、ケーシング2の軸線方向の長さ(n)(図2参照)やベース3の軸線方向の長さ(m)(図2参照)を長くすることなく(すなわち、真空ポンプ1の全体の高さが高くなるのを抑えつつ)、ガスを圧縮する流路を長くすることができる。なお、垂直方向から平行方向へと繋がれた流路は、軸線方向断面で見ると、アルファベットの「L」の逆形をした流路となる。
なお、本実施形態では、連結型ネジ溝スペーサ20のネジ溝スペーサ軸垂直部201とネジ溝スペーサ軸平行部202を一体型で形成する構成にしたが、これに限られることはない。例えば、ネジ溝スペーサ軸垂直部201とネジ溝スペーサ軸平行部202が別部品で構成されていても、上述したように、軸方向に対して垂直方向から平行方向へと逆L字型に構成されてあれば性能上は問題ない。
(ii-4)本実施形態に係る連結型ネジ溝スペーサ締結方法
図4は、本実施形態に係る固定ボルト700を連結型ネジ溝スペーサ20の排気流路部に配置したところを示した図である。図5は、本実施形態に係る固定ボルト700を連結型ネジ溝スペーサ20の排気流路部に配置したところを示した斜視図である。
これらの図に示すように、固定ボルト700は、連結型ネジ溝スペーサ20の排気流路部に所定の個数(複数個)、等間隔で配置されている。
連結型ネジ溝スペーサ20の排気流路部には、予め固定ボルト700を収容するザグリ穴800が開けられており、固定ボルト700を締結後、固定ボルト700の頭部710が、排気流路部へ突出しないようになっている。
この固定ボルト700は、カートリッジ型ヒータ900に近接して配置され、このカートリッジ型ヒータ900からの熱を受け、周囲より低温にならないようにしてある。
真空ポンプ1の組み立て作業を行う際、ベース3から徐々に上方(吸気口4側)に組み立てていく方が作業を行い易い。そのため、この固定ボルト700を連結型ネジ溝スペーサ20の排気流路部に配置している。すなわち、連結型ネジ溝スペーサ20の排気流路部に固定ボルト700を配置すると、上方から容易に組み立て作業を行うことができる。
なお、連結型ネジ溝スペーサ20を固定するのに、連結型ネジ溝スペーサ20の排気流路部と関係のないところに、例えばフランジを設けて締結することも可能であるが、部品点数が増加したり、真空ポンプ1自体のサイズが大きくなってしまうので、本実施形態では採用していない。
図6は、本実施形態で、固定ボルト700を連結型ネジ溝スペーサ20の排気流路部に配置する際、予め連結型ネジ溝スペーサ20の排気流路部に、固定ボルト700のサイズに対応したザグリ穴800を設けておき、固定ボルト700の頭部710が、排気流路部に突出しないようにした状態を示した図である。
固定ボルト700の頭部710と連結型ネジ溝スペーサ20の排気流路部との設置面Xが、可能な限り、平面となるようにする。すなわち、設置面Xは、連結型ネジ溝スペーサ20の排気流路部が、内径側に傾斜している構造のため、完全な平面とすることはできない。そのため、ザグリ穴800のザグリの深さを適切に調整し、設置面Xが、平面に近く、固定ボルト700の頭部710とザグリにより生じる溝とが排気抵抗とならないようにする。
こうすることで、固定ボルト700の頭部710が、排気抵抗となり、真空ポンプの排気性能に影響を与えることを防止できる。
本実施形態で、固定ボルト700の配置位置は、可能な限り真空ポンプ1の排気性能に影響を与えない場所が望ましい。
連結型ネジ溝スペーサ20の排気流路部を通過する排気ガスは、内側(内径側)の壁面を伝って流れる性質がある。よって、固定ボルト700の配置位置は、外側の壁面近く、すなわち、半径方向外側(回転中心から離れる方向)が望ましい。
このような位置に固定ボルト700を配置することで、真空ポンプ1の排気性能に影響を与えることをより防止できる。
固定ボルト700は、高温部材(カートリッジ型ヒータ900またはカートリッジ型ヒータ900により加熱された部材)と隣接して配置する(図4参照)。配置された固定ボルト700(頭部710)が、連結型ネジ溝スペーサ20の排気流路部において、低温であると、その箇所に排気ガスが固体化して析出してしまう。それを防止するため、固定ボルト700自体も高温化することが望ましい。
そのため、固定ボルト700を熱源(カートリッジ型ヒータ900)からの熱を受け易い場所に配置する。
また、固定ボルト700は、連結型ネジ溝スペーサ20と全面で接触しているわけではないので、他の箇所より低温となる虞がある。そのため、可能な限り熱伝導性が優れた材料であることが望ましい。
具体的な材料として、SUSやアルミニウムをあげることができる。固定ボルト700の材料は、現実に市販されているものに限らず、熱伝導に優れた金属から選択するようにしてもよい。具体的には、鉄系のボルトよりも熱伝導に優れた金属、例えばアルミニウム製のボルトが好ましい。
固定ボルト700は、上部からの作業性を考慮すると、六角穴のボルトであることが好ましい。頭部710の径は、例えば8.5mmより7.0mmのように、より小さいものが望ましい。頭部710の径を小さいボルトにすることで、ザグリの穴径を小さくすることができ、このザグリした部分における排気ガスのガス分子の移動抵抗を低減することができる。
また、ザグリ穴800の径を固定ボルト700に対する規定の径よりも小さくすることで、固定ボルト700の頭部710の径との隙間を低減させる。こうすることによっても、ザグリした部分における排気ガスのガス分子の移動抵抗を低減することができる。
(ii-5)本実施形態に係る連結型ネジ溝スペーサ締結方法の変形例
次に、図7を参照して本実施形態の変形例を説明する。
図7は、設置した固定ボルト700の上部をキャップ550で覆う本実施形態の変形例を示した図である。
上記したように、固定ボルト700に、六角穴のボルトを用いると、連結型ネジ溝スペーサ20の排気流路部に六角の穴が露出したままになる。そして、その六角の穴に排気ガスのガス分子が滞留したり、排気の抵抗となることが考えられる。
そこで、固定ボルト700の頭部710をキャップ550で覆うようにしている。このキャップ550を配置するために、ザグリ穴800は、予め若干大きめにしておく。
このキャップ550は、周囲より低温となることを防止するため、熱伝導性の優れた金属を材料とすることが望ましい。
このキャップ550により、固定ボルト700の配置位置に排気ガスのガス分子が滞留することを防止できる。また、連結型ネジ溝スペーサ20の排気流路部の平滑性を確保できるので、固定ボルト700が排気の抵抗となることを抑制できる。
なお、本発明の実施形態および各実施形態は、必要に応じて組み合わせる構成にしても良い。
1 真空ポンプ
2 ケーシング
3 ベース
4 吸気口
5 フランジ部
6 排気口
7 シャフト
8 ロータ
9 回転翼
10 ロータ円筒部
20 連結型ネジ溝スペーサ
50 固定翼
80 ステータコラム
201 ネジ溝スペーサ軸垂直部
202 ネジ溝スペーサ軸平行部
300 垂直部山部
400 垂直部谷部
500 平行部山部
550 キャップ
600 平行部谷部
700 固定ボルト
710 頭部
800 ザグリ穴
900 カートリッジ型ヒータ
910 ボルト
X 設置面
1001 従来の真空ポンプ
2001 従来の1Passネジ溝スペーサ

Claims (4)

  1. 吸気口または排気口が形成された外装体と、前記外装体に内包される固定部品と、配設される固定円板または配設される回転円板の少なくともいずれか一方に、山部と谷部を有するスパイラル状溝が刻設されるシグバーンポンプ部と、ネジ溝ポンプ部とを有する真空ポンプにおいて、
    前記シグバーンポンプ部と、前記ネジ溝ポンプ部とを連結させる構造を有する連結型ネジ溝スペーサを備え、
    前記連結型ネジ溝スペーサにおける前記シグバーンポンプ部の前記谷部の排気流路面にザグリ穴を設け、該ザグリ穴に配置された固定ボルトにより、前記連結型ネジ溝スペーサと前記外装体または前記固定部品を締結したことを特徴とする真空ポンプ。
  2. 前記ザグリ穴は、前記シグバーンポンプ部の前記谷部の半径方向外側に位置する前記排気流路面に設けられていることを特徴とする請求項1記載の真空ポンプ。
  3. 前記ザグリ穴に配置された前記固定ボルトは、上部をキャップで覆われていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の真空ポンプ。
  4. 吸気口または排気口が形成された外装体と、前記外装体に内包される固定部品と、配設される固定円板または配設される回転円板の少なくともいずれか一方に、山部と谷部を有するスパイラル状溝が刻設されるシグバーンポンプ部と、ネジ溝ポンプ部とを有する真空ポンプに用いられる連結型ネジ溝スペーサであって、
    前記連結型ネジ溝スペーサは、前記シグバーンポンプ部と、前記ネジ溝ポンプ部とを連結させる構造を有し、
    前記連結型ネジ溝スペーサにおける前記シグバーンポンプ部の前記谷部の排気流路面に固定ボルトのためのザグリ穴が設けられており、前記固定ボルトにより、前記外装体または前記固定部品と締結されることを特徴とする連結型ネジ溝スペーサ。
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