[実施の形態1]
以下、本発明の実施の形態1に係るアライメント測定システムについて、図1~図6を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の実施の形態1に係るアライメント測定システムの説明図である。図1に示すように、実施の形態1に係るアライメント測定システム100は、製造物200に取り付けられた被測定物201の取付位置及び取付角度を測定するシステムである。なお、製造物200は、例えば、人工衛星であり、被測定物201は、例えば、人工衛星に取り付けられたセンサ、アンテナ等の搭載機器である。被測定物201は、製造物200の異なる位置に複数取り付けられている。
アライメント測定システム100は、製造物200が設置されるロータリーテーブル110、被測定物201に取り付けられた取付位置測定用反射体120及び取付角度測定用反射体130、非測定物に取り付けられた非測定物取付反射体140を備える。また、アライメント測定システム100は、反射体120、130、140を測定するレーザー測定器150、レーザー測定器150を設置するキャリッジ160、キャリッジ160を支持するツーリングバー170を備える。また、アライメント測定システム100は、ロータリーテーブル110、レーザー測定器150、キャリッジ160、ツーリングバー170と電気的に接続されてこれらを制御可能な情報処理装置180を備える。
ロータリーテーブル110は、床面に支持されており、製造物200が設置された状態で中央部に設けられた図示しない回転機構によって鉛直方向に延びる回転軸を回転中心として回転可能である。よって、製造物200は、ロータリーテーブル110の回転によって回転角度が調整されることで、レーザー測定器150と対向する方向が調整される。
取付位置測定用反射体120は、例えば、互いに直行する3枚の鏡を用いたレトロリフレクターであり、レーザー測定器150から照射されて入射したレーザー光を入射方向に関わらず平行且つ反対方向に反射可能である。よって、取付位置測定用反射体120は、レーザー測定器150から照射されたレーザー光を反対方向に反射することで取り付けられた被測定物201の取付位置を示すことができる。
取付角度測定用反射体130は、例えば、キューブミラーであり、キューブミラーが有する指向面が被測定物201の取付方向を示している。なお、取付方向とは、例えば、被測定物201としてのアンテナが機能する方向、すなわち、アンテナ方向である。よって、取付角度測定用反射体130は、正対しているレーザー測定器150からのレーザー光を指向面が反対方向に反射したときに取り付けられた被測定物201の取付角度を示すことができる。
非測定物取付反射体140は、取付位置測定用反射体120と同様の反射体であり、例えば、上述したレトロリフレクターである。非測定物取付反射体140は、非測定物の一例としての製造物200の被測定物201以外の部分に取り付けられた製造物取付反射体141と、非測定物の一例としての建屋の壁面に取り付けられてレーザー測定器150の設置時の位置の算出に用いる3個以上の測定器位置算出用反射体142とを備える。製造物取付反射体141は、回転する製造物200の基準となる基準座標系の構築に用いる第1基準座標構築用反射体143、第2基準座標構築用反射体144、第3基準座標構築用反射体145を備える。また、製造物取付反射体141は、製造物200の設置時の位置の算出に用いる3個以上の製造物位置算出用反射体146を備える。
図1に示すように、第1基準座標構築用反射体143、第2基準座標構築用反射体144、第3基準座標構築用反射体145は、製造物200の下端部に設けられた円筒部202の外周面に間隔を空けて取り付けられている。なお、座標系を構築するためには、製造物200が静止した状態で少なくとも3個以上の基準座標構築用反射体をレーザー測定器150で測定できる必要がある。このため、図示は省略するが、第1基準座標構築用反射体143、第2基準座標構築用反射体144、第3基準座標構築用反射体145とは異なる座標構築用反射体が円筒部202の外周面に間隔を空けて複数設けられている。この結果、製造物200の回転によってレーザー測定器150と対向する方向がどのような方向となったかに関わらず、レーザー測定器150が3個以上の座標構築用反射体を測定できる。
また、測定器位置算出用反射体142は、第1基準座標構築用反射体143、第2基準座標構築用反射体144、第3基準座標構築用反射体145と同様に、アライメント測定システム100の後述するモデリング座標系を構築するために用いられる。このため、測定器位置算出用反射体142は、レーザー測定器150で測定できる位置に少なくとも3個以上取り付けられている必要がある。
レーザー測定器150は、例えば、レーザートラッカーである。レーザー測定器150は、ターゲットである反射体120、130、140にレーザー光を照射して反射した光を捕捉することで反射体120、130、140までの距離及び角度を測定し、反射体120、130、140の3次元位置を測定する。レーザー測定器150は、レーザー光を照射して反射された光を受光する図示しないヘッド部を備える。ヘッド部は、図示しない回転機構によって鉛直方向に延びる鉛直軸、又は、鉛直軸と直交する直交軸とを回転中心として回転可能である。よって、ヘッド部は、回転機構によってレーザー光を照射する方向が調整される。
キャリッジ160は、レーザー測定器150が設置された状態で図示しない移動機構によって水平平面上で互いに直行する2軸に沿ってスライド移動可能である。また、キャリッジ160は、レーザー測定器150が設置された状態で図示しない回転機構によって上述した2軸の何れか1軸を回転中心として回転可能である。よって、レーザー測定器150は、キャリッジ160のスライド移動によって設置された水平平面上の位置が調整されるとともに、キャリッジ160の回転によって製造物200と対向する方向が調整される。
ツーリングバー170は、キャリッジ160にレーザー測定器150が設置された状態で図示しない移動機構によってキャリッジ160を鉛直方向に延びる軸に沿ってスライド移動させることが可能である。よって、レーザー測定器150は、キャリッジ160のスライド移動によって設置された高さが調整される。
図2は実施の形態1に係るアライメント測定システムの機能構成を示す図である。情報処理装置180は、例えば、パーソナルコンピュータである。図2に示すように、情報処理装置180は、位置及び姿勢を算出する位置姿勢算出部181、情報を記憶する記憶部182、位置及び姿勢の差分値を算出する差分値算出部183を備える。また、情報処理装置180は、視準可能な位置を算出する視準位置算出部184、視準可能な姿勢を算出する視準姿勢算出部185、位置を変更する位置変更部186、姿勢を変更する姿勢変更部187を備える。また、情報処理装置180は、被測定物201の取付位置を算出する取付位置算出部188、被測定物201の取付角度を算出する取付角度算出部189を備える。また、情報処理装置180は、測定者の指示を示す情報が入力される指示情報入力部190、測定結果を表示する測定結果表示部191を備える。
位置姿勢算出部181は、レーザー測定器150によって測定された測定器位置算出用反射体142の位置に基づいてレーザー測定器150の位置及び姿勢を算出する。また、位置姿勢算出部181は、レーザー測定器150によって測定された第1基準座標構築用反射体143、第2基準座標構築用反射体144、第3基準座標構築用反射体145及び製造物位置算出用反射体146の位置に基づいて製造物200の位置及び姿勢を算出する。なお、位置姿勢算出部181は、本実施の形態のように製造物200に被測定物201が複数取り付けられていれば被測定物201の測定後にレーザー測定器150の現在の位置及び姿勢と、製造物200の姿勢とを算出する。
具体的には、まず、位置姿勢算出部181は、レーザー測定器150によって測定された3個以上の測定器位置算出用反射体142の位置の測定結果に基づいてアライメント測定システム100のモデリング座標系を構築する。また、位置姿勢算出部181は、3個以上の測定器位置算出用反射体142の位置の測定結果から構築したモデリング座標系におけるレーザー測定器150の位置及び姿勢を算出する。このとき、位置姿勢算出部181は、レーザー測定器150の姿勢として、モデリング座標系におけるレーザー測定器150のヘッド部の回転角度を算出する。
なお、モデリング座標系の構築には、例えば、まず、同一の高さに取り付けられた3個の測定器位置算出用反射体142を測定することで描かれる水平平面を算出する。次に、算出した平面上の1点を原点とし、平面上の原点とは異なるもう1点と原点とを結ぶ線分でX軸を算出し、X軸の平面上の法線ベクトルからY軸を算出し、X軸とY軸との外積からZ軸を算出することでモデリング座標系を構築できる。
また、位置姿勢算出部181は、レーザー測定器150によって測定された第1基準座標構築用反射体143、第2基準座標構築用反射体144、第3基準座標構築用反射体145の位置の測定結果からモデリング座標系における製造物200の位置及び姿勢を算出する。このとき、位置姿勢算出部181は、製造物200の姿勢として、モデリング座標系における製造物200が設置された回転角度を算出する。また、位置姿勢算出部181は、第1基準座標構築用反射体143、第2基準座標構築用反射体144、第3基準座標構築用反射体145の位置の測定結果に基づいて回転する製造物200の基準座標系を構築する。
なお、基準座標系の構築には、例えば、まず、同じ高さに取り付けられた3個の測定器位置算出用反射体142を測定することで描かれる水平平面上の円を算出する。次に、算出した円の中心点を原点とし、中心点から重力方向に延びるZ軸を算出し、モデリング座標系のX軸上に設置されている座標構築用反射体の位置と原点とを結ぶ線分でY軸を算出し、Y軸とZ軸との外積からX軸を算出することで基準座標系を構築できる。
記憶部182は、被測定物201を測定する前に製造物200及びレーザー測定器150が設置されたときの反射体120、130、140の位置と製造物200の位置及び姿勢とレーザー測定器150の位置及び姿勢とを示す情報を含む位置姿勢情報、所謂モデリングデータを記憶する。位置姿勢情報は、建屋内にロータリーテーブル110、測定器位置算出用反射体142、キャリッジ160、ツーリングバー170については設置状況が変化しない前提で、製造物200及びレーザー測定器150が実際に設置されたときの状況と一致する状況でアライメント測定システム100全体のモデリングを行ったときのデータである。また、モデリングは、設計時に作成した製造物200のモデルデータ、ロータリーテーブル110、非測定物取付反射体140、キャリッジ160及びツーリングバー170の位置データなどを用いて行われる。なお、モデリングは、製造物200及びレーザー測定器150が実際に設置されたときの状況で行われるため、位置姿勢算出部181と同様にモデリング座標系を構築することになる。よって、位置姿勢算出部181が構築するモデリング座標系と記憶部182が記憶している位置姿勢情報において定義しているモデリング座標系とは一致することになる。
図4は実施の形態1に係る位置姿勢情報の例を示す図である。図2に示す記憶部182は、位置姿勢情報を、例えば、図4に示すテーブルの形式で記憶する。位置姿勢情報には、少なくともレーザー測定器150の設置時の位置及び姿勢を示す値、レーザー測定器150の測定時の位置を示す値が含まれる。なお、本実施の形態では、製造物200に被測定物201が取り付けられているため、レーザー測定器150の測定時の位置を示す値は、被測定物201毎に記憶されている。また、位置姿勢情報には、少なくとも製造物200の設置時の位置及び姿勢を示す値、製造物200の測定時の姿勢を示す値が含まれる。なお、本実施の形態では、製造物200に被測定物201が複数取り付けられているため、製造物200の測定時の姿勢を示す値は、被測定物201毎に記憶されている。
また、位置姿勢情報には、少なくとも取付位置測定用反射体120及び取付角度測定用反射体130の測定時の位置を示す値が含まれる。なお、本実施の形態では、製造物200に被測定物201が複数取り付けられているため、取付位置測定用反射体120及び取付角度測定用反射体130の測定時の位置を示す値は、被測定物201毎に記憶されている。また、位置姿勢情報には、少なくとも第1基準座標構築用反射体143、第2基準座標構築用反射体144、第3基準座標構築用反射体145、製造物位置算出用反射体146、測定器位置算出用反射体142の設置時の位置を示す値が含まれる。
例えば、レーザー測定器150の設置時の位置及び姿勢を示す値は、(LTm(x),LTm(y),LTm(z),LTmθx,LTmθy,LTmθz)である。また、レーザー測定器150の1個目の被測定物201の測定時の位置を示す値は、(P(x),P(y),P(z))である。また、製造物200の設置時の位置及び姿勢を示す値は、(ASm(x),ASm(y),ASm(z),ASmθx,ASmθy,ASmθz)である。また、製造物200の1個目の被測定物201の測定時の姿勢を示す値は、(Qθx,Qθy,Qθz)である。また、1個目の被測定物201に取り付けられた取付位置測定用反射体120の測定時の位置を示す値は、(R(x),R(y),R(z))である。また、1個目の被測定物201に取り付けられた取付角度測定用反射体130の設置時の位置を示す値は、(C(x),C(y),C(z))である。また、第1基準座標構築用反射体143の設置時の位置を示す値は、(BR1(x),BR1(y),BR1(z))である。また、1個目の製造物位置算出用反射体146の設置時の位置を示す値は、(AR1(x),AR1(y),AR1(z))、1個目の測定器位置算出用反射体142の設置時の位置を示す値は、(LR1(x),LR1(y),LR1(z))である。
差分値算出部183は、記憶部182が記憶している位置姿勢情報が示すレーザー測定器150の設置時の位置及び姿勢を示す値と、位置姿勢算出部181が算出したレーザー測定器150の現在の位置及び姿勢を示す値との差分値である測定器用差分値を算出する。また、本実施の形態では、製造物200に被測定物201が取り付けられているため、2個目以降の被測定物201の測定時には、差分値算出部183は、記憶部182が記憶している位置姿勢情報が示すレーザー測定器150の測定時の位置及び姿勢を示す値と、レーザー測定器150の現在の位置及び姿勢を示す値との測定器用差分値を算出する。また、差分値算出部183は、記憶部182が記憶している位置姿勢情報が示す製造物200の設置時の位置及び姿勢を示す値と、位置姿勢算出部181が算出した製造物の現在の位置及び姿勢を示す値との差分値である製造物用差分値を算出する。また、本実施の形態では、製造物200に被測定物201が取り付けられているため、2個目以降の被測定物201の測定時には、差分値算出部183は、記憶部182が記憶している位置姿勢情報が示す製造物200の測定時の位置及び姿勢を示す値と、位置姿勢算出部181が算出した製造物の現在の位置及び姿勢を示す値との製造物用差分値を算出する。
具体的には、位置姿勢算出部181が算出したレーザー測定器150の現在の位置及び姿勢を示す値を(LTr(x),LTr(y),LTr(z),LTrθx,LTrθy,LTrθz)とする。また、測定器用差分値を(Δx,Δy,Δz,Δθx,Δθy,Δθz)とする。このとき、差分値算出部183は、以下の数式に基づいて1個目の被測定物201を測定するときの測定器用差分値(Δx,Δy,Δz,Δθx,Δθy,Δθz)を算出する。
Δx=LTr(x)-LTm(x)
Δy=LTr(y)-LTm(y)
Δz=LTr(z)-LTm(z)
Δθx=LTrθx-LTmθx
Δθy=LTrθy-LTmθy
Δθz=LTrθz-LTmθz
なお、差分値算出部183は、2個目以降の被測定物201の測定時の測定器用差分値についても同様に算出するが、冗長な記載となるため、詳細な説明を省略する。
また、位置姿勢算出部181が算出した製造物200の設置時の位置及び姿勢を示す値を(ASr(x),ASr(y),ASr(z),ASrθx,ASrθy,ASrθz)とする。また、製造物用差分値を(ΔX,ΔY,ΔZ,ΔθX,ΔθY,ΔθZ)とする。このとき、差分値算出部183は、以下の数式に基づいて1個目の被測定物201を測定するときの製造物用差分値(ΔX,ΔY,ΔZ,ΔθX,ΔθY,ΔθZ)を算出する。
ΔX=ASr(x)-ASm(x)
ΔY=ASr(y)-ASm(y)
ΔZ=ASr(z)-ASm(z)
ΔθX=ASrθx-ASmθx
ΔθY=ASrθy-ASmθy
ΔθZ=ASrθz-ASmθz
なお、差分値算出部183は、2個目以降の被測定物201の測定時の製造物用差分値についても同様に算出するが、冗長な記載となるため、詳細な説明を省略する。
視準位置算出部184は、差分値算出部183が算出した測定器用差分値及び製造物用差分値に基づいてレーザー測定器150が被測定物201を視準する視準位置を算出する。なお、視準位置算出部184は、本実施の形態のように製造物200に被測定物201が複数取り付けられていれば測定前に被測定物201の視準位置を算出する。視準位置算出部184は、測定器用差分値(Δx,Δy,Δz,Δθx,Δθy,Δθz)に基づいて記憶部182に記憶されている位置姿勢情報に含まれるレーザー測定器150の測定時の位置を示す値を補正演算する。また、視準位置算出部184は、製造物用差分値(ΔX,ΔY,ΔZ,ΔθX,ΔθY,ΔθZ)のうちの製造物200の位置を示す値の差分値(ΔX,ΔY,ΔZ)をオフセットの値として、レーザー測定器150の測定時の補正位置を示す値を減算することで、レーザー測定器150の視準位置を補正演算する。
具体的には、レーザー測定器150の測定時の補正位置を示す値を(xout,yout,zout)とする。このとき、視準位置算出部184は、以下の数1に示す数式を用いてレーザー測定器150の1個目の被測定物201の測定時の補正位置を示す値(xout,yout,zout)を算出し、レーザー測定器150の視準位置を示す値として(xout-ΔX,yout-ΔY,zout-ΔZ)を算出する。
なお、視準位置算出部184は、2個目以降の被測定物201の測定時の補正位置を示す値(xout-ΔX,yout-ΔY,zout-ΔZ)についても同様に算出するが、冗長な記載となるため、詳細な説明を省略する。
視準姿勢算出部185は、差分値算出部183が算出した製造物用差分値に基づいてレーザー測定器150が被測定物201を視準するときのレーザー測定器150及び製造物200の姿勢を算出する。視準姿勢算出部185は、製造物用差分値(ΔX,ΔY,ΔZ,ΔθX,ΔθY,ΔθZ)のうちの製造物200の姿勢を示す値の差分値(ΔθX,ΔθY,ΔθZ)をオフセットの値として、記憶部182に記憶されている位置姿勢情報に含まれるレーザー測定器150の測定時の姿勢を示す値及び製造物200の測定時の姿勢を示す値を減算することで、これらの姿勢を算出する。
具体的には、視準姿勢算出部185は、レーザー測定器150の姿勢のXY成分を示す値(LTrθx,LTrθy)からオフセットの値(ΔθX、ΔθY)を減算した値(LTrθx-ΔθX,LTrθy-ΔθY)に補正演算する。また、視準姿勢算出部185は、製造物200の測定時の姿勢のZ成分を示す値Qθzからオフセットの値ΔθZを減算した値Qθz-ΔθZに補正演算する。
なお、視準姿勢算出部185は、2個目以降の被測定物201の測定時の姿勢を示す値(LTrθx-ΔθX,LTrθy-ΔθY),Qθz-ΔθZについても同様に算出するが、冗長な記載となるため、詳細な説明を省略する。
位置変更部186は、キャリッジ160及びツーリングバー170の上述した移動機構を制御してレーザー測定器150の位置を変更する。位置変更部186は、レーザー測定器150の位置を視準位置算出部184が算出した視準位置に変更する。なお、位置変更部186は、本実施の形態のように製造物200に被測定物201が複数取り付けられていれば被測定物201の測定前にレーザー測定器150の位置を変更する。
具体的には、位置変更部186は、位置姿勢算出部181が算出したレーザー測定器150の位置を示す値(LTr(x),LTr(y),LTr(z))から、視準位置を示す値(xout-ΔX,yout-ΔY,zout-ΔZ)までレーザー測定器150の位置を変更する。
姿勢変更部187は、ロータリーテーブル110及びキャリッジ160の上述した回転機構を制御してレーザー測定器150及び製造物200の姿勢を変更する。姿勢変更部187は、レーザー測定器150及び製造物200の姿勢を視準姿勢算出部185が算出した姿勢に変更する。なお、姿勢変更部187は、本実施の形態のように製造物200に被測定物201が複数取り付けられていれば被測定物201の測定前にレーザー測定器150及び製造物200の姿勢を変更する。
具体的には、姿勢変更部187は、位置姿勢算出部181が算出したレーザー測定器150の姿勢のXY成分を示す値(LTrθx,LTrθy)がオフセットの値(ΔθX、ΔθY)を減算した値(LTrθx-ΔθX,LTrθy-ΔθY)となるまでレーザー測定器150の姿勢を変更する。また、姿勢変更部187は、位置姿勢算出部181が算出した製造物200の姿勢のZ成分を示す値がASrθzから補正演算した値Qθz-ΔθZとなるまでレーザー測定器150の位置を変更する。
取付位置算出部188は、レーザー測定器150によって測定された取付位置測定用反射体120の位置に基づいて被測定物201の取付位置を算出する。取付位置算出部188は、本実施の形態のように製造物200に被測定物201が複数取り付けられていれば被測定物201の取付位置を算出する。取付位置算出部188は、被測定物201の取付位置をモデリング座標系の値から基準座標系の値に変換する。
取付角度算出部189は、レーザー測定器150によって測定された取付角度測定用反射体130の位置に基づいて被測定物201の取付角度を算出する。取付角度算出部189は、本実施の形態のように製造物200に被測定物201が取り付けられていれば被測定物201の取付角度を算出する。取付角度算出部189は、被測定物201の取付角度をモデリング座標系の値から基準座標系の値に変換する。
指示情報入力部190は、測定者からの指示を示す情報である指示情報を入力する。指示情報は、例えば、後述するアライメント測定処理を開始する旨の指示を示す情報、レーザー測定器150の位置及び姿勢を微調整する指示を示す情報、製造物の姿勢を微調整する指示を示す情報である。
測定結果表示部191は、レーザー測定器150が測定した測定結果を表示する。測定結果表示部191は、取付位置算出部188が算出した基準座標系における被測定物201の取付位置を表示するとともに、取付角度算出部189が算出した基準座標系における被測定物201の取付角度を表示する。測定結果表示部191は、被測定物201の取付位置及び取付角度を表示する。
図5は実施の形態1に係る測定結果画面の表示例を示す図である。測定結果表示部191は、例えば、図5に示す測定結果画面を表示する。図5に示すように、測定結果画面は、被測定物201の名称と、被測定物201の取付位置を示す値と、被測定物201の取付角度を示す値との文字画像を含む画面である。例えば、1個目の被測定物201の文字画像は、名称「搭載機器1」、取付位置を示す値「(x1,y1,z1)」、取付角度を示す値「(θx1,θy1,θz1)」を含んでいる。また、例えば、n個目の被測定物201が測定不能であった場合、n個目の被測定物201の文字画像は、名称「搭載機器n」、取付位置を示す値「ERROR」、取付角度を示す値「ERROR」を含んでいる。この場合、測定者が指示情報入力部190を操作してレーザー測定器150の位置及び姿勢を微調整する指示を示す情報、製造物の姿勢を微調整する指示を示す情報を入力する。このようにすることで、測定可能となるまで位置変更部186及び姿勢変更部187によってレーザー測定器150の位置及び姿勢及び製造物の姿勢を微調整できる。
図3は実施の形態1に係る情報処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。図1、図2に示す情報処理装置180は、図3に示すハードウェアによって構成されている。図3に示すように、情報処理装置180は、制御プログラム59に従って処理を実行する制御部51を備える。制御部51は、CPU(Central Processing Unit)を備える。制御部51は、制御プログラム59に従って、情報処理装置180が備える位置姿勢算出部181、差分値算出部183、視準位置算出部184、視準姿勢算出部185、位置変更部186、姿勢変更部187、取付位置算出部188、取付角度算出部189として機能する。例えば、制御部51は、位置姿勢算出部181が行う位置姿勢算出ステップ、差分値算出部183が行う差分値算出ステップ、視準位置算出部184が行う視準位置算出ステップ、視準姿勢算出部185が行う視準姿勢算出ステップ、位置変更部186が行う位置変更ステップ、姿勢変更部187が行う姿勢変更ステップ、取付位置算出部188が行う取付位置算出ステップ、取付角度算出部189が行う取付角度算出ステップを実行する。
また、情報処理装置180は、制御プログラム59をロードし、制御部51の作業領域として用いられる主記憶部52を備える。主記憶部52は、RAM(Random-Access Memory)を備える。
また、情報処理装置180は、制御プログラム59を予め記憶する外部記憶部53を備える。外部記憶部53は、制御部51の指示に従って、このプログラムが記憶するデータを制御部51に供給し、制御部51から供給されたデータを記憶する。外部記憶部53は、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Dive)、DVD(Digital Versatile Disc)-RAM等の不揮発性メモリを備える。外部記憶部53は記憶部182として機能する。
また、情報処理装置180は、測定者に操作される操作部54を備える。操作部54を介して、入力された情報が制御部51に供給される。操作部54は、キーボード、マウス、タッチパネル、操作ボタン等の情報入力部品を備える。操作部54は、指示情報入力部190として機能する。
また、情報処理装置180は、操作部54を介して入力された情報、制御部51が出力した情報等を表示する表示部55を備える。表示部55は、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等の表示装置を備える。表示部55は、測定結果表示部191として機能する。
また、情報処理装置180は、情報を送受信する送受信部56を備える。送受信部56は、ネットワークに接続する網終端装置、無線通信装置等の情報通信部品を備える。
情報処理装置180では、主記憶部52、外部記憶部53、操作部54、表示部55及び送受信部56はいずれも内部バス50を介して制御部51に接続されている。
図1、図2に示す情報処理装置180は、制御部51が主記憶部52、外部記憶部53、操作部54、表示部55及び送受信部56等を資源として用いることによって、位置姿勢算出部181、記憶部182、差分値算出部183、視準位置算出部184、視準姿勢算出部185、位置変更部186、姿勢変更部187、取付位置算出部188、取付角度算出部189、指示情報入力部190、測定結果表示部191の機能を実現する。
図6は実施の形態1に係るアライメント測定処理の流れを示すフローチャートである。次に、図6に示すフローチャートを参照して、情報処理装置180が実行するアライメント測定処理について説明する。アライメント測定処理は、製造物200に取り付けられた被測定物201の取付位置及び取付角度を測定する処理である。情報処理装置180は、測定者が製造物200及びレーザー測定器150を設置した後にアライメント測定処理を開始する旨の指示を示す情報を入力する操作を指示情報入力部190が受け付けたことに応答して、アライメント測定処理を開始する。
アライメント測定処理を開始すると、まず、位置姿勢算出部181は、レーザー測定器150によって測定された3個以上の測定器位置算出用反射体142の位置の測定結果に基づいてモデリング座標系を構築し、構築したモデリング座標系におけるレーザー測定器150の位置及び姿勢を算出する(ステップS101)。例えば、位置姿勢算出部181は、上述した方法でモデリング座標系を構築し、レーザー測定器150の設置時の位置及び姿勢を示す値(LTm(x),LTm(y),LTm(z),LTmθx,LTmθy,LTmθz)を算出する。
位置及び姿勢算出後、位置姿勢算出部181は、レーザー測定器150によって測定された3個以上の座標構築用反射体の位置の測定結果からモデリング座標系における製造物200の位置及び姿勢を算出し、製造物200の基準座標系も構築する(ステップS102)。例えば、位置姿勢算出部181は、製造物200の設置時の位置及び姿勢を示す値(ASr(x),ASr(y),ASr(z),ASrθx,ASrθy,ASrθz)を算出し、上述した方法で基準座標系を構築する。
基準座標系構築後、差分値算出部183は、記憶部182が記憶している位置姿勢情報が示すレーザー測定器150の現在の位置及び姿勢を示す値と、算出されたレーザー測定器150の現在の位置及び姿勢を示す値との測定器用差分値を算出する(ステップS103)。例えば、差分値算出部183は、上述した値(LTm(x),LTm(y),LTm(z),LTmθx,LTmθy,LTmθz)、(LTm(x),LTm(y),LTm(z),LTmθx,LTmθy,LTmθz)の差分値(Δx,Δy,Δz,Δθx,Δθy,Δθz)を算出する。
測定器用差分値算出後、差分値算出部183は、記憶部182が記憶している位置姿勢情報が示す製造物200の位置及び姿勢を示す値と、算出された製造物の現在の位置及び姿勢を示す値との製造物用差分値を算出する(ステップS104)。例えば、差分値算出部183は、上述した値(ASm(x),ASm(y),ASm(z),ASmθx,ASmθy,ASmθz)、(ASr(x),ASr(y),ASr(z),ASrθx,ASrθy,ASrθz)の差分値(ΔX,ΔY,ΔZ,ΔθX,ΔθY,ΔθZ)を算出する。
製造物用差分値算出後、視準位置算出部184は、差分値算出部183が算出した測定器用差分値及び製造物用差分値に基づいてレーザー測定器150の視準位置を算出し、視準姿勢算出部185は、製造物用差分値に基づいてレーザー測定器150及び製造物200の姿勢を算出する(ステップS105)。例えば、視準位置算出部184は、レーザー測定器150の測定時の補正位置を示す値(xout,yout,zout)を算出し、視準姿勢算出部185は、レーザー測定器150の姿勢を示す値(LTrθx-ΔθX,LTrθy-ΔθY)と製造物200の姿勢を示す値Qθz-ΔθZとを算出する。
補正位置算出後、姿勢変更部187は、ロータリーテーブル110及びキャリッジ160の上述した回転機構を制御してレーザー測定器150及び製造物200の姿勢を製造物用差分値に基づいて視準姿勢算出部185が算出した姿勢に変更する(ステップS106)。姿勢変更後、位置変更部186は、キャリッジ160及びツーリングバー170の上述した移動機構を制御してレーザー測定器150の位置を視準位置算出部184が算出した視準位置に変更する(ステップS107)。例えば、姿勢変更部187は、レーザー測定器150の姿勢を示す値が(LTrθx-ΔθX,LTrθy-ΔθY)となるまでレーザー測定器150を回転させ、製造物200の姿勢を示す値がQθz-ΔθZとなるまで製造物200を回転させる。また、位置変更部186は、レーザー測定器150の位置を示す値が(xout-ΔX,yout-ΔY,zout-ΔZ)となるまでレーザー測定器150を移動させる。
位置及び姿勢変更後、取付位置算出部188は、レーザー測定器150によって測定された取付位置測定用反射体120の位置に基づいて被測定物201の取付位置を算出する(ステップS108)。また、取付角度算出部189は、レーザー測定器150によって測定された取付角度測定用反射体130の位置に基づいて被測定物201の取付角度を算出する(ステップS109)。
取付位置及び取付角度算出後、取付位置算出部188及び取付角度算出部189は、算出された被測定物201の取付位置及び取付角度をモデリング座標系からに変換し、測定結果表示部191は、変換後の基準座標系における被測定物201の取付位置及び取付角度を測定結果表示画面に表示する(ステップS110)。取付位置及び取付角度表示後、情報処理装置180は、測定結果表示画面において記憶部182に記憶された全ての被測定物201の取付位置及び取付角度を表示したか否かを判定する(ステップS111)。情報処理装置180は、全ての被測定物201の取付位置及び取付角度を表示していない場合(ステップS111;N)、全ての被測定物201の取付位置及び取付角度を表示するまでステップS103~S110の処理を繰り返し、全ての被測定物201の取付位置及び取付角度を表示した場合(ステップS111;Y)、アライメント測定処理を終了する。
以上説明したように、本実施の形態に係るアライメント測定システム100によれば、差分値算出部183は、記憶部182が記憶している位置姿勢情報が示すレーザー測定器150の位置及び姿勢を示す値と、位置姿勢算出部181が算出したレーザー測定器150の現在の位置及び姿勢を示す値との測定器用差分値を算出する。また、視準位置算出部184は、差分値算出部183が算出した測定器用差分値に基づいてレーザー測定器150の視準位置を算出する。また、取付位置算出部188は、レーザー測定器150によって測定された取付位置測定用反射体120の位置に基づいて被測定物201の取付位置を算出する。そして、取付角度算出部189は、レーザー測定器150によって測定された取付角度測定用反射体130の位置に基づいて被測定物201の取付角度を算出する。
このようにすることで、測定器用差分値に基づいて視準位置を算出しないアライメント測定システムよりもレーザー測定器150を視準位置に精度良く移動させることができる。このため、例えば、被測定物201を新たに測定する度に製造物200及びレーザー測定器150の設置と撤収とを繰り返すことでモデリングを行ったときの製造物200及びレーザー測定器150の位置、姿勢とのズレがあったとしても、被測定物201の取付位置及び取付角度を精度良く測定できる。また、このようにすることで、速やかにレーザー測定器150を視準位置に移動させることができ、測定器用差分値に基づいて視準位置を算出しないアライメント測定システムよりも測定時間を短縮することができる。これらの結果、測定精度を維持しつつ測定時間を短縮できる。
また、本実施の形態に係るアライメント測定システム100によれば、差分値算出部183は、位置姿勢情報が示す製造物200の設置時の位置及び姿勢を示す値と、位置姿勢算出部181が算出した製造物の現在の位置及び姿勢を示す値との製造物用差分値を算出する。また、視準位置算出部184は、差分値算出部183が算出した測定器用差分値及び製造物用差分値に基づいてレーザー測定器150の視準位置を算出する。
このようにすることで、製造物用差分値に基づいて視準位置を算出しないアライメント測定システムよりもレーザー測定器150を視準位置に精度良く移動させることができる。このため、例えば、被測定物201を新たに測定するために製造物200及びレーザー測定器150を設置したときにモデリングを行ったときとの位置、姿勢のズレが発生しても、被測定物201の取付位置及び取付角度を精度良く測定できる。また、このようにすることで、速やかにレーザー測定器150を視準位置に移動させることができ、製造物用差分値に基づいて視準位置を算出しないアライメント測定システムよりも測定時間を短縮することができる。これらの結果、測定精度を維持しつつ測定時間を短縮できる。
また、本実施の形態に係るアライメント測定システム100によれば、視準姿勢算出部185は、差分値算出部183が算出した製造物用差分値に基づいてレーザー測定器150及び製造物200の姿勢を算出する。また、取付位置算出部188は、算出された姿勢で製造物200が設置されたときの取付位置測定用反射体120の位置に基づいて被測定物201の取付位置を算出する。そして、取付角度算出部189は、算出された姿勢で製造物200が設置されたときの取付角度測定用反射体130の位置に基づいて被測定物201の取付角度を算出する。
このようにすることで、製造物用差分値に基づいて製造物200の姿勢を算出しないアライメント測定システムよりも製造物200の姿勢を精度良く変更できる。このため、例えば、被測定物201を新たに測定するために製造物200及びレーザー測定器150を設置したときにモデリングを行ったときとの位置、姿勢のズレが発生しても、被測定物201の取付位置及び取付角度を精度良く測定できる。また、このようにすることで、速やかに製造物200の姿勢を変更でき、製造物用差分値に基づいて製造物200の姿勢を算出しないアライメント測定システムよりも測定時間を短縮することができる。これらの結果、測定精度を維持しつつ測定時間を短縮できる。
また、本実施の形態に係るアライメント測定システム100によれば、位置変更部186は、キャリッジ160及びツーリングバー170の上述した移動機構を制御してレーザー測定器150の位置を視準位置算出部184が算出した視準位置に変更する。
このようにすることで、レーザー測定器150の位置の変更を自動化しないアライメント測定システムよりもレーザー測定器150を視準位置に精度良く移動させることができる。このため、例えば、被測定物201を新たに測定するために製造物200及びレーザー測定器150を設置したときにモデリングを行ったときとの位置、姿勢のズレが発生しても、被測定物201の取付位置及び取付角度を精度良く測定できる。また、このようにすることで、レーザー測定器150の位置の変更を自動化することができ、レーザー測定器150の位置の変更を自動化しないアライメント測定システムよりも測定時間を短縮することができる。これらの結果、測定精度を維持しつつ測定時間を短縮できる。
また、本実施の形態に係るアライメント測定システム100によれば、姿勢変更部187は、ロータリーテーブル110及びキャリッジ160の上述した回転機構を制御してレーザー測定器150及び製造物200の姿勢を変更する。
このようにすることで、レーザー測定器150及び製造物200の姿勢の変更を自動化しないアライメント測定システムよりもレーザー測定器150及び製造物200の姿勢を精度良く変更できる。このため、例えば、被測定物201を新たに測定するために製造物200及びレーザー測定器150を設置したときにモデリングを行ったときとの位置、姿勢のズレがあったとしても、被測定物201の取付位置及び取付角度を精度良く測定できる。また、このようにすることで、レーザー測定器150及び製造物200の姿勢の変更を自動化することができ、レーザー測定器150及び製造物200の姿勢の変更を自動化しないアライメント測定システムよりも測定時間を短縮することができる。これらの結果、測定精度を維持しつつ測定時間を短縮できる。
[実施の形態2]
実施の形態1では、差分値算出部183が算出した測定器用差分値及び製造物用差分値に基づいてレーザー測定器150の視準位置を算出した。しかしながら、本発明は、これに限定されず、例えば、レーザー測定器とは異なる測定器によって実際に測定された取付位置測定用反射体120及び取付角度測定用反射体130の位置に基づいてレーザー測定器150の視準位置を算出してもよい。
以下、本発明の実施の形態2に係るアライメント測定システムについて、図7~図9を参照しながら詳細に説明する。
図7は本発明の実施の形態2に係るアライメント測定システムの説明図である。図8は実施の形態2に係るアライメント測定システムの機能構成を示す図である。図7に示すように、実施の形態2に係るアライメント測定システム100は、キャリッジ160にレーザー測定器150と反射体形状測定器151とが設置されている。
図7、図8に示す反射体形状測定器151は、例えば、3次元スキャナである。反射体形状測定器151は、測定範囲に設置された取付位置測定用反射体120及び取付角度測定用反射体130の形状を測定する。
図8に示す位置姿勢算出部181は、反射体形状測定器151によって測定された取付位置測定用反射体120の形状及び取付角度測定用反射体130の形状に基づいてこれらの位置を算出する。
具体的には、姿勢変更部187によってレーザー測定器150及び製造物200の姿勢が変更され、取付位置測定用反射体120及び取付角度測定用反射体130が反射体形状測定器151の測定範囲に設置された状態になる。この状態で、位置姿勢算出部181は、反射体形状測定器151によって測定された取付位置測定用反射体120の形状及び取付角度測定用反射体130の形状情報を取得し、取付位置測定用反射体120の形状及び取付角度測定用反射体130の設計情報に基づいて取得した形状情報をモデリング座標系に関連付けすることで取付位置測定用反射体120及び取付角度測定用反射体130の位置を算出する。このとき、位置姿勢算出部181は、取付角度測定用反射体130であるキューブミラーの指向面の方向を算出する。
視準位置算出部184は、位置姿勢算出部181が算出した取付位置測定用反射体120の位置及び取付角度測定用反射体130の位置に基づいてレーザー測定器150の視準位置を算出する。
具体的には、視準位置算出部184は、実施の形態1と同様に視準位置を算出した後、位置姿勢算出部181が算出した取付位置測定用反射体120の位置及び取付角度測定用反射体130の位置に基づいて視準位置を調整する。例えば、視準位置算出部184は、位置姿勢算出部181が算出した取付角度測定用反射体130の一例としてのキューブミラーの指向面の位置及び方向に基づいて、レーザー測定器150のヘッダ部がキューブミラーの指向面と正対できる位置、すなわち、視準可能な位置に視準位置を調整する。
視準姿勢算出部185は、位置姿勢算出部181が算出した取付位置測定用反射体120の位置及び取付角度測定用反射体130の位置に基づいて製造物の姿勢を算出する。例えば、視準姿勢算出部185は、位置姿勢算出部181が算出した取付角度測定用反射体130の一例としてのキューブミラーの指向面の位置及び方向に基づいて、キューブミラーの指向面がレーザー測定器150のヘッダ部と正対できる姿勢、すなわち、ヘッダ部が視準可能な回転角度となるまで製造物200の姿勢を示す値を調整する。
図9は実施の形態2に係るアライメント測定処理の流れを示すフローチャートである。次に、図9に示すフローチャートを参照して、情報処理装置180が実行するアライメント測定処理について説明する。アライメント測定処理を開始すると、まず、実施の形態1と同様にステップS101~104の処理が行われて測定器用差分値及び製造物用差分値が算出された後、ステップS106の処理が行われてレーザー測定器150及び製造物200の姿勢が変更される。
姿勢変更後、位置姿勢算出部181は、反射体形状測定器151に取付位置測定用反射体120の形状及び取付角度測定用反射体130の形状を測定させる制御信号を出力する(ステップS201)。測定後、位置姿勢算出部181は、取得した取付位置測定用反射体120の形状及び取付角度測定用反射体130の形状情報から取付位置測定用反射体120及び取付角度測定用反射体130の位置を算出する(ステップS202)。
位置算出後、視準位置算出部184は、位置姿勢算出部181が算出したこれらの位置に基づいてレーザー測定器150の視準位置を算出し、視準姿勢算出部185は、位置に基づいて製造物の姿勢を算出する。(ステップS203)。位置及び姿勢算出後、姿勢変更部187は、ロータリーテーブル110及びキャリッジ160の上述した回転機構を制御してレーザー測定器150及び製造物200の姿勢を製造物用差分値に基づいて視準姿勢算出部185が算出した姿勢に変更する(ステップS204)。
姿勢変更後、実施の形態1と同様にステップS107~111の処理が行われてレーザー測定器150が視準位置に移動し、被測定物201について算出された取付位置及び取付角度の測定結果が表示され、上述した処理が全ての被測定物201について行われる。
以上説明したように、本実施の形態に係るアライメント測定システム100によれば、位置姿勢算出部181は、反射体形状測定器151によって測定された取付位置測定用反射体120の形状及び取付角度測定用反射体130の形状情報を取得する。また、位置姿勢算出部181は、取得した取付位置測定用反射体120及び取付角度測定用反射体130の形状から取付位置測定用反射体120及び取付角度測定用反射体130の位置を算出する。また、視準位置算出部184は、位置姿勢算出部181が算出した位置に基づいてレーザー測定器150の視準位置を算出する。
このようにすることで、反射体120、130の実際の位置に基づいて視準位置を算出することができる。よって、例えば、反射体120、130の実際の位置がモデリングを行ったときと異なる位置に設けられていても、実際の位置に基づいて算出した視準位置にレーザー測定器150を設置することで被測定物201の取付位置及び取付角度を測定できる。また、このようにすることで、反射体120、130の位置に基づいて視準位置を算出しないアライメント測定システムよりもレーザー測定器150を視準位置に精度良く移動させることができ、被測定物201の取付位置及び取付角度を精度良く測定できる。また、このようにすることで、速やかにレーザー測定器150を視準位置に移動させることができ、取付位置測定用反射体120及び取付角度測定用反射体130の位置に基づいて視準位置を算出しないアライメント測定システムよりも測定時間を短縮することができる。これらの結果、測定精度を維持しつつ測定時間を短縮できる。
また、本実施の形態に係るアライメント測定システム100によれば、視準姿勢算出部185は、位置姿勢算出部181が算出した取付位置測定用反射体120の位置及び取付角度測定用反射体130の位置に基づいて製造物の姿勢を算出する。
このようにすることで、反射体120、130の実際の位置に基づいて製造物200の測定時の姿勢を算出することができる。よって、例えば、反射体120、130の実際の位置がモデリングを行ったときと異なる位置に設けられていても、実際の位置に基づいて算出された姿勢で製造物200を設置することで被測定物201の取付位置及び取付角度を測定できる。また、このようにすることで、レーザー測定器150及び製造物200の姿勢を精度良く変更でき、製造物200に取り付けられた被測定物201の取付位置及び取付角度を精度良く測定できる。また、このようにすることで、レーザー測定器150及び製造物200の姿勢の変更を自動化することができ、レーザー測定器150及び製造物200の姿勢の変更を自動化しないアライメント測定システムよりも測定時間を短縮することができる。これらの結果、測定精度を維持しつつ測定時間を短縮できる。
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲での種々の変形および応用が可能である。
[変更例1]
上記の実施の形態2において、反射体形状測定器の一例としての3次元スキャナで取付位置測定用反射体120及び取付角度測定用反射体130の位置を測定した。しかしながら、本発明は、これに限定されず、例えば、反射体形状測定器の一例としての2次元スキャナで取付位置測定用反射体120及び取付角度測定用反射体130の位置を測定してもよい。2次元スキャナは、直線状のレーザー光を照射して製造物200の直線上の形状を測定できる。
このため、反射体形状測定器151によって取付位置測定用反射体120及び取付角度測定用反射体130の3次元の形状を測定するためには、例えば、反射体形状測定器151又は製造物200をスライド移動させたり、製造物200を回転させたりする必要がある。よって、例えば、姿勢変更部187は、ロータリーテーブル110の上述した回転機構を制御して製造物200の姿勢を、直線状のレーザー光を走査して取付位置測定用反射体120及び取付角度測定用反射体130の形状を測定可能な回転角度の範囲で変更してもよい。このとき、回転角度の範囲は、例えば、±10℃の回転角度の範囲で変更してもよい。
図10は変更例1に係るアライメント測定処理の流れを示すフローチャートである。具体的には、図10に示すように、アライメント測定処理を開始したときに、まず、実施の形態1、2と同様にステップS101~104,S106の処理が行われてレーザー測定器150及び製造物200の姿勢が変更された後、位置姿勢算出部181は、反射体形状測定器151の一例としての2次元スキャナに取付位置測定用反射体120の形状及び取付角度測定用反射体130の形状を測定させる制御信号を出力する(ステップS301)。
制御信号出力後、位置姿勢算出部181は、ロータリーテーブル110に製造物200を±10℃の回転角度の範囲で回転させる制御信号を出力する(ステップS302)。そして、形状測定後、実施の形態2と同様にステップS202~S204、107~111の処理が行われて反射体120、130の形状から位置が算出され、算出された位置に基づいて製造物200の姿勢が変更される。また、レーザー測定器150が視準位置に移動し、被測定物201について算出された取付位置及び取付角度の測定結果が表示され、上述した処理が全ての被測定物201について行われる。
このようにすることで、2次元スキャナでも反射体120、130の形状を測定でき、反射体120、130の実際の位置に基づいて視準位置を算出することができる。よって、例えば、反射体120、130の実際の位置がモデリングを行ったときと異なる位置に設けられていても、実際の位置に基づいて算出した視準位置にレーザー測定器150を設置することで被測定物201の取付位置及び取付角度を測定できる。
なお、変更例1において、2次元スキャナからの形状情報に基づいても反射体120、130の位置を精度良く算出するために、記憶部182が記憶している位置姿勢情報には、反射体形状測定器151の測定時の位置及び姿勢を示す値が含まれていてもよい。この場合、本実施の形態では、製造物200に被測定物201が取り付けられているため、反射体形状測定器151の測定時の位置及び姿勢を示す値は、被測定物201毎に記憶されている必要がある。
[変更例2]
上記の実施の形態1、2では、位置変更部186がレーザー測定器150の位置を変更した。しかしながら、本発明は、これに限定されず、位置変更部186が製造物200の位置を変更してもよい。この場合、ロータリーテーブル110にキャリッジ160及びツーリングバー170の移動機構と同様の移動機構を設けることで、ロータリーテーブル110に設置された製造物200をX方向、Y方向及びZ方向にスライド移動可能としてもよい。
この場合、例えば、視準位置算出部184は、記憶部182が記憶している位置姿勢情報が示す製造物200の測定時の位置を示す値が(Q(x),Q(y),Q(z))としたときに、製造物200の位置を示す値の差分値(ΔX,ΔY,ΔZ)をオフセットの値として、製造物200の測定時の位置を示す値を減算した値(Q(x)-ΔX,Q(y)-ΔY,Q(z)-ΔZ)を補正位置として算出してもよい。この場合、位置変更部186は、位置姿勢算出部181が算出した製造物200の位置を示す値(ASr(x),ASr(y),ASr(z))が補正位置を示す値(Q(x)-ΔX,Q(y)-ΔY,Q(z)-ΔZ)となるまで製造物200の位置を変更する。なお、この場合、位置変更部186は、レーザー測定器150の位置を示す値が視準位置を示す値(xout,yout,zout)となるまでレーザー測定器150を移動させる必要がある。
図11は変更例2に係るアライメント測定処理の流れを示すフローチャートである。具体的には、図11に示すように、アライメント測定処理を開始したときに、まず、実施の形態1と同様にステップS101~S105の処理が行われてレーザー測定器150の視準位置及びレーザー測定器150の製造物200の姿勢が算出される。
位置及び姿勢算出後、視準位置算出部184は、差分値算出部183が算出した製造物用差分値に基づい製造物200の測定時の補正位置を算出する(ステップS401)。位置算出後、実施の形態1と同様にステップS106の処理が行われて製造物200の姿勢が変更された後、位置変更部186は、ロータリーテーブル110の上述した移動機構を制御して製造物200の位置を視準位置算出部184が算出した補正位置に変更する(ステップS402)。
そして、姿勢変更後、実施の形態1と同様にステップS107~111の処理が行われてレーザー測定器150が視準位置に移動し、被測定物201について算出された取付位置及び取付角度の測定結果が表示され、上述した処理が全ての被測定物201について行われる。
このようにすることで、製造物用差分値に基づいて補正位置を算出しないアライメント測定システムよりも製造物200を補正位置に精度良く移動させることができる。このため、例えば、被測定物201を新たに測定する度に製造物200及びレーザー測定器150の設置と撤収とを繰り返すことでモデリングを行ったときの製造物200及びレーザー測定器150の位置、姿勢とのズレがあったとしても、被測定物201の取付位置及び取付角度を精度良く測定できる。また、このようにすることで、速やかにレーザー測定器150を視準位置に移動させることができ、製造物用差分値に基づいて補正位置を算出しないアライメント測定システムよりも測定時間を短縮することができる。これらの結果、測定精度を維持しつつ測定時間を短縮できる。
なお、上記の実施の形態1、2では、製造物200として人工衛星を例示したが、本発明は、これに限定されず、例えば、製造物200は、飛行機、電車、自動車等であってもよい。
なお、上記の実施の形態1、2では、取付位置及び取付角度が測定不能な被測定物201があるか否かに関わらず測定結果画面において測定結果を表示したが、取付位置及び取付角度が測定不能な被測定物201があれば測定結果を表示しなくてもよい。この場合、例えば、測定エラー画面を表示して取付位置及び取付角度が測定不能な被測定物201がある旨を表示し、アライメント測定処理を中断してもよい。また、この場合、測定者が指示情報入力部190を操作して測定可能となるまで位置変更部186及び姿勢変更部187によってレーザー測定器150の位置及び姿勢及び製造物の姿勢を微調整した後、アライメント測定処理を再開してもよい。
なお、上記の実施の形態において、制御部51のCPUが実行するプログラムは、あらかじめ外部記憶部53に記憶されていた。しかしながら、本発明は、これに限定されず、上記の種処理を実行させるための動作プログラムを、既存の汎用コンピュータ、フレームワーク、ワークステーション等に実装することにより、上記の実施の形態に係る情報処理装置180に相当する装置として機能させてもよい。
このようなプログラムの提供方法は任意であり、例えば、コンピュータが読取可能な記録媒体(フレキシブルディスク、CD(Compact Disc)-ROM、DVD(Digital Versatile Disc)-ROM)等に格納して配布してもよいし、インターネットをはじめとするネットワーク上のストレージにプログラムを格納しておき、これをダウンロードさせることにより提供してもよい。
また、上記の処理をOS(Operating System)とアプリケーションプログラムとの分担、または、OSとアプリケーションプログラムとの協働によって実行する場合には、アプリケーションプログラムのみを記録媒体、ストレージ等に格納してもよい。また、搬送波にプログラムを重畳し、ネットワークを介して配信することも可能である。例えば、ネットワーク上の掲示板(Bulletin Board System:BBS)に上記プログラムを掲示し、ネットワークを介してプログラムを配信してもよい。そして、このプログラムを起動し、OSの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、上記の処理を実行するべく設計してもよい。