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JP7225137B2 - 防眩フィルム - Google Patents

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JP7225137B2 JP2020000353A JP2020000353A JP7225137B2 JP 7225137 B2 JP7225137 B2 JP 7225137B2 JP 2020000353 A JP2020000353 A JP 2020000353A JP 2020000353 A JP2020000353 A JP 2020000353A JP 7225137 B2 JP7225137 B2 JP 7225137B2
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Description

本発明は、防眩フィルムに関する。
従来、画像表示装置には、外光の反射、像の映り込み等によるコントラスト低下を防止することを目的として、防眩フィルムが用いられることがある。近年、画像表示装置の高精細化に伴い、防眩フィルムを起因とするギラツキが生じるという問題が生じている。具体的には、従来の防眩フィルムを高精細な画像表示装置に適用した場合、画素中に存在する輝度バラツキが強調されて、ギラツキが生じやすくなる。
上記問題を解決する技術として、防眩フィルムの内部ヘイズを高くするという技術が提案されている。しかしながら、当該技術においては、近年求められるさらなる高精細化に伴い、内部ヘイズをさらに高める必要があり、そうすると、透明性の観点から実用に適さなくなるおそれがある。
また、防眩フィルムの背面側に比較的厚いガラス等が配置される構成の画像表示装置、例えば、耐熱性が求められる車載用途の画像表示装置(例えば、カーナビゲーションのモニタ、インパネモニタ等)においては、上記ギラツキの問題がより顕著となる。
このように、高精細化と耐熱性とが求められる画像表示装置においては、防眩性および透明性を維持しつつ、さらに、ギラツキを抑制し得る防眩フィルムの適用が求められる。
特開2014-09456号公報
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、高精細化と耐熱性とが求められる画像表示装置においても、防眩性および透明性を維持しつつ、さらに、ギラツキを抑制し得る防眩フィルムを提供することにある。
本発明の防眩フィルムは、透明基材層と、該透明基材層の少なくとも片側に配置され、バインダー樹脂および粒子を含む、防眩層と、該透明基材層と該防眩層との間に形成され、該透明基材層を構成する材料の少なくとも一部および該バインダー樹脂の少なくとも一部とを含む、中間層とを備え、該中間層の厚みが、該防眩層の厚みに対して、0.1%~123%である。
1つの実施形態においては、上記バインダー樹脂の屈折率(n1)に対する前記粒子の屈折率(n2)の比(n2/n1)が、0.8~1.2である。
1つの実施形態においては、上記透明基材層が樹脂フィルムから形成され、上記防眩層が、硬化性化合物、粒子および溶媒を含む防眩層形成用組成物を用いて形成され、該溶媒のSP値と、該樹脂フィルムを構成する樹脂のSP値との差(樹脂SP値-溶媒SP値)が、-10~20(cal/cm1/2である。
1つの実施形態においては、上記防眩層の厚みと、上記粒子の重量平均粒子径との比(粒子の重量平均粒径/防眩層の厚み)が、0.15~2.0である。
本発明の別の局面によれば、画像表示装置が提供される。この画像表示装置は、上記防眩フィルムと、該防眩フィルムの片側に配置された画像表示セルとを備え、該防眩フィルムが、上記透明基材層が該画像表示セル側にして配置され、上記中間層と該画像表示セルとの間に、ギャップが形成され、該ギャップの大きさが100μm~700μmである。
本発明によれば、透明基材層と防眩層との間に、透明基材層を構成する材料および防眩層を構成する材料を含む中間層を形成させ、該中間層の厚みを特定の厚みとすることにより、防眩性および透明性を維持しつつ、さらに、ギラツキを抑制し得る防眩フィルムを提供することができる。本発明の防眩フィルムは、高精細化と耐熱性とが求められる画像表示装置において、特に有用である。
本発明の1つの実施形態による防眩フィルムの概略断面図である。 本発明の1つの実施形態による防眩フィルムの断面を示す写真図である。 本発明の防眩フィルムを用いた画像表示装置の一例を示す概略断面図である。
A.防眩フィルムの全体構成
図1は、本発明の1つの実施形態による防眩フィルムの概略断面図である。この防眩フィルム100は、透明基材層10と、透明基材層10の少なくとも片側に配置された防眩層30とを備え、透明基材層10と防眩層30との間には、中間層20が形成されている。代表的には、透明基材層10は、樹脂フィルムから構成される。防眩層30は、代表的には、樹脂フィルムに防眩層形成用組成物を塗工して形成される。防眩層形成用組成物は、バインダー樹脂(あるいは、バインダー樹脂の前駆体)と粒子とを含み、このような防眩層形成用組成物から形成された防眩層30は、バインダー樹脂と粒子とを含む。中間層20は、代表的には、防眩層形成用組成物が上記樹脂フィルムに浸透して形成される。樹脂フィルムに防眩層形成用組成物を塗工して防眩層を形成する際、上記樹脂フィルムを構成する材料が、防眩層形成用組成物に溶出してもよい。このように樹脂フィルムを構成する材料が溶出して形成された部分も中間層20に該当する。すなわち、中間層20は、透明基材層10を構成する材料の少なくとも一部、および防眩層30に含まれるバインダー樹脂の少なくとも一部を含み得る。中間層20は、透明基材層10を構成する材料と防眩層30に含まれるバインダー樹脂とが相溶して形成された層であってもよい。また、中間層20は、透明基材層10および防眩層20の両方に接する層である。なお、図示していないが、防眩フィルムは、防眩層の透明基材層とは反対側の面に、反射防止層をさらに備えていてもよい。反射防止層は、任意の適切な方法で形成され得る。
上記中間層の厚み(図1における厚みb)は、上記防眩層の厚み(図1における厚みa)に対して、0.1%~123%である。上記防眩層の厚みに対する中間層の厚み比の下限は、好ましくは1%であり、より好ましくは3%である。また、上記防眩層の厚みに対する中間層の厚み比の上限は、好ましくは100%であり、より好ましくは85%であり、さらに好ましくは65%である。なお、中間層、防眩層および透明基材層の厚みは、防眩フィルムの断面を顕微鏡(例えば、TEM)で観察し、中間層と、樹脂層および接着剤層の界面を特定して測定され得る。図2に、防眩フィルムの断面のTEM写真の一例を示す。図2においては、中間層と、樹脂層および接着剤層との界面近傍が拡大して示されている。界面の特定には、所定の分析法(例えば、飛行時間型二次イオン質量分析法)を用いてもよい。このような方法は、顕微鏡により界面が特定し難い場合に用いられ得る。また、防眩層の厚みは、防眩層表面の平坦部から、防眩層と中間層との界面との距離を意味する。
本発明においては、防眩層を形成した際に形成される上記中間層の厚みが厚くなりすぎないよう、上記比率に制御することにより、ギラツキを抑制し得る防眩フィルムを得ることができる。本発明の防眩フィルムは、高精細な画像表示装置に適用しても、十分なギラツキ抑制効果を発現し得る。また、本発明の防眩フィルムは、当該防眩フィルムの背面に比較的厚い光学部材(例えば、ガラス、偏光板、位相差フィルム)が配置され、視認面と画像表示セル(例えば、液晶セル)との距離が長い画像表示装置に対しても、ギラツキ抑制効果を発現し得る。また、本発明の防眩フィルムは、防眩層の内部ヘイズを比較的小さくしても、ギラツキが生じ難く、そのため、透明性に優れる。さらに、防眩層の厚みに対する中間層の厚みの比率を123%以下とすることにより、耐擦傷性に優れる防眩層が形成され得る。
また、防眩層の厚みに対する中間層の厚みの比率を0.1%以上とすることにより、防眩層と透明基材層(樹脂フィルム)との密着性に優れる防眩フィルムを得ることができる。このような効果は、防眩層の厚みに対する中間層の厚みの比率を3%以上とすることにより、顕著となる。さらに、防眩層の厚みに対する中間層の厚みの比率を3%以上(より好ましくは10%以上)とすることにより、防眩層中で上記粒子が分散性よく(凝集が少ない状態で)存在し得、その結果、ギラツキを抑制し得る防眩フィルムを得ることができる。
上記中間層の厚みは、好ましくは0.1μm~30μmであり、より好ましくは0.3μm~20μmであり、さらに好ましくは1μm~10μmであり、特に好ましくは1.5μm~5μmである。
上記防眩層の厚みは、好ましくは0.5μm~300μmであり、より好ましくは2μm~200μmであり、さらに好ましくは4μm~100μmであり、特に好ましくは4μm~50μmであり、最も好ましくは4μm~10μmである。このような範囲であれば、画像表示装置の視認性を阻害し難い防眩フィルムを得ることができる。また、上記粒子との組み合わせにより、凹凸形状が良好な防眩層とすることができる。
上記透明基材層の厚み(図1における厚みc)は、好ましくは10μm~500μmであり、より好ましくは20μm~300μmであり、さらに好ましくは30μm~100μmである。
上記防眩フィルムの厚みは、好ましくは15μm~500μmであり、より好ましくは25μm~300μmであり、さらに好ましくは30μm~100μmである。
B.防眩層
上記防眩層は、バインダー樹脂と粒子とを含む。該防眩層は、例えば、透明基材層を構成する樹脂フィルム上に防眩層形成用組成物を塗布し、その後、該組成物を硬化して形成される。防眩層形成用組成物は、硬化性化合物、粒子、溶媒等を含み得る。
上記バインダー樹脂は、硬化性化合物を由来とする樹脂であり、該樹脂としては、例えば、熱硬化性樹脂、活性エネルギー線硬化性樹脂等が挙げられる。
上記バインダー樹脂の屈折率(n1)は、好ましくは1.3~1.7であり、より好ましくは1.4~1.6である。「バインダー樹脂の屈折率(n1)」とは、防眩層においてバインダー樹脂で構成される領域の屈折率を意味し、粒子が存在しないと仮定した際の防眩層の屈折率に相当する。
好ましくは、上記防眩層形成用組成物は、主成分となる硬化性化合物として、多官能モノマー、多官能モノマー由来のオリゴマーおよび/または多官能モノマー由来のプレポリマーを含む。多官能モノマーとしては、例えば、多官能アクリル系モノマーが挙げられる。具体的には、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジメチロールプロパントテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジアクリレート、1,10-デカンジオール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、エトキシ化グリセリントリアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート等が挙げられる。多官能モノマーは、単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。
1つの実施形態においては、硬化性化合物として、水酸基を有する多官能モノマーが用いられる。水酸基を有する多官能モノマーを含む防眩層形成用組成物を用いれば、透明基材層(樹脂フィルム)と防眩層との密着性を向上させることができる。水酸基を有する多官能モノマーの具体例としては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等が挙げられる。
上記多官能モノマー、多官能モノマー由来のオリゴマーおよび多官能モノマー由来のプレポリマーの含有割合は、防眩層形成用組成物中のモノマー、オリゴマーおよびプレポリマーの合計量に対して、好ましくは10重量%~100重量%であり、より好ましくは30重量%~95重量%であり、特に好ましくは40重量%~95重量%である。官能モノマー、多官能モノマー由来のオリゴマーおよび多官能モノマー由来のプレポリマーの含有割合を10重量%以上とすることにより、透明基材層(樹脂フィルム)と防眩層との密着性を向上させることができる。また、当該含有割合を95重量%以下とすることにより、ギラツキ抑制効果のより高い防眩フィルムを得ることができる。
上記防眩層形成用組成物は、単官能モノマーをさらに含んでいてもよい。単官能モノマーとしては、例えば、エトキシ化o-フェニルフェノール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、ラウリルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソホロニルアクリレート、ベンジルアクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシアクリレート、アクリロイルモルホリン、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチルアクリルアミド等が挙げられる。
上記単官能モノマーは、水酸基を有していてもよい。水酸基を有する単官能モノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシアクリレート、1,4-シクロヘキサンメタノールモノアクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;N-(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド等のN-(2-ヒドロキシアルキル)(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。なかでも好ましくは、4-ヒドロキシブチルアクリレート、N-(2-ヒドロキシエチル)アクリルアミドである。
上記防眩層形成用組成物は、ウレタン(メタ)アクリレートおよび/またはウレタン(メタ)アクリレートのオリゴマーを含んでいてもよい。ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸エステルとポリオールとから得られるヒドロキシ(メタ)アクリレートを、ジイソシアネートと反応させることにより得ることができる。ウレタン(メタ)アクリレートおよびウレタン(メタ)アクリレートのオリゴマーは、単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。
上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、トリシクロデカンジメチロール、1,4-シクロヘキサンジオール、スピログリコール、水添ビスフェノールA、エチレンオキサイド付加ビスフェノールA、プロピレンオキサイド付加ビスフェノールA、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、3-メチルペンタン-1,3,5-トリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、グルコース類等が挙げられる。
上記ジイソシアネートとしては、例えば、芳香族、脂肪族または脂環族の各種のジイソシアネート類を使用することができる。上記ジイソシアネートの具体例としては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、4,4-ジフェニルジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、3,3-ジメチル-4,4-ジフェニルジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート、およびこれらの水添物等が挙げられる。
上記のとおり、防眩層は粒子を含む。該粒子を含むことにより、防眩層表面を凹凸面とすることができる。また、防眩層のヘイズ値を制御することができる。上記粒子としては、例えば、無機粒子、有機粒子等が挙げられる。無機粒子の具体例としては、例えば、酸化ケイ素粒子、酸化チタン粒子、酸化アルミニウム粒子、酸化亜鉛粒子、酸化錫粒子、炭酸カルシウム粒子、硫酸バリウム粒子、タルク粒子、カオリン粒子、硫酸カルシウム粒子等が挙げられる。有機粒子の具体例としては、例えば、ポリメチルメタクリレート樹脂粒子(PMMA粒子)、シリコーン樹脂粒子、ポリスチレン樹脂粒子、ポリカーボネート樹脂粒子、アクリルスチレン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、ポリオレフィン樹脂粒子、ポリエステル樹脂粒子、ポリアミド樹脂粒子、ポリイミド樹脂粒子、ポリフッ化エチレン樹脂粒子等が挙げられる。上記粒子は、単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。
上記粒子の重量平均粒径は、好ましくは1μm~10μmであり、より好ましくは2μm~7μmである。このような範囲であれば、防眩性により優れ、かつ、白ボケを防止し得る防眩性フィルムを得ることができる。粒子の重量平均粒径は、コールターカウント法により測定され得る。なお、防眩層中あるいは防眩層形成用組成物中において、上記粒子は、1次粒子の形態および/または1次粒子が凝集した形態で存在し得るが、本明細書において「粒子の重量平均粒径」とは、粒子形態にかかわらず、防眩層形成用組成物中の粒子について、コールターカウント法により測定される重量平均粒径を意味する。
上記防眩層の厚みと上記粒子の重量平均粒径との比(粒子の重量平均粒径/防眩層の厚み)は、好ましくは0.15~2.0であり、より好ましくは0.3~0.9であり、さらに好ましくは0.35~0.8である。このような範囲であれば、防眩性に優れ、かつ、ギラツキ抑制効果のより大きい防眩層を形成することができる。
上記粒子の屈折率(n2)は、好ましくは1.1~1.9であり、より好ましくは1.3~1.7である。このような屈折率を有する粒子としては、例えば、シリコーン粒子、ポリスチレン粒子、ポリメタクリル酸メチル、スチレンとメタクリル酸の共重合体等が挙げられる。
上記バインダー樹脂の屈折率(n1)に対する上記粒子の屈折率(n2)の比(n2/n1)は、好ましくは0.8~1.2であり、より好ましくは0.9~1.1である。このような範囲であれば、透明性およびギラツキ抑制効果に優れる防眩フィルムを得ることができる。
上記バインダー樹脂の屈折率(n1)と上記粒子の屈折率(n2)との差の絶対値|n1-n2|は、好ましくは0.5以下であり、より好ましくは0.3以下である。このような範囲であれば、透明性およびギラツキ抑制効果に優れる防眩フィルムを得ることができる。
上記粒子の形状は、特に限定されず、例えば、ビーズ状等の略球状であってもよく、粉末等の不定形状であってもよい。好ましくは、アスペクト比が1.5以下の略球状の粒子であり、より好ましくは球状の粒子である。
上記防眩層において、粒子の含有割合は、バインダー樹脂100重量部に対して、好ましくは0.2重量部~12重量部であり、より好ましくは0.5重量部~12重量部であり、さらに好ましくは1重量部~9重量部であり、特に好ましくは1重量部~7重量部である。このような範囲であれば、防眩性により優れ、かつ、白ボケを防止し得る防眩性フィルムを得ることができる。
上記防眩層形成用組成物中において、上記粒子は、分散性よく(凝集が少ない状態で)存在していることが好ましい。粒子の分散性(分散度合い)は、レーザー回折散乱式粒度分布測定法、動的光散乱法、静的光散乱法等による粒度分布測定から評価することができる。また、走査電子顕微鏡等による顕微鏡観察により測定することができる。
防眩層形成用組成物中の粒子の分散性をレーザー回折散乱式粒度分布測定法による粒度分布で評価した場合、D50(体積累積50%における粒径)と体積累積粒径D90(体積累積90%における粒径)との差の絶対値は、5μm以下であることが好ましく、3μm未満であることがより好ましく、1μm未満であることがさらに好ましく、0μm以上1μm未満であることが特に好ましい。このような範囲であれば、適切な表面形状を有する防眩層を形成することができる。
防眩層形成用組成物中の粒子の分散性をレーザー回折散乱式粒度分布測定法による粒度分布で評価した場合、粒径1μm以上5μm未満の粒子の含有割合は、該組成物中の粒子の全量に対して、50重量%を超えることが好ましく、70重量%以上であることがより好ましく、80重量%~100重量%であることがさらに好ましい。このような範囲であれば、適切な表面形状を有する防眩層を形成することができる。
上記防眩層形成用組成物は凝集性フィラーをさらに含み得る。すなわち、上記防眩層は、凝集性フィラーをさらに含み得る。凝集性フィラーを凝集させることにより、防眩層表面の凹凸形状をより厳密に制御することができる。凝集性フィラーの凝集状態は、該フィラーの性質(例えば、表面の化学的修飾状態、バインダー樹脂に対する親和性、防眩層形成用組成物に含まれる溶媒に対する親和性)、防眩層形成用組成物に含まれる溶媒の種類等により調整することができる。
上記凝集性フィラーとしては、例えば、有機粘土、酸化ポリオレフィン、変性ウレア等が挙げられる。なかでも好ましくは、有機粘土である。
上記有機粘土としては、例えば、スメクタイト、タルク、ベントナイト、モンモリロナイト、カオリナイト等が挙げられる。なかでも好ましくはスメクタイトである。有機粘土として市販品を用いてもよい。市販品の有機粘土としては、例えば、コープケミカル社製の商品名「ルーセンタイトSAN」、商品名「ルーセンタイトSTN」、商品名「ルーセンタイトSEN」、商品名「ルーセンタイトSPN」、商品名「ソマシフME-100」、商品名「ソマシフMAE」、商品名「ソマシフMTE」、商品名「ソマシフMEE」、商品名「ソマシフMPE」;ホージュン社製の商品名「エスベン」、商品名「エスベンC」、商品名「エスベンE」、商品名「エスベンW」、商品名「エスベンP」、商品名「エスベンWX」、商品名「エスベンN-400」、商品名「エスベンNX」、商品名「エスベンNX80」、商品名「エスベンNO12S」、商品名「エスベンNEZ」、商品名「エスベンNO12」、商品名「エスベンNE」、商品名「エスベンNZ」、商品名「エスベンNZ70」、商品名「オルガナイト」、商品名「オルガナイトD」、商品名「オルガナイトT」;クニミネ工業社製の商品名「クニピアF」、商品名「クニピアG」、商品名「クニピアG4」;ロックウッド・アディティブズ社製の商品名「チクソゲルVZ」、商品名「クレイトンHT」、商品名「クレイトン40」等が挙げられる。
上記酸化ポリオレフィンとしては、例えば、楠本化成社製の商品名「ディスパロン4200-20」、共栄社化学社製の商品名「フローノンSA300」等が挙げられる。
上記変性ウレアは、イソシアネート単量体またはそのアダクト体と有機アミンとの反
応物である。変性ウレアとしては、例えば、ビッグケミー社製の商品名「BYK410」等が挙げられる。
上記凝集性フィラーの含有割合は、上記バインダー樹脂100重量部に対して、好ましくは0.2重量部~5重量部であり、より好ましくは0.4重量部~4重量部である。
上記防眩層形成用組成物は、好ましくは、任意の適切な光重合開始剤を含む。光重合開始剤としては、例えば、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、キサントン、3-メチルアセトフェノン、4-クロロベンゾフェノン、4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、N,N,N’,N’-テトラメチル-4,4’-ジアミノベンゾフェノン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、チオキサントン系化合物等が挙げられる。
好ましくは、上記防眩層形成用組成物は、溶媒を含む。溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、2-メトキシエタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;ジイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル類;エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類;エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類;ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。なかでも、シクロペンタノン、メチルエチルケトン、トルエンおよび/またはキシレンを用いることが好ましい。
1つの実施形態においては、上記溶媒として、シクロペンタノンおよび/またはメチルエチルケトンを含む混合溶媒(例えば、シクロペンタノンとトルエンとを含む混合溶媒、メチルエチルケトンとトルエンとを含む混合溶媒)が用いられる。このような混合溶媒を用いれば、シクロペンタノンまたはメチルエチルケトンの含有割合により中間層の厚みを調整することができる。混合溶媒中のシクロペンタノンまたはメチルエチルケトンの含有割合は、混合溶媒全量に対して、好ましくは1重量%~50重量%であり、より好ましくは3重量%~50重量%である。さらに好ましくは、シクロペンタノンとトルエンとの混合溶媒であり、シクロペンタノンの含有割合が1重量%~50重量%である混合溶媒が用いられる。このような混合溶媒を含む防眩層形成用組成物を用いれば、防眩フィルムの透明基材層として好適な樹脂フィルム(例えば、トリアセチルセルロースフィルム)に対して、好ましい厚みの中間層を形成しつつ、防眩層を形成することができる。
1つの実施形態においては、上記溶媒のSP値は、好ましくは7~12(cal/cm1/2であり、より好ましくは8~11(cal/cm1/2である。このような範囲であれば、防眩フィルムの透明基材層として好適な樹脂フィルム(例えば、トリアセチルセルロースフィルム)に対して、好ましい厚みの中間層を形成しつつ、防眩層を形成することができる。なお、SP値は、Smallの式によって算出される溶解度パラメータである。SP値の計算は、公知の文献(例えば、Journal of Applied Chemistry,3,71,1953.など)に記載された方法で行うことができる。また、溶媒が混合溶媒である場合には、該混合溶媒のSP値は、混合溶媒を構成する各溶媒のモル分率に基づいて計算され得る。
上記防眩層形成用組成物の固形分濃度は、好ましくは20重量%~80重量%であり、より好ましくは25重量%~60重量%であり、さらに好ましくは30重量%~50重量%である。
上記防眩層形成用組成物は、任意の適切な添加剤をさらに含み得る。添加剤としては、例えば、レベリング剤、ブロッキング防止剤、分散安定剤、揺変剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、消泡剤、増粘剤、分散剤、界面活性剤、触媒、滑剤、帯電防止剤等が挙げられる。
上記防眩層は、上記防眩層形成用組成物を樹脂フィルムに塗布した後に硬化させて得ることができる。当該塗布工程の際に、樹脂フィルムと、防眩層形成用組成物(具体的には、該組成物中の硬化性化合物および/または溶媒)との相溶領域が形成され、上記硬化工程を経て、該相溶領域が中間層となり得る。防眩層形成用組成物の塗布方法としては、任意の適切な方法を採用し得る。例えば、バーコート法、ロールコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、スロットオリフィスコート法、カーテンコート法、ファウンテンコート法、コンマコート法が挙げられる。
なお、1つの実施形態においては、上記防眩層形成用組成物を樹脂フィルムに塗布した後、硬化する前(あるは硬化処理中)において、塗布層が形成された樹脂フィルムを傾斜または回転させる。防眩層形成用組成物中に凝集性フィラーを含む場合、このような操作を行うことにより、凝集性フィラー同士の接触が促進されて、凝集性フィラーを適切に凝集(せん断凝集)させることができる。例えば、上記傾斜または回転における、傾斜角または回転速度を調整することにより、凝集性フィラーの凝集状態を制御することができる。
上記防眩層形成用組成物の硬化方法としては、任意の適切な硬化処理が採用され得る。代表的には、硬化処理は紫外線照射により行われる。紫外線照射の積算光量は、好ましくは50mJ/cm~500mJ/cmである。
上記防眩層の一方の表面は凹凸面であることが好ましい。該凹凸面の平均間隔Smは、好ましくは150μm~350μmであり、より好ましくは160μm~300μmであり、さらに好ましくは180μm~250μmである。
上記凹凸面の平均傾斜角θaは、好ましくは0.1°~2.5°であり、より好ましくは0.2°~2.0°であり、さらに好ましくは0.3°~1.5°である。
上記凹凸面の算術平均表面粗さRaは、好ましくは0.05μm~0.5μmであり、より好ましくは0.08μm~0.3μmであり、さらに好ましくは0.1μm~0.25μmである。
なお、凹凸面の平均間隔Sm、平均傾斜角θa、算術表面粗さRaの定義は、JIS B 0601(1994年版)に基づく。また、これらの特性値は、触針式表面粗さ測定器(例えば、小阪研究所製、高精度微細形状測定器、商品名「サーフコーダET4000」)により測定することができる。なお、平均傾斜角θaは、θa=tan-1Δaの式で定義される値である。Δaは、JIS B 0601(1994年版)に規定される粗さ曲線において隣り合う凸部の頂点と凹部の最下点との差(高さh)の合計(h1+h2+h3+・・・・・・・+hn)から粗さ曲線の基準長さLを除した値であり、すなわち、Δa=(h1+h2+h3+・・・・・・・+hn)/Lの式で表される。
本発明の防眩フィルムは、上記のような表面形状(凹凸面の平均間隔Sm、平均傾斜角θa、算術表面粗さRa)を有する防眩層を備えることにより、優れた防眩性および透明性を維持しつつ、ギラツキを抑制することができる。特に、平均間隔Sm、平均傾斜角θaおよび算術表面粗さRaのすべてを上記範囲とすることにより、防眩フィルムの背面に比較的厚い光学部材(例えば、ガラス、偏光板、位相差フィルム)が配置され、視認面と画像表示セル(例えば、液晶セル)との距離が長い画像表示装置に対しても、ギラツキ抑制効果を得ることができる。防眩層の表面形状は、例えば、防眩層に含まれる粒子の種類、粒径および/または含有量、防眩層と粒子の粒径との関係、凝集性フィラーの種類および/または含有量、防眩層形成用組成物の固形分濃度等により制御することができる。
好ましくは、凹凸面の平均間隔Sm(μm)、平均傾斜角θa(°)および算術表面粗さRa(μm)は、0≦Ra/Sm×θa×1000≦4の関係を示し、より好ましくは0.1≦Ra/Sm×θa×1000≦3.6の関係を示し、さらに好ましくは0.15≦Ra/Sm×θa×1000≦2.5の関係を示す。平均間隔Sm(μm)、平均傾斜角θa(°)および算術表面粗さRa(μm)の関係を上記特定の関係とすることにより、本発明の効果はより顕著となる。
上記防眩層のヘイズは、好ましくは40%未満であり、より好ましくは35%以下であり、さらに好ましくは10%~30%である。本発明によれば、防眩層の透明性を損なうことなく、すなわち、防眩層のヘイズを上昇させることなく、優れた防眩性を有し、かつ、ギラツキ抑制効果に優れた防眩フィルムを得ることができる。ヘイズは、JIS K 7136(2000年版)に準じて測定することができる。
C.透明基材層
上記透明基材層は、樹脂フィルムから形成され得る。透明基材層は、樹脂フィルム中、中間層が形成されなかった部分に該当する。透明基材層を構成する樹脂フィルムとしては、可視光線透過性を有する限り任意の適切なフィルムが用いられ得る。上記樹脂フィルムとしては、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ノルボルネン構造を有するポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート系樹脂等から構成される樹脂フィルムが挙げられる。なかでも好ましくは、トリアセチルセルロース(TAC)系樹脂から構成される樹脂フィルムである。
上記樹脂フィルムを構成する樹脂のSP値は、好ましくは10(cal/cm1/2以上であり、より好ましくは15(cal/cm1/2以上であり、さらに好ましくは20(cal/cm1/2以上である。このような範囲であれば、適切な厚みの中間層が形成され得る。上記樹脂のSP値の上限は、例えば、30(cal/cm1/2以下であり、好ましくは28(cal/cm1/2以下であり、より好ましくは25(cal/cm1/2以下である。1つの実施形態においては、上記防眩層形成用組成物に含まれる溶媒のSP値と、上記樹脂フィルムを構成する樹脂のSP値との差(樹脂SP値-溶媒SP値)は、好ましくは-10~20(cal/cm1/2であり、より好ましくは5~20(cal/cm1/2であり、10~14(cal/cm1/2である。
上記透明基材層の屈折率は、好ましくは1.30~1.80である。
D.画像表示装置
図3は、本発明の防眩フィルムを用いた画像表示装置の一例について、その一部示す概略断面図である。画像表示装置200は、防眩フィルム100と、画像表示セル40とを備える。好ましくは、防眩フィルム100は透明基材層10を画像表示セル40側にして配置される。防眩フィルム100と画像表示セル40との間には、任意の適切な光学部材Aが配置され得、防眩層30と画像表示セル40との間には所定のギャップXが形成される。光学部材Aとしては、例えば、ガラス基板、偏光板、位相差フィルム、接着剤層、粘着剤層等が挙げられる。防眩フィルム100と画像表示セル40との間には、単独の光学部材が配置されていてもよく、複数個、複数種の光学部材が配置されていてもよい。
上記画像表示セルとしては、任意の適切な画像表示セルが用いられ得る。例えば、上記画像表示装置が液晶表示装置の場合は液晶セル、有機EL画像表示装置の場合は有機EL素子が、画像表示セルに該当する。液晶セルは代表的には、一対の基板と、該基板間に配された表示媒体としての液晶層とを有する。
防眩フィルムにおける防眩層と画像表示セルとのギャップXは、好ましくは100μm~700μmである。比較的厚いガラス基板を備え、ギャップXが100μm以上であれば、耐熱性および強度に優れる画像表示装置を得ることができる。ギャップXの下限は、より好ましくは150μm以上である。ガラス基板を厚くすることにより、耐熱性・強度向上の効果が顕著となる。本発明の防眩フィルムは、該ギャップXが大きい場合にも、ギラツキを抑制することができるため、該防眩フィルムを用いれば、耐熱性・強度向上とギラツキ抑制とを両立することができる。なお、ギャップXを規定する光学部材はガラス基板に限らず、任意適切な部材が配置され得る。したがって、ギャップXを大きくし得ることの効果は、耐熱性・強度向上に限らず、本発明によれば、厚みの制約が小さいことから設計自由度の高い画像表示装置を提供することもできる。一方、ギャップXが700μm以下であれば、ギラツキの少ない画像表示装置を得ることができる。ギャップXの上限は、より好ましくは650μm以下である。ギャップXが650μm以下であれば、よりギラツキの少ない画像表示装置を得ることができる。なお、防眩フィルムにおける防眩層と画像表示セルとのギャップXとは、防眩層の背面(画像表示セル側の面)と画像表示セルの視認側面(防眩フィルム側の面)とがなす距離を意味する。したがって、ギャップXは、防眩フィルム100と画像表示セル40との間に配置される光学部材Aの総厚(例えば、偏光板、ガラス基板および/または粘着剤層の合計厚み)と、防眩フィルムにおける透明基材層と、中間層との合計厚みに該当する。また、画像表示セルが液晶セルの場合は、該液晶セルが備える視認側基板の視認側面と、防眩層の背面との距離が上記ギャップXである。
より具体的には、本発明の防眩フィルムは、比較的厚いガラス基板(例えば、厚みが100μm~700μmのガラス基板)を備える画像表示装置に好適に用いられる。従来、耐熱性、強度等が要求される用途(例えば、車載用途)においては、ガラス基板を厚くすることにより耐熱性を高めている。しがしながら、ガラス基板を厚くするに伴い、すなわち、上記ギャップXを厚くするにともない、防眩フィルムを適用した場合に生じるギラツキが大きくなるということを、本発明の発明者らは見いだした。すなわち、本発明の防眩フィルムは、当該課題を解決し得るものであり、車載用途の画像表示装置に好適に用いられ得る。また、本発明の防眩フィルムを用いることの効果は、高精細な画像表示装置に対して、より顕著となる。
上記画像表示装置は、任意の適切な部材をさらに含み得る。例えば、画像表示セルの背面側に設けられる偏光板、光学フィルム、バックライト等をさらに含み得る。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。実施例における評価方法は以下のとおりである。
(1)粒子の重量平均粒径
なお、粒子の重量平均粒径は、コールターカウント法により、測定した。具体的には、防眩層形成用組成物について、細孔電気抵抗法を利用した粒度分布測定装置(ベックマン・コールター社製、商品名「コールターマルチサイザー」)を用い、粒子が細孔を通過する際の粒子の体積に相当する電解液の電気抵抗を測定することにより、粒子の数と体積を測定し、重量平均粒径を算出した。
また、粒子の「|D90-D50|」は、日機装社製の「MicrotracUPA(型番)」を用いたレーザー回折散乱式粒度分布測定法により得られるD50(体積累積50%における粒径)と体積累積粒径D90(体積累積90%における粒径)との差の絶対値を意味する。
(2)各層の厚み
各層の厚みは、断面を光学顕微鏡(キーエンス社製、商品名「VHX-700F」)またはTEM(Hitachi社製、商品名「H-7650」)で観察して測定した。光学顕微鏡による観察の際には、樹脂包埋を行った防眩フィルムをミクロトームにより切断して、観察用サンプルを作製した。また、TEMによる観察の際には、重金属染色処理を含む超薄切片法によりサンプルを作製した。
(3)屈折率
屈折率は、アタゴ社製のアッベ屈折率計(商品名:DR-M2/1550)を用い、中間液としてモノブロモナフタレンを選択し、測定対象の測定面に対して測定光を入射させるようにして、前記装置に示される規定の測定方法により測定を行った。
(4)ギラツキ評価
バックライト(ハクバ写真産業社製、商品名「ライトビューワー5700」)上にガラス板(厚み:700μm)を配置し、該ガラス板のバックライトとは反対側の面に、ブラックマトリックスパターンを配置して評価用テーブルを準備した。
この評価用テーブル上に、ギャップXの一部を構成する部材Aとして、TACフィルム(厚み:80μm)4枚と粘着剤層(厚み:20μm)4層とをそれぞれ交互に積層し、さらにTACフィルム(厚み:40μm)と粘着剤層(厚み:20μm)とを積層した。
上記部材Aの上に、透明基材層を下にして(すなわち、粘着剤層と透明基材層とが対向するようにして)、実施例および比較例で得られた防眩フィルムを配置した。なお、このような構成は、ギャップXが500μm(=TAC80μm×4+TAC40μm×1+粘着剤層20μm×5+透明基材層と中間層との合計40μm)である場合のギラツキを評価する構成である。
次いで、防眩フィルムに光を照射して、防眩フィルムに生じるギラツキを、下記の基準で評価した。
なお、ブラックマトリックスパターンの精細度は、105ppi、200ppi、267ppiとし、それぞれの精細度について上記評価を行った。
A:ギラツキがみられない
B:ギラツキがほとんどない
C:ギラツキが多少みられるが、実用上問題がない程度である
D:ギラツキはあるが、実用上問題がない程度である
E:実用上問題のあるギラツキがみられた
(5)防眩層凹凸面の形状(Ra、Sm、θa)
JIS B0601(1994年度版)に従って、平均凹凸間距離Sm(mm)および算術平均表面粗さRa(μm)を測定した。具体的には、防眩フィルムの透明基材層の防眩層とは反対側の面に、ガラス板(MATSUNAMI社製、MICRO SLIDE GLASS、品番S、厚み1.3mm、45×50mm)を粘着剤で貼り合わせ、試料を作製した。先端部(ダイヤモンド)の曲率半径R=2μmの測定針を有する触針式表面粗さ測定器((株)小阪研究所製、高精度微細形状測定器、商品名「サーフコーダET4000」)を用い、走査速度0.1mm/秒、カットオフ値0.8mm、測定長4mmの条件で、前記試料における防眩層の表面形状を一定方向に測定し、平均凹凸間距離Sm(mm)および算術平均表面粗さRaを求めた。また、得られた表面粗さ曲線から平均傾斜角度θa(°)を求めた。なお、前記高精度微細形状測定器は、前記各測定値を自動算出する。
(6)ヘイズ値
(全体ヘイズ)
JIS K 7136(2000年版)のヘイズ(曇度)に準じ、ヘイズメーター(村上色彩技術研究所製、商品名「HM-150」)を用いて測定した。
(内部ヘイズ)
防眩フィルムの防眩層表面(透明基材層とは反対側の面)に、トリアセチルセルロース(TAC)フィルムを貼着して得られた評価試料のヘイズ値を、上記方法で測定して得られた値を内部ヘイズとした。
(7)白ボケ
透明基材層の防眩層とは反対側の面に、黒色アクリル板(三菱レイヨン社製、厚み:2mm)を粘着剤を介して貼り合わせ、裏面反射の影響を抑えた評価試料を作製した。
照度1000Lxの環境下(ディスプレイを用いる一般的なオフィス環境に相当)、該評価試料の上面に対し、垂直方向を基準(0°)として60°の方向から、白ボケ現象の程度を目視により観察し、下記の評価基準で評価した。
○:白ボケが見られない
×:視認性を著しく低下させるほどの強い白ボケが見られる
(8)防眩性
透明基材層の防眩層とは反対側の面に、黒色アクリル板(三菱レイヨン社製、厚み:2mm)を粘着剤を介して貼り合わせ、裏面反射の影響を抑えた評価試料を作製した。
照度1000Lxの環境下(ディスプレイを用いる一般的なオフィス環境に相当)、該評価試料を蛍光灯(三波長光源)で照らし、防眩フィルムの防眩性を、下記の評価基準で目視にて評価した。
○:視認性に影響するような像の映り込みが生じない
×:像の映り込みがあり、実用上の問題が生じる
(9)外観
評価サンプルとして防眩フィルム1mを用意し、暗室内で、該フィルムに蛍光灯(100Lx)からの光を透過させ、30cm離れた目視にて外観を確認した。確認された外観欠点について、目盛り付きのルーペを用いて観察し、外観欠点の大きさ(最大径)を測定し、100μm以上の異物、気泡およびキズと、200μm以上のブツ(突起物)との個数をカウントした。
○:200μm以上のブツや100μm以上の異物・気泡・キズが一ヶ所もない。また、黒締りが良い。
×:200μm以上のブツや100μm以上の異物・気泡・キズが見られる。また、白ボケが見られる。
(10)透過率
日立ハイテク社製の分光高度計(U-4100)を用いて、波長範囲200nm~800nmで透過率スペクトルを測定し、波長380nmにおける透過率を読み取った。評価用サンプルのサイズは、50mm角とした。
〇:透過率が90%以上
×:透過率が90%未満
[実施例1]
バインダー樹脂としてのペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA;大阪有機化学社製、商品名「ビスコート♯300」)50重量部およびウレタンアクリレートプレポリマー(新中村化学工業社製、商品名「UA-53H-80BK」)50重量部と、シリコーン粒子(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、商品名「トスパール130」、重量平均粒径:3μm、|D90-D50|:2.5μm、屈折率:1.42)3.5重量部と、有機粘土である合成スメクタイト(コープケミカル社製、商品名「ルーセンタイトSAN」)2重量部と、光重合開始剤(BASF社製、商品名「イルガキュア907」)3重量部と、レベリング剤(DIC社製、商品名「PC4100」、固形分10%)0.2重量部とを混合し、トルエン/シクロペンタノン(CPN)混合溶媒(重量比トルエン/シクロペンタノン=70/30)で希釈して、固形分濃度33重量%の防眩層形成用組成物Iを調製した。なお、有機粘土は、トルエンで固形分が6重量%になるよう希釈して用いた。
トリアセチルセルロース(TAC)フィルム(コニカミノルタオプト社製、商品名「KC4UA」、厚み:40μm)に、上記防眩層形成用組成物Iをコンマコーター(登録商標)を用いて塗布し、80℃で1分間加熱した後、高圧水銀ランプにて積算光量300mJ/cmの紫外線を照射して、透明基材層と防眩層(厚み:6.3μm)とを備え、透明基材層と防眩層との間に厚み1.7μmの中間層が形成された防眩フィルムを得た。防眩層においてバインダー樹脂により構成される領域の屈折率は、1.53であった。
得られた防眩フィルムを上記(4)~(10)の評価に供した。結果を表1および表2に示す。
[実施例2]
シリコーン粒子(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、商品名「トスパール130」)3.5重量部に代えて、ポリスチレン粒子(積水化成品工業社製、商品名「テクポリマー」、重量平均粒径:3μm、|D90-D50|:2.5μm、屈折率:1.59)5重量部を用い、トルエン/シクロペンタノン(CPN)混合溶媒(重量比トルエン/シクロペンタノン=70/30)に代えて、トルエン/シクロペンタノン(CPN)混合溶媒(重量比トルエン/シクロペンタノン=50/50)を用いて、防眩層形成用組成物IIを調製し、かつ、該防眩層形成用組成物IIの固形分濃度を35重量%としたこと以外は、実施例1と同様にして、防眩フィルム(防眩層厚み:4μm、中間層厚み:4μm)を得た。防眩層においてバインダー樹脂により構成される領域の屈折率は、1.53であった。
得られた防眩フィルムを上記(4)~(10)の評価に供した。結果を表1および表2に示す。
[実施例3]
ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA;大阪有機化学社製、商品名「ビスコート♯300」)の配合量を90重量部とし、ウレタンアクリレートプレポリマー(新中村化学工業社製、商品名「UA-53H-80BK」)の配合量を10重量部とし、シリコーン粒子(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、商品名「トスパール130」)の配合量を4.25重量部とし、光重合開始剤(BASF社製、商品名「イルガキュア907」)の配合量を2.5重量部とし、固形分濃度を31.5重量%となるようにして防眩層形成用組成物IIIを調製したこと以外は、実施例1と同様にして、防眩フィルム(防眩層厚み:4.8μm、中間層厚み:3.2μm)を得た。防眩層においてバインダー樹脂により構成される領域の屈折率は、1.53であった。
得られた防眩フィルムを上記(4)~(10)の評価に供した。結果を表1および表2に示す。
[実施例4]
ペンタエリスリトールトリアクリレート(大阪有機化学社製、商品名「ビスコート♯300」)の配合量を10重量部とし、ウレタンアクリレートプレポリマー(新中村化学工業社製、商品名「UA-53H-80BK」)90重量部としたこと以外は、実施例3と同様にして、防眩フィルム(防眩層厚み:6.8μm、中間層厚み:1.2μm)を得た。防眩層においてバインダー樹脂により構成される領域の屈折率は、1.53であった。
得られた防眩フィルムを上記(4)~(10)の評価に供した。結果を表1および表2に示す。
[実施例5]
ペンタエリスリトールトリアクリレート(大阪有機化学社製、商品名「ビスコート♯300」)の配合量を50重量部とし、ウレタンアクリレートプレポリマー(新中村化学工業社製、商品名「UA-53H-80BK」)50重量部とし、さらに、トルエン/シクロペンタノン混合溶媒(重量比トルエン/シクロペンタノン=70/30)に代えて、トルエン/シクロペンタノン混合溶媒(重量比トルエン/シクロペンタノン=97/3)を用いたこと以外は、実施例3と同様にして防眩フィルムを得た(防眩層厚み:7.6μm、中間層厚み:0.4μm)。防眩層においてバインダー樹脂により構成される領域の屈折率は、1.53であった。
得られた防眩フィルムを上記(4)~(10)の評価に供した。結果を表1および表2に示す。
[比較例1]
ペンタエリスリトールトリアクリレート(大阪有機化学社製、商品名「ビスコート♯300」)の配合量を50重量部とし、ウレタンアクリレートプレポリマー(新中村化学工業社製、商品名「UA-53H-80BK」)50重量部とし、さらに、トルエン/シクロペンタノン混合溶媒(重量比トルエン/シクロペンタノン=70/30)に代えて、トルエン/シクロペンタノン混合溶媒(重量比トルエン/シクロペンタノン=40/60)を用いたこと以外は、実施例3と同様にして防眩フィルム(防眩層厚み:2.8μm、中間層厚み:5.2μm)を得た。防眩層においてバインダー樹脂により構成される領域の屈折率は、1.53であった。
得られた防眩フィルムを上記(4)~(6)の評価に供した。結果を表1および表2に示す。
Figure 0007225137000001
Figure 0007225137000002
表1から明らかなように、本発明の防眩フィルムは、防眩層の厚みに対する中間層の厚み比が特定の範囲であることにより、防眩性および透明性に優れ、かつ、ギラツキを抑制し得る。
[参考例1-E1~E5、1-C1]
実施例1~5および比較例1と同様にして、防眩フィルムを得、該防眩フィルムそれぞれのギラツキを以下のようにして評価した。
上記評価(4)と同様にして、評価用テーブルを準備した。
この評価用テーブル上に、ギャップXの一部を構成する部材Aとして、粘着剤層(厚み:30μm)を配置した。
上記部材Aの上に、透明基材層を下にして(すなわち、粘着剤層と透明基材層とが対向するようにして)、実施例および比較例で得られた防眩フィルムを配置した。このような構成は、ギャップXが70μm(=粘着剤層30μm+透明基材層と中間層との合計40μm)である場合のギラツキを評価する構成である。
このような構成で、上記評価(4)と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
[参考例2-E1~E5、2-C1]
実施例1~5および比較例1と同様にして、防眩フィルムを得、該防眩フィルムそれぞれのギラツキを以下のようにして評価した。
上記評価(4)と同様にして、評価用テーブルを準備した。
この評価用テーブル上に、ギャップXの一部を構成する部材Aとして、TACフィルム(厚み:80μm)7枚と粘着剤層(厚み:20μm)7層とをそれぞれ交互に積層し、さらにTACフィルム(厚み:40μm)と粘着剤層(厚み:20μm)とを積層した。
上記部材Aの上に、透明基材層を下にして(すなわち、粘着剤層と透明基材層とが対向するようにして)、実施例および比較例で得られた防眩フィルムを配置した。このような構成は、ギャップXが800μm(=TAC80μm×7+TAC40μm×1+粘着剤層20μm×8+透明基材層と中間層との合計40μm)である場合のギラツキを評価する構成である。
このような構成で、上記評価(4)と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
Figure 0007225137000003
表1および表3から明らかなように、本発明の防眩フィルムを用いた画像表示装置は、ギャップXが特定範囲の場合に、顕著なギラツキ抑制効果を発揮する。なお、厚いガラス基板を備え、ギャップXが100μm以上の画像表示装置は耐久性に優れる。
10 透明基材層
20 中間層
30 防眩層
100 防眩フィルム

Claims (5)

  1. 透明基材層と、
    該透明基材層の少なくとも片側に配置され、バインダー樹脂および粒子を含む、防眩層と、
    該透明基材層と該防眩層との間に形成され、該透明基材層を構成する材料の少なくとも一部および該バインダー樹脂の少なくとも一部とを含む、中間層とを備え、
    該中間層の厚みが、該防眩層の厚みに対して、17.6%~27.2%である、
    防眩フィルム。
  2. 前記バインダー樹脂の屈折率(n1)に対する前記粒子の屈折率(n2)の比(n2/n1)が、0.8~1.2である、請求項1に記載の防眩フィルム。
  3. 前記透明基材層が樹脂フィルムから形成され、
    前記防眩層が、硬化性化合物、粒子および溶媒を含む防眩層形成用組成物を用いて形成され、
    該溶媒のSP値と、該樹脂フィルムを構成する樹脂のSP値との差(樹脂SP値-溶媒SP値)が、-10~20(cal/cm1/2である、
    請求項1または2記載の防眩フィルム。
  4. 前記防眩層の厚みと、前記粒子の重量平均粒子径との比(粒子の重量平均粒径/防眩層の厚み)が、0.15~2.0である、請求項1から3のいずれかに記載の防眩フィルム。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の防眩フィルムと、該防眩フィルムの片側に配置された画像表示セルとを備え、
    該防眩フィルムが、前記透明基材層が該画像表示セル側にして配置され、
    前記中間層と該画像表示セルとの間に、ギャップが形成され、該ギャップの大きさが100μm~700μmである、
    画像表示装置。
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