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JP7223622B2 - ポリプロピレン樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents

ポリプロピレン樹脂組成物およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ポリプロピレン樹脂組成物およびその製造方法に関する。
プロピレン系樹脂は、日用雑貨、台所用品、包装用フィルム、家電製品、機械部品、電気部品、自動車部品など、種々の分野で利用されており、要求される性能に応じて種々の改質材や添加剤が配合されたプロピレン系樹脂組成物が使用されている。また、循環型社会を形成するための3R(Reduce、Reuse、Recycle)への取り組みとして、最近各産業分野で薄肉成形品による軽量化が試みられている。成形品を軽量化または薄肉化しても充分な剛性および耐衝撃性が得られるようにプロピレン系樹脂組成物の改良が進められている。
たとえば、プロピレン系樹脂にタルク、マイカ、ガラス繊維等の無機充填材を添加することでその剛性が向上することが知られ、またプロピレン系樹脂にエチレン系共重合体などのエラストマーを添加することでその耐衝撃性が向上することが知られ、これらの成分が配合された種々のプロピレン系樹脂組成物が提案されている(たとえば、特許文献1~4)。
また、特許文献5には、プロピレン系樹脂および炭素繊維を含む組成物にロジン酸金属塩等の造核剤を添加することで、その剛性等を向上させることが提案されている。
特開2017-082049号公報 特開2017-057321号公報 特開2017-019975号公報 特開2016-166272号公報 特開2006-225467号公報
しかしながら、従来技術のプロピレン系樹脂組成物には、剛性および耐衝撃性をバランスよく向上させる観点からさらなる改善の余地があった。
そこで本発明は、剛性および耐衝撃性にバランスよく優れた樹脂組成物およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]
(A)フィラー、(B)耐衝撃性改良剤、(C)核剤、および(D)ポリプロピレン樹脂を含み、
前記フィラー(A)の含有量が15~50質量%であり、
前記耐衝撃性改良剤(B)の含有量が10~40質量%であり、
前記核剤(C)の含有量が0.01~1.0質量%であり、
前記フィラー(A)が、
(A-1)D50L(D50Lは、JIS Z8825:2013に準拠してレーザー回折散乱法により測定される累積体積が50%となる粒子径である。)が1.0μm以上15μm未満であり、下記式(1)で表されるアスペクト比θが100~300である板状フィラー、および
(A-2)D50Lが15μm以上100μm以下であり、下記式(1)で表されるアスペクト比θが100~3,000である板状フィラー
を(フィラー(A-1)/フィラー(A-2))=95/5~50/50の質量比で含む混合フィラーである
ポリプロピレン樹脂組成物。
Figure 0007223622000001
〔式(1)において、D50Lは、JIS Z8825:2013に準拠してレーザー回折散乱法により測定される累積体積が50%となる粒子径であり、
D50Sは、ISO13317-3:2001に準拠してX線透過式沈降法粒度分布測定装置により測定される累積体積が50%となる粒子径である。〕
[2]
前記核剤(C)がロジン酸部分金属塩である前記[1]のポリプロピレン樹脂組成物。
[3]
一部または全部の前記フィラー(A-2)が炭素数10~50の脂肪酸により表面処理されている前記[1]または[2]のポリプロピレン樹脂組成物。
[4]
曲げ弾性率(JIS K7171に準拠)が3,250MPa以上であり、かつシャルピー衝撃強さ(JIS K7111に準拠、23℃、ノッチ付き)が20kJ/m2以上である前記[1]~[3]のいずれかのポリプロピレン樹脂組成物。
[5]
(A)フィラー、(B)耐衝撃性改良剤、(C)核剤、および(D)ポリプロピレン樹脂を含むポリプロピレン樹脂組成物の製造方法であって、
前記フィラー(A)、前記耐衝撃性改良剤(B)、前記核剤(C)、および前記ポリプロピレン樹脂(D)を溶融混練する工程(I)を含み、
前記工程(I)において、
前記フィラー(A)を、前記ポリプロピレン樹脂組成物中に15~50質量%となる割合で配合し、
前記耐衝撃性改良剤(B)を、前記ポリプロピレン樹脂組成物中に10~40質量%となる割合で配合し、
前記核剤(C)を、前記ポリプロピレン樹脂組成物中に0.01~1.0質量%となる割合で配合し、
前記フィラー(A)として、
(A-1)D50L(D50Lは、JIS Z8825:2013に準拠してレーザー回折散乱法により測定される累積体積が50%となる粒子径である。)が1.0μm以上15μm未満であり、下記式(1)で表されるアスペクト比θが100~300である板状フィラー、および
(A-2)D50Lが15μm以上100μm以下であり、下記式(1)で表されるアスペクト比θが100~3,000である板状フィラー
を(フィラー(A-1)/フィラー(A-2))=95/5~50/50の質量比で配合する
ポリプロピレン樹脂組成物の製造方法。
Figure 0007223622000002
〔式(1)において、D50Lは、JIS Z8825:2013に準拠してレーザー回折散乱法により測定される累積体積が50%となる粒子径であり、
D50Sは、ISO13317-3:2001に準拠してX線透過式沈降法粒度分布測定装置により測定される累積体積が50%となる粒子径である。〕
[6]
前記工程(I)が同方向二軸押出機により実施され、
前記同方向二軸押出機は、上流の原料供給口、および前記上流の原料供給口よりも下流側に設けられた下流の原料供給口を備え、
前記下流の原料供給口から、前記ポリプロピレン樹脂(D)の一部と前記フィラー(A)との混合物を供給する
前記[5]の製造方法。
[7]
前記下流の原料供給口から供給される前記ポリプロピレン樹脂(D)の一部または全部がペレット状である前記[6]の製造方法。
[8]
前記混合物が、前記ポリプロピレン樹脂(D)および前記フィラー(A)を、(ポリプロピレン樹脂(D))/(フィラー(A))=95/5~5/95の質量比で含む前記[6]または[7]のいずれかの製造方法。
[9]
前記下流の原料供給口から供給される前記ポリプロピレン樹脂(D)が、最大フェレ径の平均値Lが1.0mm以上、10mm未満の粒子である、前記[6]~[8]のいずれかの製造方法。
[10]
前記核剤(C)がロジン酸部分金属塩である前記[5]~[9]のいずれかの製造方法。
[11]
一部または全部の前記フィラー(A-2)が炭素数10~50の脂肪酸により表面処理されている前記[5]~[10]のいずれかの製造方法。
本発明のポリプロピレン樹脂組成物は、剛性および耐衝撃性にバランスよく優れている。
また、本発明の製造方法によれば、剛性および耐衝撃性にバランスよく優れたポリプロピレン樹脂組成物を製造することができる。
図1は、本発明の実施例、比較例で製造された樹脂組成物のシャルピー衝撃強さと曲げ弾性率との関係をプロットしたものである。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
なお、本発明において「x~y」で表される数値範囲は、特段の断りのない限り「x以上y以下」を意味する。
[ポリプロピレン樹脂組成物]
本発明のポリプロピレン樹脂組成物は、(A)フィラー、(B)耐衝撃性改良剤、(C)核剤、および(D)ポリプロピレン樹脂を含んでいる。
《(A)フィラー》
前記フィラー(A)は、
(A-1)D50L(D50Lは、JIS Z8825:2013に準拠してレーザー回折散乱法により測定される累積体積が50%となる粒子径である。)が1.0μm以上15μm未満であり、下記式(1)で表されるアスペクト比θが100~300である板状フィラー、および
(A-2)D50Lが15μm以上100μm以下であり、下記式(1)で表されるアスペクト比θが100~3,000である板状フィラー
を(フィラー(A-1)/フィラー(A-2))=95/5~50/50の質量比で含む混合フィラーである。
Figure 0007223622000003
〔式(1)において、D50Lは、JIS Z8825:2013に準拠してレーザー回折散乱法により測定される累積体積が50%となる粒子径であり、
D50Sは、ISO13317-3:2001に準拠してX線透過式沈降法粒度分布測定装置により測定される累積体積が50%となる粒子径である。〕
フィラー(A-1)および(A-2)の例としては、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、粘土鉱物、ガラス繊維、炭素繊維、カーボンブラックおよびガラスフレーク等が挙げられ、これらの中でも物性、収縮率の異方性の小さいタルクおよびマイカが好ましい。
フィラー(A)は、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、界面活性剤、炭素数10~50の脂肪酸等で表面処理されていてもよく、好ましくは炭素数10~50(より好ましくは、炭素数15~30)の脂肪酸で表面処理されていてもよい。
フィラー(A)としては、バランスよく優れた剛性および耐衝撃性を発現させるという観点からは、好ましくはフィラー(A-1)としてのタルクとフィラー(A-2)としてのマイカとの混合物が挙げられる。
また、フィラー(A-2)としては、表面処理されたマイカと焼成されたマイカとの混合物が好ましい。
フィラー(A-1)のD50Lは1.0μm以上15μm未満であり、好ましくは5.0~15μmであり、より好ましくは7.0~12μmである。
フィラー(A-1)のアスペクト比θは100~300であり、好ましくは100~200であり、より好ましくは120~180である。
フィラー(A-2)のD50Lは15μm以上100μm以下であり、好ましくは15~70μmであり、より好ましくは20~50μmである。
フィラー(A-2)のアスペクト比θは100~3000であり、好ましくは100~500であり、より好ましくは120~300である。
フィラー(A-1)とフィラー(A-2)との質量比(フィラー(A-1)/フィラー(A-2))は、95/5~50/50であり、好ましくは95/5~60/40であり、より好ましくは90/10~70/30である。
本発明のポリプロピレン樹脂組成物は、フィラー(A-1)とフィラー(A-2)とを併用するため、それぞれを単独で使用する場合と比べて、剛性および耐衝撃性がバランスよく優れており、特に剛性が優れている。
《(B)耐衝撃性改良剤》
前記耐衝撃性改良剤(B)(以下「成分(B)」とも記載する。)としては、エチレン・α-オレフィンランダム共重合体(B-a)、エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体(B-b)、水素添加ブロック共重合体(B-c)、その他弾性重合体、およびこれらの混合物などが挙げられ、これらの中でも前記エチレン・α-オレフィンランダム共重合体(B-a)が好ましい。
前記エチレン・α-オレフィンランダム共重合体(B-a)は、エチレンと炭素数3~20のα-オレフィンとのランダム共重合体ゴムである。上記炭素数3~20のα-オレフィンの具体例としては、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-エイコセンなどが挙げられる。これらのα-オレフィンは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中では、特にプロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテンが好ましい。
前記エチレン・α-オレフィンランダム共重合体(B-a)における、エチレンから誘導される構成単位とα-オレフィンから誘導される構成単位とのモル比(エチレン/α-オレフィン)は好ましくは95/5~70/30、より好ましくは90/10~75/25である。
前記エチレン・α-オレフィンランダム共重合体(B-a)の、ASTM D1238Eに準拠して、190℃、荷重2.16kgの条件下で測定されるメルトフローレートは、好ましくは0.1g/10分以上、より好ましくは0.5~5g/10分である。
前記エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体(B-b)は、エチレンと炭素数3~20のα-オレフィンと非共役ポリエンとのランダム共重合体ゴムである。上記炭素数3~20のα-オレフィンの具体例としては、前記共重合体(B-a)における炭素数3~20のα-オレフィンの具体例と同じものが挙げられる。前記非共役ポリエチレンとしては、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-プロピリデン-5-ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、5-ビニル-2-ノルボルネン、5-メチレン-2-ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2-ノルボルネン、ノルボルナジエンなどの非環状ジエン;1,4-ヘキサジエン、4-メチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,5-ヘプタジエン、6-メチル-1,5-ヘプタジエン、6-メチル-1,7-オクタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエンなどの鎖状の非共役ジエン;2,3-ジイソプロピリデン-5-ノルボルネンなどのトリエン等が挙げられる。これらの中では、1,4-ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、5-エチリデン-2-ノルボルネンが好ましい。
前記エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体(B-b)における、エチレンから誘導される構成単位の割合は、好ましくは90~30モル%、より好ましくは80~40モル%であり、α-オレフィンから誘導される構成単位の割合は、好ましくは5~45モル%、より好ましくは10~40モル%であり、非共役ポリエンから誘導される構成単位の割合は、好ましくは5~25モル%、より好ましくは10~20モル%である。
前記エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体(B-b)の、ASTM D1238Eに準拠して、190℃、荷重2.16kgの条件下で測定されるメルトフローレートは、好ましくは0.05g/10分以上、好ましくは0.1~10g/10分である。
前記エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体(B-b)の具体例としては、エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体(EPDM)が挙げられる。
前記水素添加ブロック共重合体(B-c)は、ブロックの形態が以下式(x)または(y)で表されるブロック共重合体の水素添加物であり、水素添加率(共役ジエン化合物に基づく不飽和二重結合のうち水素化されたものの割合)が90モル%以上、好ましくは95モル%以上の水素添加ブロック共重合体である。
X(YX)n ・・・(x)
(XY)n ・・・(y)
前記式(x)または(y)のXで示される重合ブロックを構成するモノビニル置換芳香族炭化水素としては、スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、クロロスチレン、低級アルキル置換スチレン、ビニルナフタレン等のスチレンまたはその誘導体などが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記式(x)または(y)のYで示される重合ブロックを構成する共役ジエンとしては、ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどが挙げられる。ここれらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
nは1~5の整数、好ましくは1または2である。
水素添加ブロック共重合体(B-c)の具体例としては、スチレン・エチレン・ブテン・スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合体(SEPS)およびスチレン・エチレン・プロピレンブロック共重合体(SEP)等のスチレン系ブロック共重合体が挙げられる。
水素添加前のブロック共重合体は、例えば不活性溶媒中で、リチウム触媒またはチーグラー触媒の存在下に、ブロック共重合を行わせる方法により製造することができる。詳細な製造方法は、例えば特公昭40-23798号などに記載されている。水素添加処理は、不活性溶媒中で公知の水素添加触媒の存在下に行うことができる。詳細な方法は、例えば特公昭42-8704号、同43-6636号、同46-20814号などに記載されている。
共役ジエンモノマーとしてブタジエンが用いられる場合、ポリブタジエンブロックにおける1,2-結合量の割合は好ましくは20~80質量%、より好ましくは30~60質量%である。
水素添加ブロック共重合体(B-c)としては、市販品の例であれば、クレイトン(登録商標)G1657(クレイトンポリマージャパン(株)製)、セプトン(登録商標)2004(クラレ(株)製)、タフテック(登録商標)H1052(旭化成(株)製)が挙げられる。
前記耐衝撃性改良剤(B)は1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
《(C)核剤》
核剤(C)としては、従来公知の核剤が挙げられ、ロジン酸部分金属塩が好ましい。
ロジン酸部分金属塩は、ロジン酸と金属化合物の反応生成物であり、ロジン酸金属塩と未反応のロジン酸との混合物、及び未反応のロジン酸を含まないロジン酸金属塩の両方を意味する。上記ロジン酸金属塩としては、ロジン酸ナトリウム塩、ロジン酸カリウム塩、ロジン酸マグネシウム塩等などが挙げられる。なお、ロジン酸と反応して金属塩を形成する金属化合物としては、ナトリウム、カリウム、マグネシウムなどの金属元素を有し、かつ前記ロジン酸と造塩する化合物が挙げられ、具体的には前記金属の塩化物、硝酸塩、酢酸塩、硫酸塩、炭酸酸化物、水酸化物などが挙げられる。ロジン酸としては、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジンなどの天然ロジン、不均化ロジン、水素化ロジン、脱水素化ロジン、重合ロジン、α,β-エチレン性不飽和カルボン酸変性ロジンなどの各種変性ロジン、前記天然ロジンの精製物、前記変性ロジンの精製物などが挙げられる。天然ロジンには、ピマル酸、サンダラコピマル酸、パラストリン酸、イソピマル酸、アビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、ネオアビエチン酸、ジヒドロピマル酸、ジヒドロアビエチン酸、テトラヒドロアビエチン酸などの樹脂酸が、通常複数種含まれている。
また、前記α,β-エチレン性不飽和カルボン酸変性ロジンの調整に用いられる不飽和カルボン酸としては、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、アクリル酸、メタクリル酸などが挙げられる。
ロジン酸部分金属塩としては、市販品であれば、荒川化学工業(株)製のパインクリスタル(登録商標)KR-50等が挙げられる。
フィラー(A)としてマイカを含むポリプロピレン樹脂組成物は、その耐衝撃性が低いことがあるが、本発明のポリプロピレン樹脂組成物は、核剤(C)、好ましくはロジン酸部分金属塩を含んでいるため、フィラー(A)としてマイカを含んでいても耐衝撃性に優れている。
《(D)ポリプロピレン樹脂》
前記ポリプロピレン樹脂(D)(以下「成分(D)」とも記載する。)の例としては、プロピレン単独重合体、プロピレン・α-オレフィンランダム共重合体およびプロピレン系ブロック共重合体などのプロピレン系重合体が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記プロピレン・α-オレフィンランダム共重合体としては、プロピレンと炭素数2~20のα-オレフィン(プロピレンを除く。)とのランダム共重合体が挙げられる。前記α-オレフィンの例としては、エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセンおよび1-ドデセンが挙げられ、好ましくはエチレンおよび1-ブテンが挙げられ、特に好ましくはエチレンが挙げられる。前記プロピレン・α-オレフィンランダム共重合体中の前記α-オレフィンから誘導される構成単位の量は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。
前記プロピレン系ブロック共重合体は、好ましくはプロピレン単独重合体部分とプロピレン・α-オレフィンランダム共重合体部分とから構成される。プロピレン・α-オレフィンランダム共重合体部分の具体的な態様は、前記プロピレン・α-オレフィンランダム共重合体の具体的な態様と同様である。
前記プロピレン系ブロック共重合体は、n-デカン溶剤分別した場合、23℃のn-デカンに可溶な成分(以下「デカン可溶部」とも記載する。)と23℃のn-デカンに不溶な成分(以下「デカン不溶部」とも記載する。)とに分別される。デカン可溶部の含有量は、通常は5~30質量%、好ましくは5~25質量%、より好ましくは8~18質量%であり、デカン不溶部の含有量は、通常は70~95質量%、好ましくは75~95質量%、より好ましくは82~92質量%である。
《任意成分》
本発明の樹脂組成物の製造方法においては、本発明の効果が損なわれない範囲で、必要に応じて、前記成分(A)~(D)以外の任意成分が配合されてもよい。
任意成分の例としては、樹脂組成物における従来公知の添加剤、たとえばフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、発泡剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、耐光安定剤、軟化剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、天然油、剛性油、ワックスが挙げられる。
(各成分の配合割合)
本発明に係るポリプロピレン樹脂組成物中に(ポリプロピレン樹脂組成物の量を100質量%とすると)、
前記フィラー(A)は、15~50質量%、好ましくは20~40質量%、より好ましくは25~35質量%の割合で含まれ、
前記耐衝撃性改良剤(B)は、10~40質量%、好ましくは15~35質量%、より好ましくは20~30質量%の割合で含まれ、
前記核剤(C)は、0.01~1.0質量%、好ましくは0.01~0.7質量%、より好ましくは0.03~0.5質量%の割合で含まれる。
(物性)
本発明に係るポリプロピレン樹脂組成物は、剛性および耐衝撃性にバランスよく優れており、その曲げ弾性率(JIS K7171に準拠)およびシャルピー衝撃強さ(JIS K7111に準拠、23℃、ノッチ付き)は、好ましくはそれぞれ3,250MPa以上、かつ20kJ/m2以上、より好ましくはそれぞれ3,300MPa以上、かつ25kJ/m2以上である。曲げ弾性率の上限値は、たとえば3,600MPaであり、シャルピー衝撃強さの上限値は、たとえば40kJ/m2である。
本発明に係るポリプロピレン樹脂組成物のメルトフローレート(ASTM D1238Eに準拠した230℃、2.16kg荷重)は、好ましくは1.0~100g/10分、より好ましくは3.0~30g/10分である。メルトフローレートが前記範囲にあると、前記樹脂組成物は加工性に優れる。
[ポリプロピレン樹脂組成物の製造方法]
本発明に係るポリプロピレン樹脂組成物の製造方法は、
前記フィラー(A)、前記耐衝撃性改良剤(B)、前記核剤(C)、および前記ポリプロピレン樹脂(D)を含むポリプロピレン樹脂組成物の製造方法であって、
前記フィラー(A)、前記耐衝撃性改良剤(B)、前記核剤(C)、および前記ポリプロピレン樹脂(D)、ならびに必要に応じて前記任意成分を溶融混練する工程(I)を含んでおり、
前記工程(I)において、
前記フィラー(A)を、前記ポリプロピレン樹脂組成物中に15~50質量%、好ましくは20~40質量%、より好ましくは25~35質量%となる割合で配合し、
前記耐衝撃性改良剤(B)を、前記ポリプロピレン樹脂組成物中に10~40質量%、好ましくは15~35質量%、より好ましくは20~30質量%となる割合で配合し、
前記核剤(C)を、前記ポリプロピレン樹脂組成物中に0.01~1.0質量%、好ましくは0.01~0.7質量%、より好ましくは0.03~0.5質量%となる割合で配合し、
前記フィラー(A)として、前記板状フィラー(A-1)および前記板状フィラー(A-2)を(フィラー(A-1)/フィラー(A-2))=95/5~50/50(好ましくは95/5~60/40、より好ましくは90/10~70/30)の質量比で配合する製造方法である。この製造方法により、上述した本発明に係るポリプロピレン樹脂組成物を製造することができる。
前記工程(I)は、好ましくは押出機により実施される。
前記押出機としては、たとえば単軸押出機、同方向二軸押出機、異方向二軸押出機、同方向多軸押出機これらを組み合わせたものが挙げられる。これらの中でも、同方向二軸押出機が好ましい。
前記工程(I)においては、好ましくは、前記押出機が上流の原料供給口、および前記上流の原料供給口よりも下流側に設けられた下流の原料供給口を備えており、前記下流の原料供給口から、前記ポリプロピレン樹脂(D)の一部(以下「ポリプロピレン樹脂(D2)」とも記載する。)と前記フィラー(A)との混合物が供給される。前記下流の原料供給口はベント口であってもよい。
この態様においては、前記ポリプロピレン樹脂(D2)として、好ましくはペレット状のような粒子の形状のものが押出機に供給される。前記ポリプロピレン樹脂(D2)は、好ましくは一部(たとえば50質量%以上、好ましくは80質量%以上)または全部がペレット状であり、さらに好ましくは全部がペレット状である。前記粒子の最大フェレ径の平均値Lは、好ましくは1.0mm以上、10mm未満であり、より好ましくは2.0mm以上、5.0mm未満である。
前記Lの値は、以下の方法またはこれと同等の方法により測定される値である。
(最大フェレ径の平均値Lの測定方法)
前記ポリプロピレン樹脂(D2)の最大フェレ径の平均値Lは、粒子径測定装置として、ヴァーダー・サイエンティフィック株式会社製 Camsizer(登録商標)P4を使用して測定する。具体的には3~5gの粒子サンプルを秤量し、測定装置の試料台に載せ、試料台から少量ずつ落下させ、落下する粒子サンプルをCCDカメラで撮影し、撮影した粒子の画像を解析することで粒子形状を計測する。無作為に選んだ10~20個の粒子サンプルの画像から各粒子の最大フェレ径を求め、その算術平均値を、最大フェレ径の平均値Lとする。
Lが前記下限値以上であるポリプロピレン樹脂(D2)の粒子は、表面積が小さいため、前記フィラー(A)と共に下流の原料投入口から投入した際に、急激に溶融して粘度が低下することが抑制される。そのため、このようなポリプロピレン樹脂(D2)の粒子を用いると、各成分を十分に混練することができ、前記フィラー(A)を十分に分散させることができる。また、Lが前記上限値以下であるポリプロピレン樹脂(D2)の粒子は、前記フィラー(A)と分離し難い。
前記ポリプロピレン樹脂(D2)としては、プロピレン単独重合体が好ましい。
前記ポリプロピレン樹脂(D2)の、ASTM D1238Eに準拠した230℃、2.16kg荷重の条件下で測定されるメルトフローレートは、好ましくは1~80g/10分、より好ましくは10~50g/10分である。
前記フィラー(A)は、全部または一部が前記ポリプロピレン樹脂(D2)と共に下流の原料供給口から供給され、好ましくは全部が下流の原料供給口から供給される。
前記ポリプロピレン樹脂(D2)と前記フィラー(A)との混合物は、前記ポリプロピレン樹脂(D2)および前記フィラー(A)を、好ましくは(ポリプロピレン樹脂(D2))/(フィラー(A))=95/5~5/95の質量比で含んでいる。
前記ポリプロピレン樹脂(D)の残部、すなわち前記ポリプロピレン樹脂(D)から前記ポリプロピレン樹脂(D2)を除いた部分(以下「ポリプロピレン樹脂(D1)」と記載する。)、ならびに前記耐衝撃改良剤(B)、前記核剤(C)および前記任意成分は、通常、第1の原料供給口から押出機に供給される。
前記ポリプロピレン樹脂(D1)としては、プロピレン単独重合体と前記プロピレン・α-オレフィンランダム共重合体との混合物、あるいは前記プロピレン系ブロック共重合体が好ましい。
前記ポリプロピレン樹脂(D1)の、ASTM D1238Eに準拠した230℃、2.16kg荷重の条件下で測定されるメルトフローレートは、好ましくは1~1,000g/10分、より好ましくは1~300g/10分である。
(前記ポリプロピレン樹脂(D1)の質量)/(前記ポリプロピレン樹脂(D2)の質量)は、好ましくは90/10~10/90、より好ましくは70/30~30/70である。
前記押出機のスクリューの径(以下「D」とも記載する。)は、好ましくは20~150mmであり、スクリューの径(D)に対するスクリューの長さ(以下「L」とも記載する。)との比は、好ましくは30~100、より好ましくは50~80である。
前記押出機における上流の原料供給口と下流の原料供給口との距離は、好ましくは10D~50D、より好ましくは20D~40Dである。前記距離がこの範囲にあると、上流から供給した原材料樹脂を十分に溶融させることができるため、下流から合流する無機充填剤(A)の接触時にその折損の懸念を低下させることができる。
また、下流の原料供給口から樹脂組成物の排出口までの距離は、各成分を十分に溶融混練する観点から、好ましくは5D以上、より好ましくは10D以上である。
本発明の製造方法によれば剛性および耐衝撃性にバランスよく優れた樹脂組成物を製造することができる。より具体的には、溶融混練の際に、上流の原料供給口から前記ポリプロピレン樹脂(D)の全部を供給するのではなく、上流の原料供給口から前記ポリプロピレン樹脂(D1)を、かつ下流の原料供給口から前記ポリプロピレン樹脂(D2)を供給することにより、剛性および耐衝撃性がバランスよく向上した樹脂組成物を製造することができる。特に、前記ポリプロピレン樹脂(D2)を下流側から供給することにより溶融樹脂成分のマトリックス樹脂成分の粘度増加が促進され、これにより溶融状態の耐衝撃改良剤(B)成分の分裂が促進され、その結果、耐衝撃改良剤(B)ドメインの粒径は小さくなり、樹脂組成物の耐衝撃性が向上すると推察される。
[用途]
本発明に係るポリプロピレン樹脂組成物は、剛性および耐衝撃性にバランスよく優れるため、この樹脂組成物の成形体は、自動車内外装部品、家電製品、機械部品、一般雑貨製品などとして好ましく用いることができ、自動車内外装部品、特に高い剛性と耐衝撃性のバランスが要求される垂直外板、水平外板材としてより好ましく用いることができる。
以下、実施例等に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に
限定されない。
<物性測定用試験片作製>
樹脂組成物の物性測定用試験片は、JIS K6921-1に準拠した射出成形により作製した。具体的には射出成形機(東芝機械製 IS55FPB;型締め力:55トン、スクリュー直径:32mm)を使用し、成形温度200℃、金型温度40℃、射出1次圧力90MPa、2次圧力55MPa、射出速度180mm/秒、充填時間2.0秒、冷却時間10秒、可塑化時のスクリュー回転数140rpmの条件で作製した。金型は厚み4mmの引張りダンベル型試験片2本取り(AXXICON社製 AIM Insert ISO A)を使用した。試験片は、23℃、50%相対湿度の環境下で2日間状態調整を実施した。
<測定方法>
各種物性の測定方法は、以下のとおりである。
(原料樹脂の物性)
[粒子形状(最大フェレ径の平均値L)]
ポリプロピレン樹脂(D)の粒子の最大フェレ径の平均値Lは粒子径測定装置(ヴァーダー・サイエンティフィック株式会社製 Camsizer(登録商標)P4)により計測した。
具体的には3~5gの粒子サンプルを秤量し、該測定装置の試料台に載せ、試料台から少量ずつ落下させ、落下する粒子サンプルをCCDカメラで撮影し、撮影した粒子の画像を解析することで粒子形状を計測した。無作為に選んだ10~20個の粒子サンプルの画像から各粒子の最大フェレ径を求め、その算術平均値を最大フェレ径の平均値Lとして採用した。
(フィラーの物性)
[d50 L (レーザー回折散乱法により測定される平均粒子径)]
フィラーの濃度が0.1質量%の水分散液を調製し、JIS Z8825:2013に準拠してレーザー回折式粒子径分布測定装置(島津製作所社製、製品名「SALD-7100」)により粒子径分布(体積基準)を測定した。得られた粒子径分布において、累積体積が50%となる粒子径をd50Lとした。
[d50 S (液相重力沈降法により測定される平均粒子径)]
フィラーの濃度が0.1質量%の水分散液を調製し、ISO13317-3:2001に準拠してX線透過式沈降法粒度分布測定装置(マイクロメリティックスジャパン合同会社製、製品名「SediGraphIII5120」)により粒子径分布(体積基準)を測定した。得られた粒子径分布において、累積体積が50%となる粒子径をd50Sとした。
[アスペクト比]
フィラーのアスペクト比(θ)は、文献(Pabst, W., Berthold, Ch., Part. Part. Syst. Char., 24, 458-463 (2007)、Pabst, W., Berthold, Ch., Gregorova, E., J. Eur. Ceram. Soc., 27, 1759-1762 (2007))を参照し、上記D50L、D50Sに基づいて次式(1)により算出した。
Figure 0007223622000004
(樹脂組成物の物性)
[メルトフローレート(MFR)]
ASTM D1238Eに準拠し、230℃、2.16kg荷重の条件下でMFRを測定した。
[曲げ弾性率]
JIS K7171に準拠して、下記の条件で曲げ弾性率を測定した。
《測定条件》
試験片:10mm(幅)×80mm(長さ)×4.0mm(厚さ)
曲げ速度:2mm/分
曲げスパン:64mm
[シャルピー衝撃強さ]
JIS K7111に準拠して、下記の条件でノッチ付きシャルピー衝撃強さを測定した。
《測定条件》
温度:-30℃および23℃
試験片:10mm(幅)×80mm(長さ)×4mm(厚さ)
ノッチは機械加工である。
<使用原料>
以下の原料が使用された。
《(A)フィラー》
・表1に示すフィラー
Figure 0007223622000005
《(B)耐衝撃性改良剤》
・エチレン・1-ブテン共重合体(MFR(190℃、2.16kg):1.2g/10分、密度:0.863g/cm3、)(以下「EB」と記載する。)
《(C)核剤》
・ロジン酸部分金属塩(パインクリスタルKR-50M)(荒川化学工業(株)製)(以下「核剤」と記載する。)
《(D)ポリプロピレン樹脂》
・プロピレン共重合体(MFR(230℃、2.16kg):90g/10分)(以下「PP-1」と記載する。)
・プロピレン単独重合体(MFR(230℃、2.16kg):3.0g/10分)(以下「PP-2」と記載する。)を使用した。
・最大フェレ径の平均値Lが2.0mmであるプロピレン単独重合体(MFR(230℃、2.16kg):30g/10分)のペレット(以下「PP-3」と記載する。)
[実施例1]
同方向二軸押出機(日本製鋼所 TEX30α)(スクリュー径:30mm、L/D=63)、上流の原料供給口-下流の原料供給口間距離:35D、下流の原料供給口-樹脂組成物の吐出口間距離:28D)に、上流の原料供給口から13.6質量部のPP-1、12質量部のPP-2及び22質量部のEBおよび0.7質量部の添加剤(0.1質量部のイルガノックス(登録商標)1010(BASF社)、0.1質量部のイルガフォス(登録商標)168(BASF社)、0.2質量部のステアリン酸マグネシウム(日本油脂(株)製)及び0.3質量部の核剤(C)(ロジン酸部分金属塩(パインクリスタルKR-50M(荒川化学工業(株)製)))のドライブレンド物を12kg/hの割合で供給し、さらに下流の原料供給口から23質量部のT-1(A-1)および4.0質量部のM-3(A-2)及び3.0質量部のM-4(A-2)ペレット状PP-3のドライブレンド物を13kg/hの割合で供給し、スクリュー回転数を300rpmとして溶融混練を行い、樹脂組成物を得た。樹脂組成物から射出成型により試験片を作製し、2日間以上の状態調整後に物性評価を行った。評価結果を表3に示す。
[実施例2~5、比較例1~8]
上流の原料供給口に供給する原料、および下流の原料供給口に供給する原料を表2に記載のように変更したこと以外は実施例1と同様の操作を行い、各樹脂組成物を得た。
得られた各樹脂組成物の物性の評価結果を表3に示す。
さらに、実施例1~5及び比較例1~8で得られた樹脂組成物のシャルピー衝撃強さ(23℃)と曲げ弾性率の関係を図1に示す。
Figure 0007223622000006
Figure 0007223622000007

Claims (11)

  1. (A)フィラー、(B)耐衝撃性改良剤、(C)核剤、および(D)ポリプロピレン樹脂を含み、
    前記フィラー(A)の含有量が15~50質量%であり、
    前記耐衝撃性改良剤(B)の含有量が10~40質量%であり、
    前記核剤(C)の含有量が0.01~1.0質量%であり、
    前記フィラー(A)が、
    (A-1)D50L(D50Lは、JIS Z8825:2013に準拠してレーザー回折散乱法により測定される累積体積が50%となる粒子径である。)が1.0μm以上15μm未満であり、下記式(1)で表されるアスペクト比θが100~300である板状フィラー、および
    (A-2)D50Lが15μm以上100μm以下であり、下記式(1)で表されるアスペクト比θが100~3,000である板状フィラー
    を(フィラー(A-1)/フィラー(A-2))=95/5~50/50の質量比で含む混合フィラーである
    ポリプロピレン樹脂組成物。
    Figure 0007223622000008
    〔式(1)において、D50Lは、JIS Z8825:2013に準拠してレーザー回折散乱法により測定される累積体積が50%となる粒子径であり、
    D50Sは、ISO13317-3:2001に準拠してX線透過式沈降法粒度分布測定装置により測定される累積体積が50%となる粒子径である。〕
  2. 前記核剤(C)がロジン酸部分金属塩である請求項1に記載のポリプロピレン樹脂組成物。
  3. 一部または全部の前記フィラー(A-2)が炭素数10~50の脂肪酸により表面処理されている請求項1または2に記載のポリプロピレン樹脂組成物。
  4. 曲げ弾性率(JIS K7171に準拠)が3,250MPa以上であり、かつシャルピー衝撃強さ(JIS K7111に準拠、23℃、ノッチ付き)が20kJ/m2以上である請求項1~3のいずれか一項に記載のポリプロピレン樹脂組成物。
  5. (A)フィラー、(B)耐衝撃性改良剤、(C)核剤、および(D)ポリプロピレン樹脂を含むポリプロピレン樹脂組成物の製造方法であって、
    前記フィラー(A)、前記耐衝撃性改良剤(B)、前記核剤(C)、および前記ポリプロピレン樹脂(D)を溶融混練する工程(I)を含み、
    前記工程(I)において、
    前記フィラー(A)を、前記ポリプロピレン樹脂組成物中に15~50質量%となる割合で配合し、
    前記耐衝撃性改良剤(B)を、前記ポリプロピレン樹脂組成物中に10~40質量%となる割合で配合し、
    前記核剤(C)を、前記ポリプロピレン樹脂組成物中に0.01~1.0質量%となる割合で配合し、
    前記フィラー(A)として、
    (A-1)D50L(D50Lは、JIS Z8825:2013に準拠してレーザー回折散乱法により測定される累積体積が50%となる粒子径である。)が1.0μm以上15μm未満であり、下記式(1)で表されるアスペクト比θが100~300である板状フィラー、および
    (A-2)D50Lが15μm以上100μm以下であり、下記式(1)で表されるアスペクト比θが100~3,000である板状フィラー
    を(フィラー(A-1)/フィラー(A-2))=95/5~50/50の質量比で配合する
    ポリプロピレン樹脂組成物の製造方法。
    Figure 0007223622000009
    〔式(1)において、D50Lは、JIS Z8825:2013に準拠してレーザー回折散乱法により測定される累積体積が50%となる粒子径であり、
    D50Sは、ISO13317-3:2001に準拠してX線透過式沈降法粒度分布測定装置により測定される累積体積が50%となる粒子径である。〕
  6. 前記工程(I)が同方向二軸押出機により実施され、
    前記同方向二軸押出機は、上流の原料供給口、および前記上流の原料供給口よりも下流側に設けられた下流の原料供給口を備え、
    前記下流の原料供給口から、前記ポリプロピレン樹脂(D)の一部と前記フィラー(A)との混合物を供給する
    請求項5に記載の製造方法。
  7. 前記下流の原料供給口から供給される前記ポリプロピレン樹脂(D)の一部または全部がペレット状である請求項6に記載の製造方法。
  8. 前記混合物が、前記ポリプロピレン樹脂(D)および前記フィラー(A)を、(ポリプロピレン樹脂(D))/(フィラー(A))=95/5~5/95の質量比で含む請求項6または7に記載の製造方法。
  9. 前記下流の原料供給口から供給される前記ポリプロピレン樹脂(D)が、最大フェレ径の平均値Lが1.0mm以上、10mm未満の粒子である、請求項6~8のいずれか一項に記載の製造方法。
  10. 前記核剤(C)がロジン酸部分金属塩である請求項5~9のいずれか一項に記載の製造方法。
  11. 一部または全部の前記フィラー(A-2)が炭素数10~50の脂肪酸により表面処理されている請求項5~10のいずれか一項に記載の製造方法。
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