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JP7219965B2 - 再帰性反射材の製造方法 - Google Patents

再帰性反射材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、再帰性反射材の製造方法及び再帰性反射材に関するものである。
近年、液体レンズに代表されるように、液体を利用した新しい光学デバイス形成技術が注目を集めている(下記非特許文献1~3)。液体は、可視光に対して透明なものが多く、またその界面はオングストロームの精度で滑らかである(下記非特許文献4)。そのため、適切に形成すると高精度の屈折面が実現でき、光学デバイスを実現するのに優れた素材であることがわかってきた。
ところで、多くの食品の素材は液体である。代表的なものとしてゼリーを考えると、これは熱水に高分子である寒天や増粘多糖類、もしくはタンパク質からなるゼラチンを溶解させ、温度を下げてゲル化させたものである。ゼリーの主成分は水であり、可視光に対して高い透過性をもつ。また、型に入れて形成することもできるため、原理的にはその表面形状を制御することも容易である。これらの性質はすべて光学デバイス形成に必要とされるものであり、光学デバイスの素材として適しているといえる。
このように、ある種の食品は、光学デバイス用素材として優れた性質を持っており、これまでレンズを飴で形成して光学教育に応用することを提案する論文などが報告されている(下記非特許文献5)。
そこで本発明者は、食品を利用した光学マーカー、特に再帰性反射材を対象として、食べることができる(このことをこの明細書では「可食性」と称することがある)再帰性反射材を種々試作して検討した。
可食性の再帰性反射材の利点は主として二つ挙げられる。
一つ目は、人が食べる料理などの上に直接に再帰性反射材を載せられるようになることである。例えば、料理の上に再帰性反射材を設置できれば、カメラ画像から料理の位置情報を取得しやすくなり、結婚式で運ばれてくるウェディングケーキの上にプロジェクションマッピングするなどの新たな演出が可能となると考えられる。しかし、従来の光学デバイスの多くは、ガラスやプラスチックなどの食べられない素材で作られている。そのため、料理の上に載せた場合は食べる前に取り除く必要があり、また素材に毒性がある危険性や、誤飲・誤食の危険性があった。食材で形成されている光学デバイスであれば、これらの問題はなく、料理の上に乗せても安心・安全である。
二つ目は、可食性の再帰性反射材であれば、人の口腔内や消化管表面などに設置することに適する点である。消化管の上に再帰性反射材を設置できれば、手術ナビゲーションの基準点として機能すると考えられる。また光学計測への応用可能性もあるため、計測の高精度化等への寄与も期待できる。食材で形成されている光学デバイスであれば、人体への毒性や影響はほとんどないと考えられ、また、体内に留置しておいても自然と消化されるため、回収の手間がないという利点が想定される。
本発明者らは、特に一つ目に挙げた、料理への応用を想定し、身近にある食材を利用して再帰性反射材を実現するための各種実験を行った。その結果、寒天を用いた場合に、特に再帰性反射性能が高いことを見出した(下記特許文献1)。
国際公開2018/154916号公報
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寒天を用いた再帰性反射材は、乾燥による変形や糖分の析出により光学的な機能を失ってしまう。そのため、外部に放置した場合、持続的に使用できる時間に限界がある。周囲を覆うことにより寒天の乾燥を防ぐことも考えられるが、パッケージに工夫が必要となる。また、寒天はゲル状であるため保形性が低く、複数の再帰性反射材を組み合わせて立体形状を構成するような用途には適用が難しいという問題もあった。
本発明は、このような問題を解消可能な技術を提供することを目的としている。
前記した課題を解決する手段は、以下の項目のように記載できる。
(項目1)
再帰性反射面の形状を有する母材表面に、粉末状の還元イソマルツロースを載置する工程と、
前記母材表面上の前記還元イソマルツロースに水を接触させる工程と、
前記還元イソマルツロースが前記水を吸収することによりペースト状に変化して、前記還元イソマルツロースに前記母材表面の形状が転写される工程と、
前記母材と前記ペースト状の還元イソマルツロースとを加熱することにより、前記水の少なくとも一部を蒸発させる工程と
前記母材表面に接触した状態の前記還元イソマルツロースを固化させることにより、再帰性反射面を有する光透過性の再帰性反射材を形成する工程と
を有する再帰性反射材の製造方法。
(項目2)
前記母材は、シリコーンにより構成されている
項目1に記載の再帰性反射材の製造方法。
(項目3)
前記還元イソマルツロースを加熱した後であってかつ前記還元イソマルツロースが固化する前に、前記還元イソマルツロースと前記母材表面との間に存在する気泡を除去又は移動させる脱気工程をさらに備える
項目1又は2に記載の製造方法。
(項目4)
前記再帰性反射面は、コーナーキューブ型の再帰性反射面とされている
項目1~3のいずれか1項に記載の製造方法。
(項目5)
光透過性を有する反射材本体を備えており、
前記反射材本体は、還元イソマルツロースを主成分とする固形の飴状とされており、
前記反射材本体の一面側は、入射光を前記反射材本体の内部に入射させる入射面とされており、
前記反射材本体の他面側は、前記反射材本体の内部に入射した前記入射光を、入射方向とほぼ平行な方向に反射する再帰性反射面に形成されている
再帰性反射材。
(項目6)
前記再帰性反射面は、コーナーキューブ型の再帰性反射面とされている
項目5に記載の再帰性反射材。
(項目7)
項目5又は6に記載の再帰性反射材を複数個組み合わせて構成された可食性の再帰性反射体であって、
前記複数の再帰性反射材の前記入射面は、実質的に滑らかな平面状又は曲面状に形成されており、
前記入射面を外側に向け、前記再帰性反射面を内側に向けた状態で、全体として立体形状をなすように前記複数の再帰性反射材が配置されている
再帰性反射体。
(項目8)
項目5又は6に記載の再帰性反射材を少なくとも二つ組み合わせて構成された可食性の再帰性反射体であって、
前記二つの再帰性反射材の前記入射面は、実質的に滑らかな平面状又は曲面状に形成されており、
かつ、前記二つの再帰性反射材は、それぞれの再帰性反射面を対向させた状態で接近させられており、
少なくとも一方の前記再帰性反射材における前記再帰性反射面には、外側に突出する突出部が形成されており、
前記突出部は、他方の前記再帰性反射材における前記再帰性反射面に当接させられており、これによって、前記二つの再帰性反射材における前記再帰性反射面どうしが離間されており、
前記再帰性反射材の前記入射面は、前記再帰性反射体の外側となる位置に配置されている
再帰性反射体。
本発明によれば、可食性であり、かつ固体でありながら高い再帰性反射性能を有する再帰性反射材を提供することが可能になる。また、そのような再帰性反射材の製造に適した製造方法を提供することが可能となる。
本発明の一実施形態に係る再帰性反射材の要部断面図である。 図1の再帰性反射材の製造方法の一例を説明するための説明図である。 実験例に用いた実験装置の概略を説明するための説明図である。 実験例2の結果を示すグラフであって、横軸は観察角の角度(度)、縦軸は照度(lux)である。 実験例3の結果を示すグラフであって、横軸は入射角の角度(度)、縦軸は照度(lux)である。 実験例4の結果を示すグラフであって、横軸は入射角の角度(度)、縦軸は照度(lux)である。 変形例1に係る可食性の再帰性反射体の要部断面図である。
以下、本発明の一実施形態に係る再帰性反射材を、図1を参照しながら説明する。
(再帰性反射材)
この再帰性反射材は、光透過性を有する反射材本体10を備えている。反射材本体10は、還元イソマルツロースを主成分とする固形の飴状とされている。これにより、反射材本体10は、屈折率が1より大、より好ましくは1.3より大となっている。このような反射材本体10の製造方法については後述する。
反射材本体10の一面側(図1において上面)は、入射光を反射材本体10の内部に入射させる入射面20とされている。この実施形態では、入射面20は平坦面とされているが、用途に応じて各種の形状とすることができる。
反射材本体10の他面側(図1において下面)は、反射材本体10の内部に入射した入射光を、入射方向とほぼ平行な方向に反射する再帰性反射面30に形成されている。本例の再帰性反射材における入射光及び反射光の向きを、図1において一点鎖線で例示的に示している。
本実施形態の再帰性反射面30は、コーナーキューブ型の再帰性反射面とされている。ただし、図1では、煩雑を避けるため、再帰性反射面の二次元形状を記載している。実際の再帰性反射面30は、精密な3枚の平面をそれぞれ直角に組み合わせて頂点を作る形状から成っており、それぞれの面で全反射が行われることで光源方向に光を反射する構造となっている。
(本実施形態の再帰性反射材の作製方法)
次に、本実施形態における再帰性反射材を作製する手順の具体例を、図2をさらに参照しながら記述する。
(図2(a))
まず、容器60の底面に粘土61を配置し、粘土61に原型70を載置する。この原型70の上面は、反射材本体10の再帰性反射面30と同じ形状の再帰性反射面とされている。
(図2(b))
ついで、容器60の内部に、流動性のあるシリコーン80を流し込む。これにより、シリコーン80の底面に、原型70の再帰性反射面の形状を転写することができる。シリコーン80が硬化するまでしばらく放置する。
(図2(c))
シリコーン80が硬化した後、硬化したシリコーン80を取り出す。この硬化したシリコーンが、母材40に対応する。つまり、前記した手順により、本実施形態においては、シリコーン製の母材40を作製することができる。この母材40は、再帰性反射面の形状を持つ表面41を有する。
(図2(d))
ついで、再帰性反射面の形状を有する母材表面41に、粉末状の還元イソマルツロース(商品名:パラチニット)50を載置する。さらに、母材表面41上の還元イソマルツロースに水を垂らして接触させる。水の量としては、還元イソマルツロース5gに対して例えば1.5gとすることができるが、これには制約されない。
還元イソマルツロース50が水を吸収するとペースト状に変化し、還元イソマルツロース50の下面に母材表面41の形状が転写される。
(図2(e))
ついで、母材40とペースト状の還元イソマルツロース50とを一緒に加熱する。これにより、水の少なくとも一部を蒸発させることができる。また、高温で溶融状態の還元イソマルツロース50が母材表面41に触れるので、母材表面41の形状を還元イソマルツロース50に正確に転写することができる。加熱手段としては、例えば、母材40と還元イソマルツロース50とを一緒に電子レンジで加熱する方法がある。電子レンジを用いた場合、短時間の加熱で済むため、過度の加熱による気泡発生や、還元イソマルツロースのキャラメル化(褐色または黄色に変色すること)を抑制することができる。また、母材40と還元イソマルツロース50とを一緒に加熱することにより、母材表面41の温度も高くなるので、高い転写精度を得ることができる。
還元イソマルツロース50を加熱した後であってかつ還元イソマルツロース50が固化する前に、還元イソマルツロース50と母材表面41との間に存在する気泡を除去又は移動させる脱気工程を行うことができる。この作業は、例えば細い棒を用いて還元イソマルツロース50中の気泡を掻き出すことにより行うことができる。
(図2(f))
ついで、母材表面41に接触した状態の還元イソマルツロース50を固化させる。固化した還元イソマルツロース50は固形の飴状となる。これにより、再帰性反射面を有する光透過性の反射材本体(再帰性反射材)10を製造することができる。ついで、得られた反射材本体10を母材40から取り出す。ここで、母材40を弾力性のあるシリコーンから構成したので、取り出し作業を容易に行うことができる。また、食品用のシリコーンを用いて母材40を構成することにより、反射材本体10の衛生状態を良好とすることができる。
(実験例1)
還元イソマルツロースを用いた再帰性反射材の基本特性について実験を行った。結果を以下に示す。
グラニュー糖、上白糖、還元イソマルツロース(商品名:パラチニット)の3種の糖について、再帰性反射材を作製した際のキャラメル化及び結晶化の度合いに関する調査を行った。再帰性反射材の作製方法としては、前記した実施形態で説明した方法と同様とした。ただし、用いる材料を、各糖の種類に応じて変更した。
具体的には、各糖について5回作製を行い、作製物の再帰性反射の度合いと彩度を計算し、その平均で評価を行った。作製法はどの糖についても、糖5g、水1.6gをシリコーン製の型(前記した本実施形態の母材40に対応)の上に載せ、気泡が落ち着くまで100~120秒加熱し、コーナーキューブに溜まった気泡を爪楊枝で取り除き、常温で冷却して硬化するという方法を用いた。シリコーン型は全て同じ物を使用した。
再帰性反射の度合いについては、光源とカメラとレンズとを、ハーフミラーを介して光学的に同軸上に設置し、それぞれの再帰性反射材を撮影した画像について、再帰性反射材全体の領域における画素値の平均を算出することにより求めた。また、彩度については、同じ照明条件で撮影した画像の色空間をHSVに変換し、再帰性反射材全体の領域における彩度の値(Sの値)の平均を算出することにより求めた。
各糖の再帰性反射の度合い及び彩度の平均と分散は以下の通りであった。
Figure 0007219965000001
これらの結果から次のことが言える。還元イソマルツロース(商品名:パラチニット)を用いると、他の糖を用いた場合に比較して、高い再帰性反射性能を得ることができる。しかも、彩度が低いので、キャラメル化の程度が低いことが分かる。
(実験例2)
本実施形態の再帰性反射材がどのような角度にどれだけ光を反射しているのか、その強度を照度計91(アズワン LM-331)、光源92(HOYA-SCHOTT MEGALIGHT100)、卓上暗室(図示せず…アズワン ADR-D1)を用い、測定を行った(図3参照)。実験方法は、光源92と反射材本体10を結ぶ直線と反射材本体10の法線との成す角を入射角α、「光源92と反射材本体10とを結ぶ直線」と「反射材本体10と照度計91とを結ぶ直線」との成す角を観察角βとして、これらのパラメータを変化させて各角度での照度を測定した。測定条件として、光源92による被測定対象位置での照度を411lux、光源92から反射材本体10までの距離Lを660mmとした。
まず、入射角αを0度に固定し、観察角βを±(60,40,20,10,5,4度)と変化させたときの照度を測定した。比較のため、反射材本体10を配置していないときについても測定を行った。結果を図4にグラフとして示す。図4において実線が本例の結果、破線が比較例の結果を示す。この結果から、観察角が4度のときに最大値27luxをとり、光源の7%程度を反射していることがわかる。また、観察角の角度が大きくなるにつれ照度が低下し、正負両側とも10度以上のほぼ全域において反射がほぼ見られない。これらの結果より、飴製の反射材本体10は再帰性反射をしていることが分かる。
(実験例3)
次に、観察角βを4度に固定し、入射角αを0,5,10,15,20,25,30,35,40,45度と変化させたときの照度を測定した。結果を図5に示す。参考のために、観察角4度において飴製再帰性反射材を配置していない時の照度8luxを一点鎖線(直線)で示した。この結果より、入射角0度のときに最大値27luxをとることがわかる。また、入射角の角度が大きくなるにつれ照度が低下し、入射角45度では反射材本体を配置していないときの照度とほとんど変わらないことがわかる。
(実験例4)
作製した反射材本体10を、光源とカメラとレンズとをハーフミラーを介して光学的に同軸上に設置したシステムを用いて撮影した。そして、反射材本体10に対する入射角を変化させたときに、反射材全体において反射する光の強度がどの程度変わるのか実験を行った。
結果を図6にグラフとして示す。横軸は光軸に対する角度、縦軸は反射材本体10の全体における画素値(カメラ画像における画素値)の平均である。結果より、入射角0度のときに最大値139.766をとることがわかった。入射角度が大きくなるにつれて画素値の平均が低下しているが、素材の屈折率の調整によりこの点は改善可能と考えられる。
(変形例1)
次に、本発明に係る二つの反射材本体(再帰性反射材)10を組み合わせて構成された可食性の再帰性反射体について、変形例1として図7に基づいて説明する。変形例1の説明においては、前記した実施形態の再帰性反射材と基本的に同様な構成については、同一符号を用いることにより、説明の重複を避ける。
変形例1では、一方の反射材本体10の再帰性反射面30に、外側に突出する突出部31が形成されている。そして、二つの反射材本体10を、それぞれの再帰性反射面30が対向する状態で組み合わせている。突出部31は、他方の反射材本体10における再帰性反射面30に当接させられており、これによって、対向する再帰性反射面30どうしが離間されている。本例の突出部31は、再帰性反射面30の端部近傍の位置(図7参照)に設けられている。なお、図7では、一つの突出部31のみを示しているが、再帰性反射面30の周縁に沿って複数の突出部31を設けることが好ましい。
また、これらの反射材本体10の入射面20は、再帰性反射体の外側となる位置に配置されている。この入射面20は、実質的に滑らかな平面状とされている。ただし、実質的に滑らかな曲面状であってもよい。ここで実質的に滑らかとは、使用者がこの再帰性反射体を食べたときに、その口中で特に違和感や危険を感じない程度に滑らかなものという意味であり、具体的には実験的に決定できる。
この変形例1によれば、対向する再帰性反射面30どうしを突出部31により離間させているので、対向する再帰性反射面の間に空気層を介在させることができ、その結果、再帰性反射面30による再帰性反射を行うことができる。また、実質的に滑らかな形状を持つ入射面20が外側に配置されるので、再帰性反射体を安全に食することができるという利点がある。
さらに、本例では、突出部31を、再帰性反射面30の端部近傍の位置に設けたので、突出部31による再帰性反射性能への影響を小さく抑えることができる。また、再帰性反射面30の周縁に沿って複数の突出部31を設ける構成とすれば、対向する再帰性反射面30の間の間隙を安定的に保持することができるという利点もある。
なお、対向する再帰性反射面30のそれぞれに突出部を設ける構成も可能である。
(変形例2)
次に、本発明に係る複数の反射材本体(再帰性反射材)10を組み合わせて構成された可食性の再帰性反射体について、変形例2として説明する。変形例2の説明においては、前記した実施形態の再帰性反射材と基本的に同様な構成については、同一符号を用いることにより、説明の重複を避ける。
変形例2では、入射面20を外側に向け、再帰性反射面30を内側に向けた状態で、全体として立体形状をなすように複数の反射材本体10が配置された構成となっている。ここで立体形状とは、例えば球体状又は多面体状である。
また、複数の反射材本体10の入射面20は、実質的に滑らかな平面状又は曲面状に形成されている。ここで、「実質的に滑らか」の意味は、前記した変形例1と同様である。
変形例2の再帰性反射体によれば、立体形状の外側の面を滑らかな形状とすることができるため、安全であるという利点がある。また、球体状又は多面体状に再帰性反射体を構成することにより、様々な方向からの光に対して再帰性反射を行うことができる。
すると例えば、動物を対象とするモーションキャプチャを行う際に、この再帰性反射体を動物の身体に取り付けることで、動物の各部における位置及び姿勢をカメラ画像から取得することができる。また、本例の再帰性反射体は可食性のため、動物が再帰性反射体を食べてしまっても安全である。さらに、再帰性反射体の外面形状は滑らかであるため、けがをする心配もない。
また例えば、イヌなどのペットの身体にこの再帰性反射体を取り付けたうえで散歩させることで、夜間であっても、ペットの安全性を向上させることができるという利点もある。この場合も、本例の再帰性反射体は可食性であるため、ペットが再帰性反射体を食べてしまっても安全であるという利点がある。また、前記と同様の理由により、けがの心配もない。
なお、本発明の内容は、前記実施形態に限定されるものではない。本発明は、特許請求の範囲に記載された範囲内において、具体的な構成に対して種々の変更を加えうるものである。
例えば、前記した還元イソマルツロースに、屈折率を調整するための調整剤やその他の添加剤を添加することは可能である。
10 反射材本体(再帰性反射材)
20 入射面
30 再帰性反射面
31 突出部
40 母材
41 母材の表面
50 還元イソマルツロース
60 容器
61 粘土
70 原型
80 シリコーン
91 照度計
92 光源

Claims (4)

  1. 再帰性反射面の形状を有する母材表面に、粉末状の還元イソマルツロースを載置する工程と、
    前記母材表面上の前記還元イソマルツロースに水を接触させる工程と、
    前記還元イソマルツロースが前記水を吸収することによりペースト状に変化して、前記還元イソマルツロースに前記母材表面の形状が転写される工程と、
    前記母材と前記ペースト状の還元イソマルツロースとを加熱することにより、前記水の少なくとも一部を蒸発させる工程と
    前記母材表面に接触した状態の前記還元イソマルツロースを固化させることにより、再帰性反射面を有する光透過性の再帰性反射材を形成する工程と
    を有する再帰性反射材の製造方法。
  2. 前記母材は、シリコーンにより構成されている
    請求項1に記載の再帰性反射材の製造方法。
  3. 前記還元イソマルツロースを加熱した後であってかつ前記還元イソマルツロースが固化する前に、前記還元イソマルツロースと前記母材表面との間に存在する気泡を除去又は移動させる脱気工程をさらに備える
    請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記再帰性反射面は、コーナーキューブ型の再帰性反射面とされている
    請求項1~3のいずれか1項に記載の製造方法。
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