図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の概略の構成を示す図である。図2は、画像形成装置1のハードウェア構成の例を示す図である。図3は、画像形成装置1における一括スキャン動作に関わる機能的構成の例を示す図である。図4は、原稿重なりの一例を示す図である。
図1および図2に示す画像形成装置1は、一般にMFP(Multi-functional Peripheral)または複合機などと呼ばれる装置であって、コピー、PCプリント、ファックス、スキャナ、およびドキュメントサーバなどの機能を集約した装置である。画像形成装置1は、原稿から画像を読み取る画像読取り装置として動作することができる。
PCプリント機能は、パーソナルコンピュータなどの端末装置から画像データを受信して画像をシートに印刷する機能である。「ネットワークプリンタ機能」または「ネットワークプリンティング機能」などと呼ばれることもある。
ドキュメントサーバ機能は、ユーザごとに「個人ボックス」または「ボックス」などと呼ばれる、パーソナルコンピュータにおけるフォルダまたはディレクトリなどに相当する記憶領域を設け、管理する機能である。「ボックス機能」と呼ばれることもある。ユーザは、自分のボックスに画像データなどをファイル単位で保存しておくことができる。
画像形成装置1は、CPU(Central Processing Unit)10a、RAM(Random Access Memory)10b、ROM(Read Only Memory)10c、大容量記憶装置10d、スキャンユニット10e、印刷ユニット10f、ネットワークインタフェース10g、操作パネル10h、ファクシミリユニット10i、画像処理回路10j、および自動原稿送り装置10kなどによって構成される。
CPU10aは、画像形成装置1の全体的な制御などを行う制御部である。
ROM10cまたは大容量記憶装置10dには、上述のコピーおよびスキャナなどの機能を実現するためのオペレーティングシステムおよびミドルウェアなどのソフトウェアがインストールされている。特に、本実施形態では、一括スキャン動作を実現するための一括スキャンプログラム10P(図3参照)がインストールされている。一括スキャン動作は、スキャンユニット10eによって複数の原稿の画像を一括に読み取って1つの画像ファイルまたは原稿ごとの複数の画像ファイルとして記憶する動作である。
これらのソフトウェアを構成するソフトウェアモジュールは、必要に応じてRAM10bにロードされ、CPU10aによって実行される。大容量記憶装置10dとして、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)など不揮発性の記憶装置が用いられる。
ネットワークインタフェース10gは、通信回線を介して外部の装置を相手にTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)などのプロトコルで通信を行う。ネットワークインタフェース10gとして、例えばNIC(Network Interface Card)が用いられる。
操作パネル10hは、キー入力部10h1、タッチパネルディスプレイ10h2、および副電源スイッチ10h3などによって構成される。
キー入力部10h1は、ハードウェアキーを配置したパネルであって、スタートキー10h4とともにストップキー、テンキー、およびファンクションキーなどを有している。
タッチパネルディスプレイ10h2には、ユーザに対してメッセージまたは指示を与えるための画面、ユーザが所望する処理の種類および処理条件を入力するための画面、およびCPU10aなどで実行された処理の結果を示す画面などが表示される。ユーザは、これらの画面を見ながらキー入力部10h1またはタッチパネルディスプレイ10h2を操作することによって、画像形成装置1に対して情報および指令を入力することができる。
副電源スイッチ10h3は、スリープモードなどの省電力モードへ移行するように画像形成装置1に対してユーザが指示するためのスイッチである。
自動原稿送り装置10kは、ADF(Auto Document Feeder)であって、原稿給紙トレイにセットされた原稿を1枚ずつスキャンユニット10eの読取り位置へ搬送し、スキャンユニット10eによる原稿の読取り後に原稿排紙トレイへ原稿を排出する。
また、自動原稿送り装置10kは、原稿セットセンサ10k1を備えている。原稿セットセンサ10k1は、原稿がセットされたことを公知のタクトスイッチによって検知し、CPU10aへ通知する。
さらに、自動原稿送り装置10kは、スキャンユニット10eのプラテンガラス10e2(原稿台ガラス)を覆ったり露出させたりするために背面側の回転軸を中心に回転して開閉することが可能に設けられている。ユーザは、スキャンユニット10eによる読取りにおいて原稿を押さえかつ原稿の周囲の背景(白地面)となる原稿カバー10k2として自動原稿送り装置10kを用いることができる。
スキャンユニット10eは、プラテンガラス10e2の上面に置かれた原稿を撮像するフラットベッド型のイメージスキャナである。プラテンガラス10e2の下側に主走査のためのラインセンサと副走査方向に移動するスライダーが設けられている。ラインセンサによる撮像の方式は、縮小投影方式でもよいし、密着方式でもよい。縮小投影方式では、スライダーに光源と原稿からの反射光をラインセンサに導くミラーとが設けられる。
スキャンユニット10eは、プラテンガラス10e2の上に載置された原稿シート、書籍、またはその他の印刷物などに記されている写真、文字、絵、図表などからなる画像を光学的に読み取って画像データを生成する。以下、この画像データを「スキャンデータ」と記載することがある。
スキャンユニット10eは、装置持ち上げセンサ10e1を備えている。装置持ち上げセンサ10e1は、自動原稿送り装置10kが持ち上げられたことおよび元に戻されたこと、すなわち原稿カバー10k2が開状態になったことおよび閉状態に戻ったことを公知の磁気センサによって検知し、CPU10aへ通知する。
画像処理回路10jは、スキャンユニット10eから受け取ったスキャンデータにシェーディング補正および色収差補正といった読取り光学系の特性に関わる処理を施す。さらに、印刷用のラスタデータの生成、保存用の圧縮データの生成といったデータ出力処理の一部または全部を受け持つ。画像処理回路10jは、受け持った処理をソフトウェアのみで行う場合よりも高速に行うためのハードウェアを含んで構成される。画像処理回路10jは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)またはFPGA(Field Programmable Gate Array)などによって構成することができる。
ファクシミリユニット10iは、公衆電話回線を介してファックス端末との間でG3などのプロトコルで画像データをやり取りするための装置である。
印刷ユニット10fは、スキャンユニット10eによって読み取られた画像のほか、外部の情報処理装置またはファックス端末などから受信した画像データに示される画像をシートに印刷する。
印刷ユニット10fは、画像形成部11、自動両面ユニット12、給紙部13、および給紙キャビネット14などによって構成される。
画像形成部11は、電子写真方式のタンデム型のカラープリンタエンジンであって、感光体ドラム31a,31b,31c,31d、露光走査ユニット32a,32b,32c,32d、転写ベルト33、および前扉センサ34などによって構成される。
感光体ドラム31a~31dは、それぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、および黒に対応する感光体ドラムである。同様に、露光走査ユニット32a~32dは、それぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、およびブラックに対応する露光走査ユニットである。
露光走査ユニット32a~32dは、それぞれ、CPU10aからの信号に基づいて印刷対象の画像に応じて露光することによって、感光体ドラム31a~31dに静電潜像を作像する。感光体ドラム31a~31dに各色のトナーが付着することにより、静電潜像がトナー像に可視化される。
転写ベルト33には、感光体ドラム31a~31dのそれぞれに形成された各色のトナー像が重ねられる。これにより、フルカラーのトナー像が転写ベルト33に形成される。
前扉センサ34は、公知のタクトスイッチによって、前扉カバーが開放されたことを検知し、CPU10aへ通知する。
給紙部13は、画像形成装置1に標準に装備されている、画像形成部11へシートを供給するためのユニットである。給紙部13は、1つまたは複数の給紙カセット13aおよびピックアップローラ13bなどによって構成される。給紙カセット13aには、用紙が収納される。ピックアップローラ13bは、給紙カセット13aからシートを1枚ずつピックアップして画像形成部11へ搬出する。
給紙キャビネット14は、給紙部13と同様に画像形成部11へシートを供給するユニットであるが、画像形成装置1にオプションとして装備される。給紙キャビネット14の給紙カセット14aからピックアップローラ14bによって送り出されたシートは給紙部13を経由して画像形成部11へ供給される。
そして、転写ベルト33に形成されたトナー像が、給紙部13または給紙キャビネット14から搬出されてきたシートに転写される。
自動両面ユニット12は、片面に画像が印刷されたシートの裏表を反転させて、通紙経路上で一旦スイッチバックさせ、再度、画像形成部11へ給紙する。これにより、両面印刷が可能になる。
図3に示すように、一括スキャンプログラム10Pによると、原稿画像検出部101、原稿重なり検出部102、保持処理部103、原稿重なり通知部104、および画像出力部105などの機能が画像形成装置1に実現される。CPU10aによる一括スキャンプログラム10Pの実行に際して、ワークエリアとしてRAM10bが用いられる。
図3および図4を参照して、CPU10aは、ユーザによるスキャン指示3が操作パネル10hを介して入力されると、スキャンユニット10eに原稿の読取りを指令する。スキャンユニット10eは、この指令が与えられると、プラテンガラス10e2における読取対象領域92の走査を行ってスキャンデータ4を生成する。読取対象領域92は、ユーザによる読取りサイズの指定、または原稿サイズセンサによる検出結果に基づいて決定される。基本的には、読取対象領域92は、主走査および副走査の起点91を頂点としかつ配置された全ての原稿20(20a,20b,20c)を包含する最小の矩形の領域とされる。
スキャンデータ4には、シェーディング補正、傾き補正、トリミング、および圧縮などの画像処理のうち、モードにより決まる必要な処理が施される。スキャンデータ4は、ファイル化されて画像ファイル5として大容量記憶装置10dに記憶される。その後、画像ファイル5は、大容量記憶装置10dで記憶され続ける(つまり保存される)場合もあるし、直ぐに読み出されて外部のパーソナルコンピュータなどに転送される場合もある。
以下において、記憶されているスキャンデータ4の全部または一部を所定の条件が満たされたときにファイル化して画像ファイル5として大容量記憶装置10dに記憶させることを「取込」と記載し、取込を行うことを「取り込む」と表現する。
ところで、画像形成装置1のユーザは、プラテンガラス10e2に複数枚のシート状の原稿20a~20cを配置し、これらの原稿20a~20cの画像を画像形成装置1に一斉に読み取らせてデータ化したりコピーしたりすることができる。例えば、買い物のレシート、チケット、または写真など、自動原稿送り装置10kでは搬送できない小サイズまたはサイズが様々な多数のシートの画像をまとめてデータ化する、という場合がある。複数枚ずつ配置して読み取らせることにより、1枚だけ配置しては読み取らせるという動作を繰り返す場合よりも、データ化の作業の手数が少なくなる。作業を早く終えることもできる。コピーの場合も同様である。
本実施形態において、画像形成装置1は、読取対象領域92を取込の単位とする「一括取込モード」と個々の原稿を取込の単位とする「個別取込モード」とを有し、これらのモードをユーザが選択するように構成されている。図4(A)の例のように3枚の原稿20a~20cが配置された場合、一括取込モードでは1つの画像ファイル5が生成され、個別取込モードでは3つの画像ファイル5が生成される。
ただし、一括取込モードでも個別取込モードでも、画像形成装置1による原稿20a~20cとその周囲との判別の精度を高める上で、原稿20a~20cを配置した後に原稿カバー10k2を閉じるのが好ましい。
しかし、原稿20a~20cが湾曲していたり折れ曲がっていたりすると、原稿カバー10k2を閉じたときに原稿20a~20cが原稿カバー10k2に押されて平たくなることによって、原稿20どうしが部分的に重なる「原稿重なり」が生じることがある。
また、原稿カバー10k2を開いた状態では、原稿20a~20cが重ならずに並んでいたとしても、原稿カバー10k2を閉じるときにプラテンガラス10e2との間に生じる気流により原稿20a~20cが移動して原稿重なりが生じることもある。図4(B)の例では、原稿20aと原稿20bとが重なる原稿重なりが生じている。なお、原稿カバー10k2は、上述した通り背面側の回転軸を中心に回転するので、背面側から前面側へ原稿20a~20cを移動させる気流が発生する。
原稿重なりが生じると、重なり合った複数枚の原稿20のうちの上側の原稿20(図4(B)の例では原稿20b)の重なった部分の画像を読み取ることができず、データ化が不完全になってしまう。ユーザが原稿カバー10k2を開いて原稿20a~20cの配置を修正したとしても、原稿カバー10k2を閉じたときに再び原稿重なりが生じることがある。したがって、従来のように原稿重なりが生じたことをユーザに警告するだけでは、原稿20a~20cの配置の修正をユーザに何回も強いるという状況が起こり得る。
そこで、画像形成装置1は、複数枚の原稿の画像を一斉に読み取る場合における画像形成装置1の使い勝手を従来よりも良くする以下の処理を行う。
図5は、一括スキャン動作の概略の流れを示すフローチャートである。図6は、原稿画像検出処理の流れの例を示すフローチャートである。図7は、原稿画像検出処理を模式的に示す図である。
図5において、ユーザにより操作パネル10hを用いてスキャナの機能が選択され、必要に応じて原稿サイズおよび解像度などが指定され、その後にスタートキー10h4が押されると、スキャンユニット10eは、読取対象領域92の走査を行う(#201)。スキャンユニット10eは、走査により読取対象領域92の全体を読み取ったスキャン画像40(図7では40a)を示すスキャンデータ4を生成する。
原稿画像検出部101は、スキャンデータ4に基づいて、スキャン画像40のうちの原稿を撮像した部分である原稿画像42を次の手順によって検出する(#202)。
図6および図7を参照して、原稿画像検出部101は、スキャン画像40aにおける白地背景レベル(第一の下地レベル)L41と原稿下地レベル(第二の下地レベル)L42とを検出する(図6の#221、#222)。白地背景レベルL41は、スキャン画像40aのうちの原稿画像42(42a,42b,42c)ではない背景画像41の明るさのレベルである。原稿下地レベルL42は、原稿画像42a~42cそれぞれの下地部分の明るさのレベルである。
具体的には、原稿カバー10k2の白地面を読み取ったときの画素値(明るさ)を予め記憶している場合には、その画素値を白地背景レベルL41とする。白地面を読み取ったときの画素値を記憶していない場合は、スキャン画像40aの画素値の度数分布(ヒストグラム)を求め、明るい側の所定の画素値範囲内における最も度数の大きい画素値を白地背景レベルL41とする。
原稿下地レベルL42については、スキャン画像40aの画素値の度数分布において、白地背景レベルL41よりも所定の値だけ低い(暗い)画素値範囲内で度数の大きい画素値を原稿下地レベルL42とする。
原稿画像検出部101は、図7(B)に示すように、白地背景レベルL41と原稿下地レベルL42の間の画素値をしきい値Lthに設定し、スキャン画像40aをしきい値Lthよりも明るい白領域としきい値Lthよりも暗い黒領域とに分けた2値化画像を生成する。そして、2値化画像から黒領域を抽出する(#223)。または、スキャン画像40aから画素値が原稿下地レベルL42以下の画素のみを抽出する。このような抽出を行うことが原稿画像42a~42cを検出することになる。
原稿画像検出部101は、原稿画像42a~42cを検出した後、公知のエッジ検出の手法を用いて原稿画像42a~42cの輪郭43(43ab,43c)を抽出し、輪郭43に対応する画素の位置を示す位置情報を原稿重なり検出部102に通知する(#224)。
図5に戻って、原稿重なり検出部102は、原稿画像検出部101により抽出された輪郭43ab,43cに基づいて、原稿重なりを検出する(#203)。検出の方法を後に述べる。
また、原稿重なり検出部102は、ステップ#202の原稿画像検出処理で検出された原稿画像42a~42cを、適正画像421と不適正画像422とに判別する。適正画像421は、どの部分も他のいずれの原稿にも重なっていない原稿の画像である。不適正画像422は、適正画像421ではない原稿画像42である。なお、不適正画像422は、重なり合った複数枚の原稿のうちの最下の原稿の画像と最下以外の原稿のうち他の原稿と重なっていない部分の画像とで構成される。図7(A)の例のスキャン画像40aでは、原稿画像42cが適正画像421と判別され、原稿画像42a,42bが不適正画像422と判別される。
保持処理部103は、原稿重なり検出部102により原稿重なりが検出された場合に(#204でYES)、適正画像421を保持する(#205)。詳しくは、スキャン画像40aにおける適正画像421の位置情報(座標または画素番号)とスキャン画像40aとを紐づけて適正画像保持部106に記憶させる。または、適正画像421の全画素の画素値を画素番号とともに記憶させる。適正画像保持部106は、RAM10b、画像処理回路10j内のメモリ、または大容量記憶装置10dに適正画像421を保持するために設けられる記憶領域である。
また、このステップ#205において、原稿重なり通知部104が、原稿重なりが発生していることをユーザに通知し、それによって原稿の再配置(配置し直すこと)をユーザに促す。
本実施形態においては、原稿の再配置には次の2つの態様が想定されている。
(A1):重なっていない原稿を取り除き、重なっている原稿の配置を重ならないように変更する。
(A2):(A1)を行い、さらに重なっていない原稿を取り除いたことで空いた領域(スペース)に新たに別の原稿を配置する。
なお、ユーザは、従来から行われる一般的な再配置、すなわち重なっていない原稿を取り除くことなく全ての原稿が重ならないように配置し直す態様(A3)の再配置を行うことも可能である。
ユーザが原稿の再配置を行って再びスタートキー10h4を押すと、スキャンユニット10eは、再び読取対象領域92の走査(再走査)を行い、スキャンデータ4を生成する。このスキャンデータ4に基づいて、前回の走査時と同様に、原稿画像の検出および原稿重なりの検出などが行われる。
そして、原稿重なりが検出されなかった場合に、前回の走査時に保持された適正画像421と今回の再走査により得られたスキャン画像40の原稿画像42との取込が画像出力部105によって行われる(#206)。原稿重なりが検出された場合は、再びユーザに原稿の再配置を促す通知が行われる。ただし、再走査によるスキャン画像40に適正画像421があれば、保持処理部103は、適正画像421を保持する。
一方、1回目の走査により得られたスキャン画像40において原稿重なりが検出されなかった場合は(#204でNO)、このスキャン画像40について画像出力部105によって取込が行われる(#207)。このとき、一括取込モードであれば、スキャン画像40の全体を示す1つの画像ファイル5が記憶される。個別取込モードであれば、スキャン画像40に含まれる複数の原稿画像それぞれを示す画像ファイル5が記憶される。
以下、ステップ#203からステップ#206までの処理についてさらに詳しく説明する。
図8は、図5における原稿重なり検出処理の流れの例を示すフローチャートである。図9は、図5における保持・通知処理の流れの例を示すフローチャートである。図10は、原稿重なりが生じたことを通知する画面81,81bの例を示す図である。図11は、スキャン画像40bにおける原稿画像42d,42eとプラテンガラス10e2における原稿20d,20eとの向きの関係を示す図である。
図8に示すように、原稿重なり検出部102は、原稿画像検出部101から輪郭43ab,43cを特定する情報を取得する(#231)。次に、取得した情報により特定される輪郭、つまり輪郭43ab,43cのうちの1つに注目し、注目した輪郭43を構成する線が直角に曲がる変曲点を特定してその数および座標を求め(#232)、注目した輪郭43の形状が一般的な原稿の形状である矩形(四角形)であるか否かを判断する(#233)。具体的には、変曲点(頂点)の数が4である場合は矩形であると判断し、4以外である場合は矩形ではないと判断する。
原稿重なり検出部102は、矩形であると判断した場合に(#233でYES)、注目した輪郭43に包含される原稿画像42を適正画像421と判別する(#234)。なお、矩形の輪郭43における1つの頂点の一方の座標値X(またはY)が他のいずれかの頂点の座標値X(またはY)と同一である場合は、注目した輪郭43は座標軸に対して傾いていないことになる。
一方、原稿重なり検出部102は、注目した輪郭43が矩形ではないと判断した場合に(#233でNO)、注目した輪郭43に包含される原稿画像42を不適正画像422と判別する(#235)。
原稿重なり検出部102は、全ての輪郭43に注目したか否かをチェックし(#236)、全ての輪郭43に注目していない場合は(#236でNO)、ステップ#232に戻って注目していない輪郭43の1つに注目する。原稿重なり検出部102は、全ての輪郭43について、それぞれに包含される原稿領域42が適正画像421であるか不適正画像422であるかを判別するまで(#236でYES)、ステップ#232~ステップ#236の処理を繰り返す。
図9に示すように、保持処理部103は、原稿画像検出部101により検出された原稿画像42の1つに注目し、注目した原稿画像42についての原稿重なり検出部102による判別の結果を取得する(#241)。
判別の結果が不適正画像422ではない場合(#242でNO)、つまり適正画像421である場合は、注目した原稿画像42を適正画像保持部106に記憶させることによって保持する(#243)。
これに対して、判別の結果が不適正画像422である場合は、注目した原稿画像42を保持しないと決定し(#244)、注目した原稿画像42を決定の通り保持しない。
保持処理部103は、原稿画像検出部101により検出された全ての原稿画像42について処理を終えたか否かをチェックし(#245)、全ての原稿画像42について処理を終えていない場合は(#245でNO)、ステップ#241に戻って注目していない原稿画像42の1つに注目する。保持処理部103は、全ての原稿画像42について処理を終えるまで(#245でYES)、ステップ#241からステップ#245までの処理を繰り返す。
原稿重なり通知部104は、保持処理部103により保持しないと決定された原稿領域42が1つでもあった場合に(#246でYES)、例えば図10(A)に示す画面81をタッチパネルディスプレイ10h2に表示させることによって、原稿重なりが生じていることをユーザに通知する(#247)。
画面81は、メッセージ810と、はいボタン811と、いいえボタン812とを有する。メッセージ810は、原稿重なりが生じていることを伝える文と、原稿の再配置をするかしないかをユーザに問うことで暗に再配置を促す文とで構成される。はいボタン811は、再配置をする意思を入力するためのボタンであり、いいえボタン812は、再配置をしない意思を入力するためのボタンである。
画面81においてユーザがはいボタン811にタッチすると、原稿重なり通知部104は、画面81に代えて画面82をタッチパネルディスプレイ10h2に表示させる。画面82は、メッセージ820と、はいボタン821と、いいえボタン822とを有する。
メッセージ820は、重なりのない原稿の画像を保存したいか否かをユーザに問う文である。このメッセージ820を表示することにより、適正画像421を保持する必要があるか否かの判断をユーザに仰ぐことになる。
はいボタン821は、保存を望むことを入力するためのボタンであり、いいえボタン822は、保存を望まないことを入力するためのボタンである。いいえボタン822がタッチされる場合としては、例えば重なっていない原稿を取り除くことなく重なっている複数の原稿(再配置対象原稿)の配置を修正しようとユーザが思う場合、つまり上に述べた態様(A3)の再配置を行おうと思う場合がある。
画面82においてユーザがはいボタン821にタッチすると、原稿重なり通知部104は、画面82に代えて画面83をタッチパネルディスプレイ10h2に表示させる。
画面83は、メッセージ830と確認ボタン831とを有する。メッセージ830は、原稿20の再配置を依頼するとともに再配置が終わったときの操作を案内する文章である。確認ボタン831は、再配置が完了したことを入力するためのいわゆるOKボタンである。ユーザは、原稿20の配置ができるだけ変わらないように原稿カバー10k2をゆっくりと開き、重なっていない原稿20を取り除きかつ重なっている複数枚の原稿20を重ならないように配置し直す。そして、原稿カバー10k2を閉じて確認ボタン831にタッチする。画像形成装置1は、原稿カバー10k2の開閉が行われて確認ボタン831がタッチされると、スタートキー10h4の押下を受け付ける。ユーザがスタートキー10h4を押すと、スキャンユニット10eは、読取対象領域92の走査(再走査)を行う。
なお、スタートキー10h4の押下を受け付ける状態になると、原稿重なり通知部104は、画面83におけるメッセージ830に代えてスタートキー10h4の押下をユーザに促すメッセージ有した画面をタッチパネルディスプレイ10h2に表示させる。
ところで、ユーザに原稿20の再配置を促すために、画面81ではなく、図10(B)に示す画面81bを表示してもよい。画面81bは、画面81のメッセージ810をメッセージ810bに置き換えた画面である。
メッセージ810bは、撮像された際に重なっていた原稿20のおおよその位置を示してユーザに原稿20の再配置を要求する文である。
重なっている原稿20の位置を示すにあたっては、図11に示すように、スキャン画像40bを例えば上下左右の4つ区画に分け、不適正画像422が主に占める区画の位置を示せばよい。図示の例では、スキャン画像40bの左上に不適正画像422である原稿画像42d,42eが存在している。
注意すべきことは、スキャン画像40bにおける原稿画像42d,42eの配置とプラテンガラス10e2を上から見たときの原稿20d,20eの配置とが表裏を反転した関係になることである。図11の例において、副走査方向M2は同じ方向であるが、主走査方向M1は、スキャン画像40bでは上向きであるのに対してプラテンガラス10e2では下向きである。したがって、原稿画像42d,42eに対応する原稿20d,20eは、プラテンガラス10e2では左下に配置されている。そこで、画面81bのメッセージ810bは、「左下側」の原稿が重なっていることを知らせる文章とされている。
図12は、個別取込モードにおける取込の例を示す図である。図13は、図5における原稿重なりがあった場合に実行される画像取込処理の流れの例を示すフローチャートである。
図12において、初回(1回目)の走査時にスキャン画像40bが得られている。スキャン画像40bは、原稿画像42d,42e,42f,42g,42h,42iを有している。これらの原稿画像42d~42iのうち、原稿画像42f~42iは、適正画像421と判別されて保持される。原稿画像42d,42eは、不適正画像422と判別され、それ故に保持されない。
原稿重なりのあることがユーザに通知され、原稿の再配置が行われる。その際、原稿画像42f~42iに対応する原稿は取り除かれ、原稿画像42d,42eに対応する2枚の原稿が重ならないように配置される。すなわち上に述べた態様(A1)の再配置が行われる。
再配置の後に行われる再走査により、スキャン画像40cが得られる。スキャン画像40cは、原稿画像42j,42kを有している。これらの原稿画像42j,42kは、適正画像421である。
初回の走査時に保持された原稿画像42f,42g,42h,42iは、それぞれ画像ファイル5f,5g,5h,5iとして記憶される。
また、再走査により得られた原稿画像42j,42kは、それぞれ画像ファイル5j,5kとして記憶される。
次に、このような動作を行う画像形成装置1における再走査以降の処理の流れを図13のフローチャートを参照して説明する。
画像形成装置1は、画面81(または81b)においてユーザによりタッチされたボタンをチェックする(#251)。はいボタン811がタッチされた場合は、保存の問合せとして画面82を表示する(#252)。
そして、画面82においてユーザによりはいボタン821がタッチされた場合に、画像形成装置1は、画面83を表示することによってユーザに再配置を促す(#255)。もしも画面82においていいえボタン821がタッチされた場合は、取込を行うことなく処理を終了する。なお、この場合は、処理を終了する際に、適正画像保持部106において適正画像421の保持に用いられているアドレス領域を解放してもよい。
一方、ステップ#251のチェックの結果がいいえボタン812であった場合には、画像形成装置1は、再配置が行われないまま適正画像421と不適正画像422とが混在している状態のスキャン画像40を取り込む(#253)。つまり、個別取込モードを解除してスキャン画像40の全体をファイル化して大容量記憶装置10dに記憶させる。
ステップ#255で画面83を表示した後、再走査が行われると、画像形成装置1は、再走査によるスキャンデータ4を取得し(#256)、原稿重なり検出を行う(#257)。
画像形成装置1は、原稿重なりがない場合は(#258でNO)、すなわち再配置によって原稿20の重なりが解消された場合は、今回のスキャン画像40cから原稿画像42j,42kをそれぞれトリミングし(#261)、それぞれ1つの画像ファイル5として取り込む(#262)。続いて、画像形成装置1は、以前の走査時に保持した原稿画像42f~42iそれぞれを以前のスキャン画像40bからトリミングし(#263)、それぞれ1つの画像ファイル5として取り込む(#264)。
一方、原稿重なりがある場合は(#258でYES)、画像形成装置1は、適正画像421があればそれを保持し(#259)、その後に画面83を表示することによって、さらなる再配置をユーザに促す(#260)。この場合、フローは、ステップ#260からステップ#256へ戻る。
図14は、個別取込モードにおける取込の他の例を示す図である。
図14(A)には上に述べた態様(A2)の再配置が行われた後の再走査で得られたスキャン画像40dの例が示されている。スキャン画像40dは、図12のスキャン画像40cと同様の原稿画像42j,42kに加えて、原稿画像42p,42q,42r,42s,42tを有する。これらの原稿画像42j,42k,42p~42tは、全て適正画像421である。
原稿画像42j,42kは、初回の走査時に不適正画像422となっていたものが原稿20の再配置によりそれぞれ適正画像421となったものである。
原稿画像42p~42tは、今回の再走査に先立つ再配置で初めてプラテンガラス10e2に配置された原稿の画像である。
図14(B)に示すように、初回の走査によるスキャン画像40bについては、図12の例と同様に、原稿画像42f~42iがそれぞれ画像ファイル5f~5iとして記憶される。
今回の再走査によるスキャン画像40dについては、原稿画像42j,42k,42p,42q,42r,42s,42tがそれぞれ画像ファイル5j,5k,5p,5q,5r,5s,5tとして記憶される。
図15は、一括取込モードにおける取込の例を示す図である。図16は、図5における原稿重なりがあった場合に実行される画像取込処理の流れの他の例を示すフローチャートである。
図15において、初回の走査によるスキャン画像40bのうちの原稿画像42f~42iが保持されること、および再走査によるスキャン画像40cが原稿画像42j,42kを有することは、図12の例と同様である。図12の例との差異は次の通りである。
図15の例では、再走査の後、スキャン画像40cの原稿画像42j,42kと初回の走査時に保持された原稿画像42f~42iとが重なるか否かをチェックする。つまり、読取対象領域92に原稿画像42j,42kと原稿画像42f~42iとを全て配置することが可能か否かをチェックする。そして、重ならない場合に、原稿画像42j,42kと原稿画像42f~42iとが並ぶ1つの集約画像40eを生成し、この集約画像40eを1つの画像ファイル5eとして取り込む。
なお、集約画像40eは、スキャン画像40bとスキャン画像40cとを、それぞれ原稿画像42f~42i以外の画素値と原稿画像42j,42k以外の画素値とを白地背景レベルL41とした上で合成する画像処理により生成することができる。または、スキャン画像40b,40cから原稿画像42f~42i,42j,42kをトリミングして所定の間隔をあけて並べる画像処理により生成してもよい。
集約画像(合成画像)40eは、初回の走査に際して原稿が重なっていなかった場合に得られたであろうスキャン画像40と同等の画像である。ユーザは、再配置に際して原稿画像42f~42iに対応する原稿を取り除いたにもかかわらず、あたかも取り除かなかったかのような読取りの結果を得ることができる。
次に、このような動作を行う画像形成装置1における再走査以降の処理の流れを図16のフローチャートを参照して説明する。
ステップ#271からステップ#278までの処理、ステップ#279の処理、およびステップ#280の処理は、図13のステップ#251からステップ#258までの処理ステップ#259の処理、およびステップ#260の処理と同様である。
画像形成装置1は、原稿重なりがない場合に(#278でNO)、以前に保持した原稿画像42f~42iと再走査により得られた原稿画像42j,42kとの重なりが生じるか否かを判定する(#281)。詳しくは、原稿画像42f~42iのいずれかの画素の座標と原稿画像42j、42kのいずれかの画素の座標とが一致する場合に重なりが生じると判定し、それ以外の場合に重なりが生じないと判定する。
重なりが生じないと判定した場合に(#282でNO)、原稿画像42j,42kと原稿画像42f~42iとを並べて1つにまとめた集約画像40eを生成して取り込む(#283)。
重なりが生じると判定した場合は(#282でYES)、個別取込が許されるか否かをチェックする(#284)。例えば、予めこのような場合に個別取込を行うことが許可されている場合、またはユーザに問い合わせる画面を表示して許可を得た場合に個別取込が許される。
個別取込が許される場合は(#284でYES)、原稿画像42j,42kおよび原稿画像42f~42iをそれぞれ個別に画像ファイル5j,5k,5f~5iとして取り込む(#285)。個別取込が許されない場合は(#284でNO)、ステップ#280に戻ってユーザに再配置を促す。
図17は、図5における原稿重なり検出処理の流れの他の例を示すフローチャートである。
次に、図17を参照して原稿重なり検出処理の変形例を説明する。図8の例では原稿画像42の輪郭43の形状に基づいて原稿重なりを検出したが、図17の変形例では、原稿20の個数と原稿画像42の個数とに基づいて原稿重なりを検出する。
原稿重なり検出部102は、ユーザにより入力された原稿20の個数(枚数)を取得する(#291)。この変形例において、ユーザは、プラテンガラス10e2に原稿20を配置する前または配置した後に原稿20の枚数を入力し、その後にスタートキー10h4を押して走査を開始させる。
原稿重なり検出部102は、原稿画像検出部101により検出された原稿画像42の個数を数える(#292)。そして、原稿20の枚数と原稿画像42の個数とが等しい(一致する)場合に(#293でYES)、原稿重なりがないと判定する(#294)。
一方、原稿20の枚数と原稿画像42の個数とが等しくない(一致しない)場合は(#293でNO)、原稿重なりがあると判定する(#295)。そして、原稿重なり通知部104と連携して、スキャン画像40、およびユーザに原稿画像42の判別を依頼するメッセージをタッチパネルディスプレイ10h2に表示させる(#296)。詳しくは、スキャン画像40を表示する画面において、重なり合った複数枚の原稿20の画像であるとユーザが判断する原稿画像42にタッチしてもらう。または、重なっていない単一の原稿20の画像であるとユーザが判断する原稿画像42にタッチしてもらう。
ユーザが判別の完了を入力するための完了ボタンにタッチすると、原稿重なり検出部102は、ユーザにより行われた原稿画像42の判別の結果に基づいて、原稿画像42を適正画像421と不適正画像422とに判別する(#297)。例えば、重なり合った複数枚の原稿20の画像であるとユーザが判断する原稿画像42にタッチしてもらう場合は、タッチされた原稿画像42を不適正画像422と判別し、タッチされなかった原稿画像42を適正画像421と判別する。
なお、検出された原稿画像42の個数が1である場合は、ユーザによる原稿画像42の判別を省略し、原稿画像42を不適正画像422と判別することができる。
以上の実施形態によると、原稿重なりが生じた場合に適正画像421が保持されるので、ユーザがプラテンガラス10e2から重なっていない原稿20を取り除いても、適正画像421を読み取ったことが無駄にならない。このため、ユーザは、重なっていない原稿20を躊躇することなく取り除き、重なっている原稿20を重ならないように配置し直すことができる。重なっていない原稿20を取り除くことで配置する原稿20の枚数が減るので、原稿カバー10k2を閉じたときなどに再び原稿重なりが生じることが起こりにくくなる。何回も配置し直すことが減るので、ユーザは複数の原稿を読み取らせる作業を従来よりも効率的に進めることができる。
また、個別取込モードでは、重なっていない原稿20を取り除くことで空いたスペースを利用して原稿20を配置し直しても何ら支障はないので、原稿どうしが重ならないように十分に間隔を設けて配置し直すのが従来よりも容易になる。
さらに、適正画像421が保持されるので、重なっていない原稿20を取り除いて空いたスペースに新たな原稿を配置することができる。つまり、配置した複数枚の原稿の一部のみが重なった場合に、重なった原稿20のみを残し、次から次へと新たな原稿20を配置して読取りの作業を進めることができる。重なっていない原稿20を繰り返し読み取る無駄がなくなり。特に、一度に配置し切れない大量の原稿20を読み取る場合に、読取りの作業を効率化することができる。
上に述べた実施形態において、画像出力部105は、保持処理部103により保持された適正画像421と再走査により得られた適正画像421とを個別の画像として取り込む際に、これらの適正画像421どうしが関連することがわかるようにすることができる。例えば、ファイル名に共通の文字列を含ませることができる。これらの適正画像421に対して1つのフォルダを生成し、このフォルダに画像ファイル5を格納することができる。また、例えばPDF(Portable Document Format)のファイルのように、複数の適正画像421を1つずつ1ページに配置した複数ページのドキュメントのファイルを取り込むことができる。
画像出力部105は、個別取込モードにおける適正画像421の取込(大容量記憶装置10dへの出力)を随時に行うことができる。例えば、原稿画像42を適正画像421と判別したときに直ちに取込を行ってもよい。
上に述べた実施形態において、画像出力部105は、集約画像40eを出力する場合に、複数のスキャン画像40b,40cからそれぞれ適正画像421をトリミングし、傾き補正をしてさらに所定の間隔をあけて並べる処理を画像処理回路10jに行わせる。これにより、ユーザは、原稿20を配置する際に傾きのないように気を配らなくても、原稿画像42が整然と並んだ集約画像40eを入手することができる。
また、画像出力部105は、合成による集約画像40eを出力する場合に、保持された適正画像421と再走査による適正画像421との重なりが生じるときには、重なりが解消するように適正画像421の位置をシフトさせる処理を画像処理回路10jに行わせる。この場合は、図16において、ステップ#284およびステップ#285を省略し、画像出力部105は、ステップ#282でYESのときに画像処理回路10jに合成を行わせて、得られた集約画像40eを取り込めばよい。
上に述べた実施形態においては、図5のステップ#205で画面81を表示してユーザに原稿重なりのあることを通知したが、原稿重なりのあることを通知するステップをステップ#203の次に設けてもよい。この場合、保持処理部103は、画面81ではいボタン811がタッチされ、さらに画面82ではいボタン821がタッチされたときに、適正画像421を保持する。これにより、画面82を表示する以前に適正画像421を保持するのとは違って、画面82でいいえボタン822がタッチされて結果的に適正画像421の保持が無駄になってしまうということが起こらない。なお、画面81でいいえボタン812がタッチされた場合には、ステップ#204をスキップしてステップ#208へ進んでスキャン画像40を取り込むようにする。また、画面81で、はいボタン811がタッチされ、画面82で、いいえボタン821がタッチされた場合には、ステップ#201へ戻って、改めて走査を行うようにする。
上に述べた実施形態において、プラテンガラス10e2を覆う原稿カバー10k2として、自動原稿送り装置10kに代えて、下面を白地面とした板またはシートを設けてもよい。
画像読取り装置の例として画像形成装置1を挙げたが、画像読取り装置は、コピー、PCプリント、ファックス、およびドキュメントサーバの機能を有していないものであってよい。
図7のように原稿領域42の輪郭43を抽出して原稿重なりを検知する場合に、原稿重なり通知部104は、重なり合っている原稿の位置をユーザに知らせるために、スキャン画像40をタッチパネルディスプレイ10h2に表示させてもよい。その際は、読取対象領域92における再配置対象原稿の位置が分かりやすいようにスキャン画像40の表裏を反転させる。
原稿重なりが生じたことをユーザに通知する方法は、メッセージ810,810bの表示に限らない。例えば、エラー表示ランプを点滅させたり、警告音を発したりしてもよい。原稿重なりが生じたことがどのように通知されるか、および通知があったときにどのようにすればよいかを例えば操作マニュアルによりユーザに予め示しておくことができる。
その他、画像形成装置1の全体または各部の構成、処理の内容、順序、またはタイミング、画面81~84の構成、および不適正画像422(または適正画像421)の位置の通知の仕方などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。