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JP7211204B2 - 車両用近接空調ユニット - Google Patents

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Description

本発明は、車両の冷暖房を行うための近接空調ユニットに関する。
一般的な車両には、冷暖房を行うための空調装置が搭載されている。ガソリン等の石油燃料を動力源としエンジンを原動機とするエンジン車においては、空調装置における暖房用の熱源として、石油燃料の燃焼時の排熱を利用するのが一般的である。
近年台頭がめざましい電気自動車は、リチウムイオン二次電池等の自動車用電池を動力源とするものであり、石油燃料の燃焼がないために、上記したエンジン車に比べて、CO排出量低減等の面で有利である。
しかしその反面、電気自動車は、石油燃料の燃焼時の排熱を利用できない。
このため、電気自動車に搭載される空調装置においては、電気モータの動力源である自動車用電池を電熱ヒータの動力源としても用いるのが一般的である。しかし、走行用の電動モータ及び暖房用の電熱ヒータの動力源として同じ自動車用電池を用いることで、例えば厳寒期等の暖房に必要なエネルギ量が大きい場合、大きなエネルギを空調装置に費やすことで車両の走行可能な距離が短くなる問題がある。この面において、電気自動車はエンジン車に比べて不利といい得る。エンジンと電気モータとを併用したハイブリッド車についても同様である。
近年、車室全体の空調を行うかわりに、車室のうちの目的とする部分だけに空調を行う技術が提案されている。
特許文献1には、車両用の空調装置において、乗員の手のひら等に選択的に空気を吹き付ける技術が紹介されている。特許文献1には、当該空調装置によると、乗員が不自然な着座姿勢をとることなく容易に手等の局所部位に空気を送風できる旨が説明されている。
このように、車室内において乗員に近接した部分だけに空調を行うことで、車室全体の空調を行う場合に比べてエネルギの使用量を低減できる可能性がある。
以下、本明細書において、このように車室内において乗員に近接した部分だけに空調を行う技術を近接空調と称する場合がある。
ところで、上記のように近接空調は空調装置ひいては車両の省エネルギ化に有用かと考えられたが、実際には、特許文献1に紹介されているような空調装置によって乗員に空気を送風するだけでは、乗員が快適であると認識する程度に暖房しかつエネルギの使用量を低減することは困難であった。このため、効率良く空調を行い省エネルギを実現し得る車両用の近接空調装置の開発が望まれている。
特開2004-122802号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、効率良く空調を行い省エネルギを実現し得る車両用近接空調装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の車両用近接空調ユニットは、
車両の座席の側方に配置されている筐体と、
温度調整器とブロワとを具備し前記筐体の内部に配置されている温度調整ユニットと、
前記筐体の内部に配置され、前記温度調整ユニットを経た空気が導入される導入口と、前記筐体の表面に露出し前記座席を向く吹出口と、前記導入口と前記吹出口とを連絡する流路部と、を有するダクトと、を具備し、
前記吹出口の上端は、前記座席の座面よりも上方に配置され、
前記座席の前後方向において、前記吹出口における長手方向の一端部は他端部よりも前側に位置し、
前記温度調整ユニットは、前記吹出口における前記長手方向の両端部の間に配置されている、車両用近接空調ユニットである。
本発明の車両用近接空調ユニットは、省エネルギでありかつ効率良く空調を行い得る。
実施例1の車両用近接空調ユニットを模式的に表す説明図である。 実施例1の車両用近接空調ユニットを模式的に表す説明図である。 実施例1の車両用近接空調ユニットを模式的に表す説明図である。 実施例1の車両用近接空調ユニットにおける吹出口、ダクトおよび温度調節ユニットの位置関係を模式的に表す説明図である。 実施例1の車両用近接空調ユニットにおける吹出口を模式的に表す説明図である。 実施例2の車両用近接空調ユニットを模式的に表す説明図である。 実施例3の車両用近接空調ユニットを模式的に表す説明図である。
近年、空調装置として、暖房換気空調(HVAC:heating ventilating air conditioning)システムと称される、ヒータやブロワ等の空調機能を集約したモジュール部品が広く用いられている。当該HVACシステムを採用することで、空調装置全体の小型化を図ることができ、また、空調装置を車両に配設する作業を簡略化することも可能である。
しかし、本発明の発明者は、近接空調用の空調装置を当該HVACシステムに組み込むことが、本発明の目的である、効率の良く省エネルギで空調を行うことを困難にしていると考えた。
つまり、当該HVACシステムにおいて、温度調整ユニットは、インストルメントパネルの裏側等の車両における前側部分に配設される。そして、空調装置は、温度調整ユニットから車室の全体に配策される様々なダクトを通じて、当該温度調整ユニットを経て温度調整された空気を供給する。以下、必要に応じて、温度調整ユニットを経て温度調整された空気を空調空気と称する場合がある。
このようなHVACシステムでは、空調機能を一つに集約させる都合上、温度調整ユニットと空調空気の吹出口とが大きく離れる場合が生じる。温度調整ユニットと吹出口との距離が大きくなればなる程、空調空気の熱損失やダクトの圧力損失が大きくなるために、冷暖房の効率が悪くなり、空調に必要なエネルギが増大する。
既述した特許文献1の実施例においても、近接空調用の温度調整ユニットを、HVACシステムと思しき空調ユニットから流用している。
本発明者は、現在主流になりつつあるHVACシステムからあえて近接空調を除外した。つまり本発明の車両用近接空調ユニットでは、吹出口を有する筐体の内部に、温度調整ユニットを配置した。さらに、当該温度調整ユニットを、吹出口に効率良く空調空気を供給し得る位置、具体的には、吹出口における長手方向の両端部の間に配置した。こうすることで、温度調整ユニットと吹出口とを適切な位置関係にでき、空調空気の熱損失やダクトの圧力損失を低減できると考えられる。
さらに、本発明の車両用近接空調ユニットにおいては、吹出口の上端を座席の座面よりも上方に配置し、かつ、当該吹出口における長手方向の一端部を他端部よりも座席の前後方向における前側に配置した。こうすることで、本発明の車両用近接空調ユニットでは、座席に着座した乗員の大腿部に空調空気を吹き付けることができる。
ここで、寒冷下においては人体の背中や大腿部を暖めるのが良いとされているため、より小さい熱量によって乗員に暖かさを知覚させるためには、乗員の背中や大腿部を集中的に暖めるのが合理的である。
背中に関しては、座席の背もたれに覆われ、場合によってはシートヒータで暖められる。このため乗員は、背中よりも大腿部において、より寒さや暖かさを知覚し易いと考えられる。本発明の車両用近接空調ユニットでは、上記したように、空調空気を乗員の大腿部に集中して、かつ、当該大腿部の全体にわたって吹き付けることができる。このことにより、本発明の車両用近接空調ユニットによると、温度調整ユニットで生成した比較的少量の熱によって、乗員が快適な温度であると知覚するように、効率の良い空調を行うことが可能である。
そして、これらの協働により、本発明の車両用近接空調ユニットによると、冷暖房の効率を向上させ、空調に必要なエネルギを低減できると考えられる。
以下、本発明の車両用近接空調ユニットを説明する。
なお、特に断らない限り、本明細書に記載された数値範囲「x~y」は、下限xおよび上限yをその範囲に含む。そして、これらの上限値および下限値、ならびに実施形態中に列記した数値も含めてそれらを任意に組み合わせることで数値範囲を構成し得る。さらに数値範囲内から任意に選択した数値を上限、下限の数値とすることができる。
本発明の車両用近接空調ユニットは、筐体と、温度調整ユニットと、ダクトとを有する。
このうち筐体は、その内部に温度調整ユニットおよびダクトを収容し、車両における座席の側方に配置される。さらに、筐体はその表面に露出しかつ座席を向く吹出口を有する。当該吹出口の上端は、座席の座面よりも上方に配置される。
このため筐体は、内部にダクトおよび温度調整ユニットを収容可能な内部空間を有し、少なくとも一部が車両室内において座席の座面よりも上側にあれば良いといい得る。
さらに、筐体は、運転席と助手席との間に配置されても良いし、後部座席の間に配置されても良い。場合によっては、筐体は、何れか一つの座席のみの側方、例えば座席とドアとの間等に配置されても良い。
筐体は、温度調整ユニットおよびダクト以外の車両搭載機器と一体化されても良いし、または、何らかの車両搭載機器を収容しても良い。当該車両搭載機器としては、例えば、センターコンソールボックス、ドリンクホルダ、テーブル、カーナビゲーションシステムまたはそのモニタ、各種の機器を操作するためのタッチパネル等が例示される。これらの車両搭載機器は、本発明の車両用近接空調ユニットの一部とみなしても良いし、本発明の車両用近接空調ユニットとは別の装置とみなしても良い。
温度調整ユニットは、温度調整器とブロワとを具備する。
温度調整器は特に限定されず、暖房及び/又は冷房に使用可能なものであれば良い。例えば、温度調整器としては、電熱ヒータや熱電素子、ヒートポンプ等の、温熱及び/又は冷熱を生じ得る一般的なものを使用できる。筐体の小型化を図ることを考慮すると、小型の温度調整器を用いるのが好ましく、例えば、電熱ヒータや、ペルチェ素子による加熱・冷却装置等を好ましく用い得る。
ブロワもまた特に限定されず、一般的なものを用いれば良い。例えば、プロペラファンやシロッコファン等の一般的なファン部材と、当該ファン部材を駆動するための電動モータとを有するものは、本発明の車両用近接空調ユニットにおけるブロワとして好適に使用される。ブロワは、温度調整器からダクトの吹出口に向けた空調空気の流れを生じさせれば良く、温度調整器よりも空気流れの下流側に配置しても良いし、上流側に配置しても良い。また、ブロワの出力は、温度調整器により加熱又は冷却された空調空気に、吹出口に到達する程度のエネルギを付与できる出力であれば足り、かつ、ブロワの大きさは、筐体内部において温度調整器、ダクトおよび必要に応じてその他の車両搭載機器の配設を妨げない程度の大きさであるのが好適である。
温度調整ユニットは、車室内に配置しても良いし、筐体の一部とともに車両の床下に配置しても良い。本発明の車両用近接空調ユニットにおいて、温度調整ユニットにおける温度調整器およびブロワは別体であっても良いが、取り扱い性を考慮すると一体であるのが好ましい。
筐体の内部には、上記した温度調整ユニット以外に、ダクトが配置される。ダクトは、内部に流路部を有し空調空気の流路となる部材である。ダクトには、当該流路部と外界との境界となる、導入口および吹出口が設けられている。このうち導入口は、既述した温度調整ユニットよりも空気流れの下流側に位置する。つまり、温度調整ユニットで生成された空調空気は、当該導入口を通じてダクト内の流路部に導入される。
温度調整ユニットは、ダクトと離れて配置しても良いが、温度調整ユニットで生成された空調空気を損失なく流路部に導入するためには、導入口と温度調整ユニットとの距離は近い方が好ましく、両者の距離は無いのが特に好ましい。ダクトにおける導入口側の部分の内部に温度調整ユニットを配置することでも、温度調整ユニットで生成された空調空気を損失なく流路部に導入することができる。
吹出口は、既述したように、筐体の表面に露出し座席を向く。したがって、流路部の空調空気は、吹出口を通じて車室内に流出する。さらに、吹出口の上端は、座席の座面よりも上方に配置され、座席の前後方向において吹出口における長手方向の一端部は他端部よりも前側に位置する。
ここで、「座席の前後方向において吹出口における長手方向の一端部は他端部よりも前側に位置する」とは、「吹出口の長手方向を座席の前後方向と概略同じ方向に向ける」ことを意味する。吹出口の長手方向は座席の前後方向と一致しなくて良いが、両者のなす角は90°以下であるのが好ましく、45°以下であるのがより好ましく、30°以下であるのがさらに好ましく、15°以下であるのが特に好ましい。
また、「座席の前後方向」は、「座席の向き」と捉えることもでき、座席に着座し乗員の臀部と膝とをむすぶ方向と一致する。当該乗員の膝側が座席の前側であり、臀部側が座席の後側である。本発明の車両用近接空調ユニットにおける座席の前後方向は、車両の進行方向と同じであっても良いし、異なっていても良い。後述する実施例の車両用近接空調ユニットにおいては、座席の前後方向と車両の進行方向とは一致するが、例えば複数の座席が車両進行方向に対して横向きに並ぶ場合等、前後方向が車両進行方向と一致しない場合もある。この場合には、車両の進行方向と略直交する方向が座席の前後方向となる。
吹出口の長手方向を座席の前後方向と概略同じ方向に向けることで、吹出口から流出した空調空気を、乗員の臀部と膝との間にある大腿部の全体にわたって吹きつけることができ、乗員の大腿部を効率的に暖め得る。
乗員の大腿部を充分な範囲で暖めるまたは冷やすためには、空調空気の吹出口となる吹出口の長手方向の長さをある程度長くするのが好ましい。具体的には、当該吹出口の長手方向の長さは、座席における座面の前後方向の長さの50%以上であるのが好ましく、70%以上であるのがより好ましく、80%以上であるのがさらに好ましい。
吹出口の長手方向の実際の長さは、150mm以上であるのが好ましく、170mm以上であるのがより好ましく、200mm以上であるのが特に好ましい。
なお、吹出口は、長手方向を有する都合上、短手方向も有する。吹出口の長手方向の長さと短手方向の長さとの比率は特に問わないが、省エネルギの観点からは、吹出口の面積は過大でないのが好ましい。したがって、吹出口における短手方向の長さは短い方が好ましい。具体的には、吹出口の長手方向の長さは短手方向の長さの2倍以上であるのが好ましく、3倍以上であるのがより好ましく、5倍以上であるのがさらに好ましく、10倍以上であるのが特に好ましい。長手方向と短手方向とは直交する方向であるのが好ましいが、両者は直角以外の角度で交差しても構わない。この場合の両者の交差角(劣角)は、45°以上であるのが好ましく、60°以上であるのがより好ましく、75°以上であるのがさらに好ましい。
また、乗員の大腿部をより効率的に暖めるまたは冷やすためには、空調空気が乗員の大腿部の上を流通するのが良い。このため、吹出口は座席の座面よりもさらに上側に位置するのが好ましい。好ましくは、吹出口の上端は、座席の座面よりも上側にあり、かつ、吹出口の上端と座面との上下方向の距離は50mm以上であるのが好ましい。また、この場合、吹出口の下端もまた座面よりも上側にあり、かつ吹出口の下端と座面との上下方向の距離は10mm以上であるのがより好ましい。
上記した吹出口の上端と座面との上下方向の距離のより好ましい範囲として、70mm以上、100mm以上、150mm以上の各範囲を挙げることができる。当該吹出口の上端と座面との上下方向の距離に特に上限はないが、好ましい範囲として、250mm以下、230mm以下、200mm以下の各範囲を挙げることができる。
また、上記した吹出口の下端と座面との上下方向の距離のより好ましい範囲として、20mm以上、40mm以上、80mm以上の各範囲を挙げることができる。当該吹出口の下端と座面との上下方向の距離に特に上限はないが、好ましい範囲として、170mm以下、150mm以下、140mm以下の各範囲を挙げることができる。
また、空調空気は、乗員の一対の大腿部のうち吹出口に近い側の大腿部から遠い側の大腿部に向けて、流通するのが良い。乗員の二つの大腿部の上に空調空気を流通させるためには、座席に対して筐体とは逆側の側方に、空調空気を吸入する吸入ダクトを設ければ良い。こうすることで、乗員の大腿部の上方で空調空気の乱流が生じたり、滞留したりすることが抑制され、乗員の大腿部に適度に温度調整された空調空気が連続的に供給される。したがって、この場合には、乗員の大腿部を効率的に暖め得る。
吸入ダクトは、吹出口側に位置する吸入口と、当該吸入口とは逆側に位置する排気口とを有する。筐体内部のダクトが給気用のダクトであるのに対して、吸入ダクトは排気用のダクトということもできる。
吸入ダクトの排気口は、車室外に連絡しても良いし、車室内に連絡しても良い。また、必要に応じて、上記の吸入ダクトに加えて吸入ダクト用ブロワを設けても良い。吸入ダクト用ブロワは、吸入口側から排気口側に向けた、吸入ダクト内の空気の流れを生じさせ得るものであれば良い。筐体を運転席と助手席との間に配置する場合には、吸入ダクトおよび吸入ダクト用ブロワは筐体と逆側のサイドドアに設けるのが好ましい。
以下、具体例を挙げて本発明の車両用近接空調ユニットを説明する。
(実施例1)
実施例1の車両用近接空調ユニットは、車両のセンターコンソールボックスと一体化されたものである。実施例1の車両用近接空調ユニットを模式的に表す説明図を図1~図3に示す。実施例1の車両用近接空調ユニットにおける吹出口、ダクトおよび温度調節ユニットの位置関係を模式的に表す説明図を図4に示す。吹出口を模式的に表す説明図を図5に示す。なお、図1は実施例1の車両用近接空調ユニットを上側から見た様子を表し、図2は実施例1の車両用近接空調ユニットを助手席側から見た様子を表し、図3は実施例1の車両用近接空調ユニットの断面を後側から見た様子を表す。また、図4は実施例1の車両用近接空調ユニットにおける吹出口、ダクトおよび温度調節ユニットを助手席側から見た様子を表す。図5は、吹出口を構成する各部材を分解した様子を表す。以下、上、下とは鉛直方向における上、下を指し、前、後、左、右とは車両進行方向における前、後、左、右を意味するものとする。
実施例1の車両用近接空調ユニット1は、筐体2、温度調整ユニット3、二つのダクト4、5、および、ドリンクホルダ6を有する。
図1に示すように、実施例1の車両用近接空調ユニット1は、車両のセンターコンソールボックス90と一体化されて運転席91と助手席92との間に配置されている。なお、運転席91は第2座席と言い換えても良く、助手席92は第1座席と言い換えても良い。
図2に示すように、筐体2は、その長手方向を前後に向けている。図3に示すように、筐体2には内部空間29が形成されている。当該内部空間29には、温度調整ユニット3、二つのダクト4、5、および、ドリンクホルダ6が収容される。
既述したように、実施例1の車両用近接空調ユニット1は、運転席91と助手席92との間に配置されている。上記した筐体2の内部空間29は、四つの側壁(左側壁21、右側壁22、図略の前側壁および図略の後側壁)と、一つの頂壁23とによって区画されている。筐体2の左側壁21は助手席92側にあり、右側壁22は運転席91側にあり、図略の前側壁は左側壁21および右側壁22の前側にあり、図略の後側壁は左側壁21および右側壁22の後側にある。頂壁23は左側壁21、右側壁22、前側壁および後側壁の上側にある。図3に示すように、筐体2の頂壁23は、座席すなわち助手席92及び図略の運転席91の座面93よりも上にある。
図1および図3に示すように、筐体2の頂壁23における略中央部には内部空間29に連絡する頂開口23oが設けられている。
ドリンクホルダ6は、当該頂開口23oに挿入され、頂壁23における当該頂開口23oの周縁部に一体化されている。ドリンクホルダ6は上方に開口するケース状をなす。ドリンクホルダ6の周壁6wは、筐体2の内部空間29に露出する。
温度調整ユニット3は、温度調整器30、ブロワ31、および、これらを収容するケース33を具備する。実施例1の車両用近接空調ユニット1においては、温度調整器30として電熱ヒータの一種であるPTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータを用い、ブロワ31としてプロペラファンと電動モータとを有するものを用いている。
温度調整ユニット3は車両における床94の上に配置されている。ケース33は上方に開口し、当該ケース33内において、温度調整器30はブロワ31の上側に配置されている。なお、特に図示しないが、ケース33の底部つまりケース33における下側の部分には多数のスリットが設けられている。したがって、ケース33の内部には、当該底部を通じて空気を導入することができる。
筐体2の内部における温度調整ユニット3の上側、つまり、温度調整ユニット3よりも空気流れの下流側には、左右対称になるように並べられた略同形の二つのダクト4、5が配置されている。二つのダクト4、5のうち左側つまり助手席92側に配置されているものを第1ダクト4と称し、右側つまり運転席91側に配置されているものを第2ダクト5と称する。
第1ダクト4は、長手方向すなわち軸心方向の両端部が各々開口する筒状をなす。第1ダクト4における一方の開口を第1導入口40と称し、他方の開口を第1吹出口41と称する。第1ダクト4の内部に設けられ第1導入口40と第1吹出口41とを連絡する流路を、第1流路部42と称する。第1ダクト4は、第1導入口40を下側に向け、第1吹出口41を上側かつ左側に向ける。第1ダクト4は略L字の筒状をなす。
第1導入口40は、温度調整ユニット3の上側に配置され、温度調整器30に対面する。第1吹出口41は、筐体2の左側壁21に配置されている。具体的には、左側壁21の上端と頂壁23との間には隙間が設けられている。第1ダクト4のうち第1吹出口41側の部分は左側壁21に固定され、第1吹出口41は上記の隙間に露出して助手席92を向く。
図2に示すように、第1吹出口41における長手方向の一端部は前側に配置され、他端部は後側に配置されている。
第1吹出口41は助手席92の座面93よりも上方に配置され、その長手方向を前後方向に向けている。運転席91および助手席92は車両進行方向を向いており、運転席91の前後方向および助手席92の前後方向は、車両の進行方向と一致する。したがって、実施例1の車両用近接空調ユニット1における第1吹出口41は、その長手方向を車両進行方向における前後方向に向けるともいい得る。
長手方向すなわち前後方向における第1吹出口41の長さL1は、最大値で、約200mmであり、短手方向すなわち上下方向における第1吹出口41の長さL2は、最大値で、約10mmである。
さらに、第1吹出口41の上端41uは、助手席92における座面93の上方に配置されている。第1吹出口41の上端41uと助手席92の座面93との上下方向の距離は約150mmであり、第1吹出口41の下端41lと助手席92の座面93との上下方向の距離は約140mmである。
温度調整ユニット3で生成され第1ダクト4に導入された空調空気は、このような第1吹出口41を経て車室95に吹き出す。第1吹出口41が、その長手方向を前後方向に向けることから、第1吹出口41から吹き出した空調空気は、助手席92の上方、すなわち、助手席92に着座した乗員96の大腿部96tの全体にわたって吹き付けられる。このため、実施例1の車両用近接空調ユニット1によると、乗員96を効果的に暖めることができるために、効率の良い空調を行い得るといえる。
図3に示すように、実施例1の車両用近接空調ユニット1においては、第1吹出口41と助手席92との距離、より具体的には両者の左右方向の距離L3はほぼない。
実施例1の車両用近接空調ユニット1においては、第1吹出口41と助手席92とが近接し、第1吹出口41から助手席92に向けて、より詳しくは、助手席92に着座した乗員96の大腿部96tに向けて、空調空気が吹き出す。このため、実施例1の車両用近接空調ユニット1によると、効率良い空調が可能である。
効率良く空調を行うためには、第1吹出口41と助手席92との左右方向の距離L3は短い方が良い。第1吹出口41と助手席92との距離L3の好ましい範囲として、5cm以下、3cm以下、2cm以下の各範囲を例示できる。
さらに、図4に示すように、温度調整ユニット3は、第1吹出口41における長手方向の両端部の間に配置されている。こうすることで、温度調整ユニット3と第1吹出口41とを適切な位置関係にでき、空調空気の熱損失や第1ダクト4の圧力損失が低減される。また、実施例1の車両用近接空調ユニットにおいては、温度調整ユニット3を、第1吹出口41における長手方向の略中央に配置した。こうすることで、実施例1の車両用近接空調ユニットは、空調空気を前後方向に均等に分配するのに有利である。
図4に示すように、第1ダクト4の第1吹出口41の開口径は、第1導入口40の開口径よりも遙かに大きい。具体的には、前後方向における第1吹出口41の開口径L4は、前後方向における第1導入口40の開口径L5の5倍強である。また、第1吹出口41の流路断面積は、第1導入口40の流路断面積よりも遙かに大きい。第1導入口40と第1吹出口41とを連絡する第1流路部42は、第1ダクト4の流路断面積が徐々に大きくなるように、第1導入口40と第1吹出口41とを滑らかに連絡する。
実施例1の車両用近接空調ユニット1においては、第1ダクト4の流路断面積が第1導入口40側から第1吹出口41側に向けて徐々に拡大する。このことによって、第1ダクト4の内部つまり第1ダクト4の第1流路部42では空調空気の乱流等が抑制されるため、第1ダクト4における圧力損失が低減する。また、第1ダクト4は、流路断面積の変化が殆どない第1導入流路部43および第1吹出流路部44を有する。このことによって、空調空気は整流されつつ第1ダクト4に導入され、かつ、整流されつつ第1ダクト4から吹き出す。これらの共同によって、実施例1の車両用近接空調ユニット1における第1ダクト4では、熱損失が抑制される。
なお、実施例1の車両用近接空調ユニット1において、第1流路部42は、第1導入口40側の端部である第1導入流路部43と、第1吹出口41側の端部である第1吹出流路部44と、当該第1導入流路部43と第1吹出流路部44とを連絡する第1連絡流路部45とを有する。第1導入流路部43および第1吹出流路部44においては、流路断面積の変化は殆どない。
これに対して、第1連絡流路部45においては、第1導入流路部43から第1吹出流路部44に向けて、流路断面積が略一定の割合で徐々に増大する。さらに、第1連絡流路部45と第1導入流路部43との境界部分である第1境界部46、および、第1連絡流路部45と第1吹出流路部44との境界部分である第2境界部47においては、流路断面積の変化割合は急激に変化する。第1境界部46の曲率は1/1.5cm程度であり、第2境界部47の曲率は1/0.5cm程度である。
実施例1の車両用近接空調ユニット1における第1ダクト4は、このような第1連絡流路部45、第1境界部46、第1導入流路部43、第2境界部47、および、第1吹出流路部44を有することで、空調空気の圧損を低減し、空調空気を円滑に流通させている。こうすることで、空調空気の熱が乗員96に到達する前に失われることを抑制し、ひいては、実施例1の車両用近接空調ユニット1の熱損失を低減できる。
第1導入流路部43および第1吹出流路部44は、流路断面積の変化がない形状であるのが好ましく、直管状であるのが特に好ましいが、これらの流路断面積は多少変化しても良い。
例えば、図4に示す断面、すなわち、第1ダクト4を第1吹出口41の長手方向に平行にかつ第1ダクト4の軸方向に沿って切断した断面において、第1導入流路部43の外周は、第1吹出口41の長手方向に対して、交差角70~110°で交差するのが好ましく、交差角80~100°で交差するのがより好ましく、交差角85~95°で交差するのがさらに好ましい。勿論、第1導入流路部43の外周は、第1吹出口41の長手方向に対して、直交するのが特に好ましい。第1吹出流路部44の外周についても同様に、第1吹出口41の長手方向に対して、交差角70~110°で交差するのが好ましく、交差角80~100°で交差するのがより好ましく、交差角85~95°で交差するのがさらに好ましく、直交するのが特に好ましい。
第1境界部46の曲率は、第1境界部46の外周の曲率と換言でき、第2境界部47の曲率は、第2境界部47の外周の曲率と換言できる。第1境界部46の曲率は、第2境界部47の曲率未満であるのが好ましく、第2境界部47の曲率の1/2倍以下であるのがより好ましく、第2境界部47の曲率の1/3倍以下であるのがさらに好ましい。第1境界部46の曲率の好ましい範囲として、1/0.5~1/10cmの範囲内、1/1.0~1/3cmの範囲内、1/1.0~1/2cmの範囲内が挙げられる。また、第2境界部47の曲率の好ましい範囲として、1/0.1~1/5cmの範囲内、1/0.2~1/2cmの範囲内、1/0.3~1/1cmの範囲内が挙げられる。
図5に示すように、第1ダクト4は、筒状をなすダクト本体4mと、当該ダクト本体4mにおける第1吹出口41側の部分に一体化されているガイドフィン部材4gおよび多孔板4pとを有する。図5および図3に示すように、ガイドフィン部材4gは、スリット状をなす内側開口4inを多数有する略箱状の部材であり、ダクト本体4mにおける第1吹出開口41側の部分に装着され、当該ダクト本体4mの開口であるダクト開口4moを、外側つまり左側から覆っている。多孔板4pは、貫通孔状をなす外側開口4ouを多数有するパンチングメタルであり、ガイドフィン部材4gに装着され、ガイドフィン部材4gの内側開口4inを外側つまり左側から覆っている。したがって、実施例1の車両用近接空調ユニット1における第1吹出口41は、実質的には、ダクト本体4mの第1ダクト開口4mo、ガイドフィン部材4gの内側開口4inおよび多孔板4pの外側開口4ouによって区画形成された小さな開口の集合体といい得る。
なお、実施例1の車両用近接空調ユニット1において、ガイドフィン部材4gの内側開口4inの開口径は約8~40mmであり、隣り合う当該内側開口4inの距離は約2~15mmである。また、多孔板4pの外側開口4ouの開口径は約2~6mmであり、隣り合う当該外側開口4ouの距離は約5~10mmである。
図3に示すように、ガイドフィン部材4gの内部には、複数のブレードが配列した風向案内部4agが設けられている。当該風向案内部4agは、さらに、ブレードの向きを調整するための図略の操作端を有する。風向案内部4agは、空調空気の吹出方向を案内することができる。
ガイドフィン部材4gの内部には、干渉リブ4rが設けられている。当該干渉リブ4rは、第1ダクト4の内部すなわち第1流路部42において、前後方向に延び、かつ、上下方向に突起する。干渉リブ4rは、第1吹出口41の長手方向に沿って延び、かつ、第1ダクト4の軸方向に交差するよう突起する、と換言することもできる。干渉リブ4rは、射出成形によってガイドフィン部材4gに一体に成形されている。
干渉リブ4rは、第1流路部42を流通する空調空気を、第1吹出口41における長手方向の全体に分配する機能を有する。当該干渉リブ4rを有することで、実施例1の車両用近接空調ユニット1では、比較的少量の空調空気を効率良く乗員96に吹き付けることができる。このことによっても、実施例1の車両用近接空調ユニット1によると、省エネルギで効率の良い空調が可能である。
実施例1の車両用近接空調ユニット1において、ダクト開口4mo、内側開口4inおよび外側開口4ouの開口面積は、ダクト開口4mo>内側開口4in>外側開口4ouの順に小さくなっている。このため、第1ダクト4を流通する空調空気の流路は、第1吹出口41において段階的に絞られる。このため、第1ダクト4における空調空気の流速は第1吹出口41において高められ、かつ、第1吹出口41から吹き出した空調空気が拡散する。したがって、実施例1の車両用近接空調ユニット1によると比較的少量の空調空気を効果的に乗員96に供給できる。
既述したように、第2ダクト5は、第1ダクト4と略同形状であり、第1ダクト4とは左右対称に配置されている。第2ダクト5における一方の開口を第2導入口50と称し、他方の開口を第2吹出口51と称する。第2ダクト5の内部に設けられ第2導入口50と第2吹出口51とを連絡する流路を第2流路部52と称する。第2ダクト5は、第2導入口50を下側に向け、第2吹出口51を上側かつ右側に向ける。
第2導入口50は、第1導入口40の右側において、温度調整ユニット3の上側に配置され、温度調整器30に対面する。第2吹出口51は、筐体2の右側壁22に固定されるとともに当該右側壁22の上端と頂壁23との隙間に露出する。
第2ダクト5における各部分の形状は第1ダクト4における該当部分の形状と同様である。したがって、第2ダクト5は第1ダクト4と同様の効果を奏する。
図3に示すように、実施例1の車両用近接空調ユニット1に設けられているドリンクホルダ6は、第1ダクト4と第2ダクト5との間に配置されている。さらに、第1ダクト4および第2ダクト5は、各々、当該ドリンクホルダ6の外側に隣接する部分を有する。第1ダクト4のうちドリンクホルダ6に隣接する部分を第1ホルダ隣接部48と称し、第2ダクト5のうちドリンクホルダ6に隣接する部分を第2ホルダ隣接部58と称する。第1ホルダ隣接部48および第2ホルダ隣接部58を総称してホルダ隣接部48、58という。
実施例1の車両用近接空調ユニット1において、ホルダ隣接部48、58とドリンクホルダ6との距離はほぼない。また、ホルダ隣接部48、58の軸方向長さは100mm程度である。換言すると、第1ダクト4の軸方向断面において、ドリンクホルダ6との距離がほぼない部分の長さは100mm程度である。
なお、ここでいう「ドリンクホルダ6との距離がほぼない部分」とは、「ドリンクホルダ6との距離が1mm以下の部分」と言い換えることもできる。また、第1ダクト4の軸方向断面とは、図3に例示されるように、第1導入口40および第1吹出口41を含むように第1ダクト4をその軸線方向に切断した断面を意味する。第2ダクト5についても同様である。
実施例1の車両用近接空調ユニット1によると、第1ダクト4および第2ダクト5に各々ホルダ隣接部48、58を設けたことで、ドリンクホルダ6に保持された飲料を第1ダクト4および第2ダクト5の排熱によって効果的に保温できる利点がある。また、ドリンクホルダ6が第1ダクト4および第2ダクト5の外部にあることで、第1ダクト4および第2ダクト5の圧損には影響がない。このため、実施例1の車両用近接空調ユニット1によると、省エネルギでありかつ効率良く空調を行いつつ、同時に飲料の保温を行い得る。
飲料の保温を効率良く行うために好ましいホルダ隣接部48、58とドリンクホルダ6との距離として、10mm以下、7mm以下、5mm以下、3mm以下の各範囲を挙げることができる。また、飲料の保温を効率良く行うために好ましいホルダ隣接部48、58の軸方向長さとして、50mm以上、70mm以上、100mm以上の各範囲を挙げることができる。
図1に示すように、運転席91側のサイドドアd1および助手席92側のサイドドアd2には、各々、吸入ダクト80、81が配置されている。当該吸入ダクト80、81には図略の吸入ダクト用ブロワが取付けられている。各吸入ダクト80、81は、二つの開口を有する筒状をなす。二つの吸入ダクト80、81の一方である第1吸入ダクト81は助手席92側のサイドドアd2に配置され、当該第1吸入ダクト81における一方の開口である第1吸入口81oは、助手席92側のサイドドアd2に開口する。第1吸入口81oは、第1吹出口41に対面し、第1吹出口41が吹き出した空調空気を吸入する。したがって、助手席92に着座した乗員96の大腿部96tの上方で、空調空気は筐体2側からサイドドアd2側に円滑に流通し、乗員96の大腿部96tには適度に温度調整された空調空気が連続的に供給される。
同様に、二つの吸入ダクト80、81の他方である第2吸入ダクト80は運転席91側のサイドドアd1に配置され、当該第2吸入ダクト80の第2吸入口80oは、第2吹出口51に対面し、第2吹出口51が吹き出した空調空気を吸入する。したがって、運転席91に着座した乗員96の大腿部96tの上方でも、空調空気は筐体2側からサイドドアd1側に円滑に流通し、乗員96の大腿部96tには適度に温度調整された空調空気が連続的に供給される。
このように、実施例1の車両用近接空調ユニット1は、吸入ダクト80、81を備えることによって、乗員96の大腿部96tをより効率的に暖め得る。吸入ダクト80、81により、乗員96の大腿部96t付近に空調空気のエアカーテンが形成されるともいい得る。
(実施例2)
実施例2の車両用近接空調ユニットは、第1ダクト及び第2ダクトの形状以外は、実施例1の車両用近接空調ユニットと概略同じである。
実施例2の車両用近接空調ユニットを模式的に表す説明図を図6に示す。なお、図6は実施例2の車両用近接空調ユニットの断面を後側から見た様子を表す。
実施例2の車両用近接空調ユニット1は、実施例1の車両用近接空調ユニット1と同様に、第1ダクト4および第2ダクト5を有する。第1ダクト4及び第2ダクト5は略同形状であり左右対称に配置される。
実施例2の車両用近接空調ユニット1における第1ダクト4は、筐体2における助手席92側の側壁すなわち左側壁21に沿って上下に延びる第1側壁隣接部49を有する。第1ダクト4を流通する空調空気は、第1ダクト4自体を加熱する。そして、当該第1ダクト4の第1側壁隣接部49は筐体2における左側壁21を加熱する。筐体2における助手席92側の側壁が加熱されれば、熱伝導によって、助手席92近傍の空調が行われる。つまり、実施例2の車両用近接空調ユニット1によると、第1吹出口41から吹き出した空調空気自体によって空調が行われるだけでなく、第1ダクト4の排熱によっても空調が行われる。
なお、第2ダクト5も同様の第2側壁隣接部59を有するため、運転席91の近傍に関しても同様に、空調空気による空調だけでなく、第2ダクト5の排熱による空調が行われる。
このように、実施例2の車両用近接空調ユニット1によっても、省エネルギで効率の良い空調を行うことが可能である。
なお、実施例2の車両用近接空調ユニット1において、第1ダクト4の第1側壁隣接部49と筐体2の左側壁21との距離、および、第2ダクト5の第2側壁隣接部59と筐体2の右側壁22との距離は、各々20mm程度である。また、第1側壁隣接部49および第2側壁隣接部59の軸方向長さは、各々100mm程度である。換言すると、第1ダクト4の軸方向断面において、左側壁21との距離が20±5mmの部分の長さは100mm程度であり、第2ダクト5の軸方向断面において、右側壁22との距離が20±5mmの部分の長さもまた100mm程度である。第1ダクト4、第2ダクト5の軸方向断面については実施例1で説明したとおりである。
排熱を効率良く利用することを考慮すると、各側壁隣接部49、59とこれに対面する側壁21、22との距離の好ましい範囲として、30mm以下、20mm以下、10mm以下、5mm以下の各範囲を挙げることができる。また、各側壁隣接部49、59の軸方向長さとして、50mm以上、70mm以上、100mm以上の各範囲を挙げることができる。
実施例2の車両用近接空調ユニット1では、ガイドフィン部材4gにおける筐体2側の側壁が下方に延び、第1側壁隣接部49または第2側壁隣接部59の一部を構成している。干渉リブ4rは、当該第1側壁隣接部49または第2側壁隣接部59の一部を構成するガイドフィン部材4gの壁面に設けられている。より具体的には、実施例2の車両用近接空調ユニット1における干渉リブ4rは、前後方向に延び、かつ、左右方向に突起する。当該干渉リブ4rは、実施例1の車両用近接空調ユニット1における干渉リブ4rと同様に、第1吹出口41または第2吹出口51の長手方向に沿って延び、かつ、第1ダクト4または第2ダクト5の軸方向に交差するよう突起する、と換言することもできる。
実施例2の車両用近接空調ユニット1における干渉リブ4rもまた、実施例1の車両用近接空調ユニット1における干渉リブ4rと同様に、第1流路部42や第2流路部52を流通する空調空気を、第1吹出口41や第2吹出口51における長手方向の全体に分配する機能を有する。したがって、実施例2の車両用近接空調ユニット1においても、当該干渉リブ4rの作用によって、比較的少量の空調空気を効率良く乗員96に吹き付けることができる。
(実施例3)
実施例3の車両用近接空調ユニットは、二つの温度調整ユニットを有すること、および、当該二つの温度調整ユニットに対応して第1ダクト及び第2ダクトの形状を変更したこと以外は、実施例2の車両用近接空調ユニットと概略同じである。
実施例3の車両用近接空調ユニットを模式的に表す説明図を図7に示す。図7は実施例3の車両用近接空調ユニットの断面を後側から見た様子を表す。
図7に示すように、実施例3の車両用近接空調ユニット1は、二つの温度調整ユニット35、36を有する。二つの温度調整ユニット35、36の一方を第1温度調整ユニット35と称し、他方を第2温度調整ユニット36と称する。第1温度調整ユニット35は第1温度調整器30aと第1ブロワ31aとを有し、第2温度調整ユニット36は第2温度調整器30bと第2ブロワ31bとを有する。第1温度調整器30aおよび第2温度調整器30bは、小型であること以外は、実施例1の車両用近接空調ユニット1における温度調整器30と概略同じである。また、第1ブロワ31aおよび第2ブロワ31bは、小型であること以外は、実施例1の車両用近接空調ユニット1におけるブロワ31と概略同じである。
筐体2の内部において、第1温度調整ユニット35は助手席92側に配置され、第2温度調整ユニット36は運転席91側に配置される。
第1ダクト4は、第1導入口40側に位置し第1温度調整ユニット35の上側部分を外側から覆う第1カバー部4cと、当該第1カバー部4cに連続する第1ダクト本体4amとで構成されている。第1ダクト本体4amにおける第1カバー部4c側の端部は、実質的に、第1ダクト4の第1導入口40といい得る。したがって、実施例3の車両用近接空調ユニット1においても、第1導入口40は第1温度調整ユニット35よりも空気流れの下流側に配置され、当該第1導入口40には空調空気が導入されるといい得る。
同様に、第2ダクト5の第2導入口50は、第2温度調整ユニット36よりも空気流れの下流側に配置されている。第1ダクト4および第2ダクト5は上下に延びる略I字の筒状をなす。
第1温度調整ユニット35と第2温度調整ユニット36とは左右方向に離れている。したがって、第1ダクト4と第2ダクト5もまた左右方向に離れている。第1ダクト4および第2ダクト5は、各々、実施例2の車両用近接空調ユニット1における第1ダクト4および第2ダクト5と同様の側壁隣接部49、59を有する。したがって、実施例3の車両用近接空調ユニット1においても、実施例2の車両用近接空調ユニット1と同様に、空調空気自体によって空調を行うだけでなく、第1ダクト4の排熱によって助手席92近傍の空調を行うことができ、かつ、第2ダクト5の排熱によって運転席91近傍の空調を行うことができる。
実施例3の車両用近接空調ユニット1は、二つの温度調整ユニット35、36を有するために、運転席91側の空調と助手席92側の空調とを各々独立して行い得る利点がある。
また、実施例3の車両用近接空調ユニット1では、第1ダクト4と第2ダクト5とを別々に配置することで、車両用近接空調ユニット1を省スペース化できるため、筐体2の内部空間29を有効利用できる利点もある。
本発明は、上記し且つ図面に示した実施形態にのみ限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。また、実施形態を含む本明細書に示した各構成要素は、それぞれ任意に抽出し組み合わせて実施できる。
1:車両用近接空調ユニット 2:筐体
3:温度調整ユニット 4:ダクト(第1ダクト)
5:ダクト(第2ダクト) 6:ドリンクホルダ
21:筐体の座席側の側壁(左側壁) 22:筐体の座席側の側壁(右側壁)
29:筐体の内部空間 30:温度調整器
30a:温度調整器(第1温度調整器) 30b:温度調整器(第2温度調整器)
31:ブロワ 31a:ブロワ(第1ブロワ)
31b:ブロワ(第2ブロワ)
35:温度調整ユニット(第1温度調整ユニット)
36:温度調整ユニット(第2温度調整ユニット)
40:導入口(第1導入口) 41:吹出口(第1吹出口)
42:流路部(第1流路部) 48:ホルダ隣接部(第1ホルダ隣接部)
49:壁側隣接部(第1側壁隣接部) 50:導入口(第2導入口)
51:吹出口(第2吹出口) 52:流路部(第2流路部)
58:ホルダ隣接部(第2ホルダ隣接部) 59:壁側隣接部(第2側壁隣接部)
91:座席(第2座席、運転席) 92:座席(第1座席、助手席)
93:座面 96:乗員
96t:大腿部

Claims (5)

  1. 車両の座席の側方に配置されている筐体と、
    温度調整器とブロワとを具備し前記筐体の内部に配置されている温度調整ユニットと、
    前記筐体の内部に配置され、前記温度調整ユニットを経た空気が導入される導入口と、前記筐体の表面に露出し前記座席を向く吹出口と、前記導入口と前記吹出口とを連絡する流路部と、を有するダクトと、を具備し、
    前記吹出口の上端は、前記座席の座面よりも上方に配置され、
    前記座席の前後方向において、前記吹出口における長手方向の一端部は他端部よりも前側に位置し、
    前記温度調整ユニットは、前記吹出口における前記長手方向の両端部の間に配置され
    前記筐体は、ケース状をなすドリンクホルダを有し、
    前記ダクトは、前記流路部の一部を外側から区画し前記ドリンクホルダの高さ方向に延びる流路壁部分と、前記ドリンクホルダの外側に隣接するホルダ隣接部と、を有し、
    前記流路壁部分は前記ホルダ隣接部の一部を含む、車両用近接空調ユニット。
  2. 車両の座席の側方に配置されている筐体と、
    温度調整器とブロワとを具備し前記筐体の内部に配置されている温度調整ユニットと、
    前記筐体の内部に配置され、前記温度調整ユニットを経た空気が導入される導入口と、前記筐体の表面に露出し前記座席を向く吹出口と、前記導入口と前記吹出口とを連絡する流路部と、を有するダクトと、を具備し、
    前記吹出口の上端は、前記座席の座面よりも上方に配置され、
    前記座席の前後方向において、前記吹出口における長手方向の一端部は他端部よりも前側に位置し、
    前記温度調整ユニットは、前記吹出口における前記長手方向の両端部の間に配置され
    前記ダクトは、前記筐体における前記座席側の側壁に沿って上下に延びる側壁隣接部を有し、
    前記側壁隣接部は、前記吹出口と同じ方向を向く、車両用近接空調ユニット。
  3. 前記筐体は、ケース状をなすドリンクホルダを有し、
    前記ダクトは、前記ドリンクホルダの外側に隣接するホルダ隣接部を有する、請求項2に記載の車両用近接空調ユニット。
  4. 前記導入口の流路断面積は前記吹出口の流路断面積よりも小さい、請求項1~請求項3の何れか一項に記載の車両用近接空調ユニット。
  5. 前記筐体は、第1座席および第2座席の間に配置され、
    前記温度調整ユニットは、
    第1温度調整器と第1ブロワとを有する第1温度調整ユニットと、
    第2温度調整器と第2ブロワとを有する第2温度調整ユニットとを具備し、
    前記ダクトは、
    前記第1温度調整ユニットを経た空気が導入される第1導入口と、前記筐体の表面に露出し前記第1座席を向く第1吹出口と、前記第1導入口と前記第1吹出口とを連絡する第1流路部と、を有する第1ダクトと、
    前記第2温度調整ユニットを経た空気が導入される第2導入口と、前記筐体の表面に露出し前記第2座席を向く第2吹出口と、前記第2導入口と前記第2吹出口とを連絡する第2流路部と、を有する第2ダクトと、を具備する、請求項1~請求項4の何れか一項に記載の車両用近接空調ユニット。
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