本開示の対象を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一または相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化または省略する。なお、本開示の対象は以下の実施の形態に限定されることなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、実施の形態の任意の構成要素の変形、または実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る移動体システム1の構成図である。
移動体システム1は、施設2に適用される。施設2は、例えば、屋内施設もしくは屋外施設、またはこれらを複合した施設などである。施設2は、例えば、1つまたは複数の建物などからなる。施設2は、例えば、建物などの一部であってもよい。
施設2において、複数のエリアが予め設定される。施設2のエリアは、例えば施設2において利用者が移動しうる場所を区分するように設定される。施設2の利用者は、例えば当該施設2にいる人である。施設2の利用者は、例えば、施設2の住人、利用客、訪問者、従業員、または管理者などを含む。施設2の利用者は、情報端末3を利用してもよい。情報端末3は、例えばパーソナルコンピュータなどの汎用な情報処理装置である。情報端末3は、例えば、スマートフォンまたはタブレットコンピュータなどの利用者が所持する可搬な携帯端末などであってもよい。可搬な携帯端末は、例えばRFIDタグ(RFID:Radio Frequency IDentification)などの無線タグの機能を搭載していてもよい。なお、情報端末3は、施設2の管理者などが利用する物であってもよい。このとき、当該情報端末3は、施設2の外部に設置されるものであってもよい。
施設2において、利用者検知装置4、エレベーター5、および入退管理装置6が設けられる。利用者検知装置4は、施設2の利用者を検知する装置である。利用者検知装置4は、例えば施設2において通行する利用者の人数をカウントする人数カウントセンサなどである。あるいは、利用者検知装置4は、例えば利用者が所持する情報端末3などを無線タグとして検知するセンサなどであってもよい。あるいは、利用者検知装置4は、例えば施設2において行動する利用者を撮影するカメラなどであってもよい。エレベーター5は、施設2の複数の階床の間で利用者を輸送する装置である。エレベーター5は、利用者が乗車するかごなどにおいて荷重を計測する秤を有する。エレベーター5は、秤の計測値によって輸送する利用者の人数などの情報を取得してもよい。入退管理装置6は、施設2において管理対象の場所への利用者の入退域を管理する装置である。管理対象の場所は、例えば施設2において設定されたいずれかのエリアであってもよい。入退管理装置6は、利用者の識別情報を読み取る読取装置を含んでもよい。利用者の識別情報は、利用者が所持する情報端末3または識別カードなどのその他の識別体から読み取られてもよい。利用者の識別情報は、利用者の生体情報などであってもよい。入退管理装置6は、管理対象の場所に入退域する利用者の人数などの情報を取得してもよい。利用者検知装置4、エレベーター5、および入退管理装置6は、観測装置の例である。観測装置は、施設2の利用者による混雑状況の推定に用いられる情報を観測する装置である。観測装置の一部または全部は、移動体システム1に含まれる装置であってもよいし、または移動体システム1の外部装置であってもよい。
移動体システム1は、1台以上の移動体7を含む。この例の移動体システム1は、複数の移動体7を含む。各々の移動体7は、施設2において移動する機器である。移動体7は、例えばロボットまたはモビリティなどの自律移動体である。移動体7は、施設2において移動することで業務を実施する。移動体7が実施する業務は、例えば物品の運搬、ならびに施設2内の清掃、案内、および警備などを含む。各々の移動体7は、例えば、移動体制御装置8による遠隔制御に基づいて施設2内を移動する。移動体システム1は、移動体制御装置8の遠隔制御によらずに施設2内を移動する移動体7を含んでもよい。ここで、移動体制御装置8は、例えば1つまたは複数のサーバコンピュータなどである。移動体制御装置8の機能の一部または全部は、施設2の内部または外部に配置された1つまたは複数の装置に搭載されるものであってもよい。あるいは、移動体制御装置8の機能の一部または全部は、クラウドサービス上の記憶または処理のリソースなどによって実装されるものであってもよい。
移動体システム1は、管理装置9を含む。管理装置9は、例えば1つまたは複数のサーバコンピュータなどである。管理装置9の機能の一部または全部は、施設2の内部または外部に配置された1つまたは複数の装置に搭載されるものであってもよい。あるいは、管理装置9の機能の一部または全部は、クラウドサービス上の記憶または処理のリソースなどによって実装されるものであってもよい。管理装置9は、例えば、記録媒体に記録されたプログラムを読み込み、当該プログラムに従って動作する。当該プログラムを記録する記録媒体は、例えば管理装置9に内蔵されるものであってもよいし、管理装置9に接続されるものであってもよいし、または管理装置9と通信する外部装置に接続されるものであってもよい。管理装置9の各機能は、例えば当該プログラムに基づいて実行される。
管理装置9は、移動体制御装置8、利用者検知装置4、エレベーター5、入退管理装置6、および情報端末3との間で、必要に応じたタイミングで通信を行う。また、移動体制御装置8は、遠隔制御を行う移動体7との間で、必要に応じたタイミングで通信を行う。なお、管理装置9は、移動体制御装置8を介さずに移動体7と通信を行ってもよい。
管理装置9は、地図情報記憶部10と、利用者情報記憶部11と、移動体情報記憶部12と、業務情報記憶部13と、混雑推定部14と、制約決定部15と、スケジュール作成部16と、計算条件決定部17と、判定部18と、制御指令作成部19と、を備える。
地図情報記憶部10、利用者情報記憶部11、移動体情報記憶部12、および業務情報記憶部13の各記憶部は、情報を記憶する機能を搭載する部分である。各記憶部は、例えば互いに異なるハードウェアによって実現されていてもよいし、同一のハードウェア上の異なる記憶領域によって実現されていてもよい。
地図情報記憶部10において、施設2の地図情報が記憶される。地図情報は、例えば施設2の壁などの構造物の配置の情報、および施設2内の各場所の利用状況の情報などを含む。利用状況の情報は、例えば施設2の各部屋の部屋番号、または入居しているテナントの情報などの情報を含む。地図情報は、施設2において設定されたエリアの情報を含んでもよい。エリアの情報は、例えばエリアの位置情報、エリアの範囲または形状の情報、またはエリア間の位置関係を表す情報などを含む。
利用者情報記憶部11において、利用者検知装置4、エレベーター5、および入退管理装置6などの観測装置の観測結果に基づいて取得された利用者情報が記憶される。利用者情報は、例えば利用者の位置、および施設2内のエリアごとの当該エリアにいる利用者の人数などを含む。利用者情報は、例えば利用者検知装置4が通行を検知した利用者の人数などに基づいて取得される。利用者情報は、例えば利用者検知装置4であるカメラが撮影した画像に基づいて取得されてもよい。利用者情報は、例えばエレベーター5が秤の計測値などによって計測した各階床での乗降人数に基づいて取得されてもよい。利用者情報は、例えば入退管理装置6が管理する利用者の入退域の情報に基づいて取得されてもよい。
移動体情報記憶部12において、各々の移動体7についての移動体情報が記憶される。移動体情報は、例えば移動体7の属性、位置、および状態などの情報を含む。移動体7の属性は、例えば移動体7が実施する業務の業務種別、移動体7の仕様、および移動体7の管理情報などを含む。移動体7の仕様は、例えば移動体7の標準的な移動速度、移動体7の最大移動速度、移動体7の重量、移動体7のサイズ、および移動体7が運搬可能な物品のサイズなどの情報を含む。移動体7の状態は、例えば移動体7が業務を実施しているか否か、移動体7が実施している業務、および移動体7に搭載された蓄電池の充電量などの情報を含む。
業務情報記憶部13において、各々の移動体7が実施する業務についての業務情報が記憶される。業務情報は、例えば、業務種別、業務が実施される場所、および業務が実行される時間についての情報などを含む。業務情報は、例えば利用者が所持する情報端末3を通じて登録される。
混雑推定部14は、施設2における混雑状況を推定する機能を搭載する部分である。混雑推定部14は、利用者情報記憶部11が記憶する利用者情報、および地図情報記憶部10が記憶する地図情報に基づいて、施設2のエリアごと、かつ、予め設定された時間帯ごとの混雑状況を推定する。現時点より未来の時間帯の混雑状況は、例えば、現時点より未来の利用者情報を用いて推定される。現時点より未来の利用者情報は、例えば、観測装置によって既に取得された利用者情報の履歴などに基づいて推定される。混雑状況が推定される時間帯は、例えば一日を等間隔または不等間隔に予め区切った時間帯であってもよいし、利用者情報などに基づいて動的に設定される時間帯であってもよい。混雑推定部14は、例えば、エリアごと、かつ、時間ごとの所在人数または利用人数などの利用者の人数を求めて、求めた人数について平均値または最頻値を求めるなどの統計的な処理を行うことで、混雑状況を推定する。混雑推定部14は、推定対象のエリアの例えば隣接エリアなどの近傍のエリアの混雑状況、または推定対象の時間帯の前後の時間帯の混雑状況を用いて、推定対象のエリアおよび推定対象の時間帯の混雑状況を推定してもよい。ここで、近傍のエリアは、例えば地図情報記憶部10が記憶する地図情報を用いて特定される。混雑状況は、例えば、エリアごとおよび時間ごとの施設2の利用者の人数、または密度もしくは占有面積などの人数の多さの程度などによって表される。混雑状況は、段階的なレベルによって表されてもよい。
混雑推定部14は、例えば予め設定されたタイミングなどで、推定した施設2における混雑状況を更新する。予め設定されたタイミングは、例えば予め設定された一定間隔のタイミングであってもよいし、利用者情報などの施設2における状況の変化に基づくタイミングであってもよい。
制約決定部15は、混雑推定部14が推定した施設2の混雑状況に基づいて、移動体7の業務または移動に関する制約条件を決定する機能を搭載する部分である。制約条件は、例えば、施設2の利用者の移動を移動体7が妨げないように設定される。制約決定部15は、移動体7の業務および移動の両方に関する制約条件を決定してもよい。制約決定部15は、混雑推定部14が推定した混雑状況を更新するときに、更新された混雑状況に基づいて制約条件を決定する。
移動体7の業務に関する制約条件として、例えば、施設2に設定されたエリア、時間帯、および業務種別について、当該エリアで当該時間帯に当該業務種別の業務を実施する移動体7の必要台数が決定される。必要台数は、移動体7の台数の下限値である。必要台数は、例えば混雑して利用者が多くなるほど必要性の高まる業務種別の業務について設定される。当該業務種別は、例えば、感染症の蔓延防止などのために密集を回避するよう注意喚起する業務の業務種別、または清掃もしくは消毒の業務の業務種別などを含む。なお、必要台数が決定されるときに、必要台数に対する不足台数分の業務種別の業務が業務情報として自動的に登録されてもよい。
また、移動体7の業務に関する制約条件として、例えば、施設2に設定されたエリア、時間帯、および業務種別について、当該エリアで当該時間帯に当該業務種別の業務を実施する移動体7の許容台数が決定される。許容台数は、移動体7の台数の上限値である。許容台数は、利用者の移動を妨げることなく、移動体7が効率的に業務を実施できるように決定される。許容台数は、業務種別によらずに決定されてもよい。
業務種別によって混雑状況に対応する適切な必要台数および許容台数は異なるので、必要台数および許容台数は、業務種別ごとに設定される。なお、制約決定部15は、混雑状況に応じて、少なくともいずれかの業務種別について必要台数を0台としてもよい。また、制約決定部15は、混雑状況に応じて、少なくともいずれかの業務種別について許容台数を無制限としてもよい。
移動体7の移動に関する制約条件として、例えば、施設2に設定されたエリア、および時間帯について、当該エリアを当該時間帯に移動する移動体7の許容台数が決定される。許容台数は、移動体7の台数の上限値である。許容台数は、利用者の移動を妨げることなく、移動体7が効率的に移動できるように決定される。
なお、移動体7の業務または移動に関する制約条件として、移動体7の業務中または移動中の移動速度の上限値などが決定されてもよい。移動体7の業務または移動に関する制約条件として、移動体7への荷物の積載可否、または移動体7に積載する荷物のサイズの上限などが決定されてもよい。
制約条件は、例えば、予め設定された混雑状況および制約条件の関係式に基づいて決定される。あるいは、制約条件は、例えば、予め設定された混雑状況および制約条件の対応テーブルなどに基づいて決定されてもよい。また、制約条件は、移動体7のサイズ区分または最大移動速度などの属性ごとに決定されてもよい。また、配送などの移動も業務の一環とみなせる業務種別の業務について、移動も含めて業務とみなして制約条件が決定されてもよい。
計算条件決定部17は、混雑推定部14が推定した混雑状況に基づいて、移動体7の業務または移動の所要時間の計算条件を決定する機能を搭載する部分である。計算条件決定部17は、混雑推定部14が推定した混雑状況を更新するときに、更新された混雑状況に基づいて計算条件を決定する。計算条件は、例えば、標準的な所要時間に対して乗じる係数、または、所要時間を算出する際の移動速度もしくは最大移動速度に対して乗じる係数などで表される。
計算条件は、例えば、予め設定された混雑状況および計算条件の係数などの関係式に基づいて決定される。あるいは、計算条件は、例えば、予め設定された混雑状況および計算条件の対応テーブルなどに基づいて決定されてもよい。また、計算条件は、移動体7ごと、または移動体7のサイズ区分もしくは最大移動速度などの属性ごとに決定されてもよい。
スケジュール作成部16は、制約決定部15が決定した制約条件に基づいて、各々の移動体7が従う行動スケジュールを作成する機能を搭載する部分である。スケジュール作成部16は、行動スケジュールの作成において、計算条件決定部17が決定した移動体7の業務または移動の所要時間の計算条件を用いてもよい。スケジュール作成部16は、行動スケジュールの作成において、業務情報記憶部13が記憶する業務情報、移動体情報記憶部12が記憶する移動体情報、および地図情報記憶部10が記憶する地図情報を用いてもよい。
判定部18は、制約決定部15が決定する制約条件が更新されるときに、スケジュール作成部16の作成した行動スケジュールが更新された制約条件を満たすか否かを判定する機能を搭載する部分である。判定の対象となる行動スケジュールは、これから実施予定の行動スケジュールであってもよいし、現在実施中の行動スケジュールであってもよい。
制御指令作成部19は、スケジュール作成部16が作成した行動スケジュールに基づいて、移動体7への制御指令を作成する機能を搭載する部分である。制御指令作成部19が作成した制御指令は、例えば移動体制御装置8を通じて、または直接に、各々の移動体7に送信される。各々の移動体7は、受信した制御指令に基づいて、施設2を移動して業務を実施する。
図2は、実施の形態1に係る施設2の例を示す平面図である。
図2に示される階床は、ゾーンa、ゾーンb、およびゾーンcを含む。ゾーンaおよびゾーンcの各々は、エレベーターバンク、階段、および2つの部屋を含む。ゾーンaおよびゾーンcのエレベーターバンクは、3台のかごを含む。ゾーンcは、トイレを含む。ゾーンbは、5つの区画を含む。ゾーンbは、ゾーンaおよびゾーンcの間に配置される。ゾーンbとゾーンaおよびゾーンcとの境界の出入口において、自動ドアが配置される。ゾーンaおよびゾーンcの各部屋、ならびにゾーンbの入退域は、入退管理装置6によって管理されている。この例において、各区画、各部屋、および各エレベーターバンクが、それぞれ1つのエリアとして設定されている。この例のエレベーターバンクについて、各階床の乗場、およびかご内の空間がまとめて1つのエリアとして設定される。なお、施設2の階床は、混雑状況の推定の対象としないエリアを含んでもよい。また、施設2の階床における区画は、さらに小さい複数のエリアとして分けて設定されてもよい。また、施設2の各階床について、階床全体が1つのエリアとして設定されてもよい。
図3は、実施の形態1に係る移動体情報の例を示す図である。
移動体情報は、例えば移動体7を識別する移動体ID(IDentifier)をキーとして管理される。この例において、移動体情報として、移動体7が実施できる業務の業務種別、移動体7のサイズを表すサイズ区分、移動体7の最大移動速度、移動体7の現在の充電量、および移動体7の現在位置などが記憶されている。
図4は、実施の形態1に係る業務情報の例を示す図である。
移動体7が実施する業務は、例えば時刻指定業務、期間指定業務、定期業務、およびその他業務の4つの種類に分けられる。業務情報は、業務の種類に応じて異なる情報が含まれる。
図4Aにおいて、時刻指定業務の業務情報の例が示される。時刻指定業務は、例えば開始時刻または終了時刻が指定される業務である。時刻指定業務の業務情報は、少なくとも、業務種別と、実施場所と、開始時刻または終了時刻とを含む。時刻指定業務の業務情報は、業務の実施条件、重要度、または業務の実施に用いられるその他の情報などを含んでもよい。
図4Bにおいて、期間指定業務の業務情報の例が示される。期間指定業務は、例えば業務が実施可能な期間が指定される業務である。指定期間の終了時刻は、例えば業務の完了期限などである。期間指定業務の業務情報は、少なくとも、業務種別と、実施場所と、指定期間の開始時刻および終了時刻とを含む。期間指定業務の業務情報は、業務の実施時間を含んでもよい。このとき、例えば指定期間中に実施時間の長さだけ移動体7による業務が実行される。期間指定業務の業務情報は、業務の実施条件、重要度、または業務の実施に用いられるその他の情報などを含んでもよい。
図4Cにおいて、定期業務の業務情報の例が示される。定期業務は、例えば定期的に実施される業務である。定期業務の業務情報は、少なくとも、業務種別と、実施場所と、前回の実施から次の実施までの最小間隔または最大間隔とを含む。定期業務の業務情報は、業務の実施条件、重要度、または業務の実施に用いられるその他の情報などを含んでもよい。
図4Dにおいて、その他業務の業務情報の例が示される。その他業務は、例えば実施のタイミングなどが特に指定されない業務である。その他業務の業務情報は、少なくとも、業務種別と、実施場所を含む。その他業務の業務情報は、業務の実施時間を含んでもよい。その他業務の業務情報は、業務の実施条件、重要度、または業務の実施に用いられるその他の情報などを含んでもよい。
図5は、実施の形態1に係る行動スケジュールの例を示す図である。
図5Aにおいて、混雑状況に応じた制約条件が課せられていない場合の行動スケジュールの例が示される。
一方、図5Bにおいて、混雑状況に応じた制約条件が課せられている場合の行動スケジュールの例が示される。
図5Aに示されるように、移動体IDがR01、R02、R03、およびR04の4台の移動体7によって業務情報記憶部13に登録されている各業務を実施するための、移動、充電、および待機などを含む行動スケジュールが作成される。
業務A001および業務A002は、エリアαにおいて実施される業務種別Aの業務である。業務B001および業務B002は、エリアβにおいて実施される業務種別Bの業務である。業務C001は、エリアγにおいて実施される業務種別Cの業務である。業務D001および業務D002は、エリアδにおいて実施される業務種別Dの業務である。
ここで、図5Bに示されるように、混雑状況に応じた制約条件として、時刻t1から時刻t2までの時間帯に、エリアαで実施される業務種別Aの業務について、1台の許容台数が決定される。また、混雑状況に応じた制約条件として、時刻t3から時刻t4までの時間帯に、エリアδで実施される業務種別Dの業務について、2台の必要台数が決定される。
このとき、スケジュール作成部16は、制約条件が満たされるように、各々の移動体7についての行動スケジュールを作成する。
続いて、図6から図8を用いて、管理装置9の動作の例を説明する。
図6から図8は、実施の形態1に係る管理装置9の動作の例を示すフローチャートである。
図6において、混雑状況の推定に係る処理の例が示される。図6における処理は、例えば1時間ごとなどの定期的なタイミングで開始する。
ステップS601において、混雑推定部14は、利用者検知装置4、エレベーター5、および入退管理装置6などの観測装置が取得した情報に基づいて、施設2のエリアごと、かつ、時間帯ごとの混雑状況を推定する。その後、管理装置9の処理は、ステップS602に進む。
ステップS602において、制約決定部15は、混雑推定部14が推定した混雑状況に基づいて、移動体7の業務または移動に関する制約条件を決定する。その後、管理装置9の処理は、ステップS603に進む。
ステップS603において、計算条件決定部17は、混雑推定部14が推定した混雑状況に基づいて、移動体7の業務または移動の所要時間の計算条件を決定する。その後、管理装置9の処理は、ステップS604に進む。
ステップS604において、管理装置9は、制約条件が前回決定された制約条件から更新されたかを判定する。判定結果がYESの場合に、管理装置9の処理は、ステップS605に進む。一方、判定結果がNOの場合に、管理装置9の処理は終了する。
ステップS605において、判定部18は、スケジュール作成部16によって既に作成された行動スケジュールが、更新された制約条件を満たすかを判定する。判定結果がNOの場合に、管理装置9の処理は、ステップS606に進む。一方、判定結果がYESの場合に、管理装置9の処理は終了する。
ステップS606において、スケジュール作成部16は、行動スケジュールを再作成する。スケジュール作成部16は、行動スケジュールを作成するときと同様の処理によって行動スケジュールを再作成する。その後、管理装置9の処理は、終了する。なお、行動スケジュールの再作成は、行動スケジュールが更新された制約条件を満たさないと判定部18が判定した場合の他に、行動スケジュールの実施中に新たな業務が追加登録された場合などにも行われてもよい。行動スケジュールを再作成する対象期間は、実施中の行動スケジュールの対象期間の残りの期間としてもよいし、現時点から新たに行動スケジュールの対象期間を設定してもよい。
図7において、行動スケジュールの作成に係る処理の例が示される。図7における処理は、例えば1時間ごとなどの定期的なタイミングで開始する。
ステップS701において、スケジュール作成部16は、制約決定部15が決定した制約条件、および計算条件決定部17が決定した計算条件に基づいて、予め定められた対象期間における移動体7の行動スケジュールを作成する。対象期間は、例えば1日などの期間である。その後、管理装置9の処理は、ステップS702に進む。
ステップS702において、管理装置9は、ステップS701における行動スケジュールの作成の結果、未実施業務があるかを判定する。判定結果がNOの場合に、管理装置9の処理は、ステップS703に進む。一方、判定結果がYESの場合に、管理装置9の処理は、ステップS704に進む。
ステップS703において、制御指令作成部19は、スケジュール作成部16が作成した行動スケジュールに基づいて、各々の移動体7への制御指令を作成する。その後、管理装置9の処理は、終了する。なお、管理装置9は、制御指令作成部19が作成した移動体7への制御指令を、必要に応じたタイミングで当該移動体7または当該移動体7を遠隔制御する移動体制御装置8に送信する。
ステップS704において、管理装置9は、未実施業務がある旨の情報を情報端末3に通知する。その後、管理装置9の処理は、終了する。管理装置9は、施設2の管理者または業務情報の登録者などへの情報端末3を介した通知により、登録されている業務の全ては実行できないことを知らせたり、業務情報の修正を促したりすることができる。
図8において、行動スケジュール作成の詳細な処理の例が示される。図8における処理は、例えば、図6のステップS606、または図7のステップS701などにおいて実行される。
図8AのステップS801において、スケジュール作成部16は、業務情報記憶部13に登録されている業務のうち、対象期間中に実施すべき業務を抽出し、その中から1つの業務を選択する。スケジュール作成部16は、例えば、開始日時が最も近い業務を選択する。あるいは、スケジュール作成部16は、終了日時が最も近い業務を選択してもよいし、重要度が最も高い業務を選択してもよい。業務を選択した後に、スケジュール作成部16の処理はステップS802に進む。
ステップS802において、スケジュール作成部16は、選択した業務を実施可能な移動体7がいるかを判定する。スケジュール作成部16は、例えば、移動体情報記憶部12が記憶している移動体情報において、実行可能業務種別に当該業務の業務種別が含まれている移動体7を、当該業務を実施可能な移動体7とする。また、移動体7のサイズ区分または移動速度などの属性に関する条件が業務情報の実施条件に定められている場合に、スケジュール作成部16は、当該条件も満たす移動体7を、当該業務を実施可能な移動体7とする。選択した業務を実施可能な移動体7がいる場合に、スケジュール作成部16の処理はステップS803に進む。一方、選択した業務を実施可能な移動体7がいない場合に、スケジュール作成部16の処理は図8BのステップS817に進む。
ステップS803において、スケジュール作成部16は、選択した業務を実施可能な移動体7の中から、1台の移動体7を選択する。その後、スケジュール作成部16の処理は、ステップS804に進む。
ステップS804において、スケジュール作成部16は、選択した移動体7が選択した業務の実施場所に移動した上で当該業務を実行するために、当該移動体7に充電が必要かを判定する。当該業務の実施場所への移動に必要な充電量、および、当該業務の実行に必要な充電量は、それぞれ予め設定された計算式に基づいて算出されてもよいし、過去の履歴から学習して算出されてもよい。充電が必要な場合に、スケジュール作成部16の処理はステップS805に進む。一方、充電が必要でない場合に、スケジュール作成部16の処理はステップS806に進む。
ステップS805において、スケジュール作成部16は、選択した移動体7が選択した業務の実施場所に移動した上で当該業務を実行するために必要な充電量を得るための充電を、当該移動体7について計画する。すなわち、スケジュール作成部16は、当該移動体7の充電場所への移動も計画に含めてスケジュールを作成する。その後、スケジュール作成部16の処理は、ステップS806に進む。
ステップS806において、スケジュール作成部16は、選択した移動体7が選択した業務の実施場所に現在地から移動を開始する時刻を決定する。スケジュール作成部16は、例えば、当該移動体7の移動を開始する時刻を、当該移動体7の当該業務の1つ前の業務の完了時刻とする。当該移動体7について充電を計画する場合に、例えば、スケジュール作成部16は、当該移動体7の移動を開始する時刻を、当該移動体7の充電場所における充電が完了する時刻としてもよい。なお、余裕をもたせるために、スケジュール作成部16は、当該移動体7の移動を開始する時刻を、1つ前の業務の完了時刻または充電の完了時刻などから予め設定された時間が経過した時刻としてもよい。移動を開始する時刻を決定した後に、スケジュール作成部16の処理は、ステップS807に進む。
ステップS807において、スケジュール作成部16は、選択した移動体7が選択した業務の実施場所に現在地から移動する経路を決定する。スケジュール作成部16は、制約決定部15が決定した移動に関する制約条件に基づいて、当該移動体7を、既に他の移動体7によって許容台数分の通行が計画されている時間帯およびエリアの通行をさせないように経路を選択する。ここで、選択した移動体7が各エリアを通行する時刻は、計算条件決定部17が決定した移動の所要時間の計算条件に基づいて計算される。移動経路を決定した後に、スケジュール作成部16の処理は、図8BのステップS808に進む。
図8BのステップS808において、スケジュール作成部16は、選択した移動体7が現在地から選択した業務の実施場所に決定した移動経路上を移動したときに、当該業務の開始時刻に間に合うかを判定する。当該業務が時刻指定業務である場合に、スケジュール作成部16は、例えば、当該移動体7の業務の実施場所への到着時刻と開始時刻との比較によって判定を行う。また、当該業務が期間指定業務である場合に、スケジュール作成部16は、例えば、当該移動体7の業務の実施場所への到着時刻と指定期間の終了時刻との比較によって判定を行う。また、当該業務が定期業務である場合に、スケジュール作成部16は、例えば、前回の実施完了時刻から当該移動体7の業務の実施場所への到着時刻までの間隔と最大実施間隔との比較によって判定を行う。選択した業務の開始時刻に間に合う場合に、スケジュール作成部16の処理は、ステップS809に進む。一方、選択した業務の開始時刻に間に合わない場合に、スケジュール作成部16の処理は、ステップS813に進む。
ステップS809において、スケジュール作成部16は、選択した移動体7が選択した業務を完了する時刻を計算により予測する。ここで、当該業務の予測される完了時刻は、計算条件決定部17が決定した業務の所要時間の計算条件に基づいて計算される。なお、スケジュール作成部16は、完了時刻の計算において、業務情報記憶部13が記憶する業務情報の実施時間を適宜参照してもよい。完了時刻を計算した後に、スケジュール作成部16の処理は、ステップS810に進む。
ステップS810において、スケジュール作成部16は、選択した移動体7による選択した業務の完了時刻の予測に基づいて、制約決定部15が決定した業務および移動に関する制約条件を満たすかを判定する。スケジュール作成部16は、例えば、当該業務の実施場所における業務種別の許容台数を超えていないこと、ならびに、当該業務の完了場所および完了時刻における移動の許容台数を超えていないことなどを判定する。制約条件が満たされる場合に、スケジュール作成部16の処理は、ステップS811に進む。一方、制約条件が満たされない場合に、スケジュール作成部16の処理は、ステップS813に進む。
ステップS811において、スケジュール作成部16は、選択した移動体7による選択した業務の完了時点における充電量が十分であるかを判定する。スケジュール作成部16は、例えば、当該業務の完了場所から充電場所まで移動するために必要な充電量が残っているかを判定する。ここで、業務の完了場所から充電場所まで移動するために必要な充電量は、予め設定された計算式に基づいて算出されてもよいし、過去の履歴から学習して算出されてもよい。充電量が十分である場合に、スケジュール作成部16の処理は、ステップS812に進む。一方、充電量が十分でない場合に、スケジュール作成部16の処理は、ステップS813に進む。
ステップS812において、スケジュール作成部16は、選択した移動体7を、選択した業務を割当可能な移動体7として判定する。その後、スケジュール作成部16の処理は、ステップS813に進む。
ステップS813において、スケジュール作成部16は、選択した業務を実施可能な全ての移動体7が図8AのステップS803で選択されたかを判定する。判定結果がYESの場合に、スケジュール作成部16の処理は、ステップS814に進む。一方、判定結果がNOの場合に、スケジュール作成部16の処理は、ステップS803に進み、まだ選択されていない1台の移動体7を選択する。
ステップS814において、スケジュール作成部16は、選択した業務を割当可能な移動体7がいるかを判定する。判定結果がYESの場合に、スケジュール作成部16の処理は、ステップS815に進む。一方、判定結果がNOの場合に、スケジュール作成部16の処理は、ステップS817に進む。
ステップS815において、スケジュール作成部16は、選択した業務を割当可能な移動体7の中から、当該業務を実際に割り当てる移動体7を決定する。スケジュール作成部16は、例えば、当該業務を実行するために必要な移動距離が最も短い移動体7を、当該業務を割り当てる移動体7に決定する。あるいは、スケジュール作成部16は、当該業務を実施するために消費される充電量が最も小さい移動体7に当該業務を割り当ててもよいし、移動についての許容台数が設定されているエリアを通行する距離が最も短い移動体7に当該業務を割り当ててもよい。選択した業務を割り当てる移動体7を決定した後に、スケジュール作成部16の処理は、ステップS816に進む。
ステップS816において、スケジュール作成部16は、対象期間中に実施すべき業務として抽出された全ての業務が図8AのステップS801で選択されたかを判定する。判定結果がYESの場合に、スケジュール作成部16の処理は終了する。一方、判定結果がNOの場合に、スケジュール作成部16の処理は、ステップS801に進み、まだ選択されていない1つの業務を選択する。
ステップS817において、スケジュール作成部16は、選択した業務を未実施業務とする。その後、スケジュール作成部16の処理は、ステップS816に進む。
以上に説明したように、実施の形態1に係る移動体システム1は、1台以上の移動体7と、観測装置と、管理装置9と、を備える。各々の移動体7は、施設2を移動して業務を実施する。観測装置は、施設2に設けられる。管理装置9は、混雑推定部14と、制約決定部15と、スケジュール作成部16と、を備える。混雑推定部14は、施設2において予め設定されたエリアごと、かつ、予め設定された時間帯ごとの混雑状況を、観測装置からの情報に基づいて推定する。制約決定部15は、混雑推定部14が推定した混雑状況に基づいて、各々の移動体7の業務および移動の少なくともいずれかに関する制約条件を決定する。スケジュール作成部16は、制約決定部15が決定した制約条件に基づいて、各々の移動体7が従う行動スケジュールを作成する。
また、実施の形態1に係る移動体7の管理方法は、混雑推定ステップと、制約決定ステップと、スケジュール作成ステップと、を備える。混雑推定ステップは、施設2において予め設定されたエリアごと、かつ、予め設定された時間帯ごとの混雑状況を、観測装置からの情報に基づいて推定するステップである。制約決定ステップは、混雑推定ステップにおいて推定した混雑状況に基づいて、各々の移動体7の業務および移動の少なくともいずれかに関する制約条件を決定するステップである。スケジュール作成ステップは、制約決定ステップにおいて決定した制約条件に基づいて、各々の移動体7が従う行動スケジュールを作成するステップである。
また、実施の形態1に係る移動体7の管理プログラムは、コンピュータに、混雑推定ステップと、制約決定ステップと、スケジュール作成ステップと、を実行させる。
このような構成により、施設2の利用者が存在しうる空間において、エリアごと、かつ、時間ごとの利用者による混雑状況が推定される。また、推定された混雑状況に応じて移動体7の業務または移動に関する制約条件が設定される。その制約条件に基づいて移動体7の行動スケジュールが作成されるので、施設2の利用者の移動が移動体7によって妨げられにくくなる。移動体7の行動スケジュールは制約条件に基づいて決定されるので、省エネルギー性などに基づいて利用者で混雑しているエリアに移動体7が無制限に投入されることなどが抑えられる。このように、利用者の移動を妨げずに移動体7が効率的に業務を実施できるような行動スケジュールが作成されるようになる。
また、制約決定部15は、業務に関する制約条件として、エリア、時間帯、および業務種別について、当該エリアで当該時間帯に当該業務種別の業務を実施する移動体7の必要台数を決定する。
また、制約決定部15は、業務に関する制約条件として、エリア、時間帯、および業務種別について、当該エリアで当該時間帯に当該業務種別の業務を実施する移動体7の許容台数を決定する。
また、制約決定部15は、移動に関する制約条件として、エリア、および時間帯について、当該エリアを当該時間帯に移動する移動体7の許容台数を決定する。
このような構成により、推定された混雑状況に応じて、時間ごとに各エリアで各業務を実施する移動体7の必要台数または許容台数に関する制約条件が設定される。これにより、特に、利用者が多いほど必要性の高まる業務について、混雑状況に応じて適切な台数で実施させることができる。また、利用者の移動を妨げずに移動体7が効率的に業務を実施できるような行動スケジュールが作成されるようになる。また、推定された混雑状況に応じて、時間ごとに各エリアを通行する移動体7の許容台数に関する制約条件が設定される。これにより、利用者の移動を妨げずに移動体7が効率的に業務を実施できるような行動スケジュールが作成されるようになる。
また、管理装置9は、計算条件決定部17を備える。計算条件決定部17は、混雑状況に基づいて、移動体7の業務または移動の所要時間の計算条件を決定する。スケジュール作成部16は、計算条件決定部17が決定した計算条件に基づいて、各々の移動体7の業務または移動の所要時間を計算する。スケジュール作成部16は、計算した所要時間および制約条件に基づいて、行動スケジュールを作成する。
このような構成により、推定された混雑状況に応じて見積もった移動体7の業務または移動の所要時間と、推定された混雑状況に応じて設定された移動体7の業務または移動に関する制約条件とに基づいて行動スケジュールが作成される。これにより、混雑の影響によって移動体7が行動スケジュール通りに業務を実施できなくなることが回避される。
また、管理装置9は、判定部18を備える。判定部18は、制約条件が更新されるときに、行動スケジュールが更新された制約条件を満たすか否かを判定する。スケジュール作成部16は、行動スケジュールが更新された制約条件を満たさないと判定部18が判定する場合に、行動スケジュールを再作成する。
このような構成により、既に作成した行動スケジュールは、推定された最新の混雑状況に基づいて更新された制約条件を満たすか否か判定される。ここで、更新された制約条件が満たされない場合は、行動スケジュールが再作成される。これにより、混雑状況の変化によって移動体7が行動スケジュール通りに業務を実施できなくなることが回避される。
なお、施設2において例えば他のシステムが管理する移動体などの移動体システム1の管理外の移動体がある場合に、移動体システム1は、当該管理外の移動体を施設2の利用者と同様に扱ってもよい。混雑推定部14は、利用者による混雑状況として、施設2にいる人および管理外の移動体による混雑状況を推定してもよい。
続いて、図9を用いて、移動体システム1のハードウェア構成の例について説明する。
図9は、実施の形態1に係る移動体システム1の主要部のハードウェア構成図である。
移動体システム1の各機能は、処理回路により実現し得る。処理回路は、少なくとも1つのプロセッサ100aと少なくとも1つのメモリ100bとを備える。処理回路は、プロセッサ100aおよびメモリ100bと共に、あるいはそれらの代用として、少なくとも1つの専用ハードウェア200を備えてもよい。
処理回路がプロセッサ100aとメモリ100bとを備える場合、移動体システム1の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせで実現される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、プログラムとして記述される。そのプログラムはメモリ100bに格納される。プロセッサ100aは、メモリ100bに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、移動体システム1の各機能を実現する。
プロセッサ100aは、CPU(Central Processing Unit)、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSPともいう。メモリ100bは、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROMなどの、不揮発性または揮発性の半導体メモリなどにより構成される。
処理回路が専用ハードウェア200を備える場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらの組み合わせで実現される。
移動体システム1の各機能は、それぞれ処理回路で実現することができる。あるいは、移動体システム1の各機能は、まとめて処理回路で実現することもできる。移動体システム1の各機能について、一部を専用ハードウェア200で実現し、他部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。このように、処理回路は、専用ハードウェア200、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせで移動体システム1の各機能を実現する。
実施の形態2.
実施の形態2において、実施の形態1で開示される例と相違する点について特に詳しく説明する。実施の形態2で説明しない特徴については、実施の形態1で開示される例のいずれの特徴が採用されてもよい。
図10は、実施の形態2に係る移動体システム1の構成図である。
実施の形態2において、推定された混雑状況に応じた制約条件を満たし、かつ、実施すべき業務を全て実施するような行動スケジュールが作成できない場合に、より弱い制約条件のもとで行動スケジュールを作成する移動体システム1の例を説明する。
施設2において、報知装置20が設けられる。報知装置20は、例えば表示器、投影器、またはスピーカーなどの施設2の利用者に情報を報知する装置である。報知装置20は、例えば視覚的情報または聴覚的情報の一方または両方などによって利用者に情報を報知する。移動体システム1において、エレベーター5または入退管理装置6などが有する表示器またはスピーカーなどが報知装置20として用いられてもよい。管理装置9は、報知装置20との間で、必要に応じたタイミングで通信を行う。報知装置20は、移動体システム1に含まれる装置であってもよいし、または移動体システム1の外部装置であってもよい。
管理装置9は、報知指令作成部21をさらに備える。報知指令作成部21は、スケジュール作成部16が作成した行動スケジュールに基づいて、報知装置20への報知指令を作成する機能を搭載する部分である。報知指令作成部21が作成した報知指令は、施設2に配置された報知装置20に送信される。報知装置20は、受信した報知指令に基づいて、施設2の利用者への報知を行う。
図11は、実施の形態2に係る管理装置9の動作の例を示すフローチャートである。
図11において、行動スケジュールの作成に係る処理の例が示される。図11における処理は、例えば1時間ごとなどの定期的なタイミングで開始する。
ステップS1101において、管理装置9は、図7のステップS701と同様の処理を行う。その後、管理装置9の処理は、ステップS1102に進む。
ステップS1102において、管理装置9は、ステップS1101における行動スケジュールの作成の結果、未実施業務があるかを判定する。判定結果がNOの場合に、管理装置9の処理は、ステップS1103に進む。一方、判定結果がYESの場合に、管理装置9の処理は、ステップS1105に進む。
ステップS1103において、制御指令作成部19は、ステップS1101でスケジュール作成部16が作成した行動スケジュールに基づいて、移動体7への制御指令を作成する。この場合の制御指令は、混雑状況に基づいて制約決定部15が決定した制約条件を行動スケジュールが満たす場合の制御指令である。制御指令を作成した後に、管理装置9の処理は、ステップS1104に進む。なお、管理装置9は、制御指令作成部19が作成した移動体7への制御指令を、必要に応じたタイミングで、移動体制御装置8を通じて、または直接に、各々の移動体7に送信する。
ステップS1104において、報知指令作成部21は、ステップS1101でスケジュール作成部16が作成した行動スケジュールに基づいて、報知装置20への報知指令を作成する。この場合の報知指令は、混雑状況に基づいて制約決定部15が決定した制約条件を行動スケジュールが満たす場合の報知指令である。報知指令作成部21は、例えば、移動体7の業務の実施に関する注意を利用者に喚起する報知を行うための報知指令を作成する。報知指令を作成した後に、管理装置9の処理は、終了する。なお、管理装置9は、報知指令作成部21が作成した報知装置20への報知指令を、必要に応じたタイミングで報知装置20に送信する。
ステップS1105において、管理装置9は、混雑状況に基づいて制約決定部15が決定した制約条件を緩和して行動スケジュールを作成することが許可されているかを判定する。ここで、制約条件の緩和の許可または不許可は、予め設定されていてもよいし、情報端末3などを介して施設2の管理者などに確認して設定されるものであってもよい。判定結果がYESの場合に、管理装置9の処理は、ステップS1106に進む。一方、判定結果がNOの場合に、管理装置9の処理は、ステップS1110に進む。
ステップS1106において、スケジュール作成部16は、制約決定部15が決定した制約条件を緩和して移動体7の行動スケジュールを作成する。スケジュール作成部16は、全ての制約条件を緩和してもよいし、一部の制約条件のみを緩和してもよい。例えば、スケジュール作成部16は、業務または移動に関する制約条件の一方または両方を緩和してもよい。スケジュール作成部16は、業務または移動に関する制約条件のうち、必要台数または許容台数などの全部の条件を緩和してもよいし、一部の条件のみを緩和してもよい。制約条件の緩和の具体的な方法の例として、必要台数を0としてもよいし、許容台数を無制限としてもよいし、予め設定された台数だけ加減するようにしてもよい。なお、この例において、制約決定部15は、混雑状況に基づく制約条件そのものを変更しない。スケジュール作成部16は、制約決定部15が決定した制約条件を緩和した上で行動スケジュールを作成する。緩和された制約条件に基づく行動スケジュールの作成の処理は、図8に示される処理と同様に行われる。緩和された制約条件に基づく行動スケジュールを作成した後に、管理装置9の処理は、ステップS1107に進む。
ステップS1107において、管理装置9は、ステップS1106における行動スケジュールの作成の結果、未実施業務があるかを判定する。判定結果がNO場合に、管理装置9の処理は、ステップS1108に進む。一方、判定結果がYESの場合に、管理装置9の処理は、ステップS1110に進む。
ステップS1108において、制御指令作成部19は、ステップS1106でスケジュール作成部16が作成した行動スケジュールに基づいて、移動体7への制御指令を作成する。この場合の制御指令は、混雑状況に基づいて制約決定部15が決定した元の制約条件を行動スケジュールが満たさない場合の制御指令である。このとき、制御指令作成部19は、元の制約条件が満たされる場合よりも移動体7を低速で移動させたり、表示または音声によって周囲に注意喚起をしながら移動させたりするような制御指令を作成してもよい。この場合に、スケジュール作成部16は、ステップS1107において、元の制約条件が満たされるときよりも移動体7が低速で移動するものとして行動スケジュールを作成していてもよい。このような制御指令が作成されることで、より一層施設2の利用者に配慮して業務が実施されるようになる。制御指令を作成した後に、管理装置9の処理は、ステップS1109に進む。
ステップS1109において、報知指令作成部21は、ステップS1106でスケジュール作成部16が作成した行動スケジュールに基づいて、報知装置20への報知指令を作成する。この場合の報知指令は、混雑状況に基づいて制約決定部15が決定した元の制約条件を行動スケジュールが満たさない場合の報知指令である。このとき、報知指令作成部21は、例えば、元の制約条件が満たされる場合よりも一層強く注意を喚起するような報知内容の報知指令を作成してもよい。例えば、報知指令作成部21は、元の制約条件が満たされる場合に表示のみの報知の報知指令を作成し、元の制約条件が満たされない場合に表示および音声の両方による報知の報知指令を作成するようにしてもよい。このような報知指令が作成されることで、より一層施設2の利用者に配慮して業務が実施されるようになる。報知指令を作成した後に、管理装置9の処理は、終了する。
ステップS1110において、管理装置9は、未実施業務がある旨の情報を情報端末3に通知する。このとき、管理装置9は、制約条件の緩和が許可されていないこと、または、制約条件を緩和してもなお未実施業務があることなどをあわせて通知してもよい。その後、管理装置9の処理は、終了する。管理装置9は、施設2の管理者または業務情報の登録者などへの情報端末3を介した通知により、登録されている業務の全ては実行できないことを知らせたり、業務情報の修正を促したりすることができる。
以上に説明したように、実施の形態2に係る移動体システム1において、管理装置9は、制御指令作成部19を備える。制御指令作成部19は、行動スケジュールに基づいて、各々の移動体7への制御指令を作成する。制御指令作成部19は、混雑状況に応じて制約決定部15が決定した元の制約条件を行動スケジュールが満たす場合と満たさない場合とで、互いに異なる制御指令を作成する。
このような構成により、推定された混雑状況に応じた制約条件を行動スケジュールが満たさない場合に、当該制約条件が満たされる場合とは異なる、移動体7への制御指令が作成される。これにより、元の制約条件を行動スケジュールが満たす場合より、より一層施設2の利用者に配慮して業務が実施されるようになる。
また、管理装置9は、報知指令作成部21を備える。報知指令作成部21は、行動スケジュールに基づいて、施設2に設けられた報知装置20への報知指令を作成する。報知指令作成部21は、混雑状況に応じて制約決定部15が決定した元の制約条件を行動スケジュールが満たす場合と満たさない場合とで、互いに異なる報知指令を作成する。
このような構成により、推定された混雑状況に応じた制約条件を行動スケジュールが満たさない場合に、当該制約条件が満たされる場合とは異なる、報知装置20への報知指令が作成される。これにより、元の制約条件を行動スケジュールが満たす場合より、より一層施設2の利用者に配慮して業務が実施されるようになる。