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JP7296914B2 - サテライトおよび炭化珪素半導体装置の製造方法 - Google Patents

サテライトおよび炭化珪素半導体装置の製造方法 Download PDF

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本開示は、半導体基板を載置するサテライトおよびそれを用いた炭化珪素半導体装置の製造方法に関するものである。
炭化珪素(SiC)などのワイドギャップ半導体材料は、シリコンと比較して絶縁破壊耐量が高いため、ワイドギャップ半導体から成る半導体基板(以下、単に「基板」ということもある)は、シリコンから成る基板よりも不純物濃度を高めて低抵抗化することが可能である。基板の低抵抗化は、パワー半導体装置(パワーデバイス)のスイッチング損失の低減に有効である。また、ワイドギャップ半導体は、熱伝導度が高く、機械的強度にも優れ、小型で低損失、高効率なパワーデバイスを実現できる半導体材料として期待されている。
SiCは多くの結晶多形を持つことが知られており、パワーデバイスには4H型のSiCがよく用いられている。また、SiCは、わずかなエネルギーで別の結晶多形に変わる可能性がある。そのため、ウエハとしてのSiC基板上にエピタキシャル層を成長させるエピタキシャル成長工程では、[0001]結晶軸に対し4~8°程度傾いた表面を持つ基板を用いることで、エピタキシャル層の結晶多形を基板と同一に保持する、ステップフロー成長と呼ばれる方法をとるのが一般的である。
SiCのエピタキシャル成長工程では、SiCコートを施したカーボン製のサセプタの中に、SiCコートを施したカーボン製のサテライトを設置し、サテライトの上にSiC基板を載置するのが一般的である。例えば下記の特許文献1には、SiCから成る基板が載置されるサテライトに、基板の反り形状に合致する曲面状の底面を持つザグリを設け、その中に、裏面をサテライト(ザグリの底面)に密着させるように基板を載置する技術が開示されている。
特開2015-93806号公報
SiCのエピタキシャル成長工程において、成長ガスが基板の裏面へ回り込むと、当該基板の裏面にSiC多結晶の突起が形成される問題が生じる。特許文献1のように、基板の裏面をサテライトに密着させれば、成長ガスが基板の裏面への回り込むことが防止され、基板の裏面に突起が形成されることを防止できる。しかし、基板の初期の反り量および昇温時の反り量は、基板のメーカーや基板の材料であるインゴットによって様々であるため、特許文献1の技術では、あらゆる半導体基板をサセプタに密着させることは困難である。
本開示は以上のような課題を解決するためになされたものであり、エピタキシャル成長工程において炭化珪素半導体基板の裏面に突起が形成されることを防止できるサテライトおよび炭化珪素半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
本開示に係るサテライトは、半導体基板を載置するためのサテライトであって、前記半導体基板が載置される領域を含むように形成され、中央部が外縁部よりも深いすり鉢型の凹部と、前記凹部の前記外縁部から立ち上がる側壁を持つ段差部と、を備え、前記凹部の前記外縁部における前記段差部の前記側壁との境界部の深さと前記凹部の最深部の深さとの差が1000μm以上である。

本開示によれば、エピタキシャル成長時に成長ガスが炭化珪素半導体基板の裏面へ回り込むことが防止され、炭化珪素半導体基板の裏面に炭化珪素多結晶の突起が形成されることが抑制される。
実施の形態1に係るサテライトの構成を示す図である。 実施の形態1に係るサテライトにSiC基板が載置された状態を示す図である。 実施の形態1に係る炭化珪素半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。 実施の形態1に係る炭化珪素半導体装置の製造方法におけるガス流入工程を示す図である。 実施の形態2に係るサテライトの構成を示す図である。 実施の形態3に係るサテライトの構成を示す図である。 実施の形態3に係るサテライトにSiC基板が載置された状態を示す図である。
<実施の形態1>
図1は、実施の形態1に係るサテライト10の構成を示す図である。図1において、上部にはサテライト10の上面図が示されており、下部にはサテライト10の断面図が示されている。また、図2は、サテライト10に炭化珪素半導体基板(以下「SiC基板」という)20が載置された状態を示す断面図である。
図1のように、サテライト10の上面には、SiC基板20が載置される領域に形成された凹部11と、凹部11の外縁部から立ち上がる側壁を持つ段差部12とが形成されている。凹部11は、中央部が外縁部よりも深い、いわゆるすり鉢型の形状を有しており、凹部11の外縁部の深さと最深部の深さとの差Dは1000μm以上である。
段差部12は、図2のように凹部11内にSiC基板20が載置されたとき、SiC基板20の外周の側面と対面するように延在している。すなわち、段差部12の形状は、平面視で、SiC基板20の外形に対応する円形である。凹部11の直径Lは、載置されたSiC基板20と段差部12の側壁との間に大きな隙間ができないように、SiC基板20の直径よりも100μm~5000μmだけ大きく設計される。
本実施の形態では、SiCのエピタキシャル層の形成手法として、化学気相成長法として知られているCVD(Chemical Vapor Deposition)法が用いられる。よって、サテライト10は、CVD装置(不図示)内に設置される。また、本実施の形態では、サテライト10は、SiCコートが施されたカーボン製とする。ただし、SiCコートは施されなくてもよい。
図3は、実施の形態1に係る炭化珪素半導体装置の製造方法を示すフローチャートであり、特に、SiC基板20の上に、SiCのエピタキシャル層を成長させるエピタキシャル成長工程が示されている。以下、図3のフローチャートに基づいて、実施の形態1に係る炭化珪素半導体装置の製造方法を説明する。
SiC基板準備工程(ステップST1)では、エピタキシャル成長のベース基板となるSiC基板20が準備される。ベース基板としては、例えば、n型の炭化珪素から成るSiC基板が用いられる。
サテライト準備工程(ステップST2)では、ステップST1で準備されたSiC基板20を載置するためのサテライト10(図1)が準備される。
SiC基板載置工程(ステップST3)では、ステップST1で準備されたSiC基板20が、ステップST2で準備されたサテライト10上に載置される。図2のように、SiC基板20は、その側面が段差部12と対面するように、サテライト10の凹部11内に載置される。このとき、SiC基板20はおもて面を上、裏面を下にして、サテライト10に載置される。よって、以下の説明において、SiC基板20の「上面」はおもて面を指し、SiC基板20の「下面」は裏面を指している。
SiC基板加熱工程(ステップST4)では、CVD炉内を加熱して、サテライト10に載置されたSiC基板20の温度を、予め定められた温度まで上昇させる。この温度は、エピタキシャル成長が促される温度であり、1400度から1700度の範囲の温度、例えば1600度などが好ましい。
成長ガス流入工程(ステップST5)では、ステップST4で加熱された状態を維持しつつ、CVD炉内にエピタキシャル膜の成長ガスを流入させる。それにより、図4のように、サテライト10に載置されたSiC基板20の上面側に成長ガス30が流れ、SiC基板20の上面にSiCのエピタキシャル層が成長する。成長ガス30としては、シラン系ガス(例えばモノシランもしくはジクロロシラン)と、炭化水素系ガス(例えばプロパン)と、ドーパントガス(例えば窒素)とが導入される。これらのガスの比率および流量は、成長させるエピタキシャル層のキャリア濃度が所望の値になるように調整される。
本実施の形態では、SiC基板20の下面の外縁部が凹部11の上面の外縁部と接しており、且つ、SiC基板20の側面は段差部12の側壁に対面している。この構造により、成長ガス30がSiC基板20の裏面に回り込むことが防止される。
ここで、ステップST4でSiC基板20が加熱されるとき、SiC基板20のおもて面と裏面との熱膨張の差に起因して、SiC基板20に反りが発生するため、図4に示すように、SiC基板20は下面の中央部が突き出た形状(上面の中央部が窪んだ形状)となる。このとき、SiC基板20の下面の中央部がサテライト10と接触すると、SiC基板20の外縁部がサテライト10から浮き、SiC基板20の外縁部と凹部11の外縁部との間に隙間が生じるため、ステップST5において成長ガス30がSiC基板20の裏面へ回り込むおそれが生じる。しかし、本実施の形態では、凹部11の外縁部の深さと最深部(凹部11の中央部)の深さとの差Dが1000μm以上であり、凹部11が十分に深い。よって、SiC基板20の下面の中央部がサテライト10に接触することが防止され、成長ガス30がSiC基板20の裏面へ回り込むことが防止されるという効果は維持される。
また、SiC基板20の下面の中央部がサテライト10と接触すると、その部分だけ局所的に温度が高くなり、SiC基板20に温度分布ムラが生じて、エピタキシャル層の濃度のバラつきの要因となるが、本実施の形態ではこの問題の発生も防止できる。
以上のように、実施の形態1に係る炭化珪素半導体装置の製造方法では、エピタキシャル成長時に成長ガス30がSiC基板20の裏面へ回り込むことが防止される。その結果、SiC基板20の裏面に炭化珪素多結晶の突起が形成されることが抑制される。
仮にSiC基板20の裏面に突起が形成されてしまうと、半導体プロセス装置の搬送系などが、SiC基板20の裏面を吸着したときにSiC基板20に反りが生じる。この反りは、SiC基板20の搬送エラーや、SiC基板20の割れ、写真製版時の露光のデフォーカスなどの問題を生じさせる原因となるが、本実施の形態によれば、これらの問題の発生を抑制することができる。
<実施の形態2>
実施の形態1では、SiC基板20の外形を円形と仮定したが、SiC基板20がオリエンテーションフラット(以下「オリフラ」という)と呼ばれる直線状の部位を有していることもある。つまり、SiC基板20がオリフラを有する場合、SiC基板20の外形は、単純な円形状ではなく、局所的な直線部を有する円形状となる。
SiC基板20がオリフラを有する場合、実施の形態1のようにサテライト10の段差部12の平面視形状が円形であると、SiC基板20のオリフラ部分の側面と段差部12の側壁との間に隙間ができ、そこからSiC基板20の裏面への成長ガス30が回り込むおそれがある。
そこで、実施の形態2では、サテライト10の段差部12の平面視形状を、オリフラを持つSiC基板20の外形に対応させ、局所的な直線部を有する円形状とする。つまり、実施の形態2に係るサテライト10の段差部12は、図5のように、平面視でSiC基板20のオリフラ部分と対面する直線部41と、SiC基板20のオリフラ以外の部分と対面する円形部42とを有する。
SiC基板20がオリフラを有する場合、実施の形態2に係るサテライト10を用いることで、SiC基板20のオリフラの側面と段差部12との間に隙間ができることが防止される。よって、オリフラを有するSiC基板20に対し、実施の形態1と同様の効果が得られる。
<実施の形態3>
図6は、実施の形態3に係るサテライト10の構成を示す図である。図6のように、実施の形態3に係るサテライト10は、凹部11の最深部(凹部11の中央部)に貫通孔50を備えている。貫通孔50は真空ポンプの吸気口に接続されており、貫通孔50を通して、サテライト10に載置されたSiC基板20と凹部11との間の空間の真空引きが可能となっている。
実施の形態3では、成長ガス流入工程(ステップST5)において、サテライト10に載置されたSiC基板20の下面側が、貫通孔50から真空引きされる。それにより、サテライト10が凹部11に真空吸着され、図7のようにSiC基板20の下面全体が凹部11の上面に密着して、SiC基板20の裏面への成長ガス30の回り込みが防止される。このとき、段差部12は、SiC基板20と凹部11との間の真空度を高めることにも効果的である。
また、実施の形態3においても、凹部11の深さが浅いと、SiC基板20に反りが発生したときに、SiC基板20の外縁部と凹部11の外縁部との間に隙間が生じ、成長ガス30がSiC基板20の裏面へ回り込むおそれが生じる。そのため、凹部11の外縁部の深さと最深部(凹部11の中央部)の深さとの差Dは1000μm以上であることが望ましい。
なお、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
10 サテライト、11 凹部、12 段差部、20 SiC基板、30 成長ガス、41 直線部、42 円形部、50 貫通孔。

Claims (9)

  1. 半導体基板を載置するためのサテライトであって、
    前記半導体基板が載置される領域を含むように形成され、中央部が外縁部よりも深いすり鉢型の凹部と、
    前記凹部の前記外縁部から立ち上がる側壁を持つ段差部と、
    を備え、
    前記凹部の前記外縁部における前記段差部の前記側壁との境界部の深さと前記凹部の最深部の深さとの差が1000μm以上である、
    サテライト。
  2. 前記凹部の前記最深部に貫通孔を有する
    請求項1に記載のサテライト。
  3. 前記段差部は平面視で円形である、
    請求項1または請求項2に記載のサテライト。
  4. 前記段差部は平面視で局所的な直線部を有する円形状である、
    請求項1または請求項2に記載のサテライト。
  5. 炭化珪素から成る半導体基板を準備する工程と、
    上面に中央部が外縁部よりも深いすり鉢型の凹部および前記凹部の前記外縁部から立ち上がる側壁を持つ段差部を有するサテライトを準備する工程と、
    前記半導体基板の側面が前記段差部の前記側壁と対面するように、前記半導体基板を前記サテライトの前記凹部内に載置する工程と、
    前記サテライトに載置された前記半導体基板を加熱する工程と、
    加熱された状態で、前記サテライトに載置された前記半導体基板の上面側にエピタキシャル膜の成長ガスを流す工程と、
    を備え、
    前記サテライトにおいて、前記凹部の前記外縁部における前記段差部の前記側壁との境界部の深さと前記凹部の最深部の深さとの差が1000μm以上である、
    炭化珪素半導体装置の製造方法。
  6. 前記サテライトは、前記凹部の前記最深部に貫通孔を有し、
    前記成長ガスを流す工程において、前記サテライトに載置された前記半導体基板の下面側は前記貫通孔から真空引きされる、
    請求項5に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
  7. 前記サテライトの前記段差部は、平面視で前記半導体基板の外形に対応する円形である、
    請求項5または請求項6に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
  8. 前記サテライトの前記段差部は、平面視で前記半導体基板のオリエンテーションフラット部分の側面と対面する直線部と、前記半導体基板の前記オリエンテーションフラット以外の部分の側面と対面する円形部とを有する、
    請求項5または請求項6に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
  9. 前記半導体基板を加熱する工程において、前記半導体基板は1400から1700の範囲の温度に加熱される、
    請求項5から請求項8のいずれか一項に記載の炭化珪素半導体装置の製造方法。
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