以下、本発明の実施形態の一例を説明する。同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。各図面では、説明の便宜のため、構成要素の一部を適宜省略したり、その寸法を適宜拡大、縮小する。図面は符号の向きに合わせて見るものとする。本明細書で言及する形状には、言及している形状に厳密に一致する形状のみでなく、寸法誤差や製造誤差等の誤差の分だけずれた形状も含まれる。本明細書での「固定」とは、特に明示がない限り、言及している条件を二者が直接的に満たす場合の他に、他の部材を介して満たす場合も含む。
図1を参照する。本実施形態の吐出装置10は水回り設備12に用いられる。本実施形態の水回り設備12は浴室設備である。水回り設備12は、吐出装置10の他に、吐出装置10から吐出される液体が内側に流れ込む槽体14とを備える。本実施形態の槽体14は浴槽である。本実施形態の吐出装置10は、槽体14内でユーザの身体、特に、座位姿勢にあるユーザの首や肩に当たるように波状流W1(後述する)を吐出する。これにより、ユーザにリラックス効果を付与できる。
本実施形態の吐出装置10は吐出システム16に用いられる。吐出システム16は、液体W2を貯留する貯留槽18と、貯留槽18から吐出装置10の吐出路30(後述する)に液体W2を供給する液体供給路20と、液体供給路20の途中に設けられるポンプ装置22と、ポンプ装置22を制御する制御装置24と、を備える。
本実施形態の貯留槽18は、液体W2として水を貯留する槽体14である。吐出装置10には液体供給路20を通して槽体14内の水が供給されることになる。液体供給路20は、配管等の複数の流路形成部材の内側に形成される。ポンプ装置22は、貯留槽18から吸引した液体W2を圧送することで、液体供給路20を通して吐出装置10に液体W2を供給する。制御装置24は、CPU、ROM、RAM等のハードウェアとソフトウェアを組み合わせたコンピュータである。制御装置24は、ポンプ装置22の動作の制御を通じて、吐出装置10の動作を制御する。
図2を参照する。吐出装置10は、装置本体26を備える。装置本体26の内部には、液体供給路20から液体W2が供給される中継流路28と、液体供給路20から中継流路28を介して液体W2が供給される吐出路30とが形成される。本実施形態では、液体供給路20から中継流路28に鉛直方向の下側から液体が供給され、中継流路28から吐出路30に上向きに液体が供給される。
本実施形態の装置本体26は、水回り設備12に設けられるベース32に固定される。本実施形態の吐出装置10は、不図示の固定構造を用いてベース32に固定される。この固定構造とは、たとえば、ねじ構造、爪と爪受け等である。本実施形態のベース32は槽体14の上面開口部の周縁部に設けられる槽体14のフランジ部が構成する。
図3、図4を参照する。吐出路30は、吐出路30の下流側端部に形成される吐出孔38を有する。吐出路30は、詳細は後述するが、上流側から流入した液体W2を波状の液流(波状流W1)として放射状に吐出可能である。ここでの「波状」とは、吐出孔38の中心線CL1に沿った中心線方向Xで液流W1の進行方向に向かうにつれて、その中心線方向Xと直交する水平方向Yに周期的にうねる形状をいう。この「波状」には、物理的に厳密な波としての条件を満たす形状の他に、その形状に似た形状も含まれる。以下、この波状流W1がなす波状形状のうねる方向Yを波状流W1の振動方向Yという。また、ここでの「放射状」とは、波状流W1の進行方向に向かうにつれて波状流W1の振動方向Yに広がる形状をいう。図4では波状流W1が通過する範囲S1を示す。
以下、吐出路30に関する構成を説明するとき、吐出孔38の中心線方向Xを前後方向Xともいい、波状流W1の振動方向Yを左右方向Yともいう。また、前後方向X及び左右方向Yと直交する方向を高さ方向Z(図2参照)という。この前後方向Xで波状流W1の進行方向を前側といい、それとは反対側を後側という。
吐出路30は、上流側から液体W2が流入する入口流路40と、入口流路40から液体W2が流入する一対の中間流路42L、42Rとを備える。また、吐出路30は、一対の中間流路42L、42Rのそれぞれから流入する液体W2が合流する合流室46と、合流室46内の液体W2を外部に吐出する吐出孔38と、を備える。
図3、図5を参照する。吐出路30は、鉛直方向に対向する内上面48及び内下面50と、左右方向Yに対向する一対の内側面52とを備える。吐出路30は、前後方向Xに直交する断面において矩形状をなす。この断面において、一対の内側面52間の寸法を吐出路30の内幅寸法Waといい、内上面48と内下面50の間の寸法を吐出路30の高さ寸法Haという。吐出路30は、入口流路40や合流室46において、内幅寸法Waより高さ寸法Haが小さい矩形状をなす。吐出路30の高さ寸法Haは、少なくとも入口流路40、中間流路42L、42R、合流室46を含む範囲で同じである。本実施形態では吐出孔38を含む範囲でも同じである。
吐出路30は、高さ方向Zから見て、吐出孔38の中心線CL1を対称軸として左右対称な形状を持つ。また、吐出路30は、前後方向Xから見て、吐出孔38の中心線CL1に対して高さ方向Zに対称な形状を持つ。これらの条件は、吐出路30の入口流路40、合流室46において、少なくとも満たされる。本実施形態では、吐出路30の中間流路42L、42Rや吐出孔38においても満たされる。ここでの「高さ方向Zから見て」とは、図3の視点から見ることと同義であり、「前後方向Xから見て」とは、図5の視点から見ることと同義である。
入口流路40は、前後方向Xで吐出路30の後側の部分に設けられ、合流室46は入口流路40より前後方向Xの前側に設けられる。入口流路40の内面には中継流路28の出口となる流入口28aが開口しており、流入口28aから入口流路40内に液体が流入する。本実施形態の流入口28aは、入口流路40において吐出路30の内下面50に開口している。
入口流路40には拡散促進部54が設けられる。本実施形態の拡散促進部54は、高さ方向Zから見て、流入口28aを中心として取り囲むように等角度間隔を空けて複数設けられる。拡散促進部54の高さ方向Zに直交する断面形状は流線形状であり、本実施形態では円形状である。拡散促進部54は、入口流路40内に流入した液体が衝突することで、その液体の拡散を促進する。これにより、入口流路40内で前後方向Xで前側に向かう液体の左右方向Yでの流量分布の均一化を図れる。
吐出路30には、入口流路40内にて前後方向Xで前側(下流側)に流れる液体W2が衝突する衝突部56が設けられる。本実施形態の衝突部56は入口流路40と合流室46を前後方向Xに隔てる壁状をなす。
一対の中間流路42L、42Rは、吐出路30の衝突部56に対して左右方向Yの両側に設けられる。一対の中間流路42L、42Rには、左右方向Yの左側(一方側)に設けられる左側中間流路42L(第1中間流路)と、左右方向Yの右側(他方側)に設けられる右側中間流路42R(第2中間流路)とが含まれる。中間流路42L、42Rは、衝突部56の左右方向Yの側面56aと吐出路30の内側面52とが形成する。本実施形態の中間流路42L、42Rは入口流路40内から流入する液体W2を合流室46に噴射可能な形状である。本実施形態の中間流路42L、42Rの中心軸線CL2は、高さ方向Zから見て、吐出孔38の中心線CL1を左右方向Yに横切るように設けられる。
本実施形態の合流室46には、一対の中間流路42L、42Rのそれぞれから噴射される液体の噴流が衝突する一対の衝突面58L、58Rが設けられる。各衝突面58L、58Rは、合流室46の下流側(前側)に位置する下流側面46aに設けられる。一対の衝突面58L、58Rには、左側中間流路42Lに対応する右側衝突面58R(第1衝突面)と、右側中間流路42Rに対応する左側衝突面58L(第2衝突面)とが含まれる。各衝突面58L、58Rは、高さ方向Zから見て、吐出孔38の中心線CL1に対して対応する中間流路42L、42Rとは左右方向Yで反対側に設けられる。
本実施形態の合流室46には、一対の衝突面58L、58Rのそれぞれに衝突した液体W2の噴流を前後方向Xで吐出孔38とは反対側(後側)に折り返すように誘導する一対の誘導面62L、62Rが設けられる。一対の誘導面62L、62Rには、右側衝突面58Rに対応する右側誘導面62Rと、左側衝突面58Lに対応する左側誘導面62Lとが含まれる。各誘導面62L、62Rは、合流室46内において一対の内側面52のそれぞれに設けられる。
吐出孔38は、合流室46の下流側面46aに開口する入口38aを有する。吐出孔38の入口38aの内幅寸法は、前後方向Xで前側に向かう途中で、上流側の流路(合流室46)の内幅寸法より小さくなるように設定される。これにより、吐出孔38は、その上流側の流路内の液体W2を噴射するように吐出可能となる。吐出孔38は、前後方向Xで前側に向かうにつれて内幅寸法が連続的に広がるように形成される。ここでの内幅寸法とは、高さ方向Zから見たときの左右方向Yに沿った寸法をいう。吐出孔38は、装置本体26の外面部に開口する出口38bを有する。本実施形態の出口38bは装置本体26の前面部26aに開口する。
以上の吐出装置10の動作を説明する。
図6を参照する。吐出路30内での主な液体の流れ方向には矢印を付して示す。入口流路40内には上流側となる中継流路28から流入口28aを通して液体W2が流入する。入口流路40内に流入した液体W2は、その流入箇所から拡散しつつ前後方向Xで前側に向けて流れる。この過程で入口流路40内には液体W2が溜められる。本実施形態では入口流路40内が液体W2で満たされる。
入口流路40内で前側に流れる液体W2の一部は衝突部56に衝突することで左右方向Yに分かれたうえで一対の中間流路42L、42R内に流入する液流Faを形成する。入口流路40内の液体W2は一対の中間流路42L、42Rを介して合流室46内に流入する。この過程で合流室46内には液体W2が溜められる。
図7、図8を参照する。合流室46内には一対の中間流路42L、42Rのそれぞれから液体の噴流FbL、FbRが噴射される。本実施形態では一対の中間流路42L、42Rのそれぞれから噴射される噴流FbL、FbRが合流室46内で衝突する。以下、左側中間流路42Lが噴射する噴流を左側噴流FbLといい、右側中間流路42Rが噴射する噴流を右側噴流FbRという。
これら噴流FbL、FbRは、流体のランダム性に起因する揺らぎの影響を受けて、いずれか一方が他方より勢いの強い支配的な流れとなる。たとえば、図7の例では、右側噴流FbRが左側噴流FbLより勢いの強い支配的な流れとなっている第1流れ状態を示す。
図7に示すように、この支配的な右側噴流FbRは、合流室46の下流側面46a(左側衝突面58L)に衝突するまで勢いを持って流れ易い。一方で、左側噴流FbLは、支配的な右側噴流FbRと衝突することで流れを阻害され(範囲Sa参照)、合流室46の下流側面46a(右側衝突面58R)に衝突するまで勢いを持って流れ難い。合流室46の下流側面46aに衝突した右側噴流FbRは、その左側誘導面62Lにより前後方向Xで折り返すように誘導される液流Fcを形成し、左側噴流FbLと合流する(範囲Sb参照)。この結果、左側噴流FbLの勢いが増幅され、図8に示すように、左側噴流FbLが右側噴流FbRより勢いの強い支配的な流れとなる第2流れ状態に切り替わる。
支配的な左側噴流FbLは、合流室46の下流側面46a(右側衝突面58R)に衝突するまで勢いを持って流れ易い。一方で、右側噴流FbRは、支配的な左側噴流FbLと衝突することで流れを阻害され(範囲Sc参照)、合流室46の下流側面46a(左側衝突面58L)に衝突するまで勢いを持って流れ難い。合流室46の下流側面46aに衝突した左側噴流FbLは、その右側誘導面62Rにより前後方向Xで折り返すように誘導される液流Fdを形成し、右側噴流FbRと合流する(範囲Sd参照)。この結果、右側噴流FbRの勢いが増幅され、図7に示すように、右側噴流FbRが左側噴流FbLより勢いの強い支配的な流れとなる第1流れ状態に切り替わる。
以上の結果、流体のランダム性に起因する一対の噴流FbL、FbRの揺らぎの影響を受けて、右側噴流FbRが支配的な流れになる第1流れ状態と、左側噴流FbLが支配的な流れになる第2流れ状態とが周期的に切り替わる。図7に示すように、第1流れ状態にあるとき、支配的な右側噴流FbRの一部は、合流室46の下流側面46aに衝突せずに吐出孔38を通り抜ける液流Feを形成する。この液流Feは、前後方向Xで前側に向かうとともに左右方向Yで左側に向かう速度ベクトルを持つ。図8に示すように、第2流れ状態にあるとき、支配的な左側噴流FbLの一部は、合流室46の下流側面46aに衝突せずに吐出孔38を通り抜ける液流Ffを形成する。この液流Ffは、前後方向Xで前側に向かうとともに左右方向Yで右側に向かう速度ベクトルを持つ。
第1流れ状態と第2流れ状態が周期的に切り替わることで、吐出孔38を通り抜ける液流Fe、Ffの左右方向Yでの速度ベクトルの向きが周期的に切り替わることになる。この過程で、この液流Fe、Ffの左右方向Yでの速度ベクトルは、その向きの切り替えを伴いベクトル量が周期的に増減する。この結果、吐出孔38からは、波状の液流、つまり、前述の波状流W1が吐出されることになる。吐出路30は、一対の中間流路42L、42Rのそれぞれから合流室46内に液流を流入させることで、吐出孔38から吐出される液流Fe、Ffの進行方向を左右方向Yに揺動可能であり、その進行方向を揺動させることで波状流W1を吐出可能であることになる。
このように、吐出路30は、入口流路40から一対の中間流路42L、42Rのそれぞれを介して合流室46内に液体W2を流入させることで吐出孔38から波状流を放射状に吐出可能である。このように一対の中間流路42L、42Rから合流室46内に流入する複数の液体の流れ(液流)を利用して波状流W1を吐出するタイプを合流タイプという。本実施形態では、このような合流タイプの吐出路30として、流体の揺らぎを利用した揺らぎタイプの吐出路30を説明した。この合流タイプの吐出路30としては、この他にも、後述するカルマン渦を利用するカルマン渦タイプの吐出路30がある。
図4、図9を参照する。図4は、吐出路30内にエアAが残存していない状態を示し、図9は、吐出孔38より上流側において吐出路30内にエアAが残存した状態を示す。本発明者は、波状流W1を吐出可能な吐出装置に関して、実験的な検討を進めた。
この結果、吐出孔38より上流側において、吐出路30内で吐出孔38側に流れ続ける液体W2によりエアAが封じ込められることで、吐出路30内にエアAが残存し易いという知見を得た。特に、合流タイプの吐出路30では、その合流室46内から吐出孔38に流れ続ける液体W2により、合流室46にエアAが残存し易いという知見を得た。
また、吐出孔38より上流側において、このように吐出路30内にエアAが残存したままであると、その残存エアAに起因して波状流W1の形状が変化することがあるという知見を得た。この現象には、吐出路30内の残存エアAのうち、合流室46内の残存エアAが大きく影響しているという知見を得た。この原因は明らかではないが、吐出路30内の残存エアAが吐出路30内での液体W2の流れに何らかの影響を及ぼすためと推察される。また、この現象は、吐出路30内の残存エアAが多くなるほど顕在化し易くなるという知見も得た。
また、揺らぎタイプやカルマン渦タイプの吐出路30では、吐出路30に流入する液体W2の流量が小さい場合、合流室46内の残存エアAに起因して、波状流W1の振幅が大幅に小さくなる、または、波状ではなく直線状の液流が吐出されるという知見も得た。また、揺らぎタイプやカルマン渦タイプの吐出路30では、特に、合流室46内のエア溜まり領域72(後述する)にエアAが残存し易いという知見も得た。
図2、図10を参照する。本発明者は更なる実験的な検討を進めた。この結果、吐出路30の内上面48に傾斜面80を設けることが有効であるとの知見を得た。これにより、吐出孔38から液流W1を吐出する場合に、吐出路30の傾斜面80に鉛直上向きの浮力F1を受けた残存エアAを当てることで、吐出孔38側に向かう力F2を残存エアAに作用させることができる。この力F2により残存エアAを吐出孔38側に導くことで、吐出路30内の残存エアAを吐出孔38から外部に排気し易くなる。これに伴い、吐出路30に傾斜面80がない場合と比べ、吐出路30内の残存エアAを減らすことができ、残存エアAに起因する波状流W1の形状の変化を抑えられる。
吐出路30内の残存エアAに対する他の対策として、吐出路30に流入する液体W2の大流量化も考えられる。これにより、吐出路30内に流入する液体W2が吐出路30内の残存エアAを巻き込み易くなり、吐出路30内の残存エアAを減らし易くなる。しかしながら、この対策を採る場合、波状流W1の振動周期が過度に速くなってしまう問題があるとの知見を本発明者は得た。水回り設備12で吐出装置10を用いる場合、波状流W1の見栄えを良好にする観点から、その振動周期を遅くすることで、ゆったり感をユーザに与えることが望まれる。本実施形態によれば、吐出路30内の残存エアAを減らしつつ、吐出路30に流入する液体の流量を小さくできる。これに伴い、波状流W1の振動周期を遅くすることで、その見栄えを良好にできる利点がある。また、吐出装置10から吐出した波状流W1をユーザの身体に当てて用いる場合、波状流W1の振動周期を遅くすることで、ゆったりとしたマッサージ感をユーザに与えられる利点もある。
以下、このような知見のもとでなされた吐出装置10の詳細を更に説明する。吐出路30の傾斜面80は、装置本体26がベース32に固定された状態にあるとき、吐出路30内にて吐出孔38側に向かうにつれて上方に延びるように設けられる。傾斜面80は、前後方向Xで前側に向かって上り勾配となるように設けられることになる。この傾斜面80の水平面に対する角度θは、特に限定されるものではない。この角度θの下限値は、たとえば、3°である。また、この角度θの上限値は、装置本体26の鉛直方向での寸法の小型化を図る観点からは、たとえば、20°以下であると好ましく、10°以下であるとより好ましい。
傾斜面80は、合流室46において内上面48に設けられていると好ましい。傾斜面80は、少なくとも一部において、合流室46において内上面48に設けられていればよい。本実施形態の傾斜面80は、合流室46の全域において内上面48に設けられている。より詳しくは、本実施形態の傾斜面80は、吐出路30の全域において内上面48に設けられている。
これにより、前述の通り、波状流W1の形状の変化に対する影響が大きい合流室46内の残存エアAを減らすことができ、波状流W1の形状の変化を効果的に抑えられる。特に、合流タイプの吐出路30において、波状流W1の形状の変化として、波状流W1の振幅が小さくなるのを効果的に抑えられる。また、吐出路30に流入する液体W2の流量を小さくすることで、波状流W1の振幅を確保しつつも振動周期を遅くでき、その見栄えをより良好にできる。この効果は実験的な検討により得られたものである。
揺らぎタイプの吐出路30の場合、傾斜面80は、次に説明するエア溜まり領域72に設けられると好ましい。図11を参照する。中間流路42L、42Rの中心軸線CL2に沿った方向を軸線方向Daという。高さ方向Zから見て、中間流路42L、42Rからその軸線方向Daに直線的に延びる領域を液流通過領域70という。液流通過領域70は、中間流路42L、42Rから直線的に液流(噴流FbL、FbR)が合流室46内に流入した場合に、その液流の通過が想定される領域である。本実施形態の中間流路42L、42Rは、高さ方向Zから見て、合流室46側に向かうにつれて、中間流路42L、42Rの軸線方向Daに直交する方向での内幅寸法が連続的に変化する。この場合、中間流路42L、42Rの内幅寸法が最も狭い箇所から中間流路42L、42Rの軸線方向Daに直線的に伸びる領域を液流通過領域70とする。揺らぎタイプの吐出路30において、一対の液流通過領域70は、高さ方向Zから見て、合流室46内で交わるように設けられる。
液流通過領域70に対して吐出孔38とは反対側(上流側)において、一対の中間流路42L、42Rそれぞれの液流通過領域70と合流室46の内面とで囲まれた領域をエア溜まり領域72という。このエア溜まり領域72を形成する合流室46の内面とは、本実施形態では、合流室46の上流側(後側)に位置する上流側面46bである。このエア溜まり領域72は、合流室46内に液体W2が満たされるまで溜められる過程でエアAが残存し易い領域である。これは、このエア溜まり領域72では、一対の中間流路42L、42Rから合流室46内に流入する液流(噴流FbL、FbR)により吐出孔38側にエアAが逃げ難くなるためと考えられる。
傾斜面80は、エア溜まり領域72において内上面48に設けられていると好ましい。傾斜面80は、少なくとも一部において、エア溜まり領域72において内上面48に設けられていればよい。本実施形態の傾斜面80は、エア溜まり領域72の全域において内上面48に設けられる。
(A)これにより、揺らぎタイプの吐出路30においてエアAが残存し易いエア溜まり領域72から残存エアAを外部に排気し易くなる。この結果、揺らぎタイプの吐出路30において、波状流W1の振幅を効果的に大きくできる。また、吐出路30に流入する液体W2の流量を小さくすることで、波状流W1の振幅を確保しつつも振動周期を遅くでき、その見栄えを良好にできる。この他にも、揺らぎタイプの吐出路30において、合流室46内のエアAを早期に排気できる。
(第1の制御手法)
次に、吐出路30内の残存エアAを外部に排気し易くするための第1の制御手法を説明する。
まず、前述のポンプ装置22の詳細を説明する。図1、図12を参照する。ポンプ装置22は、吐出路30に液体供給路20を通して液体を供給するポンプ82と、ポンプ82を駆動するポンプモータ84と、を備える。ポンプ82は、たとえば、渦巻ポンプ、タービンポンプ等である。ポンプモータ84は、不図示の電源から供給される電力により動作する。
本実施形態のポンプ装置22は、電源から供給される電力を変換するインバータ86を備える。インバータ86には制御装置24から周波数の指令値が入力される。インバータ86は、指令値の周波数の交流電力をポンプモータ84に供給することでポンプモータ84を駆動する。この交流電力の周波数に応じてポンプモータ84の回転速度が変更され、その回転速度の変更によりポンプ82から吐出路30に供給される液体の流量が変更される。
このように、ポンプモータ84とインバータ86は、制御装置24から入力される指令値に応じて、ポンプ82により吐出路30に供給される液体の流量を変更可能な流量変更機構88を構成する。制御装置24は、ポンプ装置22に出力する指令値を変化させることで、ポンプ装置22から吐出路30に供給される流量を制御可能であるともいえる。
制御装置24は、所定の開始条件を満たすと、吐出装置10に液流を吐出させる吐出動作を行わせるため、ポンプ装置22による吐出路30に対する液体の供給を開始する。本実施携帯での開始条件とは、スイッチ、携帯端末等の入力装置(不図示)に対する入力操作を通じて、吐出装置10の吐出動作を開始するための開始指令が入力されることである。
図13を参照する。本図は、第1の制御手法を用いた場合に得られる、ポンプ装置22により供給される液体W2の流量と時間の関係の一例を示すグラフである。本図では、これら流量や時間の他に、特定の期間にポンプ装置22に入力される指令値V1、V2を示す。
制御装置24は、吐出装置の吐出動作を開始するとき、ポンプ装置22に異なる指令値V1、V2を出力することで初期モードM1と通常モードM2を順に行う。初期モードM1は、所定の設定流量Fr2より少ない流量の液体をポンプ装置22に供給させるモードである。通常モードM2は、設定流量Fr2の液体をポンプ装置22に供給させるモードである。本実施形態の制御装置24は、第1指令値V1を出力することで初期モードM1を行い、設定流量Fr2に対応する第2指令値V2を出力することで通常モードM2を行う。本実施形態の第1指令値V1、第2指令値V2は一定値である。
制御装置24は、初期モードM1、通常モードM2を行うための指令値V1、V2として、ポンプ装置22が液体W2を供給できる範囲の指令値を用いる。これらの指令値V1、V2には、たとえば、周波数の指令値が0のような、ポンプ装置22が液体W2を供給しない場合の指令値は含まれないということである。
ポンプ装置22は、制御装置24から指令値が入力されると、その指令値に対応する設定流量となるように液体供給量を変化させ、その指令値に対応する流量で実質的に一定となる流量の液体を供給し続ける。たとえば、ポンプ装置22は、制御装置24から第1指令値V1が入力されると、その指令値V1に対応する設定流量Fr1となるように液体供給量を変化させた後、その設定流量Fr1で実質的に一定となる流量の液体を供給し続ける。
図13、図14を参照する。図14は初期モードM1を行っている状態を示す。初期モードM1で用いられる第1指令値V1に対応する設定流量Fr1は、次の条件を満たすように設定される。つまり、この設定流量Fr1は、その流量Fr1の液体W2を吐出路30内に供給したとき、その液体W2により吐出路30内にエアAを封じ込めることなく、吐出路30内が液体W2で満たされるまで液位L1を徐々に高くできる大きさに設定される。これにより、吐出路30内で液位L1が方向P1に徐々に高くなるように液体W2を溜めることで、吐出路30内のエアAを吐出孔38から外部に自然に排気し易くなる(方向P2参照)。この条件を満たす設定流量Fr1は、実験や解析により求めればよい。
制御装置24は、所定の初期動作時間p1に亘り、初期モードM1を行う。初期動作時間p1は、初期モードM1中に供給される液体により吐出路30内を満たすのに必要な時間として想定される時間が設定される。
本実施形態の制御装置24は、初期モードM1を行うとき、ポンプ装置22の液体供給量が所定の設定流量で実質的に一定となる一定流量時間p2が含まれるようにポンプ装置22を制御する。本実施形態の制御装置24は、初期モードM1において、初期動作時間p1内に単数の一定流量時間p2が含まれるようにポンプ装置22を制御する。
通常モードM2で用いられる第2指令値V2に対応する設定流量Fr2は、吐出装置10から吐出した液流が槽体14の内側まで届くような大きさに設定される。制御装置24は、ポンプ装置22が通常モードM2を行っているとき、所定の停止条件を満たすと、吐出装置10の吐出動作を停止させるため、ポンプ装置22による吐出路30に対する液体の供給を停止する。
以上の吐出システム16の動作を説明する。
制御装置24は、開始条件を満たすと、初期モードM1で用いるべき指令値をポンプ装置22に出力することで初期モードM1を開始する。ポンプ装置22は、制御装置24から入力される指令値V1に対応する設定流量Fr1となるように液体供給量を変化させた後、設定流量Fr1で実質的に一定の液体を供給し続ける。
制御装置24は、初期動作時間p1が経過すると。通常モードで用いるべき指令値V2をポンプ装置22に出力することで通常モードM2を開始する。ポンプ装置22は、制御装置24から入力される指令値V2に対応する設定流量Fr2となるように液体供給量を変化させた後、設定流量Fr2で実質的に一定の流量の液体を供給し続ける。制御装置24は、通常モードM2に移行した後、停止条件を満たすと、ポンプ装置22による吐出路30に対する液体の供給を停止する。
以上の過程で、ポンプ装置22から供給される液体W2の流量は徐々に増加する。制御装置24は、ポンプ装置22から供給される液体の流量が徐々に増加するよう、ポンプ装置22に出力する指令値を変化させているといえる。
このように制御装置24は、ポンプ装置22に異なる指令値を出力することで前述の初期モードM1と通常モードM2を順に行う。よって、制御装置24がいきなり通常モードM2を行う場合と比べ、ポンプ装置22から吐出路30に供給される流量を抑えられる。このため、吐出路30内で液位L1が徐々に高くなるように液体W2を溜め易くなり、吐出路30内のエアを吐出孔38から外部に自然に排気し易くなる。特に、吐出路30に傾斜面80があることも相まって、吐出路30内にある残存エアAを吐出孔38から外部に排気し易くなる。
なお、制御装置24は、初期モードM1において第1指令値V1を段階的又は連続的に変化させてもよい。この場合も、制御装置24は、初期モードM1において、ポンプ装置22から供給される液体の流量が徐々に増加するように、ポンプ装置22に出力する第1指令値V1を変化させてもよい。
(第2の制御手法)
次に、吐出路30内の残存エアAを外部に排気し易くするための第2の制御手法を説明する。
図15を参照する。本図は、第2の制御手法を用いた場合に得られる、ポンプ装置22により供給される液体W2の流量と時間の関係の一例を示すグラフである。
制御装置24は、所定の実行条件を満たしたとき、次に説明するエア抜き制御を実行する。この実行条件とは、本実施形態では、ポンプ装置22による液体の供給を開始してから所定の時間p3が経過することである。これにより、ポンプ装置22による液体の供給を開始した後、特別な操作を経ることなくエア抜き制御を実行でき、残存エアAを外部に排気し易くなる。制御装置24は、ポンプ装置22が液体の供給を開始してから所定の時間p3が経過するまでの間、所定の第3設定流量Fr3で液体を供給するようにポンプ装置22を制御する。第3設定流量Fr3は、たとえば、吐出装置10から吐出した液流が槽体14の内側まで届くような大きさに設定される。
図15、図16を参照する。図16は、ポンプ装置22による液体W2の供給を一時停止した状態を示す。制御装置24は、このエア抜き制御において、ポンプ装置22による液体W2の供給を一時停止し、所定の待機時間p4の経過後にポンプ装置22による液体W2の供給を再開するようにポンプ装置22を制御する。このようにポンプ装置22による液体W2の供給を一時停止することで、吐出路30内で吐出孔38側に流れ続ける液体W2の勢いが弱められる。この結果、この液体W2により封じ込められていた残存エアAを傾斜面80により吐出孔38内まで方向P3に導き易くなり、その残存エアAを吐出孔38から外部に排気し易くなる。このとき、エアAが残存していた箇所Bは他の箇所にある液体W2により満たされる。
この待機時間p4が過度に長すぎると、吐出路30内で液位が大きく低下してしまう。この結果、液体W2の供給を再開したとき、液体W2の供給を一時停止する前にエアAが残存していた箇所Bに再びエアAが残存してしまう恐れがある。これを考慮して、待機時間p4は、液体2の供給を再開したとき、液体W2の供給を一時停止する前にエアAが残存していた箇所Bを液体W2で満たせるような時間として、十分に短い時間が設定される。この条件を満たす待機時間p4は、たとえば、0.5秒以上3.0秒以下の範囲である。この条件を満たす待機時間p4は、実験や解析により求めればよい。
制御装置24は、ポンプ装置22による液体の供給を再開するとき、第2設定流量Fr4で液体を供給するようにポンプ装置22を制御する。第2設定流量Fr4は、吐出装置10から吐出した液流が槽体14の内側まで届くような大きさに設定される。本実施形態の第2設定流量Fr4は第3設定流量Fr3と同じ大きさに設定されるが、これとは異なる大きさに設定されてもよい。
なお、エア抜き制御の実行条件は、特に限定されない。この実行条件は、たとえば、入力装置に対する入力操作を通じて、エア抜き制御の開始指令が入力されたことでもよい。
(第2実施形態)
本実施形態では、合流タイプの吐出路30として、カルマン渦を利用するカルマン渦タイプの吐出路30を説明する。
図17を参照する。本図は、図3と同じ視点から第2実施形態の吐出装置10を見た断面図である。吐出路30は、第1実施形態と同様、上流側から液体W2が流入する入口流路40と、入口流路40から液体W2が流入する一対の中間流路42L、42Rとを備える。また、吐出路30は、第1実施形態と同様、一対の中間流路42L、42Rのそれぞれから流入する液体W2が合流する合流室46と、合流室46内の液体W2を外部に吐出する吐出孔38と、を備える。本実施形態の吐出路30も、図示はしないが、前後方向Xに直交する断面において矩形状をなす。吐出路30には、入口流路40内にて前後方向Xで前側(下流側)に流れる液体W2が衝突する衝突部56が設けられる。
以上の吐出装置10の動作を説明する。
図18を参照する。入口流路40内には中継流路28から流入口28aを通して液体W2が流入する。入口流路40内に流入した液体W2は、その流入箇所から拡散しつつ前後方向Xで前側に向けて流れる。入口流路40内で前側に流れる液体W2の一部は衝突部56に衝突することで、一対の中間流路42L、42Rを交互に通り抜けるカルマン渦100を形成する。この結果、合流室46内に複数のカルマン渦100からなる左右で一対の渦列102L、102Rが形成される。
カルマン渦100は、合流室46内で成長しながら合流室46の下流側面46aに衝突し、その衝突により流れ方向を変えつつ吐出孔38を通り抜ける液流を形成する。左側のカルマン渦100は、吐出孔38を通り抜ける液流として、前後方向Xで前側に向かうとともに左右方向Yで右側に向かう速度ベクトルを持つ液流を形成する。右側のカルマン渦100は、吐出孔38を通り抜ける液流として、前後方向Xで前側に向かうとともに左右方向Yで左側に向かう速度ベクトルを持つ液流を形成する。
このように、一対の渦列102L、102Rそれぞれのカルマン渦100が形成する液流の左右方向Yでの速度ベクトルの向きは周期的に切り替わる。この結果、吐出孔38からは、波状の液流、つまり、前述の波状流W1が吐出される。吐出路30は、一対の中間流路42L、42Rのそれぞれから合流室46内に液流を流入させることで、吐出孔38から吐出される液流の進行方向を左右方向Yに揺動可能であり、その進行方向を揺動させることで波状流W1を吐出可能であることになる。
図19を参照する。カルマン渦タイプの吐出路30の場合、傾斜面80は、次に説明するエア溜まり領域72の内上面48に設けられていると好ましい。本実施形態においても、第1実施形態で説明した液流通過領域70を用いてエア溜まり領域72を定義する。カルマン渦タイプの吐出路30において、一対の液流通過領域70は、高さ方向Zから見て、合流室46内で交わらないように設けられる。
高さ方向Zから見て、合流室46内において吐出孔38とはX方向の反対側の領域であって、一対の中間流路42L、42Rそれぞれの液流通過領域70と合流室46の内面とで囲まれた領域をエア溜まり領域72という。この「合流室46内において吐出孔38とはX方向の反対側の領域」とは、吐出孔38の中心線CL1上での合流室46のX方向での寸法Laを二等分する位置Paより、合流室46内において吐出孔38とはX方向の反対側の領域をいう。このエア溜まり領域72は、第1実施形態と同様、合流室46内に液体W2が満たされるまで溜められる過程でエアAが残存し易い領域である。
傾斜面80は、図示はしないが、このエア溜まり領域72の内上面48に設けられていると好ましい。これにより、前述の(A)で説明した効果をカルマン渦タイプの吐出路30においても得られる。つまり、カルマン渦タイプの吐出路30においてエアAが残存し易いエア溜まり領域72から外部に排気し易くなる。この結果、カルマン渦タイプの吐出路30において、波状流W1の振幅を効果的に大きくできる。また、カルマン渦タイプの吐出路30において、合流室46内のエアAを早期に排気できる。
なお、第1実施形態と同様、吐出路30の内上面48の全域に傾斜面80が設けられてもよい。
このように、吐出路30は、上流側から流入した液体W2を吐出孔38から波状流W1として放射状に吐出可能であればよい。また、吐出路30の具体例は合流タイプに限られない。
各構成要素の他の変形例を説明する。
水回り設備12の具体例は特に限定されず、たとえば、キッチン設備、洗面設備、トイレ設備等でもよい。水回り設備12の槽体14の具体例は特に限定されず、たとえば、キッチンシンク、手洗シンク等のシンクでもよい。水回り設備12のベース32の具体例は特に限定されず、たとえば、室内空間を区画する壁部でもよい。
吐出システム16の貯留槽18は、水回り設備12の槽体14に限定されず、たとえば、槽体14とは別に設けられていてもよい。
吐出装置10の具体例は特に限定されず、たとえば、シャワー装置、水栓装置等でもよい。吐出装置10が吐出する液体W2は水に限定されず、たとえば、洗剤を含有する洗剤液でもよい。
吐出路30内での流入口28aの開口位置は特に限定されない。流入口28aは、たとえば、吐出路30の内側面52に開口してもよいし、前後方向Xの最も後側に設けられる吐出路30の奥底面に開口してもよい。
ポンプ装置22は、制御装置24から入力される指令値に応じて、吐出路30に供給される液体の流量を変更可能であればよい。これを実現するポンプ装置22の流量変更機構88は、ポンプモータ84とインバータ86により構成される例を説明した。この他にも、流量変更機構88は、液体供給路20に設けられる電動弁等の流量調整弁が構成してもよい。この場合、流量調整弁は、制御装置24から入力される開度の指令値に応じて開度を変更することで、ポンプ82により吐出路30に供給される液体の流量を変更可能である。
また、制御装置24が出力する指令値は、交流電力の周波数、流量調整弁の開度に限られない。たとえば、ポンプ装置22が供給する液体の流量、ポンプ82の回転数等でもよい。
以上、本発明の実施形態や変形例について詳細に説明した。前述した実施形態や変形例は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。実施形態や変形例の内容は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、発明の思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。前述の実施形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施形態」との表記を付して強調しているが、そのような表記のない内容でも設計変更が許容される。図面の断面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。
また、以上の構成要素の任意の組み合わせも、本発明の態様として有効である。また、前述の制御手法を用いるうえで、吐出路30に傾斜面80を設けることは必須とはならない。
以上の実施形態、変形例により具体化される発明を一般化すると、以下の技術的思想が導かれる。以下、発明が解決しようとする課題に記載の態様を用いて説明する。
第2態様の吐出装置は、第1態様において、前記吐出路は、上流側から液体が流入する入口流路と、前記入口流路から液体が流入する一対の中間流路と、前記一対の中間流路のそれぞれから流入する液体が合流する合流室と、前記合流室内の液体を外部に吐出する前記吐出孔と、を有し、前記吐出路は、前記入口流路から前記一対の中間流路のそれぞれを介して前記合流室内に液体を流入させることで前記吐出孔から波状流を放射状に吐出可能であり、前記傾斜面は、前記合流室において前記内上面に設けられてもよい。この態様によれば、波状流の形状の変化に対する影響が大きい合流室内の残存エアを減らすことができ、波状流の形状の変化を効果的に抑えられる。
第3態様は吐出システムである。第3態様の吐出システムは、第1または第2態様に記載の吐出装置と、前記吐出路に液体供給路を通して液体を供給するポンプ装置と、前記ポンプ装置を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記ポンプ装置に出力する指令値を変化させることで、前記ポンプ装置から前記吐出路に供給される液体の流量を制御可能であり、前記制御装置は、前記ポンプ装置に出力する指令値を変化させることで、前記ポンプ装置から前記吐出路に供給される液体の流量を制御可能であり、前記制御装置は、前記吐出装置の吐出動作を開始するとき、前記ポンプ装置に異なる指令値を出力することで初期モードと通常モードを順に行い、前記初期モードでは、所定の設定流量より少ない流量の液体を前記ポンプ装置に供給させ、前記通常モードでは、前記設定流量の液体を前記ポンプ装置に供給させてもよい。この態様によれば、制御装置がいきなり通常モードを行う場合と比べ、ポンプ装置から吐出路に供給される液体の流量を抑えられる。このため、吐出路内で液位が徐々に高くなるように液体を溜め易くなり、吐出路内のエアを吐出孔から外部に自然に排気し易くなる。
第4態様は吐出システムである。第4態様の吐出システムは、第1または第2態様に記載の吐出装置と、前記吐出路に液体供給路を通して液体を供給するポンプ装置と、前記ポンプ装置を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、所定の実行条件を満たしたとき、前記ポンプ装置による液体の供給を一時停止し、所定の待機時間の経過後に前記ポンプ装置による液体の供給を再開するように前記ポンプ装置を制御してもよい。この態様によれば、ポンプ装置による液体の供給を一時停止することで、吐出路内で吐出孔側に流れ続ける液体の勢いが弱められる。この結果、この液体により封じ込められていた残存エアを傾斜面により吐出孔内まで導き易くなり、その残存エアを吐出孔から外部に排気し易くなる。
第5態様の吐出システムは、第4態様において、前記実行条件は、前記ポンプ装置による液体の供給を開始してから所定の時間が経過することである。この態様によれば、ポンプ装置による液体の供給を開始した後、特別な操作を経ることなく、ポンプ装置による液体の供給を一時停止してから再開する制御を実行でき、残存エアを外部に排気し易くなる。