(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係る撮像装置の一例であるカメラ1の構成例を示す図である。カメラ1は、撮影光学系(結像光学系)2、撮像素子3、制御部4、メモリ5、表示部6、及び操作部7を備える。撮影光学系2は、焦点調節レンズ(フォーカスレンズ)を含む複数のレンズ及び開口絞りを有し、撮像素子3に被写体像を結像する。なお、撮影光学系2は、カメラ1から着脱可能にしてもよい。
撮像素子3は、CMOSイメージセンサやCCDイメージセンサ等の撮像素子である。撮像素子3は、撮影光学系2を通過した光束を受光し、撮影光学系2により形成される被写体像を撮像する。撮像素子3には、光電変換部を有する複数の画素が二次元状(行方向及び列方向)に配置される。光電変換素子は、フォトダイオード(PD)によって構成される。撮像素子3は、受光した光を光電変換して信号を生成し、生成した信号を制御部4に出力する。
メモリ5は、メモリカード等の記録媒体である。メモリ5には、画像データや制御プログラム等が記録される。メモリ5へのデータの書き込みや、メモリ5からのデータの読み出しは、制御部4によって制御される。表示部6は、画像データに基づく画像、シャッター速度や絞り値等の撮影に関する情報、及びメニュー画面等を表示する。操作部7は、レリーズボタン、電源スイッチ、各種モードを切り替えるためのスイッチなどの各種設定スイッチ等を含み、それぞれの操作に基づく信号を制御部4へ出力する。
制御部4は、CPUやFPGA、ASIC等のプロセッサ、及びROMやRAM等のメモリにより構成され、制御プログラムに基づきカメラ1の各部を制御する。制御部4は、撮像素子3を制御する信号を撮像素子3に供給して、撮像素子3の動作を制御する。また、制御部4は、撮像素子3から出力される信号に各種の画像処理を行って画像データを生成する。制御部4は、画像データを生成する画像生成部でもあり、撮像素子3から出力される信号に基づいて静止画像データや動画像データを生成する。画像処理には、階調変換処理や色補間処理等の公知の画像処理が含まれる。
制御部4は、撮像素子3の各画素の信号を個別に読み出す処理と、複数の画素の信号を加算して読み出す処理とを行う。例えば、制御部4は、表示部6に被写体のスルー画像(ライブビュー画像)を表示する場合や動画撮影を行う場合に、複数の画素の信号を加算して読み出す処理を行う。また、制御部4は、高解像度の静止画撮影を行う場合に、各画素の信号を個別に読み出す処理を行う。
図2は、第1の実施の形態に係る撮像素子の構成例を示す図である。撮像素子3は、画素部(画素領域)20と、カラム回路部40(カラム回路部40a、カラム回路部40b)と、水平転送部50(水平転送部50a、水平転送部50b)と、処理部60(処理部60a、処理部60b)と、信号出力部70(信号出力部70a、信号出力部70b)とを有する。また、撮像素子3は、読み出し制御部100と、第1の供給部110(第1の供給部110a、第1の供給部110b)と、第2の供給部120(第2の供給部120a、第2の供給部120b)とを有する。なお、画素部20に配置される画素の数及び配置は、図示した例に限られない。
画素10には、赤(R)、緑(G)、青(B)の異なる分光特性を有する3つのカラーフィルタ(色フィルタ)18のいずれかが設けられる。画素10には、入射した光のうち第1の波長域の光(赤(R)の光)を分光する分光特性を有するカラーフィルタ18を有する画素(以下、R画素と称する)と、入射した光のうち第2の波長域の光(緑(G)の光)を分光する分光特性を有するカラーフィルタ18を有する画素(以下、G画素と称する)と、入射した光のうち第3の波長域の光(青(B)の光)を分光する分光特性を有するカラーフィルタ18を有する画素(以下、B画素と称する)とが含まれる。
撮像素子3は、図2に示すように、R画素10とG画素10とが左右方向、即ち行方向(水平方向)に交互に配置される第1の画素行と、G画素10とB画素10とが行方向に交互に配置される第2の画素行とを有する。第1の画素行と第2の画素行とは、列方向に交互に配置される。このように、本実施の形態では、R画素10と、G画素10と、B画素10とは、ベイヤー配列に従って配置されている。
撮像素子3には、縦方向、即ち列方向(垂直方向)に並んだ複数の画素10の列である画素列ごとに、垂直信号線25(垂直信号線25a、垂直信号線25b)が設けられる。図2に示す例では、複数の垂直信号線25aは、奇数列目の画素列にそれぞれ接続される。複数の垂直信号線25bは、偶数列目の画素列にそれぞれ接続される。
読み出し制御部100は、複数の画素列に共通に設けられる。読み出し制御部100は、カメラ1の制御部4によって制御され、後述する信号TX、信号RST、信号SELなどの信号を各画素10に供給して、各画素10の動作を制御する。読み出し制御部100は、画素10の各トランジスタのゲートに信号を供給して、トランジスタをオン状態(接続状態、導通状態、短絡状態)又はオフ状態(切断状態、非導通状態、開放状態、遮断状態)とする。読み出し制御部100によって選択される画素部20の画素の信号は、その画素10に接続された垂直信号線25に出力される。
画素部20の複数の画素10のうち奇数列の画素列に対して、カラム回路部40aが設けられる。カラム回路部40aは、複数の電流源41a、水平加算部42a、及び複数のアナログ/デジタル変換部(AD変換部)43aを含んで構成される。カラム回路部40a内の電流源41a及びAD変換部43aは、垂直信号線25a毎に設けられる。電流源41aは、垂直信号線25aを介して各画素10に接続される。電流源41aは、画素10から信号を読み出すための電流を生成し、生成した電流を垂直信号線25a及び各画素10に供給する。
水平加算部42aは、後述するが、複数のスイッチにより構成され、垂直信号線25aに出力された画素の信号間の加算を行う。読み出し制御部100は、水平加算部42aを構成する複数のスイッチをオンオフ制御して、行方向(水平方向)に配置された複数の画素の信号の加算処理を制御する。AD変換部43aは、各画素10から水平加算部42aを介して入力される信号をデジタル信号に変換し、変換後のデジタル信号を水平転送部50aに出力する。
画素部20の複数の画素10のうち偶数列の画素列に対して、カラム回路部40bが設けられる。カラム回路部40bは、複数の電流源41b、水平加算部42b、及び複数のAD変換部43bを含んで構成される。カラム回路部40b内の電流源41b及びAD変換部43bは、垂直信号線25b毎に設けられる。電流源41bは、垂直信号線25bを介して各画素10に接続される。電流源41bは、画素10から信号を読み出すための電流を生成し、生成した電流を垂直信号線25b及び各画素10に供給する。
水平加算部42bは、後述するが、複数のスイッチにより構成され、垂直信号線25bに出力された画素の信号間の加算を行う。読み出し制御部100は、水平加算部42bを構成する複数のスイッチをオンオフ制御して、行方向(水平方向)に配置された複数の画素間の信号の加算処理を制御する。AD変換部43bは、各画素10から水平加算部42bを介して入力される信号をデジタル信号に変換し、変換後のデジタル信号を水平転送部50bに出力する。
水平転送部50aは、複数のAD変換部43aに対して設けられ、各AD変換部43aによってデジタル信号に変換された信号を、処理部60aに順次出力する。水平転送部50bは、複数のAD変換部43bに対して設けられ、各AD変換部43bによってデジタル信号に変換された信号を、処理部60bに順次出力する。このように、撮像素子3では、奇数列目の画素の信号と、偶数列目の画素の信号とが別々の経路で読み出される。
第1の供給部110aは、電流源を有し、AD変換部43aを動作させるための電流を生成し、生成した電流をAD変換部43aに供給する。第1の供給部110bは、電流源を有し、AD変換部43bを動作させるための電流を生成し、生成した電流をAD変換部43bに供給する。第1の供給部110a及び第1の供給部110bは、それぞれ読み出し制御部100によって制御される。
処理部60aと処理部60bは、それぞれ、アンプ回路およびデコーダ回路等を含んで構成される。処理部60aには、水平転送部50aからデジタル信号に変換された画素の信号が入力される。処理部60aは、水平転送部50aから入力された信号に対して、コード(符号)を変換する処理や相関二重サンプリング等の信号処理を行って、信号出力部70aに出力する。処理部60bには、水平転送部50bからデジタル信号に変換された画素の信号が入力される。処理部60bは、水平転送部50bから入力された信号に対して、コードを変換する処理や相関二重サンプリング等の信号処理を行って、信号出力部70bに出力する。
第2の供給部120aは、処理部60aを動作させるための制御信号、本実施の形態ではパルス信号(パルス)を生成し、生成したパルス信号を処理部60aに供給する。第2の供給部120bは、処理部60bを動作させるための制御信号、本実施の形態ではパルス信号を生成し、生成したパルス信号を処理部60bに供給する。第2の供給部120a及び第2の供給部120bは、それぞれ読み出し制御部100によって制御される。なお、これら制御信号は、一定の電位(例えば電源電位)の信号であってもよい。
信号出力部70aと信号出力部70bは、それぞれ、SLVSやLVDS等の高速インタフェースに対応した出力回路を有する。信号出力部70aは、処理部60aから入力された信号を、カメラ1の制御部4に高速に出力(伝送)する。信号出力部70bは、処理部60bから入力された信号を、制御部4に高速に出力する。
図3は、第1の実施の形態に係る撮像素子の画素の構成例を示す図である。画素10は、光電変換部11と、転送部12と、リセット部13と、フローティングディフュージョン(FD)14と、増幅部15と、選択部16とを有する。光電変換部11は、フォトダイオードPDであり、入射した光を電荷に変換し、光電変換された電荷を蓄積する。
転送部12は、信号TXにより制御されるトランジスタM1から構成され、光電変換部11で光電変換された電荷をFD14に転送する。トランジスタM1は、転送トランジスタである。FD14の容量Cは、FD14に転送された電荷を蓄積(保持)して、電圧に変換する。
増幅部15は、ゲート(端子)がFD14に接続されるトランジスタM3から構成され、FD14の容量Cの電圧に基づく信号を出力する。増幅部15は、選択部16を介して垂直信号線25に接続される。トランジスタM3は、増幅トランジスタである。増幅部15と選択部16とは、光電変換部11により生成された電荷に基づく信号を生成し出力する出力部を構成する。
リセット部13は、信号RSTにより制御されるトランジスタM2から構成され、FD14に蓄積された電荷を排出し、FD14の電圧をリセットする。トランジスタM2は、リセットトランジスタである。選択部16は、信号SELにより制御されるトランジスタM4から構成され、増幅部15と垂直信号線25とを電気的に接続又は切断する。選択部16のトランジスタM4は、オン状態の場合に、増幅部15からの信号を垂直信号線25に出力する。トランジスタM4は、選択トランジスタである。
画素10は、FD14の電圧をリセットしたときの信号(ダーク信号)と、転送部12により光電変換部11からFD14に転送された電荷に応じた信号(光電変換信号)とを、垂直信号線25に順次出力する。ダーク信号は、光電変換信号に対する基準レベルを示すアナログ信号となる。また、光電変換信号は、光電変換部11によって光電変換された電荷に基づいて生成されるアナログ信号である。画素10から順次出力されるダーク信号及び光電変換信号は、垂直信号線25を介して水平加算部42に入力される。
図4は、第1の実施の形態に係る撮像素子の一部の構成例を示す図である。図4では、撮像素子3に設けられた複数の画素のうちの一部の画素10と、カラム回路部40aと、水平転送部50aと、処理部60aと、信号出力部70aとを示している。また、図4においては、左上隅の画素10を第1行第1列の画素10(1,1)とし、右下隅の画素10を第5行第17列の画素10(5,17)として、行方向17画素×列方向5画素の85個の画素10を図示している。
水平加算部42aは、垂直信号線25a(図4では垂直信号線25a1~垂直信号線25a9)とAD変換部43a(図4ではAD変換部43a1~AD変換部43a9)とを接続又は切断するスイッチSW1(図4ではSW1a~SW1i)を有する。また、水平加算部42aは、隣り合う垂直信号線25aを接続又は切断するスイッチSW2(図4ではSW2a~SW2f)を有する。スイッチSW2は、垂直信号線25間を接続する接続部である。スイッチSW1及びスイッチSW2は、読み出し制御部100(図2参照)によりオンオフ制御される。
AD変換部43aは、比較部44と記憶部45とを含んで構成され、水平加算部42aを介して入力される画素の信号を所定のビット数のデジタル信号に変換する。比較部44は、コンパレータ回路を含んで構成される。AD変換部43aの比較部44には、コンパレータ回路を動作させるための電流が第1の供給部110a(図2参照)から供給される。比較部44は、画素10から出力される信号と時間経過とともに一定に変化する基準信号(ランプ信号)とを比較し、比較結果である出力信号を記憶部45に出力する。
記憶部45は、記憶されるデジタル信号のビット数に対応して複数のラッチ回路により構成される。記憶部45には、比較部44から比較結果を示す出力信号が入力され、不図示のカウンタ回路からカウント値を示すクロック信号が入力される。記憶部45は、比較部44の出力信号とカウンタ回路からのクロック信号とに基づいて、比較部44による比較開始から比較結果が反転するまでの経過時間に応じたカウント値をデジタル信号として記憶する。換言すると、記憶部45は、比較部44から出力される信号に基づき、画素10から出力された信号のレベルと基準信号のレベルとの大小関係が変化する(反転する)までの時間に応じたカウント値をデジタル信号として記憶する。
画素10のダーク信号が水平加算部42aを介して比較部44に入力されると、比較部44は、ダーク信号と基準信号とを比較して、比較結果を記憶部45に出力する。記憶部45は、比較部44による比較結果とクロック信号とに基づいて、比較部44による比較開始時から比較結果の反転時までの経過時間に応じたカウント値をダーク信号に応じたデジタル信号として記憶する。また、画素10の光電変換信号が水平加算部42aを介して比較部44に入力されると、比較部44は、光電変換信号と基準信号とを比較して、比較結果を記憶部45に出力する。記憶部45は、比較部44による比較結果とクロック信号とに基づいて、比較部44による比較開始時から比較結果の反転時までの経過時間に応じたカウント値を光電変換信号に応じたデジタル信号として記憶する。
このように、AD変換部43aは、アナログ信号である光電変換信号を所定のビット数のデジタル信号に変換し、アナログ信号であるダーク信号を所定のビット数のデジタル信号に変換する。また、AD変換部43aは、第1の供給部110aから供給される電流によって動作する出力回路(不図示)を有し、記憶部45に記憶されたデジタル信号を水平転送部50aに出力する。
水平転送部50aは、スイッチSW3(図4ではSW3a~SW3i)と、データレーン55(データレーン55a~55c)と、センスアンプ62(センスアンプ62a~62c)と、AND回路61とを有する。スイッチSW3は、読み出し制御部100(図2参照)によりオンオフ制御され、AD変換部43aとデータレーン55とを接続又は切断する。
データレーン55は、複数のAD変換部43aに対して設けられ、各AD変換部43aからスイッチSW3を介して入力されるデジタル信号をセンスアンプ62に転送(伝送)する。データレーン55は、デジタル信号に変換された画素の信号を伝送する伝送路である。図4に示す例では、水平転送部50aは、データレーン55aと、データレーン55bと、データレーン55cとを有する。データレーン55a~55cは、それぞれ、伝送されるデジタル信号のビット数に対応して複数の信号線により構成される。
センスアンプ62は、入力されるデジタル信号のビット数に対応して複数のアンプ回路により構成され、データレーン55毎に配置される。センスアンプ62aはデータレーン55aに対して設けられ、センスアンプ62bはデータレーン55bに対して設けられ、センスアンプ62cはデータレーン55cに対して設けられる。センスアンプ62a~62cには、それぞれ、アンプ回路を動作させるための制御信号、本実施の形態ではパルス信号が第2の供給部120a(図2参照)から供給される。センスアンプ62a~62cは、各々に接続されるデータレーン55に入力された信号を増幅して読み出す。こうして、記憶部45に記憶されたデジタル信号は、データレーン55及びセンスアンプ62を介して、処理部60aに順次出力される。なお、アンプ回路を動作させるための制御信号は、一定の電位(例えば電源電位)の信号であってもよい。
AND回路61には、信号V1と信号V2とが入力される。信号V1は、センスアンプ62bにも入力される。AND回路61の出力信号は、センスアンプ62a及びセンスアンプ62cにそれぞれ入力される。信号V1及び信号V2は、センスアンプ62a~62cの制御に用いる信号である。読み出し制御部100は、信号V1及び信号V2を制御することにより、センスアンプ62a~62cの動作状態を制御する。
このように、水平転送部50aは、各AD変換部43aによってデジタル信号に変換された信号を、処理部60aに順次出力する。
処理部60aは、信号処理部64(信号処理部64a~64c)を有する。信号処理部64は、センスアンプ62毎に設けられる。信号処理部64aはセンスアンプ62aに対して設けられ、信号処理部64bはセンスアンプ62bに対して設けられ、信号処理部64cはセンスアンプ62cに対して設けられる。信号処理部64は、デコード回路およびメモリ回路等により構成される。信号処理部64は、センスアンプ62から入力された信号に対して、コードを変換する処理や相関二重サンプリング等の信号処理を行う。信号処理部64は、信号処理後の信号を信号出力部70aに出力する。
信号出力部70aは、出力I/F部71a~71cを有する。出力I/F部71a~71cは、SLVS等の高速インタフェースに対応した出力回路により構成される。出力I/F部71aは、信号処理部64aから入力された信号を、カメラ1の制御部4に出力する。また、出力I/F部71bは、信号処理部64bから入力された信号を制御部4に出力し、出力I/F部71cは、信号処理部64cから入力された信号を制御部4に出力する。なお、カラム回路部40b、水平転送部50b、処理部60b、及び信号出力部70bの構成も、上述したカラム回路部40a、水平転送部50a、処理部60a、及び信号出力部70aの構成とそれぞれ同様である。
読み出し制御部100(図2参照)は、水平加算部42および水平転送部50の各スイッチを制御して、撮像素子3の各画素の信号を個別に読み出す処理(個別読み出し制御)と、複数の画素の信号を加算して読み出す処理(加算読み出し制御)とを行う。カメラ1の制御部4は、読み出し制御部100を制御して、画素の信号の読み出し方法を切り替える。
個別読み出し制御では、読み出し制御部100は、水平加算部42のスイッチSW2をオフ状態とし、撮像素子3の複数の画素を行単位で順次選択して、選択された画素の信号をAD変換部43に出力させる。また、読み出し制御部100は、水平転送部50の複数のデータレーン55を用いて、各AD変換部43によりデジタル信号に変換された画素の信号を、処理部60に順次出力させる。
加算読み出し制御では、読み出し制御部100は、水平加算部42のスイッチSW2をオン状態とし、撮像素子3の複数の画素を行単位で順次選択して、複数の画素の信号を垂直信号線25において加算する。読み出し制御部100は、加算された画素の信号を、撮像素子3に配置された複数のAD変換部43のうちの一部のAD変換部43に出力させる。
本実施の形態では、後述するが、加算された画素の信号が入力される一部のAD変換部43は、水平転送部50の複数のデータレーン55のうちの一部のデータレーン55に接続される。このため、加算読み出し制御では、読み出し制御部100は、複数のデータレーン55のうち一部のデータレーン55のみを用いて、各AD変換部43によりデジタル信号に変換された画素の信号を、処理部60に順次出力させることが可能となる。
上述のように、読み出し制御部100は、加算読み出し制御を行う場合、一部のAD変換部43及び一部のデータレーン55を用いる。加算された画素の信号が入力されない他のAD変換部43と、それらのAD変換部43が接続されるデータレーン55と、それらのデータレーン55に接続されるセンスアンプ62とは、加算読み出し制御においては使用されない。このため、読み出し制御部100は、第1の供給部110を制御して、加算読み出し制御を行う場合に使用しないAD変換部43に供給される電流を停止させる。また、読み出し制御部100は、加算読み出し制御を行う場合に使用しないデータレーン55の動作を停止させる。更に、読み出し制御部100は、第2の供給部120を制御して、加算読み出し制御を行う場合に使用しないセンスアンプ62の動作を停止させる。これにより、撮像素子3の消費電力を低減させることができる。このため、高いフレームレートの動画撮影を行う場合において、加算読み出し制御を行って消費電力が増大することを抑制することができる。
図4に示す例では、加算読み出し制御を行う場合に使用するAD変換部43は、例えば、AD変換部43a2と、AD変換部43a5と、AD変換部43a8である。AD変換部43a2、AD変換部43a5、及びAD変換部43a8は、それぞれスイッチSW3b、スイッチSW3e、スイッチSW3hを介して、複数のデータレーン55a~55cのうちの同一のデータレーン55bに接続される。
撮像素子3の一部のAD変換部43(図4ではAD変換部43a2、43a5、43a8)と一部のデータレーン55(図4ではデータレーン55b)と一部のセンスアンプ62(図4ではセンスアンプ62b)とは、垂直信号線25に出力された画素の信号を処理部60に出力する第1出力部を構成する。この第1出力部は、個別読み出し制御が行われる場合と加算読み出し制御が行われる場合に共に、第1の供給部110からの電流と第2の供給部120からのパルス信号とが供給されて動作状態となる。
撮像素子3の他のAD変換部43(図4ではAD変換部43a1、43a3、43a4、43a6、43a7、43a9)と他のデータレーン55(図4ではデータレーン55a、55c)と他のセンスアンプ62(図4ではセンスアンプ62a、62c)とは、垂直信号線25に出力された画素の信号を処理部60に出力する第2出力部を構成する。この第2出力部は、個別読み出し制御が行われる場合に、第1の供給部110から電流が供給されると共に、第2の供給部120からパルス信号が供給されて動作状態となる。加算読み出し制御が行われる場合には、第2出力部には、画素の信号が入力されない。このため、読み出し制御部100は、加算読み出し制御を行う場合、第1の供給部110に第2出力部への電流の供給を停止させ、第2の供給部120に第2出力部へのパルス信号の供給を停止させる。これにより、加算読み出し制御を行う場合、第2出力部は、第1の供給部110から電流が供給されず、また第2の供給部120からパルス信号が供給されずに停止状態となる。
上述のように、第2出力部のセンスアンプ62(図4ではセンスアンプ62a、62c)は、加算読み出し制御においては使用されない。読み出し制御部100は、加算読み出し制御を行う場合、第2の供給部120にセンスアンプ62a、62cへのパルス信号の供給を停止させる。これにより、加算読み出し制御を行う場合、センスアンプ62a、62cは、第2の供給部120からパルス信号が供給されずに停止(休止)状態となる。加算読み出し制御を行う場合、第2出力部は停止状態となり、撮像素子3の消費電力が低減される。
以下では、個別読み出し制御および加算読み出し制御について、より詳しく説明する。
読み出し制御部100は、制御部4により個別読み出し制御が選択(設定)された場合、水平加算部42のスイッチSW1a~スイッチSW1iをオン状態とし、スイッチSW2a~スイッチSW2fをオフ状態とする。また、読み出し制御部100は、信号V1及び信号V2を共にハイレベルにする。これにより、センスアンプ62a~62cは、入力された信号を増幅して読み出す動作が可能な状態となる。
読み出し制御部100は、第1行目の画素であるR画素10(1,1)~R画素10(1,17)のリセット部13をそれぞれオン状態とする。これにより、第1行目の画素10において、それぞれのFD14の電圧がリセットされる。また、第1行目の画素10の選択部16をそれぞれオン状態とする。読み出し制御部100は、第1行目以外の他の行の画素10の選択部16をそれぞれオフ状態とする。これにより、第1行目のR画素10(1,1)~R画素10(1,17)の各々のダーク信号は、各々の画素の選択部16、各々の画素に接続された垂直信号線25a1~垂直信号線25a9、及びスイッチSW1a~スイッチSW1iを介して、それぞれAD変換部43a1~AD変換部43a9に出力される。
AD変換部43a1~AD変換部43a9は、入力されたダーク信号をデジタル信号に変換する。読み出し制御部100は、水平転送部50aのスイッチSW3a~スイッチSW3iを制御して、各AD変換部43aによりデジタル信号に変換されたダーク信号を、センスアンプ62を介して処理部60aに順次出力させる。読み出し制御部100は、スイッチSW3a~SW3iのうちのスイッチSW3a~SW3cのみをオン状態として、AD変換部43a1~43a3で変換されたデジタル信号をそれぞれデータレーン55a~55cを介して処理部60aに出力させる。その後、読み出し制御部100は、スイッチSW3a~SW3iのうちのスイッチSW3d~SW3fのみをオン状態として、AD変換部43a4~43a6で変換されたデジタル信号をそれぞれデータレーン55a~55cを介して処理部60aに出力させる。その後、読み出し制御部100は、スイッチSW3a~SW3iのうちのスイッチSW3g~SW3iのみをオン状態として、AD変換部43a7~43a9で変換されたデジタル信号をそれぞれデータレーン55a~55cを介して処理部60aに出力させる。
読み出し制御部100は、第1行目の画素であるR画素10(1,1)~R画素10(1,17)の転送部12をそれぞれオン状態とする。これにより、第1行目の画素10において、それぞれのPD11で光電変換された電荷がFD14に転送される。第1行目のR画素10(1,1)~R画素10(1,17)の各々の光電変換信号は、各々の画素の選択部16、各々の画素に接続された垂直信号線25、及びスイッチSW1を介して、それぞれAD変換部43a1~AD変換部43a9に出力される。
AD変換部43a1~AD変換部43a9は、入力された光電変換信号をデジタル信号に変換する。AD変換部43a1~43a9でデジタル信号に変換された光電変換信号は、デジタル信号に変換されたダーク信号が処理部60aに順次出力される場合と同様に、それぞれデータレーン55a~55cを介して処理部60aに順次出力される。
読み出し制御部100は、第1行目の画素から信号を読み出す場合と同様にして、第2行目の画素である画素10(2、1)~画素10(2、17)からダーク信号および光電変換信号の読み出しを行う。また、同様に、読み出し制御部100は、第3行目以降の画素を、第3行、第4行、第5行、第6行の順に1行ずつ順次選択し、選択した各画素から信号を読み出す。
このように、個別読み出し制御では、読み出し制御部100は、撮像素子3の画素の信号を個別に読み出す。データレーン55a~55cに順次出力されるダーク信号及び光電変換信号は、処理部60aによって相関二重サンプリング等の信号処理が施される。データレーン55aに出力された信号は、センスアンプ62aを介して信号処理部64aに入力され、信号処理部64aにより信号処理が施された後に、出力I/F部71aによって制御部4に出力される。データレーン55bに出力された信号は、センスアンプ62bを介して信号処理部64bに入力され、信号処理部64bにより信号処理が施された後に、出力I/F部71bによって制御部4に出力される。また、データレーン55cに出力された信号は、センスアンプ62cを介して信号処理部64cに入力され、信号処理部64cにより信号処理が施された後に、出力I/F部71cによって制御部4に出力される。
次に、加算読み出し制御の一例として、行方向の3画素ずつ、同色画素の信号を加算して読み出す場合について説明する。
読み出し制御部100は、制御部4により加算読み出し制御が選択された場合、水平加算部42のスイッチSW1b、スイッチSW1e、及びスイッチSW1hをオン状態とする。読み出し制御部100は、スイッチSW1a、スイッチSW1c、スイッチSW1d、スイッチSW1f、スイッチSW1g、及びスイッチSW1iをオフ状態とする。また、読み出し制御部100は、スイッチSW2a~スイッチSW2fをオン状態とする。読み出し制御部100は、第1の供給部110aを制御して、AD変換部43a1、43a3、43a4、43a6、43a7、43a9への電流の供給を停止させる。また、読み出し制御部100は、信号V1をハイレベルにしてセンスアンプ62bを動作可能な状態とすると共に、信号V2をローレベルにしてセンスアンプ62a及びセンスアンプ62cを停止状態とする。
読み出し制御部100は、第1行目の画素であるR画素10(1,1)~R画素10(1,17)のリセット部13をそれぞれオン状態とする。また、第1行目の画素の選択部16をそれぞれオン状態とする。読み出し制御部100は、第1行目以外の他の行の画素の選択部16をそれぞれオフ状態とする。スイッチSW2a及びスイッチSW2bが共にオン状態であるため、R画素10(1,1)、R画素10(1,3)、及びR画素10(1,5)の各々の増幅部15が、垂直信号線25a1~25a3を介して電気的に接続される。これにより、R画素10(1,1)のダーク信号、R画素10(1,3)のダーク信号、及びR画素10(1,5)のダーク信号が加算平均される。また、スイッチSW1bがオン状態であるため、この加算されたダーク信号はAD変換部43a2に出力される。
同様に、R画素10(1,7)のダーク信号、R画素10(1,9)のダーク信号、及びR画素10(1,11)のダーク信号が加算平均されて、スイッチSW1eを介してAD変換部43a5に出力される。また、R画素10(1,13)のダーク信号、R画素10(1,15)のダーク信号、及びR画素10(1,17)のダーク信号が加算平均されて、スイッチSW1hを介してAD変換部43a8に出力される。
AD変換部43a2、AD変換部43a5、及びAD変換部43a8は、それぞれ、加算されたダーク信号をデジタル信号に変換する。読み出し制御部100は、水平転送部50aのスイッチSW3b、スイッチSW3e、及びスイッチSW3hを順次オン状態にして、各AD変換部43aにより変換されたデジタル信号を、センスアンプ62を介して処理部60aに順次出力させる。読み出し制御部100は、スイッチSW3a~SW3iのうちのスイッチSW3bのみをオン状態として、AD変換部43a2で変換されたデジタル信号をデータレーン55bを介して処理部60aに出力させる。その後、読み出し制御部100は、スイッチSW3a~SW3iのうちのスイッチSW3eのみをオン状態として、AD変換部43a5で変換されたデジタル信号をデータレーン55bを介して処理部60aに出力させる。その後、読み出し制御部100は、スイッチSW3a~SW3iのうちのスイッチSW3hのみをオン状態として、AD変換部43a8で変換されたデジタル信号をデータレーン55bを介して処理部60aに出力させる。
読み出し制御部100は、第1行目の画素であるR画素10(1,1)~R画素10(1,17)の転送部12をそれぞれオン状態とする。これにより、第1行目の画素10において、それぞれのPD11で光電変換された電荷がFD14に転送される。スイッチSW2a及びスイッチSW2bが共にオン状態であるため、R画素10(1,1)、R画素10(1,3)、及びR画素10(1,5)の各々の増幅部15が、垂直信号線25a1~25a3を介して電気的に接続される。これにより、R画素10(1,1)の光電変換信号、R画素10(1,3)の光電変換信号、及びR画素10(1,5)の光電変換信号が加算平均される。また、スイッチSW1bがオン状態であるため、加算平均された光電変換信号はAD変換部43a2に出力される。
同様に、R画素10(1,7)の光電変換信号、R画素10(1,9)の光電変換信号、及びR画素10(1,11)の光電変換信号が加算平均されて、スイッチSW1eを介してAD変換部43a5に出力される。また、R画素10(1,13)の光電変換信号、R画素10(1,15)の光電変換信号、及びR画素10(1,17)の光電変換信号が加算平均されて、スイッチSW1hを介してAD変換部43a8に出力される。
AD変換部43a2、AD変換部43a5、及びAD変換部43a8は、それぞれ、加算された光電変換信号をデジタル信号に変換する。読み出し制御部100は、水平転送部50aのスイッチSW3b、スイッチSW3e、及びスイッチSW3hを順次オン状態にして、各AD変換部43aにより変換されたデジタル信号を、センスアンプ62を介して処理部60aに順次出力させる。読み出し制御部100は、スイッチSW3a~SW3iのうちのスイッチSW3bのみをオン状態として、AD変換部43a2で変換されたデジタル信号をデータレーン55bを介して処理部60aに出力させる。その後、読み出し制御部100は、スイッチSW3a~SW3iのうちのスイッチSW3eのみをオン状態として、AD変換部43a5で変換されたデジタル信号をデータレーン55bを介して処理部60aに出力させる。その後、読み出し制御部100は、スイッチSW3a~SW3iのうちのスイッチSW3hのみをオン状態として、AD変換部43a8で変換されたデジタル信号をデータレーン55bを介して処理部60aに出力させる。
読み出し制御部100は、第1行目の画素から加算された信号を読み出す場合と同様にして、第2行目の画素である画素10(2、1)~画素10(2、17)から加算されたダーク信号および光電変換信号の読み出しを行う。また、同様に、読み出し制御部100は、第3行目以降の画素を、第3行、第4行、第5行、第6行の順に1行ずつ順次選択し、選択した各画素から信号を読み出す。
このように、加算読み出し制御では、読み出し制御部100は、撮像素子3の複数の画素の信号を加算して読み出す。加算されたダーク信号及び光電変換信号は、AD変換部43によってデジタル信号に変換された後に、データレーン55bに順次出力される。データレーン55bに順次出力されるダーク信号及び光電変換信号は、センスアンプ62bを介して信号処理部64bに入力され、信号処理部64bにより相関二重サンプリング等の信号処理が行われた後に、出力I/F部71bによって制御部4に出力される。
図5は、第1の実施の形態に係る撮像素子の一部のレイアウト例を示す図である。撮像素子3は、pウェル201及びpウェル202を有する半導体基板を用いて構成される。pウェル201には、領域210と、領域210を囲むように形成された領域211とが設けられる。pウェル202には、領域220と、領域220を囲むように形成された領域221とが設けられる。
pウェル201内の領域210は、アナログ回路を構成する素子が形成された領域(アナログ回路領域)である。AD変換部43の比較部44は、アナログ回路領域210に設けられる。pウェル202内の領域220は、デジタル回路を構成する素子が形成された領域(デジタル回路領域)である。記憶部45、及び水平転送部50は、デジタル回路領域220に設けられる。領域211及び領域221は、それぞれ、p型の不純物を用いて形成されるp+領域である。領域211及び領域221は、それぞれ、ガードリングとして機能し、隣接する領域に電荷が漏れることを抑制する。
アナログ回路領域210とデジタル回路領域220とは近くに配置され、アナログ回路領域210とデジタル回路領域220との間には寄生容量90が形成される。また、アナログ回路領域210の比較部44とデジタル回路領域220の水平転送部50とは、比較的近くに配置されるため、寄生容量90を介して互いに干渉してノイズを生じうる。仮にAD変換部43がAD変換を行っている間に水平転送部50の動作状態が変わると、ノイズ干渉の状態がAD変換途中で変わってしまうため、AD変換結果にばらつきが生じうる。水平転送部50がAD変換部43に及ぼすノイズの大きさが変化することに起因して、AD変換の精度が低下しうる。
本実施の形態では、上述したように、水平方向の3つの画素の信号を加算して読み出す加算読み出し制御を行う場合に、3つのデータレーン55のうちの1つのデータレーン55のみを用いてデジタル信号の転送を行う。1つの行の画素から信号を読み出す期間において、その1つのデータレーン55はデジタル信号の転送を繰り返す状態となり、他の2つのデータレーン55はデジタル信号の転送を行わない停止状態となる。これにより、加算読み出し制御を行う場合に、データレーン55の動作状態が変わることを防ぐことが可能となる。この結果、AD変換部43が受けるノイズが変わることが抑えられ、AD変換結果にばらつきが生じることを防止することができる。以下に、AD変換部43が受けるノイズの変化が抑制されることを、比較例と対比して説明する。
比較例は、加算読み出し制御において使用されるAD変換部43が、互いに異なるデータレーン55に接続されるものである。AD変換部43a2がデータレーン55aに接続され、AD変換部43a5がデータレーン55bに接続され、AD変換部43a8がデータレーン55cに接続される。比較例では、加算読み出し制御を行う場合、読み出し制御部100は、AD変換部43a2で変換されたデジタル信号をデータレーン55aに出力する動作と、AD変換部43a5で変換されたデジタル信号をデータレーン55bに出力する動作と、AD変換部43a8で変換されたデジタル信号をデータレーン55cに出力する動作とを同時に行う。
図6は、第1の実施の形態に係る読み出し制御と比較例に係る読み出し制御とを比較する図である。図6(a)は、本実施の形態に係る撮像素子が個別読み出し制御を行う場合のAD変換部43及びデータレーン55a~55cの動作状態を示している。図6(b)は、比較例に係る撮像素子が加算読み出し制御を行う場合のAD変換部43及びデータレーン55a~55cの動作状態を示している。図6(c)は、本実施の形態に係る撮像素子が加算読み出し制御を行う場合のAD変換部43及びデータレーン55a~55cの動作状態を示している。なお、図6(a)~図6(c)は、水平転送部50によって第N行目の画素の信号を読み出す場合について、同一の時間軸上に示している。なお、図6(a)~図6(c)では、AD変換部43によるAD変換処理の期間におけるデータレーン55a~55cの動作状態を比較するために、第(N+1)行目の画素の信号に対するAD変換処理と第N行目の画素の信号の転送処理とを並べて示している。
個別読み出し制御の場合、読み出し制御部100は、上述したように、水平転送部50の3つのデータレーン55a~55cを用いて、デジタル信号に変換された画素の信号を処理部60に順次出力させる。図6(a)に示す例では、時刻t1から時刻t4までの期間において、データレーン55a~55cは、第N行目の画素の信号を処理部60に順次出力する。時刻t1から時刻t4までの期間が、第N行目の画素の信号を処理部60に読み出す期間(リード期間)となる。
また、時刻t1から時刻t4までの期間において、AD変換部43a1~43a9は、第(N+1)行目の画素から出力される光電変換信号およびダーク信号を順次デジタル信号に変換する。時刻t1から時刻t4までの期間が、第(N+1)行目の画素の信号をデジタル信号に変換する期間となる。なお、比較例の場合の個別読み出し制御も、図6(a)と同様である。
比較例において加算読み出し制御が行われる場合、読み出し制御部100は、3つのデータレーン55a~55cを用いて、画素の信号を処理部60に順次出力させる。水平方向の3画素ずつ、画素の信号を加算して読み出すため、水平転送部50によって処理部60に転送される信号数(データ量)は、個別読み出し制御の場合と比較して1/3となる。また、1/3の信号数の画素の信号を、個別読み出し制御の場合と同様に3つのデータレーン55a~55cを用いて処理部60に読み出すため、比較例に係る加算読み出し制御の場合のリード期間は、個別読み出し制御の場合のリード期間の略1/3となる。
図6(b)に示す比較例に係る加算読み出し制御の場合は、時刻t1から時刻t2までの期間において、データレーン55a~55cは、AD変換部43a2、43a5、43a8から入力される第N行目の画素の信号を処理部60に順次出力する。時刻t2において、第N行目の画素の信号の処理部60への読み出しが完了する。時刻t2から時刻t4までの期間は、データレーン55a~55cは、AD変換部43から画素の信号が入力されず、データ転送に使用されない状態となる。また、時刻t1から時刻t4までの期間において、AD変換部43a2、43a5、43a8は、加算された第(N+1)行目の画素の光電変換信号およびダーク信号を順次デジタル信号に変換する。時刻t1から時刻t4までの期間が、個別読み出し制御の場合と同様に、第(N+1)行目の画素の信号をデジタル信号に変換する期間となる。
このように、比較例では、第(N+1)行目の画素の信号のAD変換処理が行われる期間の途中で、データレーン55a~55cが動作状態から停止状態に変化することになる。このため、比較例では、加算読み出し制御を行う場合に、AD変換部43によりAD変換処理が行われる期間の途中でAD変換部43が受けるノイズが変わる。この結果、比較例では、AD変換の精度が低下する。なお、時刻t2から時刻t4までの期間もデータレーン55a~55cに信号の転送を行わせて、AD変換部43が受けるノイズが変わることを抑えることが考えられるが、この場合は消費電力が増加してしまう。
本実施の形態に係る読み出し制御部100は、加算読み出し制御を行う場合に、1つのデータレーン55bを用いて、画素の信号を処理部60に順次出力させる。加算読み出し制御に用いられるデータレーン55は、1つのデータレーン55bに集約される。図6(c)に示す例では、時刻t1から時刻t4までの期間において、データレーン55bは、AD変換部43a2、43a5、43a8から順次入力される画素の信号を処理部60に出力する。時刻t1から時刻t4までの期間において、データレーン55bは動作状態となり、データレーン55a、55cは停止状態となる。本実施の形態では、加算読み出し制御を行う場合も、個別読み出し制御を行う場合と同様に、時刻t1から時刻t4までの期間が第N行目の画素の信号を処理部60に読み出す期間となる。
このように、本実施の形態では、第(N+1)行目の画素の信号のAD変換処理が行われる期間に、データレーン55bは動作状態のままであり、データレーン55a、55cは停止状態のままである。これにより、AD変換部43によりAD変換処理が行われる期間の途中でAD変換部43が受けるノイズが変わることを防ぐことができる。この結果、本実施の形態では、AD変換の精度が低下することを防止することができる。また、本実施の形態では、加算読み出し制御に用いるデータレーン55を絞るため、消費電力を低減することが可能となる。
上述した実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)撮像素子3は、光電変換により電荷を生成する光電変換部11を有し、光電変換部11で生成された電荷に基づく信号を出力する第1画素と第2画素(画素10)と、第1画素の信号を出力する第1信号線(例えば垂直信号線25a2)と、第2画素の信号を出力する第2信号線(例えば垂直信号線25a3)と、第1信号線に出力された信号および第2信号線に出力された信号の少なくとも一方を信号処理する処理部60に出力する第1出力部(例えば、AD変換部43a2、データレーン55b、及びセンスアンプ62b)と、第2信号線に出力された信号を処理部60に出力する第2出力部(例えば、AD変換部43a3、データレーン55c、及びセンスアンプ62c)と、第1画素の信号と第2画素の信号とを第1出力部により処理部60に出力させる第1制御と、第1画素の信号を第1出力部により処理部60に出力し、第2画素の信号を第2出力部により処理部60に出力させる第2制御とを行う制御部(読み出し制御部100)と、を備える。本実施の形態では、撮像素子3は、第1及び第2の出力部のうちの第1の出力部を動作させ、加算された画素の信号を処理部60に出力させる加算読み出し制御を行う。このため、加算読み出し制御を行う場合に第2出力部を停止させて、撮像素子3の消費電力を低減することができる。
(2)本実施の形態では、撮像素子3は、水平方向の3画素ずつ、画素の信号を加算して読み出す加算読み出し制御を行う場合、データレーン55a~55cのうちのデータレーン55bを用いて、加算された画素の信号を処理部60に順次出力させる。この場合、データレーン55bは動作状態のままとなり、データレーン55a、55cは停止状態のままとなる。このため、AD変換部43によりAD変換処理が行われる期間の途中でデータレーン55の動作状態が変化して、AD変換部43が受けるノイズが変わることを抑えることができる。この結果、AD変換の精度の低下を抑制することができる。
次のような変形も本発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施形態と組み合わせることも可能である。
(変形例1)
図7は、変形例1に係る撮像素子の一部の構成例を示す図である。変形例1に係る撮像素子3は、AND回路63を備える。AND回路63には、クロック信号CLKと信号V3とが入力される。クロック信号CLKは、信号処理部64bにも入力される。AND回路63の出力信号は、信号処理部64a及び信号処理部64cにそれぞれ入力される。読み出し制御部100は、信号V3を制御することにより、信号処理部64a、64cの動作状態を制御する。
読み出し制御部100は、制御部4により個別読み出し制御が選択された場合、信号V3をハイレベルにする。これにより、信号処理部64a、64cには、AND回路63を介してクロック信号CLKが入力される。また、信号処理部64bにもクロック信号CLKが入力されるため、信号処理部64a~64cは、クロック信号CLKに基づき、センスアンプ62から出力された信号に対して信号処理を行うことが可能な状態となる。
読み出し制御部100は、制御部4により加算読み出し制御が選択された場合、信号V3をローレベルにする。これにより、信号処理部64a、64cは、クロック信号が入力されず、停止状態となる。なお、信号処理部64bは、クロック信号CLKが入力されるため、動作可能な状態となる。
上述のように、読み出し制御部100は、AND回路63に入力される信号V3を制御して、信号処理部64a、64cの動作状態を制御する。このため、読み出し制御部100は、加算読み出し制御を行う場合に、信号処理部64a、64cを停止させて、撮像素子3の消費電力を低減することができる。
(変形例2)
図8は、変形例2に係る撮像素子の一部の構成例を示す図である。変形例2に係る撮像素子3は、変換部65と、マルチプレクサ66a~66cとを備える。変換部65は、信号処理部64bに接続され、信号処理部64bから入力された信号を、マルチプレクサ66a~66cに分けて出力する。
マルチプレクサ66aは、読み出し制御部100により制御され、出力I/F部71aに出力する信号を、信号処理部64aにより出力される信号及び変換部65により出力される信号から選択する。マルチプレクサ66bは、読み出し制御部100により制御され、出力I/F部71bに出力する信号を、信号処理部64bにより出力される信号及び変換部65により出力される信号から選択する。マルチプレクサ66cは、読み出し制御部100により制御され、出力I/F部71cに出力する信号を、信号処理部64cにより出力される信号及び変換部65により出力される信号から選択する。
個別読み出し制御においては、マルチプレクサ66aは、信号処理部64aから入力される画素の信号を出力I/F部71aに出力する。マルチプレクサ66bは、信号処理部64bから入力される画素の信号を出力I/F部71bに出力する。また、マルチプレクサ66cは、信号処理部64cから入力される画素の信号を出力I/F部71cに出力する。出力I/F部71a、71b、71cは、それぞれ、信号処理部64a、64b、64cから入力された信号を制御部4に出力する。
加算読み出し制御においては、信号処理部64bは、データレーン55b及びセンスアンプ62bを介して順次入力される画素の信号に対して信号処理を行い、変換部65に順次出力する。変換部65は、信号処理部64bから順次入力される信号を、マルチプレクサ66a~66cに分けて出力する。マルチプレクサ66aは、変換部65から入力される画素の信号を出力I/F部71aに出力し、マルチプレクサ66bは、変換部65から入力される画素の信号を出力I/F部71bに出力する。また、マルチプレクサ66cは、変換部65から入力される画素の信号を出力I/F部71cに出力する。出力I/F部71a、71b、71cは、それぞれ、変換部65から入力された信号を制御部4に出力する。
上述した実施の形態では、加算読み出し制御を行う場合は、3つの出力I/F部71a~71cのうち、1つの出力I/F部71bによって画素の信号が制御部4に出力された。本変形例では、加算読み出し制御を行う場合、出力I/F部71a~71cによって画素の信号が制御部4に出力される。個別読み出し制御を行う場合と、加算読み出し制御を行う場合とで、共に3つの出力I/F部71a~71cから信号を制御部4に出力することができる。個別読み出し制御の場合に用いられる出力I/F部71の数と、加算読み出し制御の場合に用いられる出力I/F部71の数を揃えることができる。このため、加算読み出し制御を行う場合と個別読み出し制御を行う場合とで同様に、撮像素子3及び制御部4間における画素の信号の通信を行うことが可能となる。
(変形例3)
上述した実施の形態では、撮像素子3が1つの水平転送部50あたり3つのデータレーン55を有する例について説明した。しかし、撮像素子は、1つの水平転送部あたり3つ以上のデータレーンを有する構成であってもよい。
図9は、変形例3に係る撮像素子の一部の構成例を示す図である。本変形例では、水平転送部50(図9においては水平転送部50a)は、データレーン55a、データレーン55b、データレーン55c、及びデータレーン55dの4つのデータレーン55を有する。また、水平転送部50は、センスアンプ62dを更に有する。処理部60(図9においては処理部60a)は、信号処理部64dと、マルチプレクサ66dとを更に有する。また、信号出力部70(図9においては信号出力部70a)は、出力I/F部71dを更に有する。
本変形例では、加算読み出し制御において使用されるAD変換部43(図9ではAD変換部43a2、43a5、43a8)が、2つのデータレーン55(図9ではデータレーン55a、55b)のいずれかに接続される。AD変換部43a2がデータレーン55bに接続され、AD変換部43a5がデータレーン55aに接続され、AD変換部43a8がデータレーン55bに接続される。
個別読み出し制御の場合、各行の画素の信号は、各々の画素の選択部16、各々の画素に接続された垂直信号線25a1~垂直信号線25a9、及びスイッチSW1a~スイッチSW1iを介して、それぞれAD変換部43a1~AD変換部43a9に出力される。AD変換部43a1~AD変換部43a9は、それぞれ、入力された画素の信号をデジタル信号に変換する。読み出し制御部100は、水平転送部50aのスイッチSW3a~スイッチSW3iを制御し、AD変換部43a1~43a9で変換されたデジタル信号をデータレーン55a~55dによって処理部60aに順次出力させる。データレーン55a~55dに出力された信号は、それぞれ、センスアンプ62a~62dを介して信号処理部64a~64dに入力され、信号処理部64a~64dにより信号処理が施された後に、出力I/F部71a~71dによって制御部4に出力される。
加算読み出し制御の場合、読み出し制御部100は、2つのデータレーン55a、55bを用いて、画素の信号を処理部60に順次出力させる。読み出し制御部100は、或る1つのAD変換部43a(例えばAD変換部43a2)で変換されたデジタル信号をデータレーン55bに出力する動作と、他の1つのAD変換部43(例えばAD変換部43a5)で変換されたデジタル信号をデータレーン55aに出力する動作とを同時に行う。データレーン55aに出力された信号は、センスアンプ62aを介して信号処理部64aに入力され、信号処理部64aにより信号処理が施された後に、出力I/F部71aによって制御部4に出力される。データレーン55bに出力された信号は、センスアンプ62bを介して信号処理部64bに入力され、信号処理部64bにより信号処理が施された後に、出力I/F部71bによって制御部4に出力される。本変形例の場合の加算読み出し制御においては、データレーン55c、55dは、AD変換部43から画素の信号が入力されず、データ転送に使用されない状態となる。このため、データレーン55c、55dに接続されるAD変換部43と、センスアンプ62c、62dと、信号処理部64c、64dとを停止させて、撮像素子3の消費電力を低減することができる。
(変形例4)
垂直信号線25に接続されるスイッチSW1とAD変換部43との間にアンプ部を設けるようにしてもよい。アンプ部は、垂直信号線25毎に設けられ、垂直信号線25を介して入力される画素の信号を所定のゲイン(増幅率)で増幅し、増幅した画素の信号をAD変換部43に出力する。アンプ部には、アンプ部を動作させるための電流が第1の供給部110から供給される。AD変換部43は、増幅された画素の信号をデジタル信号に変換して、水平転送部50に出力する。
撮像素子3の一部のAD変換部43(図4ではAD変換部43a2、43a5、43a8)と、これら一部のAD変換部43に接続されるアンプ部と、一部のデータレーン55(図4ではデータレーン55b)と、一部のセンスアンプ62(図4ではセンスアンプ62b)とは、垂直信号線25に出力された画素の信号を処理部60に出力する第1出力部を構成する。また、撮像素子3の他のAD変換部43(図4ではAD変換部43a1、43a3、43a4、43a6、43a7、43a9)と、これら他のAD変換部43に接続されるアンプ部と、他のデータレーン55(図4ではデータレーン55a、55c)と、他のセンスアンプ62(図4ではセンスアンプ62a、62c)とは、垂直信号線25に出力された画素の信号を処理部60に出力する第2出力部を構成する。
加算読み出し制御が行われる場合には、第2出力部には、画素の信号が入力されない。このため、読み出し制御部100は、加算読み出し制御を行う場合、第1の供給部110に第2出力部への電流の供給を停止させ、第2の供給部120に第2出力部へのパルス信号の供給を停止させる。これにより、加算読み出し制御を行う場合、第2出力部が停止状態となり、撮像素子3の消費電力を低減することができる。
(変形例5)
読み出し制御部100は、加算読み出し制御を行う場合も、個別読み出し制御を行う場合と同様に、水平加算部42のスイッチSW1a~スイッチSW1iをオン状態としてもよい。第2出力部のAD変換部43にも、加算された画素の信号が入力されることになる。この場合、読み出し制御部100は、画素の信号を第2出力部から処理部60に出力しないように、第2出力部を制御してもよい。
読み出し制御部100は、第1の供給部110に第2出力部への電流の供給を停止させることで、画素の信号を第2出力部から処理部60に出力しないようにしてもよい。読み出し制御部100は、第2の供給部120に第2出力部のセンスアンプ62(図4ではセンスアンプ62a、62c)へのパルス信号の供給を停止させることで、画素の信号を第2出力部から処理部60に出力しないようにしてもよい。このとき、読み出し制御部100は、所定時間の間、第2の供給部120によって一定の電位(例えば0Vや接地電位)の信号を第2出力部のセンスアンプ62に供給することによって、第2出力部のセンスアンプ62を停止状態にさせてもよい。
また、読み出し制御部100は、加算読み出し制御を行う場合に、第2出力部に接続される信号処理部64(図4では信号処理部64a、64c)が画素の信号を処理しないように、第2出力部に接続される信号処理部64を制御してもよい。この場合、読み出し制御部100は、図7に示す例のように、第2出力部に接続される信号処理部64へのクロック信号の供給を停止させることで、第2出力部に接続される信号処理部64が画素の信号の処理を行わないようにしてもよい。
(変形例6)
上述の実施の形態及び変形例で説明した撮像素子及び撮像装置は、カメラ、スマートフォン、タブレット、PCに内蔵のカメラ、車載カメラ、無人航空機(ドローン、ラジコン機等)に搭載されるカメラ等に適用されてもよい。
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
次の優先権基礎出願の開示内容は引用文としてここに組み込まれる。
日本国特願2019-69146号(2019年3月29日出願)