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JP7290189B2 - ゴルフボール - Google Patents

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JP7290189B2
JP7290189B2 JP2022096311A JP2022096311A JP7290189B2 JP 7290189 B2 JP7290189 B2 JP 7290189B2 JP 2022096311 A JP2022096311 A JP 2022096311A JP 2022096311 A JP2022096311 A JP 2022096311A JP 7290189 B2 JP7290189 B2 JP 7290189B2
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Description

本発明は、ゴルフボールに関する。詳細には、本発明は、その表面に微小突起を有するゴルフボールに関する。
ゴルフクラブで打撃されたゴルフボールは、空中を飛行する。このゴルフボールは落下し、地面を転がる。落下時及び転がり時に、ゴルフボールは地面と接触する。この接触により、ゴルフボールの表面に泥が付着し、この表面が汚れることがある。ゴルフボールがフェアウェイやラフにあるとき、プレーヤーはゴルフボールを触ることができない。従ってプレーヤーは、ゴルフボールの汚れを除去できない。グリーンの上では、プレーヤーはゴルフボールの汚れを除去できる。しかし、この除去の作業は手間である。作業によっても汚れが十分には除去できないこともある。水で洗われても汚れが除去されないこともある。汚れが残ったゴルフボールは、交換される。交換は、プレーヤーに経済的な負担を強いる。
ゴルフボールは、その表面に多数のディンプルを備えている。ディンプルは、飛行時のゴルフボール周りの空気の流れを乱し、乱流剥離を起こさせる。この現象は、「乱流化」と称される。乱流化によって空気のゴルフボールからの剥離点が後方にシフトし、抗力が低減される。乱流化によってバックスピンに起因するゴルフボールの上側剥離点と下側剥離点とのズレが助長され、ゴルフボールに作用する揚力が高められる。抗力の低減及び揚力の向上は、「ディンプル効果」と称される。優れたディンプルは、よりよく空気の流れを乱す。優れたディンプルは、大きな飛距離を生む。
バックスピンの速度は、弾道高さと相関する。バックスピンの速度が大きいゴルフボールでは、大きな弾道高さが得られる。ロングアイアンのショットでは、弾道高さが低くなりがちである。ゴルフプレーヤーは、ロングアイアンでのショットにおけるスピン速度が大きなゴルフボールを望んでいる。
特開2015-142599公報には、粗さが大きな表面を有するゴルフボールが開示されている。この粗さは、ブラスト処理等によって形成されうる。この粗さは、ディンプルとの相乗効果により、ゴルフボールの空力特性を高める。
特開2011-72776公報には、粒子を含む塗料によって形成されたコーティングを有するゴルフボールが開示されている。この粒子は、ディンプルとの相乗効果により、ゴルフボールの空力特性を高める。
特開平2-68077号公報には、その底部に1つの凸部を有するディンプルを備えたゴルフボールが開示されている。この凸部を有するディンプルは、ゴルフボールの空力特性を高める。
特開2015-142599公報 特開2011-72776公報 特開平2-68077号公報
本発明の目的は、ロングアイアンでのショットにおけるスピン速度が十分に大きく、かつ防汚性及び洗浄性に優れたゴルフボールの提供にある。
本発明に係るゴルフボールは、コアと、このコアの外側に位置するカバーとを有する。このカバーは、その表面に複数の微小突起を有する。それぞれの微小突起は、ゴルフボールの表面に露出する露出部を有する。ゴルフボールの表面の算術平均高さSaは、0.5μm以上30μm以下である。露出部の高さHの平均値Havは、0.5μm以上50μm以下である。
好ましくは、全ての露出部の面積の合計の、ゴルフボールの仮想球の表面積に対する比率Ppは、7%以上である。
好ましくは、露出部の直径Dの平均値Davは、5μm以上50μm以下である。
好ましくは、ある露出部とこの露出部に隣接する他の露出部との間の、ピッチPの平均値Pavは、100μm以下である。
好ましくは、ゴルフボールの表面の最大高さSzは、5μm以上200μm以下である。
ゴルフボールが、カバーを部分的に覆うペイント層をさらに有してもよい。露出部は、このペイント層から突出している。
本発明に係るゴルフボールでは、露出部が飛行中のゴルフボールの揚力を抑制する。このゴルフボールの弾道は、高すぎない。従ってこのゴルフボールでは、ロングアイアンでのショットにおいて大きな飛距離が得られる。
図1は、本発明の一実施形態に係るゴルフボールが示された断面図である。 図2は、図1のゴルフボールの一部が示された拡大断面図である。 図3は、図1のゴルフボールの表面の一部が示された拡大斜視図である。 図4は、図1のゴルフボールの一部が示された拡大断面図である。 図5は、図4のV-V線に沿った断面図である。 図6は、本発明の他の実施形態に係るゴルフボールの一部が示された断面図である。 図7は、本発明のさらに他の実施形態に係るゴルフボールの一部が示された断面図である。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1に示されたゴルフボール2は、球状のコア4と、このコア4の外側に位置する中間層6と、この中間層6の外側に位置するカバー8とを有している。コア4、中間層6及びカバー8は、ゴルフボール2の本体10に含まれる。このゴルフボール2は、ペイント層を有していない。このゴルフボール2は、その表面に多数のディンプル12を有している。ゴルフボール2の表面のうちディンプル12以外の部分は、ランド14である。本体10が、ワンピース構造、ツーピース構造、フォーピース構造、ファイブピース構造等を有してもよい。
このゴルフボール2の直径は、40mm以上45mm以下が好ましい。米国ゴルフ協会(USGA)の規格が満たされるとの観点から、直径は42.67mm以上が特に好ましい。空気抵抗抑制の観点から、直径は44mm以下がより好ましく、42.80mm以下が特に好ましい。本実施形態に係るゴルフボール2では、その直径は、42.7mmである。
このゴルフボール2の質量は、40g以上50g以下が好ましい。大きな慣性が得られるとの観点から、質量は44g以上がより好ましく、45.00g以上が特に好ましい。USGAの規格が満たされるとの観点から、質量は45.93g以下が特に好ましい。
好ましくは、コア4は、ゴム組成物が架橋されることによって形成されている。ゴム組成物の基材ゴムとして、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン-ブタジエン共重合体、エチレン-プロピレン-ジエン共重合体及び天然ゴムが例示される。2種以上のゴムが併用されてもよい。反発性能の観点から、ポリブタジエンが好ましく、特にハイシスポリブタジエンが好ましい。
コア4が、樹脂組成物から形成されてもよい。コア4が、ゴム組成物と樹脂組成物との混合物から形成されてもよい。中間層6又はカバー8に関して後述される樹脂組成物が、コア4に用いられうる。
コア4のゴム組成物は、共架橋剤を含んでいる。反発性能の観点から好ましい共架橋剤は、アクリル酸亜鉛、アクリル酸マグネシウム、メタクリル酸亜鉛及びメタクリル酸マグネシウムである。ゴム組成物が、共架橋剤と共に有機過酸化物を含むことが好ましい。好ましい有機過酸化物として、ジクミルパーオキサイド、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン及びジ-t-ブチルパーオキサイドが挙げられる。
コア4のゴム組成物が、充填剤、硫黄、加硫促進剤、硫黄化合物、老化防止剤、着色剤、可塑剤及び分散剤のような添加剤を含んでもよい。ゴム組成物が、カルボン酸又はカルボン酸塩を含んでもよい。ゴム組成物が、合成樹脂粉末又は架橋されたゴム粉末を含んでもよい。
コア4の直径は30.0mm以上が好ましく、38.0mm以上が特に好ましい。コア4の直径は42.0mm以下が好ましく、41.5mm以下が特に好ましい。コア4が、2以上の層を有してもよい。コア4が、その表面にリブを有してもよい。コア4が中空であってもよい。
中間層6は、樹脂組成物からなる。この樹脂組成物の好ましい基材ポリマーは、アイオノマー樹脂である。好ましいアイオノマー樹脂として、α-オレフィンと炭素数が3以上8以下のα,β-不飽和カルボン酸との二元共重合体が挙げられる。好ましい他のアイオノマー樹脂として、α-オレフィンと炭素数が3以上8以下のα,β-不飽和カルボン酸と炭素数が2以上22以下のα,β-不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体が挙げられる。この二元共重合体及び三元共重合体において、好ましいα-オレフィンはエチレン及びプロピレンであり、好ましいα,β-不飽和カルボン酸はアクリル酸及びメタクリル酸である。この二元共重合体及び三元共重合体において、カルボキシル基の一部は金属イオンで中和されている。中和のための金属イオンとして、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、亜鉛イオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン及びネオジウムイオンが例示される。
アイオノマー樹脂に代えて、又はアイオノマー樹脂と共に、中間層6の樹脂組成物が他のポリマーを含んでもよい。他のポリマーとして、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン及びポリウレタンが例示される。樹脂組成物が、2種以上のポリマーを含んでもよい。
中間層6の樹脂組成物が、二酸化チタンのような着色剤、硫酸バリウムのような充填剤、分散剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、蛍光剤、蛍光増白剤等を含んでもよい。比重調整の目的で、この樹脂組成物がタングステン、モリブデン等の高比重金属の粉末を含んでもよい。
中間層6の厚みは0.2mm以上が好ましく、0.3mm以上が特に好ましい。中間層6の厚みは2.5mm以下が好ましく、2.2mm以下が特に好ましい。中間層6の比重は0.90以上が好ましく、0.95以上が特に好ましい。中間層6の比重は1.10以下が好ましく、1.05以下が特に好ましい。中間層6が、2以上の層を有してもよい。
カバー8は、熱可塑性樹脂組成物若しくは熱硬化性樹脂組成物又は両者の混合物から成形されている。好ましくは、カバー8は、熱可塑性樹脂組成物から成形される。この樹脂組成物の基材ポリマーとして、アイオノマー樹脂、熱可塑性ポリエステルエラストマー、熱可塑性ポリアミドエラストマー、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、熱可塑性ポリオレフィンエラストマー及び熱可塑性ポリスチレンエラストマーが例示される。特に、アイオノマー樹脂が好ましい。アイオノマー樹脂は、高弾性である。アイオノマー樹脂を含むカバー8を有するゴルフボール2は、反発性能に優れる。このゴルフボール2は、ドライバーショットでの飛距離に優れる。中間層6に関して前述されたアイオノマー樹脂が、カバー8に用いられうる。
アイオノマー樹脂と他の樹脂とが併用されてもよい。併用される場合は、反発性能の観点から、アイオノマー樹脂が基材ポリマーの主成分とされる。全基材ポリマーに対するアイオノマー樹脂の比率は、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上が特に好ましい。
カバー8の樹脂組成物が、顔料を含んでもよい。樹脂組成物は、無機顔料及び有機顔料を含みうる。無機顔料として、べんがら(Fe)、鉛丹(Pb)、モリブデンレッド及びカドミウムレッドのような赤色顔料;チタンイエロー(TiO-NiO-Sb)、リサージ(PbO)、黄鉛(PbCrO)、黄色酸化鉄(FeO(OH))及びカドミウムイエローのような黄色顔料;コバルトブルー(CoO・Al)、プルシアンブルー及び群青のような青色顔料が例示される。有機顔料として、アゾ顔料、フタロシアニン顔料及びペリレン系顔料が例示される。アゾ顔料が、好ましい。アゾ顔料として、ピグメントイエロー-1、ピグメントイエロー-12、ピグメントレッド3、ピグメントレッド57及びピグメントオレンジ13が例示される。
カバー8の樹脂組成物が、充填剤、分散剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、蛍光剤、蛍光増白剤等を適量含んでもよい。
カバー8の厚みは0.2mm以上が好ましく、0.3mm以上が特に好ましい。カバー8の厚みは2.5mm以下が好ましく、2.2mm以下が特に好ましい。カバー8の比重は0.90以上が好ましく、0.95以上が特に好ましい。カバー8の比重は1.10以下が好ましく、1.05以下が特に好ましい。カバー8が、2以上の層を有してもよい。
図2には、ディンプル12の中心及びゴルフボール2の中心を通過する平面に沿った、ゴルフボール2の断面が示されている。図2における上下方向は、ディンプル12の深さ方向である。図2において二点鎖線16で示されているのは、仮想球である。仮想球16の表面は、ディンプル12及び露出部(後に詳説)が存在しないと仮定されたときのゴルフボール2の表面である。仮想球16の直径は、ゴルフボール2の直径と同一である。ディンプル12は、仮想球16の表面から凹陥している。ランド14は、仮想球16の表面と一致している。
図2において矢印Dmで示されているのは、ディンプル12の直径である。この直径Dmは、ディンプル12の両側に共通する接線Tgが画かれたときの、一方の接点Edと他方の接点Edとの距離である。接点Edは、ディンプル12のエッジでもある。エッジEdは、ディンプル12の輪郭を画定する。
それぞれのディンプル12の直径Dmは、2.0mm以上6.0mm以下が好ましい。直径Dmが2.0mm以上であるディンプル12は、乱流化に寄与する。この観点から、直径Dmは2.5mm以上がより好ましく、2.8mm以上が特に好ましい。直径Dmが6.0mm以下であるディンプル12は、実質的に球であるというゴルフボール2の本質を損ねない。この観点から、直径Dmは5.5mm以下がより好ましく、5.0mm以下が特に好ましい。
非円形ディンプルの場合、この非円形ディンプルの面積と同じ面積を有する円形ディンプル12が仮想される。この仮想されたディンプル12の直径が、非円形ディンプルの直径と見なされる。
図2において両矢印Dpで示されているのは、ディンプル12の深さである。この深さDpは、ディンプル12の最深部と接線Tgとの距離である。全てのディンプル12の深さDpが合計され、この合計がディンプル12の総数で除されることにより、平均深さDpavが算出される。平均深さDpavは、80μm以上200μm以下が好ましい。平均深さDpavが80μm以上であるゴルフボール2では、大きなランが達成されうる。この観点から、平均深さDpavは100μm以上がより好ましく、110μm以上が特に好ましい。平均深さDpavが200μm以下であるゴルフボール2では、大きなキャリーが達成されうる。この観点から、平均深さDpavは180μm以下がより好ましく、160μm以下が特に好ましい。
図3は、図1のゴルフボール2の表面の一部が示された拡大斜視図である。前述の通りこのゴルフボール2は、ペイント層を有していない。従って、カバー8の表面が、図3に示されたゴルフボール2の表面である。図3に示されるように、このカバー8は、その表面に多数の微小突起18を備えている。それぞれの微小突起18は、おおむね円柱形状を有する。図2から明らかなように、微小突起18は、ディンプル12の表面に形成されており、かつ、ランド14の表面にも形成されている。それぞれの微小突起18は、ゴルフボール2の半径方向外向きに起立している。微小突起18が、ディンプル12の表面のみに形成されてもよい。微小突起18が、ランド14の表面のみに形成されてもよい。ペイント層を有さないので、それぞれの微小突起18は、全体として、ゴルフボール2の表面に露出している。ペイント層を有さないゴルフボール2では、この微小突起18は、全体として、露出部19でもある。
ゴルフボール2が地面に衝突したとき、又は地面を転がったとき、このゴルフボール2の表面に泥が接触することがある。露出部19とこれに隣接する露出部19との間を流路として泥が流れるので、この泥がゴルフボール2に付着しにくい。このゴルフボール2は、汚れにくい。このゴルフボール2は、防汚性に優れる。
露出部19とこれに隣接する露出部19との間では、水が流れやすい。従って、ゴルフボール2の表面に泥が付着しても、水で洗われると、この水が汚れを取り込んで流れる。このゴルフボール2では、汚れが除去されやすい。このゴルフボール2は、洗浄性に優れる。露出部19は、マーク層の保護にも寄与しうる。
前述の通り、このゴルフボール2は、ペイント層を有していない。従って、ペイント層に起因するスピン速度の向上は、望めない。しかし、露出部19を有するゴルフボール2のクラブフェースとの摩擦係数は大きいので、従来のゴルフボールに比べて大幅なスピン速度の低下は生じない。このゴルフボール2は、ロングアイアンでのショットにおける飛行性能に優れる。
図3には、第一列Iに属する複数の露出部19と、第二列IIに属する複数の露出部19とが示されている。図3において矢印Aで示される方向は、列の延在方向である。それぞれの列において、露出部19は、等ピッチで並んでいる。換言すれば、露出部19は規則的に並んでいる。第一列Iに属する露出部19と第二列IIに属する露出部19とは、ジグザグに並んでいる。ゴルフボール2の表面の一部において、露出部19が不規則に並んでもよい。
図4は、図1のゴルフボール2の一部が示された拡大断面図である。カバー8は、微小突起18(すなわち露出部19)を有している。露出部19は、ゴルフボール2の半径方向外向きに起立している。図4において符号24で示されているのは、露出部19の底面である。
図5は、図4のV-V線に沿った断面図である。図5には、露出部19の底面24が示されている。前述の通り、微小突起18は円柱形状を有する。従って、露出部19の底面24の形状は円である。
図4において矢印Dで示されているのは、底面24の直径であり、露出部19の直径である。全ての露出部19の直径Dが合計され、この合計が露出部19の数で除されることにより、平均直径Davが算出される。平均直径Davは、5μm以上50μm以下が好ましい。平均直径Davが上記範囲内であるゴルフボール2は、防汚性及び洗浄性に優れる。平均直径Davが上記範囲内であるゴルフボール2は、ロングアイアンでのショットにおける飛距離に優れる。これらの観点から、平均直径Davは15μm以上がより好ましく、20μm以上が特に好ましい。同様の観点から、平均直径Davは40μm以下がより好ましく、35μm以下が特に好ましい。
露出部19の面積は、底面24の面積として定義される。図4及び5に示された露出部19の面積Spは、下記の数式によって算出されうる。
Sp = (D / 2) * π
全ての露出部19の面積Spの合計の、ゴルフボール2の仮想球16の表面積に対する比率Ppは、7%以上が好ましい。比率Ppが7%以上であるゴルフボール2は、防汚性及び洗浄性に優れる。このゴルフボール2はさらに、ロングアイアンでのショットにおける飛距離に優れる。これらの観点から、比率Ppは15%以上が好ましく、20%以上が特に好ましい。ゴルフボール2のための金型の製造容易の観点から、この比率Ppは50%以下が好ましく、40%以下がより好ましく、35%以下が特に好ましい。
図5には、第一の露出部19cの底面24cと共に、二点鎖線にて、第二の露出部19dの底面24dも示されている。第二の露出部19dは、第一の露出部19cに隣接している。図5において二点鎖線26で示されているのは、第一の露出部19cの底面24cの重心Ocと、第二の露出部19dの底面24dの重心Odとを通過する直線である。
図5において矢印Pで示されているのは、ピッチである。ピッチPは、第一の露出部19cと、この第一の露出部19cに隣接する第二の露出部19dとの距離である。ピッチPは、第一の露出部19cの底面24cの重心Ocと、第二の露出部19dの底面24dの重心Odとの距離である。「第一の露出部19cに隣接する第二の露出部19d」とは、第一の露出部19cの周辺に存在する露出部19のうち、第一の露出部19cとの距離L(後に詳説)が最も小さい露出部19である。
それぞれの露出部19に、1つのピッチPが決定される。全ての露出部19のピッチPが合計され、この合計が露出部19の数で除されることにより、平均ピッチPavが算出される。平均ピッチPavは、100μm以下が好ましい。平均ピッチPavが100μm以下であるゴルフボール2は、防汚性、洗浄性及びロングアイアンでのショットにおける飛行性能に優れる。これらの観点から、平均ピッチPavは80μm以下がより好ましく、70μm以下が特に好ましい。同様の観点から、平均ピッチPavは10μm以上が好ましく、20μm以上がより好ましく、25μm以上が特に好ましい。
図5において矢印Lで示されているのは、第一の露出部19cとこの第一の露出部19cに隣接する第二の露出部19dとの間の距離である。距離Lは、ピッチPから、第一の露出部19cの底面24cの半径、及び第二の露出部19dの底面24dの半径が減じられた値である。それぞれの露出部19に、1つの距離Lが決定される。全ての露出部19の距離Lが合計され、この合計が露出部19の数で除されることにより、平均距離Lavが算出される。平均距離Lavは、5μm以上50μm以下が好ましい。平均距離Lavがこの範囲内であるゴルフボール2は、防汚性、洗浄性及びロングアイアンでのショットにおける飛行性能に優れる。これらの観点から、平均距離Lavは10μm以上40μm以下が特に好ましい。
図4において矢印Hで示されているのは、微小突起18の高さであり、露出部19の高さである。高さHは、ゴルフボール2の半径方向に沿って測定される。全ての露出部19の高さHが合計され、この合計が露出部19の数で除されることにより、平均高さHavが算出される。平均高さHavは、0.5μm以上50μm以下が好ましい。平均高さHavがこの範囲内であるゴルフボール2は、防汚性、洗浄性及びロングアイアンでのショットにおける飛行性能に優れる。これらの観点から、平均高さHavは2μm以上が好ましく、3μm以上が特に好ましい。同様の観点から、平均高さHavは40μm以下がより好ましく、35μm以下が特に好ましい。
露出部19の総数は、1万個以上1000万個以下が好ましい。総数が1万個以上であるゴルフボール2は、防汚性、洗浄性及びロングアイアンでのショットにおける飛行性能に優れる。これらの観点から、総数は2万個以上がより好ましく、5万個以上が特に好ましい。総数が1000万個以下であるゴルフボール2の金型は、製造が容易である。この観点から、総数は700万個以下がより好ましく、500万個以下が特に好ましい。
ゴルフボール2の表面の算術平均高さSaは、0.5μm以上30μm以下が好ましい。算術平均高さSaがこの範囲内であるゴルフボール2は、防汚性、洗浄性及びロングアイアンでのショットにおける飛行性能に優れる。これらの観点から、算術平均高さSaは1.5μm以上がより好ましく、2.0μm以上が特に好ましい。同様の観点から、算術平均高さSaは25μm以下がより好ましく、20μm以下が特に好ましい。
ゴルフボール2の表面の最大高さSzは、5μm以上200μm以下が好ましい。最大高さSzがこの範囲内であるゴルフボール2は、防汚性、洗浄性及びロングアイアンでのショットにおける飛行性能に優れる。これらの観点から、最大高さSzは10μm以上がより好ましく、15μm以上が特に好ましい。同様の観点から、最大高さSzは180μm以下がより好ましく、160μm以下が特に好ましい。
算術平均高さSa及び最大高さSzは、ISO-25178の規定に準拠して、レーザー顕微鏡(例えばキーエンス社の非接触式表面粗さ・形状測定器)によって測定される。この顕微鏡では、ゴルフボール2の表面にてレーザーがX方向及びY方向に走査される。この走査により、ゴルフボール2の表面の凹凸データが取得される。これによって得られた三次元画像から、算術平均高さSa及び最大高さSzが算出される。測定条件は、以下の通りである。
倍率:1000
測定範囲X:250μm
測定範囲Y:250μm
カットオフ値:λc=0.25
観察領域:X=1024ピクセル、Y=768ピクセル
総画素数:786432ピクセル
ゴルフボール2の表面の光沢度は、0.1以上20以下が好ましい。光沢度がこの範囲内であるゴルフボール2は、外観に優れる。この観点から、光沢度は0.3以上17以下がより好ましく、0.5以上15以下が特に好ましい。光沢度は、「ASTM D523-60°」の規定に準拠して測定される。
図6は、本発明の他の実施形態に係るゴルフボールの一部が示された断面図である。図6には、本体の一部であるカバー28が示されている。カバー28は、微小突起32を有している。このゴルフボールは、ペイント層を有していない。従って、微小突起32は、全体として、露出部34である。図6において符号36で示されているのは、露出部34の底面である。
微小突起32は、円錐台形状を有する。従って、露出部34も、円錐台形状を有する。このゴルフボールの、微小突起32の形状(すなわち露出部34の形状)以外のスペックは、図1-5に示されたゴルフボール2のスペックと同じである。
このゴルフボールでも、露出部34は、防汚性、洗浄性及びロングアイアンでのショットにおける飛行性能に寄与する。
図7は、本発明のさらに他の実施形態に係るゴルフボールの一部が示された断面図である。このゴルフボールは、カバー38とペイント層40とを有している。カバー38は、微小突起42を有している。ペイント層40は、薄い。従って、微小突起42の一部は、ペイント層40に覆われていない。換言すれば、微小突起42の一部は、ゴルフボールの表面に露出している。この部分は、露出部44と称される。露出部44は、ペイント層40から突出している。図7において符号46で示されているのは、露出部44の底面である。
このゴルフボールでも、露出部44は、防汚性、洗浄性及びロングアイアンでのショットにおける飛行性能に優れる。
ゴルフボールが、円錐、角柱、角錐台、角錐、部分球等の形状を有する微小突起を有してもよい。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[実施例1]
100質量部のハイシスポリブタジエン(JSR社の商品名「BR-730」)、27.4質量部のアクリル酸亜鉛、5質量部の酸化亜鉛、適量の硫酸バリウム、0.5質量部のジフェニルジスルフィド及び0.9質量部のジクミルパーオキサイドを混練し、ゴム組成物を得た。このゴム組成物を共に半球状キャビティを備えた上型及び下型からなる金型に投入し、160℃で20分間加熱して、直径が38.20mmであるコアを得た。所定の質量のコアが得られるように、硫酸バリウムの量を調整した。
26質量部のアイオノマー樹脂(三井デュポンポリケミカル社の商品名「ハイミランAM7337」)、26質量部の他のアイオノマー樹脂(三井デュポンポリケミカル社の商品名「ハイミランAM7329」)、48質量部のスチレンブロック含有熱可塑性エラストマー(三菱化学社の商品名「ラバロンT3221C」)、4質量部の二酸化チタン(A220)及び0.2質量部の光安定剤(城北化学工業社の商品名「JF-90」)を二軸混練押出機で混練し、樹脂組成物を得た。この樹脂組成物を射出成形法にてコアの周りに被覆し、中間層を形成した。この中間層の厚みは、1.00mmであった。
47質量部のアイオノマー樹脂(三井デュポンポリケミカル社の商品名「ハイミラン1555」)、46質量部の他のアイオノマー樹脂(三井デュポンポリケミカル社の商品名「ハイミラン1557」)、7質量部のスチレンブロック含有熱可塑性エラストマー(前述の「ラバロンT3221C」)、4質量部の二酸化チタン(A220)及び0.2質量部の光安定剤(前述の「JF-90」)を二軸混練押出機で混練し、樹脂組成物を得た。キャビティ面に多数のピンプル及び微小凹みを有するファイナル金型に、コア及び中間層からなる球を投入した。上記樹脂組成物を射出成形法にて中間層の周りに被覆し、カバーを形成した。このカバーの厚みは、1.25mmであった。カバーには、ピンプルの形状が反転した形状を有するディンプルが形成された。カバーにはさらに、微小凹みの形状が反転した形状を有する微小突起(露出部)が形成された。
[実施例2-8並びに比較例1及び3]
ファイナル金型を変更し、下記の表1-3に示される仕様の露出部を形成した他は実施例1と同様にして、実施例2-8並びに比較例1及び3のゴルフボールを得た。比較例3に係るゴルフボールは、露出部を有していない。
[比較例2]
カバーの全体をペイント層で覆った他は比較例3と同様にして、比較例2のゴルフボールを得た。ペイント層の厚みは、10μmであった。
[スピン速度]
ゴルフラボラトリー社のスイングマシンに、アイアンクラブ#5(住友ゴム工業社の商品名「SRIXON」、シャフト硬度:S)を装着した。ヘッド速度が41m/secである条件でゴルフボールを打撃して、スピン速度を測定した。20回の測定で得られたデータの平均値が、下記の表1-3に示されている。比較例2が基準とされたときのスピン速度の比率も、下記の表1-3に示されている。
[防汚性]
各実施例及び各比較例に係るゴルフボールを、土と一緒にバケツに投入し、この土をかき混ぜた。その後のゴルフボールの汚れの程度を、下記の基準に従って格付けした。
A:汚れが極めて少ない
B:汚れが少ない
C:汚れが多い
D:汚れが極めて多い
この結果が、下記の表1-3に示されている。
[洗浄性]
上記防汚性の評価に供したゴルフボールを、水と一緒にバケツに投入し、この水をかき混ぜた。その後のゴルフボールの汚れの程度を、下記の基準に従って格付けした。
A:汚れが極めて少ない
B:汚れが少ない
C:汚れが多い
D:汚れが極めて多い
この結果が、下記の表1-3に示されている。
Figure 0007290189000001
Figure 0007290189000002
Figure 0007290189000003
表1-3に示されるように、各実施例のゴルフボールは、ロングアイアンでのショットにおける飛行性能に優れている。さらに、各実施例のゴルフボールは、防汚性及び洗浄性に優れている。これらの評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
前述の微小突起は、スリーピースゴルフボールのみならず、ワンピースゴルフボール、ツーピースゴルフボール、フォーピースゴルフボール、ファイブピースゴルフボール、シックスピースゴルフボール、糸巻きゴルフボール等、様々な構造を有するゴルフボールに適用されうる。
2・・・ゴルフボール
4・・・コア
6・・・中間層
8・・・カバー
10・・・本体
12・・・ディンプル
14・・・ランド
16・・・仮想球
18、32、42・・・微小突起
19、34、44・・・露出部
24、36、46・・・底面
40・・・ペイント層

Claims (5)

  1. コアと、このコアの外側に位置するカバーとを備えたゴルフボールであって、
    上記カバーが、その表面に複数の微小突起を有しており、
    それぞれの微小突起が、上記ゴルフボールの表面に露出する露出部を有しており、
    上記ゴルフボールの表面の、算術平均高さSaが0.5μm以上30μm以下であり、
    上記露出部の高さHの平均値Havが、0.5μm以上50μm以下であり、
    上記カバーの厚みが0.2mm以上2.5mm以下であり、
    上記カバーの表面がその表面であるゴルフボール。
  2. 全ての露出部の面積の合計の、上記ゴルフボールの仮想球の表面積に対する比率Ppが、7%以上である請求項1に記載のゴルフボール。
  3. 上記露出部の直径Dの平均値Davが、5μm以上50μm以下である請求項1又は2に記載のゴルフボール。
  4. ある露出部とこの露出部に隣接する他の露出部との間の、ピッチPの平均値Pavが、100μm以下である請求項1から3のいずれかに記載のゴルフボール。
  5. その表面の最大高さSzが5μm以上200μm以下である請求項1から4のいずれかに記載のゴルフボール。
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