JP7288782B2 - 多層反射膜付き基板、反射型マスクブランク及び反射型マスク、並びに半導体装置の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明の構成1は、基板の上に低屈折率層と高屈折率層とを交互に積層させた多層膜からなり、露光光を反射するための多層反射膜を備える多層反射膜付き基板であって、
前記多層反射膜が、上層と、前記上層及び前記基板の間に配置される下層とを含み、
前記下層が、ホウ素(B)、炭素(C)、ジルコニウム(Zr)、窒素(N)、酸素(O)及び水素(H)から選択される少なくとも1つの添加元素を含み、
前記上層が、前記添加元素を実質的に含まないことを特徴とする多層反射膜付き基板である。
本発明の構成2は、前記低屈折率層が、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、ニオブ(Nb)、ロジウム(Rh)、及び白金(Pt)から選択される少なくとも1つを含むことを特徴とする、構成1の多層反射膜付き基板である。
本発明の構成3は、前記高屈折率層が、ケイ素(Si)を含むことを特徴とする、構成1又は2の多層反射膜付き基板である。
本発明の構成4は、前記下層の前記低屈折率層の前記添加元素の含有率が、前記下層の前記高屈折率層の前記添加元素の含有率よりも高いことを特徴とする、構成1乃至3のいずれかの多層反射膜付き基板である。
本発明の構成5は、前記下層の前記高屈折率層が、前記添加元素を実質的に含まないことを特徴とする、構成1乃至4のいずれかの多層反射膜付き基板である。
本発明の構成6は、前記多層反射膜の波長13.5nmのEUV光に対する反射率が67%以上となるように、前記下層の前記低屈折率層の前記添加元素の含有率、1対の前記低屈折率層及び前記高屈折率層を1周期としたときの前記多層反射膜の周期、及び前記下層の周期が調整されていることを特徴とする、構成1乃至5のいずれかの多層反射膜付き基板である。
本発明の構成7は、前記多層反射膜が、1対の前記低屈折率層及び前記高屈折率層を1周期として、30~60周期の積層膜を備えることを特徴とする、構成1乃至6のいずれかの多層反射膜付き基板である。
本発明の構成8は、前記下層が、1対の前記低屈折率層及び前記高屈折率層を1周期として、3~20周期の積層膜を備えることを特徴とする、構成1乃至7のいずれかの多層反射膜付き基板である。
本発明の構成9は、前記多層反射膜の上に保護膜を有することを特徴とする構成1乃至8のいずれかの多層反射膜付き基板である。
本発明の構成10は、構成1乃至8のいずれかの多層反射膜付き基板の前記多層反射膜の上、又は構成9の多層反射膜付き基板の前記保護膜の上に、吸収体膜を有することを特徴とする反射型マスクブランクである。
本発明の構成11は、前記多層反射膜の上に、構成10の反射型マスクブランクの前記吸収体膜をパターニングした吸収体パターンを有することを特徴とする反射型マスクである。
本発明の構成12は、構成11の反射型マスクを用いて、露光装置を使用したリソグラフィプロセスを行い、被転写体に転写パターンを形成する工程を有することを特徴とする半導体装置の製造方法である。
以下、本実施形態の多層反射膜付き基板110を構成する基板1及び各薄膜について説明をする。
本実施形態の多層反射膜付き基板110における基板1は、EUV露光時の熱による吸収体パターン歪みの発生を防止することが必要である。そのため、基板1としては、0±5ppb/℃の範囲内の低熱膨張係数を有するものが好ましく用いられる。この範囲の低熱膨張係数を有する素材としては、例えば、SiO2-TiO2系ガラス、多成分系ガラスセラミックス等を用いることができる。
本実施形態の多層反射膜付き基板110は、基板1の表面に接して下地膜を有することができる。下地膜は、基板1と多層反射膜5との間に形成される薄膜である。下地膜は目的に応じた機能を有する機能膜とすることができる。例えば、電子線によるマスクパターン欠陥検査時のチャージアップを防止する導電性層や、基板1の表面の平坦性を改善する平坦化層、基板1の表面の平滑性を改善する平滑化層を形成することができる。
多層反射膜5は、反射型マスク200において、EUV光を反射する機能を付与するものである。多層反射膜5は、屈折率の異なる元素を主成分とする各層が周期的に積層された多層膜である。本実施形態の多層反射膜5は、上層54と、上層54及び基板1の間に配置される下層52とを含む。
本実施形態の多層反射膜付き基板110では、図2に示すように、多層反射膜5上に保護膜6を形成することが好ましい。多層反射膜5上に保護膜6が形成されていることにより、多層反射膜付き基板110を用いて反射型マスク200を製造する際の多層反射膜5表面へのダメージを抑制することができる。そのため、得られる反射型マスク200のEUV光に対する反射率特性が良好となる。
本実施形態の反射型マスクブランク100の実施形態について説明する。本実施形態の反射型マスクブランク100を用いることにより、露光光に対する反射率が高く、かつ欠陥検査の際のバックグラウンドレベルが低い多層反射膜5を有する反射型マスク200を製造することができる。
反射型マスクブランク100は、上述の多層反射膜付き基板110の上に、吸収体膜7を有する。すなわち、吸収体膜7は、多層反射膜5の上(保護膜6が形成されている場合には、保護膜6の上)に形成される。吸収体膜7の基本的な機能は、EUV光を吸収することである。吸収体膜7は、EUV光の吸収を目的とした吸収体膜7であっても良いし、EUV光の位相差も考慮した位相シフト機能を有する吸収体膜7であっても良い。位相シフト機能を有する吸収体膜7とは、EUV光を吸収するとともに一部を反射させて位相をシフトさせるものである。すなわち、位相シフト機能を有する吸収体膜7がパターニングされた反射型マスク200において、吸収体膜7が形成されている部分では、EUV光を吸収して減光しつつパターン転写に悪影響がないレベルで一部の光を反射させる。また、吸収体膜7が形成されていない領域(フィールド部)では、EUV光は、保護膜6を介して多層反射膜5から反射する。そのため、位相シフト機能を有する吸収体膜7からの反射光と、フィールド部からの反射光との間に所望の位相差を有することになる。位相シフト機能を有する吸収体膜7は、吸収体膜7からの反射光と、多層反射膜5からの反射光との位相差が170度から190度となるように形成される。180度近傍の反転した位相差の光同士がパターンエッジ部で干渉し合うことにより、投影光学像の像コントラストが向上する。その像コントラストの向上に伴って解像度が上がり、露光量裕度、焦点裕度等の露光に関する各種裕度を大きくすることができる。
基板1の第2主表面(裏面)の上(多層反射膜5の形成面の反対側であり、基板1に水素侵入抑制膜等の中間層が形成されている場合には中間層の上)には、静電チャック用の裏面導電膜2が形成される。静電チャック用として、裏面導電膜2に求められるシート抵抗は、通常100Ω/□以下である。裏面導電膜2の形成方法は、例えば、クロム又はタンタル等の金属、又はそれらの合金のターゲットを使用したマグネトロンスパッタリング法又はイオンビームスパッタリング法である。裏面導電膜2クロム(Cr)を含む材料は、Crにホウ素、窒素、酸素、及び炭素から選択した少なくとも1つを含有したCr化合物であることが好ましい。Cr化合物としては、例えば、CrN、CrON、CrCN、CrCON、CrBN、CrBON、CrBCN及びCrBOCNなどを挙げることができる。裏面導電膜2のタンタル(Ta)を含む材料としては、Ta(タンタル)、Taを含有する合金、又はこれらのいずれかにホウ素、窒素、酸素、炭素の少なくとも1つを含有したTa化合物を用いることが好ましい。Ta化合物としては、例えば、TaB、TaN、TaO、TaON、TaCON、TaBN、TaBO、TaBON、TaBCON、TaHf、TaHfO、TaHfN、TaHfON、TaHfCON、TaSi、TaSiO、TaSiN、TaSiON、及びTaSiCONなどを挙げることができる。裏面導電膜2の膜厚は、静電チャック用としての機能を満足する限り特に限定されないが、通常10nmから200nmである。また、この裏面導電膜2はマスクブランク100の第2主表面側の応力調整も兼ね備えている。すなわち、裏面導電膜2は、第1主表面側に形成された各種膜からの応力とバランスをとって、平坦な反射型マスクブランク100が得られるように調整される。
本実施形態の製造方法で製造される多層反射膜付き基板110及び反射型マスクブランク100は、吸収体膜7上にエッチング用ハードマスク膜(「エッチングマスク膜」ともいう。)及び/又はレジスト膜8を備えることができる。エッチング用ハードマスク膜の代表的な材料としては、ケイ素(Si)、並びにケイ素に酸素(O)、窒素(N)、炭素(C)及び水素(H)から選択される少なくとも1つの元素を加えた材料、又は、クロム(Cr)、並びにクロムに酸素(O)、窒素(N)、炭素(C)及びは水素(H)から選択される少なくとも1つの元素を加えた材料等がある。具体的には、SiO2、SiON、SiN、SiO、Si、SiC、SiCO、SiCN、SiCON、Cr、CrN、CrO、CrON、CrC、CrCO、CrCN、及びCrOCN等が挙げられる。但し、吸収体膜7が酸素を含む化合物の場合、エッチング用ハードマスク膜として酸素を含む材料(例えばSiO2)はエッチング耐性の観点から避けたほうが良い。エッチング用ハードマスク膜を形成した場合には、レジスト膜8の膜厚を薄くすることが可能となり、パターンの微細化に対して有利である。
本発明の実施形態は、上述の反射型マスクブランク100の吸収体膜7をパターニングして、多層反射膜5上に吸収体パターン7aを有する反射型マスク200である。本実施形態の反射型マスクブランク100を用いることにより、露光光に対する反射率が高く、かつ欠陥検査の際のバックグラウンドレベルが低い多層反射膜5を有する反射型マスク200を得ることができる。
実験1、実験2、実験3-1、及び実験4-1として、図1に示すように、基板1の一方の主表面に多層反射膜5を形成した多層反射膜付き基板110を作製した。実験1、実験2、実験3-1、及び実験4-1の多層反射膜付き基板110の作製は、次のようにして行った。
第1主表面及び第2主表面の両表面が研磨された6025サイズ(約152mm×152mm×6.35mm)の低熱膨張ガラス基板であるSiO2-TiO2系ガラス基板を準備し、基板1とした。平坦で平滑な主表面となるように、粗研磨加工工程、精密研磨加工工程、局所加工工程、及びタッチ研磨加工工程よりなる研磨を行った。
実験1では、DCスパッタリング装置を用いて、上述の基板1の第1主表面の上に、下層52及び上層54を備えた多層反射膜5を形成した。この多層反射膜5は、波長13.5nmのEUV光に適した多層反射膜5とするために、高屈折率層としてSiを主材料とし、低屈折率層としてMoを主材料とした、高屈折率層と低屈折率層を1周期(ペア)としたとき、下層52及び上層54からなる合計の周期数(ペア数)が40周期(ペア)を備えた多層反射膜5とした。多層反射膜52は、MoターゲットとSiターゲットを使用し、所定のガス雰囲気中で、DCスパッタリング法により、基板1の上に接して高屈折率層及び低屈折率層を交互に積層して形成した。先ず、高屈折率層を4.2nmの厚みで成膜し、続いて、低屈折率層を2.8nmの厚みで成膜した。これを1周期(ペア)とし、同様にして、下層52と上層54とを合わせて40周期(ペア)積層し、最後に高屈折率層のSi膜を4.0nmの厚みで成膜し、多層反射膜5を形成した。
実験2では、実験1と同様に、DCスパッタリング装置を用いて、上述の基板1の第1主表面の上に、下層52及び上層54を備えた多層反射膜5を形成した。この多層反射膜5は、波長13.5nmのEUV光に適した多層反射膜5とするために、高屈折率層としてSiを主材料とし、低屈折率層としてMoを主材料とした、高屈折率層と低屈折率層を1周期(ペア)としたとき、下層52及び上層54の周期数(ペア数)が40周期(ペア)を備えた多層反射膜5とした。多層反射膜52は、MoターゲットとSiターゲットを使用し、所定のガス雰囲気中で、DCスパッタリング法により、基板1上に高屈折率層及び低屈折率層を交互に積層して形成した。実験1と同様に、先ず、高屈折率層を4.2nmの厚みで成膜し、続いて、低屈折率層を2.8nmの厚みで成膜した。これを1周期(ペア)とし、同様にして、下層52と上層54とを合わせて40周期(ペア)積層し、最後に高屈折率層のSi膜を4.0nmの厚みで成膜し、多層反射膜5を形成した。
実験3-1では、DCスパッタリング装置を用いて、上述の基板1の第1主表面の上に、下層52及び上層54を備えた多層反射膜5を形成した。この多層反射膜5は、波長13.5nmのEUV光に適した多層反射膜5とするために、高屈折率層としてSiを主材料とし、低屈折率層としてMoを主材料とした、高屈折率層と低屈折率層を1周期(ペア数)としたとき、下層52及び上層54からなる合計の周期数(ペア数)が40周期(ペア)を備えた多層反射膜5とした。多層反射膜5の下層52は、Siターゲットと、Mo及びBの合金ターゲットとを使用し、所定のガス雰囲気中で、DCスパッタリング法により、基板1上に上記添加元素を含まないSi層(高屈折率層)及びBを添加元素として含むMo層(低屈折率層)を交互に積層して形成した。多層反射膜5の上層54は、Siターゲットと、Moターゲットとを使用し、所定のガス雰囲気中で、DCスパッタリング法により、基板1上に上記添加元素を含まないSi層(高屈折率層)及び上記添加元素を含まないMo層(低屈折率層)を交互に積層して形成した。実験1と同様に、先ず、高屈折率層(Si層)を4.2nmの厚みで成膜し、続いて、低屈折率層を2.8nmの厚みで成膜した。これを1周期(ペア)とし、同様にして、下層52と上層54とを合わせて40周期(ペア)積層し、最後に高屈折率層のSi膜を4.0nmの厚みで成膜し、多層反射膜5を形成した。
実験4では、実験1-2において、下層52の低屈折率層の成膜の際に、Krガスに加えて、N2ガスを用い、下層52の高屈折率層の成膜の際に、N2ガスを用いず、Krガスのみを用いて下層52、及び上層54を成膜した以外は実験1-2と同様にして多層反射膜付き基板110を製造した。
表1に示す実験1(実験1-1、実験1-2及び実験1-3)では、多層反射膜5の下層52の成膜の際に、Krガスに加えて、N2ガスを用いることによって、窒素(N)を添加元素として下層52へ導入した。一方、実験1では、多層反射膜5の上層54の成膜の際にはKrガスのみを導入した。下層52と上層54における添加元素である窒素(N)の有無を、TEM-EDX分析により確認した。その結果、下層52(低屈折率層と高屈折率層とが交互に積層された積層膜)には、窒素(N)を含んでいたが、上層54には、窒素(N)を含んでいないことを確認した。また、実験1-1、実験1-2及び実験1-3において、成膜の際のN2ガスの流量が多くなるに従って、下層52に含まれる添加元素の窒素が多く含まれていることを確認した。表1に示すように、実験1-1、実験1-2及び実験1-3では、成膜の際のN2ガスの流量を、それぞれ0.2sccm、0.25sccm及び0.35sccmとした。実験1-1、実験1-2及び実験1-3の試料1の場合には、添加元素として窒素(N)を含有した低屈折率層と高屈折率層を交互に積層した積層膜を備えた下層52を成膜しなかった。そのため、試料1のバックグラウンドレベル(BGL)は、413と高い値だった。これに対して、実験1-1の試料2~6、実験1-2の試料2~4及び実験1-3の試料2~3の場合には、添加元素として窒素(N)を含有した低屈折率層と高屈折率層を交互に積層した積層膜を備えた下層52を成膜したため、バックグラウンドレベル(BGL)は、400未満という低い値だった。したがって、多層反射膜5が窒素(N)を添加元素として含む下層52を有することにより、欠陥検査の際のバックグラウンドレベルが低い多層反射膜5を得ることができるといえる。
表2に示す実験2(実験2-1及び実験2-2)では、多層反射膜5の下層52の成膜の際に、Krガスに加えて、CH4ガスを用いることによって、炭素(C)を添加元素として下層52へ導入した。一方、実験2では、多層反射膜5の上層54の成膜の際にはKrガスのみを導入した。下層52と上層54における添加元素である炭素(C)の有無を、TEM-EDX分析により確認した。その結果、下層52(低屈折率層と高屈折率層とが交互に積層された積層膜)には、炭素(C)を含んでいたが、上層54には、炭素(C)を含んでいないことを確認した。また、実験2-1、実験2-2において、成膜の際のCH4ガスの流量が多くなるにしたがって、下層52に含まれる添加元素の炭素が多く含まれていることを確認した。表2に示すように、実験2-1及び実験2-2では、成膜の際のCH4ガスの流量を、それぞれ0.24sccm及び1.2sccmとした。実験2-1及び実験2-2の試料1の場合には、添加元素として炭素(C)を含有した低屈折率層と高屈折率層の交互に積層した積層膜を備えた下層52を成膜しなかった。そのため、試料1のバックグラウンドレベル(BGL)は、413と高い値だった。また、実験2-1の試料2も、バックグラウンドレベル(BGL)が、410と高い値だった。これに対して、実験2-1の試料3~6、及び実験2-2の試料2~6の場合には、バックグラウンドレベル(BGL)が、400未満という低いだった。実験2-1の場合は、添加元素として炭素(C)を含有した低屈折率層と高屈折率層を1周期(ペア)としたとき、少なくとも3周期(ペア)より多くの下層52、及び実験2-2の場合は、3周期(ペア)以上の下層52を有することにより、欠陥検査の際のバックグラウンドレベルが低い多層反射膜5を得ることができるといえる。
表3に示す実験3-1では、下層52の低屈折率層の成膜の際に、添加元素としてホウ素(B)を含むMo合金ターゲットを用いることによって、ホウ素(B)を添加元素として下層52の低屈折率層へ導入した。一方、実験3-1では、多層反射膜5の上層54の低屈折率層の成膜の際に、Moターゲットを用いることによって成膜した。下層52と上層54における添加元素であるホウ素(B)の有無を、TEM-EDX分析により確認した。その結果、下層52の低屈折率層には、ホウ素(B)を含んでいたが、下層52の高屈折率層と上層54には、ホウ素(B)を含んでいないことを確認した。なお、実験3-1の試料1の場合には、添加元素としてホウ素(B)を含有した低屈折率層と、ホウ素を含まない高屈折率層の交互に積層した積層膜を備えた下層52を成膜しなかった。そのため、試料1のバックグラウンドレベル(BGL)が、413と高い値だった。これに対して、実験3-1の試料2~5の場合には、添加元素としてホウ素(B)を含有した低屈折率層と、ホウ素(B)を含有しない高屈折率層を交互に積層した積層膜を備えた下層52を成膜したため、バックグラウンドレベル(BGL)が、400未満という低い値だった。したがって、多層反射膜5がホウ素(B)を添加元素として含む下層52を有することにより、欠陥検査の際のバックグラウンドレベルが低い多層反射膜5を得ることができるといえる。
表4に示す実験4-1では、下層52の低屈折率層の成膜の際に、Krガスに加えて、N2ガスを用いることによって、窒素(N)を添加元素として下層52の低屈折率層へ導入した。一方、多層反射膜5の下層52の高屈折率層、及び、上層54の成膜の際にはKrガスのみを導入した。下層52における添加元素である窒素(N)の有無を、TEM-EDX分析により確認した。その結果、下層52の低屈折率層には、窒素(N)を含んでいたが、下層52の高屈折率層、及び上層54には、窒素(N)を含んでいないことを確認した。表4に示すように、実験4-1では、下層52の低屈折率層の成膜の際のN2ガスの流量を、0.25sccmとした。実験4-1の試料1の場合には、添加元素として窒素(N)を含有した低屈折率層と、窒素(N)を含有していない高屈折率層を交互に積層した積層膜を備えた下層52を成膜しなかった。そのため、試料1のバックグラウンドレベル(BGL)は、413と高い値だった。また、下層52が3周期(ペア)である試料2のバックグラウンドレベル(BGL)は、405と高い値だった。これに対して、実験4-1の試料3~6の場合には、添加元素として窒素(N)を含有した低屈折率層と、窒素を含有しない高屈折率層を交互に積層した積層膜を備えた下層52を成膜したため、バックグラウンドレベル(BGL)は、400未満という低い値だった。したがって、多層反射膜5が窒素(N)を添加元素として含む低屈折率層を有する下層52を有することにより、欠陥検査の際のバックグラウンドレベルが低い多層反射膜5を得ることができるといえる。
上記の実験1~4のうち、実験1-1の試料1~4、実験1-2の試料1~3、実験1-3の試料1、実験2-1の試料1~5、実験2-2の試料1~3及び実験3の試料1~3、実験4の試料1~5の多層反射膜付き基板110は、露光光である波長13.5nmのEUV光に対する反射率が67%以上であり、反射率が高い多層反射膜5を有する。ただし、上記の実験1~4の試料のうち、実験1~4の試料1及び実験2-1の試料2、実験4-1の試料2の多層反射膜付き基板110は、欠陥検査の際のバックグラウンドレベルが400以上と高いため、欠陥検査に必要な時間が長かった。また、欠陥検査の際のバックグランドレベルが400以上と高いために、転写に寄与する実欠陥が含まれないと判定した多層反射膜付き基板110に、実欠陥が含まれているリスクがある。そこで、反射率が高く(67%以上)、バックグラウンドレベルが低い(400未満)実験1-1の試料2~4、実験1-2の試料2~3、実験2-1の試料3~5、実験2-2の試料2~3、実験3-1の試料2~3、及び実験4-1の試料3~5の多層反射膜付き基板110を用いて、反射型マスクブランク100を製造することができる。以下、実験1~3の所定の試料(実験1-1の試料2~4、実験1-2の試料2~3、実験2-1の試料3~5、実験2-2の試料2~3、実験3-1の試料2~3、及び実験4-1の試料3~5の多層反射膜付き基板110)を用いた反射型マスクブランク100の製造方法について、説明する。
上述の多層反射膜付き基板110の表面に、保護膜6を形成した。Arガス雰囲気中で、Ruターゲットを使用したDCスパッタリング法によりRuからなる保護膜6を2.5nmの膜厚で成膜した。
次に、DCスパッタリング法により、吸収体膜7として膜厚62nmのTaBN膜を形成した。TaBN膜は、TaB混合焼結をターゲットに用いて、ArガスとN2ガスの混合ガス雰囲気にて反応性スパッタリング法で形成した。
次に、基板1の第2主表面(裏面)にCrNからなる裏面導電膜2をマグネトロンスパッタリング(反応性スパッタリング)法により下記の条件にて形成した。裏面導電膜2の形成条件:Crターゲット、ArとN2の混合ガス雰囲気(Ar:90原子%、N:10原子%)、膜厚20nm。
次に、上記の、実験1~4の所定の試料の反射型マスクブランク100を用いて、反射型マスク200を製造した。図4を参照して反射型マスク200の製造方法を説明する。
上記の、反射率が高く、バックグラウンドレベルが低い多層反射膜付き基板110を用いて製造した反射型マスク200をEUVスキャナにセットし、半導体基板上に被加工膜とレジスト膜が形成されたウエハに対してEUV露光を行った。そして、この露光済レジスト膜を現像することによって、被加工膜が形成された半導体基板上にレジストパターンを形成した。
2 裏面導電膜
5 多層反射膜
6 保護膜
7 吸収体膜
7a 吸収体パターン
8 レジスト膜
8a レジストパターン
52 下層
54 上層
100 反射型マスクブランク
110 多層反射膜付き基板
200 反射型マスク
Claims (11)
- 基板の上に低屈折率層と高屈折率層とを交互に積層させた多層膜からなり、露光光を反射するための多層反射膜を備える多層反射膜付き基板であって、
前記多層反射膜が、上層と、前記上層及び前記基板の間に配置される下層とを含み、
前記下層が、ホウ素(B)、炭素(C)、ジルコニウム(Zr)、窒素(N)、酸素(O)及び水素(H)から選択される少なくとも1つの添加元素を含み、
前記上層が、前記添加元素を実質的に含まず、
前記下層の前記低屈折率層の前記添加元素の含有率が、前記下層の前記高屈折率層の前記添加元素の含有率よりも高い
ことを特徴とする多層反射膜付き基板。 - 基板の上に低屈折率層と高屈折率層とを交互に積層させた多層膜からなり、露光光を反射するための多層反射膜を備える多層反射膜付き基板であって、
前記多層反射膜が、上層と、前記上層及び前記基板の間に配置される下層とを含み、
前記下層が、ホウ素(B)、炭素(C)、ジルコニウム(Zr)、窒素(N)、酸素(O)及び水素(H)から選択される少なくとも1つの添加元素を含み、
前記上層が、前記添加元素を実質的に含まず、
前記下層の前記高屈折率層が、前記添加元素を実質的に含まないことを特徴とする多層反射膜付き基板。 - 前記低屈折率層が、モリブデン(Mo)、ルテニウム(Ru)、ニオブ(Nb)、ロジウム(Rh)、及び白金(Pt)から選択される少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の多層反射膜付き基板。
- 前記高屈折率層が、ケイ素(Si)を含むことを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の多層反射膜付き基板。
- 前記多層反射膜の波長13.5nmのEUV光に対する反射率が67%以上となるように、前記下層の前記低屈折率層の前記添加元素の含有率、1対の前記低屈折率層及び前記高屈折率層を1周期としたときの前記多層反射膜の周期、及び前記下層の周期が調整されていることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の多層反射膜付き基板。
- 前記多層反射膜の周期が、1対の前記低屈折率層及び前記高屈折率層を1周期として、30~60周期であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の多層反射膜付き基板。
- 前記下層の周期が、1対の前記低屈折率層及び前記高屈折率層を1周期として、3~20周期であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の多層反射膜付き基板。
- 前記多層反射膜の上に保護膜を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の多層反射膜付き基板。
- 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の多層反射膜付き基板の前記多層反射膜の上、又は請求項8に記載の多層反射膜付き基板の前記保護膜の上に、吸収体膜を有することを特徴とする反射型マスクブランク。
- 前記多層反射膜の上に、請求項9に記載の反射型マスクブランクの前記吸収体膜をパターニングした吸収体パターンを有することを特徴とする反射型マスク。
- 請求項10に記載の反射型マスクを用いて、露光装置を使用したリソグラフィプロセスを行い、被転写体に転写パターンを形成する工程を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
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