以下、添付図面を参照して、本願の開示する基板処理システムおよび処理流体供給方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態により本開示が限定されるものではない。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。さらに、図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
従来、基板である半導体ウェハ(以下、ウェハと呼称する。)などの表面に乾燥防止用の液膜を形成し、かかる液膜が形成されたウェハを超臨界状態の処理流体に接触させて乾燥処理を行う基板処理装置が知られている。
かかる基板処理装置に処理流体を供給する処理流体供給装置は、処理流体供給源から基板処理装置までの配管が直列状に形成されているため、処理流体内の異物をフィルタで濾過しようとしても濾過できる回数に限りがある。
そこで、処理流体供給装置内に処理流体を循環させる循環ラインを形成し、かかる循環ラインにフィルタを設けることにより、濾過できる回数を増やして異物を除去する性能を向上させることができる。
しかしながら、かかる循環ラインにおいて非圧縮性である液体状態の処理流体をポンプで送り出して循環させる場合、かかるポンプで生じる脈動の影響が大きいという問題がある。たとえば、かかる脈動により、ポンプや配管が破損したり、溶接部やネジ接合部に負荷を掛けてポンプや配管の寿命を縮めたりする恐れがある。
そこで、液体状態の処理流体をポンプで送り出す際に、かかるポンプで生じる脈動の影響を低減することが期待されている。
<基板処理装置の構成>
まず、実施形態に係る基板処理装置1の構成について図1を参照して説明する。図1は、実施形態に係る基板処理装置1の構成例を示す図である。なお、以下では、位置関係を明確にするために、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする。
図1に示すように、基板処理装置1は、搬入出ステーション2と、処理ステーション3とを備える。搬入出ステーション2と処理ステーション3とは隣接して設けられる。
搬入出ステーション2は、キャリア載置部11と、搬送部12とを備える。キャリア載置部11には、複数枚の半導体ウェハW(以下、「ウェハW」と記載する)を水平状態で収容する複数のキャリアCが載置される。
搬送部12は、キャリア載置部11に隣接して設けられる。搬送部12の内部には、搬送装置13と受渡部14とが配置される。
搬送装置13は、ウェハWを保持するウェハ保持機構を備える。また、搬送装置13は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、ウェハ保持機構を用いてキャリアCと受渡部14との間でウェハWの搬送を行う。
処理ステーション3は、搬送部12に隣接して設けられる。処理ステーション3は、搬送ブロック4と、複数の処理ブロック5とを備える。
搬送ブロック4は、搬送エリア15と、搬送装置16とを備える。搬送エリア15は、たとえば、搬入出ステーション2および処理ステーション3の並び方向(X軸方向)に沿って延在する直方体状の領域である。搬送エリア15には、搬送装置16が配置される。
搬送装置16は、ウェハWを保持するウェハ保持機構を備える。また、搬送装置16は、水平方向および鉛直方向への移動ならびに鉛直軸を中心とする旋回が可能であり、ウェハ保持機構を用いて受渡部14と複数の処理ブロック5との間でウェハWの搬送を行う。
複数の処理ブロック5は、搬送エリア15の両側において搬送エリア15に隣接して配置される。具体的には、複数の処理ブロック5は、搬入出ステーション2および処理ステーション3の並び方向(X軸方向)に直交する方向(Y軸方向)における搬送エリア15の一方側(Y軸正方向側)および他方側(Y軸負方向側)に配置される。
また、図示してはいないが、複数の処理ブロック5は、鉛直方向に沿って多段(たとえば、3段)に配置される。そして、各段に配置された処理ブロック5と受渡部14との間のウェハWの搬送は、搬送ブロック4に配置された1台の搬送装置16によって行われる。なお、複数の処理ブロック5の段数は3段に限定されない。
各処理ブロック5は、液処理ユニット17と、乾燥ユニット18と、供給ユニット19とを備える。乾燥ユニット18は基板処理部の一例である。
液処理ユニット17は、ウェハWのパターン形成面である上面を洗浄する洗浄処理を行う。また、液処理ユニット17は、洗浄処理後のウェハWの上面に液膜を形成する液膜形成処理を行う。液処理ユニット17の構成については後述する。
乾燥ユニット18は、液膜形成処理後のウェハWに対して超臨界乾燥処理を行う。具体的には、乾燥ユニット18は、液膜形成処理後のウェハWを超臨界状態の処理流体(以下、「超臨界流体」とも呼称する。)と接触させることによって同ウェハWを乾燥させる。乾燥ユニット18の構成については後述する。
供給ユニット19は、乾燥ユニット18に対して処理流体を供給する。具体的には、供給ユニット19は、流量計、流量調整器、背圧弁、ヒータなどを含む供給機器群と、供給機器群を収容する筐体とを備える。本実施形態において、供給ユニット19は、処理流体としてCO2を乾燥ユニット18に供給する。供給ユニット19の構成については後述する。
また、供給ユニット19には、処理流体を供給する処理流体供給装置60(図4参照)が接続される。実施形態において、処理流体供給装置60は、処理流体としてCO2を供給ユニット19に供給する。かかる処理流体供給装置60の詳細については後述する。
液処理ユニット17、乾燥ユニット18および供給ユニット19は、搬送エリア15に沿って(すなわち、X軸方向に沿って)並べられる。液処理ユニット17、乾燥ユニット18および供給ユニット19のうち、液処理ユニット17は、搬入出ステーション2に最も近い位置に配置され、供給ユニット19は、搬入出ステーション2から最も遠い位置に配置される。
このように、各処理ブロック5は、液処理ユニット17と乾燥ユニット18と供給ユニット19とをそれぞれ1つずつ備える。すなわち、基板処理装置1には、液処理ユニット17と搬送装置16と供給ユニット19とが同じ数だけ設けられる。
また、乾燥ユニット18は、超臨界乾燥処理が行われる処理エリア181と、搬送ブロック4と処理エリア181との間でのウェハWの受け渡しが行われる受渡エリア182とを備える。これら処理エリア181および受渡エリア182は、搬送エリア15に沿って並べられる。
具体的には、処理エリア181および受渡エリア182のうち、受渡エリア182は、処理エリア181よりも液処理ユニット17に近い側に配置される。すなわち、各処理ブロック5には、液処理ユニット17、受渡エリア182、処理エリア181および供給ユニット19が、搬送エリア15に沿ってこの順番で配置される。
図1に示すように、基板処理装置1は、制御装置6を備える。制御装置6は、たとえばコンピュータであり、制御部7と記憶部8とを備える。
制御部7は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力ポートなどを有するマイクロコンピュータや各種の回路を含む。かかるマイクロコンピュータのCPUは、ROMに記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、搬送装置13、16、液処理ユニット17、乾燥ユニット18および供給ユニット19等の制御を実現する。
なお、かかるプログラムは、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体に記憶されていたものであって、その記憶媒体から制御装置6の記憶部8にインストールされたものであってもよい。コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体としては、たとえばハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリカードなどがある。
記憶部8は、たとえば、RAM、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスクなどの記憶装置によって実現される。
上記のように構成された基板処理装置1では、まず、搬入出ステーション2の搬送装置13が、キャリア載置部11に載置されたキャリアCからウェハWを取り出し、取り出したウェハWを受渡部14に載置する。受渡部14に載置されたウェハWは、処理ステーション3の搬送装置16によって受渡部14から取り出されて、液処理ユニット17へ搬入される。
液処理ユニット17へ搬入されたウェハWは、液処理ユニット17によって洗浄処理および液膜形成処理が施された後、搬送装置16によって液処理ユニット17から搬出される。液処理ユニット17から搬出されたウェハWは、搬送装置16によって乾燥ユニット18へ搬入され、乾燥ユニット18によって乾燥処理が施される。
乾燥ユニット18によって乾燥処理されたウェハWは、搬送装置16によって乾燥ユニット18から搬出され、受渡部14に載置される。そして、受渡部14に載置された処理済のウェハWは、搬送装置13によってキャリア載置部11のキャリアCへ戻される。
<液処理ユニットの構成>
次に、液処理ユニット17の構成について、図2を参照しながら説明する。図2は、液処理ユニット17の構成例を示す図である。液処理ユニット17は、たとえば、スピン洗浄によりウェハWを1枚ずつ洗浄する枚葉式の洗浄装置として構成される。
図2に示すように、液処理ユニット17は、処理空間を形成するアウターチャンバー23内に配置されたウェハ保持機構25にてウェハWをほぼ水平に保持し、このウェハ保持機構25を鉛直軸周りに回転させることによりウェハWを回転させる。
そして、液処理ユニット17は、回転するウェハWの上方にノズルアーム26を進入させ、かかるノズルアーム26の先端部に設けられる薬液ノズル26aから薬液やリンス液を予め定められた順に供給することにより、ウェハW上面の洗浄処理を行う。
また、液処理ユニット17には、ウェハ保持機構25の内部にも薬液供給路25aが形成されている。そして、かかる薬液供給路25aから供給された薬液やリンス液によって、ウェハWの下面も洗浄される。
洗浄処理は、たとえば、最初にアルカリ性の薬液であるSC1液(アンモニアと過酸化水素水の混合液)によるパーティクルや有機性の汚染物質の除去が行われる。次に、リンス液である脱イオン水(DeIonized Water:以下、「DIW」と記載する)によるリンス洗浄が行われる。
次に、酸性薬液である希フッ酸水溶液(Diluted HydroFluoric acid:以下、「DHF」と記載する)による自然酸化膜の除去が行われ、次に、DIWによるリンス洗浄が行われる。
上述の各種薬液は、アウターチャンバー23や、アウターチャンバー23内に配置されるインナーカップ24に受け止められて、アウターチャンバー23の底部に設けられる排液口23aや、インナーカップ24の底部に設けられる排液口24aから排出される。さらに、アウターチャンバー23内の雰囲気は、アウターチャンバー23の底部に設けられる排気口23bから排気される。
液膜形成処理は、洗浄処理におけるリンス処理の後に行われる。具体的には、液処理ユニット17は、ウェハ保持機構25を回転させながら、ウェハWの上面および下面に液体状態のIPA(Isopropyl Alcohol)(以下、「IPA液体」とも呼称する)を供給する。これにより、ウェハWの両面に残存するDIWがIPAに置換される。その後、液処理ユニット17は、ウェハ保持機構25の回転を緩やかに停止する。
液膜形成処理を終えたウェハWは、その上面にIPA液体の液膜が形成された状態のまま、ウェハ保持機構25に設けられた不図示の受け渡し機構により搬送装置16に受け渡され、液処理ユニット17から搬出される。
ウェハW上に形成された液膜は、液処理ユニット17から乾燥ユニット18へのウェハWの搬送中や、乾燥ユニット18への搬入動作中に、ウェハW上面の液体が蒸発(気化)することによってパターン倒れが発生することを防止する。
<乾燥ユニットの構成>
つづいて、乾燥ユニット18の構成について、図3を参照しながら説明する。図3は、乾燥ユニット18の構成例を示す模式斜視図である。
乾燥ユニット18は、本体31と、保持板32と、蓋部材33とを有する。筐体状の本体31には、ウェハWを搬入出するための開口部34が形成される。保持板32は、処理対象のウェハWを水平方向に保持する。蓋部材33は、かかる保持板32を支持するとともに、ウェハWを本体31内に搬入したときに、開口部34を密閉する。
本体31は、たとえば直径300mmのウェハWを収容可能な処理空間が内部に形成された容器であり、その壁部には、供給ポート35、36と排出ポート37とが設けられる。供給ポート35、36および排出ポート37は、それぞれ、乾燥ユニット18に超臨界流体を流通させるための供給流路および排出流路に接続されている。
供給ポート35は、筐体状の本体31において、開口部34とは反対側の側面に接続されている。また、供給ポート36は、本体31の底面に接続されている。さらに、排出ポート37は、開口部34の下方側に接続されている。なお、図3には2つの供給ポート35、36と1つの排出ポート37が図示されているが、供給ポート35、36や排出ポート37の数は特に限定されない。
また、本体31の内部には、流体供給ヘッダー38、39と、流体排出ヘッダー40とが設けられる。そして、流体供給ヘッダー38、39には複数の供給口がかかる流体供給ヘッダー38,39の長手方向に並んで形成され、流体排出ヘッダー40には複数の排出口がかかる流体排出ヘッダー40の長手方向に並んで形成される。
流体供給ヘッダー38は、供給ポート35に接続され、筐体状の本体31内部において、開口部34とは反対側の側面に隣接して設けられる。また、流体供給ヘッダー38に並んで形成される複数の供給口は、開口部34側を向いている。
流体供給ヘッダー39は、供給ポート36に接続され、筐体状の本体31内部における底面の中央部に設けられる。また、流体供給ヘッダー39に並んで形成される複数の供給口は、上方を向いている。
流体排出ヘッダー40は、排出ポート37に接続され、筐体状の本体31内部において、開口部34側の側面に隣接するとともに、開口部34より下方に設けられる。また、流体排出ヘッダー40に並んで形成される複数の排出口は、上方を向いている。
流体供給ヘッダー38、39は、超臨界流体を本体31内に供給する。また、流体排出ヘッダー40は、本体31内の超臨界流体を本体31の外部に導いて排出する。なお、流体排出ヘッダー40を介して本体31の外部に排出される超臨界流体には、ウェハWの表面から超臨界状態の超臨界流体に溶け込んだIPA液体が含まれる。
かかる乾燥ユニット18内において、ウェハW上に形成されているパターンの間のIPA液体は、高圧状態(たとえば、16MPa)である超臨界流体と接触することで、徐々に超臨界流体に溶解し、パターンの間は徐々に超臨界流体と置き換わる。そして、最終的には、超臨界流体のみによってパターンの間が満たされる。
そして、パターンの間からIPA液体が除去された後に、本体31内部の圧力を高圧状態から大気圧まで減圧することによって、CO2は超臨界状態から気体状態に変化し、パターンの間は気体のみによって占められる。このようにしてパターンの間のIPA液体は除去され、ウェハWの乾燥処理が完了する。
ここで、超臨界流体は、液体(たとえばIPA液体)と比べて粘度が小さく、また液体を溶解する能力も高いことに加え、超臨界流体と平衡状態にある液体や気体との間で界面が存在しない。これにより、超臨界流体を用いた乾燥処理では、表面張力の影響を受けることなく液体を乾燥させることができる。したがって、実施形態によれば、乾燥処理の際にパターンが倒れることを抑制することができる。
なお、実施形態では、乾燥防止用の液体としてIPA液体を用い、処理流体として超臨界状態のCO2を用いた例について示しているが、IPA以外の液体を乾燥防止用の液体として用いてもよいし、超臨界状態のCO2以外の流体を処理流体として用いてもよい。
<基板処理システムの構成>
つづいて、実施形態に係る基板処理システム100の構成について、図4を参照しながら説明する。図4は、実施形態に係る基板処理システム100のシステム全体の構成例を示す図である。なお、以下に示す基板処理システム100の各部は、制御部7によって制御可能である。
基板処理システム100は、処理流体供給源90と、処理流体供給装置60と、基板処理装置1とを備える。処理流体供給装置60は、処理流体供給源90から供給される処理流体を基板処理装置1に供給する。基板処理装置1は、上述のように、乾燥ユニット18および供給ユニット19を有し、供給ユニット19を介して供給された処理流体によって、乾燥ユニット18内でウェハWを処理する。
処理流体供給装置60は、ガス供給ライン61と、循環ライン62と、分岐ライン63とを有する。ガス供給ライン61は、処理流体供給源90に接続され、かかる処理流体供給源90から気体状態の処理流体を循環ライン62に供給する。また、処理流体供給源90は、バルブ64および流量調整器65を介して接続部66に接続される。
循環ライン62は、ガス供給ライン61と接続される部位である接続部66から出て、かかる接続部66に戻る循環ラインである。かかる循環ライン62には、接続部66を基準として、上流側から順にフィルタ67と、コンデンサ68と、タンク69と、ポンプ70と、圧力センサ71と、分岐部72と、スパイラルヒータ74と、背圧弁75と、バルブ76とが設けられる。
フィルタ67は、循環ライン62内を流れる気体状態の処理流体を濾過し、処理流体に含まれる異物を取り除く。かかるフィルタ67で処理流体内の異物を取り除くことにより、超臨界流体を用いたウェハWの乾燥処理の際に、ウェハW表面にパーティクルが発生することを抑制することができる。
コンデンサ68は、冷却部の一例である。コンデンサ68は、たとえば、図示しない冷却水供給部に接続され、冷却水と気体状態の処理流体とを熱交換させることができる。これにより、コンデンサ68は、循環ライン62内を流れる気体状態の処理流体を冷却して、液体状態の処理流体を生成する。
タンク69は、コンデンサ68で生成された液体状態の処理流体を貯留する。ポンプ70は、タンク69に貯留された液体状態の処理流体を、循環ライン62の下流側に送り出す。すなわち、ポンプ70は、タンク69から出て、循環ライン62を通り、タンク69に戻る処理流体の循環流を形成する。圧力センサ71は、循環ライン62を流れる処理流体の循環圧を測定する。
1つまたは複数の分岐ライン63は、循環ライン62の分岐部72から分岐している。換言すると、分岐部72には1つまたは複数の分岐ライン63が接続されている。かかる分岐ライン63は、対応する基板処理装置1に接続され、循環ライン62を流れる液体状態の処理流体を対応する基板処理装置1に供給する。
また、処理流体供給装置60内の分岐ライン63には、バルブ73が設けられる。バルブ73は、処理流体の流れのオン及びオフを調整するバルブであり、開状態では下流側の分岐ライン63に処理流体を流し、閉状態では下流側の分岐ライン63に処理流体を流さない。
スパイラルヒータ74は、加熱部の一例である。スパイラルヒータ74は、循環ライン62に巻回され、かかる循環ライン62を流れる液体状態の処理流体を加熱して、超臨界状態の処理流体を生成する。
背圧弁75は、調圧部の一例である。背圧弁75は、循環ライン62の一次側圧力が設定圧力を超えた場合には弁開度を調整して二次側に流体を流すことにより、一次側圧力を設定圧力に維持するように構成される。
そして、背圧弁75は、循環ライン62を流れる超臨界状態の処理流体を減圧して、気体状態の処理流体を生成する。なお、背圧弁75の弁開度および設定圧力は制御部7により随時変更することが可能である。
バルブ76は、処理流体の流れのオン及びオフを調整するバルブであり、開状態では下流側の循環ライン62に処理流体を流し、閉状態では下流側の循環ライン62に処理流体を流さない。
そして、背圧弁75で生成された気体状態の処理流体は、バルブ76を介して循環ライン62の接続部66に戻る。
次に、基板処理装置1内のシステム構成について説明する。分岐ライン63を流れる処理流体は、供給ユニット19の供給ライン41を介して乾燥ユニット18に供給され、排出ライン42を介して乾燥ユニット18から外部に排出される。なお、処理流体供給装置60の分岐ライン63と基板処理装置1の供給ライン41との間は、工場内などに配設される接続ライン80で接続される。
供給ライン41には、上流側から順にバルブ43と、ヒータ44および温度センサ45と、オリフィス46と、フィルタ47と、バルブ48とが設けられる。
バルブ43は、処理流体の流れのオン及びオフを調整するバルブであり、開状態では下流側の供給ライン41に処理流体を流し、閉状態では下流側の供給ライン41に処理流体を流さない。
ヒータ44は、別の加熱部の一例である。ヒータ44は、供給ライン41を流れる液体状態の処理流体を加熱して、超臨界状態の処理流体を生成する。温度センサ45は、ヒータ44で生成される超臨界状態の処理流体の温度を検出する。
オリフィス46は、ヒータ44で生成された超臨界状態の処理流体の流速を低下させ、圧力を調整する役割を果たす。オリフィス46は、下流側の供給ライン41に、たとえば16MPa程度に圧力が調整された超臨界状態の処理流体を流通させることができる。
フィルタ47は、供給ライン41内を流れる超臨界状態の処理流体を濾過し、処理流体に含まれる異物を取り除く。かかるフィルタ47で処理流体内の異物を取り除くことにより、超臨界流体を用いたウェハWの乾燥処理の際に、ウェハW表面にパーティクルが発生することを抑制することができる。
バルブ48は、処理流体の流れのオン及びオフを調整するバルブであり、開状態では下流側の乾燥ユニット18に処理流体を流し、閉状態では下流側の乾燥ユニット18に処理流体を流さない。
乾燥ユニット18には、温度センサ49が設けられる。かかる温度センサ49は、乾燥ユニット18内に充填される処理流体の温度を検出する。
排出ライン42には、上流側から順に圧力センサ50と、バルブ51と、流量計52と、背圧弁53とが設けられる。圧力センサ50は、排出ライン42を流れる処理流体の圧力を測定する。なお、圧力センサ50は排出ライン42を介して乾燥ユニット18と直接つながっていることから、圧力センサ50で測定された処理流体の圧力は、乾燥ユニット18における処理流体の内圧と略等しい値である。
バルブ51は、処理流体の流れのオン及びオフを調整するバルブであり、開状態では下流側の排出ライン42に処理流体を流し、閉状態では下流側の排出ライン42に処理流体を流さない。流量計52は、排出ライン42を流れる処理流体の流量を測定する。
背圧弁53は、排出ライン42の一次側圧力が設定圧力を超えた場合には弁開度を調整して二次側に流体を流すことにより、一次側圧力を設定圧力に維持するように構成される。なお、背圧弁53の弁開度および設定圧力は制御部7により随時変更することが可能である。
<実施形態の基板処理>
つづいて、実施形態に係る基板処理システム100における基板処理の詳細について、図5~図9を参照しながら説明する。図5は、実施形態に係る循環ライン62の循環圧および乾燥ユニット18の内圧の推移を示す図である。
図5に示すように、基板処理システム100では、時間T1まで待機処理が行われる。かかる待機処理では、乾燥ユニット18の内圧は所定の圧力P0(たとえば、大気圧)であり、循環ライン62の循環圧は所定の圧力P4(たとえば、19MPa)である。
図6は、実施形態に係る基板処理システム100の待機処理を説明するための図である。図6に示すように、かかる待機処理の際には、バルブ64が開状態であることから、処理流体供給源90からバルブ64、流量調整器65および接続部66を介して、気体状態の処理流体が循環ライン62に供給される。
また、循環ライン62を循環する処理流体も、背圧弁75より下流側では気体状態であることから、接続部66では、ガス供給ライン61および循環ライン62を流れる気体状態の処理流体が合流する。
そして、合流した気体状態の処理流体は、接続部66より下流側のフィルタ67で濾過される。ここで、フィルタ67は、処理流体を液体状態または超臨界状態で濾過するより、気体状態で濾過したほうが、処理流体に含まれる異物の除去性能を高くすることができる。
すなわち、実施形態では、循環ライン62において気体状態の処理流体が流れる部位にフィルタ67を設けることにより、処理流体に含まれる異物を効果的に除去することができる。したがって、実施形態によれば、超臨界流体を用いたウェハWの乾燥処理の際に、ウェハW表面にパーティクルが発生することを効果的に抑制することができる。
フィルタ67で濾過された気体状態の処理流体は、コンデンサ68で冷却されて液体状態の処理流体となり、タンク69に貯留される。そして、タンク69に貯留された処理流体は、ポンプ70で循環ライン62の下流側に送り出される。
そして、分岐部72を通過した液体状態の処理流体は、スパイラルヒータ74で加熱されて、超臨界状態の処理流体となる。さらに、かかる超臨界状態の処理流体は、背圧弁75で減圧されて気体状態の処理流体となる。
なお、循環ライン62の循環圧が所定の圧力P4で保持されるように、圧力センサ71で測定される圧力に基づいて、背圧弁75の弁開度がたとえばPID(Proportional-Integral-Differential:比例積分微分)制御により制御される。
そして、背圧弁75で気体状態となった処理流体は、開状態のバルブ76を介して接続部66に流れる。なお、基板処理システム100が待機処理を行っている場合、基板処理装置1には処理流体が供給されないことから、分岐ライン63のバルブ73は閉状態である。
ここで、実施形態では、ポンプ70と背圧弁75との間において、スパイラルヒータ74により処理流体を液体状態から超臨界状態に相変化させている。すなわち、ポンプ70と、閉状態となりうるバルブ73または背圧弁75との間が、非圧縮性である液体状態の処理流体で満たされるのではなく、一部が圧縮性である超臨界状態の処理流体となっている。
これにより、循環ライン62において非圧縮性である液体状態の処理流体をポンプ70で送り出して循環させる場合でも、かかるポンプ70で生じる脈動を超臨界状態の部位で吸収させることができる。したがって、実施形態によれば、液体状態の処理流体をポンプ70で送り出す際に、かかるポンプ70で生じる脈動の影響を低減することができる。
図5の説明に戻る。基板処理システム100では、時間T1から時間T4まで、乾燥ユニット18の内圧を所定の圧力P1(たとえば、16MPa)に昇圧する昇圧処理が行われる。そして、時間T4から時間T5まで、圧力P1で乾燥ユニット18内を保持する保持処理が行われる。
図7は、実施形態に係る基板処理システム100の昇圧処理および保持処理を説明するための図である。なお、以降の説明では、すでに説明した処理と同じ状態である部位については説明を省略する場合がある。
図7に示すように、乾燥ユニット18を処理流体で充填するため、昇圧処理を開始する時間T1において、バルブ73、バルブ43およびバルブ48が開状態になるとともに、バルブ51は閉状態となる。
これにより、循環ライン62を循環する処理流体が、液体状態でヒータ44に達し、かかるヒータ44で超臨界状態に相変化する。そして、超臨界状態となった処理流体が、乾燥ユニット18に充填される。
このように、実施形態では、処理流体を気体状態や超臨界状態ではなく、液体状態で処理流体供給装置60から基板処理装置1に供給している。これにより、処理流体供給装置60と基板処理装置1との距離、すなわち、接続ライン80の長さにバラツキが生じたとしても、かかる長さのバラツキによる不具合を低減することができる。
また、バルブ73、バルブ43およびバルブ48を開状態にする際、背圧弁75の弁開度を全閉状態にするとともにバルブ76を閉状態にして、循環ライン62での処理流体の循環を一時的に停止する。これにより、処理流体を一気に基板処理装置1に供給することができる。
そして、図5に示すように、昇圧処理を開始した直後は循環ライン62の循環圧が圧力P4から一時的に低下するが、乾燥ユニット18が処理流体で満たされるにしたがい、循環圧は上昇する。
そして、時間T1から所定の時間(たとえば、3秒)経過した時間T2において、図7に示すように、背圧弁75の弁開度を全閉状態から所定の固定開度に変更するとともに、バルブ76を開状態にして、循環ライン62での処理流体の循環を再開させる。
次に、図5に示すように、循環ライン62の循環圧がさらに上昇して、所定の圧力P3(たとえば、18MPa)に到達した時間T3において、図7に示すように、背圧弁75の弁開度をPID制御に切り替える。これにより、図5に示すように、循環ライン62の循環圧が圧力P4に到達した後には、循環圧を圧力P4で保持することができる。
このように、背圧弁75の弁開度を全閉状態からPID制御にすぐに切り替えるのではなく、間に所定の固定開度を挟むことにより、PID制御において循環ライン62の循環圧が圧力P4からオーバーシュートすることを抑制することができる。
そして、乾燥ユニット18の内圧が所定の圧力P1に到達してからしばらくたった時間T4において、図7に示すように、乾燥ユニット18の上流側にあるバルブ48を閉状態にして、乾燥ユニット18内を圧力P1で保持する。
保持処理では、ウェハWに形成されるパターンの間で混ざる処理流体とIPA液体との混合流体のIPA濃度およびCO2濃度が所定の濃度(たとえば、IPA濃度が30%以下、CO2濃度が70%以上)になるまで保持される。
保持処理につづいて、基板処理システム100では、時間T5から時間T6まで流通処理が行われる。図8は、実施形態に係る基板処理システム100の流通処理を説明するための図である。
図8に示すように、乾燥ユニット18内に処理流体を流通させるため、流通処理を開始する時間T5において、バルブ51が開状態になるとともに、背圧弁53の弁開度がPID制御される。これにより、図5に示すように、乾燥ユニット18の内圧は所定の圧力P1で引き続き維持される。
また、流通処理の際には常に処理流体を基板処理装置1に供給していることから、循環ライン62の循環圧は圧力P4から圧力P2(たとえば、17MPa)に低下する。なお、実施形態では、ポンプ70の吐出能力と流通処理における処理流体の消費量とが略均等であることから、図8に示すように、背圧弁75の弁開度を全閉状態にするとともにバルブ76を閉状態にして、循環ライン62での処理流体の循環を停止する。
ここで、実施形態の流通処理では、乾燥ユニット18内における処理流体の温度が90℃以上であるとよい。もし仮に、乾燥ユニット18内における処理流体の温度が所定の温度(たとえば、83℃)より低いと、処理流体が100%の超臨界状態ではなくなってしまうことから、処理流体内に溶け込んだ異物が乾燥ユニット18内で析出する場合がある。
そして、かかる析出した異物によって、超臨界流体を用いたウェハWの乾燥処理の際に、ウェハW表面にパーティクルが大量に発生してしまう恐れがある。
しかしながら、実施形態では、乾燥ユニット18内における処理流体の温度を90℃以上にしていることから、超臨界流体を用いたウェハWの乾燥処理の際に、ウェハW表面にパーティクルが発生することを抑制することができる。なお、好ましくは、乾燥ユニット18内における処理流体の温度を95℃以上にするとよい。
また、実施形態では、乾燥ユニット18内の処理流体を高い温度に保つため、ヒータ44で生成される超臨界状態の処理流体の温度を、乾燥ユニット18内での処理流体の温度より高くするとよい。たとえば、ヒータ44で生成される超臨界状態の処理流体の温度を、110℃~120℃の範囲にするとよい。
これにより、オリフィス46を通る際に断熱膨張によって処理流体の温度が低下したとしても、乾燥ユニット18内における処理流体の温度を90℃以上に保つことができる。
なお、実施形態では、乾燥ユニット18内における処理流体の温度を高くしすぎると(たとえば、処理流体の温度を100℃より高くすると)、ウェハW上に形成されたIPA液体の液膜が処理流体の高温によって乾燥してしまう。
これにより、ウェハW上に形成されたパターンが倒れてしまうなどの不具合が発生することから、乾燥ユニット18内における処理流体の温度をあまり高くしすぎることは好ましくない。
また、乾燥ユニット18内における処理流体の温度は温度センサ49でモニタリングすることができ、ヒータ44で生成される超臨界状態の処理流体の温度は温度センサ45でモニタリングすることができる。
流通処理につづいて、基板処理システム100では、時間T6から時間T7まで減圧処理が行われる。図9は、実施形態に係る基板処理システム100の減圧処理を説明するための図である。
図9に示すように、乾燥ユニット18内を減圧するため、減圧処理を開始する時間T6において、供給ライン41のバルブ43およびバルブ48が閉状態になるとともに、排出ライン42の背圧弁53の弁開度が所定の固定開度に変更される。これにより、図5に示すように、乾燥ユニット18の内圧が圧力P1から圧力P0(大気圧)に減圧される。
また、時間T6において、図9に示すように、循環ライン62における背圧弁75の弁開度を全閉状態から所定の固定開度に変更するとともに、バルブ76を開状態にして、循環ライン62での処理流体の循環を再開させる。さらに、時間T6から所定の時間(たとえば、3秒)経過した時間T7において、背圧弁75の弁開度をPID制御に切り替える。
これにより、図5に示すように、循環ライン62の循環圧が圧力P4に到達した後は、循環圧を圧力P4で保持することができる。そして、時間T8で減圧処理が終了すると、基板処理システム100は、上述の待機処理に戻る。
<変形例>
つづいて、実施形態の変形例について、図10および図11を参照しながら説明する。図10は、実施形態の変形例に係る基板処理システム100の昇圧処理および保持処理を説明するための図である。
なお、この変形例では、実施形態よりもポンプ70の吐出能力が向上している点が実施形態と異なる。したがって、実施形態と異なり、昇圧処理を開始した際にも背圧弁75およびバルブ76を閉めることなく、循環ライン62での処理流体の循環を維持し続けることができる。
すなわち、図10に示すように、昇圧処理を開始した際、バルブ76は開状態を維持し続ける。また、背圧弁75の弁開度は、昇圧処理を開始した時間T1(図5参照)において、PID制御から所定の固定開度1に変更される。次に、時間T1から所定の時間(たとえば、3秒)経過した時間T2(図5参照)において、背圧弁75の弁開度を所定の固定開度1から所定の固定開度2に変更する。
そして、循環ライン62の循環圧がさらに上昇して、所定の圧力P3(図5参照)(たとえば、18MPa)に到達した時間T3(図5参照)において、背圧弁75の弁開度をPID制御に切り替える。これにより、実施形態と同様に、循環ライン62の循環圧が圧力P4(図5参照)に到達した後は、循環圧を圧力P4で保持することができる。
図11は、実施形態の変形例に係る基板処理システム100の流通処理を説明するための図である。上述のように、変形例ではポンプ70の吐出能力が向上していることから、図11に示すように、流通処理の際にも循環ライン62での処理流体の循環を維持し続けることができる。
ここで、基板処理装置1を流れる処理流体の流速が過度に大きい場合、処理流体の速い流れによってウェハW上のパターンが倒れてしまう不具合が生じる場合がある。そこで、変形例では、循環ライン62での処理流体の循環量を増やすことにより、基板処理装置1に供給する処理流体の供給量を減らすことができることから、基板処理装置1を流れる処理流体の流速を抑制することができる。
具体的には、基板処理装置1の排出ライン42に設けられた流量計52で排出ライン42を流れる処理流体の流量を測定し、かかる排出ライン42を流れる処理流体の流量に基づいて、背圧弁75の弁開度を適宜調整する。これにより、変形例では、基板処理装置1に供給する処理流体の供給量を良好な範囲に調整することができる。
なお、かかる背圧弁75の弁開度の調整は、最初に流量計52で所望の流量だけ処理流体が流れていることを確認し、次からは確認された際の背圧弁75の弁開度で固定してもよい。また、かかる背圧弁75の弁開度の調整は、流量計52で随時測定される処理流体の流量に基づいて、背圧弁75の弁開度をフィードバック制御してもよい。
実施形態に係る基板処理システム100は、処理流体で基板(ウェハW)を処理する基板処理装置1と、基板処理装置1に処理流体を供給する処理流体供給装置60とを備える。処理流体供給装置60は、循環ライン62と、ガス供給ライン61と、冷却部(コンデンサ68)と、ポンプ70と、分岐ライン63と、加熱部(スパイラルヒータ74)と、調圧部(背圧弁75)とを有する。循環ライン62は、処理流体を循環させる。ガス供給ライン61は、気体状態の処理流体を循環ライン62に供給する。冷却部(コンデンサ68)は、循環ライン62に設けられ、気体状態の処理流体を冷却して液体状態の処理流体を生成する。ポンプ70は、循環ライン62における冷却部(コンデンサ68)の下流側に設けられる。分岐ライン63は、循環ライン62におけるポンプ70の下流側に接続され、液体状態の処理流体を分岐部72から分岐させる。加熱部(スパイラルヒータ74)は、分岐部72の下流側に設けられ、液体状態の処理流体を加熱して超臨界状態の処理流体を生成する。調圧部(背圧弁75)は、循環ライン62における加熱部(スパイラルヒータ74)の下流側かつガス供給ライン61の上流側に設けられ、超臨界状態の処理流体を減圧して気体状態の処理流体を生成する。これにより、液体状態の処理流体をポンプ70で送り出す際に、かかるポンプ70で生じる脈動の影響を低減することができる。
実施形態に係る基板処理システム100において、処理流体供給装置60は、循環ライン62におけるガス供給ライン61と冷却部(コンデンサ68)との間に設けられ、気体状態の処理流体を濾過するフィルタ67をさらに有する。これにより、処理流体に含まれる異物を効果的に除去することができることから、超臨界流体を用いたウェハWの乾燥処理の際に、ウェハW表面にパーティクルが発生することを効果的に抑制することができる。
実施形態に係る基板処理システム100において、処理流体供給装置60は、分岐ライン63から液体状態の処理流体を基板処理装置1に供給する。これにより、処理流体供給装置60と基板処理装置1との距離、すなわち、接続ライン80の長さにバラツキが生じたとしても、かかる長さのバラツキによる不具合を低減することができる。
実施形態に係る基板処理システム100において、基板処理装置1は、別の加熱部(ヒータ44)と、基板処理部(乾燥ユニット18)とを有する。別の加熱部(ヒータ44)は、液体状態の処理流体を加熱して超臨界状態の処理流体を生成する。基板処理部(乾燥ユニット18)は、別の加熱部(ヒータ44)から供給される超臨界状態の処理流体で基板(ウェハW)を処理する。これにより、乾燥処理の際にパターンが倒れることを抑制することができる。
実施形態に係る基板処理システム100において、基板処理部(乾燥ユニット18)内での超臨界状態の処理流体は90℃以上である。これにより、超臨界流体を用いたウェハWの乾燥処理の際に、ウェハW表面にパーティクルが発生することを抑制することができる。
実施形態に係る基板処理システム100において、別の加熱部(ヒータ44)で生成される超臨界状態の処理流体の温度は、基板処理部(乾燥ユニット18)内での処理流体の温度より高い。これにより、オリフィス46を通る際に断熱膨張によって処理流体の温度が低下したとしても、乾燥ユニット18内における処理流体の温度を90℃以上に保持することができる。
<処理流体供給処理の詳細>
つづいて、図12を参照しながら、実施形態に係る処理流体供給装置60が実行する処理流体供給処理の詳細について説明する。図12は、実施形態に係る処理流体供給処理の処理手順を示すフローチャートである。
最初に、制御部7は、バルブ64および流量調整器65を動作させて、処理流体供給源90から循環ライン62に気体状態の処理流体を供給する(ステップS101)。そして、制御部7は、循環ライン62を流れる気体状態の処理流体をフィルタ67で濾過する(ステップS102)。
次に、制御部7は、フィルタ67で濾過された気体状態の処理流体をコンデンサ68で冷却して液体状態の処理流体を生成する(ステップS103)。そして、制御部7は、コンデンサ68で生成された液体状態の処理流体をタンク69に貯留する(ステップS104)。
次に、制御部7は、タンク69に貯留された液体状態の処理流体をポンプ70で循環ライン62の下流側に送り出す(ステップS105)。そして、制御部7は、ポンプ70で送り出された液体状態の処理流体を循環ライン62から分岐ライン63に分岐させる(ステップS106)。
次に、制御部7は、循環ライン62を流れる液体状態の処理流体をスパイラルヒータ74で加熱して、超臨界状態の処理流体を生成する(ステップS107)。そして、制御部7は、スパイラルヒータ74で生成された超臨界状態の処理流体を背圧弁75で減圧して、気体状態の処理流体を生成する(ステップS108)。
最後に、制御部7は、背圧弁75で生成された気体状態の処理流体を、処理流体供給源90から供給された気体状態の処理流体に合流させて(ステップS109)、処理を完了する。
実施形態に係る処理流体供給方法は、供給する工程(ステップS101)と、液体状態の処理流体を生成する工程(ステップS103)と、分岐させる工程(ステップS106)と、超臨界状態の処理流体を生成する工程(ステップS107)とを含む。供給する工程(ステップS101)は、循環ライン62に気体状態の処理流体を供給する。液体状態の処理流体を生成する工程(ステップS103)は、循環ライン62で気体状態の処理流体を冷却して、液体状態の処理流体を生成する。分岐させる工程(ステップS106)は、液体状態の処理流体を循環ライン62から分岐ライン63に分岐させる。超臨界状態の処理流体を生成する工程(ステップS107)は、循環ライン62で液体状態の処理流体を加熱し、超臨界状態の処理流体を生成する。これにより、液体状態の処理流体をポンプ70で送り出す際に、かかるポンプ70で生じる脈動の影響を低減することができる。
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。たとえば、上記の実施形態では、超臨界状態の処理流体を減圧して液体状態の処理流体を生成する調圧部として背圧弁75を用いた例について示した。しかしながら、調圧部は背圧弁に限られず、たとえばオリフィスなどであってもよい。
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実に、上記した実施形態は多様な形態で具現され得る。また、上記の実施形態は、添付の特許請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。