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JP7275792B2 - 高温安定性に優れる微粒子分散液および微粒子分散体 - Google Patents

高温安定性に優れる微粒子分散液および微粒子分散体 Download PDF

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Description

本発明は、高温安定性に優れた、液状媒体中に微粒子が分散した微粒子分散液(本発明において「分散液」と記載する場合がある。)、および媒体中に微粒子が分散した微粒子分散体(本発明において「分散体」と記載する場合がある。)に関する。
さらには、光や赤外線に代表される電磁波を吸収する機能性微粒子(本発明において「吸収微粒子」と記載する場合がある。)を含む分散液および分散体に関する。
地球温暖化を抑制するために二酸化炭素の排出抑制が世界規模で求められる一方で、新興国においては高層ビルや自動車が急速に増加している。この結果、日射光(本発明において「太陽光」と記載する場合もある。)の有効な利用や制御、自動車を初めとする移動体等の軽量化、並びにガラス等の高所落下、飛散防止対策が求められている。
日射光の有効な利用の分野においては、太陽光発電、太陽熱温水器等の光電変換、光熱変換を用いた物品がある。
日射光の制御の分野においては、カーテン、ブラインドやスモークフィルム等の、可視光線を含んだ日射光を遮蔽する物品がある。さらに、近年は、ミラーガラスやミラーフィルム等の日射光の大部分を反射して一部を透過する反射ガラス、反射フィルム、および光を吸収する機能性微粒子を分散した吸収ガラス、吸収フィルム等が、家屋やビル等の建築物の窓材や自動車等の窓材に用いられている。
日射光には、可視光線の他に紫外線や赤外線が含まれている。この日射光に含まれている赤外線のうち、波長800~2500nmの近赤外線は熱線と呼ばれ、上述した建築物や自動車等の開口部分から室内や車内へ進入し温度を上昇させる原因になる。当該温度上昇を解消する為に、前記開口部分には、反射ガラス、反射フィルム、吸収ガラス、吸収フィルムが用いられる。
軽量化の分野においては、従来から使われているアーケード、天井ドーム、カーポート等に使用されるポリカーボネート樹脂等の透明樹脂成形体と、熱線遮蔽機能との融合が求められている。この結果、可視光線を十分に取り入れながら熱線を遮蔽し、明るさを維持しつつ内部の温度上昇を抑制する熱線遮蔽機能を有する成形体の需要が急増している。
高所落下、飛散防止対策の分野においては、高層ビル、車両の窓材等が破損した場合に発生する落下や飛散に起因する人体との衝突危険性が懸念されている。当該懸念を解決する為、可視光線を十分に取り入れながら熱線を遮蔽し、明るさを維持しつつ室内の温度上昇を抑制する透明な熱線遮蔽フィルムへ、熱線遮蔽機能と飛散防止機能とを付与する安全対策の普及が進んでいる。
そして、上述した需要に呼応して、熱線遮蔽機能を有する成形体や、その接合に関する提案が多数なされている。
反射ガラスの作製においては、まず、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)等の透明樹脂フィルムへ、金属、金属酸化物を蒸着等することにより反射層を形成し、反射層を形成した透明樹脂フィルムを作製する。そして、当該反射層を形成した透明樹脂フィルムを、2枚またはそれ以上のガラス板間において中間層として積層して作製される。
尤も、反射層を形成したフィルムを形成後にガラスへ貼りつける方法の他に、反射層をガラス板へ直接蒸着等で形成する方法もある。
また、ガラスの代わりに、アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂等の透明な樹脂成形体を用いる方法もある。
しかし、多量の熱線を遮蔽すると同時に、多量の可視光線を透過させるという透明性の高い反射層は、数十層の多層体とする必要があり、それ自体が高価である。加えて、積層する為の接着等、煩雑な工程を要する場合がある。この結果、製造コストをさらに押上げることに加え、経時変化によりガラスから反射層が剥離する等の欠点を有している。
一方、反射フィルムは、前記ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)等の透明樹脂フィルムに金属、金属酸化物を蒸着して反射層を形成後にフィルム状としたもので、既存の透明ガラス等に接着して用いられる。当該反射フィルムはロール状やカットフィルムとして市販もされている。
当該反射フィルムの透明ガラス等への接着は、自ら行うことも可能だが、気泡の混入や曇りの発生等の問題があり、目的の性能を得るには相応の技術を有する専門の業者に施工を委託することが多い。当該施工に要するコストも反射フィルムのコストと併せて、反射フィルム普及の妨げになっている。
吸収ガラスは、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)等の透明樹脂フィルムへ、フタロシアニン系化合物、アントラキノン系化合物に代表される有機近赤外線吸収剤を塗布または練り込み等の方法で形成された吸収層を、上述した反射ガラスと同様に中間層として積層して作製される。
しかし、吸収ガラスが熱線を効率よく近赤外線を吸収するためには、多量の有機近赤外線吸収剤が必要となる結果、十分な可視光線の透過が得られない。加えて、当該有機近赤外線吸収剤は高温下や長期の耐候性が劣り、多量に添加すると中間層における変色やクラック等の劣化が生じる。
ここで、上述した有機近赤外線吸収剤の代わりに、酸化チタンで被覆されたマイカ等の、無機粒子を用いる方法が、例えば特許文献1、2で提案されている。しかし、当該方法においても、多くの熱線を吸収して外部からの熱の伝播を遮蔽するためには、前記無機粒子を多量に添加する必要がある。従って、前記有機近赤外線吸収剤と同様に、十分な可視光線の透過を得ることが困難である。併せて、上述した中間層の耐衝撃強度や靭性、延性の低下を招き、強度や加工性においても問題や制限が生じる。
吸収フィルムは、上述したポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)等の透明樹脂フィルムに有機近赤外線吸収剤や、酸化チタンで被覆されたマイカ等の無機粒子を含む、吸収層を形成後にフィルム状としたもので、既存の透明ガラス等に接着して用いられる。当該吸収フィルムはロール状やカットフィルムとして市販もされている。
当該吸収フィルムの透明ガラス等への接着は、自ら行うことも可能だが、気泡の混入や曇りの発生等の問題があり、目的の性能を得るには相応の技術を有する専門の業者に施工を委託することが多い。当該施工に要するコストも吸収フィルムのコストと併せて、吸収フィルム普及の妨げになっている。
さらに、上述した反射ガラス・反射フィルムと吸収ガラス・吸収フィルムとを組合せて用いることも可能である。しかし、いずれの組み合わせも、上述した反射ガラスや吸収フィルム等と同様に、製造コストや施工コストを回避することが出来ず、普及の妨げになっている。
一方、光や赤外線に代表される電磁波を吸収する機能性微粒子として、インジウムドープ酸化錫(ITO)、亜鉛ドープ酸化錫(ATO)、六ホウ化物、タングステン酸化物、複合タングステン酸化物がある。
出願人は特許文献3として、これらの機能性微粒子のうちでも複合タングステン酸化物が、可視光波長域で透明性が高く、それ以外の広い波長域、特に長波長の赤外波長域において大きな光吸収特性を有することを開示した。
そして出願人は特許文献4として、少なくとも2枚の対向する透明ガラス板状体の間に、当該微粒子を含有する中間層もしくは膜を設けた合わせガラスの構造体、各種建築物、自動車、電車、航空機等に設けられた窓、ドア等の開口部から入射する日射光による室内、車内等の温度上昇に関して明るさを維持しつつ抑制する物品および手段、を開示した。
また出願人は特許文献5として、複合タングステン酸化物等の機能性微粒子が光を吸収して発熱する特性を利用して、工業用では、レーザー溶着用光吸収樹脂組成物を発明し、ブラスチック部材を効率よく溶着する手段を開示した。
また出願人は特許文献6として、民生用において、日射光等からの赤外線を吸収する複合タングステン酸化物等の機能性微粒子を、アクリル樹脂やポリエステル樹脂等と混合して合成繊維とした近赤外線吸収繊維、およびこれを用いた繊維製品として発熱・保温用への応用を開示した。
さらに出願人は特許文献7として、上述した熱線遮蔽機能を有する成形体への要望に対応し、熱分解温度が高い高耐熱性分散剤と、前記タングステン酸化物微粒子および/または複合タングステン微粒子とを含む分散液を、熱可塑性樹脂と混合溶融混練して熱線遮蔽透明樹脂成形体を得る手段を開示した。
さらに出願人は特許文献8として、前記タングステン酸化物微粒子および/または複合タングステン微粒子を含む粘着樹脂層中に、金属イオンを補足する金属不活剤を添加することで、長期使用しても近赤外線遮蔽能が低下しないPDP用近赤外線吸収フィルターを開示した。
また、特許文献9には、特許文献8とは異なる金属不活化剤を添加したPDP用近赤外線吸収フィルターが開示されている。
特開平6-256541号公報 特開平6-264050号公報 国際公開第2005-037932号公報 国際公開第2005-087680号公報 特開2008-127511号公報 国際公開第2006-049025号公報 特開2011-001551号公報 特開2010-008818号公報 特開2009-035615号公報
上述した特許文献8の実施例には、金属不活性化剤(「金属不活剤」という場合もある。)が60℃の大気雰囲気下での保持環境において、近赤外線遮蔽能の低下や電磁波吸収特性の低下を抑制する手段として有効である旨が記載されている。
また、特許文献9には、金属不活性化剤がセシウム・タングステン複合酸化物微粒子の触媒作用による(メタ)アクリル系樹脂粘着剤の酸化を抑制することで、高温高湿環境下で(メタ)アクリル系樹脂の近赤外域の透過率の上昇を防止する効果について記載し、80℃の高温またはR.H.95%の高湿環境下においても当該効果を発揮する旨が記載されている。
しかしながら、本発明者らは検討の結果、熱線遮蔽膜等の用途が拡大するにつれて、当該熱線遮蔽膜等に対し、例えば120℃という、さらに高い温度での安定性が求められることに想到した。
本発明は、上述の状況の下で為されたものであり、その解決しようとする課題は、優れた熱線遮蔽特性(赤外線吸収特性)を有し、当該優れた熱線遮蔽特性が高温環境下でも安定している分散液および分散体を提供することである。
本発明者は、上述した課題解決を目的とし鋭意検討を行った。その結果、所定の構造を有する金属不活性化剤を添加した分散液および分散体が優れた熱線遮蔽特性を有し、当該優れた熱線遮蔽特性は、高温環境下において従来技術(例えば、特許文献8および9)より安定していることを知見し、本発明を完成するに至った。
すなわち、上記課題を解決する第1の発明は、液状の媒体と、前記媒体中に分散された吸収微粒子と、金属不活性化剤とを含む微粒子分散液であって、
前記吸収微粒子は、一般式WyOz(但し、Wはタングステン、Oは酸素、2.2≦z/y≦2.999)で表記されるタングステン酸化物微粒子、一般式MxWyOz(但し、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、I、Ybの内から選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1、2.0≦z/y≦3.0)で表記される複合タングステン酸化物微粒子、から選択される1種以上の酸化物微粒子であり、
前記金属不活性化剤は、下記の構造式(1)で示す化合物であることを特徴とする微粒子分散液。
Figure 0007275792000001
但し、前記構造式(1)においてR10は、炭素数1~20のアルキレン基、炭素数5~15の脂環族基、炭素数7~13のアラルキレン基またはアリレン基のいずれかである。
本発明に係る分散液および分散体は熱線遮蔽特性を有し、当該優れた熱線遮蔽特性は高温環境下においても安定していた。
以下、本発明に係る高温安定性に優れる分散液および分散体について、詳細を説明する。
本発明に係る分散液および分散体の主な構成要素は、吸収微粒子、当該吸収微粒子を分散させる媒体(本発明において「媒体」と記載する場合がある)、紫外線吸収剤、可塑剤、界面活性剤、帯電防止剤、カップリング剤、金属不活性化剤といった添加剤、媒体に吸収微粒子を適切に分散させるための分散剤、である。
そして、当該分散液の媒体は、室温で液状の水や有機溶剤、樹脂等が用いられる。一方、当該分散体の媒体は、室温で固形状やゲル状の無機物、有機物、熱硬化性の樹脂、紫外線硬化樹脂等が用いられる。
さらに、当該分散液および当該分散体の構成要素として、必要に応じ添加剤として、分散剤を用いることも可能である。
本発明に係る分散体は、膜状、板状、ペレット状、ゲル状等の種々の形態が適時選択される。
例えば、膜状であれば、前記分散液を、便宜な基材上に塗布して被膜を形成すれば良い。被膜の形成方法は、例えばスピンコート法、バーコート法、スプレーコート法、ディップコート法、スクリーンコート法、ロールコート法、流し塗り等、分散液を平坦且つ薄く均一に塗布できる方法であればいずれの方法でも良い。前記方法で分散液を塗布後、大気中や真空中、常温や加熱の状態で静置して揮発成分を揮発する。分散液中に、例えば紫外線硬化樹脂が含まれる場合は紫外線照射にて、熱硬化性樹脂が含まれる場合は更に加熱等で膜を基材上に定着して分散体を得ることができる。さらに、インクジェット法による塗出や3Dプリンタ装置等による、パターン化された膜状であっても構わない。
前記分散液を、例えばポリカーボネート樹脂(PC樹脂)やポリエチレンテレフタレート樹脂(PET樹脂)等の有機樹脂と一緒に、押出成形機やカレンダーロール成形機で加熱、溶融し、混合、分散、固化してペレット状や膜状/板状の分散体を得る方法、射出成形機や圧縮成形機で混合、分散、固化し、任意形状の成形体の分散体を得る方法等、様々な方法で分散体を得ることができる。
以下、本発明に係る分散液や分散体を構成する各構成成分、当該分散液や分散体の製造方法、当該分散液や分散体およびその用途、について、[a]吸収微粒子、[b]媒体、[c]添加剤、[d]分散剤、[e]本発明に係る分散液の製造方法、[f]本発明に係る分散体の製造方法、[g]本発明に係る分散液とその用途、[h]本発明に係る分散体とその用途、[i]まとめ、の順に説明する。
[a]吸収微粒子
本発明に係る吸収微粒子とは、一般式WyOz(但し、Wはタングステン、Oは酸素、2.2≦z/y≦2.999)で表記されるタングステン酸化物微粒子、一般式MxWyOz(但し、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、I、Ybの内から選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1、2.0≦z/y≦3.0)で表記される複合タングステン酸化物微粒子から選択される1種以上の酸化物微粒子である。
即ち、吸収微粒子とは、上述したタングステン酸化物微粒子、複合タングステン酸化物微粒子のいずれか、または、両方の酸化物微粒子である。
上述した一般式MxWyOzで表記される複合タングステン酸化物の微粒子は、六方晶、正方晶、立方晶の結晶構造を有する場合に耐久性に優れることから、当該六方晶、正方晶、立方晶から選ばれる1つ以上の結晶構造を含むことが好ましい。
特に、前記Mの元素のうち、六方晶の結晶構造を構成するCs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Snの各元素から選択される1種類以上の元素を含む複合タングステン酸化物の微粒子が好ましく、さらには高い電磁波吸収と波長400nm~780nmの可視光域における透過が優れているCsが好ましい。
添加されるM元素の添加量xは、x/yの値において0.001以上1以下が好ましく、さらには、六方晶の結晶構造から理論的に算出されるx/yの値0.33付近が好ましい。
一方、酸素の存在量Zは、z/yの値で2.0以上3.0以下が好ましい。典型的な例としてはCs0.33WO、Rb0.33WO、K0.33WO、Ba0.33WO、Cs0.03Rb0.30WO等を挙げることが出来る。尤も、x、y、zの値が上述の範囲に収まるものであれば、有用な電磁波吸収特性を得ることができる。
また、優れた電磁波吸収特性を発揮させる観点から、吸収微粒子の結晶子径は1nm以上200nm以下であることが好ましく、より好ましくは1nm以上100nm以下、さらに好ましくは10nm以上70nm以下である。結晶子径の測定には、粉末X線回折法(θ―2θ法)によるX線回折パターンの測定と、リートベルト法による解析を用いる。X線回折パターンの測定には、例えばスペクトリス株式会社PANalytical製の粉末X線回折装置「X’Pert-PRO/MPD」等を用いることができる。
さらに、吸収微粒子の表面が、Si、Ti、Zr、Alのいずれか1種類以上の元素を含有する化合物で被覆されていることも好ましい構成である。
[b]媒体
本発明に係る分散液に用いる液状の媒体、分散体に用いる固形状やゲル状の媒体について、1.液状の媒体、2.固形状やゲル状の媒体、の順に説明する。
1.液状の媒体
本発明に係る分散液の媒体としては、室温で液状である、例えば水、トルエンやヘキサン等の有機溶剤、エポキシ樹脂やアクリル樹脂等の液状の有機樹脂、油脂、媒体樹脂用の液状可塑剤、高分子単量体、または、これらの混合物等があげられる。当該液状媒体は、本発明に係る分散液を用いて作製される分散体に応じて種々選択され、特に限定されるものではない。
ここで、有機溶剤としては、アルコール系、ケトン系、炭化水素系、グリコール系等、種々のものを選択することが可能である。具体的には、メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコール等のアルコール系溶剤、
アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン系溶剤、
3-メチル-メトキシ-プロピオネート等のエステル系溶剤、
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート等のグリコール誘導体、
フォルムアミド、N-メチルフォルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン等のアミド類、
トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、
エチレンクロライド、クロルベンゼン等が使用可能である。
そして、これらの有機溶剤中でも、特に、ジメチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸n-ブチル等が好ましい。
油脂としては、植物油脂または植物由来油脂が好ましい。植物油としては、アマニ油、ヒマワリ油、桐油、エノ油等の乾性油、ゴマ油、綿実油、菜種油、大豆油、米糠油、ケシ油等の半乾性油、オリーブ油、ヤシ油、パーム油、脱水ヒマシ油等の不乾性油が用いられる。植物油由来の化合物としては、植物油の脂肪酸とモノアルコールを直接エステル反応させた脂肪酸モノエステル、エーテル類等が用いられる。
また、市販の石油系溶剤も油脂として用いることができ、アイソパーE、エクソールHexane、エクソールHeptane、エクソールE、エクソールD30、エクソールD40、エクソールD60、エクソールD80、エクソールD95、エクソールD110、エクソールD130(以上、エクソンモービル社製)等を挙げることができる。
媒体樹脂用の液状可塑剤としては、有機酸エステル系やリン酸エステル系等に代表される、公知の液状可塑剤を用いることができる。
可塑性を備えた分散体を製造する為に用いる分散液においては、前記液状可塑剤を液状媒体とすることで、分散体の可塑性を向上させることができるからである。そして、得られた可塑性を備えた分散体を、例えば2枚以上の少なくとも可視光線を透過する透明基材の間に挟み込んで合わせ構造体を構成することができる。
ここで、液状可塑剤としては、例えば一価アルコールと有機酸エステルとの化合物である可塑剤や、多価アルコール有機酸エステル化合物等のエステル系である可塑剤、有機リン酸系可塑剤等のリン酸系である可塑剤が挙げられ、いずれも室温で液状であるものが好ましい。中でも、多価アルコールと脂肪酸から合成されたエステル化合物である可塑剤が好ましい。
多価アルコールと脂肪酸から合成されたエステル化合物は特に限定されないが、例えば、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコール等のグリコールと、酪酸、イソ酪酸、カプロン酸、2-エチル酪酸、ヘプチル酸、n-オクチル酸、2-エチルヘキシル酸、ペラルゴン酸(n-ノニル酸)、デシル酸等の一塩基性有機酸との反応によって得られた、グリコール系エステル化合物が挙げられる。また、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコールと、上記一塩基性有機とのエステル化合物等も挙げられる。
中でも、トリエチレングリコールジヘキサネート、トリエチレングリコールジ-2-エチルブチレート、トリエチレングリコールジ-オクタネート、トリエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノネート等のトリエチレングリコールの脂肪酸エステルが好適である。
また、高分子単量体とは重合等により高分子を形成する単量体であるが、本発明で用いる好ましい高分子単量体としては、メチルメタクリレート単量体、アクレリート単量体やスチレン樹脂単量体等が挙げられる。
以上、説明した液状の媒体は、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。さらに、必要に応じて、これらの液状の媒体へ酸やアルカリを添加してpH調整してもよい。
2.固形状やゲル状の媒体
本発明に係る分散体に用いる媒体は、室温で固形状またはゲル状の媒体である。具体的には、ガラス等の無機化合物、ポリカーボネート樹脂やPET樹脂等の高分子有機化合物等、種々選択出来る。
尤も、後述する「[c]添加剤」として亜リン酸エステル系化合物を用いる場合、分散体の媒体としては、当該亜リン酸エステル系化合物と相溶性が高いポリカーボネート樹脂(PC樹脂)、アクリル樹脂(PMMA樹脂)、ポリプロピレン樹脂(PP樹脂)、ポリエチレン樹脂(PE樹脂)、ポリスチレン樹脂(PS樹脂)、ポリアミド樹脂(PA樹脂)、およびポリエチレンテレフタレート樹脂(PET樹脂)等の高分子が好ましい。
[c]添加剤
本発明に係る添加剤は、本発明に係る分散液および分散体の耐候性を向上させ、例えば120℃という高温下においても、優れた熱線遮蔽特性を安定的に発揮させる目的で添加するものである。
本発明に係る添加剤について、1.所定の構造を有する金属不活性化剤、2.前記金属不活性化剤とは異なる構造を有する安定剤、の順に説明する。
1.所定の構造を有する金属不活性化剤
本発明に用いる金属不活性化剤は下記構造式(1)で示す化合物であって、R10に炭素数1~20のアルキレン基、炭素数5~15の脂環族基、炭素数7~13のアラルキレン基またはアリレン基を持つものである。
Figure 0007275792000002
炭素数1~20のアルキレン基としては、例えばメチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、i-プロピレン基、n-ブチレン基、i-ブチレン基、sec-ブチレン基、t-ブチレン基、t-ペンチレン基、i-オクチレン基、t-オクチレン基、2-エチルヘキシレン基等が挙げられる。
炭素数5~15の脂環族基としては、例えばシクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロヘプチレン基、シクロオクチレン基、1-メチルシクロペンチレン基、1-メチルシクロヘキシレン基、1-メチル-4-i-プロピルシクロヘキシレン基等が挙げられる。
炭素数7~13のアラルキレン基としては、例えばベンジレン基、α-メチルベンジレン基、α、α-ジメチルベンジレン基等が挙げられる。
炭素数7~13のアリレン基としては、例えばフェニレン基、ナフチレン基、2-メチルフェニレン基、4-メチルフェニレン基、2,4-ジメチルフェニレン基、2,6-ジメチルフェニレン基等が挙げられる。
構造式(1)で示す金属不活性化剤の中でも、R10が炭素数10のアルキレン基であることが特に好ましい。
金属不活性化剤の好ましい具体例としては、デカメチレンジカルボン酸ジサリチロイルヒドラジド(例えば、アデカスタブ(登録商標)CDA-6(株式会社ADEKA製)として市販されている。)等が挙げられる。
金属不活性化剤の添加量は、吸収微粒子100重量部に対して10重量部以上10000重量部以下が好ましく、50重量部以上3000重量部以下がより好ましく、100重量部以上700重量部以下が更に好ましく、130重量部以上350重量部以下が最も好ましい。
金属不活性化剤の添加量が吸収微粒子100重量部に対して10重量部以上の場合、例えば120℃という高温下においても、優れた熱線遮蔽特性を安定的に発揮させることが出来る。
一方、金属不活性化剤の添加量が吸収微粒子100重量部に対して10000重量部以下の場合、120℃の高温の大気雰囲気下での保持特性には大きな影響は見られないが、分散液の粘度上昇等による加工性の悪化と可視光透過率の低下を回避することが出来る。
2.前記金属不活性化剤とは異なる構造を有する安定剤
本発明に係る金属不活性化剤として、「1.金属不活性化剤」にて説明した化合物へさらに加えて、「1.金属不活性化剤」にて説明した化合物とは異なる構造を有する安定剤を添加することもできる。当該異なる構造を有する安定剤としては、ヒンダードフェノール系安定剤、スルフィド系安定剤、亜リン酸エステル類や3価や5価のリンを含むリン系官能基を備えたリン系安定剤、等を使用することができる。
これらの安定剤は、高温保持環境下において樹脂から生成するラジカルを捕捉する効果やラジカル反応により生成する過酸化物を分解する効果を有する。これらの安定剤が効果を発揮するメカニズムの詳細は解明されていないが、前記金属不活化剤と複合的に作用して、吸収微粒子の電磁波吸収特性の低下を相乗効果的に抑制するものであると考えられる。
ヒンダードフェノール系安定剤の例としては、フェノール性OH基の一位に第三ブチル基等の大きな基が導入された化合物を好ましく挙げることができる。
スルフィド系安定剤の例としては、硫黄系着色防止剤として用いられる分子内に2価の硫黄を有する化合物を好ましく挙げることができる。具体例としては、構造式(2)に示すアデカスタブ(登録商標)AO-412S(株式会社ADEKA製)や、構造式(3)に示すアデカスタブ(登録商標)AO-503(株式会社ADEKA製)などが挙げられる。
Figure 0007275792000003
Figure 0007275792000004
[d]分散剤
本発明に係る分散液や分散体には、媒体中および/または分散液中へ吸収微粒子を均一に分散させる為に、分散剤を用いることが出来る。
分散剤は、上述した媒体や分散液に応じて種々選択することが出来る。そして、本発明に記載の吸収微粒子は一般式WyOzで表されるタングステン酸化物微粒子、一般式MxWyOzで表される複合タングステン酸化物微粒子であることから、官能基に、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、水酸基、スルホ基等を有する分散剤であることが好ましい。これらの官能基は、吸収微粒子の表面に吸着し、吸収微粒子の凝集を防ぎ、分散体の媒体や分散液中でも吸収微粒子を均一に分散させる効果を持つ。
市販の分散剤における好ましい具体例としては、日本ルーブリゾール(株)製SOLSPERSE(登録商標)3000、9000、11200、13000、13240、13650、13940、16000、17000、18000、20000、21000、24000SC、24000GR、26000、27000、28000、31845、32000、32500、32550、32600、33000、33500、34750、35100、35200、36600、37500、38500、39000、41000、41090、53095、55000、56000、76500等、
ビックケミー・ジャパン(株)製Disperbyk(登録商標)-101、103、107、108、109、110、111、112、116、130、140、142、145、154、161、162、163、164、165、166、167、168、170、171、174、180、181、182、183、184、185、190、2000、2001、2020、2025、2050、2070、2095、2150、2155、Anti-Terra-U、Anti-Terra-203、Anti-Terra(登録商標)-204、BYK(登録商標)-P104、P104S、220S、6919等、
BASFジャパン(株)製EFKA(登録商標)4008、4046、4047、4015、4020、4050、4055、4060、4080、4300、4330、4400、4401、4402、4403、4500、4510、4530、4550、4560、4585、4800、5220、6230、JONCRYL(登録商標)67、678、586、611、680、682、690、819、-JDX5050等、
東亞合成(株)製アルフォン(登録商標)UC-3000、UF-5022、UG-4010、UG-4035、UG-4070等、
味の素ファインテクノ(株)製アジスパー(登録商標)PB-711、PB-821、PB-822、等が挙げられる。
中でも、カルボキシル基を官能基として有するアクリル-スチレン共重合体系分散剤、アミンを含有する基を官能基として有するアクリル系分散剤が、より好ましい例として挙げられる。官能基にアミンを含有する基を有する分散剤は、分子量Mw2000~200000、アミン価5~100mgKOH/gのものが好ましい。また、カルボキシル基を有する分散剤では、分子量Mw2000~200000、酸価1~50mgKOH/gのものが好ましい。
当該分散剤の添加量は、吸収微粒子や分散剤の種類により異なるが、吸収微粒子100重量部に対し10重量部以上、1000重量部以下の範囲であることが望ましく、吸収微粒子が複合タングステン酸化物微粒子で、かつ分散媒体が例えばポリビニルアセタール樹脂(PVA樹脂)である場合、好ましくは30重量部以上、400重量部以下の範囲である。
分散剤の添加量が上記範囲にあれば、吸収微粒子が、媒体中で均一に分散するからである。
また、吸収微粒子と樹脂との溶融混合により分散体を製造する場合は、当該溶融混合温度でも変色しない分散剤を用いることが好ましい。
[e]本発明に係る分散液の製造方法
本発明に係る吸収微粒子を、上述した液状の媒体中に混合・分散したものが、本発明に係る分散液である。
吸収微粒子の分散方法は、微粒子を分散液中へ均一に分散する方法であれば特に限定されない。また、分散と同時に吸収微粒子の粉砕も同時に行うことが出来る方法であれば、吸収微粒子を上述の好ましい分散粒子径に制御しつつ分散可能となるので好ましい。
具体的には、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、ペイントシェーカー、超音波ホモジナイザー等の装置を用いた、所定時間の粉砕・分散処理方法が挙げられる。その中でも、ビーズ、ボール、オタワサンドといった媒体メディアを用いる、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、ペイントシェーカー等の媒体攪拌ミルで粉砕、分散させることは、所望とする分散粒子径を得る為に要する時間が短いことからより好ましい。
吸収微粒子による光の散乱の低減を重視するのであれば、吸収微粒子の分散粒子径は200nm以下、好ましくは100nm以下がよい。その理由は、吸収微粒子の分散粒子径が小さければ、幾何学散乱もしくはミー散乱による、波長400nm~780nmの可視光波長域における光の散乱が低減されるからである。当該光の散乱が低減される結果、分散液が曇りガラスのようになって鮮明な透明性が得られなくなるのを回避できる。
これは、吸収微粒子の分散粒子径が800nm以下になると、幾何学散乱もしくはミー散乱が低減し、レイリー散乱領域になるからである。そして、当該レイリー散乱領域では、散乱光は粒子径の6乗に反比例して低減するため、分散粒子径の減少に伴い散乱が低減し、透明性が向上する。さらに、分散粒子径が200nm以下になると、散乱光は非常に少なくなり好ましく、100nm以下になると更に好ましい。光の散乱を回避する観点からは、分散粒子径が小さい方が好ましい。一方、分散粒子径が10nm以上であれば工業的な製造は容易である。
尚、分散粒子径は、分散液をサンプリングし、市販されている種々の粒径測定装置で測定することで確認することができる。粒度測定装置としては、例えば、動的光散乱法を原理とした大塚電子(株)社製ELS-8000等の公知の測定装置を用いることができる。
[f]本発明に係る分散体の製造方法
本発明に係る吸収微粒子と、媒体樹脂の粉粒体またはペレット、および必要に応じて他の添加剤を均一に混合したのち、ベント式一軸若しくは二軸の押出機で混練し、一般的な溶融押出されたストランドをカットする方法によりペレット状に加工することによって、マスターバッチを得ることが出来る。この場合、マスターバッチの形状として円柱状や角柱状のものを挙げることができる。また、溶融押出物を直接カットするいわゆるホットカット法を採ることも可能である。この場合、マスターバッチは球状に近い形状をとることが一般的である。尚、マスターバッチは、本発明に係る分散体の一例である。
上述したマスターバッチの製造工程において、分散液に含まれる液体媒体を、当該マスターバッチに残留が許容される量まで除去してしまうのは好ましい構成である。また、マスターバッチの製造工程において、媒体樹脂と混合される吸収微粒子として、分散剤や液状樹脂等を含む分散液から液状媒体を除去して得られる吸収微粒子を用いることも好ましい。また、分散剤や液状樹脂等を含む分散液から機械的な加工を加えつつ液状媒体を除去することで、分散液や液状樹脂の固形分を含有した粉末状の吸収微粒子分散粉を用いることも好ましい。粉末状とすることで、吸収微粒子分散粉と粉粒体またはペレット状の媒体樹脂とを混合しやすくなり、マスターバッチ中の吸収微粒子の濃度を高精度に調整しやすくなるからである。尚、吸収微粒子分散粉は、本発明に係る分散体の一例である。
得られたマスターバッチは、媒体樹脂を追加して混練することにより分散体に含まれる吸収微粒子の分散状態が維持されたまま、その分散濃度を調整出来る。
他方、媒体樹脂のモノマー、オリゴマーおよび未硬化で液状の媒体樹脂前駆体と、吸収微粒子とを混合して、分散液を得てから、当該モノマー等を縮合や重合等の化学反応によって硬化させてもよい。例えば、媒体樹脂としてアクリル樹脂を用いる場合、アクリルモノマーやアクリル系の紫外線硬化樹脂と、吸収微粒子とを混合して、分散液を得る。そして、当該分散液を所定の鋳型等に充填しラジカル重合を行えば、アクリル樹脂を用いた分散体が得られる。
樹脂媒体としてアイオノマー樹脂等の、架橋により硬化する樹脂を用いる場合も、上述したアクリル樹脂を用いた場合と同様に、分散液に架橋反応させることで分散体を得ることができる。
さらに、吸収微粒子と液状可塑剤とを混合することで可塑剤分散液を得ることが出来る。得られた可塑剤分散液を媒体樹脂と混合し公知の加熱処理等により、液状媒体を分散体に残留が許容される量まで除去することで分散体が得られる。尚、液状媒体に液状可塑剤を用いた場合は、当該液状可塑剤の全量が分散体に残留してもよい。
また、吸収微粒子、可塑剤分散液、マスターバッチ、吸収微粒子分散粉のいずれかと、熱可塑性樹脂と、所望に応じて可塑剤その他添加剤とを混練し混練物を得る。当該混練物から、公知の押出成形法、射出成形法等の方法により、例えば平面状や曲面状に成形された、シート状、ボード状またはフィルム状の分散体を製造することができる。
シート状、ボード状またはフィルム状の分散体の形成方法には、公知の方法を用いることが出来る。例えば、カレンダーロール法、押出法、キャスティング法、インフレーション法等を用いることができる。
[g]本発明に係る分散液とその用途
本発明に係る分散液は、光熱変換を利用した様々な用途に用いられる。
例えば、本発明に係る吸収微粒子を適宜な媒体中に分散した後、未硬化の熱硬化性樹脂を添加することにより、硬化型インク組成物を得ることが出来る。硬化型インク組成物は、所定の基材上に設けられ、赤外線等の電磁波を照射されて硬化した際、当該基材への密着性に優れたものである。
そして、当該硬化型インク組成物は、従来のインクとしての用途に加え、所定量を塗布し、ここへ赤外線等の電磁波を照射して硬化させて積み上げ後、3次元物体を造形する光造形法に最適な硬化型インク組成物となる。
また、本発明に係る分散液を、樹脂等の固体媒体または高分子単量体と混合して塗布液を作製する。当該塗布液を用いて、公知の方法で基板フィルムまたは基板ガラスから選択される透明基板上にコーティング層を形成すると、吸収微粒子が個体媒体に分散された電磁波吸収フィルムまたは電磁波吸収ガラスを製造することが出来る。電磁波吸収フィルムまたは電磁波吸収ガラスは、本発明に係る分散体の一例である。
また、本発明に係る吸収微粒子は、赤外線領域に吸収をもつため、吸収微粒子を含む印刷面に赤外線レーザーを照射したとき特定の波長を吸収する。従って、この吸収微粒子を含む偽造防止インクを被印刷基材の片面又は両面に印刷した偽造防止用印刷物は、特定波長の赤外線を照射してその反射若しくは透過を読み取ることによって、反射量又は透過量の違いから、印刷物の真贋を判定することができる。偽造防止用印刷物は、本発明に係る分散体の一例である。
また、本発明に係る分散液とバインダー成分とを混合してインクを製造し、当該インクを基材上に塗布し、塗布したインクを乾燥させた後、乾燥させたインクを硬化させることにより光熱変換層を形成することができる。当該光熱変換層は、赤外線等の電磁波レーザーの照射により、高い位置の精度をもって所望の箇所のみで発熱させることが可能でき、エレクトロニクス、医療、農業、機械、等の広い範囲に分野において適用可能である。例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子をレーザー転写法で形成する際に用いるドナーシートや、感熱式プリンタ用の感熱紙や熱転写プリンタ用のインクリボンとして好適に用いることが出来る。光熱変換層は、本発明に係る分散体の一例である。
[h]本発明に係る分散体とその用途
本発明に係る分散体を、シート状、ボード状またはフィルム状に加工することで様々な用途に適用できる。シート状、ボード状またはフィルム状の分散体を、少なくとも可視光線を透過する2枚以上の透明基材の板ガラスまたはプラスチックの材質からなる複数枚の透明基材間によって挟持される中間層の構成部材として介在させることで、可視光線を透過しつつ電磁波吸収機能を備えた電磁波吸収合わせ構造体を得ることが出来る。電磁波吸収用中間膜は、本発明に係る分散体の一例である。
また、本発明に係る吸収微粒子を適宜な媒体中に分散させて、当該分散物を繊維の表面および/または内部に含有させることにより、電磁波吸収繊維が得られる。当該構成を有することで、電磁波吸収繊維は、吸収微粒子の含有により太陽光等からの近赤外線等を効率良く吸収し、保温性に優れた電磁波吸収繊維となり、同時に可視光領域の光は透過させるので意匠性に優れた電磁波吸収繊維となる。その結果、保温性を必要とする防寒用衣料、スポーツ用衣料、ストッキング、カーテン等の繊維製品やその他産業用繊維製品等の種々の用途に使用することができる。電磁波吸収繊維は、本発明に係る分散体の一例である。
また、本発明に係るフィルム状又はボード状の分散体を農園芸用ハウスの屋根や外壁材等に用いられる資材に応用することが出来る。そして、可視光線を透過して農園芸用ハウス内の植物の光合成に必要な光を確保しながら、それ以外の太陽光に含まれる近赤外光等の光を効率よく吸収することにより断熱性を備えた農園芸施設用断熱資材として使用することが出来る。農園芸施設用断熱資材は、本発明に係る分散体の一例である。
[i]まとめ
以上、説明したように本発明に拠れば、例えば120℃という高温下においても、優れた熱線遮蔽特性を安定的に発揮する吸収微粒子が分散された樹脂成形体を得ることが出来る。すなわち、高温環境下であっても長期使用に耐え、優れた近赤外線吸収効果を示す透明な窓材や屋根材等を安価に製造することが出来る。加えて、部材にガラスを使用せず、本発明に係る分散液を透明な樹脂に混合し混練して得られた成形体を使用した場合は、ガラスでは得られない耐衝撃性と軽量化に加えて、優れた近赤外線吸収効果を併せ持つことが出来る。さらに、本発明に係る分散液を用いて作製する分散体は、当該分散液から作製されたマスターバッチを成形時にドライブレンドする方法、または、分散液を直接媒体に添加する等の安価な製造方法で得ることが出来、透明であるにもかかわらずレーザー光や赤外光等の光を熱に変換出来るので、部材同士の接合にも有効に作用する。
本発明を用いた部材は、結果としてエアコン等の空調に要する電力削減、移動体の軽量化による燃費/電費の削減等、多岐の用途におけるエネルギー削減をもたらす。さらに
は、従来であれば、紫外線ランプの使用等、人体に好ましからざる方法を用いていた抗菌・除菌・殺菌等の用途においても、少ないエネルギーまたは日射光やランプ光等の、環境光を用いたゼロエネルギーで透明な対菌用の媒体を実現することができる。
以下、実施例を参照しながら本発明を具体的に説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
尚、実施例および比較例における吸収微粒子の結晶子径の測定には、分散液から液状の媒体を除去して得られる吸収微粒子を用いた。そして、当該吸収微粒子のX線回折パターンを、粉末X線回折装置(スペクトリス株式会社PANalytical製X’Pert-PRO/MPD)を用いて粉末X線回折法(θ―2θ法)により測定し、得られたX線回折パターンからリートベルト法を用いて結晶子径を算出した。
また、実施例および比較例に係る赤外線吸収シートの光学特性は、分光光度計(日立製作所株式会社製 U-4100)を用いて測定し、可視光透過率と日射透過率とは、JISR3106に従って算出した。
また、実施例および比較例におけるヘイズは、ヘイズメーター(村上色彩株式会社製 HM-150)を用いてJISK7105従って測定した。
[実施例1]
Cs/W(モル比)=0.33の六方晶セシウムタングステンブロンズ粉末CWO(住友金属鉱山株式会社製YM-01(登録商標))5質量%とポリアクリレート系分散剤5質量%とトルエン90質量%とを混合し、得られた混合液を、0.3mmφZrOビーズを入れたペイントシェーカーに装填し、10時間粉砕・分散処理した。そして、上述した六方晶セシウムタングステンブロンズ100重量部に対して、金属不活性化剤として、構造式(4)に示すアデカスタブCDA-6(登録商標)(株式会社ADEKA製)を130重量部添加し、攪拌混合することで実施例1に係る分散液を得た。ここで、得られた分散液中の吸収微粒子の結晶子径を測定したところ32nmであった。
Figure 0007275792000005
実施例1に係る分散液から真空流動乾燥により液状の媒体を蒸発させ、実施例1に係る吸収微粒子分散粉(本発明において「分散粉」と記載する場合がある。)を得た。尚、真空流動乾燥には、株式会社石川工場製の石川式攪拌擂潰機24Pを用い、装置内雰囲気は真空、温度設定は50℃、乳棒の回転速度は40rpmとした。また、上述した分散粉は本発明に係る分散体の一例である。
実施例1に係る分散粉とポリカーボネート樹脂とを、吸収微粒子の濃度が0.05質量%となるようにブレンダーで均一に混合した後、二軸押出機を用いて290℃で混練し、Tダイより押出して、カレンダーロール法により0.75mm厚のシート材とし、実施例1に係る赤外線吸収シートを得た。尚、赤外線吸収シートは本発明に係る分散体の一例である。
得られた実施例1に係る赤外線吸収シートの光学特性を測定したところ、可視光透過率が79.6%、日射透過率が48.6%、ヘイズは0.9%であった。
続けて、実施例1に係る赤外線吸収シートを120℃の大気雰囲気下に30日間保持した後の可視光透過率変化と日射透過率変化とを測定した。可視光透過率変化は+2.0%、日射透過率変化は+2.5%であった。
この結果より、実施例1に係る赤外線吸収シートは120℃という高温下においても、優れた熱線遮蔽特性を安定的に発揮することが判明した。
これらの結果を表1に記載する。尚、表1には、実施例2~9、比較例1~2で得られた結果についても併せて記載する。
[実施例2~5]
六方晶セシウムタングステンブロンズ粉末100重量部に対して、アデカスタブCDA-6を340重量部(実施例2)、680重量部(実施例3)、1020重量部(実施例4)、1360重量部(実施例5)添加した以外は、実施例1と同様にして、実施例2~5に係る分散液、赤外線吸収シートを得た。
得られた実施例2~5に係る分散液、赤外線吸収シートの光学特性を、実施例1と同様に評価した。当該実施例2~5に係る製造条件と評価結果とを、表1に記載する。
この結果より、実施例2~5に係る赤外線吸収シートは120℃という高温下においても、優れた熱線遮蔽特性を安定的に発揮することが判明した。
[実施例6]
実施例1に係る分散粉とポリカーボネート樹脂とを、六方晶セシウムタングステンブロンズ粉末100重量部に対する金属不活性化剤の添加量が10000重量部となり、且つ、吸収微粒子の濃度が0.05質量%となるようにブレンダーで均一に混合した後、二軸押出機で溶融混練し、押出されたストランドをペレット状にカットし、吸収微粒子含有マスターバッチを得た。尚、吸収微粒子含有マスターバッチは本発明に係る分散体の一例である。
得られた実施例6に係る吸収微粒子含有マスターバッチ10重量部とポリカーボネート樹脂ペレット90重量部とをドライブレンドし、射出成型機を用いて厚さ10mmのプレート材とし、実施例6に係る赤外線吸収プレートを得た。尚、赤外線吸収プレートは本発明に係る分散体の一例である。
得られた実施例6に係る赤外線吸収プレートの光学特性を、実施例1と同様に評価した。当該実施例6に係る製造条件と評価結果とを、表1に記載する。
この結果より、実施例6に係る赤外線吸収プレートは120℃という高温下においても、優れた熱線遮蔽特性を安定的に発揮することが判明した。
[実施例7]
Cs/W(モル比)=0.33の六方晶セシウムタングステンブロンズ粉末(住友金属鉱山株式会社製)5質量%とポリアクリレート系分散剤5質量%とトルエン90質量%とを混合し、得られた混合液を、0.3mmφZrOビーズを入れたペイントシェーカーに装填し、10時間粉砕・分散処理した。そして、上述した六方晶セシウムタングステンブロンズ100重量部に対してアデカスタブCDA-6を340重量部、および、ヒンダードフェノール系酸化防止剤として、構造式(5)に示すIRGANOX1010(登録商標)(BASF SE社製)を150重量部添加し、攪拌混合することで実施例7に係る分散液を得た。
Figure 0007275792000006
実施例1に係る分散液の代わりに、実施例7に係る分散液を用いた以外は実施例1と同様にして、実施例7に係る赤外線吸収シートを得た。
得られた実施例7に係る分散液中の吸収微粒子の結晶子径と、赤外線吸収シートの光学特性とを、実施例1と同様に測定、評価した。当該実施例7に係る製造条件と評価結果とを、表1に記載する。
この結果より、実施例7に係る赤外線吸収シートは120℃という高温下においても、優れた熱線遮蔽特性を安定的に発揮することが判明した。
[実施例8]
IRGANOX1010の代わりに、リン系酸化防止剤として構造式(6)に示すアデカスタブ2112(登録商標)(株式会社ADEKA製)を150重量部用いた以外は、実施例7と同様にして、実施例8に係る分散液と赤外線吸収シートとを得た。
得られた実施例8に係る分散液中の吸収微粒子の結晶子径と、赤外線吸収シートの光学特性とを、実施例1と同様に測定、評価した。当該実施例8に係る製造条件と評価結果とを、表1に記載する。
この結果より、実施例8に係る赤外線吸収シートは120℃という高温下においても、優れた熱線遮蔽特性を安定的に発揮することが判明した。
Figure 0007275792000007
[実施例9]
六方晶セシウムタングステンブロンズ粉末(住友金属鉱山株式会社製)の代わりにマグネリ相のW1849を用いた以外は、実施例2と同様にして、実施例9に係る分散液と赤外線吸収シートとを得た。
得られた実施例9に係る分散液中の吸収微粒子の結晶子径と、赤外線吸収シートの光学特性とを、実施例1と同様に測定、評価した。当該実施例9に係る製造条件と評価結果とを、表1に記載する。
この結果より、実施例9に係る赤外線吸収シートは120℃という高温下においても、優れた熱線遮蔽特性を安定的に発揮することが判明した。
[比較例1]
アデカスタブCDA-6の代わりに何も添加せずにした以外は実施例1と同様にして、比較例1に係る分散液と赤外線吸収シートを得た。
得られた比較例1に係る分散液中の吸収微粒子の結晶子径と、赤外線吸収シートの光学特性とを、実施例1と同様に測定、評価した。当該比較例1に係る製造条件と評価結果とを、表1に記載する。
[比較例2]
アデカスタブCDA-6の代わりに何も添加しなかった以外は実施例9と同様にして、比較例2に係る分散液、赤外線吸収シートを得た。
得られた比較例2に係る分散液中の吸収微粒子の結晶子径と、赤外線吸収シートの光学特性とを、実施例1と同様に測定、評価した。当該比較例2に係る製造条件と評価結果とを、表1に記載する。
[まとめ]
実施例1~9に係る分散液から製造した赤外線吸収シートまたは赤外線吸収プレートは、いずれも優れた熱線遮蔽特性を有し、120℃という高温下においても、当該優れた熱線遮蔽特性を安定的に発揮することが判明した。
Figure 0007275792000008

Claims (13)

  1. 液状の媒体と、前記媒体中に分散された吸収微粒子と、金属不活性化剤とを含む微粒子分散液であって、
    前記吸収微粒子は、一般式WyOz(但し、Wはタングステン、Oは酸素、2.2≦z/y≦2.999)で表記されるタングステン酸化物微粒子、一般式MxWyOz(但し、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、I、Ybの内から選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1、2.0≦z/y≦3.0)で表記される複合タングステン酸化物微粒子、から選択される1種以上の酸化物微粒子であり、
    前記金属不活性化剤は、下記の構造式(1)で示す化合物であり、
    前記金属不活性化剤の含有量が、前記吸収微粒子100重量部に対して、130重量部以上10000重量部以下であり、
    前記微粒子分散液から液状媒体が除去された吸収微粒子分散粉が、ポリカーボネート樹脂に分散されることを特徴とする微粒子分散液。
    Figure 0007275792000009
    但し、前記構造式(1)においてR10は、炭素数1~20のアルキレン基、炭素数5~15の脂環族基、炭素数7~13のアラルキレン基またはアリレン基のいずれかである。
  2. さらに、前記構造式(1)で示す化合物とは異なる構造を有する金属不活性化剤として、リン系安定剤、ヒンダードフェノール系安定剤、スルフィド系安定剤から選ばれる1種類以上の安定剤を含むことを特徴とする請求項1に記載の微粒子分散液。
  3. 前記吸収微粒子が、一般式MxWyOzで表記される複合タングステン酸化物微粒子であり、前記Mが、Cs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Snのうちから選択される1種類以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の微粒子分散液。
  4. 前記吸収微粒子が、六方晶の結晶構造を持つ複合タングステン酸化物微粒子であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の微粒子分散液。
  5. 前記吸収微粒子の結晶子径が、1nm以上200nm以下であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の微粒子分散液。
  6. 前記吸収微粒子の表面が、Si、Ti、Zr、Alのいずれか1種類以上の元素を含有する化合物で被覆されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の微粒子分散液。
  7. 前記吸収微粒子を分散する媒体が、高分子単量体であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の微粒子分散液。
  8. 媒体と、前記媒体中に分散された吸収微粒子と、金属不活性化剤とを含む微粒子分散体であって、
    前記吸収微粒子は、一般式WyOz(但し、Wはタングステン、Oは酸素、2.2≦z/y≦2.999)で表記されるタングステン酸化物微粒子、一般式MxWyOz(但し、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、I、Ybの内から選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1、2.0≦z/y≦3.0)で表記される複合タングステン酸化物微粒子、から選択される1種以上の酸化物微粒子により構成され、
    前記金属不活性化剤は、下記の構造式(1)で示す化合物であり、
    前記金属不活性化剤の含有量が、前記吸収微粒子100重量部に対して、130重量部以上10000重量部以下であり、
    前記媒体が、ポリカーボネート樹脂であることを特徴とする微粒子分散体。
    Figure 0007275792000010
    但し、前記構造式(1)においてR10は、炭素数1~20のアルキレン基、炭素数5~15の脂環族基、炭素数7~13のアラルキレンまたはアリレン基のいずれかである。
  9. さらに、前記構造式(1)で示す化合物とは異なるなる構造を有する金属不活性化剤として、リン系安定剤、ヒンダードフェノール系安定剤、スルフィド系安定剤から選ばれる1種類以上の安定剤を含むことを特徴とする請求項8に記載の微粒子分散体。
  10. 前記吸収微粒子が、一般式MxWyOzで表記される複合タングステン酸化物微粒子であり、Mが、Cs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Snのうちから選択される1種類以上であることを特徴とする請求項8または9に記載の微粒子分散体。
  11. 前記吸収微粒子が、六方晶の結晶構造を持つ複合タングステン酸化物微粒子であることを特徴とする請求項8から10のいずれかに記載の微粒子分散体。
  12. 前記吸収微粒子の結晶子径が、1nm以上200nm以下であることを特徴とする請求項8から11のいずれかに記載の微粒子分散体。
  13. 前記吸収微粒子の表面が、Si、Ti、Zr、Alのいずれか1種類以上の元素を含有する化合物で被覆されていることを特徴とする請求項8から12のいずれかに記載の微粒子分散体。
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