以下、本発明に係る加熱調理器を、ビルトイン型の誘導加熱調理器に適用した場合の実施の形態を、図面を参照して説明する。本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、本発明は、以下の各実施の形態に示す構成のうち、組合せ可能な構成のあらゆる組合せを含むものである。また、図面に示す加熱調理器は、本発明の加熱調理器が適用される機器の一例を示すものであり、図面に示された加熱調理器によって本発明の適用機器が限定されるものではない。また、以下の説明において、理解を容易にするために方向を表す用語(たとえば「上」、「下」、「右」、「左」、「前」、「後」など)を適宜用いるが、これらは説明のためのものであって、本発明を限定するものではない。また、以下の説明において「上流側」、「下流側」というときには、冷却風の流れにおける上流側、下流側をいうものとする。また、各図において、同一の符号を付したものは、同一の又はこれに相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。なお、各図面では、各構成部材の相対的な寸法関係又は形状等が実際のものとは異なる場合がある。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る加熱調理器100が設置されたキッチン家具200の斜視図である。図1に示すように、加熱調理器100は、キッチン家具200に組み込まれて使用される。キッチン家具200は、作業台として使用される平板状のキッチン天板201を有し、このキッチン天板201の上に、加熱調理器100のトッププレート1が露出している。キッチン家具200には、加熱調理器100の下側の位置に、収納庫202が設けられている。なお、本明細書において加熱調理器100の「前面」、キッチン家具200の「前面」というときには、加熱調理器100またはキッチン家具200の使用者と対向する面をいい、図1の例では収納庫202の扉側が、「前面」である。
本実施の形態の加熱調理器100は、第1筐体10(図2参照)の中にグリルまたはオーブンなどの加熱庫を備えておらず、第1筐体10がキッチン天板201に形成された開口に挿入されて、加熱調理器100がキッチン家具200に据え付けられる。なお、加熱調理器100の、キッチン天板201の開口に挿入される部分の厚みは、キッチン天板201の厚み203以下であることが望ましい。ここで、加熱調理器100の、キッチン天板201の開口に挿入される部分の厚みとは、本実施の形態ではトッププレート1の周囲に設けられた天板枠105(図2参照)の裏面と第1筐体10(図2参照)の底の外表面との間の距離である。加熱調理器100の、キッチン天板201の開口に挿入される部分の厚みが、キッチン天板201の厚み203よりも大きいと、収納庫202の高さに制限が加わり、収納庫202の収納量を低減させてしまうからである。また、収納庫202内の収納物と加熱調理器100とが接触してしまうおそれもある。なお、キッチン家具の業界標準においては、キッチン天板201の前端の厚みは、40mmである。したがって、加熱調理器100の、キッチン天板201の開口に挿入される部分の厚みは、40mm以下とするのが望ましい。このようにすることで、収納庫202の収納量を確保し、また、収納庫202の収納物と加熱調理器100との接触を抑制できる。
加熱調理器100は、第1筐体10(図2参照)を有し、この第1筐体10の上には被加熱物である調理容器が載置されるトッププレート1が設けられている。トッププレート1には、本実施の形態では2つの加熱口2が設けられている。なお、加熱口2の数は限定されず、1つあるいは3つ以上の加熱口2が設けられていてもよい。
加熱調理器100の後側には、第1筐体10からの排気を流出させる筐体排気口4(図2参照)の上を覆う排気口カバー5が設けられている。排気口カバー5には、通風可能な開口が設けられている。排気口カバー5に設けられる開口は、例えば、排気口カバー5の幅と同じかやや小さい幅のスリット状の開口とすることができる。
図2は、実施の形態1に係る加熱調理器100の、トッププレート1及び排気口カバー5が取り外された状態の斜視図である。第1筐体10の中には、加熱口2と同数の加熱コイルが設けられている。本実施の形態では、第1加熱コイル9Aと第2加熱コイル9Bとが設けられている。第1加熱コイル9A及び第2加熱コイル9Bは、基本的な構造及び機能は同じであり、第1筐体10内において左右に並んで配置されている。なお、第1加熱コイル9Aと第2加熱コイル9Bの大きさ、形状、導線の巻き数は、互いに異なっていてもよい。
加熱調理器100の前側には、使用者からの操作入力を受け付ける操作部6が設けられている。操作部6は、たとえば、押しボタン、ダイヤルスイッチ、静電容量式タッチスイッチ等で構成されうるが、本実施の形態では静電容量式タッチスイッチである。トッププレート1(図1参照)に使用者が触れると、操作部6のタッチスイッチが静電容量の変化を検出して、操作入力として受け付ける。トッププレート1の手前側には、表示部7が設けられている。表示部7は、液晶ディスプレイやLED等の視覚的に情報を報知する装置を有し、加熱調理器100の火力、タイマーの時間等の動作状態や、使用者が操作部6で入力するための選択肢、使用者への警告及び注意喚起の報知を行う。表示部7の表示内容は、トッププレート1(図1参照)を介して使用者に視認される。
第1筐体10は、底板101を有する。また、第1筐体10は、四方の側壁として、前板102と、後板103(図2参照)と、左右一対の側板104を有し、これらで平面形状が概ね矩形の箱形を成している。
第1筐体10内には、左右方向において第2加熱コイル9Bよりも第1加熱コイル9Aに近い位置に、第1ファンケース20と第2ファンケース30とが設けられている。第1ファンケース20及び第2ファンケース30は、第1加熱コイル9Aの下側に設けられている。正面視したときに、第1ファンケース20と第2ファンケース30とが左右幅方向に重なるようにして、第1ファンケース20及び第2ファンケース30の左右方向の位置が定められている(図7参照)。詳細は後述するが、第1ファンケース20及び第2ファンケース30には、導風部材40が接続されている。
第1筐体10の底板101の上であって、第2加熱コイル9Bの下側には、電源制御基板14が設けられている。電源制御基板14は、駆動基板11(図4参照)を含む加熱調理器100の電気部品に電源を供給する回路が実装された基板である。また、電源制御基板14は、操作部6及び表示部7に接続され、操作部6からの入力に基づいて、表示部7並びに駆動基板11(図4参照)に実装された回路を制御する。
第1筐体10は、その上端に、外側に向かって張り出す天板枠105を有する。第1筐体10の後側に位置する天板枠105には、第1筐体10内と連通する筐体排気口4が設けられている。筐体排気口4は、本実施の形態では加熱口2と同数、すなわち2個設けられているが、この数は限定されない。本実施の形態の筐体排気口4は、左右方向に長い矩形の一つの穴で構成されているが、筐体排気口4を構成する穴の数及び形状は図示のものに限定されない。筐体排気口4から流出した第1筐体10内の空気は、排気口カバー5(図1参照)に設けられた開口を介して、排気される。なお、筐体排気口4及び排気口カバー5(図1参照)に設けられた開口の幅は、同等に近いのが好ましい。より好ましくは、排気口カバー5(図1参照)に設けられた開口の幅は、筐体排気口4の幅よりも大きいのが好ましい。このようにすることで、筐体排気口4から排気口カバー5の開口に至る排気の圧力損失が低減される。
図3は、実施の形態1に係る加熱調理器100の下側からの斜視図である。底板101には、底板101の左右方向において第1ファンケース20及び第2ファンケース30と同じ側に、筐体吸気口3が設けられている。筐体吸気口3は、本実施の形態では第1ファンケース20と第2ファンケース30の合計数と同数、すなわち2個設けられている。本実施の形態の筐体吸気口3は、底板101に形成された複数の穴で構成されているが、筐体吸気口3を構成する穴の数及び形状は図示のものに限定されない。
第1筐体10の後側の底面には、排水口8が形成されている。排水口8は、第1筐体10内に浸入した吹きこぼれ液等の液体を、第1筐体10から排出するための開口である。本実施の形態の排水口8は、第1筐体10の左右端のそれぞれに設けられているが、排水口8の数及び位置は図示のものに限定されない。
図4は、実施の形態1に係る加熱調理器100の内部構造を説明する図である。図4は、図2から操作部6、表示部7並びに第1加熱コイル9A及び第2加熱コイル9Bが取り外された背面側斜視図を示している。第2ファンケース30よりも後側には、第1コイル導風板71が設けられている。第1コイル導風板71は、弧状の板部材で構成されており、その面が底板101と直交するようにして底板101の上に起立している。第1コイル導風板71は、第1加熱コイル9A(図2参照)の外形に沿うようにして配置されている。第2ファンケース30の吹出口の一部である第2部分322は、第2導風路51には接続されておらず、第1コイル導風板71の円弧で囲まれる領域内に開口している。第2ファンケース30の吹出口の第2部分322から、第1コイル導風板71に囲まれた領域に冷却風が吹き出され、この第1コイル導風板71の上に載置される第1加熱コイル9Aの底面に冷却風が送られる。第1コイル導風板71を設けることで、第1筐体10内への冷却風の拡散が抑制されるので、第2ファンケース30からの冷却風を効率よく第1加熱コイル9Aに送ることができる。
導風部材40は、駆動基板11の少なくとも一部を収容する空間を、底板101との間に形成している。導風部材40内には、第1ファンケース20及び第2ファンケース30からの冷却風が送出される。導風部材40には、2箇所の第1出口43、第1出口53が設けられている。導風部材40の上壁44には、第2出口54、64が設けられている。これら出口については、後述する。
図5は、実施の形態1に係る加熱調理器100の内部構造を説明する斜視図である。図5は、図4から、第1ファンケース20、第2ファンケース30及び導風部材40が取り外された状態の、前面側斜視図である。第1ファンケース20及び第2ファンケース30(図4参照)の下側に、筐体吸気口3が形成されている。
駆動基板11には、駆動素子12が実装されている。駆動素子12は、第1加熱コイル9A、第2加熱コイル9Bに高周波電流を供給するインバータ回路に含まれる、スイッチング素子などの発熱量の大きい素子である。駆動素子12は、たとえばIGBT及びダイオードブリッジを含む。駆動素子12は、ヒートシンク13と熱的に接続されている。本実施の形態では、第1筐体10の左右方向に沿って、複数の駆動素子12が配置されている。ヒートシンク13は、上下に隙間をあけて配置された水平に向いた複数の金属平板で構成されている。このヒートシンク13の金属平板同士の隙間は、左右に貫通しており、冷却風の風路となる。
図6は、実施の形態1に係る導風部材40の構造を説明する図である。図6では、導風部材40を透視して示している。導風部材40の下側には、第1導風路41、第2導風路51、第3導風路61という3つの導風路が形成されている。概ね左右方向に沿って上下に延びる第1仕切板45が、上壁44の下側の空間を第1導風路41と第2導風路51とに仕切っている。また、平面視において円弧状で上下に延びる第2仕切板46が、上壁44の下側の空間を第2導風路51と第3導風路61とに仕切っている。
第1導風路41は、入口42と第1出口43とを有する。第1導風路41内には、ヒートシンク13(図5参照)及びこれに熱的に接続された駆動素子12(図5参照)が収容される。第1導風路41は、ヒートシンク13に冷却風を供給するための風路である。第1出口43には、前から後に向かって上昇する傾斜面を有する第1出口導風板48が設けられている。第1出口43を流出する冷却風は、上昇する第1出口導風板48の上面に導かれて、上へ向かって流れる。
第2導風路51は、入口52と、第1出口53と、第2出口54とを有する。第2導風路51は、第2加熱コイル9Bと第1加熱コイル9A(図2参照)とに冷却風を供給するための風路である。第2導風路51の第1出口53は、第2加熱コイル9B(図2参照)の前部分の下に位置している。第1出口53の高さは、上壁44の下面と底板101の上面との間の距離と概ね同じである。第2導風路51の第2出口54は、導風部材40の上壁44に形成された開口である。第2出口54は、第1加熱コイル9A(図2参照)の下に位置し、第1加熱コイル9Aの下面と対向する。
第3導風路61は、入口62と、第1出口63と、第2出口64とを有する。第3導風路61は、第1加熱コイル9A(図2参照)に冷却風を供給するための風路である。本実施の形態の第3導風路61は、平面視で概ね半円形に形成されている。第1出口63は、第3導風路61の上下範囲のうち上部にのみ開口しており、第1出口63の開口の高さ寸法は第3導風路61の高さ寸法よりも小さい。さらに第1出口63の少なくとも一部は、第2ファンケース30(図7参照)の上面よりも上側に開口している。第2出口64は、上壁44に形成された開口である。第2出口64は、第1加熱コイル9A(図2参照)の下に位置する。
第1導風路41の入口42及び第3導風路61の入口62は、第1ファンケース20(図4参照)に接続される。また、第2導風路51の入口52は、第2ファンケース30(図4参照)に接続される。
図7は、実施の形態1に係る加熱調理器100の冷却風の流れを説明する図である。図7では、導風部材40内を流れる冷却風を破線矢印で、導風部材40から流出する冷却風を実線矢印で、概念的に示している。まず、第1ファンケース20及び第2ファンケース30の構造及びこれらと導風部材40との接続に係る構造を説明する。第1ファンケース20の吹出口22は、第1部分221と、第2部分222とを有する。第1部分221は、吹出口22のうち前側に位置する領域であり、第1導風路41の入口42に接続される。第2部分222は、吹出口22のうち後側に位置する領域であり、第3導風路61の入口62に接続される。第1部分221と第2部分222とは、水平方向に並んでいる。吹出口22は、その開口面が、前後方向に対して傾斜している。より詳しくは、平面視において、第1部分221と第2部分222とが、左右方向にずれて位置している。第2ファンケース30の吹出口32は、第1部分321と第2部分322とを有する。第1部分321は、吹出口32のうち前側に位置する領域であり、第2導風路51の入口52に接続される。第2部分322は、吹出口32のうち後側に位置する領域であり、導風部材40には接続されず、導風部材40と第1コイル導風板71との間の空間に向かって開口している。
第1ファンケース20の吹出口22の第1部分221から送出された冷却風は、第1導風路41を流れ、第1導風路41内にあるヒートシンク13に接触して、熱伝達によりヒートシンク13を冷却する。本実施の形態では、複数のヒートシンク13が前後に2列に配置されており、前側のヒートシンク13と後側のヒートシンク13との隙間には、遮蔽部47が設けられていて、当該隙間が塞がれている。このため、前側のヒートシンク13と後側のヒートシンク13との隙間には冷却風が流れない。前側のヒートシンク13と後側のヒートシンク13との隙間に冷却風が流れても、ヒートシンク13に接触しないことからヒートシンク13が冷却されないため、遮蔽部47を設けることで、ヒートシンク13の冷却に寄与しない冷却風量を抑制している。また、本実施の形態では、遮蔽部47が導風部材40と一体成形されているため、これらを別部品として製造するよりも製造コストが抑制される。
第1導風路41を流れた冷却風は、第1出口43から流出する。第1出口43は後方に向かって開口しており、また第1出口43には第1出口導風板48(図6参照)が設けられている。このため、第1出口43から流出した冷却風は、後方に配置された筐体排気口4に向かって斜め上後方に流れる。その過程において冷却風は、第1出口43と筐体排気口4との間に配置される第2加熱コイル9B(図2参照)と接触して、第2加熱コイル9Bを冷却する。
第1ファンケース20の吹出口22の第2部分222から送出された冷却風は、入口62から第3導風路61に流入する。第3導風路61に流入した冷却風は、弧状の第2仕切板46に沿って流れ、第1出口63と第2出口64とに分かれて流出する。第1出口63は、第2ファンケース30の上面よりも上側に開口しているため、第1出口63から流出した冷却風は第2ファンケース30の上面の上を流れる。このため、第1加熱コイル9A(図2参照)からの熱により高温化しやすい第2ファンケース30の高温化を抑制することができる。また、第1出口63から流出した冷却風は、第1出口63の上に配置される第1加熱コイル9A(図2参照)と接触して、第1加熱コイル9Aを冷却する。また、第2出口64から流出した冷却風は、第2出口64の上に配置される第1加熱コイル9A(図2参照)と接触して、第1加熱コイル9Aを冷却する。第1出口63と第2出口64とは、前後方向に異なる位置に配置されているため、第1加熱コイル9Aの前後方向に渡る領域が、効率的に冷却される。第1加熱コイル9Aを冷却した冷却風は、後方に設けられた筐体排気口4に向かって流れる。
第1ファンケース20の吹出口22は、第1ファンケース20が配置された第1筐体10の左前部分に対して対角の右後部分に向かって開口している。すなわち吹出口22の開口面は、右側及び後方の両方に向いている。したがって、吹出口22から送出される冷却風は、ヒートシンク13が配置された吹出口22の右側と、第2加熱コイル9B(図2参照)が配置された第1筐体10の後方と、の両方に導かれやすい。このため、ヒートシンク13と第2加熱コイル9B(図2参照)の両方を効率よく冷却できる。
第2ファンケース30の吹出口32の第1部分321から送出された冷却風は、入口52から第2導風路51に流入する。第2導風路51に流入した冷却風の一部は、入口52の下流側に形成された第2出口54から上へ向かって流出する。第2出口54から流出した冷却風は、第2出口54の上に配置される第1加熱コイル9A(図2参照)と接触して、第1加熱コイル9Aを冷却する。第2導風路51に流入した冷却風の残りは、右側に向かって直進し、第1出口53から流出する。第1出口53から流出した冷却風は、第1出口43からの冷却風と合流しつつ、後方に配置された筐体排気口4に向かって流れる。その過程において冷却風は、第1出口53と筐体排気口4との間に配置される第2加熱コイル9B(図2参照)と接触して、第2加熱コイル9Bを冷却する。
第2ファンケース30の吹出口32の第2部分322から送出された冷却風は、第1コイル導風板71の手前側に流出する。この冷却風は、第1コイル導風板71の上側に配置される第1加熱コイル9A(図2参照)と接触して、第1加熱コイル9Aを冷却する。
第2導風路51及び第3導風路61内には、駆動素子12及びヒートシンク13のような高温化する部品が配置されていない。このため、第2導風路51及び第3導風路61を通って第1加熱コイル9A及び第2加熱コイル9B(図2参照)に供給される冷却風は、第1導風路41でヒートシンク13を冷却した冷却風よりも低温である。この低温の冷却風が第1加熱コイル9A及び第2加熱コイル9Bに供給されるため、第1加熱コイル9A及び第2加熱コイル9Bが効率的に冷却される。したがって、第1加熱コイル9A及び第2加熱コイル9Bの温度上昇に伴う機能低下及び損傷が抑制される。
本実施の形態では、第1ファンケース20及び第2ファンケース30から送出された冷却風は、第1導風路41、第2導風路51、又は第3導風路61を経由して、第1加熱コイル9A又は第2加熱コイル9Bに導かれるように構成されている。このように本実施の形態では、第1ファンケース20及び第2ファンケース30からの冷却風が、無駄なく第1加熱コイル9A又は第2加熱コイル9Bの冷却に利用されるので、冷却効果が高い。
図8は、実施の形態1に係る加熱調理器100の、第1ファンケース20及び第2ファンケース30を通る前後方向の縦断面図である。第1ファンケース20内には、第1ファン21が設けられている。第2ファンケース30内には、第2ファン31が設けられている。第1ファン21が回転すると、筐体吸気口3に吸引力が生じる。第1ファンケース20は、前後方向においてキッチン天板201の前面側に近い。ここで、加熱調理器100の後方における第1筐体10の上側及び下側は、筐体排気口4から流出する高温の排気の影響により高温化しやすいのに対し、加熱調理器100の前面側は室内空気にさらされていて比較的低温である。この室内の比較的低温の空気は、キッチン天板201と収納庫202との間の隙間から第1ファン21に吸い込まれやすいのに対し、後側に位置する第2ファン31には吸い込まれにくい。また、加熱調理器100の後方に位置する比較的高温の空気は、後側に位置する第2ファン31には吸い込まれやすいが、前側に位置する第1ファン21には吸い込まれにくい。
すなわち、第1ファン21は、第2ファン31と比べて低温の空気を吸い込んで冷却風として送出することができる。第1ファン21が送出する空気を、100℃前後に高温化する駆動素子12のヒートシンク13の冷却に用いることで、駆動素子12のヒートシンク13を効率的に冷却することができる。また、第2ファン31は、第1ファン21と比べて高温の空気を吸い込んで冷却風として送出する。第2ファン31が生成した冷却風は、第2ファンケース30から送出されることになるが、図7で説明したように第2ファンケース30から送出される冷却風は、第1加熱コイル9A又は第2加熱コイル9Bの冷却に用いられる。第1加熱コイル9A及び第2加熱コイル9Bは、駆動時には180℃程度まで高温化するので、第2ファン31から送出される冷却風は第1ファン21からの冷却風よりも高温であるとはいえ、第1加熱コイル9Aおよび第2加熱コイル9Bを冷却可能である。仮に、比較的高温の空気を吸い込む第2ファン31からの冷却風で駆動素子12のヒートシンク13を冷却しようとすると、第2ファン31からの冷却風とヒートシンク13との温度差が小さいことから、ヒートシンク13の冷却効率が低下しうる。しかし、本実施の形態によれば、ヒートシンク13と第1加熱コイル9A及び第2加熱コイル9Bとを、前後に配置された第1ファン21及び第2ファン31が吸い込む空気の温度差を利用して、効率よく冷却することができる。
このように本実施の形態によれば、図7、8に示すように第1ファン21と第2ファン31とが前後に並んで配置される。また、第1ファン21を収容する第1ファンケース20と第2ファン31を収容する第2ファンケース30とは、正面視において左右幅方向に少なくとも一部が重なるように配置されている。このように前後に並んで配置された第1ファン21と第2ファン31とを、第1ファンケース20と第2ファンケース30とが左右幅方向において重なるように配置することで、左右幅方向において第1ファン21と第2ファン31とが近接して配置されることになる。加熱調理器100は、キッチン家具200に据え置かれあるいは組み込まれて設置されるが、この設置状態において加熱調理器100の後方には閉塞された空間があり、前方には開放された空間がある。このような設置状態において、開放空間に近い前方に配置された第1ファン21は、第2ファン31よりも低温の空気を吸い込むことができる。そして、比較的低温の空気を吸い込む第1ファン21の第1ファンケース20の吹出口22と接続された第1導風路41には、ヒートシンク13が配置されている。ヒートシンク13と第1加熱コイル9A及び第2加熱コイル9Bとでは、ヒートシンク13の方が低温であるため、第1ファン21から吸い込んだ比較的低温の空気を用いることで、ヒートシンク13を効率よく冷却することができる。また、第1ファン21の吹出口22と接続された入口42を有する第1導風路41を形成する導風部材40が設けられており、この第1導風路41内にヒートシンク13が配置されている。このため、第2ファン31から送出された空気は、ヒートシンク13に接触しにくい。したがって、第2ファン31から送出され他の部品を冷却して高温化した冷却風によるヒートシンク13の冷却効率の低下が抑制される。また、ヒートシンク13と第1ファンケース20及び第2ファンケース30とは、上下に重ならないように配置されており、第1筐体10の高さ寸法が抑制される。
また、第1ファンケース20の上面は、第2ファンケース30の上面よりも高い位置にある。すなわち、第1ファン21から送出される冷却風は、第2ファン31から送出される冷却風よりも高い位置を流れる。このため、第1ファンケース20の上面位置と、第1ファン21からの冷却風の出口の一つである、第2ファンケース30の上面の上側に開口する第3導風路61の第1出口63とは、高さ位置が近くなる。このように第1ファン21と第1出口63との高低差を小さくすることで、第1ファン21からの冷却風を乱れが少ない状態で第1出口63に導くことができる。また、第2ファンケース30の上面は、第1ファンケース20の上面よりも低い位置にあることから、第2ファンケース30の上側の空間の高さが確保され、この空間を冷却風が流れやすい。このため、第2ファンケース30の上に配置される第1加熱コイル9Aの冷却効率を高めることができる。
図9は、実施の形態1に係る加熱調理器100の、第2出口54を通る前後方向の縦断面図である。第1仕切板45の前側に位置する第1導風路41内には、ヒートシンク13が配置されており、第1導風路41内を流れる冷却風によってヒートシンク13が冷却される。第1仕切板45の後側に位置する第2導風路51の上には、第2出口54が設けられており、第2出口54の上側に第1加熱コイル9Aが設けられている。第2出口54から流出する冷却風は、第1加熱コイル9Aの下から第1加熱コイル9Aに接触する。また、第1コイル導風板71と導風部材40との間の空間の上に、第1加熱コイル9Aが配置される。第1コイル導風板71と導風部材40との間の空間に流れ込む冷却風によって、第1加熱コイル9Aが冷却される。
図10は、実施の形態1に係る加熱調理器100の、第1導風路41の第1出口43を通る前後方向の縦断面図である。第1出口43に設けられた第1出口導風板48は、その上面が、前から後へ向かって上昇している。このため、第1出口43から流出する冷却風は、斜め上へ向かって流れる。このため、第1出口導風板48の上端よりも上に位置する第2加熱コイル9Bに向かう冷却風の指向性が高められ、第2加熱コイル9Bに効率的に冷却風が供給される。
本実施の形態では、第1導風路41、第2導風路51及び第3導風路61を、一体成形された導風部材40で構成した例を説明した。このようにすることで、部品点数が削減されて加熱調理器100の製造コストの上昇が抑制される。しかし、第1導風路41、第2導風路51及び第3導風路61を構成する具体的な部材は上述の例に限定されず、第1導風路41、第2導風路51及び第3導風路61の一部を個別の部材で構成してもよい。すなわち、第1導風路41、第2導風路51及び第3導風路61のそれぞれを構成する第1導風部材、第2導風部材及び第3導風部材を設けてもよい。
実施の形態2.
本実施の形態では、実施の形態1の導風部材40とは異なる構造の導風部材を備えた態様を説明する。本実施の形態では、実施の形態1との相違点を中心に説明し、実施の形態1と同じ構成には同じ符号を付している。
図11は、実施の形態2に係る加熱調理器100の、トッププレート1が取り外された状態の斜視図である。図12は、実施の形態2に係る導風部材40A及び第1加熱コイル9A、第2加熱コイル9Bを中心とする部分斜視図である。図13は、実施の形態2に係る導風部材40を中心とする斜視図である。図14は、実施の形態2に係る導風部材40の一部を透視して示す斜視図である。図15は、実施の形態2に係る加熱調理器100の、第3導風路61Aを通る横断面図である。図16は、実施の形態2に係る加熱調理器100の、第1導風路41Aを通る横断面図である。
導風部材40Aによって形成されている第1導風路41A、第2導風路51A及び第3導風路61Aは、基本的な機能は実施の形態1の第1導風路41、第2導風路51及び第3導風路61と同じである。すなわち第1導風路41Aは、第1ファンケース20からの冷却風を、ヒートシンク13へ導く。第2導風路51Aは、第2ファンケース30からの冷却風を、第1加熱コイル9A及び第2加熱コイル9Bに導く。第3導風路61Aは、第1ファンケース20からの冷却風を、第1加熱コイル9Aに導く。
図13に示すように、導風部材40Aは、上下に並んだ第3導風路61Aの入口62Aと第1導風路41Aの入口42Aとを形成している。入口42Aと入口62Aはともに、第1ファンケース20の吹出口22に接続される。導風部材40Aには、入口42Aと入口62Aの右側に並んで上下に起立する導風板49が設けられている。導風板49は、第1筐体10内の一部を前後に仕切り、冷却風を後側に導く壁として機能する。導風部材40Aの右側には、上下に起立する第2コイル導風板72が設けられている。第2コイル導風板72は、前後方向に延びる壁と、その壁の後端から左に向かって延びる壁とが、平面視において全体としてL字型を形成している。第2コイル導風板72は、導風部材40から流出する冷却風を、第2加熱コイル9Bに導く機能を有する。
次に、第1導風路41A、第2導風路51A及び第3導風路61Aのそれぞれを詳細に説明する。
第1導風路41Aは、図16に示すように、後方へ向かって開口する第1ファンケース20の吹出口22のうちの下側の部分に接続されている。吹出口22のうちの下側の部分は、実施の形態1における第1部分221に相当する。第1導風路41Aは、入口42Aから後方へ向かって延び、続けて右前方に向かって延びている。第1導風路41Aの第1出口43Aは、実施の形態1と同様にヒートシンク13の下流側にある。また、図13に示すように、第1出口43Aには、前から後に向かって上昇する傾斜面を有する第1出口導風板48Aが設けられている。
第1ファン21から送出された冷却風の一部は、第1ファンケース20の吹出口22の下側の一部から流出し、図13、図16に示す入口42Aを介して第1導風路41Aに流入する。第1導風路41Aに流入した冷却風は、ヒートシンク13に接触し、熱伝達によりヒートシンク13を冷却する。ヒートシンク13を冷却した後の冷却風は、第1出口43Aを介して第1導風路41Aから出て、後方に配置される第2加熱コイル9Bを冷却する。
第2導風路51Aは、図16に示すように、第2ファンケース30の吹出口32のうち、前側の第1部分321と接続されている。第2導風路51Aは、右側前方に向かって開口した吹出口32の第1部分321から、右前方に向かって延びている。吹出口32の開口面は、第1筐体10の側板104と平行ではなく、右前方に向かって傾斜している。そして吹出口32の開口面と直交するようにして、第2導風路51Aの入口52Aに連なる領域が延びている。第2導風路51Aの第1出口53Aは、第2加熱コイル9B(図12参照)の下方に位置する。なお、本実施の形態の第2導風路51Aは、実施の形態1における第2出口54に相当する構成は設けられていない。
第2ファン31から送出された冷却風の一部は、吹出口32の第1部分321から第2導風路51A内に流入する。吹出口32の開口面と直交するようにして、第2導風路51Aの入口52Aに連なる領域を形成する壁が延びているため、この壁に平行な流れが形成される。このため、第2導風路51Aにおける冷却風の圧力損失が低減され、第2導風路51Aを流れる冷却風の風量が増えて冷却対象物の冷却効率が高まる。第2導風路51A内に流入した冷却風は、右側へ向かって流れ、第1出口53Aから第2導風路51Aの外へ流出する。第1出口53Aから流出した冷却風は、第1出口53Aの上に配置される第2加熱コイル9B(図12参照)に接触して、第2加熱コイル9Bを冷却する。
第2ファン31から送出された冷却風の他の一部は、吹出口32の第2部分322から、第1コイル導風板71の前側の空間に流出する。そして、当該空間の上に位置している第1加熱コイル9A(図12参照)を、吹出口32の第2部分322からの冷却風が冷却する。
第3導風路61Aは、図14、15に示すように、後方へ向かって開口する第1ファンケース20の吹出口22のうちの上側の部分に接続されている。吹出口22のうちの上側の部分は、実施の形態1における第2部分222に相当する。第3導風路61Aは、第1導風路41A(図16参照)のうち、駆動基板11に至る前の部分の上に重なる位置に配置される。第3導風路61A内には、流路を左右に分ける第1分流板65Aが設けられている。第1分流板65Aによって分けられた第3導風路61Aの一方と他方とは、冷却風を導く方向が異なる。図13、図15に示すように、第1分流板65Aの左側の第3導風路61Aは、概ね後方へ向き、第1分流板65Aの右側の第3導風路61Aは、右後方へ向かう弧状である。また、第3導風路61Aの上に壁はなく、第3導風路61Aの上面は開放されていて冷却風の流出口として機能する。さらに好ましくは、第3導風路61Aの底面を構成する部材は、入口62Aから下流に向かって、上方へ傾斜している。
第1ファン21から送出された冷却風の一部は、第1ファンケース20の吹出口22の上側の部分から流出し、入口62Aを介して第3導風路61Aに流入する。第3導風路61Aに流入した冷却風は、第1分流板65Aによって左右に分けられた第3導風路61Aを後方へ向かって進む。第1分流板65Aの左側に位置する上面が開放された第3導風路61Aを流れる冷却風は、第3導風路61Aの上側に配置される第1加熱コイル9Aに接触し、第1加熱コイル9Aを冷却する。第3導風路61Aの底を構成する部材を、前から後へ向かって上方へ傾斜させることで、冷却風の流れを上方へ向けることができる。このようにすることで、第1加熱コイル9Aに冷却風が接触しやすくなり、第1加熱コイル9Aの冷却効果が高まる。また、第1分流板65Aの右側に位置する第3導風路61Aを流れる冷却風は、第1加熱コイル9Aを冷却しつつ右後方へ向かって流れ、第2加熱コイル9Bも冷却する。第3導風路61Aを構成する左右の壁は、平面視において弧状に曲がっているため、第3導風路61Aを流れる冷却風の圧力損失が抑制される。
また、実施の形態1と同じ構成については、本実施の形態においても実施の形態1と同様の作用効果を生じる。
実施の形態3.
本実施の形態は、調理室81を備えた点が、実施の形態1、2と異なる。本実施の形態では、実施の形態1、2との相違点を中心に説明する。また、本実施の形態は、実施の形態1、2のそれぞれと組み合わせることもできる。
図17は、実施の形態3に係る加熱調理器100が設置されたキッチン家具200の斜視図である。図17に示すように、加熱調理器100は、キッチン家具200に組み込まれたときにキッチン天板201よりも下側となる位置に、調理室81を備える。調理室81は、扉811を有し、調理室81内を加熱する加熱装置を備える。また、調理室81の左側には第1前カバー93を備え、右側には第2前カバー94を備える。
図18は、実施の形態3に係る加熱調理器100の内部構造を説明する斜視図である。図18は、トッププレート1及び排気口カバー5が取り外された状態の加熱調理器100を示している。本実施の形態の加熱調理器100は、第1筐体10B及び調理室81を収容した第2筐体80を備えている。第2筐体80の前部に設けられている第1前カバー93及び第2前カバー94は、加熱調理器100の前面側の意匠板として機能している。また第1前カバー93には、吸気口931が形成されている。第1前カバー93の内部には、吸気口931を介して流入する空気の風路となる空間が形成されている。
第1筐体10Bの底板101Bには、2箇所の第2通気口107が形成されている。第2通気口107は、底板101Bの上側と、第2筐体80内とを連通させる。
左側の筐体排気口4の下側には、第2筐体80の中に、排気ダクト85が設けられている。排気ダクト85は、第2筐体80内及び調理室81内の空気を筐体排気口4に導くための風路を内部に有している。図18では、筐体排気口4及び第2通気口107を介して排気ダクト85が視認される様子が図示されている。
第1加熱コイル9A及び第2加熱コイル9Bの下側には、導風部材40Bが配置されている。本実施の形態の導風部材40Bは、後述するように、実施の形態1の導風部材40及び実施の形態2の導風部材40Aとは構造が異なる。
図19は、実施の形態3に係る加熱調理器100の内部構造を説明する下側斜視図である。図19は、第2筐体80及び調理室81の扉811が取り外された状態の加熱調理器100を下側からみた図である。第1前カバー93の下面にも、吸気口931が設けられている。本実施の形態の第1前カバー93の下面の吸気口931は、第1前カバー93の下面全体に設けられているのではなく、左側、すなわち調理室81から離れた方向の一部にのみ設けられている。
第1前カバー93の後方であって、調理室81の左側には、第1吸気ダクト86が設けられている。第1吸気ダクト86は、第1前カバー93の吸気口931から吸い込まれた空気を第1筐体10B内に導くものである。第1前カバー93と第1吸気ダクト86とは接続されており、接続箇所は気密性が確保されている。
第2前カバー94の右面及び下面には、吸気口941が形成されている。第2前カバー94の内部には、吸気口941を介して流入する空気の風路となる空間が形成されている。
吸気口931及び吸気口941は、後述するように第2筐体80内を冷却するための冷却風の入口である。これら吸気口931及び吸気口941を加熱調理器100の前面以外の場所に設けることで、使用状態において使用者に吸気口931及び吸気口941が視認されにくい。吸気口931及び吸気口941が加熱調理器100の外観を損なわせることがないので、加熱調理器100の意匠性の低下が抑制されている。また、吸気口931及び吸気口941を加熱調理器100の前面に設けた場合、室内空気にさらされるために吸気口931及び吸気口941には塵埃が付着しやすい。しかし本実施の形態によれば、室内空気にさらされにくい位置に配置された吸気口931及び吸気口941には、塵埃が付着しにくい。
第2前カバー94の後方であって、調理室81の右側には、第2吸気ダクト87と第3ファンケース90とが設けられている。第2吸気ダクト87は、第2前カバー94の吸気口941から吸い込まれた空気を第3ファンケース90に導くものである。第3ファンケース90の後方には、導風ダクト88が設けられている。導風ダクト88の右側面には、第1出口881が形成されている。第2前カバー94、第2吸気ダクト87、第3ファンケース90及び導風ダクト88は、一連の通風路を形成している。
第1筐体10Bの底板101Bの後部には、排気風路流入口109が形成されている。排気風路流入口109は、筐体排気口4(図18、図20参照)の下側に設けられている。
図20は、実施の形態3に係る加熱調理器100の内部構造を説明する前面側斜視図である。図20は、図18から第1加熱コイル9A、第2加熱コイル9B、扉811、第2前カバー94及び天板枠105が取り外された状態を示している。第2筐体80の右側の前面には、接続口95が形成されている。接続口95は、第2前カバー94(図19参照)と接続され、その接続箇所では気密性が確保されている。第2前カバー94と第2筐体80とは、接続口95を介して連通する。なお、図20では図示されていないが、第2筐体80には、第2筐体80内と第1前カバー93内とを連通させる接続口95に相当する開口が、設けられている。第1前カバー93及び第2前カバー94は、第2筐体80に対して着脱可能に取り付けられる。このため、吸気口931及び吸気口941に塵埃が付着した場合でも、使用者はその塵埃を除去しやすい。したがって、吸気口931及び吸気口941に塵埃が付着することによる、吸気口931及び吸気口941における圧力損失の増加が抑制されて冷却風量及び冷却効率の低下も抑制される。
図21は、実施の形態3に係る加熱調理器100の分解斜視図である。図21では、第1筐体10Bを下側斜視図で示し、第2筐体80を上側斜視図で示している。第2筐体80内には、第1吸気ダクト86が設けられている。第1吸気ダクト86には、第1風路861と第2風路862とを有し、これらの風路は互いに独立している。第1吸気ダクト86は、第1前カバー93内に形成されている風路を介して、吸気口931と連通している。第1風路861の上側には、第1ファンケース20(図20参照)内と連通する筐体吸気口3が配置される。第2風路862の上側には、第2ファンケース30(図20参照)内と連通する筐体吸気口3が配置される。第1風路861の出口を構成する第1吸気ダクト86の上端は、底板101Bとの間に気密性が確保された状態で、底板101Bに接続される。第2風路862の出口を構成する第1吸気ダクト86の上端は、底板101Bとの間に気密性が確保された状態で、底板101Bに接続される。
調理室81の上側には、遮熱ケース96が設けられている。遮熱ケース96は、調理室81の上側を、調理室81の上壁との間に隙間をあけた状態で覆う。遮熱ケース96と調理室81の上壁との間の隙間には、導風ダクト88の第2出口882が接続される。遮熱ケース96と調理室81との隙間は、空気断熱層として機能するとともに、破線矢印で示すように導風ダクト88からの冷却風が流れる風路としても機能する。
排気ダクト85は、入口851と出口852とを有する。排気ダクト85は、前方から後方に向かって延び、続けて上方に向かって延びており、側面視においてL字型の流路を内部に有している。排気ダクト85の入口851は、遮熱ケース96と調理室81の上壁との間の隙間に連通するとともに調理室81と連通している。
図21に破線矢印で示すように、導風ダクト88の第2出口882から遮熱ケース96の下側の隙間に流入した冷却風は、遮熱ケース96の下側を流れる過程において遮熱ケース96と接触してこれを冷却する。遮熱ケース96の下側を流れた冷却風は、入口851を介して排気ダクト85内を流れ、出口852から流出する。第1筐体10Bと第2筐体80とが組み付けられた状態において、排気ダクト85の出口852は、第1筐体10Bの底板101Bに形成された排気風路流入口109を介して第1筐体10B内に位置している(図20参照)。遮熱ケース96を冷却することで、遮熱ケース96の上側に配置される第1筐体10Bへの調理室81からの伝熱を抑制している。第1筐体10Bへの伝熱が抑制されることで、第1筐体10B内に収容される部品の冷却効率を高めることができる。
第1筐体10Bの底板101Bには、2つの第2通気口107が、平面視において排気ダクト85と重ならない位置に形成されている。底板101Bの左前には第3通気口108が形成され、底板101Bの右前には第1通気口106が形成されている。第3通気口108は、筐体吸気口3よりも前側に配置されている。第1通気口106は、底板101Bの右端であって、第1筐体10Bの上に配置されるヒートシンク13よりも前側に配置されている。
図22は、実施の形態3に係る加熱調理器100の駆動基板11の下側に冷却風を供給する構造を説明する図である。駆動基板11の端部と左側の側板104との間には、基板下導風部材73が設けられている。基板下導風部材73は、第2ファンケース30(図20参照)から送出される冷却風を、駆動基板11の下側に導くための部材である。基板下導風部材73は、上下に起立する壁を有し、この壁の一部には他よりも上端が凹んだ第1凹部731と第2凹部732とが形成されている。第1凹部731には、第1ファンケース20の吹出口22(図23参照)が接続される。第2凹部732には、第2ファンケース30の吹出口32(図23参照)が接続される。
第1凹部731と駆動基板11との間には、基板下遮蔽部材74が設けられている。基板下遮蔽部材74は、駆動基板11と底板101Bとの間の上下の隙間を塞ぎ、駆動基板11の下側への冷却風の流入を防ぐための部材である。基板下遮蔽部材74は、上下に延びる壁であり、駆動基板11の側端と接するようにして底板101Bの上に起立している。
他方、第2凹部732と駆動基板11との間には、基板下遮蔽部材74に相当する部材が設けられていない。したがって、駆動基板11の下側の空間は、第2凹部732と対向する位置において、開放されている。駆動基板11の下側の空間を、第4導風路75と称する。第2ファンケース30の吹出口32(図23参照)と接続される第2凹部732の上側の空間が、第4導風路75への冷却風の流入口として機能する。
図23は、実施の形態3に係る加熱調理器100の、第1ファン21及び第2ファン31を通る横断面図である。図23では、第1導風路41B又は第2導風路51Bを通る冷却風の流れを実線矢印で、駆動基板11の下側にある第4導風路75(図22参照)を通る冷却風の流れを破線矢印で、概念的に示している。
導風部材40Bの内部において、第1仕切板45Bが導風部材40B内の空間の一部を前後に仕切っており、一方に第1導風路41B、他方に第2導風路51Bが形成されている。本実施の形態では、実施の形態1、2における第3導風路に相当する構成は設けられていない。
第1導風路41Bは、入口42Bと第1出口43Bとを有する。第1導風路41B内には、ヒートシンク13及びこれに熱的に接続された駆動素子12(図22参照)が収容される。第1導風路41Bは、ヒートシンク13に冷却風を供給するための風路である。入口42Bは、第1ファンケース20の吹出口22に接続される。第1出口43Bは、第1ファンケース20からの冷却風の流れ方向において第1ファンケース20から最も離れた導風部材40Bの端部に設けられている。第1出口43Bは、導風部材40Bの上壁の右側の端部と駆動基板11との間に形成される隙間である。
第2導風路51Bは、入口52Bと、第1出口53Bとを有する。第2導風路51Bは、第2加熱コイル9B(図18参照)に冷却風を供給するための風路である。入口52Bは、第1ファンケース20の吹出口32に接続される。第1出口53Bは、第2加熱コイル9B(図18参照)の前部分の下に位置している。第1出口53Bは、導風部材40Bの上壁の右側の端部と駆動基板11との間に形成される隙間である。
第1ファンケース20は、吹出口22の開口面が側板104と概ね平行となるようにして、設置されている。第1ファンケース20からの冷却風の流れ方向において、第1導風路41Bの側壁を構成する第1仕切板45Bは、吹出口22からその下流側に向かって、第1導風路41Bの幅を拡大するように後方へ傾斜している。図23に実線矢印で示すように、吹出口22から吹き出された冷却風は、第1仕切板45Bに沿って拡大する風路内を拡散しながら流れ、ヒートシンク13を冷却し、第1出口43Bから第1導風路41Bを出る。第1出口43Bを出た冷却風は、第1筐体10Bの右側の側板104に導かれ、後方に配置されている第2加熱コイル9B(図18参照)を冷却する。
図23に実線矢印で示すように、吹出口32から吹き出された冷却風は、第2導風路51Bを流れる。第2導風路51Bにはヒートシンク13のような高温となる発熱部品がないため、第2導風路51Bを流れる冷却風の上昇温度は、第1導風路41Bを流れる冷却風の上昇温度よりも小さい。第2導風路51Bを流れた低温の冷却風は、第1出口53Bを出て、後方に設置される第2加熱コイル9B(図18参照)を冷却する。
また、図23に破線矢印で示すように、吹出口32からの冷却風の一部は、駆動基板11の下側に形成されている第4導風路75内に流入する。図22に示す第2凹部732を介して、吹出口32と第4導風路75とが連通している。第4導風路75内に流入した冷却風は、駆動基板11の下側を流れる。第2ファンケース30は、吹出口32の開口面が、側板104に対して傾斜した向きとなるようにして、設置されている。具体的には吹出口32の開口面は、駆動基板11の四隅のうち、吹出口32に最も近い角の対角に向いている。このため、駆動基板11の下面全体に冷却風が行き渡りやすい。第4導風路75内の空気は、第1筐体10Bの下側にある調理室81から駆動基板11への伝熱を抑制する断熱層として機能する。調理室81から駆動基板11への伝熱が抑制されることで、駆動基板11に実装されているヒートシンク13の冷却効率を高めることができる。
第4導風路75を流れた冷却風は、駆動基板11の右側の端部から第4導風路75を出て、第2導風路51Bを流れた冷却風とともに第2加熱コイル9B(図18参照)を冷却する。このように第2ファンケース30からの冷却風は、駆動基板11の上側の第2導風路51Bと、駆動基板11の下側の第4導風路75とに分流し、その後合流して第2加熱コイル9B(図18参照)の冷却に用いられる。このため、第2導風路51Bのみに第2ファンケース30から冷却風が送られる場合と比べて、第2ファン31の圧力損失が低下する。圧力損失が低下することで、第2加熱コイル9Bの冷却に用いられる冷却風量が増加して、第2加熱コイル9Bの冷却効率を高めることができる。
図24は、実施の形態3に係る第1前カバー93及び第1吸気ダクト86の平面図である。第1前カバー93の後側に連結された第1吸気ダクト86には、第1風路861と第2風路862とが設けられている。第1風路861は、吸気口931から吸い込まれた空気を、第1ファンケース20の第1ファン21(図23参照)に導く。第1風路861の出口となる第1吸気ダクト86の上端は、第1筐体10Bの下面に筐体吸気口3(図21参照)を囲むようにして取り付けられる。第2吸気ダクト87は、吸気口931から吸い込まれた空気を、第2ファンケース30の第2ファン31(図23参照)に導く。第2風路862の出口となる第1吸気ダクト86の上端は、第1筐体10Bの下面に筐体吸気口3(図21参照)を囲むようにして取り付けられる。
図25は、図24のA-A断面図である。図25では、冷却風の流れを矢印で概念的に示している。第2風路862は、後方に向かって延び、さらに上方に向かって延びる側面視でL字型の流路である。第2風路862は、第1前カバー93の吸気口931のうち、側面上部に形成された吸気口931と接続される。吸気口931から吸い込まれた冷却風は、第1前カバー93内の風路及び第1吸気ダクト86の第2風路862内を、後方に向かって流れたのち上昇して、第2風路862から上に向かって流出する。
図26は、図24のB-B断面図である。図26では、冷却風の流れを矢印で概念的に示している。第1風路861は、後方に向かって延び、さらに上方に向かって延びる側面視でL字型の流路である。第1風路861は、第1前カバー93の吸気口931のうち、第1前カバー93の側面下部及び底面に形成された吸気口931と接続される。吸気口931から吸い込まれた冷却風は、第1前カバー93内の風路及び第1吸気ダクト86内の第1風路861内を、後方に向かって流れたのち上昇して、第1風路861から上に向かって流出する。第1風路861から流出した冷却風は、第1ファン21に吸い込まれて第1ファンケース20から送出され、第1導風路41B内のヒートシンク13の冷却に用いられる。ここで、高温の空気は浮力により上方に移動するため、加熱調理器100の設置状態において第1前カバー93の周囲にある空気は、下側の方が上側よりも低温である。このため、第1前カバー93の側面株及び底面に設けられた吸気口931から吸い込んだ空気を、ヒートシンク13に供給することで、第1加熱コイル9A、第2加熱コイル9Bと比べて温度の低いヒートシンク13を効率よく冷却することができる。
また、図21、図24~図26に示すように、ヒートシンク13に供給する冷却風が流れる第1風路861と、調理室81との間には、第2風路862が配置されている。第2風路862は、調理室81からの熱が第1風路861に伝わるのを抑制する断熱部として機能する。このため、第1風路861内を流れる冷却風の高温化が抑制され、より低温の冷却風がヒートシンク13に供給されるため、ヒートシンク13の冷却効率を高めることができる。
図25と図26とを比較して分かるように、第1前カバー93の側面上部の吸気口931から第2風路862の出口までの風路は、第1前カバー93の側面下部及び底面の吸気口931から第1風路861の出口までの風路よりも長い。このため、第2風路862における圧力損失は、第1風路861における圧力損失よりも大きい。そこで、第2風路862に接続される吸気口931の開口面積を、第1風路861に接続される吸気口931の開口面積よりも大きくするのがよい。このようにすることで、第1ファン21と第2ファン31との間の吸引風量の差が抑制され、第2ファン31の騒音の増大が抑制される。
図27は、実施の形態3に係る調理室81及びその周辺部品の斜視図である。調理室81の上壁には、調理室81内を加熱する第1加熱装置821が設けられている。第1加熱装置821は、例えば抵抗発熱体である。調理室81の下部には、調理室81内を加熱する第2加熱装置822が設けられている。第2加熱装置822は、例えば加熱コイルであり、調理室81内に載置される調理皿を高周波磁束により発熱させて、調理皿に載置される食材を加熱する。なお、第1加熱装置821及び第2加熱装置822の具体的構成は上述のものに限定されず、調理室81内を加熱するものであればよい。第1加熱装置821及び第2加熱装置822の具体例としては、抵抗発熱体、誘導加熱コイル、マイクロ波加熱装置、又は過熱水蒸気が挙げられる。調理室81は、たとえば、グリル庫、電子レンジ、あるいは炊飯器として利用されうる。
図28は、実施の形態3に係る導風ダクト88及びその周辺部品の斜視図である。第3ファンケース90の後方には、導風ダクト88が設けられている。導風ダクト88は、第3ファンケース90から送出される冷却風を、冷却対象に導くための風路を構成するものである。本実施の形態の冷却対象は、第1加熱装置821及び第2加熱装置822を駆動する駆動回路83であり、駆動回路83には発熱部品831、832、833、834が実装されている。発熱部品831は、例えばインバータ回路を構成する駆動素子であり、発熱部品832はその駆動素子に熱的に接続されたヒートシンクである。発熱部品833は例えばトランスであり、発熱部品834は例えばヒートシンクである。第3ファンケース90からの冷却風の流れ方向における導風ダクト88の下流部には、第1出口881が設けられている。
図29は、実施の形態3に係る加熱調理器100の、第3ファンケース90を通る縦断面図である。図29では、冷却風の流れを矢印で概念的に示している。第3ファンケース90の吹出口92は、導風ダクト88に接続されている。第3ファンケース90の吹出口の下端は、発熱部品831~834が実装された駆動回路83の下端よりも下方に位置している。すなわち吹出口92から後方へ吹き出された冷却風は、駆動回路83の下側を流れる。第3ファンケース90内の第3ファン91から送出された冷却風は、吹出口92を介して導風ダクト88内に流入する。導風ダクト88には、平板面が前後に向くようにして配置されて上下に延びる分流板891及び892が設けられている。分流板891は、吹出口92の一部と対向する位置に設けられ、吹出口92からの冷却風を上方に導く。分流板891と導風ダクト88の前側の壁との間には、発熱部品832が収容されており、分流板891によって導かれた冷却風によって発熱部品832が冷却される。分流板892は、分流板891よりも冷却風の流れにおいて下流側にあり、吹出口92からの冷却風を上方に導く。前後に隙間をあけて配置された分流板891と分流板892との間には、発熱部品833が配置されており、分流板891と分流板892との間を流れる冷却風によって発熱部品833が冷却される。
導風ダクト88を流れる冷却風のうち、分流板891及び892に沿って上方に向かって流れた冷却風は、図21で示したように、導風ダクト88の第2出口882を介して流出して、遮熱ケース96と調理室81の上壁との間に形成された隙間を流れる。
分流板893は、平板面が上下に向くようにして配置されて前後に延びる板状の部材である。分流板893は、導風ダクト88の底板との間に隙間をあけて配置される。分流板893と導風ダクト88の底板との間の隙間が、冷却風が流れる風路となる。吹出口92から吹き出された冷却風は、分流板893の上面に沿って後方へ向かって流れ、導風ダクト88の上下に延びる後壁に導かれて上昇する。この過程において、発熱部品834が冷却風によって冷却される。発熱部品834を冷却した冷却風は、第1出口881(図28参照)を介して第2筐体80内に流出する。
第3ファンケース90からの冷却風の流れが第2筐体80内に生じることによって、第2筐体80内に収容された第1筐体10Bの前側に設けられた第1通気口106に、第1筐体10Bの下側への吸引力が生じる。そうすると、第1筐体10B内の空気が、第1通気口106を介して第1筐体10Bの下側へ流れ、第1筐体10Bの底板101Bに沿って第2筐体80内を後方へ流れる。第1通気口106と排気風路流入口109とを結ぶ直線の下には、調理室81の少なくとも一部が配置されている。このため、第2筐体80内を流れる冷却風は、排気風路流入口109に向かって流れる過程において、調理室81に接触してこれを冷却する。高温の空気は、第2筐体80の上方、すなわち第1筐体10Bの周囲に滞留しやすい。しかし、第1通気口106から排気風路流入口109への冷却風の流れを第1筐体10Bの底板101Bの周囲に形成することで、第1筐体10Bの周囲の高温空気の排出を促すことができる。
図30は、実施の形態3に係る加熱調理器100の第1加熱装置821及び第2加熱装置822を通る縦断面図である。図30では、冷却風の流れを矢印で概念的に示している。第1筐体10Bの底板101Bには、調理室81よりも後方の位置に、第2通気口107が形成されている。ヒートシンク13を冷却して導風部材40Bの第1導風路41Bを流出した冷却風は、後方へ向かって流れ、底板101Bに形成された第2通気口107を介して第1筐体10Bの下側へ流出する。第1筐体10Bの下側の第2筐体80内に流入した冷却風は、第2筐体80内を流れ、筐体排気口4から流出する。本実施の形態の加熱調理器100は、第2筐体80の後壁と調理室81との間に空間が形成されている。ここで、この空間には、調理室81の周囲で暖められた空気が滞留しやすい。しかし本実施の形態のように、底板101Bの、第1導風路41Bの下流側であって筐体排気口4の上流側に、第2通気口107を設けることで、第1導風路41を流出した冷却風が筐体排気口4に向かって流れて第2筐体80内の空気の排出が促される。このため、第2筐体80内の高温化が抑制される。
なお、図21で示したように、排気ダクト85の上方には、第2通気口107が形成されていない。このため、第2通気口107から第1筐体10Bの下側へ流入する空気は、排気ダクト85に接触しにくい。したがって、排気ダクト85を流れる調理室81からの排気は、低温化しにくい。言い換えると、調理室81からの排気は、高温状態が維持されたままで、排気ダクト85を通って排出される。このため、調理室81内の排熱が促進され、第2筐体80内の冷却効果が高まる。第2筐体80内の温度上昇が抑制されることで、図29に示した発熱部品831~834の冷却効果を高めることができる。
図31は、実施の形態3に係る加熱調理器100の、第2通気口107及び第3通気口108を通る位置であって、調理室81の幅よりも左外側の位置における縦断面図である。図31では、冷却風の流れを矢印で概念的に示している。第3通気口108の少なくとも一部は、調理室81の幅よりも左外側に形成されている。このため、第3通気口108から第1筐体10Bの下側に流入する冷却風は、調理室81の左側方を、後へ向かって流れ、筐体排気口4を介して流出する。調理室81の周囲は高温の空気が滞留しやすいが、冷却風が、第3通気口108から筐体排気口4に流れる過程において、この高温の空気の排出が促される。図31に示すように、第2筐体80内の左側には第1吸気ダクト86が配置されているが、第3通気口108から筐体排気口4に向かう冷却風で高温空気の滞留を抑制することで、第1吸気ダクト86内の高温化が抑制される。このため、第1ファンケース20及び第2ファンケース30から送出される冷却風の高温化が抑制されるので、冷却対象物の冷却効果も高まる。
なお、実施の形態1~3では、時計回り(右回り)に回転する遠心式の第1ファン21及び第2ファン31を例に説明したが、反時計回り(左回り)に回転する送風機を採用することもできる。その場合には、第1ファン21及び第2ファン31及びこれに接続される部材を、実施の形態1~3とは左右反対に配置することができる。