JP7270682B2 - 固定砥粒砥石及びガラス基板の製造方法 - Google Patents
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Description
この研削(ラッピング)工程の終了後は、高精度な平面を得るための鏡面研磨加工を行っている。
例えばフロート法等により製造されたシート状ガラス板を所定の形状に切り出したガラス基板に対して、直接、上記特許文献2に開示されているような従来のダイヤモンドパッドを用いた固定砥粒による研削加工を行う場合、ガラス基板表面はいわゆる鏡面であるため、加工初期に、ダイヤモンド砥粒が基板表面になかなか食い込まず滑ってしまい、研削加工できない時間が発生するという問題がある。これにより生産性が大幅に低下してしまう。
(構成1)
潤滑液と、ダイヤモンド粒子を含む固定砥粒が研削面に配備された定盤とを用いてガラス基板の主表面を研削する研削加工処理を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、前記ガラス基板は、主表面が鏡面のガラス基板であり、前記研削加工処理は、研削加工を行う荷重よりも高荷重で前記ガラス基板表面を粗面化する第一段階と、該第一段階の後、前記第一段階の荷重よりも低荷重で前記ガラス基板表面の研削加工を行う第二段階とを有し、前記第一段階と前記第二段階とを有する前記研削加工処理は、同一の装置を用いて行うことを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法である。
前記第一段階における荷重をP1(g/cm2)、前記第二段階における荷重をP2(g/cm2)としたとき、P1/P2=3.0以下であることを特徴とする構成1に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法である。
(構成3)
前記第一段階における荷重P1を維持する時間をt1とし、前記第二段階における荷重P2を維持する時間をt2としたとき、t1<t2であることを特徴とする構成2に記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法。
投入する前記ガラス基板の表面粗さが、Raで0.05μm以下であることを特徴とする構成1乃至3のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法である。
前記研削加工処理における加工速度は、3.0μm/分~9.0μm/分であることを特徴とする構成1乃至4のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法である。
(構成6)
前記第二段階終了後のガラス基板の表面粗さが、Raで0.080μm~0.130μmであることを特徴とする構成1乃至5のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法である。
構成1乃至6のいずれかに記載の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法により製造された磁気ディスク用ガラス基板上に、少なくとも磁気記録層を形成することを特徴とする磁気ディスクの製造方法である。
本発明は、上記構成1にあるように、潤滑液と、ダイヤモンド粒子を含む固定砥粒が研削面に配備された定盤とを用いてガラス基板の主表面を研削する研削加工処理を含む磁気ディスク用ガラス基板の製造方法であって、前記ガラス基板は、主表面が鏡面のガラス基板であり、前記研削加工処理は、研削加工を行う荷重よりも高荷重で前記ガラス基板表面を粗面化する第一段階と、該第一段階の後、前記第一段階の荷重よりも低荷重で前記ガラス基板表面の研削加工を行う第二段階とを有し、前記第一段階と前記第二段階とを有する前記研削加工処理は、同一の装置を用いて行うことを特徴とする磁気ディスク用ガラス基板の製造方法である。
本発明の磁気ディスク用ガラス基板の製造方法においては、フロート法やダウンドロー法で製造されたシート状ガラスから所定の大きさに切り出して主表面が鏡面のガラス基板を得る。また、これ以外に、溶融ガラスからプレスで作製した主表面が鏡面のガラス基板を用いてもよい。
なお、本実施の形態においては、ダイヤモンド固定砥粒が上記凝集体である場合について説明する。従って、本発明において、ダイヤモンド固定砥粒と言った場合は、特に断りのない限り、上記凝集体を意味するものとし、また、ダイヤモンド固定砥粒の平均粒径、及び砥粒密度と言った場合は、上記凝集体の平均粒径、及び樹脂中の上記凝集体密度を意味するものとする。
但し、本発明は、ダイヤモンド固定砥粒が上記凝集体である場合に限定するものではない。ダイヤモンド固定砥粒が凝集体ではなく、ダイヤモンド粒子の粒1個であるようなダイヤモンドパッドを使用することもできる。
図3は、本発明の研削加工処理における印加荷重のシーケンスの一例を示す図である。
図3の横軸は時間、縦軸は印加荷重である。スタートから荷重を次第に上げていき、荷重がP1に達した時点(A点)で一定時間(t1)を維持する。ここまでが上記第一段階であり、ガラス表面を粗面化する。
なお、A点へ至る荷重の印加を多段階のステップに分けて行ってもよい。すなわち、荷重を段階的に(シーケンス図上においては階段状に)上げてもよい。
なお、ここでいう「荷重P1,P2」とは、ある一定の時間維持される値を指しており、上昇途中の荷重などは含まない。
一方、荷重P1が200g/cm2よりも大きいと、砥粒による切込みが深くなりすぎて、スクラッチが多く発生し、本加工や後続の研磨工程の取代を大きくする必要が出てくるため加工時間が長くなってしまう恐れがある。また、ガラス基板が割れたりヒビが発生する場合がある。
また、P1/P2は1.20以上であることが好ましい。こうすることで、加工速度をより高くするとともに粗さを低減することができる。より具体的には、研削加工後の表面粗さを0.12μm以下とすることができる。
また、P1/P2=3.0以下であることが好ましい。P1/P2が3.0より大きいと、第一段階から第二段階に移行する際に一時的にガラス基板と定盤との間の密着性が不足し、ガラス基板の下面の全体または一部が研削されない問題が発生する場合がある。
一方、BC間の時間が90秒より長くなると、P1(第一段階)からP2(第二段階)に移行する間にガラスが過剰に研削されるため板厚のコントロールが難しくなったり、深いスクラッチが発生して仕上りの主表面粗さが増大する恐れがある。
なお、t1<t2とすると、仕上がりの粗さを低下させることができるので好ましい。t1≧t2であると、加工後に表面粗さが低くならない場合がある。すなわち、本発明では高い研削レートと加工後の低粗さを両立できる技術であるが、低荷重による第二段階の加工時間が不足すると、第一段階によって粗くなった粗さを第二段階で低くしきれなくなることがある。また、スクラッチが残留する恐れがある。これらは後に続く研磨工程の取代増加などにより解消できるものの、製造コスト上昇の一因となりうる。
また、P1×t1(面積)<P2×t2(面積)であることが好ましい。こうすることで、研削処理後の表面粗さを十分に低減することが可能になる。
なお、前にも説明したとおり、ここでダイヤモンド固定砥粒とは、前記凝集体を意味する。また、凝集体に含まれる個々のダイヤモンド粒子の大きさは、平均粒径で1~5μmであることが好ましい。
すなわち、生産性向上のために同じ固定砥粒砥石を用いて多数回の処理を行う場合は、研削砥粒の突き出し量を精密に制御することが必要であることを突き止めた。
研削加工実施前の上下定盤の研削砥石(通常、円盤状に形成されている)に対して、内周から外周までの距離を100%としたとき、内周から10%、50%、90%の位置から、それぞれ2.5mm×2.5mmの大きさの合計6サンプル(パッド片)を切り出す。この6サンプルのそれぞれについて、例えばレーザー顕微鏡を用いて得られた観察画像から任意の研削砥粒の例えば5個を選択し、砥粒と砥粒周辺の樹脂部との高低差を測定し、全砥粒の高低差の平均値をもってその研削砥石の研削砥粒の突出し量と定義する。
また、本発明において、上記第一段階終了後のガラス基板の表面粗さは、概ねRaで0.100~0.150μmの範囲である。この範囲に粗面化されることにより、続く第二段階の研削加工が良好に行われる。
また、本発明においては、上記第二段階終了後のガラス基板の表面粗さが、Raで0.080~0.130μmの範囲に仕上がる。このように仕上がりの粗さを低く抑えることが可能となるので、後の工程の加工負荷を減らすことができる。
また、このアルミノシリケートガラスとしては、重量%で表して、
SiO2 58~66%、Al2O313~19%、Li2O 3~ 4.5%、Na2O 6~13%、K2O 0~ 5%、R2O 10~18%、(ただし、R2O=Li2O+Na2O+K2O)
MgO 0~ 3.5%、CaO 1~ 7%、SrO 0~ 2%、BaO 0~ 2%、RO 2~10%、(ただし、RO=MgO+CaO+SrO+BaO)
TiO2 0~ 2%、CeO2 0~ 2%、Fe2O30~ 2%、MnO 0~ 1%、(ただし、TiO2+CeO2+Fe2O3+MnO=0.01~3%)の組成を含有する化学強化用ガラスを使用することができる。
また、SiO2を56~75モル%、Al2O3を1~9モル%、Li2O、Na2OおよびK2Oからなる群から選ばれるアルカリ金属酸化物を合計で6~15モル%、MgO、CaOおよびSrOからなる群から選ばれるアルカリ土類金属酸化物を合計で10~30モル%、ZrO2、TiO2、Y2O3、La2O3、Gd2O3、Nb2O5およびTa2O5からなる群から選ばれる酸化物を合計で0%超かつ10モル%以下、含むガラスであってもよい。
本発明において、ガラス組成におけるAl2O3の含有量が15重量%以下であると好ましい。さらには、Al2O3の含有量が5モル%以下であるとなお好ましい。
また、本発明において表面粗さ(例えば、最大粗さRmax、算術平均粗さRa)は、原子間力顕微鏡(AFM)で5μm×5μmの正方形エリアを測定したときに得られる表面形状の表面粗さとすることが実用上好ましい。なお、触針式表面粗さ計を用いて測定してもよい。
本発明によって得られるガラス基板を利用することにより、信頼性の高い磁気ディスクを得ることができる。
(実施例1)
以下の(1)基板準備工程、(2)形状加工工程、(3)端面研磨工程、(4)主表面研削加工処理、(5)主表面研磨工程(第1研磨工程)、(6)化学強化工程、(7)主表面研磨工程(第2研磨工程)を経て本実施例の磁気ディスク用ガラス基板を製造した。
フロート法により製造された厚さ1mmのアルミノシリケートガラスからなる大板ガラスを準備し、正方形の小片となるようにダイヤモンドカッターを用いて裁断した。次いで、ダイヤモンドカッターを用いて、外径65mm、中心部に内径20mmの円孔を有する円盤形状に加工した。このアルミノシリケートガラスとしては、重量%で表して、
SiO2 58~66%、Al2O313~19%、Li2O 3~ 4.5%、Na2O 6~13%、K2O 0~ 5%、R2O 10~18%、(ただし、R2O=Li2O+Na2O+K2O)
MgO 0~ 3.5%、CaO 1~ 7%、SrO 0~ 2%、BaO 0~ 2%、RO 2~10%、(ただし、RO=MgO+CaO+SrO+BaO)
TiO2 0~ 2%、CeO2 0~ 2%、Fe2O30~ 2%、MnO 0~ 1%、(ただし、TiO2+CeO2+Fe2O3+MnO=0.01~3%)の組成を含有する化学強化用ガラスを使用した。
次に、外周端面および内周端面に所定の面取り加工を施した。なお、一般に、2.5インチ型HDD(ハードディスクドライブ)では、外径が65mmの磁気ディスクを用いる。
次いで、公知のブラシ研磨方法により、ガラス基板を回転させながらガラス基板の端面(内周、外周)の表面を研磨した。
この主表面研削加工処理は両面ラッピング装置を用い、ダイヤモンドパッドが貼り付けられた上下定盤の間にキャリアにより保持したガラス基板をセットして行なった。ダイヤモンドパッドとしては、複数のダイヤモンド粒子をガラスでビトリファイド結合させた凝集体を樹脂で固定して固定砥粒とした固定砥粒砥石を使用した。ここで、凝集体の平均粒径は約25μm、凝集体中の個々のダイヤモンド粒子の平均粒径(D50)は2.5μmとした。また、潤滑液を使用しながら行った。なお、研削加工処理前のガラス基板の主表面は鏡面であった。また、主表面の粗さを触針式粗さ計で測定したところ、Raで5nmであった。
なお、図3における傾きkは10g/(cm2・sec)、t1は60秒、BC間の時間は15秒、t2はt1よりも長い200秒とした。
上記研削加工処理を終えたガラス基板を、中性洗剤、水の各洗浄槽(超音波印加)に順次浸漬して、超音波洗浄を行なった。
次に、上述した研削加工で残留した傷や歪みを除去するための第1研磨工程を両面研磨装置を用いて行なった。両面研磨装置においては、研磨パッドが貼り付けられた上下研磨定盤の間にキャリアにより保持したガラス基板を密着させ、このキャリアを太陽歯車(サンギア)と内歯歯車(インターナルギア)とに噛合させ、上記ガラス基板を上下定盤によって挟圧する。その後、研磨パッドとガラス基板の研磨面との間に研磨液を供給して回転させることによって、ガラス基板が定盤上で自転しながら公転して両面を同時に研磨加工するものである。具体的には、ポリシャとして硬質ポリシャ(硬質発泡ウレタン)を用い、第1研磨工程を実施した。研磨液としては酸化セリウムを研磨剤として水に分散させたものを用いた。
次に、上記洗浄を終えたガラス基板に化学強化を施した。化学強化処理は、硝酸カリウムと硝酸ナトリウムを混合して溶融させた化学強化液を用意し、この化学強化溶液中にガラス基板を浸漬することによって行なった。
次いで上記の第1研磨工程で使用したものと同じ両面研磨装置を用い、ポリシャを軟質ポリシャ(スウェード)の研磨パッドに替えて第2研磨工程を実施した。この第2研磨工程は、上述した第1研磨工程で得られた平坦な表面を維持しつつ、表面粗さをさらに低下させて平滑な鏡面に仕上げるための鏡面研磨加工である。研磨液としてはコロイダルシリカを水に分散したものを使用した。上記第2研磨工程を終えたガラス基板を適宜洗浄し、乾燥した。
また、得られたガラス基板の外径は65mm、内径は20mm、板厚は0.635mmであった。
こうして、本実施例の磁気ディスク用ガラス基板を得た。
上記実施例1の研削加工処理において、第一段階(粗面化)の荷重(P1)を130g/cm2に設定したこと以外は実施例1と同様にして研削加工処理を実施した。そして、研削加工処理以外は実施例1と同様にして磁気ディスク用ガラス基板を得た。
研削加工後のガラス基板について、研削面のスクラッチ、研削加工処理全体における加工速度の測定結果を表1に示した。
上記実施例1の研削加工処理において、第一段階(粗面化)の荷重(P1)を200g/cm2に設定したこと以外は実施例1と同様にして研削加工処理を実施した。そして、研削加工処理以外は実施例1と同様にして磁気ディスク用ガラス基板を得た。
研削加工後のガラス基板について、研削面のスクラッチ、研削加工処理全体における加工速度の測定結果を表1に示した。
上記実施例1の研削加工処理において、第二段階(本加工)の荷重(P2)を50g/cm2に設定したこと以外は実施例1と同様にして研削加工処理を実施した。そして、研削加工処理以外は実施例1と同様にして磁気ディスク用ガラス基板を得た。
研削加工後のガラス基板について、実施例1と同様にして測定した表面粗さ(Ra)と、研削加工処理全体における加工速度の測定結果を表2に示した。
上記実施例1の研削加工処理において、第二段階(本加工)の荷重(P2)を70g/cm2に設定したこと以外は実施例1と同様にして研削加工処理を実施した。そして、研削加工処理以外は実施例1と同様にして磁気ディスク用ガラス基板を得た。
研削加工後のガラス基板について、実施例1と同様にして測定した表面粗さ(Ra)と、研削加工処理全体における加工速度の測定結果を表2に示した。
上記実施例1の研削加工処理において、第二段階(本加工)の荷重(P2)を120g/cm2に設定したこと以外は実施例1と同様にして研削加工処理を実施した。そして、研削加工処理以外は実施例1と同様にして磁気ディスク用ガラス基板を得た。
研削加工後のガラス基板について、実施例1と同様にして測定した表面粗さ(Ra)と、研削加工処理全体における加工速度の測定結果を表2に示した。
上記実施例1の研削加工処理において、第一段階(粗面化)の荷重(P1)を120g/cm2に設定したこと以外は実施例1と同様にして研削加工処理を実施した。そして、研削加工処理以外は実施例1と同様にして磁気ディスク用ガラス基板を得た。
研削加工後のガラス基板について、研削面のスクラッチ、研削加工処理全体における加工速度の測定結果を表1に示した。
上記実施例1の研削加工処理において、第一段階(粗面化)の荷重(P1)を210g/cm2に設定したこと以外は実施例1と同様にして研削加工処理を実施した。そして、研削加工処理以外は実施例1と同様にして磁気ディスク用ガラス基板を得た。
研削加工後のガラス基板について、研削面のスクラッチ、研削加工処理全体における加工速度の測定結果を表1に示した。
上記実施例1の研削加工処理において、第二段階(本加工)の荷重(P2)を40g/cm2に設定したこと以外は実施例1と同様にして研削加工処理を実施した。そして、研削加工処理以外は実施例1と同様にして磁気ディスク用ガラス基板を得た。
研削加工後のガラス基板について、実施例1と同様にして測定した表面粗さ(Ra)と、研削加工処理全体における加工速度の測定結果を表2に示した。
上記実施例1の研削加工処理において、第二段階(本加工)の荷重(P2)を130g/cm2に設定したこと以外は実施例1と同様にして研削加工処理を実施した。そして、研削加工処理以外は実施例1と同様にして磁気ディスク用ガラス基板を得た。
研削加工後のガラス基板について、実施例1と同様にして測定した表面粗さ(Ra)と、研削加工処理全体における加工速度の測定結果を表2に示した。
上記実施例1の研削加工処理において、荷重を100g/cm2に設定して、最初から研削加工(本加工)を実施した。そして、研削加工処理以外は実施例1と同様にして磁気ディスク用ガラス基板を得た。
研削加工後のガラス基板について、研削面のスクラッチ、研削加工処理全体における加工速度の測定結果を表1に示した。
1.上記第一段階を設けず、荷重を研削加工(本加工)の荷重に設定して、最初から研削加工(本加工)を実施した比較例においては、研削加工できない時間が長くなり、加工速度が低下してしまう。
2.これに対し、本発明の実施例によれば、従来の固定砥粒を用いた研削加工における研削加工できない時間を減らし、加工速度を落とさずに研削加工を行うことが可能となる。さらに、研削加工の条件を調節することで加工面の表面粗さを低く抑えることも可能になる。特に、第一段階における荷重P1を、130~200g/cm2の範囲とし、第二段階における荷重P2を、50~120g/cm2の範囲とすることにより、良好な結果が得られる。
なお、第一段階における荷重P1が130g/cm2よりも小さいと(実施例7)、研削加工できない時間を十分に短縮できず、加工速度が低下してしまう。一方、荷重P1が200g/cm2よりも大きいと(実施例8)、砥粒による切込みが深くなりすぎて、スクラッチが発生し、本加工や後続の研磨工程の取代を大きくする必要が出てくるため全体の加工時間が長くなってしまう。つまり、P1は、加工速度の観点から130g/cm2以上が好ましく、スクラッチの観点から200g/cm2以下であることが好ましい。
また、P1/P2の値については、上記結果から、1.20以上、または、3以下であることが好ましい。
また、実施例4の条件からP1のみを160(g/cm2)、140(g/cm2)と変化させて同様の連続加工を行ったところ(それぞれ実施例11、12とする。それぞれのP1/P2は、3.2、2.8となる)、140(g/cm2)とした場合は上記のような未研削の基板は見つからなかったが、160(g/cm2)とした場合には1枚見つかった。
すなわち、実施例4、9、11、12の結果より、P1/P2が3より大きくなると、連続加工をした際に、未研削の基板が発生する恐れがあることがわかった。
この点以外は、実施例1と同様にして研削処理を連続して行い、得られた2500枚のガラス基板の表面観察結果を以下の表3に示した。
上記実施例1で得られた磁気ディスク用ガラス基板に以下の成膜工程を施して、垂直磁気記録用磁気ディスクを得た。
すなわち、上記ガラス基板上に、Ti系合金薄膜からなる付着層、CoTaZr合金薄膜からなる軟磁性層、Ru薄膜からなる下地層、CoCrPt合金からなる垂直磁気記録層、カーボン保護層、潤滑層を順次成膜した。保護層は、磁気記録層が磁気ヘッドとの接触によって劣化することを防止するためのもので、水素化カーボンからなり、耐磨耗性が得られる。また、潤滑層は、アルコール変性パーフルオロポリエーテルの液体潤滑剤をディップ法により形成した。
得られた磁気ディスクについて、DFHヘッドを備えたHDDに組み込み、80℃かつ80%RHの高温高湿環境下においてDFH機能を作動させつつ1ヶ月間のロードアンロード耐久性試験を行ったところ、特に障害も無く、良好な結果が得られた。
2 シート
3 凝集体
4 ペレット
5 ダイヤモンド粒子
6 支持材
10 ガラス基板
Claims (9)
- 上下定盤の間にキャリアにより保持したガラス基板を密着させ、前記ガラス基板を上下定盤によって所定圧で挟圧しながら、前記ガラス基板と前記上下定盤とを相対的に移動させることにより、前記ガラス基板の両主表面を同時に研削加工処理する際に、前記上下定盤に貼り付ける固定砥粒砥石であって、
前記固定砥粒砥石は、ダイヤモンド粒子を含む固定砥粒を含み、
前記固定砥粒は、複数のダイヤモンド粒子をガラスで結合させた凝集体であり、
前記固定砥粒の平均粒径は20~40μmであり、
前記固定砥粒の突出し量は0.5μm~7μmである、
ことを特徴とする固定砥粒砥石。 - 前記ダイヤモンド粒子の平均粒径は1~5μmであることを特徴とする請求項1に記載の固定砥粒砥石。
- 前記固定砥粒砥石は、主表面が鏡面であるガラス基板の研削加工処理に用いられ、前記研削加工処理後のガラス基板の表面粗さRaは、前記研削加工処理前のガラス基板の表面粗さRaよりも大きくなる、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の固定砥粒砥石。
- 前記研削加工処理に投入するガラス基板の主表面の表面粗さはRaで0.05μm以下である、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の固定砥粒砥石。
- 前記研削加工処理後のガラス基板の主表面の表面粗さはRaで0.080~0.130μmの範囲内である、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の固定砥粒砥石。
- 前記固定砥粒砥石は磁気ディスク用ガラス基板の製造に用いられることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の固定砥粒砥石。
- 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の固定砥粒砥石を用いて前記ガラス基板の主表面を研削する処理を有することを特徴とするガラス基板の製造方法。
- 前記ガラス基板は磁気ディスク用ガラス基板の製造に用いられるガラス基板であることを特徴とする請求項7に記載のガラス基板の製造方法。
- 前記ガラス基板の主表面を研磨する処理をさらに有することを特徴とする請求項7又は8に記載のガラス基板の製造方法。
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