JP7267765B2 - 水性樹脂組成物、硬化物および積層体 - Google Patents
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Description
[1](A)水酸基を有するアクリル樹脂、水酸基を有するポリエステル樹脂および水酸基を有するウレタン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種のポリオール樹脂であって、重量平均分子量が10万以上、かつ、固形分水酸基価が40mgKOH/g以上であるポリオール樹脂(但し、下記アミノ樹脂(B)を除く。)、
(B)炭素数2または3のアルキルモノアルコールと、数平均分子量500以下かつ炭素数2~10の2~4価のポリオールとで変性された変性アミノ樹脂、および
(C)水
を含有する水性樹脂組成物。
[4] 触媒(D)としてプロトン酸またはルイス酸触媒をさらに含むことを特徴とする項[1]~[3]のいずれか一項に記載の水性樹脂組成物。
[7] 項[1]~[5]のいずれか一項に記載の水性樹脂組成物から形成された硬化膜を含むことを特徴とする積層体。
[水性樹脂組成物]
本発明の水性樹脂組成物(以下、単に「本発明の組成物」ともいう。)は、
(A)水酸基を有するアクリル樹脂、水酸基を有するポリエステル樹脂および水酸基を有するウレタン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種のポリオール樹脂であって、重量平均分子量が10万以上、かつ、固形分水酸基価が50mgKOH/g以上であるポリオール樹脂(但し、下記アミノ樹脂(B)を除く。)、
(B)炭素数2または3のアルキルモノアルコールと、数平均分子量500以下かつ炭素数2~10の2~4価のポリオールで変性された変性アミノ樹脂、および
(C)水
を含有することを特徴とする。
本発明で用いられる、ポリオール樹脂(A)(以下、単に「樹脂(A)」ともいう。)としては、水酸基を有するアクリル樹脂、水酸基を有するポリエステル樹脂および水酸基を有するウレタン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種のポリオール樹脂であり、重量平均分子量(Mw)が10万以上、かつ、固形分の水酸基価が50mgKOH/g以上であれば特に限定されない。前記ポリオール樹脂の中では、水酸基を有するアクリル樹脂が好ましい。
本発明の組成物全量に対する前記樹脂(A)(固形分)の含有割合は、好ましくは1~60質量%、より好ましくは1.1~57.0質量%、さらに好ましくは5.0~45.0質量%である。樹脂(A)の含有割合が前記範囲内であることにより、塗装性、貯蔵安定性、塗膜の強度、硬度および耐摩耗性などに優れる。
本発明で用いられる変性アミノ樹脂(B)(以下、単に「樹脂(B)」ともいう。)は、炭素数2または3のアルキルモノアルコールと、数平均分子量500以下かつ炭素数2~10の2~4価のポリオールとで変性された変性アミノ樹脂である。前記樹脂(B)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
前記アルキルモノアルコールとしては、例えば、エタノールおよびプロパノールが挙げられる。エタノールとしては、含水エタノールを用いてもよく、また、メタノールやイソプロパノールなどを少量含有する、いわゆる混合エタノールを用いてもよい。
本発明で用いられる水(C)は、特に限定されるものではなく、一般的に使用されているイオン交換水、蒸留水などを使用することができる。本発明の組成物全量に対する水(C)の含有割合は、好ましくは20~95質量%、より好ましくは30~95質量%、更に好ましくは40~90質量%である。水(C)の含有割合が前記範囲内であることにより、低温硬化性および貯蔵安定性に優れ、VOC排出量の少ない水性樹脂組成物が得られる。
本発明の組成物は、低温硬化性を向上させることを目的として、触媒(D)を含んでもよい。触媒(D)は、プロトン酸またはルイス酸触媒のことを指す。
前記ルイス酸の具体例としては、硝酸カルシウム、硝酸マグネシウム、硝酸マンガン、硝酸アルミニウム、硝酸亜鉛、硝酸コバルト、硝酸銅、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル、塩化ビスマスなどが挙げられる。
本発明の組成物は、必要に応じて添加剤(E)を含有してもよい。このような添加剤(E)としては、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、公知の添加剤を用いることができる。具体的には、顔料、染料、レベリング剤、安定向上剤、発泡抑制剤、耐候性向上剤、ワキ防止剤、酸化防止剤、分散剤および紫外線吸収剤などが挙げられる。添加剤(E)は1種単独で用いても、2種以上を用いてもよい。
本発明の組成物は、樹脂(A)、変性アミノ樹脂(B)および水(C)、ならびに、必要に応じて、触媒(D)および添加剤(E)を撹拌しながら混合することにより調製することができる。
本発明の硬化物は、本発明の組成物からなることを特徴とし、通常、硬化膜の形態である。また、本発明の積層体は、本発明の組成物からなる硬化膜を含むことを特徴とする。
前記硬化膜の厚さは、特に限定されず、所望の用途に応じて適宜選択すればよいが、好ましくは5~50μmであり、より好ましくは10~20μmである。
下記実施例および比較例において、組成物(コーティング材)を調製する際に用いた原料および組成物を塗布する際に用いた基材は以下のとおりである。
・(A-1)DSM製アクリル樹脂「NeoCryl XK-103」
固形分:45%
重量平均分子量:43万
水酸基価:106mgKOH/g
・(A-2)DSM製アクリル樹脂「NeoCryl XK-102」
固形分:45%
重量平均分子量:20万
水酸基価:52mgKOH/g
・(A'-1)DSM製アクリル樹脂「NeoCryl XK-110」)
固形分:45%
重量平均分子量:2万
水酸基価:84mgKOH/g
・(A'-2)アクリル樹脂水分散体
還流冷却器、撹拌器、温度計、滴下ロートを装備した反応容器に脱イオン水122.2部、「ラテムルPD-104」(花王(株)社製、商品名、アニオン性乳化剤、固形分20%)0.46部を加え、窒素置換後、80℃に保った。この中に過硫酸アンモニウム0.025部を添加し、添加15分後から下記組成をエマルション化してなるプレエマルションを3時間にわたって滴下した。
脱イオン水 142.8部
メチルメタクリレート 45.0部
n-ブチルアクリレート 33.0部
2-エチルヘキシルアクリレート 10.0部
2-ヒドロキシエチルアクリレート 7.0部
アクリル酸 5.0部
ラテムルPD-104 9.0部
過硫酸アンモニウム 0.10部
滴下終了後、さらに2時間80℃に保持した。その後、40~60℃に温度を下げ、アンモニア水でpH7~8に調整し、重量平均分子量30万、水酸基価34mgKOH/g、不揮発分45%のアクリル樹脂(A'-2)を得た。
・(B-1)メラミン樹脂溶液
撹拌機、温度計、還流コンデンサーおよび窒素導入管を備えた4つ口フラスコにメラミン126g (1.0モル)、ホルマリン濃度が92%のパラホルムアルデヒド130g(4.0モル)、エタノール137g(2.9モル)およびエチレングリコール196g(3.0モル)を仕込み、還流温度まで昇温した。還流温度で1時間メチロール化反応を行った後、パラトルエンスルホン酸の50%水溶液0.180g(0.53ミリモル)を加え、還流状態にてエーテル化反応を2時間行った。その後、20%水酸化ナトリウム溶液0.160g(0.80ミリモル)で反応生成物を中和し、次いで減圧下でエタノールおよび水を留去した後、イソプロパノール(希釈溶剤(C’);以下同様)で不揮発分70重量%となるまで希釈することでメラミン樹脂溶液(B-1)を得た。得られた樹脂のSP値は15.4、Mwは1,000であった。
撹拌機、温度計、還流コンデンサーおよび窒素導入管を備えた4つ口フラスコにメラミン126g (1.0モル)、ホルマリン濃度が92%のパラホルムアルデヒド196g(6.0モル)、エタノール137g(2.9モル)およびエチレングリコール196g(3.0モル)を仕込み、還流温度まで昇温した。還流温度で1時間メチロール化反応を行った後、パラトルエンスルホン酸の50%水溶液0.180g(0.53ミリモル)を加え、還流状態にてエーテル化反応を2時間行った。その後、20%水酸化ナトリウム溶液0.160g(0.80ミリモル)で反応生成物を中和し、次いで減圧下でエタノールおよび水を留去した後、イソプロパノールで不揮発分70重量%となるまで希釈することでメラミン樹脂溶液(B-2)を得た。得られた樹脂のSP値は16.0、Mwは1,500であった。
撹拌機、温度計、還流コンデンサーおよび窒素導入管を備えた4つ口フラスコにメラミン126g (1.0モル)、ホルマリン濃度が92%のパラホルムアルデヒド196g(6.0モル)、エタノール89g(1.9モル)およびエチレングリコール261g(4.0モル)を仕込み、還流温度まで昇温した。還流温度で1時間メチロール化反応を行った後、パラトルエンスルホン酸の50%水溶液0.180g(0.53ミリモル)を加え、還流状態にてエーテル化反応を2時間行った。その後、20%水酸化ナトリウム溶液0.160g(0.80ミリモル)で反応生成物を中和し、次いで減圧下でエタノールおよび水を留去した後、イソプロパノールで不揮発分70重量%となるまで希釈することでメラミン樹脂溶液(B-3)を得た。得られた樹脂のSP値は16.3、Mwは2,000であった。
撹拌機、温度計、還流コンデンサーおよび窒素導入管を備えた4つ口フラスコにメラミン126g (1.0モル)、ホルマリン濃度が92%のパラホルムアルデヒド196g(6.0モル)、エタノール188g(3.9モル)およびプロピレングリコール131g(2.0モル)を仕込み、還流温度まで昇温した。還流温度で1時間メチロール化反応を行った後、パラトルエンスルホン酸の50%水溶液0.180g(0.53ミリモル)を加え、還流状態にてエーテル化反応を2時間行った。その後、20%水酸化ナトリウム溶液0.160g(0.80ミリモル)で反応生成物を中和し、次いで減圧下でエタノールおよび水を留去した後、イソプロパノールで不揮発分70重量%となるまで希釈することでメラミン樹脂溶液(B-4)を得た。得られた樹脂のSP値は15.0、Mwは1,500であった。
撹拌機、温度計、還流コンデンサーおよび窒素導入管を備えた4つ口フラスコにメラミン126g (1.0モル)、ホルマリン濃度が92%のパラホルムアルデヒド196g(6.0モル)、エタノール234g(4.9モル)およびトリメチロールプロパン134g(1.0モル)を仕込み、還流温度まで昇温した。還流温度で1時間メチロール化反応を行った後、パラトルエンスルホン酸の50%水溶液0.180g(0.53ミリモル)を加え、還流状態にてエーテル化反応を2時間行った。その後、20%水酸化ナトリウム溶液0.160g(0.80ミリモル)で反応生成物を中和し、次いで減圧下でエタノールおよび水を留去した後、イソプロパノールで不揮発分70重量%となるまで希釈することでメラミン樹脂溶液(B-5)を得た。得られた樹脂のSP値は15.1、Mwは2,200であった。
撹拌機、温度計、還流コンデンサーおよび窒素導入管を備えた4つ口フラスコにメラミン126g (1.0モル)、ホルマリン濃度が92%のパラホルムアルデヒド196g(6.0モル)、エタノール186g(3.9モル)およびトリメチロールプロパン268g(2.0モル)を仕込み、還流温度まで昇温した。還流温度で1時間メチロール化反応を行った後、パラトルエンスルホン酸の50%水溶液0.180g(0.53ミリモル)を加え、還流状態にてエーテル化反応を2時間行った。その後、20%水酸化ナトリウム溶液0.160g(0.80ミリモル)で反応生成物を中和し、次いで減圧下でエタノールおよび水を留去した後、イソプロパノールで不揮発分70重量%となるまで希釈することでメラミン樹脂溶液(B-6)を得た。得られた樹脂のSP値は14.8、Mwは2,500であった。
・(B'-1)メラミン樹脂溶液
撹拌機、温度計、還流コンデンサーおよび窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、ダイセル・オルネクス社製「サイメル300」53.6g、ネオペンチルグリコール28.8g(0.28モル)およびキシレン17.6g(0.17モル)を加え、120℃で8時間撹拌し、イソプロパノールで不揮発分70重量%となるまで希釈することでメラミン樹脂(B'-1)を得た。得られた樹脂のSP値は14.4、Mwは1,500であった。
撹拌機、温度計、還流コンデンサーおよび窒素導入管を備えた4つ口フラスコにメラミン126g (1.0モル)、ホルマリン濃度が92%のパラホルムアルデヒド196g(6.0モル)、n-ブチルアルコール130g(1.8モル)およびエチレングリコール248g(4.0モル)を仕込み、還流温度まで昇温した。還流温度で1時間メチロール化反応を行った後、パラトルエンスルホン酸の50%水溶液0.180g(0.53ミリモル)を加え、還流状態にてエーテル化反応を2時間行った。その後、20%水酸化ナトリウム溶液0.160g(0.80ミリモル)で反応生成物を中和し、次いで減圧下でn-ブチルアルコールおよび水を留去した後、イソプロパノールで不揮発分70重量%となるまで希釈することでメラミン樹脂溶液(B'-2)を得た。得られた樹脂のSP値は13.0、Mwは4,500であった。
樹脂(A)もしくは(A')、変性アミノ樹脂(B)もしくはアミノ樹脂(B')、および水(C)を表1または表2に示す割合で混合することにより、組成物(コーティング材)を調製して評価した。
評価結果を表1および2に示す。
<塗膜の外観>
実施例および比較例で得られた塗膜付試験板の塗膜を目視で観察し、異物などがなく表面が平滑な場合を「〇」、全面に異物や凹凸が見られる場合または光沢が損なわれている場合を「×」と評価した。
実施例および比較例で得られた塗膜付試験板の塗膜表面を、JIS-5600に準拠して評価した。剥離のない場合を「〇」、剥離のみられる場合を「×」と判定した。
実施例および比較例で得られた塗膜付試験板の塗膜表面を、ガーゼにキシレンを浸したもので、荷重500gでこすり、被塗装材の表面が現れるまでの往復回数の一桁目を四捨五入し、往復回数を評価した。200回以上を「◎」、100~199回を「〇」、30~90回を「△」、0~20回を「×」と判定した。
実施例および比較例で得られた塗膜付試験板の塗膜表面を、40℃に加温した水に240時間浸し、その後取り出した塗膜の外観を評価した。塗膜に異常がない場合を「◎」、塗膜に一部ブリスターなどがみられる場合を「〇」、塗膜全面にブリスターなどがみられる場合を「×」と判定した。
Claims (8)
- (A)水酸基を有するアクリル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種のポリオール樹脂であって、重量平均分子量が10万以上、かつ、固形分水酸基価が40mgKOH/g以上であるポリオール樹脂(但し、下記アミノ樹脂(B)を除く。)、
(B)炭素数2のアルキルモノアルコールと、数平均分子量500以下かつ炭素数2~10の2~4価のポリオールとで変性された変性アミノ樹脂、および
(C)水
を含有する水性樹脂組成物。 - 前記変性アミノ樹脂(B)が、ホルムアルデヒドと、炭素数2のアルキルモノアルコールと、数平均分子量500以下かつ炭素数2~10の2~4価のポリオールと、メラミン、ベンゾグアナミンおよび尿素からなる群より選ばれる少なくとも1つの骨格を持つアミノ化合物とを反応させて得られることを特徴とする請求項1に記載の水性樹脂組成物。
- 前記変性アミノ樹脂(B)の溶解性パラメータ(SP値)が14.5~16.5であることを特徴とする請求項1または2に記載の水性樹脂組成物。
- 顔料、染料、レベリング剤、安定向上剤、発泡抑制剤、耐候性向上剤、ワキ防止剤、酸化防止剤、分散剤および紫外線吸収剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の添加剤(E)をさらに含むことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の水性樹脂組成物。
- 請求項1~4のいずれか一項に記載の水性樹脂組成物から形成された硬化物。
- 請求項1~4のいずれか一項に記載の水性樹脂組成物から形成された硬化膜を含むことを特徴とする積層体。
- 基材と硬化膜を含む積層体の製造方法であって、
請求項1~4のいずれか一項に記載の水性樹脂組成物を基材に塗布して塗膜を形成する工程と、前記塗膜を加熱して硬化膜を形成する工程とを含むことを特徴とする積層体の製造方法。 - 前記基材が金属または樹脂であることを特徴とする請求項7に記載の積層体の製造方法。
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