以下、信号生成装置および信号読取システムの実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
図1に示す信号読取システム1は、「信号読取システム」の一例であって、信号生成装置2A(「信号生成装置」の一例)、および信号変換装置3を備えて構成されている。この信号読取システム1は、一対の信号線(一例として一対の被覆導線La,Lb)で構成されるCAN通信用のシリアルバスSB(CANバスSB)と、CANバスSBを介して伝送される2線差動電圧方式のロジック信号Saを解析するための解析装置(アナライザ)などのCAN通信対応機器との間に介装されて、このロジック信号Saを読み取り(検出し)、このロジック信号Saに対応する符号Cs(図3参照)を特定可能な符号特定用信号Sfを生成し、かつこの符号特定用信号Sfを解析装置の入力仕様に合致した出力信号So(CAN通信プロトコルに準拠した2線差動電圧方式のロジック信号)に変換して解析装置に出力する。なお、解析装置は、信号読取システム1を介してCANバスSBに接続されるCAN通信対応機器の一例であり、信号読取システム1は、ロジック信号を取得して記憶する記録装置(レコーダ)などの他のCAN通信対応機器を接続して使用することもできる。
また、この信号読取システム1では、このロジック信号Saとして、「CANプロトコル」、「CAN FD」などの各種のCAN通信プロトコルに準拠した各種の「ロジック信号」を対象とすることができる。この場合、このロジック信号Saが伝送されるCANバスSBでは、一対の被覆導線La,Lbが一対の信号線としての高電位側信号線(CANH)/低電位側信号線(CANL)に相当する。以下では、CANバスSBの一例として、自動車に配設されているCANバスに信号読取システム1を適用した例について説明するが、これに限定されるものではなく、上記したような工場内の機械設備の分野において使用されるCANバスにも、この信号読取システム1を適用することができる。
CANバスSBには、図1,2に示すように、CANフレームを構成する各符号Cs(図3参照)を表すロジック信号Saが、上記のようにCANバスSBを構成する一対の被覆導線La,LbのうちのCANHigh(CANH)の被覆導線Laに伝送される電圧信号の電圧Va(以下、理解の容易のため、この電圧信号自体を電圧信号Vaともいう)と、一対の被覆導線La,LbのうちのCANLow(CANL)の被覆導線Lbに伝送される電圧信号の電圧Vb(以下、理解の容易のため、この電圧信号自体を電圧信号Vbともいう)との間の電位差(Va-Vb)である差動信号として伝送される。
なお、CANバスSBを介してのロジック信号Saの伝送原理については公知のため、詳細な説明を省略するが、CANHigh(CANH)の電圧信号VaおよびCANLow(CANL)の電圧信号Vbの仕様について簡単に説明する。図3に示すように、電圧信号Va,Vbは、ベースになる電圧(+2.5V)から逆方向に変化する電圧信号であって、電圧信号Vaがこのベースの電圧のときには、電圧信号Vbも同じ期間に亘り同じベースの電圧になって、電位差(Va-Vb)がゼロ(最小:CANバスでのレセッシブレベル)となるこの期間(レセッシブ)に伝送されるCANフレームを構成する符号Cs(論理値)は「1」を示すものとなる。一方、電圧信号Vaがこのベースの電圧よりも高電圧の規定電圧(+3.5V)のときには、電圧信号Vbは同じ期間に亘り、逆にベースの電圧よりも低電圧の他の規定電圧(+1.5V)になって、電位差(Va-Vb)が最大(CANバスでのドミナントレベル)となるこの期間(ドミナント)に伝送されるCANフレームを構成する符号Cs(論理値)は「0」を示すものとなる。また、CANバスSBにおいて差動信号を伝送するための基準電位となる信号線である「SG」や、差動信号の伝送の用途以外に配設されている信号線および電力線(電源ラインおよびグランドライン)等の図示および説明を省略する。
信号生成装置2Aは、図2に示すように、入力端子部11,12、第1検出部13、第2検出部14、信号生成部15、処理部16および出力部17を備えている。また、信号生成装置2Aは、図1,2に示すように、入力端子部11に接続されたプローブPLa、および入力端子部12に接続されたプローブPLb(プローブPLaとは別体のプローブ)を介して一対の被覆導線La,Lbに接続されて、この被覆導線La,Lb(CANバスSB)を介して伝送されるロジック信号Saの符号Cs(図3に示すように、レセッシブにおいては「1」を示し、ドミナントにおいては「0」を示す符号Cs)を特定可能な符号特定用信号Sfを生成する。
各プローブPLa,PLbは、シールドケーブル(一例として、同軸ケーブル)を用いて、本例では金属非接触型のプローブとして同一に構成されている。具体的には、プローブPLaは、対応する被覆導線Laに取り外し自在に接続される自由端側(自由端部)には、被覆導線Laの不図示の芯線と接続される(容量結合で接続される)電極部21aが配設され、また基端側(基端部)には、入力端子部11に接続される(固定的、または取り外し自在に接続される)不図示の接続コネクタが配設されて構成されている。また、プローブPLbは、対応する被覆導線Lbに取り外し自在に接続される自由端側(自由端部)には、被覆導線Lbの不図示の芯線と接続される(容量結合で接続される)電極部21bが配設され、また基端側(基端部)には、上記の入力端子部12に接続される(固定的、または取り外し自在に接続される)接続コネクタ(不図示)が配設されて構成されている。
電極部21aは、図2に示すように、被覆導線Laに接続された状態において、被覆導線Laの不図示の絶縁被覆部(以下、単に「被覆部」ともいう)に接触(当接)して、被覆導線Laの不図示の芯線(導体自体(金属部))と容量結合する電極22aと、被覆導線Laの被覆部における電極22aの接触部位をこの電極22aを含めて覆うことで、電極22aの他の金属部(被覆導線Laの芯線以外の金属部)との容量結合を防止するためのシールド23aとを備えている。また、電極22aは、プローブPLaを構成するシールドケーブルの芯線および入力端子部11の一の端子を介して信号生成装置2Aの第1検出部13に接続されている。また、シールド23aは、このシールドケーブルのシールドおよび入力端子部11の他の端子を介して、信号生成装置2Aにおける基準電位の部位(グランドG)に接続されている。
また、電極部21bは、図2に示すように、被覆導線Lbに接続された状態において、被覆導線Lbの不図示の絶縁被覆部(以下、単に「被覆部」ともいう)に接触(当接)して、被覆導線Lbの不図示の芯線(導体自体(金属部))と容量結合する電極22bと、被覆導線Lbの被覆部における電極22bの接触部位をこの電極22bを含めて覆うことで、電極22bの他の金属部(被覆導線Lbの芯線以外の金属部)との容量結合を防止するためのシールド23bとを備えている。また、電極22bは、プローブPLbを構成するシールドケーブルの芯線および入力端子部12の一の端子を介して信号生成装置2Aの第2検出部14に接続されている。また、シールド23bは、このシールドケーブルのシールドおよび入力端子部12の他の端子を介して、信号生成装置2Aにおける基準電位の部位(グランドG)に接続されている。
また、各プローブPLa,PLbの自由端側に配設された電極部21a,21bは同一に構成されることで、被覆導線La,Lbのいずれにも取付可能であることから、プローブPLaを対応する被覆導線Laに正しく接続し、またプローブPLbを対応する被覆導線Lbに正しく接続し得るように、各プローブPLa,PLbには、図示はしないが、それぞれの対応する被覆導線La,Lbを明示するためのマーク等(例えば、接続すべき被覆導線La,Lbを示す「CANH」,「CANL」の文字等)が表示されている。
入力端子部11は、プローブPLaの基端部側に配設された接続コネクタと接続可能な接続コネクタで構成されている。また、入力端子部12は、プローブPLbの基端部側に配設された接続コネクタと接続可能な接続コネクタで構成されている。
第1検出部13は、一例として、図2に示すように、インピーダンス素子13aおよびアンプ13bを備えて、入力端子部11およびプローブPLaを介して接続された被覆導線に伝送されている電圧に応じて電圧が変化する(同図では、被覆導線Laに接続されているため、その電圧Vaに応じて電圧が変化する)第1電圧信号Vd1(以下、単に電圧信号Vd1ともいう)を出力する。この電圧信号Vd1は、上記の電圧信号Va,Vbのように双方の電位差(Va-Vb)で符号(データ)を表す差動電圧方式の電圧信号とは異なり、自身の電圧だけで符号(データ)を表す電圧信号(つまり、差動電圧方式ではない電圧信号)である。以下では、説明のため、この電圧信号Vd1と同種の電圧信号を「非差動電圧方式の電圧信号」ともいう。また、上記したように、電圧信号Va,Vbは、共に、電圧が二値的に変化する(電圧信号Vaは、3.5Vから2.5Vに、また2.5Vから3.5Vに変化し、電圧信号Vbは、2.5Vから1.5Vに、また1.5Vから2.5Vに変化する)電圧信号である。このため、後述する電圧信号Vc1と共にこの電圧信号Vd1も、図3に示すように、電圧が、高電圧から低電圧に、また低電圧から高電圧に二値的に変化する電圧信号である。
一例として、インピーダンス素子13aは、抵抗(高抵抗値の抵抗(少なくとも数MΩ程度の高インピーダンス抵抗))、およびこの抵抗に並列接続されたコンデンサを備えて構成されて、入力端子部11およびプローブPLaを介して接続された被覆導線に伝送されている電圧に応じて電圧が変化する(図2では被覆導線Laに接続されているため、図3に示すように、その電圧Vaに応じて電圧が変化する)非差動電圧方式の電圧信号Vc1を出力する。アンプ13bは、一例として非反転増幅器で構成されて、この電圧信号Vc1を非反転増幅して、図3に示すような非差動電圧方式の電圧信号Vd1として出力する。
第2検出部14は、一例として、図2に示すように、インピーダンス素子14aおよびアンプ14bを備えて、入力端子部12およびプローブPLbを介して接続された被覆導線に伝送されている電圧に応じて電圧が変化する(同図では、被覆導線Lbに接続されているため、その電圧Vbに応じて電圧が変化する)非差動電圧方式の第2電圧信号Vd2(以下、単に電圧信号Vd2ともいう)を出力する。また、この電圧信号Vd2および後述する電圧信号Vc2も、上記した電圧信号Vd1および電圧信号Vc1と同様の理由から、図3に示すように、電圧が、高電圧から低電圧に、また低電圧から高電圧に二値的に変化する電圧信号である。
この場合、インピーダンス素子14aは、上記したインピーダンス素子13aと同一に構成されて、入力端子部12およびプローブPLbを介して接続された被覆導線に伝送されている電圧に応じて電圧が変化する(図2では被覆導線Lbに接続されているため、図3に示すように、その電圧Vbに応じて電圧が変化する)非差動電圧方式の電圧信号Vc2(電圧信号Vc1に対して位相の反転した電圧信号)を出力する。また、アンプ14bも、上記したアンプ13bと同一に構成されて、この電圧信号Vc2を非反転増幅して、図3に示すような非差動電圧方式の電圧信号Vd2(電圧信号Vd1に対して位相の反転した電圧信号)として出力する。
なお、各アンプ13b,14bについては、非反転増幅器で構成されるものに限定されず、反転増幅器で構成されるものであってもよい。また、各アンプ13b,14bは、対応する電圧信号Vc1,Vc2に含まれる交流成分と共に直流成分も併せて増幅する構成(直流アンプとする構成)でもよいし、電圧信号Vc1,Vc2に含まれる交流成分のみを増幅する構成(交流アンプとする構成)でもよい。
信号生成部15は、各電圧信号Vd1,Vd2を入力すると共に、各電圧信号Vd1,Vd2の差分電圧(Vd1-Vd2)に基づいて符号特定用信号Sfを生成して出力する。この符号特定用信号Sfの元となる電圧信号Vd1,Vd2が互いの位相が反転し、かつ電圧が二値的に変化する電圧信号であることから、この符号特定用信号Sf自体も、図3に示すように、その電圧が、高電圧から低電圧に、また低電圧から高電圧に二値的に変化する電圧信号である。また、電圧が二値的に変化する上記の各電圧信号については、二値信号ともいう。
この場合、信号生成部15は、プローブPLaが接続されるべき被覆導線Laに接続され(正しく被覆導線Laに接続され)、かつプローブPLbが接続されるべき被覆導線Lbに接続されて(正しく被覆導線Lbに接続されて)いる状態のときには、差分電圧(Vd1-Vd2)に基づいて、図3に示すように、CANバスSBにCANフレーム(符号列)を構成する符号Cs(「1」)が伝送されているレセッシブの期間において高電位側電圧(レセッシブに対応する高電圧)となり、符号Cs(「0」)が伝送されているドミナントの期間において低電位側電圧(ドミナントに対応する低電圧)となる符号特定用信号Sf(非差動電圧方式の電圧信号)を正しく生成して出力する。このように、符号特定用信号Sfは、高電位側電圧の期間が符号Cs(「1」)の伝送期間(レセッシブ)に対応し、低電位側電圧の期間が符号Cs(「0」)の伝送期間(ドミナント)に対応する信号であることから、ロジック信号Saに対応する符号Cs(「1」,「0」)を特定可能な信号である。
処理部16は、一例として、CPUなどで構成されて、計測処理、判別処理および出力処理を実行して、プローブPLaが接続されるべき被覆導線Laに接続され、かつプローブPLbが接続されるべき被覆導線Lbに接続されている接続状態(正しい接続状態)であるか、またはプローブPLaが接続されるべきでない被覆導線Lbに接続され、かつプローブPLbが接続されるべきでない被覆導線Laに接続されている接続状態(誤接続状態)であるかを判別すると共に、この判別結果を出力部17に出力する。また、処理部16は、計測処理では、二値信号である各電圧信号Vd1,Vd2および符号特定用信号Sfのうちの1つの信号(図2の例では、電圧信号Vd2)についての一方の電圧の連続時間Tcoを計測し、判別処理では、計測したこの連続時間Tcoと予め規定された閾値時間Tthとを比較して上記の接続状態を判別する。
具体的には、処理部16は、計測処理では、上記した1つの信号(この例では、電圧信号Vd2)における高電圧および低電圧のうちの一方の電圧であって、各プローブPLa,PLbがそれぞれ接続されるべき一対の信号線(被覆導線La,Lb)に接続されているときのロジック信号Saのレセッシブの期間に対応する期間での電圧(高電圧または低電圧)が連続する連続時間Tcoを計測する。プローブPLaが接続されるべき被覆導線Laに接続され、かつプローブPLbが接続されるべき被覆導線Lbに接続されているときには、図3を参照しつつ前述したように、電圧信号Vd2における上記の一方の電圧であって、ロジック信号Saのレセッシブの期間に対応する期間での電圧は、高電圧である。このため、処理部16は、この計測処理では、電圧信号Vd2についての一方の電圧である高電圧の連続時間Tcoを計測する。
この連続時間Tcoを計測処理において計測する意味について、図4に示すCANフレームのフレーム構造と併せて説明する。
まず、図4に示すように、CANバスSBにロジック信号Saが伝送されていないバスアイドル状態では、CANバスSBのレベルはこのバスアイドル状態を示すレセッシブに維持されている。CANバスSBに接続されている送信側のユニット(自動車に配設されている送信側のユニット)は、CANバスSBがこのバスアイドル状態にあることを検出したときに、図4に示すフォーマットのデータフレーム構造でロジック信号SaをCANバスSBに送信する。
一方、受信側のユニットは、CANバスSBのレベルがバスアイドル状態を示すレセッシブからドミナントへ変化したことを検出したとき(SOF(Start Of Frame)を検出したとき)に、このSOFから開始するデータフレームの受信を開始する。また、受信側のユニットは、その後に、7ビット長に亘ってレセッシブが連続したことを検出したとき(EOF(End Of Frame)を検出したとき)に、データフレームが終了したことを検出して、データフレームの受信を終了する。また、CANのデータフレームでは、SOFからCRCシーケンスの終わりまでの範囲において、ビットスタッフィングルール(同じデータが5ビット連続したとき、その次のデータにスタッフビットという反転ビットを入れるというルール)が適用される。なお、図4に示すデータフレームの構成は公知であるため、他の構成についての説明は省略する。また、図4中において括弧書きで示す数値は、対応するデータのビット数を示している。
このCANのデータフレームの構成から明らかなように、CANの1つのデータフレームでは、ドミナントの状態が連続するのは最大で5ビット長であり、6ビット長以上連続する状態は生じない。一方、レセッシブの状態が連続するのは、最小でもEOFを示す7ビット長以上(バスアイドルの期間がEOFよりも長くなることもある)となっている。一般的に、CANバスSBは、その規格において通信速度についての上限値と下限値とが予め規定されている。このため、CANのデータフレームでの1ビット長の最大時間は、下限値の通信速度での1ビット長(時間Ta)である。これにより、通信速度の下限値が予め規定されているCANバスSBにおけるドミナントの最大連続時間は、5×Taである。つまり、レセッシブではなくドミナントの連続時間を正しく計測している場合には、計測される連続時間は常にこの最大連続時間(5×Ta)以下となる。一方、ドミナントではなくレセッシブの連続時間を正しく計測している場合には、計測される連続時間は常にこの最大連続時間(5×Ta)を上回るものとなる。この信号生成装置2Aでは、この最大連続時間(5×Ta)を予め算出して、上記の閾値時間Tthとして処理部16に予め記憶されている。この閾値時間Tthは、このようにして、CAN通信プロトコルに準拠したロジック信号Saの通信速度の仕様(下限値を含む)に基づいて、正確に、かつ簡易に計算で算出することが可能となっている。
したがって、処理部16は、判別処理において、計測処理で計測した電圧信号Vd2についての一方の電圧(ロジック信号Saのレセッシブの期間に対応する期間での電圧)である高電圧の連続時間Tcoと上記の閾値時間Tthとを比較して、連続時間Tcoが閾値時間Tthを上回るときには、測定した連続時間Tcoは確かにレセッシブの状態が連続する時間である。このことから、電圧信号Vd2は正しい位相状態(図3に示す位相状態)で検出されているため、各プローブPLa,PLbは上記の正しい接続状態であると判別できる。
一方、処理部16は、判別処理において、計測処理で計測した上記の連続時間Tcoと上記の閾値時間Tthとを比較して、連続時間Tcoが閾値時間Tth以下のときには、測定した連続時間Tcoはレセッシブの状態が連続する時間ではなく、ドミナントの状態が連続する時間である。このことから、電圧信号Vd2は正しい位相に対して逆位相の状態(図3に示す電圧信号Vd2の位相状態ではなく、電圧信号Vd1の位相状態で)で検出されているため、各プローブPLa,PLbは上記の誤接続状態であると判別できる。
出力部17は、一例として、ディスプレイ装置や発光ダイオードなどの表示装置で構成されて、処理部16から出力される判別結果を表示する(出力する)。本例では一例として、出力部17は、発光ダイオードで構成されて、処理部16から出力された判別結果が誤接続状態を示すものであるときにのみ発光状態(点滅を繰り返す発光状態や、連続して発光する発光状態など)に移行する。この構成により、信号生成装置2Aは、使用者に対して、各プローブPLa,PLbが被覆導線La,Lbに正しく接続されているか、誤接続されているかを報知することが可能となっている。なお、出力部17は、表示装置を使用する構成に限定されるものではなく、ブザーやスピーカなどの可聴帯域の所定音信号を放音する放音装置で構成することもできる。
信号変換装置3は、CANドライバを含んで構成されて、信号生成装置2Aから出力された符号特定用信号Sfを入力すると共に、この符号特定用信号Sfをロジック信号Saと同じCAN通信プロトコルに準拠した出力信号So(2線差動電圧方式のロジック信号)に変換して、信号読取システム1に接続されている解析装置(CAN通信対応機器)に出力(送信)する。
次に、信号読取システム1の使用例、およびその際の信号読取システム1の動作について、図面を参照して説明する。
最初に、図1,2に示すように、使用者によって、プローブPLaが接続されるべき被覆導線Laに接続され(正しく被覆導線Laに接続され)、かつプローブPLbが接続されるべき被覆導線Lbに接続され(正しく被覆導線Lbに接続され)ているときには、信号生成装置2Aの第1検出部13では、上記したように、インピーダンス素子13aが、図3に示すように、入力端子部11およびプローブPLaを介して接続された被覆導線Laの電圧Vaに応じて電圧が変化する(つまり、電圧Vaがベースの電圧のときに低電圧となり、電圧Vaが高電圧の規定電圧のときに高電圧となるように変化する)電圧信号Vc1を発生させ、アンプ13bが、この電圧信号Vc1を非反転増幅して電圧信号Vd1を出力する。これにより、第1検出部13は、図3に示すように、CANバスSBにCANフレームを構成する符号Cs(「1」)が伝送されているレセッシブの期間において低電圧となり、符号Cs(「0」)が伝送されているドミナントの期間において高電圧となる電圧信号Vd1を生成して出力する。
また、信号生成装置2Aの第2検出部14では、上記したように、インピーダンス素子14aが、図3に示すように、入力端子部12およびプローブPLbを介して接続された被覆導線Lbの電圧Vbに応じて電圧が変化する(つまり、電圧Vbがベースの電圧のときに高電圧となり、電圧Vbが低電圧の規定電圧のときに低電圧となるように変化する)電圧信号Vc2を発生させ、アンプ14bが、この電圧信号Vc2を非反転増幅して電圧信号Vd2を出力する。これにより、第2検出部14は、図3に示すように、CANバスSBにCANフレームを構成する符号Cs(「1」)が伝送されているレセッシブの期間において高電圧となり、符号Cs(「0」)が伝送されているドミナントの期間において低電圧となる電圧信号Vd2を生成して出力する。
次いで、信号生成部15は、各電圧信号Vd1,Vd2を入力すると共に、これらの差分電圧(Vd1-Vd2)に基づいて符号特定用信号Sfを生成して出力する。この場合、プローブPLaが接続されるべき被覆導線Laに接続され(正しく被覆導線Laに接続され)、かつプローブPLbが接続されるべき被覆導線Lbに接続されて(正しく被覆導線Lbに接続されて)いることから、信号生成部15は、図3に示すように、この差分電圧(Vd1-Vd2)に基づいて、レセッシブの期間において高電位側電圧(レセッシブを示す電圧)となり、ドミナントの期間において低電位側電圧(ドミナントを示す電圧)となる正しい符号特定用信号Sfを生成して出力する。信号変換装置3は、この符号特定用信号Sfを入力すると共に、ロジック信号Saと同じCAN通信プロトコルに準拠した出力信号Soに変換して、解析装置(CAN通信対応機器)に出力(送信)する。
また、信号生成装置2Aでは、処理部16が、電圧信号Vd2に基づいて、計測処理および判別処理を実行して、各プローブPLa,PLbの各被覆導線La,Lbへの接続状態が正しい接続状態であるか、誤接続状態であるかを判別する。また、処理部16は、出力処理を実行して、判別処理での判別結果を出力部17に出力させる。
まず、計測処理では、処理部16は、予め規定された計測期間(図4に示すデータフレームを1つ以上必ず含む期間)において、電圧信号Vd2についての一方の電圧(ロジック信号Saのレセッシブの期間に対応する期間であると想定される期間での電圧)である高電圧の連続時間Tcoを計測する。この例では、各プローブPLa,PLbは上記の正しい接続状態であることから、この電圧信号Vd2は、図3に示す位相状態となっており、その高電圧の期間は実際にレセッシブの期間に対応する期間となっている。これにより、連続時間Tcoは、上記の閾値時間Tthを上回る時間として計測される。
したがって、処理部16は、判別処理において、計測したこの連続時間Tcoと上記の閾値時間Tthとを比較して、連続時間Tcoが閾値時間Tthを上回る時間であることに基づき、電圧信号Vd2について連続時間Tcoを実際に計測した高電圧の期間はレセッシブの期間に対応する期間である(つまり、電圧信号Vd2は正しい位相状態(図3に示す位相状態)で検出されている)ため、各プローブPLa,PLbは正しい接続状態であると判別する。そして、処理部16は、出力処理を実行して、判別処理での判別結果(プローブPLa,PLbは正しい接続状態である旨)を出力部17に出力させる。これにより、出力部17は、非発光状態に移行する。したがって、信号生成装置2Aの使用者は、出力部17が非発光状態であることに基づき、一対のプローブPLa,PLbがそれぞれ接続されるべき一対の被覆導線La,Lbに接続されていることを確認することが可能となっている。
次に、図1,2に示す接続状態とは異なり、図示はしないが、使用者によって、プローブPLaが被覆導線Lbに接続され、かつプローブPLbが被覆導線Laに接続されているとき(つまり、誤接続状態のとき)には、信号生成装置2Aの第1検出部13では、インピーダンス素子13aは、被覆導線Lbの電圧Vbに応じて電圧が変化する電圧信号Vc1(つまり、電圧Vbがベースの電圧のときに高電圧となり、電圧Vbが低電圧の規定電圧のときに低電圧となるように変化する電圧信号。図3に示す電圧信号Vc1に対して位相が反転した電圧信号)を発生させ、アンプ13bが、この電圧信号Vc1を非反転増幅して電圧信号Vd1を出力する。これにより、第1検出部13は、レセッシブの期間において高電圧となり、ドミナントの期間において低電圧となる電圧信号Vd1(図3に示す電圧信号Vd1に対して位相が反転した電圧信号)を生成して出力する。
また、信号生成装置2Aの第2検出部14では、インピーダンス素子14aは、被覆導線Laの電圧Vaに応じて電圧が変化する電圧信号Vc2(つまり、電圧Vaがベースの電圧のときに低電圧となり、電圧Vaが高電圧の規定電圧のときに高電圧となるように変化する電圧信号。図3に示す電圧信号Vc2と位相が反転した電圧信号)を発生させ、アンプ14bが、この電圧信号Vc2を非反転増幅して電圧信号Vd2を出力する。これにより、第2検出部14は、レセッシブの期間において低電圧となり、ドミナントの期間において高電圧となる電圧信号Vd2(図3に示す電圧信号Vd2に対して位相が反転した電圧信号)を生成して出力する。
次いで、信号生成部15は、各電圧信号Vd1,Vd2を入力すると共に、これらの差分電圧(Vd1-Vd2)に基づいて符号特定用信号Sfを生成して出力する。この場合、電圧信号Vd1,Vd2の各位相は、各プローブPLa,PLbが被覆導線La,Lbに正しく接続されているときの位相に対して上記したように反転した状態となっていることから、差分電圧(Vd1-Vd2)の位相も各プローブPLa,PLbが被覆導線La,Lbに正しく接続されているときの位相に対して反転した状態となっている。したがって、信号生成部15は、この差分電圧(Vd1-Vd2)に基づいて、レセッシブの期間において低電位側電圧(ドミナントを示す電圧)となり、ドミナントの期間において高電位側電圧(レセッシブを示す電圧)となる正しくない(間違った)符号特定用信号Sf(図3に示す符号特定用信号Sfとは、位相が反転した信号)を生成して出力する。信号変換装置3は、この符号特定用信号Sfを入力すると共に、ロジック信号Saと同じCAN通信プロトコルに準拠した出力信号Soに変換して、解析装置(CAN通信対応機器)に出力(送信)する。なお、この場合、処理部16は、判別処理において、後述するように、各プローブPLa,PLbは誤接続状態であると判別することから、この判別結果のときには、信号変換装置3に対して出力信号Soの解析装置への出力を停止させる構成としてもよい。この構成を採用することにより、間違った符号特定用信号Sfに基づく出力信号Soが解析装置に出力されることを回避することが可能となる。
また、信号生成装置2Aでは、処理部16が、電圧信号Vd2に基づいて、計測処理および判別処理を実行して、各プローブPLa,PLbの各被覆導線La,Lbへの接続状態が正しい接続状態であるか、誤接続状態であるかを判別する。また、処理部16は、出力処理を実行して、判別処理での判別結果を出力部17に出力させる。
まず、計測処理では、処理部16は、上記した計測期間において、電圧信号Vd2についての一方の電圧(ロジック信号Saのレセッシブの期間に対応する期間であると想定される期間での電圧)である高電圧の連続時間Tcoを計測する。この例では、各プローブPLa,PLbは上記の誤接続状態であり、この電圧信号Vd2は、図3に示す電圧信号Vd2の位相とは反転した位相となっていることから、その高電圧の期間は実際にはドミナントの期間に対応する期間となっている。これにより、連続時間Tcoは、上記の閾値時間Tth以下の時間として計測される。
したがって、処理部16は、判別処理において、計測したこの連続時間Tcoと上記の閾値時間Tthとを比較して、連続時間Tcoが閾値時間Tth以下の時間であることに基づき、電圧信号Vd2について連続時間Tcoを実際に計測した高電圧の期間はドミナントの期間に対応する期間である(つまり、電圧信号Vd2は正しい位相状態(図3に示す位相状態)に対して反転した位相状態で検出されている)ため、各プローブPLa,PLbは誤接続状態であると判別する。そして、処理部16は、出力処理を実行して、判別処理での判別結果(プローブPLa,PLbは誤接続状態である旨)を出力部17に出力させる。これにより、出力部17は、発光状態に移行する。したがって、信号生成装置2Aの使用者は、出力部17が発光状態であることに基づき、各プローブPLa,PLbが誤接続状態であることを確認することが可能となっている。この結果、信号生成装置2Aの使用者は、被覆導線Laに接続されているプローブPLbを被覆導線Laから外して被覆導線Lbに接続し、かつ被覆導線Lbに接続されているプローブPLaを被覆導線Lbから外して被覆導線Laに接続して、各プローブPLa,PLbの誤接続状態を解消することができる。
また、処理部16は、電圧信号Vd2に基づく上記の計測処理、判別処理および出力処理を繰り返し実行していることから、プローブPLa,PLbが被覆導線La,Lbに正しい接続状態で接続された時点で、信号生成装置2Aでは出力部17が非発光状態となる。これにより、信号生成装置2Aの使用者は、プローブPLa,PLbがそれぞれ接続されるべき被覆導線La,Lbに接続されていることを確認することができる。
このようにして、プローブPLa,PLbは最終的には被覆導線La,Lbに正しい接続状態で接続される。これにより、信号読取システム1では、信号生成装置2Aは、正しい符号特定用信号Sfを生成して信号変換装置3に出力し、信号変換装置3は、この正しい符号特定用信号Sfを出力信号Soに変換して、解析装置(CAN通信対応機器)に出力する。これにより、解析装置などのCAN通信対応機器では、信号読取システム1から出力された(信号読取システム1によってCANバスSBから読み取られた)CANフレーム(符号Csの列)に対応して予め規定されている各種の処理が実行される。
このように、この信号生成装置2Aでは、プローブPLaを介して接続された被覆導線(被覆導線La,Lbのうちの一方)を介して伝送されている電圧(電圧Va,Vbのうちの一方)に応じて電圧が変化する電圧信号Vd1を出力する第1検出部13と、プローブPLbを介して接続された被覆導線(被覆導線La,Lbのうちの他方)を介して伝送されている電圧(電圧Va,Vbのうちの他方)に応じて電圧が変化する電圧信号Vd2を出力する第2検出部14と、差分電圧(Vd1-Vd2)に基づいて符号特定用信号Sfを生成する信号生成部15と、上記の計測処理および判別処理を実行して各プローブPLa,PLbの被覆導線La,Lbへの接続状態(正しい接続状態で接続されているか、誤接続状態で接続されているか否か)を判別する処理部16とを備えている。
したがって、この信号生成装置2Aおよび信号読取システム1によれば、使用者が、処理部16での判別結果に基づき、各プローブPLa,PLbが被覆導線La,Lbに正しい接続状態で接続されているか、誤接続状態で接続されているかを確実に判定(認識)することができ、誤接続状態のときには、プローブPLa,PLbを被覆導線La,Lbに正しい接続状態となるように接続し直すこと(プローブPLa,PLbを被覆導線La,Lbに正しい接続状態で確実に接続すること)ができる。したがって、この信号生成装置2Aおよび信号読取システム1によれば、信号生成装置2Aが正しい符号特定用信号Sfを生成して出力し、信号変換装置3がこの正しい符号特定用信号Sfを出力信号Soに変換して、解析装置(CAN通信対応機器)に出力することができる。
また、この信号生成装置2Aおよび信号読取システム1によれば、出力部17を備え、処理部16が判別処理での判別の結果を出力部17に出力させる出力処理を実行するようにしたことにより、使用者は、信号生成装置2Aおよび信号読取システム1に別体の出力部を接続してこの出力部に上記の判別の結果を表示させるようにする手間を省くことができる。つまり、この信号生成装置2Aおよび信号読取システム1によれば、使用者は、信号生成装置2Aおよび信号読取システム1に設けられた出力部17に出力されている判別の結果を確認するだけで、各プローブPLa,PLbの被覆導線La,Lbへの接続状態を確実に判定(認識)することができる。
なお、上記の信号生成装置2Aでは、処理部16が第2検出部14から出力される電圧信号Vd2に基づいて連続時間Tcoを計測する計測処理を実行する構成を採用しているが、この構成に限定されるものではない。つまり、上記したように、電圧信号Vd2と同じ二値信号である電圧信号Vd1および符号特定用信号Sfのいずれも、電圧信号Vd2と同様にして、各プローブPLa,PLbが誤接続状態のときには、正しい接続状態のときの位相に対して位相が反転する。したがって、処理部16が、計測処理において、電圧信号Vd2に代えて、図2において破線で示すように電圧信号Vd1および符号特定用信号Sfのうちの1つの信号を使用し、この1つの信号における高電圧および低電圧のうちの一方の電圧であって、各プローブPLa,PLbがそれぞれ接続されるべき一対の信号線(被覆導線La,Lb)に接続されているときのロジック信号Saのレセッシブの期間に対応する期間での電圧(高電圧または低電圧)が連続する時間を連続時間Tcoとして計測する構成とすることもできる。このレセッシブの期間に対応する期間での電圧とは、図3に示すように、電圧信号Vd1では低電圧であり、符号特定用信号Sfでは高電圧である。この構成においても、電圧信号Vd2を使用する構成と同様にして、連続時間Tcoが閾値時間Tthを上回るときには、各プローブPLa,PLbは上記の正しい接続状態であると判別することができ、連続時間Tcoが閾値時間Tthを上回るときには、各プローブPLa,PLbは上記の正しい接続状態であると判別することができ、
また、上記の例では、処理部16が計測処理において、いずれも二値信号である電圧信号Vd1,Vd2および符号特定用信号Sfのうちの1つの信号における高電圧および低電圧のうちの一方の電圧であって、各プローブPLa,PLbが正しい接続状態のときのロジック信号Saのレセッシブの期間に対応する期間での電圧が連続する時間を連続時間Tcoとして計測する構成を採用しているが、この構成に限定されるものではない。この構成に代えて、処理部16が計測処理において、電圧信号Vd1,Vd2および符号特定用信号Sfのうちの1つの信号における高電圧および低電圧のうちの一方の電圧であって、各プローブPLa,PLbが正しい接続状態のときのロジック信号Saのドミナントの期間に対応する期間での電圧(この例では、電圧信号Vd1については高電圧、電圧信号Vd2および符号特定用信号Sfについては低電圧)が連続する時間を連続時間Tcoとして計測する構成を採用することもできる。
この構成を採用したときには、処理部16は、判別処理では、連続時間Tcoと閾値時間Tthとを比較して、連続時間Tcoが閾値時間Tthを上回るときには、測定した連続時間Tcoはレセッシブの状態が連続する時間である。このことから、上記の1つの信号の位相は正しい位相に対して反転した状態であることから、処理部16は、各プローブPLa,PLbは上記の誤接続状態であると判別できる。また、処理部16は、判別処理では、連続時間Tcoと閾値時間Tthとを比較して、連続時間Tcoが閾値時間Tth以下のときには、測定した連続時間Tcoはドミナントの状態が連続する時間である。このことから、上記の1つの信号の位相は正しい位相と同じ状態であることから、処理部16は、各プローブPLa,PLbは上記の正しい接続状態であると判別できる。
また、上記の信号生成装置2Aでは、使用者が、処理部16の判別結果(出力部17を備えた構成では、出力部17に出力された判別結果)に基づき、各プローブPLa,PLbが誤接続状態であると判定したときには、正しい接続状態となるようにプローブPLa,PLbを手動(手作業)で接続し直す構成を採用しているが、この構成に限定されない。例えば、図5に示す信号生成装置2Bのように、2つの検出部13,14と信号生成部15との間に、検出部13,14から出力される各電圧信号Vd1,Vd2を信号生成部15の一対の入力端子15a,15bに切り替えて入力し得る(信号切替動作を実行し得る)信号切替部18を配置することにより、各プローブPLa,PLbが誤接続状態のとき(つまり、プローブPLaが被覆導線Lbに接続され、かつプローブPLbが被覆導線Laに接続されているとき)であっても、信号切替部18の切替状態を変更することで、信号生成部15から出力される符号特定用信号Sfの位相(ひいては、信号読取システム1から出力される出力信号Soの位相)を、各プローブPLa,PLbが正しい接続状態のときの位相に反転(修正)し得る構成を採用することもできる。以下、この信号生成装置2Bについて詳細に説明する。なお、信号生成装置2Aと同一の構成については同一の符号を付して重複する説明を省略する。
まず、信号生成装置2Bの構成について説明する。信号生成装置2Bは、図5に示すように、入力端子部11,12、第1検出部13、第2検出部14、信号生成部15、処理部16、出力部17および信号切替部18を備え、入力端子部11に接続されたプローブPLa、および入力端子部12に接続されたプローブPLbを介して一対の被覆導線La,Lbに接続される。この信号生成装置2Bでは、2つの検出部13,14の出力端子と信号生成部15の入力端子15a,15bとの間に信号切替部18が配設されている。
信号切替部18は、一例として、2極双投形のスイッチ(c接点構成の2つのスイッチ18a,18bを内蔵するスイッチ)で構成されている。また、スイッチ18aでは、a端子が第1検出部13の出力端子に接続され、b端子が信号生成部15の入力端子15aに接続され、かつc端子が信号生成部15の入力端子15bに接続されている。また、スイッチ18bでは、a端子が第2検出部14の出力端子に接続され、b端子が信号生成部15の入力端子15bに接続され、かつc端子が信号生成部15の入力端子15aに接続されている。また、スイッチ18a,18bは、処理部16から出力される切替信号Scに基づき、図5において実線で示すようにa端子がb端子に接続される第1切替状態(初期の切替状態)と、図5において破線で示すようにa端子がc端子に接続される第2切替状態の任意の一方の切替状態に連動して切り替え可能に構成されている。
この構成により、信号切替部18は、第1検出部13からスイッチ18aに入力される電圧信号Vd1、および第2検出部14からスイッチ18bに入力される電圧信号Vd2を、第1切替状態のときには、電圧信号Vd1については入力端子15aに出力される電圧信号Ve1(以下、理解の容易のため、この電圧自体を電圧Ve1ともいう)として、また電圧信号Vd2については入力端子15bに出力される電圧信号Ve2(以下、理解の容易のため、この電圧自体を電圧Ve2ともいう)として出力する。また、信号切替部18は、第2切替状態のときには、電圧信号Vd1については電圧信号Ve2として、また電圧信号Vd2については電圧信号Ve1として出力する。つまり、信号切替部18は、第1切替状態および第2切替状態のうちの一方の切替状態から他方の切替状態に切り替えられることで、入力される各電圧信号Vd1,Vd2を信号生成部15の各入力端子15a,15bに入れ替えて出力すること、その結果として、後述するように信号生成部15において算出される差分電圧(Ve1-Ve2)の極性(位相)を反転させること(つまり、差分電圧(Ve1-Ve2)として実際に算出される差分電圧を、(Vd1-Vd2)から(Vd2-Vd1)へ変更すること)が可能となっている。
この信号生成装置2Bでは、信号生成部15は、入力端子15aに入力される電圧Ve1から入力端子15bに入力される電圧Ve2を減算することにより、符号特定用信号Sfを生成するための差分電圧(Ve1-Ve2)を算出する。したがって、信号生成部15は、入力端子15aに電圧Ve1として電圧信号Vd1が入力され、かつ入力端子15bに電圧Ve2として電圧信号Vd2が入力されているとき(信号切替部18が第1切替状態のとき)には、差分電圧(Vd1-Vd2)を算出し、この差分電圧(Vd1-Vd2)に基づき符号特定用信号Sfを出力する。一方、信号生成部15は、入力端子15aに電圧Ve1として電圧信号Vd2が入力され、かつ入力端子15bに電圧Ve2として電圧信号Vd1が入力されているとき(信号切替部18が第2切替状態のとき)には、差分電圧(Vd2-Vd1)を算出し、この差分電圧(Vd2-Vd1)に基づき符号特定用信号Sfを出力する。
以上の構成により、信号生成装置2Bでも、上記した信号生成装置2Aと同様にして、信号生成部15は、図5に示すように、プローブPLaが本来接続されるべき被覆導線Laに接続され、かつプローブPLbが本来接続されるべき被覆導線Lbに接続されている正しい接続状態であって、各検出部13,14から出力される各電圧信号Vd1,Vd2のうちの被覆導線Laの電圧Vaに応じて電圧が変化する電圧信号(この場合は、電圧信号Vd1)が電圧Ve1として入力端子15aに入力され、かつ被覆導線Lbの電圧Vbに応じて電圧が変化する電圧信号(この場合は、電圧信号Vd2)が電圧Ve2として入力端子15bに入力されている状態(信号切替部18が第1切替状態のとき)のときには、このときに算出する差分電圧(Ve1-Ve2)(つまり、差分電圧(Vd1-Vd2))に基づき正しい位相状態(図3に示すように、レセッシブの期間に高電圧となり、ドミナントの期間に低電圧となる位相状態)の符号特定用信号Sfを出力する。
一方、信号生成装置2Bでは、信号生成装置2Aとは異なり、信号切替部18を備えている。このため、プローブPLaが本来接続されるべきでない被覆導線Lbに接続され、かつプローブPLbが本来接続されるべきでない被覆導線Laに接続されている誤接続状態であって、各検出部13,14から出力される各電圧信号Vd1,Vd2のうちの被覆導線Lbの電圧Vbに応じて電圧が変化する電圧信号(この場合は、電圧信号Vd1)が電圧Ve1として入力端子15aに入力され、かつ被覆導線Laの電圧Vaに応じて電圧が変化する電圧信号(この場合は、電圧信号Vd2)が電圧Ve2として入力端子15bに入力されている状態(信号切替部18が第1切替状態のとき)であり、これにより信号生成部15が差分電圧(Vd1-Vd2)に基づき誤った位相状態(図3に示す位相に対して位相が反転している位相状態)の符号特定用信号Sfを生成して出力しているときであっても、信号切替部18をこの第1切替状態から第2切替状態に切り替えることで、上記の正しい接続状態のときと同じように、被覆導線Laの電圧Vaに応じて電圧が変化する電圧信号(この場合は、電圧信号Vd2)を電圧Ve1として入力端子15aに入力し、かつ被覆導線Lbの電圧Vbに応じて電圧が変化する電圧信号(この場合は、電圧信号Vd1)を電圧Ve2として入力端子15bに入力させること、つまり、信号生成部15に差分電圧(Vd2-Vd1)に基づき符号特定用信号Sfを生成させることが可能となっている。すなわち、信号生成装置2Bでは、プローブPLa,PLbが誤接続状態のときであっても、正しい接続状態に直すことなく、信号生成部15は、このときに算出する差分電圧(Ve1-Ve2)(つまり、差分電圧(Vd2-Vd1))に基づき正しい位相状態(図3に示すように、レセッシブの期間に高電圧となり、ドミナントの期間に低電圧となる位相状態)の符号特定用信号Sfを出力することが可能となっている。
また、この信号生成装置2Bでは、処理部16は、信号生成装置2Aでの上記した各処理(計測処理、判別処理および出力処理)に加えて、信号切替部18に対する切替処理を実行する。この切替処理として、処理部16は、初期状態において、信号切替部18に対して第1切替状態に移行させる切替信号Scを出力する。また、処理部16は、判別処理において各プローブPLa,PLbが誤接続状態であると判別したときに、信号切替部18に対して第1切替状態から第2切替状態に移行させる切替信号Scを出力する。
また、この信号生成装置2Bでは、処理部16は、計測処理において、電圧信号Ve1(電圧信号Vd1,Vd2のうちの一方の電圧信号)、電圧信号Ve2(電圧信号Vd1,Vd2のうちの他方の電圧信号)、および符号特定用信号Sfのうちの1つの信号(図5の例では、一例として実線で示すように電圧信号Ve2)についての一方の電圧(高電圧または低電圧)の連続時間Tcoを計測する。
具体的には、各プローブPLa,PLbが正しい接続状態で、かつ信号切替部18が第1切替状態のときには、被覆導線Lbの電圧Vbに応じて電圧が変化する電圧信号Vd2が電圧信号Ve2として出力される。このため、処理部16は、この電圧信号Ve2が上記の1つの信号のときにおいて、信号生成装置2Aと同様にして、ロジック信号Saのレセッシブの期間に対応する期間での電圧が連続する時間を連続時間Tcoとして計測するときには、電圧信号Ve2の高電圧が連続する時間を計測し、ロジック信号Saのドミナントの期間に対応する期間での電圧が連続する時間を連続時間Tcoとして計測するときには、電圧信号Ve2の低電圧が連続する時間を計測する。
また、各プローブPLa,PLbが正しい接続状態で、かつ信号切替部18が第1切替状態のときには、被覆導線Laの電圧Vaに応じて電圧が変化する電圧信号Vd1が電圧信号Ve1として出力される。このため、処理部16は、この電圧信号Ve1が上記の1つの信号のときにおいて、信号生成装置2Aと同様にして、ロジック信号Saのレセッシブの期間に対応する期間での電圧が連続する時間を連続時間Tcoとして計測するときには、電圧信号Ve1の低電圧が連続する時間を計測し、ロジック信号Saのドミナントの期間に対応する期間での電圧が連続する時間を連続時間Tcoとして計測するときには、電圧信号Ve1の高電圧が連続する時間を計測する。
また、各プローブPLa,PLbが正しい接続状態で、かつ信号切替部18が第1切替状態のときには、信号生成部15は、図3に示す位相状態で符号特定用信号Sfを出力する。このため、処理部16は、この符号特定用信号Sfが上記の1つの信号のときにおいて、信号生成装置2Aと同様にして、ロジック信号Saのレセッシブの期間に対応する期間での電圧が連続する時間を連続時間Tcoとして計測するときには、符号特定用信号Sfの高電圧が連続する時間を計測し、ロジック信号Saのドミナントの期間に対応する期間での電圧が連続する時間を連続時間Tcoとして計測するときには、符号特定用信号Sfの低電圧が連続する時間を計測する。
以上の構成により、信号生成装置2Bにおいても、処理部16が、計測処理を実行して、連続時間Tcoを計測し、判別処理を実行して、計測した連続時間Tcoと閾値時間Tthとを比較することにより、プローブPLa,PLbが正しい接続状態であるか、誤接続状態であるかを判別することができる。また、処理部16は、この判別の結果を出力部17に出力させることができる。
さらに、この信号生成装置2Bでは、信号切替部18を備えると共に、処理部16が、判別処理において、プローブPLa,PLbが誤接続状態であると判別したときに、切替処理を実行して、信号切替部18の切替状態を、初期の第1切替状態から第2切替状態に切り替える。したがって、この信号生成装置2Bによれば、プローブPLa,PLbが誤接続状態のままでも(使用者が手動(手作業)でプローブPLa,PLbを正しい接続状態に接続し直すことなく)、各検出部13,14から出力される各電圧信号Vd1,Vd2のうちの被覆導線Laの電圧Vaに応じて電圧が変化する電圧信号(この場合は、電圧信号Vd2)を電圧Ve1として信号生成部15の入力端子15aに入力させ、かつ被覆導線Lbの電圧Vbに応じて電圧が変化する電圧信号(この場合は、電圧信号Vd1)を電圧Ve2として信号生成部15の入力端子15bに入力させることができる。これにより、信号生成部15が、算出する差分電圧(Ve1-Ve2)(つまり、差分電圧(Vd2-Vd1))に基づき正しい位相状態(図3に示すように、レセッシブの期間に高電圧となり、ドミナントの期間に低電圧となる位相状態)の符号特定用信号Sfを出力することができる。
なお、この信号生成装置2Bは、各プローブPLa,PLbが誤接続状態のままであっても、処理部16が上記の切替処理を実行することにより、正しい符号特定用信号Sfを生成し得る状態に自動的に移行できることから、誤接続状態を使用者に報知するために出力部17を発光状態に移行させる処理の実行、および出力部17を省く構成を採用することもできる。
なお、上記の信号生成装置2Bでは、処理部16が判別結果に基づいて信号切替部18に対する切替処理を実行すること(つまり、自動切替を行うこと)により、手作業による各プローブPLa,PLbの接続修正作業を完全に不要にし得る構成を採用しているが、これに限定されるものではない。図示はしないが、例えば、使用者が手動で操作する操作スイッチ(切替スイッチ)を信号生成装置2Bに設けて、信号切替部18がこの操作スイッチの切替状態に対応して、接続状態を切り替える構成(つまり、手動切替の構成)を採用することもできる。この構成を採用した信号生成装置2Bにおいても、使用者が、出力部17に出力される判別結果に応じて操作スイッチを操作するだけで、手作業による各プローブPLa,PLbの接続修正作業を完全に不要にしつつ、正しい符号特定用信号Sfを生成して出力することができる。
また、上記の信号読取システム1では、信号生成装置2A,2Bが、図3に示すように、ロジック信号Saのレセッシブの期間では高電圧となり、ロジック信号Saのドミナントの期間では低電圧となる位相の符号特定用信号Sfを、正しい符号特定用信号Sfとして出力する構成を採用しているが、この構成に限定されるものではない。例えば、図示はしないが、ロジック信号Saのレセッシブの期間では低電圧となり、ロジック信号Saのドミナントの期間では高電圧となる位相の符号特定用信号Sf(上記の符号特定用信号Sfとは位相の反転した信号)を、正しい符号特定用信号Sfとして出力する構成を採用することもできる。この構成では、信号変換装置3は、この符号特定用信号Sfの論理に対応させて、低電圧の期間ではレセッシブとなり、高電圧の期間ではドミナントとなるロジック信号を生成して、出力信号Soとして出力するように構成される。
また、上記の信号生成装置2A,2Bは、いずれも、上記した構成(先端部側(自由端部側)に電極部21a,21bが配設された構成)の各プローブPLa,PLbを介して、CANバスSBを構成する被覆導線La,Lbに接続される構成である。このため、このプローブPLa,PLbを備えた信号生成装置2A,2B、およびこれらのうちのいずれかを備えた信号読取システム1では、各電極部21a,21bが一体的に形成されている構成のプローブを備えた構成とは異なり、図6に示すように、電極部21a,21bをCANバスSBにおける長手方向(長さ方向)Wに沿って離間する任意の2つの位置(同図に示すように、電極部21aは、一般的に互いにツイストされている(撚り合わされている)被覆導線La,Lbのうちの被覆導線Laの第1の位置P1に、電極部21bはCANバスSBを構成する被覆導線Lbの第2の位置P2)に装着して使用することができる。このため、図示はしないが、各電極部21a,21bが一体的に形成されていて、CANバスSBにおける長手方向Wに沿った同じ位置に取り付ける構成(ツイストされている被覆導線La,Lbをこの位置において解いて、電極部21a,21bを取付可能な距離だけ離す作業と、電極部21a,21bをこの位置における対応する被覆導線La,Lbに同時に取り付ける作業とを行う必要がある構成)のプローブを備えた構成とは異なり、各電極部21a,21bを、それぞれが取り付け易い各位置P1,P2においてツイストされている被覆導線La,Lbを解いて取り付けることができる。また、各電極部21a,21bをCANバスSBにおける長手方向Wに沿った別の位置P1,P2に取り付ける構成のため、ツイストされている被覆導線La,Lbを各位置P1,P2において解く量を少なくすることができる。したがって、信号読取システム1によれば、各電極部21a,21bのCANバスSBへの装着を確実に行えると共に、装着に要する時間の短縮も図ること(装着性を高めること)ができる。
また、各プローブPLa,PLbを共通の1つのコネクタを介して信号生成装置2A,2Bに接続するようにし、かつ各プローブPLa,PLbにおける各基端部側の部位(例えば図6に示す部位X)を、電極部21a,21b側の部位をある程度露出させた状態のままで熱収縮チューブなどで一本化する(まとめる)ようにしてもよい。また、図6の信号読取システム1では、各プローブPLa,PLbの基端部側をそれぞれ信号生成装置2A,2Bに接続する構成を採用しているが、この構成に限定されるものではない。
例えば、図7に示す信号読取システム1のように、2芯シールド線CBを介して信号生成装置2A,2Bに接続された接続ボックスなどの接続部51に、各プローブPLa,PLbの基端部側をそれぞれ接続する構成を採用することもできる。この構成では、2芯シールド線CBは、基端部側が不図示のコネクタを介して信号生成装置2A,2Bに接続されると共に、2つの芯線がこのコネクタを介して信号生成装置2A,2B内の各インピーダンス素子13a,14aに接続されると共に、不図示のシールドがコネクタを介して信号生成装置2A,2B内のグランドGに接続されている。また、接続部51は、2芯シールド線CBの自由端側に接続されている。この場合、接続部51内には、2芯シールド線CBに含まれてインピーダンス素子13aに接続される一方の芯線を、対応するプローブPLaを構成するシールドケーブルの芯線に接続し、2芯シールド線CBに含まれてインピーダンス素子14aに接続される他方の芯線を、対応するプローブPLbを構成するシールドケーブルの芯線に接続し、かつ2芯シールド線CBのシールドを、各プローブPLa,PLbを構成する各シールドケーブルのシールドに接続する不図示の接続回路が内蔵されている。
この図7に示す信号読取システム1においても、別体に形成された一対のプローブPLa,PLbの自由端側に各電極部21a,21bが配置されている構成のため、上記した図6に示す信号読取システム1と同等の効果を奏することができる。
また、上記の各信号読取システム1では、信号生成装置2A,2Bが、被覆導線La,Lbの金属部(芯線)と容量結合する電極部21a,21bを有するプローブPLa,PLbを介して被覆導線La,Lbに接続されると共に、被覆導線La,Lbに伝送されている電圧信号Va,Vbの電圧Va,Vbに応じて電圧が変化する各電圧信号Vc1,Vc2を生成し、この電圧信号Vc1,Vc2に基づいて、電圧信号Va,Vbに対応する符号Csを特定可能な符号特定用信号Sfを生成する構成(すなわち、電圧検出プローブとして機能する上記の各プローブPLa,PLbを使用する構成)を採用しているが、この構成に限定されるものではない。
例えば、各プローブPLa,PLbに代えて、図8に示すように、一対の電流検出プローブPLc,PLd(被覆導線La,Lbを切断することなく、被覆導線La,Lbに装着し得るクランプ式の電流検出プローブが好ましい)を信号生成装置2A,2Bに接続して、符号特定用信号Sfを生成する構成を採用することもできる。公知となっている様々な電流検出プローブをこの電流検出プローブPLc,PLdとして使用することができるが、以下では、一例として、本願出願人が既に提案している特開2006-343109号公報に開示されている電流検出プローブを使用する例を挙げて説明する。また、プローブPLa,PLbを備えた上記の信号読取システム1とは、電流検出プローブPLc,PLdを備えた構成以外の構成は同一のため、説明を省略するものとする。
この電流検出プローブPLc,PLdは、図8に示すように、略円形に形成されると共に先端が開閉自在に構成されたクランプ部61と、クランプ部61の内部に配設されて鉄心などの磁気コアに巻線を巻き付けたコイルで構成された電流センサ(図示せず)とを備えて、同一に構成されている。この電流センサは、各クランプ部61で対応する被覆導線(電流検出プローブPLcでは被覆導線La、電流検出プローブPLdでは被覆導線Lb)を挟み込んだ状態(クランプした状態)において、対応する被覆導線を流れている電流(被覆導線Laを流れている電流Iaと、被覆導線Lbを流れている電流Ib)を検出してその電流値に振幅が比例する電流対応信号Vi(電流Iaについての電流対応信号Viaと、電流Ibについての電流対応信号Vib)を検出信号として信号生成装置2A,2Bに出力する。なお、この電流検出プローブPLc,PLdは、上記した構成により、AC電流検出プローブ(交流電流検出プローブ)として構成されているが、電流検出プローブPLc,PLdとして交流電流だけでなく直流電流についても測定し得るDC電流検出プローブ(直流電流検出プローブ)を採用してもよいのは勿論である。
被覆導線Laを流れている電流Iaは、被覆導線Laに伝送される電圧信号Vaの電圧Vaに応じてその電流値が変化することから、電流対応信号Viaは電圧信号Vaの電圧Vaに応じてその電圧値が変化する。また、被覆導線Lbを流れている電流Ibは、被覆導線Lbに伝送される電圧信号Vbの電圧Vbに応じてその電流値が変化することから、電流対応信号Vibは電圧信号Vbの電圧Vbに応じてその電圧値が変化する。したがって、信号生成装置2A,2Bでは、電流検出プローブPLc,PLdが接続されている構成においても、プローブPLaおよびプローブPLbが接続されている上記の構成と同様にして、第1検出部13が第1電圧信号Vd1を出力し、第2検出部14が第2電圧信号Vd2を出力し、信号生成部15が各電圧信号Vd1,Vd2の差分電圧((Vd1-Vd2)または(Vd2-Vd1))に基づいて符号特定用信号Sfを生成して出力することができる。
したがって、図8に示す構成(電流検出プローブPLc,PLdを備えた構成)の信号生成装置2A、およびこの信号生成装置2Aを備えた信号読取システム1によれば、各プローブPLa,PLbを備えた上記の構成と同様にして、処理部16は、上記の計測処理および判別処理を実行して、電流検出プローブPLc,PLdが誤接続状態で接続されているか否かを判別すると共に、出力処理を実行してこの判別結果を出力することができる。このため、使用者は、処理部16から出力される判別結果に基づき(上記の例では、この判別結果に応じて発光状態または非発光状態になる出力部17を確認することにより)、各電流検出プローブPLc,PLdが被覆導線La,Lbに正しい接続状態で接続されているか、誤接続状態で接続されているかを確実に判定(認識)することができ、誤接続状態のときには、電流検出プローブPLc,PLdを入れ替えて被覆導線La,Lbに接続することで、電流検出プローブPLc,PLdを被覆導線La,Lbに正しい接続状態で確実に接続することができる。
また、図8に示す構成(電流検出プローブPLc,PLdを備えた構成)の信号生成装置2B、およびこの信号生成装置2Bを備えた信号読取システム1では、各プローブPLa,PLbを備えた上記の構成と同様にして、処理部16は、上記の計測処理および判別処理を実行して、電流検出プローブPLc,PLdが誤接続状態で接続されているか否かを判別すると共に、誤接続状態で接続されていると判別したときには、切替処理を実行して、信号切替部18の切替状態を、初期の第1切替状態から第2切替状態に切り替える。したがって、この信号生成装置2Bおよびこの信号読取システム1によれば、プローブPLc,PLdが誤接続状態のままでも(使用者が手動(手作業)でプローブPLc,PLdを正しい接続状態に接続し直すことなく)、正しい位相状態(図3に示すように、レセッシブの期間に高電圧となり、ドミナントの期間に低電圧となる位相状態)の符号特定用信号Sfを出力することができる。
また、電流検出プローブPLc,PLdを備えた信号生成装置2A,2B、およびこれらのうちのいずれかの信号生成装置を備えた信号読取システム1においても、プローブPLaおよびプローブPLbを備えた構成と同様にして、電流検出プローブPLc,PLdの各クランプ部61をCANバスSBにおける長手方向Wに沿って離間する任意の2つの位置(図8に示すように、電流検出プローブPLcのクランプ部61は、ツイストされている(撚り合わされている)被覆導線La,Lbのうちの被覆導線Laの第1の位置P1に、電流検出プローブPLdのクランプ部61は、CANバスSBを構成する被覆導線Lbの第2の位置P2)に装着して使用することができる。このため、プローブPLaおよびプローブPLbを備えた構成と同様の効果を奏することができる。