JP7265028B2 - カーボンナノチューブ水分散液の製造方法 - Google Patents
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Description
カーボンナノチューブと、カルボキシメチルセルロースナトリウムと、水と、を混合して混合液を作製する工程と、
水中対向衝突法によって、前記混合液に含まれる前記カーボンナノチューブを分散させる工程と、
を含み、
前記混合液において、前記カーボンナノチューブの質量に対する前記カルボキシメチルセルロースナトリウムの質量の比は、1/7以上である。
前記比は、1/6以上であってもよい。
前記比は、9以下であってもよい。
前記水中対向衝突法では、50μm以上200μm以下の径を有するノズル孔から、150MPa以上250MPa以下の圧力で前記混合液を吐出させ、前記混合液同士を衝突させてもよい。
前記水中対向衝突法は、湿式微粒化装置を用いて行われてもよい。
前記湿式微粒化装置における前記混合液のPass回数は、2回以上10回以下であってもよい。
前記混合液を作製する工程では、さらに増粘剤を混合して前記混合液を作製してもよい。
前記混合液を作製する工程では、分散剤として前記カルボキシメチルセルロースナトリウムのみを用いてもよい。
まず、本実施形態に係るカーボンナノチューブ水分散液の製造方法について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係るカーボンナノチューブ水分散液の製造方法を説明するためのフローチャートである。
1.1.1. カーボンナノチューブ(CNT)
混合液作製工程で用いられるCNTとしては、炭素によって作られる1枚の六員環ネットワーク(グラフェン・シート)が円筒状に巻かれた単層カーボンナノチューブ(SWNT:single-walled carbon nanotube)、複数のグラフェン・シートが同心円状に巻かれ
た多層カーボンナノチューブ(MWNT:multi-walled carbon nanotube)が挙げられる。混合液作製工程では、SWNTおよびMWNTのうち一方のみを用いてもよいし、両方を用いてもよいが、CNTの分散性を考慮すると、CNTとしてMWNTのみを用いることが好ましい。
混合液作製工程では、分散剤としてCMCを用いる。ここで、「分散剤」とは、CNTを水に分散させて、CNTの凝集・沈降防止に寄与する添加剤のことをいう。
混合液作製工程では、溶媒として水を用いる。水としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、および蒸留水等の純水、ならびに超純水のようなイオン性不純物を極力除去したものが挙げられる。溶媒として水を用いることにより、溶媒として有機溶媒を用いる場合に比べて、環境にやさしい混合液を作製することができる。混合液作製工程では、CNT、CMC、および水のみを混合して混合液を作製してもよい。すなわち、混合液は、CNT、CMC、および水のみを含んでいてもよい。
混合液作製工程では、さらに増粘剤を混合して混合液を作製してもよい。すなわち、混合液は、CNTと、CMCと、水と、増粘剤と、を含んでいてもよい。混合液が増粘剤を含むことにより、CNT水分散液の粘度を調整することができる。これにより、本実施形態に係るCNT水分散液を用いて、電磁波シールドシートを容易に製造することができる。電磁波シールドシートは、例えば、ロールコーターを用い、CNT水分散液をローラーに付着させ、該ローラーによってCNT水分散液を、紙などの基材に転写させる方法により製造される。CNT水分散液の粘度が低いと、CNT水分散液をローラーに付着させることが困難となる。したがって、混合液に増粘剤を添加させることにより、CNT水分散液のローラーに対する付着性を向上させ、電磁波シールドシートを容易に製造することができる。
混合液作製工程で作製される混合液は、必要に応じて、さらに、保存剤、pH調整剤などの各種添加剤を含んでいてもよい。
CNT分散工程では、水中対向衝突法によって、混合液に含まれるCNTを分散させる。水中対向衝突法によって混合液に含まれるCNTを分散させることにより、混合液が分散剤としてCMCしか含んでいなくても、分散性良くCNTを分散させることができる。これにより、分散性の良いCNT水分散液を製造することができる。
次に、本実施形態に係る電磁波シールドシートについて、説明する。上述の「1. CNT水分散液の製造方法」で製造されたCNT水分散液を乾燥させることにより、CNT水分散液の水分を蒸発させて、電磁波シールドシートを製造することができる。CNT水分散液を乾燥させる方法は、特に限定されず、熱プレートやヒーターなどによって乾燥させてもよいし、自然乾燥であってもよい。
以下に実験例を示し、本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実験例によって何ら限定されるものではない。
3.1.1. CNT水分散液の作製
(1)CNT水分散液1~10
CNTと、CMCと、水と、を混合して混合液を作製した。CNTは、KUMHO PETROCHEMICAL社製の「K-Nanos-100P」を用いた。当該CNTは、MWNT、直径8nm~15nm、繊維長27μm(バンドル)、BET比表面積220m2/gである。CMCは、第一工業製薬株式会社製の「セロゲン5A」を用いた。当該CMCは、分子量11000~15000、エーテル化度0.7である。混合液のCNT含有量とCMC含有量との合計を、5質量%とした。CNTの質量に対するCMCの質量の比を1/9~9(CNT:CMC=1:9~9:1)と振った。分散剤としてはCMCのみを用いた。増粘剤等の添加剤は、添加しなかった。
混合液を作製する際に、CMCを混入しなかったこと以外は、上述した分散液1と同様にして、分散液11を作製した。
混合液に対して水中対向衝突法を行わなかったこと以外は、上述した分散液4と同様にして、分散液12を作製した。
上記のように作製した分散液1~12を直径8.5cmのシャーレに入れて、50℃で12時間乾燥させて水分を蒸発させた。そして、乾燥物の成膜性を観察することにより、CNTの分散性を評価した。CNTの分散性が良いほど、均一性の良い膜が形成される。具体的な評価基準は、以下のとおりである。
B:シャーレ全面に膜が形成されたが、クラックが発生した。
C:膜が形成されなかった。
図2に、分散液1~12の分散性の評価結果を示す。また、図3は、分散液1~12をシャーレに入れて50℃で12時間乾燥させた後の状態を示す写真である。
3.2.1. 塗工紙および乾燥フィルムの作製
上述した分散液1~10を、ロールコーターによって紙(北越コーポレーション株式会社製の「ミューコートネオス」(登録商標)、坪量157g/m2)に塗工させた後、120℃で3分間乾燥させて水分を蒸発させ、塗工紙を作製した。すなわち、「塗工紙」は、紙に、CNTを含むCNT含有シートが塗工されたものである。
同軸管法において、「S21」を測定することにより、電磁波シールド性を評価した。った。「S21」は透過損失に相当し、「S21」の絶対値が大きいほど、電磁波シールド性が高い。試験機としては、ROHDE&SCHWARZ社製のネットワークアナライザー「ZVA67」、およびKEYCOM社製のシールド効果測定キット「S-39D」と「S-GPC7」を用いた。測定周波数を、45MHz~3GHzと、500MHz~18GHzと、で分けて行った。
(1)CNTとCMCとの比率を変えたときの評価結果
上記のように作製した塗工紙および乾燥フィルムの電磁波シールド性を評価した。図4は、塗工紙および乾燥フィルムの電磁波シールド性の評価結果を示す表である。図5~図8は、周波数に対する「S21」を示すグラフであり、図4に示す「S21」は、図5~図8から300MHzおよび7GHzの値を抜き出したものである。図9は、図4に示す「CNT含有率」に対して「S21」をプロットしたグラフである。
上述した分散液4(CNT:CMC=1:1)について、湿式微粒化装置による混合液の処理時間を変えることにより、Pass回数を変え、上述した「(1)CNTとCMCとの比率を変えたときの評価」と同様に、塗工紙を作製した。そして、塗工紙の電磁波シールド性を評価した。なお、湿式微粒化装置による混合液の処理時間0.5分が、Pass回数1回に相当するように混合液の量を調整した。さらに、上述した分散液12(湿式微粒化装置による処理を行っていない分散液)から塗工紙を作製し、同様に評価した。塗工紙は、乾燥フィルムに比べて、CNT含有シートを薄くできるため、分散性の悪い分散液12でも、評価することができた。
上述した分散液4(CNT:CMC=1:1)について、上述した「(1)CNTとCMCとの比率を変えたときの評価」と同様に、塗工紙および乾燥フィルムを作製した。CNTおよびCMCの量を変えることにより、塗工紙および乾燥フィルムの厚さを変えた。そして、塗工紙および乾燥フィルムの電磁波シールド性を評価した。
以上の電磁波シールド性の評価は同軸管法で行ったが、本評価ではマイクロストリップライン法によって評価を行った。上述した「(3)厚さを変えたときの評価」と同様に、分散液4から塗工紙(CNT含有層の厚さ0.34μmおよび4.5μm)を作製した。そして、塗工紙の電磁波シールド性を評価した。さらに、参考例として、CNTを含まない紙(北越コーポレーション株式会社製の「ミューコートネオス」、坪量157g/m2)、およびアルミ箔(厚さ6.5μm)の電磁波シールド性を評価した。
Claims (9)
- カーボンナノチューブと、カルボキシメチルセルロースナトリウムと、水と、を混合して混合液を作製する工程と、
水中対向衝突法によって、前記混合液に含まれる前記カーボンナノチューブを分散させる工程と、
を含み、
前記混合液において、前記カーボンナノチューブの質量に対する前記カルボキシメチルセルロースナトリウムの質量の比は、1/7以上であり、
前記カルボキシメチルセルロースナトリウムの分子量は、5000以上100000以下である、カーボンナノチューブ水分散液の製造方法。 - 前記比は、1/6以上である、請求項1に記載のカーボンナノチューブ水分散液の製造方法。
- 前記比は、9以下である、請求項1または2に記載のカーボンナノチューブ水分散液の製造方法。
- 前記水中対向衝突法では、50μm以上200μm以下の径を有するノズル孔から、150MPa以上250MPa以下の圧力で前記混合液を吐出させ、前記混合液同士を衝突させる、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ水分散液の製造方法。
- 前記水中対向衝突法は、湿式微粒化装置を用いて行われる、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ水分散液の製造方法。
- 前記湿式微粒化装置における前記混合液のPass回数は、2回以上10回以下である、請求項5に記載のカーボンナノチューブ水分散液の製造方法。
- 前記混合液を作製する工程では、さらに増粘剤を混合して前記混合液を作製する、請求項1ないし6のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ水分散液の製造方法。
- 前記混合液を作製する工程では、分散剤として前記カルボキシメチルセルロースナトリウムのみを用いる、請求項1ないし7のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ水分散液の製造方法。
- 前記カーボンナノチューブのBET比表面積は、50m 2 /g以上500m 2 /g以下である、請求項1ないし8のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ水分散液の製造方法。
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