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JP7259439B2 - 水質測定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、pH計、伝導率計などの水質センサと、この水質センサを用いた水質測定装置に関するものである。
排水処理における排水性状を安定して連続計測するためには、設置したセンサ類の計測部に排水中の汚染物質が与える影響を軽減することが大きな課題の一つである。特に、光を使うものであれば、発光部・受光部の表面を光学的に清澄に保つことが重要である。pH計のように電気化学反応を用いるものであれば、反応部であるガラス管表面へのSS(suspended solid)成分の付着を減らすことが重要となる。
特許文献1には、pH計が設置された槽内を浄水で洗浄した後、pH計を酸やアルカリなどの薬液で洗浄する方法が記載されている。しかし、この方法では、薬液をリザーブしておく必要があり、メンテナンス性に難がある。また、pH計にSS等が多量に付着した場合には、薬液洗浄だけでは十分に除去できない場合もある。
電気化学的な計測装置であるpH計や伝導率計においては、幾つかの計測器メーカーから、洗浄水を計測部に直接吹き付ける機構を備えたものが販売されている。しかし、実際の排水処理現場においては、前記機構では十分な効果が得られない場合がある。特にpH計の場合は、計測値に従って酸性や塩基性の薬品を投入するため、計測値が異常となれば、薬品を過剰に投与することとなるため、高い信頼性が求められる。そのため、前記のような十分な洗浄効果が得られない現場においては、メンテナンス負荷が高まり、運用者に過剰な労力を招くこととなったり、信頼性が得られずに、直接担当者が定期的に現場でセンサを用いて計測を行うというような事態が発生している。
特開平7-222998号公報
本発明は、機構が簡単で高い測定精度を得ることができる水質センサと、この水質センサを用いた水質測定装置を提供することを目的とする。
本発明の水質センサは、測定対象水と接するセンサ本体を有する水質センサにおいて、該センサ本体を囲んでおり、該センサ本体との間にスペースを形成するカバーと、該スペースをカバー外に連通するように該カバーに設けられた開口と、該スペースに清水を供給する清水供給部とを備える。
本発明の水質センサの一態様では、前記センサ本体はロッド状であり、その先端側に検出部が設けられており、前記カバーは筒状であり、前記センサ本体の先端側に位置するカバー先端側に前記開口が設けられ、カバー基端側に前記清水供給部が設けられている。
本発明の水質測定装置は、本発明の水質センサと、該水質センサの前記清水供給部に接続された清水供給配管と、該清水供給配管に設けられた弁と、該弁の開閉を制御する制御手段とを備えてなる。
本発明の水質測定装置の一態様では、前記制御手段は、定期的に前記弁を閉弁させ、この閉弁から所定時間が経過したとき、又はセンサ出力の変化速度が所定値よりも小さくなったときに前記弁を開弁させるように構成されている。
本発明の水質測定装置の一態様では、前記弁の閉弁から所定時間が経過したとき、又はセンサ出力の変化速度が所定値よりも小さくなったときのセンサ検出値を次回の計測時までセンサ検出値として出力する手段を備える。
本発明によると、非測定時にはセンサ本体の周囲環境を清水としておくことができる。このため、センサ本体にスライム等が付着することが防止され、精度の高い水質測定値を得ることができる。
すなわち、本発明の水質センサ及び水質測定装置では、非測定時にはセンサ本体とカバーとの間のスペースに清水を常時供給することにより、スペース内に汚泥が溜ったりセンサ本体にスライム等が付着することが防止される。
本発明の水質センサ及び水質測定装置では、水質測定時には、該スペースへの清水の供給を停止する。そうすると、流路又は容器内の測定対象水がカバーの開口を通ってスペース内に拡散してくるので、スペース内の水質が徐々に流路又は容器内の測定対象水と同質となってくる。そこで、このスペース内の水の水質を測定することにより、流路又は容器内の測定対象水の水質が測定される。測定終了後は、スペース内に再度清水を供給する。これにより、スペース内が清水となり、スペース内での汚泥堆積やスライム等の付着が防止される。
本発明では、測定時におけるセンサの水質測定値の変化率が小さくなったときの計測値、又はスペースへの清水供給停止から所定時間経過したときの計測値を、次回計測まで計測値として出力してもよい。
実施の形態に係る水質測定装置の断面図である。 実施の形態に係る水質測定装置の作動を説明するタイミングチャートである。
以下、図1,2を参照して実施の形態について説明する。
pH計又は電気伝導率計よりなるセンサ1は、図1の通り、検水と接するロッド状のセンサ本体(この実施の形態ではプローブ)1aと、該センサ本体1aを囲む筒形状のカバー1bとを有している。カバー1bとセンサ本体1aとの間にはスペースSが存在する。カバー1bの基端側は、センサ本体1aよりも大径のセンサベース1cに水密的に固着されている。
カバー1bの先端面と対峙するようにして開口2が設けられている。開口2の開口径は、カバー1bの内径よりも小さい。カバー1bの基端側には、スペースS内に清水を供給するための清水供給部としてノズル3が設けられている。ノズル3の後端は、カバー1b外に突出しており、該後端に清水供給配管4が接続されている。該清水供給配管4は、合成樹脂等の硬質パイプであってもよく、軟質チューブであってもよい。
清水供給配管4の途中に電磁弁5が設けられている。この電磁弁5は、演算制御器6によって制御される。
センサ1の計測信号は、演算制御器6に入力される。演算制御器6は、計測信号の経時的な変化率を演算する演算部と、計測出力データを保持する出力保持回路と、電磁弁5の開閉を制御する電磁弁制御部(図示略)等を備えている。演算制御器6は、マイクロプロセッサを備えており、プログラムに従って後述の一連の動作を行う。
このセンサ1は、通常のpH計、伝導率計と同様に、センサ本体1aが槽内や配管内等の測定対象水と接するように設置されて使用される。
なお、清水としては、水道水、蒸留水、脱イオン水、純水、超純水などが用いられるが、これに限定されない。
このセンサ1を備えた水質測定装置において、演算制御器6は、定期的に電磁弁5を閉として計測工程を行い、この閉時点後の所定の時期に電磁弁5を開として洗浄工程を行う。
電磁弁5が開となっているときには、ノズル3からスペースSに清水が連続的に供給される。ノズル3からスペースSに供給された清水は、開口2から流出する。これにより、スペースS内に残存していた測定対象水が排出されると共に、センサ本体1aが清水で洗浄される。また、開口2から清水が連続的に流出することにより、開口2から測定対象水がスペースSに流入することが防止される。
電磁弁5を閉としてノズル3からの清水供給を停止すると、開口2から測定対象水が徐々にスペースS内に流入し、スペースS内の清水が測定対象水と入れ替わる。これにより、センサ本体1aにより計測される計測信号値が上昇する。
図2の通り、計測信号値は、電磁弁5の閉弁当初は比較的急速に変動例えば上昇するが、この上昇は次第に緩慢となってくる。演算制御器6は、計測信号値の上昇速度が所定値よりも小さくなった時点、又はノズル3への清水供給停止から所定時間が経過した時点(後述のt又はt’)の計測信号値を計測出力値として出力する。
図2を参照して、水質測定の具体例を次に説明する。
予め設定した第N回目計測の開始時刻tになると、電磁弁5を閉とし、スペースSへの清水供給を停止する。そうすると、開口2から測定対象水がスペースS内に徐々に流入し、センサ本体1aの計測信号値が徐々に上昇する。この上昇速度(℃/sec)が所定値以下になるか、又はtから所定時間が経過した時刻tになると、更新信号が出力され、それまで出力保持回路に保持されていた計測出力値Dを時刻tにおける計測信号又はそれに基づく計測出力値Dに更新する。
演算制御器6の出力保持回路は、次回(第N+1回目)の計測までは、計測出力値をDに保持する。更新信号の立ち下り時(時刻t)に電磁弁5を開とし、スペースSへの清水供給を再開する。これに伴い、計測信号は急速に清水対応値にまで低下する。電磁弁5を開とするタイミングは時刻tに限定されるものではなく、t~t間のいずれでもよい。
次の第N+1回目の計測開始時刻t’になると、同様にして電磁弁5が閉となり、計測が行われ、出力保持回路に保持されていた計測出力値Dが時刻t’の計測信号又はそれに基づく計測出力値Dに更新される。この次の第N+2回目の計測まで、センサ1の計測出力値はDに保持される。時刻t’に電磁弁5が再び開とされ、スペースSへの清水供給が再開し、計測信号が急速に清水対応値にまで低下する。
第N+2回目以降の計測も同様に行われる。
通常の市販のpH計又は伝導率計をセンサ本体とした水質測定装置を用いて、pH又は電気伝導率測定を行う場合、センサ本体1aとカバー1bとの間隔は検水中のSSによる閉塞が発生しない大きさとして1~10mm、特に3~5mmであり、開口2の口径(直径)は5~20mm、特に6~10mm程度が好ましい。この水質測定装置によると、1時間に1~20回、特に5~10回程度の頻度で、1回の計測時における測定対象水との接触時間(t-t)を30~300sec、特に60~120sec程度として十分に精度の高い測定を行うことができる。
この場合、センサ本体1aが測定対象水と接触する時間は、最長でも1時間に合計で30~300sec程度であり、センサ本体1aに水中の懸濁物質が付着することが殆どない。また、仮にセンサ本体に若干の汚れが付着しても、洗浄工程においてノズル3から導入される清水によってセンサ本体1aが洗浄されたときに汚れが除去される。
なお、通常は、センサ本体1aの先端部にpH電極等の検出部が位置する。この実施の形態では、カバー1bの先端部に口径の小さい開口2が設けられているので、センサ本体1aの先端近傍での清水流速が大きいものとなり、乱流状態となった清水によりセンサ検出部が十分に洗浄される。
本発明では、洗浄工程の好ましくは末期の水質センサ計測値Qを、予め測定しておいた清水の水質値Qと対比してオフセット値Q-Qを算出し、計測工程での計測値Qを[Q-(Q-Q)]と補正してもよい。
また、本発明では、Q-Qで算出されるオフセット値を監視し、このオフセット値が所定値以上になったときには、警告又は校正要求信号を発生させるようにしてもよい。
本発明の水質センサ及び水質測定装置は、各種排水処理設備や純水製造装置等に好適に用いることができるが、これら以外の用途にも用いることができる。
上記実施の形態は本発明の一例であり、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。本発明は、pHや電気伝導率以外の水質測定にも適用することができる。
1 センサ
1a センサ本体
1b カバー
2 開口
3 ノズル
4 清水供給配管
5 電磁弁
6 演算制御器

Claims (3)

  1. 測定対象水と接するセンサ本体を有する水質センサにおいて、
    該センサ本体を囲んでおり、該センサ本体との間にスペースを形成するカバーと、
    該スペースをカバー外に連通するように該カバーに設けられた開口と、
    該スペースに清水を供給する清水供給部と
    を備えた水質センサと、
    該水質センサの前記清水供給部に接続された清水供給配管と、
    該清水供給配管に設けられた弁と、
    該弁の開閉を制御する制御手段を備え、該水質センサの計測信号が入力される演算制御器と
    を備えてなる水質測定装置であって、
    前記演算制御器は、定期的に前記弁を閉弁させて計測工程を行い、センサ出力の変化速度が所定値よりも小さくなったときに前記弁を開弁させて洗浄工程を行い、かつ、該洗浄工程の末期の水質センサ計測値Q を、予め測定しておいた清水の水質値Q と対比してオフセット値Q -Q を算出し、該計測工程での計測値Qを[Q-(Q -Q )]と補正するように構成されている水質測定装置。
  2. 前記センサ本体はロッド状であり、その先端側に検出部が設けられており、
    前記カバーは筒状であり、
    前記センサ本体の先端側に位置するカバー先端側に前記開口が設けられ、カバー基端側に前記清水供給部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載に水質測定装置。
  3. 前記センサ出力の変化速度が所定値よりも小さくなったときのセンサ検出値を次回の計測時までセンサ検出値として出力する手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の水質測定装置。
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