JP7255978B2 - キッチンペーパーロール及びキッチンペーパー - Google Patents

Description

本発明は、キッチンペーパーロール及びキッチンペーパーに関する。

従来のキッチンペーパーは、ロール状に巻き取られたキッチンペーパーロールの形態で使用されるものがある。近年、生活者のライフスタイルの変化から、収納性やストック性の高い日用品が好まれる傾向があり、キッチンペーパーロールにおいても、キッチンペーパーの巻長さを増大させた長尺仕様の商品が多く展開されている。

例えば、特開２０１７－１１５２６３号公報（特許文献１）には、坪量が１９．０ｇ／ｍ^２以上２５．０ｇ／ｍ^２以下である単一シートを２枚積層したペーパータオルが捲回されたペーパータオルのロール体が開示されている。このペーパータオルのロール体では、ペーパータオルが巻密度０．５０ｍ／ｃｍ^２以上０．８０ｍ／ｃｍ^２以下、巻き硬さ１０ｍｍ未満、巻長２０ｍ以上４０ｍ以下で巻回されている。

特開２０１７－１１５２６３号公報

従来のキッチンペーパーロールでは、キッチンペーパーの巻長さが長くなると巻径が大きくなる。巻径を増やさずにキッチンペーパーの巻長さを長くするには、キッチンペーパーの巻密度を高くしたり、キッチンペーパーの嵩高さを低くする必要がある。しかし、キッチンペーパーの巻密度が高くなると、キッチンペーパーが厚み方向に潰れ易くなる。また、キッチンペーパーの嵩高さが低いと、キッチンペーパー内の空間を確保することができない。そのため、キッチンペーパーの巻長さが長くなると、キッチンペーパーにおいて水分や油分の吸収性能が低下し、またキッチンペーパーが固くなって扱いづらいという問題がある。

本発明の課題は、キッチンペーパーの巻長さが長くなっても、キッチンペーパーの吸収性を維持することができ、かつ柔らかいキッチンペーパーが得られるキッチンペーパーロールを提供することである。

本発明に係る第１の態様は、エンボス領域を有する２枚のシートがネステッド形式で一体化されたキッチンペーパーが捲回されたキッチンペーパーロールであって、前記各シートは、エンボス凸部の密度が０．０７５～０．２個／ｍｍ^２であり、前記キッチンペーパーの巻密度が０．１２～０．２７ｍ／ｃｍ^２であり、前記キッチンペーパーは、最小エンボス面積と最大エンボス面積の比が０．５１以上である、キッチンペーパーロールを提供する。

本明細書において、エンボス領域とは、シートにおいてエンボス加工がなされた領域（エンボス凸部と該エンボス凸部で囲まれた非エンボス凸部のみを有する領域）を示す。エンボス凸部の密度とは、シートの単位面積（ｍｍ^２）あたりのエンボス凸部の個数（個）を示す。巻密度とは、キッチンペーパーの巻長さ（ｍ）をキッチンペーパーロールの径方向の面積（ｃｍ^２）で除した値である。

また、本明細書において、最小エンボス面積とは、キッチンペーパーにおいて単位面積あたりのエンボス凸部の頂部の合計の面積が最小となる部分の面積である。最大エンボス面積とは、キッチンペーパーにおいて単位面積あたりのエンボス凸部の頂部の合計の面積が最大となる部分の面積である。最小エンボス面積と最大エンボス面積の比とは、最大エンボス面積に対する最小エンボス面積の面積比である。

第１の態様では、キッチンペーパーロールを構成するキッチンペーパーが、２枚のシートをネステッド形式で一体化されている。キッチンペーパーは、巻密度が０．１２～０．２７ｍ／ｃｍ^２の範囲となるように捲回されている。そして、キッチンペーパーは、最大エンボス面積に対する最小エンボス面積の面積比が０．５１以上の範囲になっている。

このようなキッチンペーパーロールを構成するように捲回されたキッチンペーパーは、厚み方向に潰れ難く、またキッチンペーパー内の空間を確保することができる。これにより、第１の態様では、キッチンペーパーの巻密度が高くても、キッチンペーパーが厚み方向に潰れ難くなる。また、キッチンペーパーの嵩高さを維持しながら、キッチンペーパーの巻長さを長くすることができる。

そのため、第１の態様によれば、キッチンペーパーの巻長さが長くなっても、キッチンペーパーの吸収性を維持することができる。また、キッチンペーパーの巻長さが長くなっても、柔らかいキッチンペーパーが得られる。

本発明に係る第２の態様は、前記各シートが、前記エンボス領域のみ有する、キッチンペーパーロールを提供する。すなわち、第２の態様に係るキッチンペーパーロールでは、各シートが非エンボス領域を有さない。本明細書において、非エンボス領域とは、シートにおいてエンボス加工がなされていない領域（エンボス凸部および非エンボス凸部のいずれも形成されない領域）を示す。

第２の態様では、キッチンペーパーを構成する各シートが、非エンボス領域を有さないため、キッチンペーパー内に非エンボス領域同士が対向して構成される非エンボス空間（以下、非エンボス空間という）が形成されることはない。

この非エンボス空間は、キッチンペーパー内に吸収した水分や油分（以下、油分等という）を、キッチンペーパー内に保持したり、キッチンペーパー内で分散させることから、キッチンペーパーの吸収性を高めるために設けられることがある。しかし、このような非エンボス空間が、キッチンペーパーロールを構成するキッチンペーパー内に存在すると、キッチンペーパーが捲回されたキッチンペーパーロールの状態で潰れ易いため、キッチンペーパーの吸収性が却って低下する。これに対して、第２の態様では、このような非エンボス空間がキッチンペーパー内に存在しないため、キッチンペーパーロールの状態でもキッチンペーパーの吸収性を維持することができる。

また、キッチンペーパー内に非エンボス空間が存在すると、キッチンペーパーが固くなる傾向があり、キッチンペーパーが折り畳みづらい場合や、曲面や隙間が拭取りづらい場合がある。これに対して、第２の態様では、このような非エンボス空間がキッチンペーパー内に存在しないため、キッチンペーパーロールを構成するキッチンペーパーが柔らかくなり、キッチンペーパーが折り畳み易く、曲面や隙間の拭取りが容易になる。

また、上述のように、キッチンペーパーロールを構成するキッチンペーパーを、最小エンボス面積と最大エンボス面積の比が０．５１以上となるように構成することにより、キッチンペーパーが非エンボス空間を持たないキッチンペーパーロールが得られる。また、キッチンペーパーを構成する各シートに非エンボス領域を形成しなくても、キッチンペーパーの吸収性を維持することができ、しかも柔らかいキッチンペーパーが得られる。

本発明に係る第３の態様は、前記各シートは、前記エンボス領域におけるエンボス凸部の面積率が８～１４％である、キッチンペーパーロールを提供する。本明細書において、エンボス凸部の面積率は、各シートの表面に占めるエンボス領域内のエンボス凸部の頂部の面積の割合である。エンボス凸部の面積率を８～１４％の範囲にすると、キッチンペーパー内に十分な空間が確保され、しかもこの空間は潰れ難いものとなる。そのため、第３の態様によれば、キッチンペーパーの吸収性をより高めることができ、しかもより柔らかいキッチンペーパーが得られる。

本発明に係る第４の態様は、前記キッチンペーパーは、最大厚みと最小厚みとの差が０．０３～０．１１５ｍｍである、キッチンペーパーロールを提供する。最大厚みとは、キッチンペーパーの厚みが最大となる部分の厚みである。最小厚みとは、キッチンペーパーの厚みが最小となる部分の厚みである。最大厚みと最小厚みとの差とは、最大厚みから最小厚みを引いたもの（以下、厚み差という）である。

第４の態様では、キッチンペーパーロールを構成するキッチンペーパーの最大厚みと最小厚みとの差（以下、厚み差という）を０．０３～０．１１５ｍｍの範囲にすると、厚み方向に潰れ難くしながら、嵩高さを高くすることができる。そのため、第４の態様によれば、キッチンペーパーの吸収性をさらに高めることができ、しかもさらに柔らかいキッチンペーパーが得られる。

本発明に係る第５の態様は、前記キッチンペーパーは、５枚重ねたときの厚みが１．９～４．０ｍｍである、キッチンペーパーロールを提供する。キッチンペーパーを５枚重ねたときの厚みとは、キッチンペーパーロールから取出したキッチンペーパーを５枚重ねたときの重ね方向の厚み（ｍｍ）である。

第５の態様では、キッチンペーパーを５枚重ねたときの厚みが１．９～４．０ｍｍの範囲になるように、該キッチンペーパーが捲回されていることで、キッチンペーパーロールを構成するキッチンペーパーにおいて、厚み方向に潰れ難くしながら、嵩高さをさらに高くすることができる。そのため、第５の態様によれば、キッチンペーパーの吸収性をさらに向上させることができ、しかもさらに柔らかいキッチンペーパーが得られる。

本発明に係る第６の態様は、エンボス領域を有する２枚のシートがネステッド形式で一体化され、捲回されてキッチンペーパーロールを構成するキッチンペーパーであって、前記キッチンペーパーロールにおける巻密度が０．１２～０．２７ｍ／ｃｍ^２であり、前記各シートは、最大エンボス密度と最小エンボス密度の差が０．５１以上である、キッチンペーパーを提供する。

第６の態様では、上述した第１の態様に係るキッチンペーパーロールを構成し得るキッチンペーパーが提供されるため、第１の態様に係るキッチンペーパーロールを用いた場合と同様の効果が得られる。すなわち、第６の態様によれば、キッチンペーパーの巻長さが長くなっても、キッチンペーパーの吸収性を維持することができ、しかもさらに柔らかいキッチンペーパーが得られる。

本発明に係る第７態様は、前記各シートが、前記エンボス領域のみ有する、キッチンペーパーを提供する。第７の態様では、上述した第２の態様に係るキッチンペーパーロールを構成し得るキッチンペーパーが提供されるため、第２の態様に係るキッチンペーパーロールを用いた場合と同様の効果が得られる。すなわち、第７の態様によれば、キッチンペーパーを構成する各シートが非エンボス領域を有さないため、キッチンペーパーロールを構成するキッチンペーパーの吸収性を維持または向上させることができ、しかもより柔らかいキッチンペーパーが得られる。

本発明の一態様によれば、キッチンペーパーの巻長さが長くなっても、キッチンペーパーの吸収性を維持することができ、かつ柔らかいキッチンペーパーが得られるキッチンペーパーロールを提供することができる。

本発明の実施形態に係るキッチンペーパーロールを示す図である。 図１の１Ａ線で囲まれた部分の拡大図である。 図２の２Ａ線で囲まれた部分の拡大図である。 図３の３Ａ－３Ａ線断面図である。 吸油試験の測定方法を説明する図である。 従来のキッチンペーパーロール（ティップトゥティップ形式のキッチンペーパー）を示す図である。 （Ａ）は図６の６Ａ線で囲まれた部分の拡大図であり、（Ｂ）は図６の６Ｂ線で囲まれた部分の拡大図である。 （Ａ）は図７（Ａ）の７Ａ－７Ａ線断面図であり、（Ｂ）は図７（Ｂ）の７Ｂ－７Ｂ線断面図である。 従来のキッチンペーパーロール（ネステッド形式のキッチンペーパー）を示す図である。 （Ａ）は図９の９Ａ線で囲まれた部分の拡大図であり、（Ｂ）は図９の９Ｂ線で囲まれた部分の拡大図である。 （Ａ）は図１０（Ａ）の１０Ａ－１０Ａ線断面図であり、（Ｂ）は図１０（Ｂ）の１０Ｂ－１０Ｂ線断面図である。

以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本明細書では、理解を容易にするため、各図における各部材の縮尺は実際とは異なる場合がある。また、以下に示す説明では、各図において共通する部分については、同一の符号を付して説明を省略する場合がある。

図１は、本発明の実施形態に係るキッチンペーパーロールＰＲを示す図である。図２は、図１の１Ａ線で囲まれた部分の拡大図である。図３は、図２の２Ａ線で囲まれた部分の拡大図である。図４は、図３の３Ａ－３Ａ線断面図である。

キッチンペーパーロールＰＲは、キッチンペーパーＫＰが捲回されて構成されている。具体的には、図１に示すように、キッチンペーパーロールＰＲは、分断用のミシン目線が所定の間隔で配置したされた帯状または長尺のキッチンペーパーＫＰが、筒状コアＣＣの周方向に、捲回されている。

キッチンペーパーＫＰは、２枚のシート１０、２０で構成されている。シート１０、２０の材質は、特に限定されないが、キッチンペーパーＫＰに用いられるクレープ紙を用いることができる。クレープ紙は、抄紙工程において抄紙機のドライヤーの出口で、ドクターブレードと呼ばれる刃を当てることにより表面に細かいシワが形成された紙である。

シート１０、２０を構成するクレープ紙には、パルプを主原料とする原紙が用いられる。パルプ組成は、特に限定されないが、例えば、パルプの配合割合を５０質量％以上、好ましくは９０質量％以上、より好ましくは１００質量％とすることができる。

また、クレープ紙におけるパルプ組成は、特に限定されないが、例えば、ＮＢＫＰ（針葉樹クラフトパルプ）やＮＵＫＰ（針葉樹未晒しパルプ）などの針葉樹パルプと、ＬＢＫＰ（広葉樹クラフトパルプ）やＬＵＫＰ（広葉樹未晒しパルプ）などの広葉樹パルプとを適宜の比率で使用することができる。特に、広葉樹パルプに対して針葉樹パルプの比率がより多い組成のパルプ組成であることが好ましい。針葉樹パルプと広葉樹パルプの比は、５０：５０～８０：２０であるのが好ましい。

クレープ紙の坪量は、特に限定されるものではないが、例えば、ＪＩＳ Ｐ ８１２４（１９９８）で測定された坪量（または米坪）を採用することができる。衛生薄葉紙がキッチンペーパー１００（ＫＰ）の場合、衛生薄葉紙を構成するクレープ紙の坪量は、１プライあたり、好ましくは１４．０～５０．０ｇ／ｍ^２であり、より好ましくは１５．０～３５．０ｇ／ｍ^２であり、さらに好ましくは１６．０～２４．０ｇ／ｍ^２である。

また、クレープ紙の紙厚は、特に限定されるものではないが、例えば、ＪＩＳ Ｐ ８１１１（１９９８）の環境下で測定された紙厚を採用することができる。衛生薄葉紙がキッチンペーパー１００（ＫＰ）の場合、クレープ紙の紙厚は、１プライあたり、好ましくは１５０～５００μｍであり、より好ましくは２００～３３０μｍ程度である。

なお、紙厚の測定方法は、試験片をＪＩＳ Ｐ ８１１１（１９９８）の条件下で十分に調湿した後、同条件下でダイヤルシックネスゲージ（厚み測定器）「ＰＥＡＣＯＣＫ Ｇ型」（尾崎製作所製）を用いて２プライの状態で測定する。具体的には、プランジャーと測定台の間にゴミ、チリ等がないことを確認してプランジャーを測定台の上におろし、該ダイヤルシックネスゲージのメモリを移動させてゼロ点を合わせる。次いで、プランジャーを上げて試料を試験台の上におき、プランジャーをゆっくりと下ろしたときのゲージを読み取る。このとき、プランジャーは載せるだけとする。プランジャーの端子は金属製で直径１０ｍｍの円形の平面が紙平面に対し垂直に当たるようにし、この紙厚測定時の荷重は、約７０ｇｆである。なお、紙厚は測定を１０回行って得られる平均値とする。

シート１０のエンボス領域３０は、シート１０においてエンボス加工がなされた領域である。具体的には、エンボス領域３０には、エンボス凸部ＥＣ１とエンボス凸部ＥＣ１に対応するエンボス凹部ＥＤ１とが、シート１０の表裏に複数形成されている（図３、図４参照）。また、エンボス領域３０には、複数の非エンボス凸部ＮＥ１が形成されている。非エンボス凸部ＮＥ１は、複数のエンボス凸部ＥＣ１に囲まれた凸部が形成されない部分を示す（図３、図４参照）。

シート２０のエンボス領域４０は、シート２０においてエンボス加工がなされた領域である。具体的には、エンボス領域４０には、エンボス凸部ＥＣ２とエンボス凸部ＥＣ２に対応するエンボス凹部ＥＤ２とが、シート２０の表裏に複数形成されている（図３、図４参照）。また、エンボス領域４０には、複数の非エンボス凸部ＮＥ２が形成されている。非エンボス凸部ＮＥ２は、複数のエンボス凸部ＥＣ２に囲まれた凸部が形成されない部分を示す（図３、図４参照）。

エンボス凸部ＥＣ１は、公知のスチールラバー式のエンボス付与方法により、図示しない凸エンボスロールをシート１０に押し付けることにより、シート１０の一方の面上に形成される。このとき、エンボス凹部ＥＤ１は、エンボス凸部ＥＣ１に対応してシート１０の他方の面上に形成される。また、シート１０には、エンボス凸部ＥＣ１に囲まれた非エンボス凸部ＮＥ１も同時に形成される（図３、図４参照）。

エンボス凸部ＥＣ２は、公知のスチールラバー式のエンボス付与方法により、図示しない凸エンボスロールをシート２０に押し付けることにより、シート２０の一方の面上に形成される。このとき、エンボス凹部ＥＤ２は、エンボス凸部ＥＣ２に対応してシート２０の他方の面上に形成される。また、シート２０には、エンボス凸部ＥＣ２に囲まれた非エンボス凸部ＮＥ２も同時に形成される（図３、図４参照）。

エンボス凸部ＥＣ１の頂部（またはエンボス凹部ＥＤ１の開口部）の形状は、特に限定されないが、例えば、平面視で円形、三角形、四角形、楕円形等にすることができる。なお、エンボス凸部ＥＣ１の頂部の形状としては、エンボス凸部の強度を高める観点から、円形を採用するのが好ましい（図３参照）。また、エンボス凸部ＥＣ１（またはエンボス凹部ＥＤ１）の側面は、エンボス凹部ＥＤ１の底部から開口部に向かって図示しないテーパで形成してもよい。

エンボス凸部ＥＣ２の頂部（またはエンボス凹部ＥＤ２の開口部）の形状は、特に限定されないが、例えば、平面視で円形、三角形、四角形、楕円形等にすることができる。なお、エンボス凸部ＥＣ２の頂部の形状としては、エンボス凸部の強度を高める観点から、円形を採用するのが好ましい（図３参照）。また、エンボス凸部ＥＣ２（またはエンボス凹部ＥＤ２）の側面は、エンボス凹部ＥＤ２の底部から開口部に向かって図示しないテーパで形成してもよい。

シート１０におけるエンボス凸部ＥＣ１の寸法は、特に制限されないが、好ましくは１．０～１．６ｍｍ／個、より好ましくは１．２～１．４ｍｍ／個、さらに好ましくは１．３～１．３８ｍｍ／個である。また、シート２０におけるエンボス凸部ＥＣ２の寸法も、特に制限されず、好ましくは１．０～１．６ｍｍ／個、より好ましくは１．２～１．４ｍｍ／個、さらに好ましくは１．３～１．３８ｍｍ／個である。ここで、エンボス凸部の寸法は、エンボス凸部の形状が円形の場合は円の直径を示し、四角形、三角形の場合は一辺の長さを示し、楕円形の場合は長径または短径を示す。

シート１０におけるエンボス凸部ＥＣ１の単位面積は、特に制限されないが、好ましくは０．５～２．０ｍｍ^２／個、より好ましくは１．０～１．７ｍｍ^２／個、さらに好ましくは１．３～１．６ｍｍ^２／個である。また、シート２０におけるエンボス凸部ＥＣ２の寸法も、特に制限されず、好ましくは０．５～２．０ｍｍ^２／個、より好ましくは１．０～１．７ｍｍ^２／個、さらに好ましくは１．３～１．６ｍｍ^２／個である。ここで、エンボス凸部の単位面積は、エンボス凸部の形状が円形の場合は、円の直径であり、四角形、三角形の場合は、エンボス凸部１個あたりのエンボス凸部の頂部の面積を示す。

本実施形態のキッチンペーパー１００（ＫＲ）は、エンボス領域３０を有するシート１０とエンボス領域４０を有するシート２０とが、ネステッド形式で対面させて一体化されている。具体的には、シート１０のエンボス凸部ＥＣ１は、シート２０の非エンボス凸部ＮＥ２（エンボス凸部ＥＣ２が設けられていない部分）に対向して配置されている。また、シート２０のエンボス凸部ＥＣ２は、シート１０の非エンボス凸部ＮＥ１（エンボス凸部ＥＣ１が設けられていない部分）に対向して配置されている（図１～図４参照）。

また、シート１０のエンボス凸部ＥＣ１の頂部は、シート２０の非エンボス凸部ＮＥ２に対して、図示しない接着剤により接着されている。シート１０のエンボス凸部ＥＣ１の頂部とシート２０の非エンボス凸部ＮＥ２とを接着させることにより、２枚のシート１０、２０の接着部分を一方のクレープ紙（シート１０）側にバランスよく配置することができる。そのため、接着剤による吸収性能の低下を少なくすることができる。

なお、接着剤には、積層構造を有するキッチンペーパーに採用される公知の接着剤を用いることができる。このような接着剤の材質としては、例えば、ポリビニルアルコール、デンプン、変性デンプン、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。

なお、シート１０のエンボス凸部ＥＣ１の頂部とシート２０の非エンボス凸部ＮＥ２とを接着する代わりに、シート２０のエンボス凸部ＥＣ２の頂部とシート１０の非エンボス凸部ＮＥ１とを接着してもよい。また、シート１０のエンボス凸部ＥＣ１の頂部をシート２０の非エンボス凸部ＮＥ２に接着し、かつシート２０のエンボス凸部ＥＣ２の頂部をシート１０の非エンボス凸部ＮＥ１に接着してもよい。

筒状コアＣＣは、キッチンペーパーＫＰが巻き付けられるものであれば、特に限定されないが、例えば、円筒状の巻芯を用いることができる。また、筒状コアＣＣには、巻芯が存在しない構造（コアレス構造）も含まれる。筒状コアＣＣの材質は、特に限定されず、紙、樹脂等を用いることができる。なお、本実施形態のように、キッチンペーパーＫＰを捲回してキッチンペーパーロールＰＲを構成する場合は、円筒状の厚紙製の巻芯（紙管ともいう）を用いるのが好ましい。

筒状コアＣＣの外径は、特に制限されないが、例えば、公知のキッチンペーパーロールに用いられる紙管の外径を採用することができる。具体的には、筒状コアＣＣの外径は、３７～４３ｍｍである。

キッチンペーパーロールＰＲにおいて、キッチンペーパーＫＰ（１００）の巻長さは、特に制限されないが、キッチンペーパーＫＰ（１００）の吸収性を維持し、かつキッチンペーパーを柔らかくしながら巻長さをできるだけ長くする観点から、例えば、５～４０ｍであることが好ましく、より好ましくは８～３０ｍであり、さらに好ましくは１０～２５ｍである。ここで、巻長さは、筒状コアに捲回されてキッチンペーパーロールを構成するキッチンペーパーの長さを示す。

キッチンペーパーロールＰＲの巻径は、特に限定されないが、キッチンペーパーロールとしての汎用性を低下させない観点から、例えば、９５～１４０ｍｍであることが好ましく、より好ましくは１００～１２０ｍｍであり、さらに好ましくは１０４～１１９ｍｍである。ここで、巻径は、筒状コアの外径を含めたキッチンペーパーロールの径方向の外径を示す。

本実施形態に係るキッチンペーパーロールＰＲでは、キッチンペーパーＫＰを構成するシート１０におけるエンボス凸部ＥＣ１の密度が、０．０７５～０．２個／ｍｍ^２であり、好ましくは０．０７６～０．１５個／ｍｍ^２、より好ましくは０．０７７～０．１個／ｍｍ^２である。また、シート２０におけるエンボス凸部ＥＣ２の密度は、０．０７５～０．２個／ｍｍ^２であり、好ましくは０．０７６～０．１５個／ｍｍ^２、より好ましくは０．０７６～０．１個／ｍｍ^２である。ここで、エンボス凸部の密度は、シートの単位面積あたりエンボス凸部の個数を示す。

本実施形態に係るキッチンペーパーロールＰＲは、キッチンペーパーＫＰの巻密度が０．１２～０．２７ｍ／ｃｍ^２であり、好ましくは０．１３～０．２６ｍ／ｃｍ^２、０．１４～０．２５ｍ／ｃｍ^２である。ここで、巻密度は、キッチンペーパーＫＰの巻長さ（ｍ）をキッチンペーパーロールＰＲの径方向の面積（ｃｍ^２）で除した値である。キッチンペーパーロールＰＲにおいて、キッチンペーパーＫＰの巻密度をこのような範囲にすることにより、巻径を増やさずにキッチンペーパーの巻長さを長くすることができる。

また、キッチンペーパーロールＰＲにおいて、キッチンペーパーＫＰは、最小エンボス面積と最大エンボス面積の比（以下、面積比という）が０．５１以上であり、好ましくは０．５１５以上、より好ましくは０．５２以上である。

ここで、最小エンボス面積は、キッチンペーパーＫＰにおいて単位面積（ｃｍ^２）あたりのエンボス凸部ＥＣ１、ＥＣ２の頂部の合計の面積が最小となる部分の面積である。また、最大エンボス面積は、キッチンペーパーＫＰにおいて単位面積（ｃｍ^２）あたりのエンボス凸部ＥＣ１、ＥＣ２の頂部の合計の面積が最大となる部分の面積である。さらに、最小エンボス面積と最大エンボス面積の比とは、最大エンボス面積に対する最小エンボス面積の面積比（以下、面積比という）である。

上述のように、本実施形態では、キッチンペーパーロールＰＲを構成するキッチンペーパーＫＰが、２枚のシート１０、２０をネステッド形式で一体化されている。また、各シート１０、２０は、エンボス凸部の密度が０．０７５～０．２個／ｍｍ^２になっている。キッチンペーパーＫＰは、巻密度が０．１２～０．２７ｍ／ｃｍ^２の範囲となるように捲回されている。そして、キッチンペーパーＫＰは、最大エンボス面積に対する最小エンボス面積の面積比が０．５１以上の範囲になっている。

このようなキッチンペーパーロールＰＲを構成するように捲回されたキッチンペーパーＫＰは、厚み方向に潰れ難く、またキッチンペーパーＫＰ内の空間を確保することができる。これにより、本実施形態では、キッチンペーパーＫＰの巻密度が高くても、キッチンペーパーＫＰが厚み方向に潰れ難くなる。また、キッチンペーパーＫＰの嵩高さを維持しながら、キッチンペーパーＫＰの巻長さを長くすることができる。そのため、本実施形態に係るキッチンペーパーロールＰＲでは、キッチンペーパーＫＰの巻長さが長くなっても、キッチンペーパーＫＰの吸収性を維持することができ、しかも柔らかいキッチンペーパーが得られる。

本実施形態に係るキッチンペーパーロールＰＲは、シート１０がエンボス領域３０のみ有し、シート２０がエンボス領域４０のみ有する。すなわち、本実施形態のキッチンペーパーロールＰＲでは、キッチンペーパーＫＰを構成する１０、２０がいずれも非エンボス領域を有さない。ここで、非エンボス領域は、シート１０、２０においてエンボス加工がなされていない領域である。言い換えると、非エンボス領域は、エンボス凸部ＥＣ１、ＥＣ２および非エンボス凸部ＮＥ、ＮＥ２のいずれも形成されない領域である。

本実施形態では、このようにキッチンペーパーＫＰを構成する各シート１０、２０が非エンボス領域を有さないため、キッチンペーパーＫＰ内に非エンボス領域同士が対向して構成される非エンボス空間（以下、非エンボス空間またはラインという）が形成されることはない。

このような非エンボス空間は、キッチンペーパー内に吸収した水分や油分（以下、油分等という）を、キッチンペーパー内に保持したり、キッチンペーパー内で分散させることができる。そのため、キッチンペーパーを捲回しない場合（例えば、積層タイプキッチンペーパー）は、キッチンペーパーの吸収性を高めるために、このような非エンボス空間を設けられている。

これに対して、本実施形態のようにキッチンペーパーＫＰが捲回されたキッチンペーパーロールＰＲでは、このような非エンボス空間がキッチンペーパーＫＰ内に存在すると、キッチンペーパーＫＰが潰れ易くなり、キッチンペーパーＫＰの吸収性が却って低下する。本実施形態では、このような非エンボス空間がキッチンペーパーＫＰ内に存在しないため、キッチンペーパーロールＰＲの状態でもキッチンペーパーＫＰの吸収性を維持することができ、しかも柔らかいキッチンペーパーが得られる。

また、本実施形態では、上述のように、キッチンペーパーロールＰＲにおいて、最小エンボス面積と最大エンボス面積の比が０．５１以上となるようにキッチンペーパーＫＰを構成することによって、キッチンペーパーＫＰが非エンボス空間を持たないキッチンペーパーロールＰＲが得られる。また、本実施形態では、キッチンペーパーＫＰを構成する各シート１０、２０に非エンボス領域を形成しなくても、キッチンペーパーＫＰの吸収性を維持または向上させることができ、しかもより柔らかいキッチンペーパーが得られる。

本実施形態に係るキッチンペーパーロールＰＲでは、シート１０のエンボス領域３０におけるエンボス凸部ＥＣ１の面積率は、特に制限されないが、例えば、８～１４％であることが好ましく、より好ましくは９～１３％、さらに好ましくは９．５～１２％である。また、シート２０のエンボス領域４０におけるエンボス凸部ＥＣ２の面積率も、特に制限されないが、例えば、８～１４％であることが好ましく、より好ましくは９～１３％、さらに好ましくは９．５～１２％である。

ここで、エンボス凸部ＥＣ１の面積率は、シート１０の表面に占めるエンボス領域３０内のエンボス凸部ＥＣ１の頂部の面積の割合である。また、エンボス凸部ＥＣ２の面積率は、シート２０の表面に占めるエンボス領域４０内のエンボス凸部ＥＣ２の頂部の面積の割合である。

エンボス凸部ＥＣ１、ＥＣ２の面積率をこのような範囲にすると、キッチンペーパーＫＰ内に十分な空間が確保され、しかもこの空間は潰れ難いものとなる。そのため、本実施形態に係るキッチンペーパーロールＰＲによれば、キッチンペーパーＫＰの吸収性をより高めることができる。

本実施形態に係るキッチンペーパーＫＰにおける最大厚みと最小厚みとの差は、０．０３～０．１１５ｍｍであることが好ましく、より好ましくは０．０５～０．１１ｍｍ、さらに好ましくは０．０６～０．１０５ｍｍである。

ここで、最大厚みは、キッチンペーパーＫＰの厚みが最大となる部分の厚みである。最小厚みは、キッチンペーパーＫＰの厚みがそれぞれ最小となる部分の厚みである。最大厚みと最小厚みとの差は、これらの最大厚みから最小厚みを引いたもの（厚み差）である。

実施形態では、キッチンペーパーＫＰの厚み差を、上述の範囲にすることで、厚み方向に潰れ難くしながら、嵩高さを高くすることができる。そのため、本実施形態に係るキッチンペーパーロールＰＲでは、キッチンペーパーＫＰの吸収性をさらに高めることができる。

本実施形態に係るキッチンペーパーロールＰＲでは、キッチンペーパーＫＰを５枚重ねたときの厚みが１．９～４．０ｍｍであることが好ましく、より好ましくは２．０～３．８ｍｍ、さらに好ましくは２．１～３．５ｍｍである。ここで、キッチンペーパーＫＰを５枚重ねたときの厚みは、キッチンペーパーロールＰＲから取出したキッチンペーパーＫＰを５枚重ねたときの重ね方向の厚み（ｍｍ）であり、キッチンペーパーＫＰの嵩高さを示すことができる。なお、キッチンペーパーを５枚重ねたときの厚みは、キッチンペーパーの嵩高さを評価する指標となり得る。

本実施形態では、キッチンペーパーＫＰを５枚重ねたときの厚みがこのような範囲になるように、キッチンペーパーＫＰを捲回することで、キッチンペーパーロールＰＲを構成するキッチンペーパーＫＰにおいて、厚み方向に潰れ難くしながら、嵩高さをさらに高くすることができる。そのため、本実施形態に係るキッチンペーパーロールＰＲでは、キッチンペーパーＫＰの吸収性をさらに向上させることができる。

また、上述のキッチンペーパーロールＰＲを構成するキッチンペーパーＫＰは、本実施形態に係るキッチンペーパーとして用いることができる。そのため、本実施形態のキッチンペーパーでは、上述のキッチンペーパーロールＰＲを用いた場合と同様の効果が得られる。すなわち、本実施形態に係るキッチンペーパーは、巻長さが長くなっても、吸収性を維持することができ、しかも柔らかくなる。

また、本実施形態に係るキッチンペーパーは、上述のキッチンペーパーロールＰＲを構成するキッチンペーパーＫＰを用いることにより、シート１０、２０が非エンボス領域を有さないものとなる。そのため、キッチンペーパーロールＰＲを構成するキッチンペーパーＫＰの吸収性を維持または向上させることができ、しかもより柔らかいキッチンペーパーが得られる。

以下、本発明について、さらに実施例を用いて具体的に説明する。実施例、比較例の測定、評価は、以下のように行った。

［坪量］
キッチンペーパーロールにおいて、キッチンペーパーを構成する各シート（原紙としてのクレープ紙）の坪量（米坪、ｇ／ｍ^２）を、ＪＩＳ Ｐ ８１２４（１９９８）により算出した。

［嵩高さ］
キッチンペーパーロールを構成するキッチンペーパーについて、嵩高さ（ｍｍ）を測定した。嵩高さの測定方法では、まずキッチンペーパーロールの表層から１３枚目～１７枚目を連続して５枚切り取ったキッチンペーパーを１２０ｍｍ×１２０ｍｍに裁断して試験片を作製する。作製した試験片をＪＩＳ Ｐ ８１１１（１９９８）の条件下で十分に調湿した後、同条件下でダイヤルシックネスゲージ（厚み測定器）「ＰＥＡＣＯＣＫ Ｇ型」（尾崎製作所製）を用いて測定する。測定の具体的な手順は、プランジャーと測定台の間にゴミ、チリ等がないことを確認してプランジャーを測定台の上におろし、該ダイヤルシックネスゲージのメモリを移動させてゼロ点を合わせる。次いで、プランジャーを上げて試験片５枚を重ねて試験台の上におき、プランジャーをゆっくりと下ろし、そのときのゲージを読み取る。このとき、プランジャーをのせるだけとする。また、プランジャーの端子は金属製で直径３０ｍｍの円形の平面が紙平面に対し垂直に当たるようにする。この嵩高さの測定時の荷重は、１２０μｍの際に約７０ｇｆである。なお、嵩高さの測定値は、測定を１０回行って得られる平均値とする。

［吸油試験］
試験片２００として、キッチンペーパー１００を錘２０４と同じ寸法（直径約８２ｍｍ）に裁断したものを用意する。電子天秤（株式会社エー・アンド・デイ製のＨＲ３００等）を用いて、図５に示すプラスチック製のシート（約１２ｃｍ×１２ｃｍ、厚み０．２ｍｍ、重さ２．７ｇ、材質ポリプロピレン）２０２、試験片２００、錘（直径約８２ｍｍ、厚み１０ｍｍ、重さ５９ｇ、材質アクリル）２０４の各重量を測定する。測定後、プラスチック製のシート２０２の上に試験片２００を載せ、試験片２００の中央に錘２０４を載せる。なお、錘２０４には厚み方向に貫通する孔が設けられている。孔の直径は、約１２ｍｍである。その後、ピペット（Ｔｈｅｒｍｏ ｓｃｉｅｎｔｉｆｉｃ社製、ＦｉｎｎｐｉｐｅｔｔｅＦ２、０．５～５ｍｌ）で３．５ｍｌ（約３．０ｇ）の油（常温のサラダ油）（日清オイリオグループ株式会社製の日清サラダ油）２０６を錘２０４の孔から滴下する。このとき滴下位置（エンボス部）は、図５に示すように試験片２００の中心位置に固定しておく。滴下２分後（２分間保持後）、錘２０４を取り除き、重量を測定する。その後、プラスチック製のシート２０２を取り除き重量を測定する。そして、試験片２００の重量を測定する。各試験片２００について、図５に示すように、（１）試験片吸油量（ｇ）、（２）裏抜け量（ｇ）、（３）戻り量（ｇ）、滴下油量（ｇ）、滴下油量に対する試験片吸油率（％）、裏抜け率（％）、戻り率（％）、油染みが錘２０４からはみ出るまでの時間（ｓ）（吸油スピード）を測定し、表１に示した。試験片吸油量（ｇ）等の各項目は、下記に列挙する式により算出した。
・試験片吸油量（ｇ）＝滴下２分後の試験片重量－試験片重量
・裏抜け量（ｇ）＝滴下２分後のプラスチック製のシート重量－プラスチック製のシート重量
・戻り量（ｇ）＝滴下２分後の錘重量－錘重量
・滴下油量（ｇ）＝試験片吸油量＋裏抜け量＋戻り量
・試験片吸油率（％）＝試験片吸油量÷滴下油量×１００
・裏抜け率（％）＝裏抜け量÷滴下油量×１００
・戻り率（％）＝戻り量÷滴下油量×１００
なお、（１）試験片吸油量（ｇ）、（２）裏抜け量（ｇ）、（３）戻り量（ｇ）、滴下油量（ｇ）の各測定値は、測定を３回行って得られる平均値とする。これらの試験片吸油量（ｇ）等から、試験片吸油率（％）、裏抜け率（％）、戻り率（％）を算出した。

［ソフトネス（柔らかさ）］
ＪＩＳ Ｌ １０９６ Ｅ法に準じたハンドルオメーター法に基づいてソフトネス（柔らかさ）を測定した。測定は、１００ｍｍ×１００ｍｍに裁断した試験片を用い、ハンドルオメーターのスリット幅（クリアランス）を２０ｍｍとした。試験片（２プライ）の縦方向、横方向について各々５回測定し、その全１０回の平均値を小数点２桁として、ｃＮを単位として表した。評価は、ソフトネスの値（ｃＮ）が小さい程柔らかいことを示す。なお、ソフトネス（柔らかさ）の測定は、実施例１および比較例２のみ行った。

［実施例１］
実施例１では、図１～図４に示す、キッチンペーパーロールＰＲを構成するように捲回されたキッチンペーパーＫＰ（１００）を用いた。キッチンペーパーＫＰ（１００）は、坪量（米坪）が１８．０ｇ/ｍ^２のシート１０、２０をネステッド形式で一体化するエンボス方式で形成した。シート１０、２０のエンボス領域３０、４０のエンボス凸部ＥＣ１、ＥＣ２は、頂部の形状（凸形状）を円形、密度（凸個数）を０．０８個／ｍｍ^２、頂部の寸法（凸寸法）を１．３５ｍｍ／個、頂部の単位面積（凸面積）を１．４３ｍｍ^２／個、面積率（糊付け面積率）を１１．２％、面積比（面積比率）を０．５３とした。また、厚み差（紙厚差）を０．０７ｍｍとした。キッチンペーパーロールＰＲは、紙管外径を３９．０ｍｍ、キッチンペーパーＫＰ（１００）の巻長さを２２．０ｍ、巻径を１１７．０ｍｍ、巻密度を０．２３ｍ／ｃｍ^２、嵩高さを２．４ｍｍ／５枚とした。なお、実施例１では、キッチンペーパーＫＰ（１００）内にライン（非エンボス空間）を形成しなかった。また、ソフトネスの測定値は９．８９ｃＮであった。実施例１について、吸収性、柔らかさを評価した。柔らかさを除き、結果を表１に示す。

［実施例２］
実施例２では、米坪を１９．３ｇ/ｍ^２、嵩高さを２．５ｍｍ／５枚とした以外は、実施例１と同様に評価した。結果を表１に示す。

［実施例３］
実施例３では、米坪を２２．４ｇ/ｍ^２、厚み差を０．０８ｍｍ、嵩高さを２．５ｍｍ／５枚とした以外は、実施例１と同様に評価した。結果を表１に示す。

［実施例４］
実施例４では、米坪を２１．２ｇ/ｍ^２、厚み差を０．１０ｍｍ、巻長さを１１．０ｍ、巻径を１０５．０ｍｍ、巻密度を０．１５ｍ／ｃｍ^２、嵩高さを３．３ｍｍ／５枚とした以外は、実施例１と同様に評価した。結果を表１に示す。

［比較例１］
比較例１では、図６～図８示すキッチンペーパー１００（ＫＲ）を用いた。キッチンペーパーＫＰ（１００）は、米坪１７．８ｇ/ｍ^２のシート１０、２０をティップトゥティップ（ＴＩＰ ＴＯ ＴＩＰ）形式で一体化するエンボス方式で形成した。シート１０、２０のエンボス領域３０、４０のエンボス凸部ＥＣ１、ＥＣ２は、頂部の形状（凸形状）を四角形、密度（凸個数）を０．０９個／ｍｍ^２、頂部の寸法（凸寸法）を１．１０ｍｍ／個、頂部の単位面積（凸面積）を１．２１ｍｍ^２／個、面積率（糊付け面積率）を１１．３％、非エンボス空間の面積率（ライン面積率）を３７．４％、面積比（面積比率）を０．３８とした。また、厚み差（紙厚差）を０．０２ｍｍとした。キッチンペーパーロールＰＲは、紙管外径を３９．０ｍｍ、キッチンペーパーＫＰ（１００）の巻長さを２２．０ｍ、巻径を１１０．０ｍｍ、巻密度を０．２６ｍ／ｃｍ^２、嵩高さを２．１ｍｍ／５枚とした。なお、比較例１では、シート１０、２０に非エンボス領域５０、６０が形成され、非エンボス領域５０、６０同士が対向することにより、キッチンペーパーＫＰ（１００）内に格子形状のラインＬＮ（非エンボス空間）が形成されている。比較例１について、実施例１と同様に評価した。結果を表１に示す。

［比較例２］
比較例２では、図９～図１１に示すキッチンペーパー１００（ＫＲ）を用いた。キッチンペーパーＫＰ（１００）は、米坪２２．８ｇ/ｍ^２のシート１０、２０をネステッド形式で一体化するエンボス方式で形成した。シート１０、２０のエンボス領域３０、４０のエンボス凸部ＥＣ１、ＥＣ２は、頂部の形状（凸形状）を三角形、密度（凸個数）を０．０５個／ｍｍ^２、頂部の寸法（凸寸法）を１．４０ｍｍ／個、頂部の単位面積（凸面積）を１．７０ｍｍ^２／個、面積率（糊付け面積率）を８．１％、非エンボス空間の面積率（ライン面積率）を１９．１％、面積比（面積比率）を０．５０とした。また、厚み差（紙厚差）を０．１２ｍｍとした。キッチンペーパーロールＰＲは、紙管外径を３９．０ｍｍ、キッチンペーパーＫＰ（１００）の巻長さを２２．０ｍ、巻径を１１４．０ｍｍ、巻密度を０．２４ｍ／ｃｍ^２、嵩高さを２．５ｍｍ／５枚とした。なお、比較例２では、シート１０、２０に非エンボス領域５０、６０が形成され、非エンボス領域５０、６０同士が対向することにより、キッチンペーパーＫＰ（１００）内にハニカム形状のラインＬＮ（非エンボス空間）が形成されている。また、ソフトネスの測定値は１４．５０ｃＮであった。比較例２について、実施例１と同様に評価した。結果を表１に示す。

［比較例３］
比較例３では、図示しないキッチンペーパーを用いた。キッチンペーパーは、米坪２１．０ｇ/ｍ^２の２枚のシートをネステッド形式で一体化するエンボス方式で形成した。各シートのエンボス領域のエンボス凸部は、頂部の形状（凸形状）を楕円形、密度（凸個数）を０．０８個／ｍｍ^２、頂部の寸法（凸寸法）を長径１．５０ｍｍ／個、短径０．７５ｍｍ／個、頂部の単位面積（凸面積）を０．８８ｍｍ^２／個、面積率（糊付け面積率）を７．５％、非エンボス空間の面積率（ライン面積率）を２５．１％、面積比（面積比率）を０．２８とした。また、厚み差（紙厚差）を０．０４ｍｍとした。キッチンペーパーロールＰＲは、紙管外径を３９．０ｍｍ、キッチンペーパーの巻長さを３５．９ｍ、巻径を１１８．０ｍｍ、巻密度を０．３７ｍ／ｃｍ^２、嵩高さを１．８ｍｍ／５枚とした。なお、比較例３では、各シートに非エンボス領域が形成され、非エンボス領域同士が対向することにより、キッチンペーパー内に図示しない曲線状のライン（非エンボス空間）が形成されている。比較例３について、実施例１と同様に評価した。結果を表１に示す。

［比較例４］
比較例４では、図示しないキッチンペーパーを用いた。キッチンペーパーは、米坪２１．２ｇ/ｍ^２の２枚のシートをネステッド形式で一体化するエンボス方式で形成した。各シートのエンボス領域のエンボス凸部は、頂部の形状（凸形状）を円形、密度（凸個数）を０．０７個／ｍｍ^２、頂部の寸法（凸寸法）を１．５０ｍｍ／個、頂部の単位面積（凸面積）を１．７７ｍｍ^２／個、面積率（糊付け面積率）を１１．７％、面積比（面積比率）を０．６５とした。また、厚み差（紙厚差）を０．０２ｍｍとした。キッチンペーパーロールＰＲは、紙管外径を３９．０ｍｍ、キッチンペーパーの巻長さを２２．０ｍ、巻径を１０５．０ｍｍ、巻密度を０．２９ｍ／ｃｍ^２、嵩高さを１．８ｍｍ／５枚とした。なお、比較例４では、キッチンペーパー内にライン（非エンボス空間）を形成しなかった。比較例４について、実施例１と同様に評価した。結果を表１に示す。

表１より、２枚のシート１０、２０がネステッド形式で一体化されたキッチンペーパーＫＰが捲回され、各シートにおけるエンボス凸部の密度が０．０７５～０．２個／ｍｍ^２であり、キッチンペーパーＫＰの巻密度が０．１２～０．２７ｍ／ｃｍ^２であり、キッチンペーパーＫＰにおける最小エンボス面積と最大エンボス面積の比が０．５１以上のキッチンペーパーロールＰＲは、吸油率が７０％超、戻り率が１４％未満、裏抜け率が１６％未満であった（実施例１～実施例４）。

これに対して、２枚のシートがネステッド形式で一体化されたキッチンペーパーが捲回されたものであること、各シートにおけるエンボス凸部の密度が０．０７５～０．２個／ｍｍ^２であること、キッチンペーパーの巻密度が０．１２～０．２７／ｃｍ^２であること、キッチンペーパーＫＰにおける最小エンボス面積と最大エンボス面積の比が０．５１以上であることの、いずれかの条件を満たさないキッチンペーパーロールは、吸油率が７０％以下、裏抜け率が１６％以上であった（比較例１～比較例４）。このうち、比較例１および比較例２では、さらに戻り率が１４％以上であった。

また、ソフトネスの測定値について、比較例２の１４．５０ｃＮに対して、実施例１では９．８９ｃＮとなり、実施例１は比較例２よりもキッチンペーパーＫＰが柔らかくなった。

これらの結果から、エンボス領域を有する２枚のシートがネステッド形式で一体化されたキッチンペーパーが捲回され、各シートのエンボス凸部の密度が０．０７５～０．２個／ｍｍ^２であり、キッチンペーパーの巻密度が０．１２～０．２７ｍ／ｃｍ^２であり、キッチンペーパーＫＰの最小エンボス面積と最大エンボス面積の比が０．５１以上であるキッチンペーパーロールは、キッチンペーパーの巻長さが長くなっても、キッチンペーパーの吸収性が維持され、かつ柔らかいキッチンペーパーが得られることが判った。

以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。

ＰＲ キッチンペーパーロール
ＫＰ キッチンペーパー
１０ シート
２０ シート
３０ エンボス領域
ＥＣ１ エンボス凸部
ＥＤ１ エンボス凹部
ＮＥ１ 非エンボス凸部
４０ エンボス領域
ＥＣ２ エンボス凸部
ＥＤ２ エンボス凹部
ＮＥ２ 非エンボス凸部
ＣＣ 筒状コア

Claims (3)

1. エンボス領域を有する２枚のシートがネステッド形式で一体化されたキッチンペーパーが捲回されたキッチンペーパーロールであって、
   前記各シートは、エンボス凸部の密度が０．０７５～０．２個／ｍｍ^２であり、
   前記キッチンペーパーは、最小エンボス面積と最大エンボス面積の比が０．５１以上であり、
   前記キッチンペーパーの巻密度が０．１４～０．２５ｍ／ｃｍ^２であり、且つ、最大厚みと最小厚みとの差が０．０６～０．１１ｍｍであり、
   前記各シートは、前記エンボス凸部の頂部の形状が円形であり、
   前記各シートは、前記エンボス領域のみ有し、
   前記キッチンペーパーは、５枚重ねたときの厚みが１．９～４．０ｍｍである、キッチンペーパーロール。
2. 前記各シートは、前記エンボス領域におけるエンボス凸部の面積率が８～１４％である、請求項１に記載のキッチンペーパーロール。
3. エンボス領域を有する２枚のシートがネステッド形式で一体化され、
   捲回されてキッチンペーパーロールを構成するキッチンペーパーであって、
   前記各シートは、エンボス凸部の密度が０．０７５～０．２個／ｍｍ ^２ であり、
   最小エンボス面積と最大エンボス面積の比が０．５１以上であり、
   前記キッチンペーパーロールにおける前記キッチンペーパーの巻密度が０．１４～０．２５ｍ／ｃｍ^２であり、且つ、最大厚みと最小厚みとの差が０．０６～０．１１ｍｍであり、
   前記各シートは、前記エンボス凸部の頂部の形状が円形であり、
   前記各シートは、前記エンボス領域のみ有し、
   ５枚重ねたときの厚みが１．９～４．０ｍｍである、キッチンペーパー。

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