以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。又、各図面において、本発明の内容を理解しやすいように、大きさや形状を一部誇張している場合がある。
なお、車両とは、代表的には自動車であるが、電車、船舶、航空機等を含む、合わせガラスを有する移動体を指すものとする。
又、平面視とは合わせガラスの所定領域を合わせガラスの車内側の面の法線方向から視ることを指し、平面形状とは合わせガラスの所定領域を合わせガラスの車内側の面の法線方向から視た形状を指すものとする。
図1A~図1Fは、本実施形態に係る合わせガラスを例示する図であり、図1Aは合わせガラスを車両に取り付けて車室内から車室外に視認した様子を模式的に示している。図1B~図1Fは、図1AのA-A線に沿う断面図であり、図1C~図1Fは図1Bの変形例である。
図1A及び図1Bに示すように、合わせガラス10は、ガラス板11と、ガラス板12と、中間膜13と、第1遮蔽層14と、発光装置15とを有する車両用の合わせガラスである。Bは、発光装置15が配置されている領域を示している。すなわち、合わせガラス10では、左辺及び右辺近傍の2つの領域に発光装置15が配置されている。但し、発光装置15は、合わせガラス10の1つの領域に配置されてもよいし、3つ以上の領域に配置されてもよい。
なお、図1Aでは、合わせガラス10を平板形状に示しているが、図2に示すように、合わせガラス10は長手方向及び短手方向の両方に湾曲した複曲形状であってもよい。或いは、合わせガラス10は、長手方向のみに湾曲した単曲形状や、短手方向のみに湾曲した単曲形状であってもよい。合わせガラス10が湾曲している場合、車外側に向けて凸となるように湾曲していることが好ましい。
又、図1A及び図2では、合わせガラス10を矩形状としているが、合わせガラス10の平面形状は矩形状には限定されず、台形状等を含む任意の形状として構わない。
合わせガラス10は、例えば、車両用のフロントガラス、フロントベンチガラス、フロントサイドガラス、リアサイドガラス、リアクォーターガラス、リアガラス、ルーフガラス、エクストラウインドウ等に適用できる。
例えばリアガラスが前方に向け傾斜して車両に取り付けられていると、リアガラスだけでは車両の運転者の後方における視野が狭くなるため、後方の視認性が悪い。エクストラウインドウは、このような場合に、車両の運転者の後方視認性を向上させるために、車両のリアガラスの下方に取り付けられる。
なお、エクストラウインドウの取付角度θEは、リアガラスの取付角度θRとは異なっていてもよい。エクストラウインドウの取付角度θEは、地面に対し50°以上であってもよい。好ましくは、70°以上である。ここで、取付角度θとは、図3(a)及び図3(b)に示すように、合わせガラス10の水平方向の幅の中心点を、底辺から上辺まで順次結んだ線を中心線Lとし、該中心線Lと水平面H(地面と平行な平面)とがなす角度を指す。なお、図3(a)は合わせガラスを車両に取り付けて車室内から車室外に視認した様子を模式的に示しており、図3(b)は、図3(a)の中心線Lを通る縦断面を示している。
上述した通り、リアガラスが前方に向け傾斜して車両に取り付けられている場合、すなわち、リアガラスの取付角度θRが、地面に対し10°以上40°以下である場合、リアガラスの下方に更にエクストラウインドウが配置され、かつ、エクストラウインドウの取付角度θEが地面に対し50°以上であれば、車両の運転者の後方における視野をより広くできる。
なお、合わせガラス10はエクストラウインドウに限定されない。合わせガラス10の取付角度θが地面に対し50°以上であれば、合わせガラス10はリアガラスでもよいし、フロントベンチガラス、フロントサイドガラス、リアサイドガラス、リアクォーターガラスでもよい。すなわち、合わせガラス10の地面に対する取付角度θは50°以上が好ましい。より好ましくは70°以上である。
一方、合わせガラス10の取付角度θが10°以下、すなわち地面とほぼ平行になるように取り付けられていてもよい。すなわち、合わせガラス10はルーフガラスでもよい。 合わせガラス10は、フロントガラスでもよい。合わせガラス10がフロントガラスである場合、発光装置15はJIS規格R3212:2015で規定される試験領域Aの外側に配置されていることが好ましい。発光装置15がJIS規格R3212:2015で規定される試験領域Aの外側に配置されていれば、発光装置15によって車両の運転者の視認性を阻害しない点で好ましい。
ガラス板11は、合わせガラス10を車両に取り付けたときに車内側となる車内側ガラス板である。又、ガラス板12は、合わせガラス10を車両に取り付けたときに車外側となる車外側ガラス板である。
合わせガラス10が湾曲している場合、曲率半径は1000mm以上100000mm以下であることが好ましい。ガラス板11とガラス板12の曲率半径は同じでもよいし、異なっていてもよい。ガラス板11とガラス板12の曲率半径が異なっている場合は、ガラス板11の曲率半径の方がガラス板12の曲率半径よりも大きい。
ガラス板11とガラス板12は互いに対向する一対のガラス板であり、中間膜13及び発光装置15は一対のガラス板の間に位置している。ガラス板11とガラス板12とは、中間膜13及び発光装置15を挟持した状態で固着されている。
中間膜13は、ガラス板11とガラス板12を接合する膜である。中間膜13は、例えば、ガラス板11と接合する第1中間膜131と、ガラス板12と接合する第2中間膜132とを有する。第1中間膜131及び第2中間膜132とは別に、第1中間膜131と第2中間膜132の間に位置して発光装置15の外周を包囲する額縁状の中間膜を有してもよい。第1中間膜131及び第2中間膜132を特に区別する必要がない場合には、単に中間膜13と称する。
なお、中間膜13の外周はエッジ処理されていることが好ましい。すなわち、中間膜13の端部(エッジ)は、ガラス板11及び12の端部(エッジ)から大きく飛び出さないように処理されていることが好ましい。中間膜13の端部のガラス板11及び12の端部からの飛びだし量が150μm以下であると、外観を損なわない点で好適である。但し、合わせガラス10がサイドガラスである場合には、下辺はドアパネルにより隠蔽されるため、中間膜13の下辺のエッジ処理は必須ではない。ガラス板11、ガラス板12、及び中間膜13の詳細については後述する。
第1遮蔽層14は、不透明な層であり、例えば、合わせガラス10の周縁部に沿って帯状に設けることができる。第1遮蔽層14は、例えば、不透明な(例えば、黒色の)着色セラミック層である。第1遮蔽層14は、遮光性を持つ着色中間膜や着色フィルム、着色中間膜と着色セラミック層の組み合わせであってもよい。着色フィルムは赤外線反射フィルム等と一体化されていてもよい。
合わせガラス10に不透明な第1遮蔽層14が存在することで、合わせガラス10の周縁部を車体に保持するウレタン等の樹脂からなる接着剤が紫外線により劣化することを抑制できる。又、発光装置15と電気的に接続されるバスバーや電極を車外側及び/又は車内側から視認しにくいように隠蔽できる。
第1遮蔽層14は、例えば、黒色顔料を含有する溶融性ガラスフリットを含むセラミックカラーペーストをガラス板上にスクリーン印刷等により塗布し、焼成することで形成できるが、これには限定されない。第1遮蔽層14は、例えば、黒色又は濃色顔料を含有する有機インクをガラス板上にスクリーン印刷等により塗布し、乾燥させて形成してもよい。
第1遮蔽層14は、第1帯状領域141と、第1ドット領域142とを有する。第1帯状領域141及び第1ドット領域142については、後述する。
発光装置15は、基材151と、基材151に実装された複数の発光素子152とを有する。各々の発光素子152には、図示しない配線が接続されている。発光装置15は、必要に応じて、基材151や発光素子152や配線以外の構成要素(発光素子152を被覆する保護層等)を有してもよい。
基材151は、例えば、ポリエチレンテレフタレートである。基材151は、ポリエチレンナフタレート、ポリアニリン、ポリチオフェン、カーボンナノチューブ、グラフェン等であってもよい。
発光素子152は、例えば、LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)である。発光素子152は、有機EL(Organic Electro-Luminescence)、無機EL(Inorganic Electro-Luminescence)等であってもよい。なお、ここでいうLEDには、マイクロLEDも含まれる。
発光素子152の形状は、特に限定されないが、例えば、直方体である。発光素子152が直方体である場合の大きさの一例を挙げれば、長さ1.0mm×幅0.5mm×高さ0.2mm、長さ1.6mm×幅0.8mm×高さ0.3mm、長さ3.2mm×幅2.0mm×高さ1.0mm等である。
発光素子152がLEDである場合、発光素子152の形状は、長さ0.1mm以上3.2mm以下、幅0.1mm以上2.0mm以下、高さ0.1mm以上1.0mm以下であることが好ましい。発光素子152の形状が、長さ0.1mm以上3.2mm以下、幅0.1mm以上2.0mm以下であれば、各々の発光素子152の発光が車内の乗客に視認されやすく、かつ、各々の発光素子152が非発光であっても、第1ドット領域142を構成するドットと調和して目立たなくなるため、非発光時の発光素子152の外形が車内から視認されにくくなり、デザイン性が低下することを抑制できる。又、発光素子152の高さ0.1mm以上1.0mm以下であれば、ガラス板11と、ガラス板12とを接合する中間膜13に封入でき、好ましい。
発光素子152がマイクロLEDである場合、発光素子152の形状は、長さ、幅ともに100μm以下、好ましくは50μm以下、より好ましくは20μm以下である。マイクロLEDの長さ、幅の下限値は、ともに製造上の諸条件等から、特にエッジ効果を低減するために3μm以上であることが好ましい。マイクロLEDの高さとしては、10μm以上50μm以下である。
配線としては、導電材料であれば特に限定されないが、例えば、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、フッ素ドープ酸化錫(FTO)、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、酸化亜鉛(ZnO)、金属ナノワイヤー(銀ナノワイヤー、銅ナノワイヤー等)等が挙げられる。
発光装置15は、ガラス板11を介して車両の内部に光を出射する装置であり、基材151をガラス板12側に向けて、複数の発光素子152をガラス板11側に向けて中間膜13に封入されている。発光装置15のガラス板11側の面(発光素子152の実装面)は第1中間膜131に被覆され、発光装置15のガラス板12側の面は第2中間膜132に被覆されている。すなわち、図1Bに示すように、発光装置15は、第1中間膜131と第2中間膜132の間に位置している。なお、発光装置15の基材151の周縁部とガラス板11及び12の周縁部とは、必ずしも平行でなくてもよい。
発光装置15は、ガラス板12を介して車両の外部に光を出射する装置であってもよい。発光装置15が車両の外部に光を出射する装置である場合、基材151をガラス板11側に向けて、複数の発光素子152をガラス板12側に向けて中間膜13に封入される。
発光素子152の発光色は、特に限定されないが、例えは、赤、緑、青、黄、白等である。1つの基材151上に、互いに発光色の異なる複数の発光素子152が実装されてもよい。
発光装置15は、複数の発光素子152を発光させて、例えば、文字(例えば、ロゴの表示、通知、警告表示等)を表示できる。又、発光装置15は、複数の発光素子152を発光させて、例えば、図形(例えば、矢印等車外向けも)や模様を表示できる。発光装置15が車両の内部に向けて光を出射する装置である場合、発光装置15をルームランプや紫外線除菌ランプ等として用いることもできる。
なお、図1Cに示すように、発光装置15は、ガラス板12の車内側の面に配置されていてもよい。発光装置15がガラス板12の車内側の面に配置される場合、ガラス板12の車内側の面に発光装置15の基材151を接着させる。又、図1Dに示すように、発光装置15が基材151を備えず、ガラス板12の車内側の面に発光素子152を配置してもよい。発光装置15が基材151を備えず、ガラス板12の車内側の面に発光素子152が配置される場合、ガラス板12の車内側の面に発光素子152を配置し、かつ、各々の発光素子152と接続される配線も同様に、ガラス板12の車内側の面に形成される。
同様に、図1Eに示すように、発光装置15は、ガラス板11の車外側の面に配置されていてもよい。発光装置15がガラス板11の車外側の面に配置される場合、ガラス板11の車外側の面に発光装置15の基材151を接着させる。又、図1Fに示すように、発光装置15が基材151を備えず、ガラス板11の車外側の面に発光素子152を配置してもよい。発光装置15が基材151を備えず、ガラス板11の車外側の面に発光素子152が配置される場合、ガラス板11の車外側の面に発光素子152を配置し、かつ、各々の発光素子152と接続される配線も同様に、ガラス板11の車外側の面に形成される。
ここで、ガラス板11、ガラス板12、及び中間膜13について詳述する。
〔ガラス板〕
ガラス板11及び12は、無機ガラスであっても有機ガラスであってもよい。無機ガラスとしては、例えば、ソーダライムガラス、アルミノシリケートガラス、ホウ珪酸ガラス、無アルカリガラス、石英ガラス等が特に制限なく用いられる。合わせガラス10の外側に位置するガラス板12は、耐傷付き性の観点から無機ガラスであることが好ましく、成形性の観点からソーダライムガラスであることが好ましい。ガラス板11及びガラス板12がソーダライムガラスである場合、クリアガラス、鉄成分を所定量以上含むグリーンガラス及びUVカットグリーンガラスが好適に使用できる。
無機ガラスは、未強化ガラス、強化ガラスの何れでもよい。未強化ガラスは、溶融ガラスを板状に成形し、徐冷したものである。強化ガラスは、未強化ガラスの表面に圧縮応力層を形成したものである。
強化ガラスは、例えば風冷強化ガラス等の物理強化ガラス、化学強化ガラスの何れでもよい。物理強化ガラスである場合は、例えば、曲げ成形において均一に加熱したガラス板を軟化点付近の温度から急冷させる等、徐冷以外の操作により、ガラス表面とガラス内部との温度差によってガラス表面に圧縮応力層を生じさせることで、ガラス表面を強化できる。
化学強化ガラスである場合は、例えば、曲げ成形の後、イオン交換法等によってガラス表面に圧縮応力を生じさせることでガラス表面を強化できる。又、紫外線又は赤外線を吸収するガラスを用いてもよく、更に、透明であることが好ましいが、透明性を損なわない程度に着色されたガラス板を用いてもよい。
一方、有機ガラスの材料としては、ポリカーボネート、例えばポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン等の透明樹脂が挙げられる。
ガラス板11及び12の形状は、特に矩形状に限定されるものではなく、種々の形状及び曲率に加工された形状であってもよい。ガラス板11及び12の曲げ成形には、重力成形、プレス成形、ローラー成形等が用いられる。ガラス板11及び12の成形法についても特に限定されないが、例えば、無機ガラスの場合はフロート法等により成形されたガラス板が好ましい。
ガラス板12の板厚は、最薄部が1.1mm以上3mm以下であることが好ましい。ガラス板12の板厚が1.1mm以上であると、耐飛び石性能等の強度が十分であり、3mm以下であると、合わせガラス10の質量が大きくなり過ぎず、車両の燃費の点で好ましい。ガラス板12の板厚は、最薄部が1.8mm以上2.8mm以下がより好ましく、1.8mm以上2.6mm以下が更に好ましく、1.8mm以上2.2mm以下が更に好ましく、1.8mm以上2.0mm以下が更に好ましい。
ガラス板11の板厚は、0.3mm以上2.3mm以下であることが好ましい。ガラス板11の板厚が0.3mm以上であることによりハンドリング性がよく、2.3mm以下であることにより質量が大きくなり過ぎない。
又、ガラス板11及び12は、平板形状であっても湾曲形状であってもよい。しかし、ガラス板11及び12が湾曲形状であり、かつガラス板11の板厚が適切でない場合、ガラス板11及び12として特に曲がりが深いガラスを2枚成形すると、2枚の形状にミスマッチが生じ、圧着後の残留応力等のガラス品質に大きく影響する。
しかし、ガラス板11の板厚を0.3mm以上2.3mm以下とすることで、残留応力等のガラス品質を維持できる。ガラス板11の板厚を0.3mm以上2.3mm以下とすることは、曲がりの深いガラスにおけるガラス品質の維持に特に有効である。ガラス板11の板厚は、0.5mm以上2.1mm以下がより好ましく、0.7mm以上1.9mm以下が更に好ましい。この範囲であれば、上記の効果が更に顕著となる。
合わせガラス10が例えばヘッドアップディスプレイに用いられる場合、ガラス板11及び/又は12は一定の板厚ではなく、必要に応じて場所毎に板厚が変わっても良い。例えば、合わせガラス10がフロントガラスである場合、ガラス板11及び12の何れか一方、又は両方は、フロントガラスを車両に取り付けた状態でフロントガラスの下辺から上辺に向かうにつれて板厚が厚くなる断面楔形状であってもよい。この場合、中間膜13の膜厚が一定であれば、ガラス板11とガラス板12の合計の楔角は、例えば、0mradより大きく1.0mrad以下の範囲で変化する。
ガラス板11及び/又は12の外側に撥水、紫外線や赤外線カットの機能を有する被膜や、低反射特性、低放射特性を有する被膜を設けてもよい。又、ガラス板11及び/又は12の中間膜13と接する側に、紫外線や赤外線カット、低放射特性、可視光吸収、着色等の被膜を設けてもよい。
ガラス板11及び12が湾曲形状の無機ガラスである場合、ガラス板11及び12は、フロート法による成形の後、中間膜13による接着前に、曲げ成形される。曲げ成形は、ガラスを加熱により軟化させて行われる。曲げ成形時のガラスの加熱温度は、大凡550℃~700℃である。
〔中間膜〕
中間膜13としては熱可塑性樹脂が多く用いられ、例えば、可塑化ポリビニルアセタール系樹脂、可塑化ポリ塩化ビニル系樹脂、飽和ポリエステル系樹脂、可塑化飽和ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、可塑化ポリウレタン系樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体系樹脂、エチレン-エチルアクリレート共重合体系樹脂、シクロオレフィンポリマー樹脂、アイオノマー樹脂等の従来からこの種の用途に用いられている熱可塑性樹脂が挙げられる。又、特許第6065221号に記載されている変性ブロック共重合体水素化物を含有する樹脂組成物も好適に使用できる。
これらの中でも、透明性、耐候性、強度、接着力、耐貫通性、衝撃エネルギー吸収性、耐湿性、遮熱性、及び遮音性等の諸性能のバランスに優れることから、可塑化ポリビニルアセタール系樹脂が好適に用いられる。これらの熱可塑性樹脂は、単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。上記可塑化ポリビニルアセタール系樹脂における「可塑化」とは、可塑剤の添加により可塑化されていることを意味する。その他の可塑化樹脂についても同様である。
但し、中間膜13に発光装置15を封入する場合、封入する物の種類によっては特定の可塑剤により劣化することがあり、その場合には、その可塑剤を実質的に含有していない樹脂を用いることが好ましい。つまり、中間膜13が可塑剤を含まないことが好ましい場合がある。可塑剤を含有していない樹脂としては、例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合体系樹脂等が挙げられる。
上記ポリビニルアセタール系樹脂としては、ポリビニルアルコール(以下、必要に応じて「PVA」と言うこともある)とホルムアルデヒドとを反応させて得られるポリビニルホルマール樹脂、PVAとアセトアルデヒドとを反応させて得られる狭義のポリビニルアセタール系樹脂、PVAとn-ブチルアルデヒドとを反応させて得られるポリビニルブチラール樹脂(以下、必要に応じて「PVB」と言うこともある)等が挙げられ、特に、透明性、耐候性、強度、接着力、耐貫通性、衝撃エネルギー吸収性、耐湿性、遮熱性、及び遮音性等の諸性能のバランスに優れることから、PVBが好適なものとして挙げられる。なお、これらのポリビニルアセタール系樹脂は、単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
但し、中間膜13を形成する材料は、熱可塑性樹脂には限定されない。又、中間膜13は、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、発光剤等の機能性粒子を含んでもよい。又、中間膜13は、シェードバンドと呼ばれる着色部を有してもよい。着色部を形成するために用いられる着色顔料としては、プラスチック用として使用できるものであって、着色部の可視光線透過率が40%以下となるものであれば良く、特に限定されるものではないが、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ペリレン系、ペリノン系、ジオキサジン系、アンスラキノン系、イソインドリノ系などの有機着色顔料や、酸化物、水酸化物、硫化物、クロム酸、硫酸塩、炭酸塩、珪酸塩、燐酸塩、砒酸塩、フェロシアン化物、炭素、金属粉などの無機着色顔料等が挙げられる。これらの着色顔料は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。着色顔料の添加量は、着色部の可視光線透過率が40%以下となるものであるかぎり、目的の色調に合わせて任意で良く、特に限定されるものではない。
中間膜13の膜厚は、最薄部で0.5mm以上であることが好ましい。なお、中間膜13が第1中間膜131及び第2中間膜132からなる場合、中間膜13の膜厚とは、第1中間膜131の膜厚と第2中間膜132の膜厚とを合計した膜厚である。中間膜13の最薄部の膜厚が0.5mm以上であると合わせガラスとして必要な耐衝撃性が十分となる。又、中間膜13の膜厚は、最厚部で3mm以下であることが好ましい。中間膜13の膜厚の最大値が3mm以下であると、合わせガラスの質量が大きくなり過ぎない。中間膜13の膜厚の最大値は2.8mm以下がより好ましく、2.6mm以下が更に好ましい。
合わせガラス10が例えばヘッドアップディスプレイに用いられる場合、中間膜13は一定の膜厚ではなく、必要に応じて場所毎に膜厚が変わっても良い。例えば、合わせガラス10がフロントガラスである場合、中間膜13は、フロントガラスを車両に取り付けた状態でフロントガラスの下辺から上辺に向かうにつれて膜厚が厚くなる断面楔形状であってもよい。この場合、ガラス板11及び12の板厚が一定であれば、中間膜13の楔角は、例えば、0mradより大きく1.0mrad以下の範囲で変化する。
なお、中間膜13は、3層以上の層を有していてもよい。例えば、中間膜を3層以上から形成し、両側の層を除く何れかの層のせん断弾性率を可塑剤の調整等により両側の層のせん断弾性率よりも小さくすることにより、合わせガラス10の遮音性を向上できる。この場合、両側の層のせん断弾性率は同じでもよいし、異なってもよい。
又、中間膜13に含まれる第1中間膜131及び第2中間膜132は、同一の材料で形成することが望ましいが、第1中間膜131及び第2中間膜132を異なる材料で形成してもよい。但し、ガラス板11及び12との接着性、或いは合わせガラス10の中に入れ込む機能材料等の観点から、中間膜13の膜厚の50%以上は上記の材料を使うことが望ましい。
中間膜13を作製するには、例えば、中間膜となる上記の樹脂材料を適宜選択し、押出機を用い、加熱溶融状態で押し出し成形する。押出機の押出速度等の押出条件は均一となるように設定する。その後、押し出し成形された樹脂膜を、合わせガラスのデザインに合わせて、上辺及び下辺に曲率を持たせるために、例えば必要に応じ伸展することで、中間膜13が完成する。
〔合わせガラス〕
合わせガラス10の総厚は、2.8mm以上10mm以下であることが好ましい。合わせガラス10の総厚が2.8mm以上であれば、十分な剛性を確保できる。又、合わせガラス10の総厚が10mm以下であれば、十分な透過率が得られると共にヘイズを低減できる。
合わせガラス10の少なくとも1辺において、ガラス板11とガラス板12の板ずれが1.5mm以下であることが好ましく、1mm以下であることがより好ましい。ここで、ガラス板11とガラス板12の板ずれとは、すなわち、平面視におけるガラス板11の端部とガラス板12の端部のずれ量である。
合わせガラス10の少なくとも1辺において、ガラス板11とガラス板12の板ずれが1.5mm以下であると、外観を損なわない点で好適である。合わせガラス10の少なくとも1辺において、ガラス板11とガラス板12の板ずれが1.0mm以下であると、外観を損なわない点で更に好適である。
合わせガラス10を製造するには、ガラス板11とガラス板12との間に、中間膜13及び発光装置15を挟んで積層体とする。そして、例えば、この積層体をゴム袋やラバーチャンバー、樹脂製の袋等の中に入れ、-65~-100kPaの真空中で温度約70~110℃で接着する。加熱条件、温度条件、及び積層方法は、発光装置15の性質に配慮して、例えば、積層中に劣化しないように適宜選択される。
更に、例えば100~150℃、圧力0.6~1.3MPaの条件で加熱加圧する圧着処理を行うことで、より耐久性の優れた合わせガラス10を得られる。但し、場合によっては工程の簡略化、並びに合わせガラス10中に封入する材料の特性を考慮して、この加熱加圧工程を使用しない場合もある。
つまり、ガラス板11又はガラス板12のうち、何れか一方、又は両方のガラス板が互いに弾性変形した状態で接合されている、「コールドベンド」と呼ばれる方法を使用してもよい。コールドベンドは、テープ等の仮止め手段によって固定されたガラス板11、ガラス板12及び中間膜13及び発光装置15からなる積層体と、従来公知であるニップローラー又はゴム袋、ラバーチャンバー等の予備圧着装置及びオートクレーブを用いることで達成できる。
ガラス板11とガラス板12との間に、本願の効果を損なわない範囲で、中間膜13及び発光装置15の他に、電熱線、赤外線反射、発光、発電、調光、タッチパネル、可視光反射、散乱、加飾、吸収等の機能を持つフィルムやデバイスを有してもよい。又、合わせガラス10の表面に防曇、撥水、遮熱、低反射等の機能を有する膜を有していてもよい。又、ガラス板11の車外側の面やガラス板12の車内側の面に遮熱、発熱等の機能を有する膜を有していてもよい。
[発光素子の配置]
図4は、ドット領域と発光素子との位置関係について説明する図であり、図1Aの領域Bの部分拡大平面図である。図4に示すように、第1遮蔽層14は、第1帯状領域141と、第1ドット領域142とを有する。
第1帯状領域141は、遮蔽層が連続的に隙間なく形成された領域である。第1ドット領域142は、平面視において、第1帯状領域141の一端側の端部141aに沿って複数のドット142dが点在するように配置された領域である。第1帯状領域141は、例えば、平面視において、合わせガラス10の周縁部に配置され、第1ドット領域142は、例えば、第1帯状領域141の内周側の全周に配置される。或いは、第1ドット領域142は、平面視において、第1帯状領域141の内周側の一部に配置されてもよい。
第1遮蔽層14は、上述したように、例えば、黒色顔料を含有する溶融性ガラスフリットを含むセラミックカラーペーストをガラス板上に塗布し、焼成することで形成される。ところで、車両用の窓ガラスとして用いられるガラス板は、湾曲形状であることが多い。ガラス板の曲げ成形は、ガラスを加熱により軟化させて行われるが、第1遮蔽層14の焼成は、ガラス板の曲げ成形工程と、その後の徐冷工程又は冷却工程とともに行われる。この時、ガラス板において黒色顔料を含有する溶融性ガラスフリットを含むセラミックカラーペーストが塗布された領域と塗布されていない領域とでは、ガラス板の加熱時の熱吸収に差が生じてしまう。その結果、セラミックカラーペーストが塗布された領域と塗布されていない領域の境界部分において、ガラス面に凸状または凹状の変形部が発生してしまう。そして、ガラス面に形成された凸状または凹状の変形部が存在するガラス板を車両に搭載し、車両内の乗客がガラス板を介して車外側を見ると、ガラス面上の変形部により透視歪が生じてしまい、車両内の乗客に不快感を与えてしまう。
そこで、セラミックカラーペーストが塗布された領域とセラミックカラーペーストが塗布されない領域の境界領域にセラミックカラーペーストをドット状に塗布しておくことで、ガラス板の加熱時の熱吸収の差を緩和させ、ガラス面の変形部を抑制させることができる。
第1ドット領域142において、ドット142dの形状や大きさは、必要に応じて決定できるが、例えば、直径が0.5mm~2.5mmの円形や、その半分の半円形である。
第1ドット領域142において、平面視において、ドット142dは、例えば、第1帯状領域141の端部141aに平行に複数列に配列できる。各列において、例えば、ドット142dは等間隔に配置される。
第1ドット領域142において、一部のドット142dは第1帯状領域141の端部141aと連続的に形成されてもよい。例えば、図4の例では、第1帯状領域141の端部141a側から視て1列目のドット142dは、端部141aと連続的に形成された略半円形状のドットである。但し、第1帯状領域141の端部141a側から視て1列目のドット142dは、端部141aと接していなくてもよい。この場合、1列目のドット142dも円形となる。
第1ドット領域142において、ドット142dの配列数は任意に決定できる。つまり、図4では略半円形状のドット142dを含めてドットが3列に配列されているが、ドット142dの配列数は図4の例には限定されない。又、1列に大きさや形状の異なるドット142dが混在してもよい。例えば、2種類の大きさのドット142dが、交互に配置されてもよい。
第1ドット領域142の端部142aは、第1帯状領域141の端部141a側から視て最外列のドット142dの端部141aから最も離れた位置により決定される。第1帯状領域141の端部141aからドット領域の端部142aまでの幅Wは、例えば一定であり、Wは0.5mm以上80mm未満であることが好ましい。
第1ドット領域142において、ドット142dの密度は、一定であってもよい。或いは、第1帯状領域141の端部141a側が密で、端部141aから離れるにつれて疎になるようにドット142dの密度を調整し、グラデーション模様を形成してもよい。図4の例では、第1帯状領域141の端部141aから遠い列ほどドット142dを小径にすることで、グラデーション模様を形成している。グラデーション模様を形成することは、第1ドット領域142における遮光性の向上のみならず、上述した第1帯状領域141が形成される領域と、第1遮蔽層14が形成されていない透視領域との間の熱吸収の差を緩やかにできるため、より透視歪の低減に有効である。
発光装置15において、各々の発光素子152は、平面視において、外形の少なくとも一部が第1ドット領域142と重複するように配置されている。図4の例では、発光装置15の各々の発光素子152は、第1帯状領域141の端部141aに沿って所定間隔で2列に配列されている。
第1帯状領域141の端部141aに近い列を構成する各々の発光素子152は、平面視において、各々の発光素子152の外形の全体が第1ドット領域142内に位置している。具体的には、第1帯状領域141の端部141aに近い列(以降、第1列とする)を構成する各々の発光素子152は、隣接するドット142d間に、何れのドット142dとも接しないように配置されている。
第1帯状領域141の端部141aから遠い列(以降、第2列とする)を構成する各々の発光素子152は、平面視において、外形が第1ドット領域142からはみ出ている部分を有するが、外形の一部(図4の例では、一方の短辺)が第1ドット領域142の端部142aと接している。
このように、『各々の発光素子152は、平面視において、外形の少なくとも一部が第1ドット領域142と重複するように配置されている』は、発光装置15が、外形の全体が第1ドット領域142内に位置している発光素子152と、外形が第1ドット領域142からはみ出ている部分を有するが外形の一部が第1ドット領域142の端部142aと接している発光素子152とを有する場合を含む。
但し、図5に示すように、第2列を構成する各々の発光素子152は、平面視において、外形の一部が第1ドット領域142と重複するように配置され、外形の他部が第1ドット領域142内からはみ出してもよい。『各々の発光素子152は、平面視において、外形の少なくとも一部が第1ドット領域142と重複するように配置されている』は、図5に示す態様も含む。
又、図6に示すように、第2列を構成する各々の発光素子152は、平面視において、外形の全部が第1ドット領域142と重複するように配置されてもよい。図6では、平面視において、第1列及び第2列の全ての発光素子152が第1ドット領域142と重複するように配置されている。『各々の発光素子152は、平面視において、外形の少なくとも一部が第1ドット領域142と重複するように配置されている』は、図6に示す態様も含む。
又、図7及び図8に示すように、第2列を構成する発光素子152の少なくとも1つは、平面視において、ドット142dと重複するように配置されてもよい。或いは、第2列を構成する発光素子152の全部は、平面視において、ドット142dと重複するように配置されてもよい。なお、図示はしないが、第1列を構成する各々の発光素子152の一部又は全部も、外形の一部が平面視においてドット142dと重複してもよい。
発光素子152の外形の一部又は全部がドット142dと重複しても、発光素子152からの出射光はドット142dに当たって散乱するため、発光素子152からの出射光を車内側から視認可能である。
なお、図4~図8の各態様は混在してもよい。例えば、第2列がジグザグ状に配置されており、外形の一部が第1ドット領域142の端部142aと接するように位置している発光素子152、外形の一部のみが第1ドット領域142内に位置している発光素子152、外形の全部が第1ドット領域142内に位置している発光素子152が混在してもよい。又、外形の一部がドット142dと重複している発光素子152、外形の全部がドット142dと重複している発光素子152、外形がドット142dと重複していない発光素子152が混在してもよい。
又、図4~図8に示したように、第1ドット領域142において、各々のドット142dの形状は例えば円形(一部に半円形も含む)であるが、例えば、図9に示すドット142eのように、各々のドットの形状は四角形でもよい。或いは、第1ドット領域142において、各々のドットの形状は、図4~図9以外の形状(例えば、楕円形や四角形以外の多角形等)でもよく、複数の形状が混在してもよい。
なお、図10に示す合わせガラス10Aのように、ガラス板12の車内側の面にも第1遮蔽層14と同様の第2遮蔽層16が形成されていてもよい。第2遮蔽層16は、第1帯状領域141と同様に第2帯状領域161を備えていてもよい。第2帯状領域161は、平面視において、少なくとも一部が第1帯状領域141と重なる様に形成されていることが好ましい。又、第2遮蔽層16は、第1ドット領域142と同様に、第2帯状領域161の一端側に沿って複数のドットが配置された第2ドット領域162を備えていてもよい。各々の発光素子152は、平面視において、外形の少なくとも一部が第2ドット領域162と重複するように配置されていてもよい。ガラス板11の車内側の面の周縁部及びガラス板12の車内側の面の周縁部の両方に遮蔽層が設けられた場合には、発光素子152の非発光時に発光素子152の外形が車内側からのみならず、車外側からの両方から視認しにくくなる点で好適である。又、発光装置15と電気的に接続されるバスバーや電極が車外側及び車内側の両方から視認しにくくなる点で好適である。
このように、合わせガラス10は、中間膜13に封入された発光装置15と、ガラス板11の車内側の面に設けられた第1遮蔽層14とを有する。そして、発光装置15は、ガラス板11を介して車両の内部に光を出射する複数の発光素子152を備え、第1遮蔽層14は、第1帯状領域141と、第1帯状領域141の一端側に沿って複数のドットが配置された第1ドット領域142とを備えている。そして、各々の発光素子152は、平面視において、外形の少なくとも一部が第1ドット領域142と重複するように配置されている。
これにより、各々の発光素子152が、第1ドット領域142を構成するドットと調和して目立たなくなるため、発光素子152の非発光時に発光素子152の外形が車内から視認されデザイン性が低下することを抑制できる。
特に、図6~図8に示すように、発光素子152の全部が平面視において第1ドット領域142と重複するように配置されている場合は、発光素子152の非発光時に発光素子152の外形が一層目立ち難くなる。そのため、一部の発光素子152が第1ドット領域142からはみ出ている場合と比べて、デザイン上特に好ましい。
又、平面視で第1ドット領域142と重複する領域の少なくとも一部において、中間膜13が着色部を有していてもよい。平面視で第1ドット領域142と重複する領域の少なくとも一部において中間膜13が着色部を有する場合、各々の発光素子152は、第1ドット領域142を構成するドットと調和するだけではなく着色部によってより目立たなくなるため、発光素子152の非発光時に発光素子152の外形が車内から視認されデザイン性が低下することを更に抑制できる。
又、自動車の遮蔽層において、帯状領域の一端側に沿ってドット領域(グラデーション領域等と称される場合もある)が設けられることは一般的である。そのため、発光素子152を目立たなくする目的で新たに第1遮蔽層14を拡幅する必要はなく、既に存在するドット領域を利用できる。その結果、発光装置15を封入した合わせガラス10において、透視領域の面積の減少を抑制できる。
なお、図1Aでは、合わせガラス10の左辺及び右辺近傍の2つの領域に発光装置15が配置される例を示したが、発光装置15は、合わせガラス10の左辺及び/又は右辺近傍の1つの領域に配置されてもよいし、3つ以上の領域に配置されてもよい。
又、発光装置15が配置される領域は、合わせガラスの左辺及び右辺近傍には限定されず、例えば、図11に示す合わせガラス10Bのように、上辺近傍の2つの領域Bに発光装置15を配置してもよい。或いは、合わせガラス10Bの上辺近傍の1つ又は3つ以上の領域に、発光装置15を配置してもよい。
又、図12に示す合わせガラス10Cように、下辺近傍の1つの領域Bに、発光装置15を配置してもよい。或いは、合わせガラス10Cの下辺近傍の2つ以上の領域に、発光装置15を配置してもよい。或いは、発光装置15は、合わせガラスの左辺近傍、右辺近傍、上辺近傍、及び下辺近傍から選択された何れか2つ以上の領域に配置してもよい。
図13は、本実施形態に係る合わせガラスの変形例4を示す平面図であり、合わせガラス10Dをリアクォーターウインドウに適用した例を示している。図13において、合わせガラス10Dの周縁部には枠体50が取り付けられている。
図1Aに示す合わせガラス10は、左辺、右辺、上辺、下辺を備えている四角形状であるが、例えば、図13に示す合わせガラス10Dのように、リアクォーターウインドウ等の三角形状である場合、三つの辺のうち、少なくとも何れか一辺の近傍の少なくとも1つ以上の領域に発光装置15を配置してもよい。
以上、好ましい実施形態等について詳説したが、上述した実施形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
例えば、ガラス板12の車内側の面にも遮蔽層を有する場合には、この遮蔽層を、ガラス板11に形成された第1遮蔽層14と同様に、帯状領域と、帯状領域の一端側に沿って複数のドットが配置されたドット領域とを備えた構成としてもよい。そして、各々の発光素子152が、平面視において、外形の少なくとも一部がガラス板12に形成されたドット領域とも重複するように配置されるとよい。これにより、発光素子152の非発光時に発光素子152の外形が車内から視認されデザイン性が低下することを抑制できると共に、発光素子152の非発光時に発光素子152の外形が車外から視認されデザイン性が低下することを抑制できる。なお、ガラス板12の車内側の面にドット領域を備えた遮蔽層を有する場合も、ドット領域と発光素子との位置関係は、例えば、図4~図8に示した態様と同様にできる。