以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明するが、各図面において、同一の又は対応する構成については同一の又は対応する符号を付して説明を省略する。
図1は、一実施形態による射出成形機の型開完了時の状態を示す図である。図2は、一実施形態による射出成形機の型締時の状態を示す図である。図1および図2に示すように、射出成形機は、フレームFrと、型締装置10と、射出装置40と、エジェクタ装置50と、制御装置90とを有する。
先ず、型締装置10およびエジェクタ装置50について説明する。型締装置10およびエジェクタ装置50の説明では、型閉時の可動プラテン13の移動方向(図1および図2中右方向)を前方とし、型開時の可動プラテン13の移動方向(図1および図2中左方向)を後方として説明する。
型締装置10は、金型装置30の型閉、型締、型開を行う。型締装置10は例えば横型であって、型開閉方向が水平方向である。型締装置10は、固定プラテン12、可動プラテン13、トグルサポート15、タイバー16、トグル機構20、型締モータ25および運動変換機構26を有する。
固定プラテン12は、フレームFrに対し固定される。固定プラテン12における可動プラテン13との対向面に固定金型32が取付けられる。
可動プラテン13は、フレームFrに対し型開閉方向に移動自在とされる。フレームFr上には、可動プラテン13を案内するガイド17が敷設される。可動プラテン13における固定プラテン12との対向面に可動金型33が取付けられる。
固定プラテン12に対し可動プラテン13を進退させることにより、型閉、型締、型開が行われる。固定金型32と可動金型33とで金型装置30が構成される。
トグルサポート15は、固定プラテン12と間隔をおいて連結され、フレームFr上に型開閉方向に移動自在に載置される。尚、トグルサポート15は、フレームFr上に敷設されるガイドに沿って移動自在とされてもよい。トグルサポート15のガイドは、可動プラテン13のガイド17と共通のものでもよい。
尚、本実施形態では、固定プラテン12がフレームFrに対し固定され、トグルサポート15がフレームFrに対し型開閉方向に移動自在とされるが、トグルサポート15がフレームFrに対し固定され、固定プラテン12がフレームFrに対し型開閉方向に移動自在とされてもよい。
タイバー16は、固定プラテン12とトグルサポート15とを間隔をおいて連結する。タイバー16は、複数本用いられてよい。各タイバー16は、型開閉方向に平行とされ、型締力に応じて伸びる。少なくとも1本のタイバー16には型締力検出器18が設けられる。型締力検出器18は、タイバー16の歪みを検出することによって型締力を検出し、検出結果を示す信号を制御装置90に送る。
尚、型締力検出器18は、歪みゲージ式に限定されず、圧電式、容量式、油圧式、電磁式などでもよく、その取付け位置もタイバー16に限定されない。
トグル機構20は、可動プラテン13とトグルサポート15との間に配設され、トグルサポート15に対し可動プラテン13を型開閉方向に移動させる。トグル機構20は、クロスヘッド21、一対のリンク群などで構成される。各リンク群は、ピンなどで屈伸自在に連結される第1リンク22および第2リンク23を有する。第1リンク22は可動プラテン13に対しピンなどで揺動自在に取付けられ、第2リンク23はトグルサポート15に対しピンなどで揺動自在に取付けられる。第2リンク23は、第3リンク24を介してクロスヘッド21に取付けられる。トグルサポート15に対しクロスヘッド21を進退させると、第1リンク22および第2リンク23が屈伸し、トグルサポート15に対し可動プラテン13が進退する。
尚、トグル機構20の構成は、図1および図2に示す構成に限定されない。例えば図1および図2では、各リンク群の節点の数が5つであるが、4つでもよく、第3リンク24の一端部が、第1リンク22と第2リンク23との節点に結合されてもよい。
型締モータ25は、トグルサポート15に取付けられており、トグル機構20を作動させる。型締モータ25は、トグルサポート15に対しクロスヘッド21を進退させることにより、第1リンク22および第2リンク23を屈伸させ、トグルサポート15に対し可動プラテン13を進退させる。型締モータ25は、運動変換機構26に直結されるが、ベルトやプーリなどを介して運動変換機構26に連結されてもよい。
運動変換機構26は、型締モータ25の回転運動をクロスヘッド21の直線運動に変換する。運動変換機構26は、ねじ軸と、ねじ軸に螺合するねじナットとを含む。ねじ軸と、ねじナットとの間には、ボールまたはローラが介在してよい。
型締装置10は、制御装置90による制御下で、型閉工程、型締工程、型開工程などを行う。
型閉工程では、型締モータ25を駆動してクロスヘッド21を設定速度で型閉完了位置まで前進させることにより、可動プラテン13を前進させ、可動金型33を固定金型32にタッチさせる。クロスヘッド21の位置や速度は、例えば型締モータ25のエンコーダ25aなどを用いて検出する。エンコーダ25aは、型締モータ25の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置90に送る。
型締工程では、型締モータ25をさらに駆動してクロスヘッド21を型閉完了位置から型締位置までさらに前進させることで型締力を生じさせる。型締時に可動金型33と固定金型32との間にキャビティ空間34が形成され、射出装置40がキャビティ空間34に液状の成形材料を充填する。充填された成形材料が固化されることで、成形品が得られる。キャビティ空間34の数は複数でもよく、その場合、複数の成形品が同時に得られる。
型開工程では、型締モータ25を駆動してクロスヘッド21を設定速度で型開完了位置まで後退させることにより、可動プラテン13を後退させ、可動金型33を固定金型32から離間させる。その後、エジェクタ装置50が可動金型33から成形品を突き出す。
尚、本実施形態の型締装置10は、駆動源として、型締モータ25を有するが、型締モータ25の代わりに、油圧シリンダを有してもよい。また、型締装置10は、型開閉用にリニアモータを有し、型締用に電磁石を有してもよい。
エジェクタ装置50は、金型装置30から成形品を突き出す。エジェクタ装置50は、エジェクタモータ51、運動変換機構52、およびエジェクタロッド53を有する。
エジェクタモータ51は、可動プラテン13に取付けられる。エジェクタモータ51は、運動変換機構52に直結されるが、ベルトやプーリなどを介して運動変換機構52に連結されてもよい。
運動変換機構52は、エジェクタモータ51の回転運動をエジェクタロッド53の直線運動に変換する。運動変換機構52は、ねじ軸と、ねじ軸に螺合するねじナットとを含む。ねじ軸と、ねじナットとの間には、ボールまたはローラが介在してよい。
エジェクタロッド53は、可動プラテン13の貫通穴において進退自在とされる。エジェクタロッド53の前端部は、可動金型33の内部に進退自在に配設される可動部材35と接触する。エジェクタロッド53の前端部は、可動部材35と連結されていても、連結されていなくてもよい。
エジェクタ装置50は、制御装置90による制御下で、突き出し工程を行う。
突き出し工程では、エジェクタモータ51を駆動してエジェクタロッド53を設定速度で前進させることにより、可動部材35を前進させ、成形品を突き出す。その後、エジェクタモータ51を駆動してエジェクタロッド53を設定速度で後退させ、可動部材35を元の位置まで後退させる。エジェクタロッド53の位置や速度は、例えばエジェクタモータ51のエンコーダ51aを用いて検出する。エンコーダ51aは、エジェクタモータ51の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置90に送る。
次に、射出装置40について説明する。射出装置40の説明では、型締装置10などの説明と異なり、充填時のスクリュ43の移動方向(図1および図2中左方向)を前方とし、計量時のスクリュ43の移動方向(図1および図2中右方向)を後方として説明する。
射出装置40は、フレームFrに対し進退自在なスライドベースSbに設置され、金型装置30に対し進退自在とされる。射出装置40は、金型装置30にタッチされ、金型装置30内のキャビティ空間34に成形材料を充填する。キャビティ空間34に充填された成形材料を冷却固化させることで、成形品が得られる。射出装置40は、例えば、シリンダ41、ノズル42、スクリュ43、冷却器44、計量モータ45、射出モータ46、圧力検出器47、加熱器48、および温度検出器49を有する。
シリンダ41は、供給口41aから内部に供給された成形材料を加熱する。供給口41aはシリンダ41の後部に形成される。シリンダ41の後部の外周には、水冷シリンダなどの冷却器44が設けられる。冷却器44よりも前方において、シリンダ41の外周には、バンドヒータなどの加熱器48と温度検出器49とが設けられる。
シリンダ41は、シリンダ41の軸方向(図1および図2中左右方向)に複数のゾーンに区分される。各ゾーンに加熱器48と温度検出器49とが設けられる。ゾーン毎に、温度検出器49の検出温度が設定温度になるように、制御装置90が加熱器48を制御する。
ノズル42は、シリンダ41の前端部に設けられ、金型装置30に対し押し付けられる。ノズル42の外周には、加熱器48と温度検出器49とが設けられる。ノズル42の検出温度が設定温度になるように、制御装置90が加熱器48を制御する。
スクリュ43は、シリンダ41内において回転自在に且つ進退自在に配設される。スクリュ43を回転させると、スクリュ43の螺旋状の溝に沿って成形材料が前方に送られる。成形材料は、前方に送られながら、シリンダ41からの熱によって徐々に溶融される。液状の成形材料がスクリュ43の前方に送られシリンダ41の前部に蓄積されるにつれ、スクリュ43が後退させられる。その後、スクリュ43を前進させると、スクリュ43前方の成形材料がノズル42から射出され、金型装置30内に充填される。
計量モータ45は、スクリュ43を回転させる。
射出モータ46は、スクリュ43を進退させる。射出モータ46の回転運動は、ボールねじなどの運動変換機構によってスクリュ43の直線運動に変換される。
圧力検出器47は、射出モータ46とスクリュ43との間の力の伝達経路に設けられ、圧力検出器47に作用する荷重を検出する。圧力検出器47は、その検出結果を示す信号を制御装置90に送る。圧力検出器47の検出結果は、スクリュ43が成形材料から受ける圧力、スクリュ43に対する背圧、スクリュ43から成形材料に作用する圧力などの制御や監視に用いられる。
射出装置40は、制御装置90による制御下で、充填工程、保圧工程、計量工程などを行う。
充填工程では、射出モータ46を駆動してスクリュ43を設定速度で前進させ、スクリュ43の前方に蓄積された液状の成形材料を金型装置30内のキャビティ空間34に充填させる。スクリュ43の位置や速度は、例えば射出モータ46のエンコーダ46aを用いて検出する。エンコーダ46aは、射出モータ46の回転を検出し、その検出結果を示す信号を制御装置90に送る。スクリュ43の位置が設定位置に達すると、充填工程から保圧工程への切替(所謂、V/P切替)が行われる。スクリュ43の設定速度は、スクリュ43の位置や時間などに応じて変更されてよい。
尚、充填工程においてスクリュ43の位置が設定位置に達した後、その設定位置にスクリュ43を一時停止させ、その後にV/P切替が行われてもよい。V/P切替の直前において、スクリュ43の停止の代わりに、スクリュ43の微速前進または微速後退が行われてもよい。
保圧工程では、射出モータ46を駆動してスクリュ43を設定圧力で前方に押し、金型装置30内の成形材料に圧力をかける。冷却収縮による不足分の成形材料が補充できる。成形材料の圧力は、例えば圧力検出器47を用いて検出する。圧力検出器47は、その検出結果を示す信号を制御装置90に送る。
保圧工程ではキャビティ空間34の成形材料が徐々に冷却され、保圧工程完了時にはキャビティ空間34の入口が固化した成形材料で塞がれる。この状態はゲートシールと呼ばれ、キャビティ空間34からの成形材料の逆流が防止される。保圧工程後、冷却工程が開始される。冷却工程では、キャビティ空間34内の成形材料の固化が行われる。成形サイクルの短縮のため、冷却工程中に計量工程が行われてよい。
計量工程では、計量モータ45を駆動してスクリュ43を設定回転数で回転させ、スクリュ43の螺旋状の溝に沿って成形材料を前方に送る。これに伴い、成形材料が徐々に溶融される。液状の成形材料がスクリュ43の前方に送られシリンダ41の前部に蓄積されるにつれ、スクリュ43が後退させられる。スクリュ43の回転数は、例えば計量モータ45のエンコーダ45aを用いて検出する。エンコーダ45aは、その検出結果を示す信号を制御装置90に送る。
計量工程では、スクリュ43の急激な後退を制限すべく、射出モータ46を駆動してスクリュ43に対して設定背圧を加えてよい。スクリュ43に対する背圧は、例えば圧力検出器47を用いて検出する。圧力検出器47は、その検出結果を示す信号を制御装置90に送る。スクリュ43が設定位置まで後退し、スクリュ43の前方に所定量の成形材料が蓄積されると、計量工程が完了する。
制御装置90は、図1や図2に示すようにCPU(Central Processing Unit)91と、メモリなどの記憶媒体92と、入力インターフェイス93と、出力インターフェイス94とを有する。制御装置90は、記憶媒体92に記憶されたプログラムをCPU91に実行させることにより、各種の制御を行う。また、制御装置90は、入力インターフェイス93で外部からの信号を受信し、出力インターフェイス94で外部に信号を送信する。
図3は、一実施形態による射出装置を示す図である。射出装置40は、シリンダ41やスクリュ43、計量モータ45、射出モータ46などの他に、射出フレーム61、計量駆動軸62、射出駆動軸63などを有する。
射出フレーム61は、スライドベースSbに固定されている。射出フレーム61に対して、シリンダ41、計量モータ45、射出モータ46、射出駆動軸63のねじ軸64に螺合するねじナット65が固定される。
射出フレーム61は、例えば、前方サポート61aと、前方サポート61aの後方に設けられる後方サポート61bと、前方サポート61aおよび後方サポート61bを連結する連結ロッド61cとを有する。前方サポート61aに対して、シリンダ41、計量モータ45が固定される。後方サポート61bに対して、射出モータ46、ねじナット65が固定される。
計量モータ45は、射出フレーム61に対し固定される固定子45b、固定子45bに保持される軸受45c、および軸受45cに回転自在に支持される回転子45dを有する。回転子45dの内周側には、回転子45dの回転運動によって回転直線運動する計量駆動軸62が配設されている。
計量駆動軸62は、計量モータ45の回転子45dに対しスプライン結合されており、回転子45dに対し回転拘束されている。具体的には、計量駆動軸62は周方向に間隔をおいて複数のキーを外周に有し、回転子45dは複数のキーが摺動自在に挿入される複数のキー溝を内周に有する。尚、キーの数やキー溝の数は1つでもよい。
計量モータ45を駆動すると、計量駆動軸62やスクリュ43が回転する。これにより、スクリュ43の螺旋状の溝に沿って成形材料が前方に送られる。成形材料がスクリュ43の前方に送られシリンダ41の前部に蓄積されるにつれ、スクリュ43や計量駆動軸62が後退させられる。従って、計量モータ45を駆動すると、計量駆動軸62が回転しながら後退する。
射出モータ46は、射出フレーム61に対し固定される固定子46b、固定子46bに保持される軸受46c、および軸受46cに回転自在に支持される回転子46dを有する。回転子46dの内周側には、回転子46dの回転運動によって回転直線運動する射出駆動軸63が配設されている。
射出駆動軸63は、射出モータ46の回転子46dに対しスプライン結合されており、回転子46dに対し回転拘束されている。射出駆動軸63はねじ軸64を含み、そのねじ軸64に螺合するねじナット65が射出フレーム61に対し固定されている。そのため、射出モータ46を駆動すると、射出駆動軸63が回転しながら進退する。尚、ねじ軸64とねじナット65の間には、ボールまたはローラが介在してよい。
射出駆動軸63の前端部は、計量駆動軸62が保持する軸受66によって回転自在に支持される。軸受66の外輪は筒状の計量駆動軸62の内周側に固定され、軸受66の内輪は射出駆動軸63の外周側に固定される。これにより、射出駆動軸63から計量駆動軸62への回転運動の伝達を防止できる。射出モータ46を駆動して、射出駆動軸63を回転させながら進退させると、計量駆動軸62やスクリュ43が進退する。
ところで、射出モータ46を駆動すると、回転子46dと射出駆動軸63とが回転運動の接線方向に接触し合いながら、射出駆動軸63が回転子46dに対し直線運動するので、その直線運動によって回転子46dや軸受46cが引き摺られようとする。
そこで、射出モータ46の固定子46bは、2つの軸受46cのうち前側の軸受46c(以下、単に「前側の軸受46c」と呼ぶ。)を前方から押さえる前壁面46eと、2つの軸受46cのうち後側の軸受46c(以下、単に「後側の軸受46c」と呼ぶ。)を後方から押さえる後壁面46fとを有する。前壁面46eと後壁面46fとで、軸受46cの前後両側への移動を制限できる。
しかしながら、射出モータ46の組み立て性を確保するため、前壁面46eと後壁面46fとの間隔W1は、前側の軸受46cの前端面と後側の軸受46cの後端面との間隔W2よりも僅かに大きく設定されている。
そこで、射出モータ46は、固定子46bに対し軸受46cを軸方向片側に付勢する付勢部材46gを有する。付勢部材46gは、回転しないように、軸受46cの内輪ではなく、軸受46cの外輪に当接してよい。
付勢部材46gとしては、例えばコイルバネなどのバネが用いられる。複数のバネが軸受46cの中心線を中心に対称配置されてもよいし、1つのバネが軸受46cの周方向全体に沿って設けられてもよい。尚、バネは、皿バネなどでもよい。
尚、付勢部材46gとしては、ゴム板なども使用可能である。複数のゴム板が軸受46cの中心線を中心に対称配置されてもよいし、1つのゴム板が軸受46cの周方向全体に沿って設けられてもよい。後者の場合、ゴム板の形状はリング状であってよい。
例えば、付勢部材46gの付勢力が前向きの場合、図3に示すように前側の軸受46cと前壁面46eとの間の隙間が無くなるので、前向きのスラスト力が軸受46cに作用しても、軸受46cが前方に動かない。また、軸受46cの後方への移動を前向きの付勢力で制限できる。よって、軸受46cの振動を抑制でき、その振動による不具合、例えば衝撃によるエンコーダ46aの損傷や衝撃音の発生などを抑制できる。
尚、付勢部材46gの付勢力は後向きでもよい。この場合、後側の軸受46cと後壁面46fとの間の隙間が無くなるので、後向きのスラスト力が軸受46cに作用しても、軸受46cが後方に動かない。また、軸受46cの前方への移動を後向きの付勢力で制限できる。この場合も、軸受46cの振動を抑制でき、その振動による不具合、例えば衝撃によるエンコーダ46aの損傷や衝撃音の発生などを抑制できる。
射出モータ46は、軸受46cと付勢部材46gとの間にリング状部材46hを有してよい。リング状部材46hを介して、付勢部材46gの付勢力が軸受46cに作用する。リング状部材46hによって、付勢力を周方向全体に分散できる。
軸受46cに作用するスラスト力の向きは、射出駆動軸63の直線運動方向である。充填工程では、射出駆動軸63を回転させながら前進させるので、前向きのスラスト力が軸受46cに作用する。一方、計量工程では、射出駆動軸63を回転させながら後退させるので、後向きのスラスト力が軸受46cに作用する。
また、軸受46cに作用するスラスト力の大きさは、摩擦係数と、接線力の積に比例する。接線力は、射出モータ46のトルクに比例する。従って、射出モータ46のトルクが大きいほど、接線力が大きく、スラスト力が大きい。
一般的に、計量工程における射出モータ46のトルクは、充填工程における射出モータ46のトルクよりも小さい。従って、計量工程で軸受46cに作用する後向きのスラスト力は、充填工程で軸受46cに作用する前向きのスラスト力よりも小さい。
そこで、付勢部材46gは、固定子46bに対し軸受46cを、射出方向(ここでは前方)に付勢してよい。前向きの付勢力は後向きのスラスト力に対抗するためのものであり、後向きのスラスト力は前向きのスラスト力よりも小さいからである。
付勢部材46gは、例えば後側の軸受46cの後方に自然状態よりも圧縮した状態で設置され、その弾性復元力によって軸受46cを前方に付勢してよい。尚、付勢部材46gは、前側の軸受46cの前方に、自然状態よりも伸ばした状態で設置され、その弾性復元力によって軸受46cを前方に付勢してもよい。
付勢部材46gの耐久性の観点から、付勢部材46gは圧縮した状態で使用されてよい。一方、射出モータ46の組み立て性の観点から、付勢部材46gは伸ばした状態で使用されてもよい。射出モータ46の組み立てはエンコーダ46aを下に向けて行われ、下側の部品は上側の部品よりも先に組み付けられる。付勢部材46gの組み付けの順番を遅くすることで、組み立てのためのクリアランスを確保しやすい。
付勢部材46gの付勢力は、その付勢力とは反対向きに軸受46cに作用するスラスト力よりも大きく設定されてよい。軸受46cが前後両側に移動しなくなる。そのために必要な付勢力をできるだけ低減するため、付勢部材46gは、固定子46bに対し軸受46cを、射出方向(ここでは前方)に付勢してよい。上述の如く、前向きの付勢力は後向きのスラスト力に対抗するためのものであり、後向きのスラスト力は前向きのスラスト力よりも小さいからである。
尚、前壁面46eは、本実施形態では前側の軸受46cの前方に設けられるが、後側の軸受46cの前方に設けられてもよい。また、後壁面46fは、本実施形態では後側の軸受46cの後方に設けられるが、前側の軸受46cの後方に設けられてもよい。また、軸受46cの数は、本実施形態では2つであるが、1つでもよいし、3つ以上でもよい。
ところで、計量モータ45を駆動すると、回転子45dと計量駆動軸62とが回転運動の接線方向に接触し合いながら、計量駆動軸62が回転子45dに対し直線運動するので、その直線運動によって回転子45dや軸受45cが引き摺られようとする。
そこで、計量モータ45の固定子45bは、2つの軸受45cのうち前側の軸受45c(以下、単に「前側の軸受45c」と呼ぶ。)を前方から押さえる前壁面45eと、2つの軸受45cのうち後側の軸受45c(以下、単に「後側の軸受45c」と呼ぶ。)を後方から押さえる後壁面45fとを有する。前壁面45eと後壁面45fとで、軸受45cの前後両側への移動を制限できる。
しかしながら、計量モータ45の組み立て性を確保するため、前壁面45eと後壁面45fとの間隔W3は、前側の軸受45cの前端面と後側の軸受45cの後端面との間隔W4よりも僅かに大きく設定されている。
そこで、計量モータ45は、固定子45bに対し軸受45cを軸方向片側に付勢する付勢部材45gを有する。付勢部材45gは、回転しないように、軸受45cの内輪ではなく、軸受45cの外輪に当接してよい。
付勢部材45gとしては、例えばコイルバネなどのバネが用いられる。複数のバネが軸受45cの中心線を中心に対称配置されてもよいし、1つのバネが軸受45cの周方向全体に沿って設けられてもよい。尚、バネは皿バネなどでもよい。
尚、付勢部材45gとしては、ゴム板なども使用可能である。複数のゴム板が軸受45cの中心線を中心に対称配置されてもよいし、1つのゴム板が軸受45cの周方向全体に沿って設けられてもよい。後者の場合、ゴム板の形状はリング状であってよい。
例えば、付勢部材45gの付勢力が後向きの場合、図3に示すように後側の軸受45cと後壁面45fとの間の隙間が無くなるので、後向きのスラスト力が軸受45cに作用しても、軸受45cが後方に動かない。また、軸受45cの前方への移動を後向きの付勢力で制限できる。よって、軸受45cの振動を抑制でき、その振動による不具合、例えば衝撃によるエンコーダ45aの損傷や衝撃音の発生などを抑制できる。
尚、付勢部材45gの付勢力は前向きでもよい。この場合、前側の軸受45cと前壁面45eとの間の隙間が無くなるので、前向きのスラスト力が軸受45cに作用しても、軸受45cが前方に動かない。また、軸受45cの後方への移動を前向きの付勢力で制限できる。この場合も、軸受45cの振動を抑制でき、その振動による不具合、例えば衝撃によるエンコーダ45aの損傷や衝撃音の発生などを抑制できる。
計量モータ45は、軸受45cと付勢部材45gとの間にリング状部材45hを有してよい。リング状部材45hを介して、付勢部材45gの付勢力が軸受45cに作用する。リング状部材45hによって、付勢力を周方向全体に分散できる。
尚、本発明は、射出モータ46、計量モータ45のいずれか一方のみに適用されてもよい。
本実施形態では、射出装置40がインライン・スクリュ方式であり、スクリュ43が特許請求の範囲に記載の射出部材に対応する。尚、射出装置40は、プリプラ方式でもよい。
プリプラ方式の射出装置は、可塑化シリンダ内で溶融された成形材料を射出シリンダに供給し、射出シリンダから金型装置内に成形材料を射出する。可塑化シリンダ内にはスクリュが回転自在に且つ進退自在に配設され、射出シリンダ内にはプランジャが進退自在に配設される。プリプラ方式の場合、プランジャが特許請求の範囲に記載の射出部材に対応する。
以上、射出成形機の実施形態等について説明したが、本発明は上記実施形態等に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、改良が可能である。
本発明はエジェクタ装置50にも適用可能である。エジェクタモータ51は、可動プラテン13に対し固定される固定子、その固定子に保持される軸受、およびその軸受に回転自在に支持される回転子を有する。その回転子の内周側には、回転子の回転運動によって回転直線運動するエジェクタ駆動軸が配設されてよい。
エジェクタ駆動軸は、エジェクタモータ51の回転子に対しスプライン結合されており、その回転子に対し回転拘束されている。エジェクタ駆動軸は運動変換機構52のねじ軸を含み、そのねじ軸に螺合するねじナットが可動プラテン13に対し固定される。そのため、エジェクタモータ51を駆動すると、エジェクタ駆動軸が回転しながら進退する。
エジェクタ駆動軸の前端部は、軸受ホルダが保持する軸受によって回転自在に支持される。これにより、エジェクタ駆動軸から軸受ホルダへの回転運動の伝達を防止できる。エジェクタモータ51を駆動して、エジェクタ駆動軸を回転させながら進退させると、軸受ホルダが進退する。軸受ホルダにはエジェクタロッド53の後端部が連結されており、軸受ホルダと共にエジェクタロッド53が進退する。
ところで、エジェクタモータ51を駆動すると、その回転子とエジェクタ駆動軸とが回転運動の接線方向に接触し合いながら、エジェクタ駆動軸が回転子に対し直線運動するので、その直線運動によって回転子や軸受が引き摺られようとする。
そこで、エジェクタモータ51は、射出モータ46と同様に、固定子に対し軸受を軸方向片側に付勢する付勢部材を有してよい。エジェクタ駆動軸を駆動させる際に、エジェクタモータ51の軸受の振動を抑制できる。
また、エジェクタモータ51は、射出モータ46と同様に、軸受と付勢部材との間に配設されるリング状部材をさらに有してもよい。そのリング状部材を介して、付勢部材の付勢力が軸受に作用する。
エジェクタモータ51の軸受に作用するスラスト力の向きは、エジェクタ駆動軸の直線運動方向である。エジェクタロッド53を前進させるため、エジェクタ駆動軸を回転させながら前進させると、前向きのスラスト力が軸受に作用する。一方、エジェクタロッド53を後退させるため、エジェクタ駆動軸を回転させながら後退させると、後向きのスラスト力が軸受に作用する。
また、エジェクタモータ51の軸受に作用するスラスト力の大きさは、摩擦係数と、接線力の積に比例する。接線力は、エジェクタモータ51のトルクに比例する。従って、エジェクタモータ51のトルクが大きいほど、接線力が大きく、スラスト力が大きい。
金型装置30から成形品を剥離させながらエジェクタロッド53を前進させるときに比べ、エジェクタロッド53を後退させるときは、エジェクタモータ51のトルクが小さい。従って、エジェクタロッド53の後退時にエジェクタモータ51の軸受に作用する後向きのスラスト力は、エジェクタロッド53の前進時にエジェクタモータ51の軸受に作用する前向きのスラスト力よりも小さい。
そこで、付勢部材は、エジェクタモータ51の固定子に対し、エジェクタモータ51の軸受を、突き出し方向(ここでは前方)に付勢してよい。前向きの付勢力は後向きのスラスト力に対抗するためのものであり、後向きのスラスト力は前向きのスラスト力よりも小さいからである。
本発明は型締装置10にも適用可能である。型締モータ25は、トグルサポート15に対し固定される固定子、その固定子に保持される軸受、およびその軸受に回転自在に支持される回転子を有する。その回転子の内周側には、回転子の回転運動によって回転直線運動する型締駆動軸が配設されてよい。
型締駆動軸は、型締モータ25の回転子に対しスプライン結合されており、その回転子に対し回転拘束されている。型締駆動軸は運動変換機構26のねじ軸を含み、そのねじ軸に螺合するねじナットがトグルサポート15に対し固定される。そのため、型締モータ25を駆動すると、型締駆動軸が回転しながら進退する。
型締駆動軸の前端部は、クロスヘッド21が保持する軸受によって回転自在に支持される。これにより、型締駆動軸からクロスヘッド21への回転運動の伝達を防止できる。型締モータ25を駆動して、型締駆動軸を回転させながら進退させると、クロスヘッド21が進退し、可動プラテン13が進退する。
ところで、型締モータ25を駆動すると、その回転子と型締駆動軸とが回転運動の接線方向に接触し合いながら、型締駆動軸が回転子に対し直線運動するので、その直線運動によって回転子や軸受が引き摺られようとする。
そこで、型締モータ25は、射出モータ46と同様に、固定子に対し軸受を軸方向片側に付勢する付勢部材を有してよい。型締駆動軸を駆動させる際に、型締モータ25の軸受の振動を抑制できる。
また、型締モータ25は、射出モータ46と同様に、軸受と付勢部材との間に配設されるリング状部材をさらに有してもよい。そのリング状部材を介して、付勢部材の付勢力が軸受に作用する。
上記実施形態の型締装置10は、型開閉方向が水平方向の横型であるが、型開閉方向が鉛直方向の竪型でもよい。竪型の型締装置は、下プラテン、上プラテン、トグルサポート、タイバー、トグル機構、および型締モータなどを有する。下プラテンと上プラテンのうち、いずれか一方が固定プラテン、残りの一方が可動プラテンとして用いられる。下プラテンには下金型が取付けられ、上プラテンには上金型が取付けられる。下金型と上金型とで金型装置が構成される。下金型は、ロータリーテーブルを介して下プラテンに取付けられてもよい。トグルサポートは、下プラテンの下方に配設される。トグル機構は、トグルサポートと下プラテンとの間に配設され、トグルサポートに対し下プラテンを相対的に昇降させる。型締モータは、トグル機構を作動させる。タイバーは、鉛直方向に平行とされ、下プラテンを貫通し、上プラテンとトグルサポートとを連結する。