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JP7241960B2 - 導波管マイクロストリップ線路変換器 - Google Patents

導波管マイクロストリップ線路変換器 Download PDF

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JP7241960B2
JP7241960B2 JP2022504936A JP2022504936A JP7241960B2 JP 7241960 B2 JP7241960 B2 JP 7241960B2 JP 2022504936 A JP2022504936 A JP 2022504936A JP 2022504936 A JP2022504936 A JP 2022504936A JP 7241960 B2 JP7241960 B2 JP 7241960B2
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Description

本発明は、導波管を伝搬する電力とマイクロストリップ線路を伝搬する電力とを相互に変換可能な導波管マイクロストリップ線路変換器に関する。
導波管マイクロストリップ線路変換器は、導波管とマイクロストリップ線路とを接続し、導波管からマイクロストリップ線路へ、あるいはマイクロストリップ線路から導波管へ信号を伝送する。導波管マイクロストリップ線路変換器は、マイクロ波帯あるいはミリ波帯の高周波信号を伝送するアンテナ装置において広く用いられている。
誘電体基板の両面のうち一方の面には地導体、両面のうち他方の面にはマイクロストリップ線路が設けられた導波管マイクロストリップ線路変換器が知られている。地導体には、導波管の開口端が接続される。特許文献1には、地導体と、マイクロストリップ線路に接続された導体板とが、誘電体基板に埋め込まれた導通構造を介して電気的に接続されている導波管マイクロストリップ線路変換器が開示されている。導通構造は、導波管の開放端を囲むように配置された複数のスルーホールによって形成される。
特許第5289551号公報
導波管マイクロストリップ線路変換器は、信頼性が高いこと、および導波管マイクロストリップ線路変換器からの電磁波の漏えいが少ないことが要求されている。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、信頼性を向上でき、かつ電磁波の漏えいを低減可能とする導波管マイクロストリップ線路変換器を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる導波管マイクロストリップ線路変換器は、開口端を有する導波管と、開口端に向けられた第1の面と第1の面とは逆側の第2の面とを有する誘電体基板と、第1の面に設けられており開口端が接続されるとともに、開口端の縁部により囲まれた領域にスロットが設けられている地導体と、を備える。本発明にかかる導波管マイクロストリップ線路変換器は、第2の面に設けられており、信号が伝搬する線路導体である第1の導体と、第2の面に設けられており、間隔を空けて第1の導体と隣り合う第2の導体と、を備える。第1の導体は、第1の線路幅のマイクロストリップ線路である第1の部位と、スロットの直上に位置し、第1の線路幅よりも大きい第2の線路幅の第2の部位と、第2の部位から第1の方向へ延ばされており、第1の部位と第2の部位との間におけるインピーダンス整合を担う第3の部位と、を有する。第2の導体は、第1の導体のうち少なくとも第2の部位の一部と隣り合う。
本発明にかかる導波管マイクロストリップ線路変換器は、信頼性を向上でき、かつ電磁波の漏えいを低減できるという効果を奏する。
本発明の実施の形態1にかかる導波管マイクロストリップ線路変換器の外観構成を示す上面図 実施の形態1にかかる導波管マイクロストリップ線路変換器の内部構成を示す断面図 図1に示す導波管マイクロストリップ線路変換器が有する導波管の外観構成を示す斜視図 実施の形態1にかかる導波管マイクロストリップ線路変換器の一つの応用例を示す断面図 図1に示す導波管マイクロストリップ線路変換器が有する地導体の平面図 図1に示す導波管マイクロストリップ線路変換器が有する線路導体および導体の平面図 実施の形態1の第1変形例にかかる導波管マイクロストリップ線路変換器が有する線路導体および導体の平面図 実施の形態1の第2変形例にかかる導波管マイクロストリップ線路変換器が有する線路導体および導体の平面図 実施の形態1の第3変形例にかかる導波管マイクロストリップ線路変換器が有する線路導体および導体の平面図 本発明の実施の形態2にかかる導波管マイクロストリップ線路変換器の外観構成を示す上面図 図10に示す導波管マイクロストリップ線路変換器が有する線路導体および導体の平面図 実施の形態2の第1変形例にかかる導波管マイクロストリップ線路変換器が有する線路導体および導体の平面図
以下に、本発明の実施の形態にかかる導波管マイクロストリップ線路変換器を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる導波管マイクロストリップ線路変換器10の外観構成を示す上面図である。図2は、実施の形態1にかかる導波管マイクロストリップ線路変換器10の内部構成を示す断面図である。図1では、実線で示された構成よりも紙面奥側に設けられている構成を破線により示している。
X軸、Y軸およびZ軸は、互いに垂直な3軸とする。X軸に平行な方向を第1の方向であるX軸方向、Y軸に平行な方向を第2の方向であるY軸方向、Z軸に平行な方向を第3の方向であるZ軸方向とする。X軸方向のうち図中矢印で示す方向をプラスX方向、プラスX方向とは逆の方向をマイナスX方向とする。Y軸方向のうち図中矢印で示す方向をプラスY方向、プラスY方向とは逆の方向をマイナスY方向とする。Z軸方向のうち図中矢印で示す方向をプラスZ方向、プラスZ方向とは逆の方向をマイナスZ方向とする。Z軸方向は、導波管14の管軸方向である。管軸は、導波管14の中心線である。
導波管マイクロストリップ線路変換器10は、開口端16を有する導波管14と、誘電体基板11と、地導体12とを有する。誘電体基板11は、開口端16に向けられた第1の面S1と、第1の面S1とは逆側の第2の面S2とを有する。導波管マイクロストリップ線路変換器10は、第1の導体である線路導体13と、第2の導体である4つの導体41と、第3の導体である2つの線路導体42とを有する。
地導体12は、第1の面S1に設けられている。地導体12には、開口端16が接続されている。線路導体13と導体41と線路導体42とは、第2の面S2に設けられている。なお、図2には、図1に示すII-II線における導波管マイクロストリップ線路変換器10の断面構成のうち導波管14を中心とする部分を示している。高周波信号は、線路導体13を伝搬する。
導波管マイクロストリップ線路変換器10は、導波管14を伝搬する電力と線路導体13を伝搬する電力とを相互に変換可能とする。導波管14と線路導体13とは、高周波信号を伝送する伝送路である。地導体12は、スロット15を有する。スロット15は、開口端16の縁部である開口縁部18により囲まれた領域に形成されている。第1の面S1および第2の面S2は、いずれもX軸およびY軸に平行な面である。
図3は、図1に示す導波管マイクロストリップ線路変換器10が有する導波管14の外観構成を示す斜視図である。導波管14は、矩形のXY断面をなす方形導波管であって、中空の金属管からなる。導波管14のXY断面は、Y軸に平行な長辺とX軸に平行な短辺とを備える長方形である。導波管14では、金属材料で構成された管壁19で囲まれた内部空間にて電磁波が伝搬する。開口端16は、導波管14のうち管軸方向における1つの端であって、導波管14のXY断面と同じ形状の開口縁部18を備える。開口縁部18は、地導体12に接続される短絡面となる。導波管14のうち管軸方向における他方の端である入出力端17には、導波管14へ伝搬する高周波信号が入力され、あるいは導波管14を伝搬した高周波信号が出力される。
なお、開口縁部18と地導体12との接続は、地導体12と開口縁部18とを直接接触させたことによる接続に限られない。開口縁部18と地導体12とは、高周波信号を変換可能に接続されていれば良く、互いに非接触であっても良い。開口縁部18と地導体12とは、開口縁部18と地導体12との間にチョーク構造などが設けられることにより互いに接続されても良い。
誘電体基板11は、樹脂材料で構成された平板部材である。地導体12は、誘電体基板11の第1の面S1の全体に設けられている。スロット15は、地導体12のうち開口端16の開口縁部18で囲まれるXY領域内において、地導体12の材料である導体が除かれて形成されている。1つの例では、地導体12は、導電性金属箔である銅箔を第1の面S1に圧着することにより形成される。地導体12は、あらかじめ成形されてから誘電体基板11に取り付けられた金属板であっても良い。スロット15は、第1の面S1に圧着された銅箔をパターニングすることにより形成される。
線路導体13は、誘電体基板11の第2の面S2において、導波管14の開口の直上を通過するように設けられている。線路導体13は、第2の面S2に圧着された銅箔をパターニングすることにより形成される。線路導体13は、あらかじめ成形されてから誘電体基板11に取り付けられた金属板であっても良い。
実施の形態1において導波管14の構成は任意であるものとする。導波管14は、金属材料で構成された管壁19に代えて、複数のスルーホールが形成された誘電体基板を備えたものであっても良い。また、導波管14は、管壁19で囲まれた内部が誘電体材料によって充填されたものであっても良い。導波管14は、XY断面における角部に曲率を持たせた形状の導波管、繭形の断面形状の導波管、またはリッジ型導波管であっても良い。
図4は、実施の形態1にかかる導波管マイクロストリップ線路変換器10の一つの応用例を示す断面図である。図4に示す応用例では、導波管マイクロストリップ線路変換器10は、誘電体基板21に実装されている。図4には、図2に示す断面構成に誘電体基板21が追加された断面構成を示している。誘電体基板21は、樹脂材料で構成された平板部材である。
地導体12は、誘電体基板21の表面に積層されている。導波管14は、誘電体基板21の表面と裏面との間を貫通して設けられている。入出力端17は、誘電体基板21の裏面において開放されている。導波管14は、誘電体基板21に形成された1つのスルーホールであっても良い。誘電体基板21をZ軸方向へ貫くことによって穴を形成し、穴の側面を導電性材料でめっきすることによって、1つのスルーホールである導波管14は形成される。
導波管マイクロストリップ線路変換器10は、導波管14に代えて、誘電体基板21の表面と裏面との間を貫通して形成された複数のスルーホールが設けられていても良い。複数のスルーホールは、矩形、繭型といった形状に沿って配置される。導波管マイクロストリップ線路変換器10は、複数のスルーホールが設けられる場合も、導波管14が設けられる場合と同様に、高周波信号を伝送可能である。
図5は、図1に示す導波管マイクロストリップ線路変換器10が有する地導体12の平面図である。スロット15は、地導体12の一部を除去して形成された開口部分である。スロット15は、X軸方向よりもY軸方向へ長い平面形状である。スロット15の平面形状は、Y軸に平行な長辺とX軸に平行な短辺とを備える長方形である。導波管マイクロストリップ線路変換器10は、電磁波の放射が許容可能な程度であれば、いずれの形状のスロットを備えることとしても良い。スロット15は、角部に曲率を持たせた平面形状、繭形の平面形状、またはリッジ型であっても良い。
線路導体13は、第1の部位である2つのマイクロストリップ線路35と、第2の部位である変換部31と、各々が第1の部位および第2の部位の間に位置する2つの第3の部位とを含む。変換部31は、スロット15の直上に位置する。第3の部位の各々は、複数のインピーダンス変成部である第1、第2および第3のインピーダンス変成部32,34,33を含む。第1、第2および第3のインピーダンス変成部32,34,33の各々は、マイクロストリップ線路35および変換部31の間におけるインピーダンス整合を担う。また、線路導体13は、変換部31から分岐された分岐部位である2つのスタブ36を含む。
マイクロストリップ線路35は、Y軸方向の線路である。マイクロストリップ線路35は、導波管マイクロストリップ線路変換器10の外部から導波管マイクロストリップ線路変換器10への高周波信号の入力と、導波管マイクロストリップ線路変換器10から外部への高周波信号の出力とを担う。
変換部31は、線路導体13のうちX軸方向における中心に位置する。変換部31は、線路導体13のうち、導波管14との間における電力変換を担う。第1のインピーダンス変成部32は、X軸方向において変換部31の隣に位置する。第1のインピーダンス変成部32は、変換部31に繋がれている。第2のインピーダンス変成部34は、Y軸方向においてマイクロストリップ線路35の隣に位置する。第2のインピーダンス変成部34は、マイクロストリップ線路35に繋がれている。第3のインピーダンス変成部33は、第1のインピーダンス変成部32と第2のインピーダンス変成部34との間に位置する。第3のインピーダンス変成部33は、第1のインピーダンス変成部32と第2のインピーダンス変成部34とに繋がれている。第1、第2および第3のインピーダンス変成部32,34,33のうち互いに繋がれているインピーダンス変成部同士の線路幅は互いに異なる。
2つのスタブ36は、X軸方向における変換部31の中心に設けられている。1つのスタブ36は、変換部31のプラスY方向側の端からプラスY方向へ延ばされている。もう1つのスタブ36は、変換部31のマイナスY方向側の端からマイナスY方向へ延ばされている。各スタブ36のうち変換部31側とは逆側の端37は、開放端である。X軸方向におけるスタブ36の中心位置は、X軸方向におけるスロット15の中心位置と一致している。端38は、X軸方向における第2のインピーダンス変成部34の端である。端39は、X軸方向におけるマイクロストリップ線路35の端である。
導体41は、間隔を空けて線路導体13と隣り合う。線路導体42は、4つの導体41のうちの1つと、4つの導体41のうちの他の1つとを繋ぐ。導体41のX軸方向における2つの端43,44のうち、端43は、スロット15の側の端である。端44は、端43とは逆側の端である。導体41および線路導体42は、線路導体13とは離れて設けられている。線路導体13と、導体41および線路導体42とは、互いに非導通である。導体41および線路導体42は、導波管マイクロストリップ線路変換器10からの電磁波の放射を抑制する機能を担う。
図6は、図1に示す導波管マイクロストリップ線路変換器10が有する線路導体13,42および導体41の平面図である。図6では、参考として、スロット15を破線により示している。
線路導体13には、変換部31を中心に、X軸方向における一方の側であるプラスX方向側に位置する第3の部位と、X軸方向における他方の側であるマイナスX方向側に位置する第3の部位とが設けられている。変換部31のプラスX方向側に位置する第3の部位は、第1、第2および第3のインピーダンス変成部32-1,34-1,33-1を含む。変換部31のマイナスX方向側に位置する第3の部位は、第1、第2および第3のインピーダンス変成部32-2,34-2,33-2を含む。なお、第1のインピーダンス変成部32とは、第1のインピーダンス変成部32-1,32-2の各々を区別せずに称したものとする。第2のインピーダンス変成部34とは、第2のインピーダンス変成部34-1,34-2の各々を区別せずに称したものとする。第3のインピーダンス変成部33とは、第3のインピーダンス変成部33-1,33-2の各々を区別せずに称したものとする。
マイクロストリップ線路35-1は、2つの第3の部位のうちプラスX方向側に位置する第3の部位からY軸方向へ延ばされている。マイクロストリップ線路35-2は、2つの第3の部位のうちマイナスX方向側に位置する第3の部位からY軸方向へ延ばされている。マイクロストリップ線路35-1は、第2のインピーダンス変成部34-1からプラスY方向へ延ばされている。マイクロストリップ線路35-2は、第2のインピーダンス変成部34-2からプラスY方向へ延ばされている。なお、マイクロストリップ線路35とは、マイクロストリップ線路35-1,35-2の各々を区別せずに称したものとする。
端38-1は、第2のインピーダンス変成部34-1のプラスX方向側の端である。端38-1は、第3の部位のうちプラスX方向側の端である。マイクロストリップ線路35-1は、端38-1に続けてY軸方向へ延ばされている。端38-1と、マイクロストリップ線路35-1のプラスX方向側の端39-1とは、Y軸方向の1つの直線をなす。
端38-2は、第2のインピーダンス変成部34-2のマイナスX方向側の端である。端38-2は、第3の部位のうちマイナスX方向側の端である。マイクロストリップ線路35-2は、端38-2に続けてY軸方向へ延ばされている。端38-2と、マイクロストリップ線路35-2のプラスX方向側の端39-2とは、Y軸方向の1つの直線をなす。
実施の形態1において、マイクロストリップ線路35が第3の部位の端38に続けてY軸方向へ延ばされているとは、マイクロストリップ線路35の端39と第3の部位の端38とが1つの直線をなしてマイクロストリップ線路35が設けられていることを指すものとする。なお、端38とは、端38-1,38-2の各々を区別せずに称したものとする。端39とは、端39-1,39-2の各々を区別せずに称したものとする。
伝送路の方向に垂直な方向における線路導体13の幅を、線路幅とする。伝送路の方向における線路導体13の長さを、線路長とする。線路導体13のうち、変換部31と第1、第2および第3のインピーダンス変成部32,34,33とは、X軸方向へ延ばされた伝送路を構成する。変換部31と第1、第2および第3のインピーダンス変成部32,34,33とにおいて、線路幅とはY軸方向における幅を表し、線路長とはX軸方向における長さを表すものとする。線路導体13のうち、マイクロストリップ線路35は、Y軸方向へ延ばされた伝送路を構成する。マイクロストリップ線路35において、線路幅とはX軸方向における幅を表し、線路長とはY軸方向における長さを表すものとする。スタブ36についても、線路幅とはX軸方向における幅を表し、線路長とはY軸方向における長さを表すものとする。
変換部31と、第1、第2および第3のインピーダンス変成部32,34,33と、マイクロストリップ線路35と、スタブ36とは、一体の金属部材である金属箔あるいは金属板で構成されている。変換部31と、第1、第2および第3のインピーダンス変成部32,34,33と、マイクロストリップ線路35とは、隣り合う部位同士にて互いに線路幅が異なるように形成されている。
マイクロストリップ線路35の線路幅を、第1の線路幅であるW、変換部31の線路幅を、第2の線路幅であるWとして、WはWよりも大きい。すなわち、WとWとの間には、W>Wの関係が成り立つ。線路導体13を伝搬する高周波信号の波長がλであるとして、変換部31の線路長は、λ/2である。マイクロストリップ線路35の線路長は任意とする。
第1のインピーダンス変成部32の線路幅であるWは、Wよりも大きい。すなわち、WとWとの間には、W>Wの関係が成り立つ。WとWとの大小は任意である。第3のインピーダンス変成部33の線路幅であるWは、Wと等しく、かつWよりも小さい。すなわち、Wと、Wと、Wとの間には、W>W=Wの関係が成り立つ。第2のインピーダンス変成部34の線路幅であるWは、WとWとのいずれよりも大きい。また、Wは、Wよりも小さい。すなわち、Wと、Wと、Wと、Wとの間には、W>W>W=Wの関係が成り立つ。第1、第2および第3のインピーダンス変成部32,34,33の線路長は、いずれもλ/4である。スタブ36の線路長は、λ/4である。
導体41-1は、変換部31のX軸方向における中心よりもプラスX方向側、かつ変換部31および第1のインピーダンス変成部32-1からプラスY方向の位置にある。導体41-1は、線路導体13のうち、変換部31の一部および第1のインピーダンス変成部32-1と隣り合う。導体41-1は、間隔を空けて変換部31の一部および第1のインピーダンス変成部32-1と隣り合う。
導体41-2は、変換部31のX軸方向における中心よりもマイナスX方向側、かつ変換部31および第1のインピーダンス変成部32-2からプラスY方向の位置にある。導体41-2は、線路導体13のうち、変換部31の一部および第1のインピーダンス変成部32-2と隣り合う。導体41-2は、間隔を空けて変換部31の一部および第1のインピーダンス変成部32-2と隣り合う。
導体41-3は、変換部31のX軸方向における中心よりもプラスX方向側、かつ変換部31および第1のインピーダンス変成部32-1からマイナスY方向の位置にある。導体41-3は、線路導体13のうち、変換部31の一部および第1のインピーダンス変成部32-1と隣り合う。導体41-3は、間隔を空けて変換部31の一部および第1のインピーダンス変成部32-1と隣り合う。
導体41-4は、変換部31のX軸方向における中心よりもマイナスX方向側、かつ変換部31および第1のインピーダンス変成部32-2からマイナスY方向の位置にある。導体41-4は、線路導体13のうち、変換部31の一部および第1のインピーダンス変成部32-2と隣り合う。導体41-4は、間隔を空けて変換部31の一部および第1のインピーダンス変成部32-2と隣り合う。
なお、導体41とは、導体41-1,41-2,41-3,41-4の各々を区別せずに称したものとする。導体41の形状の一例は、Y軸方向よりもX軸方向へ長い長方形である。X軸方向における導体41の寸法の一例は、λ/4以上かつλ/2以下である。
端43-1は、導体41-1のうちマイナスX方向側の端である。端44-1は、導体41-1のうちプラスX方向側の端である。端43-1と端44-1は、それぞれ、長方形のうちY軸に平行な辺である。端43-2は、導体41-2のうちプラスX方向側の端である。端44-2は、導体41-2のうちマイナスX方向側の端である。端43-2と端44-2は、それぞれ、長方形のうちY軸に平行な辺である。
端43-3は、導体41-3のうちマイナスX方向側の端である。端44-3は、導体41-3のうちプラスX方向側の端である。端43-3と端44-3は、それぞれ、長方形のうちY軸に平行な辺である。端43-4は、導体41-4のうちプラスX方向側の端である。端44-4は、導体41-4のうちマイナスX方向側の端である。端43-4と端44-4は、それぞれ、長方形のうちY軸に平行な辺である。
なお、端43とは、端43-1,43-2,43-3,43-4の各々を区別せずに称したものとする。端43は、開放端である。端44とは、端44-1,44-2,44-3,44-4の各々を区別せずに称したものとする。端44は、開放端である。
線路導体42-1は、変換部31のY方向における中心よりもプラスY方向側の位置にある。線路導体42-1は、導体41-1と導体41-2とを繋ぐ。線路導体42-1のうち導体41-1に繋がれている部分は、導体41-1のうちマイナスX方向側の端部からプラスY方向へ延ばされている。線路導体42-1のうち導体41-2に繋がれている部分は、導体41-2のうちプラスX方向側の端部からプラスY方向へ延ばされている。線路導体42-1のうち、導体41-1からプラスY方向へ延ばされた部分と、導体41-2からプラスY方向へ延ばされた部分とを繋ぐ部分は、X軸に平行な線形である。
線路導体42-2は、変換部31のY方向における中心よりもマイナスY方向側の位置にある。線路導体42-2は、導体41-3と導体41-4とを繋ぐ。線路導体42-2のうち導体41-3に繋がれている部分は、導体41-3のうちマイナスX方向側の端部からマイナスY方向へ延ばされている。線路導体42-2のうち導体41-4に繋がれている部分は、導体41-4のうちプラスX方向側の端部からマイナスY方向へ延ばされている。線路導体42-2のうち、導体41-3からマイナスY方向へ延ばされた部分と、導体41-4からマイナスY方向へ延ばされた部分とを繋ぐ部分は、X軸に平行な線形である。
なお、線路導体42とは、線路導体42-1,42-2の各々を区別せずに称したものとする。線路導体42は、2か所において直角に折り曲げられた形状である。線路導体42のうちY軸方向へ延ばされている部分について、線路長とはY軸方向における長さを表し、線路幅とはX軸方向における幅を表すものとする。線路導体42のうちX軸方向へ延ばされている部分について、線路長とはX軸方向における長さを表し、線路幅とはY軸方向における幅を表すものとする。線路導体42の線路幅は、任意である。線路導体42の線路幅の一例は、Wよりも小さい。線路導体42の線路長は、概ねλ/2である。
導体41および線路導体42は、第2の面S2に圧着された銅箔をパターニングすることにより形成される。導体41および線路導体42は、あらかじめ成形されてから誘電体基板11に取り付けられた金属板であっても良い。
次に、図1から図6を参照して、導波管マイクロストリップ線路変換器10の動作を説明する。ここでは、導波管14を伝搬した高周波信号がマイクロストリップ線路35へ伝搬する場合を例とする。
導波管14の内部を伝搬した電磁波は、地導体12に到達する。地導体12に到達した電磁波は、スロット15を通って変換部31へ伝搬する。なお、変換部31へ電磁波が伝搬するとは、地導体12と変換部31との間に電磁波のエネルギーが生じることを含むものとする。変換部31へ伝搬した電磁波は、変換部31からプラスX方向とマイナスX方向とへ伝搬する。
変換部31から第1のインピーダンス変成部32-1、第3のインピーダンス変成部33-1、および第2のインピーダンス変成部34-1をプラスX方向へ伝搬した電磁波は、マイクロストリップ線路35-1をプラスY方向へ伝搬する。変換部31から第1のインピーダンス変成部32-2、第3のインピーダンス変成部33-2、および第2のインピーダンス変成部34-2をマイナスX方向へ伝搬した電磁波は、マイクロストリップ線路35-2をプラスY方向へ伝搬する。導波管マイクロストリップ線路変換器10は、マイクロストリップ線路35-1とマイクロストリップ線路35-2とからプラスY方向へ伝搬する高周波信号を出力する。マイクロストリップ線路35-1から出力される高周波信号の位相とマイクロストリップ線路35-2から出力される高周波信号の位相とは、互いに逆となる。
変換部31に相当する部分の導体に微細な間隙が設けられることにより線路が分断された構成にて、電磁結合によって高周波信号を伝搬させる場合、かかる間隙の加工不良が生じた場合に、線路長に誤差が生じ得る。これに対し、実施の形態1の線路導体13では、一体の金属部材で変換部31からマイクロストリップ線路35までの各部位が構成されている。実施の形態1では、線路導体13における間隙の形成が不要であるため、間隙の加工不良の問題を回避でき、かつ線路導体13を容易に加工することができる。
変換部31と、第1、第2および第3のインピーダンス変成部32,34,33と、マイクロストリップ線路35とは、線路幅に対応する特性インピーダンスを持つ。変換部31の特性インピーダンスは、変換部31の線路幅であるWに対応するZであるとする。マイクロストリップ線路35の特性インピーダンスは、マイクロストリップ線路35の線路幅であるWに対応するZであるとする。ZはZより小さい。すなわち、ZとZとの間には、Z<Zの関係が成り立つ。変換部31とマイクロストリップ線路35とでは線路幅の違いが大きいことから、仮にマイクロストリップ線路35が変換部31に直接隣り合わせられた場合、変換部31の特性インピーダンスとマイクロストリップ線路35の特性インピーダンスとの不整合に起因して反射が増大する。反射が増大することによって、導波管14からマイクロストリップ線路35へ伝搬する電力と、マイクロストリップ線路35から導波管14へ伝搬する電力とが小さくなる。
第1、第2および第3のインピーダンス変成部32,34,33は、変換部31とマイクロストリップ線路35との間におけるインピーダンス整合を担う。第1のインピーダンス変成部32の特性インピーダンスは、第1のインピーダンス変成部32の線路幅であるWに対応するZであるとする。Zは、Zよりも小さい。すなわち、ZとZとの間には、Z<Zの関係が成り立つ。
第3のインピーダンス変成部33の特性インピーダンスは、第3のインピーダンス変成部33の線路幅であるWに対応するZであるとする。Zは、Zと等しく、かつZよりも大きい。すなわち、Zと、Zと、Zとの間には、Z<Z=Zの関係が成り立つ。第2のインピーダンス変成部34の特性インピーダンスは、第2のインピーダンス変成部34の線路幅であるWに対応するZであるとする。Zは、ZとZとのいずれよりも小さい。すなわち、Zと、Zと、Zとの間には、Z<Z=Zの関係が成り立つ。
実施の形態1では、導波管マイクロストリップ線路変換器10は、マイクロストリップ線路35の線路幅よりも拡大された線路幅を持つ第1および第2のインピーダンス変成部32,34が設けられることで、変換部31とマイクロストリップ線路35との間のインピーダンス整合を図る。導波管マイクロストリップ線路変換器10は、変換部31とマイクロストリップ線路35との間のインピーダンス整合により、電力損失を低減できる。
また、第3のインピーダンス変成部33および第2のインピーダンス変成部34は、第1のインピーダンス変成部32とマイクロストリップ線路35との線路幅の違いによるインピーダンスの不整合を低減させる機能を果たす。線路導体13は、線路幅を段階的に異ならせた部位である第1、第2および第3のインピーダンス変成部32,34,33が含まれることで、電磁波の伝送におけるインピーダンスの急峻な変化を緩和可能とする。これにより、導波管マイクロストリップ線路変換器10は、電力損失を効果的に低減できる。また、導波管マイクロストリップ線路変換器10は、線路導体13におけるインピーダンスの変化を緩和できることで、広い周波数帯域の信号を扱うことが可能となる。
なお、WとWとの大小は任意としたが、図1および図6に示す例では、W<Wが成り立つ。仮に、W>Wが成り立つ場合、線路導体13の線路幅のうち変換部31におけるWが最大となる。この場合とWが同じ値であるとして、W<Wが成り立つようにWが小さくされた場合、線路導体13の線路幅のうち第1のインピーダンス変成部32におけるWが最大となる。また、この場合、変換部31とマイクロストリップ線路35との間における線路幅の変化は、W>Wが成り立つ場合よりも小さくなる。したがって、導波管マイクロストリップ線路変換器10は、W<Wが成り立つ場合のほうが、より広い周波数帯域の信号を扱うことが可能となる。
第3のインピーダンス変成部33の線路幅は、マイクロストリップ線路35の線路幅とは異なっていても良い。第3のインピーダンス変成部33の線路幅であるWは、W>WおよびW>Wを満足すれば良く、マイクロストリップ線路35の線路幅であるWとは異なることとしても良い。また、マイクロストリップ線路35より拡大された線路幅を持つ部位であるインピーダンス変成部は2つに限られず、1つであっても良く、2つよりも多くても良い。
実施の形態1では、第2のインピーダンス変成部34の端38とマイクロストリップ線路35の端39とが1つの直線となるように、端38からY軸方向へマイクロストリップ線路35が延ばされている。第2のインピーダンス変成部34とマイクロストリップ線路35との間では、第2のインピーダンス変成部34とマイクロストリップ線路35との間の線路幅が不連続である部分と伝送路の折り曲げ箇所とが一体とされている。
仮に、一定の線路幅のマイクロストリップ線路35内に、X軸方向へ延ばされた部分とY軸方向へ延ばされた部分との折り曲げ箇所が含まれる場合、第2のインピーダンス変成部34とマイクロストリップ線路35との間の線路幅が不連続な部分と伝送路の折り曲げ箇所とにおいて不要な電磁波放射が生じ得ることになる。導波管マイクロストリップ線路変換器10は、線路幅が不連続である部分と伝送路の折り曲げ箇所とが一体とされたことで、不要な電磁波放射が生じ得る箇所を少なくすることができる。これにより、導波管マイクロストリップ線路変換器10は、変換部31からの伝送方向であるX軸方向に垂直なY軸方向へ高周波信号を伝送する構成において、不要な電磁波放射による電力損失を低減できる。
図6において、X軸方向におけるスタブ36の中心位置は、X軸方向におけるスロット15の中心位置と一致している。この場合、スロット15の中心に対する対称性を線路導体13が持つことにより、2つのスタブ36への電力の伝搬は生じない。ただし、導波管マイクロストリップ線路変換器10の製造誤差等により、X軸方向におけるスロット15の中心位置とスタブ36の中心位置とにずれが生じることがある。
線路導体13の位置とスロット15の位置とのずれに伴って、スタブ36に電界が生じる。スタブ36の端37が開放端とされているため、スタブ36と変換部31との接続部にて電界がゼロとなる境界条件が成り立つ。これにより、線路導体13における電気的対称性が確保されることで、2つのマイクロストリップ線路35から出力される高周波信号の位相は、互いに逆となる。このように、導波管マイクロストリップ線路変換器10は、スタブ36が設けられていることで、線路導体13の位置とスロット15の位置とのずれが高周波信号へ与える影響を少なくすることができる。線路導体13は、2つのスタブ36を用いた電気的対称性の確保により、マイクロストリップ線路35-1,35-2における高周波信号の位相の変動を低減できる。
なお、線路導体13に設けられるスタブ36は、1つであっても良い。スタブ36が1つとされる場合、スタブ36は、変換部31のプラスY方向側の端とマイナスY方向側の端とのどちらに設けられても良い。さらに、導波管マイクロストリップ線路変換器10の性能上の問題が無ければ、スタブ36は設けられなくても良い。
線路導体13のうち変換部31の一部および第1のインピーダンス変成部32と導体41が隣り合うことによって、導体41は、スロット15、変換部31および第1のインピーダンス変成部32に近い位置に配置される。このため、スロット15、変換部31および第1のインピーダンス変成部32と、導体41との電磁結合によって、導体41と地導体12との間に高周波信号が生じる。スロット15、変換部31および第1のインピーダンス変成部32において生じる高周波信号には、プラスX方向またはマイナスX方向へ伝搬する成分が含まれることから、導体41と地導体12との間に生じる高周波信号は、主にプラスX方向またはマイナスY方向へ伝搬する。導体41へ伝搬した高周波信号は、端43または端44から放射される。
変換部31および第1、第2および第3のインピーダンス変成部32,34,33のうち線路幅が不連続な各部分、または端38から放射される高周波信号の位相と、端43,44から放射される高周波信号の位相とが異なる場合、放射される高周波信号同士が相殺される。放射される高周波信号同士が相殺される場合、導波管マイクロストリップ線路変換器10は、導波管マイクロストリップ線路変換器10の全体からの電磁波の放射を低減できる。
線路導体42-1は、導体41-1を伝搬し端43-1から放射される高周波信号の一部を導体41-2へ伝送する。同様に、線路導体42-1は、導体41-2を伝搬し端43-2から放射される高周波信号の一部を導体41-1へ伝送する。仮に、線路導体42-1が設けられていないとした場合、端43-1から放射される高周波信号の位相と、端43-2から放射される高周波信号の位相とは、構造の対称性により、互いに逆となる。線路導体42-1の線路長が概ねλ/2であるため、導体41-1から線路導体42-1を経て導体41-2へ到達する高周波信号の位相は、高周波信号が線路導体42-1を伝搬する間に反転する。このため、導体41-1から導体41-2へ伝搬した高周波信号の位相は、導体41-2を伝搬し端43-2から放射される高周波信号の位相と同じとなる。同様に、導体41-2から導体41-1へ伝搬した高周波信号の位相は、導体41-1を伝搬し端43-1から放射される高周波信号の位相と同じとなる。したがって、線路導体42-1の線路長がλ/2であれば、電気的な効果は生じない。
一方、線路導体42-1の線路長がλ/2から適宜調整されることによって、線路導体42-1を経て導体41-2へ伝搬する高周波信号の位相と、線路導体42-1を経て導体41-1へ伝搬する高周波信号の位相とには変化が生じる。さらに、端43-1,43-2,44-1,44-2から放射される高周波信号の位相に変化が生じる。線路導体42-2についても、線路導体42-1の場合と同様に、線路長が適宜調整されることによって、端43-3,43-4,44-3,44-4から放射される高周波信号の位相に変化が生じる。したがって、導波管マイクロストリップ線路変換器10は、導体41と、線路長が適宜調整された線路導体42とを備えることによって、放射される高周波信号を互いに相殺可能とし、導波管マイクロストリップ線路変換器10の全体からの電磁波の放射を低減できる。
導波管マイクロストリップ線路変換器10は、マイクロストリップ線路35を伝搬した高周波信号を導波管14へ伝送することも可能である。マイクロストリップ線路35-1とマイクロストリップ線路35-2とには、マイナスY方向へ伝搬する高周波信号が入力される。マイクロストリップ線路35-1へ入力される高周波信号の位相とマイクロストリップ線路35-2へ入力される高周波信号の位相とは、互いに逆となる。導波管マイクロストリップ線路変換器10は、導波管14からマイクロストリップ線路35への高周波信号の伝搬と同様に、マイクロストリップ線路35から導波管14への高周波信号の伝搬においても電力損失を低減できる。
実施の形態1によると、導波管マイクロストリップ線路変換器10は、変換部31とマイクロストリップ線路35との間のインピーダンス整合を担う第1、第2および第3のインピーダンス変成部32,34,33が設けられることによって電磁波の放射を低減させ、電力損失を低減できる。また、導波管マイクロストリップ線路変換器10は、導体41と線路導体42とが設けられることによって、電磁波の放射を低減させ、電力損失を低減できる。これにより、導波管マイクロストリップ線路変換器10は、誘電体基板11にスルーホールが設けられなくても、高い電気性能を得ることができる。
さらに、導波管マイクロストリップ線路変換器10は、第3の部位のうちプラスX方向の端38-1とマイナスX方向の端38-2から続けてY軸方向へマイクロストリップ線路35-1,35-2が延ばされている。導波管マイクロストリップ線路変換器10は、不要な電磁波の放射を低減しつつ、開口端16の長辺の方向へマイクロストリップ線路35を延ばした構成を実現できる。これにより、導波管マイクロストリップ線路変換器10は、高い電気性能を得ることができる。
導波管マイクロストリップ線路変換器10は、誘電体基板11のスルーホールが不要となるため、スルーホールの加工の省略による製造工程の簡易化および製造コスト低減が可能となる。また、導波管マイクロストリップ線路変換器10は、スルーホールの破断による電気性能の劣化という事態を回避できることで、信頼性を向上できるとともに、安定した電気性能を得ることができる。アンテナ装置の給電回路に導波管マイクロストリップ線路変換器10が使用される場合、アンテナ装置は、安定した送信電力および受信電力を得ることができる。以上により、導波管マイクロストリップ線路変換器10は、安定かつ高い電気性能が得られ、信頼性の向上が可能となるとともに、電磁波の漏えいを低減できるという効果を奏する。
導波管マイクロストリップ線路変換器10では、スロット15から、あるいは線路導体13のうち線路幅が不連続な部分から、不要な電磁波放射が生じ得る。導波管マイクロストリップ線路変換器10は、スロット15の寸法の調整、線路導体13の各部位の寸法の調整、または導体41および線路導体42の寸法の調整によって、放射される電磁波の位相の調整が可能である。放射される電磁波の位相の調整により、導波管マイクロストリップ線路変換器10から特定の方向であるプラスZ方向への不要な電磁波放射が低減されても良い。全方向のうち特定の方向への電磁波放射が大きくなるような電磁波放射の偏りが少なくなるように、電磁波放射を全方向へ均等に拡散させる調整が行われても良い。このような調整によっても、導波管マイクロストリップ線路変換器10は、高い電気性能を得ることができる。
なお、導体41の位置は、実施の形態1にて説明する位置に限られず、適宜変更しても良い。導体41の数および形状は、実施の形態1にて説明する数および形状に限られず、適宜変更しても良い。導体41は、線路導体13のうち少なくとも変換部31の一部と隣り合う位置に設けられていれば良い。導波管マイクロストリップ線路変換器10は、少なくとも変換部31の一部と隣り合う位置に導体41が設けられることによって、放射される高周波信号同士を相殺させ、電磁波の漏えいを低減できる。
図7は、実施の形態1の第1変形例にかかる導波管マイクロストリップ線路変換器51が有する線路導体42,52および導体41の平面図である。図7では、参考として、スロット15を破線により示している。導波管マイクロストリップ線路変換器51は、線路導体52における2つのマイクロストリップ線路35が第2のインピーダンス変成部34から互いに逆向きに延ばされていることを除いて、導波管マイクロストリップ線路変換器10と同様の構成を備える。マイクロストリップ線路35-1は、第2のインピーダンス変成部34-1からマイナスY方向へ延ばされている。マイクロストリップ線路35-2は、第2のインピーダンス変成部34-2からプラスY方向へ延ばされている。
変換部31から第1のインピーダンス変成部32-1、第3のインピーダンス変成部33-1、および第2のインピーダンス変成部34-1をプラスX方向へ伝搬した電磁波は、マイクロストリップ線路35-1をマイナスY方向へ伝搬する。変換部31から第1のインピーダンス変成部32-2、第3のインピーダンス変成部33-2、および第2のインピーダンス変成部34-2をマイナスX方向へ伝搬した電磁波は、マイクロストリップ線路35-2をプラスY方向へ伝搬する。また、マイクロストリップ線路35-1には、プラスY方向へ伝搬する高周波信号が入力される。マイクロストリップ線路35-2には、マイナスY方向へ伝搬する高周波信号が入力される。導波管マイクロストリップ線路変換器51は、上記の導波管マイクロストリップ線路変換器10と同様に、安定かつ高い電気性能を得ることができる。
図8は、実施の形態1の第2変形例にかかる導波管マイクロストリップ線路変換器53が有する線路導体42,54および導体41の平面図である。図8では、参考として、スロット15を破線により示している。導波管マイクロストリップ線路変換器53は、第2のインピーダンス変成部34の線路幅であるWと第3のインピーダンス変成部33の線路幅であるWとが等しいことを除いて、導波管マイクロストリップ線路変換器10と同様の構成を備える。
第3のインピーダンス変成部33の線路幅であるWと、マイクロストリップ線路35の線路幅であるWとは等しい。第1のインピーダンス変成部32の線路幅であるWと、第3のインピーダンス変成部33の線路幅であるWと、第2のインピーダンス変成部34の線路幅であるWと、マイクロストリップ線路35の線路幅であるWとの間には、W>W=W=Wの関係が成り立つ。
線路導体54において、第2のインピーダンス変成部34の線路幅と第3のインピーダンス変成部33の線路幅とが等しいことから、導波管マイクロストリップ線路変換器53では、第2のインピーダンス変成部34と第3のインピーダンス変成部33との間におけるインピーダンス整合は行われない。電磁波の放射が許容可能な程度であって、かつインピーダンス整合が可能であれば、導波管マイクロストリップ線路変換器53のように、第3の部位のうち互いに隣り合う変成部同士の線路幅を同じとしても良い。
第2のインピーダンス変成部34の線路幅と第3のインピーダンス変成部33の線路幅とがマイクロストリップ線路35の線路幅と等しいことで、第2のインピーダンス変成部34と第3のインピーダンス変成部33とでは、マイクロストリップ線路35と同様に高周波信号が伝搬する。なお、第2のインピーダンス変成部34の線路幅と第3のインピーダンス変成部33の線路幅とは、マイクロストリップ線路35の線路幅と同じであっても良く、マイクロストリップ線路35の線路幅と異なっていても良い。
導波管マイクロストリップ線路変換器53では、第2のインピーダンス変成部34の線路長または第3のインピーダンス変成部33の線路長の調整により、X軸方向における端38の位置が調整されても良い。端38の位置の調整により、放射される電磁波の振幅と位相とが調整されることで、導波管マイクロストリップ線路変換器53は、放射される電磁波の低減を図り得る。導波管マイクロストリップ線路変換器53は、上記の導波管マイクロストリップ線路変換器10と同様に、安定かつ高い電気性能を得ることができる。
図9は、実施の形態1の第3変形例にかかる導波管マイクロストリップ線路変換器55が有する線路導体56および導体41の平面図である。図9では、参考として、スロット15を破線により示している。導波管マイクロストリップ線路変換器55は、線路導体42が設けられていないこと以外を除いて、導波管マイクロストリップ線路変換器10と同様の構成を備える。
導波管マイクロストリップ線路変換器55に線路導体42が設けられていないため、導体41同士の間を高周波信号が伝搬することによる放射の調整は、導波管マイクロストリップ線路変換器55では行われない。導波管マイクロストリップ線路変換器55は、導体41の位置と導体41の形状との調整によって、端43,44からの高周波信号の放射を調整可能とする。導波管マイクロストリップ線路変換器55は、端43,44からの高周波信号の放射が調整されることによって、放射される高周波信号を互いに相殺可能とし、導波管マイクロストリップ線路変換器55の全体からの電磁波の放射を低減できる。導波管マイクロストリップ線路変換器55は、上記の導波管マイクロストリップ線路変換器10と同様に、安定かつ高い電気性能を得ることができる。
実施の形態2.
図10は、本発明の実施の形態2にかかる導波管マイクロストリップ線路変換器57の外観構成を示す上面図である。導波管マイクロストリップ線路変換器57の第3の部位では、第1および第2のインピーダンス変成部32,34がX軸方向へ延ばされ、第3のインピーダンス変成部33がX軸方向とY軸方向との間の斜め方向へ延ばされている。実施の形態2では、実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付し、実施の形態1とは異なる構成について主に説明する。
図11は、図10に示す導波管マイクロストリップ線路変換器57が有する線路導体42,58および導体41の平面図である。図11では、参考として、スロット15を破線により示している。第1のインピーダンス変成部32-1は、変換部31のプラスX方向側に位置する。第3のインピーダンス変成部33-1は、第1のインピーダンス変成部32-1からプラスX方向とプラスY方向との間の斜め方向へ延ばされている。Y軸方向における第2のインピーダンス変成部34-1の中心は、Y軸方向における第1のインピーダンス変成部32-1の中心よりもプラスY方向側へシフトしている。第3のインピーダンス変成部33-1は、X軸方向およびY軸方向に対し斜め方向の伝送路を構成している。第3のインピーダンス変成部33-1において、線路幅とは当該斜め方向に垂直な方向における幅を表し、線路長とは当該斜め方向における長さを表すものとする。第3のインピーダンス変成部33-1の線路長は、任意の長さとする。
第1のインピーダンス変成部32-2は、変換部31のマイナスX方向側に位置する。第3のインピーダンス変成部33-2は、第1のインピーダンス変成部32-2からマイナスX方向とプラスY方向との間の斜め方向へ延ばされている。Y軸方向における第2のインピーダンス変成部34-2の中心は、Y軸方向における第1のインピーダンス変成部32-2の中心よりもプラスY方向側へシフトしている。第3のインピーダンス変成部33-2は、X軸方向およびY軸方向に対し斜め方向の伝送路を構成している。第3のインピーダンス変成部33-2において、線路幅とは当該斜め方向に垂直な方向における幅を表し、線路長とは当該斜め方向における長さを表すものとする。第3のインピーダンス変成部33-2の線路長は、任意の長さとする。
線路導体58において、第1、第2および第3のインピーダンス変成部32,34,33のうち線路幅が最も小さい第3のインピーダンス変成部33が斜め方向の伝送路とされている。導波管マイクロストリップ線路変換器57は、第1のインピーダンス変成部32または第2のインピーダンス変成部34を斜め方向の伝送路とする場合よりも、斜め方向の伝送路を第3の部位に含めた構成を容易に実現することができる。
導波管マイクロストリップ線路変換器57では、第3のインピーダンス変成部33の線路長あるいは第3のインピーダンス変成部33の方向が調整されることによって、X軸方向における端38の位置が調整されても良い。端38の位置の調整により、放射される電磁波の振幅と位相とが調整されることで、導波管マイクロストリップ線路変換器57は、放射される電磁波の低減を図り得る。
導波管マイクロストリップ線路変換器57では、実施の形態1の構成と比較して、第2のインピーダンス変成部34の位置がプラスY方向へシフトされている。第2のインピーダンス変成部34からプラスY方向へマイクロストリップ線路35が延ばされている構成において、第2のインピーダンス変成部34の位置がプラスY方向へシフトされることで、導波管マイクロストリップ線路変換器57は、変換部31からマイクロストリップ線路35までの伝送路の長さを短縮することができる。誘電体基板11の材料の性質に起因する電力の損失と、線路導体58の導電率に起因する電力の損失とは、線路導体58全体の線路長と概ね比例する。このため、導波管マイクロストリップ線路変換器57は、変換部31からマイクロストリップ線路35のプラスY方向側の端までの伝送路の長さを短縮できることで、高周波信号の伝送による電力損失を低減できる。
導波管マイクロストリップ線路変換器57は、実施の形態1の導波管マイクロストリップ線路変換器10と同様に、不要な電磁波放射による電力損失を低減できる。導波管マイクロストリップ線路変換器57は、実施の形態1の導波管マイクロストリップ線路変換器10と同様に、信頼性を向上できるとともに、安定した電気性能を得ることができる。これにより、導波管マイクロストリップ線路変換器57は、安定かつ高い電気性能が得られ、信頼性の向上が可能となるという効果を奏する。
導波管マイクロストリップ線路変換器57において、マイクロストリップ線路35-1,35-2のうちの1つまたは2つは、第2のインピーダンス変成部34-1,34-2からマイナスY方向へ延ばされていても良い。この場合、マイナスY方向へ延ばされているマイクロストリップ線路35に隣接する第3の部位内の第3のインピーダンス変成部33は、第1のインピーダンス変成部32からX軸方向とマイナスY方向との間の斜め方向へ延ばされても良い。これにより、導波管マイクロストリップ線路変換器57は、伝送路の長さを短縮できる。
図12は、実施の形態2の第1変形例にかかる導波管マイクロストリップ線路変換器59が有する線路導体42,60および導体41の平面図である。図12では、参考として、スロット15を破線により示している。導波管マイクロストリップ線路変換器59は、第2のインピーダンス変成部34の線路幅であるWと第3のインピーダンス変成部33の線路幅であるWとが等しいことを除いて、導波管マイクロストリップ線路変換器57と同様の構成を備える。
第3のインピーダンス変成部33の線路幅であるWと、マイクロストリップ線路35の線路幅であるWとは等しい。第1のインピーダンス変成部32の線路幅であるWと、第3のインピーダンス変成部33の線路幅であるWと、第2のインピーダンス変成部34の線路幅であるWと、マイクロストリップ線路35の線路幅であるWとの間には、W>W=W=Wの関係が成り立つ。
線路導体60において、第2のインピーダンス変成部34の線路幅と第3のインピーダンス変成部33の線路幅とが等しいことから、導波管マイクロストリップ線路変換器59では、第2のインピーダンス変成部34と第3のインピーダンス変成部33との間におけるインピーダンス整合は行われない。電磁波の放射が許容可能な程度であって、かつインピーダンス整合が可能であれば、導波管マイクロストリップ線路変換器59のように、第3の部位のうち互いに隣り合う変成部同士の線路幅を同じとしても良い。
第2のインピーダンス変成部34の線路幅と第3のインピーダンス変成部33の線路幅とがマイクロストリップ線路35の線路幅と等しいことで、第2のインピーダンス変成部34と第3のインピーダンス変成部33とでは、マイクロストリップ線路35と同様に高周波信号が伝搬する。なお、第2のインピーダンス変成部34の線路幅と第3のインピーダンス変成部33の線路幅とは、マイクロストリップ線路35の線路幅とは異なっていても良い。
導波管マイクロストリップ線路変換器59では、第2のインピーダンス変成部34の線路長、第3のインピーダンス変成部33の線路長、または第3のインピーダンス変成部33の方向が調整されることによって、X軸方向における端38の位置が調整されても良い。端38の位置の調整により、放射される電磁波の振幅と位相とが調整されることで、導波管マイクロストリップ線路変換器59は、放射される電磁波の低減を図り得る。導波管マイクロストリップ線路変換器59は、上記の導波管マイクロストリップ線路変換器57と同様に、安定かつ高い電気性能を得ることができる。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
10,51,53,55,57,59 導波管マイクロストリップ線路変換器、11,21 誘電体基板、12 地導体、13,42,42-1,42-2,52,54,56,58,60 線路導体、14 導波管、15 スロット、16 開口端、17 入出力端、18 開口縁部、19 管壁、31 変換部、32,32-1,32-2 第1のインピーダンス変成部、33,33-1,33-2 第3のインピーダンス変成部、34,34-1,34-2 第2のインピーダンス変成部、35,35-1,35-2 マイクロストリップ線路、36 スタブ、37,38,38-1,38-2,39,39-1,39-2,43,43-1,43-2,43-3,43-4,44,44-1,44-2,44-3,44-4 端、41,41-1,41-2,41-3,41-4 導体、S1 第1の面、S2 第2の面。

Claims (10)

  1. 開口端を有する導波管と、
    前記開口端に向けられた第1の面と前記第1の面とは逆側の第2の面とを有する誘電体基板と、
    前記第1の面に設けられており前記開口端が接続されるとともに、前記開口端の縁部により囲まれた領域にスロットが設けられている地導体と、
    前記第2の面に設けられており、信号が伝搬する線路導体である第1の導体と、
    前記第2の面に設けられており、間隔を空けて前記第1の導体と隣り合う第2の導体と、を備え、
    前記第1の導体は、第1の線路幅のマイクロストリップ線路である第1の部位と、前記スロットの直上に位置し、前記第1の線路幅よりも大きい第2の線路幅の第2の部位と、前記第2の部位から第1の方向へ延ばされており、前記第1の部位と前記第2の部位との間におけるインピーダンス整合を担う第3の部位と、を有し、
    前記第2の導体は、前記第1の導体のうち少なくとも前記第2の部位の一部と隣り合うことを特徴とする導波管マイクロストリップ線路変換器。
  2. 複数の前記第2の導体と、
    複数の前記第2の導体のうちの1つと、複数の前記第2の導体のうちの他の1つとを繋ぐ線路導体である第3の導体と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の導波管マイクロストリップ線路変換器。
  3. 前記第3の部位は、各々が前記インピーダンス整合を担う複数のインピーダンス変成部を含み、
    前記複数のインピーダンス変成部のうち前記第2の部位に繋がれているインピーダンス変成部の線路幅は、前記第2の部位の線路幅よりも大きいことを特徴とする請求項1または2に記載の導波管マイクロストリップ線路変換器。
  4. 前記複数のインピーダンス変成部のうち互いに繋がれているインピーダンス変成部同士の線路幅は互いに異なることを特徴とする請求項3に記載の導波管マイクロストリップ線路変換器。
  5. 前記複数のインピーダンス変成部には、前記第2の部位の線路幅よりも小さい線路幅のインピーダンス変成部が含まれることを特徴とする請求項3または4に記載の導波管マイクロストリップ線路変換器。
  6. 前記複数のインピーダンス変成部には、前記第1の部位の線路幅よりも大きい線路幅のインピーダンス変成部が含まれることを特徴とする請求項3から5のいずれか1つに記載の導波管マイクロストリップ線路変換器。
  7. 前記複数のインピーダンス変成部は、前記第1の方向の伝送路を構成するインピーダンス変成部と、前記第1の方向に対し斜め方向の伝送路を構成しているインピーダンス変成部とを含むことを特徴とする請求項3から6のいずれか1つに記載の導波管マイクロストリップ線路変換器。
  8. 前記複数のインピーダンス変成部は、第1のインピーダンス変成部と、第2のインピーダンス変成部と、前記第1のインピーダンス変成部および前記第2のインピーダンス変成部の間に設けられ前記第1のインピーダンス変成部の線路幅と前記第2のインピーダンス変成部の線路幅とのいずれよりも小さい線路幅の第3のインピーダンス変成部と、を含み、
    前記第3のインピーダンス変成部は、前記斜め方向の伝送路を構成していることを特徴とする請求項7に記載の導波管マイクロストリップ線路変換器。
  9. 前記第1の部位は、前記第3の部位の前記第1の方向における端に続けて、前記第1の方向に垂直な第2の方向へ延ばされていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1つに記載の導波管マイクロストリップ線路変換器。
  10. 前記線路導体は、前記第2の部位から分岐され前記第2の部位の側とは逆側の端が開放端とされた分岐部位を有することを特徴とする請求項1から9のいずれか1つに記載の導波管マイクロストリップ線路変換器。
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