JP7138905B2 - 超弾性低磁化率ジルコニウム合金 - Google Patents
超弾性低磁化率ジルコニウム合金 Download PDFInfo
- Publication number
- JP7138905B2 JP7138905B2 JP2018026651A JP2018026651A JP7138905B2 JP 7138905 B2 JP7138905 B2 JP 7138905B2 JP 2018026651 A JP2018026651 A JP 2018026651A JP 2018026651 A JP2018026651 A JP 2018026651A JP 7138905 B2 JP7138905 B2 JP 7138905B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- alloy
- magnetic susceptibility
- superelastic
- strain
- alloys
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Materials For Medical Uses (AREA)
Description
このように、超弾性を有する金属材料としては、チタン(Ti)合金や、チタン-ニッケル(Ti-Ni)合金等が従来から知られている。
特許文献1(特許第6160699号公報)には、12質量%以上18質量%以下のTaと、残部がZrのZr-Ta合金において、構成相が斜方晶マルテンサイトを含むマルテンサイトからなる生体用ジルコニウム合金が記載されている。
特許文献2(特開2012-66017号公報)には、15質量%超25質量%以下のNbと、残部がZrの生体用ジルコニウム合金(Zr-Nb合金)が記載されている。
特許文献3(特許第3521253号公報)には、Nb,Taが合計で10~20at%、Snが3~6at%、残部がTi,Zrで構成された形状記憶特性または超弾性を有する生体用形状記憶合金((Ti,Zr)-(Nb,Ta)-Sn合金)が記載されている。
15mol%≦1.5x+y≦45mol%、
1mol%≦m≦20mol%、
1mol%≦n≦6mol%、
x+y+m+n≦60mol%、
を満たす生体用超弾性チタン合金が記載されている。
現在、患者の診察を行う際に、MRI(Magnetic Resonance Imaging:核磁気共鳴画像法)装置を使用して、患者の体内の画像を撮影することが行われている。このとき、体内に金属物が存在していると、MRI装置の作動時に印加される磁場が、金属物の周囲で増大することとなり、撮影される画像にアーチファクト(偽像)が発生する問題がある。アーチファクトは、生体組織の磁化率(≒水の磁化率、-0.72×10-6[cm3/g])と、金属材料の磁化率との差が大きくなると顕著となる。Ti合金や、Ti-Ni合金、ステンレス合金、Co-Cr合金、特許文献3,4に記載のTi系の合金では、磁化率が高くアーチファクトが発生しやすい問題がある。
また、特許文献1,2に記載の合金では、磁化率は抑えられるが、超弾性を有さないため、生体用の金属材料として使用可能な用途が限られる問題がある。
ニオブと、
アルミニウムと、
残部のジルコニウムと、
不可避的不純物と、
からなり、
ニオブの割合をアトミックパーセントでxとし、アルミニウムの割合をアトミックパーセントでyとした場合に、
7≦x≦10.5、
6≦y≦11、
25≦2x+y≦27、
を満たすことを特徴とする。
実験に使用した試験片は、下記の方法(1)~(7)により作製された。
(1)各金属元素のat%を計測してアルゴンアーク溶解法(3000[K]以下)により溶融して合金インゴットを作製した。すなわち、合金1(Zr-12Nb-3Al)は、12at%(アトミックパーセント)のNbと、3at%のAlと、残部(85at%)のZrの組成の合金であり、合金2(Ti-11.5Nb-3Al)は11.5at%のNbと、3at%のAlと、残部(85.5at%)のZrの組成の合金である。
(2)作製された合金の均質化処理を行った。実施例の均質化処理では、一例として、1273[K]で7.2[ks](7200秒=2時間)の間、空冷した。
(3)均質化処理がされた合金に対して、溶体化処理を行った。実施例の溶体化処理では、一例として、1273[K]で7.2[ks](7200秒=2時間)の間、水で焼き入れした。
(4)溶体化処理がされた合金に対して、50%冷間圧延を行った。
(5)冷間圧延された合金に対して、一例として、1273[K]で0.6[ks](600秒=10分)かけて、焼鈍を行った。
(6)焼鈍された合金に対して、最終厚さが0.2mmの薄板となるように、95%冷間圧延を行った。
(7)薄板の合金に対して、熱処理を行った。実施例1の熱処理では、一例として、1173[K]で1.8[ks](1800秒=30分)の間、水冷した。
前記作製方法で作製された合金の薄板を使用して、以下の1)~6)の特性評価を行った。
1)相同定
2)2.5%歪み負荷除荷試験
3)TEM観察
4)歪み増加サイクル試験
5)DSC測定(Differential scanning calorimetry:示差走査熱量測定)
6)磁化測定
なお、相同定は、4%負荷除荷試験の前後で、XRD(X-ray diffraction:X線回折)法で、相(β相(bcc)やα″相(orthorhombic、斜方晶、マルテンサイト))の同定を行った。
また、歪み負荷除荷試験において、除荷後の加熱はヒートガンで500Kに上昇させ、その後、室温まで冷却後変位を測定し、形状回復歪みを評価した。
図1に示すように、応力負荷と加熱によって、β相とα″相の相変態を確認することができた。したがって、Zrをベースとする実施例の合金でも、Ti合金と同じメカニズムで形状記憶特性が表れることがわかった。
図2は各合金の相同定結果と2.5%歪み負荷除荷試験の結果の説明図である。
図3は歪み負荷試験の模式図である。
図2において、各合金1~37における相同定結果と歪み負荷曲線を示す。図3において、歪み負荷曲線において、実施例である合金7、合金8、合金12~合金14、合金18~合金20、合金24~合金37では、除荷時の弾性復元による歪みの回復量εelだけでなく、超弾性による歪みの回復εseが見られる。なお、弾性分の歪みεelと超弾性分の歪みεseを合わせたものが回復歪みεrであり、塑性変形によるひずみがεresとなる。
したがって、合金7、合金8、合金12~合金14、合金18~合金20、合金24~合金37は超弾性を有する合金である。
7≦x≦10.5、
6≦y≦11、
25≦2x+y≦27、
を満足する範囲と規定される。
なお、Nbが7at%より少ない場合は、50%冷間圧延ができず、試料作製ができなかった。
図4において、前述した超弾性を有する合金において、合金19、合金25、合金28、合金31、合金34は2%を超える超弾性回復歪みを有し、特に、合金25、合金28は4%を超える(約4.3%)超弾性回復歪みを有することが確認された。
図5において、合金5、合金9、合金14、合金19の各TEM画像を見ると、Nb濃度が同一で、Al濃度を増加させると、ω相(マルテンサイトを阻害する相)が減少していき、合金19では、ほとんど消えたことが確認された。
図7は合金13、合金19、合金25、合金28、合金31、合金34、合金36の超弾性回復歪みと繰り返し回数のグラフである。
図6、図7において、各合金において、歪み負荷試験を繰り返すと、一度超弾性特性が上昇した後、少しずつ超弾性特性が低下することが確認された。合金13や合金19では、5回目以降は超弾性特性が低下し始めるが、合金25と合金28、合金31、合金34は、合金13や合金19に比べて、繰り返しに強いことが確認された。特に、合金28は7回目でも超弾性特性がほとんど低下しないことが確認された。
DSC測定では、各合金において、Nbの濃度の変化とAlの濃度の変化と逆変態温度との関係を測定した。図8において、Nb濃度が増加するほど逆変態温度が低下することが確認された。なお、温度低下は、Nb濃度1at%あたり、-114[K]であった。また、Al濃度が増加するほど逆変態温度が低下することも確認された。なお、温度低下は、Al濃度1at%あたり、-48[K]であった。
図9には、各合金において、Nbの濃度を変化させた場合と、Alの濃度を変化させた場合の合金の磁化率の推移を計測した結果を示す。
図9において、各合金は、2×10-6[cm3/g]未満、さらに言えば、1.7×10-6[cm3/g]未満の磁化率の合金が得られることが分かった。ここで、純チタンは磁化率が3.25×10-6[cm3/g]であり、Ti-Ni合金は磁化率が3.30×10-6[cm3/g]である。したがって、チタン系の合金に比べて、約半分の磁化率を有する超弾性合金が得られた。なお、純ジルコニウムは磁化率が1.31×10-6[cm3/g]であるが、超弾性特性は有さない。例えば、超弾性特性を有する合金25は磁化率が1.66×10-6[cm3/g]であった。
また、図9の結果から、Nbの濃度を増加させると、磁化率が上昇することが確認された。これは、Nbの磁化率(2.20×10-6[cm3/g])がZrよりも高いためと考えられる。また、Alの濃度が増加すると、磁化率が上昇した後に低下することも確認された。最初に磁化率が上昇するのは、ω相の抑制効果が向上するためと考えられ、後に磁化率が低下するのはAlの磁化率(0.61×10-6[cm3/g])がZrの磁化率よりも低いためと考えられる。
例えば、高い生体適合性を利用して、人工骨や人工関節、インプラント(人工歯根)、歯列矯正ワイヤ、ステント等の手術や治療等で使用される生体・医療部材に好適に利用可能であるが、これに限定されない。例えば、超弾性(高柔軟性)、高強度を利用して、眼鏡のフレームやゴルフクラブ、サスペンションやスプリング等の自動車、二輪車用部品、テントのポール等のレジャー用品等にも好適に適用可能である。
Claims (1)
- ニオブと、
アルミニウムと、
残部のジルコニウムと、
不可避的不純物と、
からなり、
ニオブの割合をアトミックパーセントでxとし、アルミニウムの割合をアトミックパーセントでyとした場合に、
7≦x≦10.5、
6≦y≦11、
25≦2x+y≦27、
を満たすことを特徴とする超弾性低磁化率ジルコニウム合金。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018026651A JP7138905B2 (ja) | 2018-02-19 | 2018-02-19 | 超弾性低磁化率ジルコニウム合金 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018026651A JP7138905B2 (ja) | 2018-02-19 | 2018-02-19 | 超弾性低磁化率ジルコニウム合金 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2019143180A JP2019143180A (ja) | 2019-08-29 |
JP7138905B2 true JP7138905B2 (ja) | 2022-09-20 |
Family
ID=67771961
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018026651A Active JP7138905B2 (ja) | 2018-02-19 | 2018-02-19 | 超弾性低磁化率ジルコニウム合金 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7138905B2 (ja) |
Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US20080071347A1 (en) | 2006-09-15 | 2008-03-20 | Boston Scientific Scimed, Inc. | Medical devices having alloy compositions |
JP2010075413A (ja) | 2008-09-25 | 2010-04-08 | Seiko Epson Corp | 生体用金属材料および医療機器 |
WO2013035269A1 (ja) | 2011-09-05 | 2013-03-14 | 国立大学法人 筑波大学 | 生体用超弾性ジルコニウム合金、医療用器具および眼鏡 |
JP2015212400A (ja) | 2012-08-28 | 2015-11-26 | 国立大学法人 東京医科歯科大学 | ジルコニウム合金、骨固定具、及びジルコニウム合金の製造方法 |
CN105463253A (zh) | 2015-12-25 | 2016-04-06 | 燕山大学 | 一种低膨胀系数的锆合金及其制备方法 |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2677667B2 (ja) * | 1989-04-24 | 1997-11-17 | 功二 橋本 | 高耐食アモルファスアルミニウム合金 |
JPH059631A (ja) * | 1991-07-05 | 1993-01-19 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 耐摩耗ジルコニウム合金 |
-
2018
- 2018-02-19 JP JP2018026651A patent/JP7138905B2/ja active Active
Patent Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US20080071347A1 (en) | 2006-09-15 | 2008-03-20 | Boston Scientific Scimed, Inc. | Medical devices having alloy compositions |
JP2010075413A (ja) | 2008-09-25 | 2010-04-08 | Seiko Epson Corp | 生体用金属材料および医療機器 |
WO2013035269A1 (ja) | 2011-09-05 | 2013-03-14 | 国立大学法人 筑波大学 | 生体用超弾性ジルコニウム合金、医療用器具および眼鏡 |
JP2015212400A (ja) | 2012-08-28 | 2015-11-26 | 国立大学法人 東京医科歯科大学 | ジルコニウム合金、骨固定具、及びジルコニウム合金の製造方法 |
CN105463253A (zh) | 2015-12-25 | 2016-04-06 | 燕山大学 | 一种低膨胀系数的锆合金及其制备方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2019143180A (ja) | 2019-08-29 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Mehjabeen et al. | Zirconium alloys for orthopaedic and dental applications | |
Niinomi et al. | Development of new metallic alloys for biomedical applications | |
US7722805B2 (en) | Titanium alloy with extra-low modulus and superelasticity and its producing method and processing thereof | |
Li et al. | Superelasticity and tensile strength of Ti-Zr-Nb-Sn alloys with high Zr content for biomedical applications | |
JP4523179B2 (ja) | 生物医学用の補助材または埋込材 | |
Liu et al. | Deformation-induced changeable Young's modulus with high strength in β-type Ti–Cr–O alloys for spinal fixture | |
Málek et al. | The effect of Zr on the microstructure and properties of Ti-35Nb-XZr alloy | |
Narushima | New-generation metallic biomaterials | |
JP2003293058A (ja) | 生体用超弾性チタン合金 | |
Tian et al. | Microstructure, elastic deformation behavior and mechanical properties of biomedical β-type titanium alloy thin-tube used for stents | |
US9758846B2 (en) | Super elastic zirconium alloy for biological use, medical instrument and glasses | |
Li et al. | Towards bone-like elastic modulus in TiNbSn alloys with large recovery strain for biomedical applications | |
CN106435271A (zh) | 一种低模量医用钛合金及其制备方法 | |
Tasaki et al. | Martensitic transformation and shape memory effect of TiZrHf-based multicomponent alloys | |
US9034017B2 (en) | Spinal fixation rod made of titanium alloy | |
JP7138905B2 (ja) | 超弾性低磁化率ジルコニウム合金 | |
Chiu et al. | Phase constituent and microstructure manipulations via annealing for enhancements of mechanical property and functionalities of Ti–Au–Cr–Ta biomedical shape memory alloys | |
JP2002180168A (ja) | 生体用Ti合金およびその製造方法 | |
JP4477297B2 (ja) | Ti−Mo基合金ばね材 | |
CN104745878B (zh) | 一种中等强度柔性窄滞后的NiTiWCu四元合金及其制备方法和应用 | |
CN111032891B (zh) | 无伪影的超弹性合金 | |
CN106591628B (zh) | 一种具有低杨氏模量的Ti-Mn-Nb三元合金 | |
Hisata et al. | Influence of Nb addition on phase constitution and mechanical properties of biomedical Ti-Zr based alloys | |
US20240002982A1 (en) | Superelastic alloys | |
Venugopalan | Medical device materials iii |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A80 | Written request to apply exceptions to lack of novelty of invention |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A80 Effective date: 20180301 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20210202 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20220126 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20220208 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20220322 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20220823 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20220831 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7138905 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |