以下、本開示の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いられる図は模式的なものであり、図面上の寸法比率等は現実のものとは必ずしも一致していない。同一の部材を示す複数の図面同士においても、形状等を誇張するために、寸法比率等は互いに一致していないことがある。
(プリンタの全体構成)
図1(a)は、本開示の一実施形態に係る液体吐出ヘッド2(以下で単にヘッドということがある。)を含むカラーインクジェットプリンタ1(記録装置の一例。以下で単にプリンタということがある)の概略の側面図である。図1(b)は、プリンタ1の概略の平面図である。
なお、ヘッド2又はプリンタ1は、任意の方向を鉛直方向とすることが可能であるが、便宜上、図1(a)の紙面上下方向を鉛直方向として、上面又は下面等の語を用いることがある。また、平面視等の語は、特に断りがない限り、図1(a)の紙面上下方向に見ることをいうものとする。
プリンタ1は、印刷用紙P(記録媒体の一例)を給紙ローラ80Aから回収ローラ80Bへと搬送することにより、印刷用紙Pをヘッド2に対して相対的に移動させる。なお、給紙ローラ80A及び回収ローラ80B並びに後述する各種のローラは、印刷用紙Pとヘッド2とを相対移動させる移動部85を構成している。制御部88は、画像や文字等のデータである印刷データ等に基づいて、ヘッド2を制御して、印刷用紙Pに向けて液体を吐出させ、印刷用紙Pに液滴を着弾させて、印刷用紙Pに印刷などの記録を行なう。
本実施形態では、ヘッド2はプリンタ1に対して固定されており、プリンタ1はいわゆるラインプリンタとなっている。記録装置の他の実施形態としては、ヘッド2を印刷用紙Pの搬送方向に交差する方向(例えば略直交する方向)に移動させつつ液滴を吐出する動作と、印刷用紙Pの搬送とを交互に行なう、いわゆるシリアルプリンタが挙げられる。
プリンタ1には、印刷用紙Pと略平行となるように、4個の平板状のヘッド搭載フレーム70(以下で単にフレームと言うことがある)が固定されている。各フレーム70には図示しない5個の孔が設けられており、5個のヘッド2がそれぞれの孔の部分に搭載されている。1個のフレーム70に搭載されている5個のヘッド2は、1つのヘッド群72を構成している。プリンタ1は、4つのヘッド群72を有しており、合計20個のヘッド2が搭載されている。
フレーム70に搭載されたヘッド2は、液体を吐出する部位が印刷用紙Pに面する。ヘッド2と印刷用紙Pとの間の距離は、例えば0.5~20mm程度とされる。
20個のヘッド2は、制御部88と直接接続されていてもよいし、印刷データを分配する分配部を介して制御部88と接続されていてもよい。例えば、制御部88が印刷データを1個の分配部へ送信し、1個の分配部が印刷データを20個のヘッド2に分配してもよい。また、例えば、4つのヘッド群72に対応する4つの分配部へ制御部88が印刷データを分配し、各分配部は、対応するヘッド群72内の5個のヘッド2に印刷データを分配してもよい。
ヘッド2は、図1(a)の手前から奥へ向かう方向、図1(b)の上下方向に細長い長尺形状を有している。1つのヘッド群72内において、3個のヘッド2は、印刷用紙Pの搬送方向に交差する方向(例えば略直交する方向)に沿って並んでおり、他の2個のヘッド2は搬送方向に沿ってずれた位置で、3個のヘッド2の間にそれぞれ一つずつ並んでいる。別の表現をすれば、1つのヘッド群72において、ヘッド2は、千鳥状に配置されている。ヘッド2は、各ヘッド2で印刷可能な範囲が、印刷用紙Pの幅方向、すなわち、印刷用紙Pの搬送方向に交差する方向に繋がるように、あるいは端が重複するように配置されており、印刷用紙Pの幅方向に隙間のない印刷が可能になっている。
4つのヘッド群72は、印刷用紙Pの搬送方向に沿って配置されている。各ヘッド2には、図示しない液体供給タンクから液体(例えばインク)が供給される。1つのヘッド群72に属するヘッド2には、同じ色のインクが供給されるようになっており、4つのヘッド群72で4色のインクが印刷できる。各ヘッド群72から吐出されるインクの色は、例えば、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、シアン(C)およびブラック(K)である。このようなインクを印刷用紙Pに着弾させることにより、カラー画像を印刷できる。
プリンタ1に搭載されているヘッド2の個数は、単色で、1個のヘッド2で印刷可能な範囲を印刷するのであれば、1個でもよい。ヘッド群72に含まれるヘッド2の個数や、ヘッド群72の数は、印刷する対象や印刷条件により適宜変更できる。例えば、さらに多色の印刷をするためにヘッド群72の数を増やしてもよい。また、同色で印刷するヘッド群72を複数配置して、搬送方向に交互に印刷すれば、同じ性能のヘッド2を使用しても搬送速度を速くできる。これにより、時間当たりの印刷面積を大きくすることができる。また、同色で印刷するヘッド群72を複数準備して、搬送方向と交差する方向にずらして配置して、印刷用紙Pの幅方向の解像度を高くしてもよい。
さらに、色のあるインクを印刷する以外に、印刷用紙Pの表面処理をするために、コーティング剤などの液体を、ヘッド2で、一様に、あるいはパターンニングして印刷してもよい。コーティング剤としては、例えば、記録媒体として液体が浸み込み難いものを用いる場合において、液体が定着し易いように、液体受容層を形成するものを使用できる。他に、コーティング剤としては、記録媒体として液体が浸み込み易いものを用いる場合において、液体のにじみが大きくなり過ぎたり、隣に着弾した別の液体とあまり混じり合わないように、液体浸透抑制層を形成するものを使用できる。コーティング剤は、ヘッド2で印刷する以外に、制御部88が制御する塗布機76で一様に塗布してもよい。
プリンタ1は、記録媒体である印刷用紙Pに印刷を行なう。印刷用紙Pは、給紙ローラ80Aに巻き取られた状態になっており、給紙ローラ80Aから送り出された印刷用紙Pは、フレーム70に搭載されているヘッド2の下側を通り、その後2個の搬送ローラ82Cの間を通り、最終的に回収ローラ80Bに回収される。印刷する際には、搬送ローラ82Cを回転させることで印刷用紙Pは、一定速度で搬送され、ヘッド2によって印刷される。
続いて、プリンタ1の詳細について、印刷用紙Pが搬送される順に説明する。給紙ローラ80Aから送り出された印刷用紙Pは、2つのガイドローラ82Aの間を通った後、塗布機76の下を通る。塗布機76は、印刷用紙Pに、上述のコーティング剤を塗布する。
印刷用紙Pは、続いて、ヘッド2が搭載されたフレーム70を収納した、ヘッド室74に入る。ヘッド室74は、印刷用紙Pが出入りする部分などの一部において外部と繋がっているが、概略、外部と隔離された空間である。ヘッド室74は、必要に応じて、制御部88等によって、温度、湿度、および気圧等の制御因子が制御される。ヘッド室74では、プリンタ1が設置されている外部と比較して、外乱の影響を少なくできるので、上述の制御因子の変動範囲を外部よりも狭くできる。
ヘッド室74には、5個のガイドローラ82Bが配置されており、印刷用紙Pは、ガイドローラ82Bの上を搬送される。5個のガイドローラ82Bは、側面から見て、フレーム70が配置されている方向に向けて、中央が凸になるように配置されている。これにより、5個のガイドローラ82Bの上を搬送される印刷用紙Pは、側面から見て円弧状になっており、印刷用紙Pに張力を加えることで、各ガイドローラ82B間の印刷用紙Pが平面状になるように張られる。2つ個ガイドローラ82Bの間には、1個のフレーム70が配置されている。フレーム70は、その下を搬送される印刷用紙Pと平行になるように、設置される角度が少しずつ変えられている。
ヘッド室74から外に出た印刷用紙Pは、2つの搬送ローラ82Cの間を通り、乾燥機78の中を通り、2個のガイドローラ82Dの間を通り、回収ローラ80Bに回収される。印刷用紙Pの搬送速度は、例えば、100m/分とされる。各ローラは、制御部88によって制御されてもよいし、人によって手動で操作されてもよい。
乾燥機78で乾燥することにより、回収ローラ80Bにおいて、重なって巻き取られる印刷用紙P同士が接着したり、未乾燥の液体が擦れることが起き難くなる。高速で印刷するためには、乾燥も速く行なう必要がある。乾燥を速くするため、乾燥機78では、複数の乾燥方式により順番に乾燥してもよいし、複数の乾燥方式を併用して乾燥してもよい。そのような際に用いられる乾燥方式としては、例えば、温風の吹き付け、赤外線の照射、加熱したローラへの接触などがある。赤外線を照射する場合は、印刷用紙Pへのダメージを少なくしつつ乾燥を速くできるように、特定の周波数範囲の赤外線を当ててもよい。印刷用紙Pを加熱したローラに接触させる場合は、印刷用紙Pをローラの円筒面に沿って搬送させることで、熱が伝わる時間を長くしてもよい。ローラの円筒面に沿って搬送させる範囲は、ローラの円筒面の1/4周以上がよく、さらにローラの円筒面の1/2周以上にするのがよい。UV硬化インク等を印刷する場合には、乾燥機78の代わりに、あるいは乾燥機78に追加してUV照射光源を配置してもよい。UV照射光源は、各フレーム70の間に配置してもよい。
プリンタ1は、ヘッド2をクリーニングするクリーニング部を備えていてもよい。クリーニング部は、例えば、ワイピング及び/又はキャッピングによって洗浄を行なう。ワイピングは、例えば、柔軟性のあるワイパーで、液体が吐出される部位の面、例えば吐出面2a(後述)を擦ることで、その面に付着していた液体を取り除く。キャッピングしての洗浄は、例えば、次のように行なう。まず、液体を吐出される部位、例えば吐出面2aを覆うようにキャップを被せる(これをキャッピングと言う)ことで、吐出面2aとキャップとで、略密閉されて空間が作られる。そのような状態で、液体の吐出を繰り返すことで、ノズル3(後述)に詰まっていた、標準状態よりも粘度が高くなっていた液体や、異物等を取り除く。キャッピングしてあることで、洗浄中の液体がプリンタ1に飛散し難く、液体が、印刷用紙Pやローラ等の搬送機構に付着し難くなる。洗浄を終えた吐出面2aを、さらにワイピングしてもよい。ワイピング及び/又はキャッピングによる洗浄は、プリンタ1に取り付けられているワイパー及び/又はキャップを人が手動で操作して行なってもよいし、制御部88によって自動で行なってもよい。
記録媒体は、印刷用紙P以外に、ロール状の布などでもよい。また、プリンタ1は、印刷用紙Pを直接搬送する代わりに、搬送ベルトを搬送して、記録媒体を搬送ベルトに置いて搬送してもよい。そのようにすれば、枚葉紙、裁断された布、木材又はタイルなどを記録媒体にできる。さらに、ヘッド2から導電性の粒子を含む液体を吐出するようにして、電子機器の配線パターンなどを印刷してもよい。またさらに、ヘッド2から反応容器などに向けて所定量の液体の化学薬剤又は化学薬剤を含んだ液体を吐出させて、反応させるなどして、化学薬品を作製してもよい。
また、プリンタ1に、位置センサ、速度センサ及び/又は温度センサなどを取り付けて、制御部88が、各センサからの情報から分かるプリンタ1各部の状態に応じて、プリンタ1の各部を制御してもよい。例えば、ヘッド2の温度、ヘッド2に液体を供給する液体供給タンクの液体の温度、及び/又は液体供給タンクの液体がヘッド2に加えている圧力などが、吐出される液体の吐出特性(例えば吐出量及び/又は吐出速度)に影響を与えている場合などに、それらの情報に応じて、液体を吐出させる駆動信号を変えるようにしてもよい。
(吐出面の概要)
図2は、ヘッド2の印刷用紙Pに対向する面(吐出面2a)を示す平面図である。図3は、図2の領域IIIの拡大図である。これらの図では、便宜上、D1軸、D2軸及びD3軸からなる直交座標系を付している。D1軸は、ヘッド2と印刷用紙Pとの相対移動の方向に平行に定義されている。D1軸の正負と、ヘッド2に対する印刷用紙Pの進行方向との関係は、本実施形態の説明では特に問わない。D2軸は、吐出面2a及び印刷用紙Pに平行で、かつD1軸に直交するように定義されている。D2軸の正負も特に問わない。D3軸は、吐出面2a及び印刷用紙Pに直交するように定義されている。D3軸の負側である-D3側(図2及び図3の紙面手前側)は、ヘッド2から印刷用紙Pへの方向である。
吐出面2aは、例えば、ヘッド2の印刷用紙Pに対向する面の大部分を構成している平面である。既に述べたように、ヘッド2は、印刷用紙Pとの相対移動の方向に交差する方向(D2方向)に長い長尺状であり、吐出面2aもD2方向を長手方向とする形状とされている。具体的には、吐出面2aは、例えば、D2方向を長手方向とする概略矩形状とされている。
吐出面2aには、インク滴を吐出する複数のノズル3(図3)が設けられている。複数のノズル3は、ヘッド2と印刷用紙Pとの相対移動の方向(D1方向)に直交する方向(D2方向)の位置を互いに異ならせて配置されている。従って、移動部85によってヘッド2と印刷用紙Pとを相対移動させつつ、複数のノズル3からインク滴を吐出することにより、任意の2次元画像が形成される。
より具体的には、複数のノズル3は、複数行(図示の例では16行)で配列されている。すなわち、複数のノズル3によって、複数のノズル行5が構成されている。なお、図2では、吐出面2aに対してノズル3が微細であることから、ノズル行5は直線で模式的に示されている。複数のノズル行5同士において、複数のノズル3のD2方向における位置は互いに異なっている。これにより、各ノズル行5におけるノズル3のピッチよりも狭いピッチでD2方向に並ぶ複数のドットを印刷用紙Pに形成することが可能となっている。
各ノズル行5において、複数のノズル3は、直線状に配列されている。より詳細には、例えば、複数のノズル3は、仮想直線上に中心(図心)が一致するように配列されている。ただし、ノズル3の中心は、比較的微小な振れ幅で上記の仮想直線からずれていてもよい。各ノズル行5における複数のノズル3のピッチについては後述する。
複数のノズル行5は、例えば、概略、互いに平行であり、また、互いに同等の長さを有している。図示の例では、ノズル行5は、ヘッド2と印刷用紙Pとの相対移動の方向に直交する方向(D2方向)に平行になっている。ただし、ノズル行5は、D2方向に対して傾斜していてもよい。また、図示の例では、複数のノズル行5間の隙間の大きさは均等ではない。これは、例えば、ヘッド2内部の流路の配置の都合に起因する。もちろん、ノズル行5間の隙間の大きさは均等とされてもよい。
(ヘッドの構造の概要)
図4は、ヘッド2の一部を拡大して示す模式的な断面図である。なお、図4の紙面下方が記録媒体Pに対向する側(-D3側)である。
ヘッド2は、圧電素子の機械的歪によりインクに圧力を付与するピエゾ式のヘッドである。ヘッド2は、ノズル3毎に設けられた複数の吐出素子11を有しており、図4は一の吐出素子11を示している。
複数の吐出素子11は、特に図示しないが、例えば、概略、ノズル行5毎に吐出素子11の行を構成している。各行における吐出素子11の向き及び数は、後述する共通流路19の経路の設計等と併せて適宜に設定されてよい。例えば、吐出素子11の各行において、吐出素子11は、互いに同一の向きであってもよいし、1つずつ逆向きであってもよい。また、1行のノズル行5に対して1行の吐出素子11が設けられてもよいし、1行のノズル行5に対してその両側に2行の吐出素子11の行が互いに逆向きで設けられてもよい。互いに隣り合う2行のノズル行5に対応する2行の吐出素子11の行は、各行の吐出素子11が1つずつ交互に配列されて見かけ上1行のように構成されていてもよい。
ヘッド2は、別の観点では、インクを貯留する空間を形成する流路部材13と、流路部材13に貯留されているインクに圧力を付与するアクチュエータ15とを有している。複数の吐出素子11は、流路部材13及びアクチュエータ15により構成されている。
(流路部材の構成)
流路部材13の内部には、複数の個別流路17(図4では1つを図示)と、当該複数の個別流路17に通じる共通流路19とが形成されている。個別流路17は、吐出素子11毎に設けられ、共通流路19は、複数の吐出素子11に共通に設けられている。
各個別流路17は、既述のノズル3と、ノズル3が底面21aに開口している部分流路21と、部分流路21に通じる加圧室23と、加圧室23と共通流路19とを連通する連通路25とを有している。
複数の個別流路17及び共通流路19にはインクが満たされている。加圧室23の容積が変化してインクに圧力が付与されることにより、加圧室23から部分流路21へインクが送出され、ノズル3からインク滴が吐出される。また、加圧室23へは連通路25を介して共通流路19からインクが補充される。
複数の個別流路17及び共通流路19の断面形状若しくは平面形状は、適宜に設定されてよい。複数の個別流路17の構成(平面視における向きは除く)は、例えば、概略、互いに同一である。ただし、部分流路21の傾斜など、一部が互いに異なっていてもよい。
加圧室23は、例えば、D3方向において一定の厚みに形成され、また、平面視において、概略、菱形又は楕円等とされている。加圧室23の平面方向の端部は、部分流路21と連通され、その反対側の端部は連通路25と連通されている。連通路25の一部は、流れ方向に直交する断面積が共通流路19および加圧室23よりも小さいしぼりとされている。
部分流路21は、加圧室23の底面(-D3側の面)から吐出面2a側へ延びている。部分流路21の断面(D3軸に直交する断面)の形状は適宜に設定されてよく、特に図示しないが、例えば、円形又は矩形である。また、当該断面形状(寸法含む)は、部分流路21の長さ(概略D3方向)に亘って一定であってもよいし、変化してもよく、図示の例では若干変化している。部分流路21は、D3軸に平行に延びていてもよいし、D3軸に対して適宜に傾斜して延びていてもよい。
ノズル3の形状は適宜に設定されてよい。例えば、ノズル3は、平面視において円形であり、吐出面2a側ほど径が小さくなっている。すなわち、ノズル3の形状は、概略、円錐台である。なお、ノズル3は、先端側(-D3側)の一部が先端側ほど拡径するように構成されていてもよい。ノズル3の底面21aに対する開口面積は、当然に、底面21aよりも小さい。
共通流路19は、例えば、加圧室23よりも下方において吐出面2aに沿って延びている。より詳細には、例えば、共通流路19は、ノズル行5に沿って延びている。ただし、共通流路19は、ノズル行5に交差する方向に延びていてもよい。共通流路19は、互いに並列に複数設けられている。共通流路19は、流路部材13内において互いに独立していてもよいし、端部側において合流していてもよい。
流路部材13は、例えば、複数のプレート27A~27J(以下、A~Jを省略することがある。)が積層されることにより構成されている。プレート27には、複数の個別流路17及び共通流路19を構成する貫通孔(凹部とすることも可。)が形成されている。複数のプレート27の厚み及び積層数は、複数の個別流路17及び共通流路19の形状等に応じて適宜に設定されてよい。複数のプレート27は、適宜な材料により形成されてよく、例えば、金属、樹脂、セラミック若しくはシリコンにより形成されている。
複数のプレート27のうち最も-D3側に位置するプレート27については、ノズルプレート27Aということがある。ノズルプレート27Aは、例えば、その下面によって吐出面2aを構成しており、その上面によって部分流路21の底面21aを構成している。ノズル3は、ノズルプレート27Aをその厚さ方向に貫通する孔によって構成されている。
(アクチュエータの構成)
アクチュエータ15は、例えば、撓みモードで変位する、ユニモルフ型の圧電素子により構成されている。具体的には、例えば、アクチュエータ15は、加圧室23側から順に積層された、振動板29、共通電極31、圧電体33及び複数の個別電極35を有している。
振動板29、共通電極31及び圧電体33は、例えば、複数の加圧室23を覆うように複数の加圧室23(複数の吐出素子11)に共通に設けられている。一方、個別電極35は、加圧室23(吐出素子11)毎に設けられている。なお、アクチュエータ15のうち、一の吐出素子11に対応する部分を加圧素子37ということがある。複数の加圧素子37の構成(平面視における向きは除く)は、互いに同一である。
振動板29は、例えば、流路部材13の上面に重ねられることにより、加圧室23の上面開口を塞いでいる。なお、加圧室23は、上面開口がプレート27によって塞がれ、その上に振動板29が重なっていてもよい。ただし、この場合も、そのプレート27を振動板の一部として捉え、振動板によって加圧室23が塞がれていると捉えてもよい。
圧電体33は、厚み方向(D3方向)が分極方向とされている。従って、例えば、共通電極31及び個別電極35に電圧を印加して、圧電体33に対して分極方向に電界を作用させると、圧電体33は面内(D3軸に直交する面内)で収縮する。この収縮により振動板29は、加圧室23側に凸となるように撓み、その結果、加圧室23の容積は変化する。逆向きに電圧を印加すれば、振動板29は逆側に撓む。
共通電極31は、既述のように複数の加圧室23に亘っており、一定の電位(例えば基準電位)が付与される。個別電極35は、加圧室23上に位置している個別電極本体35aと、その個別電極本体35aから引き出された引出電極35bとを含んでいる。平面視において、個別電極本体35aの形状及び大きさは、概略、加圧室23と同等である。複数の個別電極35に個別に電位(駆動信号)が付与されることにより、複数のノズル3からのインク滴の吐出が個別に制御される。
振動板29、共通電極31、圧電体33及び個別電極35は、適宜な材料により形成されてよい。例えば、振動板29は、セラミック、酸化シリコン若しくは窒化シリコンにより形成されている。共通電極31及び個別電極35は、例えば、白金若しくはパラジウムにより形成されている。圧電体33は、例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等のセラミックにより形成されている。
アクチュエータ15は、例えば、特に図示しないが、アクチュエータ15上に対向配置されたフレキシブルプリント配線板(FPC)と接続される。具体的には、各引出電極35bがFPCと接続されるとともに、共通電極31が不図示のビア導体等を介してFPCと接続される。そして、制御部88は、例えば、FPCに実装された不図示の駆動ICを介して、共通電極31に一定の電位を付与するとともに、複数の個別電極35に個別に駆動信号を入力する。
(ヘッドにおけるその他の構成)
特に図示しないが、ヘッド2は、図4に示した構成の他に、筐体、ドライバIC、配線基板などを含んでいてよい。また、ヘッド2は、流路部材13に液体を供給する他の流路部材を含んでいてよい。
(ノズルの配列の詳細)
図5は、吐出面2aを見たときのノズルの配列を示す模式図である。
D1軸及びD2軸から理解されるように、縦軸RPは、D1方向の位置を示し、横軸DPは、D2方向の位置を示している。また、黒丸及び白丸は、いずれもノズル3を示している。
より詳細には、縦軸RPは、ノズル行5の位置(別の観点ではD1方向の位置)を示している。本実施形態では、16行のノズル行5が設けられていることから、第1行~第16行のノズル行5の位置に対応する目盛が付されている。ここでは、実際のノズル行5同士の距離は無視して、一定のピッチで目盛が付されている。
既述のように、D1方向に見て、各ノズル行5のノズル3が他のノズル行5のノズル3間に位置することによって、複数のノズル3の位置は互いにずれている。すなわち、複数のノズル3をD1方向に投影すると、その射影点はD2軸に平行な仮想線(例えば横軸DP)上に並ぶ。この射影点の位置をドット位置というものとする。以下の説明では、便宜上、正確性を無視して、ドット位置について、例えば、ノズル3の横軸DP上における位置のような表現を用いることがある。
横軸DPには、上記のドット位置に対応する目盛りが付されている。複数のドット位置のピッチは、基本的に一定である。ただし、ドット位置のピッチは、比較的小さい振れ幅で変動していてもよい。ここでは、そのような変動の有無に関わらず、一定のピッチでドット位置に対応する目盛りが付されている。また、当該目盛には便宜的に番号が付されている。以下の説明では、便宜上、この目盛りの番号をノズル行5に直交する列の番号として用いることがある。
k及びmを整数とする。m行のノズル行5それぞれがk個のノズル3を有する場合、k×m個のドット位置が存在する。一般に、kは比較的大きい。例えば、kは少なくともmよりも大きい。また、kの実際的な一例を挙げると、700以上1000以下である。ひいては、一般には、ドット位置の数(k×m)も多数である。ただし、図5においては、その多数のドット位置のうちの一部のみが示されている。具体的には、17個のドット位置が示されている。
q及びmを整数とする。m行のノズル行5が設けられている場合、例えば、連続するq×m個のドット位置に対して、各ノズル行5内で連続するq個のノズル3が割り当てられてよい。このときの横軸DP上におけるノズル3の並び順は、同一のノズル行5のノズル3が連続しないものとされる。これにより、各ノズル行5内におけるD2方向におけるノズル3のドット密度よりも高いドット密度で横軸DP上にドット位置を配置することが可能となる。そして、このq×m個のドット位置におけるノズル3(ノズル行5)の並び順を繰り返すように、k×m個のノズル3を配置することができる。
図5の例では、q=1として、n(ここでは16)個のドット位置におけるノズル3の並び順が繰り返される。従って、横軸DPにおいて、1番目のドット位置と、17番目のドット位置とは、ノズル3の配置パターンに関して等価である。そして、第17番目以降においても、第1番目~第16番目までのノズル3の配置パターンが繰り返される。もちろん、第1番目よりも-D2側も同様とされてよい。
(ノズル領域)
上記のように、横軸DP上におけるノズル3の並び順は、同一のノズル行5のノズル3が連続しないものとされる。本実施形態では、ハッチングした領域によって示されているように、それぞれ複数のノズル行5を含む複数のノズル領域41(41A及び41B)の概念を導入する。横軸DP上におけるノズル3の並び順は、同一のノズル領域41に属するノズル3が連続しない(隣り合わない)ものとされる。換言すれば、D1方向に見て互いに隣り合う2つのノズル3は、常に、互いに異なるノズル領域41に属する。これにより、例えば、同一のノズル行5のノズル3が横軸DP上において連続しないことはもとより、ノズル3の均等配置によって画質の向上が期待される。具体的には、以下のとおりである。
ノズル領域41は、複数のノズル行5を含む領域として定義される。各ノズル領域41が含むノズル行5の数は、複数のノズル領域41同士で互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよく、また、その具体的な値も適宜に設定されてよい。図示の例では、各ノズル領域41が含むノズル行5の数は、複数のノズル領域41同士で互いに同一で、かつ2行とされている。
ノズル領域41の数は、2以上の適宜な数とされてよく、例えば、3以上又は4以上である。図示の例では、16行のノズル行5に対して2行のノズル行5を含むノズル領域41が設定されているから、8個のノズル領域41が設定されている。また、ノズル領域41の数は、偶数個であってもよいし(図示の例)、奇数個であってもよい。
一般に、ノズル行5の長さは、複数のノズル行5全体の幅よりも長いから、ノズル行5を含むノズル領域41は、ノズル行5が延びる方向に長い長尺状の領域である。また、複数のノズル領域41は、複数のノズル行5と同様に、D1方向に並んでいる。なお、ノズル領域41(ノズル行5)がD1方向に直交していない場合においても、複数のノズル領域41(ノズル行5)は、D1方向に並んでいると表現する。
複数のノズル領域41は、D1方向の並び順によって、奇数番目のノズル領域41Aと、偶数番目のノズル領域41Bとに分けることができる。図5では、ノズル領域41Aと41Bとに互いに異なるハッチングを付している。また、奇数番目のノズル領域41Aのノズル3は白丸で示され、偶数番目のノズル領域41のノズル3は黒丸で示されている。
図5において、折れ線L1は、奇数番目のノズル領域41Aに属するノズル3を横軸DP上の並び順に従って順に直線で結んだものである。折れ線L2は、偶数番目のノズル領域41Bに属するノズル3を横軸DP上の並び順に従って順に直線で結んだものである。図示の例では、D1方向に見たときに、奇数番目のノズル領域41Aのノズル3と偶数番目のノズル領域41Bのノズル3とがD2方向に交互に並んでいる。このため、折れ線L1は、複数のノズル3のうち、D1方向に見てD2方向に1つ置きに並んでいるものを結んだ線であり、折れ線L2は、残りのノズル3を結んだ線である。折れ線L2のうち一部(線L3)は、後の説明の便宜上、太く示されている。
なお、図示の例とは異なり、横軸DP上で互いに隣り合う2つのノズル3が互いに異なるノズル領域41に属することを条件として、奇数番目のノズル領域41のノズル3同士が横軸DP上で隣り合っていたり、偶数番目のノズル領域41のノズル3同士が横軸DP上で隣り合っていたりしてもよい。
また、図示の例では、D1方向に見て、ノズル3を1つ挟んでD2方向に互いに隣り合っている2つのノズル3は、常に、互いに異なるノズル領域41に属している。換言すれば、D1方向に見て、D2方向に並んでいる3つのノズル3は、常に、互いに異なる3つのノズル領域41に属している。ただし、図示の例とは異なり、D1方向に見て、ノズル3を1つ挟んでD2方向に互いに隣り合っている2つのノズル3が同一のノズル領域41に属する部分が存在しても構わない。
より詳細には、図示の例では、D1方向に見て、偶数番目のノズル領域41Bのノズル3を1つ挟んで互いに隣り合っている2つのノズル3は、常に、互いに異なる奇数番目のノズル領域41Aに属している。同様に、D1方向に見て、奇数番目のノズル領域41Aのノズル3を1つ挟んで互いに隣り合っている2つのノズル3は、常に、互いに異なる偶数番目のノズル領域41Bに属している。
ただし、図示の例とは異なり、D1方向に見て、ノズル3を1つ挟んで互いに隣り合っている2つのノズル3が属している互いに異なるノズル領域41は、奇数番目のノズル領域41と偶数番目のノズル領域41との組み合わせであっても構わない。また、2つのノズル3が常に互いに異なる奇数番目のノズル領域41Aに属しているという関係と、2つのノズル3が常に互いに異なる偶数番目のノズル領域41Bに属しているという関係との一方のみが成立しても構わないし、いずれの関係も成立しなくても構わない。
奇数番目のノズル領域41のノズル3を結んだ折れ線L1は、奇数番目のノズル領域41のノズル3の1つ毎に、+D1側及び-D1側に交互に屈曲してジグザグに延びている。同様に、偶数番目のノズル領域41のノズル3を結んだ折れ線L2は、偶数番目のノズル領域41のノズル3の1つ毎に、+D1側及び-D1側に交互に屈曲してジグザグに延びている。換言すれば、D1方向に見て1つ置きに並んでいる複数のノズル3をD1方向に見たときの並び順で平面視において結んだ折れ線は、1つ置きに並んでいる複数のノズル3の1つ毎に+D1側及び-D1側に交互に屈曲している。
なお、このような1つ置きのノズル3の1つ毎に折れ線が逆側に屈曲する態様は、本実施形態とは異なり、D1方向に見て、奇数番目のノズル領域41のノズル3と偶数番目のノズル領域41のノズル3とが交互に並んでいない態様に適用されてもよい。また、図示の例とは異なり、折れ線L1及びL2のうちの一方のみがノズル3の1つ毎に逆側に屈曲してもよい。また、図示の例とは異なり、折れ線は、1つ置きに並んでいる複数のノズル3の1つ毎に逆側に屈曲しない部分を有していてもよい。
線L2の一部(太線にした部分)である線L3によって示すように、D1方向に見て1つ置きに並んでいる任意の3つのノズル3に着目し、この3つのノズル3を第3~第5のノズル3というものとする。具体的には、ここでは、第3のノズル3として、第8行かつ第2列のノズル3に着目し、第4のノズル3として、第12行かつ第4列のノズル3に着目し、第5のノズル3として、第3行かつ第6列のノズル3に着目している。
このとき、第3のノズル3が属するノズル領域41と、第4のノズル3が属するノズル領域41とに、D1方向において挟まれているノズル領域41(第9行及び第10行)の数は1個である。一方、第4のノズル3が属するノズル領域41と第5のノズル3が属するノズル領域41とに、D1方向において挟まれているノズル領域41(第5行~第10行)の数は3個である。すなわち、両者は異なっている。この関係は、図示の例では、D1方向に見て1つ置きに並んでいるいずれの3つのノズル3についても成り立っている。
ただし、図示の例とは異なり、上記の関係が成り立たない部分が生じてもよい。第3のノズル3が属するノズル領域41と第4のノズル3が属するノズル領域41とに挟まれるノズル領域41の数、及び第4のノズル3が属するノズル領域41と第5のノズル3が属するノズル領域41とに挟まれるノズル領域41の数は、図示の例では1以上である。ただし、当該数は、0となっても構わない。この場合においても、挟まれるノズル領域41の数が異なるという関係は成立可能である。
また、図示の例では、D1方向に見て他のノズル領域41のノズル3を挟んで隣り合っている、同一のノズル領域41に属している2つのノズル3は、当該同一のノズル領域41内の互いに異なるノズル行5に属している。これは、例えば、いずれのノズル3についても成り立っている。ただし、図示の例とは異なり、D1方向に見て他のノズル領域41のノズル3を挟んで隣り合っている、同一のノズル領域41に属している2つのノズル3は、同一のノズル行5に属していても構わない。なお、この場合、q×m個のノズル3の配置パターンが繰り返される態様では、例えば、q>1とされる。
また、図示の例では、D1方向に見て互いに隣り合っている2つのノズル3は、D1方向において他の1つ以上のノズル行5を挟んで互いに離れている2つのノズル行5に属している。すなわち、D1方向に見て互いに隣り合っている2つのノズル3が属するノズル行5は隣り合っていない。ただし、図示の例とは異なり、このような関係が成立しなくても構わない。
各ノズル領域41において、ノズル3が配置されている横軸DP上のドット位置からその次のノズル3が配置されているドット位置の手前のドット位置までのドット位置の数によって規定される間隔をノズルピッチNP(図5では、最も紙面上方に位置するノズル領域41についてのみ符号を示す。)というものとする。換言すれば、D1方向に見て、同一のノズル領域41のノズル3間に位置する他のノズル領域41のノズル3の数に1を加えた数がノズルピッチNPである。
図示の例では、いずれのノズル領域41においても、ノズルピッチNPは、一定であり、かつn(ノズル領域41の数と同じ)である。ただし、ノズルピッチNPは一定でなくてもよく、また、nでなくてもよい。なお、この場合、q×m個のノズル3の配置パターンが繰り返される態様では、例えば、q>1とされる。
以上のとおり、本実施形態では、液体吐出ヘッド2は、第1方向(D2方向)及び当該D2方向に直交する第2方向(D1方向)に広がる吐出面2aに開口している複数のノズル3を備えている。D1方向に交差する方向(本実施形態ではD2方向)に配列された複数のノズル3を有しているノズル行5が互いに並列に複数構成されている。nを3以上の整数としたときに、それぞれ2行以上のノズル行5を含むn個のノズル領域41がD1方向に並んでいる。D1方向に見て互いに隣り合っているノズル3は、常に、互いに異なるノズル領域41に属している。すなわち、D2方向において互いに隣り合っているノズル3は、常に、互いに異なるノズル領域41に属している。なお、D2方向において互いに隣り合っているノズル3とは、D2方向における互いの間に他のノズル3が存在しない2つのノズル3を意味する。
その結果、例えば、複数のノズル3が吐出面2aに均等に分布する蓋然性が高くなる。具体的には、以下のとおりである。
図5において、典型的な比較例に係るノズル4の配置の一部を示す(第1行~第5行)。複数のノズル4は、iを1~mまでの整数としたときに、i行かつi列の位置に配置されている。換言すれば、横軸DP上で互いに隣り合うノズル4が属するノズル行5は、互いに隣り合っている。さらに換言すると、1列からm列までのノズル4は、不図示の仮想直線上に並んでいる。これは、複数のノズル4が吐出面2aのD1方向の幅の一部に偏って位置しているということもできる。1列からm列までのノズル4の配置パターンが繰り返される場合は、複数のノズル4は、鋸歯状の波形で並ぶ。
このような比較例では、画質が低下することがある。
例えば、1列からm列までのノズル4に着目すると、横軸DP上において互いに隣り合うノズル4同士においては、一方のノズル4から液滴が吐出されてから他方のノズル4から液滴が吐出されるまでの時間が短い。その結果、一方のノズル4の液滴が記録媒体に定着する前に他方のノズル4の液滴が記録媒体に着弾し、両者が混ざり合う蓋然性が高い。この液滴に混合は画質の低下を招くことがある。
また、例えば、1列からm列までのノズル4とは異なり、m列のノズル4とm+1列のノズル4とは、横軸DP上において互いに隣り合うノズル4でありながら、D1方向の距離が長く、ひいては、一方のノズル4から液滴が吐出されてから他方のノズル4から液滴が吐出されるまでの時間が長い。従って、液滴の混合に関して特異的な部分が生じることになる。このような特異的な部分は、画像に縞模様として現れて視認されることがある。すなわち、画質の低下を招くことがある。
一方、本実施形態では、ノズル領域41は、2行以上のノズル行5を含み、また、横軸DP上において互いに隣り合うノズル3は、常に、互いに異なるノズル領域41に属している。従って、複数のノズル3は、仮想直線上には配置されず、D1方向に多少なりとも分散される。別の観点では、横軸DP上において互いに隣り合うノズル3が互いに異なるノズル行5に属するだけの概念の従来技術に比較して、複数のノズル3が吐出面2aのうちのD1方向の一部に偏る蓋然性が低減され、複数のノズル3が均等に分布されやすい。その結果、例えば、上述した画質の低下が緩和される。
また、本実施形態では、2行以上のノズル行5を含むノズル領域41の数は、例えば、3以上又は4以上であるから、ノズル行5は、6行以上又は8行以上設けられている。このような比較的多数のノズル行5が設けられている場合においては、吐出面2a(ノズル3の配置領域)のD1方向の長さが長い。ひいては、上述した比較例について述べた画質の低下が生じやすい。従って、ノズル領域41の概念の導入による効果が有効に奏される。
また、本実施形態では、nは4以上の整数である。n個のノズル領域41をD1方向の一方側から他方側へ1番目からn番目までのノズル領域41としたときに、奇数番目のノズル領域41のノズル3と、偶数番目のノズル領域41のノズル3とが、D1方向に見て、交互にD2方向に並んでいる。すなわち、奇数番目のノズル領域41のノズル3と、偶数番目のノズル領域41のノズル3とが、D2方向において交互に位置している
この場合、例えば、奇数番目の2以上のノズル領域41の複数のノズル3は、横軸DP上に(基本的に)一定のピッチで並ぶ。偶数番目のノズル領域41についても同様である。従って、例えば、奇数番目の2以上のノズル領域41及び偶数番目の2以上のノズル領域41のうち、一方(例えば奇数番目の2以上のノズル領域41)のみから液滴を吐出して画像を形成することができる。すなわち、画像のドット密度を切り換えることが可能になる。また、奇数番目のノズル領域41及び偶数番目のノズル領域41の一方のみを利用した場合においても、nが4以上であることにより、ノズル領域41は2以上使用され、ノズル領域41の概念を導入したことによる効果が維持される。
なお、上記のようなドット密度の切換えは、適宜な方法によって実現されてよい。例えば、奇数番目のノズル領域41及び偶数番目のノズル領域41のうち使用されないノズル領域41に対応する個別電極35を設けないようにしてよい。また、例えば、使用されないノズル領域41についても個別電極35は設けつつも、その個別電極35と制御部88とを仲介する不図示のFPCを個別電極35接続しないようにしてもよい。また、例えば、使用されないノズル領域41の個別電極35にFPCを接続しつつも、その個別電極35に駆動信号を入力しないように、制御部88又は不図示のドライバICによる制御が行われてもよい。
また、本実施形態では、D1方向に見て、偶数番目のノズル領域41のノズル3を1つ挟んで互いに隣り合っているノズル3は、常に、互いに異なる奇数番目のノズル領域41に属している。すなわち、偶数番目のノズル領域41のノズル3を間に1つ挟んでD2方向において互いに隣り合っているノズル3は、常に、互いに異なる奇数番目のノズル領域41に属している。すなわち、偶数番目のノズル領域41に属する1つのノズル3のD2方向における両隣に位置する2つのノズル3は、常に、互いに異なる奇数番目のノズル領域41に属している。
この場合、同一の奇数番目のノズル領域41に属するノズル3が横軸DP上で2つ隣に位置している部分が存在する態様(当該態様も本開示に係る技術に含まれる。)に比較して、複数のノズル3が吐出面2a上で分散されやすい。また、上記のように奇数番目のノズル領域41及び偶数番目のノズル領域41のうち奇数番目のノズル領域41のみを使用した場合において、D1方向に見て互いに隣り合うノズル3は、互いに異なるノズル領域41に属することになるので、ノズル領域41の概念を導入したことによる効果が維持される。
また、本実施形態では、D1方向に見て、奇数番目のノズル領域41のノズル3を1つ挟んで互いに隣り合っているノズル3は、常に、互いに異なる偶数番目のノズル領域41に属している。すなわち、奇数番目のノズル領域41のノズル3を間に1つ挟んでD2方向において互いに隣り合っているノズル3は、常に、互いに異なる偶数番目のノズル領域41に属している。すなわち、奇数番目のノズル領域41に属する1つのノズル3のD2方向における両隣に位置する2つのノズル3は、常に、互いに異なる偶数番目のノズル領域41に属している。また、上記に関連して、本実施形態では、D1方向に見てノズル3を1つ挟んで互いに隣り合っている2つのノズル3は、常に、互いに異なるノズル領域41に属している。すなわち、D2方向においてノズル3を1つ挟んで互いに隣り合っている2つのノズル3は、常に、互いに異なるノズル領域41に属している。すなわち、1つのノズル3のD2方向における両隣に位置する2つのノズル3は、常に、互いに異なるノズル領域41に属している。これらの場合も、上記と同様に、複数のノズル3が分散されやすい等の効果が奏される。
また、本実施形態では、D1方向に見て、同一のノズル領域41のノズル3間に位置する他のノズル領域41のノズルの数に1を加えた数で規定されるノズルピッチNPがいずれのノズル領域41についても一定かつnである。すなわち、D2方向において、同一のノズル領域41のノズル3間に位置する他のノズル領域41のノズルの数に1を加えた数で規定されるノズルピッチNPがいずれのノズル領域41についても一定かつnである。
すなわち、いずれのノズル領域41内においても、ノズル3はD2方向に均等なピッチで配置される。その結果、例えば、ノズル領域41の導入によるD1方向におけるノズル3の分散の効果と相俟って、複数のノズル3が吐出面2aにおいて2次元的に均等に分布されやすい。ひいては、画質が向上する。
また、複数のノズル3のうち、D1方向に見て1つ置きに並んでいるものを複数の第1のノズル3とし、残りを第2のノズル3とする。すなわち、複数のノズル3を、D2方向における位置の順番で1つ置きに位置する複数の第1のノズル3と、D2方向において第1のノズル3と交互に位置する、第1のノズル3以外のノズルである複数の第2のノズル3と、に分ける。このとき、本実施形態では、D1方向に見た第1のノズル3の並び順で、吐出面2aの平面視において第1のノズル3を結んでなる第1の折れL1線は、第1のノズル3の1つ毎に、D1方向の一方側と他方側とに交互に屈曲している。すなわち、吐出面2aの平面視において、第1のノズル3をD2方向へ順番に結んで得られる第1の折れL1線は、第1のノズル3の1つ毎に、D1方向の一方側と他方側とに交互に屈曲している。同様に、D1方向に見た第2のノズル3の並び順に吐出面2aの平面視において第2のノズル3を仮想直線で結んでなる第2の折れ線L2は、第2のノズル3の1つ毎に、D1方向の一方側と他方側とに交互に屈曲している。すなわち、吐出面2aの平面視において、第2のノズル3をD2方向へ順番に結んで得られる第2の折れ線L2は、第2のノズル3の1つ毎に、D1方向の一方側と他方側とに交互に屈曲している。
この場合、例えば、D2方向の所定範囲内で折れ線L1及びL2がジグザグに屈曲する回数が多くなる。その結果、例えば、D2方向の比較的短い範囲内で、ノズル3の位置がD1方向において拡散されやすくなる。その結果、ノズル3の均等配置が容易化される。
また、本実施形態では、D1方向に見て1つ置きに並んでいる任意の3つのノズル3を順に第3~第5のノズル3としたときに(線L3参照)、第3のノズル3が属するノズル領域41と、第4のノズル3が属するノズル領域41とに挟まれているノズル領域41の数と、第4のノズル3が属するノズル領域41と、第5のノズル3が属するノズル領域41とに挟まれているノズル領域41の数とが、常に異なっている。すなわち、D2方向における位置の順番で1つ置きに位置する任意の3つのノズル3を順に第3~第5のノズル3としたときに(線L3参照)、第3のノズル3が属するノズル領域41と、第4のノズル3が属するノズル領域41とに挟まれているノズル領域41の数と、第4のノズル3が属するノズル領域41と、第5のノズル3が属するノズル領域41とに挟まれているノズル領域41の数とが、常に異なっている。
この場合、例えば、第3~第5のノズル3は、吐出面2aの平面視において、常に同一直線上に位置していない。換言すれば、複数のノズル3の配置は、規則性が低い。複数のノズル3の規則性が高い場合、例えば、D1方向に見て互いに隣り合うノズル3同士の間で生じる上述した画質の低下がD2方向において周期的に現れやすい。画質の低下が周期的に現れると、非周期的に現れる場合に比較して、画質の低下が視認されやすくなる。しかし、上記のように規則性を低下させることによって、人間の目から見た画質を向上させることができる。
また、本実施形態では、D1方向に見て他のノズル領域41のノズル3を挟んで隣り合っている、同一のノズル領域41に属している2つのノズル3が、常に、互いに異なるノズル行5に属している。すなわち、D2方向において他のノズル領域41のノズル3を挟んで隣り合っている、同一のノズル領域41に属している2つのノズル3が、常に、互いに異なるノズル行5に属している。
この場合、例えば、各ノズル領域41内において複数のノズル3の配置がD1方向に拡散される。従って、これまでに述べた複数のノズル領域41全体に亘るマクロ的な観点に加えて、各ノズル領域41内のミクロ的な観点からも、複数のノズル3が拡散されることになる。ひいては、複数のノズル3が均等に配置されやすくなり、上述した画質の向上の効果がさらに向上する。
また、本実施形態では、D1方向に見て互いに隣り合っている2つのノズル3は、常に、互いに隣り合っていない(1行以上のノズル行5を介在させて離れている)ノズル行5に属している。すなわち、D2方向に互いに隣り合っている2つのノズル3は、常に、互いに隣り合っていないノズル行5に属している。
D1方向に見て互いに隣り合う2つのノズル3は、互いに異なるノズル領域41に属していても、比較例のノズル4と同様に、互いに隣り合うノズル行5に属し得る。例えば、ノズル領域41が2行のノズル行5を含むものである場合においては、最大で50%程度のノズル3について、そのような状況が生じ得る。しかし、D1方向に見て互いに隣り合っている2つのノズル3が互いに隣り合っていないノズル行5から常に選択されることによって、ノズル領域41の概念を導入したことによる効果が向上する。
(ノズルの配置の他の例)
上述したノズル領域41の概念を導入したノズル3の配置のパターンは多数存在する。その全てを本開示において図示することは現実的でない。以下では、いくつかの例を示す。なお、図5のノズル3の配置例を第1配置例というものとし、以下の配置例については、第2配置例等というものとする。以下の説明では、先に述べられた配置例との相違点を中心に述べる。特に言及がない点は、先に述べられた配置例と同様とされてよい。
(第2配置例)
図6は、ノズル3の第2配置例を示す図5と同様の図である。図5と同様に、折れ線L1は、D1方向に見て1つ置きに並んでいるノズル3(奇数番目のノズル領域41のノズル3)を結んでいる。折れ線L2は、残りのノズル3(偶数番目のノズル領域41のノズル3)を結んでいる。線L3は、線L2の一部であり、3つのノズル3を結んでいる。
第2配置例では、折れ線L2は、D1方向に見て1つ置き並んでいるノズル3の1つ毎にD1方向の逆側に屈曲していない部分を有している。また、線L3から理解されるように、第2配置例では、D1方向に見て1つ置きに並んでいるノズル3を第3~第5のノズル3としたときに、第3のノズル3が属するノズル領域41と、第4のノズル3が属するノズル領域41とに挟まれているノズル領域41の数と、第4のノズル3が属するノズル領域41と、第5のノズル3が属するノズル領域41とに挟まれているノズル領域41の数とが同一となる部分が生じている。なお、折れ線L1の波形は第1配置例と同一である。
(第3配置例)
図7は、ノズル3の第3配置例を示す図5と同様の図である。線L1及びL2の描かれ方も図5等と同様である。
第3配置例では、折れ線L1及びL2のいずれも、D1方向に見て1つ置き並んでいるノズル3の1つ毎にD1方向の逆側に屈曲していない部分を有している。より詳細には、折れ線L1及びL2のいずれも、常に、D1方向に見て1つ置きに並んでいるノズル3の2つ毎にD1方向の逆側に屈曲している。
一方、線L3の図示は省略するが、第1配置例と同様に、D1方向に見て1つ置きに並んでいるノズル3を第3~第5のノズル3としたときに、第3のノズル3が属するノズル領域41と、第4のノズル3が属するノズル領域41とに挟まれているノズル領域41の数と、第4のノズル3が属するノズル領域41と、第5のノズル3が属するノズル領域41とに挟まれているノズル領域41の数とは、常に異なっている。
また、この配置例では、ノズル3の配置に関する新たな法則性を導入している。具体的には、D1方向に見て互いに隣り合う2つのノズル3をノズルペア43とする。例えば、第1列のノズル3及び第2列のノズル3をノズルペア43とし、第3列のノズル3及び第4列のノズル3を次のノズルペア43とする。同様に、第15列のノズル3及び第16列のノズル3まで、n/2個のノズルペア43を定義する。このとき、ノズルペア43内の2つのノズル3の位置関係は、全てのノズルペア43同士で互いに同一である。具体的には、例えば、各ノズルペア43内において、-D2側のノズル3に対して、+D2側のノズル3は、D1方向の一方側(図示の例では+D1側)に所定の行数分(図示の例では2行分)シフトされている。また、その結果、折れ線L1及びL2は、互いに同一の波形を有しつつ、互いに位置がずれたものとなっている。
(第4配置例)
図8は、ノズル3の第4配置例を示す図5と同様の図である。
第4配置例では、ノズル行5の数mがこれまでの配置例と異なっている。具体的には、これまでの配置例のmは16であったのに対して、第4配置例のmは、これよりも少なく、12とされている。
第4配置例においても、これまでの配置例と同様に、q=1として、q×m個のノズル3の配置が繰り返されている。ここでは、m=12であるから、第13列~第17列におけるノズル3の配置は、第1列~第5列におけるノズル3の配置と等価である。
ノズル領域41が含むノズル行5の数は、これまでの配置例と同様に、2である。一方、ノズル行5の総数mは、上記のように、これまでの配置例とは異なっている。従って、ノズル領域41の数nは、これまでの配置例と異なり、6となっている。
各ノズル領域41におけるノズルピッチNP(最も紙面上方のノズル領域41についてのみ符号を付す。)は、これまでの配置例と同様に、いずれのノズル領域41においても、一定であり、かつノズル領域41の数nと同じである。ただし、上記のように、nは、これまでの配置例と異なり、6である。
なお、折れ線L1及びL2によって示されるノズル3の配置に関する法則性は、第2配置例(図6)の折れ線L2によって示されるものに近いものとなっている。例えば、ここでの折れ線L1又はL2は、D1方向に見て1つ置き並んでいるノズル3の1つ毎にD1方向の逆側に屈曲していない部分を有している。また、D1方向に見て1つ置きに並んでいるノズル3を第3~第5のノズル3としたときに、第3のノズル3が属するノズル領域41と、第4のノズル3が属するノズル領域41とに挟まれているノズル領域41の数と、第4のノズル3が属するノズル領域41と、第5のノズル3が属するノズル領域41とに挟まれているノズル領域41の数とが同一となる部分が生じている。
(第5配置例)
図9は、ノズル3の第5配置例を示す図5と同様の図である。
第5配置例は、第4配置例において折れ線L1の波形を変更したものである。具体的には、第5配置例では、第3配置例(図7)において導入したノズルペア43の概念を導入している。別の観点では、折れ線L1の波形は、折れ線L2に対して同一の波形を有しつつ、折れ線L2に対して位置がずれたものとなっている。
(第6配置例)
図10は、ノズル3の第6配置例を示す図5と同様の図である。
第4配置例では、第1配置例に対してノズル行5の数mが少なくされていたのに対して、第6配置例では、逆に、mが多くされており、具体的には、20とされている。これに伴い、ノズル領域41の数n及びノズルピッチNP(最も紙面上方のノズル領域41についてのみ符号を付す。)は、これまでの配置例よりも多く、10となっている。
折れ線L1及びL2によって示されるノズル3の配置に関する法則性は、ノズルペア43の概念を導入していない点を除いては、第3配置例(図7)に近いものとなっている。例えば、ここでの折れ線L1及びL2それぞれは、D1方向に見て1つ置き並んでいるノズル3の1つ毎にD1方向の逆側に交互に屈曲していない部分を有している。一方で、D1方向に見て1つ置きに並んでいるノズル3を第3~第5のノズル3としたときに、第3のノズル3が属するノズル領域41と、第4のノズル3が属するノズル領域41とに挟まれているノズル領域41の数と、第4のノズル3が属するノズル領域41と、第5のノズル3が属するノズル領域41とに挟まれているノズル領域41の数とは、常に異なっている。
(第7配置例)
図11は、ノズル3の第7配置例を示す図5と同様の図である。
第7配置例は、第6配置例において折れ線L1及びL2の波形を変更したものである。具体的には、第7配置例では、第3配置例(図7)において導入したノズルペア43の概念を導入している。別の観点では、折れ線L1の波形は、折れ線L2に対して同一の波形を有しつつ、折れ線L2に対して位置がずれたものとなっている。また、第7配置例では、第2配置例(図6)と同様に、D1方向に見て1つ置きに並んでいるノズル3を第3~第5のノズル3としたときに、第3のノズル3が属するノズル領域41と、第4のノズル3が属するノズル領域41とに挟まれているノズル領域41の数と、第4のノズル3が属するノズル領域41と、第5のノズル3が属するノズル領域41とに挟まれているノズル領域41の数とが同一の部分が存在している。
(第8配置例)
図12は、ノズル3の第8配置例を示す図5と同様の図である。
第8配置例では、各ノズル領域41が含むノズル行5の数がこれまでの配置例と相違している。具体的には、第8配置例では、各ノズル領域41は、4つのノズル行5を含んでいる。なお、ノズル行5の総数mは、ここでは、第1配置例と同様に16であり、ひいては、ノズル領域41の数nは4つとなっている。また、ノズルピッチNP(最も紙面上方のノズル領域41についてのみ符号を付す。)も4である。
また、第8配置例では、第3~第5のノズル3に係る法則性がこれまでの配置例と相違する。すなわち、D1方向に見て1つ置きに並んでいるノズル3を第3~第5のノズル3としたときに、第3のノズル3が属するノズル領域41と、第4のノズル3が属するノズル領域41とに挟まれているノズル領域41の数と、第4のノズル3が属するノズル領域41と、第5のノズル3が属するノズル領域41とに挟まれているノズル領域41の数とは、常に同一である。より詳細には、図示の例では、上記挟まれているノズル領域41の数は、常に1である。
また、第8配置例では、第1配置例(図5)と同様に、折れ線L1及びL2のいずれも、D1方向に見て1つ置き並んでいるノズル3の1つ毎にD1方向の逆側に屈曲している。また、第8配置例では、第3配置例(図7)と同様に、ノズルペア43の概念を導入している。別の観点では、折れ線L1及びL2は互いに同一の波形を有している。
また、第8配置例では、上記のような法則性の組み合わせの結果、一見すると、複数のノズル3の配置は、図5に示した典型的な比較例のノズル4の配置に類似している。すなわち、横軸DP上におけるノズル3の並び順で、ノズル3を結んで折れ線(不図示)は、鋸歯状の波形をなす。ただし、既に述べたように、本実施形態では、ノズル領域41の概念を導入しているから、比較例に比較して、複数のノズル3はD1方向に分散されている。
(共通流路とノズル領域との関係の例)
既述のように、ノズル行5(別の観点ではノズル領域41)は、共通流路19に沿って延びていてもよいし、共通流路19に対して交差していてもよい。また、前者の場合において、1つの共通流路19に対して接続されるノズル行5の数は、1つであってもよいし、2以上であってもよい。以下では、共通流路19とノズル行5との接続関係の一例を示す。
図13は、図3の領域XIIIにおける平面透視図である。
図13では、共通流路19が示されているとともに、個別流路17のうち加圧室23及びノズル3が示されている。なお、ノズル3は、比較的微小であることから、図13では、加圧室23に対して実際よりも大きく描かれている。また、図13では、共通流路19に液体を供給する供給口18、及びノズル3が設けられていないダミー加圧室24も示されている。ただし、供給口18及びダミー加圧室24についての説明は省略する。
ヘッド2では、複数(図示の例では4本)の共通流路19が互いに並列にD1方向に交差する方向(図示の例ではD1方向に直交するD2方向)に直線状に延びている。複数の共通流路19の構成は、例えば、基本的に同様である。複数の共通流路19同士の間隔は、例えば、一定である。なお、図示の例では、共通流路19毎に供給口18が設けられているが、既述のように、複数の共通流路19は、流路部材13内で合流していてもよい。
複数のノズル3は、共通流路19に沿って配列されている。換言すれば、ノズル行5と共通流路19とは互いに並列に延びている。そして、1本の共通流路19に対しては、片側に2行ずつ、合計で4行のノズル行5が配置されている。図示の例では、4本の共通流路19が設けられていることから、ノズル行5は、合計で16行設けられている。
1本の共通流路19の片側に2行ずつで位置している合計4行のノズル行5のノズル3は、前記の1本の共通流路19に通じている。また、1本の共通流路19の片側に位置している2行のノズル行5は、1つのノズル領域41を構成している。従って、1本の共通流路19の両側に位置している合計で2つのノズル領域41のノズル3は、前記の1本の共通流路19に通じている。
共通流路19は複数設けられているから、D1方向において隣り合う2つのノズル領域41毎に、複数のノズル3が同一の共通流路19に通じているということができる。換言すれば、奇数番目の1つのノズル領域41と偶数番目の1つのノズル領域41との組み合わせ毎に、複数のノズル3が1本の共通流路19に通じている。
ここで、既述のように、D1方向に見て、奇数番目のノズル領域41のノズル3と、偶数番目のノズル領域41のノズル3とが交互にD2方向に並んでいる場合においては、奇数番目の2以上のノズル領域41及び偶数番目の2以上のノズル領域41のうち、一方(例えば奇数番目の2以上のノズル領域41)のみから液滴を吐出して画像を形成することができる。すなわち、画像のドット密度を切り換えることができる。
このとき、奇数番目の1つのノズル領域41と偶数番目の1つのノズル領域41との組み合わせ毎に、複数のノズル3が1本の共通流路19に通じている場合においては、各共通流路19に接続されているノズル領域41の数は、いずれも1つであり、複数の共通流路19同士で同じである。従って、共通流路19に必要とされる流量は、具体的な画像の内容に応じた流量の変化を無視すれば、ドット密度の切換え前であっても、切換え後であっても、複数の共通流路19同士で同じである。ひいては、共通流路19との接続の関係に起因して、ドット密度の切換えの前又は後において、ノズル領域41間で吐出特性に相違が生じる蓋然性が低減される。
また、ドット密度を低くすると、1本の共通流路19から液体を供給すべきノズル領域41の数が2から1へ少なくなる。その結果、ノズル3から比較的大きな液滴を吐出しても、液滴の吐出に対して共通流路19からノズル3への液体の補充が遅れてしまう蓋然性が低減される。すなわち、比較的大きな液滴を吐出することが容易化される。ドット密度が高いときと低いときとで画像の色の濃度を同等にするためには、ドット密度が低いときは、ドット密度が高いときに比較して、例えば、液滴を大きくしたり、液滴の吐出回数を増やしたりしなければならない。ドット密度が低いときに比較的大きな液滴を吐出できることにより、このような調整が容易化される。
上記のような共通流路19とノズル領域41のノズル3との接続関係を実現する個別流路17(特に連通路25)の具体的な形状、向き及び/又は位置は、適宜なものとされてよい。以下に、その一例を示す。
図14は、図13の領域XIVを拡大して示す平面透視図である。ここでは、図13に示した構成に加えて、部分流路21、連通路25及び個別電極35も示されている。部分流路21は、加圧室23の端部から真下に延びる円柱状として描かれている。連通路25は、図4においてプレート27Iによって構成されて加圧室23に接続されている部分(円)と、プレート27Hによって構成されている部分(両端が拡径した長尺状部分)と、プレート27G及び27Fによって構成されて共通流路19に接続されている部分(円)とが描かれている。個別電極35の引出電極35bは、個別電極本体35aと一体に形成されている部分(菱形から延び出ている部分)と、その上に形成されているバンプ部分(円)とが描かれている。
なお、以上の実施形態において、D1方向は第2方向の一例である。D2方向は、第1方向の一例であり、また、第2方向に交差する方向(各ノズル行内でノズルが配列されている方向)の一例である。
本開示に係る技術は、上述した実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
例えば、ヘッドは、圧電素子によって個別流路に圧力を付与するピエゾ式のものに限定されない。例えば、加熱素子によって液体に気泡を生じさせ、個別流路に圧力を付与するサーマル式のものであってもよい。
本開示に係る技術に係る効果として、ノズルの均等配置等を挙げたが、必ずしも均等に配置されていると言えなくてもよい。例えば、図5のノズル4を参照して説明した典型的な比較例に比較して、第2方向(D1方向)に見て互いに隣り合うノズルが互いに隣り合うノズル行に属する頻度が減るだけであってもよい。
図示したノズルの配置は、例示に過ぎず、図示以外の配置が実施されてもよい。例えば、図5では、第2方向に見て1つ置きに並んでいるノズルを結んだ折れ線が屈曲することについて述べたが、第2方向に見て互いに隣り合って(連続して)並んでいるノズルをその並び順に結んだ折れ線がノズルの1つ毎に第2方向の一方側と他方側とに交互に屈曲していてもよい。
実施形態では、q=1として、q×m個のノズルの配置パターンが繰り返される例について述べた。ただし、q>1とされてもよい。例えば、実施形態の説明で例示した第1~第8配置例のうちの互いに異なるq個(>1)の配置例を組み合わせ、その組み合わせを繰り返すようにしてもよい。