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JP7137075B2 - 積層剥離容器 - Google Patents

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JP7137075B2 JP2019007950A JP2019007950A JP7137075B2 JP 7137075 B2 JP7137075 B2 JP 7137075B2 JP 2019007950 A JP2019007950 A JP 2019007950A JP 2019007950 A JP2019007950 A JP 2019007950A JP 7137075 B2 JP7137075 B2 JP 7137075B2
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Description

本発明は、積層剥離容器に関する。
従来、外殻と内袋とを有し且つ内容物の減少に伴って内袋が収縮する積層剥離容器が知られている(例えば、特許文献1)。このような積層剥離容器は、一般に、円筒状の積層パリソンを用いたブロー成形によって製造される。
特許3401519号
このような積層剥離容器の底部には、積層パリソンの一端を溶着した際のピンチオフ部(シール部)が設けられるが、このピンチオフ部において、底部から内袋が脱離することがある。内袋に内容物が残存している状態で内袋が底部から内袋が脱離すると、内袋の収縮の仕方が規制できず、流路が塞がってしまったり、ピンホールの発生につながるおそれがある。特許文献1の積層剥離容器では、ピンチオフ部における溶着層が複数の食い込み部により相互に噛合うように癒着させているが、このような構成を実現するためには、金型構造が複雑になり、生産コストの増大に繋がる。また、このような構成では、ピンチオフ部に、外殻と内袋の間に外気を導入する外気導入部を設けることができないという問題もあった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、底部からの内袋の脱離が制限された積層剥離容器を提供するものである。
本発明によれば、外殻と内袋とを有し且つ内容物の減少に伴って前記内袋が収縮する積層剥離容器であって、内容物を収容する収容部と、当該収容部の底部に形成されるピンチオフ部とを備え、前記ピンチオフ部の長手方向の端部に、前記外殻と前記内袋が係合する係合部を備え、前記内袋は、前記係合部において、前記長手方向の外側に突出する凸部を備え、前記外殻は、前記係合部において、前記凸部と係合する凹部を備えており、前記凸部の前記長手方向における突出量は、前記底部の中心から前記凸部の先端までの前記長手方向における長さの0.15倍以上である、積層剥離容器が提供される。
本発明によれば、ピンチオフ部の長手方向の端部に係合部を設け、係合部において内袋の凸部と外殻の凹部とを係合させることで、内袋の脱離を制限することが可能となっている。
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
好ましくは、前記凸部の先端は、前記内袋の底面の縁と径方向において略同一の位置まで突出するか又は、前記内袋の底面の縁よりも外側に突出している。
好ましくは、前記ピンチオフ部に、前記外殻と前記内袋の間の空間に外気を導入する外気導入孔を備える。
また、本発明によれば、外殻と内袋とを有し且つ内容物の減少に伴って前記内袋が収縮する積層剥離容器の製造方法であって、円筒状の積層パリソンを用いたブロー成形工程を備え、前記金型は、前記積層剥離容器のピンチオフ部を成形する食い切り部の近傍に、型締め前に前記積層パリソンを圧縮して当該積層パリソンを容器内側方向に流動させるコンプレッション部を備え、前記コンプレッション部は、前記食い切り部の長手方向両端部近傍の位置に構成される第1コンプレッション領域と、当該第1コンプレッション領域の間の位置に構成される第2コンプレッション領域とを備え、前記第1コンプレッション領域の型締め時における幅は、第2コンプレッション領域の型締め時における幅よりも狭い、積層剥離容器の製造方法が提供される。
好ましくは、前記積層パリソンを押し出すダイス径は、前記金型の内径のうち底部を形成する部分の内径の2/π倍以下である。
好ましくは、前記第1コンプレッション領域の型締め時における幅は、前記積層パリソンの肉厚以下であり、前記第2コンプレッション領域の型締め時における幅は、前記積層パリソンの肉厚の2倍以下である。
好ましくは、前記第2コンプレッション領域は、型締め時における幅が5mm以下である。
図1Aは、本発明の一実施形態の積層剥離容器1の斜視図であり、図1Bは、図1Aの積層剥離容器1の底部32を示す斜視図である。 図1Aの積層剥離容器1の容器本体3の断面図である。 図2の断面と垂直な断面により容器本体3を切断した断面図である。 図1Aの積層剥離容器1のポンプ4を示す正面図である。 図5Aは、図2の断面図における底部32の拡大図であり、図5Bは、図3の断面図における底部32の拡大図である。 図6Aは、内袋の底部を外側から見たときの拡大斜視図であり、図6Bは、外殻の底部を内側から見たときの拡大斜視図である。 図7Aは、図1の積層剥離容器1の製造工程で用いるブロー成形金型2を分割面と垂直な方向に切ったときの模式的な端面図であり、図7Bは、分割金型2X,2Yの分割面の模式図である。 図8Aは、図7A及び図7BにおけるA-A線断面図であり、図8Bは、図8Aの領域Rの拡大図である。 図9A~図9Cは、一対の分割金型2X,2Yを徐々に閉じていき、積層パリソンPを型締めする様子を示す説明図である。 図10Aは、図8Bに示す分割金型2X,2Yの変形例1であり、図10Bは、同分割金型2X,2Yの変形例2である。
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴について独立して発明が成立する。
1.全体構成
本発明の一実施形態の積層剥離容器1は、図1Aに示すように、略有底円筒状の容器本体3と、ポンプ4とを備える。
容器本体3は、図2及び図3に示すように、有底筒状であり、胴部31及び底部32を有する収容部33と、収容部33から内容物を吐出する口部34とを備える。口部34の外面には、雄ねじ部34aが設けられている。また、本実施形態の容器本体3は、収容部33及び口部34において内袋6と外殻7とを備えており、内容物の減少に伴って内袋6が外殻7から離れることによって、内袋6が外殻7から離れて収縮するよう構成される。
内袋6は、容器外面側に設けられたEVOH層と、EVOH層の容器内面側に設けられた内面層と、EVOH層と内面層の間に設けられた接着層を備える。EVOH層を設けることでガスバリア性、及び外殻7からの剥離性を向上させることができる。ただし、接着層は省略してもよい。
外殻7は、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体及びその混合物などで構成される。
ポンプ4は、図4に示すように、容器本体3内へ外気を導入させずに内容物を容器本体3から排出させるように構成されている。ポンプ4は、本体部41と、ピストン部42と、ノズル43と、チューブ44とを備える。本体部41は、筒部41aと、シリンダ部41bとを備える。筒部41aの内面には、容器本体3の口部34の雄ねじ部34aに螺合される雌ねじ部(図示せず)が設けられている。シリンダ部41bは、その下部が口部34内に挿入される。シリンダ部41bの外径は、口部34の内径とほぼ一致している。シリンダ部41bは、筒状であり、ピストン部42がシリンダ部41b内で摺動可能になっている。シリンダ部41bの内部空間は、ノズル43及びチューブ44に連通されている。シリンダ部41bの内部空間には、弾性部材と弁で構成されるポンプ機構が内蔵されている。ピストン部42を摺動させてポンプ機構を作動させることによって、チューブ44を通じて吸い上げた内容物をノズル43から排出することが可能になっている。
2.底部32の構成
以下、容器本体3の底部32の構成について、図5A~図6Bを用いて具体的に説明する。本実施形態の底部32は、図5A、図5B及び図1B、図2等にも示すように、その中央部分にピンチオフ部32pを備える。ピンチオフ部32pは、後述する積層パリソンPの下端を分割金型2X,2Yの食い切り部21X,21Y(図7A参照)で挟んで潰すことによって形成される帯状の構造である。また、底部32は、上述したように内袋6と外殻7の二重構造となっており、図6Aに示す内袋底部60と、図6Bに示す外殻底部70が嵌り合って構成される。
内袋底部60は、図5A及び図6Aに示すように、ピンチオフ部32pにおいて、外側に突出する内袋突出部61を有する。また、外殻底部70は、5A及び図6Bに示すように、ピンチオフ部32pにおいて、内袋突出部61を挟む挟持部71を有する。内袋突出部61と挟持部71の間には、外気導入孔8が設けられる(図5A、図6B及び図1B参照)。なお、本実施形態では、内袋突出部61及び挟持部71は底部32から突出していないが、底部32から突出させる構成としても良い。また、容器本体3の成形直後は内袋突出部61と挟持部71がくっついていて外気導入孔8が設けられていない。しかしながら、内袋突出部61と挟持部71は剥離されやすいので、内袋突出部61と挟持部71が剥離されるように衝撃やねじり力などを加えることによって、内袋突出部61と挟持部71を剥離させてその間に外気導入孔8を形成することができる。容器本体3は、外気導入孔8を有していることで、内容物の減少に伴って外殻7と内袋6の間に外気を導入し、内袋6のみを収縮させることが可能となっている。
加えて、本実施形態の容器本体3は、図5A及び図5B等に示すように、ピンチオフ部32pの長手方向端部に、内袋6と外殻7とが係合する係合部としての肉溜まり9が形成されている。具体的には、図5B及び図6Aに示すように、肉溜まり9において、内袋6(内袋底部60)は、径方向外側に突出する一対の凸部62を備える。また、肉溜まり9において、外殻7(外殻底部70)は、図5B及び図6Bに示すように、凸部62と係合する一対の凹部72を備える。本実施形態の容器本体3は、肉溜まり9においてこのように内袋6の凸部62と外殻7の凹部72とが係合しているため、内容物の減少に伴って内袋6が収縮しても、底部32から内袋6が簡単に脱離しないようになっている。なお、本実施形態の凸部62と凹部72とは、後述するブロー成形により一体的に成形されるものであり、凸部62と凹部72とは密接に嵌り合う形状となっている。
凸部62は、図5Bに示すように、その長手方向における突出量d1が底部32の中心Xから凸部62の先端までの長手方向における長さd2の0.15倍以上となるよう形成される。d1/d2の比は、好ましくは、0.18以上であり、より好ましくは、0.20以上である。また、d1/d2の比は、例えば0.15~0.30であり、より好ましくは、0.20~0.25である。具体的には例えば、0.15,0.16,0.17,0.18,0.19,0.20,0.21,0.22,0.23,0.24,0.25,0.26,0.27,0.28,0.29,0.30であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。なお、「凸部62の長手方向における突出量d1」は、図5Bに示すように、ピンチオフ部32pにおける内袋底部60の断面において、内袋底部60が最もくびれた位置からの突出量と規定される。この突出量d1の長さは、具体的には1.5mm以上となるよう形成される。突出量d1は、好ましくは2.0mm以上である。また、突出量d1は、2.0mm~6.0mmとすることが好ましく、2.5mm~5.5mmとすることがより好ましく、3.5mm~4.5mmとすることがさらに好ましい。また、突出量d1の具体的な値は、例えば2.0,2.1,2.2,2.3,2.4,2.5,2.6,2.7,2.8,2.9,3.0,3.1,3.2,3.3,3.4,3.5,3.6,3.7,3.8,3.9,4.0,4.1,4.2,4.3,4.4,4.5,4.6,4.7,4.8,4.9,5.0,5.1,5.2,5.3,5.4,5.5,5.6,5.7,5.8,5.9,6.0であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。なお、本実施形態の凸部62の先端は、図5Aに示すように、内袋6の底面の縁と径方向において略同一の位置まで突出している。ただし、内袋6の底面の縁よりも外側に突出する構成とすることも可能である。また、凸部62の突出量d1が十分に確保できる形状であれば、凸部62の先端が内袋6の底面の縁よりも内側の位置にとどまっていても良い。
3.製造方法
次に、図7A~図9Bを用いて、上述した積層剥離容器1の製造方法、特に、ブロー成形工程について説明する。
本実施形態において、容器本体3は、図7A及び図7Bに示すように、押出機5から押し出された筒状の積層パリソンPをブロー成形することによって形成される。積層パリソンPは、溶融状態でダイス5a(ダイヘッド)から押出され、これがブロー成形金型2の一対の分割金型2X,2Yによって型締めされる。分割金型2X,2Yは、胴部31、底部32、口部34などの容器本体3の各種形状がブロー成形品に形成されるようなキャビティー形状を有する。
ここで、図7Aに示すように、積層パリソンを押し出すダイス5aのダイス径、すなわちダイス5aから押し出される積層パリソンPの直径d3は、分割金型2X,2Yの内径のうち底部を形成する部分の内径、すなわち底部32(底面)の直径d4の2/π倍以下とされる。このような条件とすることで、型締めにより積層パリソンPが円筒形の状態から平らに押しつぶされても、押しつぶされた積層パリソンPの幅である折り径(成形後のピンチオフ部32pの幅とほぼ一致する)が容器本体3の底部32を形成する部分の内径d4よりも小さくなる。その結果、押しつぶされた積層パリソンPは容器内部においてブロー時に径方向外側へも流動することができるため、肉溜まり9が形成されやすくなる。d3/d4の比は、例えば0.1~0.63であり、より好ましくは、0.19~0.42である。d3/d4の比は、具体的には例えば、0.19,0.20,0.21,0.22,0.23,0.24,0.25,0.26,0.27,0.28,0.29,0.30,0.31,0.32,0.33,0.34,0.35,0.36,0.37,0.38,0.39,0.40,0.41,0.42であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
また、本実施形態において、積層パリソンPの直径d3は、図7Bに示すように、ブロー成形金型2の内径のうち容器本体3の口部34を形成する部分の内径d5よりもやや小さい径に設定される。d3/d5の比は、例えば0.6~0.9であり、より好ましくは、0.7~0.8である。また、d3/d5の比は、具体的には例えば、0.70,0.71,0.72,0.73,0.74,0.75,0.76,0.77,0.78,0.79,0.80であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。口部34を形成する部分の内径d5に対して積層パリソンPの直径d3が太すぎると、型締め時にバリ噛み等が発生するおそれが生じ、また、積層パリソンPの直径d3が細すぎるとブロー比が大きくなりすぎて成形が困難となる。しかしながら、d3/d5の比を上記の値とすることで、口部34を好適に成形することができる。
以下、ブロー成形金型2による容器本体3の底部32付近の形状の成形について詳細に説明する。図7Aに示すように、ブロー成形金型2の分割金型2X,2Yは、それぞれ食い切り部21X,21Yを備える。また、ブロー成形金型2は、図7A~図8Bに示すように、食い切り部21X,21Yの下方にコンプレッション部22を備えている。コンプレッション部22は、分割金型2X,2Yにより形成され、型締め時に積層パリソンPを圧縮するものである。
本実施形態において、コンプレッション部22は、図7B及び図8Bに示すように、食い切り部21X,21Yの長手方向両端部近傍の位置に構成される第1コンプレッション領域22aと、第1コンプレッション領域22aの間の位置に構成される第2コンプレッション領域22bとを備える。そして、第1コンプレッション領域22aの型締め時における幅d6は、第2コンプレッション領域の型締め時における幅d7よりも狭くなっている。第1コンプレッション領域22aの型締め時における幅d6は、積層パリソンPの肉厚d8(図9A参照)以下とすることが好ましい。第1コンプレッション領域22aの型締め時における幅d6は、1mm以下とすることが好ましく、0.2mm以下とすることがより好ましい。また、幅d6は、金型同士が完全には当接しない間隔を有していることが好ましく、例えば0.01mm以上とすることが好ましい。幅d6の値は、例えば、0.01mm~1.00mmであり、好ましくは、0.05mm~0.20mmである。具体的には例えば、0.05,0.06,0.07,0.08,0.09,0.10,0.11,0.12,0.13,0.14,0.15,0.16,0.17,0.18,0.19,0.20mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。一方、第2コンプレッション領域22bの型締め時における幅d7は、積層パリソンPの肉厚d8の2倍以下とすることが好ましい。また、幅d7は、10mm以下とすることが好ましく、8mm以下とすることがより好ましい。また、幅d7の値は、例えば1.0mm~6.0mmであり、より好ましくは、2.0mm~5.0mmであり、さらに好ましくは、3.0mm~4.0mmである。具体的には例えば、1.0,1.1,1.2,1.3,1.4,1.5,1.6,1.7,1.8,1.9,2.0,2.1,2.2,2.3,2.4,2.5,2.6,2.7,2.8,2.9,3.0,3.1,3.2,3.3,3.4,3.5,3.6,3.7,3.8,3.9,4.0,4.1,4.2,4.3,4.4,4.5,4.6,4.7,4.8,4.9,5.0,5.1,5.2,5.3,5.4,5.5,5.6,5.7,5.8,5.9,6.0mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
ここで、図9A~図9Cは、以上のような構成のブロー成形金型2に対して積層パリソンPを垂下させ、一対の分割金型2X,2Yを徐々に閉じていく際の様子を示すものである。図9Aの型締め前の状態から分割金型2X,2Yを閉じていくと、分割金型2X,2Yの食い切り部21X,21Yにより円筒状の積層パリソンPが内向きに押圧され、図9Bに示すように、まず積層パリソンPの内面(内袋6を形成する層)同士が当接する。この状態からさらに分割金型2X,2Yを閉じると、食い切り部21X,21Y及びコンプレッション部22により積層パリソンPが圧縮される。そして、図9Cに示すように金型が完全に閉じられることで、積層パリソンPは食い切り部21X,21Yにより2つに分離され、容器側においてピンチオフ部32pが形成される。
以上のように型締めを行った後は、容器本体3の口部34側の開口部にブローノズルを挿入し、型締めを行った状態で分割金型のキャビティー内にエアーを吹き込む。その後、分割金型を開いて、ブロー成形品を取り出し、ピンチオフ部32pの下側の部分に形成された下バリを除去する。そして、以上のように成形された成形品に対し、既知である内層予備剥離工程、上述した外気導入孔8の形成工程等を行い、容器本体3を完成させる。最後に、ポンプ4を容器本体3の口部34に装着することで、本実施形態の積層剥離容器1が完成する。
なお、図9B~図9Cに示すように分割金型2X,2Yを閉じていくと、積層パリソンPは徐々に圧縮される。この際、本実施形態においては、ブロー成形金型2がコンプレッション部22を有していることから、積層パリソンPは、食い切り部21X,21Yの上方(容器内側)よりも下方(容器外側)がより圧縮される。したがって、押しつぶされた積層パリソンPは、空間の広い容器内側方向(図9Bの矢印参照)に流動しやすくなっている。
しかも、本実施形態のコンプレッション部22は、第1コンプレッション領域22aと第2コンプレッション領域22bとを備えており、食い切り部21X,21Yの長手方向両端部近傍の第1コンプレッション領域22aの幅d6が第2コンプレッション領域22bの幅d7より狭く構成されている。これにより、コンプレッション部22により押しつぶされる積層パリソンPが横方向(食い切り部21X,21Yの長手方向、図7Bにおける左右方向)に広がることが抑制される。したがって、積層パリソンPは縦方向に移動してキャビティー内に押し戻され、積層パリソンPがより容器内側方向に流動しやすくなっている。そして、コンプレッション部22により積層パリソンPを押し戻した状態でエアーを吹き込みブロー成形を行うことで、肉溜まり9を好適に形成し、さらに、内袋6を外殻7へ食い込ませることが可能となっている。その結果、内袋6の凸部62の突出量d1を大きくすることができ、外殻7の凹部72との嵌り合いを強固にし、底部32からの内袋6の脱離を抑制することが可能となっている。
なお、従来の製造方法においても、コンプレッション部22により積層パリソンPを圧縮することはなされていた。しかしながら、従来の製造方法ではコンプレッション部22の幅を一定としていたため、内袋6の凸部62の突出量d1を十分得ることができなかった。この点、本実施形態の製造方法では、コンプレッション部22を上述した第1コンプレッション領域22aと第2コンプレッション領域22bとから構成したことにより、突出量d1を増加させることが可能となった。これにより、凸部62の長手方向における突出量d1と底部32の中心Xから凸部62の先端までの長手方向における長さd2との比d1/d2も、上述したように増加させることが可能となっている。(図5B参照)。
また、本実施形態の積層剥離容器1は、上述したように、肉溜まり9において内袋6の凸部62が外殻7の凹部72と係合しているため、内袋6が底部32から脱離しにくくなっているが、内袋6が全く脱離しない構成となっているわけではない。すなわち、内袋6の凸部62は外殻7の凹部72と係合しているだけであるため、積層剥離容器1内の内容物の残量が僅かになり、内袋6の収縮量が大きくなると、内袋6の変形により凸部62と凹部72の係合が解除されることになる。その結果、内袋6がより自由に変形できるようになり、ポンプ4の吸引によりチューブ44の端部に内容物を集め、内容物を最後まで排出することが可能となっている。
4.変形例
なお、本発明は、以下の態様でも実施可能である。
・上述した実施形態では、図8A及び図8Bに示すように、ブロー成形金型2の一対の分割金型2X,2Yは、第1コンプレッション領域22aの外側位置において完全に当接する構成であった。しかしながら、本発明のブロー成形金型2は、このような構成に限られない。すなわち、図10Aに示すように、第1コンプレッション領域22aが金型の端部まで連続する構成とすることも可能である。また、図10Bに示すように、第1コンプレッション領域22aよりも外側の領域(すなわち、型締め時に積層パリソンPが到達しない位置)では、一対の分割金型2X,2Yの間隙が第1コンプレッション領域22aの幅d6よりも大きくなる構成とすることも可能である。
・上述した実施形態では、積層剥離容器1がポンプ4により内容物を排出する構成となっていたが、容器本体3をスクイズすることで内容物を吐出する構成とすることも可能である。
・上記実施形態では、外気導入孔8を底部32に設けていたが、胴部31に設けることも可能である。また、この場合において、外気導入孔8に弁部材を設けることも好適である。
1 :積層剥離容器
2 :ブロー成形金型
2X,2Y :分割金型
3 :容器本体
4 :ポンプ
5 :押出機
5a :ダイス
6 :内袋
7 :外殻
8 :外気導入孔
9 :肉溜まり
21X,21Y :食い切り部
22 :コンプレッション部
22a :第1コンプレッション領域
22b :第2コンプレッション領域
31 :胴部
32 :底部
32p :ピンチオフ部
33 :収容部
34 :口部
34a :雄ねじ部
41 :本体部
41a :筒部
41b :シリンダ部
42 :ピストン部
43 :ノズル
44 :チューブ
60 :内袋底部
61 :内袋突出部
62 :凸部
70 :外殻底部
71 :挟持部
72 :凹部
P :積層パリソン
R :領域
X :中心
d1 :突出量
d2 :底部の中心から凸部の先端までの長さ
d3 :積層パリソンPの直径
d4 :底部の直径
d5 :口部を形成する部分の内径
d6 :第1コンプレッション領域の幅
d7 :第2コンプレッション領域の幅
d8 :積層パリソンPの肉厚

Claims (7)

  1. 外殻と内袋とを有し且つ内容物の減少に伴って前記内袋が収縮する積層剥離容器であって、
    内容物を収容する収容部と、当該収容部の底部に形成されるピンチオフ部とを備え、
    前記ピンチオフ部の長手方向の端部に、前記外殻と前記内袋が係合する係合部を備え、
    前記内袋は、前記係合部において、前記長手方向の外側に突出する凸部を備え、
    前記外殻は、前記係合部において、前記凸部と係合する凹部を備えており、
    前記凸部の前記長手方向における突出量は、前記底部の中心から前記凸部の先端までの前記長手方向における長さの0.15倍以上である、積層剥離容器。
  2. 請求項1に記載の積層剥離容器であって、
    前記凸部の先端は、前記内袋の底面の縁と径方向において略同一の位置まで突出するか又は、前記内袋の底面の縁よりも外側に突出している、積層剥離容器。
  3. 前記ピンチオフ部に、前記外殻と前記内袋の間の空間に外気を導入する外気導入孔を備える、請求項1又は請求項2記載の積層剥離容器。
  4. 外殻と内袋とを有し且つ内容物の減少に伴って前記内袋が収縮する積層剥離容器の製造方法であって、
    円筒状の積層パリソンを用いたブロー成形工程を備え、
    前記金型は、前記積層剥離容器のピンチオフ部を成形する食い切り部の近傍に、型締め前に前記積層パリソンを圧縮して当該積層パリソンを容器内側方向に流動させるコンプレッション部を備え、
    前記コンプレッション部は、前記食い切り部の長手方向両端部近傍の位置に構成される第1コンプレッション領域と、当該第1コンプレッション領域の間の位置に構成される第2コンプレッション領域とを備え、
    前記第1コンプレッション領域の型締め時における幅は、第2コンプレッション領域の型締め時における幅よりも狭い、積層剥離容器の製造方法。
  5. 請求項4に記載の積層剥離容器の製造方法であって、
    前記積層パリソンを押し出すダイス径は、前記金型の内径のうち底部を形成する部分の内径の2/π倍以下である、積層剥離容器の製造方法。
  6. 請求項4又は請求項5に記載の積層剥離容器の製造方法であって、
    前記第1コンプレッション領域の型締め時における幅は、前記積層パリソンの肉厚以下であり、
    前記第2コンプレッション領域の型締め時における幅は、前記積層パリソンの肉厚の2倍以下である、積層剥離容器の製造方法。
  7. 請求項4~請求項6の何れかに記載の積層剥離容器の製造方法であって、
    前記第2コンプレッション領域は、型締め時における幅が5mm以下である、積層剥離容器の製造方法。
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