以下、充電制御回路の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。本例では、一例として、電源装置としてのコンバータとバッテリとを接続する電源ラインに接続されて、コンバータによるバッテリの充電を制御する充電制御回路を例に挙げて説明する。
最初に、充電制御回路としての充電制御回路1Aの構成について図面を参照して説明する。
充電制御回路1Aは、図1に示すように、一対の第1端子2a,2b(特に区別しないときには、「第1端子2」ともいう)、一対の第2端子3a,3b(特に区別しないときには、「第2端子3」ともいう)、電流制御素子4、逆流防止用ダイオード5、電流検出部6A、電圧検出部7、および制御部8Aを備えて、第1端子2に接続されたコンバータ(電源装置)61から出力される直流電圧V1に基づいて、第2端子3に接続されたバッテリ62に充電電流I1を出力(供給)してバッテリ62を充電する充電動作を実行する。以下では、説明のため、バッテリ62の充電電圧を符号V2で表すものとする。
具体的には、第1端子2a,2bのうちの第1端子2aは、コンバータ61の一対の出力端子のうちの一方の出力端子(プラス端子)に接続され、第1端子2bは、コンバータ61の他方の出力端子(マイナス端子)に接続される。また、第2端子3a,3bのうちの第2端子3aは、バッテリ62の陽極に接続され、第2端子3bは、バッテリ62の陰極に接続される。
電流制御素子4および逆流防止用ダイオード5は、コンバータ61とバッテリ62とを接続する電源ライン(本例ではコンバータ61に接続される第1端子2aとバッテリ62に接続される第2端子3aとを接続する電源ラインLa)に、並列接続された状態で配設されている。また、本例では、電流制御素子4は、n型MOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor )で構成されて、そのソース端子が電源ラインLaを介して第1端子2aに接続され、そのドレイン端子が電源ラインLaを介して第2端子3aに接続されている。これにより、電流制御素子4は、オン状態のときには、電流の双方向での通過を許容する状態となり、オフ状態のときには、電流の双方向での通過を阻止する状態となる。
逆流防止用ダイオード5は、アノード端子がこのn型MOSFETのソース端子に接続され、かつカソード端子がこのn型MOSFETのドレイン端子に接続されて、このn型MOSFETで構成された電流制御素子4に並列接続されている。なお、逆流防止用ダイオード5は、このn型MOSFETのボディダイオードで代用することができる。また、電流制御素子4および逆流防止用ダイオード5は、図示はしないが、コンバータ61とバッテリ62とを接続する他の電源ライン(コンバータ61に接続される第1端子2bとバッテリ62に接続される第2端子3bとを接続する電源ラインLb)に配設される構成であってもよい。
電流検出部6Aは、コンバータ61とバッテリ62とを接続する電源ライン(電源ラインLa,Lbのいずれか一方。本例では一例として電源ラインLa)に配設されて、電流制御素子4を介して電源ラインに流れる電流(充電電流I1および放電電流I2)を検出すると共に、この電流の電流値に応じた電圧値で、かつこの電流の向きに応じた極性の電流検出信号Viを制御部8Aに出力する。この電流検出部6Aは、図示はしないが、例えば、電源ラインに配設された電流検出抵抗、およびこの電流検出抵抗の両端間電圧を増幅して電流検出信号Viとして出力する増幅器で構成することもできるし、電源ラインが挿通されたコア、およびコア内に発生する磁束を検出して電流検出信号Viとして出力する磁電変換素子(ホール素子など)で構成することもできる。
本例では一例として電流検出部6Aは、充電電流I1を検出しているときには、充電電流I1の電流値に応じて(ほぼ比例して)、電圧値の絶対値が増減し、かつ負極性の電流検出信号Viを出力し、一方、充電電流I1とは逆向きの放電電流I2を検出しているときには、放電電流I2の電流値に応じて(ほぼ比例して)、電圧値の絶対値が増減し、かつ正極性の電流検出信号Viを出力する。
電圧検出部7は、例えば、第2端子3a,3b間に配設された不図示の分圧抵抗で構成されて、第2端子3a,3bに接続されたバッテリ62の充電電圧V2を検出すると共に、この充電電圧V2の電圧値に応じた電圧値(充電電圧V2の電圧値にほぼ比例して増減する電圧値)の電圧検出信号Vvを制御部8Aに出力する。
制御部8Aは、例えば、コンパレータなどで構成された電流比較回路11および電圧比較回路12と、CPUおよびメモリなどで構成された処理回路13とを備えて、電流制御素子4をオン状態またはオフ状態に駆動する制御処理を実行する。
電流比較回路11は、電流検出部6Aから出力される電流検出信号Viを入力して、予め規定された一定の閾値電圧Vth1(正の定電圧)と比較することにより、電流検出信号Viの電圧値が閾値電圧Vth1以上のときに第1検出信号S1を出力し(例えば、第1検出信号S1をハイレベル(例えば+5V)とし)、電流検出信号Viの電圧値が閾値電圧Vth1未満のときに第1検出信号S1の出力を停止する(例えば、第1検出信号S1をローレベル(例えば0V)とする)。この場合、電流検出信号Viで示される放電電流I2の電流値が予め規定された電流閾値Ith以上になったときに、電流検出信号Viの電圧値が閾値電圧Vth1以上となるように、この閾値電圧Vth1の電圧値が規定されている。この構成により、電流比較回路11は、電源ラインLaに流れる電流が放電電流I2であって、かつその電流値が電流閾値Ith以上のときにのみ、その旨を示す第1検出信号S1を出力する。
電圧比較回路12は、電圧検出部7から出力される電圧検出信号Vvを入力して、予め規定された一定の閾値電圧Vth2(正の定電圧)と比較することにより、電圧検出信号Vvの電圧値が閾値電圧Vth2以下のときに第2検出信号S2を出力し(例えば、第2検出信号S2をハイレベル(例えば+5V)とし)、電圧検出信号Vvの電圧値が閾値電圧Vth2を超えるときに第2検出信号S2の出力を停止する(例えば、第2検出信号S2をローレベル(例えば0V)とする)。この場合、電圧検出信号Vvで示される充電電圧V2の電圧値が予め規定された下限電圧値VL以下になったときに、電圧検出信号Vvの電圧値が閾値電圧Vth2以下となるように、この閾値電圧Vth2の電圧値が規定されている。この構成により、電圧比較回路12は、充電電圧V2の電圧値が下限電圧値VL以下のときにのみ、その旨を示す第2検出信号S2を出力する。例えば、バッテリ62が、Lowバッテリとしての鉛バッテリで構成されており、コンバータ61からの直流電圧V1が例えば13.8Vのときには、下限電圧値VLは一例として10.8Vに規定される。
処理回路13は、一例として、充電制御回路1Aの内部または外部に配設された不図示の入力部(キーボードや操作パネルなど)から充電開始を示す動作指示Ssが入力されたときには、電流制御素子4をオン状態に駆動する(移行させる)ための駆動電圧Vdvを出力し、一方、充電停止を示す動作指示Ssが入力されたときには、電流制御素子4をオフ状態に駆動する(移行させる)ための駆動電圧Vdvを出力する。
また、処理回路13は、電流制御素子4をオン状態に駆動している状態において、第1制御処理および第2制御処理を実行して、オン状態の電流制御素子4をオフ状態に駆動するための駆動電圧Vdvを出力する。具体的には、処理回路13は、電流比較回路11から第1検出信号S1が出力されるか否かを検出しつつ、第1検出信号S1が出力されたときには、第1制御処理を実行して、電流制御素子4をオフ状態に駆動するための駆動電圧Vdvを出力する(電流制御素子4をオフ状態に移行させる)。また、処理回路13は、電圧比較回路12から第2検出信号S2が出力されるか否かを検出しつつ、第2検出信号S2が出力されたときには、第2制御処理を実行して、電流制御素子4をオフ状態に駆動するための駆動電圧Vdvを出力する。
以上の構成により、制御部8Aは、電流制御素子4をオン状態に駆動している状態(つまり、充電制御回路1Aがバッテリ62に対する充電動作を実行している状態)において、バッテリ62からコンバータ61に向かう向きで、かつ電流閾値Ith以上の電流値で電流制御素子4を介して電流(つまり、放電電流I2)が電源ラインLaに流れるとの態様の放電がバッテリ62に生じたことを電流検出信号Viに基づいて検出したときには、オン状態の電流制御素子4をオフ状態に駆動するとの第1制御処理を実行する。また、制御部8Aは、電流制御素子4をオン状態に駆動している状態において、充電電圧V2が下限電圧値VL以下になる(下限電圧値VLまで低下する)との態様の放電がバッテリ62に生じたことを電圧検出信号Vvに基づいて検出したときには、オン状態の電流制御素子4をオフ状態に駆動するとの第2制御処理を実行する。
次いで、充電制御回路1Aの動作について、添付図面を参照して説明する。なお、第1端子2には、コンバータ61が接続され、第2端子3には、バッテリ62が接続されているものとする。また、正常動作しているコンバータ61から出力される直流電圧V1は、満充電状態におけるバッテリ62の充電電圧V2と同等の電圧に規定されているものとする。また、バッテリ62は、当初、下限電圧値VLを上回り、かつ直流電圧V1を下回る充電電圧V2に充電されているものとする。
この状態において、充電開始を示す動作指示Ssが入力されたときには、制御部8Aでは、処理回路13が、電流制御素子4をオン状態に駆動するための駆動電圧Vdvを出力する。この場合、直流電圧V1は現在の充電電圧V2を上回っているため、充電制御回路1Aの電源ラインLaには、オン状態の電流制御素子4を介してコンバータ61からバッテリ62に向かう向きで電流(充電電流I1)が流れる。
充電制御回路1Aでは、電流検出部6Aがこの充電電流I1を検出して、絶対値が充電電流I1の電流値に応じた電圧値で、かつ負極性の電流検出信号Viを出力する。また、制御部8Aでは、電流比較回路11が、この電流検出信号Viの電圧値と閾値電圧Vth1とを比較して、この電流検出信号Viの電圧値が閾値電圧Vth1未満であることから、第1検出信号S1の出力を停止する状態を維持する。また、電圧検出部7が、充電電圧V2を検出して、充電電圧V2の電圧値に応じた電圧値の電圧検出信号Vvを出力する。また、制御部8Aでは、電圧比較回路12が、この電圧検出信号Vvの電圧値と閾値電圧Vth2とを比較して、この電圧検出信号Vvの電圧値が閾値電圧Vth2を上回っていることから、第2検出信号S2の出力を停止する状態を維持する。したがって、処理回路13は、電流制御素子4をオン状態に駆動するための駆動電圧Vdvの出力を継続する。
これにより、充電電流I1が、コンバータ61からオン状態の電流制御素子4を介してバッテリ62に継続して流れる。つまり、充電制御回路1Aは、バッテリ62に対する充電動作を継続する。また、充電制御回路1Aのバッテリ62に対する充電は、上昇した充電電圧V2が直流電圧V1と同等の電圧に達した時点で完了する。このようにして、充電制御回路1Aでは、バッテリ62の充電が完了するまで、オン状態の電流制御素子4を介して充電電流I1をバッテリ62に供給する構成のため、この充電状態において、充電制御回路1Aからバッテリ62に出力する電圧(出力電圧)に変動が生じる事態の発生が回避されている。
一方、充電制御回路1Aがバッテリ62に対する充電を実行しているときに、コンバータ61に故障が発生するなどして直流電圧V1が低下して、現在の充電電圧V2を下回る状態になったときには、充電電流I1に代えて放電電流I2がオン状態の電流制御素子4に流れる。
最初に、直流電圧V1の低下の度合いが大きいときの充電制御回路1Aの動作について説明する。
直流電圧V1の低下の度合いが大きいときには、充電電圧V2との差分電圧も大きくなることから、電流閾値Ith以上の電流値の放電電流I2が流れる。このため、充電制御回路1Aでは、電流検出部6Aが、この放電電流I2を検出して、電圧値の絶対値が閾値電圧Vth1以上となり、かつ正極性の電流検出信号Viを出力する。また、制御部8Aでは、電流比較回路11が、この電流検出信号Viの電圧値と閾値電圧Vth1とを比較して、この電流検出信号Viの電圧値が閾値電圧Vth1以上であることから、第1検出信号S1を出力する。
なお、バッテリ62の充電電圧V2は、放電電流I2が生じたとしても、短時間では下限電圧値VLまで低下しない。このため、電圧検出部7から出力されている電圧検出信号Vvの電圧値は、閾値電圧Vth2を上回った状態となっている。したがって、制御部8Aでは、電圧比較回路12が、この電圧検出信号Vvの電圧値と閾値電圧Vth2とを比較して、この電圧検出信号Vvの電圧値が閾値電圧Vth2を上回っていることから、第2検出信号S2の出力を停止する状態を維持する。
制御部8Aでは、処理回路13が、電流比較回路11からの第1検出信号S1の出力を検出して、第1制御処理を実行することにより、電流制御素子4をオフ状態に駆動するための駆動電圧Vdvを出力する。したがって、充電制御回路1Aでは、コンバータ61に故障が生じた場合でも、オフ状態に移行した電流制御素子4と、この電流制御素子4に並列接続されている逆流防止用ダイオード5とにより、その後の放電電流I2の発生が阻止されることから、バッテリ62の無駄な放電が防止可能となっている。また、電流閾値Ithは例えばコンバータ61の定格出力電流の数%程度(一例として2~3%程度)の微小な電流値に相当する値に規定されていることから、充電制御回路1Aは、放電電流I2の発生の検出から電流制御素子4をオフ状態に駆動するまでを、極めて短時間に完了させる。これにより、発生した放電電流I2による充電電圧V2の低下への影響は無視し得るものとなっている。
次いで、直流電圧V1の低下の度合いが小さいときの充電制御回路1Aの動作について説明する。
直流電圧V1の低下の度合いが小さいときには、充電電圧V2との差分電圧も小さくなることから、その差分電圧によっては、電流閾値Ithを下回る電流値(微少な電流値)の放電電流I2が流れることがある。この場合、充電制御回路1Aでは、電流検出部6Aは、この放電電流I2を検出を検出して正極性で電流検出信号Viを出力するものの、電流検出信号Viの電圧値の絶対値は閾値電圧Vth1を下回るものとなる。このため、制御部8Aでは、電流比較回路11は、第1検出信号S1の出力を停止する状態を維持する。
しかしながら、電流値は微小ではあるものの、継続して放電電流I2が流れることから、バッテリ62の充電電圧V2は徐々に低下して、いずれは下限電圧値VLまで低下する。また、充電電圧V2を検出している電圧検出部7から出力されている電圧検出信号Vvの電圧値もまた、閾値電圧Vth2まで低下する。したがって、制御部8Aでは、電圧比較回路12が、この電圧検出信号Vvの電圧値と閾値電圧Vth2とを比較して、この電圧検出信号Vvの電圧値が閾値電圧Vth2以下となるときに、第2検出信号S2を出力する。
制御部8Aでは、処理回路13が、電圧比較回路12からの第2検出信号S2の出力を検出して、第2制御処理を実行することにより、電流制御素子4をオフ状態に駆動するための駆動電圧Vdvを出力する。このように、充電制御回路1Aでは、コンバータ61の故障に起因して発生した放電電流I2の電流値が微小であったとしても、制御部8Aが、電流閾値Ith以上の電流値で放電電流I2が流れるとの態様での放電の発生検出に代えて、充電電圧V2が下限電圧値VLまで低下するとの態様での放電がバッテリ62に生じたことを検出して、電流制御素子4をオフ状態に駆動することが可能となっている。これにより、オフ状態に移行した電流制御素子4と、この電流制御素子4に並列接続されている逆流防止用ダイオード5とにより、その後の放電電流I2の発生が阻止されることから、バッテリ62の更なる無駄な放電が防止可能となっている。
このように、この充電制御回路1Aによれば、制御部8Aが、電流閾値Ith以上の電流値で放電電流I2が流れていることを検出したときに、オン状態の電流制御素子4をオフ状態に駆動する第1制御処理に加えて、放電がバッテリ62において生じたことを電圧検出部7から出力される電圧検出信号Vvに基づいて検出したときに、オン状態の電流制御素子4をオフ状態に駆動する第2制御処理を実行する構成のため、電流閾値Ith未満の電流値で放電電流I2が流れるとの態様の放電についても確実に検出して、電流制御素子4をオフ状態に駆動することができ、これにより、放電電流I2のその後の発生を阻止することができる結果、バッテリ62からの無駄な放電を防止することができる。また、この充電制御回路1Aによれば、オン状態の電流制御素子4を介して充電電流I1をバッテリ62に供給する構成(つまり、逆流防止用ダイオード5を介して充電電流I1をバッテリ62に供給しない構成)のため、充電状態においてバッテリ62への出力電圧に変動が生じる事態の発生を回避することができる。
また、この充電制御回路1Aによれば、制御部8Aが、バッテリ62の充電電圧V2が下限電圧値VLまで低下したことを電圧検出信号Vvに基づいて検出したときに、電流閾値Ith未満の電流値で放電電流I2が継続して流れるとの態様の放電(電流検出信号Viに基づいては検出できない態様の放電)の発生を検出する構成のため、充電電圧V2が下限電圧値VLを下回る状態にバッテリ62が放電されることを回避することができる。
なお、電流制御素子4をオン状態またはオフ状態に駆動する制御処理を実行する制御部の構成は、上記した制御部8Aの構成に限定されない。例えば、図2に示す充電制御回路1Bの制御部8Bのように構成することもできる。以下、充電制御回路1Bについて説明する。なお、上記した充電制御回路1Aと同一の構成については同一の符号を付して重複する説明を省略する。
充電制御回路1Bは、図2に示すように、一対の第1端子2、一対の第2端子3、電流制御素子4、逆流防止用ダイオード5、電流検出部6A、電圧検出部7、および制御部8Bを備えている。また、充電制御回路1Bでは、制御部8Bは、電流比較回路11、電圧比較回路12、加算回路14および駆動回路15を備えて、電流制御素子4をオン状態またはオフ状態に駆動する制御処理を実行する。
加算回路14は、電流検出部6Aから出力される電流検出信号Viと電圧比較回路12から出力される第2検出信号S2とをリアルタイムで加算(アナログ加算)して、新たな電流検出信号Vi1として出力する。この場合、電流検出信号Viは、上記したように、電流検出部6Aにおいて充電電流I1が検出されているときには、負極性であって、充電電流I1の電流値に応じて電圧値の絶対値が増減し、一方、放電電流I2が検出されているときには、正極性であって、放電電流I2の電流値に応じて電圧値の絶対値が増減する信号となっている。また、第2検出信号S2は、電圧検出部7から出力される電圧検出信号Vvの電圧値が閾値電圧Vth2以下のときにはハイレベル(+5V)で出力され、一方、電圧検出信号Vvの電圧値が閾値電圧Vth2を超えるときには出力が停止される(ローレベル(0V)で出力される)。したがって、電流比較回路11で用いられる閾値電圧Vth1よりも第2検出信号S2のハイレベルが高くなるようにしておくことにより、加算回路14は、電圧比較回路12からハイレベルの第2検出信号S2を入力したときには、電流検出部6Aに流れる放電電流I2の電流値の多少に拘わらず、閾値電圧Vth1を超える電圧値の電流検出信号Vi1を出力する。
電流比較回路11は、入力した電流検出信号Vi1と閾値電圧Vth1とを比較することにより、電流検出信号Vi1の電圧値が閾値電圧Vth1以上のときに第1検出信号S1をハイレベルで出力し、電流検出信号Vi1の電圧値が閾値電圧Vth1未満のときに第1検出信号S1の出力を停止する(例えば、第1検出信号S1をローレベルとする)。この場合、電流検出信号Viで示される放電電流I2の電流値が予め規定された電流閾値Ith以上になったときに、電流検出信号Viの電圧値が閾値電圧Vth1以上となるように、この閾値電圧Vth1の電圧値が規定されている。この構成により、電流比較回路11は、電源ラインLaに流れる電流が放電電流I2であって、かつその電流値が電流閾値Ith以上のときに、第1検出信号S1をハイレベルで出力する。また、電流比較回路11は、電源ラインLaに流れる電流が放電電流I2であって、かつその電流値が電流閾値Ith未満のときであっても、電圧比較回路12が第2検出信号S2をハイレベルで出力したとき、つまり、充電電圧V2の電圧値が下限電圧値VL以下になったときに、第1検出信号S1をハイレベルで出力する。
駆動回路15は、不図示のトランジスタや演算増幅器などを用いたアナログ回路で構成されて、動作指示Ssが入力されたときには、電流制御素子4をオン状態に駆動するための駆動電圧Vdvを出力し、一方、充電停止を示す動作指示Ssが入力されたときには、電流制御素子4をオフ状態に駆動するための駆動電圧Vdvを出力する。
また、駆動回路15は、電流比較回路11から第1検出信号S1が出力されるか否かを検出しつつ、電流検出信号Viで示される放電電流I2の電流値が予め規定された電流閾値Ith以上になって第1検出信号S1が出力されたときには、第1制御処理を実行して、オン状態に駆動されている電流制御素子4をオフ状態に駆動するための駆動電圧Vdvを出力する(電流制御素子4をオフ状態に移行させる)。また、駆動回路15は、充電電圧V2の電圧値が下限電圧値VL以下になって第1検出信号S1が出力されたときには、第2制御処理を実行して、オン状態に駆動されている電流制御素子4をオフ状態に駆動するための駆動電圧Vdvを出力する。
以上の構成により、制御部8Bは、上記した制御部8Aと同一の制御処理を電流制御素子4に対して実行する。
このように、充電制御回路1Bは、充電制御回路1Aと同じ構成要素(一対の第1端子2、一対の第2端子3、電流制御素子4、逆流防止用ダイオード5、電流検出部6A、および電圧検出部7)を備えると共に、構成は異なるものの充電制御回路1Aの制御部8Aと同一の制御処理を実行する制御部8Bを備えていることから、上記した充電制御回路1Aの動作と同じ動作を実行する。したがって、この充電制御回路1Bにおいても、上記した充電制御回路1Aと同一の効果を奏することができる。また、充電制御回路1Bによれば、CPUなどを用いることなく制御部8Bを簡易に構成することができる。
また、電流制御素子4をオン状態またはオフ状態に駆動する制御処理を実行する制御部の構成は、上記した制御部8A,8Bの構成に限定されない。例えば、図3に示す充電制御回路1Cの制御部8Cのように構成することもできる。以下、充電制御回路1Cについて説明する。なお、上記した充電制御回路1A,1Bと同一の構成については同一の符号を付して重複する説明を省略する。
充電制御回路1Cは、図3に示すように、一対の第1端子2、一対の第2端子3、電流制御素子4、逆流防止用ダイオード5、電流検出部6B、電圧検出部7、および制御部8Cを備えている。
電流検出部6Bは、図示はしないが、一例として、電流検出素子としてのMOSFETと、MOSFETの両端間電圧(MOSFETの両端間抵抗と、MOSFETを流れる電流(充電電流I1または放電電流I2)の電流値とを乗算した値の電圧値)を増幅して電流検出信号Viとして出力する増幅器とで構成されている。この場合、MOSFETは、電圧比較回路12から出力される第2検出信号S2がローレベルのときには、オン状態(ほぼ一定の低オン抵抗となる飽和状態)に駆動され、第2検出信号S2がハイレベルのときには、オフ状態(オン抵抗が極めて大きな状態)に駆動される。この構成により、電流検出部6Bは、第2検出信号S2がローレベルのとき(つまり、充電電圧V2の電圧値が下限電圧値VLを上回っているとき)において、充電電流I1を検出しているときには、充電電流I1の電流値に応じて、電圧値の絶対値が増減し、かつ負極性の電流検出信号Viを出力し、また放電電流I2を検出しているときには、放電電流I2の電流値に応じて(ほぼ比例して)、電圧値の絶対値が増減し、かつ正極性の電流検出信号Viを出力する。また、電流検出部6Bは、第2検出信号S2がハイレベルのとき(つまり、微小な放電電流I2が流れたことによって、充電電圧V2の電圧値が下限電圧値VL以下になったとき)には、充電電圧V2と直流電圧V1との差分電圧(V2-V1)を増幅して正極性の電流検出信号Viを出力する。
制御部8Cは、電流比較回路11、電圧比較回路12および駆動回路15を備えて、電流制御素子4をオン状態またはオフ状態に駆動する制御処理を実行する。
電流比較回路11は、入力した電流検出信号Viと閾値電圧Vth1とを比較することにより、電流検出信号Viの電圧値が閾値電圧Vth1以上のときに第1検出信号S1をハイレベルで出力し、電流検出信号Viの電圧値が閾値電圧Vth1未満のときに第1検出信号S1の出力を停止する(例えば、第1検出信号S1をローレベルとする)。この場合、電流検出信号Viで示される放電電流I2の電流値が予め規定された電流閾値Ith以上になったときの電流検出信号Viの電圧値が閾値電圧Vth1以上となり、また電流検出信号Viが上記した差分電圧(V2-V1)を増幅した信号であるときのこの電流検出信号Viの電圧値が閾値電圧Vth1以上となるように、この閾値電圧Vth1の電圧値が規定されている。
この構成により、電流比較回路11は、電源ラインLaに流れる電流が放電電流I2であって、かつその電流値が電流閾値Ith以上のときに、第1検出信号S1をハイレベルで出力する。また、電流比較回路11は、電源ラインLaに流れる電流が放電電流I2であって、かつその電流値が電流閾値Ith未満のときであっても、電圧比較回路12が第2検出信号S2をハイレベルで出力したとき、つまり、充電電圧V2の電圧値が下限電圧値VL以下になったときに、第1検出信号S1をハイレベルで出力する。
駆動回路15は、動作指示Ssが入力されたときには、電流制御素子4をオン状態に駆動するための駆動電圧Vdvを出力し、一方、充電停止を示す動作指示Ssが入力されたときには、電流制御素子4をオフ状態に駆動するための駆動電圧Vdvを出力する。
また、駆動回路15は、電流比較回路11から第1検出信号S1が出力されるか否かを検出しつつ、電流検出信号Viで示される放電電流I2の電流値が予め規定された電流閾値Ith以上になって第1検出信号S1が出力されたときには、第1制御処理を実行して、オン状態に駆動されている電流制御素子4をオフ状態に駆動するための駆動電圧Vdvを出力する(電流制御素子4をオフ状態に移行させる)。また、駆動回路15は、充電電圧V2の電圧値が下限電圧値VL以下になって第1検出信号S1が出力されたときには、第2制御処理を実行して、オン状態に駆動されている電流制御素子4をオフ状態に駆動するための駆動電圧Vdvを出力する。
以上の構成により、制御部8Cは、上記した制御部8A,8Bと同一の制御処理を電流制御素子4に対して実行する。
このように、充電制御回路1Cは、充電制御回路1Aと同じ構成要素(一対の第1端子2、一対の第2端子3、電流制御素子4、逆流防止用ダイオード5、および電圧検出部7)を備えると共に、充電制御回路1Bと同じ構成要素(制御部8Cを構成する電流比較回路11、電圧比較回路12および駆動回路15)を備え、かつ上記した電流検出部6Bを備えていることから、上記した充電制御回路1A,1Bの動作と同じ動作を実行する。したがって、この充電制御回路1Cにおいても、上記した充電制御回路1A,1Bと同一の効果を奏することができる。また、充電制御回路1Cによれば、CPUなどを用いることなく制御部8Cを簡易に構成することができる。
なお、充電制御回路1Aにおいて、制御部8Aは、上記の構成に限定されない。例えば、制御部8Aが、バッテリ62の充電電圧V2が下限電圧値VLまで低下したことを電圧検出信号Vvに基づいて検出したときに、電流閾値Ith未満の電流値で放電電流I2が継続して流れるとの態様の放電の発生を検出する構成に代えて、充電電圧V2が予め規定された変化幅(基準変化幅)ΔV2r(例えばコンバータ61の定格出力電圧の10%程度)以上に低下したことを電圧検出信号Vvに基づいて検出したときに、電流閾値Ith未満の電流値で放電電流I2が継続して流れるとの態様の放電(電流検出信号Viに基づいては検出できない態様の放電)の発生を検出する構成を採用することもできる。
この構成については、図示はしないが、処理回路13が、アナログ信号である電圧検出信号Vvをサンプリングして、その瞬時値データ(波形データ)を出力するA/D変換器を備えて構成されて、処理回路13を構成するCPUが、この瞬時値データに基づいて電圧検出信号Vvで示される充電電圧V2の変化の様子を検出しつつ、充電電圧V2に低下する変化が現れたときにはその変化幅ΔV2(低下の開始時点からの変化量)を算出して、上記の変化幅ΔV2rと比較することで実現される。この場合、処理回路13は、算出している変化幅ΔV2が上記の変化幅ΔV2r以上となったときに、電流閾値Ith未満の電流値で放電電流I2が継続して流れるとの態様の放電の発生を検出したとして、オン状態の電流制御素子4をオフ状態に駆動する。
これにより、この構成においても、充電制御回路1Aは、放電電流I2のその後の発生を阻止することができる。さらに、この構成の充電制御回路1Aによれば、充電電圧V2に低下する変化が現れてからの変化幅ΔV2が変化幅ΔV2rに達した時点で、電流制御素子4をオフ状態に駆動することができるため、充電電圧V2の高低を問わずに、電流閾値Ith未満の電流値で放電電流I2が継続して流れるとの態様の放電の発生を検出して、その後の放電の発生を阻止することができる結果、バッテリ62からの無駄な放電を防止することができる。また、変化幅ΔV2rを小さく規定することで、充電電圧V2に低下する変化が現れてから極めて短時間で、その後の放電の発生を阻止することができる。また、この構成の充電制御回路1Aによっても、オン状態の電流制御素子4を介して充電電流I1をバッテリ62に供給する構成(つまり、逆流防止用ダイオード5を介して充電電流I1をバッテリ62に供給しない構成)のため、充電状態においてバッテリ62への出力電圧に変動が生じる事態の発生を回避することができる。
なお、処理回路13が、アナログ信号である電圧検出信号Vvをサンプリングして、その瞬時値データ(波形データ)を出力するA/D変換器と共に、アナログ信号である電流検出信号Viをサンプリングして、その瞬時値データ(波形データ)を出力するA/D変換器を備えて、処理回路13を構成するCPUが、電圧検出信号Vvについての瞬時値データと電流検出信号Viについての瞬時値データとをデジタル的に処理して、上記した電流比較回路11および電圧比較回路12の双方の機能を併せて有する構成とすることもできる。
また、電流検出部6は、上記の例では、充電電流I1を検出しているときには負極性となり、放電電流I2を検出しているときには正極性となる電流検出信号Viを出力する構成を採用しているが、この極性とは逆極性で(つまり、充電電流I1を検出しているときには正極性となり、放電電流I2を検出しているときには負極性となる)電流検出信号Viを出力する構成を採用してもよい。この構成を採用したときには、電流比較回路11は、この電流検出信号Viと一定の閾値電圧Vth1(負の定電圧)と比較して、電流検出信号Viの電圧値が閾値電圧Vth1以下のときに第1検出信号S1を出力する構成とすることで、処理回路13は、上記した第1制御処理を実行して、電流制御素子4をオフ状態に駆動するための駆動電圧Vdvを出力することができる。
また、電源装置の一例としてコンバータ61を挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、電源装置はスイッチング電源装置や他のバッテリであってもよい。また、電源装置をコンバータ61やスイッチング電源装置で構成する場合には、電源装置内の直流電圧V1の出力段に充電制御回路1A(1B,1C)を一体的に組み込む構成を採用することもできる。