以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
以下、一例として、記録対象物として感熱記録部を有する構造体、具体的には、感熱記録ラベルを貼り付けた輸送用のコンテナに画像を記録する画像記録装置について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る画像記録装置たる画像記録システム100の概略斜視図である。以下の説明では、輸送用のコンテナCの搬送方向をX軸方向、上下方向をZ軸方向、搬送方向および上下方向いずれにも直交する方向をY軸方向として説明する。画像記録システム100は、以下に詳述するように、記録対象物たる輸送用のコンテナCに貼り付けた感熱記録ラベルRLにレーザー光を照射して、画像の記録を行う。画像記録システム100は、図(a)に示されるように、記録対象物搬送手段たるコンベア装置10、記録装置14、システム制御装置18、読取装置15、遮蔽カバー11などを備えている。
記録装置14は、感熱記録ラベルRLにレーザー光を照射して記録対象物に可視像たる画像を記録するものである。記録装置14は、コンベア装置10の-Y側、すなわち搬送路の-Y側に配置されている。
遮蔽カバー11は、記録装置14から照射されたレーザー光を遮蔽して、レーザー光の拡散を低減するものであり、表面に黒アルマイト塗装が施されている。遮蔽カバー11の記録装置14と対向する部分には、レーザー光を通過させるための開口部11aが設けられている。また、本実施形態においては、コンベア装置10は、ローラコンベアであるが、ベルトコンベアであってもよい。
システム制御装置18は、コンベア装置10、記録装置14および読取装置15などが接続されており、画像記録システム100全体を制御するものである。また、読取装置15は、後述するように、記録対象物に記録されたバーコードやQRコード(登録商標)などのコード画像を読み取るものである。システム制御装置18は、読取装置15により読み取った情報に基づいて、正しく画像が記録されているか否かの照合を行う。
図2は、本発明の一実施形態に係る記録装置14の構成を示す概略斜視図である。本実施形態においては、記録装置14として、複数の光ファイバーのレーザー出射部を記録対象物たるコンテナCの移動方向である副走査方向(X軸方向)と直交する主走査方向(Z軸方向)にアレイ状に配置したファイバーアレイを用いて、画像の記録を行うファイバーアレイ記録装置を用いている。ファイバーアレイ記録装置は、レーザー発光素子から出射したレーザー光を、前記ファイバーアレイを介して記録対象物に照射し、描画単位からなる画像を記録する。具体的には、記録装置14は、レーザーアレイ部14aと、ファイバーアレイ部14bと光学部43とを備えている。レーザーアレイ部14aは、アレイ状に配置された複数のレーザー発光素子41と、レーザー発光素子41を冷却する冷却ユニット50と、レーザー発光素子41に対応して設けられ、対応するレーザー発光素子41を駆動するための複数の駆動ドライバ45と、複数の駆動ドライバ45を制御するコントローラ46とを備えている。コントローラ46には、レーザー発光素子41に電力を供給するための電源48および画像情報を出力するパーソナルコンピュータなどの画像情報出力部47が接続されている。
レーザー発光素子41は、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、半導体レーザー、固体レーザー、色素レーザーなどを用いることができる。レーザー発光素子41は、これらの中でも、波長選択性が広い点、小さいことから装置の小型化が可能な点、及び低価格化が可能な点から、半導体レーザーが好ましい。
また、レーザー発光素子41が出射する前記レーザー光の波長としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、好ましくは700nm~2000nmが好ましく、780nm~1600nmがより好ましい。
出射手段であるレーザー発光素子41においては、印加するエネルギーで全てがレーザー光に変換されることはない。通常、レーザー発光素子41においては、レーザー光に変換されないエネルギーが熱に変換されることで発熱する。そのため、冷却手段である冷却ユニット50によりレーザー発光素子41を冷却する。また、本実施形態においては、記録装置14は、ファイバーアレイ部14bを用いることで、各レーザー発光素子41を離して配置することが可能となっている。これにより、隣接するレーザー発光素子41からの熱の影響を小さくすることが可能となり、レーザー発光素子41の冷却を効率的に行うことができるので、レーザー発光素子41の温度上昇、バラツキを回避することができて、レーザー光の出力バラツキを低減できて、濃度ムラ、白抜けを改善できる。
なお、レーザー光の出力とはパワーメータで計測される平均出力である。レーザー光の出力の制御方法としては2種類あり、ピークパワーを制御する方法とパルスの発光比率(デューティー:レーザー発光時間/周期時間)を制御する方法がある。
冷却ユニット50は、冷却液を循環させてレーザー発光素子41を冷却する液冷方式であり、冷却液が各レーザー発光素子41から熱を受ける受熱部51と、冷却液の熱を放熱する放熱部52とを備えている。受熱部51と放熱部52とは、冷却パイプ53a、53bにより接続されている。受熱部51は、良熱伝導性部材で形成されたケース内部に良熱伝導性部材で形成された冷却液が流れるための冷却管が設けられている。複数のレーザー発光素子41は、受熱部51にアレイ状に配置されている。
放熱部52は、ラジエータと、冷却液を循環させるためのポンプとを備えている。放熱部52のポンプにより送り出された冷却液は、冷却パイプ53aを通って、受熱部51へ流入する。そして、受熱部51内の冷却管を移動しながら受熱部51に配列されたレーザー発光素子41の熱を奪ってレーザー発光素子41を冷やす。受熱部51から流出したレーザー発光素子41の熱を奪って温度上昇した冷却液は、冷却パイプ53b内を移動して放熱部52のラジエータへ流れ込み、ラジエータにより冷却される。ラジエータにより冷却された冷却液は、再びポンプにより受熱部51へ送り出される。
ファイバーアレイ部14bは、レーザー発光素子41に対応して設けられた複数の光ファイバー42と、これら光ファイバー42のレーザー出射部42a付近を、上下方向(Z軸方向)にアレイ状に保持するアレイヘッド44とを備えている。各光ファイバー42のレーザー入射部は、対応するレーザー発光素子41のレーザー出射面に取り付けられている。
パーソナルコンピュータなどの画像情報出力部47は、画像データをコントローラ46に入力する。コントローラ46は、入力された画像データに基づいて各駆動ドライバ45を駆動するための駆動信号を生成する。コントローラ46は、生成された駆動信号を各駆動ドライバ45へ送信する。具体的には、コントローラ46は、クロックジェネレータを備えている。コントローラ46は、クロックジェネレータが発振するクロック数が、規定のクロック数となったら、各駆動ドライバ45を駆動するための駆動信号を各駆動ドライバ45へ送信する。
各駆動ドライバ45は、駆動信号を受信すると、対応するレーザー発光素子41を駆動する。レーザー発光素子41は、駆動ドライバ45の駆動に従い、レーザー光を照射する。レーザー発光素子41から照射されたレーザー光は、対応する光ファイバー42に入射し、光ファイバー42のレーザー出射部42aから出射される。光ファイバー42のレーザー出射部42aから出射されたレーザー光は、光学部43のコリメートレンズ43a、集光レンズ43bを透過した後、記録対象物であるコンテナCの感熱記録ラベルRLの表面に照射される。感熱記録ラベルRLの表面に照射されたレーザー光により加熱されることにより、感熱記録ラベルRLの表面に画像が記録される。
記録装置として、ガルバノミラーを用いてレーザーを偏向して記録対象物に画像を記録するものを用いた場合、文字等の画像は、ガルバノミラーの回転で一筆書きするように、レーザー光を照射して記録する。そのため、ある一定の情報量を記録対象物に記録する場合、記録対象物の搬送を停止させないと、記録が間に合わないという不具合がある。一方、本実施形態の記録装置14のように複数のレーザー発光素子41をアレイ状に配置したレーザーアレイを用いることで、各画素に対応するレーザー発光素子41のオン/オフ制御で、記録対象物に画像を記録することができる。これにより、情報量が多くても、コンテナCの搬送を停止させずに、記録対象物に画像を記録することができる。よって、本実施形態の記録装置14によれば、多くの情報を記録対象物に記録する場合でも、生産性を落とさずに、画像を記録することができる。
図3は、本発明の一実施形態に係る画像記録システム100における電気回路の一部を示すブロック図である。同図において、システム制御装置18は、CPU、RAM、ROM、不揮発性メモリーなどを備えており、画像記録システム100における各種の機器の駆動を制御したり、各種の演算処理をしたりするものである。このシステム制御装置18には、コンベア装置10、記録装置14、読取装置15、操作パネル181、画像情報出力部47などが接続されている。
操作パネル181は、タッチパネル式ディスプレイや、各種のキーを具備しており、画像をディスプレイ表示したり、作業者のキー操作によって入力された各種情報を受け付けたりする。
図3に示すように、システム制御装置18は、ROM等に記憶されたプログラムに従ってCPUが動作することにより、画像記録手段として機能する。画像記録手段として機能するシステム制御装置18は、記録装置14を制御し、所定の方向とは異なる方向に記録装置14に対して相対的に移動する記録対象物にレーザーを照射することで記録対象物を加熱して画像ドットを形成して画像を記録する。
次に、画像記録システム100の動作の一例について図1を参照して説明する。まず、荷物が収容されたコンテナCが、作業者によりコンベア装置10に載置される。作業者は、感熱記録ラベルRLが貼付されたコンテナCの本体の側面が、-Y側に位置するように、すなわち記録装置14に前記側面が対向するようにコンテナCをコンベア装置10に載置する。
作業者が操作パネル181を操作して、システム制御装置18をスタートさせると、操作パネル181からシステム制御装置18へ搬送開始信号が送信される。搬送開始信号を受信したシステム制御装置18は、コンベア装置10の駆動を開始する。すると、コンベア装置10に載置されたコンテナCは、コンベア装置10により記録装置14に向けて搬送される。コンテナCの搬送スピードの一例としては、2m/secである。
記録装置14よりもコンテナCの搬送方向上流側には、コンベア装置10上を搬送されるコンテナCを検出するセンサが配置されている。このセンサが、コンテナCを検出すると、検出信号が、センサからシステム制御装置18へ送信される。システム制御装置18は、タイマを有している。システム制御装置18は、前記センサからの検出信号を受信したタイミングで、タイマを用いた時刻計測を開始する。そして、システム制御装置18は、検出信号の受信タイミングからの経過時間に基づいて、コンテナCが、記録装置14に到達するタイミングを把握する。
検出信号の受信タイミングからの経過時間がT1となり、コンテナCが、記録装置14に到達するタイミングで、システム制御装置18は、記録装置14を通過するコンテナCに貼付された感熱記録ラベルRLに画像を記録すべく、記録装置14に記録開始信号を出力する。
記録開始信号を受信した記録装置14は、画像情報出力部47から受けた画像情報に基づいて、記録装置14に対して相対移動するコンテナCの感熱記録ラベルRLに向けて所定パワーのレーザー光を照射する。これにより、感熱記録ラベルRLに画像が非接触で記録される。
感熱記録ラベルRLに記録される画像(画像情報出力部47から送信される画像情報)としては、例えば、コンテナCに収容されている荷物の内容、輸送先の情報などの文字画像、および、コンテナCに収容されている荷物の内容、輸送先の情報などの情報がコード化されたバーコードや二次元コードなどのコード画像である。
記録装置14を通過する過程で画像が記録されたコンテナCは、読取装置15を通過する。このとき、読取装置15が、感熱記録ラベルRLに記録されたバーコードや二次元コードなどのコード画像を読み取り、コンテナCに収容されている荷物の内容、輸送先の情報、などの情報を取得する。システム制御装置18は、コード画像から取得した情報と、画像情報出力部47から送信された画像情報とを照合して、正しく画像が記録されているか否かをチェックする。正しく画像が記録されているときは、システム制御装置18は、コンテナCをコンベア装置10によって次の工程(例えば輸送準備工程)に送る。
一方、正しく画像が記録されていないときは、システム制御装置18は、コンベア装置10を一時停止して、操作パネル181に正しく画像が記録されていない旨を表示する。また、システム制御装置18は、正しく画像が記録されていないときは、そのコンテナCを、規定の搬送先に搬送するようにしてもよい。
図4は、図3に示した電気回路の記録装置14に関するブロック図である。システム制御装置18と制御部46の間には、I/F部180が備えられている。
画像情報出力部47は、所望のドット濃度を出力するために必要な光エネルギーの情報をシステム制御装置18に伝達する。システム制御装置18は、必要な光エネルギーの情報としてタイミング、パルス幅、ピークパワー等の制御信号をI/F部180を介して制御部46に送信し、I/F部180を介してステータス信号を制御部46から受信する。
本実施形態では高効率を前提としているため、記録装置14のドライバ45として原理的に低損失のスイッチング方式を採用する。他の方式としてリニア方式があるが、これはMOSFETやバイポーラトランジスタをリニア領域で動作させた電流制御素子としてリニア電流制御する方式であり、トランジスタで発生する電圧降下分の電力を熱として捨てるために効率が悪く(例えば電力効率40%)、高出力化に適さない。
図5は、図4に示した電気回路のドライバ45に関するブロック図である。ドライバ45は、スイッチング方式電流駆動回路であり、電源48から供給された電力に基づき、出力部454に接続された駆動対象へ電流を供給する。
ドライバ45は、スイッチング方式電流駆動回路におけるスイッチング部480として、スイッチ素子駆動部450と、スイッチ素子451およびスイッチ素子452と、コイル453と、を備える。
スイッチ素子451は、電源48とコイル453との接続を切り替えるためのスイッチ素子である。また、スイッチ素子452は、GNDとコイル453との接続を切り替えるためのスイッチ素子である。
スイッチ素子451の一端側は電源48に接続され、他端側はスイッチ素子452の一端側と接続され、スイッチ素子452の他端側はGNDと接続されている。コイル453の入力端側はスイッチ素子451の他端側及びスイッチ素子452の一端側と接続され、スイッチ素子452の他端側は出力部454の一端側と接続される。
出力部454にはドライバ45の駆動対象であるレーザー発光素子41が接続されている。他の形態として、ドライバ45の駆動対象として、出力部454にLEDを接続しても良い。
ドライバ45は、さらに出力部454に接続された駆動対象への電流供給をオンオフする電流供給制御部としての発光制御部455と、出力部454に接続された駆動対象に流れた電流、又は発光制御部455に流れた電流を電流・電圧変換(IV変換)するシャント抵抗456と、シャント抵抗456に掛かっている電圧を増幅する増幅回路457と、増幅回路457から出力される増幅電圧457Sと閾値電圧460Sを比較する比較回路458を備える。
ドライバ45のスイッチング動作について以下に説明する。スイッチ素子駆動部450は、制御部46からの制御信号に応じて、スイッチ素子451をオンオフする駆動信号450Hと、スイッチ素子452をオンオフする駆動信号450Lを出力する。
これにより、電源48より供給される電力を、MOSFET等の半導体スイッチ素子としてのスイッチ素子451、452のオン/オフと電流を平滑化する平滑化素子としてのコイル453によってチョッピングすることで、ほぼ直流に整流されたスイッチング部480の出力電流480Sを得ることが出来る。
出力電流480Sは、発光制御部455がオンの場合は、発光制御部455からシャント抵抗456を経由してグランドに流れ、発光制御部455がオフの場合はレーザー発光素子41からシャント抵抗456を経由してグランドに流れる。
増幅回路457は、シャント抵抗456に掛かっている電圧(レーザー発光素子41と発光制御部455とシャント抵抗456との接続点の電位)を決まったゲインで増幅して増幅電圧457Sを出力する。
比較回路458は、増幅回路457から出力される増幅電圧457Sと、制御部46から出力される閾値電圧460Sを比較し、比較結果の判定信号458Sを制御部46に出力する。
制御部46は、判定信号458Sに基づき、前述したように、スイッチ素子駆動部450に対して制御信号を出力する。制御部46が、判定信号458Sに基づきスイッチ素子駆動部450に対してどのように制御信号を出力するかについては、図7を用いた説明を後述する。比較回路458はコンパレータやADコンバータ等により構成される。
以上説明したドライバ45、制御部46により、出力部454へ供給する電流である出力電流480Sを制御する出力制御装置460を構成する。さらに、出力制御装置460の出力部454に駆動対象としてレーザー発光素子41を接続することでレーザー出力装置として構成される。
図5では高速でパルス変調するために、発光素子としてのレーザー発光素子41に流れる電流経路を切り替えることで、レーザー発光素子41の発光する/しないを制御する発光制御部455を出力部454に並列に接続して設けている。発光制御部455は、例えばMOSMET等のスイッチング素子で構成される。
一般的に、コイルを流れる電流の変調速度は、コイル両端に印加できる電圧に比例するため、1Aの電流遷移に数マイクロ秒かかる。一方、発光制御部455による駆動電流の電流変調速度は、発光制御部455のスイッチング素子のスイッチ時間に依存する(MOSFETであれば数十ns)ため、高速である。
制御部46は、発光制御部455に対して、発光制御部455をオンオフする切替信号(発光情報)としてのPWM制御信号455Sを送る。パルス周波数が40kHz(1周期=25us)で記録装置14が256階調を持つ場合、1画素が約0.1us(≒100ns)のパルス幅に対応する。仮にDuty50%(128階調)のパルスを出すのであればパルス幅は約12.8usとなる。
図5では、制御部46は、増幅回路457から増幅電圧457Sをモニタ(検出)する。制御部46は、レーザー発光素子41の発光をPWM制御する際は増幅電圧457Sに基づき決定されるPWM制御信号455Sを発光制御部455に送る。制御部46が、増幅電圧457Sに基づき、発光制御部455に送るPWM制御信号455Sをどのように決定するかについては、図10を用いた説明を後述する。
図6は、図5に示した電気回路のドライバ45における電圧・電流波形の説明図である。駆動信号450H、駆動信号450Lのタイミングと、ドライバ45が出力部454へ供給する出力電流480Sのリップル成分との関係を以下に示す。
コイル453の出力端における電圧は、V=L×ΔI/dtである(L:コイル453のインダクタンス、dt:時間の変化量、ΔI:コイル電流453Sの変化量)。駆動信号450Hがオフ→オン、駆動信号450Lがオン→オフとなってから、駆動信号450Hがオンであり駆動信号450Lがオフである期間は、リップルが立ち上がる期間となる。リップルが立ち上がる期間中、コイル453には、電源48からの電流が供給され、コイル453の出力端における電圧Voutは、電源48の電圧Vinに遷移する。よって立ち上がりリップルの傾きは、ΔI1/dt1=(Vin-Vout)/Lである。(dt1:駆動信号450Hがオンで駆動信号450Lがオフの期間、ΔI1:dt1におけるコイル電流453Sの変化量)
また、駆動信号450Hがオン→オフ、駆動信号450Lがオフ→オンとなってから、駆動信号450Hがオフであり駆動信号450Lがオンである期間は、リップルが立ち下がる期間となる。リップルが立ち下がる期間中、コイル453には電源48からの電流が供給されないので、コイル453の出力端における電圧Voutは0に遷移する。よって立ち上がりリップルの傾きは、ΔI2/dt2=(-Vout)/Lである。(dt2:駆動信号450Hがオフで駆動信号450Lがオンの期間、ΔI2:dt2におけるコイル電流453Sの変化量)
図7は、図5に示したドライバ45の動作を示すタイミングチャートである。スイッチング回路のフィードバック制御方式としてPWM(Pulse Width Modulaton)制御やPFM(Pulse frequency Modulation)制御、ヒステリシス制御等があるが、本実施形態では高速な電流変調速度を得るために、ヒステリシス制御方式を採用した。電流変調速度の要求スペックによっては、PWM制御あるいはPFM制御、その他スイッチング制御手段を用いて良い。
本実施形態におけるフィードバック制御として、一般的にヒステリシス制御と呼ばれる制御方式を採用する。ヒステリシス制御は大別して、オフタイム固定型と、ヒステリシスウィンドウ型が存在する。まず、図7を用いてオフタイム固定型について説明する。
制御部46は、I/F部180を介してシステム制御装置18から出力されたピークパワーに関する制御信号に基づき閾値電圧460Sを設定する。
制御部46からの制御信号に応じて駆動信号450Hがオンとなり駆動信号450Lがオフになると、コイル453の入力端と電源48とがスイッチ素子451を介して繋がり、コイル453にスイッチ素子451を介して電源48から電流が供給される。しかしながら、コイル453の過渡現象によりコイル電流453Sはすぐにピーク値にはならずに一定の傾きを持って増加するので、出力部454へ供給する出力電流480Sも一定の傾きを持って増加する。そのため、シャント抵抗456に掛かっている電圧も一定の傾きを持って増加し、シャント抵抗456に掛かっている電圧を増幅した増幅電圧457Sも一定の傾きを持って増加する。
増幅電圧457Sが、閾値電圧460Sに達すると判定信号458Sがオンになるが瞬時にオフとなる。制御部26は判定信号458Sがオフからオンになったことを検知して、駆動信号450Hをオフにするとともに、駆動信号450Lをオンにする。
制御部46からの制御信号に応じて駆動信号450Hがオフとなり駆動信号450Lがオンになると、コイル453の入力端とGNDとがスイッチ素子452を介して繋がり、電源48からコイル453への電流供給が停止する。しかしながら、コイル453の過渡現象によりコイル電流453Sはすぐに0にはならず、一定の傾きを持って減少し、出力部454へ供給する出力電流480Sも一定の傾きを持って減少する。
そして、可変パラメータとして設定されたオフ時間分、電流は減少し続けるが、オフ時間経つと駆動信号450Hはオンとなり駆動信号450Lはオフとなる。
このサイクルを繰り返すことでリップルを持った出力電流480Sが生成される。出力電流480Sのリップルにより、シャント抵抗456に掛かる電圧もリップルを持つため、図7に示したように、増幅電圧457Sもリップルを持つ。
あるタイミングで閾値電圧460Sを低い値に変更した場合は、増幅電圧457Sは新たな閾値電圧460Sを超えているので判定信号458Sはオンのままとなる。
判定信号458Sがオンの間は、駆動信号450Hがオフであり、駆動信号450Lがオンとなる状態が継続するので、既述したように、出力電流480Sは、一定の傾きを持って減少し、増幅電圧457Sも減少する。
やがて増幅電圧457Sが新たな閾値電圧460S以下となり、オフ時間分経過すると、既に記載した過程を繰り返すだけである。
レーザー発光素子41をPWM信号により発光制御する際には、PWM信号をオンにする時間(図7におけるW1、W2)だけ発光するように発光制御部455をスイッチングすればよい。
図5から明らかなように、発光制御部455がオフの間、出力電流480Sはレーザー発光素子41に流れる。レーザー発光素子41に流れる電流を電流41Sと表す。
リップル高さH1、H2の中心をレーザー発光素子41に流れる電流41Sの目標とする。
図7では、制御部46により設定された閾値電圧460Sが高い値の場合と低い値の場合の両方について、レーザー発光素子41に流れる電流41Sの目標を示している。
図8は、ヒステリシス制御方式における他の方式であるヒステリシスウィンドウ型を説明するための図である。図8を用いてヒステリシスウィンドウ型について説明する。
図8のように閾値電圧460Sを上限値460Hと下限値460Lの2つに設定する。上限値460Hと下限値460Lの間をヒステリシスウィンドウと呼ぶ。この場合は、増幅電圧457Sが上限の閾値電圧460Hに達すると、判定信号458Hがオンになるが瞬時にオフとなる。制御部26は判定信号458Hがオフからオンになったことを検知して、駆動信号450Hをオフにするとともに、駆動信号450Lをオンにする。
制御部46からの制御信号に応じて駆動信号450Hがオフとなり駆動信号450Lがオンになると、コイル453の入力端とGNDとがスイッチ素子452を介して繋がり、電源48からコイル453への電流供給が停止する。しかしながら、コイル453の過渡現象によりコイル電流453Sはすぐに0にはならず、一定の傾きを持って減少し、出力部454へ供給する出力電流480Sも一定の傾きを持って減少する。そのため、シャント抵抗456に掛かっている電圧も一定の傾きを持って減少し、シャント抵抗456に掛かっている電圧を増幅した増幅電圧457Sも一定の傾きを持って減少する。
増幅電圧457Sが減少して下限の閾値電圧460Lを下回ると判定信号458Lがオフになるが瞬時にオンとなる。制御部26は、判定信号458Lがオンからオフになったことを検知して、駆動信号450Lをオフにするとともに、駆動信号450Hをオンにする。
制御部46からの制御信号に応じて駆動信号450Hがオンとなり駆動信号450Lがオフになると、コイル453の入力端と電源48とがスイッチ素子451を介して繋がり、コイル453にスイッチ素子451を介して電源48から電流が供給される。しかしながら、コイル453の過渡現象によりコイル電流453Sはすぐにピーク値にはならずに一定の傾きを持って増加するので、出力部454へ供給する出力電流480Sも一定の傾きを持って増加する。そのため、シャント抵抗456に掛かっている電圧も一定の傾きを持って増加し、シャント抵抗456に掛かっている電圧を増幅した増幅電圧457Sも一定の傾きを持って増加する。
増加した増幅電圧457Sが画像情報より設定された閾値電圧460Hに達すると、また判定信号458Hがオンになり、駆動信号450Hがオフになる。
このサイクルを繰り返すことでリップルを持った出力電流480Sが生成される。出力電流480Sのリップルにより、シャント抵抗456に掛かる電圧もリップルを持つため、図8に示したように、増幅電圧457Sもリップルを持つ。
閾値電圧460Sを上限値460Hと下限値460Lの2つに設定することで出力電流480Sや増幅電圧457Sのリップル比を任意の一定の値に保つことができる。
図9は、図5に示したドライバ45の課題を説明する図である。図9(a)は理想の状態を示しており、画像情報に基づく1ドットあたりの濃度を実現するための光エネルギーE1[J]は、初期時間t=t0よりピークパワーP1(定数)、パルス幅(t1-t0)でレーザー発光素子41を発光したときの積分値として表すことができる。
図9(b)は実際の状態を示しており、実際に出力されるエネルギーE2[J]は、発光初期時間に入力時間t=t0より(t2-t0)のディレイが生じたり、ピークパワーP2が変動したりして、ピークパワー(時間の関数)の積分値となる。
本実施形態では、このような場合を想定し、E2=E1となるような時間t=t3にレーザー発光素子41の発光を停止するような制御を行うことで所望のエネルギーを出力できる。従来、APC(Auto Power Control)に代表されるパワー安定化制御に関して多数の特許が存在するが、1パルスあたりのエネルギー量のばらつきに関して言及された発明はない。次に、図10~図13を用いて具体的なエネルギー補正方法を説明する。
図10は、図5に示した電気回路のドライバ45の詳細な動作を示すタイミングチャートである。図10における前提となるパラメータは以下の通りとする。
電源48による入力電圧:Vin=24V、レーザー発光素子41の両端にかかる電圧:VLD=2V、コイル453のインダクタンス:L=22uH、レーザー発光素子41を流れる電流41Sの目標電流:IS=10A、レーザー発光素子41を発光する期間の消費目標エネルギー:100uJ、レーザー発光素子41を発光する期間としての理論パルス幅:100uJ/(2V×10A)=5us。
リップル電流は、スイッチング方式電流駆動回路の構成上完全に0にすることはできない。ここではスイッチング方式電流駆動回路(ドライバ45)が安定して動作している定常状態におけるリップル電流が1Aだと仮定する。閾値電圧の上限値460Hに対応する閾値電流IHは、リップル電流がpeak-to-peakの値であるので、ヒステリシス制御をするための閾値電流の高い側として10A+1/2A=10.5Aとなる。閾値電圧460Sの下限値460Lに対応する閾値電流ILは、10A-1/2A=9.5Aとなる。
リップル電流の立ち上がり傾きS1は、ΔI/dt=(Vin-VLD)/L=(24-2)/22=1A/usとなる。リップル電流の立ち下がり傾きS2は、ΔI/dt=(Vin-VLD)/L=(-2)/22=-0.09A/usとなる。
目標電流が10A、出力電圧(負荷電圧)が2Vで目標エネルギーが100uJのドットパルスを出力したい場合、時間的に光量を一定にできるのであれば、単位時間当たりの光量は10A×2V=20Wであり、100uJ/20W=5usが理想的な照射時間(理論パルス幅455T)となる。これは40kHzでDuty20%のパルス幅である。5usのパルス幅を±0.5%の誤差に収めたい時は5us×1%=0.05usの時間分解能が必要である。すなわち、発光制御部455をオンオフするためのPWM制御信号の時間分解能は、0.05usとする。
本実施形態ではレーザー発光素子41を流れる電流41Sは必ずリップルを持つため、理論パルス幅455T(5us)の期間、レーザー発光素子41を発光した場合でも、目標エネルギー100uJが得られるとは限らない。
そこで本実施形態では、PWM制御信号455Sにより発光制御部455をオフするタイミング(レーザー発光素子41に出力電流480Sを供給し、電流41Sを流すタイミング)でエネルギー積算を開始し、時間分解能毎にエネルギーを積算していく。その後、積算したエネルギーの合計が目標エネルギー100uJを超えたタイミングでエネルギー積算を終了して、PWM制御信号455Sにより発光制御部455をオンすることで、レーザー発光素子41に出力電流480Sの供給を停止し、電流41Sが流れないようにする。
図10において、制御部46は、増幅電圧457Sから以下の式に基づき、出力電流480Sの値を取得する。I=(V/G)/R(I:出力電流480Sの値、V:増幅電圧457Sの値、G:増幅回路457の増幅度、R:シャント抵抗456の抵抗値)。なお、本実施形態では、シャント抵抗456に掛かる電圧を増幅回路457で増幅した増幅電圧457Sから出力電流480Sを求めているが、ホール式電流センサを用いて出力電流480Sを求めてもよい。
ここで、既述したように、レーザー発光素子41に流れる出力電流480Sを電流41Sと表す。以下の説明は、発光素子41が発光している間の電流については、出力電流480Sではなく電流41Sを用いて説明する。
制御部46は、出力電流480Sが下降して閾値電流ILに達すると、駆動信号450Hをオン、駆動信号450Lをオフにする。これにより、出力電流480Sは上昇に転じる。
そして、出力電流480Sが上昇している途中に、制御部46は、画像情報出力部47から送信された駆動信号に基づきPWM制御信号455S1を送信して発光制御部455をオフすることでレーザー発光素子41を発光すると、その時の電流10.2Aを初期電流値I1として取得してエネルギー積算を開始する。
その後、制御部46は、発光素子41に流れる電流41S(出力電流480S)が閾値電流IH(10.5A)に達すると、駆動信号450Hをオフ、駆動信号450Lをオンにして、これにより、電流41Sは下降に転じる。この間、制御部46は、エネルギー積算を継続する。
そして、電流41Sが下降している途中に、制御部46は、電流値I2(10.08A)を取得したタイミングで積算したエネルギーの合計が目標エネルギー100uJに達すると、エネルギー積算を終了して、PWM制御信号455S2を送信して発光制御部455をオンすることでレーザー発光素子41の発光を停止する。
図11は、図10に示したタイミングチャートにおける波形を説明する図である。制御部46は、画像情報出力部47から送信された駆動信号に基づきPWM制御信号455S1を送信して発光制御部455をオフすることでレーザー発光素子41を発光すると、その時の電流10.2Aを初期電流値I1として取得してエネルギー積算を開始する。
そして、電流41Sが立ち上がり傾きS1で上昇している間、制御部46は、時間分解能0.05us毎に電流値を取得し、エネルギー積算を継続する。その後、電流41Sは閾値電流IH(10.5A)に達してから、立ち下がり傾きS2で下降するが、制御部46は、時間分解能0.05us毎に電流値を取得し、エネルギー積算を継続する。
そして、電流41Sが下降している途中に、制御部46は、電流値I2(10.08A)を取得したタイミングで積算したエネルギーの合計が目標エネルギー100uJに達すると、エネルギー積算を終了して、PWM制御信号455S2を送信して発光制御部455をオンすることでレーザー発光素子41の発光を停止する。
図12は、図11に示した波形におけるエネルギー積算方法を示す表である。制御部46は、PWM制御信号455S1を送信して発光制御部455をオフすることでレーザー発光素子41を発光するタイミングを積算開始時間(t=0us)とし、そこから時間分解能0.05usごとに電流値I[A]を取得し、電流値Iに基づきエネルギーE[uJ]を算出し、積算する。時間毎の積算エネルギーの計算式を以下に示す。
[実施例1]積算開始時間(t=0us)における電流値10.2A、リップル電流の立ち上がり傾きS1を1A/usとする。時間t=0[us]~0.3[us]では、時間分解能0.05usでリップル電流の立ち上がり傾きS1が1A/usなので、0.05us×1A/us=0.05Aずつ電流値は増えていく。
時間t=0[us]のとき、時間分解能0.05us、電流値10.2A、出力電圧2Vなので、0.05us×10.2A×2V=1.02uJとなる。
時間t=0.05[us]のとき、一つ前の積分値に加えて、時間分解能0.05us、電流値10.25A、出力電圧2Vなので、1.02uJ+0.05us×10.25A×2V=2.045uJとなる。
時間t=0.1[us]のとき、一つ前の積分値に加えて、時間分解能0.05us、電流値10.3A、出力電圧2Vなので、2.045uJ+0.05us×10.3A×2V=3.075uJとなる。
時間t=0.3[us]のとき、一つ前の積分値に加えて、時間分解能0.05us、電流値10.5A、出力電圧2Vなので、6.195uJ+0.05us×10.5A×2V=7.245uJとなる。t=0.3usからリップル傾きが1A/usから-0.09A/usに変わるので、0.05us×(-0.09A/us)=0.0045Aずつ電流値は減っていく。
時間t=0.35[us]のとき、一つ前の積分値に加えて、時間分解能0.05us、電流値10.4955A、出力電圧2Vなので、7.245uJ+0.05us×10.4955A×2V=8.29455uJとなる。
時間t=0.4[us]のとき、一つ前の積分値に加えて、時間分解能0.05us、電流値10.4955A、出力電圧2Vなので、7.245uJ+0.05us×10.4955A×2V=8.29455uJとなる。
時間t=4.85[us]のとき、一つ前の積分値に加えて、時間分解能0.05us、電流値10.0905A、出力電圧2Vなので、99.90225uJ+0.05us×10.0905A×2V=100.9113uJとなる。制御部46は、エネルギーの積算値が目標エネルギー100uJに達したので、エネルギー積算を終了して、PWM制御信号455S2を送信して発光制御部455をオンすることでレーザー発光素子41の発光を停止する。
以上の例では、目標エネルギー100uJを実現する理論パルス幅455Tは5usであったが、目標エネルギー100uJに達したときのパルス幅は4.85usとなった。したがって、仮に理論パルス幅5us経過後にPWM制御信号455S2を送信して発光制御部455をオンすることでレーザー発光素子41の発光を停止していれば、実際に供給されたエネルギーは目標エネルギー100uJをオーバーしていたことになる。したがって、本実施形態によれば目標エネルギーに対する実際に供給されたエネルギーのばらつきを少なくすることができた。
[実施例2]積算開始時間(t=0us)における電流値10A、リップル電流の立ち下がり傾きS2を-0.09A/us、他の条件は[実施例1]と同様の場合、目標エネルギー100uJに達したときのパルス幅は5.1usとなった。[実施例2]と[実施例1]を比較すると、目標エネルギーが同じでも、積算開始時間(t=0us)における電流値、リップル電流の傾きが異なる場合、目標エネルギーに達するまでのパルス幅が異なる。
[実施例3]積算開始時間(t=0us)における電流値10A、リップル電流の立ち上がり傾きS1を1A/us、他の条件は[実施例1]と同様の場合、目標エネルギー100uJに達したときのパルス幅は4.85usとなった。[実施例3]と[実施例2]を比較すると、目標エネルギーおよび積算開始時間(t=0us)における電流値が同じでも、積算開始時間(t=0us)におけるリップル電流の傾きが異なる場合、目標エネルギーに達するまでのパルス幅が異なる。
[実施例4]積算開始時間(t=0us)における電流値9.6A、リップル電流の立ち下がり傾きS2を-0.09A/us、他の条件は[実施例1]と同様の場合、目標エネルギー100uJに達したときのパルス幅は4.6usとなった。[実施例4]と[実施例2]を比較すると、目標エネルギーおよび積算開始時間(t=0us)におけるリップル電流の傾きが同じでも、積算開始時間(t=0us)における電流値が異なる場合、目標エネルギーに達するまでのパルス幅が異なる。
図13は、図5に示したドライバ45の動作を示すフローチャートである。制御部46は、画像情報出力部47から必要な光エネルギーの目標値を入力するとエネルギー目標値を設定し(ステップS1)、エネルギー積算の処理を開始し、エネルギー積算開始パルスオンとしてのPWM制御信号455S1を送信して発光制御部455をオフすることでレーザー発光素子41を発光する(ステップS2)。
制御部46は、増幅回路457の出力である増幅電圧457Sをモニタ(検出)し(ステップS3)、増幅電圧457Sを発光素子41に流れる電流41S(出力電流480S)に変換することで、発光制御部455をオフすることでレーザー発光素子41を発光したときの初期電流値I1を取得する(ステップS4)。図12に示した例では、I1は10.2Aである。
制御部46は、スイッチ素子451をオンオフする駆動信号450Hを確認し(ステップS5)、駆動信号450Hがオンの場合はリップル電流の立ち上がり傾きS1を選択し(ステップS6)、駆動信号450Hがオフの場合はリップル電流の立ち下がり傾きS2を選択する(ステップS7)。
制御部46は、ステップS4で取得した初期電流値I1に基づきエネルギー積算を開始する(ステップS8)。図12に示した例では、エネルギー積算値は1.02μJである。
制御部46は、次の積算タイミングになったか確認し(ステップS9)、積算タイミングになった場合は、ステップS10に進む。図12に示した例では、積算タイミングは、時間分解能を示す0.05us毎である。
制御部46は、選択されているリップル電流の傾きS1またはS2に基づき、電流値を算出する(ステップS10)。図12に示した例では、時間t=0.05[us]のときには、リップル電流の立ち上がり傾きS1が選択されており、電流値は10.25Aとなる。
制御部46は、ステップS10で算出した電流値に基づきエネルギーを積算する(ステップS11)。図12に示した例では、時間t=0.05[us]のときの積算エネルギーは2.045uJとなる。
制御部46は、電流値が閾値に達したか確認し(ステップS12)、閾値に達した場合は、リップル電流の立ち上がり傾きを変更する(ステップS13)。図12に示した例では、電流値が閾値電流IH(10.5A)に達した場合、リップル電流の立ち上がり傾きS1をリップル電流の立ち下がり傾きS2に変更する。
制御部46は、ステップS11で積算した積算エネルギーが、ステップS1で入力された目標エネルギーに達したか確認し(ステップS14)、目標エネルギーに達していなければステップS9に戻って処理を継続し、目標エネルギーに達していればエネルギー積算終了パルスオンとしてのPWM制御信号455S2を送信して発光制御部455をオンすることでレーザー発光素子41の発光を停止して(ステップS15)、処理を終了する。図12に示した例では、時間t=4.85[us]のとき、エネルギーの積算値が目標エネルギー100uJに達しており、PWM制御信号455S2を送信して発光制御部455をオンすることでレーザー発光素子41の発光を停止する。
[変形例1]図13のフローチャートでは、発光制御部455をオフすることでレーザー発光素子41を発光したときの初期電流値I1を取得し(ステップS4)、ステップS4で取得した初期電流値I1に基づきエネルギー積算を開始したが(ステップS8)、発光制御部455をオフすることでレーザー発光素子41を発光した所定時間後に電流値を取得し、取得した電流値に基づきエネルギー積算を開始しても良い。
図12に示した例において、制御部46は、PWM制御信号455S1を送信して発光制御部455をオフすることでレーザー発光素子41を発光した後の時間t=0.2[us]で、電流値10.4Aを取得するとともにリップル電流の立ち上がり傾きS1を選択して、エネルギー積算を開始してもよい。この場合、制御部46は、時間t=0.2[us]から遡って、時間t=0[us]~0.2[us]における時間分解能0.05us毎の電流値を算出することができるため、時間t=0[us]~0.2[us]のエネルギーを遡って積算し、さらに継続して時間t=0.2[us]以降のエネルギーを積算することが可能である。
[変形例2]図13のフローチャートでは、増幅回路457の出力である増幅電圧457Sをモニタ(検出)し(ステップS3)、増幅電圧457Sを発光素子41に流れる電流41S(出力電流480S)に変換することで、電流値I1を取得した(ステップS4)が、駆動信号450Hによりスイッチ素子451のオンオフを切り替えるタイミングに基づき電流値を算出し、この算出された電流値を取得してもよい。
図12に示した例において、制御部46は、PWM制御信号455S1を送信して発光制御部455をオフすることでレーザー発光素子41を発光した後の時間t=0.3[us]に、駆動信号450Hをオフに切り替えるため、時間t=0.3[us]において、閾値電流IH(10.5A)に対応する電流値を取得することができる。そして、制御部46は、時間t=0.3[us]から遡って、時間t=0[us]~0.3[us]における時間分解能0.05us毎の電流値を算出することができるため、時間t=0[us]~0.3[us]のエネルギーを遡って積算し、さらに継続して時間t=0.3[us]以降のエネルギーを積算することが可能である。
以上説明したように、本発明の一実施形態に係る出力制御装置460は、出力部454に接続された駆動対象の一例としてレーザー発光素子41へ供給する電流を制御する出力制御装置460であって、レーザー発光素子41への電流供給の開始と停止とを制御する電流供給制御部としての発光制御部455と、発光制御部455を制御する制御部46と、を備え、制御部46は、発光制御部455によりレーザー発光素子41への電流供給を開始してからレーザー発光素子41へ流れた電流を積算したエネルギー量に基づいて、発光制御部455によるレーザー発光素子41への電流供給を停止する。これにより、出力部454に接続されたレーザー発光素子41に供給する電流のリップルに起因するレーザー発光素子41に供給する電流を積算したエネルギー量のばらつきを抑制することができる。
出力制御装置460は、所定時間間隔でレーザー発光素子41へ流れる電流を検出する検出部をさらに備え、制御部46は、検出部が検出した所定時間間隔での電流を積算することで、電流を積算したエネルギー量を求める。これにより、出力部454に接続されたレーザー発光素子41に供給する電流のリップルに起因するレーザー発光素子41に供給する電流を積算したエネルギー量のばらつきを抑制することができる。
制御部46は、出力部454において消費されるエネルギーの目標値に、レーザー発光素子41へ流れた電流を積算したエネルギー量が達すると、発光制御部455によるレーザー発光素子41への電流供給を停止する。これにより、出力部454に接続されたレーザー発光素子41に供給する電流のリップルに起因するレーザー発光素子41に供給する電流を積算したエネルギー量のばらつきを抑制することができる。