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JP7132211B2 - 3-(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシベンゾイル)-1,1-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾチアゾールの結晶形及び塩 - Google Patents

3-(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシベンゾイル)-1,1-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾチアゾールの結晶形及び塩 Download PDF

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JP7132211B2 JP2019514647A JP2019514647A JP7132211B2 JP 7132211 B2 JP7132211 B2 JP 7132211B2 JP 2019514647 A JP2019514647 A JP 2019514647A JP 2019514647 A JP2019514647 A JP 2019514647A JP 7132211 B2 JP7132211 B2 JP 7132211B2
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精一 小橋
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Description

本発明は、顕著な尿酸排泄促進作用を有する3-(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシベンゾイル)-1,1-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾチアゾールの結晶形及び塩に関する。
医薬品における結晶形および塩は、その物理化学的な性質の違いにより、薬理活性、溶解性、バイオアベイラビリティー、安定性等に影響を及ぼすことが知られている。したがって、医薬として有用な化合物に結晶形、塩が存在する場合には、これらの中から有用性が高い結晶形、塩を選択し、製造する事が望ましい。
最近、既存の尿酸排泄促進薬に比して未変化体尿中濃度が高く、顕著な尿酸排泄促進作用を有する3-(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシベンゾイル)-1,1-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾチアゾールが見出された(特許文献1)。
しかし、特許文献1には3-(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシベンゾイル)-1,1-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾチアゾールに関する具体的な結晶形、塩に関する記載はなく、当該化合物を工業生産する際の問題点、その示唆も開示されていない。
WO2011/040449号
したがって本発明の課題は、医薬として有用であり、優れた尿酸排泄促進作用を有し、更に工業生産における優れた利便性を有する3-(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシベンゾイル)-1,1-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾチアゾールの新規結晶形、水和物、溶媒和物又は塩を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、顕著な尿酸排泄促進作用を有し、優れた物性(とりわけ、流動性と作業操作性)を併せ持つ3-(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシベンゾイル)-1,1-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾチアゾールの結晶形を見出し、本発明の完成に至った。
すなわち、本発明は、
(1)粉末X線回析による回折角(2θ)において、少なくとも11.5、14.6、18.2、24.0及び25.5度付近に特徴的なピークを有する3-(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシベンゾイル)-1,1-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾチアゾールのI形結晶、
(2)図1に示す粉末X線回折図により特徴付けられる、3-(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシベンゾイル)-1,1-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾチアゾールのI形結晶、
(3)DSC分析において191℃付近に熱吸収ピークを有することを特徴とする、3-(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシベンゾイル)-1,1-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾチアゾールのI形結晶、好ましくは、前記(1)又は(2)のいずれかに記載のI形結晶、
(4)粉末X線回析による回折角(2θ)において、少なくとも15.1、18.1、22.8、23.7及び24.0度付近に特徴的なピークを有する3-(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシベンゾイル)-1,1-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾチアゾールのII形結晶、
(5)図2に示す粉末X線回折図により特徴付けられる、3-(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシベンゾイル)-1,1-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾチアゾールのII形結晶、
(6)DSC分析において212℃付近に熱吸収ピークを有することを特徴とする、3-(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシベンゾイル)-1,1-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾチアゾールのII形結晶、好ましくは、前記(4)又は(5)のいずれかに記載のII形結晶、
(7)粉末X線回析による回折角(2θ)において、少なくとも9.5、13.7、22.8、24.9及び25.3度付近に特徴的なピークを有する3-(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシベンゾイル)-1,1-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾチアゾールの水和物、
(8)図3に示す粉末X線回折図により特徴付けられる、3-(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシベンゾイル)-1,1-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾチアゾールの水和物、
(9)DSC分析において105℃及び212℃付近に熱吸収ピークを有する3-(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシベンゾイル)-1,1-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾチアゾールの水和物、好ましくは、前記(7)または(8)のいずれかに記載の水和物、
(10)3-(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシベンゾイル)-1,1-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾチアゾールのナトリウム塩、
(11)(1)から(10)いずれか1つに記載の結晶、水和物もしくはナトリウム塩、及び薬学的に許容される担体を含有する医薬組成物、
(12)貧溶媒中冷却下、3-(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシベンゾイル)-1,1-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール溶液を加えることにより得られる、前記(1)ないし(3)のいずれか一つに記載のI形結晶の製造方法、
(13)3-(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシベンゾイル)-1,1-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾチアゾールを有機溶媒から晶析させ、乾燥して得ることができる、前記(4)ないし(6)のいずれか一つに記載のII形結晶の製造方法、
(14)3-(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシベンゾイル)-1,1-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾチアゾールを水、若しくは水/有機溶媒の混合物に、弱塩基により溶解させ得ることができる、前記(7)ないし(9)のいずれか一つに記載の水和物の製造方法に関する。
本発明の3-(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシベンゾイル)-1,1-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾチアゾールの結晶形、水和物、溶媒和物及び塩は、優れた尿酸排泄促進作用を有することから医薬品として有用である。
本発明の結晶は、工業生産上極めて取扱いが容易で利便性に優れた物性(例えば、流動性や作業操作性に優れる)を有し、特にII形結晶は工業生産上の優位性を併せ持つことから医薬品原料として有用である。
I形結晶の粉末X線回折 II形結晶の粉末X線回折 水和物の粉末X線回析 I形結晶の熱分析(DSC) II形結晶の熱分析(DSC) 水和物の熱分析(DSC) I形結晶の赤外線吸収スペクトル(IR) II形結晶の赤外線吸収スペクトル(IR) 水和物の赤外線吸収スペクトル(IR)
以下、本発明の3-(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシベンゾイル)-1,1-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール結晶形の製造方法について説明する。
I形結晶は、例えば冷却下、貧溶媒中に3-(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシベンゾイル)-1,1-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール溶解液を滴下することで製造することができる。溶解溶媒としてはテトラヒドロフランが好ましい。貧溶媒としては2-プロパノール、エタノール、n-ヘキサン等が挙げられ、好ましくは2-プロパノールである。晶析時には種結晶を用いることが好ましい。
II形結晶は、例えば有機溶媒から晶析させる方法で得ることができる。加熱溶解後冷却させる方法、若しくは、溶解溶媒貧溶媒を用いることもできる。晶析溶媒としては、例えば酢酸エチル又は、酢酸エチル/2-プロパノール混合液、ジメチルスルホキシド及びへプタン等、溶解溶媒、又は溶解溶媒と貧溶媒との混合溶媒を用いることができる。
水和物は、例えば水、若しくは水/有機溶媒の混合物に炭酸ナトリウム等の弱塩基により溶解後、塩酸等の酸で中和し、析出した結晶をろ取後、適度な温度、好ましくは50℃付近で乾燥させることにより、製造することができる。
塩は、例えば水、若しくは水/有機溶媒の混合物に、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム等を加え、適時有機溶媒を加え、氷冷下~60℃、好ましくは室温~60℃付近で攪拌し、析出した結晶をろ取し、50℃付近で減圧乾燥により得ることができる。このような塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩等が挙げられる。
溶媒和物は、極性溶媒で溶解後、晶析、若しくは貧溶媒の組み合わせにより製造することができる。例えば、テトラヒドロフラン、チルテトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、1、4-ジオキサン、アセトン、2-ブタノン等に溶解し、貧溶媒、例えばn-ヘキサン、シクロヘキサン、クメン、パラキシレン、メチルシクロヘキサン、2,2,4-トリメチルペンタン、トルエン、n-ペンタン、2-プロパノール、n-へプタン、アセトニトリル等を加えて晶析し、適度な温度、好ましくは50℃付近で乾燥させることで製造することができる。より具体的には、粉末X線回析(2θ)において5.86、11.98、 20.7、 24.1、 25.5付近に特徴的なピークを有する3-(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシベンゾイル)-1,1-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾチアゾールの1,2-ジメトキシエタン和物。粉末X線回析(2θ)において8.14、12.78、22.54、24.22、25.02付近に特徴的なピークを有し、且つDSC分析において153℃、186℃及び212℃付近に熱吸収ピークを有する3-(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシベンゾイル)-1,1-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾチアゾールの 1,4-ジオキサン和物。粉末X線回析(2θ)において7.86、12.62、22.54、24.3、32.82付近に特徴的なピークを有する3-(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシベンゾイル)-1,1-ジオキソ-2、3-ジヒドロ-1,3-ベンゾチアゾールのアセトニトリル和物。粉末X線回析(2θ)において7.06、12.22、21.66、23.5、24.5付近に特徴的なピークを有し、且つDSC分析において88℃及び212℃付近に熱吸収ピークを有する3-(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシベンゾイル)-1,1-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾチアゾールのアセトン/イソプロピルエーテル和物。粉末X線回析(2θ)において9.54、16.74、21.02、22.94、26.38付近に特徴的なピークを有し、且つDSC分析において97.6℃及び212℃付近に熱吸収ピークを有する3-(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシベンゾイル)-1,1-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾチアゾールのメチルテトラヒドロフラン和物。粉末X線回析(2θ)において7.86、12.62、22.54、24.3、32.82付近に特徴的なピークを有する3-(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシベンゾイル)-1,1-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾチアゾールの2-ブタノン/イソプロパノール和物等が挙げられる。
本発明にいう粉末X線回折スペクトルとは、Mini Flex(株式会社リガク)を用いて以下の条件で測定されるスペクトルをいう。
X線光源:Cu
ゴニオメータ:縦型
発散スリット:Variable
散乱スリット:4.2deg
受光スリット:0.3mm
走査モード:連続
スキャンスピード:2°/分
サンプリング幅:0.01°
走査軸:θ/2θ
走査範囲:3~90°
DSCにおける吸熱ピークは、DSC220U(セイコーインスツルメンツ株式会社)を用いて以下の条件で測定される吸熱ピークをいう。
昇温速度:10℃/分
雰囲気:窒素
測定温度範囲:30~400℃
本発明にいう赤外吸収スペクトルとは、Spectrum One(株式会社パーキンエルマージャパン)を用いて以下の条件で測定されるスペクトルをいう。
測定方法:臭化カリウム錠剤法
測定範囲:4000~400cm-1
上記装置を用いて3-(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシベンゾイル)-1,1-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾチアゾールのI形結晶、II形結晶、水和物、溶媒和物及び塩を解析した場合、それぞれのデータ及びスペクトルパターンが類似するものは、本発明のそれぞれの結晶形に包含する。また、通常の測定方法では検出されない程度の量の他の結晶形が含まれる場合も、本発明の結晶形に包含される。
粉末X線回折スペクトル、DSC分析等の物性データは結晶成長の方向、粒子径の大きさ等は、測定条件により若干の変化は起こり得るものである。本発明の結晶形は明細書記載の物性データにより特定されるべきであるが、上述のとおり、厳密に解されるべきではなく、各物性データの若干の変化は許容範囲として、本発明の権利範囲に包含されるべきである。
本発明の請求項及び明細書中の、粉末X線回折スペクトル、DSC分析等の物性データに記載される「付近」とは、データ測定時に許容される誤差範囲を意味し、その誤差範囲としては、粉末X線回折(2θ)においては各ピーク±0.2、DSC分析においては各ピーク±2℃であり、誤差範囲内で一致する場合も本発明に含まれる。
3-(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシベンゾイル)-1,1-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾチアゾールの新規結晶形、又は塩を有効成分として含んでなる医薬は、そのまま用いても良いが、製剤用添加物の1種又は2種以上を用いた製剤として使用しても良い。該医薬組成物は、如何なる剤形で用いても良く、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤、注射剤、外用剤、坐剤等として適用できる。
3-(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシベンゾイル)-1,1-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾチアゾールの新規結晶形、又は塩を前記医薬製剤として用いる場合、製剤用添加物の種類は特に限定されないが、基剤、賦形剤、滑沢剤、コーティング剤、糖衣剤、湿潤剤、結合剤、崩壊剤、溶剤、可溶化剤、溶解剤、溶解補助剤、懸濁化剤、分散剤、乳化剤、界面活性剤、等張化剤、緩衝剤、pH調節剤、無痛化剤、防腐剤、保存剤、安定化剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤等単独で又は適宜組み合わせて用いることができ、具体的には医薬品添加物辞典2007に記載のものが挙げられる。
本発明の3-(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシベンゾイル)-1,1-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール新規結晶形は、未変化体尿中濃度が高く、顕著な尿酸排泄促進作用を有する為、該医薬化合物若しくはその医薬上許容される塩、又は該医薬化合物の水和物若しくは溶媒和物は、尿酸の再吸収を抑制し、尿酸の排泄促進を目的とする医薬として有用であり、血中及び組織中の尿酸量及び/又は尿酸濃度の低下を目的とする医薬として有用であり、血中及び/又は組織中の尿酸が係わる疾患の予防及び/又は治療に用いる医薬として有用であり、高尿酸血症の予防及び/又は治療に用いる医薬として有用であり、高尿酸血症に伴う疾患及び/又は高尿酸血症を伴う疾患の予防及び/又は治療に用いる医薬として有用である。
本発明の化合物又は該化合物を含有する医薬組成物の投与量及び投与回数は症状、年齢、性別、剤形、併用薬剤の種類などによって適宜選択できるが、通常0.1~1000mg/day/人、好ましくは1~500mg/day/人の範囲で、1日1回あるいは数回に分けて投与することができる。また、本発明の医薬組成物は、単独投与のみならず、同じ薬効を有する他の医薬及び/又は別の薬効を有する他の医薬と併用してもよい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されることはない。
実施例における略号の意味は以下のとおりである。
H-NMR:プロトン核磁気共鳴スペクトル、DMSO-d:重水素ジメチルスルホキシド、Hz:ヘルツ,J:カップリング定数、dd:ダブルダブレット、d:ダブレット、s:シングレット、brs:ブロードシングレット、M:モル濃度、N:規定。尚、NMRは270MHz核磁気共鳴スペクトルを示し、内部標準物質としてTMS(テトラメチルシラン)を用いた。
実施例1(I形結晶の製造方法):3-(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシベンゾイル)-1,1-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール(10.0 g)にテトラヒドロフラン(40mL)を加え、加熱溶解後、室温に冷却した。2-プロパノール(200mL)に種晶(10mg)を加え、-25℃に冷却して撹拌、3-(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシベンゾイル)-1,1-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾチアゾールのテトラヒドロフラン溶液を15分間かけて滴下した。0℃で析出した結晶をろ取し、2-プロパノール(20mL)で洗浄後、80℃にて一夜減圧乾燥により、I形結晶を得た。
1H-NMRδ(DMSO-d): 5.36 (2H,s),7.44 (1H,dd,J = 7.6,7.3 Hz),7.75 (2H,s),7.76 (1H,dd,J = 8.4,7.3 Hz),7.91 (1H,d,J = 7.6Hz),8.04 (1H,d,J = 8.4 Hz),11.05(1H,brs).
実施例2(II形結晶の製造方法):3-(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシベンゾイル)-1,1-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール(15.0 g)に酢酸エチル(45mL)、2-プロパノール(285mL)を加え、加熱溶解し、内温約25度に冷却した。析出した結晶をろ取し、2-プロパノール(20mL)で洗浄後、100℃にて一夜減圧乾燥により、II形結晶を得た。
1H-NMRδ(DMSO-d): 5.35 (2H,s),7.44 (1H,dd,J = 7.6,7.6 Hz),7.74 (2H,s),7.76 (1H,dd,J = 8.6,7.6 Hz),7.90 (1H,d,J = 7.6Hz),8.03 (1H,d,J = 8.6 Hz),11.05(1H,brs).
実施例3(水和物):3-(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシベンゾイル)-1,1-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール(2.50g)のエタノール(5mL)/水(25mL)懸濁液に、10%炭酸ナトリウム水溶液11mLを加え、結晶を溶解させた。15℃付近に冷却後、1M塩酸によりpH2とした。析出した結晶をろ取し、50℃にて一夜減圧乾燥により、水和物を得た。
実施例4(1,2-ジメトキシエタン和物):3-(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシベンゾイル)-1,1-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール(41.2mg)の1,2-ジメトキシエタン(0.4mL)溶液にn-ペンタン(0.4mL)を加え、析出した結晶をろ取し、減圧乾燥により、1,2-ジメトキシエタン和物を得た。
実施例5(1,4-ジオキサン和物):3-(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシベンゾイル)-1,1-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール(40.5mg)の1,4-ジオキサン(0.6mL)溶液にシクロヘキサン(0.6mL)を加え、析出した結晶をろ取し、減圧乾燥により、1,4-ジオキサン和物を得た。
実施例6(アセトニトリル和物):3-(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシベンゾイル)-1,1-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール(40.7mg)のアセトニトリル(0.8mL)溶液に2,2,4-トリメチルペンタン(3.2mL)を加え5℃に冷却した。析出した結晶をろ取し、減圧乾燥により、アセトニトリル和物を得た。
実施例7(アセトン/イソプロピルエーテル和物):3-(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシベンゾイル)-1,1-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール(40.0mg)にアセトン/イソプロピルエーテル(50:50v/v)混合液(0.35mL)を加え、60℃ で1時間加熱溶解し、フィルターろ過した。ろ液の溶媒を減圧留去後、減圧乾燥により、アセトン/イソプロピルエーテル和物を得た。
実施例8(メチルテトラヒドロフラン和物):3-(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシベンゾイル)-1,1-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール(39.3mg)のメチルテトラヒドロフラン(0.5mL)溶液にジエチルエーテル(0.5mL)を加え、析出した結晶をろ取し、減圧乾燥により、メチルテトラヒドロフラン和物を得た。
実施例9(2-ブタノン和物):3-(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシベンゾイル)-1,1-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール(41.2mg)の2-ブタノン(0.4mL)溶液に2-プロパノール(1.6mL)を加え、5℃で48時間静置後減圧濃縮し、2-ブタノン和物を得た。
実施例10(ナトリウム塩):3-(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシベンゾイル)-1,1-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾチアゾール(2.0g)のエタノール(10mL)-水(10mL)混合液中に氷冷下10%炭酸ナトリウムを8mL加えた。エタノール10mLを加え、室温3時間攪拌した。懸濁結晶をろ取し,エタノールで洗浄後、50℃で一夜減圧乾燥し、ナトリウム塩を得た。融点>300℃。
試験例1(流動性・噴流性):実施例1および2の結晶における、ゆるめかさ密度、固めかさ密度の測定により圧縮度を算出し、更に、動的かさ密度、安息角、スパチュラ角、均一度、凝集度、崩潰角、差角、分散度を求め、Carrの指数表を用いて流動性及び噴流性の評価を行った。(表1)。
Figure 0007132211000001
実施例2(II形結晶)は流動性に優れるため、工業上の操作性及び生産性の向上に有効であり、最終製品の品質もより均一的になるために有利である。このことから、実施例2(II形結晶)の粉砕前結晶についても確認したところ、流動性指数65、噴流性指数57.5となり、有利な結果が確認された。さらに、実施例2(II形結晶)は、結晶粉砕時にミルへの付着が少なく、帯電性が低いことが示唆され、作業操作性に優れていた。したがって、様々な性質において、工業生産上の優位性が高く医薬品原料として有用である。
試験例2(ラット経口投与時の吸収性)
雄性CD(SD)ラット(日本チャールスリバー、使用時7週齢)に0.5%メチルセルロース溶液に懸濁した被験物質を30および300mg/kgの用量で経口投与後、0.25、0.5、1、2、4、8、24時間後に採血し、血漿中未変化体濃度をHPLCにより測定(表2、表3)、薬物動態学的パラメーターを算出し、吸収評価を行った(表4)。
Figure 0007132211000002
Figure 0007132211000003
Figure 0007132211000004
製剤製造例:実施例記載の化合物に、賦形剤、結合剤、崩壊剤および滑沢剤等を加え、湿式造粒法により粉末とし、打錠により錠剤を得た。
本発明の3-(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシベンゾイル)-1,1-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾチアゾールの結晶形、水和物、溶媒和物及び塩は、優れた尿酸排泄促進作用を有することから医薬品として有用である。
本発明の結晶は、工業生産上極めて取扱いが容易で利便性に優れた物性(例えば、流動性や作業操作性に優れる)を有し、特にII形結晶は工業生産上の優位性を併せ持つことから医薬品原料として有用である。

Claims (4)

  1. 粉末X線回析による回折角(2θ)において、少なくとも15.1±0.2、18.1±0.2、22.8±0.2 、23.7±0.2及び24.0±0.2度に特徴的なピークを有する3-(3,5-ジクロロ-4- ヒドロキシベンゾイル)-1,1-ジオキソ-2,3-ジヒドロ-1,3-ベンゾチアゾールのII形結晶。
  2. DSC分析において212℃±2度に熱吸収ピークを有することを特徴とする、請求項1に記載のII形結晶。
  3. 請求項1又は2に記載の結晶及び薬学的に許容される担体を含有する医薬組成物。
  4. 錠剤、丸剤、散剤、細粒剤、または顆粒剤であることを特徴とする、請求項3に記載の医薬組成物。
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