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JP7127782B2 - 学習効果改善剤及び学習効果改善用食品組成物の製法並びにその関連技術 - Google Patents

学習効果改善剤及び学習効果改善用食品組成物の製法並びにその関連技術 Download PDF

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Description

本発明は、天然成分を有効成分とする学習効果改善剤及び学習効果改善用食品組成物の製法並びにその関連技術に関する。
特開平9-227394号公報には、ストレスを原因とする知的作業の能率低下を改善させる有効な薬剤を提供することを目的とする発明として、エゾウコギ、ゴミシおよびトチュウからなる経口投与用組成物の発明が開示されている。
特開平9-227394号公報記載の経口投与用組成物の投与により、明細書の段落0022乃至0035に示されるように、(強制走行による)身体的ストレス又は(隣室のマウスに電撃ショックを与え、その異常な鳴き声、跳躍、脱糞、脱尿などの条件情動反応を観察させることによる)心理的ストレスが負荷された状態において、危険回避学習効果が低下することが抑制されるものとされている。
このうち危険回避学習効果は、明箱と暗箱よりなるステップスルー式受動的回避学習装置を用いた学習試験、すなわち、マウスが暗所を好むという本能に基づく行動について、明箱から暗箱に入ると電気ショックによる身体的な痛みを与えることにより、暗箱に入らずに明箱に止まろうとすることによりその危険を回避することを学習する効果である。
また特開2002-3391号公報には、ストレス性の胃潰瘍、急性腸炎、円形脱毛症、不眠症、イライラを予防と治療に効果があり、Well being(情動、意欲)や短期記憶能力を高めたり活動量のバランスをとる効果があり、小人症、パーキンソン病や注意力不足行動過多症(ADHD)の予防と治療に効果があり、特にストレス性の胃潰瘍に関しては生体内プロラクチンの上昇効果を介したものであるエゾウコギを用いた組成物及び抽出法の発明が開示されている。
しかしながら、何れの文献にも、身体的又は心理的ストレスが実質上負荷されていない通常の状態(正常状態)におけるオペラント学習(特に、視覚による図形の識別を介するオペラント学習)の効果に関する内容は見当たらない。
また特開平9-227394号公報には、一般的にストレスが負荷されると自発運動量の低下が見られることから、身体的又は心理的ストレスが負荷されたマウスの自発運動量の測定を行って自発運動量に及ぼす影響について評価したところ、同公報記載の発明に係る経口投与用組成物を投与した群は、身体的又は心理的ストレス負荷の無いマウスと同等の結果を示した旨記載されている(段落0024-0029及び0032-0035)。
してみれば、同公報記載の発明に係る経口投与用組成物の投与は、そもそも、身体的又は心理的ストレス負荷の影響自体を低減する効果を有するものであり、身体的又は心理的ストレスが負荷された状態において、それらのストレスの影響自体を低減する結果、自発運動量の低下や危険回避学習効果の低下を防ぐものであると認められる。
また、同公報には、エゾウコギエキスのみの投与においても、同公報記載の経口投与用組成物には及ばないものの、同様の効果がある程度発揮されることが示されている。
すなわち、エゾウコギエキスのみの投与は、そもそも、身体的又は心理的ストレス負荷の影響自体をある程度低減する効果を有するものであり、身体的又は心理的ストレスが負荷された状態において、それらのストレスの影響自体をある程度低減する結果、自発運動量の低下や危険回避学習効果の低下をある程度防ぐものであると認められる。
特開平9-227394号公報 特開2002-3391号公報
本発明は、身体的又は心理的ストレスが実質上負荷されていない通常の状態において学習効果を改善し得る学習効果改善剤及び学習効果改善用食品組成物の製法、学習効果改善剤及び学習効果改善用食品組成物、学習効果改善剤の製造のためのエゾウコギの根の熱水抽出物の使用、並びに学習効果改善方法を提供することを目的とする。
本発明の学習効果改善剤及び学習効果改善用食品組成物の製法、学習効果改善剤及び学習効果改善用食品組成物、学習効果改善剤の製造のためのエゾウコギの根の熱水抽出物の使用、並びに学習効果改善方法は、例えば次のように表すことができる。
(1-1) エゾウコギの根を熱水抽出し、得られた抽出物を有効成分として含有させることを特徴とする学習効果改善剤の製法。
この製法により製造された学習効果改善剤は、身体的又は心理的ストレスが実質上負荷されていない通常の状態において、学習効果を改善する効果を有する。
(1-2) 上記学習効果改善剤が、実質上身体的又は心理的ストレス無負荷状態における学習効果改善用である上記(1-1)記載の製法。
(1-3) 上記学習効果改善剤が、オペラント学習効果改善用である上記(1-1)又は(1-2)記載の製法。
(1-4) 上記学習効果改善剤が、視覚による図形の識別を介するオペラント学習効果改善用である上記(1-1)又は(1-2)記載の製法。
(1-5) 上記抽出物は、エゾウコギの根を破砕したものに対し熱水抽出を行い、抽出液を減圧濃縮し、得られた濃縮抽出液をスプレードライヤーにより噴霧乾燥させることにより得るものである上記(1-1)乃至(1-4)の何れか1項に記載の製法。
(1-6) エゾウコギの根を熱水抽出し、得られた抽出物を有効成分として含有させることを特徴とする学習効果改善用食品組成物の製法。
この製法により製造された学習効果改善用食品組成物は、身体的又は心理的ストレスが実質上負荷されていない通常の状態において、学習効果を改善する効果を有する。
(1-7) 上記学習効果改善用食品組成物が、実質上身体的又は心理的ストレス無負荷状態における学習効果改善用である上記(1-6)記載の製法。
(1-8) 上記学習効果改善用食品組成物が、オペラント学習効果改善用である上記(1-6)又は(1-7)記載の製法。
(1-9) 上記学習効果改善用食品組成物が、視覚による図形の識別を介するオペラント学習効果改善用である上記(1-6)又は(1-7)記載の製法。
(1-10) 上記抽出物は、エゾウコギの根を破砕したものに対し熱水抽出を行い、抽出液を減圧濃縮し、得られた濃縮抽出液をスプレードライヤーにより噴霧乾燥させることにより得るものである上記(1-6)乃至(1-9)の何れか1項に記載の製法。
(2-1) エゾウコギの根の熱水抽出物を有効成分として含有することを特徴とする学習効果改善剤。
この学習効果改善剤は、身体的又は心理的ストレスが実質上負荷されていない通常の状態において、学習効果を改善する効果を有する。
(2-2) 実質上身体的又は心理的ストレス無負荷状態における学習効果改善用である上記(2-1)記載の学習効果改善剤。
(2-3) オペラント学習効果改善用である上記(2-1)又は(2-2)記載の学習効果改善剤。
(2-4) 視覚による図形の識別を介するオペラント学習効果改善用である上記(2-1)又は(2-2)記載の学習効果改善剤。
(2-5) 上記抽出物は、エゾウコギの根を破砕したものに対し熱水抽出を行い、抽出液を減圧濃縮し、得られた濃縮抽出液をスプレードライヤーにより噴霧乾燥させることにより得るものである上記(2-1)乃至(2-4)の何れか1項に記載の学習効果改善剤。
(2-6) エゾウコギの根の熱水抽出物を有効成分として含有することを特徴とする学習効果改善用食品組成物。
この学習効果改善用食品組成物は、身体的又は心理的ストレスが実質上負荷されていない通常の状態において、学習効果を改善する効果を有する。
(2-7) 実質上身体的又は心理的ストレス無負荷状態における学習効果改善用である上記(2-6)記載の学習効果改善用食品組成物。
(2-8) オペラント学習効果改善用である上記(2-6)又は(2-7)記載の学習効果改善用食品組成物。
(2-9) 視覚による図形の識別を介するオペラント学習効果改善用である上記(2-6)又は(2-7)記載の学習効果改善用食品組成物。
(2-10) 上記抽出物は、エゾウコギの根を破砕したものに対し熱水抽出を行い、抽出液を減圧濃縮し、得られた濃縮抽出液をスプレードライヤーにより噴霧乾燥させることにより得るものである上記(2-6)乃至(2-9)の何れか1項に記載の学習効果改善用食品組成物。
(3-1) エゾウコギの根の熱水抽出物を有効成分として含有する学習効果改善剤の製造のためのエゾウコギの根の熱水抽出物の使用。
(3-2) 上記学習効果改善剤が、実質上身体的又は心理的ストレス無負荷状態における学習効果改善用である上記(3-1)記載の使用。
(3-3) 上記学習効果改善剤が、オペラント学習効果改善用である上記(3-1)又は(3-2)記載の使用。
(3-4) 上記学習効果改善剤が、視覚による図形の識別を介するオペラント学習効果改善用である上記(3-1)又は(3-2)記載の使用。
(3-5) 上記抽出物は、エゾウコギの根を破砕したものに対し熱水抽出を行い、抽出液を減圧濃縮し、得られた濃縮抽出液をスプレードライヤーにより噴霧乾燥させることにより得るものである上記(3-1)乃至(3-4)の何れか1項に記載の使用
(4-1) 学習効果改善を必要とする者にエゾウコギの根の熱水抽出物を適用することを特徴とする学習効果改善方法。
この方法は、身体的又は心理的ストレスが実質上負荷されていない通常の状態において、学習効果を改善する効果を有する。
(4-2) 実質上身体的又は心理的ストレス無負荷状態における学習効果を改善する上記(4-1)記載の方法。
(4-3) オペラント学習効果を改善する上記(4-1)又は(4-2)記載の方法。
(4-4) 視覚による図形の識別を介するオペラント学習効果を改善する上記(4-1)又は(4-2)記載の方法。
(4-5) 上記抽出物は、エゾウコギの根を破砕したものに対し熱水抽出を行い、抽出液を減圧濃縮し、得られた濃縮抽出液をスプレードライヤーにより噴霧乾燥させることにより得るものである上記(4-1)乃至(4-4)の何れか1項に記載の方法。
本発明の学習効果改善剤及び学習効果改善用食品組成物は、身体的又は心理的ストレスが実質上負荷されていない通常の状態において、学習効果を改善する効果を有する。
試行のフローチャートである。 タッチスクリーン画像(二画像弁別課題)が表示されたオペラントチャンバー内の写真である。 二画像弁別課題(タッチスクリーン)による学習改善効果を示すグラフである。
本発明におけるエゾウコギとは、ウコギ科の植物であって、学名はアカントパナックス・センティコサス・ハルムス(Acanthopanax senticosus Harms)である。
本発明における学習効果改善剤及び学習効果改善用食品組成物の有効成分であるエゾウコギの根の抽出物は、例えば次のようにして得ることができる。
すなわち、エゾウコギの根を破砕して細片状とし、その細片状物(破砕物)に対し熱水抽出を行い、抽出液を濃縮(好ましくは減圧濃縮)し、得られた濃縮抽出液をスプレードライヤーにより噴霧乾燥させて抽出物の乾燥粉末を得ることができる。この場合の減圧濃縮は、ある程度の濃度(例えば所定濃度)まで行うものとすることができる。また前記濃縮抽出液からエタノール不溶物を除去した上でスプレードライヤーにより噴霧乾燥させることが望ましい。
本発明における学習効果改善剤及び学習効果改善用食品組成物は、実質上身体的又は心理的ストレスが負荷されていない無負荷状態において、学習効果改善に効果(学習記憶機能向上効果)を有する。
本発明における学習効果改善剤及び学習効果改善用食品組成物は、好ましくはオペラント学習効果改善に用いられ、より好ましくは、視覚による図形の識別を介するオペラント学習効果改善に用いられる。
本発明におけるエゾウコギの根の熱水抽出により得られた抽出物を有効成分とする学習効果改善剤及び学習効果改善用食品組成物は、例えば前記のような学習効果改善を必要とする者に、好ましくは経口投与により適用する。
本発明における学習効果改善剤及び学習効果改善用食品組成物の経口投与の形態に特に限定はないが、例えば、粉末、錠剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、水に溶解した液剤若しくはその他の液剤とすることができる。
また種々の形態を形成する上で、各種賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、コーティング剤、着色剤、矯味剤、矯臭剤、可塑剤等を適宜用いることができる。
賦形剤の例としては、糖類(乳糖,白糖,ブドウ糖,マンニトール),デンプン(バレイショ,コムギ,トウモロコシ),無機物(炭酸カルシウム,硫酸カルシウム,炭酸水素ナトリウム,塩化ナトリウム),結晶セルロース,植物末(カンゾウ末,ゲンチアナ末)等を挙げることができる。
結合剤の例としては、デンプンのり液,アラビアゴム,ゼラチン,アルギン酸ナトリウム,メチ/レセルロース(MC),エチルセルロース(EC),ポリビニルピロリドン(PVP),ポリビニルアルコール(PVA),ヒドロキシプロピルセルロース(HPC),カルポキシメチルセルロース(CMC)等を挙げることができる。
崩壊剤の例としては、デンプン,寒天,ゼラチン末,結晶セルロース,CMC・Na,CMC・Ca,炭酸カルシウム,炭酸水素ナトリウム,アルギン酸ナトリウム等を挙げることができる。
滑沢剤の例としては、ステアリン酸マグネシウム,タルク,水素添加植物油,マクロゴール,シリコーン油等を挙げることができる。
コーティング剤の例としては、糖衣(白糖,HPC,セラック),膠衣(ゼラチン,グリセリン,ソルビトール),フイルムコーティング〔ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC),EC,HPC,PVP〕,腸溶性コーティング〔ヒドロキシプロビルメチルセルロースフタレート(HPMCP),セルロースアセテートフタレート(CAP)〕等を挙げることができる。
着色剤の例としては、水溶性食用色素,レーキ色素)等を挙げることができる。矯味剤の例としては、乳糖,白糖,ブドウ糖,マンニトール)等を挙げることができる。矯臭剤の例としては、芳香性精油類),光線遮断剤(酸化チタン)等を挙げることができる。可塑剤の例としては、フタル酸エステル類,植物油,ポリエチレングリコール)等を挙げることができる。
なお、本発明における学習効果改善剤及び学習効果改善用食品組成物の学習効果改善を必要とするヒトの服用量は、有効成分であるエゾウコギの根の抽出物の乾燥粉末の含有量において例えば500mg/日以上が好ましい。
エゾウコギの根の熱水抽出により得られた抽出物の学習効果改善作用について、試験を行った。
1.被験物質の製造
エゾウコギ(Acanthopanax senticosus Harms)の根の抽出物を次のように製造した。
エゾウコギ根部19.9重量部を破砕した細片状物から熱水抽出したものを減圧濃縮することによって、濃縮抽出液7.1重量部を得た。この濃縮抽出液をスプレードライヤーにより噴霧乾燥し、含水率4重量%以下のエゾウコギの根の熱水抽出による抽出物の乾燥粉末(以下、単に「エゾウコギ根抽出物」とも言う。)1重量部を得た。
2.試験方法
試験装置として、オペラントチャンバー内の給餌口の正面の壁に相対する垂直平面状の壁に2つの窓を設置し、各窓には、それぞれ所要の画像を表示することができる画面を設けると共に、その画面にラット(被検動物)の口吻が接触したことを感知するタッチスクリーンを設けた。給餌口には、点灯可能な給餌口ランプを設けた。
(1) 予備訓練
ラット(被検動物)に画像弁別課題を試行させるにあたり、試験装置の環境に慣れさせることを目的とした1日20分間の予備訓練を2日間行った。
予備訓練においては、予めタッチスクリーンのモニタ電源をオフにし、給餌口ランプを常時点灯した状態で給餌口にMF飼料(オリエンタル酵母工業株式会社)のペレット10粒を置いておき 、自由探索中に摂取させた。これは、給餌口ランプが点灯していることと飼料ペレットが存在していることを関連づけるためである。
2日目に飼料ぺレットを全て摂取したことを確かめた後、次の選択訓練へ移行した。飼料ペレットが残されていた場合は、翌日同様の訓練を繰り返し行った。
(2) 選択訓練
次いで、学習課題の基本的手続を学習させることを目的とした1日30試行の選択訓練を行った。
基本的な試行手順をフローチャートとしたものを図1に示す。
画像を選択する際の手続を学習させる訓練は、ステージ1乃至4の4ステージからなり、試行間隔 (Intertrial interval; ITI)は15秒間とした。
画像が提示された窓をラット(被検動物)が口吻接触により選択した場合、画面を灰色画像に変えると同時に、学習を正に強化する報酬として、飼料ペレット(オリエンタル酵母工業株式会社のMF飼料)1粒(45mg)を供給した。更に、それと同時に1秒のブザー音を提示すると共に給餌口ランプを3秒間点灯した。
画像が提示されていない窓を被検動物が口吻接触により選択した場合、画面を灰色画像に転換することは共通しているが、その後の応答はステージごとに異なる。
選択訓練において視覚刺激として用いた画像は、黒(コントラスト0%)の背景に白(コントラスト100%)の図形を配置したものであり、画像(すなわち図形)の種類は35種類である。
この訓練では、視覚刺激に用いられた画像における図形の形状そのものを覚えさせるのではなく、視覚刺激の有無を判断させ、報酬と関連づけさせることを目的としている。
ステージ1. Pavlovian (Pav)
タッチスクリーンに触れると報酬が得られることを学習させるため、ランダムに二つの窓のどちらか一方に画像を提示し、接触があるまで待機した。
報酬取得への動機の低下を抑えるため、どちらの窓を選択しても必ず報酬を与えた。但し、画像が提示されていない窓を選択した場合は、15秒間の待機時間後に報酬を供給した。
ステージ2.Must touch (MT)
ラット(被検動物)に画像の存在を認識して窓を選択するよう学習させるため、画像非提示の窓を選択した場合は一切報酬を与えなかった。その他の手順はステージ1と共通である。
ステージ3.Must initiate (MI)
このステージは、トリガー行動を学ばせることを目的とした。
トリガー行動というのは、ラット(被検動物)が口吻を給餌口内に入れる行動であり、これにより、窓に画像が提示される。この行動を学習させることにより、その後の画像分別課題をスムーズに進めることができ、更に、所定のトリガー行動がとられることによって試行開始時のラット(被検動物)の場所と体勢を揃えて画像弁別の過程を統一的なものとするものである。
試行開始と同時に給餌口ランプを点灯させ、ラット(被検動物)が口吻を給餌口内に入れるトリガー行動を取ると同時に給餌口ランプを消灯した。次いで給餌口から口吻が抜かれると電磁バルブによるクリック音を発生させ、窓に画像を提示した。トリガー行動は給餌口内に設置した赤外線センサーで検出した。
ステージ4.Punishment (Pun)
ステージ3と同様の試行に加えて、ラット(被検動物)が画像の提示されていない窓を誤って選択した場合は、それを知らせるためにハウスライトを5秒間点灯してチャンバー内の明暗環境を変化させ、更に、試行間隔(ITI)の5秒間の遅延を課した。
ステージ1から3(Pav-MT-MI)では、30試行を60分以内に終えられた場合にラット(被検動物)の学習が成立したとして次のステージへ移行した。
ステージ4では、画像が提示された窓の選択回数が30試行中23回以上であり、且つ、20分間以内に終えることを2セ ッション連続で達成できた場合に選択訓練を終了した。
(3) 二画像弁別課題
選択訓練のMIを終えた13週齢のSD系雄性ラットを以下の4グループ(それぞれ個体数[n]は5)に分けた。
(I) 二画像弁別課題30分試行(対照群)
(II) 二画像弁別課題30分試行(エゾウコギ群)
(III) 二画像弁別課題60分試行(対照群)
(IV) 二画像弁別課題60分試行(エゾウコギ群)
選択訓練のPun終了後、次の日から開始される二画像弁別課題試行期間(6日間)において、飼育ケージ内では、対照群にはMF飼料(オリエンタル酵母工業株式会社)を、エゾウコギ群にはMF飼料(オリエンタル酵母工業株式会社)にエゾウコギ根抽出物を5重量%混合したものを、それぞれ自由摂取させた。
二画像弁別課題は、実質上身体的又は心理的ストレスを負荷のない状態において、1日1セッション、合計6セッションを行い、各セッションにおけるコレクトタッチ数とミスタッチ数の比[コレクトタッチ数/ミスタッチ数]について、第1セッションの結果を100としたときの第2-6セッションの結果及びその平均値を算出して比較した。
二画像弁別課題では、図2に示すように、オペラントチャンバー内の両窓の一方に、視覚弁別が可能である2種類の図形(星形[右]とバブル形[左])の一方を、他方の窓に他方の図形を、同時に提示した。本試験では、星型を報酬図形(ターゲット)、バブル形を非報酬図形(非ターゲット)とし、1試行ごとにターゲットおよび非ターゲットを左右の窓にランダムに提示した 。
被験動物がターゲット選択を誤った場合は 、ターゲット(報酬図形)を選択するまで同じ試行を繰り返す Correction trial(再試行)によって学習強化を行った。
1日30分間または60分間の試行を課し、試行期間中にラット(被検動物)に無動などが認められた場合には試験を中止した。
3.二画像分別課題の試行結果
(1) 二画像分別課題(タッチスクリーン)の30分間試行
[コレクトタッチ数/ミスタッチ数]の比について、1日目を100とした場合、2日目乃至6日目の平均は、図3に示すように、対照群(CONT 30min)においては132.3であったのに対し、エゾウコギ群(ASH5% 30min)においては161.3であった。
すなわち、[コレクトタッチ数/ミスタッチ数]の比において、エゾウコギ群は対照群と比較して増加傾向を示した。
(2) 二画像分別課題(タッチスクリーン)の60分間試行
[コレクトタッチ数/ミスタッチ数]の比について、1日目を100とした場合、2日目乃至6日目の平均は、図3に示すように、対照群(CONT 60min)においては57.1であったのに対し、エゾウコギ群(ASH5% 60min)においては147.8であった。
すなわち、[コレクトタッチ数/ミスタッチ数]の比において、エゾウコギ群は対照群と比較して有意な増加を示した。
(3) これらの、ヒトにおける様々なオペラント学習(特に、視覚による図形の識別を介するオペラント学習)の形態に一致又は近似する二画像分別課題の試行結果から、エゾウコギ根抽出物の投与により、学習効果が改善されること、特に、短時間試行(30分)に比し、長時間試行(60分)において、高いレベルでの学習効果改善が認められることが明らかになった。

Claims (8)

  1. エゾウコギの根を熱水抽出し、得られた抽出物を有効成分として含有させることを特徴とする学習効果改善剤(但し、記憶障害、認知障害又は神経系疾患若しくは神経毒性による認知機能の低下を有する者を対象とするものを除く)の製法。
  2. 上記学習効果改善剤は、学習効果改善に7日間以上にわたる投与を要するものを除く請求項1記載の製法。
  3. 上記学習効果改善剤が、オペラント学習効果改善用である請求項1又は2記載の製法。
  4. 上記学習効果改善剤が、実質上身体的又は心理的ストレス無負荷状態における学習効果改善用である請求項1乃至の何れか1項に記載の製法。
  5. エゾウコギの根を熱水抽出し、得られた抽出物を有効成分として含有させることを特徴とする学習効果改善用食品組成物(但し、記憶障害、認知障害又は神経系疾患若しくは神経毒性による認知機能の低下を有する者を対象とするものを除く)の製法。
  6. 上記学習効果改善用食品組成物は、学習効果改善に7日間以上にわたる投与を要するものを除く請求項5記載の製法。
  7. 上記学習効果改善用食品組成物が、オペラント学習効果改善用である請求項5又は6記載の製法。
  8. 上記学習効果改善用食品組成物が、実質上身体的又は心理的ストレス無負荷状態における学習効果改善用である請求項5乃至7の何れか1項に記載の製法。
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