以下、本開示の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施例の構成を適用することができる。また、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合わせることができる。そして、複数の実施形態及び変形例に記述された構成同士の明示されていない組み合わせも、以下の説明によって開示されているものとする。
(第1実施形態)
図1に示す燃焼システム10は、ガソリンエンジン等の内燃機関11、吸気通路12、排気通路13、エアフロメータ20及びECU15を有しており、例えば車両に搭載されている。エアフロメータ20は、吸気通路12に設けられており、内燃機関11に供給される吸入空気の流量や温度、湿度、圧力といった物理量を計測する。エアフロメータ20は、吸入空気等の流体を計測対象とした物理量計測装置に相当する。吸入空気は、内燃機関11の燃焼室11aに供給される気体である。燃焼室11aにおいては、吸入空気と燃料との混合気が点火プラグ17により点火される。
ECU(Engine Control Unit)15は、燃焼システム10の動作制御を行う制御装置である。ECU15は、プロセッサ、RAM、ROM及びフラッシュメモリ等の記憶媒体、並びに入出力部を含むマイクロコンピュータと、電源回路等と、によって構成された演算処理回路である。ECU15には、エアフロメータ20から出力されるセンサ信号や、多数の車載センサから出力されるセンサ信号などが入力される。ECU15は、エアフロメータ20による計測結果を用いて、インジェクタ16の燃料噴射量やEGR量などについてエンジン制御を行う。ECU15は、内燃機関11の運転制御を行う制御装置であり、燃焼システム10をエンジン制御システムと称することもできる。また、ECU15は、外部装置に相当する。
燃焼システム10は、車載センサとして複数の計測部を有している。計測部としては、エアフロメータ20の他に、スロットルセンサ18aや吸気圧センサ18b、水温センサ18c、クランク角センサ18d、空燃比センサ18e、ノックセンサ18f、カム角センサ18gなどがある。これら計測部は、いずれもECU15に電気的に接続されており、ECU15に対して検出信号を出力する。エアフロメータ20は、吸気通路12において、スロットルセンサ18aが取り付けられたスロットルバルブの上流側に設けられている。
図3に示すように、エアフロメータ20は、吸気通路12を形成するダクト等の吸気管12aに取り付けられている。吸気管12aには、その外周部を貫通する貫通孔としてエアフロ挿入孔12bが設けられている。このエアフロ挿入孔12bには円環状の管フランジ12cが取り付けられており、この管フランジ12cは吸気管12aに含まれている。エアフロメータ20は、管フランジ12c及びエアフロ挿入孔12bに挿入されることで吸気通路12に入り込んだ状態になっており、この状態で吸気管12aや管フランジ12cに固定されている。
本実施形態では、エアフロメータ20について、幅方向X、高さ方向Y及び奥行き方向Zを定義しており、これら方向X,Y,Zは互いに直交している。エアフロメータ20は高さ方向Yに延びており、吸気通路12は奥行き方向Zに延びている。エアフロメータ20は、吸気通路12に入り込んだ入り込み部分20aと、吸気通路12に入り込まずに管フランジ12cから外部にはみ出したはみ出し部分20bとを有しており、これら入り込み部分20aとはみ出し部分20bとは高さ方向Yに並んでいる。エアフロメータ20においては、高さ方向Yに並んだ一対の端面20c,20dのうち、入り込み部分20aに含まれた方をエアフロ先端面20cと称し、はみ出し部分20bに含まれた方をエアフロ基端面20dと称する。なお、エアフロ先端面20c及びエアフロ基端面20dは高さ方向Yに直交している。また、管フランジ12cの先端面も高さ方向Yに直交している。
図2、図3に示すように、エアフロメータ20は、ハウジング21と、吸入空気の流量を検出する流量検出部22と、吸入空気の温度を検出する吸気温センサ(図示略)とを有している。ハウジング21は、例えば樹脂材料等により形成されている。エアフロメータ20においては、ハウジング21が吸気管12aに取り付けられていることで、流量検出部22が、吸気通路12を流れる吸入空気と接触可能な状態になる。ハウジング21は、ハウジング本体24、リング保持部25、フランジ部27及びコネクタ部28を有しており、リング保持部25に対してOリング26が取り付けられている。
ハウジング本体24は全体として筒状に形成され、ハウジング21においては、リング保持部25、フランジ部27及びコネクタ部28がハウジング本体24に一体的に設けられた状態になっている。リング保持部25は入り込み部分20aに含まれ、フランジ部27及びコネクタ部28ははみ出し部分20bに含まれている。
リング保持部25は、管フランジ12cの内部に設けられており、Oリング26を高さ方向Yに位置ずれしないように保持している。Oリング26は、管フランジ12cの内部において吸気通路12を密閉するシール部材であり、リング保持部25の外周面と管フランジ12cの内周面との両方に密着している。フランジ部27には、エアフロメータ20を吸気管12aに固定するネジ等の固定具を固定するネジ孔等の固定孔が形成されている。コネクタ部28は、流量検出部22に電気的に接続されたコネクタターミナル28aを保護する保護部である。
流量検出部22はハウジング本体24の内部空間24aに設けられており、吸気温センサはハウジング21の外側に設けられている。吸気温センサは、吸入空気の温度を感知する感温素子や、感温素子から延びたリード線、リード線に接続された吸気温ターミナルを有している。ハウジング21は、吸気温センサを支持する支持部を有しており、この支持部は、ハウジング21の外周側に設けられている。
ハウジング本体24は、吸気通路12を流れる吸入空気の一部が流れ込むバイパス流路30を形成している。バイパス流路30は、エアフロメータ20の入り込み部分20aに配置されている。バイパス流路30は、通過流路31及び計測流路32を有しており、これら通過流路31及び計測流路32は、ハウジング本体24の内部空間24aにより形成されている。なお、吸気通路12を主通路と称し、バイパス流路30を副通路と称することもできる。
通過流路31は、奥行き方向Zにハウジング本体24を貫通している。通過流路31は、その上流端部である流入口33と、下流端部である流出口34とを有している。計測流路32は、通過流路31の中間部分から分岐した分岐流路であり、この計測流路32に流量検出部22が設けられている。計測流路32は、その上流端部である計測入口35と、下流端部である計測出口36とを有している。通過流路31から計測流路32が分岐した部分はこれら通過流路31と計測流路32との境界部になっており、この境界部に計測入口35が含まれていることになる。なお、計測入口35が分岐入口に相当し、計測出口36が分岐出口に相当する。また、通過流路31と計測流路32との境界部を流路境界部と称することもできる。
流量検出部22は、ヒータ部を有する熱式の流量センサである。流量検出部22は、ヒータ部の発熱に伴って温度変化が生じた場合に、その温度変化に応じた検出信号を出力する。流量検出部22は直方体状のチップ部品であり、流量検出部22をセンサチップと称することもできる。なお、流量検出部22が、吸入空気の流量を流体の物理量として検出する物理量検出部に相当する。
エアフロメータ20は、流量検出部22を含んで構成されたセンササブアッセンブリを有しており、このセンササブアッセンブリをセンサSA50と称する。センサSA50はハウジング本体24の内部空間24aに収容されている。なお、センサSA50を検出ユニットや計測ユニット、センサパッケージと称することもできる。
センサSA50は、内部空間24aにおいて計測流路32に入り込んだ入り込み部分50aと、計測流路32に入り込まずに計測流路32からはみ出したはみ出し部分50bとを有している。入り込み部分50aとはみ出し部分50bとは高さ方向Yに並んでおり、流量検出部22は入り込み部分50aに含まれている。
図4~図7に示すように、センサSA50は、流量検出部22を搭載したSA基板53と、流量検出部22に電気的に接続された流量処理部54と、SA基板53、流量検出部22及び流量処理部54を覆っているモールド部55とを有している。流量処理部54には、流量検出部22の検出結果として検出信号が入力され、流量検出部22は物理量処理部に相当する。また、SA基板53が支持板部に相当し、モールド部55が物理量検出部及び物理量処理部を保護するボデーに相当する。SA基板をリードフレームと称することもできる。図7においては、センサSA50の内部構造を図示するためにモールド部55を仮想線で示している。
モールド部55は、全体として板状に形成されている。図3に示すように、モールド部55においては、高さ方向Yに並んだ一対の端面55a,55bのうち、入り込み部分50aに含まれた方をモールド先端面55aと称し、はみ出し部分50bに含まれた方をモールド基端面55bと称する。また、モールド先端面55a及びモールド基端面55bを挟んで設けられた一対の面のうち一方をモールド上流面55cと称し、他方をモールド下流面55dと称する。センサSA50は、モールド先端面55aがエアフロ先端面20c側に配置され、且つモールド上流面55cがモールド下流面55dよりも計測流路32の上流側に配置される向きで、内部空間24aに設置されている。
センサSA50のモールド上流面55cは、計測流路32においてモールド下流面55dよりも上流側に配置されている。計測流路32において流量検出部22が設けられた部分においては、空気の流れる向きが吸気通路12での空気の流れる向きとは反対になっている。このため、モールド上流面55cは、吸気通路12においてはモールド下流面55dよりも下流側に配置されていることになる。
図6、図7において、SA基板53は、金属材料等により全体として板状に形成されており、導電性を有する基板である。SA基板53の板面は、幅方向Xに直交しており、高さ方向Y及び奥行き方向Zに延びている。SA基板53は、流量検出部22を支持する検出フレーム61と、流量処理部54を支持する処理フレーム62と、これらフレーム61,62を接続する接続フレーム63と、コネクタターミナル28aに接続されるリードターミナル64,65とを有している。なお、検出フレーム61が検出支持部に相当し、処理フレーム62が処理支持部に相当し、接続フレーム63が接続支持部に相当する。
検出フレーム61及び処理フレーム62は、いずれも全体として矩形状に形成されており、それぞれの板面が幅方向Xに直交している。検出フレーム61は、処理フレーム62からモールド先端面55a側に離間した位置に設けられている。接続フレーム63は、高さ方向Yにおいて検出フレーム61と処理フレーム62との間に一対設けられており、各接続フレーム63は、いずれも検出フレーム61と処理フレーム62とにかけ渡された状態になっている。一対の接続フレーム63は、互いに離間した状態で奥行き方向Zに並べられている。
SA基板53には、このSA基板53を幅方向Xに貫通する貫通孔として基板孔69が形成されている。基板孔69は、高さ方向Yにおいて検出フレーム61と処理フレーム62との間に設けられており、これらフレーム61,62の離間部分を形成している。また、基板孔69は、奥行き方向Zにおいて一対の接続フレーム63の間に設けられており、これら接続フレーム63の離間部分を形成している。基板孔69は、高さ方向Yにおいて流量検出部22と流量処理部54との間に配置されている。SA基板53に基板孔69が設けられていることで、高さ方向Yに直交する方向の断面積について、一対の接続フレーム63の各断面積の合計が、検出フレーム61の断面積及び処理フレーム62の断面積のいずれよりも小さくなっている。このため、接続フレーム63は、検出フレーム61及び処理フレーム62のいずれよりも熱が伝わりにくくなっている。なお、基板孔69が貫通部に相当する。
図8に示すように、SA基板53においては、一方の板面に流量検出部22及び流量処理部54の両方が搭載されており、これら流量検出部22及び流量処理部54が搭載された方の板面を表面53aと称し、表面53aとは反対側の板面を裏面53bと称する。SA基板53の表面53aには検出フレーム61の表面61aが含まれ、SA基板53の裏面53bには検出フレーム61の裏面61bが含まれており、これら表面61aと裏面61bとは互に平行に延びている。なお、検出フレーム61については、表面61aが表板面に相当し、裏面61bが裏板面に相当する。
流量検出部22は板状に形成されており、この流量検出部22については、検出フレーム61とは反対側の板面を表面22aと称し、この表面22aとは反対側の板面を裏面22bと称する。これら表面22aと裏面22bとも互いに平行に延びている。センサSA50においては、流量検出部22の裏面22bが検出フレーム61の表面61aに重ねられている。
図6、図7の説明に戻り、奥行き方向Zにおいて、基板孔69の両側端は、それぞれ流量検出部22及び流量処理部54のいずれよりも外側にはみ出した位置に配置されている。この場合、一対の接続フレーム63は、流量検出部22と流量処理部54との間に挟まれた位置に配置されているのではなく、幅方向X及び奥行き方向Zのいずれについても、流量検出部22及び流量処理部54から側方にずれた位置に配置されている。
検出フレーム61、処理フレーム62及び基板孔69は高さ方向Yに並べられており、高さ方向Yに延びる仮想の軸線に、検出フレーム61、処理フレーム62及び基板孔69の中心線が一致している。奥行き方向Zにおいて、流量検出部22は検出フレーム61の中央位置に配置され、流量処理部54は処理フレーム62の中央位置に配置されている。
奥行き方向Zにおいて、検出フレーム61の幅寸法W1と処理フレーム62の幅寸法W2とは同じになっている。また、流量検出部22の幅寸法W3は流量処理部54の幅寸法W4より小さくなっており、基板孔69の幅寸法W5は、これら幅寸法W3,W4より大きくなっている。基板孔69の幅寸法W5は、一対の接続フレーム63の離間距離になっている。
高さ方向Yにおいて、基板孔69の長さ寸法H1は、検出フレーム61と処理フレーム62との間での熱の伝わりが生じにくい大きさになっている。検出フレーム61は、流量検出部22よりも基板孔69側にはみ出すように延びた検出延出部68aを有しており、処理フレーム62は、流量処理部54よりもフレーム61側にはみ出すように延びた処理延出部68bを有している。この場合、基板孔69の長さ寸法H1は、流量検出部22からの検出延出部68aの延出寸法H2、及び流量処理部54からの処理延出部68bの延出寸法H3のいずれよりも大きくなっている。また、基板孔69の長さ寸法H1は延出寸法H2,H3の和よりも大きくなっている。さらに、高さ方向Yにおいて、基板孔69は流量検出部22と流量処理部54との中央に配置されており、検出延出部68aの延出寸法H2と処理延出部68bの延出寸法H2とがほぼ同じ値になっている。
リードターミナル64,65は、それぞれの一部がモールド基端面55bからモールド部55の外部に突出している。リードターミナル64,65において、モールド部55の外部に突出した部分はモールド基端面55bから高さ方向Yに延びており、ハウジング本体24の内部空間24aにおいてコネクタターミナル28aに接続されている。この場合、SA基板53の裏面53bにはリードターミナル64,65の裏面が含まれており、リードターミナル64,65の裏面がコネクタターミナル28aに接触した状態になっている。
リードターミナル64,65のうち、グランドリードターミナル64は、処理フレーム62から延びており、センサSA50においてグランド端子に電気的に接続されている。この場合、検出フレーム61及び接続フレーム63も処理フレーム62を介して接地されている。なお、グランドリードターミナル64が支持ターミナルに相当する。
回路リードターミナル65は、モールド部55の内部において処理フレーム62から離間している一方で、流量処理部54に電気的に接続されている。グランドリードターミナル64及び回路リードターミナル65はそれぞれ複数設けられている。複数の回路リードターミナル65には、センサSA50において電源端子に電力を供給する電源ターミナルや、センサSA50において信号端子への信号の入出力を行う信号ターミナルが含まれている。
センサSA50は、ノイズから流量処理部54を保護する保護チップ71を有している。保護チップ71は、コンデンサを含んで構成された保護回路を有するチップ部品であり、モールド部55の内部においてグランドリードターミナル64と回路リードターミナル65とにかけ渡された状態で設けられている。
SA基板53は、保護チップ71が取り付けられた保護フレーム66,67を有している。保護フレーム66,67のうち、グランド保護フレーム66は、処理フレーム62から延びている。回路保護フレーム67は、モールド部55の内部において処理フレーム62から離間している一方で、流量処理部54に電気的に接続されている。保護チップ71は、グランド保護フレーム66と回路保護フレーム67又は回路リードターミナル65とにかけ渡された状態で設けられている。
流量処理部54は、各種処理を行うデジタル回路(図11参照)等の駆動回路を有している。流量処理部54は直方体状のチップ部品であり、流量処理部54を回路チップと称することもできる。流量検出部22、回路リードターミナル65及び回路保護フレーム67に、ボンディングワイヤ72を介して電気的に接続されている。モールド部55は、流量検出部22や流量処理部54に加えて、保護チップ71及びボンディングワイヤ72を覆っていることで、これら流量検出部22、流量処理部54、保護チップ71及びボンディングワイヤ72を保護している。この場合、モールド部55を保護体と称することもできる。
モールド部55は、モールド成型により成型された高分子樹脂等のモールド樹脂であり、SA基板53よりも高い絶縁性及び断熱性を有している。モールド部55は、流量処理部54や保護チップ71、ボンディングワイヤ72などを一体的に封止している。
図8に示すように、モールド部55は、処理フレーム62から検出フレーム61に熱が伝わることを規制するフレーム規制部81を有している。フレーム規制部81は、モールド部55のうち基板孔69に入り込んだ部分であり、基板孔69の内部に充填された状態になっている。このため、フレーム規制部81は、基板孔69と同じ大きさ及び形状になっている。例えば、奥行き方向Zにおいてフレーム規制部81の幅寸法は、基板孔69の幅寸法W5と同じになっている。フレーム規制部81は、奥行き方向Zにおいて接続フレーム63に横並びに配置されている。この場合、フレーム規制部81と接続フレーム63とは、SA基板53の板面に沿って横並びに配置されていることになる。なお、フレーム規制部81が伝熱規制部に相当する。
流量処理部54が通電に伴って各種処理を行った場合、流量処理部54にて熱が発生することがある。この熱が流量検出部22に伝わると、流量検出部22の検出精度が低下することが懸念される。特に、イグニッションスイッチがオンされた場合など電源投入時においては、流量処理部54の駆動開始に伴って流量処理部54が発熱を開始する。この場合、流量処理部54が熱を発生していなかった状態から熱を発生する状態に移行することになるため、流量処理部54の上昇温度が大きくなりやすい。このため、流量検出部22の温度が流量処理部54から伝わっている熱に応じた温度で安定するまでは、流量検出部22の検出値が不安定になりやすい。この結果、電源投入時においてエアフロメータ20の起動特定が悪く、電源が投入されてからしばらくの期間は流量検出部22の応答性が低下しやすくなってしまう。
これに対して、本実施形態では、上述したように、基板孔69の全体にフレーム規制部81が設けられているため、流量処理部54の熱がSA基板53を介して流量検出部22に伝わることがフレーム規制部81により規制されている。このため、エアフロメータ20の起動特性が悪くなることが抑制され、流量検出部22の応答性が低下しにくくなっている。また、モールド部55は、フレーム規制部81に加えて、高さ方向Yにおいて流量処理部54と流量検出部22との間に入り込んだ部分である直接規制部82を有している。直接規制部82は、SA基板53を介さずに流量処理部54から流量検出部22に直接的に熱が伝わることを規制する部分になっている。
図8~図10に示すように、流量検出部22は、その裏面22bが凹むことで形成された検出凹部91と、この検出凹部91の底面91aを形成しているメンブレン部92とを有している。検出凹部91は、検出フレーム61側を向いた底面91aと、この底面91aから検出フレーム61側に向けて延びた内壁面91bとを有している。検出凹部91は、この検出凹部91の内部空間を底面91aとは反対側に向けて開放する開口である凹開口91cを有しており、この凹開口91cは、流量検出部22の裏面22bに形成されている。検出凹部91は検出フレーム61により覆われており、底面91aは検出フレーム61の表面61aに対向している。なお、検出凹部91が凹部に相当する。また、検出凹部91の内部空間は空洞になっており、検出凹部91を空洞部や空隙部と称することもできる。
検出凹部91の中心線CLは、幅方向Xに延びており、流量検出部22の表面22a及び裏面22bに直交している。検出凹部91は、凹開口91cから底面91aに向けて先細りしており、内壁面91bが凹開口91cから底面91aに向けて真っ直ぐに延びていることで全体としてテーパ状に形成されている。検出凹部91は、その内部空間が幅方向Xにおいて底面91aに向けて徐々に小さくなっており、全体としてテーパ状になっている。この場合、検出凹部91においては、中心線CLに直交する方向の断面積が底面91aから凹開口91cに向けて徐々に大きくなっている。内壁面91bは、中心線CLに平行にはなっておらず、凹開口91c側を向いていることで中心線CLに対して傾斜している。検出凹部91は、互いに対向する一対の内壁面91bを2組有していることで、底面91a及び凹開口91cが矩形状に形成されている。検出凹部91においては、凹開口91cの開放面積が底面91aの面積より大きくなっている。
内壁面91bにおいては、裏面22b側の端部が凹開口91cの周縁部を形成しており、表面22a側の端部が底面91aの周縁部を形成している。図10に示すように、本実施形態では、凹開口91cの周縁部のうち互いに対向する一対の辺の離間距離を凹開口91cの開口寸法L1と称し、底面91aの周縁部のうち互いに対向する一対の辺の離間距離を底面寸法L2と称する。凹開口91c及び底面91aはいずれも正方形になっており、開口寸法L1及び底面寸法L2は、高さ方向Yに並ぶ一対の辺、及び奥行き方向Zに並ぶ一対の辺のいずれについても同じになっている。凹開口91cの開口寸法L1は、底面91aの底面寸法L2より大きくなっている。なお、図10においてはモールド部55の図示を省略し、メンブレン部92を実際より肉厚に図示している。
メンブレン部92は、幅方向Xにおいて検出凹部91の表側に設けられており、流量検出部22において検出凹部91により薄肉化された膜状の部位である。メンブレン部92の表面は流量検出部22の表面22aにより形成されており、裏面は検出凹部91の底面91aにより形成されている。この場合、メンブレン部92は、流量検出部22において表面22aと裏面22bとの間に配置されているのではなく、表面22aに配置されていることになる。メンブレン部92は、複数の検出素子を有しており、流量検出部22において空気の流量を検出するセンサ部になっている。
平面視においてメンブレン部92の形状及び大きさは、検出凹部91の形状及び大きさと同じになっている。具体的には、メンブレン部92の周縁部のうち互いに対向する一対の辺の離間距離をメンブレン寸法と称すると、このメンブレン寸法は底面寸法L2と同じになっている。また、メンブレン部92は、検出凹部91と同様に正方形になっており、メンブレン寸法は、高さ方向Yに並ぶ一対の辺、及び奥行き方向Zに並ぶ一対の辺のいずれについても同じになっている。
検出フレーム61において検出凹部91の凹開口91cを覆った部分には、検出凹部91の内部空間に通じる検出フレーム孔95が設けられている。検出フレーム孔95は、検出フレーム61を幅方向Xに貫通する貫通孔であり、断面円状の丸孔になっている。検出フレーム孔95の中心線は検出凹部91の中心線CLに一致している。検出フレーム孔95は、表面61a側の端部である表開口95aを有している。検出凹部91と検出フレーム孔95との境界部には、凹開口91c及び表開口95aが含まれている。なお、検出フレーム61が検出凹部91を覆った部分に相当し、検出フレーム孔95が連通孔に相当し、表開口95aが孔開口に相当する。
表開口95aの周縁部は、凹開口91cの周縁部から中心線CL側である内周側に離間した位置にある。この場合、表開口95aは凹開口91cよりも小さい開口になっている。具体的には、表開口95aの内径L3が凹開口91cの開口寸法L1より小さくなっている。表開口95aの内径L3は、表開口95aの周縁部において中心線CLを挟んで対向する部分のうち互いの離間距離が最も近い部分の離間距離に相当する。表開口95aの中心は、中心線CLが通っている部分になっている。また、幅方向Xにおいて検出フレーム孔95の太さは均一になっており、幅方向Xのどの部分においても検出フレーム孔95の内径は、表開口95aの内径L3と同じになっている。
また、表開口95aの周縁部は、検出凹部91の底面91aの周縁部から内周側に離間した位置にある。この場合、表開口95aは底面91aよりも小さい開口になっている。具体的には、表開口95aの内径L3が底面91aの底面寸法L2より小さくなっている。
検出フレーム61に検出フレーム孔95を形成する場合、不要な突起であるバリが検出フレーム孔95の周縁部に残ることが想定される。例えば、打ち抜き加工やプレス加工により検出フレーム孔95を形成する場合に、検出フレーム61を裏面61bから表面61a側に向けて打ち抜くと、表面61aから延びたバリが表開口95aの周縁部に生じることが想定される。このバリが流量検出部22の裏面22bに接触すると、流量検出部22が傷付いたり破損したりして流量検出部22の検出精度が低下することが懸念される。これに対して、本実施形態では、表開口95aの周縁部が凹開口91cの周縁部よりも内側にあるため、表開口95aの周縁部にバリが残っていたとしても、このバリは凹開口91cの周縁部よりも内側に存在することになる。すなわち、バリが検出凹部91の内部空間に存在することになる。このため、このバリが流量検出部22の裏面22bに接触して流量検出部22が傷付いたり破損したりすることを抑制できる。
センサSA50は、検出フレーム孔95を裏面61b側から覆うフィルタ部96を有している。フィルタ部96は、空気を通過させることが可能な多孔質膜等の膜状の通気フィルタであり、検出フレーム61の裏面61bに重ねられている。フィルタ部96は、検出フレーム孔95や検出凹部91に流入する空気から砂塵やダスト、埃等の異物を除去する部材である。フィルタ部96は、検出フレーム61の裏面61bより小さくなっており、この裏面61bから外側にはみ出さない位置に配置されている。検出フレーム孔95は、裏面61b側の端部である裏開口95bを有しており、この裏開口95bは、検出フレーム孔95とフィルタ部96との境界部に含まれている。
図8、図9に示すように、モールド部55は、検出フレーム61の表面61a側に設けられた表覆い部84と、検出フレーム61の裏面61b側に設けられた裏覆い部85とを有している。表覆い部84は、流量検出部22のメンブレン部92をセンサSA50の表側に露出させた状態で、流量検出部22ごと検出フレーム61の表面61aを表側から覆っている。この場合、表覆い部84は、検出フレーム61の表面61a及び流量検出部22の表面22aのそれぞれに重ねられた状態になっている。なお、表覆い部84が検出ボデー部に相当する。
流量検出部22の表面22aは、メンブレン部92から外周側に向けて延びた表延出領域22Xを有している。表延出領域22Xは、流量検出部22の表面22aのうち、メンブレン部92の周囲においてセンサSA50の表側に露出した露出領域である。この場合、流量検出部22の表面22aは、その全体がセンサSA50の表側に露出しているのではく、この表面22aのうちメンブレン部92及び表延出領域22XだけがセンサSA50の表側に露出している。表延出領域22Xは、メンブレン部92と表覆い部84との間において、メンブレン部92の周縁部に沿って1周していることで環状になっている。
モールド部55においては、表覆い部84の一部が薄くなっていることで、メンブレン部92及び表延出領域22Xが表覆い部84により覆われていない状態になっている。具体的には、図4、図8に示すように、モールド部55には、奥行き方向Zに延びた溝状の表モールド溝88が設けられている。表モールド溝88は、モールド部55の表面が凹むことで形成された溝であり、モールド上流面55cとモールド下流面55dとにかけ渡されている。表モールド溝88の深さ寸法は、流量検出部22の表面22aが露出する一方で、検出フレーム61の表面61aが露出しない値になっており、表モールド溝88の底面88aには、流量検出部22の表面22aが含まれている。すなわち、メンブレン部92及び表延出領域22Xは、表モールド溝88の底面88aに露出している。
表モールド溝88の内部空間は、幅方向Xにおいて底面88aに向けて徐々に小さくなっている。表モールド溝88の内周面は、底面88aを挟んで対向する一対の内壁面88bを有している。これら内壁面88bは、流量検出部22とは反対側を向くように幅方向Xに対して傾斜しており、底面88aから真っ直ぐに延びたテーパ面になっている。表延出領域22Xは、一対の内壁面88bにかけ渡された状態になっている。
表モールド溝88においては、流量検出部22が奥行き方向Zの中間位置に設けられている。すなわち、流量検出部22は、モールド上流面55cとモールド下流面55dとの間に設けられている。また、表モールド溝88が計測流路32での空気の流れ方向に延びるように、センサSA50が計測流路32に対して設置されている。したがって、計測流路32を流れる空気は、流量検出部22に到達するまでに表モールド溝88の内周面により整流されることになる。このため、流量検出部22の検出精度が気流の乱れにより低下するということを抑制できる。
裏覆い部85は、フィルタ部96の一部をセンサSA50の裏側に露出させた状態で、フィルタ部96ごと検出フレーム61の裏面61bを裏側から覆っている。この場合、裏覆い部85は、検出フレーム61の裏面61b及びフィルタ部96の裏面のそれぞれに重ねられた状態になっている。フィルタ部96においてセンサSA50の裏側に露出した部分には、検出フレーム孔95の裏開口95bに重なった部分が含まれており、この検出フレーム孔95は、フィルタ部96を介してセンサSA50の裏側に開放されている。なお、裏覆い部85が支持ボデー部に相当する。
本実施形態では、検出フレーム孔95がフィルタ部96により覆われていても裏覆い部85により覆われていなければ、この状態を「検出フレーム孔95が露出した状態」と称する。これは、後述する裏延出領域61Xについても同様であり、裏延出領域61Xがフィルタ部96により覆われていても裏覆い部85により覆われていなければ、この状態を「裏延出領域61Xが露出した状態」と称する。
検出フレーム61の裏面61bは、裏開口95bから外周側に向けて延びた裏延出領域61Xを有している。裏延出領域61Xは、検出フレーム61の裏面61bのうち、検出フレーム孔95の裏開口95bの周囲においてセンサSA50の裏側に露出した露出領域である。この場合、検出フレーム61の裏面61bは、その全体がセンサSA50の裏側に露出しているのではなく、この裏面61bのうち検出フレーム孔95及び裏延出領域61XだけがセンサSA50の裏面に露出している。裏延出領域61Xは、検出フレーム孔95の裏開口95bと裏覆い部85との間において、裏開口95bの周縁部に沿って1周していることで環状になっている。
図5、図8に示すように、モールド部55においては、裏覆い部85に裏モールド孔87が設けられていることで、検出フレーム孔95及び裏延出領域61Xが裏覆い部85により覆われていない状態になっている。裏モールド孔87は、裏覆い部85を幅方向Xに貫通しており、検出フレーム孔95及びよりも大きい丸孔になっている。裏モールド孔87は、検出フレーム61側の端部である表側端部87aを有しており、この表側端部87aの周縁部は検出フレーム孔95の裏開口95bから外周側に離間している。これにより、表側端部87aの周縁部と裏開口95bとの間に裏延出領域61Xが形成されている。この場合、表側端部87aの内径L4は、裏開口95bの内径より大きくなっている。検出フレーム孔95においては、裏開口95bの内径が表開口95aの内径L3と同じになっている。なお、裏モールド孔87は、検出フレーム孔95及び裏延出領域61Xを露出させる露出孔と、検出フレーム61の熱を外部に放出する放熱孔にも相当する。
また、表側端部87aの周縁部は、検出凹部91の底面91a及び凹開口91cのいずれからも外周側に離間している。この場合、表側端部87aの内径L4は、底面91aの底面寸法L2(図10参照)及び凹開口91cの開口寸法L1(図10参照)のいずれよりも大きくなっている。
流量検出部22の表延出領域22Xと検出フレーム61の裏延出領域61Xとは幅方向Xに並んでいる。この場合、表延出領域22Xと裏延出領域61Xとは、互いの少なくとも一部が幅方向Xに重複しており、この重複部分は、中心線CLの周りを1周していることで環状になっている。
裏モールド孔87は検出フレーム61及びフィルタ部96のいずれよりも小さくなっている。モールド部55は、検出フレーム61及びフィルタ部96の周縁部を覆っている。この場合、フィルタ部96が検出フレーム61から剥がれることがモールド部55により規制されている。
裏モールド孔87は、幅方向Xにおいて検出フレーム61に向けて徐々に小さくなっている。すなわち、裏モールド孔87は、表側端部87aから裏側端部に向けて徐々に大きくなっている。裏モールド孔87の内周面87bは、検出フレーム61とは反対側を向くように幅方向Xに対して傾斜しており、表側端部87aから真っ直ぐに延びたテーパ面になっている。
図10に示すように、流量検出部22は、板状の母材である検出母材101と、絶縁性を有する絶縁膜102と、複数の抵抗素子を有する抵抗体103と、抵抗体103を保護する保護膜104とを有している。検出母材101は、シリコン等の半導体材料により板状に形成されている。絶縁膜102は検出母材101の一方の板面に重ねられ、抵抗体103は絶縁膜102に重ねられ、保護膜104は抵抗体103に重ねられており、これら絶縁膜102、抵抗体103及び保護膜104によりメンブレン部92が形成されている。
流量検出部22は、検出母材101を幅方向Xに貫通する母材孔101aを有している。流量検出部22においては、絶縁膜102、抵抗体103及び保護膜104が母材孔101aを塞いでいることで検出凹部91が形成されている。また、絶縁膜102、抵抗体103及び保護膜104において母材孔101aを塞いだ部分がメンブレン部92になっている。
流量検出部22においては、ウェットエッチングにより検出母材101の一部を加工することで母材孔101aが形成されている。すなわち、ウェットエッチングにより検出凹部91及びメンブレン部92が形成されている。シリコンの結晶面方位に起因して、内壁面91bが中心線CLに対して所定の傾斜角度(例えば54.7度)だけ傾斜した状態の検出凹部91がウェットエッチングにより形成される。なお、検出母材101に対してドライエッチング加工を行うことで母材孔101aを形成してもよい。
検出フレーム孔95は、この検出フレーム孔95を形成する作業の困難性が過剰に高くならない大きさになっている。具体的には、表開口95aの開口寸法L1は、幅方向Xにおいて検出フレーム61の厚み寸法D1より大きくなっている。その一方で、開口寸法L1は、幅方向Xにおいて流量検出部22の厚み寸法D2より小さくなっている。また、開口寸法L1は、幅方向Xにおいて検出母材101の厚み寸法D3より小さくなっている。
次に、センサSA50の電気的な構成について、図11~図13等を参照しつつ説明する。センサSA50は、空気の流量を検出する流量検出回路110を有しており、この流量検出回路110により熱式の流量検出部22が実現されている。
図11に示すように、流量検出回路110は、ヒータ温度を制御するヒータ制御ブリッジ111と、空気の温度に応じて流量を検出する流量検出ブリッジ112と、各種処理を行うデジタル回路113とを有している。これらヒータ制御ブリッジ111、流量検出ブリッジ112及びデジタル回路113は、それぞれ抵抗素子やスイッチング素子等の回路素子を複数含んで構成されている。これら回路素子が流体の物理量を検出するための検出素子に相当する。
ヒータ制御ブリッジ111は、流量検出回路110において電源端子とグランド端子とに接続されている。ヒータ制御ブリッジ111は、通電に伴って熱を発生させるヒータ抵抗121と、ヒータ抵抗121の温度を検出するヒータ温抵抗122と、計測流路32を流れる空気の温度を検出する第1空気温抵抗123とを有している。また、ヒータ制御ブリッジ111は、ヒータ温抵抗122に直列に接続された第1制御抵抗124と、第1空気温抵抗123に直列に接続された第2制御抵抗125とを有している。
ヒータ制御ブリッジ111は、電位を比較する比較素子としてのオペアンプ126と、通電経路を開閉するスイッチング素子としてのトランジスタ127を有している。オペアンプ126は、ヒータ温抵抗122と第1制御抵抗124との間にある第1接続点111aに接続されているとともに、第1空気温抵抗123と第2制御抵抗125との間にある第2接続点111bに接続されている。オペアンプ126は、第1接続点111aの電位と第2接続点111bの電位とを比較する比較部になっている。トランジスタ127は、オペアンプ126の出力端子に接続されており、オペアンプ126の出力に応じて動作する。ヒータ制御ブリッジ111においては、ヒータ抵抗121の温度が空気の温度より所定温度だけ高い目標温度になるようにトランジスタ127が動作する。
ヒータ制御ブリッジ111においては、ヒータ抵抗121の温度が目標温度より低下した場合、ヒータ温抵抗122の抵抗値が小さくなり、接続点111a,111bの間の電位差が大きくなることでオペアンプ126によりトランジスタ127がオンされる。この場合、ヒータ抵抗121への通電が行われることでヒータ抵抗121の温度が上昇する。そして、ヒータ抵抗121の温度が目標温度まで上昇すると、ヒータ温抵抗122の抵抗値が大きくなり、接続点111a,111bの間の電位差が小さくなることでオペアンプ126によりトランジスタ127がオフされる。この場合、ヒータ抵抗121への通電が停止されることでヒータ抵抗121の温度が低下する。このようにして、ヒータ制御ブリッジ111においては、ヒータ抵抗121の温度が目標温度に保たれるようになっている。
流量検出ブリッジ112は、流量検出回路110において信号端子とグランド端子とに接続されている。流量検出ブリッジ112は、計測流路32においてヒータ抵抗121よりも上流側にて空気の温度を検出する上流抵抗131,132と、計測流路32においてヒータ抵抗121よりも下流側にて空気の温度を検出する下流抵抗133,134とを有している。上流抵抗131,132と下流抵抗133,134とは互に1つずつ直列に接続されている。この場合、第1上流抵抗131が第1下流抵抗133を介してグランド端子に接続されており、第2下流抵抗134が第2上流抵抗132を介してグランド端子に接続されている。
流量検出ブリッジ112は、電位を比較する比較素子としてのオペアンプ135を有している。オペアンプ135は、第1上流抵抗131と第1下流抵抗133との間にある第1接続点112aに接続されているとともに、第2上流抵抗132と第2下流抵抗134との間にある第2接続点112bに接続されている。オペアンプ135は、第1接続点112aの電位と第2接続点112bの電位とを比較する比較部になっている。オペアンプ135の出力端子はデジタル回路113に接続されており、接続点112a,112bの電位の比較結果がデジタル回路113に入力される。
計測流路32において空気の流れが生じていない場合、流量検出ブリッジ112においては、ヒータ抵抗121の熱が上流及び下流の両方に同じように伝わり、上流抵抗131,132の抵抗値と下流抵抗133,134の抵抗値とがほぼ同じになる。この場合、接続点112a,112bの間の電位差が小さくなっていることでオペアンプ135の比較結果としてデジタル回路113に入力される。
計測流路32において計測入口35から計測出口36に向けて空気が流れる順流が生じた場合、流量検出ブリッジ112においてヒータ抵抗121の熱は、順流が媒体になることで上流抵抗131,132に比べて下流抵抗133,134に伝わりやすい。この場合、接続点112a,112bの間の電位差が、順流という空気の向きと空気の流量との両方に応じた値になり、この値がオペアンプ135の比較結果としてデジタル回路113に入力される。
一方、計測流路32において順流とは逆向きの逆流が生じた場合、ヒータ抵抗121の熱は、逆流が媒体になることで下流抵抗133,134に比べて上流抵抗131,132に伝わりやすい。この場合、接続点112a,112bの間の電位差が、逆流という空気の向きと空気の流量との両方に応じた値になり、この値がオペアンプ135の比較結果としてデジタル回路113に入力される。
流量検出回路110は、計測流路32を流れる空気の温度を検出する第2空気温抵抗114を有しており、この第2空気温抵抗114は、デジタル回路113に接続されている。デジタル回路113は、オペアンプ135の比較結果と第2空気温抵抗114の電位とを用いて、計測流路32や吸気通路12を流れる空気の流量を算出し、この算出結果を含む情報を出力端子に対して出力する。
流量検出回路110が有するヒータ抵抗121等の検出素子は、流量検出部22や流量処理部54に含まれている。例えば、流量検出部22には、抵抗114,121~125,131~134や接続点111a,111b,112a,112bが含まれている。流量検出部22においては、抵抗体103が複数の抵抗素子として抵抗114,121~125,131~134を有している。流量処理部54には、デジタル回路113やオペアンプ126,135、トランジスタ127が含まれている。
上述したようにデジタル回路113が多数の回路素子を有していることに起因して、デジタル回路113が各種処理を行うなど駆動した場合、熱を発生しやすいと考えられる。また、オペアンプ126,135やトランジスタ127も、その動作に伴って熱を発生しやすいと考えられる。このため、これらデジタル回路113やオペアンプ126,135、トランジスタ127を有する流量処理部54は、流量検出部22から入力された検出結果を処理する際に、熱を発生することが想定される。
図12、図13に示すように、流量検出部22は、ヒータ抵抗121等の複数の抵抗素子と、これら抵抗素子に接続された配線パターン141と、配線パターン141に接続された複数の電極部142とを有している。複数の抵抗素子は、流量検出部22においてメンブレン部92及び表延出領域22Xのいずれかに設けられている。
図13に示すように、メンブレン部92には、ヒータ抵抗121、ヒータ温抵抗122、上流抵抗131,132及び下流抵抗133,134が設けられている。ヒータ抵抗121は、メンブレン部92の中央又は中央に近い位置に配置されており、ヒータ温抵抗122はヒータ抵抗121に近い位置に配置されている。ヒータ温抵抗122は、ヒータ抵抗121の傍らにてヒータ抵抗121の温度を検出する傍熱抵抗である。上流抵抗131,132は、奥行き方向Zにおいてヒータ抵抗121よりもモールド上流面55c側に配置されており、下流抵抗133,134は、ヒータ抵抗121よりもモールド下流面55d側に配置されている。この場合、ヒータ抵抗121は、奥行き方向Zにおいて上流抵抗131,132と下流抵抗133,134との間に配置されている。
上述したようにメンブレン部92は薄肉化されているため、メンブレン部92を熱が伝わるということが生じにくくなっている。このため、ヒータ抵抗121にて熱が発生した場合に、熱が、流量検出部22を構成する検出母材101等の構成部位を介して上流抵抗131,132や下流抵抗133,134に伝わる、ということが生じにくくなっている。この場合、上流抵抗131,132や下流抵抗133,134の抵抗値が、流量検出部22の構成部位を介して伝わった熱で変化するのではなく、空気を介して伝わった熱で変化することになる。したがって、流量検出部22での検出精度がヒータ抵抗121の熱により低下するということを抑制できる。
これも上述したように検出凹部91の内部空間は検出フレーム孔95及び裏モールド孔87を通じてセンサSA50の外部に開放されているため、検出凹部91の内部と外部との圧力差でメンブレン部92が変形するということが生じにくくなっている。メンブレン部92が変形した場合、ヒータ抵抗121と上流抵抗131,132や下流抵抗133,134との位置関係が変化し、空気流量と抵抗131~134の抵抗値との関係が変化することで流量検出部22の検出精度が低下する、ということが懸念される。これに対して、本実施形態では、メンブレン部92の変形が生じにくいため、ヒータ抵抗121と抵抗131~134との位置関係や、空気流量と抵抗131~134の抵抗値との関係が変化しにくく、その結果、流量検出部22の検出精度を高めることができる。
図12に示すように、表延出領域22Xには、空気温抵抗114,123が配置されている。これら空気温抵抗114,123は、表延出領域22Xに設けられていることで、ヒータ抵抗121から十分に離間している。このため、空気温抵抗114,123は、ヒータ抵抗121にて発生する熱に関係なく、計測流路32を流れる空気の温度を精度良く検出することができるようになっている。
本実施形態では、空気温抵抗114,123が高さ方向Yにおいてメンブレン部92と流量処理部54との間に配置されており、流量処理部54にて発生した熱がメンブレン部92よりも空気温抵抗114,123の方に伝わりやすくなっている。流量処理部54にて発生した熱が流量検出部22に伝わった場合、表延出領域22Xにおいては、空気の流量や温度に関係なく空気温抵抗114,123の温度が上昇することが懸念される。この場合、流量検出回路110による空気流量の検出精度が低下してしまう。例えば、第1空気温抵抗123の温度が上昇すると、ヒータ制御ブリッジ111において第2接続点111bの電位が変化し、ヒータ抵抗121の温度が目標温度からずれてしまう。また、第2空気温抵抗114の温度が上昇すると、デジタル回路113から出力される空気流量の算出結果が変化してしまう。これに対して、本実施形態では、フレーム規制部81が設けられていることで、流量処理部54から空気温抵抗114,123に熱が伝わりにくくなっているため、流量検出回路110の検出精度が低下しにくくなっている。
また、図示は省略するが、制御抵抗124,125も、流量検出部22においてヒータ抵抗121から十分に離間した位置に配置されている。この場合、制御抵抗124,125の抵抗値がヒータ抵抗121での発熱に伴って変化するということが生じにくいため、ヒータ制御ブリッジ111によるヒータ抵抗121の温度制御の精度が低下することを抑制できる。制御抵抗124,125は、例えば、空気温抵抗114,123と同様に表延出領域22Xに配置されている。
複数の電極部142には、それぞれボンディングワイヤ72が接続されている。これら電極部142は、流量検出部22においてモールド部55により覆われた位置に配置されており、これによって、ボンディングワイヤ72がモールド部55により保護されている。この場合、各電極部142は、流量検出部22においてメンブレン部92及び表延出領域22Xとは異なる位置に配置されていることになる。
ここでは、エアフロメータ20の製造方法として、センサSA50の製造方法について、図14~図24等を参照しつつ説明する。なお、エアフロメータ20の製造方法が物理量計測装置の製造方法に相当する。
まず、流量検出部22を製造する工程を行う。この工程では、絶縁膜102、抵抗体103、保護膜104を検出母材101に形成し、ウェットエッチングにより検出母材101に母材孔101aを形成することで検出凹部91を形成する。さらに電極部142を形成することで流量検出部22を製造する。
また、基材151を成型する工程を行う。この工程では、導電性を有する板材に対して打ち抜き加工やプレス加工などを施すことで、図14、図15に示すように、複数のSA基板53を有する基材151を成型する。打ち抜き加工においては、打ち抜き具等の工具を板材の一方の板面から他方の板面に向けて打ち抜くことで行われる。基材151においては、工具により打ち抜かれることで打ち抜き片が押し出される側の板面を打ち抜かれ面151aと称し、工具を押し当てて打ち抜く側の板面を打ち抜き面151b(図18参照)と称する。この場合、板材を打ち抜いた向きからして、打ち抜き加工に伴うバリは基材151の打ち抜かれ面151aに残りやすく、打ち抜き面151bに残りにくいと考えられる。SA基板53においては、その表面53aが打ち抜かれ面151aに含まれ、裏面53bが打ち抜き面151bに含まれる。このため、SA基板53の表面53aにおいて、検出フレーム孔95の表開口95aの周縁部や、リードターミナル64,65の周縁部などにバリが残りやすくなる。
基材151は、複数のSA基板53にかけ渡された一対のかけ渡しリード152と、これらかけ渡しリード152を繋ぐ繋ぎリード153とを有している。SA基板53においては、リードターミナル64,65がかけ渡しリード152に接続された状態になっており、回路保護フレーム67が繋ぎリード153に接続された状態になっている。この場合、検出フレーム61及び接続フレーム63は、グランドリードターミナル64を介してかけ渡しリード152に接続されている。このため、検出フレーム61や接続フレーム63をかけ渡しリード152や繋ぎリード153に接続するための吊りリードを基材151に設ける必要がない。
図16に示すように、基材151においてかけ渡しリード152及び繋ぎリード153の図示を省略すると、基材151を成型した段階でのSA基板53は、検出フレーム61等からグランドリードターミナル64等が離間した状態になる。
次に、基材151の打ち抜き面151bにフィルタ部96を取り付ける工程を行う。この工程では、図17~図19に示すように、基材151において各SA基板53のそれぞれについて裏面53bにフィルタ部96を取り付ける。ここでは、フィルタ部96が検出フレーム孔95を覆う位置になるように、接着剤等を用いてフィルタ部96を検出フレーム61の裏面61bに貼り付ける。このように、フィルタ部96が打ち抜き面151bに貼り付けられることで、打ち抜かれ面151aに残ったバリによりフィルタ部96が傷付くということが生じにくくなっている。例えば、本実施形態とは異なり、打ち抜かれ面151aにフィルタ部96を貼り付ける構成では、打ち抜かれ面151aに残ったバリによりフィルタ部96が傷付いてフィルタ部96の異物除去性能が低下することが懸念される。
その後、基材151の打ち抜かれ面151aに流量検出部22等のチップ部品を取り付ける工程を行う。この工程では、図20、図21に示すように、基材151において各SA基板53のそれぞれに、流量検出部22、流量処理部54及び保護チップ71といったチップ部品を実装する。そして、これらチップ部品やSA基板53にワイヤボンディングを行うことで、流量検出部22や流量処理部54、回路リードターミナル65、回路保護フレーム67等にボンディングワイヤ72を接続する。
ここで、流量検出部22を打ち抜かれ面151aに取り付ける際に、打ち抜かれ面151aに残ったバリにより流量検出部22が破損することが懸念される。具体的には、検出フレーム61の表開口95aの周縁部に残ったバリが流量検出部22の裏面22bに接触することが懸念される。これに対して、上述したように、検出フレーム61の表開口95aの周縁部が流量検出部22の凹開口91cの周縁部から内側に離間した位置に配置されるように、表開口95aが凹開口91cに比べて十分に小さくなっている。このため、検出フレーム61の表開口95aの周縁部にバリが残っていたとしても、表開口95aが凹開口91cの周縁部の内側に配置されるように流量検出部22を検出フレーム61に取り付けることで、バリによる流量検出部22の破損を回避できる。
続いて、基材151にモールド部55を取り付ける工程を行う。この工程をモールド部55の成型を行う成型工程と称することもできる。この工程では、図22に示すように、基材151において各SA基板53のそれぞれに、流量検出部22、流量処理部54、保護チップ71及びボンディングワイヤ72を覆うようにモールド部55を取り付ける。また、この工程では、基材151の各SA基板53に型装置160を装着し、この型装置160によりモールド部55を樹脂成型する。
図23、図24に示すように、型装置160は、モールド部55の表覆い部84を成型する表型部161と、モールド部55の裏覆い部85を成型する裏型部165とを有している。モールド部55の外周面について、表覆い部84側の面を表面55eと称し、裏覆い部85側の面を裏面55fと称すると、表型部161は、モールド部55の表面55eを成型する表型凹部161aを有している。また、裏型部165は、モールド部55の裏面55fを成型する裏型凹部165aを有している。
表型部161は、モールド部55に表モールド溝88を成型する溝成型部162を有している。溝成型部162は、表型凹部161aの底面が膨らむように突出した突出部である。溝成型部162は、その先端面162aに向けて徐々に細くなっており、全体としてテーパ状になっている。型装置160がSA基板53に装着された状態では、溝成型部162の先端面162aが流量検出部22の表延出領域22Xを押圧した状態になる。溝成型部162は、表延出領域22Xに接触することでメンブレン部92及び表延出領域22Xを露出させる部位であり、表露出成型部に相当する。
溝成型部162には、型装置160がSA基板53に装着された状態で溝成型部162がメンブレン部92に接触することを回避する回避凹部163が設けられている。回避凹部163は、溝成型部162の先端面162aが凹むことで形成されており、回避凹部163の開放端はメンブレン部92より大きくなっている。型装置160がSA基板53に装着された状態では、回避凹部163の開放端の周縁部がメンブレン部92から外周側に離間することになる。また、溝成型部162の先端面162aは、回避凹部163の周縁部に沿って1周していることで環状になっている。
裏型部165は、モールド部55に裏モールド孔87を成型する孔成型部166を有している。孔成型部166は、裏型凹部165aの底面が膨らむように突出した突出部である。孔成型部166は、その先端面166aに向けて徐々に細くなっており、全体としてテーパ状になっている。型装置160がSA基板53に装着された状態では、孔成型部166の先端面166aがフィルタ部96を介して裏延出領域61Xを押圧した状態になる。孔成型部166は、フィルタ部96に接触することでこのフィルタ部96を介して検出フレーム孔95及び裏延出領域61Xを露出させる部位であり、裏露出成型部に相当する。
なお、裏型部165がSA基板53に装着された状態では、孔成型部166の先端面166aは、フィルタ部96における検出フレーム61の裏延出領域61Xに重なった部分に接触している。本実施形態では、この状態を、孔成型部166の先端面166aがフィルタ部96を介して裏延出領域61Xに接触した状態とも称する。
モールド部55の成型工程では、表型部161と裏型部165とで基材151のSA基板53を挟み込むようにして型装置160を組み立て、型締めを行うことで基材151に型装置160を装着する。そして、型装置160に形成された注入口から溶融樹脂を型装置160の内部空間に注入して充填する。型装置160の内部空間は、表型凹部161a及び裏型凹部165aの各内部空間により形成されている。型装置160は複数の表型凹部161a及び裏型凹部165aを有しており、型装置160で複数のモールド部55を成型することが可能になっている。
型装置160をSA基板53に装着した状態では、表型部161の溝成型部162の先端面162aが表延出領域22Xに重ねられ、裏型部165の孔成型部166の先端面166aがフィルタ部96を介して裏延出領域61Xに重ねられている。この状態では、溝成型部162と孔成型部166とが流量検出部22と検出フレーム61を互いに近付く向きに押圧した状態になっている。このため、型装置160の内部に溶融樹脂が注入された場合に、意図しない部分に溶融樹脂が浸入することを規制できる。具体的には、溝成型部162の先端面162aと表延出領域22Xとの間や、孔成型部166の先端面166aと裏延出領域61Xとの間、流量検出部22の裏面22bと検出フレーム61の表面61aとの間への溶融樹脂の浸入を規制できる。
また、溝成型部162の先端面162aに回避凹部163が形成されているため、溝成型部162が表延出領域22Xに押圧された状態でも、この先端面162aがメンブレン部92に接触しないようになっている。このため、メンブレン部92が溝成型部162により押圧されて変形するということが生じにくくなっている。しかも、表型部161の溝成型部162においては、その先端面162aが回避凹部163を囲むように環状になっている。このため、溶融樹脂が溝成型部162の先端面162aと裏延出領域61Xとの間を通じて回避凹部163内に浸入するということが生じないようになっている。
さらに、表延出領域22X及び裏延出領域61Xのそれぞれが極力大きい領域になっていることで、溝成型部162及び孔成型部166から表延出領域22X及び裏延出領域61Xに加えられる圧力がこれら延出領域22X,61Xにて分散しやすくなっている。例えば、表延出領域22Xが小さいほど溝成型部162から表延出領域22Xに加えられる圧力が分散しにくくなり、流量検出部22が変形したり破損したりすることが懸念される。同様に、裏延出領域61Xが小さいほど孔成型部166から裏延出領域61Xに加えられる圧力が分散しにくくなり、検出フレーム61やフィルタ部96が変形したり破損したりすることが懸念される。
なお、表型部161においては、溝成型部162が他の部分に対して幅方向Xに移動可能になっており、溝成型部162が表延出領域22Xに対して押し付けられる圧力が調整可能になっている。このため、溝成型部162の先端面162aと表延出領域22Xとの間に溶融樹脂が浸入することを規制した上で、溝成型部162からの圧力で流量検出部22が変形したり破損したりしない程度の圧力で、溝成型部162を表延出領域22Xに押圧できる。
また、型装置160は、フッ素樹脂等により形成された型用フィルタを表型凹部161aの内周面に貼り付けた状態で基材151に装着される。この型用フィルタにより、溝成型部162から表延出領域22Xに加えられる圧力や、孔成型部166から裏延出領域61Xに加えられる圧力が製品ごとにばらつくということを抑制できる。
型装置160の内部に充填した溶融樹脂が硬化した後、型装置160を分解することで、表型部161及び裏型部165を基材151及びモールド部55から取り外す。すると、図22に示すように、基材151においては、複数のセンサSA50がかけ渡しリード152及び繋ぎリード153により連結された状態になる。
次に、センサSA50をリード152,153から取り外す工程を行う。この工程ではタイバーカットを行う。ここでは、リードターミナル64,65をかけ渡しリード152から切り離し、回路保護フレーム67を繋ぎリード153から切り離す。このため、図4、図5に示すように、回路保護フレーム67の切断面は、モールド下流面55dにてセンサSA50の側方に露出している。なお、回路保護フレーム67の切断面を樹脂等によりコーティングしてもよい。
センサSA50が完成した後、成型しておいたハウジング21の内部空間24aにセンサSA50を設置する。そして、センサSA50のリードターミナル64,65をコネクタターミナル28aに接続する。この場合、リードターミナル64,65の裏面をコネクタターミナル28aに当接させる。上述したように、リードターミナル64,65の裏面は、基材151の打ち抜き面151bにより形成されている。このため、仮に打ち抜かれ面151aにおいてリードターミナル64,65の周縁部にバリが残っていたとしても、このバリがコネクタターミナル28aに接触するということが生じにくくなっている。この場合、リードターミナル64,65とコネクタターミナル28aとの間にバリが挟まってこれらリードターミナル64,65とコネクタターミナル28aとの間で接触不良が発生するということを抑制できる。
ここまで説明した本実施形態によれば、SA基板53において検出フレーム61と処理フレーム62との間にフレーム規制部81が設けられているため、処理フレーム62から検出フレーム61に熱が伝わることがフレーム規制部81により規制される。このため、流量処理部54にて熱が発生したとしても、この熱が流量処理部54から検出フレーム61及び処理フレーム62を介して流量検出部22に伝わるということが生じにくくなっている。この場合、計測流路32での空気の流量や温度に関係なく流量検出部22の温度が上昇するということが生じにくくなっているため、空気流量の検出に関係のない熱が流量検出部22に付与されることで流量検出部22の検出精度が低下するということを抑制できる。したがって、エアフロメータ20による空気流量の計測精度を高めることができる。特に、車両の電源投入時においてエアフロメータ20の起動特性が低下することを抑制できる。
本実施形態によれば、検出フレーム61と処理フレーム62とが接続フレーム63により接続されている。この場合、センサSA50の製造時に、検出フレーム61及び処理フレーム62の少なくとも一方をかけ渡しリード152や繋ぎリード153に接続しておく吊りリードを基材151に設ける必要がない。このため、かけ渡しリード152や繋ぎリード153からSA基板53を切り離す際の作業負担を低減できる。このように、接続フレーム63の断面積を検出フレーム61及び処理フレーム62の各断面積より小さくなるように減少させることで、処理フレーム62から検出フレーム61への伝熱を規制した上で、センサSA50を製造する際の作業負担を低減できる。
本実施形態によれば、検出フレーム61と処理フレーム62との間において、フレーム規制部81と接続フレーム63とがSA基板53の板面に沿って横並びに配置されている。このような配置は、SA基板53に基板孔69を形成し、この基板孔69の内部にフレーム規制部81を設ける、という容易な作業により実現できる。
本実施形態によれば、奥行き方向Zにおいて、接続フレーム63が流量検出部22及び流量処理部54のいずれからも外側にずれた位置に配置されている。このため、流量処理部54の熱がSA基板53を介して流量検出部22に伝わる場合に、この熱は、奥行き方向Zにおいて、流量検出部22及び流量処理部54のいずれよりも外側に大きく回り込むようにして接続フレーム63を伝わることになる。この場合、例えば、SA基板53において流量処理部54と流量検出部22とを直線的に繋ぐ最短ルートを伝わる場合に比べて、遠回りをする分だけ熱がSA基板53から放出される。したがって、処理フレーム62と検出フレーム61とが接続フレーム63により接続されていても、この接続フレーム63を介して処理フレーム62から検出フレーム61に熱が伝わるということを抑制できる。
本実施形態によれば、モールド部55において処理フレーム62と検出フレーム61との間に入り込んだ部分によりフレーム規制部81が形成されている。この場合、モールド部55を成型するというセンサSA50を製造する上で必要な作業を単に行うことで、処理フレーム62と検出フレーム61との間にフレーム規制部81を設けることができる。このように、モールド部55を成型するという1つの工程で、フレーム規制部81を形成することができるため、センサSA50を製造する際の作業負担を低減できる。本実施形態とは異なり、例えば、フレーム規制部81がモールド部55から独立した部材になっている構成では、フレーム規制部81を設置する工程と、モールド部55を成型する工程とを別々に行う必要があり、作業負担が増加してしまう。
本実施形態によれば、モールド部55から外部に突出したグランドリードターミナル64が処理フレーム62から延びている。このため、センサSA50の製造時に、基材151においてグランドリードターミナル64をかけ渡しリード152や繋ぎリード153に接続しておくことで、これらリード152,153に処理フレーム62を接続する吊りリードを基材151に設ける必要がない。この場合、処理フレーム62から吊りリードを切り離す作業が減ることなどにより、センサSA50を製造する際の作業負担を低減できる。また、この場合、処理フレーム62を支持していた吊りリードの切断面がモールド部55から外部に露出するということがないため、この切断面から吊りリードや処理フレーム62に腐食が拡がっていくということを回避できる。
本実施形態によれば、検出フレーム61の裏面61bの一部である裏延出領域61Xが、裏モールド孔87を通じてセンサSA50の裏側に露出している。このため、仮に、流量処理部54にて発生した熱が処理フレーム62や接続フレーム63を介して検出フレーム61に伝わったとしても、この熱を裏延出領域61Xから裏モールド孔87を通じてモールド部55の外部に放出することができる。
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、センサSA50において検出フレーム61と処理フレーム62とが接続フレーム63により接続されていたが、第2実施形態では、SA基板53において検出フレーム61と処理フレーム62とが互いに分離した部位になっている。本実施形態では、上記第1実施形態との相違点を中心に説明する。
図25に示すように、検出フレーム61と処理フレーム62とは高さ方向Yにおいて互いに離間している。この離間部分を、検出フレーム61と処理フレーム62とを分離させた分離部201と称すると、この分離部201は、高さ方向Yにおいて検出フレーム61及び流量検出部22と処理フレーム62及び流量処理部54との間に配置されている。SA基板53は、分離部201により互いに分離することで独立した部位を2つ有しており、この2つの部位のうち一方が検出フレーム61になっており、他方が処理フレーム62になっている。分離部201にはモールド部55の一部が入り込んだ状態になっており、その入り込んだ部分がフレーム規制部81になっている。このため、本実施形態でも上記第1実施形態と同様に、検出フレーム61と処理フレーム62との間にフレーム規制部81が設けられている。
図25、図26に示すように、SA基板53は、モールド部55の外側に露出した吊りリード205~207を有している。吊りリード205~207のうち、検出フレーム61から奥行き方向Zに延びた検出吊りリード205,206は、モールド上流面55c又はモールド下流面55dから外部に露出している。検出吊りリード205,206のうち第1検出吊りリード205は、検出フレーム61において処理フレーム62とは反対側の端部に設けられており、第2検出吊りリード206は、検出フレーム61において処理フレーム62側の端部に設けられている。第1検出吊りリード205及び第2検出吊りリード206は、一対ずつ設けられており、それぞれの一方がモールド上流面55cまで延び、他方がモールド下流面55dまで延びている。
吊りリード205~207のうち、処理フレーム62から奥行き方向Zに延びた処理吊りリード207は、モールド上流面55c又はモールド下流面55dから外部に露出している。処理吊りリード207は、処理フレーム62において検出フレーム側の端部に設けられている。処理吊りリード207は、一対設けられており、一方がモールド上流面55cまで延びており、他方がモールド下流面55dまで延びている。
分離部201及びフレーム規制部81は、検出フレーム61と処理フレーム62との間だけでなく、第2検出吊りリード206と処理吊りリード207との間にも存在している。このため、フレーム規制部81は、処理フレーム62や処理吊りリード207から検出フレーム61や第2検出吊りリード206に熱が伝わることを規制することになる。このように本実施形態では、上記第1実施形態とは異なり、SA基板53が接続フレーム63を有していないため、処理フレーム62から接続フレーム63を介して検出フレーム61に熱が伝わるということがない。このため、処理フレーム62から検出フレーム61への熱の伝わりがより確実に規制される。
センサSA50の製造方法について、図27~図35等を参照しつつ説明する。基本的には、上記第1実施形態と同様の工程でセンサSA50を製造する。
基材151を打ち抜き加工により成型する工程では、図27~図29に示すように、基材151に貫通孔を形成することで分離部201や吊りリード205~207をSA基板53に形成する。検出吊りリード205,206は、検出フレーム61と繋ぎリード153とを接続しており、処理吊りリード207は、処理フレーム62と繋ぎリード153とを接続している。また、本実施形態では、上記第1実施形態とは異なり、グランド保護フレーム66が繋ぎリード153に接続されている。この場合、グランド保護フレーム66も処理吊りリード207と同様に、処理フレーム62と繋ぎリード153とを接続している。
このように、検出吊りリード205,206が検出フレーム61を支持しているため、検出フレーム61が接続フレーム63により処理フレーム62に接続されていなくても、基材151から検出フレーム61が離脱してしまうということがない。また、上述したように、第2検出吊りリード206が検出フレーム61の端部を支持し、処理吊りリード207が処理フレーム62の端部を支持している。このため、打ち抜き加工により分離部201を形成する際に生じた応力により検出フレーム61や処理フレーム62が変形するということが第2検出吊りリード206及び処理吊りリード207により抑制される。
次に、図30~図32に示すように、基材151の打ち抜き面151bにフィルタ部96を取り付ける。そして、図33、図34に示すように、基材151の打ち抜かれ面151aに流量検出部22等のチップ部品を取り付ける。また、チップ部品やSA基板53にボンディングワイヤ72を接続する。その後、図35に示すように、基材151のSA基板53に対してモールド部55を成型する。
続いて、センサSA50をリード152,153から取り外す工程では、上記第1実施形態と同様に、タイバーカットを行う。ここでは、リードターミナル64,65をかけ渡しリード152から切り離し、回路保護フレーム67を繋ぎリード153から切り離し、本実施形態では更に、吊りリード205~207を繋ぎリード153から切り離す。この場合、図25に示すように、吊りリード205~207の切断面は、モールド上流面55cやモールド下流面55dにてセンサSA50の側方に露出することになる。なお、これら吊りリード205~207の切断面を樹脂等によりコーティングしてもよい。
本実施形態によれば、検出フレーム61と処理フレーム62とが、分離部201により互いに独立した部位になっているため、SA基板53の一部を通じて処理フレーム62から検出フレーム61に熱が伝わるということがない。このため、フレーム規制部81が処理フレーム62から検出フレーム61への伝熱をより確実に規制できる。
本実施形態によれば、センサSA50の製造時では、基材151において検出吊りリード205,206により検出フレーム61が支持されている。このため、検出フレーム61と処理フレーム62とを接続する部位がSA基板53に含まれていなくても、検出フレーム61が基材151から離脱するということを回避できる。換言すれば、検出フレーム61を支持する検出吊りリード205,206が基材151に含まれているため、検出フレーム61を処理フレーム62から独立させた構成をSA基板53にて実現することができる。
(第3実施形態)
第3実施形態では、流量検出部22及び流量処理部54とSA基板53との間に中間板が設けられている。本実施形態では、上記第1実施形態との相違点を中心に説明する。
図36、図37に示すように、センサSA50は中間板210を有している。中間板210はガラス板等により板状に形成されており、絶縁性を有している。中間板210はSA基板53に取り付けられており、中間板210の裏面がSA基板53の表面53aに重ねられている。中間板210は、高さ方向Yにおいて、接続フレーム63及び基板孔69を跨いで検出フレーム61と処理フレーム62とにかけ渡された状態になっている。中間板210は、検出フレーム61に重ねられた検出板部211と、処理フレーム62に重ねられた処理板部212と、接続フレーム63に重ねられた接続板部213とを有している。
中間板210においては、検出板部211の表面に流量検出部22が取り付けられており、処理板部212の表面に流量処理部54が取り付けられている。この場合、流量検出部22が検出板部211を介して検出フレーム61に固定され、流量処理部54が処理板部212を介して処理フレーム62に固定されていることになる。
本実施形態では、上記第1実施形態とは異なり、奥行き方向ZにおいてSA基板53の基板孔69が流量検出部22よりも外側にはみ出している一方で、流量処理部54よりは外側にはみ出していない。この場合、奥行き方向Zにおいて基板孔69の幅寸法W5(図7参照)が、流量検出部22の幅寸法W3(図7参照)よりも大きくなっている一方で、流量処理部54の幅寸法W4(図7参照)より小さくなっている。この場合でも、検出フレーム61と処理フレーム62との間にフレーム規制部81が設けられていることには変わりがない。
中間板210には、基板孔69に連通する中間板孔215が設けられている。中間板孔215は、平面視で基板孔69と同じ大きさ及び形状を有しており、中間板孔215の周縁部は幅方向Xにおいて基板孔69の周縁部に重なっている。この場合、奥行き方向Zにおいて中間板孔215の幅寸法は、基板孔69の幅寸法W5と同じになっている。また、接続板部213は、奥行き方向Zに中間板孔215を挟んで一対設けられている。
モールド部55は、フレーム規制部81に加えて、処理板部212から検出板部211に熱が伝わることを規制する板規制部216を有している。板規制部216は、モールド部55のうち中間板孔215に入り込んだ部分であり、中間板孔215の内部に充填された状態になっている。このため、板規制部216は、中間板孔215と同じ大きさ及び形状になっている。板規制部216は、奥行き方向Zにおいて接続板部213に横並びに配置されている。この場合、板規制部216と接続板部213とは、中間板210の板面に沿って横並びに配置されていることになる。また、板規制部216は、幅方向Xにおいてフレーム規制部81と直接規制部82との間に配置されている。
本実施形態では、SA基板53及び中間板210が支持板部を構成している。検出フレーム61及び検出板部211が検出支持部を構成し、処理フレーム62及び処理板部212が処理支持部を構成し、接続フレーム63及び接続板部213が接続支持部を構成している。フレーム規制部81及び板規制部216が伝熱規制部を構成している。
中間板210は、検出板部211を貫通する検出板孔217を有している。検出板孔217は、幅方向Xにおいて検出凹部91と検出フレーム孔95との間に設けられており、検出凹部91と検出フレーム孔95とを連通している。このため、フィルタ部96を通過して検出フレーム孔95に到達した空気は、さらに検出板孔217を通ることで検出凹部91内に流入することになる。検出板孔217は、平面視において検出フレーム孔95と同じ形状及び大きさになっている。検出板孔217の中心線は検出凹部91の中心線CLに一致している。
センサSA50の製造方法について、図38~図41等を参照しつつ説明する。基本的には、上記第1実施形態と同様の工程でセンサSA50を製造する。
まず、中間板210を成型する工程を行う。この工程では、ガラス板に対して切断加工等の加工を施すことで中間板210を成型する。具体的には、ガラス板に貫通孔を形成することで、中間板孔215及び検出板孔217を有する中間板210を成型する。そして、基材151を成型した後、基材151の打ち抜かれ面151aに中間板210を取り付ける工程を行う。この工程では、図38、図39に示すように、中間板210の裏面を接着剤等により打ち抜かれ面151aに固定する。
続いて、図40、図41に示すように、基材151の打ち抜かれ面151aに保護チップ71を取り付け、且つ中間板210の表面に流量検出部22及び流量処理部54を取り付ける。また、流量検出部22や流量処理部54、SA基板53にボンディングワイヤ72を接続する。その後、基材151にモールド部55を取り付け、センサSA50からリード152,153を切り離すことで、センサSA50を完成させる。
本実施形態によれば、中間板210において検出板部211と処理板部212との間に板規制部216が設けられているため、処理板部212から検出板部211に熱が伝わることが板規制部216により規制される。このため、流量処理部54にて熱が発生したとしても、この熱が流量処理部54から検出板部211及び処理板部212を介して流量検出部22に伝わるということが生じにくくなっている。
本実施形態によれば、流量処理部54と処理フレーム62との間に処理板部212が設けられているため、流量処理部54の熱が処理フレーム62に伝わりにくくなっている。しかも、流量検出部22と検出フレーム61との間に検出板部211が設けられているため、検出フレーム61の熱が流量検出部22に伝わりにくくなっている。これらのように、流量処理部54の熱が処理フレーム62及び検出フレーム61を介して流量検出部22に伝わることを、処理板部212及び検出板部211により抑制できる。
(他の実施形態)
以上、本開示による複数の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定して解釈されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
変形例1として、検出フレーム孔95の表開口95aは検出凹部91の凹開口91cより小さくなくてもよい。例えば、図42に示すように、表開口95aが凹開口91c寄り小さい構成とする。この構成では、表開口95aの周縁部が凹開口91cよりも外周側に離間した位置に配置されている。
変形例2として、フィルタ部96は検出フレーム孔95に加えて基板孔69を裏側から覆っていてもよい。例えば、図43、図44に示すように、高さ方向Yにおいて、フィルタ部96が基板孔69及び接続フレーム63を跨いで検出フレーム61と処理フレーム62とにかけ渡されるように設けられた構成とする。
変形例3として、流量検出部22及び流量処理部54は、両方ともSA基板53の表側に設けられているのではなく、少なくとも一方がSA基板53の裏側に設けられていてもよい。例えば、流量検出部22が検出フレーム61の表面61aに取り付けられ、流量処理部54が処理フレーム62の裏面に取り付けられた構成とする。このように、流量検出部22及び流量処理部54のうち一方がSA基板53の表側に設けられ、他方がSA基板53の裏側に設けられた構成では、流量処理部54の熱がモールド部55を介して流量検出部22に伝わるということが生じにくくなっている。これは、流量検出部22と流量処理部54との離間距離を極力大きくできるためである。
変形例4として、フレーム規制部81や板規制部216といった伝熱規制部は、モールド部55とは別体として設けられていてもよい。例えば、硬化した状態の樹脂を検出フレーム孔95の内部に設け、その後、この伝熱規制部ごとSA基板53や流量検出部22を覆うモールド部55を成型する。また、伝熱規制部は、モールド部55とは異なる材料により形成されていてもよい。例えば、モールド部55よりも断熱性の高い材料により伝熱規制部が形成された構成とする。さらに、空気等の流体により伝熱規制部が形成されていてもよい。例えば、空気等の気体が基板孔69に充填された構成とする。
変形例5として、上記第1実施形態では、検出フレーム61と処理フレーム62との間にはSA基板53を貫通する貫通部として基板孔69が設けられていたが、貫通部として切り欠き部がSA基板53に設けられていてもよい。換言すれば、上記第1実施形態では、奥行き方向Zにおいて、基板孔69はSA基板53の中間位置に設けられていたが、SA基板53の一方の側端から他方の側端に向けて延びた切り欠き部が検出フレーム61と処理フレーム62との間に設けられていてもよい。例えば、奥行き方向Zにおいて、SA基板53の一方の側端に切り欠き部が設けられ、他方の側端に接続フレーム63が設けられた構成とする。この構成でも、貫通部としての切り欠き部と接続フレーム63とが奥行き方向Zに横並びに設けられており、切り欠き部を打ち抜き加工やプレス加工により容易に形成することができる。
変形例6として、上記第1実施形態では、奥行き方向Zにおいて接続フレーム63の幅寸法を検出フレーム61や処理フレーム62の幅寸法より小さくすることで、接続フレーム63の断面積が検出フレーム61や処理フレーム62の断面積より小さくしていた。これに対して、幅方向Xにおいて接続フレーム63の厚み寸法を検出フレーム61や処理フレーム62の厚み寸法より小さくすることで、接続フレーム63の断面積が検出フレーム61や処理フレーム62の断面積より小さくしてもよい。この場合でも、接続フレーム63の断面積が小さくなった分だけ、検出フレーム61と処理フレーム62との間にフレーム規制部81等の伝熱規制部を設けることができる。
変形例7として、打ち抜き加工やプレス加工により基材151を成型するのではなく、ドライエッチングやウェットエッチング等のエッチング加工により基材151を成型してもよい。
変形例8として、検出フレーム61においては、裏面61bに加えて又は代えて表面61aがモールド部55の外部に露出していてもよい。例えば、表モールド溝88の深さ寸法を大きくすることで、表モールド溝88の底面88aに検出フレーム61の表面61aが露出する構成とする。この構成では、処理フレーム62から検出フレーム61に熱が伝わったとしても、その熱が表モールド溝88において検出フレーム61の表面61aから外部に放出されるため、検出フレーム61から流量検出部22に伝わる熱を低減できる。また、SA基板53の表面53aや裏面53bから熱を外部に放出する専用の放熱孔がモールド部55に設けられていてもよい。
変形例9として、上記第3実施形態において、SA基板53の裏面53bに絶縁性を有するガラス板等の裏板部が設けられていてもよい。この場合、SA基板53及び裏板部が支持板部を構成することになる。
変形例10として、上記第2実施形態において、センサSA50の製造時において、基材151は、処理フレーム62を支持する処理吊りリード207を有していなくてもよい。この場合でも、処理フレーム62は、グランドリードターミナル64により支持された状態になっているため、基材151から離脱しないようになっている。また、基材151において、検出フレーム61を支持する検出吊りリードは、繋ぎリード153ではなくかけ渡しリード152に接続されていてもよい。
変形例11として、センサSA50は、吸入空気等の流体を対象として流量とは異なる物理量を検出する物理量検出部を有していてもよい。この物理量検出部としては、温度を検出する検出部や、湿度を検出する検出部、圧力を検出する検出部などが挙げられる。これら検出部は、ハウジング21の内部において計測流路32や通過流路31に設けられていてもよく、ハウジング21の外部において吸気通路12に設けられていてもよい。この場合、センサSA50は、物理量検出部が検出する物理量の検出結果が入力される物理量処理部を有している。