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JP7120726B2 - 口腔リハビリ器具 - Google Patents

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JP7120726B2 JP2019022166A JP2019022166A JP7120726B2 JP 7120726 B2 JP7120726 B2 JP 7120726B2 JP 2019022166 A JP2019022166 A JP 2019022166A JP 2019022166 A JP2019022166 A JP 2019022166A JP 7120726 B2 JP7120726 B2 JP 7120726B2
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Description

本発明は、舌の挙上をはじめ口腔の運動機能の改善による嚥下機能等の回復や嚥下動作の補助を目的として用いられる口腔リハビリ器具に関する。
嚥下は、舌の運動により食物や飲物を上顎の軟口蓋に押し付けて、口腔から咽頭に送る口腔期と、喉頭蓋が下がることにより気道を閉鎖して、食べ物等を咽頭から食道に送る咽頭期と、食物等を食道の蠕動運動により胃まで送る食道期とに分けられる。嚥下障害とは、種々の原因により嚥下の機能が損なわれることである。嚥下障害になると食物等を摂取できなくなったり、誤って食物等が気道に入ったりすることにより、例えば誤嚥性肺炎を誘発したりする場合がある。
嚥下障害の一因としては、加齢に伴う舌の運動機能の低下や咀嚼機能の低下が挙げられる。そこで、従来より、嚥下障害者の嚥下を促すとともに、嚥下に使用される筋力の訓練を行なうことができる嚥下訓練用の口腔リハビリ器具が提案されている。その一例として、内部に流体が充填される流体充填部を有し、口腔内に挿入されて口腔内で外力を受けて弾性変形する受圧部と、内部に流体が充填される流体充填部を有し、口腔外に配置されて手が触れる接触部を有する圧力伝達部と、受圧部の流体充填部と圧力伝達部の流体充填部とを連通する管状部材とを備える嚥下訓練器具が提案されている(特許文献1)。かかる口腔リハビリ器具は、被訓練者が受圧部を口腔内に挿入して舌の力によって受圧部に外力を加えると、受圧部が弾性変形して押し潰され、流体が管状部材から圧力伝達部の流体充填部に流入して流体充填部の容積が拡大し、この弾性変形を手で感じ取ることにより、嚥下訓練をしているという実感を手の感覚で得ることができるというものである。
しかし、この種の訓練は単調であり、かつ、訓練の効果が表れるまで相当の期間を要するため、よほど強い意志がなければ、訓練を持続させることは難しい。特に、嚥下障害者が主として高齢者であることに鑑みると、適切な訓練方法とは言い難いところがある。そこで、日々の生活において必然的な飲料を飲むという行為と訓練を融合させるとのコンセプトに基づき、口腔内に挿入されて口腔内で外力を受けて弾性変形する軟質樹脂製の口腔内挿入部を飲料容器の口部に取り付けた嚥下訓練用の口腔リハビリ器具が提案されている(特許文献2)。かかる口腔リハビリ器具は、口腔内挿入部が被訓練者の口蓋窩へ収容されることで、高齢化に伴って舌が細くなったことにより生じた口蓋窩と舌の間の空間が埋まり、口腔内挿入部を介して口蓋窩に舌圧を加えることができて、その反作用で舌の根元に加わる力により喉頭蓋が倒れて気管が塞がれるようになるため、口腔内挿入部を吸引して口腔内挿入部の前端の孔から送出された飲料の嚥下を適正に行うことができるようになり、この訓練を継続することで、嚥下機能が回復していくというものである。
特開2017-189461号公報 特許第6333487号公報
本発明は、飲食という要素を取り入れて、使用持続可能性を向上させるとともに、さらに新たな機能を付加した口腔リハビリ器具を提供することを課題とする。
本発明に係る口腔リハビリ器具は、
中空で基端から先端にかけて内部に空間部が形成され、先端側の下面部に隆起部が形成され、空間部が狭窄部分を経て先端側にて拡大されて流動食又は飲料の貯留部となり、先端側であって口腔内奥行方向と交差する方向においてのみ貯留部の内外を連通する孔が形成され、口腔内に挿入される弾性変形可能な口腔内挿入部と、
内部の収容空間に流動食又は飲料が収容された柔軟性容器の口部に着脱自在に接続され、口腔内挿入部の空間部と柔軟性容器の収容空間とを連通する接続部とを備える。
かかる構成によれば、嚥下訓練を行う場合、使用者は、柔軟性容器を持って把握することで、柔軟性容器内の収容空間に収容されている内容物が柔軟性容器の口部から押し出され、接続部を介して口腔内挿入部内の空間部に供給される。そして、使用者は、舌を口腔内挿入部に当て、舌を押し上げて口腔内挿入部を口蓋に押し付ける。これにより、口腔内挿入部内の空間部に供給された内容物が孔から押し出され、口腔内に排出される。使用者は、嚥下動作をさらに進めることで、この内容物を飲み込むことができる。そして、訓練中は、舌に適切な負荷が掛かるため、使用者が訓練を継続することで、舌の筋力やその他嚥下に用いられる筋力が鍛錬され、嚥下機能の回復という効果が期待できる。
ここで、本発明に係る口腔リハビリ器具の一態様として、
孔は、口腔内奥行方向と交差する方向として、隆起部とは反対側の上面部に形成される
構成を採用することができる。
以上の如く、本発明に係る口腔リハビリ器具によれば、摂食ないし飲食行為を組み合わせることで(摂食ないし飲食という要素を取り入れて)、使用持続可能性を向上させることができ、また、手の把握運動促進という新たな機能を付加することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る把握運動促進機能付き嚥下訓練器具の正面図である。 図2は、同訓練器具の分解正面図である。 図3(a)は、同訓練器具の構成の一つである口腔内挿入具の側面図であり、同図(b)は、同口腔内挿入具の側面断面図であり、同図(c)は、同口腔内挿入具の下面図であり、同図(d)は、同図(c)のA-A線断面図である。 図4(a)及び(c)は、同訓練器具の構成の一つである接続具の側面図であり、同図(b)及び(d)は、同接続具の側面断面図である。 図5は、同訓練器具の要部拡大断面図である。 図6は、同訓練器具を用いて嚥下訓練をしている様子を示す説明図である。 図7(a)ないし(c)は、同訓練器具を用いて嚥下訓練をしている最中の舌の動きを示す説明図である。 図8は、他実施形態に係る把握運動促進機能付き嚥下訓練器具を用いて嚥下訓練をしている様子を示す説明図である。 図9(a)は、別の実施形態に係る把握運動促進機能付き嚥下訓練器具の口腔内挿入具の前面図であり、同図(b)は、同口腔内挿入具の下面図であり、同図(c)は、同口腔内挿入具の正面図であり、同図(d)は、同訓練器具を用いて嚥下訓練をしている様子を示す説明図である。 図10(a)は、さらに別の実施形態に係る把握運動促進機能付き嚥下訓練器具の口腔内挿入具及び同訓練器具の構成の一つである口腔前庭介装具を組み合わせた状態の下面図であり、同図(b)は、同図(a)の口腔前庭介装具を断面にした状態の下面図である。 図11(a)は、別の実施形態に係る把握運動促進機能付き嚥下訓練器具の口腔内挿入具の側面図であり、同図(b)は、同口腔内挿入具の頭部の拡大側面断面図であり、同図(c)は、同頭部の拡大下面図である。
以下、本発明に係る口腔リハビリ器具の一実施形態として、手の把握運動促進機能付き嚥下訓練器具について、図面を参酌して説明する。
図1及び図2に示す如く、訓練器具1は、被訓練者の口腔内に挿入される口腔内挿入具2と、口腔内挿入具2と柔軟性容器6とを接続する接続具5とで構成される。口腔内挿入具2は、本発明に係る口腔内挿入部に相当し、接続具5は、本発明に係る接続部に相当するものである。
口腔内挿入具2は、シリコーンゴム、イソプレンゴム、熱可塑性エラストマーあるいは天然ゴムといった軟質樹脂等の材料によって形成され、全体が中空体とされた成形品である。図3に示す如く、口腔内挿入具2は、基部20と、基部20から一方向に突出して被訓練者の口腔内に適合する形状、より具体的には、口蓋と舌の間の空間部に適合する形状を有する本体部24とを備える。
基部20は、所定の肉厚を有して環状に形成される。基部20は、端部外周から外方向に環状に突出するフランジ部21と、フランジ部21に隣接する括れ部22とを備える。本実施形態においては、基部20は、円環状である。
本体部24は、基部20(の括れ部22)から所定の肉厚を有して延びて外周が徐々に拡大(拡径)された後、徐々に縮小(縮径)される形状を有する胴部25と、胴部25から所定の肉厚を有して延びて幅及び高さが徐々に拡大する形状を有する頭部26とを備える。本実施形態においては、胴部25は、円形であり、頭部26は、上下方向よりも幅方向が広い扁平状である。
頭部26の上面部26aは、幅方向の両側に向かうほど下がる曲面形状となることで、被訓練者の口蓋に適合する形状を有する。他方、頭部26の下面部26bは、下面部26bに接触した舌の先端部が入り込むよう誘導されるポケット部27と、ポケット部27の先端側にてポケット部27に隣接する隆起部28とを備える。
ポケット部27は、頭部26の下面部26bの中央部が頭部26の上面部26a側に凹むことで形成される。ポケット部27は、ポケット部27の最深部からポケット部27の基端側に位置する前斜面部27aと、ポケット部27の最深部からポケット部27の先端側に位置する後斜面部27bと、ポケット部27の最深部からポケット部27の両側に位置する側壁部27cとで構成される。前斜面部27aは、後斜面部27bよりも急な斜面である。言い換えれば、後斜面部27bは、前斜面部27aよりも緩やかな斜面である。側壁部27cは、湾曲面の斜面である。なお、「前」とは、口腔内挿入具2を口腔内に挿入した被訓練者にとっての「前」を意味し、「後」とは、口腔内挿入具2を口腔内に挿入した被訓練者にとっての「後」を意味する(以下、同様。)。
隆起部28は、頭部26の下面部26bの先端部が膨らむことで形成される。隆起部28は、隆起部28の頂部から隆起部28の基端側に位置する前斜面部28aと、隆起部28の頂部から隆起部28の先端側に位置し、頭部26の先端部26dを構成する後壁部28bと、隆起部28の頂部から隆起部28の両側に位置する側壁部28cとで構成される。前斜面部28aは、ポケット部27の後斜面部27bに連続して形成され、後壁部28bよりも緩やかな斜面である。言い換えれば、後壁部28bは、前斜面部28aよりも急な斜面である。より詳しくは、後壁部28bは、中心側が凹む凹面状の斜面である。側壁部28cは、湾曲面の斜面である。
口腔内挿入具2は、上述のとおり、中空体であるので、内部に空間部30を有する。空間部30は、基部20内に画される開口部31と、胴部25内に画される胴部内空間部32と、頭部26内に画される頭部内空間部のうち、頭部26の基端部26c(胴部25側の端部)からポケット部27の最深部にかけての頭部内第一空間部33と、ポケット部27の最深部から頭部26の先端部26dにかけての頭部内第二空間部34とで構成される。胴部内空間部32は、容量が大きく、拡大された空間部である。頭部内第一空間部33は、胴部内空間部32から扁平状に狭窄した空間部である。頭部内第二空間部34は、頭部内第一空間部33を抜けて拡大された空間部である。
頭部26の上面部26aには、空間部30(の頭部内第二空間部34)の内外を連通する孔35が形成される。孔35は、頭部26の上面部26aの幅方向の中央部に形成される。本実施形態においては、孔35は、円孔であり、頭部26の上面部26aに一つ形成される。
図4に示す如く、接続具5は、所定の肉厚を有して中空で可撓性を有する管体部50と、管体部50の一端に設けられ、口腔内挿入具2が接続される第一接続部51と、管体部50の他端に設けられ、柔軟性容器6の口部に接続される第二接続部55とを備える。
管体部50は、シリコーンゴム、熱可塑性エラストマー、PVC(ポリ塩化ビニル)といった軟質樹脂等の材料のチューブが用いられる。なお、管体部50は、通常は真っ直ぐであるが、本図においては、約90度湾曲させた状態で表している。管体部50の長さ、径及び硬さは、特に限定されないが、第二接続部55における管体部50の軸線に対する第一接続部51における管体部50の軸線の折れ曲がり角が少なくとも45度以上、より好ましくは、60度以上、さらに好ましくは、80度以上となることを可能とするものが選ばれる。
第一接続部51は、口腔内挿入具2の基部20が当接して基部20を受ける受け部52と、受け部52に着脱自在に取り付けられ、受け部52に口腔内挿入具2の基部20を固定するキャップ53とで構成される。
受け部52は、口腔内挿入具2の基部20と同程度の大きさに形成される。本実施形態においては、口腔内挿入具2の基部20は、円環状であるため、受け部52の外形は、円形である。受け部52は、中心部に軸線方向に沿って孔52aを有する。また、孔52aの一部(孔52aの先端側の一部を除く部分)は、拡径され、ここに、管体部50の一端が挿入される。孔52aの拡径部の内径は、管体部50の外径よりも僅かに小さくなるよう設定されるため、拡径部に挿入した管体部50は簡単には抜けない。
受け部52の外周には、雄ネジ部52bが形成される。他方、キャップ53の内周には、雌ネジ部53aが形成される。これにより、キャップ53は、受け部52に着脱自在に螺合される。なお、キャップ53を締める際に、受け部52が共回りしないよう、受け部52には、指を引っ掛けて受け部52の回転を規制する回転規制部52cが設けられる。本実施形態においては、回転規制部52cは、受け部52の基端側端面から軸方向に板状に突出する突起である。
キャップ53は、端部内周から内方向に環状に突出するフランジ部53cが形成されるようにして、中心部に孔53bを有する。フランジ部53cが口腔内挿入具2の基部20の括れ部22に嵌り、かつ簡単には抜けないよう、孔53bの内径は、口腔内挿入具2の基部20のフランジ部21の外径よりは小さく、かつ、括れ部22の外径と同じかそれよりも僅かに大きくなるよう設定される。
第二接続部55は、中心部に軸線方向に沿って孔55aを有する。また、第二接続部55は、先端側端面から突出する筒状の差し込み部55bを有し、ここに、管体部50の他端が外嵌される。差し込み部55bの外径は、管状部50の内径よりも僅かに大きくなるよう設定されるため、差し込み部55bが挿入された管体部50は簡単には抜けない。
第二接続部55の内周には、柔軟性容器6の口部の外周に形成された雄ネジ部に対応する雌ネジ部55cが形成される。これにより、第二接続部55は、柔軟性容器6の口部に着脱自在に螺合される。
図5に示す如く、柔軟性容器6は、一般的には口栓(スパウト)付きのパウチ容器の形態が採られる。柔軟性容器6には、牛乳、卵、果汁、くず湯、重湯(おもゆ)、スープ、オートミール、飴砂糖類、ゼリー、プディング、ゼリータイプの健康食品、ゼリータイプの栄養補助食品といった流動食(流動性を有して咀嚼を要しない食物)が収容される。本実施形態においては、内容物が収容された市販のものが用いられる。
そして、接続部5の第一接続部51の受け部52の先端側端面に口腔内挿入具2の基部20のフランジ部21を当接させて、キャップ53を締め込むことにより、受け部52の先端側端面とキャップ53のフランジ部53cとで口腔内挿入具2の基部20のフランジ部21を挟み込んで、口腔内挿入具2(の基部20)と第一接続部51とが接続された状態にした上で、接続部5の第二接続部55を柔軟性容器6の口部60の雄ネジ部60aに螺合して、第二接続部55が柔軟性容器6の口部60に接続される。これにより、柔軟性容器6の口部60から接続部5を介して口腔内挿入具2は、内部の空間部が連通した状態となる。そのため、柔軟性容器6の口部60から排出された流動食は、接続部5の管体部50を通じて口腔内挿入具2内の空間部30に供給され、上面部26aの孔35からの注出が可能となる。
本実施形態に係る訓練器具1は、以上の構成からなり、次に、この訓練器具1を用いた訓練方法について説明する。
図6に示す如く、被訓練者は、柔軟性容器6を持ち、柔軟性容器6を把握する。これにより、柔軟性容器6に外力が加わって柔軟性容器6内の収容空間が減容し、収容されている流動食が口部60から押し出され、接続部5内に排出される。そして、排出された流動食は、接続部5を介して口腔内挿入具2内の空間部30に供給される。しかし、孔35が口腔内挿入具2の頭部26の上面部26aに設けられ、孔35が口腔内奥行方向と交差する方向に形成されるため、被訓練者が口腔内挿入具2の頭部26を吸引しても、被訓練者の吸引力は、口腔内挿入具2内の空間部30に伝達されにくい。そのため、流動食は孔35から排出されにくくなっている。しかも、孔35が口腔内挿入具2の頭部26の上面部26aに設けられることで、口腔内挿入具2が口腔内に挿入された状態では、孔35は口蓋によって塞がれて閉塞状態ないし閉塞に近い状態となるため、流動食が孔35から排出されにくいのはなおさらである。
したがって、被訓練者が流動食を摂食するには、被訓練者は、口腔内挿入具2内の空間部30に貯留されている流動食を押し出して孔35から排出させる動作が必要となる。この動作を具体的に表したのが図7である。被訓練者は、まず、図7(a)に示す如く、舌の先端部を口腔内挿入具2の頭部26の下面部26bに接触させる。すると、頭部26の下面部26bには、ポケット部27が形成されているため、舌の先端部はポケット部27に誘導される。これにより、被訓練者の舌は、口腔内挿入具2の頭部26の位置を円滑かつ確実に捉えることができる。
被訓練者は、次に、同図(b)に示す如く、舌の先端部を口蓋に向けて押し上げて、口腔内挿入具2の頭部26を口蓋に当たるようにする。これにより、口腔内挿入具2の頭部26は口蓋に支持されるため、舌の先端部による力は、口腔内挿入具2の頭部26に確実に伝達され、口腔内挿入具2の頭部26を弾性変形させる力に転換可能となる。
そこで、被訓練者は、同図(c)に示す如く、嚥下動作と同様、舌全体を口蓋に向けて押し上げる。すると、舌は、ポケット部27の先にある隆起部28を弾性変形させて押し潰す。これにより、隆起部28内にある頭部内第二空間部34が減容し、頭部内第二空間部34に貯留されている流動食が孔35から押し出され、口腔内に排出される。被訓練者は、嚥下動作をさらに進めることで、この流動食を飲み込むことができる。なお、隆起部28は、後壁部28bを中心側が凹む凹面状にして、潰しやすくしている。
このように、本実施形態に係る訓練器具1を用いた訓練方法によれば、舌に適切な負荷が掛かるため、被訓練者が訓練を継続することで、舌の筋力やその他嚥下に用いられる筋力が鍛錬され、嚥下機能の回復という効果が期待される。しかも、本実施形態に係る訓練器具1を用いた訓練方法は、日々の生活において必然的な摂食行動を融合させた(組み合わせた)ものであるため、単に鍛錬を行うという単純目的の訓練方法に比べて、使用(訓練)持続可能性が高い。したがって、本実施形態に係る訓練器具1を用いた訓練方法によれば、より多くの被訓練者において、嚥下機能の回復という効果が見込まれる。
また、本実施形態に係る訓練器具1を用いた訓練方法によれば、舌の先端部の動きが口腔内挿入具2の頭部内空間部(頭部内第一空間部33及び頭部内第二空間部34)を基端側から先端側に絞り上げていくという動作が的確に行われたならば、多くの量の流動食が頭部内空間部に留まることなく孔35から絞り出されるため、被訓練者は、訓練を適切に行えているか否かを口腔内挿入具2から排出される流動食の量で確認することができる。
また、上述のとおり、被訓練者が口腔内挿入具2の頭部26を吸引しても、流動食は孔35から排出されにくく、流動食を得るためには、適切な嚥下動作を行わなければならない。したがって、本実施形態に係る訓練器具1を用いた訓練方法によれば、被訓練者の意識の有無に関わらず、自然的に正しい訓練をするように仕向けられるため、効果の上がらない意図しない訓練が行われてしまうのを好適に防止することができる。
また、本実施形態に係る訓練器具1は、口腔内挿入具2と柔軟性容器6との間に可撓性を有して湾曲可能な接続具5を介在させ、柔軟性容器6に対する口腔内挿入具2の方向を変更可能にしている。そのため、柔軟性容器6を立てた状態で持って(口部60が上になるように持って)、そのままの姿勢で訓練を行うことができる。仮に柔軟性容器6を斜めに持ち上げて訓練を行う場合、顎が浮き、頭が上向きになった姿勢になりやすいが、そうなると、適切な嚥下動作を行うことができず、誤嚥しやすくなる。しかし、本実施形態に係る訓練器具1を用いた訓練方法によれば、頭は視線が水平方向を向く通常姿勢を維持することができるため、オトガイ部を引いた適切な嚥下姿勢の下、適切な嚥下動作を行うことができ、誤嚥の発生を防ぐことができる。
加えて、本実施形態に係る訓練器具1を用いた訓練方法は、必要かつ十分な量の流動食を口腔内挿入具2内の空間部30に供給するために、柔軟性容器6の把握運動を行う必要がある。また、訓練中は、流動食が口腔内挿入具2から適宜排出されていくので、減った分を口腔内挿入具2内の空間部30に補充するためにも、柔軟性容器6の把握運動を行う必要がある。したがって、訓練中における柔軟性容器6の把握運動は、それなりの運動量となる。手は「第2の脳」とも呼ばれ、指先を動かせば、脳に刺激が伝わり、脳を活性化させることができる。したがって、本実施形態に係る訓練器具1を用いた訓練方法によれば、認知症予防や脳機能障害のリハビリ、さらには、手や手指の筋力向上という、嚥下機能回復とは全く異質の効果も同時的に期待することができる。本実施形態に係る訓練器具1を「手の把握運動促進機能付きの嚥下訓練器具」と称する所以である。
また、本実施形態に係る訓練器具1を用いた訓練方法によれば、食事の自主性(他人からスプーンで口に放り込まれるのではなく、飲む量とタイミングを自分で決められる)を保ち、当該者の人格の尊厳を守ることができるという利点もある。
なお、本発明に係る口腔リハビリ器具は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、上記実施形態においては、口腔内挿入具2と柔軟性容器6とを接続する接続具5として、可撓性を有するものが用いられ、柔軟性容器6に対する口腔内挿入具2の方向が変更可能に構成される。しかし、接続具は可撓性を有さないものであってもよい。要は、接続具は、口腔内挿入具2と柔軟性容器6とを接続するという最小限の機能さえ有していれば、どのような形態のものであっても構わない。一例を挙げると、図8に示す如く、柔軟性容器6の口部60に接続される接続部(上記実施形態においては、第二接続部55)が第一接続部51(上記実施形態においては、受け部52)と一体化された構成を採用することができる。
また、柔軟性容器6に対する口腔内挿入具2の方向を変更可能にするための接続部の構成は、管体部50の可撓性を利用した湾曲可能な構成に限定されない。例えば、自在接手を有して屈曲可能な構成を採用することができる。
また、上記実施形態においては、口腔内挿入具2と接続具5は別体の構成である。しかし、口腔内挿入具2と接続具5は一体に構成してもよい。
また、上記実施形態においては、管体部50と第一接続部51の受け部52は別体の構成であり、管体部50と第二接続部55は別体の構成である。しかし、管体部50と第一接続部51の受け部52は一体に構成してもよく、管体部50と第二接続部55は一体に構成してもよい。
また、上記実施形態においては、口腔内挿入具2の下面部に、ポケット部27及び隆起部28が設けられる。しかし、口腔内挿入具2においては、これらの構成は必ずしも必須ではない。
また、上記実施形態においては、隆起部28は、口腔内挿入具2の先端部に設けられる。しかし、隆起部28は、必ずしもこの位置に限定されない。
また、上記実施形態においては、口腔内挿入具2から流動食を排出させるための孔35は、口腔内挿入具2の頭部26の上面部26aに形成される。しかし、孔の形成箇所は、これに限定されない。例えば、孔は頭部26の先端部26dや頭部26の側方に形成されるようにしてもよい。
また、孔は一つに限られず、二以上の複数設けられるようにしてもよい。また、孔の形状も円孔に限られず、例えば、角孔や、Y字状、十字状、一字状にスリットを形成したものであってもよい。
また、本発明に係る口腔リハビリ器具は、図9に示す如く、口腔前庭(頬及び唇の内側の粘膜と上下の歯との間にできる馬蹄形状の空間部)に介装される口腔前庭介装部36を備えることができる。口腔前庭介装部36は、前歯部から左右に歯列ないし顎堤に沿って湾曲して延びる鍔状に形成され、主に、口角を封鎖して嚥下時の陰圧形成を補助すること、口腔内挿入部2の位置を適切に保持することを目的とする。
口腔前庭介装部36は、口腔内挿入具2の本体部24に設けられ、本体部24と一体成形される。口腔前庭介装部36は、周縁部36aが肉厚になっており、それ以外(周縁部36aよりも内側)が薄肉となっている。このため、口腔前庭介装部36の保形性が肉厚の周縁部36aによって得られつつも、薄肉部によって変形性(柔軟性)が得られ、図9(d)に示す如く、口腔内挿入具2の本体部24が上面側と下面側とで異なる変形をしても、上部介装部36a及び下部介装部36bは、それぞれ上下の口腔前庭に好適に介装される。また、口腔内庭介装部36は、同図(c)に示す如く、後傾している。これは、前歯の傾斜に合わせてフィット感を高めるためである。
また、口腔前庭介装部は、図10に示す如く、口腔前庭介装具7として、口腔内挿入具2とは別体に構成することもできる。同図に示す例では、口腔前庭介装具7は、口腔内挿入具2と同じ材質で形成されて、弾性変形可能であり、口腔内挿入具2と同様、フランジ部70を有し、かつ、口腔内挿入具2の基端側を内挿する胴部71を有する。そして、口腔前庭介装具7のフランジ部70に口腔内挿入具2のフランジ部21を重ねて一体化した状態で、図5に示す如く、キャップ53を締めて取り付ける。両者を別体に構成することで、いずれか一方のみを交換することができ、また、一体に構成するよりも低コストで製造することが可能となる。
また、本発明に係る口腔リハビリ器具は、図11に示す如く、ポケット部27の後方、すなわち、隆起部28の頂部あるいはその近傍に、口腔内挿入具2の頭部26の幅方向、すなわち、口腔内奥行方向と交差する方向に沿って延びる凸条37を備えることができる。生体では、硬口蓋のヒダ(口蓋ヒダ)が洗濯板のように舌をきれいにしたり、食物を送りやすくする働きがあるが、これと同様にして、凸条37を設けることにより、舌背をきれいにしたり、舌を適度に刺激する、あるいは舌の先端部をポケット部27に入れる際の感覚の目安になるという効果が期待できる。凸条37は、一本でもよいし、並列して複数本設けるようにしてもよい。
また、上記実施形態においては、流動食を摂食するものである。しかし、流動食でなく、水、茶、ジュースといった飲料であってもよい。この場合、飲料は流動食よりも孔からの排出性がよいことから、孔の大きさは流動食用のものよりは小さく設定される。あるいは、無負荷時は孔が閉塞される上記スリットタイプの孔であれば、一つで流動食用と飲料用の両方を兼用することができる。
また、上記実施形態においては、柔軟性容器6は内容物が収容された市販のものが用いられ、そのため、口栓(スパウト)の口部60は、一般的な形状である。しかし、本発明に係る口腔リハビリ器具の接続部と柔軟性容器の口部の接続形状を独自の形状とした専用の柔軟性容器を設け、その柔軟性容器しか接続できないようにしてもよい。その場合、高齢者向けに開発された栄養補助剤等の内容物が充填されたものを専用の市販品とし、これを購入して接続するとか、使用者や介助者が柔軟性容器に水、茶等の内容物を入れて接続するという使い方を含め、いろいろな使い方ができる。
また、本発明は、口腔内挿入具と柔軟性容器との組み合わせに係るものである。しかし、上記口腔内挿入具(及び口腔前庭介装具)は、それだけでも特徴的なものであるため、柔軟性容器との組み合わせに限定されない発明として成立し得る。
本発明に係る口腔リハビリ器具は、嚥下訓練器具のほか、本発明に係る口腔リハビリ器具を使用すると、適切な嚥下動作が行われ、これにより、優しく安全に飲み込むことができるため、嚥下補助器具としても使用することができる。また、本発明に係る口腔リハビリ器具を使用すると、正しい舌の運動を習得することができるため、本発明に係る口腔リハビリ器具は、嚥下障害者のみならず、低位舌や舌突出癖などの舌不良習癖者や、子供からエステ目的(口角を上げたり、顎のラインをシャープにしたり)の女性にも有効である。また、本発明に係る口腔リハビリ器具によれば、咀嚼機能や発音、鼻呼吸を促進して呼吸機能の改善という効果も期待できる。
1…訓練器具、2…口腔内挿入具、20…基部、21…フランジ部、22…括れ部、24…本体部、25…胴部、26…頭部、26a…上面部、26b…下面部、26c…基端部、26d…先端部、27…ポケット部、27a…前斜面部、27b…後斜面部、27c…側壁部、28…隆起部、28a…前斜面部、28b…後壁部、28c…側壁部、30…空間部、31…開口部、32…胴部内空間部、33…頭部内第一空間部、34…頭部内第二空間部、35…孔、36…口腔前庭介装部、36a…周縁部、37…凸条、5…接続具、50…管体部、51…第一接続部、52…受け部、52a…孔、52b…雄ネジ部、52c…回転規制部、53…キャップ、53a…雌ネジ部、53b…孔、53c…フランジ部、55…第二接続部、55a…孔、55b…差し込み部、55c…雌ネジ部、6…柔軟性容器、60…口部、60a…雄ネジ部、7…口腔前庭介装具、70…フランジ部、71…胴部

Claims (2)

  1. 中空で基端から先端にかけて内部に空間部が形成され、先端側の下面部に隆起部が形成され、前記空間部が狭窄部分を経て先端側にて拡大されて流動食又は飲料の貯留部となり、先端側であって口腔内奥行方向と交差する方向においてのみ前記貯留部の内外を連通する孔が形成され、口腔内に挿入される弾性変形可能な口腔内挿入部と、
    内部の収容空間に流動食又は飲料が収容された柔軟性容器の口部に着脱自在に接続され、前記口腔内挿入部の前記空間部と前記柔軟性容器の前記収容空間とを連通する接続部とを備える
    口腔リハビリ器具。
  2. 前記孔は、口腔内奥行方向と交差する方向として、前記隆起部とは反対側の上面部に形成される
    請求項1に記載の口腔リハビリ器具。
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