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JP7110690B2 - 非水系発熱組成物及び温熱製品 - Google Patents

非水系発熱組成物及び温熱製品 Download PDF

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JP7110690B2 JP2018075906A JP2018075906A JP7110690B2 JP 7110690 B2 JP7110690 B2 JP 7110690B2 JP 2018075906 A JP2018075906 A JP 2018075906A JP 2018075906 A JP2018075906 A JP 2018075906A JP 7110690 B2 JP7110690 B2 JP 7110690B2
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Description

本発明は、非水系発熱組成物、及びこれを用いた温熱製品に関するものである。
身体への局所加温においては、低温やけどの回避や顔や目等の温度に敏感な部位への適応もふまえ、精密な温度制御が求められる。従来の技術として、酸化により発熱する化学カイロがあるが、組成や反応機構が複雑で、成分によっては有臭ガスや有害ガスの発生が生じる可能性がある。また、無機塩類の水和熱や溶解熱を用いる発熱では、組成はシンプルであるが、使用時の温度制御は困難であり、上記従来技術でも温湯の利用や、水添加量の厳密な制御が必要であった。さらに、吸水剤を用いた場合、温度ムラの発生が課題となった。
温度制御の技術としては、例えば、粉末状の高吸水性ポリマーを水和により発熱する物質(発熱剤)と併用することで、添加する水の量に影響されず、発熱剤と接触する水分量を一定に保ち安定した発熱を可能にする技術が知られている(特許文献1:特開2003-24365号公報参照)。しかしながら、この技術では発熱させるために、33~45℃の温湯に温熱組成物を貼付した身体の一部又は全部を浸漬する必要があった。
特開2003-24365号公報
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、室温で発熱させることができ、温度制御が可能な非水系発熱組成物、及びこれを利用した温熱製品を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、(A)水との反応で発熱し、反応熱が10~500kJ/molである無機無水物及びその水和物から選ばれる1種以上と、(B)置換基にメトキシ基を含有する水溶性セルロースエーテルとの混合物が、水により室温において素早く発熱し、38~55℃、特に40~45℃付近を一定に長時間保つことができることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
従って、本発明は下記非水系発熱組成物及び温熱製品を提供する。
[1].(A)水との反応で発熱し、反応熱が10~500kJ/molである無機無水物及びその水和物から選ばれる1種以上、及び
(B)置換基にメトキシ基を含有する水溶性セルロースエーテル
を含有し、水の添加により発熱する非水系発熱組成物。
[2].(B)成分が、グルコースユニット当たりに導入されたメトキシ基のモル数が1.5~2.0の水溶性セルロースエーテルである[1]記載の非水系発熱組成物。
[3].(B)成分が、メチルセルロースである[1]又は[2]記載の非水系発熱組成物。
[4].(A)成分が、アルミニウムと水酸化カルシウム又は酸化カルシウムとの混合物、酸化カルシウム、塩化マグネシウム及び塩化カルシウムから選ばれるものである[1]~[3]のいずれかに記載の非水系発熱組成物。
[5].非水系発熱組成物が、不織布、織布、編布又は脱脂綿と組み合わせ、シート状に形成されている、[1]~[4]のいずれかに記載の非水系発熱組成物。
[6].[1]~[5]のいずれかに記載の非水系発熱組成物と水とを有し、非水系発熱組成物と水とが遮断された温熱製品であって、非水系発熱組成物と水とを接触させる手段を有する温熱製品。
本発明によれば、室温で発熱させることができ、温度制御が可能な非水系発熱組成物、及びこれを利用した温熱製品を提供することができる。
実施例11の測定位置を示す図である。 実施例12で使用したアイマスクの構成図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
[(A)成分]
(A)水との反応で発熱し、反応熱が10~500kJ/mol(無機無水物もしくは水和物1モルあたりの熱量)である無機無水物及びその水和物から選ばれる1種以上である。このような成分としては、塩化カルシウム(以下、反応熱+43kJ/mol)、塩化マグネシウム(+12kJ/mol)、塩化アルミニウム等の塩化物、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム等の硫酸塩、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸塩、酸化カルシウム(+65kJ/mol)等の酸化物等の無機物、さらにこれらの水和物や、アルミニウムと水酸化カルシウムとの混合物(+377kJ/mol)、アルミニウムと酸化カルシウムとの混合物(+442kJ/mol)等が挙げられ、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。中でも、発熱効果の高さと温度制御のしやすさの観点から、アルミニウムと水酸化カルシウムとの混合物(+377kJ/mol)、アルミニウムと酸化カルシウムとの混合物(+442kJ/mol)、酸化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウムが好ましく、発熱の速さの観点から、アルミニウムと水酸化カルシウムの混合物、酸化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウムがより好ましい。
特に、(A)成分が、(A-1)アルミニウムと(A-2)水酸化カルシウム又は酸化カルシウムとの混合物の場合、その混合比率(質量比)は反応効率の観点から、(A-1)/(A-2)の質量比として0.1~10が好ましく、0.2~5がより好ましい。
(A)成分は粉末状が好ましく、この場合の平均粒径は5~2,000μmが好ましい。なお、(A)成分の平均粒径は、レーザー散乱回析法粒度分布測定による体積基準粒度分布の累積平均径D50(メディアン径)である。
(A)成分の含有量は、非水系発熱組成物中40~99質量%が好ましく、50~90質量%がより好ましい。また、非水系発熱組成物を展開する面積に対しては、例えば、7cm×6cm(約42cm2)の場合は、500~10,000mgが好ましく、1,000~5,000mgがより好ましい。上記下限以上とすることで発熱の温度と持続性がより良好となり、上限以下とすることで過度の温度上昇をより防ぐことができる。
[(B)成分]
置換基にメトキシ基を含有する水溶性セルロースエーテルである。この成分は、加熱によりゲル化が生じ、冷却すれば元の水溶液に戻る水溶性高分子化合物であり、置換基にメトキシ基を含有するものである。このようなものとして、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の非イオン性の水溶性高分子化合物が好ましく、メチルセルロースがより好ましい。この成分は、温度の上昇によって、ポリマー内のメトキシ基が分子間で疎水和して架橋点を形成し、ゲル化が起こる。セルロースのグルコースユニット当たりに導入されたメトキシ基のモル数は1.5~2.0のものが好ましい。なお、本発明で水溶性とは、20℃の水10,000mLに対する溶解度が1gを超えることを意味する。
(A)成分と(B)成分との組み合わせにより、温度制御が可能な理由は不明であるが、発熱体である(A)成分と水との反応熱で温度が上昇したときに、(B)成分により一定温度でゲル化が起こり、ゲル内に水が取り込まれることにより、水と発熱体との反応が停止し、過度な発熱を抑制する。さらに、放熱により温度が低下すると、ゲルが水溶液に戻り水と発熱体の反応が再開して発熱が起こる。この繰り返しにより、温度制御作用を実現するものと考えられる。
(B)成分の2質量%水溶液の20℃における粘度は、ゲル化温度の観点から、50~8,000mPa・sが好ましく、100~4,000mPa・sがより好ましい。なお、粘度の測定は600mPa・s未満の場合は、20℃±0.1℃で第十七改正日本薬局方粘度測定法第1法(毛細管粘度計法)、600mPa・s以上の場合は20℃±0.1℃で第十七改正日本薬局方粘度測定法第2法(単一円筒形回転粘度計法)で行う。
(B)成分は粉末状が好ましく、この場合の平均粒径は5~2,000μmが好ましい。なお、(B)成分の平均粒径は、レーザー散乱回析法粒度分布測定による、体積基準粒度分布の累積平均径D50(メディアン径)である。
(B)成分の含有量は、非水系発熱組成物中1~55質量%が好ましく、10~20質量%がより好ましい。上記下限以上とすることでより高温になりすぎず、上限以下とすることで発熱性がより良好となる。
(B)/(A)で表される(A)成分と(B)成分との含有質量比は、0.01~1.0が好ましく、0.1~0.3がより好ましく、0.13~0.3がさらに好ましい。上記下限以上とすることで、高温によりなりすぎず、上限以下とすることで発熱性がより維持できる。
本発明の非水系発熱組成物には、本発明の作用効果に影響がない範囲で、任意成分の配合が可能である。ゲル化温度の制御のため無機化合物や無機塩、その水和物、有機酸やその塩を添加してもよい。例えば、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、臭化ナトリウム、リン酸ナトリウム、塩化鉄、クエン酸、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。また、アルコール、多価アルコールや糖アルコールが添加可能である。これら成分のうち、塩化ナトリウム、水酸化ナトリウム、硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、臭化ナトリウム、リン酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、糖アルコール等が好ましい。
[製造方法]
本発明の非水系発熱組成物は、(A)成分と(B)成分とを所定の割合で粉体混合することにより得られる。
[非水系発熱組成物]
本発明の非水系発熱組成物は(A)成分及び(B)成分を含む混合粉末が好ましく、水を含まないものであり、水の添加により発熱する。水を添加して発熱させる際の温度は室温でよく、1~30℃にしてもよい。また、非水系発熱組成物の最高到達温度は35~55℃が好ましく、より好ましくは40~45℃である。なお、最高温度になってから38℃になるまでの発熱継続時間は10分以上が好ましく、30分以上がより好ましい。上限は特に限定されないが、2時間以下とすることもできる。なお、非水系発熱組成物でない場合は、(A)成分及び(B)成分が混合できなかったり、最高到達温度が高くなりすぎたりし、好適な温度制御ができない。
非水系発熱組成物は、不織布、織布、編布又は脱脂綿と組み合わせ、シート状に形成されていてもよい。組み合わせ方法としては、例えば、袋状の不織布等に非水系発熱組成物を封入してもよく、シート状の不織布等で非水系発熱組成物を包んでもよく、シート状の不織布等を二つ折りにした間に非水系発熱組成物を充填してもよい。このように、不織布、織布、編布又は脱脂綿を併用することで、水が速やかに拡散し、非水系発熱組成物(粉末)と水との接触が即座にかつ均一に生じるため、温度の均一化につながる。速やかに導水させるため、不織布、織布、編布又は脱脂綿は親水性の繊維が好ましい。天然、合成繊維のどちらでもよいが、天然繊維としては綿等、合成繊維としてはレーヨン等が挙げられる。また、坪量としては10~130g/m2が好ましい。坪量を下限以上とすることで、導水する水の量が多くなり、拡散される水の量が多くなる。また上限以下とすることで、薄くやわらかい感触となるほか、水を吸収しすぎて混合粉と水との接触が低下することを防ぐことができる。
[使用方法及び温熱製品]
本発明の非水系発熱組成物は、水の添加により発熱する非水系発熱組成物である。水の量としては、発熱が生じれば特に限定されないが、(A)成分に対して0.5~5倍(質量)が好ましい。使用方法としては、使用時に、容器内で非水系発熱組成物に水を添加して発熱させて使用してもよい。この場合、非水系発熱組成物を入れる容器は特に限定されず、袋状でもビン、缶、プラスチック容器、ガラス容器でもよく、温度に耐えられるものであれば、特に限定されない。
水は使用者が準備してもよく、非水系発熱組成物と、別途水とを有する温熱製品としてもよい。水は特に限定されず、その他の成分が含まれていてもよく、水を含む組成物、例えば、水を含むゲル組成物であってもよい。具体的な温熱製品としては、例えば、非水系発熱組成物と水とを有し、非水系発熱組成物と水とが遮断された温熱製品であって、非水系発熱組成物と水とを接触させる手段を有する温熱製品や、非水系発熱組成物と、水を含むゲル組成物とを有する温熱製品であって、使用時に非水系発熱組成物と、水を含むゲル組成物とを混合して使用する温熱製品等が挙げられる。これらは、場所を選ばずに発熱効果が得られるため好ましい。
非水系発熱組成物と、水を含むゲル組成物とを有する温熱製品の場合、ゲル組成物としては、グリセリン、ブチレングリコール、プロピレングリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール等の多価アルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、キサンタンガム、タマリンドガム、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カラギーナン、ペクチン、ヒアルロン酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム等の高分子化合物を配合することができる。これらを配合する場合、ゲル組成物中の多価アルコール量は、水に対して0.01~5倍(質量)が好ましく、高分子化合物量は、水に対して0.01~0.5倍(質量)の範囲が好ましい。
温熱製品とする場合における非水系発熱組成物及び水(又は水を含む組成物)が充填される容器としては、プラスチック製やアルミニウム製の袋体が挙げられ、材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル等のプラスチックフィルムや、アルミニウム層を有する積層フィルム等が使用できる。(A)成分が、アルミニウムと水酸化カルシウム又は酸化カルシウムとの混合物である非水系発熱組成物の場合、後述する水素ガスを速やかに放出させるため、袋体に微細な穴を開けるとよい。微細な穴の大きさとしては、50~1,000μmが好ましく、穴の数としては、前出の穴の大きさにより適宜設定されるが、3~20個が好ましい。なお、穴の大きさによっては穴の付近に非水系発熱組成物と併せ脱脂綿等を充填してもよい。
さらに、透気性シートに包装することで、水蒸気を提供でき、保湿等にも効果的である。(A)成分が、アルミニウムと水酸化カルシウム又は酸化カルシウムとの混合物である場合には、抗酸化作用が知られている水素ガスの提供も可能となり、皮膚や眼への抗酸化作用が期待できるため、加温しながらさらなる効果を付与できる。さらに、透気性シートの透気度の調整により水素ガスの通過を制御し、適度な袋体の膨張により適用部位へのフィット性やマッサージ感を提供できる。なお、目や眼周りに関しては温罨法の効果は知られており、凹凸が大きい部位のためフィット性が求められること、さらにドライアイ等は酸化ストレスの関与も知られており、非常に有用である。
透気性シートは防水であることが好ましく、その透気度は1,000~30,000sec/100ccが好ましく、2,000~20,000sec/100ccがより好ましく、3,000~10,000sec/100ccがさらに好ましい。透気性を上限以下にすると(透気度が下限以上)、膨張により隙間が生じ難くフィット性が向上し、温熱感が良好となるほか、加圧が上昇してマッサージ感が得られる。透気性が下限以上にすると(透気度が上限以下)、膨張し過ぎないため眼周りとの接触面積が向上してフィット性が上がり、温熱感が良好になるほか、加圧によるマッサージ感も得られる。なお透気度は、王研式透気度試験により得られる、水100ccが通過する必要時間(秒)であり、値が大きいほど透気性は低くなる。
非水系発熱組成物と水とを遮断する手段としては、特に限定されないが、プラスチック製やアルミニウム製等の複室容器等の防水の袋に、非水系発熱組成物と水とを別々に封入する方法が挙げられる。非水系発熱組成物と水とを接触させる手段としては、例えば、上記封入されたいずれかの袋に外部から力を付加することによって、非水系発熱組成物と水とが遮断された部分が開き、非水系発熱組成物と水とが接触する方法が挙げられる。このようなものとしては、例えばイージーピール等が挙げられる。なお、上記透気性シートに包装する場合は、温熱製品全体を包装してもよく、非水系発熱組成物の部分を包装してもよい。また、上記非水系発熱組成物をプラスチック、アルミニウム、ビン、缶等の容器にいれ、使用時に水を添加して混合し、直接体に塗布して使用することができる。上記温熱製品例のように、複室容器にあらかじめ水を入れ、使用時にその水と接触させる形態でもよい。
本発明の非水系発熱組成物又は温熱製品の使用部位は特に限定されず、全身どこにでも用いることができるが、例えば、シート状のものであれば、好適には耳に掛けるゴムひもを取り付けたアイマスク形態の温熱製品とすることができる。また、前記シートの一方の面に粘着剤層を設けることで、皮膚貼付型(目用、腰用、脚用、肩用、首用等)の温熱製品として用いることができる。また、発熱組成物としては、使用時に水と反応させて暖かくなる皮膚外用剤(頭皮を含む)として用いることができる。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において特に明記のない場合は、組成の「%」は質量%、比率は質量比を示す。なお、(A)成分、(B)成分の平均粒径は、レーザー散乱回析法粒度分布測定による体積基準粒度分布の累積平均径D50(メディアン径)である。
[実施例1~6]
袋状の容器(ポリエチレン製)に(A-1)アルミニウム、(B)成分を入れて混合し、さらに(A-2)水酸化カルシウムを加え混合し、非水系発熱組成物を得た(原料は全て粉末、以下同様)。得られた混合粉末に水5gを加え、軽く混ぜ合わせた。発熱組成物の温度と時間について下記方法で測定した。
[実施例7~10]
実施例1と同じ袋状の容器に(A)成分及び(B)成分を入れて混合し、非水系発熱組成物を得た。得られた混合粉末に水5gを加え、軽く混ぜ合わせた。発熱組成物の温度と時間について下記方法で測定した。
なお、実施例7及び8で用いた(A)酸化カルシウムは、粗い顆粒を砕いて1,000μmで篩過したものを用いた。実施例9及び10で用いた(A)塩化マグネシウムは、平均粒径10~100μmの粉末であった。(B)成分は、いずれも粉末で平均粒径は50~100μmであった。
[比較例1~3]
実施例1と同じ袋状の容器にアルミニウム、(B’)成分を入れて混合し(比較例1は混合なし)、さらに水酸化カルシウムを加え混合し、非水系発熱組成物を得た。得られた混合粉末に水5gを加え、軽く混ぜ合わせた。発熱組成物の温度と時間について下記方法で測定した。
[比較例4]
実施例1と同じ袋状の容器に(B)成分を入れて、非水系発熱組成物を得た。得られた混合粉末に水5gを加え、軽く混ぜ合わせた。発熱組成物の温度と時間について下記方法で測定した。
[測定方法]
温度計を用いて発熱組成物の温度を直接測定し、最高到達温度を測定した。さらに、その温度から38℃に下がるまでの時間(継続時間)を計測した。結果を下記評価基準で示す。
〈評価基準〉
・最高到達温度
◎:40℃以上45℃以下
○:35℃以上40℃未満、45℃を超え55℃以下
×:35℃未満、55℃を超える
・38℃以上継続時間(38℃に下がるまでの時間)
◎:30分以上
○:30分より短い
Figure 0007110690000001
Figure 0007110690000002
Figure 0007110690000003
[実施例11]
(I)実施例3の発熱組成物3gを、不織布14cm×6cmを二つ折りにした間に均一に充填し、袋体(ポリエチレン製、7cm×6cm)に入れて水を5g添加した。
(II)実施例3の発熱組成物3gを、(I)と同一の袋体に平らになるように入れて7cm×6cmの大きさに均一に延ばし、水を5g添加した。
上記(I)及び(II)について、図1の測定位置(1)~(4)について、上記測定方法で温度を測定した。結果を表4に示す。
Figure 0007110690000004
上記結果から明らかであるように、不織布を組み合わせた(I)は温度が42~45℃であり、組み合わせない(II)は温度が39~48℃であり、(I)の方が、温度が均一であった。
[実施例12]
図2に示す構成のアイマスクを下記方法で作製した。
室間がイージーピール1で2分割され、外部からの力により連通する袋体2を用いた。第1の室3には水5gを封入し、第2の室4には実施例3の発熱組成物3gを実施例11と同様の方法で不織布に充填して封入し、微細な穴(図示せず、直径約500μm、5箇所)を開けておいた(必要に応じて穴の付近に脱脂綿等を入れる)。表5に記載された透気度の防水透気性袋状シート5に前記水等が封入された袋体2を、両端が第1の室3となるように2つ封入し、包装して包装体(約25cm×約6cm)6を得た。この包装体の両端にゴム7を付けて耳かけとし、アイマスクを作製した。なお、袋体の材質、発熱組成物が封入される袋体の大きさは実施例11と同一とし、水を封入する袋の大きさは6×4cmとした。得られたアイマスクについて、専門パネラーが下記官能評価を行った。結果を表5に示す。
・フィット性
◎:目周りによくフィットする
〇:目周りにややフィットする
・マッサージ感
◎:とても気持ちよい
〇:かなり気持ちよい
●:やや気持ちよい
・温熱感(イージーピールの破壊5分後におけるアイマスクの温度(包装体外部から温度)を測定した。)
◎:かなり暖かい及びとても暖かい
〇:やや暖かい
Figure 0007110690000005
透気性が高すぎると(透気度が小さい、以下同様)と、隙間が生じてフィット性が下がる傾向があり、透気性が低すぎると(透気度が大きい、以下同様)と、膨張過多で眼周りとの接触面積が低下してフィット性が下がる傾向があった。透気性が高すぎると、膨張性がなくなり、加圧が減少してマッサージ感が下がる傾向があり、透気性が低すぎると、膨張過多で圧迫感が生じてマッサージ感が下がる傾向があった。また、透気性が高すぎると、膨張性がなくなり、隙間が生じて温熱感が下がる傾向があり、透気性が低すぎると、膨張過多で接触面積が低下して温熱感が下がる傾向があった。なお透気度は、王研式透気度試験による。
[実施例13]
実施例12で得られた最終包装体(透気度3,900sec/100ccのフィルム使用)(包装体の大きさは、約25cm×約6cm)にゴムをつけず、包装体の片面に直貼り用粘着テープ(ニトフィット、日東電工(株)製)を用いて肌粘着性を施し、貼付剤型の温熱製品を得た。実施例13の温熱製品は、温熱感に優れ、包装体外部から温度(イージーピールの破壊5分後)は44℃であった。首、腕、肩、腰、足等に貼り付け可能であり、適度な膨張により、特に首へのフィットが良好であった。
[実施例14]
透気度210sec/100cc(3Mマイクロポーラスフィルム、スリーエムジャパン(株)製)を使用し、実施例13と同様に貼付剤型の温熱製品を得た。実施例14の温熱製品は、温熱感にすぐれ、包装体外部から温度(イージーピールの破壊5分後)は44℃であり、特に膨張しないために、洋服の内側でも貼付しやすかった。身体を局所的に暖めることができ、血流促進やリラックス効果が得られた。また、腰やひざ等の痛みが軽減できた。さらに、水蒸気や水素の発生により、肌の保湿ができ、抗酸化作用も期待できる。
[実施例15]
下記組成の温熱ゲルを作製した。この温感ゲルは使用時に水を混ぜ、直接体に塗布して使用した。
Figure 0007110690000006
水を混ぜた際の温度は43℃であり、温熱性に優れていた。ゲルを塗布する際の冷たさもなく心地よく塗布でき、身体への温熱付与による血流促進やリラックス効果が得られた。また、マッサージ剤としても使用できた。なお、上記配合において、ヒドロキシプロピルセルロース20~200mg、キサンタンガム50~500mgの範囲とした場合においても、同様の結果が得られた。
さらに、グリセリンの代わりにポリエチレングリコール、キサンタンガムの代わりにアルギン酸ナトリウム、カラギーナン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリエチレンオキシド、カルボキシビニルポリマーを用いたものも作製した。これらについても、グリセリンを用いた実施例15と同様の、温熱性、使用性を有し、リラックス効果が得られた。これらも、マッサージ剤としても使用できた。水は使用時に混合する量である。
[実施例16]
下記組成のゲルパックを作製した。発熱組成物は表7の配合量にて混合した。1剤は、成分2~4を均一に分散した後、70℃以上に加温した成分1に加えてよく攪拌し、成分1~4の混合物を得た後、成分5~7の混合物を、成分1~4の混合物に加えて攪拌して得た。発熱組成物:1剤:2剤の混合比(質量比)は1:5:1とした。発熱組成物、1剤及び2剤は、それぞれ別のパウチ容器(アルミニウム製)に封入し、使用時にガラス容器中で、発熱組成物、1剤及び2剤を混合した。
Figure 0007110690000007
発熱組成物、1剤及び2剤を混合した直後の温度は45℃であり温熱性に優れていた。塗布する際に温かく、身体へ局所加温が可能であった。血流促進やリラックス効果が得られた。発熱組成物、1剤及び2剤を混合した混合物は、はじめはゲル状だが、しばらくするとパック状になり、はがすことができた。
上記例で使用した原料を下記に示す。なお、特に明記がない限り、表中の各成分の量は純分換算量である。
・アルミニウム:平均粒径20~200μmの粉末、「試薬」、和光純薬工業(株)製
・水酸化カルシウム:平均粒径1~50μmの粉末、「試薬」、関東化学(株)製
・酸化カルシウム:粗い顆粒を砕いて1,000μmで篩過した粉末、「試薬」、昭和化学(株)製
・塩化マグネシウム:平均粒径10~100μmの粉末、「無水塩化マグネシウム触媒用グレード」、丸安産業(株)製
・メチルセルロース:「製品名:メトロースSM」、信越化学工業(株)製、2質量%水溶液濃度;100~8,000mPa・s(20℃)
MC4000は2質量%水溶液粘度(20℃)が4,000mPa・sで、グルコースユニット当たりに導入されたメトキシ基のモル数が1.8
MC100は2質量%水溶液粘度(20℃)が100mPa・sで、グルコースユニット当たりに導入されたメトキシ基のモル数が1.8
・カルボキシメチルセルロースナトリウム:「製品名:P-815C」、第一工業製薬(株)製、1質量%水溶液粘度:1,000~2,000mPa・s、エーテル化度:0.82
・ヒドロキシプロピルセルロース:「製品名:NISSO HPC-L」、日本曹達(株)製
・キサンタンガム:「製品名:エコーガムT」、DSP五協フード&ケミカル(株)製
・アルギン酸ナトリウム:「製品名:キミカアルギン I-3」、株式会社キミカ製
・カラギーナン:「製品名:GENOVISCO PJ-JPE、GENOGEL WR-80-J」、三晶(株)製
・ポリエチレンオキシド:「製品名:POLYOX」、日本カラコン合同会社製
・カルボキシビニルポリマー:「製品名:CARBOPOL 974P NF Polymer」、LUBRIZOL ADVANCED MARIALS INC.製
・パラフィン、「製品名:精製パラフィンワックス」、日興リカ(株)製
・グリセリン、「製品名:日局濃グリセリン」、阪本薬品工業(株)製
・ポリエチレングリコール:「試薬、マクロゴール400」、関東化学(株)製
・不織布:「製品名:AS-40(繊維種:合成繊維、坪量40g/m2)」、ダイワボウポリテック(株)製
・不織布:「製品名:オイコスAP2060(繊維種:天然繊維、坪量60g/m2)」、日清紡テキスタイル(株)製、
・防水透気性シート、「製品名:ブレスロン」、透気度1,500~28,000sec/100ccのもの、複合材としてナイロン系不織布使用、日東電工(株)製
・袋体、「複室容器(イージーピール設計)」、藤森工業(株)製
・タマリンドガム:「製品名:グリロイド6C」、DSP五協フード&ケミカル(株)製
・クエン酸:「試薬」、和光純薬工業(株)製
・クエン酸ナトリウム:「試薬」、和光純薬工業(株)製
・メチルパラベン:「パラオキシ安息香酸メチル」、上野製薬(株)製
・ブチレングリコール:「1,3-ブチレングリコール」、ダイセル化学工業(株)製
1 イージーピール
2 袋体
3 第1の室
4 第2の室
5 防水透気性シート
6 包装体
7 ゴム(耳かけ)

Claims (7)

  1. (A)アルミニウムと水酸化カルシウム又は酸化カルシウムとの混合物、酸化カルシウム、塩化マグネシウム及び塩化カルシウムから選ばれる1種以上、及び
    (B)メチルセルロース
    を含有し、水の添加により発熱する非水系発熱組成物。
  2. (B)成分が、グルコースユニット当たりに導入されたメトキシ基のモル数が1.5~2.0のメチルセルロースである請求項1記載の非水系発熱組成物。
  3. (B)成分の2質量%水溶液の20℃における粘度が、50~8,000mPa・sである請求項1又は2記載の非水系発熱組成物。
  4. (A)成分の含有量が、非水系発熱組成物中40~99質量%である請求項1~3のいずれか1項記載の非水系発熱組成物。
  5. (B)/(A)で表される(A)成分と(B)成分との含有質量比が、0.01~1.0である、請求項1~4のいずれか1項記載の非水系発熱組成物。
  6. 非水系発熱組成物が、不織布、織布、編布又は脱脂綿と組み合わせ、シート状に形成されている、請求項1~のいずれか1項記載の非水系発熱組成物。
  7. 請求項1~のいずれか1項記載の非水系発熱組成物と水とを有し、非水系発熱組成物と水とが遮断された温熱製品であって、非水系発熱組成物と水とを接触させる手段を有する温熱製品。
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