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JP7107339B2 - 非線形特性計算の方法、非線形特性計算プログラムとその使用方法、並びに記録媒体 - Google Patents

非線形特性計算の方法、非線形特性計算プログラムとその使用方法、並びに記録媒体 Download PDF

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JP7107339B2 JP2020142799A JP2020142799A JP7107339B2 JP 7107339 B2 JP7107339 B2 JP 7107339B2 JP 2020142799 A JP2020142799 A JP 2020142799A JP 2020142799 A JP2020142799 A JP 2020142799A JP 7107339 B2 JP7107339 B2 JP 7107339B2
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Description

本発明は、例えば非線形装置の非線形特性を計算する非線形特性計算の方法、前記非線形特性計算の方法を用いた非線形特性計算プログラムとその使用方法、並びに、前記非線形特性計算プログラムを格納した記録媒体に関する。
非線形装置等の非線形システムの非線形要素と構造を推定するための、従来例に係る非線形システム同定方法が特許文献1において開示されている。物理モデルと非物理モデルに大別した上で、物理モデルの構築における専門的な知識と経験、および非常に大きな労力の必要性を踏まえて、当該従来例に係る非線形システム同定方法は、大きな労力を必要とせずに非線形システムの非線形要素を推定することを目的としている。
前記非線形システム同定方法では、非線形システムの出力を獲得した後、非線形システムを近似した線形モデルの出力を計算する。次に、非線形システムの出力と線形モデルの出力との出力誤差を求めた後、この出力誤差に基づいて構造推定方法により非線形システムの非線形要素を推定する。そして、推定された非線形要素を複素フーリエ級数展開により近似して定量化した後、定量化された非線形要素の情報を考慮に入れた時系列モデルにより非線形システムのモデルを構築する。具体的な構造推定方法としては、既知の非線形要素に対応した複数のパワースペクトルパターンがあらかじめ記憶されたデータベースから、非線形要素を推定する。
また非特許文献1に、非物理モデルの一種として、ボルテラ級数による増幅器等の非線形特性計算の方法が開示されている。当該従来例に係る非線形特性計算の方法では、増幅器等の非線形装置の有する非線形性を級数展開により表す。
特開平7-114531号公報
S.A. Maas, "Modeling MESFETs for intermodulation analysis of mixers and amplifiers", IEEE Transactions on Microwave Theory and Techniques, Volume 38, 1990 B. Gustavsen and A. Semlyen, "Rational approximation of frequency domain responses by Vector Fitting," IEEE Trans. Power Delivery, vol. 14, no. 3, pp. 1052-1061, July 1999.
特許文献1に示された当該従来例に係る非線形システム同定方法では、構造推定方法により非線形システムの非線形要素と構造を推定しているために、構造推定方法、具体的には事前に想定している非線形要素と構造の範囲内に推定が制限されるため、非線形システムの推定精度に限界があるという問題点があった。つまり、有効なデータベースの構築にあたっては、対象システムに対する知識及び洞察を必要とするという課題がある。
また、非特許文献1に示された当該従来例に係る非線形特性計算の方法は、増幅器等の非線形装置の有する非線形性のうち、限られた次数の級数展開で表される弱い非線形性により生じる非線形特性の計算に用途を限られるという制約があった。
本発明の目的は以上の問題点を解決し、従来例に比較して、非線形要素と構造を推定することなく、非線形装置の有する幅広い非線形性を対象として、非線形装置の非線形特性を計算することができる非線形特性計算の方法等を提供することにある。
本発明の非線形特性計算の方法は、
非線形装置の非線形特性を、線形な状態空間表現における定係数のうちで伝達関数の係数にもなる定係数を、1個の状態変数の関数とすることで得られる非線形方程式より構成される非線形モデルを用いて計算することを特徴とする。
本構成によれば、線形な状態空間表現における定係数のうちで伝達関数の係数にもなる定係数を、1個の状態変数の関数とすることで得られる非線形方程式により、非線形要素と構造を推定することなく、従って、非線形装置に対する知識及び洞察を必要とすることなく、非線形装置の非線形モデルを構築できるとともに、非線形装置の有する幅広い非線形性を表すことができるようになる。
従って、本発明に係る非線形特性計算の方法等によれば、従来例に比較して、非線形要素と構造を推定することなく、非線形装置の有する幅広い非線形性を対象として、非線形装置の非線形特性を計算することができる。
実施形態1におけるフェライトビーズの非線形特性の計算に用いるSPICEソフトウェアの回路図である。 実施形態1、および実施例1、3におけるフェライトビーズのインピーダンスの非線形特性の計算に用いるSPICEソフトウェアの回路図である。 実施形態1、および実施例1、3におけるインピーダンス測定系の模式図である。 実施形態1、および実施例1において、直流電流値U=0mAのときの、図3で模式的に表されるインピーダンス測定系で取得されたフェライトビーズのインピーダンス測定値を示すグラフである。 実施形態1、および実施例1において、直流電流値U=10mAのときの、図3で模式的に表されるインピーダンス測定系で取得されたフェライトビーズのインピーダンス測定値を示すグラフである。 実施形態1、および実施例1において、直流電流値U=30mAのときの、図3で模式的に表されるインピーダンス測定系で取得されたフェライトビーズのインピーダンス測定値を示すグラフである。 実施形態1、および実施例1において、直流電流値U=50mAのときの、図3で模式的に表されるインピーダンス測定系で取得されたフェライトビーズのインピーダンス測定値を示すグラフである。 実施形態1、および実施例1において、直流電流値U=60mAのときの、図3で模式的に表されるインピーダンス測定系で取得されたフェライトビーズのインピーダンス測定値を示すグラフである。 実施形態1、および実施例1において、直流電流値U=70mAのときの、図3で模式的に表されるインピーダンス測定系で取得されたフェライトビーズのインピーダンス測定値を示すグラフである。 実施形態1、および実施例1において、直流電流値U=80mAのときの、図3で模式的に表されるインピーダンス測定系で取得されたフェライトビーズのインピーダンス測定値を示すグラフである。 実施形態1、および実施例1において、直流電流値U=90mAのときの、図3で模式的に表されるインピーダンス測定系で取得されたフェライトビーズのインピーダンス測定値を示すグラフである。 実施形態1、および実施例1において、直流電流値U=100mAのときの、図3で模式的に表されるインピーダンス測定系で取得されたフェライトビーズのインピーダンス測定値を示すグラフである。 実施形態1、および実施例1において、直流電流値U=110mAのときの、図3で模式的に表されるインピーダンス測定系で取得されたフェライトビーズのインピーダンス測定値を示すグラフである。 図4A~図4Jのインピーダンスを有理関数で表したときの係数の直流電流値Uに対するグラフである。 図4A~図4Jのインピーダンスを有理関数で表したときの係数の直流電流値Uに対するグラフである。 図4A~図4Jのインピーダンスを有理関数で表したときの係数の直流電流値Uに対するグラフである。 図4A~図4Jのインピーダンスを有理関数で表したときの係数の直流電流値Uに対するグラフである。 図4A~図4Jのインピーダンスを有理関数で表したときの係数の直流電流値Uに対するグラフである。 図4A~図4Jのインピーダンスを有理関数で表したときの係数の直流電流値Uに対するグラフである。 図4A~図4Jのインピーダンスを有理関数で表したときの係数の直流電流値Uに対するグラフである。 実施例1において計算された、入力平衡値(直流電流値)Uと非線形モデルに拡張された状態変数の平衡値Xとを関係づける関数を示すグラフである。 実施例1において計算された、入力平衡値(直流電流値)Uと非線形モデルに拡張された状態変数の平衡値Xとを関係づける関数を示すグラフである。 直流電流値U=0mAのときのインピーダンスRe[Z]に関する、実施例1における非線形モデルの計算値と図4Aの測定値とを比較したグラフである。 直流電流値U=0mAのときのインピーダンスIm[Z]に関する、実施例1における非線形モデルの計算値と図4Aの測定値とを比較したグラフである。 直流電流値U=30mAのときのインピーダンスRe[Z]に関する、実施例1における非線形モデルの計算値と図4Cの測定値とを比較したグラフである。 直流電流値U=30mAのときのインピーダンスIm[Z]に関する、実施例1における非線形モデルの計算値と図4Cの測定値とを比較したグラフである。 直流電流値U=50mAのときのインピーダンスRe[Z]に関する、実施例1における非線形モデルの計算値と図4Dの測定値とを比較したグラフである。 直流電流値U=50mAのときのインピーダンスIm[Z]に関する、実施例1における非線形モデルの計算値と図4Dの測定値とを比較したグラフである。 直流電流値U=110mAのときのインピーダンスRe[Z]に関する、実施例1における非線形モデルの計算値と図4Jの測定値とを比較したグラフである。 直流電流値U=110mAのときのインピーダンスIm[Z]に関する、実施例1における非線形モデルの計算値と図4Jの測定値とを比較したグラフである。 実施例1において、入力平衡値(直流電流値)UをU=20mA、30mA、40mAと増加させた場合のフェライトビーズのインピーダンスRe[Z]の変化を、図2の回路図により計算した例を示すグラフである。 実施例1において、入力平衡値(直流電流値)UをU=20mA、30mA、40mAと増加させた場合のフェライトビーズのインピーダンスIm[Z]の変化を、図2の回路図により計算した例を示すグラフである。 実施例1における非線形モデルを応用してフェライトビーズを2個の集積回路間の通信信号線に用いた場合の過渡応答等の非線形特性計算に用いるSPICEソフトウェアの回路図である。 実施例2におけるコンデンサのインピーダンスの非線形特性の計算に用いるSPICEソフトウェアの回路図である。 実施例2におけるインピーダンス測定系の模式図である。 実施例4におけるフィルタ部品のインピーダンスの非線形特性の計算に用いるSPICEソフトウェアの回路図である。 実施形態2におけるコンピュータプログラムを実行させるコンピュータの模式図である。 実施形態2におけるコンピュータプログラムのフローチャートである。
(実施形態1)
本発明による非線形特性計算の方法を、フェライトビーズの非線形特性の予測のため、公知のSPICE(Simulation Program with Integrated Circuit Emphasis)を用いたソフトウェア(以下、SPICEソフトウェアと呼ぶ)での計算に適用した実施の形態について、説明する。
図1はフェライトビーズの非線形特性の計算に用いるSPICEソフトウェアの回路図である。ここで、「SPICEソフトウェアの回路図」とは、SPICEソフトウェアにおいてユーザにより入力される、もしくはSPICEソフトウェアに予め格納される電気回路又は電子回路の回路図をいう。例えば、1個の抵抗で表される線形装置ならば1個の抵抗を入力する。非線形装置であるフェライトビーズについては、その非線形モデルをSPICEソフトウェアで読み取れるようSPICEソフトウェアの書式に従って入力する。
図1において、I10はフェライトビーズを駆動する時間tの任意電流波形u(t)を流す任意波形電流源、UB1は本実施の形態におけるフェライトビーズの非線形モデルであり、後述するように、状態空間表現における定係数のうちで伝達関数の係数にもなる定係数を、1個の状態変数の関数とすることで得られる非線形方程式より構成されることを特徴とする。図1において、任意波形電流源I10は直流電流、直流に交流の重畳した電流、通信信号電流等の所定電流をフェライトビーズの非線形モデルUB1に供給する。
また、図2はフェライトビーズのインピーダンスの非線形特性の計算に用いるSPICEソフトウェアの回路図である。図2において、I1はUを電流値とする直流電流源、I2は周波数の可変な正弦波
Figure 0007107339000001
を電流値とする交流電流源、UB1は図1と同じフェライトビーズの非線形モデルである。ここで、直流電流源I1,交流電流源I2は並列に接続され、所定の電流をフェライトビーズの非線形モデルに供給する。
なお、本非線形モデルは微分方程式で表されるが、本実施形態においてはSPICEソフトウェアより提供される素子及び各種機能を用いたネットリストと呼ばれる電子ファイルにより微分方程式を表わし、SPICEソフトウェアの実行時にコンピュータに読み取らせる。
はじめに、フェライトビーズに現れる非線形性をいくつかの概念の説明とともに述べる。多くの線形装置(電気、電子部品、機械部品、もしくは電気機械部品等)における入出力比等の応答は(1-1)式のように複素周波数sの実数係数有理関数により十分な精度で表現できる。ただし、線形装置の過渡応答等の時間変化を計算するためには、時間領域の微分方程式で表現しなおす必要がある。この時間領域の表現は一意ではないが、状態空間表現などの方法が知られている。
(1-1)式の応答を与える状態空間表現の一例を、(1-2a)式と(1-2b)式に示す。これは可制御正準形と呼ばれる。uは入力信号、yは出力信号であり、x~xは状態変数である。状態変数の個数を次数と呼ぶ。入力uと出力yの比のラプラス変換は(1-1)式に等しくなる。
Figure 0007107339000002
(1-1)
Figure 0007107339000003
・・・(1-2a)
Figure 0007107339000004
・・・(1-2b)
コンデンサに電荷を蓄積すれば、電荷量に応じた様々な直流電圧値が端子間に生じる。インダクタに磁束を蓄積すれば、磁束量に応じた様々な直流電流値が端子に流れる。フェライトビーズにも様々な直流電流値を流すことができ、時間的に変化しない静的に安定した様々な平衡点(直流動作点)を持つ。フェライトビーズに流れる電流を入力信号とし、端子間に生じる電圧を出力信号として、個々の平衡点の近傍で時間変化する信号間の応答は、平衡値(直流値)に重畳する時間変化信号の大きさが十分小さければ、線形性を持つ。そして、その応答(時間変化信号の入出力比)を周波数領域で表したものを、その平衡点における伝達関数又はインピーダンスと呼ぶ。なお、入出力信号の取り方により、この応答を、インピーダンス、アドミッタンス、又はSパラメータ等と呼ぶことがあるが、伝達関数はそれらを含む上位概念である。
線形装置ではこの応答は平衡点に依存せず一定となるが、非線形装置では内在する非線形性のため平衡点ごとに異なる。図3で模式的に表されるインピーダンス測定系であるインピーダンスメータ100により、様々な平衡点で、フェライトビーズのインピーダンスRe[Z],Im[Z]を、平衡値(直流電流値)Uを変化させて測定したものを図4A~図4Jに示す。図3において、インピーダンスメータ100には、被測定デバイス(DUT)17が接続される。インピーダンスメータ100は、交流電流源11と、直流電流源13と、バイアスT装置14,15と、電圧計16とを備えて構成される。ここで、バイアスT装置14,15は直流と交流を分岐して所定の電流又は電圧を被測定デバイス(DUT)17に印加するための装置であって、バイアスT装置14はキャパシタC1とインダクタL1とを含み、バイアスT装置15はキャパシタC2とインダクタL2とを含む。
以上でインピーダンスメータ100を用いたインピーダンス測定を例示したが、平衡点ごとの伝達関数の変化として現れる非線形性を有する非線形装置に対しては、インピーダンスに限らず様々な伝達関数について、安価な市販設備で実行容易な測定により、非線形装置の有する非線形性の評価がなされている。図4A~図4Jに示すように、平衡点ごとに異なるインピーダンスを示すから、このフェライトビーズは非線形性を有することが明確にわかる。
個々の平衡点におけるインピーダンス測定値は線形な特性だから、前述のように有理関数により実用上十分な精度で表現できる。これは、例えば非特許文献2に記載の公知技術(ベクトルフィッティング法)などにより可能であり、(1-3)式の表現は容易に得られる。よって、以下、測定値は(1-3)式の形で得られるとし、(1-3)式の係数のことも測定値と呼ぶ。ここで、選ばれた平衡点をその平衡点での入力の平衡値U(直流電流値)で代表して示している。(1-3)式に対応する状態空間表現を、入力、出力、および状態変数の平衡値に重畳する微小な時間変化信号を
Figure 0007107339000005

Figure 0007107339000006

Figure 0007107339000007
等として、微小信号間の関係として表せば、以下の(1-4a)式及び(1-4b)式となる。そして、微小信号間の入出力比のラプラス変換は(1-3)式となる。このように、非線形装置であっても、その非線形装置の過渡応答等の時間変化を表すための状態空間表現を個々の平衡点ごとには得られるが、線形装置と異なり、個々の平衡点近傍の微小な信号に限った時間変化しか表すことができない。
Figure 0007107339000008
・・・(1-3)
Figure 0007107339000009
・・・(1-4a)
Figure 0007107339000010
・・・(1-4b)
ここから、本発明に係る非線形モデルについて述べる。はじめに数式等による詳しい説明を行い、続いて、実施例1において詳細後述するように図4A~図4Jの測定値を用いた数値計算の実施例を述べる。
非線形なフェライトビーズに対して、平衡点近傍に限らず広域な動作の計算を行えるようにするため、可制御正準形表現における定係数のうちで伝達関数の係数にもなる定係数を、(1-5)式(以下、式番号の末尾のアルファベットを省略して(1-5a)式~(1-5b)式の全体を(1-5)式のように示す)のように1個の状態変数xの関数に置換えて得られる非線形方程式による非線形モデルを考える。ここで、入力uと出力yはそれぞれフェライトビーズに流れる電流と端子間電圧であり、x~xは非線形モデルに拡張された状態変数である。未知関数である関数a~an-1と関数b~bn-1と関数hと関数hを適切に決めることで、(1-5)式に従って、入力u、出力y、状態変数x~xの値域に制限なく、広域な動作の時間変化を計算できる。
これらの関数a~an-1と関数b~bn-1と関数hと関数hとが定数である場合はフェライトビーズに非線形性の無い場合に相当し、(1-5)式の非線形モデルは可制御正準形表現、つまり線形モデルになる。よって、(1-5)式の非線形モデルは、線形モデルからの連続的な拡張になっているとともに、フェライトビーズに内在する非線形を表す自由度を持つ。そのため、非線形要素と構造を推定することなく、従って非線形装置に対する知識及び洞察を必要とすることなく、フェライトビーズの非線形モデルを構築できるとともに、フェライトビーズの有する幅広い非線形性を表すことができる。例えば、以下で詳述するように、実行容易な測定(本実施形態ではインピーダンス測定)に現れる非線形性を反映させやすい、という特長を持つ。
これらの特長を説明するため、本非線形モデルとインピーダンス測定値、つまり(1-4)式との対応を示す。本非線形モデルの平衡条件(入力u、出力y及び状態変数x~xに時間変化のない状態)は、平衡点(直流動作点)での入力、出力、状態変数の平衡値を大文字で表して、U、Y及びX~Xとして下記の(1-6)式となる。また、個々の平衡点近傍での微小な時間変化信号の満たす線形方程式、つまり非線形モデルを個々の平衡点で線形化した線形方程式は、平衡点に重畳する微小な時間変化信号にハットをつけて、
Figure 0007107339000011

Figure 0007107339000012

Figure 0007107339000013
等として(1-5)式に代入し、微小な時間変化信号の一次項までを取って、(1-7)式となる。ここで平衡条件(1-6)式を用いている。
平衡条件(1-6)式は様々な平衡条件が成り立つことを示す。本実施形態では、入力を電流、出力を電圧とするフェライトビーズの非線形モデルであるから、この非線形モデルにも様々な直流動作点があることに対応する。そして、(1-7)式をラプラス変換して入出力比を取ればその直流動作点におけるインピーダンスとなる。
(1-7)式と(1-4)式は共に可制御正準形であり、一致条件を簡単に表せる。実際に本実施形態では、(1-8)式として簡単に書き下せる。よって、本非線形モデルは、インピーダンス測定に現れる非線形性を反映させやすい。また、一致条件を反映させる平衡点の数を増やすほど、非線形モデルの精度を向上することができる。
このように本非線形モデルは、状態空間表現に対して通常よく行われる時系列データとのフィッティング等とも組み合わせられるものであるが、一般によく行われており実行容易な測定(本実施形態ではインピーダンス測定)に現れる非線形性を反映させやすい、という特長を持つ。
Figure 0007107339000014
・・・(1-5a)
Figure 0007107339000015
・・・(1-5b)
Figure 0007107339000016
・・・(1-6a)
Figure 0007107339000017
・・・(1-6b)
Figure 0007107339000018
・・・(1-6c)
Figure 0007107339000019
・・・(1-6d)
Figure 0007107339000020
・・・(1-7a)
Figure 0007107339000021
・・・(1-7b)
以下、本非線形モデルへのインピーダンス測定値の反映手順の例を述べる。
フェライトビーズに流す直流電流は様々な値に設定できるが、そのうちの複数K個の平衡点でインピーダンスを測定して、(1-3)式に対応した、K組の測定値(1-12)式を得る。ここで、k番目の平衡点を入力の平衡値(直流電流値)Uで代表して示した。本実施形態では、このK組の測定値を非線形モデルに反映させる。
まず一致条件(1-8)式を変形する。平衡値U、X、Yの間には1対1対応があるから、3個の量のうち1個を独立にとることができ、(1-6c)式と(1-6d)式より(1-9)式を得られる。
従って、(1-8a)式と(1-8b)式に相当する条件として(1-10)式を得られる。なお、(1-8e)式は(1-11)式に書き換えることができることを用いた。
係数測定値のうち、
Figure 0007107339000022
を用いて、(1-10)式と(1-11)式を物理的な境界条件「入力が0ならば出力も状態変数も0、つまり(U,X,Y)=(0,0,0)」のもとで数値的に積分し、関数(U,X)と関数(U,Y)と関数(U,Uh(U))を具体的に計算する。そして、(1-6c)式より関数a(X)=U/Xを、(1-6d)式より関数b(X)=(Y-Uh(U))/Xを、計算する。また、関数h(U)=(Uh(U))/Uを計算する。なお、(U,X,Y)=(0,0,0)も一つの平衡点であり、その平衡点では割り算不能に見えるかもしれないが、例えば(1-8a)式より次式となる。
Figure 0007107339000023
同様に(1-8b)式より、
Figure 0007107339000024
であり、(1-8e)式より、
Figure 0007107339000025

である。
関数a(X)~an-1(X)と関数b(X)~bn-1(X)は、いま求めた関数(U,X)と、(1-8c)式と(1-8d)式の条件より、計算する。また、関数h(U)は(1-8f)式より計算する。
以上により、非線形モデル(1-5)式で未知であった関数a~an-1と関数b~bn-1と関数hと関数hとを、平衡点での平衡値を通じて、(X,a(X),a(X),…,an-1(X),b(X),b(X),…,bn-1(X))と(U,h(U),h(U))の形で計算して、インピーダンス測定値に現れる非線形性を非線形モデルに反映させる。
そして、図1と図2の回路図に、インピーダンス測定値を反映させた非線形モデルを適用して、フェライトビーズの非線形特性を予測計算する。
Figure 0007107339000026
・・・(1-8a)
Figure 0007107339000027
・・・(1-8b)
Figure 0007107339000028
・・・
・・・(1-8c)
Figure 0007107339000029
・・・
・・・(1-8d)
Figure 0007107339000030
・・・(1-8e)
Figure 0007107339000031
・・・(1-8f)
Figure 0007107339000032
・・・(1-9a)
Figure 0007107339000033
・・・(1-9b)
Figure 0007107339000034
・・・(1-10a)
Figure 0007107339000035
・・・(1-10b)
Figure 0007107339000036
・・・(1-11)
Figure 0007107339000037
・・・(1-12)
続いて、図4A~図4Jの測定値を用いて計算した実施例を示す。本実施例におけるフェライトビーズの非線形モデルは、2次以下の部分系の非線形方程式より全体の非線形方程式を構築する、つまり、状態空間表現における定係数のうちで伝達関数の係数にもなる定係数を、1個の状態変数の関数とすることで得られる非線形方程式であって、且つその状態変数が1個または2個であるような非線形方程式を複数組集めたものと、それら複数組の非線形方程式の各出力の和を出力とする方程式と、より構成される非線形方程式で構築することを特徴とする。
図4A~図4Jは、K=10個の平衡点において、U=0mA、U=10mA、U=30mA、U=50mA、U=60mA、U=70mA、U=80mA、U=90mA、U=100mA、U10=110mAの各平衡値(直流電流値)のもとでのインピーダンス測定により得られた。そして、各平衡点でのインピーダンス測定値にベクトルフィッティング法を適用して、K=10組の(2-4)式の実数の係数
Figure 0007107339000038
を得た。ここで、各係数の平衡値(直流電流値)Uに対するグラフを図5A~図5Gに示す。なお、残りの係数
Figure 0007107339000039
の非線形性は無視できたため、定数(2.268×10-10)とした。なお、先述の通り、これらの係数も以下で測定値と呼ぶ。(2-4)式では有理関数が2個の項に分割されているが、当該2個の項の和をとれば、(1-3)式と同じ形になる。有理関数の部分分数展開によりこのような分割が可能である。これらの係数を用いて、各平衡点で状態空間表現は(2-5)式となる。
フェライトビーズの非線形モデルを(2-1)式のように2次と1次の2個の部分系により構築する。入力uと出力yはそれぞれフェライトビーズに流れる電流と端子間電圧である。x、x、xは非線形モデルに拡張された状態変数であり、xとxが2次の部分系に、xが1次の部分系に属する。関数の右肩の添字は部分系の番号を指す。また、hは定数とする。各部分系は、(2-1a)式のx、xに関する第1行と第2行部分と(2-1c)式、及び(2-1a)式のxに関する第3行部分と(2-1d)式のように、各々が実施形態1と同様な、可制御正準形表現における定係数のうちで伝達関数の係数にもなる定係数を1個の状態変数の関数に置換えて得られる非線形方程式である。これら2組の非線形方程式と、2組の各々の出力の和を出力とする方程式(2-1b)式と、より構成される非線形方程式により非線形モデルを構築する。未知関数a (1)、a (1)、a (2)、b (1)、b (1)、b (2)、h、及び未知定数hを適切に決めることで、(2-1)式に従って広域な動作の時間変化を計算できる。
非線形モデル(2-1)式の平衡条件は(2-2)式となり、非線形モデルを個々の平衡点近傍で線形化した線形方程式は(2-3)式となる。大文字は対応する小文字の表す量の平衡値である。
Figure 0007107339000040
・・・(2-1a)
Figure 0007107339000041
・・・(2-1b)
Figure 0007107339000042
・・・(2-1c)
Figure 0007107339000043
・・・(2-1d)
Figure 0007107339000044
・・・(2-2a)
Figure 0007107339000045
・・・(2-2b)
Figure 0007107339000046
・・・(2-2c)
Figure 0007107339000047
・・・(2-2d)
Figure 0007107339000048
・・・(2-2e)
Figure 0007107339000049
・・・(2-3a)
Figure 0007107339000050
・・・(2-3b)
以下、本実施例において非線形モデルへインピーダンス測定値を反映した手順を述べる。
平衡点での平衡値U、X、Xの間には1対1対応があるから、(2-2c)式及び(2-2d)式の各両辺を微分すれば、(2-6)式が得られる。すると、(2-6)式と(2-7)式より、(2-3)式と(2-5)式の一致条件は(2-8)式となる。このように本非線形モデルも、一般的なインピーダンス測定に現れる非線形性を反映させやすい、という特長を持つ。
Figure 0007107339000051
・・・(2-4)
Figure 0007107339000052
・・・(2-5a)
Figure 0007107339000053
・・・(2-5b)
Figure 0007107339000054
・・・(2-6a)
Figure 0007107339000055
・・・(2-6b)
Figure 0007107339000056
・・・(2-7a)
Figure 0007107339000057
・・・(2-7b)
Figure 0007107339000058
・・・(2-7c)
Figure 0007107339000059
・・・(2-8a)
Figure 0007107339000060
・・・(2-8b)
Figure 0007107339000061
・・・(2-8c)
Figure 0007107339000062
・・・(2-8d)
Figure 0007107339000063
・・・(2-8e)
Figure 0007107339000064
・・・(2-8f)
Figure 0007107339000065
・・・(2-8g)
Figure 0007107339000066
・・・(2-8h)
係数測定値のうち、
Figure 0007107339000067
を用いて、物理的な境界条件「入力が0ならば状態変数も0」のもと、関数(U,X)と関数(U,X)を、(2-8a)式と(2-8b)式を数値積分して求める。図6A~図6Bにおいて、上記で得られた波形を示す。測定値が離散的なため、多項式等により適当に補間を行っている。
そして、得られた関数(U,X)と関数(U,X)を用いて、(2-2c)式と(2-2d)式よりa (1)(X)とa (2)(X)を、(2-7f)式と(2-7g)式よりa (1)(X)とb (1)(X)を求め、(2-8c)式と(2-8d)式を数値積分して、関数b (1)(X)と関数b (2)(X)を計算する。また、(2-8e)式を数値積分して関数h(U)を計算する。
以上により、非線形モデル(2-1)式の未知関数a (1)、a (1)、a (2)、b (1)、b (1)、b (2)とhを、各関数(X,a (1)(X),a (1)(X),a (2)(X),b (1)(X),b (1)(X),b (2)(X))と(U,h(U))の形で計算して、インピーダンス測定値に現れる非線形性を非線形モデルに反映させる。定数hは(2-8h)式から決める。
本実施例では、ここで数値的に得られた関数をさらに多項式に当てはめた。ただし、スプライン関数などの別の関数に当てはめてもよいし、離散的な数値のまま表データとして用いてもよい。
図2の回路図に求めた非線形モデルを適用して、いくつかの平衡点で測定値と比較した結果を図7A~図7Hに示す。図7A~図7Hから明らかなように、図4A~図4Jに示したフェライトビーズのインピーダンス測定に現れる非線形性を、本非線形モデルによく反映できていることが分かる。
また、同じく図2の回路図において、入力平衡値(直流電流値)をU=20mA、30mA、40mAと増加させた場合のインピーダンスの変化の計算値を図8A~図8Bに示す。図8~図8Bの直流電流値のうち、直流電流値20mAと40mAは未測定の平衡点の直流電流値である。このように、未測定の平衡点においても、非線形特性によるインピーダンスの変化を予測計算できる。
また、図9にフェライトビーズを2個の集積回路間の通信信号線に用いた場合の非線形特性計算に用いるSPICEソフトウェアの回路図を示す。図9において、2つの集積回路IC1,IC2が3本の伝送線路T1~T3を介して接続される。ここで、V11~V13は時間tの通信信号波形を表す任意波形電圧源、UB1~UB3は図1と同じフェライトビーズの非線形モデル、R1~R3は受信端子の入力抵抗である。本発明に係るフェライトビーズの非線形モデルは、様々な平衡点に現れたフェライトビーズの非線形性を反映しているから、個々の平衡点近傍に限らず、広域な動作の予測計算を行える。従って、様々な駆動条件、様々な通信信号に対しても、フェライトビーズの有する非線形性を反映して、過渡応答を含む様々な計算を行うことができる。
本実施例では、2次以下の部分系より非線形モデルを構築したが、それに応じて反映させるインピーダンス測定値も(2-4)式のように分割した。このとき、係数測定値
Figure 0007107339000068
がすべて正であれば(2-4)式のインピーダンスは安定となる。
ここで、安定とは(2-4)式の有理関数が実部正の極を持たないことである。有理関数の安定条件は一般にはフルヴィッツ(Hurwitz)の条件で与えられるが、2次以下の場合は「有理関数の分母の係数が正」との簡単な条件になり、測定値に問題のないことを確認しやすい。よって、本実施例の非線形モデルは安定な測定値を反映させやすく、その結果、非線形モデルの安定性を高められる。
以上説明したように、本実施例によれば、非線形要素と構造を推定することなく、従ってフェライトビーズについての知識及び洞察を必要とすることなく、フェライトビーズの有する非線形性により生じる非線形特性を計算できる。
本実施例ではインピーダンス測定値を反映させたが、入出力信号を適当に変更することで、アドミッタンス、又はSパラメータ等の異なる応答を反映できることは、上述の手順より明らかである。
なお、フェライトビーズと同様にインダクタ部品及びコイル部品も直流重畳特性と呼ばれる非線形性を有し、図3と同様な測定系における平衡点(直流動作点)ごとのインピーダンス測定において非線形性を評価している。本実施例ではフェライトビーズを例に説明したが、非線形性を有するインダクタ部品及びコイル部品にも全く同じ手順で適用できる。
また、本実施例ではフェライトビーズという非線形性を有する電気部品を例に説明したが、本発明はこれに限らず、その他の電気および電子部品又は機械部品又は電気機械部品などで、個々の平衡点におけるインピーダンス等の伝達関数が有理関数で表され、且つ平衡点ごとの伝達関数の変化として現れる非線形性を有する、現存の多くの対象に応用できる。
以上の実施形態では、インピーダンスの測定値を反映させたが、測定値の代わりに例えば有限要素法(又は有限要素計算法)等の数値計算値を反映させることもできる。
実施例2において、本発明による非線形特性計算方法を、コンデンサの非線形特性の予測のため、SPICEソフトウェアでの計算に適用した実施について、説明する。図10はコンデンサのインピーダンスの非線形特性の計算に用いるSPICEソフトウェアの回路図である。V1はYを電圧値とする直流電圧源、V2は周波数の可変な正弦波
Figure 0007107339000069
を電圧値とする交流電圧源、UC1は本実施の形態におけるコンデンサの非線形モデルであり、状態空間表現における定係数のうちで伝達関数の係数にもなる定係数を、1個の状態変数の関数とすることで得られる非線形方程式より構成されることを特徴とする。図10において、直流電圧源V1と、交流電圧源V2とが直列に接続され、所定の電圧をコンデンサの非線形モデルUC1に印加する。
非線形なコンデンサに対して、可制御正準形表現における定係数のうちで伝達関数の係数にもなる定係数を、(3-1)式のように状態変数xの関数とし、aを恒等的に0として得られる非線形方程式による非線形モデルを考える。ここで、入力uと出力yはそれぞれコンデンサに流れる電流と端子間電圧であり、x、xは非線形モデルに拡張された状態変数である。未知関数であるa、b、bを適切に決めることで、(3-1)式に従って広域な動作の時間変化を計算できる。
非線形モデルの平衡条件は(3-2)式となり、非線形モデルを個々の平衡点(直流動作点)近傍で線形化した線形方程式は(3-3)式となる。大文字は対応する小文字の表す量の平衡値である。平衡条件で入力平衡値(直流電流値)Uが0なのは直流電流の流れないことに、状態変数の平衡値Xを通じて出力平衡値(直流電圧値)Yが任意なのは直流電圧を任意に印加できることに、それぞれ対応する。
Figure 0007107339000070
・・・(3-1a)
Figure 0007107339000071
・・・(3-1b)
Figure 0007107339000072
・・・(3-2a)
Figure 0007107339000073
・・・(3-2b)
Figure 0007107339000074
・・・(3-2c)
Figure 0007107339000075
・・・(3-2d)
Figure 0007107339000076
・・・(3-3a)
Figure 0007107339000077
・・・(3-3b)
以下、本実施例において非線形モデルへインピーダンス測定値を反映する手順の例を述べる。図11で模式的に表されるインピーダンス測定系であるインピーダンスメータ110により、複数K個の平衡点で、コンデンサのインピーダンスを測定し、K組の(3-4)式の係数測定値
Figure 0007107339000078
を得る。ここで、k番目の平衡点を出力の平衡値Yで代表して示した。
図11において、インピーダンスメータ110には、被測定デバイス(DUT)17が接続される。インピーダンスメータ110は、交流電流源11と、直流電圧源18と、バイアスT装置14,15と、電圧計16とを備えて構成される。ここで、バイアスT装置14はキャパシタC1とインダクタL1とを含み、バイアスT装置15はキャパシタC2とインダクタL2とを含む。
上記の係数を用いて、各平衡点での状態空間表現は(3-5)式となる。各平衡点での平衡値X、Yの間には1対1対応があるから、(3-2d)式を微分すれば(3-6)式を得られる。よって、(3-3)式と(3-5)式の一致条件は(3-7)式となる。このように本非線形モデルも、一般的なインピーダンス測定に現れる非線形性を反映させやすい、という特長を持つ。
Figure 0007107339000079
・・・(3-4)
Figure 0007107339000080
・・・(3-5a)
Figure 0007107339000081
・・・(3-5b)
Figure 0007107339000082
・・・(3-6)
Figure 0007107339000083
・・・(3-7a)
Figure 0007107339000084
・・・(3-7b)
Figure 0007107339000085
・・・(3-7c)
係数測定値のうち、
Figure 0007107339000086
を用いて、物理的な境界条件「出力が0ならば状態変数も0」のもと、関数(Y,X)を(3-7a)式の積分より計算する。そして(3-2d)式より関数b(X)を、(3-7b)式と(3-7c)式より関数a(X)と関数b(X)を計算する。以上により、非線形モデル(3-1)式で未知であった関数a、b、bを、(X,a(X),b(X),b(X))の形で計算して、インピーダンス測定値に現れる非線形性を非線形モデルに反映させる。
以上により得られるコンデンサの非線形モデルを図10の回路図に適用し、様々な平衡点における非線形コンデンサのインピーダンスの非線形特性を計算する。
以上説明したように、実施例2によれば、非線形要素と構造を推定することなく、対象のコンデンサについての知識及び洞察がなくても、コンデンサの非線形特性を計算できる。
また、フェライトビーズ及びインダクタ等の電流導通する電気部品に限らず、コンデンサ等の電流導通しない電気電子部品にも本発明による非線形特性計算の方法は適用できる。
なお、本実施例では2個の状態変数よりなる2次の非線形方程式により非線形モデルを構築したが、対象のコンデンサの特性によっては、状態変数の個数を増やしてより高次な非線形方程式としても、また部分系より非線形モデルを構築しても構わない。
実施例3において、本発明による非線形特性計算方法を、フェライトビーズの非線形特性の予測のため、SPICEソフトウェアでの計算に適用した実施について、説明する。フェライトビーズのインピーダンスの非線形特性の計算に用いるSPICEソフトウェアの回路図は図2であり、UB1を本実施例の非線形モデルとする他は実施例1と同じである。非線形モデルUB1は状態空間表現における定係数のうちで伝達関数の係数にもなる定係数を、1個の状態変数の関数とすることで得られる非線形方程式より構成されることを特徴とする。
フェライトビーズに対して、可観測正準形表現における定係数のうちで伝達関数の係数にもなる定係数を、(4-1)式のように状態変数xの関数に置換えて得られる非線形方程式による非線形モデルを考える。ここで、入力uと出力yはそれぞれフェライトビーズに流れる電流と端子間電圧であり、x、xは非線形モデルに拡張された状態変数である。hは定数とする。未知関数であるa、a、b、bを適切に決めることで、(4-1)式に従って広域な動作の時間変化を計算できる。
非線形モデルの平衡条件は(4-2)式となり、非線形モデルを個々の平衡点(直流動作点)近傍で線形化した線形方程式は(4-3)式となる。大文字は対応する小文字の表す量の平衡値である。
Figure 0007107339000087
・・・(4-1a)
Figure 0007107339000088
・・・(4-1b)
Figure 0007107339000089
・・・(4-2a)
Figure 0007107339000090
・・・(4-2b)
Figure 0007107339000091
・・・(4-2c)
Figure 0007107339000092
・・・(4-3a)
Figure 0007107339000093
・・・(4-3b)
以下、本実施例において非線形モデルへインピーダンス測定値を反映する手順の例を述べる。図3で模式的に表されるインピーダンス測定系により、複数K個の平衡点で、フェライトビーズのインピーダンスを測定し、K組の(4-4)式の係数測定値
Figure 0007107339000094
を得る。ここで、k番目の平衡点を入力の平衡値Uで代表して示した。これらの係数を用いて、各平衡点での状態空間表現は(4-5)式となる。(4-3)式と(4-5)式の一致条件は(4-6)式となる。また、(4-6)式より(4-7)式を得る。このように本非線形モデルも、一般的なインピーダンス測定に現れる非線形性を反映させやすい、という特長を持つ。
Figure 0007107339000095
・・・(4-4)
Figure 0007107339000096
・・・(4-5a)
Figure 0007107339000097
・・・(4-5b)
Figure 0007107339000098
・・・(4-6a)
Figure 0007107339000099
・・・(4-6b)
Figure 0007107339000100
・・・(4-6c)
Figure 0007107339000101
・・・(4-6d)
Figure 0007107339000102
・・・(4-6e)
Figure 0007107339000103
・・・(4-7a)
Figure 0007107339000104
・・・(4-7b)
係数測定値を用いて、物理的な境界条件「入力が0ならば状態変数も0」のもと、関数(U,X)と関数(U,X)を(4-7)式の積分より計算する。そして、(4-6c)式及び(4-6d)式より、関数b(X)、関数b(X)を計算する。また、関数bと関数bと(4-2a)式及び(4-2b)式より関数a(X)及び関数a(X)を計算する。以上により、非線形モデル(4-1)式で未知であった関数a、a、b、bを、(X,a(X),a(X),b(X),b(X))の形で計算して、インピーダンス測定値に現れる非線形性を非線形モデルに反映させる。定数hは(4-7e)式より計算する。
以上により得られるフェライトビーズの非線形モデルを図2の回路図に適用し、様々な平衡点における非線形フェライトビーズのインピーダンスを計算する。
以上説明したように、実施例3によれば、非線形要素と構造を推定することなく、対象のフェライトビーズについての知識及び洞察がなくても、フェライトビーズの非線形特性を計算できる。
また、可制御正準形に限らず、他の状態空間表現も非線形モデルに拡張できる。
なお、本実施例では2個の状態変数よりなる2次の非線形方程式により非線形モデルを構築したが、対象のフェライトビーズの特性によっては、状態変数の個数を増やしてより高次な非線形方程式としても、また部分系より非線形モデルを構築しても構わない。
実施例4において、本発明による非線形特性計算方法を、2ポートのフィルタ部品の非線形特性の予測のため、SPICEソフトウェアでの計算に適用した実施について、説明する。図12はフィルタ部品のインピーダンスの非線形特性の計算に用いるSPICEソフトウェアの回路図である。図12において、I1とI3はそれぞれUとUを電流値とする直流電流源、I2とI4はそれぞれ周波数の可変な正弦波
Figure 0007107339000105


Figure 0007107339000106
を電流値とする交流電流源、UF1は本実施の形態における2個のポートP1,P2を有する2ポートのフィルタ部品の非線形モデルであり、状態空間表現における定係数のうちで伝達関数の係数にもなる定係数を、1個の状態変数の関数とすることで得られる非線形方程式より構成されることを特徴とする。図12において、直流電流源I1及び交流電流源I2が並列に接続されて、所定の電流がフィルタ部品の非線形モデルUF1のポートP1に供給される。また、直流電流源I3及び交流電流源I4が並列に接続されて、所定の電流がフィルタ部品の非線形モデルUF1のポートP2に供給される。なお、交流電流源I2とI4は、交互に一方のみ小さな振幅を与え他方の振幅はゼロとして、インピーダンスを計算する。
2ポートフィルタに対して、可制御正準形表現における定係数のうちで伝達関数の係数にもなる定係数を、(5-1)式のように状態変数xとxの関数に置換えて得られる非線形方程式による非線形モデルを考える。ここで、入力uとuと出力yとyはそれぞれフィルタの各ポートに流れる電流と生じる電圧であり、x~xは非線形モデルに拡張された状態変数である。未知関数であるa (1)、a (1)、a (2)、a (2)、b (11)、b (11)、b (12)、b (12)、b (21)、b (21)、b (22)、b (22)を適切に決めることで、(5-1)式に従って広域な動作の時間変化を計算できる。
非線形モデルの平衡条件は(5-2)式となり、非線形モデルを個々の平衡点(直流動作点)近傍で線形化した線形方程式は(5-3)式となる。大文字は対応する小文字の表す量の平衡値である。
Figure 0007107339000107
・・・(5-1a)
Figure 0007107339000108
・・・(5-1b)
Figure 0007107339000109
・・・(5-2a)
Figure 0007107339000110
・・・(5-2b)
Figure 0007107339000111
・・・(5-2c)
Figure 0007107339000112
・・・(5-2d)
Figure 0007107339000113
・・・(5-2e)
Figure 0007107339000114
・・・(5-2f)
Figure 0007107339000115
・・・(5-3a)
Figure 0007107339000116
・・・(5-3b)
以下、本実施例において非線形モデルへインピーダンス測定値を反映する手順の例を述べる。図3で模式的に表されるインピーダンス測定系を拡張した2ポート測定系により、複数K個の平衡点で、2ポートフィルタのインピーダンス行列を測定し、K組の(5-4)式の係数測定値
Figure 0007107339000117

Figure 0007107339000118
を得る。ここでk番目の平衡点を2個の入力の平衡値U1,kとU2,kで代表して示した。これらの係数を用いて、各平衡点での状態空間表現は(5-5)式となる。(5-2c)式と(5-2d)式の微分などを用いて、(5-3)式と(5-5)式の一致条件は(5-6)式となる。このように本非線形モデルも、一般的なインピーダンス測定に現れる非線形性を反映させやすい、という特長を持つ。
Figure 0007107339000119
・・・(5-4)
Figure 0007107339000120
・・・(5-5a)
Figure 0007107339000121
・・・(5-5b)
Figure 0007107339000122
・・・(5-6a)
Figure 0007107339000123
・・・(5-6b)
Figure 0007107339000124
・・・(5-6c)
Figure 0007107339000125
・・・(5-6d)
Figure 0007107339000126
・・・(5-6e)
Figure 0007107339000127
・・・(5-6f)
Figure 0007107339000128
・・・(5-6g)
Figure 0007107339000129
・・・(5-6h)
Figure 0007107339000130
・・・(5-6i)
Figure 0007107339000131
・・・(5-6j)
Figure 0007107339000132
・・・(5-6k)
Figure 0007107339000133
・・・(5-6l)
係数測定値を用いて、物理的な境界条件「入力が0ならば状態変数も0」のもと、関数(U,X)と関数(U,X)を(5-6a)式と(5-6b)式の積分より計算する。そして(5-2c)式と(5-2d)式より、関数
Figure 0007107339000134
及び関数
Figure 0007107339000135
を計算する。
また、(5-6c)式と(5-6d)式より、関数
Figure 0007107339000136
及び関数
Figure 0007107339000137
を計算する。
また、(5-6e)~(5-6l)式と上記で得た関数(U,X)と関数(U,X)と合わせて、関数b (11)と関数b (12)と関数b (21)と関数b (22)については積分した上で、関数
Figure 0007107339000138
、関数
Figure 0007107339000139
、関数
Figure 0007107339000140
、関数
Figure 0007107339000141
、関数
Figure 0007107339000142
、関数
Figure 0007107339000143
、関数
Figure 0007107339000144
、関数
Figure 0007107339000145
を計算する。
以上により、非線形モデル(5-1)式で未知であった関数a (1)、a (1)、a (2)、a (2)、b (11)、b (11)、b (12)、b (12)、b (21)、b (21)、b (22)、b (22)を、関数(X,a (1)(X),a (1)(X),b (11)(X),b (11)(X),b (21)(X),b (21)(X))と(X,a (2)(X),a (2)(X),b (12)(X),b (12)(X),b (22)(X),b (22)(X))の形で計算して、インピーダンス測定値に現れる非線形性を非線形モデルに反映させる。
以上により得られる2ポートフィルタ部品の非線形モデルを図12の回路図に適用し、様々な平衡点における非線形2ポートフィルタ部品のインピーダンスを計算する。
以上説明したように、実施例4によれば、非線形要素と構造を推定することなく、対象のフィルタ部品についての知識及び洞察がなくても、フィルタ部品の非線形特性を計算できる。
なお、本実施例では2個の2次の部分系より非線形モデルを構築したが、対象のフィルタの特性によっては、状態変数の個数を増やしてより高次な非線形方程式としても、また各部分系をさらに部分系より構築しても構わない。
実施例4では、2ポート部品の非線形特性を計算する場合について説明したが、本発明はこれに限らず、3ポート以上の場合も含むマルチポートの非線形装置の非線形特性の計算に適用してもよい。
また、(5-1b)式の代わりに(5-7)式又は(5-8)式を(5-1a)式と組み合わせれば、2入力1出力、または2入力3出力の非線形モデルを構成できる。よって、一般には、マルチポートの部品に限らず、多入力、多出力の伝達関数にも適用可能である。
Figure 0007107339000146
・・・(5-7)
Figure 0007107339000147
・・・(5-8)
なお、本実施例におけるフィルタ部品及び本非線形特性計算の方法を適用するマルチポート部品等の非線形装置は、電気フィルタの他、ノイズフィルタ又はEMI除去フィルタ、例えばコイルを含むノイズフィルタ又はEMI除去フィルタ等の非線形装置であってもよい。
(実施形態2)
本発明による非線形特性計算の方法を、コンピュータプログラムに適用した実施の形態について、説明する。図14は、図13で模式的に表されるコンピュータ20によって実行される、非線形特性計算処理を示すフローチャートである。
図13において、コンピュータ20は、例えばディジタル計算機であり、CPU(Central Processing Unit)21と、メモリ22と、SSD(Solid State Drive)23と、操作部24と、表示部25と、外部インターフェース(外部I/F)26とを備えて構成され、これら各処理部21~26はバス29を介して接続される。外部インターフェース26は、例えばインターネットなどのネットワーク27を介してサーバ28に接続される。
CPU21はコンピュータ20の各処理部21~26の動作を制御して、図14の非線形特性計算処理を実行する。メモリ22はCPU21が実行するため主メモリであり、SSD23は、例えばコンピュータ20の基本ソフトウエア(OS)と、図14の非線形特性計算処理のプログラムおよび当該プログラムを実行するときに必要なプログラム又はデータ等を格納する。操作部24は例えばキーボード及びマウスであって、非線形特性計算処理を実行する指示データ又は実行データ等を入力するために設けられる。表示部25は、非線形特性計算処理により計算された計算結果等を表示する。非線形特性計算処理のプログラムはSSD23の記録媒体に格納されてもよいし、CD、CD-R、DVD、DVD-R、BD、BD-R等の光ディスクに格納して光ディスクドライブを介してSSD23にロードしてもよい。
本発明による非線形装置の非線形特性計算の方法は、このコンピュータプログラムを用いることで、簡単に利用することが出来る。このコンピュータプログラムは、図14に示すように、第1のステップS1と、第2のステップS2と、第3のステップS3と、第4のステップS4と、を備える。
図14において、第1のステップS1では、非線形特性計算の対象となる非線形装置の品番を入力又は選択する。第2のステップS2では、図2及び図9のような、非線形装置の応用される回路を入力又は選択する。第3のステップS3では、非線形装置へ流す電流又は印加する電圧などの動作条件を入力又は選択する。第4のステップS4では、データベースより選択された非線形装置の各実施の形態の非線形モデルの関数及び定数データを読み出すとともに、第3のステップS3で入力又は選択された条件に基づいて、非線形な動作特性を計算し、画面等に計算結果を表示する。コンピュータプログラムは、これら各ステップS1~S4を実行する演算処理により、上記の各実施形態の非線形装置の非線形モデルを機能させつつ、上記の各実施形態の非線形装置の非線形特性計算を実行する。
本実施形態によれば、コンピュータプログラムの利用者は、最小限の情報の入力により非線形装置の非線形特性計算の結果を得られ、非線形効果を考慮した特性値及び予測値を簡単に提供することができる。そして、コンピュータプログラムの利用者の部品選定を容易にする。
また、上述したコンピュータプログラムは、選ばれた非線形装置のSPICEネットリスト又はVHDL-AMSなどのファイルを、外部インターフェース26を通じて出力してもよい。そうすることで、異なるコンピュータプログラム又はソフトウェアにおける非線形装置の非線形モデルの2次利用を可能にする。
上記のコンピュータプログラムを携帯パーソナルコンピュータ(携帯PC)の記録媒体に格納することにより、計算結果の共有が可能となる。また、上記のコンピュータプログラムをインターネット等のネットワーク27に接続したサーバ28の記録媒体に格納し、ダウンロードできるようにする、またはサーバ28上で実行可能にすることで、不特定多数の使用者に対して配付またはネットワーク27を通じた計算機能の提供が可能となる。
(変形例)
本明細書における各実施形態は例示であり、異なる実施形態で示した構成の部分的な置き換又は組み合わせが可能であることは言うまでもない。実施形態2では実施形態1と共通の事項について記述を省略し、異なる点について説明しており、特に、同様の構成の作用効果については実施形態2において逐次言及していない。
本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施形態に関連して十分に記載されているが、この技術に熟練した人々にとっては種々の変形又は習性は明白である。そのような変形又は修正は、添付した特許請求の範囲による発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
以上詳述したように、本発明に係る非線形特性計算の方法等によれば、従来例に比較して、非線形要素と構造を推定することなく、非線形装置の有する幅広い非線形性を対象として、非線形装置の非線形特性を計算することができる。
11 交流電流源
13 直流電流源
14,15 バイアスT装置
16 電圧計
17 被測定デバイス(DUT)
18 直流電圧源
20 コンピュータ
21 CPU
22 メモリ
23 SSD
23m データベース
24 操作部
25 表示部
26 外部インターフェース(外部I/F)
27 ネットワーク
28 サーバ
100,110 インピーダンスメータ
C1,C2 キャパシタ
L1,L2 インダクタ
I1,I3 直流電流源
I2,I4 交流電圧源
I10 任意波形電流源
IC1,IC2 集積回路
P1,P2 ポート
R1,R2,R3 入力抵抗
T1,T2,T3 伝送線路
UB1.UB2,UB3,UC1 非線形モデル
V1 直流電圧源
V2 交流電圧源
V11,V12,V13 任意波形電圧源

Claims (11)

  1. 非線形装置の非線形特性計算の方法であって、前記非線形特性を、線形な状態空間表現における定係数のうちで伝達関数の係数にもなる定係数を、1個の状態変数の関数とすることで得られる非線形方程式より構成される非線形モデルを用いて計算することを特徴とする非線形特性計算の方法。
  2. 前記線形な状態空間表現を可制御正準形状態空間表現または可観測正準形状態空間表現とすることを特徴とする、請求項1に記載の非線形装置の非線形特性計算の方法。
  3. 非線形装置の非線形特性計算の方法であって、前記非線形特性を、請求項1~2に記載の非線形方程式であって、且つその状態変数が1個または2個であるような非線形方程式の複数組と、前記複数組の非線形方程式の各出力の和を出力とする方程式と、より構成される非線形モデルを用いて計算することを特徴とする非線形特性計算の方法。
  4. 前記非線形装置は、1入力1出力の非線形装置、又は1以上の多入力かつ1以上の多出力の非線形装置であることを特徴とする、請求項1~3のうちのいずれか1つに記載の非線形装置の非線形特性計算の方法。
  5. 前記非線形装置は、電気部品、電子部品、機械部品、もしくは電気機械部品である、請求項1~4のうちのいずれか1つに記載の非線形装置の非線形特性計算の方法。
  6. 前記非線形装置は、平衡点ごとの伝達関数の変化として現れる非線形性を有する非線形装置である、請求項1~5のうちのいずれか1つに記載の非線形装置の非線形特性計算の方法。
  7. 前記非線形特性は、平衡点ごとの伝達関数の変化として現れる非線形特性及び平衡点ごとの伝達関数の変化として現れる非線形性に起因する非線形特性である、請求項1~6のうちのいずれか1つに記載の非線形装置の非線形特性計算の方法。
  8. 請求項1~7のうちのいずれか1つに記載の非線形特性計算の方法をコンピュータで実行する非線形特性計算プログラム。
  9. 前記非線形装置の品番を入力又は選択する第1のステップと、
    前記非線形装置の応用される回路を入力又は選択する第2のステップと、
    前記非線形装置へ流す電流又は印加する電圧を含む動作条件を入力する第3のステップと、
    前記選択された非線形装置の、請求項1~7のいずれか1項に記載の非線形特性計算の方法に必要な非線形モデルの関数及び定数データをデータベースより読み出すとともに、前記第3のステップで入力又は選択された条件に基づいて、非線形な動作特性を計算し、計算結果を表示する第4のステップと、
    を備えることを特徴とする、請求項8に記載の非線形特性計算プログラム。
  10. 請求項8又は9に記載の非線形特性計算プログラムを格納したことを特徴とする、コンピュータにより読み取り可能な記録媒体。
  11. 請求項8又は9に記載の非線形特性計算プログラムを使用する使用方法であって、
    前記非線形特性計算プログラムを備えるサーバにネットワークを介してアクセスし、前記ネットワークに接続された端末から前記非線形特性計算プログラムを使用する、
    ことを特徴とする、非線形特性計算プログラムの使用方法。
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