[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/

JP7106073B2 - 熱伝導率測定装置及び熱伝導率測定方法 - Google Patents

熱伝導率測定装置及び熱伝導率測定方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7106073B2
JP7106073B2 JP2018243071A JP2018243071A JP7106073B2 JP 7106073 B2 JP7106073 B2 JP 7106073B2 JP 2018243071 A JP2018243071 A JP 2018243071A JP 2018243071 A JP2018243071 A JP 2018243071A JP 7106073 B2 JP7106073 B2 JP 7106073B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hot plate
thermal conductivity
protective
test piece
backflow
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018243071A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020106307A (ja
Inventor
隆博 筒本
浩治 長谷川
雄太 羽原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hiroshima Prefecture
Original Assignee
Hiroshima Prefecture
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hiroshima Prefecture filed Critical Hiroshima Prefecture
Priority to JP2018243071A priority Critical patent/JP7106073B2/ja
Publication of JP2020106307A publication Critical patent/JP2020106307A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7106073B2 publication Critical patent/JP7106073B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Investigating Or Analyzing Materials Using Thermal Means (AREA)

Description

本発明は、熱絶縁材等の熱伝導率の測定をする熱伝導率測定装置及び熱伝導率測定方法に関する。
特許文献1には、試験体が、試験体の中央部分を加温する主熱板と当該主熱板を囲むように配置された保護熱板とを有する熱板と、冷却板とに挟持され、前記熱板には、試験体の中央部分を第一の温度で加温する中央側高温側ヒーターと試験体の周辺部分を第一の温度で加温する周辺側高温側ヒーターを有し、冷却板には、当該試験体を当該第一の温度より低い第二の温度で加温する低温側ヒーターを有し、前記試験体、熱板及び冷却板の外周を囲むように配置された外周ヒーターを有して、熱板の試験体側とは反対側に第一の断熱材が配設され、前記第一の断熱材の熱板側と反対側に第二の断熱材が配置され、前記第二の断熱材内に補償ヒーターを有している熱伝導率測定装置が開示されている。
非特許文献1には、熱絶縁材料の熱抵抗及び熱伝導率の測定方法として、JISの「4 原理」の項に、温度の異なる2枚の等温面をもつ平行平板によって挟まれた平板状の試験片の内部が、定常状態の一次元熱流となるように温度制御し、試験片の厚さ方向に熱抵抗、熱伝導率などの伝熱特性を測定する方法が開示されている。そして、JISの「5 測定装置」の「5.2 装置の形状」の項には、試験片2枚方式と試験片1枚方式があり、測定装置の熱板(主熱板と保護熱板)及び冷却熱板の形状は、直径が0.2m~1mの円形又は1辺が0.2m~1mの正方形とし、その中で直径が0.3mの円形又は1辺が0.3mの正方形を標準寸法と規定している。そして、JISの「6 試験片」の「6.3 寸法及び厚さ」の項には試験片は熱版を完全に覆う大きさとすると規定されている。加温手段は、冷却熱板、主熱板、保護熱板、逆流防止用熱板の4か所に設けられている。
特開2013-11563号公報
日本工業規格JIS A1412-1 保護熱板法(GHP法)
近年、電気自動車開発が加速するなか、車内の快適さを省電力で実現する課題が指摘されている。このため自動車部品に利用される部品の素材の断熱性、すなわち素材の熱伝導率の評価が重要となっている。JIS A 1412-1(保護熱板法)の測定装置は、一般的に市場に流通している大きさは標準寸法である1辺が0.3mの正方形であり、これに使用する試験片の大きさは前記標準寸法以上であることが規定されていることから、1辺が0.3m以上の正方形が規定されている。このため、建材自体の大きさが大きい建築分野で断熱材の評価方法として広く使用されている。ところが、自動車部品開発に使用される部品の場合は、1辺の長さが0.1mの正方形の試験片の場合がある。このため、流通している測定装置では測定できないという問題があった。
ここで、試験片は熱板を完全に覆う大きさとすると規定しているJIS規定を無視して、熱板より大きさが小さい試験片で測定した場合の問題を説明する。熱板より大きさが小さい試験片で測定した場合、試験片周辺が試験片と同じ熱伝導率でない空気と接するため、周辺部の熱流が測定で必要となる一次元熱流から外れてくる。この熱流の乱れが、主熱板に密着している試験片部分まで到達すると、測定誤差が生ずる原因となり正確な測定を阻害する。この現象は試験片の板厚が厚くなるほど顕著になる。
特許文献1の発明は、特許文献1の段落[0006]に記載された「試験体のサイズが小さい場合(熱の流れる面積が小さい場合)には、厚さ方向に伝播する熱流に対する、当該試験体の外周端を介した熱流(幅方向の熱流)の影響が大き
くなるため、測定誤差が大きくなっていた。」という問題に対応するために、ヒーターを高温側ヒーター(中央部と周辺部の2ケ所)、低温側ヒーター、外周ヒーター及び補償ヒーターの合計5カ所にヒーターなる加温手段を設けることを要しており、装置が複雑になり高価になるという問題と、前記5カ所のヒーターにより冷却板や主熱板等の5カ所の温度制御をしなければならないという問題があった。
また、非特許文献1に準じた装置について、例えば1辺が0.3mの正方形である標準サイズの装置を1/3の大きさにすべて縮小化するには、ヒーターを内設した保護熱板等の部品を1/3に縮小化しなければならないため、部品加工の製作が難しくなるという問題があった。
また、非特許文献1の装置は、ヒーター等の加温手段を、主熱板、保護熱板、逆流防止用熱板、冷却熱板の4か所に設けなければならなかった。そのため、前記4か所のヒーター等の加温手段の温度制御をしなければならないという問題があった。
本発明はこうした問題に鑑み創案されたもので、1辺の長さが0.2m未満の正方形の試験片の測定が可能で、小型化が容易で構造が簡素で温度制御が簡素で安価な熱伝導率測定装置及び熱伝導率測定方法を提供することを課題とする。
本発明において、一方向側とはすべて同一の方向を意味し、他方向側とはすべて前記一方向側の反対方向であってかつ同一の方向を意味する。
請求項1に記載の熱伝導率測定装置は、平板状で両面が平行平面を有する試験片の熱伝導率を求める熱伝導率測定装置であって、前記試験片の一方向側の面に密着可能な冷却熱板と、前記冷却熱板と平行に配設され、前記試験片の前記一方向側と反対側の他方向側の面の中央部域に密着可能な主熱板と、前記主熱板の他方向側の面と接触状態を形成する平板状の断熱材と、一方向側の周縁部域が前記試験片の他方向側の面の周縁部域に密着可能でかつ一方向側の中央部域が前記断熱材の他方向側の面と接触状態を形成する保護兼逆流防止熱板と、を備え、前記保護兼逆流防止熱板の一方向側の中央部域に前記主熱板及び前記断熱材を嵌設する凹部を形成し、前記試験片の前記主熱板側表面から前記冷却熱板側表面への厚さ方向における熱流量を測定可能とする温度測定手段を設けたことを特徴とする。
請求項2に記載の熱伝導率測定装置は、請求項1において、前記凹部の内周壁面は前記主熱板及び前記断熱材を囲繞し、前記凹部の内周壁面と前記主熱板の外周側面との間に熱抵抗体を介在させ、前記凹部の内周壁面と前記断熱材の外周側面とは接触又は非接触の対向状態を形成し、前記凹部の底面は前記断熱材の他方向側の面と接触状態を形成させたことを特徴とする。
請求項3に記載の熱伝導率測定装置は、請求項1又は2において、前記保護兼逆流防止熱板の大きさが、1辺の長さが0.05m以上~0.2m未満の正方形又は直径が0.05m以上~0.2m未満の円形であることを特徴とする。
請求項4に記載の熱伝導率測定装置は、請求項1~3のいずれかにおいて、加温手段を、前記冷却熱板、前記主熱板及び前記保護兼逆流防止熱板の3か所に限定して設けたことを特徴とする。
請求項5に記載の熱伝導率測定装置は、請求項1~4のいずれかにおいて、前記保護兼逆流防止熱板の一方向側の面であって前記試験片と密着可能範囲に、熱伝導率の低いシート状の熱抵抗部材を貼設したことを特徴とする。
請求項6に記載の熱伝導率測定装置は、請求項1~5のいずれかにおいて、前記冷却熱板、前記主熱板、前記断熱材、前記保護兼逆流防止熱板の前記一方向側から前記他方向側への配設順が、上方から下方に、下方から上方に、左方から右方に、又は、右方から左方のいずれかであることを特徴とする。
請求項7に記載の熱伝導率測定方法は、平板状で両面が平行平面を有する試験片の熱伝導率を求める熱伝導率測定方法であって、前記試験片を、前記試験片の一方向側の面に密着可能な冷却熱板と、前記試験片の前記一方向側と反対側の他方向側の面の中央部域に密着可能な主熱板、及び、前記試験片の他方向側の面の周縁部域に密着可能な保護兼逆流防止熱板とで挟み、前記主熱板の他方向側の面に平板状の断熱材を接触させ、前記保護兼逆流防止熱板の一方向側の面に、積層させた前記主熱板及び前記断熱材を嵌設する凹部を形成させて、前記凹部の内周壁面と前記主熱板の外周側面とは全周に亘り熱抵抗体を介在させ、前記凹部の内周壁面と前記断熱材の外周側面とは全周に亘り接触又は非接触の対向状態を形成させ、前記凹部の底面と前記断熱材の他方向側の面と接触状態にさせ、前記主熱板と前記保護兼逆流防止熱板間を断熱状態にさせて、前記主熱板と前記保護兼逆流防止熱板との温度差をなくす温度制御を行い、前記冷却熱板の冷温を前記主熱板の高温より低い温度となる制御を行い、前記試験片の前記主熱板側表面から前記冷却熱板側表面への厚さ方向における熱流量を測定することを特徴とする。
請求項8に記載の熱伝導率測定方法は、請求項7において、前記保護兼逆流防止熱板の一方向側の面であって前記試験片と密着可能範囲に、熱伝導率の低いシート状の熱抵抗部材を貼設し、前記保護兼逆流防止熱板から前記試験片への熱移動を抑制することを特徴とする。
請求項1又は7に記載の発明は、前記主熱板の温度と前記保護兼逆流防止熱板の温度差をなくすことによって、前記主熱板と前記保護兼逆流防止熱板とを熱的平衡を保つことができ、前記主熱板から前記保護兼逆流防止熱板側への熱移動を生じないようにすることができる。これにより、前記試験片内において前記試験片の厚さ方向である前記主熱板側表面から前記冷却熱板側表面に向けての定常状態の一次元熱流を流すことができ、この一次元熱流の熱流量を測定して、熱伝導率の低い材質の熱伝導率を、JIS A 1412-1(保護熱板法)の熱伝導率測定値と同じレベルの正確性で求めることができる。
また、JIS A 1412-1(保護熱板法)においては冷却熱板や主熱板を囲繞した保護熱板の大きさは、直径が0.2m~1mの円形又は1辺の長さが0.2m~1mの正方形とし、その中で直径が0.3mの円形又は1辺の長さが0.3mの正方形を標準寸法と規定しているが、本発明は冷却熱板や主熱板を囲繞する保護兼逆流防止熱板の大きさを、1辺の長さが0.2m未満の長さの正方形又は直径が0.2m未満の円形が実現できるまでに縮小化させることができた。よって、熱伝導率測定装置の小型化と構造簡素化を実現させることができた。
請求項2又は7に記載の発明は、主熱板から保護兼逆流防止熱板への熱移動をなくすことができる。
請求項3に記載の発明は、冷却熱板や主熱板を囲繞した保護兼逆流防止熱板の大きさを、1辺の長さが0.05m以上~0.2m未満の正方形又は直径が0.05m以上~0.2m未満の円形まで縮小化させることができた。よって、従来は1辺の長さが0.2m未満の正方形の試験片又は直径が0.2m未満の円形の試験片の熱伝導率を測定ができなかったが、本発明によって1辺の長さが0.2m未満の正方形の試験片又は直径が0.2m未満の円形の試験片の熱伝導率を測定することができるようになった。
請求項4に記載の発明は、加温手段の数を、特許文献1の5カ所や非特許文献1の4か所に比較して3カ所に減じることができ、温度制御の簡素化、熱伝導率測定装置の大きさの小型化、及び製作コストの安価化を実現させることができた。
請求項5又は8に記載の発明は、主熱板と保護兼逆流防止熱板のそれぞれの試験片側の表面温度差をなくすことができ、より理想的な測定状態をつくり出すことができるという効果を奏する。
請求項6に記載の発明は、熱伝導率測定装置の構成部品である冷却熱板、主熱板及び保護兼逆流防止熱板の配設方向を自在に選択できるという効果を奏する。
本発明である熱伝導率測定装置の基本的構成を説明する構成説明図である。 図1における低温の恒温水槽を氷温の恒温水槽に変えた熱伝導率測定装置の基本的構成を説明する構成説明図である。 JIS A1412-1 保護熱板法の熱伝導率測定装置の基本的構成を説明する構成説明図である。 本発明である熱伝導率測定装置の温度測定手段の構成を説明する説明図である。 主熱板に埋設した熱電対の設置状態の説明図で、(a)が平面視での主熱板とヒーターと主熱板熱電対との配置状況の説明図で、(b)がG矢視からの保護兼逆流防止熱板と主熱板熱電対の配置状況の説明図である。 JIS A1412-1 保護熱板法の熱伝導率測定装置の温度測定手段の構成を説明する説明図である。 本発明の熱伝導率測定装置の各種熱板等の構成を説明する説明図である。 本発明の熱伝導率測定装置の各種熱板等の構成要素を説明する説明図で、(a)が主熱板と断熱材の説明図で、(b)が保護兼逆流防止熱板の説明図である。 断熱材に設けたサーモパイルの配線状態の説明図で、(a)が断熱材の断面構造で配線状態を示す配線説明図で、(b)が断熱材の平面視で配線経路を示す説明図であり、(c)が(b)とは異なる配線経路を示す説明図である。 保護兼逆流防止熱板と主熱板の表面温度を測定するための熱電対の設置方法の説明図である。 保護兼逆流防止熱板上への熱抵抗部材であるテープの貼付け状態の説明図である。 JIS A1412-1 保護熱板法の熱伝導率測定装置と本発明の熱伝導率測定装置との熱伝導率測定結果を示す図である。 本発明において断熱部材内に主熱板と保護兼逆流防止熱板の表面温度差を測定する1つの熱電対を設けた場合と熱電対を10個直列接続させたサーモパイルを設けた場合において、熱伝導率測定装置作動開始時からの時間経過における主熱板と保護兼逆流防止熱板との温度差を示す図である。 従来の熱伝導率測定装置と本発明の熱伝導率測定装置において、熱伝導率測定装置作動開始時からの時間経過における熱伝導率の測定値を示した図である。 主熱板の消費電力を変化させた場合において、保護兼逆流防止熱板上に熱抵抗部材であるテープを貼付けた場合と貼付けない場合の主熱板と保護兼逆流防止熱板との表面温度差を示す図である。 冷却熱板と主熱板間を離隔させた状態の説明図である。 冷却熱板を下降させ冷却熱板と主熱板間に試験片を挟んで上下で密着させた状態の説明図である。
本発明は熱伝導率を求めるための技術であり、熱伝導率を求める方法として一般的には、例えばJIS A1412-1 保護熱板法などが知られている。保護熱板法は、図3に示すように、温度の異なる2枚の等温面をもつ平行平板によって挟まれた平板状の試験片101の内部が、定常状態の一次元熱流となるように温度制御し、試験片101の厚さ方向における熱抵抗、熱伝導率などの伝熱特性を測定する方法であり、定常状態において、測定領域内を流れる熱流量を測定し、前記熱流量、伝熱面積、試験片温度差、試験片101の厚さをもとに計算して熱伝導率を算出する方法である。
前記保護熱板法に基づく従来の熱伝導率測定装置100の構成を説明する。図3に示すように、例えば冷却熱板102や試験片101の形状が正方形の場合は、正方形状で平板状の試験片101の上面に密着可能に正方形状で平板状の冷却熱板102が配設され、前記試験片101の下面に密着可能に正方形状で平板状の主熱板103が配設され、前記主熱板103の外周面とギャップ104を設けて前記主熱板103を囲繞するように平板形状からなる平面視で四角枠状の保護熱板105が配設され、前記主熱板103と前記保護熱板105の下側には前記主熱板103と前記保護熱板105の下面に上面を接触させた平板状の断熱材106が配設され、前記断熱材106の下側には前記断熱材106の下面に上面を接触させた逆流防止用熱板107が配設されている。なお、前記冷却熱板102や前記逆流防止用熱板107の加温手段については図示していない。
そして、図6に示すように、従来の熱伝導率測定装置100の温度測定手段は、冷却熱板102の温度を測定する熱電対111、主熱板103の温度を測定する熱電対112、主熱板103と保護熱板105との温度差を測定する示差熱電対113、主熱板103と逆流防止用熱板107との温度差を測定する示差熱電対114を設けている。また、主熱板103の内部には加温用の主熱板ヒーター121、保護熱板105の内部には加温用の保護熱板ヒーター122が設けられている。
従来からの熱伝導率測定装置100は試験片の大きさが正方形の場合は一辺が0.2m以上の大きさに規制されていたことから、発明者は1辺の長さが0.2m未満の正方形の試験片が主熱板103及び保護熱板105を完全に覆うことができる熱伝導率測定装置の小型化に取り組み本発明を想到した。
本発明の熱伝導率測定装置1は、図1、図2、図4、図8に示すように、平板状で両面が平行平面を有する試験片2の熱伝導率を求める熱伝導率測定装置1であって、前記試験片2の一方向側の面に密着可能な冷却熱板3と、前記冷却熱板3と平行に配設され、前記試験片2の前記一方向側と反対側の他方向側の面の中央部域に密着可能な主熱板4と、前記主熱板4の他方向側の面と接触状態を形成する平板状の断熱材5と、一方向側の周縁部域が前記試験片2の他方向側の面の周縁部域に密着可能でかつ一方向側の中央部域が前記断熱材5の他方向側の面と接触状態を形成する保護兼逆流防止熱板6と、を備え、前記保護兼逆流防止熱板6の一方向側の中央部域に前記主熱板4及び前記断熱材5を嵌設する凹部30を形成し、前記試験片2の前記主熱板4側表面から前記冷却熱板3側表面への厚さ方向における熱流量を測定可能とする温度測定手段を設けた。前記温度測定手段は、主熱板熱電対13及び冷却熱板熱電対14が該当する。なお、図1等の図では配線を省略し図示していない。
前記熱伝導率測定装置1には加温手段が設けられ、前記加温手段を、前記冷却熱板3内を流動させる低温水を加熱させるヒーター25、前記主熱板4内に埋設したヒーター15、及び前記保護兼逆流防止熱板6内を流動させる高温水を加熱させるヒーター21の3か所に限定して設けている。
そして、前記熱伝導率測定装置1には温度測定手段を具備しており、前記温度測定手段を、図4に示すように、前記冷却熱板3の前記試験片2側の温度を測定する冷却熱板熱電対14、前記主熱板4の前記試験片2側の温度を測定する主熱板熱電対13、及び、前記主熱板4と前記保護兼逆流防止熱板6との間の温度差を測定するサーモパイル40の3か所に設けている。また、前記冷却熱板3や前記保護兼逆流防止熱板6の温度をヒーターでなく低温水や高温水を流動させることによって加温させる場合には、高温水を前記保護兼逆流防止熱板6内に流動させる形態の場合には恒温水槽22内に高温水の温度測定手段52を、冷温水を前記冷却熱板3内に流動させる形態の場合には恒温水槽26内に低温水の温度測定手段51を設ける。
前記熱伝導率測定装置1は、例えば、図16、17に示すように、ベース52上に保護兼逆流防止熱板6が配設され、前記ベース52に立設した支柱兼ガイド54のガイドに沿って、冷却熱板3を含む昇降部53がツマミ51の回動により自在に昇降する形態である。前記冷却熱板3には恒温水槽26からの低温水が流動する配管18が接続され、前記保護兼逆流防止熱板6には恒温水槽22からの高温水が流動する配管19が接続されている。そして、図16に示すように前記昇降部53を上昇させた状態で試験片2をセットし、図17に示すように前記昇降部53を下降させて試験片2を冷却熱板3と主熱板4及び保護兼逆流防止熱板6とにより挟み密着させる。
また、前記熱伝導率測定装置1を構成する要素である前記冷却熱板3、前記主熱板4、前記断熱材5、前記保護兼逆流防止熱板6の前記一方向側から前記他方向側への配設順が、上方から下方に、下方から上方に、左方から右方に、又は、右方から左方のいずれかでもよい。なお、前記熱伝導率測定装置1又は熱伝導率測定方法についての説明を、前記配設順が上方から下方の場合であり、熱板4から試験片2の厚み方向で冷却熱板3側に流れる熱流が上向きの形態の場合で以下に説明する。
また、前記試験片2は、両面が平行平板を有し、かつ前記冷却熱板3、前記主熱板4及び前記保護兼逆流防止熱板6と密着可能に上下両面の表面を平滑に仕上げる。そして、前記冷却熱板3の前記試験片2に密着させる側の表面、及び、前記主熱板4及び前記保護兼逆流防止熱板6の前記試験片2に密着させる側の表面も平滑に仕上げる。
前記主熱板4は、図1、図7、図8(a)に示すように、平面視で1辺の長さが例えば0.1mの正方形の前記保護兼逆流防止熱板6に囲繞されて、前記保護兼逆流防止熱板6よりも小さい大きさであり、内部には図4に示すように主熱板4を加温するヒーター15及び主熱板4の温度を測定する主熱板熱電対13が埋設され、本体部12は熱伝導率が大きい金属、例えば銅で作られる。
前記ヒーター15と前記主熱板熱電対13の配設の形態は、図5(a)に示すように、例えば平面視で真ん中に前記主熱板熱電対13が配設され、前記ヒーター15を構成する給電線15aと電圧測定線15bが前記主熱板熱電対13と接触しないように、かつ主熱板4の全域に亘って均一な温度となるように配線する。そして、図5(b)に示すように、例えば側面視で前記保護兼逆流防止熱板6に切欠き部35を形成し、該切欠き部35に、前記主熱板熱電対13、前記ヒーター15及び前記サーモパイル40の配線を挿通させている。
前記保護兼逆流防止熱板6は、図7や図8(b)に示すように、一方向側に開口部を有する凹部30を形成した、平面視の外郭形状が正方形の四角柱体の形態である。平面視における大きさや形状は、前記保護兼逆流防止熱板の大きさが、1辺の長さが0.05m以上~0.2m未満の正方形又は直径が0.05m以上~0.2m未満の円形である。より好ましくは、1辺の長さが0.07m以上~0.15m未満の正方形又は直径が0.07m以上~0.15m未満の円形であり、さらに好ましくは、1辺の長さが0.1mの正方形又は直径が0.1mの円形である。これにより、1辺の長さが0.05m以上~0.2m未満の正方形又は直径が0.05m以上~0.2m未満の円形の試験片の熱伝導率測定が可能となった。1辺の長さが0.05m未満の正方形又は直径が0.05m未満の円形の場合は製作が極めて困難であり、1辺の長さが0.2m以上の正方形又は直径が0.2m以上の円形の場合は本発明の装置の小型化の目的に反するので望ましくない。
また、前記保護兼逆流防止熱板6は、前記主熱板4と同一の材質で作られ、図1に示すように、前記試験片2の他方向側である下面に対して前記主熱板4の一方向側である上面と同時に前記保護兼逆流防止熱板6の一方向側である上面が接触するように前記保護兼逆流防止熱板6の上面が形成され、前記保護兼逆流防止熱板6の内部に形成した流路(図示なし)に、ヒーター21等の加温手段や温度計等の温度測定手段52を設けた高温の恒温水槽22内の高温水をポンプ23で送給し循環させている。なお、加温手段としては、前記高温水を前記保護兼逆流防止熱板6内に流動させる形態の他に、前記保護兼逆流防止熱板6内にヒーター(図示なし)を内設させる形態でもよい。
そして、図1、図4、図6、図7、図8(b)に示すように、一方向側の上部に凹部30を形成し前記凹部30に前記主熱板4と断熱材5を積層させて嵌設させている。前記凹部30の内周壁面31は積層された前記主熱板4及び前記断熱材5を囲繞し、前記凹部30の内周壁面31と前記主熱板4の外周側面との間に熱抵抗体7を介在させ、前記凹部30の内周壁面31と前記断熱材5の外周側面とは接触又は非接触の対向状態を形成し、前記凹部30の底面32は前記断熱材5の他方向側の面と接触状態を形成させている。
前記主熱板4の一方向側の上面は前記保護兼逆流防止熱板6の一方向側の上面とともに前記試験片2の他方向側の表面に密着可能とし、前記主熱板4の側面全域と前記保護兼逆流防止熱板6の凹部30の内周壁面31とは均一の幅を有する熱抵抗体7を形成させている。前記熱抵抗体7としては、前記主熱板4から前記保護兼逆流防止熱板6への熱移動をなくす目的を達成させるものであればよく、すなわち断熱効果を有するものであればよく、例えば空気を介在させる隙間の形態、又は、発泡樹脂等の断熱材を介在させる形態でもよい。なお図1や図8(b)において、前記熱抵抗体7の例として隙間の場合を示している。
前記保護兼逆流防止熱板6を熱伝導率が大きい金属例えば銅で作ること、前記保護兼逆流防止熱板6を小型化していること及び前記保護兼逆流防止熱板6の内部に加温手段として高温水の流路(図示なし)を全体が均一温度になるように設けることにより前記保護兼逆流防止熱板6全体を容易に高温の均一な温度にすることができる。なお、加温手段としては、前記高温水を流動させる形態であっても、ヒーター(図示なし)を前記保護兼逆流防止熱板6内に内設させた形態であってもよい。
前記断熱材5は、主熱板4から熱の移動をなくすものであればよく、例えば発泡樹脂で作られる。前記断熱材5は、図7や図8に示すように、前記保護兼逆流防止熱板6の凹部30に嵌設され、一方向側である上面を前記主熱板4の他方向側である下面と接触状態に形成され、他方向側である下面は前記保護兼逆流防止熱板6の凹部30の底面32と接触状態に、側面は前記保護兼逆流防止熱板6の凹部30の内周壁面31と接触又は非接触の対向状態を形成している。そして、図9(a)に示すように、前記主熱板4と前記保護兼逆流防止熱板6との温度差を測定して熱起電力を出力するサーモパイル40を前記断熱材5に設けた貫通孔44と前記断熱材5の表面に形成した溝に埋設している。
前記主熱板4と前記保護兼逆流防止熱板6との前記温度差の温度測定手段が、前記断熱材5の一方向側の面に前記主熱板4との接点45c、45d、45eを、かつ前記断熱材5の他方向側の面に前記保護兼逆流防止熱板6との接点45a、45bを設けた熱電対41を複数直列接続したサーモパイル40である。
前記冷却熱板3は前記主熱板4に対して一方向側と他方向側の両方向である例えば上下方向で昇降可能であり、図16に示すように前記冷却熱板3を上昇させて前記試験片2をセットし、図17に示すように前記冷却熱板3を下降させて前記冷却熱板3の下面を前記試験片2の上面に密着させる。また、前記冷却熱板3の大きさは平面視で前記保護兼逆流防止熱板6の外郭と同じ大きさとし、図1に示すように、前記冷却熱板3の内部に形成した流路(図示なし)に、ヒーター25等の加温手段や温度計等の温度測定手段51を設けた低温の恒温水槽26内の低温水をポンプ27で送給し循環させている。また、図4に示すように、前記冷却熱板3には前記冷却熱板3の前記試験片2側の温度を測定する冷却熱板熱電対14が埋設されている。前記埋設形態としては、図4に示すように、前記冷却熱板熱電対14を厚さ方向の孔に挿設する形態や、前記冷却熱板3の試験片2に密着させる側の表面に形成した溝に埋設する形態(図示なし)があるが、冷却熱板3の試験片2側の温度を測定可能であればいずれの形態でもよい。
そして、前記冷却熱板3の温度が、前記主熱板4及び前記保護兼逆流防止熱板6の温度より低温となるように、前記冷却熱板3に埋設した配管内を流動させる低温水の温度を制御することにより低温を維持させている。まず低温水の温度を、前記保護兼逆流防止熱板6内を流動させる高温水の設定温度より低くなるように所定の温度を予め設定する。
そして、恒温水槽26内の温度測定手段51で測定した低温水の温度が予め設定した温度となるようにヒーター25の電流値を調整する温度制御手段10により低温水の温度を制御する。前記低温水はポンプ27で前記恒温水槽26と前記冷却熱板3を循環しているので前記冷却熱板3の温度は全域に亘って前記低温水の温度で均一に維持される。
試験片2の上面は前記冷却熱板3の下面と密着可能にしている。なお、加温手段としては、前記低温水を前記冷却熱板3内に流動させる形態の他に、前記冷却熱板3内にヒーター(図示なし)を内設させる形態でもよい。
前記低温の恒温水槽26内の恒温水内に、図2に示すように、氷28を投入して前記恒温水を氷水にし、前記氷水を前記冷却熱板3内の流路(図示なし)に流動させ、前記氷水を前記恒温水槽26と前記冷却熱板3内の流路に循環させる形態の場合は、前記冷却熱板3の温度を約0℃で維持できるので前記恒温水槽26の温度を制御するための温度測定手段51や温度制御手段10が不要になるという効果を奏する。
また、前記冷却熱板3の平面視における外郭の形状や大きさは、平面視で前記保護兼逆流防止熱板6の外郭形状と同じ形状や大きさとする。
次に、本発明の熱伝導率測定装置1の温度制御について説明する。まず、高温水の温度と低温水の温度を設定する。前記低温水の温度は高温水の温度より低い温度に設定する。
そして、前記保護兼逆流防止熱板6内の流路(図示なし)に流動させる高温水の温度を予め設定した高温の温度で安定させるために、温度制御手段11が、恒温水槽22に設置した温度測定手段52で測定した温度が予め設定した高温の温度になるようにヒーター21の電流値を制御する。前記高温水を恒温水槽22と前記保護兼逆流防止熱板6内の流路にポンプ23で常時循環させる。
そして、前記冷却熱板3内の流路(図示なし)に流動させる低温水の温度を前記高温水の温度より低い温度に設定する。そして、予め設定した低温の温度で安定させるために、温度制御手段10が、恒温水槽26に設置した温度測定手段51で測定した温度が予め設定した低温の温度になるようにヒーター25の電流値を制御する。前記低温水を恒温水槽26と前記冷却熱板3内の流路にポンプ27で常時循環させる。
そして、前記主熱板4と前記保護兼逆流防止熱板6との温度差を測定する前記サーモパイル40の温度差情報をもとに、温度制御手段9が、前記温度差をなくすように、前記主熱板4のヒーター15の電流値を制御する。これにより、前記主熱板4と前記保護兼逆流防止熱板6との温度差がなくなる。そして、試験片2の内部に前記主熱板4側から前記冷却熱板3側に向けて一次元熱流が流れる。
次に、前記主熱板熱電対13で主熱板4の試験片2側の温度を測定し、前記冷却熱板熱電対14で前記冷却熱板3の試験片2側の温度を測定し、試験片2内を流れる一次元熱流の熱流量(Ф)を測定し、伝熱面積(A)、試験片温度差(ΔT)、試験片厚み(d)を得て、熱伝導率λ=(熱流量Ф×試験片厚さd)/(伝熱面積A×試験片温度差ΔT)なる式を用いて、熱伝導率を求める。
従来の熱伝導率測定装置100と本発明の熱伝導率測定装置1との温度が測定可能になるまでの温度に安定するまでの時間を、表1に示すように、試験片を建築用断熱材、試験片厚さを7mm、試験片の上下面の表面を平滑に仕上げ、冷却熱板の温度を0℃維持、主熱板の温度は従来の熱伝導率測定装置100は35℃維持で本発明の熱伝導率測定装置1は33℃維持する温度制御を行い、サンプリングは1秒ごとに測定し64秒で移動平均させた条件で求めた。なお、前記熱伝導率測定装置100の主熱板と保護熱板間の温度差測定手段は熱電対とし主熱板と逆流防止熱板間の温度差測定手段は熱電対であり、前記熱伝導率測定装置1の主熱板4と保護兼逆流防止熱板6間の温度差測定手段は熱電対を10個直列接続させたサーモパイル40である。また、前記保護兼逆流防止熱板の大きさは1辺の長さが0.1mの正方形である。試験片の大きさは1辺の長さが0.1mの正方形である。
Figure 0007106073000001
表1の条件の結果を図14に示す。図14から、従来の熱伝導率測定装置100の温度変化グラフKでは温度が安定するまで約8分要するのに対して、本発明の熱伝導率測定装置1の温度変化グラフHでは温度が安定するまで約3分に短縮されることが示された。これにより、本発明は従来装置に比較し半分以下の時間で迅速な熱伝導率測定ができるという顕著な効果を奏する。
本発明は、従来の熱伝導率測定装置1における、保護熱板105と逆流防止用熱板107の2つの部品点数の1つの部品点数化、保護熱板105のヒーター122の不要化、保護熱板105と主熱板103との示差温度測定手段113の不要化などの部品点数を減じることができ、装置の小型化、構造の簡素化、製作コストの安価化を実現できた。
また、主熱板4と保護兼逆流防止熱板6との温度差を測定する前記サーモパイル40には、予め定めた数の熱電対41を直列に接続させているので、前記温度差を直列に接続した数の倍率をかけた数値で温度差を把握でき、温度差ゼロに向けてより細かい数値レベルでの温度調整を実施することが可能になった。
前記熱電対41は、2種類の均質な金属導体で回路を作っており、例えば、図9(a)に示すように、線径0.1mmアルメル線42を-極側として線径0.1mmクロメル線43を+極側として接続する。前記線径は0.2mm以下であればよい。また、熱電対41の直列接続方法としては、例えば、図9(b)に示すように、前記断熱材5の平面視で外周縁全周の近傍に、前記断熱材5の上面側で前記主熱板4の下面と接触させ、前記断熱材5の下面側で前記保護兼逆流防止熱板6の上面とそれぞれ複数個所で接触させるように、例えば10個の熱電対41を直列に接続させる。この場合は、前記主熱板4と前記保護兼逆流防止熱板6との温度差を10倍大きくでき、言い換えると前記温度差に比例した熱起電力(出力電圧)を10倍大きくすることができ、これにより1個の熱電対41より10分の1レベルの数値での温度制御を可能にした。
前記熱電対41の直列接続方法は、前記断熱材5の上面側で前記主熱板4の下面と接触させ、前記断熱材5の下面側で前記保護兼逆流防止熱板6の上面とそれぞれ複数個所で接触させるものであれば、例えば図9(c)に示すような経路でもよく、いかなる経路を形成してもよい。また、熱電対41の数は、熱電対41の数が複数であればその複数分だけの倍率で、前記主熱板4と前記保護兼逆流防止熱板6との温度差を把握できるので、温度差を把握したい倍率の数に相当する数の熱電対41の数を設ける。
前記主熱板4及び前記保護兼逆流防止熱板6は、熱伝導率の大きい同一の金属、例えば銅で作ることから、接点45aと接点45bとの間での短絡、接点45cと接点45dと接点45eとの間での短絡を防止するため、例えば前記断熱材5の上下面にはそれぞれ絶縁膜(図示なし)を貼設する。
本発明の熱伝導率測定装置1から求められる熱伝導率と従来法である保護熱板法に準じた熱伝導率測定装置100から求められる熱伝導率とを比較すると、図12に示すように、試験片A(商品名ネオマフォーム、旭化成建材(株)、熱伝導率0.02W/mK)、試験片B(商品名オトクイ5、リックス(株)、熱伝導率0.0526W/mK)のいずれも熱伝導率がほぼ同じである。このことから、本発明の熱伝導率測定装置1から求められる熱伝導率は従来法から求められる熱伝導率と同じ数字を示すことが証明された。
また、試験片C(シリコンゴム、信越化学(株)、熱伝導率0.2W/mK)のカタログ値の熱伝導率と、本発明の熱伝導率測定装置1を使用し測定して求めた試験片Cの熱伝導率とは、熱伝導率0.2W/mKで略同じ値となった。これにより、本発明の熱伝導率測定装置1から求められる熱伝導率は従来法から求められる熱伝導率と同じ数字を示すことが証明された。
次に、本発明において、主熱板4と保護兼逆流防止熱板6との温度差を測定する手段として、10個の熱電対41を直列接続させた前記サーモパイル40と、熱電対41が1個の場合の温度差が安定するまでの時間を比較した。なお、図13は、縦軸に主熱板4と保護兼逆流防止熱板6の温度差を、横軸に熱伝導率測定装置1測定開始時間からの経過時間を表している。
図13に示すように、サーモパイルを使用せずに熱電対が1個の場合は、温度差が安定するまでの時間は温度差を表すグラフFをみると、最初約-0.8℃の温度差が1.1℃まで行きすぎ約12分後に約-0.5℃~-0.7℃で安定した。一方、熱電対10個直列に接続させたサーモパイル40使用の場合は、温度差が安定するまでの時間は温度差を表すグラフSをみると、最初約0.1℃であったのが約5分後に0.1℃~0.2℃で安定した。これから、1個の熱電対よりも10個の熱電対を直列接続させたサーモパイルの方が、迅速に温度差が0℃に近い値で安定化することが示された。
次に、本発明の熱伝導率測定装置1は、前記保護兼逆流防止熱板6の一方向側の面であって前記試験片2と密着可能範囲に、前記主熱板4の加温手段であるヒーター15の消費電力を変えて前記主熱板4と前記保護兼逆流防止熱板6の試験片2側の表面温度の温度差をなくす材質からなる、熱伝導率の低いシート状の熱抵抗部材60を貼設している。
図10に示すように、主熱板4の表面温度を測定する熱電対62と、保護兼逆流防止熱板6の表面温度を測定する熱電対61を設置して、前記主熱板4の表面温度と前記保護兼逆流防止熱板6の表面温度を比較した。その結果は、図15に示すように、主熱板4のヒーター15の消費電力が大きくなると、温度差推移グラフMが示すように主熱板4と保護兼逆流防止熱板6との間の温度差が急激に低下する傾向にあり、主熱板4の消費電力が1Wを超えるところで主熱板4と試験片2との境界の温度差が最大1.4℃ほど主熱板4側の温度が低くなることが示された。
そこで、試験片2の熱伝導率測定の正確な測定を実現させるためには、主熱板4と保護兼逆流防止熱板6の表面温度の差をできる限り少なくすることが必要になる。このため、前記1.4℃の差をなくすために、図11に示すように、前記保護兼逆流防止熱板6の上面であって前記試験片2と密着可能範囲に、前記主熱板のヒーター15の消費電力を変えて前記主熱板と前記保護兼逆流防止熱板の試験片側の表面温度の温度差をなくす材質からなる、熱伝導率の低い、平面視四角枠状であってマスキングテープ等のシート状の熱抵抗部材60を貼設した。
その結果を図15に示す。前記熱抵抗部材60として、青色ビニールテープと黄色マスキングテープを実験した。その結果を青色ビニールテープの場合はグラフTで示し、黄色マスキングテープの場合はグラフYで示した。青色ビニールテープの場合は主熱板4のヒーター15の消費電力が1Wになると前記主熱板4と前記保護兼逆流防止熱板6の試験片2側の表面温度の温度差が約-0.3℃に改善され、黄色マスキングテープの場合は主熱板4のヒーター15の消費電力が1Wになっても前記主熱板4と前記保護兼逆流防止熱板6の試験片2側の表面温度の温度差が生じないという際立つ効果が確認された。このことは、材質を選択することにより、前記主熱板4のヒーター15の消費電力の変化にかかわらず前記主熱板4と前記保護兼逆流防止熱板6の試験片側の表面温度の温度差をなくすことができることを示唆している。
次に、本発明の熱伝導率測定方法を説明する。前記熱伝導率測定方法は、平板状で両面が平行平面を有する試験片2の熱伝導率を求める熱伝導率測定方法であって、前記試験片2を、前記試験片2の一方向側の面に密着可能な冷却熱板3と、前記試験片2の前記一方向側と反対側の他方向側の面の中央部域に密着可能な主熱板4と、及び、前記試験片2の他方向側の面の周縁部域に密着可能な保護兼逆流防止熱板6とで挟み、前記主熱板4の他方向側の面に平板状の断熱材5を接触させ、前記保護兼逆流防止熱板6の一方向側の面に、積層させた前記主熱板4及び前記断熱材5を嵌設する凹部30を形成させて、前記主熱板4と前記保護兼逆流防止熱板6との温度差をなくす温度制御を行い、前記冷却熱板3の冷温を前記主熱板4の高温より低い温度となる制御を行い、前記試験片2の前記主熱板4側表面から前記冷却熱板3側表面への厚さ方向における熱流量を測定する。
そして、前記凹部30の内周壁面31と前記主熱板4の外周側面とは全周に亘り熱抵抗体7を介在させ、前記凹部30の内周壁面31と前記断熱材5の外周側面とは全周に亘り接触又は非接触の対向状態を形成させ、前記凹部30の底面32と前記断熱材5の他方向側の面と接触状態にさせ、前記主熱板4と前記保護兼逆流防止熱板6間を断熱状態にさせる。
また、前記温度差をなくす温度制御が、前記断熱材5の一方向側の面に前記主熱板4の他方向側の表面との接点45を、前記断熱材5の他方向側の面に前記保護兼逆流防止熱板6の一方向側の表面との接点45を設けた熱電対41を複数直列に接続したサーモパイル40により、前記温度差を前記直列させた熱電対41の数の倍率にして温度制御を行う。
そして、前記保護兼逆流防止熱板6の一方向側の面であって前記試験片2と密着可能範囲に、前記主熱板の消費電力を変えて前記主熱板と前記保護兼逆流防止熱板の試験片側の表面温度の温度差をなくす材質からなる、熱伝導率の低いシート状の熱抵抗部材60を貼設し、前記保護兼逆流防止熱板6から前記試験片2への熱移動を抑制している。
1 熱伝導率測定装置
2 試験片
3 冷却熱板
4 主熱板
5 断熱材
6 保護兼逆流防止熱板
7 熱抵抗体
9 温度制御手段
10 温度制御手段
11 温度制御手段
12 本体部
13 主熱板熱電対
14 冷却熱板熱電対
15 ヒーター
15a 電圧計測線
15b 給電線
18 配管
19 配管
21 ヒーター
22 恒温水槽
23 ポンプ
25 ヒーター
26 恒温水槽
27 ポンプ
28 氷
30 凹部
31 内周壁面
32 底面
35 切欠き部
40 サーモパイル
41 熱電対
44 貫通孔
45 接点
51 温度測定手段
52 温度測定手段
60 熱抵抗部材

Claims (8)

  1. 平板状で両面が平行平面を有する試験片の熱伝導率を求める熱伝導率測定装置であって、
    前記試験片の一方向側の面に密着可能な冷却熱板と、前記冷却熱板と平行に配設され、前記試験片の前記一方向側と反対側の他方向側の面の中央部域に密着可能な主熱板と、前記主熱板の他方向側の面と接触状態を形成する平板状の断熱材と、一方向側の周縁部域が前記試験片の他方向側の面の周縁部域に密着可能でかつ一方向側の中央部域が前記断熱材の他方向側の面と接触状態を形成する保護兼逆流防止熱板と、を備え、
    前記保護兼逆流防止熱板の一方向側の中央部域に前記主熱板及び前記断熱材を嵌設する凹部を形成し、
    前記試験片の前記主熱板側表面から前記冷却熱板側表面への厚さ方向における熱流量を測定可能とする温度測定手段を設けたことを特徴とする熱伝導率測定装置。
  2. 前記凹部の内周壁面は前記主熱板及び前記断熱材を囲繞し、前記凹部の内周壁面と前記主熱板の外周側面との間に熱抵抗体を介在させ、前記凹部の内周壁面と前記断熱材の外周側面とは接触又は非接触の対向状態を形成し、前記凹部の底面は前記断熱材の他方向側の面と接触状態を形成させたことを特徴とする請求項1に記載の熱伝導率測定装置。
  3. 前記保護兼逆流防止熱板の大きさが、1辺の長さが0.05m以上~0.2m未満の正方形又は直径が0.05m以上~0.2m未満の円形であることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱伝導率測定装置。
  4. 加温手段を、前記冷却熱板、前記主熱板及び前記保護兼逆流防止熱板の3か所に限定して設けたことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の熱伝導率測定装置。
  5. 前記保護兼逆流防止熱板の一方向側の面であって前記試験片と密着可能範囲に、熱伝導率の低いシート状の熱抵抗部材を貼設したことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の熱伝導率測定装置。
  6. 前記冷却熱板、前記主熱板、前記断熱材、前記保護兼逆流防止熱板の前記一方向側から前記他方向側への配設順が、上方から下方に、下方から上方に、左方から右方に、又は、右方から左方のいずれかであることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の熱伝導率測定装置。
  7. 平板状で両面が平行平面を有する試験片の熱伝導率を求める熱伝導率測定方法であって、
    前記試験片を、前記試験片の一方向側の面に密着可能な冷却熱板と、前記試験片の前記一方向側と反対側の他方向側の面の中央部域に密着可能な主熱板、及び、前記試験片の他方向側の面の周縁部域に密着可能な保護兼逆流防止熱板とで挟み、前記主熱板の他方向側の面に平板状の断熱材を接触させ、
    前記保護兼逆流防止熱板の一方向側の面に、積層させた前記主熱板及び前記断熱材を嵌設する凹部を形成させて、
    前記凹部の内周壁面と前記主熱板の外周側面とは全周に亘り熱抵抗体を介在させ、前記凹部の内周壁面と前記断熱材の外周側面とは全周に亘り接触又は非接触の対向状態を形成させ、前記凹部の底面と前記断熱材の他方向側の面と接触状態にさせ、前記主熱板と前記保護兼逆流防止熱板間を断熱状態にさせて、
    前記主熱板と前記保護兼逆流防止熱板との温度差をなくす温度制御を行い、
    前記冷却熱板の冷温を前記主熱板の高温より低い温度となる制御を行い、
    前記試験片の前記主熱板側表面から前記冷却熱板側表面への厚さ方向における熱流量を測定することを特徴とする熱伝導率測定方法。
  8. 前記保護兼逆流防止熱板の一方向側の面であって前記試験片と密着可能範囲に、熱伝導率の低いシート状の熱抵抗部材を貼設し、前記保護兼逆流防止熱板から前記試験片への熱移動を抑制することを特徴とする請求項7に記載の熱伝導率測定方法。
JP2018243071A 2018-12-26 2018-12-26 熱伝導率測定装置及び熱伝導率測定方法 Active JP7106073B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018243071A JP7106073B2 (ja) 2018-12-26 2018-12-26 熱伝導率測定装置及び熱伝導率測定方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018243071A JP7106073B2 (ja) 2018-12-26 2018-12-26 熱伝導率測定装置及び熱伝導率測定方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020106307A JP2020106307A (ja) 2020-07-09
JP7106073B2 true JP7106073B2 (ja) 2022-07-26

Family

ID=71450702

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018243071A Active JP7106073B2 (ja) 2018-12-26 2018-12-26 熱伝導率測定装置及び熱伝導率測定方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7106073B2 (ja)

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006153618A (ja) 2004-11-29 2006-06-15 Japan Synthetic Textile Inspection Inst Foundation 温度調節材料の熱特性試験方法および装置
US7540656B1 (en) 2006-01-26 2009-06-02 Sierra Lobo, Inc. Apparatus for direct measurement of insulation thermal performance at cryogenic temperatures
JP5637034B2 (ja) 2011-03-24 2014-12-10 株式会社Jvcケンウッド 受信装置および受信方法

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS52165680U (ja) * 1976-06-10 1977-12-15
JPS5910590Y2 (ja) * 1979-08-30 1984-04-03 昭和電工株式会社 定熱流発生装置
JP4855004B2 (ja) * 2005-08-02 2012-01-18 一般財団法人カケンテストセンター 布状繊維材料の熱特性試験評価方法および試験装置
JP5827097B2 (ja) * 2011-10-17 2015-12-02 ニチアス株式会社 熱伝導率測定方法
JP2015068788A (ja) * 2013-09-30 2015-04-13 ニチアス株式会社 熱拡散率を測定する方法及び装置

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006153618A (ja) 2004-11-29 2006-06-15 Japan Synthetic Textile Inspection Inst Foundation 温度調節材料の熱特性試験方法および装置
US7540656B1 (en) 2006-01-26 2009-06-02 Sierra Lobo, Inc. Apparatus for direct measurement of insulation thermal performance at cryogenic temperatures
JP5637034B2 (ja) 2011-03-24 2014-12-10 株式会社Jvcケンウッド 受信装置および受信方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020106307A (ja) 2020-07-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Wang et al. Determination of thermoelectric module efficiency: A survey
KR101302750B1 (ko) 열전소자 평가 장치
CN107389206B (zh) 一种热电堆传感器及其控制方法
Zhang et al. A high-precision instrumentation of measuring thermal contact resistance using reversible heat flux
US9500698B2 (en) High and low temperature test equipment
KR101276659B1 (ko) 열전소자의 열전성능지수 평가 방법
Webster et al. Measurement of inhomogeneities in MIMS thermocouples using a linear-gradient furnace and dual heat-pipe scanner
JP2011102768A (ja) 熱特性の測定方法
Pavlasek et al. Hysteresis effects and strain-induced homogeneity effects in base metal thermocouples
US2800793A (en) Calorimeters
Hotra et al. Analysis of the characteristics of bimetallic and semiconductor heat flux sensors for in-situ measurements of envelope element thermal resistance
JP7106073B2 (ja) 熱伝導率測定装置及び熱伝導率測定方法
JP6820564B2 (ja) 熱電モジュール発電評価装置
JP6198534B2 (ja) 加熱試験装置
JP2023171330A (ja) 熱抵抗測定装置
KR101230492B1 (ko) 열전소자 평가 장치의 온도 제어 시스템 및 방법
KR100814414B1 (ko) 발열량 측정장치 및 방법
Heylen Figure of Merit determination of Thermo-electric Modules
Ruther et al. Dependence of the temperature distribution in micro hotplates on heater geometry and heating mode
US11977006B2 (en) Test system for evaluating thermal performance of a heatsink
Milošević et al. Measurements of thermophysical properties of solids at the Institute VINČA
RU2797313C1 (ru) Способ измерения коэффициента теплопроводности твердых тел в условиях теплообмена с окружающей средой и устройство его реализующее
JPH0143903B2 (ja)
RU2337333C2 (ru) Устройство для измерения малых разностей температур
JP2008134111A (ja) 熱抵抗測定装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210726

TRDD Decision of grant or rejection written
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220617

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220621

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220705

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7106073

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150