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JP7102091B2 - 複合プリフォーム、複合容器、プラスチック製部材およびその製造方法 - Google Patents

複合プリフォーム、複合容器、プラスチック製部材およびその製造方法 Download PDF

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JP7102091B2 JP2015179882A JP2015179882A JP7102091B2 JP 7102091 B2 JP7102091 B2 JP 7102091B2 JP 2015179882 A JP2015179882 A JP 2015179882A JP 2015179882 A JP2015179882 A JP 2015179882A JP 7102091 B2 JP7102091 B2 JP 7102091B2
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Description

本発明は、複合プリフォーム、複合容器、プラスチック製部材およびその製造方法に関する。
近時、飲食品等の内容液を収容するボトルとして、プラスチック製のものが一般化してきており、このようなプラスチックボトルには内容液が収容される。
このような内容液を収容するプラスチックボトルは、金型内にプリフォームを挿入し、2軸延伸ブロー成形することにより製造される。
ところで、従来の2軸延伸ブロー成形法では、例えばPETやPP等の単層材料、多層材料又はブレンド材料等を含むプリフォームを用いて容器形状に成形している。しかしながら、従来の2軸延伸ブロー成形法においては、単にプリフォームを容器形状に成形するだけであるのが一般的である。このため、容器に対して様々な機能や特性(バリア性や保温性等)を持たせる場合、例えばプリフォームを構成する材料を変更する等、その手段は限定されてしまう。とりわけ、容器の部位(例えば胴部や底部)に応じて、異なる機能や特性を持たせることは難しい。
特開2009-241526号公報
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、容器に対して様々な機能や特性を付与することが可能な、複合プリフォーム、複合容器、プラスチック製部材およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の複合プリフォームは、
プラスチック材料製のプリフォームと、
プリフォームの外側を取り囲むように設けられた、ダイレクトブロー成形品のプラスチック製部材とを備え、
プラスチック製部材が、架橋された樹脂材料を含んでなることを特徴とする。
本発明の態様によれば、架橋された樹脂材料が、活性光線照射により架橋された樹脂材料またはシロキサン結合(Si-O-Si)するシラン架橋性ポリオレフィン樹脂であることが好ましい。
本発明の態様によれば、プラスチック製部材が、架橋剤および/または架橋助剤を含んでなることが好ましい。
本発明の複合容器は、
プラスチック材料製の容器本体と、
容器本体の外側に密着して設けられた、ダイレクトブロー成形品のプラスチック製部材とを備え、
容器本体および前記プラスチック製部材は、架橋された樹脂材料を含んでなることを特徴とする。
本発明の態様によれば、架橋された樹脂材料が、活性光線照射により架橋された樹脂材料またはシロキサン結合(Si-O-Si)するシラン架橋性ポリオレフィン樹脂であることが好ましい。
本発明の態様によれば、プラスチック製部材が、架橋剤および/または架橋助剤を含んでなることが好ましい。
本発明のプラスチック製部材は、
プリフォームの外側を取り囲むように装着され、プリフォームとともに一体として加熱されることにより、プリフォームと、プリフォームの外側に密着されたプラスチック製部材とを有する複合容器を作製するためのプラスチック製部材であって、
プラスチック部材が、少なくともプリフォームの胴部を覆う筒状の胴部を有するダイレクトブロー成形品であり、
プラスチック製部材が、架橋された樹脂材料を含んでなることを特徴とする。
本発明の態様によれば、架橋された樹脂材料が、活性光線照射により架橋された樹脂材料またはシロキサン結合(Si-O-Si)するシラン架橋性ポリオレフィン樹脂であることが好ましい。
本発明の態様によれば、架橋剤および/または架橋助剤を含んでなることが好ましい。
本発明のプラスチック製部材の製造方法は、
プリフォームの外側を取り囲むように装着され、前記プリフォームとともに一体として加熱されることにより、前記プリフォームと、前記プリフォームの外側に密着されたプラスチック製部材とを有する複合容器を作製するためのプラスチック製部材の製造方法であって、
架橋性樹脂材料を含む混合物を加熱溶融する工程と、
前記加熱溶融した混合物を押し出し、チューブ状パリソンを形成する工程と、
金型内において、前記チューブ状パリソン内に空気を吹き込み、前記チューブ状パリソンを金型の形状に合わせてブロー成形し、ダイレクトブロー成形品を得る工程と、
前記ダイレクトブロー成形品に含まれる架橋性樹脂材料を架橋させる工程と、
を含んでなることを特徴とする
本発明の態様によれば、成形品に含まれる架橋性樹脂材料を架橋させる工程が、ダイレクトブロー成形品に対する活性光線照射処理、または水架橋処理により行われることが好ましい。
本発明によれば、ブロー成形金型内で複合プリフォームに対してブロー成形を施すことにより、複合プリフォームのプリフォームおよびプラスチック製部材を一体として膨張させる。このためプリフォーム(容器本体)とプラスチック製部材とを別部材から構成することができ、プラスチック製部材の種類や形状を適宜選択することにより、複合容器に様々な機能や特性を付与することができる。また、プラスチック製部材がダイレクトブロー成形品であるため、金型を変更することにより、プラスチック製部材の設計を細かく制御することができ、密着性をより高めることができる。さらに、プラスチック製部材が、架橋された樹脂材料を含んでなることにより、プラスチック製部材の耐熱性、耐摩耗性、耐溶剤性および熱収縮性を向上させることができる。
図1は、本発明の第1の実施の形態による複合容器を示す部分垂直断面図。 図2は、本発明の第1の実施の形態による複合容器を示す部分垂直断面図。 図3は、本発明の第1の実施の形態による複合容器を示す水平断面図(図1および図2のIII-III線断面図)。 図4は、本発明の第1の実施の形態による複合プリフォームを示す垂直断面図。 図5は、本発明の第1の実施の形態による複合プリフォームを示す垂直断面図。 図6(a)および(b)は、各種プラスチック製部材を示す斜視図。 図7(a)~(d)は、プラスチック製部材の各種開口の配列を示す正面図。 図8(a)~(d)は、プラスチック製部材の各種開口の配列を示す正面図。 図9(a)~(i)は、各種開口の各種形状を示す図。 図10(a)~(d)は、プラスチック製部材の作製方法の一実施形態を示す概略図。 図11(a)~(f)は、本発明の第1の実施の形態によるブロー成形方法を示す概略図。 図12は、本発明の第1の実施の形態による複合容器の変形例を示す部分垂直断面図。 図13は、本発明の第1の実施の形態による複合容器の変形例を示す部分垂直断面図。 図14は、本発明の第1の実施の形態による複合プリフォームの変形例を示す垂直断面図。 図15は、本発明の第1の実施の形態による複合プリフォームの変形例を示す垂直断面図。 図16(a)~(f)は、本発明の第1の実施の形態によるブロー成形方法の変形例を示す概略図。 図17は、本発明の第2の実施の形態による複合容器を示す部分垂直断面図。 図18は、本発明の第2の実施の形態による複合容器を示す部分垂直断面図。 図19は、本発明の第2の実施の形態による複合容器を示す水平断面図(図17および図18のXIX-XIX線断面図)。 図20は、本発明の第2の実施の形態による複合プリフォームを示す垂直断面図。 図21は、本発明の第2の実施の形態による複合プリフォームを示す垂直断面図。 図22(a)および(b)は、各種内側ラベル部材および各種プラスチック製部材を示す斜視図。 図23(a)~(d)は、内側ラベル部材およびプラスチック製部材の各種開口の配列を示す正面図。 図24(a)~(d)は、内側ラベル部材およびプラスチック製部材の各種開口の配列を示す正面図。 図25(a)~(f)は、本発明の第2の実施の形態によるブロー成形方法を示す概略図。 図26は、本発明の第2の実施の形態による複合容器の変形例を示す部分垂直断面図。 図27は、本発明の第2の実施の形態による複合容器の変形例を示す部分垂直断面図。 図28は、本発明の第2の実施の形態による複合プリフォームの変形例を示す垂直断面図。 図29は、本発明の第2の実施の形態による複合プリフォームの変形例を示す垂直断面図。 図30(a)~(f)は、本発明の第2の実施の形態によるブロー成形方法の変形例を示す概略図。
第1の実施の形態
以下、図面を参照して本発明の第1の実施の形態について説明する。図1乃至図11は本発明の第1の実施の形態を示す図である。
まず、図1乃至図3により、本実施の形態によるブロー成形方法によって作製される複合容器の概要について説明する。なお、本明細書中、「上」および「下」とは、それぞれ複合容器10Aを正立させた状態(図1)における上方および下方のことをいう。
図1および図2に示す複合容器10Aは、後述するように、ブロー成形金型50を用いてプリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aを含む複合プリフォーム70(図4および図5参照)に対して2軸延伸ブロー成形を施すことにより、複合プリフォーム70のプリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aを一体として膨張させて得られたものである。
このような複合容器10Aは、内側に位置するプラスチック材料製の容器本体10と、容器本体10の外側に密着して設けられたプラスチック製部材40とを備えている。
このうち容器本体10は、口部11と、口部11下方に設けられた首部13と、首部13下方に設けられた肩部12と、肩部12下方に設けられた胴部20と、胴部20下方に設けられた底部30とを備えている。
他方、プラスチック製部材40は、容器本体10の外面に薄く延ばされた状態で密着されており、容器本体10に対して容易に移動又は回転しない状態で取付けられている。
次に、容器本体10について詳述する。容器本体10は、上述したように口部11と、首部13と、肩部12と、胴部20と、底部30とを有している。
このうち口部11は、図示しないキャップに螺着されるねじ部14と、ねじ部14下方に設けられたフランジ部17とを有している。なお、口部11の形状は、従来公知の形状であっても良い。
首部13は、フランジ部17と肩部12との間に位置しており、略均一な径をもつ略円筒形状を有している。また、肩部12は、首部13と胴部20との間に位置しており、首部13側から胴部20側に向けて徐々に径が拡大する形状を有している。
さらに、胴部20は、全体として略均一な径をもつ円筒形状を有している。しかしながら、これに限られるものではなく、胴部20が四角形筒形状や八角形筒形状等の多角形筒形状を有していても良い。あるいは、胴部20が上方から下方に向けて均一でない水平断面をもつ筒形状を有していても良い。また、本実施の形態において、胴部20は、凹凸が形成されておらず、略平坦な表面を有しているが、これに限られるものではない。例えば、胴部20にパネル又は溝等の凹凸が形成されていても良い。
一方、底部30は、中央に位置する凹部31と、この凹部31周囲に設けられた接地部32とを有している。なお、底部30の形状についても特に限定されるものではなく、従来公知の底部形状(例えばペタロイド底形状や丸底形状等)を有していても良い。
また、胴部20における容器本体10の厚みは、これに限定されるものではないが、例えば50μm~250μm程度に薄くすることができる。さらに、容器本体10の重量についても、これに限定されるものではないが、例えば、容器本体10の内容量が500mlである場合は、10g~20gとすることができる。このように容器本体10の肉厚を薄くすることにより、容器本体10の軽量化を図ることができる。
また、図2に表すように、プラスチック製部材40に、開口44(剥離用開口)を設けることができる。この開口44は、複数設けられており、プラスチック製部材40の長手方向に沿ってミシン目状に形成されている。この場合、複数の開口44は、容器本体10の胴部20に対応する位置に設けられている。
このような容器本体10は、合成樹脂材料を射出成形して製作したプリフォーム10a(後述)を二軸延伸ブロー成形することにより作製することができる。なおプリフォーム10a、すなわち容器本体10の材料としては熱可塑性樹脂、特にPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PC(ポリカーボネート)を使用することが好ましい。また、上述した各種樹脂をブレンドして用いても良い。容器本体10は、赤色、青色、黄色、緑色、茶色、黒色、白色等の色に着色されていても良いが、リサイクルのしやすさを考慮した場合、無色透明であることが好ましい。さらに、容器本体10の内面に、容器のバリア性を高めるために、例えばダイヤモンド状炭素膜や酸化珪素薄膜等の蒸着膜を形成しても良い。
また、容器本体10は、2層以上の多層成形ボトルとして形成することもできる。すなわち、押し出し成形または射出成形により、例えば、中間層をMXD6、MXD6+脂肪酸塩、PGA(ポリグリコール酸)、EVOH(エチレンビニルアルコール共重合体)又はPEN(ポリエチレンナフタレート)等のガスバリア性及び遮光性を有する樹脂(中間層)として3層以上からなるプリフォーム10aを押出成形後、ブロー成形することによりガスバリア性及び遮光性を有する多層ボトルとして形成しても良い。なお、中間層としては、上述した各種樹脂をブレンドした樹脂を用いても良い。
また、熱可塑性樹脂の溶融物に不活性ガス(窒素ガス、アルゴンガス)を混ぜることで、0.5~100μmの発泡セル径を持つ発泡プリフォームを成形し、この発泡プリフォームをブロー成形することによって、容器本体10を作製しても良い。このような容器本体10は、発泡セルを内蔵しているため、容器本体10全体の遮光性を高めることができる。
このような容器本体10は、例えば満注容量が100ml~2000mlのボトルからなっていても良い。あるいは、容器本体10は、満注容量が例えば10L~60Lの大型のボトルであっても良い。
次に、プラスチック製部材40について説明する。プラスチック製部材40は、後述するようにプリフォーム10aの外側を取り囲むように設けられ、プリフォーム10aの外側に密着された後、プリフォーム10aとともに2軸延伸ブロー成形されることにより得られたものである。
プラスチック製部材40は容器本体10の外面に接着されることなく取付けられており、容器本体10に対して移動又は回転しないほどに密着されているか、又は自重で落下しない程度に密着されている。このプラスチック製部材40は、容器本体10の外面において薄く引き延ばされて容器本体10を覆っている。また、図3に示すように、プラスチック製部材40は、容器本体10を取り囲むようにその周方向全域にわたって設けられており、略円形状の水平断面を有している。
この場合、プラスチック製部材40は、容器本体10のうち、口部11および首部13を除く、肩部12、胴部20および底部30を覆うように設けられている。これにより、容器本体10の肩部12、胴部20および底部30に対して所望の機能や特性を付与することができる。
なお、プラスチック製部材40は、容器本体10のうち口部11以外の全域又は一部領域に設けられていても良い。例えば、プラスチック製部材40は、容器本体10のうち、口部11を除く、首部13、肩部12、胴部20および底部30の全体を覆うように設けられていても良い。さらに、プラスチック製部材40は1つに限らず、複数設けても良い。例えば、2つのプラスチック製部材40を肩部12の外面および底部30の外面にそれぞれ設けても良い。
一方、プラスチック製部材40は、容器本体10に対して溶着ないし接着されていないため、容器本体10から剥離して除去することができる。上記したように、プラスチック製部材40が複数の開口44を有し、これに沿って容易に切断可能な切断領域45が形成されている場合、複数の開口44(切断領域45)に沿って、プラスチック製部材40を長手方向に切断することにより、プラスチック製部材40が切断領域45から切り離され、プラスチック製部材40を容器本体10から剥離することができる。これにより、容器本体10を廃棄する際、プラスチック製部材40を容器本体10から容易に分離除去することができる。この結果、従来と同様に無色透明な容器本体10をリサイクルすることが可能となる。なお、プラスチック製部材40をより剥離しやすくするために、プラスチック製部材40の上端および/または下端に切れ込みを設けても良い。また、このような切断領域を有していない場合であっても、刃物等を用いてプラスチック製部材40を切除したりすることも可能である。これにより、印刷が施されたプラスチック製部材40を容器本体10から分離除去することができるので、従来と同様に無色透明な容器本体10をリサイクルすることができる。
開口44の形状としては、例えば、円形状、長方形状、楕円形状、角丸長方形状、菱形形状、三角形状、五角形状、矢羽根形状、六角形状等が挙げられるが、これに限定されるものではない。また、容器本体10に装着された状態で、プラスチック製部材40の開口44の幅(径)は、10mm以下となることが好ましい。なお、容器本体10に装着された状態で、プラスチック製部材40の隣接する開口44同士の最短距離は、5mm以下とすることが好ましい。これにより、複数の開口44を、プラスチック製部材40を剥離する時のガイドとして用いることができる。
また、プラスチック製部材40aの厚みは、これに限定されるものではないが、容器本体10に取り付けられた状態で例えば5μm~50μm程度とすることができる。
次に、図4および5により、本実施の形態による複合プリフォームの構成について説明する。
図4および5に示すように、複合プリフォーム70は、プラスチック材料製のプリフォーム10aと、プリフォーム10aの外側に設けられた有底円筒状のプラスチック製部材40aとを備えている。
このうちプリフォーム10aは、口部11aと、口部11aに連結された胴部20aと、胴部20aに連結された底部30aとを備えている。このうち口部11aは、上述した容器本体10の口部11に対応するものであり、口部11と略同一の形状を有している。また、胴部20aは、上述した容器本体10の首部13、肩部12および胴部20に対応するものであり、略円筒形状を有している。底部30aは、上述した容器本体10の底部30に対応するものであり、略半球形状を有している。
プラスチック製部材40aは、後述するダイレクトブロー成形を含む方法により得られるダイレクトブロー成形品であり、プリフォーム10aの外面に接着されることなく取付けられており、プリフォーム10aに対して移動又は回転しないほどに密着されているか、又は自重で落下しない程度に密着されている。プラスチック製部材40aは、プリフォーム10aを取り囲むようにその周方向全域にわたって設けられており、円形状の水平断面を有している。
この場合、プラスチック製部材40aは、胴部20aのうち容器本体10の首部13に対応する部分13aを除く全域と、底部30aの全域とを覆うように設けられている。
なお、プラスチック製部材40aは、口部11a以外の全域又は一部領域に設けられていても良い。例えば、プラスチック製部材40aは、口部11aを除く、胴部20aおよび底部30aの全体を覆うように設けられていても良い。さらに、プラスチック製部材40aは1つに限らず、複数設けても良い。例えば、2つのプラスチック製部材40aを胴部20aの外側2箇所にそれぞれ設けても良い。
次に、プラスチック製部材40aの形状について説明する。
図6(a)および図7に示すように、プラスチック製部材40aは、全体として有底円筒形状からなり、円筒状の胴部41と、胴部41に連結された底部42とを有していても良い。この場合、プラスチック製部材40aの底部42がプリフォーム10aの底部30aを覆うので、複合容器10Aの胴部20に加え、底部30に対しても様々な機能や特性を付与することができる。また、図6(b)および図8に示すように、プラスチック製部材40aは、有底円筒形状のプラスチック製部材40aの底部を切り、全体として円管形状(無底円筒形状)としても良い。
図7および図8に示されるように、プラスチック製部材40aの胴部41には、複数の開口44aを設けることができる。また、複数の開口44aのうちの一部は、底部42に設けられているが、これに限らず、開口44aが胴部41のみに設けられていても良い。また、複数の開口44aは、胴部41の上部から下部まで略均等に配置されているが、開口44aが規則的に配列されているか不規則に配列されているかは問わない。このように、プラスチック製部材40aの胴部41に複数の開口44aを設けたことにより、ブロー成形後、複数の開口44aに沿ってプラスチック製部材40を長手方向に切断することができる。これにより、プラスチック製部材40を容器本体10から剥離することができ、容器本体10をリサイクルすることが容易となる。また、図示はしないが、プラスチック製部材40aの底部42にも開孔44aを設けることができる。プラスチック製部材40aの底部42に開口44bを設けたことにより、有底のプラスチック製部材40aをプリフォーム10aに嵌め込む際、開口44bが空気の逃げ道となるため、プラスチック製部材40aをプリフォーム10aに対してスムーズに取り付けることができる。
図7(a)および図8(a)は、開口44aの配列の一例を示している。図7(a)および図8(a)において、複数の開口44aは、プラスチック製部材40aの長手方向に沿って1列に配置されている。この場合、ブロー成形後、容器本体10のうちプラスチック製部材40に覆われていない箇所が少なくなるので、バリア性等の機能を損なわれにくくすることができる。
図7(b)および図8(b)は、開口44aの他の配列を示している。図7(b)および図8(b)において、複数の開口44aは、プラスチック製部材40aの長手方向に沿って複数列(例えば2列)に配置されている。この場合、ブロー成形後、プラスチック製部材40を容器本体10から剥離する作業をより行いやすくすることができる。
図7(c)および図8(c)は、開口44aの他の配列を示している。図7(c)において、複数の開口44aは、プラスチック製部材40aの長手方向に沿ってジグザグ状に配置されている。
この場合、ブロー成形後、プラスチック製部材40を必ずしも真っ直ぐ引っ張らなくても容器本体10から剥離することができる。
図7(d)および図8(d)は、開口44aの他の配列を示している。図7(d)および図8(d)において、複数の開口44aは、プラスチック製部材40aの軸線方向に対して斜めに配置されている。この場合、ブロー成形後、プラスチック製部材40を斜めに引っ張って容器本体10から剥離することができる。
開口44aの形状は限定されるものではないが、円形状(図9(a))のほか、長方形状(図9(b))、楕円形状(図9(c))、角丸長方形状(図9(d))、菱形形状(図9(e))、三角形状(図9(f))、五角形状(図9(g))、矢羽根形状(図9(h))、六角形状(図9(i))等であっても良い。また、プラスチック製部材40aがプリフォーム10aに装着され、ブロー成形される前の状態で、開口44aの幅(径)は、10mm以下となることが好ましい。さらに、ブロー成形後にプラスチック製部材40を剥離しやすくするために、プリフォーム10aに装着された状態で、プラスチック製部材40aの隣接する開口44a同士の最短距離は、5mm以下とすることが好ましい。
開口44aの個数は、これに限定されるものではないが、プラスチック製部材40aの全体で例えば5個~1000個としても良い。
プラスチック製部材40a(40)は、架橋された樹脂材料を含んでなる。プラスチック製部材40a(40)が、架橋された樹脂材料を含んでなることにより、プラスチック製部材40a(40)の耐熱性、耐摩耗性、耐溶剤性および熱収縮性を向上させることができる。
プラスチック製部材40a(40)が含有する架橋された樹脂材料は、後述するように、架橋性樹脂材料に対し、(1)活性光線照射処理を施すことにより、または(2)水架橋処理を施すことにより得ることができる。
活性光線照射処理を施すことにより架橋する架橋性樹脂材料としては、例えば、PE、PP、ポリスチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリメチルアクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリブタジエン、天然ゴム、ビニルアルコール、ポリアミド樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、などが挙げられる。
水架橋処理を施すことにより架橋する架橋性樹脂材料としては、水架橋処理によりシロキサン結合(Si-O-Si)するシラン架橋性ポリオレフィン樹脂が挙げられる。シラン架橋性ポリオレフィン樹脂は、エチレンとエチレン変性不飽和シラン化合物とを共重合させることにより得ることができる。エチレン性不飽和シラン化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルアセトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシランなどが挙げられる。
また、一実施形態において、シラン架橋性ポリオレフィン樹脂は、低密度ポリエチレンなどのポリオレフィン樹脂を、ビニルメトキシシランなどの不飽和シラン化合物およびジクミルパーオキサイドなどの遊離ラジカル発生剤の存在下において、遊離ラジカル発生剤の分解温度以上に加熱することにより得ることができる。
シラン架橋性樹脂は、市販されているものを使用してもよい。例えば、三菱化学株式会社製のリンクロンXLE815N、XCF710N、XCF730N、XHE740N、XHE650N、HM600A、XVF600N、XPM800HM、XPF860G、SS732N、LBC021-2、XCF800N、LBC022-1、PK500N、LY5-3およびPM700Nなどが挙げられる。
プラスチック製部材40a(40)における架橋された樹脂材料の含有量は、60質量%以上、100質量%以下であることが好ましく、75質量%以上、100質量%以下であることがより好ましい。架橋された樹脂材料の含有量を上記数値範囲とすることにより、プラスチック製部材40a(40)の耐熱性、耐摩耗性、耐溶剤性および熱収縮性をより顕著に向上させることができる。
また、プラスチック製部材40a(40)は、その特性が損なわれない範囲において、例えば、ポリ乳酸、ポリ-4-メチルペンテン-1、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹旨、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、フタル酸ジアリル樹脂、フッ素系樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリブテン-1、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロンMXD6、芳香族ポリアミド、ポリカーボネート、ポリテレフタル酸エチレン、ポリテレフタル酸ブチレン、ポリナフタレン酸エチレン、Uポリマー、液晶ポリマー、変性ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、不飽和ポリエステル、アルキド樹脂、ポリイミド、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、シリコーン樹脂、ポリウレタン、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリアセタール、エポキシ樹脂等のその他の樹脂材料を含んでいても良い。
また、プラスチック製部材40a(40)は、上記した樹脂を構成する2以上のモノマー単位が重合した共重合体を含んでいても良い。さらに、プラスチック製部材40a(40)は上記した樹脂を2種以上を含んでなるものであってよい。またそれらのブレンド材料や多層構造、部分的多層構造のものであってもよい。
また、プラスチック製部材40a(40)は、架橋剤を含んでいることが好ましく、架橋剤としては、例えば、ヘキサメチレンジアミンカルバメート、ジオルトトリルグアニジン、ジクミルペルオキシドおよび1,3-フェニレンビスオキサゾリンなどが挙げられる。
架橋剤の含有量としては、プラスチック製部材40a(40)に含まれる架橋された樹脂材料の総量を100質量部としたときに、0.1~5質量部であることが好ましく、0.1~2質量部であることがより好ましい。
また、プラスチック製部材40a(40)は、架橋助剤を含んでいることが好ましく、架橋剤としては、例えば、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、ジアリルフマレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレングリコールジメタクリレートなどが挙げられる。
架橋助剤の含有量としては、プラスチック製部材40a(40)に含まれる架橋された樹脂材料の総量を100質量部としたときに、0.1~5質量部であることが好ましく、0.1~2質量部であることがより好ましい。
架橋性樹脂材料が、水架橋処理を施すことにより架橋するものである場合、プラスチック製部材40a(40)は、シラノール縮合触媒を含んでなることが好ましい。シラノール縮合触媒としては、シラノール間の脱水縮合を促進することができるものであれば特に制限なく使用することができる。例えば、スズ、亜鉛、鉄、コバルトなどの金属カルボン酸塩、有機塩基、無機酸または有機酸を挙げることができ、より具体的には、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズアセテート、ジオクチルスズジラウレートなどが挙げられる。
プラスチック製部材40a(40)におけるシラノール縮合触媒の含有量は、プラスチック製部材40a(40)に含まれる架橋された樹脂材料の総量100質量部に対し、0.1質量部以上、10質量部以下であることが好ましく、1質量部以上、5質量部以下であることがより好ましい。シラノール縮合触媒の含有量を上記数値範囲とすることにより、架橋反応を良好に行うことができ、プラスチック製部材40a(40)の耐熱性、耐摩耗性、耐溶剤性および熱収縮性を向上させることができる。
またプラスチック製部材40a(40)は、その特性が損なわれない範囲において、主成分である上記の樹脂以外にも、各種の添加剤を添加してもよい。添加剤としては、例えば、可塑剤、紫外線安定化剤、着色防止剤、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、耐候剤、帯電防止剤、糸摩擦低減剤、スリップ剤、離型剤、抗酸化剤、イオン交換剤、および着色顔料等を添加することができる。また、熱可塑性樹脂の溶融物に不活性ガス(窒素ガス、アルゴンガス)を混ぜることで、0.5~100μmの発泡セル径を持つ発泡部材を使用し、この発泡プリフォームを成形することによって、遮光性を高めることができる。
また、プラスチック製部材40a(40)がプリフォーム10a(容器本体10)と同一の材料を含んでいても良い。この場合、複合容器10Aのうち、例えば、強度を高めたい部分に重点的にプラスチック製部材40a(40)を配置し、当該箇所の強度を選択的に高めることができる。例えば、容器本体10の肩部12周辺にプラスチック製部材40を設け、この部分の強度を高めても良い。このような材料としては、PE、PP等のポリオレフィン系樹脂、PS等のポリスチレン系樹脂などを挙げることができる。
また、プラスチック製部材40a(40)は、酸素バリア性又は水蒸気バリア性等のガスバリア性を有する材料を含んでいても良い。この場合、プリフォーム10aとして多層プリフォームやブレンド材料を含むプリフォーム等を用いることなく、複合容器10Aのガスバリア性を高め、容器内への酸素の侵入を防ぎ、内容液が劣化することを防止し、また、容器内から外部への水蒸気の蒸散を防ぎ、内容量が減少することを防止することができる。例えば、容器本体10のうち、肩部12、首部13および胴部20の全域および底部30の一部にプラスチック製部材40を設け、この部分のガスバリア性を高めても良い。このような材料としては、PE、PP、MXD-6、PGA、EVOH、PENまたはこれらの材料に脂肪酸塩等の酸素吸収材を混ぜることも考えられる。
また、プラスチック製部材40a(40)は、紫外線等の光線バリア性を有する材料を含んでいても良い。この場合、プリフォーム10aとして多層プリフォームやブレンド材料を含むプリフォーム等を用いることなく、複合容器10Aの光線バリア性を高め、紫外線等により内容液が劣化することを防止することができる。例えば、容器本体10のうち、肩部12、首部13、胴部20の全域および底部の一部にプラスチック製部材40aを設け、この部分の紫外線バリア性を高めても良い。このような材料としては、上記した樹脂を2種類以上含んでなる樹脂材料、またはPETやPE、PPに遮光性樹脂を添加した材料が考えられる。また、熱可塑性樹脂の溶融物に不活性ガス(窒素ガス、アルゴンガス)を混ぜることにより作製された、0.5~100μmの発泡セル径を持つ発泡部材を使用しても良い。
また、プラスチック製部材40a(40)は、プリフォーム10a(容器本体10)を構成するプラスチック材料よりも保温性又は保冷性の高い材料(熱伝導性の低い材料)を含んでいても良い。この場合、容器本体10そのものの厚みを厚くすることなく、内容液の温度が複合容器10Aの表面まで伝達しにくくすることが可能となる。これにより、複合容器10Aの保温性又は保冷性が高められる。例えば、容器本体10のうち胴部20の全部又は一部にプラスチック製部材40を設け、胴部20の保温性又は保冷性を高めても良い。また、使用者が複合容器10Aを把持した際、熱すぎたり冷たすぎたりすることにより複合容器10Aを持ちにくくなることが防止される。このような材料としては、発泡化したポリウレタン、ポリスチレン、PE、PP、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル、ユリア樹脂、シリコーン、ポリイミド、メラミン樹脂などが考えられる。これら樹脂を含んでなる樹脂材料に、中空粒子を混合することが好ましい。中空粒子の平均粒子径は、1~200μmであることが好ましく、5~80μmであることがより好ましい。なお、「平均粒子径」とは、体積平均粒子径を意味し、粒度分布・粒径分布測定装置(例えば、ナノトラック粒度分布測定装置、日機装株式会社製など)を用いて公知の方法により測定することができる。また、中空粒子としては、樹脂などから構成される有機系中空粒子であってもよく、ガラスなどから構成される無機系中空粒子であってもよいが、分散性が優れるという理由から、有機系中空粒子が好ましい。有機系中空粒子を構成する樹脂としては、例えば、架橋スチレン-アクリル樹脂などのスチレン系樹脂、アクリロニトリル-アクリル樹脂などの(メタ)アクリル系樹脂、フェノール系樹脂、フッ素系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテル系樹脂などを挙げることができる。また、ローペイクHP-1055、ローペイクHP-91、ローペイクOP-84J、ローペイクウルトラ、ローペイクSE、ローペイクST(ロームアンドハース(株)製)、ニポールMH-5055(日本ゼオン(株)製)、SX8782、SX866(JSR(株)製)などの市販される中空粒子を用いることも出来る。中空粒子の含有量としては、プラスチック製部材40aが単層からなる場合、プラスチック製部材40aに含有される樹脂材料100質量部に対して、0.01~50質量部であることが好ましく、1~20質量部であることがより好ましい。また、プラスチック製部材40aが多層からなる場合、中空粒子が含まれるプラスチック製部材40aの層に含有される樹脂材料100質量部に対して、0.01~50質量部であることが好ましく、1~20質量部であることがより好ましい。
また、プラスチック製部材40a(40)は、プリフォーム10a(容器本体10)を構成するプラスチック材料よりも滑りにくい材料を含んでいても良い。この場合、容器本体10の材料を変更することなく、使用者が複合容器10Aを把持しやすくすることができる。例えば、容器本体10のうち胴部20の全部又は一部にプラスチック製部材40を設け、胴部20を持ちやすくしても良い。
さらに、プラスチック製部材40a(40)には、デザイン又は印字が施されていても良い。この場合、ブロー成形後に容器本体10に対して別途ラベル等を付与することなく、複合容器10Aに画像や文字を表示することが可能となる。例えば、容器本体10のうち胴部20の全部又は一部にプラスチック製部材40を設け、胴部20に画像や文字を表示しても良い。印刷は、例えばインクジェット法、グラビア印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法等の印刷法により行うことができる。例えば、インクジェット法を用いる場合、プラスチック製部材40a(40)にUV硬化型インクを塗布し、これにUV照射を行い、硬化することにより印刷層を形成させることができる。この印刷は、プリフォーム10aに取り付けられる前のプラスチック製部材40aに対して施されても良く、プリフォーム10aの外側にプラスチック製部材40aを設けた状態で施されても良い。さらに、ブロー成形後の複合容器10Aのプラスチック製部材40に印刷が施されても良い。
プラスチック製部材40aは、プリフォーム10aに対して収縮する作用をもたないものであっても良く、収縮する作用をもつものであっても良い。ブロー成形後において、容器本体と、プラスチック製部材40との間に入り込む空気が少ない、即ち、密着性が高いという観点からは、プラスチック製部材40aは、プリフォーム10aに対して収縮する作用をもつもの(収縮チューブ)であることが好ましい。
一方、プラスチック製部材40aが収縮する作用をもつ場合、プラスチック製部材40aは、例えば、外的な作用(例えば熱)が加えられた際、プリフォーム10aに対して収縮するもの(熱収縮チューブ)が用いられても良い。あるいは、プラスチック製部材40は、それ自体が収縮性ないし弾力性を持ち、外的な作用を加えることなく収縮可能なものであっても良い。
次に、プラスチック製部材40aの製造方法について説明する。
プラスチック製部材40aは、
上記した架橋性樹脂材料を含む混合物を加熱溶融する工程と、
加熱溶融した混合物を押し出し、チューブ状パリソンを形成する工程と、
金型内において、チューブ状パリソン内に空気を吹き込み、チューブ状パリソンを金型の形状に合わせてブロー成形し、ダイレクトブロー成形品を得る工程と、
ダイレクトブロー成形品に含まれる架橋性樹脂材料を架橋させる工程と、
を含んでなる方法により得られる。
一実施形態におけるプラスチック製部材40aの製造方法を図10を参照しながら説明する。まず、図10(a)に示すように、架橋性樹脂材料および所望により、その他の樹脂材料、架橋剤や添加物などを含む混合物51を加熱溶融し、ダイ52からチューブ状に押し出し、チューブ状パリソン53を形成させる。次いで、図10(b)に示すように、例えば2分割の金型54によりチューブ状パリソン53を挟み込み、次いで、図10(c)に示すように、吹き込みノズル55よりチューブ状パリソン53内に空気を吹き込み、チューブ状パリソン53を金型54に合わせて成形し(ダイレクトブロー成形)、冷却、型開き、取り出しを順次行うことにより、図10(d)に示すような有底円筒形状のダイレクトブロー成形品を得ることができる。また得られたダイレクトブロー成形品に、従来公知の方法により、例えば、針状突起を用いることにより開口44aを設けることができる。このダイレクトブロー成形品に対し、架橋処理を施し、成形品に含まれる架橋性樹脂材料を架橋させることにより、プラスチック製部材40aを得ることができる(図示せず)。
混合物の加熱溶融温度は、150~250℃であることが好ましく、170~230℃であることがより好ましい。混合物の押し出しは、単層であっても、多層であってもよい。
プラスチック製部材40aは、上記したように多層からなるものであってもよく、例えば、最内面と最外面との層構成が同じであっても、異なっていてもよい。このような多層構造のプラスチック製部材40aは、上記のように多層で押し出すことによっても作製することができるが、2以上の単層からなるプラスチック製部材40aを接着することによっても作製することができる。
上記のような方法によれば、金型を変更することにより、プラスチック製部材40aの設計を細かく制御することができるため、プリフォーム40aへの密着性がより高いプラスチック製部材40aの作製が可能である。
得られたダイレクトブロー成形品に対する架橋処理としては、(1)活性光線照射処理および(2)水架橋処理を挙げることができる。
本明細書において、活性光線とは、架橋性樹脂材料に対し、化学的に作用して架橋反応を促進せしめる放射線を意味し、具体的には、可視光線、紫外線、X線、電子線、α線、β線、γ線などを意味する。これらの中でも制御が容易であることから電子線が好ましく、浸透力が優れていることからγ線が好ましい。
ここで、電子線およびγ線の線量は1~1000kGyであることが好ましく、20~300kGyであることがより好ましい。また、電子線の加速電圧は50~1000kVであることが好ましく、70~400kVであることがより好ましい。
水架橋処理の方法としては、ダイレクトブロー成形品を水中に浸漬させる方法、またはダイレクトブロー成形品を高温多湿の雰囲気にさらす方法が挙げられる。ダイレクトブロー成形品を水中に浸漬させる場合、水の温度は、20℃以上、90℃以下であることが好ましく、45℃以上、75℃以下であることがより好ましい。また、ダイレクトブロー成形品を高温多湿の雰囲気にさらす場合、温度は、20℃以上、120℃以下であることが好ましく、45℃以上、100℃以下であることがより好ましく、相対湿度は、50%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましい。
次に、図11(a)~(f)により、本実施の形態による複合容器10Aの製造方法について説明する。
まず、プラスチック材料製のプリフォーム10aを準備する(図11(a)参照)。この場合、例えば、図示しない射出成形機を用いて、射出成形法によりプリフォーム10aを作製しても良い。また、プリフォーム10aとして、従来一般に用いられるプリフォームを用いても良い。なお、プラスチック製部材40aは、複数の開口44aを有していてもよい。
次に、プリフォーム10aの外側にプラスチック製部材40aを設けることにより、プリフォーム10aと、プリフォーム10aの外側に密着されたプラスチック製部材40aとを有する複合プリフォーム70を作製する(図11(b)参照)。この場合、プラスチック製部材40aは、全体として有底円筒形状からなり、円筒状の胴部41と、胴部41に連結された底部42とを有している。このプラスチック製部材40aは、胴部20aのうち容器本体10の首部13に対応する部分を除く全域と、底部30aの全域とを覆うように装着される。
この場合、プリフォーム10aの外径と同一又はわずかに小さい内径をもつプラスチック製部材40aを、プリフォーム10aに対して押し込むことにより、プリフォーム10aの外面に密着させても良い。
このように、予めプリフォーム10aの外側にプラスチック製部材40aを密着させ、複合プリフォーム70を作製しておくことにより、複合プリフォーム70を作製する一連の工程(図11(a)~(b))と、複合容器10Aをブロー成形により作製する一連の工程(図11(c)~(f))とを別々の場所(工場等)で実施することが可能になる。
次に、複合プリフォーム70は、加熱装置51によって加熱される(図11(c)参照)。このとき、複合プリフォーム70は、口部11aを下に向けた状態で回転しながら、加熱装置51によって周方向に均等に加熱される。この加熱工程におけるプリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aの加熱温度は、例えば90℃乃至130℃としても良い。
続いて、加熱装置51によって加熱された複合プリフォーム70は、ブロー成形金型50に送られる(図11(d)参照)。
複合容器10Aは、このブロー成形金型50を用いて成形される。この場合、ブロー成形金型50は、互いに分割された一対の胴部金型50a、50bと、底部金型50cとからなる(図11(d)参照)。図11(d)において、一対の胴部金型50a、50b間は互いに開いており、底部金型50cは上方に上がっている。この状態で一対の胴部金型50a、50b間に、複合プリフォーム70が挿入される。
次に、図11(e)に示すように、底部金型50cが下がったのちに一対の胴部金型50a、50bが閉鎖され、一対の胴部金型50a、50bおよび底部金型50cにより密閉されたブロー成形金型50が構成される。次にプリフォーム10a内に空気が圧入され、複合プリフォーム70に対して2軸延伸ブロー成形が施される。
このことにより、ブロー成形金型50内でプリフォーム10aから容器本体10が得られる。この間、胴部金型50a、50bは30℃乃至80℃まで加熱され、底部金型50cは5℃乃至25℃まで冷却される。この際、ブロー成形金型50内では、複合プリフォーム70のプリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aが一体として膨張される。これにより、プリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aは、一体となってブロー成形金型50の内面に対応する形状に賦形される。
このようにして、容器本体10と、容器本体10の外面に設けられたプラスチック製部材40とを備えた複合容器10Aが得られる。
次に、図11(f)に示すように、一対の胴部金型50a、50bおよび底部金型50cが互いに離れ、ブロー成形金型50内から複合容器10Aが取出される。
変形例
次に、図12乃至図16により本発明の第1の実施の形態の変形例について説明する。
図12乃至図16に示す変形例は、プラスチック製部材40aとして胴部と底部とを有するものではなく、円筒状のプラスチック製部材40aを用いたものである。
図12および図13に示す複合容器10Aにおいて、プラスチック製部材40は、容器本体10の肩部12から胴部20の下方部分まで延びているが、底部30まで達していない。また、図8に示す複合プリフォーム70において、プラスチック製部材40aはプリフォーム10aの胴部20aのみを覆うように密着されており、より詳細には、胴部20aのうち容器本体10の首部13に対応する部分13aと胴部20aの下部に対応する部分とを除く領域を覆っている。
図12乃至図16において他の構成は、図1乃至図11に示す実施の形態と略同一である。図12乃至図16に示す変形例において、図1乃至図11に示す実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
このほか、複合容器10Aの構成および製造方法、ならびに複合プリフォーム70の構成および製造方法については、図1乃至図11に示す実施の形態と略同様であるので、詳細な説明を省略する。
第2の実施の形態
次に、図面を参照して本発明の第2の実施の形態について説明する。図17乃至図25は本発明の第2の実施の形態を示す図である。図17乃至図25において、第1の実施の形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
まず、図17乃至図19により、本実施の形態によるブロー成形方法によって作製される複合容器の概要について説明する。
図17乃至図19に示す複合容器10Aは、後述するように、ブロー成形金型50を用いてプリフォーム10a、内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材40aを含む複合プリフォーム70(図20および図21参照)に対して2軸延伸ブロー成形を施すことにより、複合プリフォーム70のプリフォーム10a、内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材40aを一体として膨張させて得られたものである。
このような複合容器10Aは、内側に位置するプラスチック材料製の容器本体10と、容器本体10の外側に密着して設けられた内側ラベル部材60と、内側ラベル部材60の外側に密着して設けられたプラスチック製部材40とを備えている。
このうち容器本体10は、口部11と、口部11下方に設けられた首部13と、首部13下方に設けられた肩部12と、肩部12下方に設けられた胴部20と、胴部20下方に設けられた底部30とを備えている。
一方、内側ラベル部材60は、容器本体10の外面に薄く延ばされた状態で密着されており、容器本体10に対して容易に移動又は回転しないほどに密着されている。
また、プラスチック製部材40は、容器本体10の外面かつ内側ラベル部材60の外面に薄く延ばされた状態で密着されており、容器本体10に対して容易に移動又は回転しないほどに密着されている。
プラスチック製部材40は、その少なくとも一部が半透明又は透明であることが考えられ、この場合、この半透明又は透明な部分を介して、内側ラベル部材60を外方から視認できる。なお、プラスチック製部材40は、その全体が半透明又は透明であっても良く、あるいは不透明な部分と半透明又は透明な部分(例えば窓部)とを有していても良い。なお、本実施の形態ではプラスチック製部材40の全体が透明である場合を例にとって説明する。
次に、内側ラベル部材60について説明する。内側ラベル部材60(60a)は後述するようにプリフォーム10aの外側を取り囲むように設けられ、このプリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aと一体となって2軸延伸ブロー成形されることにより得られたものである。
内側ラベル部材60は容器本体10の外面に接着されることなく取付けられており、容器本体10に対して移動又は回転しないほどに密着されている。この内側ラベル部材60は、容器本体10の外面において薄く引き延ばされて容器本体10を覆っている。図12に示すように、内側ラベル部材60は、容器本体10を取り囲むようにその周方向全域にわたって設けられており、略円形状の水平断面を有している。
この場合、内側ラベル部材60は、容器本体10のうち、口部11および首部13を除く、肩部12、胴部20および底部30を覆うように設けられている。これにより、容器本体10の肩部12、胴部20および底部30に所望の文字、画像等を付与し、複合容器10Aに対して装飾性をもたせたり、情報を表示させたりすることができる。
なお、内側ラベル部材60は、容器本体10のうち口部11以外の全域又は一部領域に設けられていても良い。例えば、内側ラベル部材60は、容器本体10のうち、口部11を除く、首部13、肩部12、胴部20および底部30の全体を覆うように設けられていても良い。さらに、内側ラベル部材60は1つに限らず、複数設けても良い。なお、内側ラベル部材60は、プラスチック製部材40と同一の領域に設けられていても良く、プラスチック製部材40よりも狭い領域に設けられていても良い。後者の場合、内側ラベル部材60はプラスチック製部材40によって完全に覆われることが好ましい。
また、内側ラベル部材60の厚みは、これに限定されるものではないが、容器本体10に取り付けられた状態で例えば5μm~50μm程度とすることができる。
次に、プラスチック製部材40について説明する。プラスチック製部材40(40a)は後述するように内側ラベル部材60aの外側を取り囲むように設けられ、プリフォーム10aおよび内側ラベル部材60aと一体となって2軸延伸ブロー成形されることにより得られたものである。
プラスチック製部材40は内側ラベル部材60の外面に接着されることなく取付けられており、容器本体10に対して移動又は回転しないほどに密着されている。このプラスチック製部材40は、内側ラベル部材60の外面において薄く引き延ばされて内側ラベル部材60を覆っている。図19に示すように、プラスチック製部材40は、容器本体10を取り囲むようにその周方向全域にわたって設けられており、略円形状の水平断面を有している。また、プラスチック製部材40には、複数の開口44が設けられていても良い。この開口44の構成は、上述した第1の実施の形態と同様である。また、図示していないが、内側ラベル部材60にも複数の開口を設けておき、プラスチック製部材40とともに内側ラベル部材60を容器本体10から剥離除去できるようにしても良い。この場合、内側ラベル部材60の開口の位置は、プラスチック製部材40の開口44の位置と同一であっても良く、異なっていても良い。
このほか、容器本体10およびプラスチック製部材40の構成および作製方法などは、上述した第1の実施の形態の場合と略同様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
次に、図20および図21により、本実施の形態による複合プリフォームの構成について説明する。
図20および図21に示すように、複合プリフォーム70は、プラスチック材料製のプリフォーム10aと、プリフォーム10aの外側に密着して設けられた有底円筒状の内側ラベル部材60aと、内側ラベル部材60aの外側に密着して設けられた有底円筒状のプラスチック製部材40aとを備えている。
内側ラベル部材60aは、プリフォーム10aの外面に密着されており、プリフォーム10aに対して容易に移動又は回転しない状態で密着されている。内側ラベル部材60aは、プリフォーム10aを取り囲むようにその周方向全域にわたって設けられており、略円形状の水平断面を有している。
内側ラベル部材60aには、予めデザイン又は印字が施されていても良い。例えば、図柄や商品名等のほか、内容液の名称、製造者、原材料名等の文字情報が記載されていても良い。この場合、ブロー成形後に容器本体10に対して別途ラベル等を付与することなく、複合容器10Aに画像や文字を表示することが可能となる。例えば、プリフォーム10aのうち胴部20aの全部又は一部に内側ラベル部材60aを設け、成形後に容器本体10の胴部20に画像や文字が表示されるようにしても良い。これにより、容器を密栓した後、ラベラーを用いてラベルを付与する工程が不要となるので、製造コストを抑制することができるとともに、歩留まりが低下することを防止することができる。
このような内側ラベル部材60aとしては、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアラミド系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、フッ素系樹脂などのフィルムを用いることができる。内側ラベル部材60aは、容器本体10(プリフォーム10a)および/またはプラスチック製部材40aと同一の材料からなっていても良く、異なる材料からなっていても良い。
また、内側ラベル部材60aとして、以下に説明する各種材料を用いることもできる。
例えば、内側ラベル部材60aは、酸素バリア性又は水蒸気バリア性等のガスバリア性を有する材料からなっていても良い。この場合、プリフォーム10aとして多層プリフォームやブレンド材料を含むプリフォーム等を用いることなく、複合容器10Aのガスバリア性を高め、容器内への酸素の侵入を防ぎ、内容液が劣化することを防止し、また、容器内から外部への水蒸気の蒸散を防ぎ、内容量が減少することを防止することができる。このような材料としては、PE、PP、MXD-6、EVOHまたはこれらの材料に脂肪酸塩などの酸素吸収材を混ぜることも考えられる。
また、内側ラベル部材60aは、紫外線等の光線バリア性を有する材料からなっていても良い。この場合、プリフォーム10aとして多層プリフォームやブレンド材料を含むプリフォーム等を用いることなく、複合容器10Aの光線バリア性を高め、紫外線等により内容液が劣化することを防止することができる。このような材料としては、ブレンド材料、またはPETやPE、PPに遮光性樹脂を添加した材料が考えられる。
また、内側ラベル部材60aは、容器本体10(プリフォーム10a)を構成するプラスチック材料よりも保温性又は保冷性の高い材料(熱伝導性の低い材料)からなっていても良い。この場合、容器本体10そのものの厚みを厚くすることなく、内容液の温度が複合容器10Aの表面まで伝達しにくくすることが可能となる。これにより、複合容器10Aの保温性又は保冷性が高められる。このような材料としては、発泡化したポリウレタン、ポリスチレン、PE、PP、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル、ユリア樹脂、シリコーン、ポリイミド、メラミン樹脂などが考えられる。内側ラベル部材60aは、さらに中空粒子を含んでなることが好ましい。中空粒子の平均粒子径は、1~200μmであることが好ましく、5~80μmであることがより好ましい。また、中空粒子としては、樹脂などから構成される有機系中空粒子であってもよく、ガラスなどから構成される無機系中空粒子であってもよいが、分散性が優れるという理由から、有機系中空粒子が好ましい。有機系中空粒子を構成する樹脂としては、上記したものと同様のものを挙げることができる。また、上記市販される中空粒子を用いることも出来る。中空粒子の含有量としては、内側ラベル部材60aに含有される樹脂100質量部に対して、0.01~50質量部であることが好ましく、1~20質量部であることがより好ましい。
一方、プラスチック製部材40aは、後述するダイレクトブロー成形を含む方法により得られるダイレクトブロー成形品であり、内側ラベル部材60aの外面に接着されることなく取付けられており、プリフォーム10aに対して移動又は回転しないほどに密着されているか、又は自重で落下しない程度に密着されている。プラスチック製部材40aは、プリフォーム10aを取り囲むようにその周方向全域にわたって設けられており、略円形状の水平断面を有している。また、このプラスチック製部材40aは、複数の開口44aを有していてもよく、開口44aの構成は、上述した第1の実施の形態と同様である。
内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材40aは、胴部20aのうち容器本体10の首部13に対応する部分13aを除く全域と、底部30aの全域とを覆うように設けられている。
なお、内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材40aは、口部11a以外の全域又は一部領域に設けられていても良い。例えば、内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材40aは、口部11aを除く、胴部20aおよび底部30aの全体を覆うように設けられていても良い。さらに、内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材40aはそれぞれ1つに限らず、複数設けても良い。例えば、2つの内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材40aを胴部20aの外側2箇所にそれぞれ設けても良い。
このほか、プリフォーム10aおよびプラスチック製部材40aの構成は、上述した第1の実施の形態の場合と略同様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
次に、プラスチック製部材40aおよび/または内側ラベル部材60aの形状について説明する。
図22(a)および23に示すように、プラスチック製部材40aは、全体として有底円筒形状からなり、円筒状の胴部41と、胴部41に連結された底部42とを有していても良い。この場合、プラスチック製部材40aの底部42がプリフォーム10aの底部30aを覆うので、複合容器10Aの胴部20に加え、底部30に対しても様々な機能や特性を付与することができる。また、図22(b)および図24に示すように、プラスチック製部材40aは、有底円筒形状のプラスチック製部材40aの底部を切り、全体として円管形状(無底円筒形状)としても良い。
次に、図25(a)~(f)により、本実施の形態によるブロー成形方法(複合容器10Aの製造方法)について説明する。
まず、プラスチック材料製のプリフォーム10aを準備する(図25(a)参照)。なお、プラスチック製部材40aは、複数の開口44aを有していてもよい。
次に、プリフォーム10aの外側に内側ラベル部材60aを設けるとともに、内側ラベル部材60aの外側にプラスチック製部材40aを設ける。これにより、プリフォーム10aと、プリフォーム10aの外側に密着された内側ラベル部材60aと、内側ラベル部材60aの外側に密着されたプラスチック製部材40aとを有する複合プリフォーム70を作製する(図25(b)参照)。この場合、内側ラベル部材60aは、全体として有底円筒形状からなり、円筒状の胴部61と、胴部61に連結された底部62とを有している。
この場合、プリフォーム10aの外径と同一又はわずかに小さい内径をもつ内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材40aを、それぞれプリフォーム10aに対して押し込むことにより、プリフォーム10aの外面に密着させても良い。
また、予め内側ラベル部材60aの周囲にプラスチック製部材40aを設けておき、これら内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材40aを一体としてプリフォーム10aの外側に装着しても良い。あるいは、プリフォーム10aの外側に内側ラベル部材60aを設け、その後、内側ラベル部材60aの外側にプラスチック製部材40aを設けてもよい。
このように、予めプリフォーム10aおよび内側ラベル部材60aの外側にプラスチック製部材40aを密着させ、複合プリフォーム70を作製しておくことにより、複合プリフォーム70を作製する一連の工程(図25(a)~(b))と、複合容器10Aをブロー成形により作製する一連の工程(図25(d)~(f))とを別々の場所(工場等)で実施することが可能になる。
次に、複合プリフォーム70は、加熱装置51によって加熱される(図25(c)参照)。
続いて、加熱装置51によって加熱された複合プリフォーム70は、ブロー成形金型50に送られる。複合容器10Aは、このブロー成形金型50を用いて成形され、上述した第1の実施の形態の場合と略同様にして、容器本体10と、容器本体10の外面に設けられた内側ラベル部材60と、内側ラベル部材60の外側に設けられたプラスチック製部材40とを備えた複合容器10Aが得られる(図25(d)-(f)参照)。
このほか、本実施の形態によるブロー成形方法(複合容器10Aの製造方法)は、上述した第1の実施の形態の場合と略同様であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
以上説明したように、本実施の形態によれば、ブロー成形金型50内で複合プリフォーム70に対してブロー成形を施すことにより、複合プリフォーム70のプリフォーム10a、内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材40aを一体として膨張させ、容器本体10と内側ラベル部材60とプラスチック製部材40とを備えた複合容器10Aを作製する。このためプリフォーム10aを用いて複合容器10Aを製造する段階で、予め複合容器10Aに内側ラベル部材60を設けておくことができる。したがって、複合容器10Aに内容液を充填して密栓した後、ラベラーによってラベルを付与する工程を設ける必要がない。これにより、最終製品を製造するための製造コストを抑制することができる。
また、ラベラーの不具合等により最終製品を製造する際に歩留まりが低下することを防止することができる。
また、本実施の形態によれば、プリフォーム10a(容器本体10)とプラスチック製部材40a(プラスチック製部材40)とを別部材から構成することができる。したがって、プラスチック製部材40の種類や形状を適宜選択することにより、複合容器10Aに様々な機能や特性を自在に付与することができる。
また、本実施の形態によれば、複合容器10Aを作製する際、一般的なブロー成形装置をそのまま用いることができるので、複合容器10Aを作製するための新たな成形設備を準備する必要が生じない。
変形例
次に、図26乃至図30により本発明の変形例について説明する。
図26乃至図30に示す変形例は、内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材40aとして胴部と底部とを有するものではなく、円筒状の内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材40aを用いたものである。
図26および図27に示す複合容器10Aにおいて、内側ラベル部材60およびプラスチック製部材40は、容器本体10の肩部12から胴部20の下方部分まで延びているが、底部30まで達していない。また、図28および29に示す複合プリフォーム70において、内側ラベル部材60aおよびプラスチック製部材40aはプリフォーム10aの胴部20aのみを覆うように密着されており、より詳細には、胴部20aのうち容器本体10の首部13に対応する部分13aと胴部20aの下部に対応する部分とを除く領域を覆っている。
図26乃至図30において他の構成は、図17乃至図25に示す実施の形態と略同一である。図26乃至図30に示す変形例において、図17乃至図25に示す実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
このほか、複合容器10Aの構成および製造方法、ならびに複合プリフォーム70の構成および製造方法については、図17乃至図25に示す実施の形態と略同様であるので、詳細な説明を省略する。

Claims (11)

  1. 複合プリフォームにおいて、
    胴部と、底部とを有する プラスチック材料製のプリフォームと、
    前記プリフォームの外側を取り囲むように設けられた、ダイレクトブロー成形品のプラスチック製部材とを備え、
    前記プラスチック製部材が、架橋された樹脂材料を含み、前記プリフォームに対し、熱収縮する作用を有し、
    前記プラスチック製部材は、前記プリフォームに溶着されることなく、密着して設けられており、
    前記プラスチック製部材のうち、前記胴部に対応する位置に、前記プラスチック製部材を厚み方向に貫通する複数の開口が、前記プラスチック製部材の長手方向に沿って、又は、前記プラスチック製部材の軸線方向に対して斜めに設けられていることを特徴とする、複合プリフォーム。
  2. 前記架橋された樹脂材料が、活性光線照射により架橋された樹脂材料またはシロキサン結合(Si-O-Si)するシラン架橋性ポリオレフィン樹脂である、請求項1に記載の複合プリフォーム。
  3. 前記プラスチック製部材が、架橋剤および/または架橋助剤を含んでなる、請求項1または2に記載の複合プリフォーム。
  4. 複合容器において、
    胴部と、底部とを有する プラスチック材料製の容器本体と、
    前記容器本体の外側に密着して設けられた、ダイレクトブロー成形品のプラスチック製部材とを備え、
    前記プラスチック製部材は、架橋された樹脂材料を含み、前記容器本体に対し、熱収縮する作用を有し、
    前記プラスチック製部材は、前記容器本体に溶着されることなく、密着して設けられており、
    前記プラスチック製部材のうち、前記胴部に対応する位置に、前記プラスチック製部材を厚み方向に貫通する複数の開口が、前記プラスチック製部材の長手方向に沿って、又は、前記プラスチック製部材の軸線方向に対して斜めに設けられていることを特徴とする、複合容器。
  5. 前記架橋された樹脂材料が、活性光線照射により架橋された樹脂材料またはシロキサン結合(Si-O-Si)するシラン架橋性ポリオレフィン樹脂である、請求項4に記載の複合容器。
  6. 前記プラスチック製部材が、架橋剤および/または架橋助剤を含んでなる、請求項4または5に記載の複合容器。
  7. 胴部と、底部とを有する プリフォームの外側を取り囲むように装着され、前記プリフォームとともに一体として加熱されることにより、前記プリフォームと、前記プリフォームの外側に密着されたプラスチック製部材とを有する複合容器を作製するためのプラスチック製部材であって、
    前記プラスチック製部材が、少なくとも前記プリフォームの胴部を覆う筒状の胴部を有するダイレクトブロー成形品であり、
    前記プラスチック製部材が、架橋された樹脂材料を含み、熱収縮する作用を有し、
    前記プラスチック製部材は、前記プリフォームに溶着されることなく、密着して設けられており、
    前記プラスチック製部材のうち、前記胴部に対応する位置に、前記プラスチック製部材を厚み方向に貫通する複数の開口が、前記プラスチック製部材の長手方向に沿って、又は、前記プラスチック製部材の軸線方向に対して斜めに設けられていることを特徴とする、プラスチック製部材。
  8. 前記架橋された樹脂材料が、活性光線照射により架橋された樹脂材料またはシロキサン結合(Si-O-Si)するシラン架橋性ポリオレフィン樹脂である、請求項7に記載のプラスチック製部材。
  9. 架橋剤および/または架橋助剤を含んでなる、請求項7または8に記載のプラスチック製部材。
  10. 胴部と、底部とを有する プリフォームの外側を取り囲むように装着され、前記プリフォームとともに一体として加熱されることにより、前記プリフォームと、前記プリフォームの外側に密着されたプラスチック製部材とを有する複合容器を作製するためのプラスチック製部材の製造方法において、
    架橋性樹脂材料を含む混合物を加熱溶融する工程と、
    前記加熱溶融した混合物を押し出し、チューブ状パリソンを形成する工程と、
    金型内において、前記チューブ状パリソン内に空気を吹き込み、前記チューブ状パリソンを金型の形状に合わせてブロー成形し、ダイレクトブロー成形品を得る工程と、
    前記ダイレクトブロー成形品に含まれる架橋性樹脂材料を架橋させる工程と、
    を含み、
    前記プラスチック製部材が、熱収縮する作用を有し、
    前記プラスチック製部材は、前記プリフォームに溶着されることなく、密着して設けられており、
    前記プラスチック製部材のうち、前記胴部に対応する位置に、前記プラスチック製部材を厚み方向に貫通する複数の開口が、前記プラスチック製部材の長手方向に沿って、又は、前記プラスチック製部材の軸線方向に対して斜めに設けられていることを特徴とする、プラスチック製部材の製造方法。
  11. 前記ダイレクトブロー成形品に含まれる架橋性樹脂材料を架橋させる工程が、ダイレクトブロー成形品に対する活性光線照射処理、または水架橋処理により行われる、請求項10に記載の方法。
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