本発明において、数値範囲を表す「○○以上××以下」や「○○~××」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。
6面体形状を有するチタン酸ストロンチウム粒子を外添することで、チタン酸ストロンチウム粒子とトナー粒子との接触面積が増えるために、トナー粒子が摩擦帯電によってチャージアップ状態になっても電荷を拡散してトナーを均一に帯電することができる。その結果、初期から長期使用まで、優れた現像性とかぶりの抑制を達成することができる。
しかし、このチタン酸ストロンチウム粒子は、6面体形状の平らな面を有しているためにチタン酸ストロンチウム粒子同士の接触面積が増え、凝集粒子として存在している場合が多い。そのため、長期使用において現像機内で繰り返し摺擦を受けることで、トナー粒子から移行し易く、長期使用の終盤に転写性が低下しやすい。
そこで、本発明者らは、チタン酸ストロンチウム粒子がトナー粒子から移行することを抑えるために、チタン酸ストロンチウム粒子の凝集性を抑制することを試みた。凝集性を抑制するためには、粒子間の接触面積を減らして点接触にすることで凝集しにくくなり、仮に凝集していたとしても解砕されやすくなると考えた。そのために、チタン酸ストロンチウム粒子の形状を球状に近づけることが有効であることを見出し、本発明に至った。
そして、チタン酸ストロンチウム粒子を球状に近づけることで、転写条件が変化しても(転写電流が変化しても)、安定した転写性が得られることを見出した。
本発明のトナーは、トナー粒子と、外添剤と、を含有するトナーであって、外添剤は、チタン酸ストロンチウム粒子を含有する。そして、走査型電子顕微鏡を用いて撮影した該チタン酸ストロンチウム粒子の投影像において、下式(1)で算出される値CVが0.07以下であることを特徴とする。
CV=Ds/(Da/2) (1)
式(1)中、Dsは、該投影像の重心から該投影像の輪郭までの距離の標準偏差を示す。Daは、該投影像の円相当径を示す。
上記特徴を有するトナーが、転写条件が変化した場合でも転写性安定が良好である理由について、本発明者らは、以下のように考えている。
チタン酸ストロンチウム粒子の投影像が、式(1)を満たすことで、形状が球状になっていることを示している。チタン酸ストロンチウム粒子の形状が球状であると、転写電流が流れる際に放電が発生してトナーの帯電が抑制されるため、転写電流が変化しても転写性が安定しやすいのではないかと考えている。一般的に、間隙に電圧を印加した際の放電現象は、その間隙に誘電体が存在すると電位勾配が高くなり放電しやすいということが知られている。チタン酸ストロンチウム粒子を球状に近づけることで、凝集粒子が少なくなり、トナーと転写部材とのギャップが狭くなる。トナーと転写部材とのギャップが狭くなった状態で転写電流を流すと放電が発生し、トナーの帯電が下がり静電付着力が低下することで転写性が安定していると考えている。凝集粒子が少ないことに加え、さらに形状が球状である事で、トナー粒子とチタン酸ストロンチウム粒子との間で好適なギャップとなるため、転写性が安定すると考えている。
該Dsおよび該Dsの測定方法の詳細は後述するが、該Dsは、チタン酸ストロンチウム粒子の投影像を画像処理ソフトで処理することにより求めることができる。トナー粒子の表面に一次粒子で存在するチタン酸ストロンチウム粒子を粒径に合わせて倍率を設定(例えば、100nm程度の粒子の場合は10万倍)し、投影像の重心から投影像の輪郭までの距離(Li)を200点測定する。そして、その200点の距離(Li)の標準偏差をDsとして定義する。また同様にして、画像処理ソフトにて投影像の円相当径Daを求める。標準偏差Dsを円相当径Daで規格化したCVは、形状の特徴のみを抽出したパラメーターを示している。
特許文献1の比較例4(図2)に開示のチタン酸ストロンチウム粒子は、エッジを有さず丸みを帯びた6面体形状に近い粒子であり、チタン酸ストロンチウム粒子の投影像における角部分とそれ以外の距離の差が大きくなるため、CVは0.07より大きくなる。また、特許文献2の比較例7(図2)に開示のチタン酸ストロンチウム粒子は、不定形の粒子であり、上述と同様の理由により、CVは0.07より大きくなる。さらに、真円になるとすべて等距離になるため、CVは0となる。CVの値が0.07以下であると、チタン酸ストロンチウム粒子の形状が真円に近づき、チタン酸ストロンチウム粒子の均一分散性が良くなるため、転写安定性が良化する。CVの範囲としては、0.02以上、0.07以下が好ましい、さらに好ましくは0.04以上、0.06以下である。CVの値が0より大きくなると、チタン酸ストロンチウム粒子表面に微細な凹凸が存在することを示しており、表面に微細な凹凸が存在した方が好ましい。
上記チタン酸ストロンチウム粒子のCVは、粒子製造時に添加するヒドロキシ酸の添加量や反応時の温度を調整することで制御可能である。ヒドロキシ酸としては、クエン酸、酒石酸などが挙げられる。
チタン酸ストロンチウム粒子の投影像の円相当径Daは、20nm以上200nm以下であることが、転写のさらなる安定化と、画像不良を抑制する点から好ましい。より好ましくは、30nm以上130nm以下である。Daが、200nm以下であると、良好な画像が得られやすくなる。
チタン酸ストロンチウム粒子の円相当径Daは、チタン酸ストロンチウム粒子の製造における初期の酸化チタン濃度やアルカリの添加時間を調整することで制御可能である。
チタン酸ストロンチウム粒子のBET比表面積としては、好ましくは50m2/g以上100m2/g以下であり、より好ましくは73m2/g以上90m2/g以下である。本願のチタン酸ストロンチウム粒子は、表面に微細な凹凸が存在するため、従来のチタン酸ストロンチウム粒子に比べて同じ粒径ではBET比表面積が高い傾向にある。BET比表面積が上記範囲だと、安定した転写性が得られやすく好ましい。
チタン酸ストロンチウム粒子のSrとTiとのモル比(Sr/Ti)は、1.05以下であることが好ましく、より好ましくは1.00以下である。Sr/Ti(モル比)が、1.05以下であることで、帯電的に負帯電性に近いTiの割合が増えることで、帯電分布がシャープになりやすい。好ましくは0.90以下であり、より好ましくは0.80以下である。一方、下限は特に制限されないが、好ましくは、0.70以上であり、より好ましくは、0.75以上である。Sr/Ti(モル比)は、チタン酸ストロンチウム粒子の原材料のモル比や製造条件を調整することで制御可能である。
チタン酸ストロンチウム粒子は、メタノール/水混合溶媒に対する濡れ性試験において、波長780nmの光の透過率が50%のときのメタノール濃度が、40体積%以上95体積%以下であることが好ましい。さらには、50体積%以上95体積%以下であることがより好ましく、60体積%以上80体積%以下であることが特に好ましい。メタノール濃度が50体積%以上95体積%以下であると、カブリが良化されやすくなる。
チタン酸ストロンチウム粒子のメタノール/水混合溶媒に対する濡れ性は、チタン酸ストロンチウム粒子の表面処理条件を調整することで制御可能である。
X線光電子分光装置(ESCA)により求められる、トナーの表面のチタン酸ストロンチウム粒子による被覆率は、2.0面積%以上20.0面積%以下であることが好ましく、2.0面積%以上10.0面積%以下であることがより好ましい。
被覆率が2.0面積%以上20.0面積%以下であると、繰り返し使用初期からトナーの帯電が立ち上がりやすくなり、画像濃度が安定する。被覆率は、チタン酸ストロンチウム粒子の形状や添加量、製造条件、トナー粒子の性状を調整することで制御可能である。
トナー粒子の平均円形度は、0.935以上0.995以下であることが好ましい。また、トナー粒子の平均円形度は0.960以上0.990以下であることがさらに好ましい。
トナー粒子の平均円形度が上記範囲にあると、トナー粒子が球状に近づくため、さらに転写の安定性を向上させることができる。トナー粒子が球状に近づいた方が、球状のチタン酸ストロンチウム粒子のトナー上での付着状態が変化しにくいため好ましい。トナー粒子の平均円形度は、製造条件を調整することで制御可能である。
トナー粒子のガラス転移温度(Tg)は、50℃以上70℃以下であることが好ましく、53℃以上68℃以下であることがより好ましい。
ガラス転移温度(Tg)が上記範囲にあると、チタン酸ストロンチウム粒子のトナー粒子表面での存在状態が安定しやすくなる。つまり、トナー粒子表面が適度な硬さが有することで、繰り返し使用前後でのチタン酸ストロンチウム粒子の付着状態が変化しにくいため、転写性をより安定させることができる。
該ガラス転移温度(Tg)は、トナー粒子を構成する結着樹脂の組成を調整することなどで制御可能である。
ペロブスカイト型チタン酸ストロンチウム粒子を製造するには、加圧容器を用いる水熱処理ではなく、常圧で反応させる常圧加熱反応法を用いるとよい。
酸化チタン源としてチタン化合物の加水分解物の鉱酸解膠品を用い、ストロンチウム源として水溶性酸性化合物を用いる。そして、それらの混合液に60℃以上でアルカリ水溶液を添加しながら反応させ、次いで酸処理する方法が例示できる。
また、チタン酸ストロンチウム粒子の形状を制御する方法として、乾式で機械的処理を施す方法もある。
以下、常圧加熱反応法について説明する。
酸化チタン源としてはチタン化合物の加水分解物の鉱酸解膠品を用いるとよい。好ましくは、硫酸法で得られた、SO3含有量が1.0質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下のメタチタン酸を塩酸でpHを0.8以上1.5以下に調整して解膠したものを用いる。これにより、粒度分布が良好なチタン酸ストロンチウム粒子を得ることができる。一方、ストロンチウム源としては、硝酸ストロンチウム、塩化ストロンチウムなどを使用することができる。アルカリ水溶液としては、苛性アルカリを使用することができるが、中でも水酸化ナトリウム水溶液が好ましい。
上記製造方法において、得られるチタン酸ストロンチウム粒子の粒子径に影響を及ぼす因子としては、酸化チタン源とストロンチウム源の混合割合、反応初期の酸化チタン源濃度、アルカリ水溶液を添加するときの温度及び添加速度などが挙げられる。これらの因子は、目的の粒子径及び粒度分布のチタン酸ストロンチウム粒子を得るために適宜調整することができる。なお、反応過程における炭酸ストロンチウムの生成を防ぐために窒素ガス雰囲気下で反応させるなど、炭酸ガスの混入を防ぐことが好ましい。
反応時における酸化チタン源とストロンチウム源の混合割合は、Sr/Ti(モル比)で、0.90以上1.40以下であることが好ましく、より好ましくは1.05以上1.20以下である。
ストロンチウム源は水への溶解度が高いのに対し、酸化チタン源は水への溶解度が低いため、Sr/Ti(モル比)が0.90未満の場合、反応生成物はチタン酸ストロンチウムだけでなく未反応の酸化チタンが残存し易くなる。
反応初期の酸化チタン源の濃度としては、TiO2として0.050モル/L以上1.300モル/L以下であることが好ましく、より好ましくは0.080モル/L以上1.200モル/L以下である。反応初期の酸化チタン源の濃度を高くすることで、チタン酸ストロンチウム粒子の一次粒子の個数平均粒径を小さくすることができる。
常圧加熱反応法にて粒子の形状を変更するためには、粒子を形成する段階に添加剤を加えることが挙げられる(参考文献:微粒子設計 小石 眞純著 P216~222)。添加剤としては、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、又はグルコン酸などのヒドロキシ酸;2-ケトグルコン酸カルシウム、グルコン酸ナトリウム、スクロース、ラクトース、硫酸銅、硫酸亜鉛、硫酸ニッケル、三リン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、リン酸―水素ナトリウム等が挙げられる。これらの中でも、酒石酸、クエン酸が好ましい。添加剤の添加量は、種類によっても異なるが、1.0×10-4mol/L以上1.0×10-2mol/L以下程度であることが好ましい。より好ましい範囲としては、3.0×10-4mol/L以上1.0×10-3mol/L以下程度である。
アルカリ水溶液を添加するときの温度は、添加剤の効果を得て、粒子の結晶成長を促進させるように設定する必要がある。温度の高いほど結晶性の良好な生成物が得られるが、温度が高すぎると球状になりにくい。実用的には30℃以上100℃以下の範囲が適切である。
また、アルカリ水溶液の添加速度は、添加速度が遅いほど大きな粒子径のチタン酸ストロンチウム粒子が得られ、添加速度が速いほど小さな粒子径のチタン酸ストロンチウム粒子が得られる。アルカリ水溶液の添加速度は、仕込み原料に対して、0.001当量/h以上1.2当量/h以下であることが好ましく、より好ましくは0.002当量/h以上1.1当量/h以下である。これらは、得ようとする粒子径に応じて適宜調整することができる。
続いて酸処理について説明する。酸化チタン源とストロンチウム源の混合割合が、Sr/Ti(モル比)において、1.40を超える場合、反応終了後に残存した未反応のストロンチウム源が空気中の炭酸ガスと反応して、炭酸ストロンチウムなどの不純物を生成し、粒度分布が広くなりやすい。また、表面に炭酸ストロンチウムなどの不純物が残存すると、疎水性を付与するための表面処理をする際に、不純物の影響で表面処理剤を均一に被覆しにくくなる。したがって、アルカリ水溶液を添加した後、未反応のストロンチウム源を取り除くため酸処理を行うとよい。
酸処理では、塩酸を用いてpH2.5以上7.0以下に調整することが好ましく、pH4.5以上6.0以下に調整することがより好ましい。
酸としては、塩酸の他に硝酸、酢酸などを酸処理に用いることができる。しかし、硫酸を用いると、水の溶解度が低い硫酸ストロンチウムが発生しやすい。
形状制御の方法として上記添加剤を添加すること以外に、乾式で機械的処理を施すことも一例として挙げられる。
例えば、ハイブリダイザー(奈良機械製作所社製)、ノビルタ(ホソカワミクロン社製)、メカノフュージョン(ホソカワミクロン社製)、ハイフレックスグラル(アーステクニカ社製)などを用いることができる。
機械的処理でチタン酸ストロンチウム粒子の形状を制御する場合、チタン酸ストロンチウム粒子の微粉が発生する場合がある。微粉を取り除くためには、機械的処理後に酸処理を行うことが好ましい。酸処理では、塩酸を用いてpH0.1以上5.0以下に調整することが好ましい。酸としては、塩酸の他に硝酸、酢酸などを酸処理に用いることができる。チタン酸ストロンチウム粒子の形状を制御するための機械的処理は、チタン酸ストロンチウム粒子の表面処理を施す前に行うことが好ましい。
チタン酸ストロンチウム粒子は、帯電調整や環境安定性の改良のため、SiO2、Al2O3などの無機酸化物、チタンカップリング剤、シランカップリング剤、シリコーンオイル、及び脂肪酸金属塩などの疎水化剤で表面処理するとよい。
該シランカップリング剤にはアミノ基、フッ素などの官能基を導入したシランカップリング剤を用いてもよい。
脂肪酸金属塩としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、及びステアリン酸マグネシウムなどが挙げられる。
表面処理の方法は、疎水化剤を溶媒中に溶解又は分散させ、その中にチタン酸ストロンチウム粒子を添加し、撹拌しながら溶媒を除去して処理する湿式方法が挙げられる。
また、疎水化剤とチタン酸ストロンチウム粒子を直接混合して撹拌しながら処理を行う乾式方法を用いてもよい。
チタン酸ストロンチウム粒子の含有量は、トナー粒子100質量部に対して、0.05質量部以上5.0質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上5.0質量部以下であることがより好ましい。
トナー粒子の製造方法は特に限定されないが、例えば懸濁重合法、界面重合法、又は分散重合法のような、水系媒体中で直接トナー粒子を製造する方法(以下、重合法とも称する)が挙げられる。また、粉砕法を用いてもよく、粉砕法により得られたトナーを熱球形化して平均円形度を調整してもよい。その中でも、懸濁重合法が好ましい。懸濁重合法を用いて製造されたトナー粒子は、個々の粒子がほぼ球形に揃っており、帯電量の分布も比較的均一となるため高い転写性を有する。
懸濁重合法では、結着樹脂を生成しうる重合性単量体、着色剤及びワックスなどを含有する重合性単量体組成物を水系媒体中に分散して、重合性単量体組成物の粒子を形成し、粒子中の重合性単量体を重合することでトナー粒子を製造する。
トナー粒子は、コアとコアの表面にシェルを有するトナー粒子としてもよい。トナー粒子がコア-シェル構造をとることにより、コアがトナー粒子の表面へ滲出することによる帯電不良を抑制することができる。
シェルは、ポリエステル樹脂、スチレン-アクリル共重合体、及びスチレン-メタクリル共重合体からなる群から選ばれる少なくとも一つを含有することが好ましく、ポリエステル樹脂を含有することがより好ましい。
シェルを形成する樹脂量は、コアを形成する樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上20.0質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量部以上10.0質量部以下である。
シェルにポリエステル樹脂を用いた場合、外添されたチタン酸ストロンチウム粒子がトナー粒子表面でほぐれ易く、チタン酸ストロンチウム粒子が分散しやすくなる。その結果、長期使用において、現像性がより向上し、かぶりをより抑制することができる。
ポリエステル樹脂の重量平均分子量は、5000以上50000以下であることが好ましい。重量平均分子量が上記範囲である場合、トナー粒子表面上でのチタン酸ストロンチウム粒子の分散性をより向上させやすい。
結着樹脂を生成しうる重合性単量体としては、ビニル系重合性単量体を挙げることができる。具体的には以下のものを例示することができる。
スチレン;α-メチルスチレン、β-メチルスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、2,4-ジメチルスチレンのようなスチレン誘導体;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、iso-プロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、iso-ブチルアクリレート、tert-ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレートのようなアクリル系重合性単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-プロピルメタクリレート、iso-プロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、iso-ブチルメタクリレート、tert-ブチルメタクリレートのようなメタクリル系重合性単量体;メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル、蟻酸ビニルのようなビニルエステルが挙げられる。
トナー粒子は、荷電制御剤を含有してもよい。荷電制御剤としては、トナー粒子を負帯電性に制御するものと、正帯電性に制御するものとが知られており、トナーの種類や用途に応じて種々のものを一種又は二種以上用いることができる。
トナー粒子を負帯電性に制御するものとしては、以下のものが挙げられる。
有機金属錯体(モノアゾ金属錯体;アセチルアセトン金属錯体);芳香族ヒドロキシカルボン酸又は芳香族ジカルボン酸の金属錯体又は金属塩;芳香族モノ及びポリカルボン酸並びにそれらの金属塩、無水物及びエステル類;ビスフェノールなどのフェノール誘導体。これらは一種又は二種以上組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、安定な帯電性能が得られる芳香族ヒドロキシカルボン酸の金属錯体又は金属塩が好ましい。
一方、トナー粒子を正帯電性に制御するものとしては、以下のものが挙げられる。
ニグロシン及び脂肪酸金属塩による変性物;トリブチルベンジルアンモニウム-1-ヒドロキシ-4-ナフトスルホン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートなどの四級アンモニウム塩、及びこれらの類似体;ホスホニウム塩のようなオニウム塩及びこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、リンタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン酸、フェロシアン化合物など);高級脂肪酸の金属塩。これらは一種又は二種以上組み合わせて用いることができる。
これらの中でもニグロシン系化合物、四級アンモニウム塩などが好ましい。
上記チタン酸ストロンチウム粒子は正帯電性であるため、トナー粒子を負帯電性に制御する荷電制御剤を用いると、トナー粒子とチタン酸ストロンチウム粒子の静電的な付着力が高くなるためより好ましい。
荷電制御剤の含有量は、結着樹脂を生成しうる重合性単量体又は結着樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上10.0質量部以下であることが好ましい。
また、荷電制御樹脂を用いることも好ましい態様である。トナー粒子が荷電制御樹脂を含有していると、トナー粒子表面の負帯電性が向上する。そのため正帯電性であるチタン酸ストロンチウム粒子と静電的な付着力が高くなるため、トナー粒子からチタン酸ストロンチウム粒子が移行しにくくなり、長期使用において、現像性が向上し、かぶりを抑制しやすくなる。
荷電制御樹脂としては、スルホン酸系官能基を有する重合体が好ましい。スルホン酸系官能基を有する重合体とは、スルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を有する重合体である。これらのうち、好ましくは、スルホン酸基を有する重合体である。具体的には、スチレンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-メタクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、メタクリルスルホン酸など単量体の単重合体、又は、該単量体と他の単量体との共重合体が挙げられる。また、該重合体のスルホン酸基をスルホン酸塩基にしたものやエステル化したものを用いることもできる。該荷電制御樹脂のガラス転移温度(Tg)は、40℃以上90℃以下であることが好ましい。
荷電制御樹脂の含有量は、結着樹脂を生成しうる重合性単量体又は結着樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上10.0質量部以下であることが好ましい。また、該荷電制御樹脂は、水溶性重合開始剤との併用によって、トナー粒子の帯電状態を一層良好なものとすることができる。
トナー粒子はワックスを含有してもよい。ワックスとしては、以下のものが挙げられる。
パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス及びペトロラタムのような石油系ワックス及びその誘導体;モンタンワックス及びその誘導体;フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体;ポリエチレン及びポリプロピレンのようなポリオレフィンワックス及びその誘導体;カルナバワックス及びキャンデリラワックスのような天然ワックス及びその誘導体;高級脂肪族アルコール;ステアリン酸及びパルミチン酸などの脂肪酸;酸アミドワックス;エステルワックス。
なお、誘導体には、酸化物、並びに、ビニル系モノマーとのブロック共重合物及びグラフト変性物が挙げられる。
ワックスの含有量は、結着樹脂を生成しうる重合性単量体又は結着樹脂100質量部に対して、2.0質量部以上15.0質量部以下であることが好ましく、2.0質量部以上10.0質量部以下であることがより好ましい。
トナー粒子は着色剤を含有してもよい。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、以下に示すイエロー、マゼンタ及びシアン着色剤を用い黒色に調色されたものが挙げられる。
イエロー着色剤としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、及びアリルアミド化合物が挙げられる。
具体的には、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、73、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、128、129、138、147、150、151、154、155、168、180、185、214が挙げられる。
マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、及びペリレン化合物が挙げられる。
具体的には、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、238、254、269、C.I.ピグメントバイオレッド19が挙げられる。
シアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物が挙げられる。
具体的には、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66が挙げられる。
着色剤は、単独又は混合し、さらには固溶体の状態で用いることができる。
トナーの低消費量を達成するために、着色剤の添加量は多い方が良い。トナーを高着色力にすることで、少ないトナー載り量で記録紙上に所定濃度が出せるようになる。またトナー載り量を少なくすることで、転写性や定着性に対しても長期安定し易いことが知られている。そのため、トナー粒子に含有される着色剤の量を増やすことは有効である。
一方で、高着色トナーはトナー粒子の表面に存在する着色剤が増加するため、トナー表面の帯電性が不均一になりやすい傾向がある。一般的に、トナー粒子に使用されている結着樹脂に比べ着色剤はポジ性を示す傾向があり、高着色力トナーにするとトナー表面に存在する着色剤の量が増加し、トナー粒子の表面の帯電性にムラが発生しやすい。
そのため、強ネガ性のシリカ微粒子を用いても、高着色力トナーの転写安定性の効果が不十分であった。それが、チタン酸ストロンチウムを外添することで転写安定性に対しては効果がみられた。その理由としては、チタン酸ストロンチウムが弱ポジ性であり、着色剤がトナー表面に多く存在する場合でも、帯電の不均一性が発生しにくいため好ましいと考えている。
着色剤は、色相角、彩度、明度、耐光性、OHP透明性、トナー粒子中への分散性の観点から選択するとよい。
着色剤の含有量は、結着樹脂を生成しうる重合性単量体又は結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下であることが好ましい。さらに好ましくは、トナー消費量の観点から、5質量部以上20質量部以下である。
トナー粒子は、着色剤として磁性体を含有させて磁性トナー粒子とすることも可能である。磁性体としては、マグネタイト、ヘマタイト、フェライトのような酸化鉄;鉄、コバルト、ニッケルのような金属又はこれらの金属とアルミニウム、銅、マグネシウム、スズ、亜鉛、ベリリウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属との合金及びその混合物が挙げられる。
磁性体は、その表面が改質された磁性体であることが好ましい。
重合法により磁性トナーを調製する場合には、磁性体は重合阻害のない物質である表面改質剤により、疎水化処理を施したものが好ましい。このような表面改質剤としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤を挙げることができる。
磁性体の個数平均粒径は、2.0μm以下であることが好ましく、0.1μm以上0.5μm以下であることがより好ましい。
磁性体の含有量は、結着樹脂を生成しうる重合性単量体又は結着樹脂100質量部に対して、20質量部以上200質量部以下であることが好ましく、40質量部以上150質量部以下であることがより好ましい。
一方、粉砕法でトナー粒子を製造するための製造方法の一例を以下に説明する。
原料混合工程では、トナー粒子を構成する材料として、結着樹脂、着色剤及びワックスなどを、所定量秤量して配合し、混合する。
混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、FMミキサー、ナウターミキサー、及びメカノハイブリッド(日本コークス工業株式会社製)などが挙げられる。
次に、混合した材料を溶融混練して、結着樹脂中に着色剤及びワックスなどを分散させる。溶融混練工程では、加圧ニーダー、バンバリィミキサーのようなバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができる。連続生産できる優位性から、1軸又は2軸押出機が主流となっている。例えば、KTK型2軸押出機(神戸製鋼所社製)、TEM型2軸押出機(東芝機械社製)、PCM混練機(池貝製)、2軸押出機(ケイ・シー・ケイ社製)、コ・ニーダー(ブス社製)、及びニーデックス(日本コークス工業株式会社製)などが挙げられる。さらに、溶融混練することによって得られる樹脂組成物は、2本ロールなどで圧延され、冷却工程で水などによって冷却してもよい。
ついで、得られた冷却物は、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕される。
粉砕工程では、例えば、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミルのような粉砕機で粗粉砕する。その後、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、スーパーローター(日清エンジニアリング社製)、ターボ・ミル(フロイント・ターボ株式会社製)やエアージェット方式による微粉砕機で微粉砕するとよい。
その後、必要に応じて慣性分級方式のエルボージェット(日鉄鉱業社製)、遠心力分級方式のターボプレックス(ホソカワミクロン社製)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製)、ファカルティ(ホソカワミクロン社製)のような分級機や篩分機を用いて分級し、トナー粒子を得る。
また、トナー粒子を球形化してもよい。例えば、粉砕後にハイブリタイゼーションシステム(奈良機械製作所製)、メカノフージョンシステム(ホソカワミクロン社製)、ファカルティ(ホソカワミクロン社製)、メテオレインボー MR Type(日本ニューマチック工業社製)を用いて球形化を行うとよい。
トナー粒子に、チタン酸ストロンチウム粒子や、必要に応じてほかの外添剤を混合することでトナーを得ることができる。外添剤を混合するための混合機としては、FMミキサー(日本コークス工業株式会社製)、スーパーミキサー(カワタ社製)、ノビルタ(ホソカワミクロン社製)、及びハイブリダイザー(奈良機械社製)が挙げられる。
また、外添剤の混合後に粗粒子をふるい分けてもよい。そのために用いられる篩い装置としては、以下のものが挙げられる。
ウルトラソニック(晃栄産業社製);レゾナシーブ、ジャイロシフター(徳寿工作所社);バイブラソニックシステム(ダルトン社製);ソニクリーン(新東工業社製);ターボスクリーナー(フロイント・ターボ工業社製);ミクロシフター(槙野産業社製)。
トナーは、チタン酸ストロンチウム粒子以外の他の外添剤を含んでいても構わない。特にトナーの流動性や帯電性を向上させるために、流動性向上剤を添加してもよい。
流動性向上剤としては、以下のものを用いることができる。
フッ化ビニリデン微粉末及びポリテトラフルオロエチレン微粉末のようなフッ素系樹脂粉末;湿式製法シリカ又は乾式製法シリカのようなシリカ微粒子、酸化チタン微粒子、アルミナ微粒子;該微粒子をシラン化合物、チタンカップリング剤、又はシリコーンオイルなどの疎水化処理剤で表面処理を施した疎水化処理微粒子;酸化亜鉛及び酸化スズのような酸化物;チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、ジルコン酸ストロンチウム及びジルコン酸カルシウムのような複酸化物;炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウムのような炭酸塩化合物など。
これらのうち、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された微粒子であり、いわゆる乾式法シリカ又はヒュームドシリカと称される乾式製法シリカ微粒子が好ましい。乾式製法は、例えば、四塩化ケイ素ガスの酸水素焔中における熱分解酸化反応を利用するもので、基礎となる反応式は次のようなものである。
SiCl4+2H2+O2→SiO2+4HCl
この製造工程において、塩化アルミニウム又は塩化チタンなどの他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによってシリカと他の金属酸化物の複合微粒子を得ることも可能であり、シリカ微粒子としてはそれらも包含する。
流動性向上剤は、一次粒子の個数平均粒径が5nm以上30nm以下であると、高い帯電性と流動性を持たせることができるので好ましい。
さらには、シリカ微粒子は、上記疎水化処理剤で表面処理を施した疎水化処理シリカ微粒子がより好ましい。
流動性向上剤は、BET法で測定した窒素吸着による比表面積が30m2/g以上300m2/g以下のものが好ましい。
流動性向上剤の含有量は、トナー粒子100質量部に対して、流動性向上剤を総量で、0.01質量部以上3.0質量部以下であることが好ましい。
トナー及びその他材料に係る各種物性の測定方法を以下に説明する。
チタン酸ストロンチウム粒子の物性は、トナーをサンプルとして測定する。
チタン酸ストロンチウム粒子が外添されたトナーから、チタン酸ストロンチウム粒子やトナー粒子の物性を測定する場合は、以下のようにして、トナーからチタン酸ストロンチウム粒子や他の外添剤を分離して測定するとよい。
トナーをメタノールに超音波分散させてチタン酸ストロンチウム粒子や他の外添剤を外して、24時間静置する。遠心分離によりトナー粒子とチタン酸ストロンチウム粒子や他の外添剤とを分離、回収し、十分に乾燥させることで、トナー粒子とチタン酸ストロンチウム粒子とを単離することができる。
<チタン酸ストロンチウム粒子の投影像の重心から投影像の輪郭までの距離の標準偏差Ds、及び粒子の投影像の円相当径Daの測定>
チタン酸ストロンチウム粒子の投影像の重心から投影像の輪郭までの距離(Li)の標準偏差Ds、及び投影像の円相当径Daの測定はチタン酸ストロンチウム粒子が外添されたトナーを観察し以下のように算出する。
トナーの表面を、日立超高分解能電界放出走査電子顕微鏡S-4800((株)日立ハイテクノロジーズ)を用いて観察する。観察条件としては、観察倍率はチタン酸ストロンチウム粒子の大きさによって倍率10万倍から20万倍で適宜調整する。また、無機微粒子の画像処理を行うために、観察時の加速電圧は高めに調整(例えば5kV)し、反射電子像で観察することで、チタン酸ストロンチウム粒子が高輝度に、トナー粒子が低輝度に表わされるため好ましい。
画像処理ソフト「Image-Pro Plus5.1J」(MediaCybernetics社製)を使用し、2値化像を取得する。その2値化像から輪郭の抽出を行い、座標を取得する。この輪郭の座標を(Xi、Yi)とし、輪郭の座標として200点を得る。さらに、2値化像から得られた輪郭画像から重心座標(XG、YG)及び面積Sを得る。重心から各輪郭点(Xi、Yi)までの距離Liは下記式により求められる。
チタン酸ストロンチウム粒子の投影像の重心から投影像の輪郭までの距離の標準偏差dsはLiの標準偏差として求められる。
また、投影像の円相当径daは、面積Sから下記式で求められる。
da=2×(S/π)1/2 (3)
以上の観察および測定を100個のチタン酸ストロンチウム粒子に対して行って、各粒子の円相当径ds、標準偏差daを算出した。本発明においては、各粒子におけるds、daの平均値をそれぞれ算出して、これらをチタン酸ストロンチウム粒子の円相当径Ds、標準偏差Daとし、下記式よりCVを算出した。
CV=Ds/(Da/2) (1)
外添剤がチタン酸ストロンチウムであることの確認は、STEM‐EDS測定より実施する。測定条件は以下の通りである。
JEM2800型透過電子顕微鏡:加速電圧200kV
EDS検出器:JED-2300T(日本電子、素子面積100mm2)
EDSアナライザー:Noran System7(サーモフィッシャーサイエンティフィック社)。
X線保存レート:10000~15000cps
デッドタイム:20~30%になるよう電子線量を調整し、EDS分析(積算回数100回or測定時間5min)を実施。
<トナー表面のチタン酸ストロンチウム粒子による被覆率の測定>
トナー表面のチタン酸ストロンチウム粒子による被覆率は、トナーを以下の条件で測定し、下記式(4)から算出する。
下記装置を下記条件にて使用し、トナーの表面の元素分析を行う。
・測定装置:X線光電子分光装置:Quantum2000(アルバックファイ株式会社製)
・X線源:モノクロAl Kα
・Xray Setting:100μmφ(25W(15KV))
・光電子取りだし角:45度
・中和条件:中和銃とイオン銃の併用
・分析領域:300×200μm
・Pass Energy:58.70eV
・ステップサイズ:0.125eV
・解析ソフト:Maltipak(PHI社)
ここで、チタン酸ストロンチウム粒子の定量にはTi原子を使用した。定量値の算出には、Ti 2p(B.E.452~468eV)のピークを使用する。ここで得られたTi元素の定量値をZ1とする。
次いで、上述のトナー表面の元素分析と同様にして、チタン酸ストロンチウム粒子単体の元素分析を行い、ここで得られたTi元素の定量値をZ2とする。トナーの表面の、チタン酸ストロンチウム粒子による被覆率Xは、上記Z1、Z2を用いて下記式(4)にて算出する。
被覆率(%)=Z1/Z2×100 (4)
なお、本測定の精度を向上させるために、Z1及びZ2の測定を、2回以上行うことが好ましい。定量値Z2を求めるに際して、外添に使用されたチタン酸ストロンチウム粒子を入手できれば、それを用いて測定を行えばよい。
<チタン酸ストロンチウム粒子のSr/Ti(モル比)の測定>
チタン酸ストロンチウム粒子のSr及びTiの含有量は、波長分散型蛍光X線分析装置(Axios advanced、PANalytical社製)を用いて測定する。
PANalytical社で推奨する粉末測定専用のカップに専用フィルムを貼ったものにサンプル1gを秤量し、大気圧He雰囲気下においてFP法にてチタン酸ストロンチウム粒子におけるNaからUまでの元素を測定する。
その際、検出された元素全てが酸化物であると仮定し、それらの総質量を100%として、ソフトウェアSpectraEvaluation(version 5.0L)にて総質量に対するSrO及びTiO2の含有量(質量%)を酸化物換算値として求める。その後に、定量結果から酸素を除いた、Sr/Ti(質量比)を求めたのちに、各元素の原子量から、Sr/Ti(モル比)に換算する。
なお、サンプルとしては、トナーからチタン酸ストロンチウム粒子を単離したものを用いる。また、以下の実施例では、製造されたチタン酸ストロンチウム粒子でも測定している。
<チタン酸ストロンチウム粒子の疎水化度(体積%)の測定>
チタン酸ストロンチウム粒子の疎水化度(体積%)は、粉体濡れ性試験機「WET-100P」(レスカ社製)によって測定する。
直径5cm及び厚さ1.75mmの円筒型ガラス容器中に、フッ素樹脂コーティングされた長さ25mm及び最大胴径8mmの紡錘型回転子を入れる。
上記円筒型ガラス容器中にメタノール50体積%と水50体積%とからなる含水メタノール液70mLを入れる。その後、トナーから単離したチタン酸ストロンチウム粒子0.5gを添加し、粉体濡れ性試験機にセットする。
マグネティックスターラーを用いて、3.3s-1の速度で撹拌しながら、上記粉体濡れ性試験機を通して、メタノールを0.8mL/分の速度で液中に添加する。
波長780nmの光で透過率を測定し、透過率が50%に達した時のメタノールの体積百分率(=(メタノールの体積/混合物の体積)×100)により表される値を疎水化度とする。試料の疎水化度に応じて、最初のメタノールと水の体積比率は適宜調整する。また、以下の実施例では、製造されたチタン酸ストロンチウム粒子でも測定している。
<チタン酸ストロンチウム粒子のBET比表面積の測定>
チタン酸ストロンチウム粒子のBET比表面積の測定は、JIS Z8830(2001年)に準じて行なう。具体的な測定方法は、以下の通りである。
測定装置としては、定容法によるガス吸着法を測定方式として採用している「自動比表面積・細孔分布測定装置 TriStar3000(島津製作所社製)」を用いる。測定条件の設定および測定データの解析は、本装置に付属の専用ソフト「TriStar3000 Version4.00」を用いて行なう。また装置には真空ポンプ、窒素ガス配管、ヘリウムガス配管を接続する。窒素ガスを吸着ガスとして用い、BET多点法により算出した値を本発明におけるBET比表面積とする。
具体的には、BET比表面積は以下のようにして算出する。
まず、サンプル(チタン酸ストロンチウム粒子)に窒素ガスを吸着させ、その時の試料セル内の平衡圧力P(Pa)とサンプルの窒素吸着量Va(モル・g-1)を測定する。そして、試料セル内の平衡圧力P(Pa)を窒素の飽和蒸気圧Po(Pa)で除した値である相対圧Prを横軸とし、窒素吸着量Va(モル・g-1)を縦軸とした吸着等温線を得る。次いで、サンプルの表面に単分子層を形成するのに必要な吸着量である単分子層吸着量Vm(モル・g-1)を、下記のBET式を適用して求める。
Pr/Va(1-Pr)=1/(Vm×C)+(C-1)×Pr/(Vm×C)
(ここで、CはBETパラメーターであり、測定サンプル種、吸着ガス種、吸着温度により変動する変数である。)
BET式は、X軸をPr、Y軸をPr/Va(1-Pr)とすると、傾きが(C-1)/(Vm×C)、切片が1/(Vm×C)の直線と解釈される(この直線をBETプロットという)。
直線の傾き=(C-1)/(Vm×C)
直線の切片=1/(Vm×C)
Prの実測値とPr/Va(1-Pr)の実測値をグラフ上にプロットして最小二乗法により直線を引き、その直線の傾きと切片の値を算出する。これらの値を用いて上記の傾きと切片の連立方程式を解き、VmとCを算出する。
さらに、上記で算出したVmと窒素分子の分子占有断面積(0.162nm2)から、下記の式に基づいて、サンプルのBET比表面積S(m2・g-1)を算出する。
S=Vm×N×0.162×10-18
(ここで、Nはアボガドロ数(モル-1)である。)
次に、上記Vmの算出方法について詳述する。本装置を用いたVmの算出方法は、装置に付属の「TriStar3000 取扱説明書V4.0」に従うが、具体的には、以下の手順で測定する。
充分に洗浄、乾燥した専用のガラス製試料セル(ステム直径3/8インチ、容積約5ml)の風袋を精秤する。そして、ロートを使ってこの試料セルの中にサンプルを入れる。サンプル量としては、サンプルの比重や粒径によって適宜調整するが、チタン酸ストロンチウム粒子の場合は約0.5gを入れた。
サンプルを入れた前記試料セルを真空ポンプと窒素ガス配管を接続した「前処理装置 バキュプレップ061(島津製作所社製)」にセットし、23℃にて真空脱気を約10時間継続する。尚、真空脱気の際には、サンプルが真空ポンプに吸引されないよう、バルブを調整しながら徐々に脱気する。セル内の圧力は脱気とともに徐々に下がり、最終的には約0.4Pa(約3ミリトール)となる。真空脱気終了後、窒素ガスを徐々に注入して試料セル内を大気圧に戻し、試料セルを前処理装置から取り外す。この試料セルの質量を精秤し、風袋との差からチタン酸ストロンチウム粒子の正確な質量を算出する。尚、この際に、試料セル内のサンプルが大気中の水分等で汚染されないように、秤量中はゴム栓で試料セルに蓋をしておく。
続いて、接続器具を含む試料セルのフリースペースの測定を行う。フリースペースは、23℃においてヘリウムガスを用いて試料セルの容積を測定し、続いて液体窒素で試料セルを冷却した後の試料セルの容積を同様にヘリウムガスを用いて測定して、これらの容積の差から換算して算出する。また、窒素の飽和蒸気圧Po(Pa)は、装置に内蔵されたPoチューブを使用して、別途に自動で測定される。
次に、試料セル内の真空脱気を行った後、真空脱気を継続しながら試料セルを液体窒素で冷却する。その後、窒素ガスを試料セル内に段階的に導入してサンプルに窒素分子を吸着させる。この際、平衡圧力P(Pa)を随時計測することにより前記した吸着等温線が得られるので、この吸着等温線をBETプロットに変換する。尚、データを収集する相対圧Prのポイントは、0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30の合計6ポイントに設定する。得られた測定データに対して最小二乗法により直線を引き、その直線の傾きと切片からVmを算出する。さらに、このVmの値を用いて、前記したようにチタン酸ストロンチウム粒子のBET比表面積を算出する。
<トナー粒子の平均円形度の測定>
トナー粒子の平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA-3000」(シスメックス社製)によって、校正作業時の測定及び解析条件で測定する。
具体的な測定方法は、以下の通りである。
まず、ガラス製の容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水約20mLを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.2mL加える。さらに測定試料を約0.02g加え、超音波分散器を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃~40℃となる様に適宜冷却する。超音波分散器としては、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散器(例えば「VS-150」(ヴェルヴォクリーア社製))を用い、水槽内には所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2mL添加する。
測定には、対物レンズとして「LUCPLFLN」(倍率20倍、開口数0.40)を搭載したフロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE-900A」(シスメックス社製)を使用する。前記手順に従い調製した分散液をフロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて2000個のトナー粒子を計測する。
そして、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を円相当径1.977μm以上39.54μm未満に限定し、トナー粒子の平均円形度を求める。
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(例えば、Duke Scientific社製の「RESEARCH AND TEST PARTICLES Latex Microsphere Suspensions 5100A」をイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
なお、実施例では、シスメックス社による校正作業が行われた、シスメックス社が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像分析装置を使用した。解析粒子径を円相当径1.977μm以上39.54μm未満に限定した以外は、校正証明を受けた時の測定及び解析条件で測定を行う。
<トナー粒子のガラス転移温度(Tg)の測定>
トナー粒子のガラス転移温度は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いて、ASTM D3418-82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、試料約5mgを精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定温度範囲30℃以上200℃以下の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。
なお、測定においては、一度200℃まで昇温させ、続いて30℃まで降温速度10℃/minで降温し、その後に再度、昇温速度10℃/minで昇温を行う。
この2度目の昇温過程において得られたDSC曲線において、比熱変化が出る前と出た後のベースラインの中間点の線とDSC曲線との交点を、ガラス転移温度(Tg)とする。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は何らこれに制約されるものではない。なお、実施例及び比較例の部数及び%は特に断りが無い場合、すべて質量基準である。
チタン酸ストロンチウム粒子は以下のようにして作製した。チタン酸ストロンチウム粒子1~14の物性を表1に示す。
<チタン酸ストロンチウム粒子1の製造例>
硫酸法で得られたメタチタン酸を脱鉄漂白処理した後、10モル/L水酸化ナトリウム水溶液を加えpH9.0とし、脱硫処理を行い、その後、6モル/L塩酸によりpH5.8まで中和し、ろ過水洗を行った。洗浄済みケーキに水を加えTiO2として2.25モル/Lのスラリーとした後、6モル/L塩酸を加えpH1.3とし解膠処理を行った。
脱硫・解膠を行った解膠メタチタン酸スラリーに、塩化ストロンチウム水溶液を、Sr/Tiモル比で1.15となる量を添加した。次に、クエン酸を0.0016モル添加し、TiO2濃度0.313モル/Lに調整した。次に、撹拌混合しながらメタチタン酸と塩化ストロンチウムの混合溶液を90℃に加温した後、5モル/L水酸化ナトリウム水溶液296mlを7時間かけて添加し、その後、95℃で1時間撹拌を続け反応を終了した。当該反応スラリーを50℃まで冷却し、pH5.0となるまで6モル/L塩酸を加え1時間撹拌を続けた。上澄み液を除去し、50Lの純水を加えてデカンテーション洗浄した。
当該沈殿を含むスラリーを50℃に調整し、6モル/L塩酸を加えpH2.5に調整した後、固形分に対して4.0質量%のイソブチルトリメトキシシランを添加し14時間撹拌保持を続けた。5モル/L水酸化ナトリウム水溶液を加えpH8.0に調整し1時間撹拌を続けた後、ろ過・洗浄を行い得られたケーキを120℃の大気中で8時間乾燥しチタン酸ストロンチウム粒子1を得た。
<チタン酸ストロンチウム粒子2の製造例>
チタン酸ストロンチウム粒子1の製造例と同様にして、メタチタン酸の脱硫、解膠処理を行った。
脱硫・解膠を行った解膠メタチタン酸スラリーに、塩化ストロンチウム水溶液を、Sr/Tiモル比で1.15となる量を添加した。次に、クエン酸を0.0016モル添加し、TiO2濃度0.245モル/Lに調整した。次に、撹拌混合しながらメタチタン酸と塩化ストロンチウムの混合溶液を90℃に加温した後、5モル/L水酸化ナトリウム水溶液280mlを8時間かけて添加し、その後、95℃で1時間撹拌を続け反応を終了した。当該反応スラリーを50℃まで冷却し、pH5.0となるまで6モル/L塩酸を加え1時間撹拌を続けた。上澄み液を除去し、50Lの純水を加えてデカンテーション洗浄した。
当該沈殿を含むスラリーを50℃に調整し、6モル/L塩酸を加えpH2.5に調整した後、固形分に対して3.0質量%のイソブチルトリメトキシシランを添加し14時間撹拌保持を続けた。5モル/L水酸化ナトリウム水溶液を加えpH8.0に調整し1時間撹拌を続けた後、ろ過・洗浄を行い得られたケーキを120℃の大気中で8時間乾燥しチタン酸ストロンチウム粒子2を得た。
<チタン酸ストロンチウム粒子3の製造例>
チタン酸ストロンチウム粒子1の製造例と同様にして、メタチタン酸の脱硫、解膠処理を行った。
脱硫・解膠を行った解膠メタチタン酸スラリーに、塩化ストロンチウム水溶液を、Sr/Tiモル比で1.15となる量を添加した。次に、クエン酸を0.010モル添加し、TiO2濃度0.256モル/Lに調整した。次に、撹拌混合しながらメタチタン酸と塩化ストロンチウムの混合溶液を85℃に加温した後、5モル/L水酸化ナトリウム水溶液280mlを8時間かけて添加し、その後、95℃で1時間撹拌を続け反応を終了した。当該反応スラリーを50℃まで冷却し、pH5.0となるまで6モル/L塩酸を加え1時間撹拌を続けた。上澄み液を除去し、50Lの純水を加えてデカンテーション洗浄した。
当該沈殿を含むスラリーを50℃に調整し、6モル/L塩酸を加えpH2.5に調整した後、固形分に対して3.0質量%のイソブチルトリメトキシシランを添加し14時間撹拌保持を続けた。5モル/L水酸化ナトリウム水溶液を加えpH8.0に調整し1時間撹拌を続けた後、ろ過・洗浄を行い得られたケーキを120℃の大気中で8時間乾燥しチタン酸ストロンチウム粒子3を得た。
<チタン酸ストロンチウム粒子4の製造例>
チタン酸ストロンチウム粒子1の製造例と同様にして、メタチタン酸の脱硫、解膠処理を行った。
脱硫・解膠を行った解膠メタチタン酸スラリーに、塩化ストロンチウム水溶液を、Sr/Tiモル比で1.15となる量を添加した。次に、クエン酸を0.0003モル添加し、TiO2濃度0.263モル/Lに調整した。次に、撹拌混合しながらメタチタン酸と塩化ストロンチウムの混合溶液を95℃に加温した後、5モル/L水酸化ナトリウム水溶液280mlを8時間かけて添加し、その後、95℃で1時間撹拌を続け反応を終了した。当該反応スラリーを50℃まで冷却し、pH5.0となるまで6モル/L塩酸を加え1時間撹拌を続けた。上澄み液を除去し、50Lの純水を加えてデカンテーション洗浄した。
当該沈殿を含むスラリーを50℃に調整し、6モル/L塩酸を加えpH2.5に調整した後、固形分に対して3.0質量%のイソブチルトリメトキシシランを添加し14時間撹拌保持を続けた。5モル/L水酸化ナトリウム水溶液を加えpH8.0に調整し1時間撹拌を続けた後、ろ過・洗浄を行い得られたケーキを120℃の大気中で8時間乾燥しチタン酸ストロンチウム粒子4を得た。
<チタン酸ストロンチウム粒子5の製造例>
チタン酸ストロンチウム粒子1の製造例と同様にして、メタチタン酸の脱硫、解膠処理を行った。
脱硫・解膠を行った解膠メタチタン酸スラリーに、塩化ストロンチウム水溶液を、Sr/Tiモル比で1.15となる量を添加した。次に、クエン酸を0.0016モル添加し、TiO2濃度0.412モル/Lに調整した。次に、撹拌混合しながらメタチタン酸と塩化ストロンチウムの混合溶液を90℃に加温した後、7.5モル/L水酸化ナトリウム水溶液370mlを3時間かけて添加し、その後、95℃で1時間撹拌を続け反応を終了した。当該反応スラリーを50℃まで冷却し、pH5.0となるまで6モル/L塩酸を加え1時間撹拌を続けた。上澄み液を除去し、50Lの純水を加えてデカンテーション洗浄した。
当該沈殿を含むスラリーを50℃に調整し、6モル/L塩酸を加えpH2.5に調整した後、固形分に対して7.0質量%のイソブチルトリメトキシシランを添加し14時間撹拌保持を続けた。5モル/L水酸化ナトリウム水溶液を加えpH8.0に調整し1時間撹拌を続けた後、ろ過・洗浄を行い得られたケーキを120℃の大気中で8時間乾燥しチタン酸ストロンチウム粒子5を得た。
<チタン酸ストロンチウム粒子6の製造例>
チタン酸ストロンチウム粒子1の製造例と同様にして、メタチタン酸の脱硫、解膠処理を行った。
脱硫・解膠を行った解膠メタチタン酸スラリーに、塩化ストロンチウム水溶液を、Sr/Tiモル比で1.15となる量を添加した。次に、クエン酸を0.010モル添加し、TiO2濃度0.530モル/Lに調整した。次に、撹拌混合しながらメタチタン酸と塩化ストロンチウムの混合溶液を90℃に加温した後、10モル/L水酸化ナトリウム水溶液444mlを1時間かけて添加し、その後、95℃で1時間撹拌を続け反応を終了した。当該反応スラリーを50℃まで冷却し、pH5.0となるまで6モル/L塩酸を加え1時間撹拌を続けた。上澄み液を除去し、50Lの純水を加えてデカンテーション洗浄した。
当該沈殿を含むスラリーを50℃に調整し、6モル/L塩酸を加えpH2.5に調整した後、固形分に対して10.0質量%のイソブチルトリメトキシシランを添加し14時間撹拌保持を続けた。5モル/L水酸化ナトリウム水溶液を加えpH8.0に調整し1時間撹拌を続けた後、ろ過・洗浄を行い得られたケーキを120℃の大気中で8時間乾燥しチタン酸ストロンチウム粒子6を得た。
<チタン酸ストロンチウム粒子7の製造例>
チタン酸ストロンチウム粒子1の製造例と同様にして、メタチタン酸の脱硫、解膠処理を行った。
脱硫・解膠を行った解膠メタチタン酸スラリーに、塩化ストロンチウム水溶液を、Sr/Tiモル比で1.15となる量を添加した。次に、クエン酸を0.0008モル添加し、TiO2濃度0.530モル/Lに調整した。次に、撹拌混合しながらメタチタン酸と塩化ストロンチウムの混合溶液を95℃に加温した後、10モル/L水酸化ナトリウム水溶液444mlを1時間かけて添加し、その後、95℃で1時間撹拌を続け反応を終了した。当該反応スラリーを50℃まで冷却し、pH5.0となるまで6モル/L塩酸を加え1時間撹拌を続けた。上澄み液を除去し、50Lの純水を加えてデカンテーション洗浄した。
当該沈殿を含むスラリーを70℃に調整し、固形分に対して10.0質量%の50cStシリコーンオイルを添加し1時間撹拌保持を続けた。5モル/L水酸化ナトリウム水溶液を加えpH6.5に調整し1時間撹拌を続けた後、ろ過・洗浄を行い得られたケーキを120℃の大気中で8時間乾燥しチタン酸ストロンチウム粒子7を得た。
<チタン酸ストロンチウム粒子8の製造例>
チタン酸ストロンチウム粒子1の製造例と同様にして、メタチタン酸の脱硫、解膠処理を行った。
脱硫・解膠を行った解膠メタチタン酸スラリーに、塩化ストロンチウム水溶液を、Sr/Tiモル比で1.15となる量を添加した。次に、酒石酸を0.0003モル添加し、TiO2濃度0.530モル/Lに調整した。次に、撹拌混合しながらメタチタン酸と塩化ストロンチウムの混合溶液を95℃に加温した後、10モル/L水酸化ナトリウム水溶液444mlを1時間かけて添加し、その後、95℃で1時間撹拌を続け反応を終了した。当該反応スラリーを50℃まで冷却し、pH5.0となるまで6モル/L塩酸を加え1時間撹拌を続けた。上澄み液を除去し、50Lの純水を加えてデカンテーション洗浄した。
当該沈殿を含むスラリーを70℃に調整し、5モル/L水酸化ナトリウム水溶液を加えpH6.5に調整し1時間撹拌を続けた後、ろ過・洗浄を行い得られたケーキを120℃の大気中で8時間乾燥しチタン酸ストロンチウム粒子8を得た。
<チタン酸ストロンチウム粒子9の製造例>
チタン酸ストロンチウム粒子1の製造例と同様にして、メタチタン酸の脱硫、解膠処理を行った。
脱硫・解膠を行った解膠メタチタン酸スラリーに、塩化ストロンチウム水溶液を、Sr/Tiモル比で1.15となる量を添加した。次に、酒石酸を0.0016モル添加し、TiO2濃度0.195モル/Lに調整した。次に、撹拌混合しながらメタチタン酸と塩化ストロンチウムの混合溶液を90℃に加温した後、3モル/L水酸化ナトリウム水溶液148mlを20時間かけて添加し、その後、95℃で1時間撹拌を続け反応を終了した。当該反応スラリーを50℃まで冷却し、pH5.0となるまで6モル/L塩酸を加え1時間撹拌を続けた。上澄み液を除去し、50Lの純水を加えてデカンテーション洗浄した。
当該沈殿を含むスラリーを50℃に調整し、6モル/L塩酸を加えpH2.5に調整した後、固形分に対して2.0質量%のイソブチルトリメトキシシランを添加し14時間撹拌保持を続けた。5モル/L水酸化ナトリウム水溶液を加えpH8.0に調整し1時間撹拌を続けた後、ろ過・洗浄を行い得られたケーキを120℃の大気中で8時間乾燥しチタン酸ストロンチウム粒子9を得た。
<チタン酸ストロンチウム粒子10の製造例>
チタン酸ストロンチウム粒子1の製造例と同様にして、メタチタン酸の脱硫、解膠処理を行った。
脱硫・解膠を行った解膠メタチタン酸スラリーに、塩化ストロンチウム水溶液を、Sr/Tiモル比で1.15となる量を添加した。次に、酒石酸を0.0008モル添加し、TiO2濃度0.151モル/Lに調整した。次に、撹拌混合しながらメタチタン酸と塩化ストロンチウムの混合溶液を95℃に加温した後、3モル/L水酸化ナトリウム水溶液148mlを24時間かけて添加し、その後、95℃で1時間撹拌を続け反応を終了した。当該反応スラリーを50℃まで冷却し、pH5.0となるまで6モル/L塩酸を加え1時間撹拌を続けた。上澄み液を除去し、50Lの純水を加えてデカンテーション洗浄した。
当該沈殿を含むスラリーを50℃に調整し、6モル/L塩酸を加えpH2.5に調整した後、固形分に対して2.0質量%のイソブチルトリメトキシシランを添加し14時間撹拌保持を続けた。5モル/L水酸化ナトリウム水溶液を加えpH8.0に調整し1時間撹拌を続けた後、ろ過・洗浄を行い得られたケーキを120℃の大気中で8時間乾燥しチタン酸ストロンチウム粒子10を得た。
<チタン酸ストロンチウム粒子11の製造例>
チタン酸ストロンチウム粒子1の製造例と同様にして、メタチタン酸の脱硫、解膠処理を行った。
脱硫・解膠を行った解膠メタチタン酸スラリーに、塩化ストロンチウム水溶液を、Sr/Tiモル比で1.15となる量を添加した。次に、酒石酸を0.0003モル添加し、TiO2濃度0.151モル/Lに調整した。次に、撹拌混合しながらメタチタン酸と塩化ストロンチウムの混合溶液を95℃に加温した後、3モル/L水酸化ナトリウム水溶液148mlを24時間かけて添加し、その後、95℃で1時間撹拌を続け反応を終了した。当該反応スラリーを50℃まで冷却し、pH5.0となるまで6モル/L塩酸を加え1時間撹拌を続けた。上澄み液を除去し、50Lの純水を加えてデカンテーション洗浄した。
当該沈殿を含むスラリーを50℃に調整し、5モル/L水酸化ナトリウム水溶液を加えpH6.5に調整し1時間撹拌を続けた後、ろ過・洗浄を行い得られたケーキを120℃の大気中で8時間乾燥しチタン酸ストロンチウム粒子11を得た。
<チタン酸ストロンチウム粒子12の製造例>
硫酸チタニル水溶液を加水分解して得られたメタチタン酸スラリーをアルカリ水溶液で洗浄した。次に、メタチタン酸スラリーに塩酸を添加して、pHを0.65に調整してチタニアゾル分散液を得た。チタニアゾル分散液にNaOHを添加し、分散液のpHを4.5に調整し、上澄み液の電気伝導度が70μS/cmになるまで洗浄を繰り返した。
メタチタン酸スラリーに対して、0.97倍モル量の水酸化ストロンチウム八水和物を加えてステンレス製反応容器に入れ、窒素ガス置換した。さらに、TiO2換算で0.5モル/Lになるように蒸留水を加えた。窒素雰囲気中でスラリーを83℃まで6.5℃/時間で昇温し、83℃に到達してから6時間反応を行った。得られた沈殿をデカンテーション洗浄した。
当該沈殿を含むスラリーを40℃に調整し、塩酸を加えpH2.5に調整した後、固形分に対して4.0質量%のイソブチルトリメトキシシランを添加し10時間撹拌保持を続けた。5モル/L水酸化ナトリウム溶液を加えpH6.5に調整し1時間撹拌を続けた後、ろ過・洗浄を行い得られたケーキを120℃の大気中で8時間乾燥しチタン酸ストロンチウム粒子12を得た。
<チタン酸ストロンチウム粒子13の製造例>
硫酸チタニル水溶液を加水分解して得られたメタチタン酸スラリーをアルカリ水溶液で洗浄した。次に、メタチタン酸のスラリーに塩酸を添加して、pHを0.65に調整してチタニアゾル分散液を得た。チタニアゾル分散液にNaOHを添加し、分散液のpHを4.5に調整し上澄み液の電気伝導度が70μS/cmになるまで洗浄をくり返した。
メタチタン酸に対し、0.97倍モル量の水酸化ストロンチウム八水和物を加えてステンレス製反応容器に入れ、窒素ガス置換した。さらに、SrTiO3換算で0.5モル/Lになるように蒸留水を加えた。窒素雰囲気中でスラリーを83℃まで6.5℃/時間で昇温し、83℃に到達してから6時間反応を行った。反応後室温まで冷却し、上澄み液を除去した後純水で洗浄をくり返した。
当該沈殿を含むスラリーを40℃に調整し、塩酸を加えpH2.5に調整した後、固形分に対して5.0質量%のイソブチルトリメトキシシランを添加し10時間撹拌保持を続けた。5モル/L水酸化ナトリウム溶液を加えpH6.5に調整し1時間撹拌を続けた後、ろ過・洗浄を行い得られたケーキを120℃の大気中で8時間乾燥しチタン酸ストロンチウム粒子13を得た。
<チタン酸ストロンチウム粒子14の製造例>
硫酸チタニル水溶液を加水分解して得られたメタチタン酸スラリーをアルカリ水溶液で洗浄した。次に、メタチタン酸のスラリーに塩酸を添加して、pHを0.8に調整してチタニアゾル分散液を得た。チタニアゾル分散液にNaOHを添加し、分散液のpHを5.0に調整し、上澄み液の電気伝導度が70μS/cmになるまで洗浄をくり返した。
メタチタン酸スラリーに対し、0.95倍モル量の水酸化ストロンチウム八水和物を加えてステンレス製の反応容器に入れ、窒素ガス置換した。更に、SrTiO3換算で0.7mol/リットルになるように蒸留水を加えた。窒素雰囲気中でスラリーを65℃まで8℃/時間で昇温し、65℃に到達してから5時間反応を行った。反応後室温まで冷却し、上澄み液を除去した後、純水で洗浄をくり返し、その後、ヌッチェで濾過を行った。得られたケーキを乾燥し、さらに1000℃で焼結させた。
焼結後に純水を加えてスラリーとして40℃に調整し、塩酸を加えpH2.5に調整した後、固形分に対して2.0質量%のイソブチルトリメトキシシランを添加し10時間撹拌保持を続けた。5モル/L水酸化ナトリウム溶液を加えpH6.5に調整し1時間撹拌を続けた後、ろ過・洗浄を行い得られたケーキを120℃の大気中で8時間乾燥しチタン酸ストロンチウム粒子14を得た。
<チタン酸ストロンチウム粒子15の製造例>
炭酸ストロンチウム600gと酸化チタン300gをボールミルにて、9時間湿式混合した後濾過乾燥した。この混合物を5kg/cm2の圧力で成型し、1100℃の温度で8時間仮焼した。得られたチタン酸ストロンチウムを、ジェット気流を用いた粉砕機により粉砕し、風力分級機を用いて分級しある程度粒径をそろえた。その後、水中に分散させ、遠心分離機でより精密な分級を行い、乾燥後、解砕処理することでチタン酸ストロンチウム粒子の基材を得た。
この基材に純水を加えてスラリーとして40℃に調整し、塩酸を加えpH2.5に調整した後、固形分に対して2.0質量%のイソブチルトリメトキシシランを添加し10時間撹拌保持を続けた。5モル/L水酸化ナトリウム溶液を加えpH6.5に調整し1時間撹拌を続けた後、ろ過・洗浄を行い得られたケーキを120℃の大気中で8時間乾燥しチタン酸ストロンチウム粒子15を得た。この粒子の形状が球状に近い多面体上のチタン酸ストロンチウム粒子であった。
<シリカ微粒子1の製造例>
個数平均粒子径が15nm、BET比表面積が200m2/gのシリカ微粒子の基材に100cStのシリコーンオイルで表面処理を行った。表2に示すように、表面処理後のBET比表面積は180m2/gであった。
<シリカ微粒子2、3>
表2に示す個数平均粒子径、BET比表面積、表面処理されているシリカ微粒子2、3を用意した。
トナー粒子は以下のようにして作製した。得られたトナー粒子1~4の物性を表3に示す。
<トナー粒子1の製造例>
四つ口容器中にイオン交換水710部と0.1モル/LのNa3PO4水溶液850部を添加し、高速撹拌装置T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて200s-1で撹拌しながら、60℃に保持した。ここに1.0モル/LのCaCl2水溶液68部を徐々に添加し、分散安定剤を含む水系分散媒体を調製した。
・スチレン 125部
・n-ブチルアクリレート 35部
・銅フタロシアニン顔料(ピグメントブルー15:3) 6部
・ポリエステル樹脂1 10部
(テレフタル酸-プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA(2モル付加物)共重合体、酸価:10mgKOH/g、ガラス転移温度(Tg):70℃、重量平均分子量(Mw):10500)
・フィッシャートロプシュワックス(融点:78℃) 15部
上記材料を、アトライタ(日本コークス工業株式会社製)を用いて3時間撹拌し、各成分を重合性単量体中に分散させ、単量体混合物を調製した。
単量体混合物に重合開始剤である1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ2-エチルヘキサノエート20.0部(トルエン溶液50%)を添加し、重合性単量体組成物を調製した。
重合性単量体組成物を水系分散媒体中に投入し、撹拌機の回転数を167s-1に維持しつつ5分間造粒した。その後、高速撹拌装置をプロペラ式撹拌器に変えて、内部温度を70℃に昇温させ、ゆっくり撹拌しながら6時間反応させた。
次いで、容器内を温度80℃に昇温して4時間維持し、その後冷却し、スラリーを得た。スラリーを含む容器内に希塩酸を添加して分散安定剤を除去した。さらに、ろ別、洗浄、乾燥して重量平均粒径6.8μmのトナー粒子1を得た。トナー粒子1の平均円形度、Tgを表3に示す。
<トナー粒子2の製造例>
四つ口容器中にイオン交換水710部と0.1モル/LのNa3PO4水溶液850部を添加し、高速撹拌装置T.K.ホモミクサーを用いて200s-1で撹拌しながら、60℃に保持した。ここに1.0モル/LのCaCl2水溶液68部を徐々に添加し、分散安定剤を含む水系分散媒体を調製した。
・スチレン 125部
・n-ブチルアクリレート 35部
・銅フタロシアニン顔料(ピグメントブルー15:3) 8部
・ポリエステル樹脂1 10部
(テレフタル酸-プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA(2モル付加物)共重合体、酸価:10mgKOH/g、ガラス転移温度(Tg):70℃、重量平均分子量(Mw):10500)
・フィッシャートロプシュワックス(融点:78℃) 15部
上記材料を、アトライタを用いて3時間撹拌し、各成分を重合性単量体中に分散させ、単量体混合物を調製した。
単量体混合物に重合開始剤である1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ2-エチルヘキサノエート20.0部(トルエン溶液50%)を添加し、重合性単量体組成物を調製した。
重合性単量体組成物を水系分散媒体中に投入し、撹拌機の回転数を158s-1に維持しつつ5分間造粒した。その後、高速撹拌装置をプロペラ式撹拌器に変えて、内部温度を65℃に昇温させ、ゆっくり撹拌しながら6時間反応させた。
次いで、容器内を温度80℃に昇温して4時間維持し、その後冷却し、スラリーを得た。スラリーを含む容器内に希塩酸を添加して分散安定剤を除去した。さらに、ろ別、洗浄、乾燥して重量平均粒径6.6μmのトナー粒子2を得た。トナー粒子2の平均円形度、Tgを表3に示す。
<トナー粒子3の製造例>
〔ポリエスエル樹脂1の製造例〕
冷却管、攪拌機、及び、窒素導入管のついた反応槽中に、以下の材料を秤量した。
テレフタル酸 23.0部
無水トリメリット酸 1.0部
ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン
76.0部
チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート) 0.1部
その後、200℃に加熱し、窒素を導入しながら生成する水を除去しながら9時間反応させ、その後、10mmHgに減圧し1時間反応させ、ポリエスエル樹脂1を合成した。GPCで求めたポリエスエル樹脂1の分子量は、重量平均分子量(Mw)6200、数平均分子量(Mn)2400であり、ピーク分子量(Mp)2750、ガラス転移点は50℃、軟化点は94℃であった。
下記材料をFMミキサー(FM-75型、日本コークス工業株式会社製)で混合した後、二軸混練機((株)池貝製PCM-30型)にて回転数3.3s-1、混練樹脂温度110℃の条件で混練した。
・ポリエスエル樹脂1 100.0部
・銅フタロシアニン顔料(ピグメントブルー15:3) 8.0部
・フィッシャートロプシュワックス(融点:78℃) 5.0部
・3,5-ジ-t-ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 0.5部
得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、機械式粉砕機(フロイント・ターボ(株)製T-250)にて微粉砕した。さらに、得られた微粉砕粉末をコアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級し、重量平均粒径6.9μmの負帯電性のトナー粒子3を得た。トナー粒子3の平均円形度、Tgを表3に示す。
<トナー粒子4の製造例>
着色剤の添加量を8.0部から4.0部に変更すること以外はトナー粒子3と同様にして作成し、重量平均粒径6.6μmの負帯電性のトナー粒子4を得た。トナー粒子4の平均円形度、Tgを表3に示す。
<トナー1の製造例>
得られたトナー粒子1;100部に対して、チタン酸ストロンチウム粒子1;1.5部と、シリカ微粒子1;0.5部とになる量で、これら粒子をFM10C(日本コークス工業株式会社製)によって外添混合した。
外添条件は、トナー粒子の仕込み量:1.8kg、回転数:60s-1、外添時間:12分で行った。その後、目開き200μmのメッシュで篩い、トナー1を得た。トナー1の物性は表4に示す。
<実施例1>
得られたトナー1を用いて、以下の評価を行った。評価結果を表5に示す。
<チタン酸ストロンチウム粒子の付着状態分析>
得られたトナー1を用いて、チタン酸ストロンチウム粒子の付着状態の変化に関して評価を行った。
トナー1の表面を、日立超高分解能電界放出走査電子顕微鏡S-4800((株)日立ハイテクノロジーズ)を用いて観察する。観察条件としては、倍率3万倍で1つのトナーの観察をする。また、無機微粒子の画像処理を行うために、観察時の加速電圧は高めに調整(例えば5kV)し、反射電子像で観察することで、チタン酸ストロンチウム粒子が高輝度に、トナー粒子が低輝度に表わされるため好ましい。
このトナーの反射電子像において、図1に示す様に、トナー粒子の弦の最大長を線分Aとし、線分Aと平行であって線分Aと1.0μm離れた2本の線分を線分B及び線分Cとする。また線分Aの中点を通り、線分Aと直交する線分を線分Dとする。さらに、線分Dと平行であって線分Dと1.0μm離れた2本の線分を線分E及び線分Fとする。線分A、及び線分B、C、D、E及びFで形成される、それぞれ一辺の長さが1.0μmの正方形である4つの領域を定める。
4つの領域に存在するチタン酸ストロンチウム粒子の個数をそれぞれカウントし、1.0μm四方の領域に存在するチタン酸ストロンチウム粒子の存在個数を算出する。これを表4の「チタン酸ストロンチウム粒子の付着個数の初期」の欄に示す。この作業をトナー50個に対して行い、その平均値を算出した。尚、チタン酸ストロンチウム粒子が線分A、B、C、D、E及びF上に存在する場合、その領域の数値は算出の際に用いないようにする。
さらに、トナー1を3g秤量して50ccのポリビンに入れ、振とう器(Model-YS-8D、株式会社ヤヨイ社製)で回転数2.5s-1で30分間振とうして模擬的に劣化させたトナーを得る。振とう後のトナーについても、上記手法と同様にトナー表面のチタン酸ストロンチウム粒子の存在個数を算出する。これを表4の「チタン酸ストロンチウム粒子の付着個数の30分振とう後」の欄に示す。また、初期と30分振とう後のチタン酸ストロンチウム粒子の付着個数の変化率を以下の式で算出する。評価結果を表4に示す。
変化率=(|初期-30分振とう後|/初期)×100
さらに、得られたトナー1を用いて、以下の評価を行った。評価結果を表5に示す。
<評価機>
レーザービームプリンタHP Color LaserJet Enterprise M651nを、1色のプロセスカートリッジだけの装着でも作動することと、転写電流が手動で変更できるように改造して評価を行った。評価紙としては、キヤノンマーケティングジャパンが販売するCS-680を用いた。トナーは所定のプロセスカートリッジに充填した。
長期使用としては、常温常湿環境(温度23℃、相対湿度50%)と、帯電性の影響を受けやすい低温低湿環境(温度10℃、相対湿度14%)と、で評価を行った。低湿環境であるとトナーの帯電性が高く、かつ評価紙の水分量も低く抵抗が高いため、転写性に関しては厳しい条件である。
長期使用としては、印字率2%となる横線パターンを2枚/1ジョブとして、ジョブとジョブの間にマシンがいったん停止してから次のジョブが始まるように設定したモードで、合計15000枚の画像形成試験を実施した。初期と、15000枚の画像形成後で評価を行った。
<画像濃度>
画像濃度は、5mm丸のベタ画像を出力して、反射濃度計であるX-Rite 500シリーズ(ビデオジェット・エックスライト(株)製)で反射濃度を測定することにより測定した。常温常湿環境と、低温低湿環境と、の両環境で、さらに初期と、15000枚の画像形成後の両方で評価を行った。
<グロス紙かぶり>
べた白を通紙して、べた白画像における白地部反射濃度の最低値をDs、画像形成前の転写材の反射平均濃度をDrとし、Dr-Dsをかぶり値とした。評価紙としては、グロス紙(HP Laser Brochure Paper 200g紙 HP社製)を用いた。反射濃度の測定には、反射濃度計(リフレクトメーター モデル TC-6DS (有)東京電色製)を用い、フィルターにはアンバーライトフィルターを用いた。数値が小さいほどかぶりレベルが良いことを示す。常温常湿環境で、初期と、15000枚の画像形成後の両方で評価を行った。
<転写残濃度>
転写性の評価は、条件的に厳しい低温低湿環境で評価を行った。さらに、転写電流によっても転写性は影響を受けるため、転写電流に対して安定であると、トナーとしての転写性は良好であることを示す。
評価方法としては、5mm丸の画像で、紙上の反射濃度が1.40以上になるように階調で調整する。調整した階調で同様に画像出力して、5mm丸の画像が転写され、転写残トナーが静電荷像担持体上に残っているタイミングでモーターの駆動を停止させた。静電荷像担持体上の転写残トナーをテーピングし、使用していない用紙(CS-680)上にそのテープを貼り付けた。そのテープの濃度を反射濃度計であるX-Rite 500シリーズで反射濃度を測定することにより、転写残トナーの濃度を測定した。この反射濃度が低いと転写性が良好であることを示す。
上記の測定を、転写電流を8μA、11μA、14μAと変更し、初期と、15000枚の画像形成後の両方で行った。さらに、転写電流によるバラツキは、それぞれの転写電流における転写残濃度の標準偏差によって評価した。
<ハーフトーンスジ>
ハーフトーン濃度の均一性の評価は、低温低湿環境で15000枚の画像形成後に評価を行った。
反射濃度0.60のハーフトーン画像出力を行い、得られた画像の反射濃度をカートリッジの長手方向に5点測定して、それらの濃度差を求めることで、ハーフトーン画像の濃度ムラを評価した。ここでの濃度ムラとは、紙の出力方向と同じ方向に発生するスジ状の濃度ムラの事を示す。評価基準を以下に示す。ランクC以上であれば、本発明の効果が得られているレベルであるとした。
A:反射濃度差0.05未満
B:反射濃度差0.05以上0.10未満
C:反射濃度差0.10以上0.15未満
D:反射濃度差0.15以上
<トナー2~16、比較トナー1~5の製造例>
トナー1の製造例において、トナー粒子、チタン酸ストロンチウム粒子の種類と添加量を表4のように変更した以外は、トナー1の製造例と同様にして、トナー2~16、比較トナー1~5を得た。
<実施例2~16、比較例1~5>
実施例1と同様にして評価を行った。評価結果を表5に示す。