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JP7192409B2 - インプリントモールド用基板及びインプリントモールド、並びにそれらの製造方法 - Google Patents

インプリントモールド用基板及びインプリントモールド、並びにそれらの製造方法 Download PDF

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JP7192409B2
JP7192409B2 JP2018208653A JP2018208653A JP7192409B2 JP 7192409 B2 JP7192409 B2 JP 7192409B2 JP 2018208653 A JP2018208653 A JP 2018208653A JP 2018208653 A JP2018208653 A JP 2018208653A JP 7192409 B2 JP7192409 B2 JP 7192409B2
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Description

本開示は、インプリントモールド用基板及びインプリントモールド、並びにそれらを製造する方法に関する。
微細加工技術として知られているナノインプリント技術は、基材の表面に凹凸パターンが形成されてなるインプリントモールドを用い、当該凹凸パターンを被加工物に等倍転写するパターン形成技術である。特に、半導体デバイスにおける配線パターン等のさらなる微細化等に伴い、その製造プロセス等においてナノインプリント技術が注目されている。
ナノインプリント技術において一般に用いられるインプリントモールドは、例えば、第1面及びそれに対向する第2面を有する基材と、基材の第1面から突出する凸構造部と、凸構造部の上面部に形成されてなる凹凸パターンとを備え、基材の第2面に窪み部が形成されているものが知られている(特許文献1参照)。このようなインプリントモールドを用い、被転写基板上に供給された被加工物としてのインプリント樹脂にインプリントモールドの凹凸パターンを接触させることで、当該凹凸パターンにインプリント樹脂を充填させる。そして、その状態で当該インプリント樹脂を硬化させ、その後に硬化したインプリント樹脂からインプリントモールドを引き離すことにより、インプリントモールドの凹凸パターンが転写されてなるパターン構造体が形成される。
上記インプリントモールドをインプリント樹脂から引き離す離型工程において、インプリントモールドへのインプリント樹脂の付着等によるパターン欠陥(寸法変動、位置精度の悪化、パターン倒壊等)が発生することがある。インプリントモールドの基材の第2面に窪み部が形成されていることで、凹凸パターンの形成されている凸構造部の上面部を湾曲させる(撓ませる)ようにしてインプリントモールドをインプリント樹脂から引き離すことができ、その結果、上記パターン欠陥の発生を防止することができる。
特開2011-245787号公報
基材の第2面に窪み部が形成されている上記インプリントモールドにおいて、凸構造部の上面部を均一に湾曲させる(撓ませる)ことで、上記パターン欠陥の発生を効果的に防止することができる。そのため、凸構造部の上面部の面内における基材の厚みが均一であること、及び凸構造部の周囲の領域における基材の厚みが均一であることがインプリントモールドにおける理想的な構造であると言える。すなわち、凸構造部の上面部と、凸構造部の周囲における基材の第1面と、窪み部の底面とが平行であることが理想的である。
窪み部は、一般に、基材の第2面に対する研削加工(機械加工)により形成されるが、研削加工において用いられるミリングヘッド(研削ヘッド)を水平に保持することが困難であることにより、また研削加工装置の装置的要因(装置のクセ)により、形成される窪み部の底面には起伏が存在してしまう。この窪み部の底面に存在する起伏は、インプリント樹脂に凹凸パターンを転写した後の離型時に、凹凸パターンにパターン欠陥を生じさせてしまうという問題がある。具体的には、窪み部の底面に存在する起伏により、凸構造部の上面部(凹凸パターンの形成されている領域)の面内における基材の厚みがばらついてしまう。そのため、インプリント樹脂からインプリントモールドを引き離すときに、離型速度を所望の速度に維持することが困難となり、インプリント樹脂に対してかかる応力の急激な変化が生じてしまい、その結果としてパターン欠陥が発生してしまう。特に、インプリントモールドがインプリント樹脂から最後に離れる箇所(最終離型箇所)においては、急激に引き剥がされやすく、インプリント樹脂に対して大きな応力がかかるため、パターン欠陥が発生しやすいという問題がある。研削加工において形成される窪み部の底面に研磨処理等を施すことで起伏を除去し、当該底面を凸構造部の上面部及びその周囲における基材の第1面と平行に形成すれば上記問題は解決可能であるものの、コスト及び時間の観点から容易ではない。
上記課題に鑑みて、本開示は、高精度にパターンを形成することのできるインプリントモールド及びそれを製造可能なインプリントモールド用基板、並びに多大なコストや時間をかけることなくそれらを製造する方法を提供することを一目的とする。
上記課題を解決するために、本開示の一実施形態として、第1面及び当該第1面に対向する第2面を有する基材と、前記基材の前記第1面に設定されてなる、凹凸パターンが形成され得るパターン領域と、前記基材の前記第2面に形成されてなる窪み部とを備え、前記窪み部は、底面と、前記底面の外周縁から前記第2面側に向かって立設する周壁面とにより構成され、前記パターン領域を前記窪み部の前記底面側に投影した投影領域内における前記窪み部の前記底面の曲率半径が、前記投影領域外における前記底面の曲率半径よりも大きいインプリントモールド用基板が提供される。
記投影領域の中心における前記窪み部の前記底面の曲率半径が、前記投影領域内において最大値を示すことができる。
前記基材の前記第1面から突出してなる、上面部を有する凸構造部をさらに備え、前記パターン領域は、前記凸構造部の前記上面部に設定されることができ、前記基材が石英ガラスにより構成されていればよい。
本開示の一実施形態として、上記インプリントモールド用基板の前記パターン領域に形成されてなる凹凸パターンを有するインプリントモールドが提供される。
本開示の一実施形態として、上記インプリントモールド用基板を製造する方法であって、一方面及び当該一方面に対向する対向面を有する基板を準備する工程と、前記基板の前記対向面に研削加工を施すことで凹部を形成する工程と、前記凹部の底面を平滑化することで前記窪み部を形成する工程とを有し、前記基板の前記一方面には、前記インプリントモールド用基板の前記パターン領域が設定され、少なくとも、前記パターン領域を前記凹部の前記底面側に投影した投影領域内における前記窪み部の前記底面の曲率半径が、前記投影領域外における前記底面の曲率半径よりも大きくなるように前記凹部の前記底面を平滑化するインプリントモールド用基板の製造方法が提供される。
本開示の一実施形態として、上記製造方法により製造されたインプリントモールド用基板の前記パターン領域に凹凸パターンを形成する工程を有するインプリントモールドの製造方法が提供される。
本開示によれば、高精度にパターンを形成することのできるインプリントモールド及びそれを製造可能なインプリントモールド用基板、並びに多大なコストや時間をかけることなくそれらを製造する方法を提供することができる。
図1は、本開示の一実施形態に係るインプリントモールド用基板の概略構成を示す切断端面図である。 図2は、図1に示すインプリントモールド用基板の凸構造部近傍の概略構成を示す部分拡大切断端面図である。 図3は、本開示の一実施形態に係るインプリントモールド用基板の概略構成を示す切断端面図である。 図4は、図3に示すインプリントモールド用基板の凸構造部近傍の概略構成を示す部分拡大切断端面図である。 図5は、本開示の一実施形態に係るインプリントモールド用基板の概略構成を示す切断端面図である。 図6は、図5に示すインプリントモールド用基板の凸構造部近傍の概略構成を示す部分拡大切断端面図である。 図7は、凸構造部の上面部を窪み部の底面側に投影した投影領域内において当該底面に変曲点を有するインプリントモールド用基板の概略構成を示す切断端面図である。 図8は、図7に示すインプリントモールド用基板の凸構造部近傍の概略構成を示す部分拡大切断端面図である。 図9は、本開示の一実施形態におけるインプリントモールドの概略構成を示す切断端面図である。 図10は、図9に示すインプリントモールドの凸構造部近傍の概略構成を示す部分拡大切断端面図である。 図11(A)~(E)は、本開示の一実施形態に係るインプリントモールド用基板の製造方法の各工程を示す工程フロー図である。
本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
当該図面においては、理解を容易にするために、各部の形状、縮尺、縦横の寸法比等を、実物から変更したり、誇張したりして示している場合がある。本明細書等において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値のそれぞれを下限値及び上限値として含む範囲であることを意味する。本明細書等において、「フィルム」、「シート」、「板」等の用語は、呼称の相違に基づいて相互に区別されない。例えば、「板」は、「シート」、「フィルム」と一般に呼ばれ得るような部材をも含む概念である。
〔インプリントモールド用基板〕
図1は、本実施形態に係るインプリントモールド用基板の第1態様の概略構成を示す切断端面図であり、図2は、図1に示すインプリントモールド用基板の凸構造部近傍の概略構成を示す部分拡大切断端面図であり、図3は、本実施形態に係るインプリントモールド用基板の第2態様の概略構成を示す切断端面図であり、図4は、図3に示すインプリントモールド用基板の凸構造部近傍の概略構成を示す部分拡大切断端面図であり、図5は、本実施形態に係るインプリントモールド用基板の第3態様の概略構成を示す切断端面図であり、図6は、図5に示すインプリントモールド用基板の凸構造部近傍の概略構成を示す部分拡大切断端面図である。
図1~6に示すように、本実施形態に係るインプリントモールド用基板1は、第1面21及び当該第1面21に対向する第2面22を有する基材2と、基材2の第1面21から突出する凸構造部3と、第2面22側に形成されている窪み部4とを備える。
基材2としては、インプリントモールド用基板として一般的なもの、例えば、石英ガラス基板、ソーダガラス基板、蛍石基板、フッ化カルシウム基板、フッ化マグネシウム基板、バリウムホウケイ酸ガラス、アミノホウケイ酸ガラス、アルミノケイ酸ガラス等の無アルカリガラス基板等のガラス基板、ポリカーボネート基板、ポリプロピレン基板、ポリエチレン基板、ポリメチルメタクリレート基板、ポリエチレンテレフタレート基板等の樹脂基板、少なくとも一部分に金属がドープされた上記基板、これらのうちから任意に選択された2以上の基板を積層してなる積層基板等の透明基板等を用いることができる。なお、本実施形態において「透明」とは、インプリント樹脂を硬化させ得る波長の光を透過可能であることを意味し、波長150nm~400nmの光線の透過率が60%以上であることを意味し、好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上である。
基材2の平面視形状としては、特に限定されるものではなく、例えば、略矩形状等が挙げられる。基材2が光インプリント用として一般的に用いられている石英ガラス基板からなるものである場合、通常、基材2の平面視形状は略矩形状である。
基材2の大きさ(平面視における大きさ)も特に限定されるものではないが、基材2が上記石英ガラス基板からなる場合、例えば、基材2の大きさは152mm×152mm程度である。また、基材2の厚さは、強度、取り扱い適性等を考慮し、例えば、300μm~10mm程度の範囲で適宜設定され得る。
本実施形態において、少なくとも、基材2の第2面22は、その中心部から周縁部に向けて凸状に突出した形状でなければよい。基材2の第2面22がその中心部から周縁部に向けて凸状に突出した形状であると、インプリントモールド用基板1から作製されるインプリントモールドの第2面をインプリント装置の保持機構にて吸着保持したときに、第1面の中心部が凹み、第1面の周縁部が凸状になってしまう。そのような状態で被転写基板に対するインプリント処理が行われると、インプリントモールドの凸構造部の外周部や、インプリントモールドの外周部が被転写基板に接触し、被転写基板やインプリントモールドが損傷してしまうおそれがある。
基材2の第1面21から突出する凸構造部3は、平面視において基材2の略中央に設けられている。凸構造部3の平面視における形状は、略矩形状である。凸構造部3の大きさは、インプリントモールド用基板1を用いたインプリント処理を経て製造される製品等に応じて適宜設定されるものであり、例えば、30mm×25mm程度に設定される。
凸構造部3の突出高さ(基材2の第1面21と凸構造部3の上面部31との間の基材2厚み方向に沿った長さ)は、本実施形態に係るインプリントモールド用基板1が凸構造部3を備える目的を果たし得る限り、特に制限されるものではなく、例えば、10μm~100μm程度に設定され得る。凸構造部3の上面部31には、凹凸パターン11(図9及び図10参照)が形成される予定のパターン領域が設定されている。
基材2の第2面22には、所定の大きさの窪み部4が形成されている。窪み部4が形成されていることで、本実施形態に係るインプリントモールド用基板1から作製されるインプリントモールド10(図9及び図10参照)を用いたインプリント処理時、特にインプリント樹脂との接触時やインプリントモールド10の剥離時に、基材2の第2面22が吸着チャック等で保持された状態で窪み部4に圧力を印加することにより、窪み部4により形成された基材2における厚みの薄い部分(薄板部)のみを湾曲させることができる。その結果、凸構造部3の上面部31とインプリント樹脂とを接触させるときに、凸構造部3の上面部31に形成されている凹凸パターン11とインプリント樹脂との間に気体が挟みこまれてしまうのを抑制することができ、また、インプリント樹脂に凹凸パターン11が転写されてなるパターンからインプリントモールド10を容易に剥離することができる。
窪み部4の平面視形状は、略円形状であるのが好ましい。略円形状であることで、インプリント処理時、特に凸構造部3の上面部31とインプリント樹脂とを接触させるときやインプリント樹脂からインプリントモールド10を剥離するときに、インプリントモールド10の薄板部や、凸構造部3の上面部31を、その面内において実質的に均一に湾曲させることができる。
窪み部4の平面視における大きさは、窪み部4を基材2の第1面21側に投影した投影領域内に、凸構造部3が包摂される程度の大きさである限り、特に制限されるものではない。当該投影領域が凸構造部3を包摂不可能な大きさであると、インプリントモールド10の凸構造部3の上面部31の全面を効果的に湾曲させることができないおそれがある。
窪み部4は、底面41と、底面41の外周縁から基材2の第2面22側に向かって立設する周壁面42とにより構成される。窪み部4の底面41は、全体として又は部分的に基材2の第1面21側に向かって実質的に凸状(図1~4参照。第2面22側に向かって凹状)又は凹状(図5及び図6参照。第2面22側に向かって凸状)に湾曲した形状を有するが、パターン領域(凸構造部3の上面部31)を窪み部4の底面41側に投影した投影領域内において、窪み部4の底面41は変曲点を実質的に有しない。本実施形態に係るインプリントモールド用基板1から作製されるインプリントモールド10(図9及び図10参照)を用いたインプリント処理において、硬化したインプリント樹脂からインプリントモールド10を剥離する時に、凸構造部3の上面部31を湾曲させながらインプリントモールド10を引き離す。一般に、パターン領域(凸構造部3の上面部31)の周縁から幾何学的中心に向かってインプリントモールド10が引き離されるため、当該幾何学的中心が、インプリント樹脂からインプリントモールド10が最後に離れる部分となる。しかし、例えば、図7及び図8に示すようなインプリントモールド用基板100から作製されたインプリントモールドのように、パターン領域(凸構造部300の上面部310)を窪み部400の底面410側に投影した投影領域内において窪み部400の底面410に変曲点411が存在すると、パターン領域上における当該変曲点411に対向する部分に離型線(インプリントモールドとインプリント樹脂との接触している境界線)が差し掛かったときに、離型によりインプリント樹脂にかかる応力が急激に変化する。この応力の急激な変化により、パターン欠陥が引き起こされてしまう。この点、本実施形態に係るインプリントモールド用基板1は、上記投影領域内に窪み部4の底面41に変曲点が実質的に存在しないため、それから作製されるインプリントモールド10において、離型開始から終了までの間における応力の急激な変化を生じさせ難くすることができる。よって、当該インプリントモールド10を用いたインプリント処理により高精度なパターン形成が可能となる。なお、本実施形態において、上記投影領域外であれば、窪み部4の底面41に変曲点41Aが存在していてもよい(図3~6参照)。このような変曲点41Aは、離型時の応力の急激な変化を引き起こさないからである。
本実施形態において、パターン領域(凸構造部3の上面部31)を窪み部4の底面41側に投影した投影領域内における窪み部4の底面41の曲率半径は、当該投影領域外における底面41の曲率半径よりも大きいのが好ましい。より好ましくは、当該投影領域の幾何学的中心における窪み部4の底面41の曲率半径が、当該投影領域内における窪み部4の底面41の曲率半径の中で最大値を示す。一般に、パターン領域(凸構造部3の上面部31)の幾何学的中心においてインプリントモールド10がインプリント樹脂から最後に引き離される。そのため、上記投影領域の幾何学的中心における窪み部4の底面41の曲率半径が最大値を示し、そこから周壁面42に向かうに従って底面41の曲率半径が小さくなるのが、高精度のパターン形成の観点において理想的な底面41の形状であるということができる。そのため、本実施形態のように、上記投影領域内における窪み部4の底面41に変曲点が実質的に存在せず、上記投影領域内における窪み部4の底面41の曲率半径が当該投影領域外における底面41の曲率半径よりも大きいことで、インプリントモールド10を用いたインプリント処理により高精度なパターン形成が可能となり、さらには投影領域の幾何学的中心における窪み部4の底面41の曲率半径が最大値を示すことで、インプリントモールド10を用いたインプリント処理によって、より高精度なパターン形成が可能となる。
上記投影領域内において、窪み部4の底面41の曲率半径は20m以上であるのが好ましく、40m以上であるのがより好ましい。窪み部4の底面41の曲率半径が20m未満であると、インプリントモールド10の離型時にインプリント樹脂にかかる応力が相対的に大きくなり、パターン欠陥が生じるおそれがある。
なお、本実施形態において、基材2の第1面21から突出する凸構造部3を有する態様を例に挙げて説明したが、このような態様に限定されるものではなく、例えば、基材2の第1面21側に凸構造部3を有していなくてもよい。この場合において、基材2の第1面21上におけるパターン領域(凹凸パターン11の形成される予定の領域)を第2面22側に向かって投影した投影領域内おいて、変曲点が実質的に存在していなければよく、好ましくは底面41の曲率半径が所定の範囲(20m以上)であればよい。
〔インプリントモールド〕
図9は、本実施形態におけるインプリントモールドの概略構成を示す切断端面図であり、図10は、本実施形態におけるインプリントモールドの凸構造部近傍の概略構成を示す部分拡大切断端面図である。
本実施形態におけるインプリントモールド10は、上記インプリントモールド用基板1の凸構造部3の上面部31に形成されてなる凹凸パターン11を有する。
凹凸パターン11の形状、寸法等は、本実施形態におけるインプリントモールド10を用いて製造される製品等にて要求される形状、寸法等に応じて適宜設定され得る。例えば、凹凸パターン11の形状としては、ラインアンドスペース状、ピラー状、ホール状、格子状等が挙げられる。また、凹凸パターン11の寸法は、例えば、10nm~200nm程度に設定され得る。
なお、本実施形態におけるインプリントモールド10は、凸構造部3を有していなくてもよい。この場合において、基材2の第1面21上に設定されるパターン領域に凹凸パターン11が形成されていればよく、当該パターン領域(凹凸パターン11が形成されている領域)を第2面22側に向かって投影した投影領域内おいて、変曲点が実質的に存在していなければよく、好ましくは底面41の曲率半径が所定の範囲(20m以上)であればよい。
本実施形態におけるインプリントモールド10によれば、基材2の第1面21側におけるパターン領域(凸構造部3の上面部31)を第2面22側に投影した投影領域内において、窪み部4の底面41が変曲点を実質的に有しないため、インプリントモールド10を用いたインプリント処理時、特にインプリントモールド10の離型時にインプリント樹脂にかかる応力の急激な変化が生じない。その結果、パターン欠陥の発生を効果的に防止することができ、高精度なパターン形成が可能となる。
〔インプリントモールド用基板の製造方法〕
上述した構成を有するインプリントモールド用基板1の製造方法の一例について説明する。図11(A)~(E)は、本実施形態に係るインプリントモールド用基板の製造方法の各工程を示す工程フロー図である。
[基板準備工程]
まず、第1面21’及びそれに対向する第2面22’を有する基材2’を準備し、基材2’の第1面21’にハードマスク層70及びレジスト層80をこの順に積層する(図11(A)参照)。
基材2’としては、インプリントモールド用基板として一般的なもの、例えば、石英ガラス基板、ソーダガラス基板、蛍石基板、フッ化カルシウム基板、フッ化マグネシウム基板、バリウムホウケイ酸ガラス、アミノホウケイ酸ガラス、アルミノケイ酸ガラス等の無アルカリガラス基板等のガラス基板、ポリカーボネート基板、ポリプロピレン基板、ポリエチレン基板、ポリメチルメタクリレート基板、ポリエチレンテレフタレート基板等の樹脂基板、少なくとも一部分に金属がドープされた上記基板、これらのうちから任意に選択された2以上の基板を積層してなる積層基板等の透明基板等を用いることができる。
基材2’の平面視形状としては、特に限定されるものではなく、例えば、略矩形状等が挙げられる。基材2’が光インプリント用として一般的に用いられている石英ガラス基板からなるものである場合、通常、基材2の平面視形状は略矩形状である。
基材2’の大きさ(平面視における大きさ)も特に限定されるものではないが、基材2’が上記石英ガラス基板からなる場合、例えば、基材2’の大きさは152mm×152mm程度である。また、基材2’の厚さは、強度、取り扱い適性等を考慮し、例えば、300μm~10mm程度の範囲で適宜設定され得る。
ハードマスク層70を構成する材料としては、例えば、クロム、チタン、タンタル、珪素、アルミニウム等の金属;窒化クロム、酸化クロム、酸窒化クロム等のクロム系化合物、酸化タンタル、酸窒化タンタル、酸化硼化タンタル、酸窒化硼化タンタル等のタンタル化合物、窒化チタン、窒化珪素、酸窒化珪素等を単独で、又は任意に選択した2種以上を組み合わせて用いることができる。
ハードマスク層70は、後述する工程(図11(C)参照)にてパターニングされ、インプリントモールド用基板1の凸構造部3(図11(D)参照)をエッチングにより形成する際のマスクパターンとして用いられるものである。そのため、基材2’の構成材料に応じ、エッチング選択比等を考慮して、ハードマスク層70の構成材料を選択するのが好ましい。例えば、基材2’が石英ガラス基板である場合、ハードマスク層70として酸化クロム膜等が好適に選択され得る。
ハードマスク層70の厚さは、基材2’の構成材料に応じたエッチング選択比等を考慮して適宜設定される。例えば、基材2’が石英ガラス基板であって、ハードマスク層70が酸化クロム膜である場合、ハードマスク層70の厚さは、0.5nm~200nm程度の範囲内で適宜設定され得る。
基材2’の第1面21’にハードマスク層70を形成する方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、スパッタリング、PVD(Physical Vapor Deposition)、CVD(Chemical Vapor Deposition)等の公知の成膜方法が挙げられる。
基材2’の第1面21’上のハードマスク層70を覆うようにしてスピンコート法等により形成されるレジスト層80を構成する材料は、特に限定されるものではなく、例えば、ネガ型又はポジ型の感光性材料等を用いることができるが、ネガ型の感光性材料を用いるのが好ましい。レジスト層80の膜厚は、特に限定されるものではなく、ハードマスク層70の構成材料に応じた選択比等に応じて適宜設定され得る。
〔レジストパターン形成工程〕
上記レジスト層80に対して所定の開口を有するフォトマスク(図示省略)を介した露光処理及び現像処理を施すことで、凸構造部3に対応するレジストパターン81を形成する(図11(B)参照)。
本実施形態において、レジストパターン81をマスクとしてハードマスク層70にドライエッチング処理を施すことで、凸構造部3に対応するマスクパターン71が形成される。すなわち、レジストパターン81の大きさ(サイズ)とマスクパターン71の大きさ(サイズ)とは実質的に同一となる。そして、後述するように、マスクパターン71の大きさ(サイズ)は、凸構造部3の大きさ(サイズ)よりも大きく、凸構造部3の上面部31を包摂可能な大きさで構成される。よって、レジストパターン81の大きさ(サイズ)も、凸構造部3の大きさ(サイズ)よりも大きく、凸構造部3の上面部31を包摂可能な大きさで構成される。
〔マスクパターン形成工程〕
上記のようにして形成されたレジストパターン81をエッチングマスクとし、開口部から露出するハードマスク層70を、例えば、塩素系(Cl2+O2)のエッチングガスを用いてドライエッチングすることで、基材2’の第1面21’上にマスクパターン71を形成する(図11(C)参照)。
マスクパターン71は、後述するウェットエッチング工程において、凸構造部3を形成するためのマスクとして用いられる。そして、凸構造部3を形成するためのウェットエッチング工程においては、いわゆるサイドエッチングが起こり、基材2’が横方向(面内方向)にエッチングされる。そのため、凸構造部3の上面部31の大きさ(サイズ)は、マスクパターン71の大きさ(サイズ)よりも小さくなる。すなわち、マスクパターン71の大きさ(サイズ)は、凸構造部3の上面部31の大きさ(サイズ)よりも大きく構成される。マスクパターン71の大きさ(サイズ)は、基材2’のサイドエッチング量等に応じて設定されればよく、例えば、1μm~200μm程度大きければよい。
〔ウェットエッチング工程〕
上記のようにして形成されたマスクパターン71をマスクとして基材2’にウェットエッチング処理を施し、残存するマスクパターン71を除去する。ウェットエッチング処理におけるエッチング液としては、例えばフッ酸等が好適に用いられる。これにより凸構造部3が形成される(図11(D)参照)。
〔窪み部形成工程〕
続いて、基材2’の第2面22’に研削加工を施して凹部(窪み部4に相当する凹部)を形成した後、第1研磨処理及び第2研磨処理を含む平滑化処理(スムージング処理)を当該凹部の底面に施すことで、窪み部4を形成する(図11(E)参照)。
一般に、基材2’の第2面22’に対する研削加工においては、第2面22’における窪み部4を形成すべき領域内に所定の深さ及び径の有底穴が形成された後、当該有底穴にミリングヘッド(研削ヘッド)が挿入されて基材2’の厚さ方向(有底穴の深さ方向)及び面内方向(有底穴の径方向)に研削される。上記有底穴は、第2面22’における窪み部4を形成すべき領域内である限りにおいて、当該領域の略中心に形成されてもよいし、当該領域の外周に沿った所定の箇所に形成されてもよい。このようにして基材2’の第2面22’に形成される凹部の底面や周壁面には、微細なキズ(凹凸)が形成されてしまう。このような微細なキズ(凹凸)が窪み部の底面や周壁面に形成されたインプリントモールドを用いてインプリント処理を行うと、窪み部を介して照射される光が乱反射してしまい、インプリント樹脂の硬化不良を生じさせるおそれがある。そのため、まずは、基材2’の第2面22’の凹部の底面や周壁面に形成されている微細なキズ(凹凸)を除去するための第1研磨処理を当該底面や周壁面(少なくとも底面)に施す。これにより、当該微細なキズ(凹凸)は除去される。第1研磨処理は、例えば、所定の粒径の研磨材を含む研磨スラリーを用いて行われ得るが、この方法に限定されるものではない。また、第1研磨処理に代えてウェットエッチング処理を施すことで、凹部の底面や周壁面の微細なキズ(凹凸)を除去してもよい。
一方で、上記研削加工により形成される凹部は、その略中心を最大深さ又は最小深さとし、面内方向に向かって傾斜する底面を有することになるとともに、研削加工装置の装置的要因(装置のクセ)により、凹部の底面には変曲点が生じてしまうこととなる。しかし、上記第1研磨処理では、このような変曲点を存在させないようにすることは困難である。そこで、上記変曲点を存在させないようにするための第2研磨処理を凹部の底面に施す。これにより、変曲点を実質的に有しない底面41を有する窪み部4を形成することができる。なお、第2研磨処理は、少なくとも凸構造部3の上面部31を凹部の底面に投影した投影領域内に施されればよいが、凹部の底面の全面に施されてもよい。
第2研磨処理において、凸構造部3の上面部31を窪み部4の底面41側に投影した投影領域内における窪み部4の底面41の曲率半径が、好ましくは20m以上となるように、より好ましくは40m以上となるように、凹部の底面を研磨すればよい。
第2研磨処理は、第1研磨処理において用いられ得る研磨材よりも粒径の大きい研磨材を含む研磨スラリーを用いて行われ得る。第2研磨処理は、少なくとも底面41の一部(凸構造部3の上面部31を底面41に投影した投影領域内)に変曲点を実質的に存在させない程度にまで研磨処理を施すものであって、底面41が基材2の第1面21及び凸構造部3の上面部31と平行になるまで研磨処理を施すものではない。そのため、インプリントモールド用基板1の作製にかかるコストや時間が相対的に低減され得る。すなわち、本実施形態によれば、多大なコストや時間をかけることなく、高精度にパターンを形成することのできるインプリントモールドを製造可能なインプリントモールド用基板を作製することができる。なお、平滑化処理後、少なくとも凸構造部3の上面部31を凹部の底面に投影した投影領域内に鏡面研磨処理が施されてもよい。かかる鏡面研磨処理が施されることで、インプリントモールド用基板1の窪み部4の少なくとも底面41の表面粗さを低減することができる。したがって、このようなインプリントモールド用基板1から製造されるインプリントモールド10(図9及び図10参照)を用いた光インプリント処理時に、インプリントモールド10を介してインプリント樹脂に照射される光が窪み部4の底面41や周壁面42にて乱反射してしまうのをより効果的に抑制することができる。この鏡面研磨処理は、凹部の底面の全面に施されてもよいし、さらに周壁面42にも施されてもよい。
〔インプリントモールドの製造方法〕
上記のようにして作製されたインプリントモールド用基板1の凸構造部3の上面部31(パターン領域)に、凹凸パターン11に対応するハードマスクパターンを形成し、ハードマスクパターンをマスクとしてインプリントモールド用基板1にドライエッチング処理を施し、凸構造部3の上面に凹凸パターン11を形成することで、インプリントモールド10(図9及び図10参照)を製造することができる。インプリントモールド用基板1のドライエッチングは、当該インプリントモールド用基板1の構成材料の種類に応じて適宜エッチングガスを選択して行なわれ得る。エッチングガスとしては、例えば、フッ素系ガス等を用いることができる。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
上記実施形態において、パターン領域(凸構造部3の上面部31)の周縁から幾何学的中心が、インプリント樹脂からインプリントモールド10が最後に離れる部分である態様を例に挙げて説明したが、このような態様に限定されるものではない。例えば、当該幾何学的中心から離れた位置(例えば、凸構造部3の上面部31の周縁近傍)が、インプリント樹脂からインプリントモールド10が最後に離れる部分であってもよい。この場合において、当該最後に離れる部分(例えば、凸構造部3の上面部31の周縁近傍)に対向する部分における窪み部4の底面41の曲率半径が、投影領域内における窪み部4の底面41の曲率半径の中で最大値を示せばよい。
上記実施形態において、基材2の第1面21から突出する1段の凸構造部3を有するインプリントモールド用基板1及びインプリントモールド10を例に挙げて説明したが、このような態様に限定されるものではない。例えば、インプリントモールド用基板1及びインプリントモールド10は、基材2の第1面21から立ち上がる第1段目及び第1段目から突出する第2段目を含む複数段の凸構造部3を有していてもよく、当該第2段目の上面にパターン領域が設定され、凹凸パターン11が形成され得る。なお、凸構造部3の段数は2段に限られるものではなく、3段以上であってもよく、複数段の凸構造部3の最上段の上面にパターン形成領域が設定され又は凹凸パターン11が形成されていればよい。
以下、実施例等を挙げて本開示をさらに詳細に説明するが、本開示は、下記の実施例等により何ら限定されるものではない。
〔実施例1〕
図1及び図2に示す、窪み部4の底面41に実質的に変曲点が存在しないインプリントモールド用基板1を準備し、当該インプリントモールド用基板1の凸構造部3の上面部31に、ハーフピッチ26nmのラインアンドスペース状の凹凸パターン11を形成することでインプリントモールド10を作製した。当該インプリントモールド10を用い、被転写基板としての石英基板上に供給されたインプリント樹脂に凹凸パターン11を転写して転写パターンを形成した。当該転写パターンを光学顕微鏡にて観察したところ、転写パターン(凸状パターン)の欠損、倒壊、変形等のパターン欠陥は発生していなかった。
〔実施例2〕
図3及び図4に示す、窪み部4の底面41(凸構造部3の上面部31を底面41側に投影した投影領域内)に実質的に変曲点が存在しないインプリントモールド用基板1を準備し、当該インプリントモールド用基板1の凸構造部3の上面部31に、ハーフピッチ26nmのラインアンドスペース状の凹凸パターン11を形成することでインプリントモールド10を作製した。当該インプリントモールド10を用い、被転写基板としての石英基板上に供給されたインプリント樹脂に凹凸パターン11を転写して転写パターンを形成した。当該転写パターンを光学顕微鏡にて観察したところ、転写パターン(凸状パターン)の欠損、倒壊、変形等のパターン欠陥は発生していなかった。
〔比較例1〕
図7及び図8に示す、窪み部400の底面410(凸構造部300の上面部310を底面410側に投影した投影領域内)に変曲点411が存在するインプリントモールド用基板100を準備し、当該インプリントモールド用基板100の凸構造部300の上面部310に、ハーフピッチ26nmのラインアンドスペース状の凹凸パターンを形成することでインプリントモールドを作製した。当該インプリントモールドを用い、被転写基板としての石英基板上に供給されたインプリント樹脂に凹凸パターンを転写して転写パターンを形成した。当該転写パターンを光学顕微鏡にて観察したところ、転写パターン内における5箇所の独立した領域(φ1μm以上の領域)においてパターン欠陥が発生していた。
上記実施例1、実施例2及び比較例1の結果から明らかなように、インプリントモールドの凸構造部の上面部を底面側に投影した投影領域内において、窪み部の底面が変曲点を実質的に有しないことで、高精度にパターン形成が可能であることが確認された。
1…インプリントモールド用基板
2…基材
21…第1面
22…第2面
3…凸構造部
31…上面部
4…窪み部
41…底面
42…周壁面
10…インプリントモールド
11…凹凸パターン

Claims (7)

  1. 第1面及び当該第1面に対向する第2面を有する基材と、
    前記基材の前記第1面に設定されてなる、凹凸パターンが形成され得るパターン領域と、
    前記基材の前記第2面に形成されてなる窪み部と
    を備え、
    前記窪み部は、底面と、前記底面の外周縁から前記第2面側に向かって立設する周壁面とにより構成され、
    前記パターン領域を前記窪み部の前記底面側に投影した投影領域内における前記窪み部の前記底面の曲率半径が、前記投影領域外における前記底面の曲率半径よりも大きい
    インプリントモールド用基板。
  2. 前記投影領域の中心における前記窪み部の前記底面の曲率半径が、前記投影領域内において最大値を示す
    請求項に記載のインプリントモールド用基板。
  3. 前記基材の前記第1面から突出してなる、上面部を有する凸構造部をさらに備え、
    前記パターン領域は、前記凸構造部の前記上面部に設定されてなる
    請求項1又は2に記載のインプリントモールド用基板。
  4. 前記基材が石英ガラスにより構成される
    請求項1~のいずれかに記載のインプリントモールド用基板。
  5. 請求項1~のいずれかに記載のインプリントモールド用基板の前記パターン領域に形成されてなる凹凸パターンを有するインプリントモールド。
  6. 請求項1~のいずれかに記載のインプリントモールド用基板を製造する方法であって、
    一方面及び当該一方面に対向する対向面を有する基板を準備する工程と、
    前記基板の前記対向面に研削加工を施すことで凹部を形成する工程と、
    前記凹部の底面を平滑化することで前記窪み部を形成する工程と
    を有し、
    前記基板の前記一方面には、前記インプリントモールド用基板の前記パターン領域が設定され、
    少なくとも、前記パターン領域を前記凹部の前記底面側に投影した投影領域内における前記窪み部の前記底面の曲率半径が、前記投影領域外における前記底面の曲率半径よりも大きくなるように前記凹部の前記底面を平滑化する
    インプリントモールド用基板の製造方法。
  7. 請求項に記載の製造方法により製造されたインプリントモールド用基板の前記パターン領域に凹凸パターンを形成する工程を有する
    インプリントモールドの製造方法。
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