JP7187041B2 - プロテオグリカンの含有量の測定法 - Google Patents
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Description
[項1]キャピラリー電気泳動を用いる組成物に含有されるプロテオグリカンの含有量の測定法であって、PDMAにて内壁をコーティングしたキャピラリーを用いてキャピラリー電気泳動を行う、当該測定法。
[項2]短波長の吸光検出にて当該電気泳動を行う、[項1]記載の測定法。
[項3]SDSが含有されている泳動用緩衝液を当該電気泳動で用いる、[項1]又は[項2]記載の測定法。
キャピラリー電気泳動(CE)は、内径数十μm、全長数十cmの細管内で主に電荷を持った試料を分離する手法であり、省試料、高速分析、高分離能を実現する分離分析手法である(BUNSEKI KAGAKU vol.67, No.10, pp599-606, 2018)。キャピラリー電気泳動(CE)は、例えば、荷電化試料を電荷/サイズ比で分離するキャピラリーゾーン電気泳動(CZE)、分子ふるい効果を持つポリマー等の溶液を用いて高分子を分子量に従って分離するキャピラリーゲル電気泳動(CCE)、ミセル等の泳動用緩衝液に分離可能な擬似固定相を用いて疎水性試料やキラル化合物を分離する動電クロマトグラフィー(EKC)、抗体やアダプターなどの試料特異的に結合する担体を用いるアフィニティーキャピラリー電気泳動(ACE)など、様々な分離モードがある。以下実施例で用いたキャピラリー電気泳動は、キャピラリーゾーン電気泳動(CZE)である。
本発明で測定される組成物は、例えば、化粧品、サプリメントなどの飲食品、飲食品等に含有される素材等が挙げられる。
本発明に係る測定法では、好ましくは、キャピラリー電気泳動にて電気泳動分離能を高めるために、泳動用緩衝液に所定量のSDS(sodium dodecyl sulfate)が含有されるが、例えば1から10mM含有される。
以下実施例では、細胞外マトリックスを形成している主たる高分子であり、機能性表示食品や保湿成分として化粧品に含有されるプロテオグリカン、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸及びコラーゲンの4種(図1に構造等を示す)を対象に、CZEによる分離分析法を検討した。これらは全て荷電高分子であり、例えば、スラブゲル電気泳動で分子量/荷電数に依存した分離後、染色して検出をする。しかし、定量面では、HPLCやキャピラリー電気泳動のようなフローシステムでのクロマトグラムやエレクトロフェログラムでのピーク面積を用いた検量線法が優れていると考えられている。プロテオグリカンはポリペプチド主鎖にイオン性のグリコサミノグリカン(直鎖糖鎖)=硫酸基とカルボキシル基を有するコンドロイチン硫酸の側鎖が多く生えている分子であり、コンドロイチン硫酸は生体内では、その多くの割合がプロテオグリカンの一部として存在すると考えられている。分子量は、プロテオグリカンが数100から数十万Daであると考えられているのに対し、コンドロイチン硫酸は10万Da程度であると考えられている。ヒアルロン酸もコンドロイチン硫酸と同様にイオン性のグリコサミノグリカンであり、荷電構造としてはカルボキシル基のみを有する。コラーゲンは、グリシンが約1/3をしめ、プロリン、ヒドロキシプロリンアラニンで合わせて1/3が構成され、検出に有用な光吸収を示す芳香環を有するPheが1%程度、Tyrほぼ含まず、Trpは全く含まないタンパク質である。従って、グリコサミノグリカンを主構造とするプロテオグリカン、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、コラーゲンは、いずれも分離検出に汎用される250nm付近に大きなモル吸光係数は持たないと考えられる。従って、HPLCでの分離後の検出に、未修飾での吸光検出は適さないと考えられる。
試験(キャピラリーゾーン電気泳動、CZE)で用いた標品(図1で構造を示す物)は、以下である。
・プロテオグリカン:富士フイルム和光純薬会社(商品コード:162-22131、168-22133)
・コンドロイチン硫酸:キシダ化学株式会社 (コンドロイチン硫酸ナトリウム特級、製品コード:000-16622)
・ヒアルロン酸:資生堂(バイオヒアルロン酸ナトリウム、HA12N)
・コラーゲン:コラーゲン技術研修会(タイプIIコラーゲン(ウシ関節由来))
プロテオグリカン、コンドロイチン硫酸及びヒアルロン酸の各標品を超純水に溶解して、1.0 mg/mLの濃度のストック溶液(標品プロテオグリカン1.0mg/ml含有のストック溶液、標品コンドロイチン硫酸1.0mg/ml含有のストック溶液及び標品ヒアルロン酸1.0mg/ml含有のストック溶液)を作製した。なお、コラーゲンの水への溶解度が低いため、標品コラーゲン1.0mg/ml含有のストック溶液は、超純水と100 mM SDSを含有させることにより、37℃で30分間の下でコラーゲンの標品を溶解させて作製した。当該ストック溶液を、試験で用いる試料として用いた。泳動用緩衝液として、100 mMホウ酸緩衝液(pH 9.20)または100 mMホウ酸緩衝液(pH 10.0)を用いて、場合により当該ホウ酸緩衝液に5mMのSDSが含有された泳動用緩衝液を用いて、CZEを行った。本実施例でのCZEでは、印加電圧を15 kV(内面未修飾のキャピラリーを用いた場合、この場合の電流は19μA)又は-30 kV(PDMAにて内壁をコーティングしたキャピラリーを用いた場合、この場合の電流は30μA)に設定した。CZEの動作温度は20℃と設定した。試料を注入する際には、25 mbarの圧力で20秒間行った。検出波長は200 nmと設定した。
図2に、内面未修飾のキャピラリー(bare capillary)及び泳動用緩衝液として100mMのホウ酸緩衝液(pH9.20)を用いて、キャピラリー電気泳動を行った結果を示す。この測定条件下では陽極から陰極に向けた強い電気浸透流のため、すべてが陰極側で検出されている。コンドロイチン、プロテオグリカン、ヒアルロン酸は多価アニオン性の高分子であり、タンパク質であるコラーゲンも溶出位置から判断して、負に帯電している。図1に示したように、ヒアルロン酸はカルボキシル基1つ、コンドロイチン硫酸はカルボキシル基と硫酸基各1つずつ二糖を含む基本骨格に有している。したがって、電位泳動移動度の絶対値はコンドロイチン硫酸>ヒアルロン酸と予想され、結果も予想通りとなった。
未修飾キャピラリーを用いたCZEでは、浸透流の変動による検出時間の変動が大きくなった。これは、試料分子(ポリマー分子)が徐々に壁面に吸着蓄積し、電気浸透流(EOF)の大きさが変化(減少)しているためと考えられ、測定回数の増加とともに、移動速度の遅い(電気泳動移動度の比較的大きな)プロテオグリカン、コンドロイチン硫酸は、次第に検出されなくなった。測定間のキャピラリー洗浄によって、ある程度はこの問題を軽減できるが、試験として検出時間の再現性の低さは許容できないレベルとも考えられる。図3では、EOFを抑制する目的で、PDMAで内壁コーティングしたキャピラリーを用いた結果を示す。ここでは、図2に示す試験結果と違い、EOFがないため溶出順が逆転している。PDMAコーティングは、壁面への吸着による深刻なテーリングを予防する効果が報告されている。また、浸透流の変動による検出時間の変動も低減できる。また、ホウ酸緩衝液のpHについて、pH9.2(=ホウ酸のpKa)とpH10.0について比較したところ、コンドロイチン硫酸とプロテオグリカンの分離がpH10.0で改善した(Rsは9.8から1.04になった)のでpH 10.0を採用した。検討した4種の試料で全てある程度広いピーク幅を有するが、各ポリマーの微細な構造バリエーションを反映して、実効電荷/流体力学半径の幅の分布が大きくなっていることが主原因と考えられる。
図4は、図3(b)と同じように、5mM SDSが含有されている泳動用緩衝液を用いた試験系でのCZEによるプロテオグリカン含有量の測定試験を示す。図4(a)は、サメ軟骨粉末を超純水に溶解した液をCZEのサンプルとして用いた試験系であり、図5(b)はプロテオグリカンF(一丸ファルコス)を超純水に溶解した液をCZEのサンプルとして用いた試験系である。図4(a)に示す結果では、サメ軟骨粉末は主にコンドロイチン硫酸で構成され、プロテオグリカンはほとんど含まれていないことが示唆された。一方、図4(b)に示す結果では、プロテオグリカン標品のピークと類似したピークを持つ主成分として、プロテオグリカンが検出(図4(b)のMigration Timeが21minの付近で検出)された。プロテオグリカンF中のプロテオグリカンの量は21.3%(w / w)と推定され、製品の規格値と一致していた(表示値は20%(w / w)
以上)(図4(b))。
と推定された。
Claims (2)
- キャピラリー電気泳動を用いる組成物に含有されるプロテオグリカンの含有量の測定法であって、ポリジメチルアクリルアミド(PDMA)にて内壁をコーティングしたキャピラリーを用いてキャピラリー電気泳動を行う、当該測定法。
- SDSが含有されている泳動用緩衝液を当該電気泳動で用いる、請求項1に記載の測定法。
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