以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1に係る画像形成装置の一例としてのカラー画像形成装置の全体の概略を示し、図2は、実施の形態1に係るカラー画像形成装置の制御装置を示している。なお、図中、矢印Xは水平方向に沿った幅方向を、Yは水平方向に沿った奥行方向を、Zは鉛直方向をそれぞれ示している。
<カラー画像形成装置の全体の構成>
カラー画像形成装置1は、例えばカラープリンタとして構成されたものである。このカラー画像形成装置1は、図1に示されるように、現像剤を構成するトナーで現像されるトナー像を形成する複数の画像形成手段の一例としての作像装置20を備えている。作像装置20は、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)及びブラック(K)の4色のトナー像をそれぞれ専用に形成する4つの作像装置20Y,20M,20C,20Kで構成されている。これらの4つの作像装置20(Y,M,C,K)は、装置本体1aの内部空間において水平方向Xに対して傾斜した状態で1列に配置されている。尚、装置本体1aは、支持構造部材や外装カバー等で形成される。
各作像装置20(Y,M,C,K)は、図1に示されるように、回転する像保持手段の一例としての感光体ドラム21をそれぞれ備えている。この感光体ドラム21の周囲には、感光体ドラム21の像形成が可能な周面(像保持面)を所要の電位に帯電させる帯電装置22と、感光体ドラム21の帯電された周面に画像の情報(信号)に基づく光を照射して電位差のある(各色用の)静電潜像を形成する静電潜像形成手段の一例としての露光装置23と、その静電潜像を対応する色(Y,M,C,K)の現像剤のトナーで現像してトナー像にする現像手段の一例としての現像装置24と、その各トナー像を中間転写装置30に転写する一次転写手段の一例としての一次転写装置25と、一次転写後における感光体ドラム21の像保持面に残留して付着するトナー等の付着物を取り除いて清掃する清掃手段の一例としてのドラムクリーニング装置26等が配置されている。
感光体ドラム21は、接地処理される円筒状又は円柱状の基材の周面に感光材料からなる光導電性層(感光層)を有する像保持面を形成したものである。この感光体ドラム21は、図示しない駆動装置から駆動力が伝達されて矢印Aで示す方向に回転する。
帯電装置22は、感光体ドラム21に接触した状態で配置される接触型の帯電ロールで構成される。帯電装置22には帯電用電圧が供給される。帯電用電圧としては、現像装置24が反転現像を行うものである場合、その現像装置24から供給されるトナーの帯電極性と同じ極性の電圧又は電流が供給される。帯電装置22の背面側には、帯電装置22の表面を清掃するクリーニングロール221が接触した状態で配置されている。
露光装置23は、感光体ドラム21の軸方向に沿って配列された複数の発光素子としてのLED(Light Emitting Diode)により感光体ドラム21に画像情報に応じた光を照射して静電潜像を形成するLEDプリントヘッド等からなるものである。露光装置23には、潜像形成時になると、カラー画像形成装置1に任意の手段で入力される画像の情報(信号)が図示しない画像処理装置を介して送信される。なお、露光装置23としては、カラー画像形成装置1に入力される画像の情報に応じて構成されるレーザ光を、帯電された後の感光体ドラム21の周面に対して照射して静電潜像を形成するものを用いても良い。
現像装置24(Y,M,C,K)はいずれも、図1に示されるように、開口部と現像剤の収容室が形成された装置ハウジング240の内部に、現像剤を保持して感光体ドラム21と向き合う現像領域まで搬送する現像ロール241と、現像剤を撹拌しながら現像ロール241を通過させるよう搬送するスクリューオーガー等の撹拌供給部材242及び撹拌搬送部材243と、現像ロール241に保持される現像剤の量(層厚)を規制する層厚規制部材244などを配置して構成されたものである。この現像装置24には、その現像ロール241と感光体ドラム21の間に現像用電圧が図示しない電源装置から供給される。また、現像ロール241や撹拌供給部材242及び撹拌搬送部材243は、図示しない駆動装置からの駆動力が伝達されて所要の方向に回転する。さらに、4色の現像剤(Y,M,C,K)としては、非磁性トナーと鉄やフェライトなどの磁性体からなる磁性キャリアを含む二成分現像剤が使用される。現像装置24については、後に詳述する。
各現像装置24(Y,M,C,K)には、中間転写装置30の上方の位置に配置されるイエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)及びブラック(K)の現像剤収容容器の一例としての各トナーカートリッジ245(Y,M,C,K)からトナー補給装置246(Y,M,C,K)を介して対応する色のトナーがそれぞれ補給されるよう構成されている。トナー補給装置246(Y,M,C,K)は、駆動手段の一例としての駆動モータ247(Y,M,C,K)によってそれぞれ個別に駆動される。なお、ブラック(K)のトナーカートリッジ245Kは、ブラック(K)色のトナーの使用頻度が高いことを考慮して他のトナーカートリッジより外径(容積)が大きく設定されている。
一次転写装置25は、一次転写位置T1において感光体ドラム21の周面に中間転写ベルト31を介して接触し回転するとともに一次転写用電圧が供給される一次転写ロールを備えた接触型の転写装置である。一次転写用電圧としては、トナーの帯電極性と逆の極性を示す直流の電圧又は電流が図示しない高圧電源から供給される。
ドラムクリーニング装置26は、容器状の本体260の内部に配置されて残留トナー等の付着物を取り除いて清掃するクリーニングブレード261と、クリーニングブレード261で取り除いたトナー等の付着物を回収して図示しない回収システムに送り出すよう搬送するスクリューオーガー等の送出部材262などで構成されている。
中間転写装置30は、各作像装置20(Y,M,C,K)の上方の位置に存在するよう配置される。この中間転写装置30は、感光体ドラム21と一次転写装置25(一次転写ロール)の間となる一次転写位置T1を通過しながら矢印Bで示す方向に循環移動する中間転写ベルト31と、中間転写ベルト31をその内周から所望の状態に保持して循環移動可能に支持する複数のベルト支持ロール32~35と、ベルト支持ロール35に支持されている中間転写ベルト31の外周面(像保持面)側に配置されて中間転写ベルト31上のトナー像を記録用紙6に二次転写させる二次転写装置40と、二次転写装置40を通過した後に中間転写ベルト31の外周面に残留して付着するトナー、紙粉等の付着物を取り除いて清掃するベルトクリーニング装置36とで主に構成されている。
ベルト支持ロール32は駆動ロールとして構成され、ベルト支持ロール33は中間転写ベルト31の走行位置を保持する面出しロールとして構成され、ベルト支持ロール34は張力付与ロールとして構成され、ベルト支持ロール35は二次転写のバックアップロールとして構成されている。
二次転写装置40は、図1に示されるように、中間転写装置30におけるベルト支持ロール35に支持されている中間転写ベルト31の外周面部分である二次転写位置T2において回転する二次転写ロール41を備えている。二次転写ロール41又は中間転写装置30のベルト支持ロール35には、トナーの帯電極性と逆極性又は同極性を示す直流の電圧が二次転写用電圧として供給される。
定着装置50は、表面温度が予め定められた温度に保持されるよう電磁誘導加熱や熱源等の加熱手段によって加熱されるベルト形態又はロール形態の加熱用回転体51と、この加熱用回転体51に所要の圧力で接触して回転するロール形態又はベルト形態の加圧用回転体52などを配置して構成されたものである。この定着装置50では、加熱用回転体51と加圧用回転体52が接触する接触部が所要の定着処理(加熱及び加圧)を行う定着処理部となる。
給紙装置60は、作像装置20(Y,M,C,K)の下方の位置に存在するよう配置される。この給紙装置60は、所望のサイズ、種類等の記録用紙6を積載板61上に積載した状態で収容する単数(又は複数)の用紙収容体62と、用紙収容体62から記録用紙6を1枚ずつ送り出す送出装置63とで主に構成されている。
記録用紙6としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンタ等に使用される普通紙やトレーシングペーパー等の薄紙、あるいは合成樹脂(PETなど)製の透明なフィルム状の媒体からなるOHPシート等が挙げられる。定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、記録用紙6の表面もできるだけ平滑であることが好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等の坪量が相対的に大きい所謂厚紙なども好適に使用することができる。
給紙装置60と二次転写装置40との間には、給紙装置60から送り出される記録用紙6を二次転写位置T2まで搬送する単数(又は複数)の用紙搬送ロール対64や搬送ガイド材65,66で構成される給紙搬送路67が設けられている。給紙搬送路67において二次転写位置T2の直前の位置に配置される用紙搬送ロール対64は、例えば記録用紙6の搬送時期を調整するロール(レジストロール)として構成される。
また、二次転写装置40と定着装置50との間には、二次転写装置40から送り出される記録用紙6を定着装置50まで搬送する搬送ガイド部材68等で構成される用紙搬送路69が設けられている。
定着装置50の下流側には、定着装置50によりトナー像が定着された記録用紙6を、装置本体1aの上部に配置された用紙排出部70に排出するための用紙搬送ロール対71及び用紙排出ロール対72や搬送ガイド材73,74等を備えた排出搬送路75が設けられている。
図1中、符号100は、カラー画像形成装置1の動作を統括的に制御する制御手段の一例としての制御装置を示している。制御装置100については、後に詳述する。
<カラー画像形成装置の基本的な動作>
以下、カラー画像形成装置1による基本的な画像形成動作について説明する。
ここでは、前記4つの作像装置20(Y,M,C,K)を使用して、4色(Y,M,C,K)のトナー像を組み合わせて構成されるフルカラー画像を形成するときの画像形成動作について説明する。なお、4つの作像装置20(Y,M,C,BK)のうち、いずれか1つ以上の作像装置20を使用して単色又は複数色のトナー像を組み合わせた画像を形成するときの画像形成動作も基本的には同様である。
カラー画像形成装置1は、画像形成動作(プリント)の要求の指令情報を受けると、制御装置100の制御によって、4つの作像装置20(Y,M,C,K)、中間転写装置30、二次転写装置40、定着装置50等が始動する。
そして、各作像装置20(Y,M,C,K)においては、図1に示されるように、まず各感光体ドラム21が矢印Aで示す方向に回転し、各帯電装置22が各感光体ドラム21の表面を所要の極性(実施の形態1ではマイナス極性)及び電位に帯電させる。続いて、露光装置23が、帯電後の感光体ドラム21の表面に対し、カラー画像形成装置1に入力される画像の情報を各色成分(Y,M,C,K)に変換して得られる画像の信号に基づいて発光される光を照射し、その表面に所要の電位差で構成される各色成分の静電潜像をそれぞれ形成する。
続いて、各現像装置24(Y,M,C,K)が、感光体ドラム21に形成された各色成分の静電潜像に対し、所要の極性(マイナス極性)に帯電された対応する色(Y,M,C,BK)のトナーをそれぞれ供給して静電的に付着させて現像を行う。この現像により、各感光体ドラム21に形成された各色成分の静電潜像は、その対応する色のトナーでそれぞれ現像された4色(Y,M,C,K)のトナー像として顕像化される。
続いて、各作像装置20(Y,M,C,K)の感光体ドラム21上に形成された各色のトナー像が一次転写位置T1まで搬送されると、一次転写装置25が、その各色のトナー像を中間転写装置30の矢印Bで示す方向に回転する中間転写ベルト31に対して順番に重ね合わせるような状態で一次転写させる。
また、一次転写が終了した各作像装置20(Y,M,C,K)では、ドラムクリーニング装置26が付着物を掻き取るように除去して感光体ドラム21の表面を清掃する。これにより、各作像装置20(Y,M,C,K)は次の作像動作が可能な状態にされる。
続いて、中間転写装置30では、中間転写ベルト31の回転により一次転写されたトナー像を保持して二次転写位置T2まで搬送する。一方、給紙装置60では、作像動作に合わせて所要の記録用紙6を給紙搬送路67に送り出す。給紙搬送路67では、レジストロールとしての用紙搬送ロール対64が記録用紙6を転写時期に合わせて二次転写位置T2に送り出して供給する。
二次転写位置T2においては、二次転写ロール41が、中間転写ベルト31上のトナー像を記録用紙6に一括して二次転写させる。また、二次転写が終了した後の中間転写装置30では、ベルト清掃装置36が、二次転写後の中間転写ベルト31の表面に残留したトナー等の付着物を取り除いて清掃する。
続いて、トナー像が二次転写された記録用紙6は、中間転写ベルト31と二次転写ロール40から剥離された後に用紙搬送路69に沿って定着装置50まで搬送される。定着装置50では、回転する加熱用回転体51と加圧用回転体52との間の定着処理部に二次転写後の記録用紙6を導入して通過させることにより、必要な定着処理(加熱及び加圧)をして未定着のトナー像を記録用紙6に定着させる。定着が終了した後の記録用紙6は、排出搬送路75を介して用紙排出ロール対72により、装置本体1aの上部に設けられた排出収容部70に排出される。
以上の動作により、4色のトナーT(Y,M,C,K)からなるトナー像を組み合わせて形成されるフルカラー画像が出力される。
<現像装置の構成>
この実施の形態1に係るカラー画像形成装置1に使用される現像装置24は、いわゆる二成分現像方式を採用している。イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)及びブラック(K)の各現像装置24(Y,M,C,K)は、同様に構成されている。ここでは、現像装置24の構成についてイエロー(Y)の現像装置24Yを例にして説明する。
現像装置24Yは、図2に示されるように、感光体ドラム21と対向する現像領域に開口部240aを有する現像装置本体の一例としての装置ハウジング240を備えている。装置ハウジング240の開口部240aには、現像剤保持手段の一例としての現像ロール241が配置されている。現像ロール241は、内部に固定した状態で配置され、周方向に沿って所要の位置に所要の極性の磁極が着磁された円柱形状又は円筒形状の磁性部材の一例としてのマグネットロール241aと、マグネットロール241aの外周に回転可能に配置され、マグネットロール241aの磁力により吸着された現像剤4を周方向に沿って感光体ドラム21と対向する現像領域を通過するよう搬送する円筒形状の現像剤搬送部材の一例としての現像スリーブ241bとから構成されている。
装置ハウジング240は、現像ロール241の斜め下方に隣接した部位に配置され現像剤4が収容される第一現像剤収容部248と、この第一現像剤収容部248の背面側に仕切り壁249を介し隣接して配置される第二現像剤収容部250とを備えている。第一及び第二現像剤収容部248,250は、その断面形状の下半部が円筒形状に形成されている。第二現像剤収容部250は、その軸方向に沿った両端部において連通口251,252を介して第一現像剤収容部248と連通している。
第一及び第二現像剤収容部248,250には、二成分の現像剤4がそれぞれ収容されている。第一現像剤収容部248には、図3に示されるように、現像剤4を予め定められた軸方向(例えば、図3中、左側から右側)に搬送する螺旋状の第一現像剤撹拌搬送手段の一例としての撹拌供給部材242が配置されている。撹拌供給部材242は、合成樹脂を用いた射出成形等により、円柱形状や円筒形状に形成された回転軸242aと、回転軸242aの外周に一体に形成された螺旋状の搬送羽根242bを有して回転可能に形成された、いわゆるスクリューオーガーである。搬送羽根242bは、現像剤4の撹拌搬送性を向上させるため、回転軸242aの外周に位相を180度異ならせて2条にわたり設けられている。撹拌供給部材242は、トナーの撹拌混合機能に加えて現像剤4を現像ロール241へ供給する供給機能を担ったサプライオーガーである。撹拌供給部材242の搬送方向に沿った下流側の端部には、当該撹拌供給部材242によって搬送された現像剤4を逆方向(図中、右側から左側)に搬送して撹拌搬送部材243へと受け渡す逆搬送羽根242cが軸方向に沿って短く設けられている。
また、第二現像剤収容部250には、現像剤4を予め定められた軸方向(例えば、図3中、右側から左側)に搬送する螺旋状の第二現像剤撹拌搬送手段の一例としての撹拌搬送部材243が配置されている。撹拌搬送部材243は、合成樹脂を用いた射出成形等により、円柱形状や円筒形状に形成された回転軸243aと、回転軸243aの外周に一体に形成された螺旋状の搬送羽根243bを有して回転可能に形成された、いわゆるスクリューオーガーである。搬送羽根243bは、やはり現像剤4の搬送性を向上させるため、回転軸243aの外周に位相を180度異ならせて2条にわたり設けられている。撹拌搬送部材243は、第二現像剤収容部250に収容された現像剤4と補給されたトナーを撹拌混合することを主眼としたアドミックスオーガーである。
撹拌搬送部材243の搬送方向に沿った下流側の端部には、当該撹拌搬送部材243によって搬送された現像剤4を逆方向(図中、左側から右側)に搬送して撹拌供給部材242へと受け渡す逆搬送羽根243cが設けられている。また、撹拌搬送部材243の搬送方向に沿った上流側の端部は、撹拌供給部材242より長く延長されている。撹拌搬送部材243の延長された端部は、トナーカートリッジ245からトナー供給装置246を介して供給されたトナーを、装置ハウジング240の内部へと搬送する搬送部243dを構成している。
第一及び第二現像剤収容部248,250は、仕切り壁249に開口された連通口251,252を介して現像剤4が循環する現像剤搬送路を形成している。第一及び第二現像剤収容部248,250に収容された現像剤4は、一対のスパイラル状の撹拌供給部材242及び撹拌搬送部材243により現像剤搬送路内を撹拌混合されながら循環搬送される。
また、第二現像剤収容部150の現像剤4の搬送方向に沿った中央より下流側には、現像剤4中のトナー濃度を検出するトナー濃度検出手段の一例としてのトナー濃度センサ254が配置されている。撹拌搬送部材243には、必要に応じて、トナー濃度センサ254と対向する位置に現像剤4を滞留させる軸方向に沿って平板状に形成されたパドル等かなる図示しない滞留部材が設けられる。トナー濃度センサ254は、図2に示されるように、第二現像剤収容部250を形成する装置ハウジング240の外壁に接触するよう配置されている。トナー濃度センサ254としては、例えば、現像剤4中のトナー濃度の変化に伴う現像剤4の透磁率の変化を利用して現像剤4中のトナー濃度を検出するものが用いられる。トナー濃度センサ254は、現像剤4中のトナー濃度に応じて出力信号の周波数や電圧が変化する。トナー濃度センサ254としては、現像剤4中のトナー濃度を検出可能なものであれば、任意の方式のものを採用することができる。
トナーカートリッジ245からトナー補給装置246を介して現像装置24の装置ハウジング240に供給されたトナーは、図3に示されるように、撹拌搬送部材243の搬送部243dによって装置ハウジング240の内部へと搬送される。現像装置24の内部に搬送されたトナーは、撹拌搬送部材243及び撹拌供給部材242によって軸方向に沿って搬送される間に、装置ハウジング240の内部に収容された現像剤4と撹拌混合されるとともに、トナーが所要の極性(マイナス極性)に摩擦帯電される。撹拌供給部材242へと搬送された現像剤4は、図2に示されるように、当該撹拌供給部材242から現像ロール241へと受け渡される。現像ロール241の表面に保持された現像剤4は、現像スリーブ241bの回転に伴い層厚規制部材244により現像剤4の量(層厚)が規制されて感光体ドラム21の表面と対向する現像領域へと搬送される。感光体ドラム21の表面には、現像ロール241の表面に保持された現像剤4より画像情報に応じて形成された静電潜像に対してトナーが付着され、感光体ドラム21上に現像される。
<カラー画像形成装置の特徴部分の構成>
ところで、上記の如く構成されるカラー画像形成装置1では、図2及び図3に示されるように、現像装置24の装置ハウジング240内で撹拌及び搬送される現像剤4のトナー濃度をトナー濃度センサ254によって検出するよう構成されている。現像装置24では、現像剤4の流動性の変化等によってトナー濃度センサ254の付近に滞留する現像剤4が増加することがある。
例えば、高湿度環境下では、現像装置24内で撹拌供給部材242及び撹拌搬送部材243によって撹拌搬送され摩擦帯電されるトナーの帯電性が低下する。トナーの帯電性が低下と、トナー同士間に作用する静電的な反発力が減少しキャリアの外周に静電的に付着するトナー量が増大する。その結果、現像剤4の流動性が低下してトナー濃度センサ254の付近に滞留する現像剤4が増加することがある。
一方、低湿度環境下では、現像装置24内で撹拌供給部材242及び撹拌搬送部材243によって撹拌搬送され摩擦帯電されるトナーの帯電性が向上する。トナーの帯電性が向上すると、トナー同士間に作用する静電的な反発力が増加しキャリアの外周に静電的に付着するトナー量が減少する。その結果、現像剤4の流動性が向上してトナー濃度センサ254の付近に滞留する現像剤4が減少する。
また、現像装置24では、複数枚の記録用紙6にわたり低濃度の画像を連続して現像する場合のように、単位時間あたりのトナー消費量が少ない状態で現像剤4を継続的に撹拌搬送すると、トナーの表面に添加された帯電性や流動性を調整する外添剤が剥離したりトナー内に埋没して外添剤が本来の機能を発揮せず、現像剤4が劣化して流動性が低下する場合がある。
その結果、現像装置24では、現像剤4の流動性が低下してトナー濃度センサ254の付近に現像剤4が滞留すると、現像装置24内の平均的なトナー濃度ではなく、トナー濃度センサ254付近に滞留した現像剤4の局所的なトナー濃度を検知してしまうことになる。そのため、トナー濃度センサ254が現像剤4の局所的なトナー濃度を検出する検出異常が発生すると、トナー濃度センサ254の検出結果に基づいて現像装置24の内部にトナーを補給するトナー補給制御に問題が生じる。
例えば、現像装置24内の平均的なトナー濃度よりトナー濃度が低い現像剤4がトナー濃度センサ254の付近に滞留すると、トナー濃度センサ254は、現像装置24内の平均的なトナー濃度より低いトナー濃度を検出する。そのため、トナー補給制御においてトナー濃度センサ254の検出結果に基づいてトナーの補給時間を算出すると、トナー補給時間が実際より過大に算出される。
逆に、現像装置24内の平均的なトナー濃度よりトナー濃度が高い現像剤4がトナー濃度センサ254の付近に滞留すると、トナー濃度センサ254は、現像装置24内の平均的なトナー濃度より高いトナー濃度を検出する。そのため、トナー補給制御においてトナー濃度センサ254の検出結果に基づいてトナー補給時間を算出すると、トナー補給時間が実際より過少に算出される。
その結果、現像装置24では、トナーが過剰に補給されたりトナーの補給量が不足してトナー像の濃度が目標濃度と一致せず、画像欠陥などが発生する虞れを有している。
そこで、この実施の形態1では、静電潜像の画像密度及びトナー補給装置の補給時間を第1の期間にわたり積算し且つ第2の期間毎に更新される各積算値に基づいて、トナー濃度センサ254の検出異常の有無を判断する判断手段を備えるように構成されている。
ここで、トナー濃度センサ254の検出異常とは、上述したように、現像剤の流動性の低下等に起因して、トナー濃度センサ254が現像装置24内の平均的なトナー濃度を検出せず、トナー濃度センサ254の付近に滞留した現像剤4の局所的なトナー濃度を検出することをいう。
図4はこの実施の形態1に係るカラー画像形成装置の制御装置を示すブロック図である。
制御装置100は、図4に示されるように、判断手段の一例としての制御部101と、記憶部102と、操作部103と、通信部104とを備えている。
制御部101は、CPU(Central Processing Unit)101aやRAM(Random Access Memory)101bを有している。制御部101は、記憶部102に記憶されたプログラムを実行し、カラー画像形成装置1における画像形成動作を制御するとともに、記憶部102や操作部103、あるいは通信部104を制御する。制御部101が制御する画像形成動作には、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)及びブラック(K)のトナー補給装置246(Y,M,C,K)を制御して、各現像装置24(Y,M,C,K)にトナーを補給するトナー補給動作も含まれる。
また、制御部101は、次に示すように、記憶部102に予め記憶されたプログラムを実行することにより実現される画像密度検出手段、第1のトナー補給時間算出手段、第2のトナー補給時間算出手段、積算手段、駆動制御手段及び判断手段としての機能を有している。
画像密度検出手段
画像密度検出手段は、画像形成時、カラー画像形成装置1に入力される画像情報をイエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)及びブラック(K)の各色成分の画像情報にそれぞれ変換する図示しない画像処理装置から出力される画像情報に基づいて、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)及びブラック(K)の各色成分に変換された画像情報の画像密度をそれぞれ検出する機能である。
また、制御部101は、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)及びブラック(K)の各色成分に変換された画像情報の画像密度を、予め定められた数N(正の整数)のページ間における画像密度の平均値として検出する機能をも有している。
更に説明すると、制御部101がプログラムを実行することにより実現される画像処理装置は、画像情報格納部と、RIP(Raster Image Processing)処理部とを備えている。画像情報格納部は、ユーザのパーソナルコンピュータ等からなるクライアント端末から送信されてくる画像情報であって、RIP処理の対象となるものを一時的に順次格納するものである。画像情報格納部は、例えば、記憶部102の一部から構成される。ここで、画像情報には、PDL(Page Description Language)で記述された画像データ(以下、「PDLデータ」)と、印刷制御情報とが含まれる。印刷制御情報は、例えば、印刷部数や記録用紙6の種類に関する情報である。
RIP処理部は、画像情報格納部に格納された印刷データのうちPDLデータを読み出して解釈し、ページ単位のラスタデータを生成する。RIP処理部により生成されたラスタデータは、カラー画像形成装置1の露光装置23(Y,M,C,K)にそれぞれ送信される。
画像密度検出手段は、カウンタとしての機能を有しており、露光装置23(Y,M,C,K)にそれぞれ出力される画像データの有効画素数及び画像濃度をカウントする。ここで有効画素数とは、露光装置23の露光により感光体ドラム21上に形成される静電潜像を構成する画素の数(すなわち、トナーによる現像の対象となる画素の数)である。また、画像濃度は、各画素に対応した画像の濃度である。画像濃度は、例えば、256階調で表現される。
画像密度検出手段は、例えば、1ページの画像に形成される画像情報の画像濃度を1画素毎に256階調でカウントし、1ページの画像の全画素に形成される画像密度を累積的に検出する。
そして、画像密度検出手段は、図5に示されるように、1ページの画像の全画素に形成される画像密度を累積的にカウントする動作をNページにわたり実行する。画像密度検出手段は、Nページにわたりカウントされた画像データの全画像密度をNで除算することにより、画像密度の平均値を検出(算出)する。ここで、画像密度検出手段は、1ページあたり画像の画像密度及びNページにわたる画像密度の平均値を、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)及びブラック(K)の各色成分毎に検出する。検出された1ページあたり画像の画像密度及びNページにわたる画像密度の平均値は、RAM101b又は記憶部102に記憶される。
第1のトナー補給時間算出手段
第1のトナー補給時間算出手段は、画像密度検出手段によって検出されたイエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)及びブラック(K)の各色成分の画像密度の平均値に基づいて、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)及びブラック(K)の各色に対応した第1のトナー補給時間t1を算出する機能である。第1のトナー補給時間t1は、例えば、画像密度の平均値に基づいて予め定められた関係式を用いて算出される。また、第1のトナー補給時間t1は、画像密度の平均値に基づいて記憶部に予め記憶されたテーブルを参照することにより第1のトナー補給時間t1を求めても勿論よい。
第2のトナー補給時間算出手段
また、第2のトナー補給時間算出手段は、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)及びブラック(K)の各現像装置24(Y,M,C,K)に装着されたトナー濃度センサ254からの検出結果に基づいて、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)及びブラック(K)の各色の第2のトナー補給時間t2を算出する機能である。第2のトナー補給時間t2は、例えば、トナー濃度センサ254によって検出されたトナー濃度の値に基づいて予め定められた関係式を用いて算出される。また、第2のトナー補給時間t2は、トナー濃度センサ254の検出値に基づいて記憶部に予め記憶されたテーブルを参照することにより第2のトナー補給時間T2を求めても勿論よい。
積算手段
積算手段は、文字通り、入力される値を順次積算する機能である。積算手段は、第1及び第2のトナー補給時間算出手段による算出結果である補給時間t1,t2を積算する機能を有している。すなわち、積算手段は、第1のトナー補給時間算出手段による算出結果である第1のトナー補給時間t1と、第2のトナー補給時間算出手段による算出結果である第2のトナー補給時間t2とを積算(加算)する。積算手段は、積算されたトナー補給時間(t1+t2)をイエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)及びブラック(K)の各色成分毎に求める。
また、積算手段は、求められたトナー補給時間(t1+t2)を予め定められたページ数にわたり積算する機能と、画像密度を第1の期間の一例としての予め定められたページ数Nにわたり積算する機能をも有している。また、積算手段は、積算値を第2の期間の一例としての1ページ毎に更新する機能を有している。第2の期間としては、1ページに限定されるものではなく、複数ページであっても良い。但し、トナー補給時間(t1+t2)の最新の値に基づいて制御するためには、第2の期間を1ページに設定するのが望ましい。
駆動制御手段
駆動制御手段は、積算手段によって積算されたトナー補給時間(t1+t2)だけイエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)及びブラック(K)の各トナー補給装置246(Y,M,C,K)の駆動モータ247をそれぞれ駆動させるよう制御する機能である。
判定手段
判定手段は、積算手段によって積算されたトナー補給時間(t1+t2)を予め定められたページ数Nにわたり積算した積算値と、画像密度を予め定められたページ数Nにわたり積算した積算値に基づいて、画像密度の積算値に対するトナー補給時間の積算値の比(勾配)を求め、当該画像密度の積算値に対するトナー補給時間の積算値の比(勾配)が異常か否かを判定する機能である。
解消モード実行手段
解消モード実行手段は、判定手段による判定結果が異常と判定された場合、トナー濃度センサ254の検出異常を解消する解消動作(解消モード)を実行する機能である。
<カラー画像形成装置の特徴部分の動作>
カラー画像形成装置1は、図1に示されるように、カラー画像形成装置1に図示しないパーソナルコンピュータ等のクライアント端末から通信部104(図4)を介して入力される画像情報に応じて、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)及びブラック(K)の各作像装置20(Y,M,C,K)において対応する色のトナー像を形成する。その際、カラー画像形成装置1に入力される画像情報は、図示しない画像処理装置によってイエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)及びブラック(K)の各色に対応した画像情報に変換される。
イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)及びブラック(K)の各作像装置20(Y,M,C,K)の現像装置24は、図2に示されるように、感光体ドラム21上に形成された静電潜像を現像する現像工程を実行することにより、装置ハウジング240内の現像剤4中のトナーが感光体ドラム21上に形成される静電潜像に画像密度に応じて付着することにより消費される。
カラー画像形成装置1の制御部101は、予め定められたタイミングでトナー補給制御動作を実行する。
制御部101は、図6に示されるように、トナー補給制御動作を開始すると、所定ページN間の平均したイエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)及びブラック(K)の各画像密度を検出した後(ステップ101)、画像密度に応じてイエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)及びブラック(K)の各々の第1のトナー補給時間t1を算出する(ステップ102)。
ここで、検出された画像密度が閾値より低い場合は、基準となる駆動時間に対してトナー補給装置246の駆動時間である第1のトナー補給時間t1を短く算出する。また、検出された画像密度が閾値より高い場合は、基準となる駆動時間に対してトナー補給装置246の駆動時間である第1のトナー補給時間T1を長く算出する。具体的には、トナー補給制御動作に遅延を生じさせないようにするため、上述したように、直近の所定ページN間の平均的な画像密度を算出し、算出された平均的な画像密度に基づいて第1のトナー補給時間t1を算出する。
また、制御部101は、トナー補給制御動作を開始すると、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)及びブラック(K)の各現像装置24内のトナー濃度をトナー濃度センサ254によって検出し(ステップ103)、トナー濃度センサ254によって検出されたトナー濃度と目標トナー濃度の関係から第2のトナー補給時間T2を算出する(ステップ104)。
ここで、トナー濃度センサ254によって検出されたトナー濃度が目標トナー濃度より低い場合は、目標トナー濃度となるようトナーを補給すべく第2のトナー補給時間t2を算出する。また、トナー濃度センサ254によって検出されたトナー濃度が目標トナー濃度より高い場合は、第2のトナー補給時間t2をマイナスの値として算出する。さらに、トナー濃度センサ254によって検出されたトナー濃度が目標トナー濃度と等しい場合は、第2のトナー補給時間t2をゼロに算出する。
次に、制御部101は、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)及びブラック(K)の各第1のトナー補給時間t1と第2のトナー補給時間t2とを積算する(ステップ105)。
その後、制御部101は、積算されたトナー補給時間(t1+t2)だけトナー補給装置246を駆動させるように制御して(ステップ106)、当該トナー補給制御動作を終了する。具体的には、制御部101は、図4に示されるように、積算されたトナー補給時間(t1+t2)だけイエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)及びブラック(K)の各トナー補給装置246の駆動モータ247を駆動させるよう図示しない駆動回路を介して駆動信号を出力する。
カラー画像形成装置1の制御部101は、上述したように、トナー補給制御動作を実行することにより、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)及びブラック(K)の各現像装置24(Y,M,C,K)にトナーカートリッジ245(Y,M,C,K)からトナー補給装置246(Y,M,C,K)によって対応する色のトナーがそれぞれ補給される。
しかしながら、現像装置24(Y,M,C,K)では、現像剤4の流動性の変化等によってトナー濃度センサ254にトナー濃度の検出異常が発生する場合がある。
例えば、高湿度環境下では、現像剤4の流動性が低下してトナー濃度センサ254の付近に現像剤4が滞留することがある。また、現像装置24は、単位時間あたりのトナー消費量が少ない状態で現像剤4を継続的に撹拌搬送すると、現像剤4が劣化してやはり流動性が低下する場合がある。
その結果、現像装置24は、図3に示されるように、現像剤4の流動性が低下してトナー濃度センサ254の付近に現像剤4が滞留すると、現像装置24内の平均的なトナー濃度ではなく、トナー濃度センサ254付近に滞留した現像剤4の局所的なトナー濃度を検知してしまうことになる。
そして、カラー画像形成装置1では、図6に示されるように、トナー補給制御においてトナー濃度センサ254の検出結果に基づいて第2のトナー補給時間t2を算出すると、第2のトナー補給時間T2が実際より過少に算出されたり過大に算出されることになる。
すると、現像装置24では、トナーが過剰に補給されたりトナーの補給量が不足し、トナー像の濃度が目標濃度と一致せず、画像欠陥などが発生する虞れがある。
制御部101は、図7に示されるように、記録用紙6の1ページに画像を形成する動作が終了すると(ステップ201)、図6に示されるようなトナー補給制御動作を実行する(ステップ202)。
その後、制御部101は、画像を形成した記録用紙6の1ページ分の画像密度を積算する(ステップ203)。同時に、制御部101は、各現像装置24内のトナー濃度をトナー濃度センサ254によって検出し、トナー濃度センサ254によって検出されたトナー濃度と目標トナー濃度の関係から第2のトナー補給時間T2を算出する。
そして、制御部101は、当該1ページ分の画像密度に対応した第1のトナー補給時間t1と第2のトナー補給時間t2を積算する(ステップ204)。
その後、制御部101は、ページ数に1を加算してカウントアップを行い(ステップ205)、カウントされたページ数が予め定められた所定のページ数Nに達したか否かを判別する(ステップ206)。
そして、制御部101は、カウントされたページ数が予め定められた所定のページ数Nに達していないと判別すると、次のページの画像情報に基づく画像形成動作を開始し(ステップ207)、ステップ201に戻る。
一方、制御部101は、カウントされたページ数が所定のページ数Nに達したと判別すると、画像密度の積算値に対するトナー補給時間の積算値が異常か否かを判別する(ステップ208)。
ここで、画像密度の積算値に対するトナー補給時間の積算値が異常か否かは、図8に示されるように判別される。すなわち、画像密度の積算値に対するトナー補給時間の積算値の比(勾配)は、理想的な状態においては画像密度の積算値の増加とともにトナー補給時間の積算値も比例して増加する。
ただし、上述したように、トナー補給装置246を駆動した際に単位時間あたりに現像装置24の内部に補給されるトナーの補給量は、常に一定ではなく、実際には、温湿度等の環境変化や経時変化に伴うトナーの流動性などの特性変化に起因して変動する。
そのため、画像密度の積算値に対するトナー補給時間の積算値の比(勾配)は、図8に示されるように、画像密度の積算値の増加とともにトナー補給時間の積算値が比例して増加する直線L上から若干外れるは場合がある。そこで、正比例する場合に対して両側にある程度の許容幅LH及びLLが認められ、当該許容幅Wの範囲内であれば正常範囲であると判別される。
これに対して、現像装置24では、例えば、平均的なトナー濃度よりトナー濃度が低い現像剤4がトナー濃度センサ254の付近に滞留すると、トナー濃度センサ254が平均的なトナー濃度より低いトナー濃度を検出することになる。そのため、トナー濃度センサ254の検出結果に基づいてトナーの補給時間を算出すると、第2のトナー補給時間t2を過大に算出してしまうことになる。
逆に、平均的なトナー濃度よりトナー濃度が高い現像剤4がトナー濃度センサ254の付近に滞留すると、トナー濃度センサ254は、現像装置24内の平均的なトナー濃度より高いトナー濃度を検出する。そのため、トナー濃度センサ254の検出結果に基づいてトナー補給時間を算出すると、トナー補給時間を過少に算出してしまうことになる。
その結果、画像密度の積算値に対するトナー補給時間の積算値の比(勾配)は、図8に示されるように、トナー補給時間の積算値が過大となったり過少となり、許容幅LH及びLLから外れることになる。制御部101は、画像密度の積算値に対するトナー補給時間の積算値の比(勾配)が許容幅Wの範囲から外れると、トナー濃度センサ254に検出異常が発生したと判別する。
なお、画像密度の積算値に対するトナー補給時間の積算値の比(勾配)が、図8に示されるように、許容幅LH及びLLの近傍に存在する場合には、制御部101は、トナー濃度センサ254に検出異常が発生したか否かの判別動作を複数回繰り返し、最終的にトナー濃度センサ254に検出異常が発生したか否かを判別するように構成しても良い。
その後、制御部101は、画像密度の積載値に対するトナー補給時間の積算値の比(勾配)が異常ではなく正常であると判別すると、画像密度の積載値及びトナー補給時間の積算値をリセットしてゼロに戻し(ステップ209)、次のページの画像形成動作を開始する(ステップ209)。
一方、制御部101は、画像密度の積載値に対するトナー補給時間の積算値が異常であると判別すると、異常解消モードを実行する(ステップ210)。
制御部101は、異常解消モードとして、現像装置24の撹拌供給部材242及び撹拌搬送部材243の回転速度を通常の現像時に比較して遅い速度に変更して、予め定められた時間だけ駆動する低速度駆動モードを実行する。
現像時、現像装置24の撹拌供給部材242及び撹拌搬送部材243は、通常の回転速度で回転駆動され、当該撹拌供給部材242及び撹拌搬送部材243の回転による遠心力で、現像装置24内の壁面に抑え付けられ、現像剤4が滞留しやすい。そこで、現像装置24では、低速度駆動モードを実行することにより、通常の回転速度より低速に設定した撹拌動作を実行することで、撹拌搬送部材243の回転による遠心力を弱め、現像装置24内の壁面に抑え付けられて滞留している現像剤4に撹拌搬送部材243の搬送力を及ぼすことで、現像剤4の滞留を崩すことが可能となる。
また、異常解消モードとしては、撹拌供給部材242及び撹拌搬送部材243を低速で駆動する場合に限らず、次のページの画像形成動作を実行する前に、感光体ドラム21の周面に帯状のトナー像であるトナーバンドを形成して、現像装置24内のトナーを強制的に消費する動作を実行するように構成しても良い。
この動作は、現像装置24内のトナーのリフレッシュ動作(トナーを強制的に消費し、供給する動作)は、現像装置24内の現像剤量を増減させる効果があり、その効果によって現像剤4の滞留を崩す効果が発揮される。
このように、上記実施の形態1では、画像密度の積載値とトナー補給時間の積算値との比(勾配)が、図8に示されるように、理想的な場合に対して所要の範囲W内にある場合には正常であると判別され、トナー濃度センサ254に検出異常が発生していないことが判る。また、画像密度の積載値とトナー補給時間の積算値が、理想的な場合に対して所要の範囲Wから外れている場合には、トナー濃度センサ254に検出異常が発生していること判別することができる。
そして、制御部101は、トナー濃度センサ254に検出異常が発生していると判別すると、異常解消モードを実行することにより、トナー濃度センサ254に生じている検出異常の状態が解消される。
[実施の形態2]
図9は、実施の形態2に係る画像形成装置の一例としてのカラー画像形成装置の制御動作を示すフローチャートである。この実施の形態2では、解消手段が濃度検知手段の検知異常を解消する動作を実行した後、静電潜像の画像密度及び補給手段の補給時間を第1の期間より短い第3の期間にわたり積算した各積算値に基づいて、判断手段が濃度検知手段の検知異常があると判断したとき、画像形成動作を禁止する禁止手段を備えるように構成されている。
この実施の形態2では、禁止手段の一例としての機能を兼ね備えた制御部101が、次のようなトナー補給動作を実行する。
制御部101は、図9に示されるように、記録用紙6の1ページに画像を形成する動作が終了すると(ステップ301)、図6に示されるようなトナー補給制御動作を実行する(ステップ302)。
その後、制御部101は、画像を形成した記録用紙6の1ページ分の画像密度を積算する(ステップ303)。同時に、制御部101は、各現像装置24内のトナー濃度をトナー濃度センサ254によって検出し、トナー濃度センサ254によって検出されたトナー濃度と目標トナー濃度の関係から第2のトナー補給時間t2を算出する。
そして、制御部101は、当該1ページ分の画像密度に対応した第1のトナー補給時間t1と第2のトナー補給時間t2を積算する(ステップ304)。
その後、制御部101は、ページ数に1を加算してカウントアップを行い(ステップ305)、カウントされたページ数が予め定められた所定のページ数Nに達したか否かを判別する(ステップ306)。
そして、制御部101は、カウントされたページ数が予め定められた所定のページ数Nに達していないと判別すると、異常解消モードを実施した後かつ所定ページ数Nより小さい第2の期間の一例としての所定ページ数Mに達したか否かを判別する(ステップ307)。
一方、制御部101は、カウントされたページ数が所定のページ数Nに達したと判別すると、画像密度の積算値に対するトナー補給時間の積算値が異常か否かを判別する(ステップ308)。
その後、制御部101は、画像密度の積載値に対するトナー補給時間の積算値の比(勾配)が異常ではなく正常であると判別すると、画像密度の積載値及びトナー補給時間の積算値をリセットしてゼロに戻し(ステップ309)、ステップ307へ移行する。
また、制御部101は、画像密度の積載値に対するトナー補給時間の積算値が異常であると判別すると、異常解消モードを実行した後(ステップ310)、ステップ307へ移行する。
制御部101は、ステップ307において、異常解消モードを実施した後かつ所定ページ数Nより小さい所定ページ数Mに達したか否かを判別する。
そして、制御部101は、異常解消モードを実施していないか又は所定ページ数Nより小さい所定ページ数Mに達していないと判別すると、次のページの画像情報に基づく画像形成動作を開始し(ステップ311)、ステップ301に戻る。
一方、制御部101は、異常解消モードを実施後かつ所定ページ数Nより小さい所定ページ数Mに達したと判別すると、所定のページ数M間の画像密度の積算値に対するトナー補給時間の積算値が異常か否かを判別する(ステップ312)。
制御部101は、所定のページ数M間の画像密度の積算値に対するトナー補給時間の積算値が異常でないと判別すると、次のページの画像情報に基づく画像形成動作を開始し(ステップ311)、ステップ301に戻る。
また、制御部101は、所定のページ数M間の画像密度の積算値に対するトナー補給時間の積算値が異常であると判別すると、プリント動作を禁止する(ステップ313)。そして、制御部101は、表示部103bにサービスエンジニアを呼ぶようにメッセージを表示する。
ここで、制御部101が所定のページ数M間の画像密度の積算値に対するトナー補給時間の積算値が異常であると判別するとプリント動作を禁止するのは、ステップ310において異常解消モードを実行しても、所定ページ数Nより小さい所定ページ数M間の画像密度の積算値に対するトナー補給時間の積算値が異常であると判別されるということは、異常の原因が、現像装置24そのもの、又はトナー補給装置246やトナー濃度センサ254自体の故障であると判断し、プリント動作を継続することが妥当ではないと判断されるからである。
このように、上記実施の形態2においては、トナー濃度センサ254の検出異常以外に、現像装置24そのもの、又はトナー補給装置246やトナー濃度センサ254自体の故障であると判断することが可能となる。
[実施の形態3]
図10は、実施の形態3に係る画像形成装置の一例としてのカラー画像形成装置の制御動作を示すフローチャートである。この実施の形態3では、解消手段が濃度検知手段の検知異常を解消する動作を実行した後、静電潜像の画像密度及び補給手段の補給時間を第1の期間より長い第4の期間にわたり積算した各積算値に基いて、判断手段が濃度検知手段の検知異常があると判断したとき、現像手段内のトナーの入れ替え動作を指示する指示手段を備えるように構成されている。
この実施の形態3では、制御部101が次のようにトナー補給動作を実行する。
制御部101は、図10に示されるように、記録用紙6の1ページに画像を形成する動作が終了すると(ステップ401)、図6に示されるようなトナー補給制御動作を実行する(ステップ402)。
その後、制御部101は、画像を形成した記録用紙6の1ページ分の画像密度を積算する(ステップ403)。同時に、制御部101は、各現像装置24内のトナー濃度をトナー濃度センサ254によって検出し、トナー濃度センサ254によって検出されたトナー濃度と目標トナー濃度の関係から第2のトナー補給時間t2を算出する。
そして、制御部101は、当該1ページ分の画像密度に対応した第1のトナー補給時間t1と第2のトナー補給時間t2を積算する(ステップ404)。
その後、制御部101は、ページ数に1を加算してカウントアップを行い(ステップ405)、カウントされたページ数が予め定められた所定のページ数Nに達したか否かを判別する(ステップ406)。
そして、制御部101は、カウントされたページ数が予め定められた所定のページ数Nに達していないと判別すると、異常解消モードを実施した後かつ所定ページ数Nより大きい第4の期間の一例としての所定ページ数Pに達したか否かを判別する(ステップ407)。
一方、制御部101は、カウントされたページ数が所定のページ数Nに達したと判別すると、画像密度の積算値に対するトナー補給時間の積算値が異常か否かを判別する(ステップ408)。
その後、制御部101は、画像密度の積算値に対するトナー補給時間の積算値の比(勾配)が異常ではなく正常であると判別すると、画像密度の積載値及びトナー補給時間の積算値をリセットしてゼロに戻し(ステップ409)、ステップ407へ移行する。
また、制御部101は、画像密度の積算値に対するトナー補給時間の積算値が異常であると判別すると、異常解消モードを実行した後(ステップ410)、ステップ407へ移行する。
制御部101は、ステップ407において、異常解消モードを実施した後かつ所定ページ数Nより大きい所定ページ数Pに達したか否かを判別する。
そして、制御部101は、異常解消モードを実施していないか又は所定ページ数Nより大きい所定ページ数Pに達していないと判別すると、次のページの画像情報に基づく画像形成動作を開始し(ステップ411)、ステップ401に戻る。
一方、制御部101は、異常解消モードを実施した後かつ所定ページ数Nより大きい所定ページ数Pに達したと判別すると、所定のページ数P間の画像密度の積算値に対するトナー補給時間の積算値が異常か否かを判別する(ステップ412)。
制御部101は、所定のページ数P間の画像密度の積算値に対するトナー補給時間の積算値が異常でないと判別すると、次のページの画像情報に基づく画像形成動作を開始し(ステップ411)、ステップ401に戻る。
また、制御部101は、所定のページ数P間の画像密度の積算値に対するトナー補給時間の積算値が異常であると判別すると、現像剤の入替動作を実行する(ステップ413)。現像剤の入替動作は、表示部103bにサービスエンジニアを呼び現像装置24内の現像剤の入替動作を実行するよう促すメッセージを表示することで行う。
ただし、サービスエンジニアを呼びトナー入替動作を実行するまでは、プリント動作を継続可能に構成しても良い。その際、表示部103bにサービスエンジニアを呼びトナー入替動作を実行するよう促すメッセージを表示するとともに、ユーザがトナー入替動作を実行する旨を確認する確認ボタンを表示部103bに表示し、ユーザが確認ボタンを操作してときにのみプリント動作を継続可能としても良い。
このように、上記実施の形態3においては、異常解消モードを実行した後、所定ページ数Nより大きい所定ページ数Pに達していると判別し、更に所定ページ数P間の画像密度積算値に対するトナー補給時間の積算値が異常であると判別すると、現像剤4が劣化していると見なして、トナーの入れ替え動作を実行する。
そのため、現像装置24は、内部の劣化した現像剤4を新しいキャリア及びトナーを含む現像剤4と交換することで、現像剤4の流動性を正常化させ、トナー濃度センサ254に検出異常が発生することが回避される。
なお、前記実施の形態では、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)及びブラック(K)の各作像装置10(Y,M,C,K)を有するフルカラーの画像形成装置について説明したが、ブラック(K)の作像装置10Kのみからなるモノクロの画像形成装置についても同様に適用することができることは勿論である。
また、前記実施の形態では、静電潜像の画像密度及び補給手段の補給時間を積算する期間を、記録用紙6のページ数により求めるように構成したが、感光体ドラム21の回転数や現像装置の現像ロールの回転数の積算値に基づいて算出するように構成しても良い。